高田祐子・作品紹介 その7(1993〜1996年)

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作品紹介 その7

 1993〜1996年に描かれた作品です。すっかりフレンドから離れ、レディース雑誌で複数連載を抱えるようになりました。
無限の中の一度
 講談社mimi Carnival1993年1月号
 「無限の中の一度」(講談社コミックスKiss)収録
アヤコはぴんときたものに絶対従うことにしていた。「運命の人」以外は好きになれないし、「橋をつくる仕事」と決めたらそれに一直線だし。アヤコの「運命の人」は、高校の後輩の長嶋重和。無愛想でやる気なしな少年だけど、アヤコはシゲ坊しか眼中になかった。でもやっぱり、シゲ坊はアヤコの攻撃にまったく応えることなく、アヤコは高校を卒業してしまう。
 アヤコねえさんがんばれ!と言いたくなってしまいます。
「だからね あたしが『空は白』って あ 違う 逆にして! シゲ坊が『空は白』って言ってよ そしたらあたしは『雲は黒』って答えるからさ」アヤコ(「無限の中の一度」p70より)

誰がやさしさを教えてくれるのだろう?
 双葉社Ami Jour1993年6月号
 「深呼吸の必要」1巻(双葉社JOUR・COMICS YOUNG)収録
洋平は同じ陸上部のゆきえとつきあっていた。二人はうまくいっていたが、ゆきえが高校卒業後、東京のデザイン学校に入ってからぎくしゃくしてくる。
 若者のじぶんたちでここまで盛り上がれるか!という様が面白いです。
この時すっげー感情の波みたいなのがドーンとはげしくやってきたの 「ああおれってばこんなにゆきえのことが好きだったのねえ」ザッパーン!て 過去最高潮 はじめてえっちした時よりも胸が高鳴ったね ゼッタイ  洋平(「深呼吸の必要」1巻p43より)

僕は君だけのために生きてるわけじゃない
 講談社Monthly Kiss1993年10〜12月号
 「僕は君だけのために生きてるわけじゃない」(講談社コミックスKiss)収録
ラブホテル「夢城」の一人息子、夢城アカルは彼女の理麻子ともうまくやっていた。父親にマンガを書くことを反対されているマドコはいつも顔に傷をつくっていて、たまにホテルに来てはマンガをかいていく。アカルはマンガをかくマドコの気配を感じながら理麻子を抱くのが好きだった。マドコはとうとう家を出ることにする。
 下の台詞のように、全てを捨てることは難しいし、捨てる必要はないことがほとんどだと思います。
「さっきはカッコつけてたけどお ホントはさあ 待ってんのおれ マドコのこと―― なにもかも捨てろなんつーこと言えねーけどさあ おれだけのために生きろ なんてのも無茶だけどさあ マドコが好きだ いっしょに生きてえよ そーゆーのダメかあ? ねえー?」夢城アカル(「僕は君だけのために生きてるわけじゃない」p120より)

太陽はあたしの味方
 講談社mimi Carnival1994年2月号
 「僕は君だけのために生きてるわけじゃない」(講談社コミックスKiss)収録
梅丘朝日は、かつて「スイート・キッス」というデュオでアイドルデビューをしていたが、一曲のみでつぶれてしまっていた。大学に入った朝日は、自分の声が好きだという朝田陽一に出会う。陽一は「スイート・キッス」のデビュー曲が好きだということを知り、朝日は陽一から離れようとする。
 生きのいい朝日ちゃんがかわいいです。なんか好きな話です。
「なんなんだよこの世界っ コドモだと思ってなめんのもたいがいにせいっ ばっかやろーっ!!」(「僕は君だけのために生きてるわけじゃない」p140より)

岸辺の谺
 講談社Monthly Kiss1994年6月号
 「トテモ美シイ夏」(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
藤木野姿子は、死んだ兄の病室が見えるビルの屋上から自殺した。無口でまじめだった彼女にいったい何が起こったのか。
 暗い系の話です。姿子が魅力たっぷりにかかれています。
「ヘン? そうなの あたしおかしいんだ あんまりおかしくて 心のない人みたいになるの」藤木野姿子(「トテモ美シイ夏」p137より)

花束は贈らないで
 角川書店ヤングロゼ1995年6月号
 「絶対したい運命の結婚!」(秋田書店MIUコミックス LOVE SELECTION)収録
父の友人の息子である誠司と幼い頃から時を過ごしてきた花名子。花名子の両親が亡くなり、二人は自然に結婚を考えるが、既に社長となった誠司の父は、二人のつきあいに反対する。
 せいちゃんだけしか知らないで、ただ甘えてきた花名子が、一人でいて考えていくところが高田祐子さんらしいですね。
 ちょっと雰囲気がフレンドで少し前にやっていたものっぽいです。主人公が高校生だからかも。
今までせいちゃんだけがすてきなもので あたしは せいちゃんにかまってもらうことばかりに気持ちをつかってたけど あたしだってすてきなんだって   藤沢花名子(「絶対したい運命の結婚!」p39より)

