高田祐子・作品紹介 その5(1986〜1989年)

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作品紹介 その5

 1986〜1989年に描かれた作品です。連載ができるようになってきて、作品の内容も少し変わってきました。
翼をください
 講談社別冊少女フレンド1986年2月号
 「星をあげようか!」(講談社コミックスフレンド)収録
門田晶子は、石向知重のことが小さいときから好きだったが、小学生のときにからかわれて、つい嫌いといってしまったことをずっと後悔していた。高校で知重に再会した晶子は――。
 下のシーンの二人のどきどきした感じがいいです。
「あたし好きな子にキライってゆっちゃった……!」トム子(「星をあげようか!」p122より)

メガロポリスゆきの方舟
 講談社別冊少女フレンド1986年4月号
 「星をあげようか!」(講談社コミックスフレンド)収録
モトとヒロミとヒロユキの三人は、おさななじみで昔からずっといっしょだった。美人の柘植先輩とバンドでいっしよになったモトが、柘植先輩とひかれあっていることにヒロミは気づいてしまう。
 紡木たくとか思い出しました。
「しあわせがどこにあるか知ってる? ……それを見つけだすのに必要な才能はだれにでもあると思うの 『人を好きになる才能』」柘植(「星をあげようか!」p158より)

イヴの夜間飛行
 講談社別冊少女フレンド1986年12月号
 「ほうらリセエンヌ!」(講談社コミックスフレンド)収録
川上リサは、友達の美伸と、美伸の彼の山本くんと、山本くんの友達の中畑くんと、四人で行動することが多い。美伸と山本くんが二人になるとリサと中畑くんが二人でいることが多くなるわけだけど、ある日、リサは中畑くんに告白されたが、いまいちぴんとこない。
 無表情なヒロインが、なにか虚ろな気持ちを抱えているところが、高田祐子さんらしいですね。
もしかしたら あたしは神さまをさがすのがへたなんじゃないかしら 神さまはどこかにかくれていて 勇気をだすことのできた人にだけ みつけることができるんじゃないのかしら   川上リサ(「ほうらリセエンヌ!」p202より)

篠原家御一同様へ
 講談社別冊少女フレンド1986年8〜10月号
 「篠原家御一同様へ」(講談社コミックスフレンド)収録
篠原家は母子家庭で、理世は男に免疫がないまま高校生になってしまった。死んだはずの父親が最近死んで、しかも遺された息子と暮らすことになってしまった理世はいったいどうなるのか。
 初の連載です。同居ものというよくあるネタですね。くらもちふさこさんの作品を思い出しました。
「『愛してる』『必要だ』『そばにいてほしい』 きっと人間は みんなこの順で ことばをほしがるんだと思うわけ すごいよね」篠原恭兵(「篠原家御一同様へ」p109より)

パパは離婚中―歩道が終わるところまで―
 講談社別冊少女フレンド1987年2月号
 「篠原家御一同様へ」(講談社コミックスフレンド)収録
篠原恭兵は、父との二人暮らし。父とは仲良く暮らしていたが、自分のせいで父が離婚したことを知ってしまう。
 「篠原家御一同様へ」の番外編です。高田祐子さんは、わりとこども時代を描くことが多いですが、この作品が初めてかな?
「もしかしたら…… おとうさんはあの家にもどりたいんじゃんないだろうか ぼくとふたりのこの家よりも むこうの家のむこうの人たちと暮らしたいんじゃないだろうか」篠原恭兵(「篠原家御一同様へ」p160より)

ほうらリセエンヌ!
 講談社別冊少女フレンド1987年5〜7月号
 「ほうらリセエンヌ!」(講談社コミックスフレンド)収録
村木夏江が入学試験で寝不足で倒れたところを、本山勝義という少年が保健室に運んでくれた。夏江が同じクラスになった本山勝義にお礼を言うと、本山くんは冷たく返した。夏江は幻滅するが、仕返しに副委員長に本山くんを推薦する。「委員長体質」の夏江をことあるごとに本山は馬鹿にするが、夏江はおせっかいがやめられない。
 少女マンガらしい明るい主人公と、冷たい男の子の話です。高田祐子さんが実体験したエピソードも入っています。
 よい意味での「自分本位」な台詞があちこちにあります。
「でもさあ…… 1度こわれたガラスはもとにもどんないよ かけらをあつめてはりあわせても それはまえとはちがうものだし その傷を美しいと思えないとつらい…って思うよ」村木夏江(「ほうらリセエンヌ!」p124より)

