4勝3敗で日本シリーズ3連覇していた阪急を下し、広岡ヤクルト初の日本一。 本拠地の神宮球場は東京六大学野球で使用するため、 後楽園球場を借りてのシリーズとなった。

第1戦 10月14日(土) 後楽園

HB 010 010 040 = 6 ○山田
YS 001 012 100 = 5 ●安田(7.1)--井原(0.2)--梶間(1)
本塁打: 高井1号(安田) 船田1号(山田) マニエル1号(山田) 大矢1号(山田) 河村1号(安田)

阪急に2度リードされるが、ヤクルトは船田の犠飛とホームランで追いつく。 マニエルと大矢のホームランで勝ち越し、杉浦の適時打で点差を3点に広げた。 しかし8回表、安田がつかまり島谷の2点打で1点差に迫られる。
安田の続投が裏目となり、代打河村に逆転2ランホームランを打たれ、 惜しい試合を落としてしまった。

第2戦 10月15日(日) 後楽園

HB 100 100 301 =  6 ●今井雄(3)--三枝(3)--稲葉(2)
YS 024 102 02X = 10 ○松岡(6.1)--井原(2.2)
本塁打: 福本1号(松岡) マニエル2号(今井雄) 角1号(三枝) 大杉1号(稲葉) マルカーノ1号(松岡)

福本の先頭打者ホームランで先制されたが、マニエルの2ランで逆転。 3回には若松適時打、杉浦2点二塁打、大矢適時打で一気に5点のリードを奪った。 その後も角のホームラン、大杉のホームランなどで加点。
マルカーノの3ランなどで追い上げる阪急を振り切り、1勝1敗のタイに持ち込んだ。

第3戦 10月17日(火) 西宮

YS 000 000 000 = 0 ●鈴木(5)--西井(2)--小林(1)
HB 101 100 20X = 5 ○足立

日本シリーズの大舞台に強い阪急足立にわずか3安打しか奪えず完封負け。 阪急は福本が出塁し盗塁して得点という理想的な形で点をとるなど、 阪急の持ち味が存分に出た試合だった。

第4戦 10月18日(水) 西宮

YS 000 004 002 = 6 安田(1.2)--井原(3.1)--梶間(1)--○西井(2)--S松岡(1)
HB 130 010 000 = 5 ●今井雄
本塁打: ヒルトン1号(今井雄)

先発安田、二番手井原が打ち込まれ、前半で0対5という一方的な展開に なったかにみえた。 しかし6回表に無死満塁のチャンスをつかみ、若松の適時打で1点を返した後、 内野ゴロ二つで2点、さらに杉浦の適時打で1点差に迫った。 しかしその後は点が入らず最終回、一死から走者が出たが代走の水谷が盗塁死で 二死無走者となり敗色が濃厚となった。
しかし伊勢の内野安打の後、ベンチを出てマウンドに向かった阪急の上田監督が 今井を続投させたことがこのシリーズの行方を決める重要な鍵となった。 次打者ヒルトンの逆転2ランホームランにより、ヤクルトは王手を免れ、 2勝2敗のタイに持ち込むことができたのだ。

第5戦 10月19日(木) 西宮

YS 200 001 013 = 7 梶間(3.2)--○井原(3)--小林(0.0)--S松岡(2.2)
HB 000 100 110 = 3 ●山田
本塁打: 若松1号(山田) マルカーノ2号(松岡) 大杉2号(山田) 

流れをつかんだヤクルトは、初回、大杉の2点打でこのシリーズ初めて先取点を取り、 その後も大矢の適時打、若松、大杉のホームランで山田に14安打を浴びせ7点を奪い、 シリーズの王手をかけた。

第6戦 10月21日(土) 後楽園

HB 006 050 010 = 12 ○白石
YS 000 120 000 =  3 ●鈴木(3)--小林(1)--西井(5)
本塁打: 中沢1号(鈴木) 島谷1号(西井) ウイリアムス1号(西井) 船田2号(白石) 福本2号(西井)

東京に戻ってきたヤクルトだが、阪急に3回一挙6点を奪われた。 5回には西井が5点を奪われ、勝負は決した。
途中から広岡監督、そして捕手の大矢の目は第7戦に向いており、 阪急打線には打たせるだけ打たせる考えであったと言われる。

第7戦 10月22日(日) 後楽園

HB 000 000 000 = 0 ●足立(5.1)--松本(0.2)--山田(3)
YS 000 012 01X = 4 ○松岡
本塁打: 大杉3号(足立) 4号(山田) マニエル3号(松本)

最終戦は松岡と足立の投手戦となり、4回まで無得点。 5回に1点を先取する大矢の好走塁は、それから起こる事件によってかき消されてしまった
6回裏、大杉がレフトポールぎりぎりへ大飛球。これをレフトの富沢線審は ホームランと判定した。 これに対しファールではないかと阪急の上田監督が猛抗議。抗議は延々と続き、 ついには金子コミッショナーが上田監督を説得する事態になったが、 それでも終わらない。阪急の渓間代表、山口オーナー代理が説得を受け入れ、 上田監督が引き下がった時には、中断時間は1時間19分になっていた。
試合再開後、長時間の中断のため足立投手は降板、代わった松本から マニエルがホームランを打ち3点目。そして8回裏、山田から大杉が今度は 打ち直しとばかりに正真正銘のホームランを放ちダメを押す。 反撃の気力が失せた阪急を松岡が0点におさえたとき、 ヤクルトスワローズ初の日本が決定した。
当時のシリーズ記録である10打点を挙げた大杉がMVPに輝いた。

