First updated 09/10/2001
Last updated 02/23/2024
渋谷栄一翻字(C)

  

行 幸

凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体かなの字母と区別するため太字で表示した。
3.平仮名はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し方には「」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点、朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母は茶色、同じ字母は緑色で表示した。

「み遊き」(題箋)

  かくおほしい多らぬことない可てよ可ら
0001【かくおほしいたらぬ】−玉
0002【いかてよからむ】−
(朱合点)
  こと者登ほしあつ可ひへとこのをとな
0003【このをとなしのたき】−(朱合点) 「と尓かく尓めつゝみをゝゝ$せき可年て志多尓な可るゝをとなしの」(付箋01 出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄) いかにしてイカヽ(イカヽ#イカヽ)よからん小野山の上よりおつる音なしのたき(出典未詳、河海抄・弄花抄・一葉抄・細流抄・紹巴抄・岷江入楚)
  堂きうたていとおし具みな見能うへ
0004【みなみのうへ】−紫
  をしハ可りと尓可なひて可流/\しかるへ
  きゝれかのおとゝな丹こと尓つけて
0005【かのおとゝ】−致ー
  者き者志う春古しもか多者なるさ満能
  こと越おほし志の者すなとも能したま婦
  さ満をさてひく満な具氣さや可なる
  もてなしなとのあらむ丹徒遣てハおこ可満し
  うもやなお本し可へさふ能志者す尓大原」(1オ・885@)
0006【大原野の行幸】−醍醐御門延長六ー十二月五日大原行幸

  行幸とてよ尓こるなくみさハ
  く越六条院よりも可多/\ひきいてつゝ
  み多ま婦う能尓いて多満うて朱雀より
  五條おほちを尓しさ満尓お連たま婦可徒
  ら可ハのもとまて物見く類満ひまな
  といへと可な春かうしもあらぬを氣ふハ
  みこ多ち可む多ちめもみなと尓むま
  くらを登ゝ能へ春い志んむまそひの可多ち
  多遣多ち佐うそくをかさりたま婦徒ゝめつ
0007【たけたち】−セイ高
  ら可尓お可し左右大臣内大臣納言より志も」(1ウ・885E)

  者多満してのこら春徒可うまつりへり
  をうへ能きぬゑひそめ能志多かさねを
  殿上人五位六位まてき多り多ゝい佐ゝ
  可徒ゝうちゝ里てみちのさへえむな
  みこ多ちかむ多ちめなとも堂可尓閑可
  徒らひたまへるハめつらしき可りのよそ
  ひとも満う氣古のゑ能堂可ゝいとも
0008【まうけ】−儲ナリ
  ハましてよ尓めな連ぬ春りをみ多れき
0009【めなれぬすり衣】−左鷹飼ハ赤白鶴ハミノ摺衣右青白橡三公卿ミナ布狩衣ニ摺文アリ付餌袋巻冠姿
  徒ゝ个しきとなりめつらしうお可しき
  こと丹き越ひいて徒ゝともな可春」(2オ・885J)

  可なるあしよ者きくる満なと王越おしひ
  志可れあ者れ氣なるもありう起ハしのもと
  なと尓このましう多ちさ満よふよ起く
  流万おほ可りしの多ひ能ひめきみも
0010【にしのたひのひめきみ】−玉
  ちいて多まへりこ者くいとミ徒くし
  へる可多ちありさ満をみみ可との
  あ可多てまつりてうるハしううこ
  可多ハらめ尓な春らひきこゆへ
  わ可ちゝおとゝを志連春め越徒
  遣多てまつりへときら/\しうきよけ尓」(2ウ・886B)

  佐可り尓はも能したまへと可起りあり可しい登
  丹春くれ堂る堂ゝとみえこし能うち
  より本可尓めうつる遍くもあらましてか多
  ちありや可しやなとわ可きこ多ちの
  え可へりう徒春中少将な尓くれの殿上人
  やうのな尓ゝもあら春きえわ多れるハ
  佐ら尓多くひなうおハしますなり个り源氏
  おとゝの可本さ満ハともみえハぬを
  もひなし能い満春古しいつ可しうか多し遣
  なくめて多起なりさハ可ゝる多くひハ者し」(3オ・886G)

  か多可り个りあてなるハみなきよけ尓遣
  ハひことなへいとのミとゝ中将との
0011【おとゝ】−源
0012【中将】−夕

  ほひ尓めな連へるをいてきえともの
  たハなる尓やあらおなしめ者那ともみえ
  春くちおしうそをされ多るや兵部卿宮
0013【兵部卿宮】−蛍
  も者春右大将さハ可りをもり可尓よし
0014【右大将】−ヒケ
  めくも个婦のよそひいとな満めきてやなく
0015【やなくひ】−箙
  ひなおひて徒可うまつりへりいろく路
  具ひ氣可ち尓みえていと心月い可て
  かハ((朱))徒くろひ多て多る可本の1あひ尓ハ尓多」(3ウ・886M)

  らむいとわりなと越わ可き御心地尓ハ
  としたまうて个りとゝののおほしより
  てのとをい可ゝハあら徒可へハもあ
0016【宮つかへハ】−玉
  らてみくるしきありさ満尓やとおもひ徒ゝ
  ミうをれ/\しき春ちなと越ハ
  者なれておほ可多尓徒可うまつりらむせ
  連んハ可しうもありなむ可しとそより
  多満う个るかうての尓おハしましつきて
  志とゝめ可む多ちめ能ひらハり尓まいりさう
0017【ひらハり】−アクノ座
  そくともな越し可りのよそひなと尓あらた」(4オ・887D)

  めほと尓六条院よりみきく多
0018【六条院より】−模延長六ー六条院ハ宇多御門也今ハ源ー
  多てまつら(△&せへり个ふ徒可うまつりへて(て(朱)
  ね个しきあり遣れと御物いミのよしを
  そうせさ勢へり遣るなり个りくら(朱)
0019【左衛門のせうを】−是ハ模延長四ー小野行幸
  衛門せうをつ可ひ尓てきしひとえ多た
0020【ひとえた】−梅作枝紅葉等ヲシ折也不付一双産所へ遣根引松雀付竹
  てまつら多ま婦おほせと尓ハな尓と可や
  さやう能おりのま年ふ尓王つらハしく
0021【さやうのおりのこと】−作者詞
  な無
    雪深きをしほのきし能
  ふるきをも个婦ハ太政大臣可ゝる」(4ウ・887J)
0022【太政大臣の】−光孝ー仁和二ー十二月昭宣基経太政大臣奉供

  の行幸徒可うまつりへるためしなとやあ
  里个むとゝ徒可ひを可しこまりもてなさせ
0023【かしこまり】−不参故也
  
    小塩山みゆき徒も連る松原尓个ふ者可
0024【小塩山】−源氏返し
  里なるあとやな可らむとろをひきゝ
0025【そのころをひ】−作者詞
  志こと能ハ/\いてら類ゝハひ可こと尓やあ
  らむおとゝ尓しのたい尓のふうへハ
0026【おとゝ】−源
0027【にしのたい】−玉

  み多てまつり多まひきや可能ことハお本しな
0028【かのこと】−参内
  ひきぬらんやときこえへり志ろき志き
0029【しろきしきしに】−源ヨリ
  志丹いとうちとけ多るふミこま可尓氣しき」(5オ・888B)

  者みてもあらぬ可可しきをみ多まうてあい
0030【おかしきを】−源氏文也 詞のおほき也
  な能ことやとわらひたまふ可らよくもお
  ハ可ら給物可なとおほ春御返尓きのふハ
    うちきらしあさくもりせしミ耳ハ
0031【うちきらし】−玉かつら文返し
  さや可尓や者みしおほつ可な
  こととも尓なむとある越うへもみ多まふ佐ゝ
0032【うへも】−紫
  のことをそゝの可しかと中宮可くてお者す古ゝ
0033【中宮】−秋
  な可らのおほ盈尓ハひな可るへし可能おとゝ耳
0034【かのおとゝ】−致
  志られても女御可くてさふらひへハな
0035【女御】−弘ー
  堂るめりし春ちな王可さもな連徒」(5ウ・888G)

  かうまつらむ丹ハゝ可るおもひな可らむハうへを本
  のミ多てまつりてえ可け者なれてふハあ
  らしとのへハあなう多てめて多しとみ多て
  まつるとももてつ可ひ多ゝむこいと
  佐し春起多るならめとてわらひたまふいてそ
  こ尓しもめてきこえた万者むなと能多
  まふて又御返
    あ可年さす尓くもらぬをなとて
0036【あかねさす】−源氏
  ミ尓め越きらし个無な越おほし堂て
  なと多えす春ゝめとてもかうてもまつ」(6オ・888M)

  もきのこと越こハとおほしてそのまう
  氣能てうと能こ満可なるきよらとも
  者へさせたまひな尓くれのきしきを御心
  尓ハいとも(+も)ほさぬこと越多尓をのつ可らよ多
0037【よたけく】−長ー
  遣くい可めしくなる越ましてうち能おとゝ
  (+(朱))や可てこのついて尓や志らせ多てまつりて
  ましとお本しよれハいとめてたうまて(うまて$(朱)
  なむとし可へりて二月尓とおほ春をむなハき
  古え多可くかくし堂まふへきほとなら
  もむ春めとてこもりお者するほとハ可な」(6ウ・889E)

  ら春志もうちかミの徒とめなあらハな
  本とな連(△&連)ハことしハまきれ春くしこの
  もしおほしよ流こともあら無尓ハ可す可能可み
  の御心た可ひぬへきもつ井丹ハかくれてやむま
  志き可らあちきなくわさと可ましき能ち
  まてう多ゝあるへしな越/\しき
  者こい満やうとてハうちあらたむる
  ことのたハや春き裳あれなお本しめくら
  春尓おやこ能ち起り多ゆへきやうな
  なしくハ我心ゆるしてを志らせ多てまつら」(7オ・889K)

  むなおほし佐多めてこのこしゆひ尓ハ可能
  おとゝをな無せうそこきこえふ个れハ
  大宮こそ能ふ遊徒可多よりなやミたまふこと
  佐ら尓をこ多りたまハね者可ゝ流尓あ者せて
  ひな可るへきよしきこえへり中将
  よるひる三条尓そ佐ふらひひまな
  くも能したまうておりあしきをい可尓せ
  志とおほ春よもいと佐多めなもう勢
  させハゝふくあるへきを志ら春可本尓て
  も能し者む徒ミ布可きことおほ可らお」(7ウ・890B)

  ハするこのとあらハしてむとおほしとり
  て三条とふらひ可てらわ多りたまふ
  いまはまして志のひや可尓布るまいたまへと
  みゆき尓おとら春よそ本しくいよ/\ひ可りを
  のミそ可多ちなと能この尓みえぬ
  ちしてめつら志う多てまつり尓ハいとゝ
  こゝち能なやまし佐もとりすてらるゝ
  ち志てお起いへり遣うそく尓可ゝりてよ者
  遣な連とといとよくきこ盈遣志うハ
  お者しまさ佐り遣るをな尓可しのあそむの」(8オ・890H)
0038【なにかしのあそむ】−夕

  ま登ハしておとろ/\しうけきゝこえ
  さすめれハい可やう尓さ勢たまふ尓可登な
  むおほつ可な可りき古えさせ徒るうちなと尓
  もとなる徒いてなき可起りハまいらおほ
  や遣尓徒可ふるともくて古もり者へ連者
  よろつう井/\しうよ多遣くなり尓て者へ
  里よ者ひなとこれより満さる古し多へぬ
  まてかゝまりありく堂めしむかしもいまも
  ハへめれとあやしくおれ/\しき本上そふ
  ものう佐尓なむ者へる遍きときこえと」(8ウ・890M)
0039【としのつもりの】−大宮詞

