「十二国記」用語集 第二版 か行
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「十二国記」にでてきた、用語を解説してみました。人名は、キャラクター紹介の方を参照して下さい。
本編に載っている解説しか書いてありません。あしからず。
間違えているところ、こんなんじゃないーという文句、追加などがあったら、お気軽にこちらまでお知らせ下さい。
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
「十二国記」用語集 第二版 か行
か
き
く
け
こ
か
- 火<か>
- 五行の第二。季節では夏、方位では南、色では赤、五星では火星、十干では丙・丁に当てる。
- 海客<かいきゃく>
- 蝕にまきこまれて、虚海から来た倭国の人間のこと。たいがいは死体となって流れ着く。言葉は通じない。普通は浮民扱いだが、優遇する国もある。
崑崙から金剛山に流れ着いたものは、山客と呼ぶ。その扱いは、海客と同じだと思われる。
慶国……十二国で最も海客が多い。戸籍はくれるが、差別はある。
勅令により、海客差別が法律上は撤廃された。(慶国拓峰の乱後)
雁国……十二国で二番目に海客が多い。技術等(紙、陶磁器、印刷技術、医術、仏教など)を伝えるので優遇する。
住所、氏名、郵便番号と市外局番を答えれば三年間保証の身分証明書をくれ、その間は公共の学校や病院は無料、一定額の生活費ももらえる。
巧国……十二国で三番目に海客が多い。三年に一人ぐらい。
県正に届けられ、良い海客か悪い海客かを分けられる。良い海客(知識や技術をもたらす)ならば後見人がついて暮らせるが、悪い海客(凶事の前触れ)ならば幽閉あるいは死刑。
奏国……技術等を伝えるので優遇する。
漣国……技術等を伝えるので優遇する。
- 外宮<がいぐう>
- 燕朝にある、国政の場。
本来官吏は内殿より奥に立ち入ることはできない。
- 改元<かいげん>
- 国歴が変わること。
- 界身<かいしん>
- 銀行のこと。
座に参加している界身どうしでは、烙款によってお互いの口座から金銭や為替を引き出すことができる。
- 芥沾洞<かいせんどう>
- 臥山にある洞府。
主は慶国景王赤子の先々代の母親。
- 懐達<かいたつ>
- 慶国の言葉。三百年以上の治世を行った王である男性の達王が懐かしい、達王のような長命の王を、そして賢い治世を望むという意味。女王よりは王がよいという含んだ意味もある。
- 外殿<がいでん>
- 王宮の政庁のこと。基本的に朝議の間。外宮のはじにあり、ここから先が内宮。
本来王は外殿から外へはでない。
- 街道<かいどう>
- 大都市を結ぶ道。交わるところは街が栄える。
馳車、馬車が走っている。
- 海桐宮<かいどうぐう>
- 蓬廬宮の宮の一。海桐泉に近いことから名が付いた。
- 海桐泉<かいどうせん>
- 蓬廬宮にある、奇岩の根本をえぐるようにして湧いた泉。張り出した岩棚の上には海桐花(とべら)の木が群生している。
水には海桐花の芳香が移り、その桶からも海桐花の匂いがする。この水が、蓬廬宮の中にある大真廟の王夫人の木像を拭き清めるのに使われる。近くに海桐宮がある。
- 亥門<がいもん>
- 十二門の一。北北西にある門のこと。
- 華岳<かがく>
- 華山の別称。
- 夏官<かかん>
- 六官の一。軍事・王の身辺警護を司る官。長は大司馬。
司右府がある。王の身辺警護の長は射人で、実際の警護の長は大僕。
→軍
- 家禽<かきん>
- 家畜のこと。六種類ある。
雁国のみでは、これに妖魔が加わっている。
→乗騎家禽の令
- 霍山<かくざん>
- 五山の南の山。南岳、南山とも呼ぶ。
- 学塾<がくじゅく>
- 上の学校に行くために補習を行う、識者が開く塾のこと。
少塾など。
- 学頭<がくとう>
- 校長のこと。
上の学校に進学するには、基本的に学頭の推薦が必要となる。
- 郭壁<かくへき>
- 街の外壁のこと。
街を大きくしていくと、その名残として街中に郭壁が残ることがある。
→州都
- 郭落<かくらく>
- 巧国淳州にある。河西くらいの大きさ。
楽俊と陽子が初めて訪れた街。(慶国景王赤子即位前)
- 架戟<かげき>
- 冬官府から卸してきた冬器を許可されて売っている店。
甲兵(防具と武器)や妖魔妖獣をいましめる綱や鎖もここでしか売っていない。目印として入り口に官許の札と戟(ほこ)をかけておく。めったな客には売らない。大量の武器を売ることにも慎重。
ごく普通の武器屋は戚幟。
- 河西<かさい>
- 巧国淳州符楊郡廬江郷にある。
五曽へは西へ歩いて三日。拓丘へは街道沿いに西へ三日。
川のほとりにあり、高く堅牢な隔壁に囲まれている。この近辺では、郷城の拓丘の次に大きい。ガラスが入ってる窓もある。
- 章<かざり>
- 位を表す。王は十二、州師将軍は七(卿)。
- 華山<かざん>
- 五山の西の山。華岳、西岳、西山とも呼ぶ。
西王母が住んでいると伝えられている。
- 臥山<がざん>
- 慶国にあると思われる。
