■ ビクセンR200SS購入顛末記 ■
どうも天体望遠鏡がほしい病気に取りつかれてしまったようだ。
当方が、この機種を買うまでと、その後を綴ってみる。
●小さいころ4cm屈折経緯台や6cm屈経を親にねだって買ってもらったきり、
いつしか天文への情熱も薄れつつ、うち過ごしていたが、数年前のヘールボップ彗星に
胸が高鳴った。
ちょっとしたはずみでメイン機のM社6cmの対物鏡を破損。ひどくショックを受けた。
しばらくして、AVサラウンド熱が冷めたころ、大口径(アマチュアとしては)反射赤道儀へ
の強い欲望が沸いてきた。
●機種の選定
一番楽しいのが物を買うまでにあれこれ思いを巡らすことだ。
最初、とても20cmなどは買えないと思い、13cmという半端なものを想定していた。
しかし、6cmで見たあの火星の小ささ、大口径への憧れ。
15cm、20cmと妄想が進み、鏡筒は大きいのにしようと架台をけちったのが、後に
禍根を残す。
メーカーは、屈折なら高橋、反射ならビクセンあたりを考えていた。
条件は、システム赤道儀、モータードライブ可能、できれば自動導入もと。。
●機種決定
ということで赤道儀はGP赤道儀、一軸駆動のR200SSとなった。価格は24.8万円。
値引きもあったので少し安く買えた。Yカメラである。
●見え味
さっそく恒星を見る。うーんよく見えない。そう、ニュートン式は、真中に斜鏡があるの
で、アイピースによっては、見えにくい感じがある。屈折のすっきりした見え味はない。
ある程度予想はしていたが、少しがっかりした。
焦点距離を1500mm(F7.5)に伸ばすエクステンダーを追加。
太陽を見る。ミザールのF形接眼鏡にサングラスを付けて覗く。太陽のほかに何か光が見える。
なんと接眼部から煙が上がっているではないか。
そう、口径を絞らずに見るとサングラスが割れるということが実際に起こったのである。
幸い割れる前に気づいたので目の方は何ともなかったが、十二分に気を付けるべきだ。
さっそく厚紙で絞りキャップを作製。
穴は40mmとし、そこに、カメラフィルター用の40.5mm→52mm用ステップアップリングを
付ける。結構重宝している。しっかりと取り付け、かつ光り漏れがないことをよく確認すること。
眼視には、この状態でサングラス(新品)を付けて観測。
写真撮影には、ここに52mm径のND400とND8のフィルターを重ねてねじ込む。
この状態で、ISO100程度でも速いシャッターを切らなければならない。
●赤道儀の使い心地
赤道儀は初めてなので他との比較はできないが、昔の小型機用と比べだいぶしっかりとできて
いる。
組立も短時間ですみ、極軸望遠鏡で迅速に極軸を合わせられる。ペンライトを明視野照明にして
いるなどアイディアも抜群だ。極軸微動は水平垂直で、垂直方向は片押し式。水準器内蔵。
アルミ製の伸縮三脚は標準的なもので、引き伸ばすとやや強度が不足する。三角フレームはオプ
ションだが、標準で附属すべきだ。
バランスウェイトが大小1個ずつ附属するが、接眼部にカメラや重いアクセサリーを付けるとバランス
が取れなくなる。また鏡筒中心線に対して重量分布の平衡がくずれるため、カウンターウェイトを付けら
れるようにすべきだ。
組立後の全重量は24kgとなり、これをそのまま遠くへ運ぶのは困難となる。
赤経駆動の一軸モーターは取付け済みで、カバーでギア部分は覆われている。
小型のコントローラで赤経の早送りと逆転、微調整が可能。モーターで行うため、赤経微動用の
ツマミ(ハンドル)は付いていない。(別売りのクラッチを用いて自動・手動併用可能)
電源は12Vで、乾電池駆動。ACアダプタもオプションで使える。電池が消耗すると事前にパイロット
