分離派建築博物館・・・展示室・・・

各地に残る建築物

 大正末から昭和初期の時代を特徴付ける傾向に沿って、有名無名を問わず各地の建築物を取り上げました。
分離派風(=表現派風)をはじめバラエティに富んだ造形をみせたこの時代は日本なりのモダニズムの辿る道筋の出発点
でもあり、遭遇する出来事や社会状況の中で独自の変遷を歩むことになります。
ここでは戦後モダニズムの開花につながる1920年代に盛んになった様々なデザインの摂取の経過、都市的規模を持つ震災
復興への対応、外国人建築家の日本での活躍、その他色々な角度から時代を形成していった建築の一端を紹介しようと試
みます。

 しかし昨今では1920年代以降の歴史を具体的に示す建物も次々と消え行く状況にあります。
どんどん加速されるスクラップ・アンド・ビルトのしくみに取り込まれ歯止めをかけられない状態の中で、戦後に建てられ
た一時代を画する名建築であろうと、建物と共に生きてきた人々の意思がどうあろうとも改廃の俎上に晒される宿命を甘
受しているのが今の日本の現状です。
 当ホームページに掲げる写真の撮影時期は大体1990年代前半以前のものが中心となっておりますが、併せてその前後の
状態も出来る限り掲載したいと考えております。行く末が論じられている建築にとって、その価値を見出す為のささやか
な足がかりとなる為にも。

・復興都市に花開くロマン〜震災復興を契機に建てられた公的施設など〜
-1-法恩寺橋現存
千代橋現存(復元整備による)
わくら橋親柱のみ現存
-2-六郷水門現存
-3-野毛山配水池現存
-4-霞橋と公衆便所現存
-5-東京電力下谷変電所現存しない
***元町公園他は「復興教育施設と小公園」に移動しました。***

・死者のための都市景観 〜公共墓地の建築〜
-1-久保山墓地 納骨堂現存
-2-多磨霊園--噴水塔,門現存
-3-蔵魄塔(関東大震災殃死者慰霊塔) 現存

・ロゴスの記念碑 〜旧東京帝国大学の校舎などの建築〜
-1-東京大学広報センター(旧 医学部附属病院夜間診療所)現存
東大地震研究所入口の碑現存
-2-東京大学 旧理学部第1号館現存しない
南研究棟(旧精神科病棟)現存
東京天文台 子午環室現存

・東方への憧憬と望郷 〜来日した建築家による建築〜
-1-聖心女子学院 正門現存
-2-東京女子大学 旧寄宿舎 (現 東寮)現存しない(2007年8月撤去)
星商業学校 (現 星薬科大学)現存

・塔をめざして 〜建物の中心を飾る塔の新傾向〜
-1-公害資源研究所 (旧 燃料研究所)現存しない
-2-旧 小菅刑務所(現 東京拘置所)現存
三菱倉庫K.K. 江戸橋倉庫現存

・混成するストリート 〜商業ビル,事務所ビルなどのデザイン〜
-1-浅草トキワ座,東京クラブ現存しない
-2-旧赤坂区役所現存しない
三信ビル現存しない(2007年撤去)
黒沢ビル(旧・小川眼科医院)現存しない
松葉館(現・松岡九段ビル)現存