● Mac OS X Public Betaを使う ●

2000/10/29

 今般、Mac OS X Public Beta日本語版を入手したので、第一印象を伝えたい。

●試用環境

本体 Power Macintosh 8600/200/ZIP

G3カード Sonnet Crescendo G3 PCI 400MHz/1MB

メモリ 256MB

(注意:この機種はサポート対象外。各自のリスクで試してほしい。)

●インストール

 説明書をよく読む。

 既存のOS 9.0.4のパーティションにインストールも可能。この場合、OS X上で、従来

のOS 9.0.4の環境を稼働できる。稼働するシステムフォルダは選択可。

 ただし、フォルダがOS X用に再構成されてしまう。ルートにフォルダが新設される。

 この環境では画面の解像度は640x480ドットのみ使用可能で、サウンドは出なかった。

 インストールは3度の再起動を含め、無事完了した。

 起動ディスクは従来のものと、OS X添付のSystem Diskアプリケーションを併用し、

OS Xのシステム環境設定の「起動ディスク」で切り替える。(ドライブの最初のパー

ティションにOS 9.0.4が入っている必要がある。「古いシステムフォルダ」も選択可能。)

 なお、起動ディスクの変更にはパスワード入力が必要。

 FireWireのHDDへのインストールはできない。

 また、サードパーティのSCSIカードにつないだドライブは認識しなかった。

●使い心地

 従来のMac OSとは、基本的に別物と思ってよい。

 BSD UNIXをベースにに新しいFinderのGUI(Aqua)をかぶせたものであろう。

 随所に過去のMac OSを引きずりつつ、新しい表現を付加している。

 ドック

 従来のランチャーと、アプリケーションメニューを統合したもの。

 Windows98系のタスクバーに近い。

 位置は、画面下部に限られる。

 動作中のアプリは三角マークが付く。

 自動的に隠す設定も可能。

 アプリは左側、書類やフォルダは右側に区別される。

 その中でのアイコンの順序は入れ替えできる。

 ウインドウの最小化という概念があり、最小化するとドックに吸い込まれるように

アニメーションがされる。

 アプリ起動中にアイコンが弾む。これは見ていておもしろい。

 アイコン

 128ドット四方の緻密なもの。以前騒がれたRapsodyを思わせる。

 ハードディスクのアイコンがベアドライブだったりして、従来のアイコンと異なるものも

多い。

 機能拡張

 機能がないようだ。

 アップルメニュー

 これもなくなった。メニューのこの位置にアプリ名が表示され、アプリの終了や

aboutメニューがある。

 アプリの名前の文字数によって、「ファイル」以降のメニュー項目の表示位置が

ずれるため、操作にとまどいを感じる。(補足:設定によってアプリのアイコン表示に切

り替え可能)

 Finder

 これは、ひとつのアプリになっている。デスクトップの上で実行され、終了も可能。

(この部分誤解を含む。従来のFinderはなくなり、デスクトップという名称になった。

ただし、表示されるウインドウにはFinderという名前が付く。このウインドウを隠すこ

とができる。デスクトップの終了はログアウトに相当する。)

 カラム表示が導入され、Winのエクスプローラに近いが、階層が幾重になっても表示

可能で、プレビューもできる。カラム幅は固定。

 特別メニューに「再起動」を表示させるには、optionキーを押す。

 起動時のアイコンパレードは、ない。

 起動は、まず、ハッピーマックが現れ、CD円盤状の回転するカーソルが出る。

 中央にMac OS Xの表示。一瞬Welcome to Macintosh.の表示。

 あとは、プログレスバーが起動の進捗を表示する。

 サービス開始を知らせる各UNIXの用語が出る。

 デスクトップには、マウントされたボリュームが表示されない。

 ボリュームは、Finderウインドウの「コンピュータ」に表示される。

 「ゴミ箱」はドック内に表示される。

 ウインドウは基本は常にひとつを表示するようになっている。(複数表示へ切り替え可能)

 従来のコントロールパネルに相当するシステム環境設定は、ダブルクリックせずクリック

で選択する。

 背景が他のウインドウと違うが、分かりにくい。

 画面の文字は、大変美しく表示される。アンチエイリアスを施しているようだ。

 解像度640x480では、漢字の読みやすさに支障はない。

 なお、新コード体系のユニコードを使っているため、従来のファイル名に一部文字化け

を生じる。

 保存/開くダイアログボックス

 使いにくい。上部のプルダウンメニューには、お気に入りが表示され、従来の階層

をたどるのは、中央部のカラム表示となった。

 付属アプリ

 ことえり、Internet Explorer、メーラ(Apple)、画面キャプチャ、

簡易ドローツール、テキストエディタ、コンソール、ターミナル、音楽再生ツール、

QuickTime Player、電卓、HTMLエディタ、デジカメデータ転送ツール、

チェスゲームなどが付いている。

 ターミナルでは、UNIXのコマンドが使える。rootになると、shutdownコマンドも

使える。

●まとめ

 まだ日が浅く、よく分からないが、従来のMacに親しんだ者には、戸惑いを

生じることは間違いない。

 しかし、慣れてしまえば、案外よいかもしれない。


Copyright (c) 2000 Hiroshi TAKEUCHI