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 本作品は、世界設定ばらしが非常に多く含まれています。他のGreen-Blue talesシリーズを読んでからの方が、いいかもしれません。


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   碧


                            Green-Blue tales

                              斎木 直樹

     第十一章 最後の試練

 私達二人とナイトは、セイトさんの後について歩いている。今日は、いよいよ最後
の試練が課される日。ナイトも少し緊張しているようで、顔が青白い。でも、もしか
したらそれはあの男に会うからかもしれない。ダイと顔を合わせるのは、あれからこ
れが初めてだった。
「ねえナイト、最後の試練って何なの?もう試練を出す長老は残っていないわ。昔か
らあるものって、あなたは知っているんでしょう」
 セイトさんに聞かれないように、小声で私は聞いた。けれど、ナイトは綺麗な顔を
固くしたまま、そっと首を振ってみせた。知らないということらしい。
 私達は階段をいくつか上っていった。どうやら、屋上へ行くつもりらしい。なんだ
か外が騒がしい。みどりが私を振り返り、私は頷き返した。
 私達の間のテレパシーは魔力の鍛錬をする度に強まり、今では話そうと思えばある
程度距離があっても通じるようになっていた。ただし他の人の心は、たとえ防御をし
ていない人の心でも、少しも読めるようにはならなかった。どうやら、読んではいけ
ないものだという深層意識が関係しているためらしい。
 みどりはもの欲しそうな顔でナイトをちらりと見ると、すぐに目を伏せてまた階段
を上り始めた。ナイトは、私に細い微笑みを返した。
 屋上から下を見ると、一面の人だった。この前火の精が集まっていたときとは、比
べものにならない。前庭中が人だらけだ。
 セイトさん、と呼びかけようとして、そこに長老全員が集まっているのが目に入っ
た。セイトさんとエヴァさんは少し不安そうな顔で、そしてダイはいつものにやにや
顔だった。けれど、今日はいつもより眼光が乏しいのがうかがえる。
 ほんの少し風が吹いて、髪が乱れる。屋上なのに、風はひどく弱い。
 セイトさんは緊張した面もちに無理に笑みを浮かべようとした。
「では、最後の試練を始めます。これまでの八つの試練を、殿下方はどちらも全て越
えられました。この最後の試練では、国民に王を選んでもらいます」
「では、この人たちが国民――全国民なのですか」
 セイトさんは、あっさりと肯定した。乳幼児や病人以外は全員来ているはずだと。
 これでは、思っていたよりもずっと少ない。こんなに少ない人数で、よく今まで種
を保てたわね。いいえ、保てなかったからここまでなってしまった。もう、既に道は
定められているのかもしれない。
 「私達のように妖精もまた、滅びへと向かっている」。ブルー・アトラスの台詞が
かすめ、二三度頭を振る。心臓が痛い。
「では、ナイト殿下。何か仰って下さい」
と、エヴァさんが言った。すると、いつもの黒服を纏ったダイは、にっこりと笑った。
 色黒の肌に刻まれた目尻のしわが、歳を感じさせる。この人もお父さんと同年代、
きっと四十過ぎなんだわ。
「いいえ、殿下は何もなさらなくて結構です。グリーン、ブルー、どうぞ」
 何もしなくていい、か。まあ、ナイトは生まれたときからここにいて、ここの人た
ちは皆ナイトのことを良く知っている。
 そこへきて私達はといえば、ついこの間この世界にきたばかりで、城の中にさえ私
達の顔も知らない人がいる。まあそれは、セイトさんがあまり私達に人を近づけない
ようにしているということもあるのだけれど。暗殺を恐れているのだか判らないけれ
ど、どうもお客様扱いされているようで気分はよくない。
 と、私は推察したが、ナイト以下長老方は意外そうな表情だった。ダイには何か考
えがあるということかしら。
 私達は目を会わせ、みどりはうんと頷いた。
 彼女は一歩前に出ると、大きく息を吸って、できるだけにっこりとしてみせた。
「皆さん、こんにちは」
 みどりが言ってから思ったけれど、こいつの声みんなに聞こえているのかしら。セ
イトさんを振り返ると、老人は固い顔で素早く頷き返した。きっと精神伝達で伝えて
いるのだろう。
「あたしはグリーン・グリーンブルーです。姉のブルー・グリーンブルーに代わって、
皆さんに伝えたいことがあって、お話しします」