  志能つもりのなやみとおもふへ徒ゝろ尓
  なりぬるを古としとなりてハ堂のミすく那
  きやう尓おほえ者へれ者い満ひと多ひ可く
  み多てまつりきこえさすることもくてや
  とほそ具多まへ徒るを遣婦こ春こ
  志のひぬるちし者へ連い満ハおしミとむへ
  き本と尓も者へらさへき/\尓も多ち
  をくれよ能春ゑ尓のこりとまれる多くひを
  能うへ尓ていと心月つき(朱))なしと者へ里し可は
  いて多ちいそきをな無おもひもよを佐連」(9オ・891E)

  者へる尓この中将能いとあ者れ尓あやしき
  まておもひあつ可ひ越さ者可い多まふ
  者へる尓なむさ満/\尓可遣とめられていまゝ
  てな可ひき者へるとゝなき尓な起て
  ゑのわなゝくもおこ可満し个れとさ流こ
  とゝもれハいとあ者れなり御物可多りとも
  む可しいま能とりあつめき古えたまふつい
  て尓うち能おとゝ者遍多て春満いり堂
0040【うちのおとゝ】−源詞
  ま婦ことし遣可らむをかゝるついて尓たいめむ
  のあらい可尓うれし可らい可てきこえ志ら」(9ウ・891K)

  せんとふことのさるへき徒いてくて
  ハいめんもあり可多个れハおほつ可なくて
  むときこえたまふおほや遣ことの志けき
  尓やわ多くしの佐し能ふ可ゝらぬ尓や佐しも
  とふらひも能し者へら春のたま者春遍可ら
  こと者な尓さ満の古と尓可ハ中将能うらめし
  遣尓おも者れ多る古とも者へるをハしめの
  ことハ志ら年といま者遣尓きゝ尓くゝもてな
  尓つけて多ちそめ尓のとり可へ佐るゝ
0041【たちそめにし】−(朱合点) 古今 村鳥のたちにし我名今更に(古今674・新撰和歌272・古今六帖4330、異本紫明抄・河海抄・孟津抄・岷江入楚)
  もあらおこ可満しきやう尓可へりてハよ」(10オ・892B)

  もいひもら春なるをなとも能志者へ連ハ
  多てたるむ可しよりいとゝ遣可多起
0042【たてたる所】−致ー
  尓て春なんミふるとこ能中将
0043【この中将】−夕
  とゝおほしての(+)まへハうち王らいふ可ひ
0044【うちわらひ給て】−源ー
  なき尓遊るして(て(朱))春てたまふこともやときゝ
  者へりて古ゝ尓さへな可春めやうありし可
  といときひしういさめよしを見侍しの
  ちにゝさ満てとをもませ者へり个むと
  王るうくいおもふたまへてなむよろつ
  丹徒遣てよめといふことは遍連盤い可ゝハ」(10ウ・892H)

  佐もとり可へし春ゝい多満ハさらむとハたまへ
  な可らかうくちおしき尓こりの春ゑ尓まち
  とりふ可う春むへきいてきか多可へい
  よな連な尓こと尓つけて春ゑ尓なれ盤
  ちゆく个ちめこそや春く者へめれいとほし
  うきゝたまふるなたまうてさるハ可能し
  里へきをなむおもひ満可ふること者へり
  て布い尓多つとりて能おりハさる
0045【ふいに】−不意
  ひ可わさともあ可し春ありし可ハあな
  ち尓ことのを多つかえさふ者へら」(11オ・893@)

  て堂ゝ佐るも能ゝくさのすく那きをかこ登
  尓てもな尓可ハとおもふたまへゆるしてさ/\
  むつひもみ者へら春してとし者へり徒る
  をい可て可き古しめし个むうち尓おほせ
  類ゝやうなむあるいしの可みミや徒可へする
0046【ないしのかみ】−尚侍
  な具てハかのまつりこしとけな
0047【かの所】−賢所
  女官ともおほや遣こと越△(△#)徒可うまつる耳
  堂つなくとみ多るゝやう尓なむあり遣
  類を堂ゝい満うへ尓さ婦ら古らうの春け
  二人さるへき/\さ満/\尓さする越」(11ウ・893E)

  ハ可/\しうえら者せ堂満者む多つ
  くふへきなむないへ多可ふのおほえ
  可ろ可らいへ能いとなミ多て多らぬひとなむ
  い尓しへよりなりき尓遣る志多ゝ可尓かしこき
  か多能えらひ尓てハてもとし
  らう尓なりのほる堂くひあれと志可たくふ
  へきもなしとなおほ可多のおほえを多尓
  えらせ多満ハんとなむうち/\尓おほせ
  多りしをに遣なとゝ志もな尓可ハおもひた
0048【にけなきこと】−御返ニ
  ま者む徒可へハさるへき春ち尓て」(12オ・893K)

  もひをよ飛いて多つ多可きとな
  おほや氣さ満尓てさるとをつ可さとり
  まつりことのおもふきを志多ゝめ志らむことは
  者可/\し可らあ者つ氣きやう尓おほえ多
  連となと可佐しもあら多ゝわ可能あり
  さ満可らよろつと者へめれとよ王り
  し徒いて尓な無よ者ひのほとなとゝひ
0049【よはひの】−玉
  きゝ者へ連ハ可能のおほ無多つあへいこと耳
0050【おほむ】−御
  なむあり遣るをい可なへいことそとも
  きらめま本しう者へる徒いてなくてハ堂い」(12ウ・894C)

  めへきや可て可ゝ流ことなんとあ
  らハしへきやうをめくらしてせうそこ
  まう志ゝをなやみ尓ことつけてものうけ尓
0051【御なやみに】−三条
  春まひ多満へりし遣尓おりしもひんなう
  おもひとまりよろしうものせさせ个れ
  ハ可うおもひおこせる徒いて尓となむおもふ
  ふるさやう尓つ多へも能せさせたまへときこえ
  い可尓/\遣ること尓可かしこ尓者
0052【宮いかに/\】−三条詞
0053【かしこには】−致ー

  さ満/\尓可ゝ流なのり春るをいと婦ことな
  くひろいあつめらるめる尓い可なる尓て可く」(13オ・894H)

  ひき多可へ可こちき古盈羅るらこ能とし
  ころう遣堂ま者りてなりぬる尓やときこえ
  たまへハさるやう者へることなくハしきさ
0054【さるやう】−源
  まハか能おとゝもをのつ可ら多つ年きゝ多
0055【かのおとゝも】−致ー
  まうてむく多/\しきな越能な可ら
  尓ゝ多ること尓者へ連者あ可さん尓つけてもらう
  可者しういひつ多へ者へらむ中将
0056【中将】−夕ー
  そん尓多尓ま多王きまへ志ら者へら
  尓ももらさせましとくちか多めきこ盈
  多まふうち能おほ井と能可く三条尓」(13ウ・895@)
0057【うちのおほゐとの】−致ー

  きおとゝわ多りお者し満い多るよしきゝ堂
0058【大きおとゝ】−源ー
  ひてい可尓さひし遣尓ていつく(く(朱))しき
0059【いかにさひしけにて】−致ー詞
  まちう遣きこえこせんとも
  て者やしましひき徒くろふ者可/\
  志うあらしかし中将とも尓こも能せ
0060【中将】−夕
  連徒らめなとおとろきふてとも
  の多ちむ徒ましうさるへきまうち
0061【まうち君】−五位以上ヲ云大夫達〔マウチキン〕
  多ち多てまつ連く多物御みきなさり
  ぬへく満いらせよ徒可らまいるへきを
  可へりてさハ可しきやうならむなと能多」(14オ・895F)

  ま婦本と尓大宮ふミあり六条とゝ能
0062【大宮】−三条
0063【六条のおとゝの】−詞

  とふらひ尓わ多りたまへるをさひし遣丹
  連ハめ能いとおしうもか多し遣なうもある
  をと/\しうかうき古え多るやう尓ハ阿ら
  てわ多りなんやいめむ尓き古えま本し
  遣なる古ともあなりときこえへりな尓
0064【なにことにかは】−致ー詞
  と尓可ハあらこのひめ中将
0065【この姫君】−雲井ー
0066【中将】−夕

  うれへ尓やとおほしまハす尓かう御世
  里な氣尓てこのとゝせち尓の多まいとゝ
  もく可らぬさ満尓ひとことうちいてうらミた」(14ウ・895K)

  満者む尓と可く可へさふことえあらし可し
  れなくておもひい(ゝ&い)連ぬをみる尓ハや春可らすさる
  へき徒いてあらと尓なひき可本尓て
  ゆるしてむとおほ春御心を佐しあ者せて
  たま者むことゝおもひよりたまふ尓いとゝいな
  可らむ可と可さしもあらむとや春ら
  者るゝいと遣し可らあや尓り可し
  されと可くの多まひとゝもたいめむ春
0067【宮】−三条
0068【おとゝも】−源ー

  へくまちお者する尓やか多/\尓可多し遣な
  まいりてこそハ遣しき尓志多可ハめな登」(15オ・896C)

  おも本しなりてさうそと尓ひき徒く
  ろ日てこせんなともと/\しきさ満耳ハ
  あらてわ多りたまふ多ちいとあま多ひき
  つれていり多まふさ満も能/\しうたのもし
  遣なり多け多ちそゝろ可尓能したまふ尓
  ふと佐もあひていと志うとく尓おもゝちあゆ
0069【しうとく】−宿徳
0070【おもゝち】−面持
0071【あゆまひ】−歩体也

  まひ大臣とい者む尓多らひたまへりゑひそ
0072【ゑひそめ】−[艸+補]ー
  能佐しぬきさくら可さ年いとな可うハ志
  里ひきてゆる/\とこと佐らひ多るもてな
  あなきら/\志とみえたまへる尓六条とのハさ」(15ウ・896H)

  くら可ら能きの越しいまやういろのそひ
  き可さ年て志とけなきおほ春可多いよ/\
  たとへんひ可りこそ満さりかう志多ゝ
  可尓ひき徒くろひへるありさ満尓すら
  へてもみえ多満ハさり个りきみ多ち徒き/\
  尓いときよけなる可らひ尓て徒とひ
  里藤大納言春宮大夫い満ハきこゆる
  こともゝみな那りいてつゝも能したまふをの徒可ら
  わさともなおほえた可くやむことな殿
  上人くらひとのとう五位くら近衛」(16オ・897@)

  少将弁官可ら者那や可尓あるへ可しき
  徒とひたまへ連はい可めしうつ徒き/\
  のもおほくて可ハら遣あま多ゝひな
  可れみなゑひ尓なりてをの/\かうさい者ひ
  春くれへるありさ満を可多り尓志け
  里おとゝもめつらしきたいめん尓む可し能
  ことお本しいてら連てよそ/\尓てこそ者可
  なと尓つけていとましき御心婦へ可
  めれ佐しむ可ひきこえてハ可多み尓い登
  あ者れなることの可す/\おほ本しいてつゝ連いの」(16ウ・897F)

  へ多てなくむ可しい満のとゝもとしころ能
  御物可多り尓くれゆく可者ら遣なと春ゝめ
  まいりたまふさふら者てハあし可りぬへ可り个る
0073【さふらはてハ】−致ー詞
  をめしなき尓者ゝ可りてうけ多満者りすく
  志てまし可ハかうしやそハましとたまふ
0074【御かうし】−考事
  尓可む多うハこな多さ満尓なむ可うしとおも
0075【かうしと】−源
  とおほく者へるな氣しき者みたま
  このと尓やとおほせ王つらハしうて可し
0076【このこと】−雲ー
  こまり多るさ満尓ても能したまふむ可しより
  おほや遣王多くしのと尓つけての遍多て」(17オ・897L)

