■ 管球パワーアンプ「ジュエリーボックス2A3」の製作

2004/12/26

 シングルパワーアンプの繊細な音に魅力がある。

 そこで、サンバレーのキット「ジュエリーボックス2A3」を組み立てたの

で、その印象をお届けしたい。

●価格等

 2A3の直熱3極管シングル方式ステレオ・パワーアンプキットである。

 価格は、送料・消費税込みで6.68万円である。

 2A3は、サンバレーブランド、12AU7は、エレクトロ・ハーモニックス、

6BQ5は、ソブテック(ロシア)ブランドであった。

●梱包

 段ボールで宅配された。重量は9kg程度である。

 部品は、小袋にきれいに収められ、整然と箱詰めされていた。

 大判のカラー印刷の組立説明書が添付されており、配線を段階ごとに5層に

分解した色刷りの実体配線図が付いている。

●工具等の準備

 必要な物として、はんだ、はんだごて、ニッパ、リードペンチ、ピンセット、

ナット回し、ドライバー(プラス、極小プラス:電源メタルコネクタ用、

マイナス、小マイナス:つまみ用)、がある。

 さらにボリューム用ボックスレンチ、ワイヤストリッパがあると便利である。

 電源パイロットランプは電球であり、その光を外側に見せるのにビーズ玉の

ような部品(スワロドロップ)を使用している。これを取り付けるのに木工用

ボンドが少々必要である。

 測定器としてテスタが必要である。

 はんだは、通常のもので充分と思うが、ここでは、無鉛で銅入りのものを用

いた。(和光テクニカル)

 はんだごても専用のもの(無鉛はんだは、通常のはんだよりも溶ける温度が

高めであるため。)を使用した。

 はんだにより、音質に影響がある可能性がある。

●組立手順

 まず部品の確認を行う。不足分があれば購入店へ連絡する。

 ねじ類やカラーコードの抵抗は、仕切りの付いたプラケースに分類しておいた

方がよい。

 次に、マニュアルを熟読する。

 最後までよく読んでおく。重要な事項があちこちに書かれている。

 まず、シャーシのアースポイントの塗装をはがしておくとよい。

 出力トランスは、出力インピーダンスに応じてリード線を配線する。イン

ピーダンスは、4、8、16オームから選択可能である。

 トランスカバーの組立は、リード線を穴に通す工程があるので作業順序に

注意を要する。

 機構部品やトランス等の取付けは、軽いものから付けていく。真空管ソケッ

ト等の部品の取付け方向やねじの種類に注意。

 電源トランスのカバーを止めているねじに問題があり、完全に締めつけられ

ていなかった。(サンバレーは交換すると言っている。)

 ハムバランサのボリュームは、マニュアルでは100オームとなっているが、

部品は50オームのものが入っていた。

(サンバレーによると特に支障ないとのこと。) 

 スピーカターミナルの取付け時には、スピーカコードの入る穴の方向に注意。

 リード線は、余分な長さは入っていないので、長さに注意。

 (黒リード線が不足しがちである。)

 配線が終わったらテスタや目視でショートやはんだ付け不良がないことを確認。

 特に初段管の配線は抵抗等が上に付くので、この段階でよく見ておく。

 リード線の引き回しは実体配線図を参照し、余分に長くしない。

 ヒータは、AC点火である。配線は、より合わせる。

 抵抗やコンデンサ類の取付けでは、発熱するセメント抵抗に注意。

 電解コンデンサの極性に注意。

 配線は、からげ配線が望ましい。

 シャーシの側に近い部分は、はんだ付けしにくいので注意。

 MT管周辺が、配線が込み合っていてショートしやすいので注意。

 できれば、附属のリード線より細いものを使用した方がよい。

 ボリュームのケースは、アースに落とす。

●配線チェック

 電源を入れる前に、十二分に配線のチェックを行う。1箇所でも違っていたり、

配線の漏れがあれば、うまく動かない。

 はやる気持ちは分かるが、冷静にすべての配線をチェックする。

 

●電源投入

 マニュアルに従い、電源を入れ、ヒータの確認、各部電圧の測定を行う。

 電圧が大きく異なる場合は、配線ミスの可能性が高い。

 スピーカから雑音が出たり、シャーシに振動を与えると雑音が出る場合は、

はんだ付け不良がありうる。

 当方の場合、1箇所のはんだ付け不良があった。

 整流には、整流管5R4GY(RCA製)を使用しており、各真空管のB電圧が

徐々に印加されるので、真空管にとっては、よいと思われる。

 出力管のヒータのACハムバランサでハムが最小になるよう調整する。

●試験運転

 発熱するので、放熱に注意する。

 雑音や、異音に注意。

 やや残留雑音は多い感じである。

 

●まとめ

 組立説明書には、ラックスキットのように、線の長さやステップごとにどこから

どこへ配線するような記述はなく、実体図を見ながらの作業となる。

 実体図は、ステップごとに1枚となっており、非常に分かりやすい。

 全体の配線を1枚に描いたものがないことと、写真がない(サンバレーのホーム

ページにあるが、試作機のため、引き回しや部品が異なる。)のが残念。

 プリント基板でないキットを作った人でないと面食らうかもしれないが、

急がずに着実に作れば完成できると思う。

 高圧部分が多いので、動作チェックや、電圧測定の際は充分留意。

 初段付近が込み合っているので、じっくりとあわてずに製作を行いたい。

 ケースは木製であり、シャーシの塗装やトランスのカバーなど、仕上げにも充分

配慮されている。

 

●試聴

 音質については、しばらくしてからレポートしたい。

音質について 

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