紫式部集
First updated 11/24/2003
Last updated 01/31/2024
渋谷栄一翻字(C)

紫式部集

凡例
1 本文は定家自筆本系の最善本とされる実践女子大学図書館蔵「むらさき式部集」(『紫式部集大成』影印版 笠間書院 2008年〈平成20年〉5月)によって、漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
2 通行の平仮名の字母はそのまま仮名で表示した。
3 変体仮名はその字母で翻字した。
4 片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
5 仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「」と付記した。
6 行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形で書き分けられている所は茶色で表示し、同じ字母字形で書かれている所は緑色で表示した。
7 和歌の冒頭には001から126まで3桁の数字で記した。なお改行された下句の位置が上句より約半字下げられて書かれている箇所はそのように表記した。
8 振り仮名は〈 〉に括って記した。
9 本文の訂正跡は( )に入れて記した。$ミセケチ、#削除、+補入を表す。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。

  「むらさき式部集」(題箋)

     者やうよ里わらハとも多地なりし
     尓としころ遍てゆきあひ堂類可
     本の可尓て十月十日のほと
     きおひてかへり丹个れ盤
001 免くりあひてしやそれともわ可ぬまに
   くもかく連尓ハの可け
    (一行空白)
     そのと越支ところへいくなり个り
     阿き能者つる多るあ可つきむし
     のゑあハ連那り」(1オ)

002 な起よハる満可き能むしもとめか多起
   阿き能わ可れや閑なし可るらむ
    佐うのと志者しとかひ多り个る
    まいりててよりえむとある返事
003 徒ゆしけきよも起可能むし能年を
    おほろ遣尓てやの堂つね
    閑多ゝか遍尓わ多り多るのな満おほ
    /\しきこと阿里とてかへり耳ける
    徒とめてあさ可ほのをやるとて
004 お本徒可なそれ可阿らぬ可阿氣く連能」(1ウ)

    そらおほ連す累あさ可本の
    し て越みわ可ぬ尓やあ里个ん
005 伊つれそといろわくほと尓阿さ閑ほの
    阿る可な起可尓な累そわひしき
    徒くしへゆくのむすめの
006 尓しのうミ越おもひ屋りつミれハ
    堂ゝ耳な可類ゝころ尓もある可那
    
007 にしへゆくのたよりに堂満つ佐の
    か支堂えめや者くもの閑よひち」(2オ)

    はる可那るところ尓ゆきやせんゆ可す
    やとおもひ王つらふの屋ま佐とより
    もみちをお里てをこせ多類
008 つゆ布可くをくさ登のみちハ尓
   閑よ遍るそてのいろをみせハや
    かへし
009 阿らし布くと越さ登濃もみちハゝ
    つゆもと満らんことのか多佐よ
    そ能
010 もみちハ越佐そふ阿らし者ゝや个れと」(2ウ)

    古のし多那らてゆくこゝろ可は
    も能おもひ王つらふのう連遍多る
    と尓志もハ可り
011 志もこほりと地多るころのミつくきハ
    えも閑起屋らぬ古ゝ地のミして
    
012 ゆ可すともな越かき徒めよ志もこほり
    ミつ能う遍尓ておもひな可佐ん
     かも尓まうて多る尓本とゝき須な可
     なんといふあ遣ほの尓か多を可能こすゑ」(3オ)

     お可しくえ个り
013 本とゝき須ゑまつ本とは閑多越可能
    も里能し徒く尓多地やぬ連まし
    屋よひのつい多ちかハらにいて堂る尓
    可多ハらなるくる満尓本うしの閑ミ越
    かうふり尓ては可せたちをる越耳く
    みて
014 はら遍との閑ミの閑佐里能みてくらに
     う多てもま可ふみゝはさミ可那
    あねな里しく那り又人のおとゝ」(3ウ)

    うしなひ多る可閑多み尓ゆき阿ひて
    な起可ゝハり尓おもひかハさんとい日个り
    布ミ能うへ尓阿年きみとかき
    かき閑よハしけるかをのかしゝとをき
    ろへゆきわ可るゝ尓よそ那可らわ可れ
    おしみて
015 き多へゆく閑里能徒ハさ尓と津て
   くものうハ可起かき堂えすして
    しハ尓しのうミ能なり
016 ゆきめくり多れもみやこ耳かへる」(4オ)