 ナイトは、真っ直ぐにみどりを見ていた。青白い肌にはめられた濃い青の瞳は、落
ちついた輝きを反射している。
「あたし達二人は、皆さんも御存知のとおりおばあちゃん――失礼、いつもそう呼ん
でいたいたものですから。前王ラピス陛下のことです」
 皆は前王のことを想い返し、少し笑った。
「陛下が御亡くなりになられてから、あたし達は人間界からここへやってきました。
だから、ここのことは何も判りません」
 みどりの真剣な眼差しと声に、皆は静まり返った。子どもでさえも、雰囲気に押さ
れて口をきかない。
「だったらおとなしく帰れ、と言う方がいらっしゃるかもしれません。いえ、ほとん
どかもしれませんね」
 人々は、穏やかな笑い声を贈った。みどりはその声に心を温まらせた。
「あたし達も、最初はそう思いました。でも、ちょっとの間ここで暮らしてみて、そ
れが変わってきました。あたし達は、この国が好きになりました。ここにいたい、と
思うようになりました。この国をもっと良くしていきたいと」
 みどりは、軽く言葉を切った。その目はいつもの、五才のあの日、彼女が彼女であ
ると決めた日、母さんの葬式の日と同じ瞳、つよい瞳。
「あたし達のもといた国には、王はいません。そして、あたしには、王という世襲制
の制度が正しいものなのかは判りません」
 殿下、というセイトさんの言葉を私は目で制した。
 みどりは熱っぽく語りつづける。
「でも、あたしはその立場を利用しようと思います。あたし達はたまたま、王になれ
るように生まれました。だからこの国を好きなあたしは、この国にいるために、この
国をもう少し良くしていくために、王になりたいと思います。王は、皆さんの支配者
ではありません。皆さん一人一人が、この国の王なのです。王は、皆さんの暮らしを
よくしていくための使いっぱとでも思って下さい」
 ここで皆は爆笑した。みどりは一瞬きょとんとしていたけれど、丸い眼をくりっと
させて話を続けた。
「では、最後に皆さんにお願いがあります」
 ダイが、淋しそうな目で笑った。淋しそう、ですって。一瞬、そんな風に見えたの
は目の錯覚?
「この後、皆さんに王を決めていただくそうですが、どうぞ、自分の意思で決めて下
さい」
 長老たちは、開いた口をふさげなかった。ダイまでもが、目をしばたたかせている。
しかしナイトは、ただ静かにみどりの後ろ姿を見守り続けていた。そう。私達は知っ
ている。それでこそ、みどりだと。そうでなければ、みどりではないと。
「あたし達は、父にこう教わりました。『人に迷惑をかけずに、自分で責任をとるな
らば、何をしてもいい』と。あたしは、これを正しいと思います。だから、いつもこ
のルールの中で、自分のやりたいことをしてきました」
 彼女は、いつも自分の真実に従って生きてきた。ずっと、いつも。
「だから、皆さんにも自分の正しいと思うこと、いいえ、自分にとって正しいと思う
ことをしてほしい。それがあたしの何よりの望み、願いです」
 みどりは振り返ると、私の顔にため息をついた。足がおぼついていない。私は眉を
しかめ、大丈夫と尋ねた。
「うん。ちょっと、気圧された」
 珍しくも、みどりの顔には青みがかかっている。私によりかかると、みどりはしば
らく目を閉じていた。
 最長老は厳かに宣言した。
「では、決を採ります」
 結果は、明らかに私達の勝ちだった。人々は、私達を選択した。
 セイトさんに促され、みどりが一歩前へ出たとき。
「おのれっ」
 みどりに振りかざしたダイの左手の中には、小刀が光っていた。よく切れそうな美
しい刃に、彼女は見ほれているかのようだった。
「みどりっ」
 私の声でみどりは我に返り、とっさに目をつぶって身体をかがめた。すると、みど
りの身体を中心として、光の半球体がぶわっと一瞬にして広がり、ダイの手から刀を
落とすと、弾けて消えた。それは、試練で部屋に一日閉じこめられていたときに、ナ
イトが操られて使った力に似ていた。みどりの場合は、光は黒ではなく、あれほど強
烈でもなかったけれど。みどりの光はもっと明るく、柔らかく、暖かいものだった。
 ダイが手を押さえてのたうちまわっている間に、セイトさんは衛兵たちに命じて彼
を捕らえさせた。ダイがあらがうと、彼の懐から何か黒いものが落ちた。それは音も
なく転がり、そっと止まった。
 みどりは、座り込んで放心したまだった。おそらく、力を使った後に出る熱に身を
任せているのだろう。
「これは……」
 セイトさんは、赤い顔で声をなくして怒鳴った。いらだちと憤怒。そして、不安を
隠すために。
「なぜ貴様がこれをっ。黒玉を持っておるのだっ」
「なぜだと?それは、あなたにはよく判っていらっしゃるはずだ、最長老殿」
