■ ハッセルブラッドを使う

 

スウェーデン製の6 x 6cm中版カメラ「ハッセルブラッド」を使ってみる。

● 72109 フレックスボディ

 横浜のYバシカメラで実物を検分して以来、気に入った。

 新品を求める。スターマーク付きである。他のカメラの3年保証と異なり、1年保証

である。

 ボディは蛇腹で、小型軽量。金属ボディにメカメカしいギヤやつまみがついており

機械系の心をくすぐるフォルムだ。

 他のカメラと違ってマガジンスライドを引かなくてもシャッターは切れてしまう。

 また、フィルムのこま間にも映像が細く写るのが特長である。

 あおりは大型カメラと比較して自由度は低いが、効果はある。

 500系のマガジンやファインダーとは互換性がある。

 ファインダーは47070 レフレックスビューファインダーRMfxが見やすく使いやすい。

 フォーカシングスクリーンは、中央にスプリットプリズムの入ったアキュートマット

ですこぶる見えがよい。あおりの補助に方眼が入っている。

 ただし、フォーカシング スクリーンは固定式で、交換はできない。

 撮影は、まずスクリーンアダプターを装着し、シャッターを開放にして構図とピント、

あおり、露出を設定。

 次にレリーズ半押しでシャッターを閉じ、スクリーンアダプターをマガジンと交換し、

マガジンスライドを引き、レリーズを押してシャッターを切る。

 すかさずマガジンスライドを入れ、ボディのクランクでフィルムを巻き上げ、ノブで

シャッターをチャージする。このときシャッターは開放となる。

 フィルムマガジンを再びスクリーンアダプターと交換する。

 という一連の動作が必要である。

 ボディのシャッターチャージノブは一目でシャッターはOPENかCLOSEがが分かる。(回転する)

 なれないとマガジンスライドを入れずにシャッターを開いたまま巻き上げたり、巻き上げ

ずに二重露出したり、してしまう。

 大型カメラのレンズのプレスリリースレバーを押す替わりにボディのシャッターチャージ

後にその状態になり、レリーズの半押しでシャッターが閉じると思えばよい。

 あとは大型カメラと同じ操作である。

 蛇腹なので内面反射も少なく、ミラーもないのでショックも少ない。

 基本的に三脚で撮影する。慣れれば手持ちも可能と思われる。(?)

 

●500EL/Mボディ

 中古で安かったので購入。Lモン。

 バッテリーは当時のニカド6Vの円筒形のもので、へたっていた。

 今でも入手可能と聞くが、現行品で互換品の86081 ニッケル水素バッテリーが

ハッセルから出ている。形状が異なるが、バッテリー室に収まり、充電器Iもその

当時のものが利用できる。(バッテリーはYバシで注文、1万円以上する。)

 なお、電池を入れずにACで使うことはできない。

 使用感は、ボディが重いことが挙げられる。

 室内で使うには問題ない。

 巻き上げ音が異常に大きいのでスナップ撮影には適しない。

 秒1こまで連続撮影が可能。ミラーアップモードもある。低速シャッターでは、

レリーズを押し続けないと巻き上げが始まってしまう。

 リモートコードでレリーズでき、通常のケーブルレリーズもアダプタで装着できる。

 フォーカシングスクリーンが簡単に交換できるが、今のアキュートマットDは、高価。

 フレックスボディのようにじっくり合わせ込んで撮るという用途ではない。

 意外と速く撮れると思う。

 120フィルムで12枚撮りであっという間にフィルムがなくなる。

 220や長尺がよいと思う。

 カメラの機構がシンプルでよいと思う。

●カールツァイス マクロ・プラナーCF 120mm F4 T*

 距離リングの幅が大きく使いやすい。近接撮影の描写が素晴らしい。

 接写には、エクステンション チューブが必要だろう。

 夜景を撮るとこのレンズの色再現性の優秀さがよく分かる。

●ディスタゴンCF 50mm F4 T* (FLE)

 どうも周辺が歪むようだ。描写は素晴らしい。

 FLE機構は使いにくい。つい合わせ忘れる。

●59102 クローズアップ カリキュレーター

 接写用の計算尺。とは言っても少し古めの機材を倍率ごとに接写用アクセ

サリーの組み合わせなどを調べるためのもの。

 もっと詳しい図表が、エクステンション チューブの説明書に付いている。

●参考書

・総合カタログ・PRICE LIST

 一番役立つのはこれ。サービスセンター、IPPF会場や大きめのハッセル販売店にある。

 機種ごとに薄いカタログが用意されている。

 PRICE LISTは、頻繁に改定され、新製品や製造中止が明記される。こちらは、たい

がいのハッセル販売店にある。

 シュリロ・ニュース・レターには、キャンペーンの告知や新製品の発売日が告知され

る。価格表の置いてあるカメラ店には、あると思う。

・THE HASSELBLAD MANUAL FIFTH EDITION, ERNST WILDI,Focal Press,2000

(ハッセルブラッド マニュアル(英語版)EEER20、スターマーク付き、15000円)

 ハッセルのカタログにも出ている英語版の書籍。p.379の立派な本。

 現行機種を中心に過去の機種にも触れつつ、イラスト入りで使い方を詳しく説明。

 アークボディやXPanカメラも掲載。

 接写の図表、500ELシリーズのサイドソケットの回路図も載っている。

・HASSELBLAD GUIDE FOCAL CAMERA GUIDE,1988 Reprint.

 これは、初期のモデルの取扱説明書の縮刷版と独自の解説を組み合わせたガイドブック。

 英語版である。1600F/1000F,500C/EL,SW,SWCが掲載。

 アクセサリーもカバー。中古を使ったりするのに参考になる。

・使うハッセル 

 中古機を使う立場から書かれた本。ELシリーズの新型バッテリーの写真も載っている。

・愛しのハッセルブラッド 中山 蛙・佐藤隆俊 グリーンアロー出版社 1998

 ハッセルの誕生までの歴史、初代1600F,1000FからSWA,500Cなどカラー写真を随所

に配し、その製造過程も含め詳しく解説。筆者のハッセルへの愛着が随所から窺える。

 p.107のヒートンはシンクロケーブルを掛けるためのものと思われる。


2000/06/12開設

Copyright (c) 2000 Hiroshi TAKEUCHI