望月花梨・作品紹介(1992〜1995)

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作品紹介(1992〜1995)

1992年(平成四年)

2人の距離
 花とゆめ8号掲載
 「欲望バス」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
恋愛は、必ずしも一番というわけではない
渡辺亜沙子は、同じクラスになった渡辺衣沙子が大嫌い。彼女は要領がいいし、気に入っている佐川君に近づくし、しぐさもしゃべり方もなにもかもがむかつく。
 デビュー前の受賞作で、雑誌に初掲載された作品だそうです。
 変わったテーマで書く人だなあ。細かいエピソードがよくできてると思います。
「オッケーオッケーちょっとまっ……」亜沙子(「欲望バス」p107より)

境界
 花とゆめ21号掲載
 「コナコナチョウチョウ」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
小学生もものを考える
小学生のゆーかは、クリスマスの夜から、親友のやよいとフユキくんのことが気になる。
 デビュー作。
 こう書くと、まるで「友達の彼が気になるの」みたいですが、ゆーかちゃんは、もちろんやよいちゃんの方が好きで、でもそれだけではなく、この時代の複雑な感情がかかれています。
 私は小学生の時、大人になりたいと思ったことはありませんでした。あなたは小学生の時は、どんなことを考えて生きていましたか?
「だからきっと子供になってみても大人になってみても許されると思うの とっても便利な年頃だと思わない?」やよい(「コナコナチョウチョウ」p50より)

サクラチル
 花とゆめPLANET増刊11月1日号掲載
 「コナコナチョウチョウ」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
心は思いどおりにはいかないことへの、怖さとかなしさ
誠は、心中の生き残りの花森さんにひかれていく。花森さんも、変な行動は続いていても、誠に心を開きはじめてきた。
 桜と想いの魔力がきれいにかかれています。
「…ちがうよ そんな大義名分いらない… 『分』までじやないもん 自分のために…」花森(「コナコナチョウチョウ」p77より)


1993年(平成五年)
金魚午睡
 花とゆめ9号掲載
 「コナコナチョウチョウ」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
記憶をなくすことのかなしさと、憶えていたいと思う気持ち
トンネルに閉じこめられたナミとキヨ。二人ともさみしくて、「悪いこと」をしてさみしさを訴えかけていた。
 この年代の望月花梨の作品にあった、詩的な雰囲気があります。
「……平気だよ 金魚は馬鹿だから壁にぶつかっても5秒で忘れちゃうんだ だから広い池の中にいようが 狭い水槽の中にいようが きっと同じなんだ……」キヨ(「コナコナチョウチョウ」p110より)

人形
 花とゆめ11号掲載
 「欲望バス」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
また、会えるよね?
まなみは、家庭科の教材の人形をもらった。この人形には十五歳の少年の魂がついていて、動くはしゃべるわ、態度はでかいわ。
 ホラーじゃないです(笑)。これ以前の中では、一番明るい話じゃないだろうか。
 切ない印象のラストが好きです。
あの塩化ビニールでできてる 何度も私の首を絞めた冷たい手……(「欲望バス」p147より)

泥沼ノ子供タチ
 別冊花とゆめ6月号掲載
 「コナコナチョウチョウ」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
人と人のつながりは、血縁で区切られるのか
双子の秋生と春生は、いたずらをするのが趣味。隣の姉弟にちょっかいをだしたときから、「完全な共犯者」である二人の関係は崩れ始めていた。
 望月花梨ダーク系の代表作。
 二組のきょうだいの「異常な関係」が、人のつながりについて思わせる。
――別に罪悪感なんて感じてない ただ……墜ちていくだけなんだ(「コナコナチョウチョウ」p135より)


1994年(平成六年)
夏はまだこれからだし
 花とゆめ14号掲載
 「コナコナチョウチョウ」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
好きだよ、と言ってみよう
アイミには、気になる人が二人いた。一人はもと不良で現サワヤカ少年の佐藤。もう一人は、きれいなのにいつもうつむいている永末。
 望月花梨にはめずらしい、暗い部分が一つもない……と思ってたらやっぱり少しあったけど、明るい話。
 アイミって、ほんとに、いいやつ。こういうことを正直に言えるって、いいことだと思う。
「…そーいや永末って最近よく笑うようになったね …その方がいーよ 似合ってて 好きだよ私……」アイミ(「コナコナチョウチョウ」p162より)

コナコナチョウチョウ
 花とゆめ18号掲載
 「コナコナチョウチョウ」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
中学生のぐらぐらした感情
緑子(グリーン)は、思春期の女の子が気持ち悪くて嫌い。人間も嫌い。女子に嫌がらせをされると助けてくれるチロも、利用しているだけだと、そう思っていた。
 モノローグの地が、黒から白に変わるとき、緑子は少しだけ変わる。この、少しだけ、というところがポイントです。
 自分の中学生時代を思い出しました。……ろくな思い出がなかったり(笑)。
「……あのね僕 凄く人間が好きなんだ」チロ(「コナコナチョウチョウ」p31より)