  なく大小能ことき古えうけ多満者り
  ねをなら婦るやう尓ておほや遣のうし
  ろミをも徒可うまつる登なむおもふたまへし
  を春ゑ能よとなりて能可ミたまへし
  いなきやうなることうちまし里者へれと
  ちうちの王多くし古と尓こそハおほ可多の
  しハさら尓うつろふことなくなむな尓ともな
  くて徒もり者へるとしよ者ひ尓そへてい尓
  へのとなこひし可り遣るをいめん者る
  こともいとまれ尓のミ者へ連ハと可起りありて」(17ウ・898C)

  よ多个起ふるまひとハ多まへな可ら志多し
  きほと尓ハいきをひをもひき志ゝめ
  たまひてとふらひも能し堂満ハめとな
  むうらめしきおり/\者へるときこ盈堂
  まへハい尓しへハ遣尓おもなれてあやしく多
0077【おもなれて】−忍
  堂いしきまて連さふら尓へ多つるこ
  なくらむせれしをおほや遣尓徒可うま
  徒りしき者ゝ者年(+(朱))なへ多る可す尓
  者へらてうれしき可へりみをこ者可/\
  志可ら尓て可ゝるくら井尓をよひ」(18オ・898I)

  や遣尓徒可うまつり者へること尓そへても
  ふたまへ志らぬ尓ハ者へらぬをよ者ひのつ
  り尓ハ遣尓をのつ可らうちゆるふこと能ミな
  むおほく遣るな可しこまり満うしたまふ
  そ能ついて尓ほのめ可しいてて个りとゝ
0078【そのついてに】−源ー
0079【ほのめかしいて】−玉かつらの君の事
0080【おとゝ】−致ー

  いとあ者れ尓めつら可なること尓可なまつ
  うちなの可見よりい可尓なり耳
  个むと堂つおもふたまへしさ満ハな尓の
  ついて尓可个むうれへ尓多へ春もらしきこし
  めさせしちなむしい満可く春古し」(18ウ・899A)

  可春丹もなり者へる尓徒氣て者可/\し可ら
  も能ともか多/\尓つけてさ満よひか多
  く那し具みくるしと見侍尓つけてもさる
  さ満尓て可春/\尓徒らねてハあ者れ尓おもふた堂
  まへらるゝおり尓そへてまつな多まへ
  いてらるゝと能多まふ徒いて尓可のい尓しへ農
  あまよ能可多り尓いろ/\なりしむつ
  の佐多め越おほしいてゝ起ミ王らひミみなうち
  み多れたまひぬい多うふけてをの/\あ可れ
  たまふかくまいりきあひてさらひ佐しく」(19オ・899F)

  なりぬるよ能婦ることおもふた(ふた&ふた)まへいてら
  こひしきとの志能ひ可多起尓多ちいてむ
  ちも志者へらすとてさ/\よハくおハし
  満さぬ六条と能もゑいなき尓やうち志本れ
  たまふ者多満いてひめと越お本し
0081【ひめ君の御こと】−あふひの上の御事也
  い徒る尓ありし尓満さるありさ満いきをひ
0082【ありしにまさる】−\<朱合点> 伊勢 出ていなハ誰かわかれのかたからん有しにまさるけふハかなしも(伊勢物語77、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・孟津抄)
  を多てまつり多まふ尓あ可春可なしくて
  とゝめ可多く志本し本となきたま婦あ満ころも
0083【あまころも】−大宮
  ハ遣尓となり个り可ゝるついてなれと中将
0084【中将】−夕ー
  とをハうちいて多満者すなりぬひとふしよう」(19ウ・899L)

  いなしとおほしをきて个れハくちいれむことも
  王るくお本しとゝめ可能おとゝ者多
  个しき起尓佐し春くしか多くてさす可尓
  む春ほゝ連多るちしたまう个りこよひも
  とも尓さふら婦へきうちつけ尓さハ可しく
  もやとてな个婦の可しこまりハと佐ら
  なむ満いるへく者へるとまうしたまへハ佐ら
  このなやミもよろしうみえたまふを可な
  春きこえし多可へさせ者す王多りへき
  よしきこ盈ちきりたまふ个しきとも」(20オ・900D)

  ようてをの/\いてたまふひゝきいとい可めし
  きみ多ちのともの/\な尓ことありつる
  めつらしきたいめ尓いと个しきよけ
  り徒るハい可なるゆつりあるへき尓可那と
0085【いかなる御ゆつり】−この事ハしらす雲井の雁の事とひか心えたる人々ハおもふ也
  ひ可越えつゝ可ゝる春ちと(+ハ)おもひよらさり
  个りとゝうちつけ尓いといふ可しうもとな
  おほえたまへとふとし可う遣とりおや可ら
  もひな可ら多つ年え多まへらむハしめを
  おもふ尓佐多めてきようみ者なハし
  やむことな可多/\を者ゝ可りてうけ者りて」(20ウ・900J)

  そハ尓はもてなさ春佐春可尓王徒ら
  ハしうき古え越可くあ可したまふ
  なめりとおほ春ハくちおし个れとれをき
  春登すへきと可ハ古と佐ら尓可能あ多
  里尓ふ連者ハせむ尓なと可おほえのおとら
  む徒可へ佐万尓おもむきたまへら女御
  なとのおほさむこともあちきなしとおほせ
  とゝもかくもおもひよりの者むをきてを
  可ふへきと可ハとよろつ尓お本し个り可くの
  まふハ二月徒い多ちころなり个り十六日ひ」(21オ・901B)

  可むのハしめ尓ていとよ起り个りち可う
  よきひなしとかう可へ遣るうち尓(+(朱))よろしう
0086【宮】−大宮
  おハしませはいそき多ちたまうて連い農
0087【れいの】−源
  わ多り多満うてもおとゝ尓あらハしゝさ満な
  いとこま可尓あへきこと登もをしへきこえ
  たまへハあ者れなる御心者おやときこえ那可
  らもあり可多可らむをとおほ春可らい登
  なむうれし可り个る可くてのちハ中将
0088【中将の君】−夕ー
  尓も志のひて可ゝることののたまひ志ら
  里あやしのことゝもやむへなり个りとおもひあ」(21ウ・901G)
0089【あやしのことゝもや】−夕ー心

  者春ることゝもある尓かのつれな
0090【つれなき人】−雲ー
  ありさ満よりももあらひいてら
  ておもひよらさり遣ることよと志れ/\しき
  ち春されとあるましうちき(き$希(朱))多るへき本
  となり个りとおもひ可へ春ことこそハありか
  多まめ/\しさなめれかくてそ
  なりて三条より志のひや可尓徒可
  ひありくし能者はこなに者可なれとこ
  ともいときよら志多まうてふミ尓はき
  こえむ尓もいま/\しきありさ満を个ふハ志」(22オ・901M)

  のひこめれと佐る可多尓てもな可き多めし
  者可りをおほしゆるすへうやとてなあ者
  連尓う遣多満者りあきらめ多る春ちを
  可遣きこえむもい可ゝ个しき尓志多可ひて
  な無
    ふた尓いひもてゆ遣ハくし氣
0091【ふた方に】−大宮
  わ可者なれぬ可けこなり个りといとふるめ
0092【かけこ】−いつれに孫なり
  可しうわなゝきたまへるをとの裳こな多尓
0093【との】−源
  おハしましてことし(し$と(朱))もらむし佐多むる
  れハみ多まうてこ多いなるふミ可き」(22ウ・902D)

  な連といた多しやこのてよむ可しハ春尓
0094【いたしや】−いたましき心也
  も能したま遣るをとし尓そへてあやしく
  おいゆく尓こあり个れいと可らてふる
  ひ尓个りなうち可へしみ多まうてよくもた
  まくし遣尓まつ者れ多る可な三十一字能な可尓
  こともしハ春くな具へ多ること能可多起な
  と志のひて王らひたまふ中宮より志ろき
0095【中宮】−秋
  可らきぬさうそくくしあけのくな
  いとになくて連いの徒本とも尓から能多起
  と尓可本りふ可くて多てまつりへり可多」(23オ・902J)

  可多みな/\尓佐うそく/\能れう尓
  志あふきまてとり/\尓志いてへるありさ満
  おとりまさらさ満/\尓つけて可ハ可りの
  者せともいとミ徒くし多まつ(つ$へ(朱))連ハ可し
  うみゆるをひむ可しの/\も可ゝるいそ
  きハきゝ多満う个れともとふらひきこえ
  へき可春な年者ゝきゝすくし多流尓
  ひ多ちの御方あやしうも能うるハ志う
  さるへきとのおり春くさぬ古多いの御心尓て
  い可て可このいそよそ能ことゝハきゝ春」(23ウ・903B)

  くさむとおほして可多のとなむ志いて多満
  う遣るあ者れなる御心佐しなり可しあ越尓ひ
  のほそ可ひとかさ年おちくりと可やな尓
0096【おちくりとかや】−こキ紅のくろミ入タルヲ云ヘシ
  む可しののめて多う志けるあ者せの
0097【あはせ】−裏面アリ紅
  一具むらさ起の志△(△#ら(朱墨))起りみゆるあられち
0098【しらきり】−シラミタル
  能こうちきよきころも者こにい連
  て徒ゝミいとうるハしうて堂てまつれ堂満
  へりふミ尓ハ志らせ多まふへき可す尓
  ね徒ゝまし个れとかゝ流おりハおも多まへ
  志の日可多くなこれいとあやし个れと尓も」(24オ・903H)

  多満者せよとおひら可なりと能らむしつけ
0099【おひらかなり】−文ノかきさまを云
  ていとあさましう連いのとおほ春尓可本あ
  可ミぬあやしき布る尓こそあ連可くつゝ
  みし多流ひきいり志つ多るこそよけ
  連さす可尓者ちかましやとてとハ徒可ハ
  せハし多なくおもひなちゝみこ能いと可な
  志う志多まひ个るおもひいつ連ハ尓おとさむ
  ハいとくるしき人也とき古えたまふこう
  ちきのたもと尓れいのおし春ちのう多あ
  里个り」(24ウ・903M)

    我身ら連个れ可ら衣君可たもと尓
0100【我身こそ】−末摘
  な連春とおもへハおほむてハむ可し多尓あり
  志をいとわりなしゝ可みゑりふ可うつよう
0101【しゝかみ】−チヽミタル也
0102【ゑりふかう】−字エリ入タル様也手家ヲ入木ト云無心也

  可多う可きたまへりとゝ尓くき可し
  さ越ハえねんし者てこのう多よミつらむ本
  とこましていまはち可らなくてところせ可り
  个むといとおし可りたまふいてこのさハ
  可しうとも王れせんとのあやしう
0103【われ】−源ー
  のおもひよるましき御心者へこあらてもあ
  里ぬへ个れとくさ尓可起多まうて」(25オ・904F)

    唐衣又可らからころも可へ春/\も
0104【唐衣】−源氏 末摘の三度まて唐衣と読たまへる故ニ嘲弄の哥也
  可らなるとていとまめや可尓かの能多てゝ
  このむ春ちなれハも能して者へるなりとて
  みせ多てまつりたまへハきミいと尓本ひや可尓
0105【きみ】−玉
  わらひたまひてあないとおしろうし多るやう
  尓も者へる可なくるし可りようなしこ登
0106【ようなしこと】−唐衣ト云文字ノ多事也
  いとおほ可りやうちのおとゝハ佐しもいそ可連
0107【うちのおとゝ】−致ー
  たまふましき御心れとめつら可尓きゝたまふ
  志のちハいつし可と御心尓可ゝり多れ者とくま
  いりへりきしきとあへい可起り尓春起」(25ウ・904L)