打撃成績                        投手成績
          G  AB  H  AVG HR RBI         G W L SV   ERA IP   SO
梶間      3   1  1 1.00  0   0   小林  3 0 0  0  0.00  2    0
井原      4   3  2 .667  0   0   梶間  3 0 0  0  1.50  5.2  5
永尾      2   2  1 .500  0   0   井原  4 1 0  0  2.70  9.2  3
伊勢      2   2  1 .500  0   0   松岡  4 2 0  2  2.84 18.2 11
若松      7  27  9 .333  1   3   西井  3 1 0  0  8.00  9    6
船田      6  22  7 .318  2   4   安田  2 0 1  0  8.00  9    2
大杉      7  29  9 .310  4  10   鈴木  2 0 2  0 10.13  8    3
マニエル  7  27  8 .296  3   5   ----------------------------
杉浦      7  24  7 .292  0   4         7 4 3  2  5.08 62   30
ヒルトン  7  29  8 .276  1   4
大矢      7  24  6 .250  1   4
松岡      4   6  1 .167  0   0
水谷      7  20  3 .150  0   0
角        2   7  1 .143  1   1
福富      3   2  0 .000  0   0
山下      2   2  0 .000  0   0
渡辺      2   2  0 .000  0   0
安田      2   2  0 .000  0   0
西井      3   1  0 .000  0   0
鈴木      2   1  0 .000  0   0
柳原      1   1  0 .000  0   0
小林      3   0  0  ---  0   0
八重樫    2   0  0  ---  0   0
青木      2   0  0  ---  0   0
------------------------------
          7 234 64 .274 13  35

3勝4敗で野村ヤクルトは王者西武の前に日本一を阻まれる。 東京六大学野球の協力により、神宮球場でシリーズが行なわれた。

第1戦 10月17日(土) 神宮

SL 010 000 101 000  = 3 渡辺久(7)--潮崎(2)--●鹿取(2.1)
YS 002 001 000 004X = 7 ○岡林
本塁打: デストラーデ1号(岡林) 2号(岡林) 古田1号(渡辺久) 杉浦1号(鹿取)

デストラーデの本塁打で先制されたが、飯田と荒井の適時打で逆転、 古田の本塁打で2点差とした。しかしデストラーデの二本目の本塁打で1点差、 9回に石毛の犠飛で追いつかれ、延長戦へ。
先発の岡林が一人で投げ続け、12回の裏、ついに一死満塁のチャンスをつかみ、 ここで代打杉浦が登場。日本シリーズ初の代打サヨナラ満塁ホームランで先勝した。

第2戦 10月18日(日) 神宮

SL 000 002 000 = 2 ○郭(6.1)--S潮崎(2.2)
YS 000 000 000 = 0 ●荒木(6)--伊東(2)--金沢(1)
本塁打: 清原1号(荒木)

ヤクルトは復活を果たした荒木が郭と投げ合い、5回まで両チームとも無得点。 6回表一死一塁から、清原が荒木の変化球をとらえて本塁打して均衡が破れた。
7回裏にハウエルの打球が郭の右手を直撃して、潮崎に交代。 二死一、二塁のチャンスをつかんだが笘篠が三振。9回も押さえられ結局完封負け。

第3戦 10月21日(水) 西武

YS 000 000 100 = 1 ●石井(3.1)--金沢(4.1)--伊東(0.1)
SL 000 200 04X = 6 ○石井
本塁打: 広沢克1号(石井)

雨で1日順延されたこの試合は、西武の沢村賞投手の石井丈裕に対し、 ヤクルトは新人でシーズン中1勝もしていない石井一久という対照的な先発投手。 石井一は4回裏にデストラーデと石毛の二塁打で2点を許して降板。その後は金沢が好投して反撃を待つ。
一方の石井丈は絶妙の投球を見せ、なかなかチャンスすらつかめなかったが、 ようやく7回表に広沢の本塁打が出て1点を返した。 しかし8回裏、金沢がピンチを招き、代わった伊東が押し出し死球を与え、 その後打ち込まれて決定的な4点を献上してしまった。

第4戦 10月22日(木) 西武

YS 000 000 000 = 1 ●岡林
SL 000 100 00X = 0 渡辺智(2.1)--○鹿取(5.2)--S潮崎(1)
本塁打: 秋山1号(岡林)

第1戦に12回を投げた岡林が先発。しかし打線が不調で援護できない。 2回の無死一、二塁は池山のバント失敗でつぶし、 3回の一死一、三塁は鹿取にかわされた。
そうしている間の4回裏に、岡林が秋山に本塁打を打たれて先制されてしまう。
打線がどうしても鹿取と潮崎を打てず、結局4安打に抑えた岡林を見殺しにしてしまった。

第5戦 10月23日(金) 西武

YS 000 321 000 1 = 7 高野(5.1)--金沢(0.1)--○伊東(4.1)
SL 000 005 100 0 = 6 渡辺久(4.1)--小田(0.1)--新谷(1.2)--●潮崎(3.2)
本塁打: ハウエル1号(渡辺久) デストラーデ3号(伊東) 池山1号(潮崎)

王手をかけられたヤクルトは、ここまで不振のハウエルの3ランで先制。 4回と5回にも追加点をあげて6-0と優位に試合を進めた。
しかし先発の高野が6回に乱れ、一死満塁のピンチ。ここで金沢に交代したが、 大塚、森、田辺に3者連続適時打を許し、二死後に平野の適時打で一気に1点差に迫られてしまった。そして7回には伊東がデストラーデに本塁打を打たれて同点にされる。
後がないヤクルトだが、延長10回にこれまで抑えられていた潮崎から、 池山が決勝本塁打を放ち、なんとか神宮へ戻ることができた。