 ダイは、頑強な男たちに押さえつけられたまま、笑った。勝ったはずのセイトさん
は悔しさに唇を噛みしめ、負けたはずのダイが笑っている。
「五聖石はグリーン=ブルーを、ひいては王を守るもの。それがナイト殿下の叔父の
私の手の中にあるとは、どういうことでしょうね」
 ダイの声が、あたしの心の中をぼんやりと通り過ぎていく。なんだか彼の話を聞い
ていられない。熱が、身体中をとりまいている。力を使った後の熱だ。でも、それと
は関係がない。
 何かが、あたしを呼んでいる。とても弱く、細く。でも、それ以外には注意を払え
なくなるほどに、それはあたしの意識を喚起しつづけている。
「グリーン様とブルー様も、青玉を持っていらっしゃる」
 それは、そこにあった。
「あれは借り物だと、彼ら自身が言ったのだぞ」
 あたしは一歩、重い身体を引きずり、それに近づいた。
 ダイがふと、笑った。今までのような笑みではなく、心の底からわき上がる笑みが
顔に洩れたものだった。その視線の先には、黒玉に触れようとしているみどりがあっ
た。
 何?黒玉に、何かあるのかしら。
 黒玉や青玉といった聖石は、その不思議な力で王を、ひいては国を守るという。聖
石は自らの意思で持ち主を選び、その意志を曲げさせることは何人にもできない。選
ばれた者は魔力が強まり、知識も増すのだそうだ。それは判る。ゼウスは言っていた。
聖石は人の精神活動を活発化すると。魔力は精神力に左右されるのだから、力は強ま
るのは当然だし、知識が増すのも思考力が上がったと見ればいい。聖石が直接知識を
授けることもあったのかもしれない。
 その聖石をなぜあいつが、ダイが持っていたのかしら。ナイトが王にふさわしいか
ら?いいえ、そんなことは今はどうでもいい。なぜあいつは、黒玉を手放したのかし
ら。
 聖石は、それを持つだけで魔力が増す。直系の王族の私達に対抗するだけの魔力な
ど、魔女や貴族ならまだしも、一般の平民であるダイにあるはずがない、とセイトさ
んは疑問に思っていた。しかし、彼は維持するのに多大な魔力を消費する結界をあち
こちに張り、その上、先王の孫であるナイトを操っていた。そんなことは、前王にす
ら可能ではなかっただろう、ともセイトさんは言った。それほどまでに、聖石には魔
力を高める効果がある。あれがあれば、せいぜい抵抗はできたはず。
 そもそも、なぜあいつが民衆の前で、その手で襲ってきたのかが不思議だ。力でや
った方が簡単で、証拠も残らない。今まで、誰にも知られずに私達を殺すチャンスは
いくらでもあった。黒玉が、ゼウスがそれを望まなかったから?いいえ、あの笑みは。
「みどり、それに触れちゃ駄目っ。罠よっ」
と、あおいが叫んだとき、あの男が笑うのを感じた。闇が揺れたようだった。
「遅い」
 あたしの指先がそれに触れたとたん、視界が真っ暗になった。
 耳が、きーんと鳴る。耳を押さえ、目をつぶってしゃがみ込むと、その音は少しず
つ、ざざという音に変わっていった。テレビが放映されていないときの雑音、じゃな
い。風が草原を渡る音だ。
 それに気づくと、足下には草を、身体には風が感じられた。なま暖かい、春の風だ。
匂いもしてきた。草の青い、臭いような匂い。
 そっと目を開くと、金髪の女の人の後ろ姿が見えた。風に流れる金の髪を押さえる
白い手。妖精らしく高い背。ほっそりとした、しかしやせぎすではない肢体。
――誰だろう――
 唐突に画像が輝き始め、音声が消えた。ちりちりという微かな雑音の中、見えるの
は青い空、緑の草原、風になびく草花。その中に、もう髪も押さえずに突っ立ってい
る女。視覚以外の感覚が、全て消失してしまったかのようだった。もう、足下の草も
感じない。
 そして、女が振り返る。感覚神経全てが、その姿に引きつけられる。美しい顔を思
いきり崩して何かを言っている。
――ナイト?――
 その顔そのものは、ナイトに酷似していた。けれどよく見ると、女はナイトよりも
ずっと明るく、柔らかい印象を持っていた。ナイトと同じ色の瞳は、眩しいほどに輝
いている。
――あなたは、誰――
 すると、声が聞こえた。何も聞こえない中に、その声だけが。意外と甘くはない、
さっぱりとした声だった。けれど、とても優しく聞こえた。まるで、同時に告白して
いるようだった。
 そしてあとは、光。光、光一杯の――この色は、どこかで見た。視界一杯の、さざ
めく光。光が優しく呼ぶ。
「ディー」
 ぱん、と音がした。
「眠ってる場合じゃないのよ、みどり」
 あたしは座り込んだ姿勢のまま、左の頬に軽く触れた。痛いというほどではなかっ
たけれど、目を覚ますのには充分な平手だった。今のは、夢?