ランプが赤色に点滅して知らせてくれるのは、親切である。
長時間使うとコントローラが熱を持つ。
接眼部は、60mmあり、50.8mmのスリーブもオプションで可能である。(専用品)
焦点調整はラックピニオン式でロック装備。やや重いが、重量のあるものを付けることを考えると
安全だ。
ドローチューブの焦点調整範囲は屈折と比べはるかに狭い。できれば二重式にしてほしい。
双眼装置や投影板は付けられない。
延長チューブが付いて、同社製の接眼鏡については合焦するようだ。
主鏡は放物面鏡でF4という明るさである。取り付けに3カ所の爪状の部品を使っており、輝星では、
その影が出て見苦しい。また、1等星で見た焦点内外像は、ややくずれていたようだ。
鏡筒は意外にコンパクトである。上部に取っ手となるもの(ビニール製のバンド)が付いており、
持ち運びやすい。
ファインダーは7x50の立派なもので、単独で使っても実用的である。
●コマコレクター
眼視・撮影共用として専用のコマコレクターが別売りとなっている。
接眼部の60mm→T42mmリングの内側にねじこむ。よってエクステンダーとの併用は不可。
性能はよい。
皆既月食観測中の愛機
●アイピース
LV20mmとLV5mmが附属。できれば低倍率と、中倍率を追加したい。31.7mm径。同焦点ではない。
メーカーからの連絡によると、同焦点のアイピースを計画中らしい。
LV30mm(50.8mm)を付けてみたが、重量バランスが崩れるものの、見えはすっきりとして好ましい。
写真撮影用として拡大撮影レンズPENTAXのXP-24を試したが、評判どおりの素晴らしさだ。眼視用と
しても抜群である。24.5mm径である。
HM12.5mmなども試したが、一度広視界のものを試すと、物足りない。
K20mmもなかなかよい。
●自動導入
スカイセンサー2000・PCを試す。
まず望遠鏡に附属していた赤経モーターを六角レンチではずす。かなり固い。
スカイセンサーのギヤとモーターを赤緯・赤経それぞれ付ける。比較的簡単だ。
あとは説明書どおりケーブルを接続し、電源を入れる。
表示はカナだが意外と見やすい。コントローラ部が大きく、扱いにくい。小型化を希望する。
導入時のモーターの音は、やや大きい。スピードを遅くすれば音は小さくできるが導入に時間がかかる。
パソコンとの接続には専用ケーブルが必要。ショップオリジナルのものがあるので合わせて求めれば
よい。(Macのシリアルポートと同じコネクタ)取り扱い説明書に参考回路図がある。
自作DOS/Vマシン(実験用)のCOM1ポートにつなぎ、ステラナビゲータVer.5 for Winを走らす。
うまくいったようだ。
なお、重量バランスの面でウエイトを1個追加した。
●感想
20cmにしては小型軽量で取り回しはしやすいが、やはり組立に時間がかかる。
できれば組み立てたまま置いておきたい。(ドームが要る?)
太陽投影板による観測や接眼部に双眼装置やレボルバーを付けるのには屈折が必要。
まだ惑星をよく見ていないので本当の威力は不明だが、屈折と比較し、結像面ではやや不利と思われた。
サブ望遠鏡として8cm〜10cmクラスの屈折鏡筒があれば便利だと思う。
●今後のこと
今たいへん流行の冷却CCDカメラやオートガイドも非常に興味のあるところである。
まだ高価であるが、デバイスの量産効果がさらに進めば低価格化が予想される。
その前に「月」や星団・星雲、惑星などをこの望遠鏡に見せてあげ、愛機としていつまでも大切に
面倒をみていきたいと考えている昨今である。
また、架台部が風に弱いので、ピラー化又は、赤道儀の交換も考えている。
(c) 2000 Hiroshi TAKEUCHI
2000.5.13 初稿
2000/09/24公開