第6戦 10月25日(日) 神宮

SL 010 203 001 0  = 7 工藤(2.1)--渡辺久(1)--小田(0.1)--新谷(1.1)--鹿取(3)--●潮崎(1.1)
YS 002 201 200 1X = 8 荒木(4)--石井(0.1)--金沢(1.2)--○伊東(4)
本塁打: 橋上1号(工藤) 石毛1号(荒木) 池山2号(渡辺久) 鈴木健1号(金沢) ハウエル2号(鹿取) 秦1号(潮崎)

日本シリーズの歴史に残る壮絶な試合。
5度にわたる逆転劇の末の延長戦を制し、ついに3勝3敗のタイに持ち込んだ。

	S 0-1 L	S 2-1 L	S 2-3 L	S 4-3 L	S 4-6 L	S 5-6 L	S 7-6 L	S 7-7 L	S 8-7 L
西武	工藤内野ゴロ		石毛2点本塁打		鈴木健3点本塁打			秋山適時打
ヤクルト		橋上本塁打 飯田三塁打		池山2点本塁打		杉浦押し出し四球	ハウエル本塁打 パリデス適時打		秦サヨナラ本塁打

第7戦 10月26日(月) 神宮

SL 000 000 100 1 = 2 ○石井
YS 000 100 000 0 = 1 ●岡林

最終戦は、第1戦、第4戦に好投したヤクルト岡林と、 第3戦に好投した西武石井の息詰まる投げ合いとなった。 ヤクルトは4回裏、飯田を二塁に置いて荒井がバント、これを石井が一塁へ悪送球し、先制点を拾う。
岡林は好投を続けたが、7回表のパリデスのエラーで出した走者を投手の石井の適時打でかえされて同点にされる。
その裏ヤクルトも一死満塁のチャンスをつかんだが、代打杉浦の打球はニ塁手辻の好捕に阻まれ無得点。 8回裏にも一死満塁のチャンスが訪れたが、ハウエル、池山が打ち取られ、どうしても勝ち越せない。ついにシリーズ4度目の延長戦となった。
10回表に西武は一死三塁とし、秋山の犠飛で勝ち越す。
その裏を石井に抑えられ、王者西武を後一歩というところまで追いつめながら日本一はならなかった。

打撃成績                        投手成績
          G  AB  H  AVG HR RBI        G W L SV   ERA IP   SO
橋上      4   8  5 .625  1   1  岡林  3 1 2  0  1.50 30   22
パリデス  3  10  4 .400  0   1  伊東  4 2 0  0  3.38 10.2  4
飯田      7  30 11 .367  0   3  荒木  2 0 1  0  4.50 10    4
岡林      3   7  2 .286  0   0  金沢  4 0 0  0  7.36  7.1  4
秦        7  23  6 .261  1   1  石井  2 0 1  0  4.91  3.2  3
古田      7  32  8 .250  1   3  高野  1 0 0  0  5.06  5.1  0
荒井      7  20  5 .250  0   1  ----------------------------
池山      7  30  7 .233  2   3        7 3 4  0  3.36 67   37
杉浦      6  10  2 .200  1   5
広沢 克   7  28  5 .179  1   1
笘篠      5  14  2 .143  0   0
ハウエル  7  30  4 .133  2   4
土橋      4   3  0 .000  0   0
荒木      2   2  0 .000  0   0
角 富     2   2  0 .000  0   0
伊東      4   1  0 .000  0   0
君波      2   1  0 .000  0   0
柳田      2   1  0 .000  0   0
八重樫    1   1  0 .000  0   0
金沢      4   0  0  ---  0   0
石井      2   0  0  ---  0   0
内藤      1   0  0  ---  0   0
高野      1   0  0  ---  0   0
------------------------------
          7 253 61 .241  9  23

4勝3敗で野村ヤクルトがついに日本シリーズ無敗の森西武を破り日本一。 両軍の打線が振るわずに、あまり大きな展開がなかったため、 前年と違って先行したチームが必ず勝つという大変カタいシリーズだった。 日本シリーズの平日のデーゲームはこれが最後。

第1戦 10月23日(土) 西武

YS 311 010 200 = 8 ○荒木(6)--宮本(1)--山田(2)
SL 120 001 001 = 5 ●工藤(1.1)--内山(2.2)--鹿取(2)--藤本(3)
本塁打: ハウエル1号(工藤) 池山1号(内山) 伊東1号(荒木) 秋山1号(山田)

前年西武に抑えられたハウエルがいきなり3点本塁打を放つ。 その裏西武に1点を返されると古田が適時打、またその裏に2点を返されると池山が本塁打とすぐに突き放す。その後も5回と7回に加点。
荒木が打たれながらも6回を投げたのが大きく、まず1勝。

第2戦 10月24日(日) 西武

YS 103 100 000 = 5 ○西村(6.2)--宮本(0.1)--S高津(2)
SL 200 000 000 = 2 ●郭(2.0)--新谷(7)

1点を先制したものの、先発の西村が乱調ですぐに逆転されてしまった。 しかし3回に広沢、ハウエル、池山、秦の4連打で逆転し郭をKO。 4回にもハドラーの適時打で点を加える。
不調の西武打線の拙攻に助けられた西村が7回途中まで投げ、敵地で連勝。

第3戦 10月26日(火) 神宮

SL 006 010 000 = 7 ○渡辺久(7.2)--潮崎(1.1)
YS 000 100 010 = 2 ●伊東(3)--金沢(5)--石井(1)
本塁打: 田辺1号(伊東) 秋山2号(金沢)