芥沾洞がある。
- 家生<かせい>
- 金持ちの家に住み込みで働く下男下女のこと。給金をもらうのではなく、家族として家公に養われる。最低限の衣食住が保証される代わりに、地位は低い。雇われる代わりに、割旌する。
家生の子も家生となる。服は、年に二度家公が布を与えてくれるぐらい。新年には家公が、祝い金をふるまう。
- 禾倉<かそう>
- 穀物倉庫。
- 学校<がっこう>
- 小学から大学まで。数え年(正月が来るごと一つ年をとる)の七つ、満五才から小学に通うことになっているが、何歳までとは決められていない。下の学校から上の学校に行くには、学頭の推薦が必要で、更に試験も必要なところもある。
小学(里に一つ)→序学(族に一つ?)→庠序?(党に一つ?)→庠学(郷に一つ)→上庠(郡に一つ)→少学(州に一つ)→大学(国に一つ)となっているが、序学と庠学の順序が逆、また、読み方も一致していないことがある。
- 割旌<かっせい>
- 旌券を割ること。浮民になることを意味する。
強制されてすることがある。
- 褐狙<かっそ>
- 妖魔の一。虎のように大きな、赤い毛並を持った狼の顔。黒い目。
- 禾坪<かへい>
- 穀物などを加工する場所だと思われる。
- 鹿北<かほく>
- 巧国淳州の安陽県にある。
楽俊の家がある。
- 神<かみ>
- 天帝、尭帝、禹帝、黄帝、西王母など。王も神の一。
人と神は交わらず、人はただ祠廟に祈るしかない。
虚海を越えることができる。妖魔や獣の意を悟れる。話し言葉には困らない。年をとることがないし病もない。殺すには、首をはねるか胴を両断するしかない。多少の怪我は治癒する。冬器でなければ傷つけることもできない。
- 壕<からぼり>
- 府第の周りにある水のない堀?門橋がわたしてある。
- 呀嶺<がりょう>
- 戴国の地名。
戴国泰王驍宗の出身地。
- 漢<かん>
- 中国のこと。崑崙ともいう。
- かん<かん>
- 豊かな家で使う暖房のこと。暖炉の暖気を床下に通して房間(部屋)自体を暖める。
- 関弓<かんきゅう>
- 雁国の国都。靖州にある。関弓山の頂上には玄英宮がある。
- 甘蕈<かんきん>
- 琶山の断崖に生える潅木に付着する苔のような茸。翠微の峰の中でも最も険しい場所にある。
- 閑地<かんち>
- 街の周りにある、建物も畑もない土地のこと。荒涼と刈り込まれた草地や瓦礫が撒かれた荒れ地など。
火災などが街に被害を広げないためにある。街の北には墓地がある。
- 間諜<かんちょう>
- スパイのこと。
- 環途<かんと>
- 街の隔壁の内側の道のこと。
- 巌頭<がんとう>
- 雁国と慶国の境にある街。雁国側の街と慶国側の街、両方の名前。雁国と慶国の高岫はここ一つしかない。
高岫山の山頂より慶国側。
- 官府<かんふ>
- 役所、行政のことと思われる。
→府第
- 頑朴<がんぼく>
- 元州の州都。
漉水がとりまくように蛇行して流れている。漉水をはさんで新易がある。
- 官吏<かんり>
- 公務員のこと。
少学を出た者はほとんど官吏となり、大学を出たとなれば上級官になれる。
国官、州侯、州侯の側近は地仙。
小役人の給料は銀貨一枚。位袍を着用する?
官吏同士は婚姻すると同じ土地にいなければならないので、昇進が制限されるため、婚姻しないものも多い。
き
- 気<き>
- 生気と死気がある。生気はやがて死気に転じ、死気は生気に転じる。
午前は生気、午後は死気。鼻から吸うのが生気、口から吐くのが死気。息を吐くときはできるだけそっと吐く。
- 騎<き>
- 馬、牛、妖獣。雁国のみでは、これに妖魔が加わっている。
- き<き>
- 長さの単位。一きは一足の歩幅のことで、67.5cm。二きで一歩。
- 偽王<ぎおう>
- 麒麟の選定なしに王と名乗った者のこと。
- 起居<ききょ>
- 一明二暗のうちの、開放的な一部屋のこと。居間。
- 喜州<きしゅう>
- 巧国の州の一。国都傲霜がある。
- 紀州<きしゅう>
- 慶国の州の一。
- 騎獣<きじゅう>
- 飼い慣らされた妖獣のこと。おおむね高価。騎商から買う。
誰にでも乗せる騎獣を作るには、数十年単位で人に馴らさなければならなく、馴らされた騎獣は能力が本来よりも萎えている。買った妖獣は主人を侮るが、本当に主になれた騎獣は、主が言い含めれば言うことを聴く。騎獣を盗むことは大罪だが、高価なために盗人は絶えない。
騎乗しても、ほとんど襲撃や風を感じない。騎獣を持つと馬には乗る気がなくなってしまうと言われている。空行する時に騎乗するには、馬形の方が都合がいいので、種類が限られている。
すう虞、赤虎、鹿蜀、吉量、天馬、駮、孟極、三騅、褐狙など。
- 義塾<ぎじゅく>
- 知識ではなく道を教える塾のこと。様々な人間が集まり、必ずしも官吏を生み出すわけではない。国が道を誤れば、侠客を生み出すことが多い。
- 騎商<きしょう>
- 騎獣を扱う特殊な商人のこと。朱氏が捕らえた妖獣を調教し、騎獣に仕立てる危険な仕事。
売るときには香毬を渡す。
- 義倉<ぎそう>
- 凶作に備えて穀物をためておく倉のこと。
