高田祐子・作品紹介 その8(1997〜2000年)

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作品紹介 その8

 1997〜2000年に描かれた作品です。連載、シリーズものがほとんどです。
チャームポイント
 集英社コーラス1997年1〜6、9〜12月号、1998年1〜5、7〜12月号、1999年1〜3月号
 「チャームポイント」全4巻(講談社コミックスKiss)収録
優秀なバレー選手だった田村直子は、事故で足を怪我し、バレー選手としての復帰は不可能となってしまった。更に父親の借金を抱えた直子は、モデルとしてデビューすることを決意する。幸いに、モデルとしての才能を直子は持っていたが、専属となった先のデザイナーがどうにも気にくわない奴でいらいらする。
 高田祐子さんの連載としては最長の作品です。でも、メロドラマ調で私にはいまいち。最初の辺りはいいのですが……。「レイジ」のコンセプトの服は欲しい!(笑)
 コミックス書き下ろしの、チャームポイント 直子ヴァージョン・ラストシーンあり。
「その女の子が貢につけられた傷を いつか忘れる日が来ても あたしたちは忘れずにいたいわ 一生胸に刻んで」あゆみ(「チャームポイント」4巻p193より)

冬の神様
 集英社コーラススペシャル1997年Winter
 「トテモ美シイ夏」(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
中学生のとき、ぐれていた山田ユキは、優等生の冬神一志と一緒に家出をしたことがある。その時した約束のため、ユキは故郷を訪れた。
 かけがえのない出会いだった二人の行く末です。
「この15年でわかったことは 言葉にはあったかいもんとつめたいもんがあって つるたいもんだけ受け取り続けてると 人の心はいつか氷点に達して けして溶けねー極寒の世界を作っちまうってこと」冬神一志(「トテモ美シイ夏」p110より)

恋する脳髄―モヤ編―
 集英社コーラス1997年8月号
 「恋する脳髄」1巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
吉田吉彦、事故で頭を打ったショックで、視界にうっすらモヤがかかるようになってしまった。しかし、一人だけ光って見える女の子がいた。彼女でもない浅田朝子が、吉彦にはなぜかきらきら輝いて見える。今まで恋をしたことのなかった吉彦は告白するが、朝子は冷たい。
 ほんとに、「脳」好きですね(笑)。
「ぶつけて脳髄が目覚めてみりゃいーんだ 相手がおれじゃなくてもいいから……… 目覚めて トラウマだかを越えてみりゃいーんだ」吉田吉彦(「恋する脳髄」1巻p43より)

恋する脳髄―呪縛編―
 集英社コーラス1998年Winter
 「恋する脳髄」1巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
雪山での一家心中の生き残りである金井果菜子は、その時の体験から、ふとんにくるまったり、雪にのそべっているのが幸せと感じるようになってしまっていた。同い年の増田真澄が施設にきてから、その「遊び」はエスカレートし――。
 高田祐子、ダークサイドです。でも、この話は同情できる余地がある。
 ちょい役で、戸江川くんが出てます。
「『縛られてる』とも言うけれど 『ほどけてる』んだよ 運命で結ばれてたはずなのに あたしだけほどけちゃってるの……」金井果菜子(「恋する脳髄」1巻p106より)

恋する脳髄―回転編―
 集英社コーラス1998年Midsummer
 「恋する脳髄」1巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
頭の回転のはやい町田万智子は、子どもの頃から要領がよかったが、だからといって全てうまくいくわけでもなかった。
 私は自分が要領のいいやつなのでちょっとびくびくしながら読んでしまいました。零くん、いーやつだね。
 下の台詞のまぬけさが好きです。
自分よりも回転のはやい人がそばにいてくれるのってなんたか安心 あたしにも『守ってもらいたい女の子』願望があるんだなあ……  町田万智子(「恋する脳髄」1巻p158より)

恋する脳髄―音楽編―
 集英社コーラス1999年6月号
 「恋する脳髄」2巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
音無乙音は、幼い頃に聞いた「ララ王」という少年の作った曲が忘れられなかった。音楽を職業としようと決めた乙音は、「好きな曲」として、「ララ王のテーマ」を持っていくが、そこには――。
 なんか好きな話です。「ラ」の音のネタは、「グリーン グリーン」でも使われていますね。
「人間にはDNAが好む音楽ってもんが仕込まれていて それが相手の持ってる音楽とうまくハモれないと苦しくなってダメんなる」古都屋琴弘(「恋する脳髄」2巻p22より)