初回の無死一塁を併殺でつぶすと、3回表であっさりと試合が決まってしまった。 伊東が6安打を浴びて一挙6点を奪われてしまった。
打線は渡辺の荒れ球にてこずり、2点を返すだけにとどまった。

第4戦 10月27日(水) 神宮

SL 000 000 000 = 0 ●石井丈(4)--鹿取(1.1)--杉山(1.2)--潮崎(1)
YS 000 100 000 = 1 ○川崎(8)--高津(1)

先発は西武が前年のMVPの石井、ヤクルトは前年は故障で出場しなかった川崎。 二人の投手戦で試合が進んだ。 先取点は4回裏のヤクルト、一死満塁から池山の犠飛で取った1点である。
その後も投手戦が続き、8回表にこの試合の鍵となる場面がやってきた。 二死一、二塁で打者は鈴木健。初球を打った打球はセンター左前方への安打となり二塁走者笘篠が本塁へ向かう。 しかしあらかじめ前に守っていた飯田の、本塁への正確無比なノーバウンド返球が得点を阻んだ。
これで日本一へ王手。

第5戦 10月28日(木) 神宮

SL 010 000 105 = 7 工藤(4.2)--○鹿取(2.1)--杉山(0.1)--S潮崎(1.2)
YS 000 000 011 = 2 ●宮本(5)--伊東(2)--金沢(1)--山田(1)
本塁打: 清原1号(宮本) 鈴木健1号(山田) 荒井1号(潮崎)

西武が清原の本塁打で先制。 ヤクルトは第1戦にKOした工藤と、リリーフの鹿取に抑えられて点が取れない。 7回表に伊東の二塁打で追加点を許す。
それでも8回裏に1点を返し望みをつないだが、9回表に山田が1点を取られた後、鈴木健に満塁本塁打を打たれて勝負あり。

第6戦 10月31日(日) 西武

YS 000 000 011 = 2 ●西村(4.2)--金沢(3.1)
SL 000 400 00X = 4 ○郭(6)--鹿取(1.1)--杉山(1.1)--S潮崎(0.2)
本塁打: 秋山3号(西村)

雨で一日順延後の試合は第2戦と同じ先発。 前回は郭を打ち込んだが、この試合はなかなかチャンスもつかめない。 4回裏に西村がつかまり、一死満塁のピンチを迎え、秋山に本塁打を許してしまう。
8回と9回に1点ずつを返して追い上げたが、西武の継投策にかわされてしまった。
前年に続き、勝負は第7戦へ。

第7戦 11月1日(月) 西武

YS 300 000 010 = 4 ○川崎(7.0)--S高津(2)
SL 200 000 000 = 2 ●渡辺久(5.1)--工藤(0.2)--石井丈(1)--潮崎(2)
本塁打: 広沢克1号(渡辺久) 清原2号(川崎)

西武が第3戦好投の渡辺なら、ヤクルトは第4戦好投の川崎。 しかし、いきなり初回に点の取り合いとなった。 ヤクルトは一死一、二塁のチャンスに広沢が本塁打で3点。 その裏西武も清原の2点本塁打であっという間に1点差。
ところがその後はどちらも両投手を打てず、淡々と試合が進む。 そして8回表、一死から古田が三塁打し、広沢の内野ゴロでついに追加点が入った。 勢いのなくなった西武相手にはこれで十分。 残りを高津が抑え、王者からついに日本一の座を奪い取った。
2試合に好投した川崎がMVP。

打撃成績                        投手成績
          G  AB  H  AVG HR RBI        G W L SV   ERA IP   SO
飯田      7  20  8 .400  0   2  高津  3 0 0  3  0.00  5   10 
金森      3   3  1 .333  0   1  石井  1 0 0  0  0.00  1    1
ハウエル  7  24  7 .292  1   3  金沢  3 0 0  0  0.96  9.1  8
秦        7  22  6 .273  0   2  川崎  2 2 0  0  1.20 15   12
荒井      6  19  5 .263  1   2  宮本  3 0 1  0  1.42  6.1  6
広沢 克   7  29  7 .241  1   5  荒木  1 1 0  0  3.00  6    0
古田      7  27  6 .222  0   2  西村  2 1 1  0  4.76 11.1  2
池山      7  23  5 .217  1   4  伊東  2 0 1  0 10.80  5    2
ハドラー  7  24  4 .167  0   2  山田  2 0 0  0 18.00  3    6
橋上      5   9  1 .111  0   0  ----------------------------
笘篠      5   9  0 .000  0   1        7 4 3  3  3.48 62   47
角        5   3  0 .000  0   0
川崎      2   3  0 .000  0   0
土橋      5   2  0 .000  0   0
城        3   2  0 .000  0   0
桜井      2   1  0 .000  0   0
金沢      3   1  0 .000  0   0
杉浦      2   1  0 .000  0   0
真中      1   1  0 .000  0   0
八重樫    1   1  0 .000  0   0
宮本      3   0  0  ---  0   0
荒木      3   0  0  ---  0   0
高津      3   0  0  ---  0   0
西村      3   0  0  ---  0   0
伊東      2   0  0  ---  0   0
山田      2   0  0  ---  0   0
石井      1   0  0  ---  0   0
------------------------------
          7 224 50 .223  4  24

野村ヤクルトが日本一に返咲き。 シリーズが始まる前から、捕手古田を中心とした野村ID野球が、打者イチローを中心とした仰木マジックにどう対するかが注目された。 この年から全戦がナイトゲームで行なわれる。