- 吉量<きつりょう>
- 妖獣の一種。空行できる騎獣になる。
白い縞のある赤いたてがみの馬。美しい金の目。二日で一国をかける。
- 衣笠山<きぬがさやま>
- 日本にある山。
六太が捨てられた。
- 黄備<きび>
- 軍の人数。七千五百。
州師の一軍が常備する。
- 客庁<きゃくちょう>
- 里家にある、里家の人々や里を訪ねてくる客人のための建物。
- 窮奇<きゅうき>
- 妖魔の一。翼を持つ虎。丸太のような太い脚。太い首。鋼の爪と牙などが、全身凶器のよう。
- 給田<きゅうでん>
- 成人すると、戸籍があるものは、国から一夫の土地と里の家(二人の人間が充分食べていけるぐらいの田と畑と家)をもらって自立する。納税の義務も同時に課せられる。
この土地と家を売り、街に土地や店を買ったり、農地を買って小作人に耕作させたりする人もいる。他の場所の土地は高価。
戸籍のある土地に土地が余っていない場合は、どこにふりわけられるかはわからない。
→許配
- 侠客<きょうかく>
- 現在の統治を憂え、正そうとする活動をしている人々のこと。
- 恭国<きょうこく>
- 十二国の一。恭州国ともいう。北西の国。国都は連檣。国氏は供。国歴は普白など。
東に黒海がある。乾燥している。林業が盛ん。芳国との間のMa href=#kyokai>虚海を乾海と呼ぶこともある。
芳国との間は船でほぼ三昼夜。
緯州がある。
- 恭史相書<きょうしそうしょ>
- 恭国供王珠晶の時代の歴史書と思われる。
- 恭州国<きょうしゅうこく>
- 恭国の別称。四州国の一。
- 尭帝<ぎょうてい>
- 神の一。豊作を願う。
- 堯天<ぎょうてん>
- 慶国の国都。瑛州にある。街の西にある堯天山の頂上には、金波宮がある。
階段状の街。
- 虚海<きょかい>
- 世界の果てまである。十二国の東にあり、蓬莱と十二国の世界を隔てる海。底には竜宮があると言い伝えられている。
虚海を自分の意思で渡ることができるのは、神仙と妖魔、卵果だけ。
水自体は恐ろしく澄んでいるが、限りなく黒に近い紺色に見える。深いところには、砂粒ほどに見える光が点々と、または集まってともっていて星のように見える。水の中で光はゆるやかに回転している。この光は、深海に住む巨大な妖魔の魚のもの。嵐の時や国が荒れなければ水面には浮かんでこない。
→蝕
- 玉璽<ぎょくじ>
- 王にしか使えない呪力を持つ宝重の印章。金でできている。王が斃れると、彫られた印影を失ってしまい、新王の登極まで元には戻らない。
玉璽と王の署名(御名御璽)がなくては、高官に下す制令は意味を持たない。王がいないときは、白雉の足が代用となる。
- 玉泉<ぎょくせん>
- 宝玉を産出する泉。種になる玉を沈めておくと種が育って巨大な結晶になる。
戴国にたくさんある。
- 御史<ぎょし>
- 内史府の中級官。
- 玉京<ぎょっけい>
- 天帝が住んでいるといわれている場所。
- 玉膏<ぎょっこう>
- 五山で産出する石で、呪によって醸すると霊酒になる。
- 許配<きょはい>
- 結婚相手を紹介するしくみのこと。
条件にそって結婚相手を捜し、割り当てられる土地を動かしてもらうと、離婚する。
→給田
- 御名御璽<ぎょめいぎょじ>
- 玉璽の印と王の署名のこと。これがないと、高官に下す制令は意味を持たない。
王がいない時は、白雉の足が代用となる。
- 麒麟<きりん>
- 本性は人ではなく、妖力甚大の神獣。天意の器。天啓をうけ、天意にそって王を選んだ後、宰輔となって王に仕える。
蓬山の蓬廬宮にある捨身木に実り、十ヶ月たつと女怪にもがれ、女仙に守られて蓬廬宮で育つ。麒麟は獣形で生まれ、五年はそのままで角はまだない。言葉もしゃべれず意図も理解できない。生まれながらに宙を駆け、女怪だけを従えて五山を駆け、妖魔を集めて遊ぶ。五年ほどで人形を取るようになり、額に角の先端が現れると乳離れをして完全な人形を取る。
麒麟が乳離れすると、王の選定にはいり、生国の里祠に麒麟旗があげられる。この後、たいてい一年ほどで王を選ぶ。麒麟が死ぬと、次の王が立つまで五年から十年はかかり、二十年かかることもある。
王のいない麒麟の寿命は三十年前後、蓬莱に流された麒麟は十年前後。普通、十代半ばから二十代の半ばで成獣となる。成獣となれば老いることはない。小さい頃に成長が止まった方が、妖としての能力は高い。
孤高不恭。麒麟より偉いのは自国の王と神(西王母と天帝)だけ。王以外には決して従わず、ひざまづかない。王命には何でも従うが、王の命が危険な場合は別。主人を自分の意で選ぶことはできないし、主人を見捨てることもできない。
臣下の中では唯一公爵位を持つ。朝臣の筆頭。国都のある州の州侯。午前は王とともに朝議に出るが、午後は州侯としての政務を行う。首都州は大部分が国官の封領として与えられ、麒麟の直轄地は黄領と呼ばれる。
常には人の形をしているが、意思の力で獣の形をとることができる。これを転変という。転変するときは、ガラスのように姿がゆらいで溶け、溶けたかたまりが鮮やかな金色になりあちこちが引かれたように伸び、ちょうど服を裏返すように内側から反転する。