   い徒ハ多登きく本とのハるけさ
    徒のく尓といふよりをこせ多りける
017 な尓ハ可多むれ多ると里能もろとも尓
    多ちゐるも能とおもハまし可は
    か遍し
   (二行空白)
    津くし尓ひせんといふところよりふミ
    をこせ多る越いとはる可なるところ尓て
    けりそのと尓」(4ウ)

018 阿ひむとおもふ古ゝろ盤まつら那る
    かゝミのかみやそらにみるら舞
    閑遍し のとしもてき多り
019 ゆき免くり阿ふ越まつらのかゝみ尓ハ
    堂れを可けつゝいのると可し累
    あふミのミつうみ尓てみ越か佐き登
    いふところ尓阿ミひくを
020 み越のうミにあミ多みのて満もな
    多ちゐ尓徒遣てミや古ゝひしも
    いその者満尓徒るのこゑ/\なくを」(5オ)

021 伊そ閑く連おし古ゝろ尓堂つそ那く
    な耳おもひいつるや多れそも
    堂ちしぬ遍しとてそら能くもり
    てひらめく尓
022 閑起くもりゆふ多つなミの阿ら个れハ
    うきたるし徒古ゝろなき
    ほつといふみちのいとし氣き越
    つのおの阿やしきさ満登もして
    な越からきミ地な里やといふ越きゝて
023 志里ぬら舞ゆきゝ尓ならす志ほつ」(5ウ)

    耳ふるミ地ハ閑らきものそ
    うみ尓おいつ志まといふす佐き尓
    む可ひてわらハへのうらといふいりうミ能
    お可しき越くちすさひ尓
024 おい徒しま/\も累閑ミやいさ無らん
    なみも佐ハ可ぬ王らハ遍のうら
    
古よミに者つゆきふる登かき多る
    め尓ち可きの堂けといふのゆき
    いと布可うやらるれハ
025 古ゝ尓可くひのゝす起むらう徒無ゆき」(6オ)

   をし本の耳个ふや満可遍る
    か遍し
026 越しほやままつのうハに个ふや佐ハ
    み年のうすゆきゆらん
    布里徒ミていとむつ可しきゆき越
    かきすてゝのやう尓志なし堂る尓
    /\能本里てな越古連いてゝみ多
    まへといへ者
027 布るさ登尓閑遍る屋まちのそれならハ
    古ゝろやゆくとゆきもみてまし」(6ウ)

    としか遍りて閑らひとゆ可むと
    いひ个るのはるハとくゝるものとい可
    て志ら勢多てまつら無といひ多る尓
028 なれとし羅年のみゆきいや徒もり
    とく遍起本と能いつとな起可那
    阿ふミの閑みのむす免氣佐うすと
    きくの布多古ゝろなし那と徒ね
    いひ王多り个れハうる佐くて
029 うミのともよふちとりこと那らは
    屋そ能みなと耳こゑ多え那せそ」(7オ)

    う多ゑ尓阿まの志ほやく可多越閑起
    てこ古里津ミたるなけき能もと尓かきて
    か遍しや累
030 よもうみ尓志本やく阿まの可ら
    屋く登ハ閑ゝるなけきをや徒無
    布ミ能う遍尓志ゆといふ越徒ふ/\
    とそゝきか遣てなみ多のいろなと
    かき多るの可遍りこと尓
031 くれなゐ濃なミ多そ伊とゝうと満るゝ
    う津る古ゝろのいろ耳ゆれ盤」(7ウ)

    もとよ里のむす免をえ多る
    な里けり
    布ミちらし个りときゝて阿里し
    ともとり阿つ免てをこせすハ
    かゝしとことは尓て能ミい日や
    里け連はみ那をこすとていミしく
    ゑんし多り个れハむ月十日ハ可りの
    こと那里个り
032 登ち多里しう遍能うすらひと遣那可ら
    さは堂えねとやのし多」(8オ)

    す可佐連ていとくらうな里堂る尓
    をこせ多る
033 こ地とくるは可りをそ古ゆる
    伊しま能ハ堂えはたえな
    いまはものもきこ江しとはら多ち
    堂れ盤わらひてか遍し
034 いひ堂えは佐こそハたえめな尓可その
    み者ら能いけを徒ゝミしもせん
    夜中ハ可り尓
035 堂け閑らぬ可す那ミは王起可へり」(8ウ)

    見はら能い氣尓堂て登かひな
    佐くらを閑免丹佐してみる尓とり
    も阿遍すち里け連はもゝの
    やりて
036 里てみ盤地可ま佐里せよもゝ能
    もひくま那き佐くらおしまし
    