第1戦 10月21日(土) 神戸

YS 010 020 020 = 5 ○ブロス(8)--S高津(1)
OB 000 101 000 = 2 ●佐藤(4.2)--伊藤(2.2)--清原(0.1)--渡辺(1.1)
本塁打: 大野1号(清原)

2回表に飯田の適時打で先制。5回表には池山の2点適時打で勝ち越し。 4回裏と6回裏にニールの適時打で2点を許したが、 8回表に大野の代打2点本塁打で突き放し、思い通りの内容でまず1勝。
1回裏のイチローの打席、ブロス・古田のバッテリーが高めの球を意識させ打ち取ったことが、その後のイチロー封じのための大きな収穫であった。

第2戦 10月22日(日) 神戸

YS 000 000 020 01 = 3 石井(4.2)--宮本賢(0.1)--加藤(1)--伊東(1)--○山部(4)
OB 010 010 000 00 = 2 野田(7.2)--野村(0.0)--鈴木(0.1)--●平井(3)
本塁打: Ｄ・Ｊ1号(石井) オマリー1号(平井)

先発の石井がＤ・Ｊの本塁打と暴投で2点を許す一方、 7回まで打線は野田から点を奪えずに不利な展開。
しかし8回表に土橋の適時打で1点差とした後、リリーフの野村からオマリーの適時打で同点。8回裏の無死3塁のピンチを山部が切り抜けて延長に入った。 そして11回表に平井からオマリーが決勝本塁打を放ち、敵地で連勝。

第3戦 10月24日(火) 神宮

OB 000 010 300 0 = 4 星野(4)--小林(0.0)--清原(0.1)--鈴木(1.2)--伊藤(1.2)--野村(0.0)--●平井(1.2)
YS 100 010 011 3 = 7 吉井(5)--加藤(1.0)--宮本賢(0.1)--山部(0.1)--伊東(1.1)--○高津(2)
本塁打: ミューレン1号(平井) 池山1号(平井)

ヤクルトがオマリーの適時打で先制し、イチローの犠飛で追いつかれた後、すぐに稲葉の犠飛で勝ち越す。 しかし7回表に継投の隙をつかれ、田口の適時打とＤ・Ｊの2点適時打で逆転されてしまう。
しかし8回にチャンスをつかみ、代わった平井から古田の内野安打で1点差。 そして9回にミューレンの本塁打で同点に追いつき、2試合連続の延長戦。 10回裏に池山のサヨナラ3ランによって、一気に王手をかけた。

第4戦 10月25日(水) 神宮

OB 000 000 001 001 = 2 長谷川(6)--鈴木(2)--野村(0.2)--野田(0.1)--○小林(3)
YS 000 010 000 000 = 1 川崎(8.1)--山部(1.0)--●伊東(2.2)
本塁打: 小川1号(川崎) Ｄ・Ｊ2号(伊東)

ヤクルトの先発川崎はシーズン初めに故障で戦列を離れ、シーズン終盤に復帰してきたばかり。1,2回の満塁のピンチを切り抜け、5回の飯田の適時打による1点を守りつづける。 しかし優勝まで1イニングとなった9回表、先頭打者の小川に本塁打されてついに追いつかれてしまった。
3試合連続の延長戦となり、11回裏に一死一、二塁のチャンスをつかみ、打者はオマリー。 しかしここは小林投手が14球の末にオマリーを三振に打ち取り、サヨナラにはならなかった。 直後の12回表にＤ・Ｊが決勝本塁打が出て、優勝を前に一歩足踏み。

第5戦 10月26日(木) 神宮

OB 100 000 000 = 1 ●高橋功(2.2)--星野(0.1)--伊藤(3)--野田(2)
YS 020 010 000 = 3 ○ブロス(8)--S高津(1)
本塁打: イチロー1号(ブロス) オマリー2号(高橋功)

1回表、それまで高目の球を意識させて抑えてきたイチローに、ブロスが逆にその球を狙われて先制本塁打を打たれてしまった。 しかし2回に無死満塁から池山とミューレンの犠飛であっさり逆転。 そして5回裏にはオマリーの本塁打で2点差とする。
イチローだけはようやくブロスから2安打1四球と目を覚ましはじめたが、他のオリックスの打者はブロスを崩せない。 そして最終回をシリーズ2セーブの新記録となる高津が締めて、3度目の日本一。
終始ヤクルトペースでオリックスを圧倒し、オマリーが文句無しのMVPに輝く。

打撃成績                          投手成績
            G  AB  H  AVG HR RBI           G W L SV   ERA IP   SO
大野        2   2  2 1.00  1   2  山部     3 1 0  0  0.00  5.1  3
吉井        1   1  1 1.00  0   0  高津     3 1 0  2  0.00  4    4
真中        5  11  6 .545  0   0  川崎     1 0 0  0  1.08  8.1  4
オマリー    5  17  9 .529  2   4  ブロス   2 2 0  0  1.13 16   11
秦          4  10  5 .500  0   0  伊東     3 0 1  0  1.80  5    3
城          3   3  1 .333  0   0  吉井     1 0 0  0  1.80  5    3
ミューレン  5  20  6 .300  1   2  石井     1 0 0  0  3.86  4.2  6
飯田        5  23  6 .261  0   2  加藤     2 0 0  0  4.50  2    2
荒井        4   8  2 .250  0   0  宮本 賢  2 0 0  0 27.00  0.2  1
古田        5  23  4 .174  0   1  -------------------------------
池山        5  21  3 .143  1   6           5 4 1  2  1.76 51   37
土橋        5  24  3 .125  0   1
稲葉        5   9  0 .000  0   1
金森        3   3  0 .000  0   0
川崎        1   2  0 .000  0   0
宮本 慎     5   2  0 .000  0   0
ブロス      2   1  0 .000  0   0
伊東        3   1  0 .000  0   0
高津        3   1  0 .000  0   0
橋上        2   1  0 .000  0   0
山部        3   0  0  ---  0   0
加藤        2   0  0  ---  0   0
宮本 賢     2   0  0  ---  0   0
石井        1   0  0  ---  0   0
青柳        1   0  0  ---  0   0
山口        1   0  0  ---  0   0
野口        1   0  0  ---  0   0
--------------------------------
            5 183 48 .262  5  19