1995年(平成七年)
欲望バス―25時の天国―
 花とゆめ1号掲載
 「欲望バス」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
恋愛と残酷さと暴力と劣等感、開放感、様々な感情
毎週金曜になったばかりの深夜一時に、自転車で学校に向かう少女がいた。二年間もの間、この習慣は続いていた。
 欲望バス三連作。始めての連続掲載です。
 中学生の様々な感情が入り乱れて、ラストも綺麗で、私がかなり好きな作品です。
…だけど彼らは忘れないでしょう きっと明るいところで楽しく遊んでいても 時々うっとりと思い出すでしょう 深夜一時の天国を(「欲望バス」p33より)

欲望バス―Catharsis―
 花とゆめ2号掲載
 「欲望バス」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
辛いこと、苦しいことをどうやって昇華していくか
うっかり寝過ごして降りたバス停。そこで井原りょうへいは、同学年だという寺川和香につかまる。待ち合わせの相手が来るまで、一緒に待っていて欲しいと彼女は頼んだ。
 欲望バス三連作。前回に続いて、バスの語り口で始まる。
 望月花梨には珍しく、男の子の視点から、少女の魅力が映される。
……笑えねえよ…(「欲望バス」p58より)

欲望バス―地下鉄道―
 花とゆめ3号掲載
 「欲望バス」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
いろいろ、自分にいいわけしたり、つい意地を張って後悔することもあるけれど、やっぱり、正しいとかそんなことじゃなくて、この人に何かしてあげたいという気持ちに変わりはない
真巳子は、自分をふった水置君に地下鉄の駅で会った。彼はあいかわらずやなやつだったけど、振られたのを気にしていると思わせるのもしゃくなので、嫌味を言い返してみた。
 欲望バス三連作。バスの親戚の(笑)地下鉄の話。
 余韻を残すラストは、望月花梨の作品の特徴。
彼は照れたように微笑んで 太った鳩を蹴散らし 駆けて行く(「欲望バス」p94より)

ノドアメイカガ
 「コナコナチョウチョウ」(白泉社花とゆめコミックス)書き下ろし
 初コミックスのあとがき。
 ……なんでこんな表紙書くかな(笑)。ペンネームのこと、スミレちゃん、中学生女子のこと、自分のマンガのこと、の他、収録作品をちゃかしたイラストと解説があります。
 ……ほんと、「泥沼」のイラストには脱帽です(笑)。あ、「夏はまだ」も(笑)。

Wの庭園―ウォーターガーデン―
 花とゆめ8〜11号掲載
 「Wの庭園―ウォーターガーデン―」(白泉社花とゆめコミックス)収録
逃げては、いませんか?逃げては、いけませんか?
父親を亡くした澄緒は、長年会っていなかった母親と血の繋がらない弟、右と一緒に暮らすことになった。
 初の短期集中連載。
 ちょうど絵が不安定なときで、話もあまりよくできているとは思えない。
 一貫して流れる水の音がテーマ。
 ラストの犬が怖くて好き(笑)。
「思春期ってね 普通の子供から正気を奪っていくの だから きっと何しても平気…」志穂(「Wの庭園―ウォーターガーデン―」p83より)

ペテン・エンジェル
 花とゆめ15号掲載
 「欲望バス」(白泉社花とゆめコミックス)収録
 「欲望バス」(白泉社文庫)収録
自分のために、ぜったいにやりたいこと
二年七組は、男女仲が最悪。委員長の遠山亮子は、なんとか仲良しのクラスにしたいと思っていた。どんなことをしてでもと思うほど。
 望月花梨ライト系。
 「どんなことでも」の中身は、どうぞ読んでみてください。
ポニーテールにしてみてください。…うんときつく。(「欲望バス」p166より)

純粋培養閲覧図
 花とゆめ18〜20号掲載
 「純粋培養閲覧図」(白泉社花とゆめコミックス)収録
うまくいかないもどかしさ
心の表現が下手で、従姉妹の君華にふりまわされている夜一。夜一がある少女に夜に出会ってから、そのバランスは崩れ始めた。
 君華も好きだけど、夜一は、望月花梨のキャラの中で一番好き。
 話も、一番好きだ。一般向けかは別にして(笑)。
「子供は みんな幸せにならなきゃいけないのにね 不安な子も淋しい子も 殴られる子もいなくなればいいのにね」(「純粋培養閲覧図」p34より)

ノドアメイカガ
 「欲望バス」(白泉社花とゆめコミックス)書き下ろし
 初連載のことについて、収録作品をちゃかしたイラストと解説。
 「人形」のところに、ZABADAKの「遠い音楽」のことが書かれている。


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