獣形は馬よりもきゃしゃな印象で鹿に似ている。黄色の背に模様があり、角度によって色を変える体毛が複雑に入り交じっているよう。顔は馬ほど長くなく、鹿に似ている。額には枝分かれした角がある。白よりは金味のかかった真珠色の角は一本だけで、鹿よりも短い。しなやかに曲がった首にたてがみがかかっている。馬のような蹄。尾は長くたくさんあり、つけねが細い。獣形でも声は変わらない。
人間形のときの髪のようなものはたてがみで、普通は金色。金色の髪はこの世界には他にいない。また、たてがみは染料を受け付けない。たてがみは伸びるのが止まるまで伸ばすのが普通。 黒麒麟、赤麒麟、白麒麟もいる。
麒麟の姿の一角(人形のときの額の上の方の一点)が、妖力の源だと思われる。角は鋭敏すぎて何かが触れれば苦痛さえ感じ、角に触れられるのを非常に嫌う。
性向は仁であり、非常に慈愛深い。正義と慈悲でしかものをいわない。争いを厭い、温和で世の理を知る。血の臭気に酔う。怨詛(うらみ)の気にも弱い。血の匂いをかいだだけで熱が出たり体調を崩す。油で揚げたものでも体に悪い。王が道を誤り民意に背くと、病気になる。これを失道という。
自分の身を守るために、男の妖魔を使令として従えることができる。麒麟が死ぬと、使令はその身体を食べる。麒麟はおいしいらしい。殺すには首をはねるか胴を両断するしかない。多少の怪我なら治癒する。
親代わりは女怪。女怪の乳を飲んで育つと、傷にも血の汚れにも強い。
牡は麒、牝は麟で、国氏を頭につけて号とする。神籍に入っている。
王気を感じることができる。麒麟には麒麟の気配が金の光のように見える。仙骨があるので、体重は軽い。黄海の中でも宙を駆け、風に乗るとどんな鳥よりも速く行ける。遁甲術がつかえる麒麟もいる。
他国の王や麒麟とはあまり深く関わらないのが普通。
- 麒麟旗<きりんき>
- 麒麟が乳離れすると、里祠に揚げられる。麒麟が王の選定に入ったという意味。黄旗とも呼ぶ。
- 跪礼<きれい>
- ひざまづいて行う礼。
- 技楼<ぎろう>
- 女郎宿。鮮やかな緑から青の色の装飾が目印。柱や梁、窓枠が緑に塗られている。
- 斤<きん>
- 重さの単位。六百グラム前後か?
- 禁苑<きんえん>
- 王の所有物。苑、離宮、陵墓、下賜した土地など。
霄山など。
- 銀貨<ぎんか>
- 一枚で五両。小役人の一月の給料。
- 禁軍<きんぐん>
- 王直属の軍で、王の私物。旗印は龍旗と紫の軍旗。左右中の三軍があり、首都州の三軍をあわせて、王師という。
通常は、各軍に黒備の専業の兵卒がいる。空行師は三軍に三卒。
将軍は卿で、王に直接対面ができ、朝議にも参加して政治の一端を担うことができる。
- きんげん<きんげん>
- 妖魔の一。鶏大の鳥。動きが速い。尾が鋭利な小刀の形をしていて、毒をもっている。
- 謹厳実直<きんげんじっちょく>
- 朱衡の唯一の取り柄。(嘘)
- 金泉<きんせん>
- 金を産出する泉。種になる金を沈めておくと種が育って巨大な結晶になる。戴国にたくさんある。
- 銀泉<ぎんせん>
- 銀を産出する泉。種になる銀を沈めておくと種が育って巨大な結晶になる。戴国にたくさんある。
- 金波宮<きんぱきゅう>
- 慶国の王宮。瑛州堯天山の頂上にある。
層になっている峰の斜面の断崖に、中空に張り出すようにして建つ楼閣。
- 均賦<きんふ>
- 土木工事のための税。
- 禁門<きんもん>
- 雲海の上の王宮に直接出入りできるただ一つの門。巨大な一枚岩を平らに削って、断崖には張り出した小さな体育館ほどの岩場に騎獣が下りられるようになっている。山の中腹にあり、階段を上ると燕寝に出る。
本来は王と宰輔しか通行できない。
く
- 空行<くうぎょう>
- 妖魔、妖獣が空を飛ぶこと。
車をひくことはできないので、乗るときは必ず背に騎乗しなくてはならない。
- 空行師<くうぎょうし>
- 騎獣を使って空を飛ぶことのできる、軍の部隊。空行している兵には弓矢しか対抗手段はなく、空行騎兵一兵は騎兵二十数騎にあたるといわれている。
禁軍には三卒。州師には空行兵の数は少ない。
- 九字呪言<くじじゅごん>
- 剣印を腰に構え、抜刀してまっすぐ五回横に四回縦に格子じまを描くように交互に動かし、同時に「臨兵闘者皆陳烈前行」と唱え、最後にその真ん中をぽんと剣印で祓う。
- 位<くらい>
- 王、公、侯、伯(伯と卿伯)、卿、大夫(上中下)、士(上中下)の七つ(十二位)。
国府での伯はたいてい卿伯で、伯は飛仙にしかいない。冢宰と州侯は侯。麒麟は、王に従うただ一人の公。
公―侯間を一位と数え、侯―中大夫間は四位。
礼節の目安であってそれ以上ではない。
- 車裂<くるまざき>
- 両手を杭にくくりつけ、両足を二台の牛車につないで、身体を裂く、最も残虐な刑罰。
芳国峯王仲韃の時代に行われていた。
→刑法
- 裙<くん>
- 女の衣服。紐でくくる巻きスカート。
→襦裙
- 郡<ぐん>
- 州の一段階下。太守が統治する。四郷。五万戸(行政区分上のことで、実際に住んでいるという意味ではない)。