037 もゝ登い布阿るものをと起のまに
    ちる佐くら丹もおもひおと佐し
    のちるころなしのハ那といふも」(9オ)

    もゆふくれの佐ハき尓いつれと
    えぬいろなるを
038 登い者ゝいつ連可丹ほ日なしとミむ
    ち里可ふいろのと那らなく尓
    と越支ところへゆきにしのなくな
    里尓ける越おやはらからなと閑遍り
    きてかなしきといひ多る尓
039 伊つ可多能くもち登き可ハ多年まし
    津らハなれ个ん閑りかゆくゑを
    古そよ里うす尓ひなる女院可く」(9ウ)

    閑く(閑く$)連佐せたまへる者累い多うかすミ
    多るくれ尓の佐しを可せ多る
040 くものう遍ももふはるハすミそめ尓
    かす無そら佐へあハ連那る可那
    
041 な尓可この本とな起そて越ぬらすらん
    閑すミのころもな遍てきる
    なくな里しのむす免のおや能
    てかき徒遣多りけるものを
    いひ多里し」(10オ)

042 ゆふき里尓ミし満かくれしをし能この
    阿と越みる/\まとはるゝ可那
    阿連多る屋との佐くら能
    もしろきこと登てお里てをこせ
    多る尓
043 ちるは那をなけきし者古のもと濃
    佐ひしきとやかね志里个無
    おもひ堂えせぬとな起のいひ个る
    こと越日いて多るな
    ゑ尓ものゝけ徒き多る尓くき」(10ウ)

    閑多か起多るうしろ尓お丹ゝなり多る
    もとの免越こ本うしの志ハりた多る可多
    かきておとこはきやうよみてのゝ
    氣せ免多るところを
044 な起耳閑ことはか氣て王つらふも
    をの可古ゝろの尓ゝや盤阿らぬ
    
045 ことハ里やきみ可古ゝろ濃屋ミ那連ハ
    お丹のか氣とはしるくみゆら無
    ゑ尓むめ能花見るとて徒まとをし」(11オ)

    阿氣て二三人井多る尓みな/\
    ね多る个しき閑い多る尓いと佐多
    す起多類おもとの徒らつゑ徒いて
    免多る可多あるとこ
046 の屋ミ濃まとひ尓いろならぬ
    古ゝろ尓者那のかをそ志免つ
    おしゑ尓佐可の尓者那くる
    ま阿りなれ多るわらハのはき能
    多地よ里てお里多るとこ
047 佐越し閑の志可ならハせるはきなれや」(11ウ)

    多ちよる可ら尓を能連おれ布す
    のは可那きこと越なけくころミ地
    能く尓阿るところ/\閑い多る越み
    て志本かま
048 みしの个ふり登な里しゆふ遍より
    なそむつましき志ほ可満うら
    かと堂ゝき王つらひて閑遍り尓个る
    の徒と免て
049 とゝも尓阿らき布く尓しのうみも
    いそ遍尓なみ盤よせすとやし」(12オ)

    とうらみ多里ける閑遍りこ
050 か遍りてはおもひ志里ぬやい者かと尓
    うきてよ里けるきし能阿多な
    登し可へりて閑とは阿きぬやとい日
    たる尓
051 堂可さ登の能たよ里尓うくひすの
    かすミ耳とつる屋と越とふらむ
    世中佐ハ可しきころ阿さ可ほ
    をのもとへ屋るとて
052 きえぬま能をも志累/\あさか本の」(12ウ)

    徒ゆ登あらそふ越なけく可那
    越徒ねし那とおもふのおさ那
    きのなやミける尓閑ら堂けといふ
    ものかめ尓佐し多るはらのいの里
    个る越みて
053 わ可いゆくすゑをいの累可那
    この越うしといとふものから
    越おもハすなりとなけくことの
    やう/\な能免尓ひ多婦る濃佐ま
    なる越おもひ个累る」(13オ)

054 閑す那らぬ古ゝろ尓をハま可せねと
    にし多可ふ盤り个り
055 古ゝ路多尓い可なに可ゝなふら無
    おもひ志連れともおもひしられ春
    者しめてう地わ多りをみる耳も
    ものゝ阿者れな連は
056 うさは古ゝ路のう地尓志多ひきて
    いまこゝのへそおもひ見多るゝ
    ま多いとうゐ/\しきさ満尓てふる
    佐と尓閑遍りて能ちほの可尓か多ら」(13ウ)

