「十二国記」用語集 第二版 た行
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「十二国記」にでてきた、用語を解説してみました。人名は、キャラクター紹介の方を参照して下さい。
本編に載っている解説しか書いてありません。あしからず。
間違えているところ、こんなんじゃないーという文句、追加などがあったら、お気軽にこちらまでお知らせ下さい。
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「十二国記」用語集 第二版 た行
た
ち
つ
て
と
た
- 大緯<だいい>
- 街を東西に貫く大通り。
里では、里祠と里家の前にある、里を東西に貫く広い途のこと。
中大緯などがある。
- 胎果<たいか>
- 卵果が孵る前に蝕に飲み込まれ、別の世界(蓬莱・崑崙)に流されてしまう。卵果は女の腹にたどり着き、父母によく似た肉の殻をかぶせられ、母親から生まれる。十二国の世界に戻れば、姿は元に戻る。
- 大化<たいか>
- 雁国延王尚隆の時代の国歴の一。即位後二十一年まで。次の国歴は白雉。
- 大学<だいがく>
- 少学の次の学校。国府付属のものが一国に一つだけ。学生は百人程度。出れば上級官になれる。入学は難しく、選挙に合格する上に、少学の学頭か大人物の推挙が必要。
大学生は人格も問われ、犯罪を犯せば除籍。
→官吏
- 大裘<だいきゅう>
- 王の第一礼装。
玄(黒)の袞(ころも)に玄の冠、薄赤色の裳、朱の膝掛けと赤いくつ。章は最高位を示す十二、袞には豪奢な龍の刺繍。(慶国景王赤子即位)
- 戴極国<たいきょくこく>
- 戴国の別称。四極国の一。
- 大経<だいけい>
- 街を南北に貫く大通り。
里では、里祠から南の里閭(里の門)をまっすぐに通っている、里を南北に貫く広い途のこと。
- 大経緯<だいけいい>
- 大経と大緯の二つをまとめた呼称。街を東西南北に走る大きな途のこと。
- 大元<たいげん>
- 雁国延王尚隆の時代の国歴の一。前の国歴は白雉。即位後百年以上経った頃改元された。
- 大公<たいこう>
- 王の夫。
- 太綱<たいこう>
- 天が王に与えた、このようにして国を治めよというきまり。天綱、施与綱ともいう。
天下は仁道をもって治めよ、民を虐げてはならない、戦乱は控えよ、税を重くし、きまりを厳しくしてはいけない。民を犠牲にしるな、売買するな、公地を多くするな、道をおさめ、徳を重ねよ。万民の安康をもって国家の幸福とせよ。という内容。
地綱はこれに違反することができない。
→天帝
- 大綱地の巻<たいこうちのまき>
- 巻物。井田法が載っている。
- 大綱天の巻<たいこうてんのまき>
- 巻物。天子(王)と宰輔の心得が書いてある。
- 大綱の一<たいこうのいち>
- 一に曰く、天下はこれ金勘定をもって治むべし。
- 戴国<たいこく>
- 十二国の一。戴極国ともいう。北東の島国。国都は鴻基。国氏は泰(以前は代だった)。国歴は弘始、和元など。
瑞州、承州、垂州、馬州がある。
冬の夜外に出ると鼻の中が凍り、昼までも鼻を擦っていないと凍傷になると言われるほど寒冷。気候が悪く、作物の実りは良くない。玉泉・金泉・銀泉は無数にある。
血の気が多い者が多いことで有名。
- 大宰<たいさい>
- 天官の長。位は卿伯。
古くは冢宰を兼任していた。
- 泰山<たいざん>
- 蓬山の古称。泰王をはばかり、名を変えた。
- 太子<たいし>
- 王の息子。
- 太師<たいし>
- 三公の一。
- 大師<だいし>
- 王宮の音楽士の長。
- 大司寇<だいしこう>
- 秋官の長。位は卿伯。
- 戴史乍書<たいしさくしょ>
- 戴国泰王驍宗の時代の歴史書と思われる。