 辺りを見回そうとして、視界が暗いのに気づいた。もう夜なのかな。あおいを見上
げると、姉は無愛想に上を指さした。空を見上げると、太陽が欠けている。皆既日食。
「言っておくけど、日食じゃないわよ。ここは先人の造った世界だということを、忘
れないで」 
 そうか。ここの太陽と月は、ゼウスの操作しているものなんだ。
「あんたが黒玉に触れたとたん、黒玉が空に昇ってああなったのよ。もう少しで完全
に太陽は消えるわ」
 あれは、誰だったんだろう。金髪の女の人。あの金の色は、どこかで見た。どこで?
 みどりが一人で何かを思い出そうとしているうちに、眼下の人々のざわめきが無視
できないものとなってきた。彼らは時と場所を忘れ、おのおのの不安を伝え合ってい
る。
 ああ、そうなのね。
 切れ切れとした声を聞き取るまでもなく、彼らの考えていることが判る。
 やはり、双子の王など不吉だ。しょせん人間、妖精とは違う。気味の悪い、野蛮な
あの人間の、しかも双子の王など許されるのか。
 ほら、セイトさんまで私達が遠ざかったかのようにして見ている。やはり、この人
たちは、あまりにもよわい……。
 ニャーオが、いきなり目の前に現れた。かなり興奮しているらしく、顔が真っ赤に
なっている。
 おそらく私達は、何もかもを忘れてきょとんとしていただろう。長老たちも、闖入
者に注意もせずにただ茫然としている。
「ニャーオ?」
「もう、我慢できない」
 ニャーオは、うつむいたまま呟いた。手が固く締められすぎて、震えている。
「あんたたちの立場がまずくなると思って隠れてたけど、もう我慢できない」
 その目は、すっかりお座りをしていた。あらら。
 魔女の印である黒い服を着たニャーオは、きっと皆に振り返った。ナイトとは違う
明るめの青い瞳が、鈍く光っている。
「あんたたち、何考えてんのよっ。ついさっきまではこいつらを支持してたくせに、
あんな太陽が欠けたくらいで。不吉だって?双子は、人間は気味が悪いからいやだっ
て?そんなこと、最初から判ってたことじゃない。こいつらは最初から双子で、人間
だった。さっきから何も変わっちゃいないわ。それなのに、なぜ今、こいつらを否定
できるの」
 人々は静まり返った。急いで灯された松明のように、ニャーオは燃えていた。もう、
ほとんど日は残っていない。
「私には、判るわ。魔女である私には。そして、ハピネスの血を引きながらも魔女と
なった母を持つ、私には」
 イルメイアさんは、ただ一人の娘を静かに見つめている。
「あんたたちはね、怖いのよ。こいつらは、この国を変えていくと言った。変わるこ
とによっていいこともあるだろうけど、悪いことも起こるかもしれない。最初はいい
面が目についてそれに飛びついたけれど、改めて考えると、悪い面の方が恐ろしくな
った。だから、『不吉』にかこつけて変わることを嫌がった。怖がった」
 ニャーオは唇をぎりっと咬んだけれど、その肩はわずかに震えている。
 妖精たちには、人間のような信仰心はほとんどない。あえて信仰するものと言えば、
それは神ではなく王だとセイトさんは教えてくれた。彼らの不吉という言葉には、あ
まり深い意味はない。それは己の行動に対する言い訳のようなもの。
「魔女である私には判る。あんたたちはね、自分と違うものが嫌いなの。怖いのよ。
そう、私達はお前たちとは違う。でも、だから何だっていうの?誰だって、他人と違
うところはあるわ。私達は、ただその違いが大きかっただけ。あんたたちと同じとこ
ろもあるわ。悲しいこともある。一人でいては、淋しいこともある。誰かに愛して欲
しいと思うこともある、誰かを愛したい。なぜ、違っていてはいけないの?なぜ同じ
であろうとするの」
 ニャーオは既に涙ぐんでいる。彼女は、普段の態度から想像されるように、がさつ
な少女ではない。その小さな胸には、細やかで傷つきやすい心を隠し持っている。
 そうなのね。魔女は魔力が強いゆえに迫害される。そしてニャーオの母ミアは、そ
の魔女の中でただ一人のハピネスの出身であるがために、迫害された。多者は少者を
迫害する。自分と違うものは得体が知れないから。恐ろしいから。
 ニャーオは、他の人とは違っていることを知っていた。そして、他の人と同じであ
ることも知っていた。皆が同じではないということも判っていた。なのになぜ、皆と
違うと虐げられるのかが判らなかった。そして、何もしなかった。何をしたらいいの
か判らないで、ただ一人不公平だと思っていた。ニャーオは、そんな自分に私達を重
ねているんだわ。双子で、人間である私達に。