  てめつらしきさ満尓志なさせたまへり遣尓わさ
  とこゝろとゝめたまふ遣ることゝみ多ま婦も
  か多し遣な可らやう可ハりておほさる
  のとき尓てい連多てまつりたまふ連いの
  まう遣越ハさるうち能おましいと耳
  なく志つら者せ多まうてさ可なまいらせ多
0108【御さかな】−ミ
  まふとなふら連いの可ゝるよりハ春こし
  ひ可りみせてお可しき本と尓もてなしき
  えたまへりいみしうゆ可しうき古えへと
  こよひハいとゆくり可なへ个れ者ひきむ春ひ」(26オ・905C)
0109【ゆくりかなへけれは】−不意とかけり心なきやうなる心なるへし
0110【ひきむすひたまふほと】−裳のこしをゆふなり

  たま婦ほとえ志のひ多満者ぬ个しきなり
  あるしのとゝこよひハい尓しへさ満のことハ閑
  氣者へらねな尓のあやめもわ可せ多まふ
  ましくな無志らぬめを可さりてよ能
  つ年のさほうにときこ盈け尓佐ら尓き
  古えさせやるへき者へら春な可ハら遣満
  いるほと((朱)かきりなき可しこまりをハよ尓ためし
  なとゝきこえさせな可らい満ゝて可く志の
  ひこめさせ个るうらミ裳い可ゝそへ者へらさら
  むとこえ堂まふ」(26ウ・905I)

    うらめしや興津玉も越か徒くまて
0111【うらめしや】−致仕 後 何せんにへたのみる目ヲ思けん奥津玉もをかつく身にして 黒主(後撰1099・古今六帖3338、花鳥余情・孟津抄・岷江入楚)
  可くれ个るあまのよとてつゝミもあへ春
  本多れたまふひめハいと者つ可しきさ満
0112【ひめ君】−玉かつら
  とも佐し徒とひつゝましさ尓えきこえ
  堂満者年ハ殿
     よるへなミ可ゝるなきさ尓うちよ勢て
0113【よるへなミ】−源氏
  あまも多つ年ぬもくつとそみしいと王りな
  うちつけこと尓なんとき古え多満へ者いと
  ことハり尓なんときこ盈や流くていて
  たまひぬみこ多ちつき/\/\こるなく」(27オ・906A)

  徒とひたまへ里けさうもあま多まし里
0114【御けさう】−仮粧
  多まへ連ハ古のとゝ可くいりおハしてほ登
0115【このおとゝ】−致ー
  布るをい可なること尓可とう多可ひたまへり
  可能とのゝきむ多ち中将能きみハ可りそ
0116【中将】−柏
0117【弁のきみ】−紅ー
0118【ほのしり給へりける】−玉

  の志りへり遣る志れ春おもひしこと越可ら
  うれしうもおもひなりたまふハよくそ
  ちいてさり个ると佐ゝめきてさ満ことなる
  おとゝ能このみともめり中宮多くひ
0119【おとゝの】−源氏
0120【中宮】−秋ー

  尓志多てたま者むとやおほ春羅むなをの
  をのいふよしをきゝたまへと志ハしハ御心徒」(27ウ・906F)
0121【猶しハしハ】−源詞

  可ひ志多まう亭よ尓志りなさ満尓もて
  なさせたまへな尓こともや春起ほと能こそ
  み多り可ハしう登もかくもハへ遍可めれこな多を
  も多をもさ満/\能(能(朱))のきこ盈なや満
  さむ堂ゝならむよりハあちき起を多ら
  可尓やう/\めをもなら春なよきこと尓
  ハ者へるへきたまへハ堂ゝもてなし耳
  なん志多可ひへきかうまて古らむせられ
  あり可多き者くゝミ尓かくろへ遣るもさ起
0122【かくろへ侍ける】−玉
  の能ち起りをろ可ならしとたまふ」(28オ・906L)
0123【御をくり物】−自源致ー

  をくり佐ら尓もい者すゝへてひきいて
  ろくとも志那/\尓つけて連いあること可起
  里あれととく者へ尓なくせさせ堂まへり
  おほやみ尓ことつけ多満うしこりも
  あれハと/\しきあそひなとハな兵部卿
  のいまハことつけやりへきとゝこ本りも
  きをと越り多ちきこえへとうちより
  个しきあるこ可へさひそうしま多おほせ
  こと尓志多可ひてなとさ満のことハとも可く
  も佐多むへきとそきこえさせ遣るちゝ」(28ウ・907D)

  おとゝハ本の可なりしさ満をい可てさや可尓みむ
  な満可多本なるこみえ多満ハゝかうまてと/\
  もて那しおほ佐しな/\もとなうこひ
  きこ盈多まふい満そ可能ゆめも
0124【御ゆめ】−蛍巻
  と尓おほしあ者せ遣る女御者可り尓ハ佐多可な
0125【女御】−弘ー
  と能さ満をき古えふ个りきゝ耳
  志ハしこのとい多佐しとち尓こめたまへと
  ちさ可なも能ハよのり个り志ねん尓いひ
  もらし徒ゝやう/\やうきこえいてくるを可能さ可
0126【さかな物】−サカ/\シ
  なきミきゝて女御のおまへ尓中将少将さふ」(29オ・907I)

  らひたまふ尓いてきて殿む春めまう遣多
0127【殿】−致ー
  まふへ可なりあなめて多やい可なる人二可多尓
0128【二かたに】−源氏 致ー
  もてな佐るらむ遣ハ可れもをとりはらな
  里とあふなけ尓の多まへハ女御可多ハらい多し
0129【あふなけに】−無奥
0130【女御】−弘ー

  とおほしても能もたまハす中将志可かし徒
0131【中将】−柏
  可る遍きゆへこしたまふらめさても多可い
  しことを可くゆくりなうちいてふそ
  堂ゝならぬ女房とも(も(朱))こみゝとゝむ連と
  の多まへハあな可満みなきゝて者へりいしの
0132【あなかま】−近
0133【ないしのかミ】−玉

  可ミ尓なるへ可なつ可へ尓いそきいて多ち」(29ウ・908B)

  しことハさやう能御返ミもやとてこそへて
  の女房多ち多尓徒可ふまつらぬことまて
  多ち徒可うまつ連まへの徒ら具おハします
0134【おまへ】−弘ー
  み可くれハみなお(お$本(朱))ほゑミていしの可ミ
  ある(る$可(朱))ハな尓かしこそのそまんとおもふをひ多
0135【ひたう】−非道
  う尓おほし可遣ける可ななとのた多ふ尓者ら
  多ちてめて多起御中可すならぬハましる
  まし可り个り中将徒らくお者する
0136【中将の君】−柏
  佐可志ら尓む可へたまひて可ろめあさ遣り
0137【さかしらに】−(朱合点) 古今 さかしらに夏ハ人まねさゝの(古今1047・古今六帖213・2707、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  布うせう能え多てるましきと能ゝう」(30オ・908G)
0138【との】−致ー

  ち可なあな可しこ/\と志りゑさ満尓ゐさり志
  そきておこせたまふく遣もな个れといと
  ハらあし遣尓満志りひきあけ多り中将ハ可く
0139【中将】−柏
  いふ尓つけても遣尓しあやまち多ることゝおもへ
  ハまめやか尓ても能し多まふ少将ハ可ゝる閑多
0140【少将】−紅ー
  尓てもたくひなありさ満ををろ可尓
  よもおほ佐し御心しつめたまふてこ可多起い者
  本もあ者ゆき尓なしたまふ徒へきおほむ希
0141【おほもむけしき】−天ー踏堅庭而陥股若沫雪
  志きれハいとようおもひ可なひたまふと起も
  ありなむと本ほゑミていひゐへり中将あ」(30ウ・908M)
0142【あまのいはとさしこもり】−天ー閉天ノ磐戸出居素ー尊兄弟今模之

  ま能い者登さしこもりたまひなんやめや春具
  とて多ちぬ連ハ本ろ/\となきてこの
0143【このきみ】−近ー詞
  多ちさへみな春けなく志多まふ尓多ゝ御前
  御心能あ者れ尓おハしませハさふら婦なりとていと
  可やすくいそ志くらうわらハへなとの徒可う満
  つり堂らぬさうやくをも多ちハし里やすく
  満とひありきつゝさしを徒くしてミや徒可へ
  しありきていしの可ミ丹をれをし多
  まへとせめきこゆ連ハあさましうい可尓おもひ
  ていふことならむとおほ春尓もい者れハ春」(31オ・909E)

  おとゝこのゝそミ越きゝ多満ひていと者なや可
0144【おとゝ】−致ー
  尓うちわらひたまひて女御可多尓満いり
0145【女御の御かたに】−致ー
  まへるつゐて尓いつらこのあふミのこ那
  尓とめせハをといと遣さや可尓きこえていて
  き多りいとつ可へ多る氣わひおほや氣
0146【いとつかへたる】−致ー詞
  尓て氣丹い可尓あひ多らむいしの可見のとハ
  なと可をの連尓登くハも能せさりしといと満め
  や可尓の多まへハいとうれしとおもひて佐も
0147【さも御けしき】−近ー詞
  氣しき多満者らま本しうし可とこの
  とのなをの徒可らつ多へきこえさせ」(31ウ・909K)

  な(な#)むとなと(なと$)堂のミふくれてなむさふらひ
  徒るをなるへきも能したまふやう尓き(+き(朱))た
  まふ連ハゆめ尓とみし多るちし者へりて
0148【ゆめに】−邯鄲枕
  な無ね尓てをゝき多るやう尓たまふ
0149【むねにて】−胸フサカル心
  志多ふりいとさハや可なえみぬへきを
  むしていとあやしうおほつ可なくせな
  や佐もおほしの多まはハまし可ハまつのさ起
  尓そうしてましおほきおとゝのむ春め
0150【おほきおとゝの】−致ー詞 源ー
  やむことなくとも古ゝ尓せち尓さむことハ
  きこしめさぬやうあら佐らましいま尓ても」(32オ・910C)

  ふミをとり徒くりてひゝしう可起い多されよ
  な可う多なとの者へあらむを古らんせむ尓ハ・
  春てさせハしうへハそうち尓なさ氣春
  て春お者しませハないとようす可したま
  婦能おや遣な可多ハなりやとう多ハあし(+/\(朱))
0151【山とうたは】−近ー詞
  し(し(朱))もつゝ遣むね/\しき能こ登
0152【むね/\しき】−宗
  ハ多とのよりさせ多満ハゝ徒まこえ能やう
0153【つまこえ】−我意を人ニいはせ添ニハいふ也
  尓てとくをも可うふりハへらむとててをゝし
  春りてこ盈ゐ多り見きのうしろなと尓
  てきく女房しぬへくおほゆ王らひ尓多へ」(32ウ・910H)

  ぬハ春へりいてゝななくさめ个る女御
  もてあ可ミてわりなうみくるしとおほし多り
  とのもも能むつ可しきおりハあふミのみる
  こよろつま起る連とて堂ゝわらひくさ尓
  徒くりへと者ち可てらハしたなめた多
  まふなさ満/\いひ个り

自本
源氏卅六歳ノ十二月ノ事并明年の二月まてノ事有以哥
為巻名竪並也」(33オ・911@)

【奥入01】仁和二年十二月十四日〔戊/午〕寅四剋行幸芹河野
    用鷹鷂也式部卿本康親王常陸太守貞
    固親王太政大臣〔藤原/朝臣〕左大臣〔源朝臣〕右大臣〔源朝臣〕
    大納言藤原朝臣〔良世〕中納言源朝臣〔能有〕在原朝臣〔行平〕
    藤原朝臣〔山蔭〕已下参議皆扈従其狩猟之儀
    一依承和故事或考舊記付故老口語而行事
    乗輿出朱雀門留輿砌上勅召太政大臣云
    皇子源朝臣定ー宜賜佩釼太政大臣傳
    勅定ー拝舞輿前帯釼騎馬皇子源
    朝臣正五位下藤原時平着摺衣午三剋
」(34オ)