野村ヤクルト、再び捲土重来で2年ぶりの日本一。 東尾監督3年目で若手中心の西武を相手に、 シーズン200盗塁の足を古田がどのように封じるか、また西武の伊東と捕手対決など、 古田に焦点が集まった。飯田は左肩の骨折で欠場。

第1戦 10月18日(土) 西武

YS 000 000 010 = 1 ○石井一
SL 000 000 000 = 0 ●西口
本塁打: テータム1号(西口)

ノーヒットノーラン投手の石井対最多勝投手の西口、 この年の両リーグを代表する投手が、シーズン中の活躍そのままに投げ合い、 終盤に入ってもどちらも得点を奪えない。 8回表の先頭打者テータムが初球をホームランしてついに均衡を破る。 石井は終盤尻上がりに調子が上がり、3安打完封。 12奪三振は9回まででのシリーズタイ記録。

第2戦 10月19日(土) 西武

YS 021 101 000 0  = 5 田畑(1)-山本(4)-廣田(0.1)-加藤(0.1)-高津(3.1)-●山部(0.1)-伊藤智(0.0)
SL 500 000 000 1X = 6 潮崎(3)-石井貴(2.1)-杉山(0.0)-デニー(1.2)-橋本(0.2)-○森慎(2.1)
本塁打: 河田1号(田畑)

1回裏二死一塁からホージーが打球の判断を誤り二塁打にしてしまい1点を与える。 その後2連打と河田の本塁打で一挙5点を許してしまう。 2回表にエラーで1点もらった後に真中の適時打でもう1点、3回表に池山の適時打、 4回表にエラーでもう1点と小刻みに返して1点差。 そして6回表一死満塁でホージーのグリップエンドに当たった打球が転がる間に 1点が入りついに同点とした。
その後は両チームとも何度もチャンスをつかむが、継投策で投手が踏ん張り、 どうしても点が入らない。 しかしついに10回裏に代打田辺のサヨナラ打によって西武がサヨナラ勝ち
日本シリーズ史上2位の長時間試合で、最も遅い時刻まで行なわれた試合となった。

第3戦 10月21日(火) 神宮

SL 002 100 000 = 3 石井丈(2)-石井貴(3)-デニー(0.2)-杉山(1.1)-●渡辺久(1)
YS 030 000 02X = 5 吉井(4)-加藤(2)-山本(1.0)-廣田(0.2)-○高津(1.1)
本塁打: 古田1号(渡辺久)

第2戦の裏返しのような試合。
2回に真中の適時打、続く土橋の2点二塁打で3点を先攻したが、 吉井が3回表に大友の適時打と高木大の犠飛で2点、4回表に伊東の適時打で1点を許し 追い付かれてしまう。 その後は両チームとも投手を継投し、なかなか勝ち越し点が入らない。 しかし西武の投手が苦しくなった8回裏、先頭打者の古田が勝ち越しホームラン、 さらに高津が適時打でダメ押し点をあげて振り切った。

第4戦 10月22日(水) 神宮

SL 001 000 000 = 1 ●新谷(4)-潮崎(0.2)-杉山(0.1)-デニー(1)-石井貴(0.1)-橋本(0.1)-森慎(0.1)-ギブンス(1)
YS 003 000 22X = 7 ○川崎(5.1)-加藤(0.2)-廣田(1)-伊藤智(2)
本塁打: 佐藤真1号(ギブンス)

3回表に西武が松井の適時打で先制。しかしその裏すぐに川崎の安打を足がかりに二死二、三塁から古田の二塁打で逆転、続く稲葉の適時打で3点目。 その後の西武の反撃を継投でかわす。西武も小刻みに継投するが、 7回裏にホージーの止めたバットに当たった打球が安打となり2点追加、 さらに8回裏に佐藤真の2点ホームランでダメ押し。日本一に王手をかけた

第5戦 10月23日(木) 神宮

SL 000 000 000 = 0 ●西口(5)-デニー(1.1)-橋本(0.2)-森慎(1)
YS 020 100 00X = 3 ブロス(4)-山本(1)-○石井一(2)-伊藤智(1)-S高津(1)

2回裏に古田、稲葉の連打で無死二、三塁のチャンスをつかみ、 池山の2点適時打で先制。4回裏には三塁打の稲葉を置いてまたも池山が犠飛で3点目。 流れを完全につかみ、投手は走者を許すものの決定打を許さない。 最後は高津が締めくくり、2年ぶりの日本一に輝いた。
古田は、これまでのシリーズでは打撃が振るわず、 このシリーズも1,2戦はブレーキになっていたが、3戦目、4戦目で殊勲打。 捕手としてはリードとともに、西武の武器であった足を封じ、見事MVPに選ばれた。