 けれど、私達は何をしたらいいのかを知っている。そして私達が、それを行うこと
も判っている。
「勝手に、そうしているがいい。同じ者ばかりで、ずっと変わらない国で暮らしてい
ればいい。あなたたちはそれでいいのよ。でも私達、私は――」
 私は、泣き崩れそうなニャーオの肩を優しく叩いた。
「ニャーオ、もういいわ」
「でも」
 みどりは、はらはらと涙を流すニャーオににっこりと笑いかけ、すっと皆に向き直
った。人々は、どこか安堵したようだった。
「皆さん。先ほどの人はあたし達の友人で、ニャーオといいます」
 人々は更にざわめきを増したけれど、みどりは構わずに話し続けた。さっきよりも
堂々とした、張りのある声で。
「あたしは、ニャーオの言うことは正しいと思います」
 しん、と音がした。
「あたしは、ずっと思っていました。この国を好きだと思うと同時に、感じていまし
た。妖精は、この国はよわい。あまりにもよわすぎる。自分と違うもの、変わること
をひどく恐れている。でも、それじゃいけないんです。魔女のような人たちが、どん
なに長い間苦しみ続けてきたか。神、そう、神だってずっと――」
 みどりは、勢い余ったように手すりに額を押しつけて息を切らしていたが、また顔
を起こした。
「あたしは、この国が好きです。だから、この国をもっとよくしていきたい。みんな
に、もっとつよくなってほしい。自分と違うものを、違うと認める勇気を持って欲し
い。今のままじゃ駄目なんです。今はただ、逃げているだけ。逃げていては、失わな
くていいものも失ってしまう」
 みどりは、見えない雨に打たれたようにはっとした。私は、ナイトへ目をやった。
ナイトはわずかにも動揺せず、最初と同じようにみどりを見つめ続けている。
「そう。皆さんには大切なもの、好きなものはありませんか。そういうものをなくさ
ないために、守るために、大きくするために、あたしは皆さんにつよくなってほしい。
その手助けをしたい。だから、王になりたいんです」
 胸が苦しい、痛い。でも、これは私の痛みじゃない。これは、みどりの感覚?でも、
痛みだけじゃない。感じる。優しさときびしさ。そして、どうしようもないまでのい
とおしさ。
 完全な闇が訪れた。明かりは、城内の照明と松明だけだ。
 静かなざわめきが、どっと押し寄せてくる。皆は迷っている。変化か、永遠か。
 みどりは、苦しそうに声を絞り上げた。
「どうすれば、信じてもらえますか。あたし達が双子でも人間でもなくなったら?あ
の日食をどうにかしたらいい?あれを元に戻したら信じてくれる?」
 人々は、嵐の中の木々のようにざわめいた。
「ちょっと、みどり」
と、私はみどりをつついた。
「何」
「あんた、いい加減なこといって」
 みどりは明かりに照らされた顔を笑ませ、
「何言ってんの。日食ってもんは時間が経て、ば」
 それを凍らせた。やっぱり忘れてた。
「あれは日食じゃないって言ったでしょう。黒玉がやったのよ」
 みどりは、ひきつった顔のまま機械的にそっぽを向いた。まったく。
 そして。
 善の精の長が、あ、と声を漏らした。それが最初だった。
 他の妖精たちは次々と顔を天へ向け、決して降ろそうとしなかった。不思議に思う
前に、続けて顔を上へ向ける。眩しい。なぜ。
 ゆっくりと、太陽を覆っていた黒いものが小さくなってきている。けれど、日食が
終わっただけにしては眩しすぎる。嘘、何あれ。
「太陽が」
 太陽は、二つに分かれていた。前の太陽よりも、更にサイズは小さいけれど、確か
に二つ。
「何だ、こりゃ」
 あたしは呟いた。そんなこと、判りすぎるぐらい判っていた。これは全て、ゼウス
の仕業。あいつも、粋なことするなあ。
 と、凄い勢いで何かがあたし達めがけて頭上から落ちてきた。わっとかがみ込むと
それは急停止し、おそるおそる見上げたあたし達のことを笑うように、上下しながら
宙に浮いている。
「黒玉」
 あたし達が立ち上がると、黒く輝いている玉はすうっとあたしの手の中に入り、静
まった。冷たい感触が、ひどく暖かいもののように感じられた。
「両殿下」
 背後から声がして振り向くと、そこにはいつの間にか現れたセラフィムが、封じら
れているはずの青玉を持って立っていた。今日はきちんと足があり、癖の強い黒髪も
腰の下辺りまでしかない。しかし、普通の娘のような恰好をしていても、その気高い
美しさは少しも損なわれてはいない。自信と気概にあふれるセラフィムだった。
「殿下方から、この玉をお返しいただきたく思い、参上いたしました」
 セイトさんは、見ていて同情したくなるまでに動揺した。
