凡例
1 本文は定家自筆本系の最善本とされる実践女子大学図書館蔵「むらさき式部集」(『紫式部集大成』影印版 笠間書院 2008年〈平成20年〉5月)によって、漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
2 通行の平仮名の字母はそのまま仮名で表示した。
3 変体仮名はその字母で翻字した。
4 片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
5 仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
6 行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形で書き分けられている所は茶色で表示し、同じ字母字形で書かれている所は緑色で表示した。
7 和歌の冒頭には001から126まで3桁の数字で記した。なお改行された下句の位置が上句より約半字下げられて書かれている箇所はそのように表記した。
8 振り仮名は〈 〉に括って記した。
9 本文の訂正跡は( )に入れて記した。$ミセケチ、#削除、+補入を表す。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。
「むらさき式部集」(題箋)
者やうよ里わらハとも多地なりし人
尓1としこ2ろ遍て2ゆきあひ堂類可
本の可尓て十月十日のほと月尓1
きおひて2かへり丹个れ盤
001 免くりあひて2見しやそれともわ可ぬまに
くも1かく連尓1し夜ハの月可け
(一行空白)
その人と越支1とこ2ろへいくな2り个り
阿き能者つる日き2多るあ可つきむし
の1こ2ゑあハ連那り」(1オ)
002 な起よハる満可き能むしもとめか多起
阿き能わ可れや閑な2し可るらむ
佐うの1こ2と志者しとかひ多り个る人
まいりて2御てよりえむとある返事尓
003 徒ゆしけきよも起可中能むし能年を
おほろ遣尓てや人の堂つね1ん
閑多ゝか遍尓1わ多り多る人のな2満おほ
/\しきこ2と阿里とてかへり耳ける
徒とめて2あさ可ほの花をやるとて
004 お本徒可な2それ可阿らぬ可阿氣く連能」(1ウ)
そらお1ほ連す累あさ可本の1花
返し て越みわ可ぬ尓やあ里个ん
005 伊つれそ2といろわくほと尓1阿さ閑ほの
阿る可な起可尓な累そわひしき
徒くしへゆく人のむすめの1
006 尓1しの1うミ越お1もひ屋りつ1ゝ月ミれハ
堂ゝ耳な可類ゝこ2ろ尓もある可那
返し
007 にしへゆく月のたよりに堂満つ1佐の1
か支1堂えめや者くもの1閑よひち」(2オ)
はる可那るとこ2ろ尓ゆきやせんゆ可す
やとお1もひ王つらふ人の屋ま佐とより
もみちをお1里てをこせ多類
008 つゆ布可くをく山さ登の1も1みちハ尓
閑よ遍るそての1いろをみせ2ハや
かへし
009 阿らし布くと越山さ登濃もみちハゝ
つゆも1と満らんこ2との1か多佐よ
又そ能人の
010 も1みちハ越佐そふ阿らし者ゝや个れと」(2ウ)
古のし多那らてゆくこゝろ可は
も1能お1もひ王つらふ人のう連遍多る
返こ2と尓1志も月ハ可り
011 志も1こほりと地多るこ2ろの1ミつくきハ
えも閑起屋らぬ古ゝ地のミして2
返し
012 ゆ可すともな越かき徒めよ志もこほり
ミつ能う遍尓てお1もひな可佐ん
かも尓1まうて多る尓1本とゝき須1な可
な2んといふあ遣ほの尓か多を可能こすゑ」(3オ)