打撃成績                          投手成績
            G  AB  H  AVG HR RBI           G W L SV   ERA IP   SO
高津        3   1  1 1.00  0   1  石井 一  2 2 0  0  0.00 11   15
稲葉        5  20 10 .500  0   1  山本     3 0 0  0  0.00  6    8
秦          3   6  3 .500  0   0  高津     3 1 0  1  0.00  5.2  4
佐藤 真     4   2  1 .500  1   2  ブロス   1 0 0  0  0.00  4    2
川崎        1   2  1 .500  0   0  加藤     3 0 0  0  0.00  3    1
土橋        5  21  9 .429  0   2  伊藤 智  3 0 0  0  0.00  3    2
真中        5  21  7 .333  0   2  廣田     3 0 0  0  0.00  2    1
池山        5  16  5 .313  0   4  川崎     1 1 0  0  1.69  5.1  5
古田        5  19  6 .316  1   3  吉井     1 0 0  0  6.75  4    3
宮本        5  16  4 .250  0   0  田畑     1 0 0  0 27.00  1    1
ホージー    5  20  4 .200  0   3  山部     1 0 1  0 27.00  0.1  0
テータム    5  16  2 .125  1   1  -------------------------------
小早川      5   7  0 .000  0   0           5 4 1  1  1.59 45.1 42
馬場        3   1  0 .000  0   0
大野        3   1  0 .000  0   0
辻          2   2  0 .000  0   0
吉井        1   1  0 .000  0   0
ブロス      1   1  0 .000  0   0
加藤        3   0  0  ---  0   0
廣田        3   0  0  ---  0   0
山本        3   0  0  ---  0   0
伊藤 智     3   0  0  ---  0   0
城          1   0  0  ---  0   0
石井 一     2   0  0  ---  0   0
田畑        1   0  0  ---  0   0
山部        1   0  0  ---  0   0
--------------------------------
            4 141 45 .319  3  19

過去の広岡監督、野村監督と同様に、若松監督が就任3年目でリーグ優勝。 公式戦の終盤に古田が左ヒザの靭帯を損傷して3週間ほど欠場し、その間にチームの調子が落ちたため完治しないまま再出場。相当悪い状態で日本シリーズに挑むことになった。
シーズン200本塁打の攻撃力で勝ち抜き初の日本一を目指す近鉄いてまえ打線を、古田がリードする投手陣で押さえ込み21世紀最初の日本一。

第1戦 10月20日(土) 大阪ドーム

YS 010 003 012 = 7 ○石井一(8)-河端(1)
KB 000 000 000 = 0 ●パウエル(6)-関口(1)-柴田(0.2)-愛敬(1)-前川(0.1)
本塁打: ラミレス1号(パウエル) 古田1号(愛敬)

先発は石井一久。公式戦では毎試合不安定な立ち上がりで調子が出ないまま終わってしまうことも多かった。 この試合も初回に四球で走者を出してしまうが、55本塁打のローズ、46本塁打の中村を打ち取って取って調子に乗り、いてまえ打線を押さえ込む。
2回表に岩村の二塁打で先制し、6回表にラミレスの3ランホームラン、8回表に古田のソロホームランと下位打線で着々と加点。
石井一は四球はあったものの6回まで無安打。7回裏に代打逆転サヨナラ満塁ホームランでリーグ優勝を決めた北川に初安打を許すが、後続を抑えて8回まで12奪三振とシーズン中にもなかったような快投。 9回表に真中の2点適時打でダメ押し。投打に渡って近鉄を圧倒しまず1勝。

第2戦 10月21日(日) 大阪ドーム

YS 012 111 000 = 6 藤井(5.2)-島田(0)-山本(1.1)-●五十嵐(1)
KB 000 114 03X = 9 岩隈(2.1)-関口(0)-山村(1.2)-前川(1.2)-三沢(2)-○岡本(0.1)-S大塚(1)
本塁打: 真中1号(山村)、中村1号(藤井)、水口1号(島田)、ローズ1号(五十嵐)

2回表に土橋の内野安打、3回表に稲葉の二塁打と岩村の押し出し死球、4回表に真中の本塁打で着々と点を重ねて4点をリード。
公式戦最多勝の先発藤井は序盤は0点に抑えていたが、4回裏に中村にホームランを打たれてから近鉄いてまえ打線が動き出す。 5回表に暴投で1点を取れば、その裏にローズの犠飛。6回表にペタジーニの適時打で1点を取れば、その裏に大村の適時打でまた1点。 ここで藤井を諦め島田に交代したが、水口に3ランホームランを打たれて同点に追いつかれてしまう。
先攻ということもあって投手継投が苦しくなり、8回裏に五十嵐がローズに3ランホームランを打たれて勝負あり。大阪は1勝1敗で舞台は東京へ。

第3戦 10月23日(火) 神宮

KB 000 010 100 = 2 ●バーグマン(4)-香田(0.1)-関口(1.2)-盛田(1)-柴田(1)
YS 200 043 00X = 9 ○入来(5)-ニューマン(2)-石井弘(1)-河端(1)
本塁打: 真中2号(香田)

かつて近鉄に在籍し、ヤクルトに移籍して今年初の10勝をあげた入来が古巣に恩返しの先発。普段以上に気合が入るところだが、気合が空回りしないようにボールが続くとセットポジションから投げるなど冷静さもあった。
1回裏に四球、犠打、暴投、稲葉の犠飛と無安打で1点。さらに四球のペタジーニが盗塁、古田の適時打で2点目と無駄のない攻撃で3試合連続の先取点。
5回表に近鉄がチャンスをつかみ、公式戦ではDHだった川口が代打で適時打を放ち1点差。なお一死一・二塁だったが、入来が二者を連続三振に打ち取ってピンチをしのいだ。
2回以降抑えられていたバーグマンに代打が出たことで5回裏から近鉄の投手が交代。 ここで打線が息を吹き返し、真中の2ランホームラン、ペタジーニ、岩村の二塁打で一気に4点。 6回裏にもペタジーニと古田の連続適時打で3点を取り、試合を決定付けた。
第2戦ではリリーフの右投手が打たれたが、この試合は二人の左投手が途中の反撃を1点に抑えて最後は完勝。