「しかしセラフィム殿――セラフィム殿でいらっしゃいますよね。もう少しの間だけ、
これは殿下方のもとに。今しばらく」
 老人の力無い言葉を、うら若い乙女は厳格に一喝する。
「最長老の、セイターン殿ですね。私は、殿下方に申し上げたはずです。これは私の
ものではないが、お貸しすると。これを本来の持ち主にお返しする時が来たのです」
「そうだ、セラフィム。それを二人から取り上げれば、私の家に雇ってやってもよい
ぞ」
「そやつらから奪えば、何でも欲しいものをやる。やれ」
 口を出したのは、水の精の長と善の精の長だった。肝心のセラフィムは、その声に
反応すらしない。
 まだ食い下がろうとするセイトさんを、あおいは身ぶりで制した。
「セラフィムさんの仰るとおりです。どうぞ、それはお持ち下さい。今まで貸して下
さって、ありがとうございました」
 セラフィムはその美しい顔をほころばせると、ゆっくりとひざまずき、青玉を持っ
た手をあたし達の前へ差し出した。
「どうぞお受け取り下さい、両陛下」
「へ」
 セラフィムさんは、嬉しそうにあたし達のことを見つめている。今度はびっくりさ
せてやったわよと言いたげに。
「私は、これを『二人の王』にお渡し申し上げるよう姉に頼まれ、長い年月を生きな
がらえてきました。それをお渡しする時が来たのです」
 戸惑うあたし達に、セラフィムさんはにっこりと笑む。
「二人の王とは、この国に新しい時代を築く方々のこと。この太陽が、何よりの証拠
でございます」
 人々はそっとざわめき始めた。青玉が輝き始める。
「二つ目の聖石でございます、『二人の王』よ」
 青玉は、ゆっくりとあたし達のもとへ泳いでくる。
「新時代」
 ささやかなどよめきが、もう少し大きなざわめきを呼ぶ。小さな波が、もう少し大
きな波を呼ぶように。
「新しい時代の幕開けだ」
「新女王」
「グリーン女王、ブルー女王」
 そうして波は、大津波となる。
「これは、一体」
 あたしのつぶやきに、あおいはにやっとした。自分も驚いているくせに、不敵な笑
みがよく似合う。
「これはね、『終わりよければ全てよし』って言うのよ」




 翌日、私達二人と長老会のメンバー全員、そしてナイトは小広間に集まっていた。
私達が、初めて長老方に面したところだ。しかし、ダイはあの時とは違い、衛兵に四
方を警護されている。今日はその他にも、貴族らしい人たちが下座に控えている。傍
聴人といったところだろうか。彼らは、更に下座に控えた王室付顧問魔女、サマンサ
に冷たい視線を送っている。
 皆は、中央の床にひざまずかされたダイを見つめている。さげすみと脅え、同情、
あざけり。様々な表情の目にさらされても、ダイは全く気に留めていない様子だった。
 私達二人は、上座のただ二つの椅子に座るように言われた。左手には最長老のセイ
トさん、右手にはナイトが立っている。最長老は、唇を湿してからゆっくりと口を開
いた。
「では、ダイ・アウラ・サスに対する処罰を決定する会を、始め」
「あたし達に、決めさせていただけませんか」
と、みどりが老人の言葉を遮った。長老会の面々は少し相談していたが、まあやらせ
てみようということになったらしく、最長老は不安げに軽く頷いた。
 みどりは、ダイを真っ直ぐに見つめた。ダイは、相変わらずの薄笑いを浮かべてい
る。
 お前たちに何ができる、と彼の目は言っていた。偽善者の仮面を取り、殺すか。そ
れもいいだろう。あきらめではない。ただ、もうどうでもいというやけっぱちな、気
を張り続けるのに疲れた、何かもかもから解き放ってくれるものがあるのならそれで
も構わない、という投げ遣りな思いが空気を伝わってくる。
「ダイ・ダーク。あなたは、あたしを殺そうとした罪に問われています。その証人の
多さは、言うまでもありません。あなたは、この罪を認めますか」
 泥の湖で大蜘蛛をけしかけたり、ナイトを操って私達を傷つけようとしたり、自分
の屋敷へみどりをさらい操り人形にしようとしたり、といった一連の事件には触れら
れなかった。他の、善の精が仕掛けたものと同じだ。証拠不十分に、証人不在。
「ああ。どうにでもしろ」
 ナイトが、みどりの向こうでつばを飲み込んだ。それを目の端で見ているのかいな
いのか、みどりは極めて冷静に言った。
「あなたの罪に対する償いとして、あたしはあなたに、ナイト・グリーンブルー・サ
スの一つの質問に答えることを命じます」
「な」
「何ですと?」
 ダイの言葉の端を、セイトさんが奪った。
 みどりの台詞を聞いた、私とナイト以外の全ての者が己の耳を疑い、あぜんとして