- 大司徒<だいしと>
- 地官の長。下は小司徒。位は卿伯。
- 大司馬<だいしば>
- 夏官の長。軍を管理する。位は卿伯。
武官というよりは文官。
- 太守<たいしゅ>
- 郡を治める長。
- 大真廟<たいしんびょう>
- 王夫人をまつった廟。
蓬山では王夫人の木像をふき清めるには海桐泉の水が用いられる。
- 大翠<たいすい>
- 保翠院の首長。
- 大宗伯<だいそうはく>
- 春官の長。位は卿伯。
- 大刀<だいとう>
- 武器の一。槍の先に穂先の代わりに幅広い肉厚の曲刀がついている。重さは百斤(六十キログラムか?)近い。
振り下ろされれば、その重さで相手の骨が砕ける。横に払えば遠心力で冑をくぼませて打ち払う。そのまま後ろに突き出せばいしづきで背後の者を突く。
- 太傅<たいふ>
- 三公の一。
- 大夫<だいぶ>
- 位の一。卿の下、士の上。上中下がある。
司寇は大夫。遂人は中大夫。朝士、郷長は下大夫。
- 台輔<たいほ>
- 宰輔の敬称。
- 太保<たいほ>
- 三公の一。
- 大僕<だいぼく>
- 王の身辺を実際に警護する小臣(護衛)の長。
射人が王警護の長。夏官司馬の中で最も王に近い。
- 拓峰<たくほう>
- 慶国和州止水郷の郷都。
合水を越えれば瑛州北韋郷。国都堯天まで五日。豊鶴へ西に馬車で一日、三騅で半日。
拓峰の乱が起こった。(慶国景王赤子即位後二年)
- 拓丘<たっきゅう>
- 巧国淳州の符楊郡廬江郷の郷城がある。河西まで街道沿いに東へ三日。
堅牢な城郭に囲まれている。門前や城壁にまで店があふれている。
海客の松山誠三が働いていた。(慶国景王赤子即位前)
- 団茶<だんちゃ>
- 茶の葉を蒸し、臼でついて団子にしたもの。削って、他の香味食品とともに煮出しした汁を飲む。削った茶はおいておくとまずくなる。
慶国の白端の茶が有名。
- 丹桂宮<たんけいきゅう>
- 蓬廬宮の宮の一。蓬廬宮で最も大きく、外に最も近い宮で、王は天勅を頂くために吉日をここで待つのがしきたり。
ち
- 地官<ちかん>
- 六官の一。長は大司徒。土地戸籍を司る官。税金を徴収して国庫を束ね、直轄地を治め、治水を行い、地誌を編纂する。
小司徒、遂人、田猟などがある。
- 地綱<ちこう>
- 王の発布した法令のこと。州侯はこれに従う法令しか作ることはできない。大綱を犯して定めることはできない。
普通、法令は王自身がつくるものではなく、官が提案し、関係する諸官が相談し、三公六官の賛同を受けると王の裁可を受け、発布されるものである。王自身が作った法令は、勅令と呼ばれる。
税制はこれに入る。他国の法に通じるのが優秀な官吏の条件。
→刑法
- 馳車<ちしゃ>
- 街道を走る、旅客を運ぶ専用の二頭立てから四頭立ての専門の業者の馬車。おおむね貴人が使うもの。客車をひく。
雁国では馳車しかなく誰にでも乗れ、その値段は破格に安いが馬車ほどではない。
- 地仙<ちせん>
- 国政のために王から仙籍をたまわった官吏の仙のこと。仕事を辞める場合は仙籍を返上する。
- 雉門<ちもん>
- 国都の凌雲山のふもとにある。中門ともいう。国府の奥にある。
- 地門<ちもん>
- 乾に、本来なら辰門と巳門があるべき場所にある門。令乾門につうじている。
門の横には犬狼真君をまつった祠廟がある。門を抜けると、削り取られたように迫る峰と峰の間の峡谷に、金剛山を貫く広い道(六百歩)がある。登りなのだが、地の底に向かっていくかのような錯覚が起こる。風はない。
春分にしか開かない。
- 中岳<ちゅうがく>
- 崇高の別名。
- 中山<ちゅうざん>
- 崇高の別名。
- 中日<ちゅうじつ>
- 春分、秋分のことと思われる。
→安闔日
- 長閑宮<ちょうかんきゅう>
- 才国の王宮。揖寧山の頂上にある。