    亘猟野於淀河邊供朝膳〔行宮在泉川鴨川/宇治河之會〕
    海人等献鯉鮒天子命飲右衛門督
    諸葛朝臣奏歌天子和之群臣以
    次歌謳大納言藤原朝臣起舞未二剋
    入猟野放鷂撃鶉如前放隼
    撃水鳥坂上宿祢ム献鹿一太政大臣
    馬上奏之乗輿幸於左衛門権佐高経別
    墅供夕膳高経献贄勅叙正五位下太政
    大臣卒高経拝舞
(戻)」(34ウ)

二校了(朱)」(表表紙蓋紙)


ひて可流/\しかるへ
  きゝれかのおとゝな丹こと尓つけて
0005【かのおとゝ】−致ー
  者き者志う春古しもか多者なるさ満能
  こと越おほし志の者すなとも能したま婦
  さ満をさてひく満な具氣さや可なる
  もてなしなとのあらむ丹徒遣てハおこ可満し
  うもやなお本し可へさふ能志者す尓大原」(1オ・885@)
0006【大原野の行幸】−醍醐御門延長六ー十二月五日大原行幸

  行幸とてよ尓こるなくみさハ
  く越六条院よりも可多/\ひきいてつゝ
  み多ま婦う能尓いて多満うて朱雀より
  五條のおほちを尓しさ満尓おれたま婦可徒
  ら可ハのもとまて物見く類満ひまな
  といへと可な春かうしもあらぬを氣ふハ
  みこ多ち可む多ちめもみなと尓むま
  くらを登ゝ能へ春い志んむまそひの可多ち
  多遣多ち佐うそくをかさりたま婦徒ゝめつ
0007【たけたち】−セイ高
  ら可尓お可し左右大臣内大臣納言より志も」(1ウ・885E))

  者多満してのこら春徒可うまつりへり
  をうへ能きぬゑひそめ能志多かさねを
  殿上人五位六位まてき多り多ゝい佐ゝ
  可徒ゝうちゝ里てみちのらさへえむな
  みこ多ちかむ多ちめなとも堂可尓閑可
  徒らひたまへるハめつらしき可りのよそ
  ひとも満う氣古のゑ能堂可ゝいとも
0008【まうけ】−儲ナリ
  ハましてよ尓めな連ぬ春りをみ多れき
0009【めなれぬすり衣】−左鷹飼ハ赤白鶴ハミノ摺衣右青白橡三公卿ミナ布狩衣ニ摺文アリ付餌袋巻冠姿
  徒ゝ个しきとなりめつらしうお可しき
  こと丹き越ひいて徒ゝともな可春」(2オ・885J)

  可なるあしよ者きくる満なと王越おしひ
  志可れあ者れ氣なるもありう起ハしのもと
  なと尓このましう多ちさ満よふよ起く
  流万おほ可りしの多ひ能ひめきみも
0010【にしのたひのひめきみ】−玉
  ちいて多まへりこ者くいとミ徒くし
  へる可多ちありさ満をみみ可との
  あ可多てまつりてうるハしううこ
  可多ハらめ尓な春らひきこゆへ
  わ可ちゝおとゝを志連春め越徒
  遣多てまつりへときら/\しうきよけ尓」(2ウ・886B)

  佐可り尓はも能したまへと可起りあり可しい登
  丹春くれ堂る堂ゝとみえこし能うち
  より本可尓めうつる遍くもあらましてか多
  ちありや可しやなとわ可きこ多ちの
  え可へりう徒春中少将な尓くれの殿上人
  やうのな尓ゝもあら春きえわ多れるハ
  佐ら尓多くひなうおハしますなり个り源氏
  おとゝの可本さ満ハともみえハぬを
  もひなし能い満春古しいつ可しうか多し遣
  なくめて多起なりさハ可ゝる多くひハ者し」(3オ・886G)

  か多可り个りあてなるハみなきよけ尓遣
  ハひことなへいとのミとゝ中将との
0011【おとゝ】−源
0012【中将】−夕

  ほひ尓めな連へるをいてきえともの
  たハなる尓やあらおなしめ者那ともみえ
  春くちおしうそをされ多るや兵部卿宮
0013【兵部卿宮】−蛍
  も者春右大将さハ可りをもり可尓よし
0014【右大将】−ヒケ
  めくも个婦のよそひいとな満めきてやなく
0015【やなくひ】−箙
  ひなおひて徒可うまつりへりいろく路
  具ひ氣可ち尓みえていと心月い可て
  かハ(+(朱))徒くろひ多て多る可本のあひ尓ハ尓多」(3ウ・886M)

  らむいとわりなと越わ可き御心地尓ハ
  としたまうて个りとゝののおほしより
  てのとをい可ゝハあら徒可へハもあ
0016【宮つかへハ】−玉
  らてみくるしきありさ満尓やとおもひ徒ゝ
  ミうをれ/\しき春ちなと越ハ
  者なれておほ可多尓徒可うまつりらむせ
  連んハ可しうもありなむ可しとそより
  多満う个るかうての尓おハしましつきて
  志とゝめ可む多ちめ能ひらハり尓まいりさう
0017【ひらハり】−アクノ座
  そくともな越し可りのよそひなと尓あらた」(4オ・887D)

  めほと尓六条院よりみきく多
0018【六条院より】−模延長六ー六条院ハ宇多御門也今ハ源ー
  多てまつら(△&せへり个ふ徒可うまつりへて(て(朱)花)
  ね个しきあり遣れと御物いミのよしを
  そうせさ勢へり遣るなり个りくら(朱))
0019【左衛門のせうを】−是ハ模延長四ー小野行幸
  衛門せうをつ可ひ尓てきしひとえ多た
0020【ひとえた】−梅作枝紅葉等ヲシ折也不付一双産所へ遣根引松雀付竹
  てまつら多ま婦おほせと尓ハな尓と可や
  さやう能おりのま年ふ尓王つらハしく
0021【さやうのおりのこと】−作者詞
  な無
    雪深きをしほのきし能
  ふるきをも个婦ハ太政大臣可ゝる」(4ウ・887J)
0022【太政大臣の】−光孝ー仁和二ー十二月昭宣基経太政大臣奉供

  の行幸徒可うまつりへるためしなとやあ
  里个むとゝ徒可ひを可しこまりもてなさせ
0023【かしこまり】−不参故也
  
    小塩山みゆき徒も連る松原尓个ふ者可
0024【小塩山】−源氏返し
  里なるあとやな可らむとろをひきゝ
0025【そのころをひ】−作者詞
  志こと能ハ/\いてら類ゝハひ可こと尓やあ
  らむおとゝ尓しのたい尓のふうへハ
0026【おとゝ】−源
0027【にしのたい】−玉

  み多てまつり多まひきや可能ことハお本しな
0028【かのこと】−参内
  ひきぬらんやときこえへり志ろき志き
0029【しろきしきしに】−源ヨリ
  志丹いとうちとけ多るふミこま可尓氣しき」(5オ・888B)

  者みてもあらぬ可可しきをみ多まうてあい
0030【おかしきを】−源氏文也 詞のおほき也
  な能ことやとわらひたまふ可らよくもお
  ハ可ら給物可なとおほ春御返尓きのふハ
    うちきらしあさくもりせしミ耳ハ
0031【うちきらし】−玉かつら文返し
  さや可尓や者みしおほつ可な
  こととも尓なむとある越うへもみ多まふ佐ゝ
0032【うへも】−紫
  のことをそゝの可しかと中宮可くてお者す古ゝ
0033【中宮】−秋
  な可らのおほ盈尓ハひな可るへし可能おとゝ耳
0034【かのおとゝ】−致
  志られても女御可くてさふらひへハな
0035【女御】−弘ー
  堂るめりし春ちな王可さもな連徒」(5ウ・888G)

  かうまつらむ丹ハゝ可るおもひな可らむハうへを本
  のミ多てまつりてえ可け者なれてふハあ
  らしとのへハあなう多てめて多しとみ多て
  まつるとももてつ可ひ多ゝむこいと
  佐し春起多るならめとてわらひたまふいてそ
  こ尓しもめてきこえた万者むなと能多
  まふて又御返
    あ可年さす尓くもらぬをなとて
0036【あかねさす】−源氏
  ミ尓め越きらし个無な越おほし堂て
  なと多えす春ゝめとてもかうてもまつ」(6オ・888M)

  もきのこと越こハとおほしてそのまう
  氣能てうと能こ満可なるきよらとも
  者へさせたまひな尓くれのきしきを御心
  尓ハいとも(+も)ほさぬこと越多尓をのつ可らよ多
0037【よたけく】−長ー
  遣くい可めしくなる越ましてうち能おとゝ
  (+(朱))や可てこのついて尓や志らせ多てまつりて
  ましとお本しよれハいとめてたうまて(うまて$(朱)
  なむとし可へりて二月尓とおほ春をむなハき
  古え多可くかくし堂まふへきほとならぬ
  もむ春めとてこもりお者するほとハ可な」(6ウ・889E)

  ら春志もうちかミの徒とめなあらハならぬ
  本とな連(△&連)ハこ・としハまきれ春くしこの
  もしおほしよ流こともあら無尓ハ可す可能可み
  の御心た可ひぬへきもつ井丹ハかくれてやむま
  志き可らあちきなくわさと可ましき能ち
  まてう多ゝあるへしな越/\しき
  者こい満やうとてハうちあらたむる
  ことのたハや春き裳あれなお本しめくら
  春尓おやこ能ち起り多ゆへきやうな
  なしくハ我心ゆるしてを志らせ多てまつら」(7オ・889K)

  むなおほし佐多めてこのこしゆひ尓ハ可能
  おとゝをな無せうそこきこえふ个れハ
  大宮こそ能ふ遊徒可多よりなやミたまふこと
  佐ら尓をこ多りたまハね者可ゝ流尓あ者せて
  ひな可るへきよしきこえへり中将
  よるひる三条尓そ佐ふらひひまな
  くも能したまうておりあしきをい可尓せ
  志とおほ春よもいと佐多めなもう勢
  させハゝふくあるへきを志ら春可本尓て
  も能し者む徒ミ布可きことおほ可らむお」(7ウ・890B)

  ハするこのとあらハしてむとおほしとり
  て三条とふらひ可てらわ多りたまふ
  いまはまして志のひや可尓布るまいたまへと
  みゆき尓おとら春よそ本しくいよ/\ひ可りを
  のミそ可多ちなと能この尓みえぬ
  ちしてめつら志う多てまつり尓ハいとゝ
  こゝち能なやまし佐もとりすてらるゝ
  ち志てお起いへり遣うそく尓可ゝりてよ者
  遣な連とといとよくきこ盈遣志うハ
  お者しまさ佐り遣るをな尓可しのあそむの」(8オ・890H)
0038【なにかしのあそむ】−夕

  ま登ハしておとろ/\しうけきゝこえ
  さすめれハい可やう尓さ勢たまふ尓可登な
  むおほつ可な可りき古えさせ徒るうちなと尓
  もとなる徒いてなき可起りハまいらすおほ
  や遣尓徒可ふるともくて古もり者へ連者は
  よろつう井/\しうよ多遣くなり尓て者へ
  里よ者ひなとこれより満さる古し多へぬ
  まてかゝまりありく堂めしむかしもいまも
  ハへめれとあやしくおれ/\しき本上そふ
  ものう佐尓なむ者へる遍きときこえと」(8ウ・890M)
0039【としのつもりの】−大宮詞

  志能つもりのなやみとおもふへ徒ゝろ尓
  なりぬるを古としとなりてハ堂のミすく那
  きやう尓おほえ者へれ者い満ひと多ひ可く
  み多てまつりきこえさすることもくてや
  とほそ具多まへ徒るを遣婦こ春こ
  志のひぬるちし者へ連い満ハおしミとむへ
  き本と尓も者へら春さへき/\尓も多ち
  をくれよ能春ゑ尓のこりとまれる多くひを
  能うへ尓ていと心月つき(朱))なしと者へ里し可は
  いて多ちいそきをな無おもひもよを佐連」(9オ・891E)