チャームポイント 直子ヴァージョン・ラストシーン
 「チャームポイント」4巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
直子のみた夢は、幸せな主婦の自分の夢だった。
あたしは夢の中でずっとひとつの言葉を心の中でつぶやいていた 愛してる この世のなにもかもをひっくるめてぜんぶ 人生はいいことばかりじゃない それらもひっくるめてぜんぶ……  田村直子(「チャームポイント」4巻p214より)

恋する脳髄―結婚編―
 集英社コーラス1999年Summer
 「恋する脳髄」2巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
広川ひろなは、お兄ちゃんの浩宗とお姉ちゃんのひろかのことが大好きだったのに、浩宗が別れて暮らすことになったのが不満だった。浩宗とひろかは、両親の再婚で兄妹となり、ぎこちない関係をひろなが生まれたことにより、うまくやっていた。しかし、浩宗がひろかを好きになってしまったことにより、その関係にひびがはいってしまったのだった。ひろなはひろかを憎むようになり、ひろかの結婚式の日がやってきた。
 ぎこちない愛情の示し方をするひろかちゃんがかわいいです。応援したくなってしまうような感じでした。
「『生まれてきてよかったと思ってほしい』って だからおれは そう思える自分であることが人生の目標かなって思います」広川浩宗(「恋する脳髄」2巻p112より)

恋する脳髄―劇的編―
 集英社コーラス増刊スペシャル1999年Midsummer
 「恋する脳髄」3巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
やることなすこと芝居がかっていて、なんでもドラマチックに演出しようとする高津孝幸。宮沢美也子は孝幸の「ドラマ体質」に振り回されるが、彼を憎めない。そんな二人のつきあいは、中学校の入学の日から始まった。
 ふりまわされる美也子の気持ちがおもしろかなしいです。お姉ちゃん体質ですね。
「人間ってほんとに死んじゃうんだよ いつかみんな… だか生きているあいだをおもしろくしなきゃ意味ないんだ」高津孝幸(「恋する脳髄」3巻p17より)

エンゼルケア
 双葉社本当は怖いグリム童話2
 「残酷の眠るグリム童話3 愛の狂気」(高田祐子・中里りえ・大倉かおり・小沢孔璃子・みのおひなせ・ささきゆきえ・小野塚カホリ)(双葉文庫名作シリーズ)収録
母の死体に触れてから、死体しか愛せなくなってしまった僕。死体愛好者であることを隠しつつ生きていくが……。
 「白雪姫」を題材にした作品。えぐいです。
僕の「エンゼル」…… 愛しているよ  (「残酷の眠るグリム童話3 愛の狂気」p55より)

僕、パパ、どうでしょう
 双葉社JOURすてきな主婦たち1999〜2001年
 「僕、パパ、どうでしょう」1〜2巻(双葉社JOURCOMICS)収録
小泉森太郎は、五歳ながらも株式予想が趣味という超天才児。子どもっぽいところもあるけど、言うことは理屈っぽい。母親を亡くしてカリスマ美容師の父と二人暮らしの森太郎くんは、保育園の朝日奈ひな子先生にめろめろ。だが、ひな子先生とパパがいい感じなのがちょっと気になる。
 月刊誌に18pほどであまり話が続かないようにして連載されていました。ページ数が短いので、ちょっとぶつ切れな印象がぬぐえませんが、愛にあふれつつも、常に真面目な森太郎のキャラクターはなかなか楽しかったです。
「私らと孫がたまに会うことを許してくれるやさしい人を選んでくれな」智子の父(「僕、パパ、どうでしょう」1巻p159より)

おまじない美容師ノリカ(正しくは最後にハートマーク)
 集英社コーラス2000年1月号、集英社コーラススペシャル×スペシャル2000年Winter・Spring・Summer・Autumn号
 「おまじない美容師ノリカ」全2巻(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
則巻紀香は、高校生の頃にふられたことが忘れられなかったが、美容師としては才能を持っていた。どうしようもなく暗い子が店に来たとき、紀香は「ゼツカワ」(「絶対あたしはかわいい」)と自分に言い聞かせなさい!と言い聞かせる。その子、亜宮あみが絶頂アイドルとなったため、紀香は「おまじない美容師」として有名になるのであった。
 仕事はうまくいくけれど、女としてはさみしい紀香が、アツアツのお茶のような「お茶男」を見つけて、アタックするところが可愛いっす。すごく、人を思いやることのできる紀香が魅力的ですね。
「その人のことはどうしても忘れなきゃだなの? がんばれないの?」則巻紀香(「おまじない美容師ノリカ」1巻p179より)