- 軍<ぐん>
- 一軍は五師五旅五卒四両五伍で編成されている。一軍の人数を黒備、白備、黄備、青備で表す。
騎兵は歩兵八人に相当し、空行騎兵一兵は騎兵二十数騎にあたるといわれている。
出世するにはよっぽど腕が立つか、少学か大学をでていなければならない。
- 郡城<ぐんじょう>
- 郡の府第のこと、または郡都の別称。
普通、門は十二門ある。
- 郡都<ぐんと>
- 郡城ともいう。郡の府第がある街のこと。
け
- 卿<けい>
- 位の一。伯の下、大夫の上。
禁軍将軍など。
- 慶国<けいこく>
- 十二国の一。慶東国ともいう。東の国。国都は堯天。国氏は景。国歴は予青、赤楽など。青海の東岸。
気候の穏やかないい国。海客が多い。北部は山地が多く、良い耕作地が少ない。気候も夏に乾いて秋の初めに長雨が降ることが多いので収穫は天候次第で、他に見るべき産業もない。
瑛州、紀州、征州、建州、麦州、和州がある。
海客・半獣に対する差別の法律がなくなった。(慶国拓峰の乱後)
冬の暖房は火鉢が主。破璃の入った窓がある家はごくわずかで、板戸のついた窓の内側に紙を貼って光を入れ、風が入るのを防ぐ。衾褥(ふとん)の中身は藁がほとんどで、毛皮は手に入らない。(慶国拓峰の乱前)
- 慶史赤書<けいしせきしょ>
- 慶国景王赤子(陽子)の時代の歴史書と思われる。
- 景州<けいしゅう>
- 雁国の州の一。
白郡がある。
- 恵州<けいしゅう>
- 芳国の州の一。東岸にある。州師の旗は真紅の地に星辰と二頭の虎。
坂県がある。
- 軽佻浮薄<けいちょうふはく>
- 雁国延王尚隆のこと。
- 慶東国<けいとうこく>
- 慶国の別称。四大国の一。
- 卿伯<けいはく>
- 位の一。伯の下、大夫の上。伯のうち、伯と卿伯がある。
六官など。
- 刑法<けいほう>
- 国の法令によって決まる。死刑のない国はない。
柳国は法治国家で、芳国峯王仲韃の法は厳しいことで有名。
殺刑(死刑)は車裂、磔刑(はりつけ)、梟首、斬首(首切り)などだが、ふつうは斬首、よほど重い刑でも梟首。ほかに鞭刑(鞭打ち)、笞杖(百たたき)、杖刑(つえで)、徒刑(懲役)などがある。
窃盗ならば笞杖が普通、柳国では杖刑百打に徒刑九十日。
- 契約<けいやく>
- 王と麒麟が天啓の折に交わす誓約のこと。
天啓が下ると麒麟は王の前に平伏し、「御前を離れず、勅命に背かず、忠誠を誓うと誓約する」と誓う。王が「許す」と言うと、麒麟は王の足の甲に額(角)を当てる。
すると王は神となる。この時、王は身体の中を何かが駆ける感触がし、立ちくらみのようなものを体験する。
- 下官<げかん>
- 府官とも書く。国官が己のために雇い入れた人。
- 外朝<げちょう>
- 王宮のある山の中腹にある、下級官の官宅(じたく)と府邸(仕事場)のこと。
上には内朝、下には国府がある。
- 奚<げじょ>
- 王宮で働く下僕で、仙籍には入っていない。
- 乾<けん>
- 恭国緯州乾県の県城。南東に令乾門がある。金剛山に続く峰に寄り添うようにして広がっている。
街道からも外れた乾県の最奥で、乾より先には黄海しかない。物見遊山に来る街でも通り抜ける街ではない。春分には黄海に出る者でごったがえす。
建物は全て石造りで、院子(中庭)には屋根がついている。瓦に青い銅板が張ってあるものも多い。窓は小さく、多くは鉄の格子が入っていて、開口部も小さい。店はどれも門や扉を持っている。扉には必ず鉄板が縦横に貼られている。
妖魔が来たら逃げ込むために、広途(おおどおり)が交わっているところには途城、隔壁や城壁にも出っ張りがある。
辰門と巳門がなく、その場所には令乾門に通じる地門がある。
連檣までは徒歩と船で二月近く。
→安闔日
- 県<けん>
- 郷の一段階下。長は県正。二千五百戸。党の一段階上。
- 剣印<けんいん>
- 九字呪言を使うときにする、手の組み方。
右手の人差し指と中指を立てて握る。
- 玄英宮<げんえいきゅう>
- 雁国の王宮。靖州関弓山の頂上ににある。
中央に険しい山を配した島のような地形で、白い断崖に塔や楼閣などの無数の建物が配されている。水墨画を見るような奇岩が続き、岩肌には樹木が枝を張り出し、細い滝が幾つも見える。山を取り込んだような巨大な城。
- 乾海<けんかい>
- 恭国と芳国の間の虚海のこと。
- 乾海門<けんかいもん>
- 恭国にあり、白海と黒海を分けている海のこと。令乾門につながる。
- 乾県<けんけん>
- 恭国緯州の県の一。飛び地。県城は乾。
北乾がある。
- 言語<げんご>
- 十二国世界の言語は、中国語系統の言葉だが、中国語は通じない。文書は漢文の白文に似ていて、日本や中国にない漢字もあるが、ほとんど似ているので、漢文が何とか通じるかという程度。
ただし、妖と神仙は意思を通じることができるので、何語でも理解できる。
- 建州<けんしゅう>
- 慶国の州の一。和州の北西。
- 元州<げんしゅう>
- 雁国の州の一。黒海の沿岸、西にある。州都は頑朴。
平野部が多く、肥沃。漉水が流れている。
新易、北囲、碧霄がある。
