高田祐子・作品紹介 その6(1990〜1992年)

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作品紹介 その6

 1990〜1992年に描かれた作品です。デビューしたフレンドから離れ、レディース雑誌に掲載が始まりました。
いつか きっと どこかで
 講談社別冊少女フレンド1990年6月号
 「ハート・ドレッシング」(講談社コミックスフレンド)収録
真壁加乃と一年下の緒方靖幸は、何も約束はしていなかったがいい感じの仲だった。しかし、加乃が高校に進学して離ればなれになってしまうと、二人の心はすれ違い始めた。
 けして自分から行動を起こしたことのなかった加乃が、初めて自分から歩きよるところがいいと思いました。
ふと 考えてしまう あたしはこの人を必要としているんだろうか この人の手を 心を なによりもたいせつにいとしく 思えるようになるのだろうか……  真壁加乃(「ハート・ドレッシング」p208より)

友だちのふり
 講談社別冊少女フレンド1990年6月号
 「肩に降る雪さえもあたたかく」(講談社コミックスフレンド)収録
今津和子と小川菜美は幼なじみの親友だと、周りの誰もが言う。でも、二人の性格はぜんぜんちがってて、菜美はいいかげんだし男の子をすぐふってしまう。転校してきた石崎健馬に菜美が声をかけているのが、和子は気になってしまう。
 けんかをたくさんしながらもいっしょにいる二人がいい関係ですね。かなり好きな作品です。
やだ…… 気づかなかったよ いつもあんたの毒舌のほーに気をとられてたけど ……ほんとーに そんな目をして笑ってたんだ――  (「肩に降る雪さえもあたたかく」p100より)

肩に降る雪さえもあたたかく
 講談社別冊少女フレンド1991年1月号
 「肩に降る雪さえもあたたかく」(講談社コミックスフレンド)収録
山口輝一の姉の真亜子はしっかり者で優等生。幼い頃の輝一は病気がちで、まあちゃんにいつも看病してもらっていた。まあちゃんの彼氏の丘村もいいやつで、二人は同じ高校を目指していたが、丘村は落ちてしまい、二人は別れてしまった。それからまあちゃんは彼氏をつくらない。
 まあちゃんを見つめる弟、輝一の視点から話が語られます。しっとりとした語り口がいいですね。
どうかあの人のこの先ずっと つらいことかなしいことがありませんように 肩に降る雪さえもあたたかでありますように――…… 恋は終わっても あたしの胸にはいつでもあたたかく 輝くものが残っています  山口真亜子(「肩に降る雪さえもあたたかく」p65-66より)

お知らせチャイムが聞こえない
 双葉社Ami Jour1991年4〜5月号
 「銀の棘」(双葉社JOUR・COMICS YOUNG)収録
モデルの山内里穂は理想の人を想い続け、少女小説家の多岐川なみは中一のときの同級生の神島郁くんのことが忘れられずにいた。ある日、なみは里穂を車でひいてしまい、後遺症の残る大けがをさせてしまう。死に瀕した二人は、天国への案内人に頼み、とりあえず二人を魂をいれかえて戻し、その間に二人の「運命の人」を調査してもらうことにする。
 「運命の人」というモチーフが高田祐子さんの作品の中にはいくつかでてくるものがありますが、それを中心的に使った代表的な作品です。
 神島郁くんがなんか好きです。
あたしあの手紙もらったとき すごくうれしかった ビックリしちゃって どうしようって動転してたけど あの気持ちは「うれしい」だった うれしくてはずかしくてどうしようもなくて…… あたしはその場所へゆくことができなかったんだ――   多岐川なみ(「銀の棘」p140より)

Rica・Rica グラフィティー
 講談社別冊フレDX ジュリエット1991年7月号
 「肩に降る雪さえもあたたかく」(講談社コミックスフレンド)収録
吉田理加は、いつも無愛想な顔をしているが、幼なじみのキヨ(住吉希世志)は笑ってばかりいる。理加はキヨのことが好きだが、自分が「どのくらい」キヨのことを好きなのか、キヨが「どのくらい」理加のことを好きなのかがわからない。
 以後、レディース系でかかれるような、「考え系」のお話です。「好き」について理加が考えます。
「好き」ってなんだ……? あたしはキヨにどうしてほしいんだ? ふたりきりんなって デートしたり抱きあったりキスしたり やさしさわかちあったりしたり……? あたしがキヨに求めてることって そんなんで満足しちゃえるもん?  吉田理加(「肩に降る雪さえもあたたかく」p147より)