    ひける
057 と地堂里しいハ満の古ほりう地とけ者
    を多えのも閑氣みえしや盤
    か遍し
058 見遍の者那ふきま可ふ堂丹
    むすひしとけ佐らめやハ
    正月十日の本と尓はるのう多ゝてまつ
    連と阿里け連はま多いて堂ちも
    せぬかくれ可尓
059 見よしの能个しき尓かす免とも」(14オ)

    むす本ゝれ多るゆき能し多
    屋よひハ可り尓能へんのも登
    いつ可まいりたまふなとかきて
060 うきこと越おもひみ多れてあ越やき能
    いと飛さしくもな里にける可那
    
061 徒連/\とな可めふるは阿をやき
    いとゝう起ミ多れてそ婦る
    かハ可りう(う$そ)しぬへき越いとい多う
    もすめく可那とい日けるを」(14ウ)

    きゝて
062 わ里那しや登伊者佐ら免
    津可らをやおもひすつへ支
    くすたまをこすとて
063 志のひつるねそ阿らハ類ゝ阿やめく佐
    いハぬ耳く地てやミぬへ个れ者
    
064 个ふ者可くひきけるものを阿やめく佐
    わ可み可くれ尓ぬ連わ多里徒る
    徒ちみ可ととの尓て三十講〈可う〉五巻〈くハん〉」(15オ)

    月五日阿多れ里し尓
065 堂遍な里や个ふハ佐のいつ可とて
    い徒ゝのま起の阿遍る能りも
    そのい氣能かゝり尓み阿可し能
    ひ可り阿日て飛るよ里もそ古まて
    佐や可なる尓佐う婦の閑いま免可し
    う丹ほひくれ半
066 閑ゝりのか氣も佐ハ可ぬい氣
    いくちよす万無能里のひ可りそ
    お本屋遣こと尓いひま起らハす越む」(15ウ)

    可ひたまへる者佐しもおもふこともの
    し堂まふましき可多地あり佐ま
    よはひの本と越い多うこゝろふ可け尓
    おもひミ多れて
067 すめ累い氣能そ古まてゝらすかゝりひの
    まハゆ起まてもう起わ可可那
    やう/\阿氣ゆくほと尓わ多との耳
    きて徒本年能し多よりいつる
    かうらんをゝ佐へて志者しゐ多れハ
    そら能个しきはるのかすミ耳も」(16オ)

    きり耳もとらぬころ本ひな
    こせう志やうのすミ能かうしをうち
    堂ゝき多れハゝなちてをしおろし
    たまへりもろとも尓りゐてな可免
    井多り
068 てもう起わ可なミ多おちそひて
    と閑ましき堂起のをと可那
    
069 飛とりゐてなミ多くみけるのおも尓
    うきそはるらんか氣やいつ連そ」(16ウ)

    阿可うなれハい里ぬきねをつゝみて
070 な遍てのう起尓可るゝあやめく佐
    个ふまて閑ゝるね者い可ゝみる
    かへし
071 なとゝ阿やめハわ可て个ふも
    たもと耳あまるねたえせ
    うち尓くひななくを七八日
    徒く尓こせうしやう能きミ
072 阿まとのと能閑よひち佐ゝねとも
    い可なる可多耳堂ゝく倶ひなそ」(17オ)

    
073 ま起のも佐ゝて屋すら婦可遣に
    な尓越阿可す登たゝくゝゐ那そ
    布氣てを堂ゝきしつと
    免て
074 もす可らくひなよ里け尓なく/\楚
    ま起のとくち耳たゝき王ひつる
    か遍し
075 堂ゝならしとは可りたゝくゝひ那ゆへ
    阿氣てハい可尓くやしからまし」(17ウ)

    あさきりの可しき本と尓まへの
    者那ともいろ/\尓み多れ多る
    をミなへしいと佐可りなる越とのらん
    してひとえた多おらせ佐せたまひて
    ちやう能可ミよりこれ多ゝ尓かへすなとて
    たまハせ多り
076 をミな遍し佐可りのいろをみるから尓
    徒ゆのわきけるそしらるれ
    と可起徒遣たる越いとゝく
077 志ら津ゆハわきてもを可し越ミなへし」(18オ)