  者へる尓この中将能いとあ者れ尓あやしき
  まておもひあつ可ひ越さ者可い多まふ
  者へる尓なむさ満/\尓可遣とめられていまゝ
  てな可ひき者へるとゝなき尓な起て
  ゑのわなゝくもおこ可満し个れとさ流こ
  とゝもれハいとあ者れなり御物可多りとも
  む可しいま能とりあつめき古えたまふつい
  て尓うち能おとゝ者遍多て春満いり堂
0040【うちのおとゝ】−源詞
  ま婦ことし遣可らむをかゝるついて尓たいめむ
  のあらハい可尓うれし可らむい可てきこえ志ら」(9ウ・891K)

  せんとふことのさるへき徒いてなくて
  ハいめんもあり可多个れハおほつ可なくて
  むときこえたまふおほや遣ことの志けき
  尓やわ多くしの佐し能ふ可ゝらぬ尓や佐しも
  とふらひも能し者へら春のたま者春遍可らむ
  こと者な尓さ満の古と尓可ハ中将能うらめし
  遣尓おも者れ多る古とも者へるをハしめの
  ことハ志ら年といま者遣尓きゝ尓くゝもてな
  尓つけて多ちそめ尓のとり可へ佐るゝ
0041【たちそめにし】−(朱合点) 古今 村鳥のたちにし我名今更に(古今674・新撰和歌272・古今六帖4330、異本紫明抄・河海抄・孟津抄・岷江入楚)
  もあら春おこ可満しきやう尓可へりてハよ」(10オ・892B)

  もいひもら春なるをなとも能志者へ連ハ
  多てたるむ可しよりいとゝ遣可多起
0042【たてたる所】−致ー
  尓てえ春なんミふるとこ能中将
0043【この中将】−夕
  とゝおほしての(+)まへハうち王らひいふ可ひ
0044【うちわらひ給て】−源ー
  なき尓遊るして(て(朱))春てたまふこともやときゝ
  者へりて古ゝ尓さへな可春めやうありし可
  といときひしういさめよしを見侍しの
  ちにゝさ満てとをもませ者へり个むと
  王るうくいおもふたまへてなむよろつ
  丹徒遣てよめといふことは遍連盤い可ゝハ」(10ウ・892H)

  佐もとり可へし春ゝい多満ハさらむとハたまへ
  な可らかうくちおしき尓こりの春ゑ尓まち
  とりふ可う春むへきいてきか多可へい
  よな連な尓こと尓つけて春ゑ尓なれ盤
  ちゆく个ちめこそや春く者へめれいとほし
  うきゝたまふるなたまうてさるハ可能し
  里へきをなむおもひ満可ふること者へり
  て布い尓多つとりて能おりハさる
0045【ふいに】−不意
  ひ可わさともあ可しら春ありし可ハあな
  ち尓ことのを多つかえさふ者へら」(11オ・893@)

  て堂ゝ佐るも能ゝくさのすく那きをかこ登
  尓てもな尓可ハとおもふたまへゆるしてさ/\
  むつひもみ者へら春してとし者へり徒る
  をい可て可き古しめし个むうち尓おほせ
  類ゝやうなむあるいしの可みミや徒可へする
0046【ないしのかみ】−尚侍
  な具てハかのまつりこしとけな
0047【かの所】−賢所
  女官ともおほや遣こと越△(△#)徒可うまつる耳
  堂つなくとみ多るゝやう尓なむあり遣
  類を堂ゝい満うへ尓さ婦ら布古らうの春け
  二人さるへき/\さ満/\尓さする越」(11ウ・893E)

  ハ可/\しうえら者せ堂満者む多つ
  くふへきなむないへ多可ふのおほえ
  可ろ可らていへ能いとなミ多て多らぬひとなむ
  い尓しへよりなりき尓遣る志多ゝ可尓かしこき
  か多能えらひ尓てハらてもとし
  らう尓なりのほる堂くひあれと志可たくふ
  へきもなしとならハおほ可多のおほえを多尓
  えらせ多満ハんとなむうち/\尓おほせられ
  多りしをに遣なとゝ志もな尓可ハおもひた
0048【にけなきこと】−御返ニ
  ま者む徒可へハさるへき春ち尓て」(12オ・893K)

  もひをよ飛いて多つ多可きとな
  おほや氣さ満尓てさるとをつ可さとり
  まつりことのおもふきを志多ゝめ志らむことは
  者可/\し可らすあ者つ氣きやう尓おほえ多
  連となと可佐しもあらむ多ゝわ可能あり
  さ満可らこよろつと者へめれとよ王り
  し徒いて尓な無よ者ひのほとなとゝひ
0049【よはひの】−玉
  きゝ者へ連ハ可能のおほ無多つあへいこと耳
0050【おほむ】−御
  なむあり遣るをい可なへいことそとも
  きらめま本しう者へる徒いてなくてハ堂い」(12ウ・894C)

  めへきら春や可て可ゝ流ことなんとあ
  らハしへきやうをめくらしてせうそこ
  まう志ゝをなやみ尓ことつけてものうけ尓
0051【御なやみに】−三条
  春まひ多満へりし遣尓おりしもひんなう
  おもひとまりよろしうものせさせ个れ
  ハ可うおもひおこせる徒いて尓となむおもふ
  ふるさやう尓つ多へも能せさせたまへときこえ
  い可尓/\遣ること尓可かしこ尓者
0052【宮いかに/\】−三条詞
0053【かしこには】−致ー

  さ満/\尓可ゝ流なのり春るをいと婦ことな
  くひろいあつめらるめる尓い可なる尓て可く」(13オ・894H)

  ひき多可へ可こちき古盈羅るらむこ能とし
  ころう遣堂ま者りてなりぬる尓やときこえ
  たまへハさるやう者へることなくハしきさ
0054【さるやう】−源
  まハか能おとゝもをのつ可ら多つ年きゝ多
0055【かのおとゝも】−致ー
  まうてむく多/\しきな越能な可らひ
  尓ゝ多ること尓者へ連者あ可さん尓つけてもらう
  可者しういひつ多へ者へらむを中将
0056【中将】−夕ー
  そん尓多尓ま多王きまへ志らせ者へら春
  尓ももらさせましとくちか多めきこ盈
  多まふうち能おほ井と能可く三条尓」(13ウ・895@)
0057【うちのおほゐとの】−致ー

  きおとゝわ多りお者し満い多るよしきゝ堂
0058【大きおとゝ】−源ー
  ひてい可尓さひし遣尓ていつく(く(朱))しき
0059【いかにさひしけにて】−致ー詞
  まちう遣きこえらむこせんとも
  て者やしましひき徒くろふ者可/\
  志うあらしかし中将とも尓こも能せ
0060【中将】−夕
  連徒らめなとおとろきふてとも
  の多ちむ徒ましうさるへきまうち
0061【まうち君】−五位以上ヲ云大夫達〔マウチキン〕
  多ち多てまつ連く多物御みきなさり
  ぬへく満いらせよ徒可らもまいるへきを
  可へりてさハ可しきやうならむなと能多」(14オ・895F)

  ま婦本と尓大宮ふミあり六条とゝ能
0062【大宮】−三条
0063【六条のおとゝの】−詞

  とふらひ尓わ多りたまへるをさひし遣丹
  連ハめ能いとおしうもか多し遣なうもある
  をと/\しうかうき古え多るやう尓ハ阿ら
  てわ多りなんやいめむ尓き古えま本し
  遣なる古ともあなりときこえへりな尓
0064【なにことにかは】−致ー詞
  と尓可ハあらむこのひめ中将
0065【この姫君】−雲井ー
0066【中将】−夕

  うれへ尓やとおほしまハす尓かう御世
  里な氣尓てこのとゝせち尓の多まいとゝ
  もく可らぬさ満尓ひとことうちいてうらミた」(14ウ・895K)

  満者む尓と可く可へさふことえあらし可し
  れなくておもひい(ゝ&い)連ぬをみる尓ハや春可らすさる
  へき徒いてあらハと尓なひき可本尓て
  ゆるしてむとおほ春御心を佐しあ者せて
  たま者むことゝおもひよりたまふ尓いとゝいな
  可らむ可と可さしもあらむとや春ら
  者るゝいと遣し可らぬあや尓り可し
  されと可くの多まひとゝもたいめむ春
0067【宮】−三条
0068【おとゝも】−源ー

  へくまちお者する尓やか多/\尓可多し遣な
  まいりてこそハ遣しき尓志多可ハめな登」(15オ・896C)

  おも本しなりてさうそと尓ひき徒く
  ろ日てこせんなともと/\しきさ満耳ハ
  あらてわ多りたまふ多ちいとあま多ひき
  つれていり多まふさ満も能/\しうたのもし
  遣なり多け多ちそゝろ可尓能したまふ尓
  ふと佐もあひていと志うとく尓おもゝちあゆ
0069【しうとく】−宿徳
0070【おもゝち】−面持
0071【あゆまひ】−歩体也

  まひ大臣とい者む尓多らひたまへりゑひそ
0072【ゑひそめ】−[艸+補]ー
  能佐しぬきさくら能可さ年いとな可うハ志
  里ひきてゆる/\とこと佐らひ多るもてな
  あなきら/\志とみえたまへる尓六条とのハさ」(15ウ・896H)

  くらの可ら能きの越しいまやういろのそひ
  き可さ年て志とけなきおほ春可多いよ/\
  たとへんひ可りこそ満さりかう志多ゝ
  可尓ひき徒くろひへるありさ満尓すら
  へてもみえ多満ハさり个りきみ多ち徒き/\
  尓いときよけなる可らひ尓て徒とひ
  里藤大納言春宮大夫い満ハきこゆる
  こともゝみな那りいてつゝも能したまふをの徒可ら
  わさともなおほえた可くやむことな殿
  上人くらひとのとう五位くら近衛」(16オ・897@)

  少将弁官可ら者那や可尓あるへ可しき
  徒とひたまへ連はい可めしうつ徒き/\
  のもおほくて可ハら遣あま多ゝひな
  可れみなゑひ尓なりてをの/\かうさい者ひ
  春くれへるありさ満を可多り尓志け
  里おとゝもめつらしきたいめん尓む可し能
  ことお本しいてら連てよそ/\尓てこそ者可
  なと尓つけていとましき御心婦へ可
  めれ佐しむ可ひきこえてハ可多み尓い登
  あ者れなることの可す/\おほ本しいてつゝ連いの」(16ウ・897F)

  へ多てなくむ可しい満のとゝもとしころ能
  御物可多り尓くれゆく可者ら遣なと春ゝめ
  まいりたまふさふら者てハあし可りぬへ可り个る
0073【さふらはてハ】−致ー詞
  をめしなき尓者ゝ可りてうけ多満者りすく
  志てまし可ハかうしやそハましとたまふ
0074【御かうし】−考事
  尓可む多うハこな多さ満尓なむ可うしとおも
0075【かうしと】−源
  とおほく者へるな氣しき者みたま
  このと尓やとおほせ王つらハしうて可し
0076【このこと】−雲ー
  こまり多るさ満尓ても能したまふむ可しより
  おほや遣王多くしのと尓つけての遍多て」(17オ・897L)

  なく大小能ことき古えうけ多満者り
  ねをなら婦るやう尓ておほや遣のうし
  ろミをも徒可うまつる登なむおもふたまへし
  を春ゑ能よとなりて能可ミたまへし
  いなきやうなることうちまし里者へれと
  ちうちの王多くし古と尓こそハおほ可多の
  しハさら尓うつろふことなくなむな尓ともな
  くて徒もり者へるとしよ者ひ尓そへてい尓
  へのとなこひし可り遣るをいめん者る
  こともいとまれ尓のミ者へ連ハと可起りありて」(17ウ・898C)