いる。しかし、誰よりも驚いているのは、他ならぬダイ自身のように、私には思われ
た。
 異論のどよめきの嵐を、みどりが一喝する。
「他のことならともかく、これはあたしのみが被害にあったこと。反対は許しません。
さ、ナイト」
 ナイトは、操られているときのようになめらかな動きで、すっと前に出た。この頃
はあまり食も進まないようで、いつもに増して青い顔をしている。けれど、その瞳は
以前のように哀しみに満たされてはいない。今は不安、そして決心が彼を衝き動かし
ていた。
 ナイトは静かに、一言一言に力を込めて言った。
「私の質問に、答えて下さい。俺はずっと、聞きたかった。あなたは――あなたは、
母を愛していましたか」
 一同は静まり返った。場違いな質問に罵声を浴びせる者がいるかと、私は危惧して
いたが、ナイトの真剣な調子に茶々を入れられる者はいなかった。
 この質問は、ナイトにとってこれから生きていく上で一番必要なものだった。自分
の存在すること、自分の今までしてきたことの意味について、今彼は尋ねているのだ。
 ダイは、うつむいたままぴくりともしない。
「答えなさい」
 一転してがらんどうのような雰囲気に変わった部屋に、みどりの容赦ない声が響き
わたった。この座を支配しているのは誰でもない、彼女だった。
「答えなければ、あたしから言ってもいいのですよ」
 ダイは、凍りついたかのように固まったままだった。みどりはほんの少し眉を上げ、
うっすらと口を開いた。
「仰いなさい、ディー」
 ほんの微かに、ダイの頭が動いた。そしてゆっくりと、彼は顔を上げた。歪んだ顔
で、かすれた声で、彼は告白した。
「私は、あの女を――ライムを、ライムを――愛していた」
 突然、ある映像が見えてきた。けれどそれは視覚によるものではなく、頭に浮かぶ
イメージに似たものだった。他の人のことを見回すと、皆にも見えているようだった。
みどり以外の者は、皆おとなしくその映像に見入っている。みどりは一人、じっとど
こでもない前を見つめていた。
 目を閉じる。そうすると、映像がよりはっきりと感じられたから。
 暗闇の中に、女が立っている。まだ娘のように見えるその女は、金髪を長く伸ばし
ている。後ろを向いているので顔は判らないが、服は平民にしてはよく貴族にしては
粗末なものだ。
「私が十八の時だった。私は、ライムと出会った」
 どこか上の方から響いてきたダイの声とともに、娘が振り返った。顔は驚くほどナ
イトに似ているけれど、もっと柔らかく、しっかりして見える。とても綺麗な人だ。
生き生きとした深い青色の瞳が美しい。
 女が思いきり笑むと、世界が輝き始めた。音声は何もついていないけれど、草が萌
え太陽はきらめき、天は透き通る。これがナイトの母親の、ライムさん。
「あの女は、いつも笑っていた。私の以前の名が父の名に似ているからと、私のこと
をディーと呼んでいた」
 ディー、と呼ぶ声が聞こえた。とても優しく、けれど決して甘くはない声で。
「第二王女という汚名を着せられたライムが、なぜ王位を簒奪しないのか私には不思
議だった。腹さえ立った。すると、彼女は言った。ならばやってみるがいい、と」
 ライムさんは、にやりとして言った。その笑い方は彼女には全くふさわしくなく、
そしてまたぴったりのようにも思えた。
――ならば、やってみるがいいわ。あのおばさまやるり、そしてその子どもたちに勝
てるものなら、やってみなさい。でもね――
――何だ――

 わき上がる硫黄のような想いとともに、自分が言ったような感覚で男の声がした。
青年の声。ダイの声に似ている。つまりこれはダイの見た、体験したこと。
感じたこと。
 ライムはくすりと笑った。悪戯ずきな妖精の微笑み。さわやかな微風が吹きこみ、
黄色い煙が揺らぐ。
――あなたには勝てないわ。私もね――
――なぜ判る――

 いらだつ気持ち。
 娘は、初めて真剣な顔になった。どこか遠くを見つめる目つきになる。
――あの人たちはつよいからよ。私達よりも、ずっとね――
 無意識のうちに固くしかめられた顔。淋しげな、しかし哀しげではない目。
 辛い事実、未来に起こることを彼女は知っていたのかもしれない。セイトさんが言
                        さきみ
っていた。彼女には、未来のことを知ることができる未来視の能力があったと。
 それでも彼女は、ひたすらに前を見つめていた。
 そこで映像は消えたが、私達はしばらくその余韻に浸っていた。ダイはひざまずい
た姿勢のまま動かなかった。泣いてはいないが、彼は己の深い想いの中に入り込んで