恋愛パパラッチ case1 アヤメ
 秋田書店 COMIC MIU 2000年4月号
 「恋愛パパラッチ」1巻(秋田書店MIUコミックス)収録
綾辻アヤメは、ブティックでアルバイトをしているが、コギャルと話すのがあまり上手くないアヤメは、うまくいかない自分を感じていた。彼の京極今日児とは、セックスするためだけに会う関係だった。そんな、やる気のない毎日を送っていたアヤメは、ちょっとずつ変わっていこうと思い始める。
 綾辻×京極……(^_^;)いえ、女と男なんで、いいんですけど。ちょっとずつがんばってみようと思うところが可愛いですね。
「よくあるセリフで言わせてもらえば 『誰のことも愛してねー』ってゆーのが本当」京極今日児(「恋愛パパラッチ」1巻p32より)


 双葉社本当は怖いグリム童話3
 「残酷の眠るグリム童話1 欲望の迷宮」(原作・村崎百郎・作画森園みるく・小沢孔璃子・大倉かおり・中野サトミ・芳村理絵・花田祐実・高田祐子・中里りえ)(双葉文庫名作シリーズ)収録
自分の声に満足できない作曲家は、見つけた「声」を持つ少女を見つけた。彼女はスターになっていくが、次第に自分を見捨てるようになる。そのとき作曲家がとった行動は。
 「赤い靴」を題材にした作品。声に対する憧れの描写がうまいと思います。
人を天国へも地獄へも連れてゆける それが彼女の声だった  (「残酷の眠るグリム童話1 欲望の迷宮」p249より)

恋愛パパラッチ case2 ポヤちゃん
 秋田書店 COMIC MIU 2000年8月号
 「恋愛パパラッチ」1巻(秋田書店MIUコミックス)収録
真山マヤは、ポヤ〜っとしていることからポヤちゃんと呼ばれていた。北川喜多郎という男から好意を寄せられていることに、そして自分もそうであることにポヤちゃんも気づいていたが、彼が妻帯者のため、思い切れずにいた。
 「クールとクール」という言葉であきらめかていたポヤちゃんが動くシーンが印象的です。
「おれ28になるけど 愛ってよくわからないんだよね だから『出世につながる愛のない結婚』にも抵抗がないっていうか それもいいかって感じで ……変かな?」北川喜多郎(「恋愛パパラッチ」1巻p73より)

恋愛パパラッチ case3 真由
 秋田書店 COMIC MIU 2000年10月号
 「恋愛パパラッチ」1巻(秋田書店MIUコミックス)収録
超人気アイドルの竹野内タケルにひかれて足をひきずるようになった眉村真由。真由は竹野内タケルに何でも言うことをきかせてきたが、彼が命令で自分を愛してくれないことをさとった。真由は、最後の願いとして、自分より先に結婚しないことを告げて彼の前を去ることにした。数年後、大学に通っている真由は、恋人と一緒に暮らしている。
 ラストの真由の選択がいいなあと思いました。
あたしが激しく愛してる人は 今でもタケタケだと思う そばにいるとおかしくなりそうなくらい欲しくなるのはあの人だけ だってほら声をきいただけでふるえる……  眉村真由(「恋愛パパラッチ」1巻p121より)

恋愛パパラッチ case4 沙也香
 秋田書店 COMIC MIU 2000年12月号
 「恋愛パパラッチ」1巻(秋田書店MIUコミックス)収録
佐山沙也香は、生まれながらにして異性をひきつけるフェロモンを分泌していた。さみしがりやの沙也香にはいつも男がいたが、ふたまたはしないようにしていた。沙也香に初めてできた友達の岬ミサの彼に、沙也香は夢中になってしまうが、あっけなくふられてしまう。
 なぜか、森太郎くんぽい少年が出てます。
「こわがってるから一生懸命になれて女の子はかわいいんだよ なんて」岬ミサ(「恋愛パパラッチ」1巻p163より)


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