- 県城<けんじょう>
- 県の府第。または、府第がある街。府第を県府ともいう。
普通、門は十二門ある。四門がある。
- 県正<けんせい>
- 県の長。
- 県府<けんふ>
- 県の府第。県城ともいう。
県府以上には蔽獄(裁判所)がある。
- 玄武<げんぶ>
- 神獣。小島ほどもある亀。岩のような首。甲羅は岩の手触りのする無数の突起で蓬山のよう。首にも甲羅にも湿り気一つない。中央に小さな宮があり、一泊に必要な用意がしてある。
天勅の後、蓬山から国へ王と麒麟を雲海の上から送る。この時の軌跡が、地上からは瑞雲として見える。
- 玄武門<げんぶもん>
- 子門の別称。北にある。
- 懸門<けんもん>
- 門扉が門道に刻まれた溝に埋まっていて、滑車によって上下して開閉するしくみの門。
- 犬狼真君<けんろうしんくん>
- 黄海の守護神。鼓のよろいをつけ、妖魔に与えるための玉をつけた披巾(ひれ)のような細い帯を身にまとっている。柔和な顔。
令乾門では、黄海へ行く者は、乾の地門の脇の祠廟の桃の枝で水を己と騎獣にかけ、桶の脇の石壁の護符を借り、生きて戻れば返す。旅人はできるだけ古い護符を選ぶ。
玉京の天帝、諸神に嘆願して里木の枝を十二得、黄朱の民に与えた。
こ
- 袴<こ>
- 男性のはくズボンのこと。
貧しいものがはく、丈の短いものを半袴という。身分の高いものの袴は幅広。
膝袴、褌などがある。
→袍衫
- 鼓<こ>
- 妖魔の皮で作った皮甲(よろい)。
- 伍<ご>
- 五兵。
- 公<こう>
- 位の一。王の下、侯の上。
王に仕えるものでは、麒麟だけが公。
- 侯<こう>
- 位の一。公の下、伯の上。
冢宰、州侯が持つ。
- 郷<ごう>
- 郡の一段階下。長は郷長。五県。一万二千五百戸。
- 号<ごう>
- 名ではなく、その位などに対する呼び名だと思われる。
- 黄医<こうい>
- 麒麟の主治医。
- 黄海<こうかい>
- 世界の中央にある、四方を四つの内海に囲まれ、金剛山に囲まれている水のない海。中央には五山がある。底には竜宮があるといわれている。神に見捨てられた場所で、犬狼真君が守護している。入るには、一年に一度の安闔日に四令門から入るしか方法はない。
廬もなければ里もない、舎館もなければ道もない人外の地。果てのない砂漠と樹海、一面の沼地と岩山がある。妖魔が出るだけでなく、流砂や瘴気のある沼、落石の多い山など、無数の危険がある。
空路の方が、陸路より格段に危険。昇山する者が築いてきた痕跡が、岩山や樹海、沼や川に残り、細いながらも四令門から蓬山への道になっている。
野木はなく、普通の鳥や獣はいない。
- 鴻基<こうき>
- 戴国の国都。瑞州にある。鴻基山の頂上には白圭宮がある。
- 黄旗<こうき>
- 麒麟旗の別称。
- 後宮<こうきゅう>
- 王宮の内宮にある。
典章殿がある。
- 香毬<こうきゅう>
- 中に香を入れて焚き、帯に付けるための小さな丸い飾り。
騎商は、妖獣を手懐けるときに香を強く焚いておく。他人に売り渡すときにその香を入れて焚き、売り渡されても妖獣は香の匂いに惹かれて気にしない。徐々に香の量を減らし、主人の匂いを覚えさせる。
- 巧国<こうこく>
- 十二国の一。巧州国ともいう。南東の国。国都は喜州傲霜。国氏は塙。
海客や半獣の扱いが厳しい。公主と太子がいる。
喜州、寧州、淳州がある。
- 恒山<こうざん>
- 五山の北の山。北岳、北山とも呼ぶ。
驍宗たちがすう虞狩りをした。
- 叩歯<こうし>
- 妖魔に出会ったときに、視線を合わせるのを避ける方法。
右歯を噛み合わせるものを槌天盤という。
- 交祀<こうし>
- 王が行う重要な冬至の祭礼。王が自ら郊外へ行き、天をまつって国家の鎮護を願う。
- 弘始<こうし>
- 戴国泰王驍宗の時代の国歴。前の国歴は和元。
- 講史<こうし>
- 朱旌の芸の一つ。講談。偉人の話などをするらしい。
- 剛氏<ごうし>
- 黄朱の一。昇山の者を黄海を案内することを職業とする者のこと。
仕事がないときは、昇山の道沿いに騎獣を狩る。
鵬翼に乗るということばがある。
- 公主<こうしゅ>
- 王の娘。
- 黄朱<こうしゅ>
- 浮民の一。朱民の別名。別名を黄民という。
浮民の親が子供を黄朱に売り飛ばして、子どもは黄朱になる。黄朱となった子どもは割旌させられる。また、黄朱の里で生まれる子どももいる。
生き延びる可能性が高い方が生きる、が信念。亡骸が閑地に葬られても、必ず別の黄朱が黄朱の里に朱旌を持って返ってくれる。
気持ちの上では黄海の民であり、古くは旌券を黄色くぬっていたが、今は禁止されたか自粛しているかで行われていない。
朱民を筆頭とし、剛氏、朱旌などがいる。
- 光州<こうしゅう>
- 雁国の州の一。靖州の北西に位置する大きな州。南部は元州と靖州に挟まれている。
- 交州<こうしゅう>
- 奏国の州の一。
- 高岫<こうしゅう>
- 各国の国境のこと。国境の街はおおむね大きい。中門で国と国が隔てられている。
- 高岫山<こうしゅうざん>