まぶしくて言えない
 講談社別冊少女フレンド1987年11〜12月号
 「まぶしくて言えない」(講談社コミックスフレンド)収録
館林久美は、函館で小学生まで育ったが、引っ越しすることになってしまった。そのことを言い出せずに、明るい須堂くんを見つめる久美。そして見つけるだけで引っ越ししてしまった久美は、後悔をのこしたまま、高校生になる。
 小学生時代の言い出せない久美が愛しくて、高校生になった久美にやさしいゆりちゃんがいいやつで、なかなか好きな話です。
 高田祐子さんの話にたまにでてくる、「人に何かしてもらえたら、他の人に返してあげればいいのよ」という考えがでているエピソードがあります。
 「ホームタウンへようこそ」では、須藤保くんの話が読めます。
「そいつがどんな理由で あんたの心に住みついたかはしらんけど 住みつくにはそれだけのなんかがあるんだろうし… そいつきっと いずれあんたになにかをもたらす存在だと思う それだいじにしてりゃいんじゃない?」苫依結里(「まぶしくて言えない」p68より)

Eクライシス
 講談社別冊少女フレンド1988年2〜1989年1月号
 「Eクライシス」1巻(講談社コミックスフレンド)収録
 「Eクライシス」2巻(講談社コミックスフレンド)収録
 「Eクライシス」3巻(講談社コミックスフレンド)収録
ドラマ「北の王国」に主演している井伊尚幸――Eは、天才子役からアイドルとなっていた。「北の王国」の脚本家品田修の姪、律子は失踪したEと同じ学校に転校するよう依頼される。Eはなぜ、芸能界から逃げ出すようにして去ったのか?
 初の長期連載です。
 芸能界とか、「天才」とか、受けるようなネタが入っていますが、律子というキャラクターが派手さにひかれない一風変わった子として描かれています。
「律子は心配いらないでしょう あの子はナオユキを傷つけることはしません もし傷つけることになって その傷口にクスリをぬることができる…… そういう子です」品田修(「Eクライシス」2巻p102より)

希望とびなさい
 講談社別冊少女フレンド1989年4月号
 「まぶしくて言えない」(講談社コミックスフレンド)収録
田村希望は、高校の合格発表の日、電話で恋人と話す男の人を見かけた。その人は高校の教師で、その後、彼女と別れてしまったらしい。
 無表情で感情を外に出すのが苦手な主人公の、淡々とした語り口での話、という高田祐子さんらしい作品です。
「先生は教師に向いてないと思います」田村希望(「まぶしくて言えない」p195より)

ハート・ドレッシング
 講談社別冊少女フレンド1989年7〜8月号
 「ハート・ドレッシング」(講談社コミックスフレンド)収録
柿崎里子は、小学生の時から毎日いとこの「みーちゃん」と学校に長い田舎道を通ってきた。しかし、中学に入って、みーちゃんがクラブに入ったため、里子は一人で通うことになってしまう。
 タイトルは、正しくは「・」がハートマークです。
 あたりまえのようにいとこでいる二人の関係がなんか好きです。
「ひとつおしえてあげようか きみたちはふつーのいとこどうしじゃない もっとトクベツないとこどうしなんだよ」栗田洋一(「ハート・ドレッシング」p84より)

ぼくたちの草原
 講談社別冊少女フレンド1989年11月号
 「ハート・ドレッシング」(講談社コミックスフレンド)収録
宮沢登美子は、子供のときから気が強く、かわいげのない女の子だった。学祭の委員としてばりばり働く登美子には、気になる男の子ができる。
 フレンド時代で一番好きな作品です。気の強い登美子が共感してしまいそうです。登美子がラストの方で、泣いていて気づくところとか、自分をかわいそうがるだけで終わらないところがいいなあと思います。
 波多野くん好きです(笑)。p158〜159のシーンがいいですね。
「きみが傷ついてどうしようもなく孤独を感じているとき…… ぼくに できることは見守ることだけです ぼくにはぼくの きみにはきみの草原があって…… ぼくたちはそれぞれに住んでいます きみが自分の草原で淋しくなったときは ぼくのことをおもいだしてください」波多野(「ハート・ドレッシング」p178より)


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Last modified 2007.6.12.
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