神様のきめたこと
 講談社mimi Carnival1991年12月号
 「無限の中の一度」(講談社コミックスKiss)収録
陸は乃里子の姉の英里子の彼氏。陸は女にだらしないのでしょっちゅう英里子とけんかをして、そのあとで乃里子と英里子のごきげんをとるためのプレゼントの買い物に行くことが習慣になっていた。英里子と陸が結婚して、乃里子の義理の兄となっても、乃里子は陸への想いを捨てきれずにいた。
 表情のないヒロインがひたすら「どうしようもない」陸を想い続けます。
陸ちゃん…… 好きになって あきらめきれずがんばれるほど 好きになって 好きになって 好きになって 好きになって……  乃里子(「無限の中の一度」p129〜130より)

銀の棘
 双葉社Ami Jour1992年2月号
 「銀の棘」(双葉社JOUR・COMICS YOUNG)収録
片桐芯は、母親を亡くし、木藤家に引き取られた。芯とただ一人血のつながったいとこの透子は、芯をいじめるが、身体が弱く「お嬢さん」の透子には逆らわない方がいいと芯は心得ていた。芯と透子のつながりは深まっていくが――。
 芯と透子の二人だけの関係がうつくしくてはかなく、ひかれるものですね。ラストといい、とても好きな作品です。
そうだろ透子 おまえが針を向ける相手はおれだけなんだから おまえはおれを大切にしなきゃいけないんだ おまえがおれをふみにじるなら おれもおまえをふみにじる けしておまえを大切になんか思ってやらない  片桐芯(「銀の棘」p56より)

猫田くんのこと
 講談社別冊フレDX ジュリエット1992年3月号
 「肩に降る雪さえもあたたかく」(講談社コミックスフレンド)収録
猫田くんは智美の部屋のすみっこにいつもいる。お母さんが再婚した家になじめないらしい。智美と猫田君はただ部屋いるだけで、あまり言葉を交わしたりはしない。
 ちょっとかなしいお話です。猫田君、顔が氷見ぽいです。
「このセリフいってやろうか おれ このマンガ145ページ 左下の」猫田(「肩に降る雪さえもあたたかく」p175より)

きらきらの法則
 講談社mimi Carnival1992年4月号
 「無限の中の一度」(講談社コミックスKiss)収録
高校生の浜谷アズは、女っぽい自分の外見がいやでしかたがなく、さわやかな今日子ちゃんや春野くんに憧れていた。春野くんに告白されて、嫌われないように一所懸命にアズはふるまったが、うまくいかない。
 若い頃の自意識過剰でうまくいかない恋と、大人になってからの相手のことを考えた恋の対比が面白いですね。切ない感じもあり。
 松井君好き。
ほっといて そおっとしといたり ズケズケポンポンゆったり いちゃいちゃべたべたしたり うまくやってゆきたいって気持ちが タイミングを考え出す それでもときどきズレたりするけど 恋を育てているよーな気がしてそれも楽しい  浜谷アズ(「無限の中の一度」p200より)

ホームタウンへようこそ
 講談社mimi Carnival1992年7月号
 「耳の痛い話をしよう」(講談社コミックスKiss)収録
保は函館に生まれ育った。女ではあまりいい思い出がないが、それは小学生の時のかなしい思い出から始まっていた。
 まぶしくて言えないの須藤保くんの話です。
「あたしはタモちゃんが18年間生まれ育った土地が どんなところか知りたいだけよ」(「「耳の痛い話をしよう」p188より)

グリーン グリーン
 双葉社Ami Jour1992年8月号
 「深呼吸の必要」2巻(双葉社JOUR・COMICS YOUNG)収録
声子はほとんど家にいない音声技師の父と二人暮らし。声子は父や彼の海渡、海渡の妹の美雪といるとしあわせだが、どこかに不安を感じていた。
 高田祐子さんの作品の中で、一番好きな作品です。
 愛している気持ちを感じながら、どこかさみしい気持ちや不安を感じずにいられない声子。詩的になりそうなところと現実的なところがうまくバランスがとれていて、いいなあと思います。
 下のようなことが私にはたまにあります。なんなんでしょうね。
パパママ あたしはときどきわけもなくかなしくなる バイオリズムの関係かなんかかわからないけれど 涙腺のゆるむ時があって 空がきれいみえるってそれだけでも 泣けてくるし 思考がどんどんマイナスになっていってかってに最悪の事態を想像しては落ちこんでしまう  声子(「深呼吸の必要」2巻p196-197より)


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Last modified 2007.6.12.
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