- 各国の国境にまたがる山脈のこと。どの国との境にも必ずある。抜け道はところによって一つから三つまでしかない。
- 巧州国<こうしゅうこく>
- 巧国の別称。四州国の一。
- 黄朱の里<こうしゅのり>
- 黄朱が力を合わせて築いたまち。
黄海深くの森の奥の、小さな白い二こぶのはげ山の麓にある。
犬狼真君によって、里木を与えられた。この里木は、黄朱でない者が触れると枯れてしまう。
- 郷城<ごうじょう>
- 郷の府第。または、郷都の別称。
郷などの府第が城壁の中にあり、郷長の官邸もある。
普通、門は十二門ある。四門がある。
- 攻城器<こうじょうき>
- 城攻めをするためのもの。巨大で、戦場に材木があればその場で作る。よほどのものでなければ、車輪があれば半日もかからずに作ることができる。
- 合水<ごうすい>
- 瑛州北韋郷と和州止水郷の州境の峡谷。
馬車を降り、吊り橋を渡る。
- 傲霜<ごうそう>
- 巧国の国都。喜州にある。傲霜山の頂上には翠篁宮がある。
山の東にあるので、黄昏が長い。
- 公地<こうち>
- 成人になると、その国に戸籍のあるものが配布される土地。田圃、田圃の側の里の家、廬の家をもらえる。廬の家はたいていは売り払ってしまい、冬には家を借りて廬に住む。
許可をもらって開墾した土地は自地という。
- 郷長<ごうちょう>
- 郷の長。位は下大夫。
- 黄帝<こうてい>
- 神の一。妖魔を逃れることを願う。
- 郷都<ごうと>
- 郷城ともいう。郷の府第(郷城)がある街のこと。
- 叩頭礼<こうとうれい>
- ひざまづき、床に頭をつく礼のこと。
麒麟は自国の王以外のものに叩頭礼をすることがない。
- 黄備<こうび>
- 軍の人数。七千五百。
- 口賦<こうふ>
- 人頭税。
- 黄民<こうみん>
- 黄朱の別名。黄海の民の意。
- 荒民<こうみん>
- 荒れた国で家を無くし、他の土地へ行った難民のこと。浮民となることもある。
荒民は上の学校へ行けず、官吏になれない国が多い。
- 皋門<こうもん>
- 王宮のある凌雲山のふもとにある。王宮、国府への入り口。市民は自由に出入り可能。
- ごうゆ<ごうゆ>
- 妖魔の一。猪に似ている。空行可。
- 高里<こうり>
- 蓬山にある山。死者の魂魄が返るといわれている。
- 蒿里<こうり>
- 死者の住む山の名。
人は死ぬと、天に罪の決済を受け、悪行善行に応じて神々の世界で官位を得るといわれている。
- 黄領<こうりょう>
- 首都州の内の、麒麟の直轄地のこと。
- 五行<ごぎょう>
- 五行思想とは、古代中国の考え方で、万物を構成するのは木・火・土・金・水であるというもの。
五行相生とは、木・火・土・金・水の順で前者が後者を生み出すことで循環するという考え。
- 黒亥県<こくいけん>
- 慶国の瑛州北東部北韋郷の県の一。堯天の西。
固継がある。
予王即位時は呀峰に治められていたが、数年後黄領となった。
- 国氏<こくし>
- 在位中の王や麒麟の呼称に用いられる。国の名と同じ音で違う漢字。
戴国は泰(以前は代)、雁国は延、慶国は景、巧国は塙、奏国は宗、才国は采(以前は斎というときもあった)、漣国は廉、恭国は供、芳国は峯、柳国は劉。
- 国都<こくと>
- 首都のこと。国都の名を冠した凌雲山の頂上に王宮がある。
普通、門は十一門ある。
雁国靖州関弓、慶国瑛州堯天、戴国瑞州鴻基、巧国喜州傲霜、柳国芝草、恭国緯州連檣、才国揖寧、奏国隆洽、芳国蒲蘇など。
- 黒備<こくび>
- 軍の人数。一万二千五百。
禁軍と首都州の州師一軍が常備する。
- 国府<こくふ>
- 国都の凌雲山のふもとにある。
皋門から雉門までは、市民が自由に入ってこれる。
- 国歴<こくれき>
- 国ごとに違う、年に付ける呼び名。王が死ぬと必ず変えられる。一人の王が二つ以上の国歴を使うこともある。十二国共通の歴は存在しない。
変わることを改元という。
芳国の永和、雁国の大化、白雉、大元、戴国の弘始、和元、慶国の予青、赤楽、恭国の普白など。
- 固継<こけい>
- 慶国瑛州北韋郷黒亥県にある。北韋郷東端の郷都。河を越えれば和州拓峰(馬車で半日)。
現在は街の部分を北韋、里の部分を固継と言う。固継は北韋の北東に付属するようにある。
遠甫や蘭玉が住んでいた。
- 呉剛の門<ごごうのもん>
- 月の呪力を使って、異界(蓬莱)とこの世界をつなぐ。
海の浮かぶ月の影にある。入るときは光の中にたたきつけられることもなく、水の感触も音も風もない。冴え冴えとした光のトンネルを通り抜けると、薄い布で身体をなでたような感触があって、異界の海の月の影へ出る。
二つの世界をつなぐ方法は、触・呉剛の門、廉麟の持つ白銀の二つ尾の蛇の腕輪など。
陽子はこの方法を使って十二国世界へ来た。
- 五山<ござん>
- 黄海の中央の、五つの峻峰が複雑に入り組んでいるところのこと。崇高(中央)、蓬山(東)、華山(西)、恒山(北)、霍山(南)の五つの山。
西王母に連なる神仙の庭。女神・女仙の土地。
どれも天を突くほど高い。ふもとに何があるというわけではなく、緑と岩と水が複雑怪奇な地形を作りながら連なっていて、風が常に吹いている。不可思議な力に守られている。