- 中門<ちゅうもん>
- 雉門の別名。
- 中門<ちゅうもん>
- 高岫にある、国と国の境の門のこと。
- 朝議<ちょうぎ>
- 毎日ある午前中の会議。天地春夏秋冬の各官府が六日間順番に行い、七日目に六官三公が集まり、七日で一巡する。
武器を帯びてよいのは王とその護衛官だけ。
→大僕
- 冢宰<ちょうさい>
- 六官をとりまとめる。位は侯。
古くは大宰が冢宰を兼ねていたが、近来は別に冢宰を立てるのが慣例になっている。
- 朝士<ちょうし>
- 秋官に属する。警務法務を司る官。諸官の行状を監督する。位は下大夫。
州侯をも処罰でき、それを王に奏上できる唯一の官。朝議には参加しない。
- 冢堂<ちょうどう>
- 墓地にある、黄色い屋根の祠廟。家族の迎えが来るまでの遺体を安置しておくための場所。
祠廟らしい構えはなく、多くは扉もない殺風景な建物。死者をまつる祭壇があり、裏手には家族に引き取られ埋葬されるのを待つ使者を置く部屋があるだけ。
→冢墓
- 冢墓<ちょうぼ>
- 墓。
塚に白く塗られた梓の木が刺されている。冢堂が側にある。
普通、死人は家族によってひきとられて自宅に埋葬され、墓地に葬られるのは客死した者や浮民、家族がない者など。埋葬されて七年たっても迎えのない死者は、冢堂で墓士(はかもり)に棺ごと骨を砕かれ、骨は府第の宗廟におさめられる。
- 長袍<ちょうほう>
- 位のない人の間で、身丈や袖丈や長い袍の呼称。
- 長明殿<ちょうめいでん>
- 内宮にある、王や州侯の家族の住む建物。
- 閭胥<ちょうろう>
- 里を運営する者の一人。の里その最長老で、里宰の相談役、里家の世話役、小学の教師もかねる。
ふつうその里の者が就く。
- 勅令<ちょくれい>
- 王自らが法令を作り、宣下する法のこと。地綱は三公六官の承認がいる。
勅令は少ないほどいい。国の初めと終わりに多いと言われている。
→初勅
つ
- 槌天盤<ついてんばん>
- 妖魔に出会ったときに、視線を合わせるのを避ける方法の一。叩歯の一種。
- 敵楼<つめしょ>
- 壁の歩墻の要所にある、小さな石造りの建物。壁の内外に突出して石壁に転射を、歩墻の左右に対しては厚い壁を築いて、重い壁を設けてある。
ここから壁の内外を見張り敵へ向かっての射撃を行い、あるいは扉を閉ざして歩墻を分断する。
て
- 貞州<ていしゅう>
- 雁国の州の一。
艮海門に接している。
- 覿面の罪<てきめんのつみ>
- 他国侵略の罪。麒麟と王は数日の内に死ぬ大罪。
- 鉄槍<てっそう>
- 武器の一。全てが鋼でできているのものは、三百斤近い。
- 天官<てんかん>
- 六官の一。長は大宰。宮中の諸事、衣食住を司る。
掌舎、司裘などがある。
- 転化<てんげ>
- 姿を変えること。転化する妖魔は妖力甚大。
- 天啓<てんけい>
- 麒麟が神の意を受け、王を選ぶこと。
- 天犬<てんけん>
- 妖魔の一。赤いからだの巨大な狼。青い翼と黒いくちばし、黄色い尾がある。紅蓮の舌。疾風の速度で天を駆ける。
- 天綱<てんこう>
- 太綱の別称。
- てん壕車<てんごうしゃ>
- 前に楯をたてた車で、背後に土嚢を積みんで兵が隠れる。
巨大なものは、雲橋という。てん壕車をいくつも馬で引いて鉤で連ねたものを叢雲橋という。
- 転射<てんしゃ>
- 敵楼にある、弩をとりつける窓。
- 典章殿<てんしょうでん>
- 王宮の内宮の後宮にある。
- 天井<てんせい>
- 地下にある家の庭が、縦穴のように続いている、地下にある家の明かりとり。
柳国では、おおどおりの真ん中に厩のような屋根のない建物が細長くつづいている。雨が少ない場所に作られる。
- 天仙<てんせん>
- 仙の一。飛仙のようなものらしい。生まれは人。人と交わってはならないことになっている?