お1可しく見え个り
013 本とゝき須1こ2ゑまつ本とは閑多越可能
も1里能し徒く尓1多地やぬ連まし
屋よひの1つい多ちかハらにいて堂る尓1
可多ハらなるくる満尓本うしの1閑ミ越
かうふり尓ては可せたちをる越耳く
みて2
014 はら遍との1閑ミの1閑佐里能みてくらに
う多てもま可ふみゝはさミ可那
あね1な里し人な2く那り又人のお1とゝ」(3ウ)
うしなひ多る可閑多み尓ゆき阿ひて2
な2起可ゝハり尓お1もひかハさんとい日个り
布ミ能うへ尓阿年きみとかき中能君
とかき閑よハしけるかをのかしゝとをき
とこ2ろへゆきわ可るゝ尓1よそ那可らわ可れ
お1しみて2
015 き2多へゆく閑里能徒ハさ尓1こ2と津て2よ
くもの1うハ可起かき堂えすして2
返しハ尓1しの1うミ能人なり
016 ゆきめくり多1れも1みやこ耳かへる山」(4オ)
い徒ハ多登き2く本との1ハるけさ
徒のく尓1といふ所よりをこせ多りける
017 な尓1ハ可多むれ多ると里能もろとも尓1
多ちゐるも1能とお1もハまし可は
か遍し
(二行空白)
津くし尓1ひせんといふとこ2ろよりふミ
をこせ多る越いとはる可なるとこ2ろ尓て
見けりその返こ2と尓1」(4ウ)
018 阿ひ見むとお1もふ古ゝろ盤まつら那る
かゝミのかみやそらにみるら舞
閑遍し 又のとしもてき1多り
019 ゆき免くり阿ふ越まつらの1かゝみ尓ハ
堂れを可けつゝいのると可し累
あふミのミつうみ尓てみ越か佐き登
いふとこ2ろ尓阿ミひくを見て
020 み越の1うミにあミ引多みのて満もな2く
多ちゐ尓1徒遣てミや古ゝひしも1
又いその者満尓徒るのこ2ゑ/\なくを」(5オ)
021 伊そ閑く連お1な2し古ゝろ尓1堂つそ那く
な2耳お1もひいつる人や多れそも
夕堂ちしぬ遍しとてそら能くもり
て2ひらめく尓1
022 閑起くもりゆふ多つなミの1阿ら个れハ
うきたる舟そ2し徒古ゝろなき
志ほつ山といふみちのいとし氣き越
しつのおの1阿やしき2さ満登もして2
な2越からき2ミ地な里やといふ越きゝて
023 志里ぬら舞ゆきゝ尓1ならす志ほつ山」(5ウ)
世耳ふるミ地ハ閑らきも1のそ2と
水うみ尓お1いつ志まといふす佐き尓1
む可ひてわらハへのうらといふいりうミ能
お1可しき越くちすさひ尓
024 おい徒しま/\も1累閑ミやいさ無らん
なみも1佐ハ可ぬ王らハ遍のうら
古よミに者つゆきふる登かき多る日
め尓1ち可き火の堂けといふ山のゆき
いと布可う見やらるれハ
025 古ゝ尓1可くひのゝす起むらう1徒無ゆき」(6オ)
をし本の松耳个ふや満可遍る
か遍し
026 越しほやままつの1うハ葉に个ふや佐ハ
み年の1うすゆき花と見ゆらん
布里徒ミていとむつ可しきゆき越
かきすてゝ山のやう尓1志な2し堂る尓1
人/\能本里てな越古連いてゝみ多
まへといへ者
027 布るさ登尓1閑遍る屋まちのそれな2らハ
古ゝろやゆくとゆきもみてまし」(6ウ)
としか遍りて2閑らひと見尓1ゆ可むと
いひ个る人のはるハとくゝるものとい可
て2志ら勢多てまつら無といひ多る尓1
028 春なれとし羅年の1みゆきいや徒もり
とく遍起本と能いつとな起可那
阿ふミの閑みの1むす免氣佐うすと
きく人の布多古ゝろな2し那と徒ね1尓
いひ王多り个れハうる佐くて
029 水うミのともよふちとりこ2と那らは
屋そ能みな2と耳こ2ゑ多え那せそ」(7オ)
う多ゑ尓阿まの志ほやく可多越閑起
て2こ古里津ミたるな2けき能もと尓1かきて