人が住んでいるのは蓬山の蓬廬宮だけ。
- 五十歩百歩<ごじゅっぽひゃっぽ>
- 似たようでも五十歩の差は確実にあるという意味。
- 戸籍<こせき>
- 戸籍に基づいて、人々は給田を受けることができ、税をとられる。戸籍がなければ国による保護は与えられない。
戸籍上の名前は姓名。婚姻は戸籍が同じ国にあるもの同士でしかできない。婚姻すると、戸籍をどちらかのもとに統一するが、本姓は一生変わらない。子どもは統一した側の姓を受け継ぐ。
王、麒麟、朱民、浮民、一部の海客、山客、半獣は戸籍がない。
- 五曽<ごそ>
- 巧国淳州符楊郡廬江郷にある。慶国まで十日。配浪までは街道沿いに東へ歩いて五日。河西までは東に歩いて三日。
達姐の家がある。
- 蠱雕<こちょう>
- 妖魔の一。人を食べるどう猛な鳥。
両翼の先が五メートルはありそうな茶色の翼。胸毛に斑紋がある。茶色の羽毛におおわれた脚には、斧のように重量感がある太く鋭い鉤爪。毒々しい色合いの曲がった嘴(くちばし)。角がある。
興奮した猫のような奇声。はばたくと、いやな臭気がする風がおこる。
- 黒海<こっかい>
- 黄海の北の内海。陰鬱な色。雁国に面している。
- 国官<こっかん>
- 国に雇われて働く公務員のこと。すべて地仙。
国官に給料はなく、首都州に与えられた封領の税から国の取り分を除いたものが給金の代わりとなる。
- 呉渡<ごと>
- 慶国北部東岸中部にある港。和州の東の端にある。巧国との高岫から順風車で四泊。
慶国にあるほとんど唯一の虚海側の港。ここから入る、南から運ばれる米と塩、舜国からの薬泉の水、北からの毛織物と小麦が北部の民の生活を支えている。
接岸できる設備はなく、沖合いの弧を描いている尖った岩の内側に停泊し、崖のふもとの浮き桟橋へのはしけをつたい、崖を掘って作ったつづら折りの石段を上り、崖の上に出る。
鈴が初めて踏んだ慶国の地。戴国へ行き、荒民を連れて帰る武装船が出ていた。(慶国景王赤子即位後二年)
- 梧桐宮<ごどうきゅう>
- 王宮の宮の一。鳳と凰のつがいが住んでいる。
白雉が住んでいるという説もある。
- 午門<ごもん>
- 十二門の一。南にある門で、正門または朱雀門ともいう。
- 午寮<ごりょう>
- 巧国淳州にある街。
楽俊が蠱雕に襲われた。
- 艮<ごん>
- 雁国靖州の艮県の県城。
艮海門に接し、人門の外に令艮門がある。
- 婚姻<こんいん>
- 里木に子を願うためには、婚姻をしていなければならない。子どもがいらない場合は野合ですませる。
婚姻すると夫婦は一つの戸籍に統一するため、同じ里に移動し、別れてもそこの里のまま。
違う国のものと結婚する場合は、まず同じ国に戸籍を取らなければならない。これは太綱に決められている。
婚姻しても本人達の姓は変わらないが、統合された戸籍の姓を子どもは受け継ぐ。
よい条件の土地に動くために結婚相手を紹介する許配という仕事がある。頻繁に離縁してまた結婚する者が多い。子連れの再婚は歓迎される。
官吏同士は婚姻すると同じ土地にいなければならないので、昇進が制限される。
- 坤海門<こんかいもん>
- 才国にあり、白海と赤海を分けている海のこと。令坤門につながる。
- 艮海門<ごんかいもん>
- 雁国にあり、黒海と青海を分けている海のこと。
貞州から、艮県の令艮門につながる。
- 金剛山<こんごうざん>
- 世界の中央、黄海を丸く閉じ、雲海を貫く峻峰が連なる。四金剛山とも言う。
垂直に近い断崖が連なり巨大な山脈になっていて、いかなる生物も上を超えることはできない。越えることのできる道はただ四つ、四令門だけ。
どこかに崑崙という丘があるという言い伝えがある。
- 艮県<ごんけん>
- 雁国靖州の県の一。跳び地。
黄海につながる令艮門がある。
- 崑崙<こんろん>
- 中国(漢)のこと。世界のかげに位置していると伝えられている。人には行くことものぞき見ることもできないが、神仙ならば可能。ただし、王や麒麟が世界を渡ると、触が起こる。蝕によってふたつの世界をつなぐことができる。
家は金銀玉でできていて、国は豊かで農民でも王侯のような暮らしをし、人は皆宙を駆けて一日に千里でも走る。赤ん坊でも妖魔を倒す不思議な力を持っていて、妖魔や神仙が神通力を持つのは異界で泉の水を飲むからだと言う伝説がある。
――出典
「東の海神 西の滄海」
「図南の翼」
「風の海 迷宮の岸(上)(下)」
「月の影 影の海(上)(下)」
「風の万里 黎明の空(上)(下)」
以上、小野不由美作 講談社X文庫ホワイトハート
「漂舶」
小野不由美作 講談社X文庫CDブック「東の海神 西の滄海」付録
「帰山」
小野不由美作 「麒麟都市 麒麟都市・3開催記念刊行本」発行・麒麟都市
――参考文献
「大辞林」松村明編 三省堂
別冊ぱふ「活字倶楽部Special 4」雑草社
「悪霊はひとりぼっち」小野不由美作 講談社X文庫ティーンズハート
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