犬狼真君など。
- 天勅<てんちょく>
- 蓬山の西王母の廟で行われる。
蓬廬宮の雲悌宮にゆくと、普段は現れない透明な階段があり、上に一羽の烏に似た鳥が待っている。長い透明な階段を一段登るごとに、足下から頭頂までを電流のように一気に貫き、一つの思念――天帝の業と意思を刻み込む。登り切るとそこは雲海の上の小さな島で、正面の石段の上に壮麗な廟がある。進香をすませ、王が誓いの言葉を述べると、玄武が現れて、雲海の上を城まで送ってくれる。このときの航跡が、一条の瑞雲として地上からは見える。
- 天帝<てんてい>
- 神の一。崇山または玉京に住んでいると言われている。世界を創り、万事を定めた。子宝を願う対象。
大昔、天帝は九州四夷、併せて十三州を滅ぼし、五人の神と十二の人とを残してすべてを卵に返した。中央に五山を作り、西王母を主にすえ、五山を取り巻く一州を黄海と変じ、五人の神を竜王として五海の王に封じた。天帝は、十二の人にそれぞれ木の枝を手渡した。枝には三つの桃の実がなり、一匹の蛇がまきついていた。この蛇がほどけて空を持ち上げた。実は落ちて土地と国と玉座を作った。枝は変じて筆となった。蛇が大綱を、土地は地籍と戸籍を、国は法と律を、玉座は仁道すなわち麒麟を、筆は歴史を意味する。
→太綱
- 天馬<てんば>
- 妖獣の一種。
背に翼のある大きいからだの犬。白い体で頭は黒。短めの翼。つややかな毛並みは見かけより硬い。どこか柔らかな印象。気性はおとなしい。
- 天伯<てんはく>
- 令乾門を守る霊獣。奇妙な姿の妖魔とも妖獣ともつかない生き物。
身体は龍で、大きな翼がついている。うなるような声。人形に転化することができる。人形では老爺の姿で、手足に黒い鋼のいましめをつけている。令乾門を開ける。令乾門の高楼にいると言われている。
- 転変<てんぺん>
- 麒麟が人形から獣の形になること。その妖力が尋常でないことの証。
- 天命<てんめい>
- 天帝の意思。天帝は麒麟を通してその意思を伝え、麒麟が王を選定する。
- 田猟<でんりょう>
- 地官に属する。人民を管理し、納税のための台帳を整備する官。
と
- 党<とう>
- 県の一段階下。族の一段階上。
- 榻<とう>
- 寝台と椅子を兼ねる長椅子。
- 登霞<とうか>
- 高貴な人が死ぬこと。王や麒麟の死の際に用いられる。
- 東郭<とうかく>
- 慶国和州の明郭の東、卯門の外にある、荷を蓄えて旅人を泊める大きな街のこと。
- 冬官<とうかん>
- 六官の一。造作を司る官。官許の商人(架戟)に冬器を卸す。
- 冬器<とうき>
- 特殊な呪を施した武器で、冬官府でしか作ることはできない。普通なら傷つけることのできない妖魔や仙を傷つけることができる。甲冑もらくらく突き通す。
街では架戟で売っている。
- 登極<とうきょく>
- 王が即位すること。
即位式には里祠に旛旗が揚げられる。
- 饕餮<とうてつ>
- 妖魔の一。普段は大きな赤い犬で淀んだ血のかたまりのような二つの目。その姿は千変万化するほど強い力を持つ。
非常識な力とほとんどその姿を見られることがないために、伝説の一部だと信じられている。
- 洞府<どうふ>
- 王に任命された飛仙が、隠せいしている場所のことではないかと思われる。
翠微洞、芥沾洞など。
- 常世<とこよ>
- 日本の伝説にある国。海上遥か彼方には幻の国がある、そこは選ばれた者だけが訪ねることができる至福の国、豊穣の約束された土地、富は泉のように湧き、老いも死もなく、どんな苦しみも存在しない。
十二国のこと。
- 途城<とじょう>
- 黄海に面した街にある、妖魔が現れたときに逃げ込むための施設のこと。
広途(おおどおり)が交わっているところにある、道幅いっぱいの石造りのがらんどうな建物。四方に大きな鉄の扉がある。
- 図南の翼を張る<となんのよくをはる>
- 大事業を企てること。鳥は鵬のこと。
ここから、鵬翼に乗るという言葉ができた。
- 遁甲術<とんこうじゅつ>
- 地脈、水脈、 風脈などの気脈に乗って隠形したままどこまでもかけること。使令や麒麟ができる。
たとえ麒麟と離れていても、麒麟の気配を頼りに行って戻ってくることができる。
――出典
「東の海神 西の滄海」
「図南の翼」
「風の海 迷宮の岸(上)(下)」
「月の影 影の海(上)(下)」
「風の万里 黎明の空(上)(下)」
以上、小野不由美作 講談社X文庫ホワイトハート
「漂舶」
小野不由美原作 講談社X文庫CDブック「東の海神 西の滄海」付録
「帰山」
小野不由美作 「麒麟都市 麒麟都市・3開催記念刊行本」発行・麒麟都市
――参考文献
「大辞林」松村明編 三省堂
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