■ 日立BS-DH2000試用記 ■

2001/01/27

2001/01/28訂補

2001/01/30訂補

2004/05/13追記

2004/06/04追記

 日立のBSデジタルチューナーBS-DH2000を入手したので、使用感を伝えたい。

●選定の経緯

 当然SONY製品がまず考えられる。

 しかし、第一世代のチューナーとしては、SONYは慎重な対応となっている。

 i.LINK端子の未装備、AAC対応光デジタル出力がないなどである。(PCM音声光出力は装備)

 しかしそのデザインはSONYらしい。

 他は、現在在庫のある機種からの選択となる。

 基本的に松下・東芝・シャープの3社とそのOEMとなる。

 日立と三菱・パイオニアは松下のOEM、DXアンテナは東芝のOEMである。


補足 

 現行製品は、松下、東芝、シャープ、ソニー及びビクターとそのいずれかのOEM製品である。

 それぞれメニュー構成が異なり、番組表の表示形式や予約機能などが異なる。実際に操作してみて

選ぶのがよい。ちょっと触った範囲では、ビクターのメニューはかなり凝っている。番組表は各社

まちまちであり、東芝・シャープ・ビクターは番組表から予約ができる。

 松下は番組表の表示文字数が多い。ソニーは予約はできないが、画像が透けて薄く見える。

 松下は画面に操作案内が表示され親切である。ソニーはリモコンのキーも少なく、メニューの機能

も絞込んである。


 問題はi.LINK接続でD-VHSに接続しハイビジョンが録画できるかどうかである。

 規格上はどのメーカーでも動作するはずであるが、実際は不具合があるらしい。

 現在のところチューナーとビデオが同一メーカーでないと動作保証はない。

 よって、D-VHSビデオを出している日立・松下くらいになる。

 (従来のビデオに接続すれば、標準画質での録画は可能。ただし、コピー不可信号が重畳されていない場合。)

 松下の在庫はなかったため日立となった。価格は、10万強であった。

 

●梱包

 発泡スチロールを使わないもの。

●設置

 BSアンテナが既に設置されていれば、取説のとおり行えばよい。

 電源を入れると初期設定画面が表示され、画面に従って設定を行えばよい。

 ここまでは1時間もあれば完了するだろう。

 なお、本体はかなり熱を持ち、放熱穴が上面・下面・側面にあるため、上下に機器を置くことは

できない。

 今回は通常の21型縦横比3:4のテレビに接続した。

●使用感

 リモコン

 カーソルキーが上、テンキーが下にある。

 最下部にテレビ操作部がある。

 リモコンが長く、電池が上部に入るため、テレビ操作時にバランスが悪い。

 本体

 サイズは幅・奥行きともに28cmのコンパクトなもの。重さは2.0kg。

 番組予約

 番組ナビボタンを押し、表示されたメニューからカーソルボタンで番組予約を選ぶという、まどろっこ

しい操作が必要。

 SONY製のCSチューナーでは、番組表から予約ができたが、この製品は、番組表と番組予約は、

別のメニューとなっている。(ちなみにSONYのBSデジタルチューナーには予約機能はない。)

 番組表では3チャネル・5時間分が表示され、番組予約の画面には1チャネル分が表示される。

 番組表はリモコンの専用のボタンですぐ呼び出せる。

 予約録画は、附属のビデオコントローラにより、各社赤外線リモコン信号が予約時刻に送信されて録画

される。(連動予約)

 3時間までの変更は、時間変更追従機能も可能。

 また、松下製の1989年以降発売のビデオであればタイマー予約が可能。

 番組表は、7日先までしか見られない。

 操作メニューデザインには、SONYのCSチューナーのような品のよさはない。

●画像

 21型テレビでもBSデジタル放送では文字の大きさが小さいものが多く、つぶれてしまうことが多い。

 画質はゴースト等のないクリアなもの。

 

●留意事項

 業界の取り決めにより、ハイビジョン録画されたものを再生する場合、1世代のみコピー可の番組について

は、標準画質にダウンコンバートされるしくみになっているという。ただし、BSデジタルチューナー内蔵

テレビにD-VHSビデオをi.LINK接続した場合には、ハイビジョンの画質で再生可能とのこと。

 双方向機能では、電話回線に接続し、通話料がかかる。

●音声

 光デジタル音声出力は、PCM及びAAC(BSデジタルのサラウンド音声方式)の切り替えができる。

 ただし、字幕放送・データ放送時は、AACにした場合、効果音が出力されないとの記述が説明書p.88にある。

 AAC対応の機器が手元にないため、PCM音声のみ試したが、特に問題はなかった。 

●取扱説明書

 A4サイズ112ページ。黒・青2色刷り。

 各項目は見開き2ページで構成され、左側のページには本体・リモコンのイラストに当該ページで説明する

ボタンが目立つよう表示されており、好ましい。

 索引がないのは不便。

 各操作時には、テレビ画面にボタンの図付きで操作方法が表示されるため親切である。

●まとめ

 第1世代は高価で、未成熟な部分も多く、使い勝手もユーザーの意見が反映できず追及できない。

 よって機能は多くても使いにくい面がある。

 今後は機能を絞った廉価版や、ビデオ内蔵型も登場し、さらに使い勝手が向上するだろう。

 現段階で第1世代機種を購入するのは、よほど見たい番組がある場合を除き勧められない。

 SONYのi.LINK対応機種を待つか、第2世代機種を待つのが得策であろう。その頃には、価格も下がり、

製品供給も安定するだろう。

 この日立の製品は可もなく不可もなくといったところであり、今選ぶなら、松下とともにお奨めである。

 i.LINKにこだわらないのなら、SONYのも選択肢に入る。番組予約は他製品より優れているらしい。

(予約機能はない。)

 今年末の110度新CS放送や、数年先の地上波デジタル放送も予定されている。

 これらに対応可能な製品も徐々に出現するだろうから、少なくとも新CS放送にも対応した製品

を求めるのがよいだろう。現行BSデジタルチューナーはそのままでは新CS放送に対応できない。

 テレビについては、小型で高精細度のものを安価に出してほしい。何十kgもある大型テレビは置けない。

 大画面ならプロジェクターも視野に入るが、何分高価である。

 なお、AAC対応の単独デコーダがヤマハから4月発売予定とのこと。(「AV REVIEW No.95」 p.85)

●参考資料

 BSデジタル放送の全般的な説明については、NHKの「BSデジタル放送受信マニュアル」がお奨めである。

 

●追記

 本製品は、2004年4月5日以降、不具合が出ているもよう。

 詳細は、日立に確認してほしい。

●追記2

 日立からの連絡によると、チューナのファームウェアのアップデートが、衛星ダウンロードにより行わ

れる模様。

 ダウンロード予約=自動に設定のこと。電源断(スタンバイ状態)でダウンロードされる。

 期間は、2004/6/7(月)-2004/7/25(日)。


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