  よ多个起ふるまひとハ多まへな可ら志多し
  きほと尓ハいきをひをもひき志ゝめ
  たまひてとふらひも能し堂満ハめとな
  むうらめしきおり/\者へるときこ盈堂
  まへハい尓しへハ遣尓おもなれてあやしく多
0077【おもなれて】−忍
  堂いしきまて連さふらひ尓へ多つるこ
  なくらむせられしをおほや遣尓徒可うま
  徒りしき者ゝ者年(+(朱))ならへ多る可す尓
  者へらてうれしき可へりみをこ者可/\
  志可らぬ尓て可ゝるくら井尓をよひ」(18オ・898I)

  や遣尓徒可うまつり者へること尓そへても
  ふたまへ志らぬ尓ハ者へらぬをよ者ひのつ
  り尓ハ遣尓をのつ可らうちゆるふこと能ミな
  むおほく遣るな可しこまり満うしたまふ
  そ能ついて尓ほのめ可しいてて个りとゝ
0078【そのついてに】−源ー
0079【ほのめかしいて】−玉かつらの君の事
0080【おとゝ】−致ー

  いとあ者れ尓めつら可なること尓可なまつ
  うちなの可見よりい可尓なり耳
  个むと堂つおもふたまへしさ満ハな尓の
  ついて尓可个むうれへ尓多へ春もらしきこし
  めさせしちなむしい満可く春古し」(18ウ・899A)

  可春丹もなり者へる尓徒氣て者可/\し可らぬ
  も能ともか多/\尓つけてさ満よひか多
  く那し具みくるしと見侍尓つけてもさる
  さ満尓て可春/\尓徒らねてハあ者れ尓おもふた堂
  まへらるゝおり尓そへてまつな多まへ
  いてらるゝと能多まふ徒いて尓可のい尓しへ農
  あまよ能可多り尓いろ/\なりしむつ
  の佐多め越おほしいてゝ起ミ王らひミみなうち
  み多れたまひぬい多うふけてをの/\あ可れ
  たまふかくまいりきあひてさら尓ひ佐しく」(19オ・899F)

  なりぬるよ能婦ることおもふた(ふた&ふた)まへいてら連
  こひしきとの志能ひ可多起尓多ちいてむ
  ちも志者へらすとてさ/\よハくおハし
  満さぬ六条と能もゑいなき尓やうち志本れ
  たまふ者多満いてひめと越お本し
0081【ひめ君の御こと】−あふひの上の御事也
  い徒る尓ありし尓満さるありさ満いきをひ
0082【ありしにまさる】−\<朱合点> 伊勢 出ていなハ誰かわかれのかたからん有しにまさるけふハかなしも(伊勢物語77、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・孟津抄)
  を多てまつり多まふ尓あ可春可なしくて
  とゝめ可多く志本し本となきたま婦あ満ころも
0083【あまころも】−大宮
  ハ遣尓となり个り可ゝるついてなれと中将
0084【中将】−夕ー
  とをハうちいて多満者すなりぬひとふしよう」(19ウ・899L)

  いなしとおほしをきて个れハくちいれむことも
  王るくお本しとゝめ可能おとゝ者多
  个しき起尓佐し春くしか多くてさす可尓
  む春ほゝ連多るちしたまう个りこよひも
  とも尓さふら婦へきうちつけ尓さハ可しく
  もやとてな个婦の可しこまりハと佐ら尓
  なむ満いるへく者へるとまうしたまへハ佐らハ
  このなやミもよろしうみえたまふを可な
  春きこえし多可へさせ者す王多りへき
  よしきこ盈ちきりたまふ个しきとも」(20オ・900D)

  ようてをの/\いてたまふひゝきいとい可めし
  きみ多ちのともの/\な尓ことありつる
  らむめつらしきたいめ尓いと个しきよけ
  り徒るハい可なるゆつりあるへき尓可那と
0085【いかなる御ゆつり】−この事ハしらす雲井の雁の事とひか心えたる人々ハおもふ也
  ひ可越えつゝ可ゝる春ちと(+ハ)おもひよらさり
  个りとゝうちつけ尓いといふ可しうもとな
  おほえたまへとふとし可う遣とりおや可らむ
  もひな可らむ多つ年え多まへらむハしめを
  おもふ尓佐多めてきようみ者なハし
  やむことな可多/\を者ゝ可りてうけ者りて」(20ウ・900J)

  そハ尓はもてなさ春佐春可尓王徒ら
  ハしうき古え越可くあ可したまふ
  なめりとおほ春ハくちおし个れとれをき
  春登すへきと可ハ古と佐ら尓可能あ多
  里尓ふ連者ハせむ尓なと可おほえのおとら
  む徒可へ佐万尓おもむきたまへらハ女御
  なとのおほさむこともあちきなしとおほせ
  とゝもかくもおもひよりの者むをきてを
  可ふへきと可ハとよろつ尓お本し个り可くの
  まふハ二月徒い多ちころなり个り十六日ひ」(21オ・901B)

  可むのハしめ尓ていとよ起り个りち可う
  よきひなしとかう可へ遣るうち尓(+(朱))よろしう
0086【宮】−大宮
  おハしませはいそき多ちたまうて連い農
0087【れいの】−源
  わ多り多満うてもおとゝ尓あらハしゝさ満な
  いとこま可尓あへきこと登もをしへきこえ
  たまへハあ者れなる御心者おやときこえ那可
  らもあり可多可らむをとおほ春可らい登
  なむうれし可り个る可くてのちハ中将
0088【中将の君】−夕ー
  尓も志のひて可ゝることののたまひ志らせ
  里あやしのことゝもやむへなり个りとおもひあ」(21ウ・901G)
0089【あやしのことゝもや】−夕ー心

  者春ることゝもある尓かのつれな
0090【つれなき人】−雲ー
  ありさ満よりももあら春ひいてられ
  ておもひよらさり遣ることよと志れ/\しき
  ち春されとあるましうちき(き$希(朱))多るへき本
  となり个りとおもひ可へ春ことこそハありか
  多まめ/\しさなめれかくてそ
  なりて三条より志のひや可尓徒可
  ひありくし能者はこなに者可なれとこ
  ともいときよら尓志多まうてふミ尓はき
  こえむ尓もいま/\しきありさ満を个ふハ志」(22オ・901M)

  のひこめれと佐る可多尓てもな可き多めし
  者可りをおほしゆるすへうやとてなあ者
  連尓う遣多満者りあきらめ多る春ちを
  可遣きこえむもい可ゝ个しき尓志多可ひて
  な無
    ふた尓いひもてゆ遣ハくし氣
0091【ふた方に】−大宮
  わ可者なれぬ可けこなり个りといとふるめ
0092【かけこ】−いつれに孫なり
  可しうわなゝきたまへるをとの裳こな多尓
0093【との】−源
  おハしましてことし(し$と(朱))もらむし佐多むる
  れハみ多まうてこ多いなるふミ可き」(22ウ・902D)

  な連といた多しやこのてよむ可しハ春尓
0094【いたしや】−いたましき心也
  も能したま遣るをとし尓そへてあやしく
  おいゆく尓こあり个れいと可らくてふる
  ひ尓个りなうち可へしみ多まうてよくもた
  まくし遣尓まつ者れ多る可な三十一字能な可尓
  こともしハ春くな具へ多ること能可多起な
  と志のひて王らひたまふ中宮より志ろき
0095【中宮】−秋
  可らきぬさうそくくしあけのくな
  いとになくて連いの徒本とも尓から能多起
  と尓可本りふ可くて多てまつりへり可多」(23オ・902J)

  可多みな/\尓佐うそく/\能れう尓
  志あふきまてとり/\尓志いてへるありさ満
  おとりまさら春さ満/\尓つけて可ハ可りの
  者せともいとミ徒くし多まつ(つ$へ(朱))連ハ可し
  うみゆるをひむ可しの/\も可ゝるいそ
  きハきゝ多満う个れともとふらひきこえ
  へき可春なら年者ゝきゝすくし多流尓
  ひ多ちの御方あやしうも能うるハ志う
  さるへきとのおり春くさぬ古多いの御心尓て
  い可て可このいそよそ能ことゝハきゝ春」(23ウ・903B)

  くさむとおほして可多のとなむ志いて多満
  う遣るあ者れなる御心佐しなり可しあ越尓ひ
  のほそ可ひとかさ年おちくりと可やな尓
0096【おちくりとかや】−こキ紅のくろミ入タルヲ云ヘシ
  む可しののめて多う志けるあ者せの
0097【あはせ】−裏面アリ紅
  一具むらさ起の志△(△#ら(朱墨))起りみゆるあられち
0098【しらきり】−シラミタル
  能こうちきよきころ者こにい連
  て徒ゝミいとうるハしうて堂てまつれ堂満
  へりふミ尓ハ志ら多まふへき可す尓
  ね徒ゝまし个れとかゝ流おりハおも多まへ
  志の日可多くなこれいとあやし个れと尓も」(24オ・903H)

  多満者せよとおひら可なりと能らむしつけ
0099【おひらかなり】−文ノかきさまを云
  ていとあさましう連いのとおほ春尓可本あ
  可ミぬあやしき布る尓こそあ連可くつゝ
  みし多流ひきいり志つ多るこそよけ
  連さす可尓者ちかましやとてとハ徒可ハ
  せハし多なくおもひなちゝみこ能いと可な
  志う志多まひ个るおもひいつ連ハ尓おとさむ
  ハいとくるしき人也とき古えたまふこう
  ちきのたもと尓れいのおし春ちのう多あ
  里个り」(24ウ・903M)

    我身連个れ可ら衣君可たもと尓
0100【我身こそ】−末摘
  な連春とおもへハおほむてハむ可し多尓あり
  志をいとわりなしゝ可みゑりふ可うつよう
0101【しゝかみ】−チヽミタル也
0102【ゑりふかう】−字エリ入タル様也手家ヲ入木ト云無心也

  可多う可きたまへりとゝ尓くき可し
  さ越ハえねんし者てこのう多よミつらむ本
  とこましていまはち可らくてところせ可り
  个むといとおし可りたまふいてこのさハ
  可しうとも王れせんとのあやしう
0103【われ】−源ー
  のおもひよるましき御心者へこあらてもあ
  里ぬへ个れとくさ尓可起多まうて」(25オ・904F)

    唐衣又可らからろも可へ春/\も
0104【唐衣】−源氏 末摘の三度まて唐衣と読たまへる故ニ嘲弄の哥也
  可らなるとていとまめや可尓かの能多てゝ
  このむ春ちなれハも能して者へるなりとて
  みせ多てまつりたまへハきミいと尓本ひや可尓
0105【きみ】−玉
  わらひたまひてあないとおしろうし多るやう
  尓も者へる可なくるし可りようなしこ登
0106【ようなしこと】−唐衣ト云文字ノ多事也
  いとおほ可りやうちのおとゝハ佐しもいそ可連
0107【うちのおとゝ】−致ー
  たまふましき御心れとめつら可尓きゝたまふ
  志のちハいつし可と御心尓可ゝり多れ者とくま
  いりへりきしきとあへい可起り尓春起」(25ウ・904L)

  てめつらしきさ満尓志なさせたまへり遣尓わさ
  とこゝろとゝめたまふ遣ることゝみ多ま婦も
  か多し遣な可らやう可ハりておほさる
  のとき尓てい連多てまつりたまふ連いの
  まう遣越ハさるうち能おましいと耳
  なく志つら者せ多まうてさ可なまいらせ多
0108【御さかな】−ミ
  まふとなふら連いの可ゝるよりハ春こし
  ひ可りみせてお可しき本と尓もてなしき
  えたまへりいみしうゆ可しうき古えへと
  こよひハいとゆくり可なへ个れ者ひきむ春ひ」(26オ・905C)
0109【ゆくりかなへけれは】−不意とかけり心なきやうなる心なるへし
0110【ひきむすひたまふほと】−裳のこしをゆふなり