上級恋愛
 角川書店ヤングロゼ1996年2月号
 「みんな愛について考えてる」3巻(角川書店ヤングロゼコミックス)収録
野原音々は、友達のマミコの彼の長塚一と、本屋で再会した。音々は何とも思っていなかったが、一は音々のことを好きになったからとマミコのことをふってしまう。今までたくさんの人とつきあったけど、本当は愛を信じられないできた音々は、一と出会うことで変われるのか?
 表情のないヒロインが、愛について考えます。
 中学生の頃、ライティングデスクがすっごく好きだったことを思い出しました。
「25の今だって ちっとも悪かねーよ 傷つけたり 傷つけられたり そーゆーの経験してから出会うってのは ワンランク上で恋ができるってことじゃねえ?」長塚一(「みんな愛について考えてる」3巻p159より)

トテモ美シイ夏
 集英社コーラススペシャル1996年Summer号
 「トテモ美シイ夏」(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
豊川真紀子は、両親が喧嘩ばかりしている家で兄と育った。どうしようもない時は自分のところに来るようマキコに言い残して家を出た。そしてその夏、マキコが兄の元に行くと、そこには純夏さんという女の人がいた。三人は幸せな一夏を過ごしたが、兄マサオは交通事故死してしまう。十年後、マキコは大学で兄ちゃんにそっくりな先輩、時和薬良に出会う。時和先輩の近所に純夏さんらしき人がいるときいたマキコは会いに行くが――。
 美しい夏がかなしくて、きれいですね。前向きな主人公がよいです。
 続編「トテモ愛オシイ秋」あり。
「あなたに会えて兄ちゃんは幸せでした 愛してくれてどうもありがとう 忘れないでいてくれてうれしかった ほんとうにあの夏はとても美しかったです …でもあなたには もっと…… 美しい夏が待っているはずです……」豊川真紀子(「トテモ美シイ夏」p43より)

恋愛のバカ。
 集英社コーラス1996年9〜11月号
 「恋愛のバカ。」(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
春野うららは、高校の時高塔くんにひとめぼれしてから、彼のことしか好きになれなかった。ふられても、卒業して就職しても。高塔くんと高校時代につきあっていた小谷川舞に再会し、高塔くんが結婚したと聞いたときは思わず泣いてしまった。そんなうららに、同僚の愛田信次郎と恋田真実が言い寄ってくる。キレたうららは、二股宣言をしてしまう。
 明るい後輩のルルちゃんかけっこー好きです。ラストのばかな二人がこれも好き(笑)。
愛されないのはみじめだ…… 自分がイヤで死にたくなる 愛されるのはしあわせ…… 自分が宝物になったような気がする ……けどね ふと思うの 愛田さんのこの手が高塔くんの手だったらどうだろう……って あたしってヒドイ? 超バカ女?  春野うらら(「恋愛のバカ。」p86-87より)

トテモ愛オシイ秋
 集英社コーラススペシャル1996年Autumn号
 「トテモ美シイ夏」(集英社ヤングユーコミックスコーラスシリーズ)収録
豊川真紀子は、18の夏に死んだ兄が大好きだった。しかし今、マキコは兄ちゃんにそっくりな時和先輩とともに、19の秋を迎えようとしている。
 時和先輩と兄ちゃんをごちゃにしないで、ちゃんと別の人と認識して、かつ、意味を持たせるところが高田祐子さんらしくて、よいですね。
 ラストの数ページがとても好きです。
兄ちゃんの人生は18の夏で終わった あたしは18の夏を過ぎて 19の秋を迎えようとしてる あたしの人生はまだつづく どこへ? どんなふうに? あまい期待とすこしの不安 どうやって歩いていこう?  豊川真紀子(「トテモ美シイ夏」p73より)

フツーのHAPPYじゃものたりない
 角川書店ヤングロゼ1996年10月号
 「恋愛パパラッチ」2巻(秋田書店MIUコミックス)収録
続木幸(ハッピー)は、漫画家志望のヒナヒナと一緒に上京した。ヒナヒナはいろいろたいへんそうだけど、デビューできたし連載もできるようになった。ハッピーはバイト先でぴんときたアラタ君とななかいい感じ。このままハッピーになれるかな、と思っていたのだが。
 珍しく、あんましなんも考えてない主人公だけど、ちゃんと人の気持ちを考えてあげられる子なので、よしよし、とゆー感じです。明るく楽しめる作品でした。
もっとハッピーになれるかもしれないし なれないかもしれないけど このものたりなさを好きになろう…と なんとなくそのとき思ったりした  続木幸(「恋愛パパラッチ」2巻p177より)


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