    古ゝろから耳やいろのそむら舞
    ひさしくをとつれぬをおもひいて
    多るお
078 王するゝ者う起徒年登おもふにも
    をやる可多能な起そわひぬる
   (四行空白)
    し」(18ウ)

079 堂可佐ともとひもやくると本とゝ支須
    古ゝろのかきりま地そ王ひ尓
    ミやこの可多へとて閑遍るこえ氣る
    尓よひさ可登いふなるところ能王り那き
    閑个ち尓こしも閑起王つらふ越お
    そろしとおもふ尓佐るのこ能
    よりいとおほくいてき多れ盤
080 ましもな越をち可多のこゑ閑ハせ
    わ連こし王ふるたこのよひ佐可
    うみ尓ていふき能ゆきい登」(19オ)

    志ろくゆるを
081 耳堂可起こしの志らゆき那連て
    いふき能多けをな尓とこそみね
    そとハのとし遍多る可まろひたうれつゝ
    耳ふまるゝを
082 古ゝろ阿て尓あ那か多しけなこけむせる
    本とけみ可ほそとはみえね
    
083 氣ち可くて多も古ゝろ者え尓个ん
    こと者遍多てぬちき里とも可那」(19ウ)

    
084 遍多てし登ならひし本と尓
    うす起古ゝろをまつしられぬる
085 み年さ無ミい者満こほ連る堂尓
    ゆくすゑしもそ布可くなるらん
    ミやのう婦やい徒可の夜月ひ可
    里佐へこと尓く満なのうへの者し
    尓閑む多ち免とのより者しめ堂て
    まつりてゑひミ多れのゝしり堂まふ
    佐可里尓さしいつ」(20オ)

086 免徒らしきひ可り佐しそふさ可つきハ
    もち那可らこ千世越めくらめ
    夜月く満那支王可多ち
    布年尓能りて阿そふをやるなか
    志満のね尓佐しめくる本とお可し
    くみゆれ盤
087 くも里那く地とせ尓すめ累のおも尓
    屋とれるか氣も能と个し
    い可のとのゝう多よめとのたまハ
    すれハ」(20ウ)

088 伊可耳い可ゝ閑そへ屋るへきやちと勢の
    阿まりひさしき御世をは
    とのゝ
089 あし堂つのよハひしあらハ起ミ可
    ちとせの閑すもかそ遍と里て無
    たま佐可尓か遍りことし多里个り
    能ち尓も閑ゝ佐里ける尓と古
090 お里/\尓閑くとはえて佐ゝ閑尓
    い可耳おもへ盤堂ゆる那累らん
    し 九月徒古も里にな里に个り」(21オ)

091 志もか連の阿さ地尓ま可ふ佐ゝか尓
    い可那るお里に閑くとみゆらん
    な丹のおり尓と尓
092 伊累可多は佐や可な里けるか希を
    うハのもま地しよひ可那
    
093 佐してゆくの者もみな閑起くもり
    古ゝろもそらにきえしか氣
    しすち九月ゝ阿可支
094 お本閑多の阿き能阿者れ日やれ」(21ウ)

    耳古ゝろ盤あくか連ぬとも
    六月ハ可りなてし古の越みて
095 閑き本阿連さひし佐まさるとこ
    徒ゆをきそハんまてハみし
    ものやおもふとのとひたまへる返事
    尓な可徒古も里
096 は那すゝきわ遣の徒ゆやな尓ゝ可く
    か連ゆくへ耳きえとまるら無
     王つらふことあるころなりけり
    閑ひぬまのい氣といふんあると」(22オ)

    の阿やしきう多か多りする越きゝて
    み尓よまむといふ
097 耳ふる尓そかひぬまのい个らしと
    おもひそ志つむそ古はしらね
    又心ちよけ尓いひな佐んとて
098 ゝろゆくの个しきは个ふそみ累
    耳遍つるかひぬまのい氣
    ちしう佐い志やう能せちの徒本年ミや
    のまへいと遣地可き尓古うきてんの
    うきやう可ひと志る起さ満にてありし」(22ウ)

    こと那と/\いひ多てゝか遣越屋累
    佐しま起らハすへ支あふき那とそへて
099 お本か里しとよ能ミや佐しわきて
    志るき可けを阿ハ連とそみし
    中将せう志やうと阿る々能お
    本そとの尓すミて少将きみをよ那
    /\阿ひつゝ閑多らふをきゝてと那り
    の中将
100 み可さしふもと越佐しわき亭
    かすミ耳た丹の遍多て徒る可那」(23オ)

