● Nikon F2 フォトミックについて ●

 今般、Nikonの高級一眼レフカメラNikon F2 フォトミックボディを中古で入手したので、

このような高級機について当方ごときが評価するのも、たいへんおこがましいことだが、試

用記をお伝えする。

 

●程度

 プリズムにシミが出ており、画面の隅に小さな欠けがある。

 露出計は動作する。

 ミラーの当たる部分のモルトが痛んでいる。

 その他機構は正常。

●試用しての印象

 まず、その重さである。標準レンズを付けた状態でも既に重い。

○ファインダー

 ファインダーは倍率0.8倍でマット面も明るく、ピントは合わせやすい。

 露出計表示は下部にあり、指針を定点に合わせる方式でシンプルで明快である。

 設定した絞り値とシャッター速度が指針の左右に白文字で美しく表示される。

 これらの露出表示はファインダーの見る位置によっては見えないことがある。

 採光窓が上部にあるため、光線状態や暗い場所では表示が極端に見にくくなる。

 このためイルミネータが別売されているようだ。

 露出計指針は上部にもあり便利である。ただし+/-表示はない。

 Yカメラの助言により、ラバーアイカップはF3用が使えるとのことで、ねじ込みの

部分がやや浅いが実用になる。(F3用アイピースに接眼目当てをはめ込みねじ込む。)

○レンズ装着

 いわゆる蟹の爪と呼ばれる旧Fマウントニッコール及びAI化後のウサギの耳の爪が

付いたニッコールレンズにのみ露出計が連動する。

 それ以外のFマウントレンズは、絞込み測光となる。

 ミラーアップが可能である。

 装着時には、レンズの開放F値を露出計に伝えるためにいったん最小絞りにした後、

開放F値に絞り環を操作する必要がある。これを忘れると正しく測光できない。

 このときのファインダー部の連動レバーの動作は極めて巧妙で、中立位置にあるレバー

は、レンズ装着時の爪の通過によっていったんリセットされ、爪に結合し、さらに絞り環

の往復操作による爪の回転角度を検出してレンズ開放F値を検知し、機械的にファインダー

の開放F値を保持する。このF値はファインダーの小窓に表示される。

 F5.6がリセット値であるためか、レンズ装着後、絞り環を操作するとf/5.6付近でやや

抵抗感がある。

 マウント面のつくりの相違か、レンズ装着時押し付けるようにしないと回転できない。

○巻き上げ

 巻き上げの感触はあまりよくない。小刻み巻き上げを許したため、完全に巻き上がっていな

いときがあるとシャッターが落ちない。

 レバーの戻りはよい感触がある。

 シャッターは金属膜の横走りで、やや甲高い音がする。

 1/30秒前後ではシャッターを切った後余韻のような音がする。

 速度変更はボディのダイヤルと結合されたファインダー部のダイヤルで行う。

 ダイヤルは軽やかである。表示は後部にあり、ダイヤル上面にはフィルム感度目盛りがある。

 これは逆の方が見やすいのではないか。

○シンクロ接点

 ファインダーが交換式のためか、ホットシューはなく、巻き戻しつまみの基部に特殊なシューを

装備している。

 通常の接点はボディ前面に装備。

○フィルム装填

 裏ぶたは底面のキーを回転させてロックを解除する。

 巻き上げスプールは溝が多く、使いやすい。

 装填後、ロックをし忘れるとキーが突出した状態になりすぐ分かる。

○その他

 各部分も丁寧に作られており、ボディの丸みも魅力的である。


2000/10/22

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