か遍しや累
030 よも1の1うみ尓1志本やく阿まの心可ら
屋く登ハ閑ゝるなけきをや徒無
布ミ能う遍尓志ゆといふ物越徒ふ/\
とそゝき2か遣て2なみ多の1いろなと
かき多る人の可遍りこ2と尓1
031 くれな1ゐ濃なミ多そ伊とゝうと満2るゝ
う津る古ゝろの1いろ耳見ゆれ盤」(7ウ)
もとよ里人のむす免をえ多る人
な里けり
布ミちらし个りとき2ゝて阿里し文
ともとり阿つ免てをこせすハ返
事かゝしとこ2とは尓て能ミい日や
里け連はみ那をこすとていミしく
ゑんし多り个れハむ月十日ハ可りの1
こ2と那里个り
032 登ち多里しう遍能うすらひと遣那可ら
さは堂えねとや山のし多水」(8オ)
す可佐連て2いとくらうな里堂る尓
をこせ多る
033 こ地風尓1とくるは可りをそ古見ゆる
伊しま能水ハ堂えはたえな2ん
いまはも1のもき2こ江しとはら多ち
堂れ盤わらひて2か遍し
034 いひ堂えは佐こ2そハたえめな尓1可その
み者ら能いけを徒ゝミしもせん
夜中ハ可り尓1又
035 堂け閑らぬ人可す那ミは王起可へり」(8ウ)
見はら能い氣尓1堂て登かひな2し
佐くらを閑免丹佐して2みる尓1とり
も阿遍すち里け連はも1ゝの1花を
見やりて
036 お1里て2み盤地可ま佐里せよもゝ能花
おもひくま那き佐くらお1しまし
返し人
037 も1ゝ登い布名も1阿るものをと起のまに
ちる佐くら丹もお1もひおと佐し
花のちるこ2ろなしのハ那といふも1桜」(9オ)
もゆふくれの風の1佐ハき尓1いつれと
見えぬいろなるを
038 花登い者ゝいつ連可丹ほ日な2しとミむ
ち里可ふいろの1こ2と那らなく尓1
と越支とこ2ろへゆきにし人のなくな2
里尓1ける越おやはらからな2と閑遍り
きてか2なしき2こ2といひ多る尓1
039 伊つ可多能くもち登き2可ハ多1つ1年まし
津らハな2れ个ん閑りかゆくゑを
古そよ里うす尓ひなる人尓女院可く」(9ウ)
閑く(閑く$)連佐せたまへる者累い多うかすミ
多る夕くれ尓人の佐しを可せ多る
040 くもの1う遍も1物お1もふはるハすミそめ尓1
かす無そら佐へあハ連那る可那
返し
041 な尓1可この1本とな2起そて越ぬらすらん
閑すミのこ2ろも1な遍て2きる世尓1
なくな1里し人のむす免の1おや能
てかき徒遣多りけるも1のを見亭
いひ多里し」(10オ)
042 ゆふき里尓1ミし満かくれしをし能この
阿と越みる/\まとはるゝ可那
お1な2し人阿連多る屋との1佐くら能
おもしろきこ2と登て2お里てをこせ
多る尓1
043 ちるは那をな2けきし人者古のもと濃
佐ひしき2こ2とやかね1て2志里个無
おもひ堂えせ2ぬとな起人のいひ个る
こ2と越思日いて多るな2り
ゑ尓も1のゝけ徒き多る女の見尓くき」(10ウ)
閑多か起多るうしろ尓お1丹ゝな2り多る
もとの免越こ本うしの志ハりた多る可多
かきてお1とこはきやうよみて2も1のゝ
氣せ免多るとこ2ろを見て
044 な起人耳閑こ2とはか氣て2王つらふも
をの可古ゝろの1お1尓ゝや盤阿らぬ
返し
045 こ2とハ里やき2み可古ゝろ濃屋ミ那連ハ
お1丹のか氣とはしるくみゆら無
ゑ尓むめ能花見るとて女徒まとをし」(11オ)
阿氣て二三人井多る尓1みな2人/\
ね1多る个しき閑い多る尓いと佐多
す起多類お1もとの1徒らつゑ徒いて2な2可
免多る可多あるとこ2ろ
046 春能夜の屋ミ濃まとひ尓1いろな2らぬ
古ゝろ尓1者那のかをそ志免つ1る
お1な2しゑ尓佐可の尓1者那見る女くる