いた。
 みどりが、静かに話し始めた。
「あたしはあの時、黒玉にダイの見たライムさんの映像を見せてもらいました。それ
であたしは彼を理解し、許しました。彼は方法こそ間違えましたが、あたし達は結果
的にたいした被害を受けたわけではありませんでしたから」
 ナイトは私を見て、わざとおどけて肩をすくめた。少し目が潤んではいるが、泣い
てはいない。今の彼からは、涙を流したあとのような爽快さが感じとれた。私は安堵
した。
 ダイに殴られ、相当の傷を負ったみどりは、続けた。
「でも、ナイトは違います。彼は幼い頃から彼の道具として使われてきました。ライ
ムさんの代わりに王位をとるための道具として。だから、あたしはナイトに気の済む
ようにして欲しかった」
 みどりはきっぱりと言う。
「この方法は、間違っていたかもしれません。でも、あたしは何度この場面にあった
としてもこうするでしょう」




 ダイが解放され、広間から出ていこうとしたとき、セイトさんが彼に話しかけた。
「ダイ殿。陛下は、ライム殿下に内々にお申し出になられました。王位を返すと」
 ダイは、黙ったまま。
「ライム殿下が十五になられた日のことでした。けれども、ライム殿下はきっぱりと
断られました。私は王位を手に入れたことなどない、と」
「やはり、な」
 そう言ったダイの顔は、初めて見るものだった。ひどくすっきりした、けれど満た
された、泣き出しそうな、苦しそうな。
「そんなことだろうと思ってはいた。だが、私は……」
 言いかけて止め、少し情けないような顔でほんの少し、彼は笑った。けれどそれは、
本当の笑みだった。
「私は、あれとダイナスたちが死んだときに、ディニウスという名は捨てた。もうデ
ィーは、この世にいない」
 扉の外で待っていた闇の精たちが、心配そうに様子をうかがっている。ダイはそち
らに振り返ったままで言った。
「グリーン。お前は、ライムに似ている。最初は気づかなかったが……それが敗因だ
ったな」
 黒い髪の人たちに囲まれて、ダイは去っていった。彼は一旦、長老の任を解かれる。
だが、それからのことは関与されない。誰を長老にするかは、闇の精たちの問題だ。
 セイトさんは、ダイの後ろ姿に呟くように言った。
「あれもかわいそうな男なのです。ナイト殿下を預けていた兄夫婦を盗賊に殺されま
して。死体は酷いものだったそうです。それを彼は、一人で埋葬したとか。誰の目に
も触れさせたくないと」
 闇の精たちは、おそらく見つけたのだろう。ダイの中の、あの淋しそうな笑顔を持
つ青年に惹かれ、信じて長にしたのだろう。ダイがもう生きてはいないと言った、彼
                  ディニウス
の中にまだいる、ライムさんの愛した彼の本当の姿を見抜いて、彼を敬慕したのだろ
う。
 ナイトは、私達ににっこりと笑いかけた。
「おめでとう。みどり、あおい」
 広間に残っていたセイトさん、エヴァさん、イルメイアさん、地の精の長と光の精
の長、そしていつの間にか部屋の中に入りこんでいるエカさんとリィン以下沢山の妖
精たちは、私達に拍手をしてくれた。その拍手は、普段聞くように小さくなっていく
のではなく、だんだんと大きくなっていった。妖精は部屋の外にもあふれていた。城
の人たちだけだとは思えない。
「ありがとう、みんな」
 セイトさんは、久しぶりにすっかり安心した顔で、ため息をついた。
「これでやっと、一段落つきましたね。殿下方も、人間界へ行けますよ」
 え。
「に、んげんか、い?」
 みんなはきょとんとしていた。けれど、私達はそれどころではなかった。
「みどりっ」
「あおいーっ」
 セイトさんどころか、ナイトまで目をぱちくりさせていた。けれど、私達はそれど
ころではなかった。
「セイトさん、私達がここに来て何日経ちましたっ」
「えっ、と。二十日くらいですかね」
「二十日。じゃあ、その半分で十日も学校さぼっちゃったわけーっ」
「いいわけが……忌引きでも祖母じゃ十日なんて無理だよー。どうすればいいんだー
っ」
 居揃った人々は最初をこそぽかんとしていたが、じきに誰かが最初に吹き出した。
くすくす笑いは全員に伝染し、とうとうしまいには全員が笑い転げていた。
「笑い事じゃないんですよっ」
「お父さん、絶対言い訳してくれないしなー」
「どうせ、いつもの『自分でやったことの始末は自分でつけろ』に決まってる」
 私達のうめき声などものともせず、笑い声は城中に響きわたった。

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