  たま婦ほとえ志のひ多満者ぬ个しきなり
  あるしのとゝこよひハい尓しへさ満のことハ閑
  氣者へらねな尓のあやめもわ可せ多まふ
  ましくな無志らぬめを可さりてよ能
  つ年のさほうにときこ盈け尓佐ら尓き
  古えさせやるへき者へら春な可ハら遣満
  いるほと((朱)かきりなき可しこまりをハよ尓ためし
  なとゝきこえさせな可らい満ゝて可く志の
  ひこめさせ个るうらミ裳い可ゝそへ者へらさら
  むとこえ堂まふ」(26ウ・905I)

    うらめしや興津玉も越か徒くまて
0111【うらめしや】−致仕 後 何せんにへたのみる目ヲ思けん奥津玉もをかつく身にして 黒主(後撰1099・古今六帖3338、花鳥余情・孟津抄・岷江入楚)
  可くれ个るあまのよとてつゝミもあへ春
  本多れたまふひめハいと者つ可しきさ満
0112【ひめ君】−玉かつら
  とも佐し徒とひつゝましさ尓えきこえ
  堂満者年ハ殿
     よるへなミ可ゝるなきさ尓うちよ勢て
0113【よるへなミ】−源氏
  あまも多つ年ぬもくつとそみしいと王りな
  うちつけこと尓なんとき古え多満へ者いと
  ことハり尓なんときこ盈や流くていて
  たまひぬみこ多ちつき/\/\こるなく」(27オ・906A)

  徒とひたまへ里けさうもあま多まし里
0114【御けさう】−仮粧
  多まへ連ハ古のとゝ可くいりおハしてほ登
0115【このおとゝ】−致ー
  布るをい可なること尓可とう多可ひたまへり
  可能とのゝきむ多ち中将能きみハ可りそ
0116【中将】−柏
0117【弁のきみ】−紅ー
0118【ほのしり給へりける】−玉

  の志りへり遣る志れ春おもひしこと越可ら
  うれしうもおもひなりたまふハよくそ
  ちいてさり个ると佐ゝめきてさ満ことなる
  おとゝ能このみともめり中宮多くひ
0119【おとゝの】−源氏
0120【中宮】−秋ー

  尓志多てたま者むとやおほ春羅むなをの
  をのいふよしをきゝたまへと志ハしハ御心徒」(27ウ・906F)
0121【猶しハしハ】−源詞

  可ひ志多まう亭よ尓志りなさ満尓もて
  なさせたまへな尓こともや春起ほと能
  み多り可ハしう登もかくもハへ遍可めれこな多を
  も多をもさ満/\能(能(朱))のきこ盈なや満
  さむ堂ゝなむよりハあちき起を多ら
  可尓やう/\めをもな春なよきこと尓
  ハ者へるへきたまへハ堂ゝもてなし耳
  なん志多可ひへきかうまて古らむせ
  あり可多き者くゝミ尓かくろへ遣るもさ起
0122【かくろへ侍ける】−玉
  の能ち起りをろ可なしとたまふ」(28オ・906L)
0123【御をくり物】−自源致ー

  をくり佐ら尓もい者すゝへてひきいて
  ろくとも志那/\尓つけて連いあること可起
  里あれととく者へ尓なくせさせ堂まへり
  おほやみ尓ことつけ多満うしこりも
  あれハと/\しきあそひなとハな兵部卿
  のいまハことつけやりへきとゝこ本りも
  きをと越り多ちきこえへとうちより
  个しきあるこ可へさひそうしま多おほせ
  こと尓志多可ひてなとさ満のことハとも可く
  も佐多むへきとそきこえさせ遣るちゝ」(28ウ・907D)

  おとゝハ本の可なりしさ満をい可てさや可尓みむ
  な満可多本なるこみえ多満ハゝかうまてと/\
  もて那しおほ佐しな/\もとなうこひ
  きこ盈多まふい満そ可能ゆめも
0124【御ゆめ】−蛍巻
  と尓おほしあ者せ遣る女御者可り尓ハ佐多可な
0125【女御】−弘ー
  と能さ満をき古えふ个りきゝ耳
  志ハしこのとい多佐しとち尓こめたまへと
  ちさ可なも能ハよのり个り志ねん尓いひ
  もらし徒ゝやう/\やうきこえいてくるを可能さ可
0126【さかな物】−サカ/\シ
  なきミきゝて女御のおまへ尓中将少将さふ」(29オ・907I)

  らひたまふ尓いてきて殿む春めまう遣多
0127【殿】−致ー
  まふへ可なりあなめて多やい可なる人二可多尓
0128【二かたに】−源氏 致ー
  もてな佐るら遣ハ可れもをとりはら
  里とあふなけ尓の多まへハ女御可多ハらい多し
0129【あふなけに】−無奥
0130【女御】−弘ー

  とおほしても能もたまハす中将志可かし徒
0131【中将】−柏
  可る遍きゆへこしたまふらさても多可い
  しことを可くゆくりなうちいてふそ
  堂ゝな女房とも(も(朱))こみゝとゝむ連と
  の多まへハあな可満みなきゝて者へりいしの
0132【あなかま】−近
0133【ないしのかミ】−玉

  可ミ尓なるへ可なつ可へ尓いそきいて多ち」(29ウ・908B)

  しことハさやう能御返ミもやとてこそへて
  の女房多ち多尓徒可ふまつらぬことまて
  多ち徒可うまつ連まへの徒ら具おハします
0134【おまへ】−弘ー
  み可くれハみなお(お$本(朱))ほゑミていしの可ミ
  ある(る$可(朱))ハな尓かしこそのそまんとおもふをひ多
0135【ひたう】−非道
  う尓おほし可遣ける可ななとのた多ふ尓者ら
  多ちてめて多起御中可すなハましる
  まし可り个り中将徒らくお者する
0136【中将の君】−柏
  佐可志ら尓む可へたまひて可ろめあさ遣り
0137【さかしらに】−(朱合点) 古今 さかしらに夏ハ人まねさゝの(古今1047・古今六帖213・2707、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  布うせう能え多てるましきと能ゝう」(30オ・908G)
0138【との】−致ー

  ち可なあな可しこ/\と志りゑさ満尓ゐさり志
  そきておこせたまふく遣もな个れといと
  ハらあし遣尓満志りひきあけ多り中将ハ可く
0139【中将】−柏
  いふ尓つけても遣尓しあやまち多ることゝおもへ
  ハまめや可尓ても能し多まふ少将ハ可ゝる閑多
0140【少将】−紅ー
  尓てもたくひなありさ満ををろ可尓
  よもおほ佐し御心しつめたまふてこ可多起い者
  本もあ者ゆき尓なしたまふ徒へきおほむ希
0141【おほもむけしき】−天ー踏堅庭而陥股若沫雪
  志きれハいとようおもひ可なひたまふと起も
  ありなむと本ほゑミていひゐへり中将あ」(30ウ・908M)
0142【あまのいはとさしこもり】−天ー閉天ノ磐戸出居素ー尊兄弟今模之

  ま能い者登佐しこもりたまひなんやめや春具
  とて多ちぬ連ハ本ろ/\となきてこの
0143【このきみ】−近ー詞
  多ちさへみな春けなく志多まふ尓多ゝ御前
  御心能あ者れ尓おハしませハさふら婦なりとていと
  可やすくいそ志くらうわらハへなとの徒可う満
  つり堂らぬさうやくをも多ちハし里やすく
  満とひありきつゝさしを徒くしてミや徒可へ
  しありきていしの可ミ丹をれをし多
  まへとせめきこゆ連ハあさましうい可尓おもひ
  ていふことなむとおほ春尓もい者れハ春」(31オ・909E)

  おとゝこのゝそミ越きゝ多満ひていと者なや可
0144【おとゝ】−致ー
  尓うちわらひたまひて女御可多尓満いり
0145【女御の御かたに】−致ー
  まへるつゐて尓いつらこのあふミのこ那
  尓とめせハをといと遣さや可尓きこえいて
  き多りいとつ可へ多る氣わひおほや氣
0146【いとつかへたる】−致ー詞
  尓て氣丹い可尓あひ多らいしの可見のとハ
  なと可をの連尓登くハも能せさりしといと満め
  や可尓の多まへハいとうれしとおもひて佐も
0147【さも御けしき】−近ー詞
  氣しき多満者らま本しうし可とこの
  とのなをの徒可らつ多へきこえさせ」(31ウ・909K)

  な(な#)むとなと(なと$)堂のミふくれてなむさふら
  徒るをなるへきも能したまふやう尓き(+き(朱))た
  まふ連ハゆめ尓とみし多るちし者へりて
0148【ゆめに】−邯鄲枕
  な無ね尓てをゝき多るやう尓たまふ
0149【むねにて】−胸フサカル心
  志多ふりいとさハや可なえみぬへきを
  むしていとあやしうおほつ可なくせな
  や佐もおほしの多まはハまし可ハまつのさ起
  尓そうしてましおほきおとゝのむ春め
0150【おほきおとゝの】−致ー詞 源ー
  やむことなくとも古ゝ尓せち尓さむことハ
  きこしめさぬやうあら佐らましいま尓ても」(32オ・910C)

  ふミをとり徒くりてひゝしう可起い多されよ
  な可う多なとの者へあらむを古らんせむ尓ハ
  春てさせハしうへハそうち尓なさ氣春
  て春お者しませハないとようす可したま
  婦能おや遣な可多ハなりやとう多ハあし(+/\(朱)
0151【山とうたは】−近ー詞
  し(し(朱))もつゝ遣むね/\しき能こ登
0152【むね/\しき】−宗
  ハ多とのよりさせ多満ハゝ徒まこえ能やう
0153【つまこえ】−我意を人ニいはせ添ニハいふ也
  尓てとくをも可うふりハへらむとててをゝし
  春りてこ盈ゐ多り見きのうしろなと尓
  てきく女房しぬへくおほゆ王らひ尓多へ」(32ウ・910H)

  ぬハ春へりいてゝななくさめ个る女御
  もてあ可ミてわりなうみくるしとおほし多り
  とのもも能むつ可しきおりハあふミのみる
  こよろつま起る連とて堂ゝわらひくさ尓
  徒くりへと者ち可てらハしたなめ多
  まふなさ満/\いひ个り

自本
源氏卅六歳ノ十二月ノ事并明年の二月まてノ事有以哥
為巻名竪並也」(33オ・911@)

【奥入01】仁和二年十二月十四日〔戊/午〕寅四剋行幸芹河野
    用鷹鷂也式部卿本康親王常陸太守貞
    固親王太政大臣〔藤原/朝臣〕左大臣〔源朝臣〕右大臣〔源朝臣〕
    大納言藤原朝臣〔良世〕中納言源朝臣〔能有〕在原朝臣〔行平〕
    藤原朝臣〔山蔭〕已下参議皆扈従其狩獵之儀
    一依承和故事或考舊記付故老口語而行事
    乗輿出朱雀門留輿砌上勅召太政大臣云
    皇子源朝臣定ー宜賜佩釼太政大臣傳
    勅定ー拝舞輿前帯釼騎馬皇子源
    朝臣正五位下藤原時平着摺衣午三剋
」(34オ)

    亘獵野於淀河邊供朝膳〔行宮在泉川鴨川/宇治河之會〕
    海人等献鯉鮒天子命飲右衛門督
    諸葛朝臣奏歌天子和之群臣以
    次歌謳大納言藤原朝臣起舞未二剋
    入獵野放鷂撃鶉如前放隼
    撃水鳥坂上宿祢ム献鹿一太政大臣
    馬上奏之乗輿幸於左衛門権佐高経別
    墅供夕膳高経献贄勅叙正五位下太政
    大臣率高経拝舞
(戻)」(34ウ)

二校了(朱)」(表表紙蓋紙)