分離派建築博物館-各地の建築物

混成するストリート -1-
〜商業ビル,事務所ビルなどのデザイン〜
       商業系等の民間の建物は、当時から、宣伝効果を高める為に古今の様式の断片を散りばめた飾り付けを行なうな
     どして都市の街路にある種の活気を与えていた。統一感よりもいかに人目をひくかに力が注がれ、そんな装飾多き
     建物は得てして正当な建築とは一線を画されていたのだが捨て難い魅力を持った建物も多い。
     特に、震災後応急的に街を飾った所謂「バラック建築」を発端に商店の街路側ファサードを洋風に飾ったいわゆる
     「看板建築」も数多く現れ「モダン」を競い合っていた。(しかしそれも今では老朽化も進み、次々と消え去って
     いる状況にある。)
      「折衷様式」という言葉があるが、大規模な民間のビルなどもこのデザイン手法で単調さや堅苦しさをまぬがれ
     つつ全体を統一していた。そこでは勿論表現主義的な要素も様式の一部として取込まれるわけである。

浅草トキワ座・東京クラブ

場所:東京都台東区............................設計:成松建築事務所..................................建築年代:1931(昭和6)年............................現存しない(1982年撮影)


          うねるファサードなど、表現主義をヒントにした曲面やアーチ窓の多い映画館。
          二つの隣接した建物のように見えるひとつの建物がかつての活気溢れる浅草六区の歓楽街を飾っていた。