分離派建築博物館--蔵田 周忠 --
表現主義建築の実現 〜関根要太郎事務所時代の担当作と思われる作品〜 -2-
旧百十三銀行本店 (現(株)エスイーシー電算センター )
設計:蔵田 周忠............................場所:北海道函館市......................................................建築年代:1927(昭和2)年..........................................現存
外観--(「建築世界」1927年5月号より)
無装飾の円柱の間に、分離派建築特有の小さな放物線状の窓が多数配置されている。
内部には天井に向かって広がる表現派風の独立柱が立ち並ぶ。
折れ線状で装飾的な屋根天端ラインは大正建築独特の雰囲気を醸し出している。
立面図--(「建築世界」1927年5月号より)
関根要太郎事務所の作品とされているが図面の独特のタッチや筆跡その他蔵田の記事
などから、実際に担当したのは蔵田周忠とみられる。
不動貯蓄銀行上野支店
設計:蔵田 周忠............................場所:東京都台東区.......................................................建築年代:1929(昭和4)年.....................................現存しない
外観--(「建築世界」1929年6月号より)
関根要太郎事務所では全国の不動貯蓄銀行の店舗を設計していたが、そのうちのいくつかは
蔵田の設計によるものと思われる。
この上野支店では、ファサードいっぱいに分離派好みの放物線アーチのカーテンウォール
が取付けられている。この発想は初期に燕楽軒の外装でファサードに放物線状のライン
を描き込んだ事例に似ている。