第4戦 10月24日(水) 神宮

KB 000 100 000 = 1 前川(5.1)-●岡本(1)-柴田(1)-三澤(0.2)
YS 000 010 10X = 2 前田(6)-○ニューマン(1)-河端(0.1)-山本(0.2)-S高津(1)
本塁打: ローズ2号(前田)、副島1号(岡本)

両チームとも、公式戦の前半に活躍したが後半は不調だった左腕投手が先発。
前田は初回に先頭の大村に安打を打たれ一死二塁でローズを迎えるというピンチ。 しかしここで牽制球で大村をアウトにしてピンチを脱し、序盤は調子に乗った。 しかし4回表二死からローズに初球をバックスクリーンへ打たれ、近鉄がこのシリーズ初めて先制。
前川からは四死球で走者を出すもののなかなか本塁へ返せなかったが、5回裏にようやく宮本の適時打で同点に追い付く。
その後は両チームのリリーフ投手勝負。 6回裏の無死一・二塁のチャンスを逃して流れが近鉄へ。 7回表にローズへの四球と盗塁で一死二塁のピンチ。ところがここでローズが焦り、二塁への牽制動作の時に三塁へスタートしてしまい三塁手前でアウト。またも走者のミスでピンチを脱した。 ここでまたヤクルトに流れが戻り、直後の7回裏に代打の副島がレフトポール際ぎりぎりにホームランして勝ち越し。
日本シリーズ無失点の高津が4戦目で初登板し、3者凡退で連勝。 いてまえ打線を2安打に抑えて日本一に王手。

第5戦 10月25日(木) 神宮

KB 000 020 000 = 2 ●パウエル(1)-柴田(1.1)-三澤(0.2)-バーグマン(2)-前川(0.2)-岡本(1)-大塚(1.1)
YS 300 100 00X = 4 ホッジス(4.2)-ニューマン(0.1)-河端(1.1)-○山本(1.2)-S高津(1)

勝ち星を2つリードしてまだ余裕のあるヤクルトは5番目の先発投手ホッジス。 負けられなくなった近鉄は第1戦の先発投手パウエルの、外国人投手対決。
1回裏に稲葉の適時打、岩村の2点適時打でいきなり3点を先取して主導権を握る。
近鉄は投手を次々と交代させ、必死の防戦。 4回裏に稲葉の二塁打で1点を追加したが、その後の一死満塁を逃して決定的な点は奪えず。
ホッジスは微妙に変化する球を低めに集めて点を与えなかったが、5回表に球が浮き出して二死満塁のピンチ。 ここでニューマンに交代したが、ローズに2点適時打を打たれてしまう。 なおも続くピンチで中村を打ち取り、2点差で後半へ。
攻撃では出塁はするものの、近鉄のめまぐるしい投手交代に対して残塁の山を築くだけで追加点を奪えず、リーグ優勝直前の足踏み状態と似たような試合展開。
しかし連投の河端と山本が踏ん張り、2点差のまま9回の高津に繋いだ。 ウイニングボールのキャッチャーフライを古田が捕り、ヤクルト4年ぶりの日本一が決定。
心配された古田は、守っては勝ち試合でいてまえ打線を全て2点以下に封じ込める投手リード、打っては打率5割で出塁率は6割8分2厘。 怪我を言い訳にするどころか、シリーズ中は守備でも攻撃でも最も動きが多かったという驚くべき気力と集中力で2度目のMVP獲得。

打撃成績                          投手成績
            G  AB  H  AVG HR RBI              G W L SV   ERA IP   SO
古田        5  14  7 .500  1   3  石井 一     1 1 0  0  0.00  8   12
ホッジス    1   2  1 .500  0   0  河端        4 0 0  0  0.00  3.2  1
宮本        5  19  9 .474  0   1  山本        3 1 0  0  0.00  3.2  6
岩村        5  20  9 .450  0   5  ニューマン  3 0 0  0  0.00  3.1  0
ペタジーニ  5  16  6 .375  0   4  高津        2 0 0  2  0.00  2    1
副島        3   3  1 .333  1   1  石井 弘     1 0 0  0  0.00  1    0
真中        5  19  6 .316  2   5  前田        1 0 0  0  1.50  6    5
土橋        5  16  4 .250  0   1  入来        1 1 0  0  1.80  5    6
稲葉        5  20  4 .200  0   4  ホッジス    1 0 0  0  3.86  4.2  5
ラミレス    5  18  3 .167  1   3  藤井        1 0 0  0  7.94  5.2  2
飯田        5   9  1 .111  0   0  五十嵐      1 0 1  0 27.00  1    1
前田        1   2  0 .000  0   0  島田        1 0 0  0   ---  0    0
ニューマン  3   1  0 .000  0   0  ----------------------------------
山本        3   1  0 .000  0   0              5 4 1  2  2.66  44  39
池山        1   1  0 .000  0   0  
入来        1   1  0 .000  0   0
河端        4   0  0  ---  0   0
三木        3   0  0  ---  0   0
高津        2   0  0  ---  0   0
石井 一     1   0  0  ---  0   0
石井 弘     1   0  0  ---  0   0
五十嵐      1   0  0  ---  0   0
藤井        1   0  0  ---  0   0
島田        1   0  0  ---  0   0
--------------------------------
            5 152 26 .317  5  27