    
101 佐し古えて伊累こと閑多みゝ閑佐
    かすミふ起とく越こまて
    古うをおりて佐とよりまいらすとて
102 むまれし多尓屋つるゝむめ能
    閑越多尓ちら勢くものう遍まて
    う尓や遍佐ける佐くらの者那を
    にて
103 古ゝの遍耳ゝ本ふ越み連は佐くら可り
    かさねて多るは累の佐可りか」(23ウ)

    佐くらの者那能ま徒里のまてちり
    のこり多る徒可ひのせう志やう能可佐し
    尓たまふとてに可く
104 神世耳ハ阿里もや志けん佐くら
    个ふのかさし尓連るためしハ
    む三日うちよりいてゝふるさと能多ゝ
    志ハしの本と尓古よなうち里つも里
    阿連万佐里尓个る越こといミも志阿へす
105 阿らためて个ふしもゝのゝ閑那しきは
    能うさや佐ま閑ハりぬ累」(24オ)

    せちの本とまいらぬをく地おしな
    遍ん佐い志やう能きみのゝたまへる尓
106 め津らし登きミしおもハゝきえむ無
    すれるころも本とす起ぬとも
    か遍し
107 佐らハき見屋ま井のころもす起ぬとも
    こひしき本と尓きてもみえ那ん
    のをこせ多る
108 う地志のひなけき阿可せ盤し能ゝ免の
    本可らか耳多尓ゆめ越みぬ可那」(24ウ)

    七月つい多ちころ阿遣本の个り
    
109 志のゝ免能そらき里わ多り伊津しかと
    の个しき尓はな里に个り
    七日
110 お本か多耳おも遍盤ゆゝし阿ま能
    个ふの阿ふせはうらやまれ个り
    
111 あま能阿ふせはよ楚能くも井にて
    堂えぬちき里しゝ耳阿せすハ」(25オ)

    かとのまへよりわ多るとてう地とけたらん
    をむと阿る尓かきつ个てしやる
112 な越佐里のたよ里耳とハ無ひとこと尓
    う地とけてしもみえしとそおもふ
    月見る阿し多伊可尓い日多累尓
113 こ免をもゆ免とい日しハた連なれや
    もい可て可は
    九月九日きく能わ多越う遍の閑多
    よりたまへる尓
114 起くの徒ゆわ可ゆは可り耳そてふれて」(25ウ)

    のあるし尓千世はゆつら舞
    志くれする少将きみ佐とより
115 く満も那くな可無るそ羅も閑起くらし
    い可耳志のふ累しくれなるら無
    
116 こ登ハ里の志くれのそらハくも満阿連と
    な可むるそて楚閑はくも那き
    耳いてゝこんのきみふミたま
    遍る徒いて
117 う起ねせしのう遍のミこひしくて」(26オ)

    閑もうハけ耳佐えそおとらぬ
    
118 う地者ら婦とも那きころのさめ尓ハ
    徒可ひしをしそハ尓しき
    い可な里し尓
119 な尓は可り古ゝろ徒くし耳な可免ね
    みし尓くれぬる阿き能可氣
    すまひらんする日内にて
120 堂つき那支多ひのそら那るすまゐをは
    阿めもよ尓とふあらし那」(26ウ)

    
121 いと無阿ま多きこゆるもゝしき能
    すまゐうしとはおもひ志るやは
     あめふりてそのらんとゝま里に
     个り阿いなおほやけことゝもや
    はつゆきふり多るくれ尓
122 古ひ王ひて阿里婦る本との者つ徒きハ
    きえぬる可とそう多かハ連ける
    
123 布れハ可くう佐のミま佐る越しらて」(27オ)

   阿連多る丹は尓徒もる者つゆき
    古せう志やう能き見のかきたまへりし
    うちとけ布ミののゝなる越
    遣てかゝせうなこんのもと尓
124 くれぬま能をはおもハて
   あハ連越し累そ閑つ盤かなしき
125 多耳な可らへてミ無かきとめし
   あとはきえせぬ閑多みなれとも
    
126 な起越志のふることもい徒まて楚」(27ウ)

   个ふの阿ハれ者阿すのわ可を」(28オ)

     本云
      以京極黄門定家卿筆跡本不違
      一字至于行賦字賦雙紙勢分
      如本令書写之于時延徳二年
      十一月十日記之
               癲老比丘判
      天文廿五年夾鐘上澣書寫之
」(28ウ)