ま阿りな2れ多るわらハのはき能花尓1
多地よ里てお1里多るとこ2ろ
047 佐越し閑の志可ならハせるはきな2れや」(11ウ)
多ちよる可ら尓1を能連おれ布す
世のは可那きこ2と越な2けくこ2ろミ地
能く尓1名阿るとこ2ろ/\閑い多る越み
て2志本かま
048 みし人の个ふり登な里しゆふ遍より
な2そむつましき志ほ可満2の1うら
かと堂ゝき2王つらひて2閑遍り尓1个る
人の徒と免て
049 世とゝも尓1阿らき2風布く尓1しの1うみも1
いそ遍尓なみ盤よせすとや見し」(12オ)
とうらみ多里ける閑遍りこ2と
050 か遍りて2はおもひ志里ぬやい者かと尓1
うきてよ里けるきし能阿多な2ミ
登し可へりて2閑とは阿きぬやとい日
たる尓1
051 堂可さ登の1春能たよ里尓1うくひすの
かすミ耳とつる屋と越とふらむ
世中の1佐ハ可しきこ2ろ阿さ可ほ
を人のもとへ屋るとて
052 き2えぬま能身をも1志累/\あさか本の」(12ウ)
徒ゆ登あらそふ世越な2けく可那
世越徒ね1な2し那とお1もふ人のおさ那
き人のなやミける尓閑ら堂けといふ
も1のかめ尓1佐し多る女はらの1いの里
个る越みて2
053 わ可竹の1お1いゆくすゑをいの累可那
この世越うしといとふも1のから
身越お1もハすな2りとなけくこ2との
やう/\な能免尓1ひ多婦る濃佐ま
なる越おもひ个累る」(13オ)
054 閑す那らぬ古ゝろ尓身をハま可せねと
身にし多可ふ盤心な2り个り
055 古ゝ路多尓1い可な2る身に可ゝな2ふら無
おもひ志連れともお1もひしられ春
者しめて2う地わ多りをみる耳も1
ものゝ阿者れな2連は
056 身の1うさは古ゝ路の1う地尓1志多ひきて
いまこゝのへそおもひ見多るゝ
ま多いとうゐ/\しき2さ満尓てふる
佐と尓1閑遍りて能ちほの可尓1か多ら」(13ウ)
ひける人耳
057 と地堂里しいハ満の1古ほりう地とけ者
を多えの水も閑氣みえしや盤
か遍し
058 見山遍の1者那ふきま可ふ堂丹風耳
むすひし水も1とけ佐らめやハ
正月十日の本と尓1はるの1う多ゝてまつ
連と阿里け連はま多いて堂ちも1
せぬかくれ可尓1て2
059 見よしの1盤春能个しき尓1かす免とも」(14オ)
むす本ゝれ多るゆき能し多草
屋よひハ可り尓1宮能へんの1お1も登
いつ可まいりたまふな2とかきて
060 うきこ2と越お1もひみ多れて2あ越やき能
いと飛さしくもな里にける可那
返し
061 徒連/\とな可めふる日は阿をやき2能
いとゝう起世尓1ミ多れて2そ婦る
かハ可り思う(う$そ)しぬへき身越いとい多う
も上すめく可那とい1日ける人を」(14ウ)
き2ゝて
062 わ里那しや人こ2そ2人登伊者佐ら免
身津可ら身をやおもひすつへ支1
くすたまをこすとて
063 志のひつ1るね1そ阿らハ類ゝ阿やめく佐
いハぬ耳く地て2やミぬへ个れ者
返し
064 个ふ者可くひきけるも1のを阿やめく佐
わ可み可くれ尓ぬ連わ多里徒る
徒ちみ可ととの尓て三十講〈可う〉の1五巻〈くハん〉五」(15オ)
月五日尓1阿多れ里し尓1
065 堂遍な里や个ふハ佐月のいつ可とて
い徒ゝの1ま起の阿遍る御能りも
その夜い氣能かゝり火尓み阿可し能
ひ可り阿日て飛るよ里もそ古まて2
佐や可なる尓佐う婦の1閑いま免可し
う丹ほひくれ半
066 閑ゝり火のか氣も1佐ハ可ぬい氣水尓1
いくちよす万無能里の1ひ可りそ
お本屋遣こ2と尓1いひま起らハす越む」(15ウ)
可ひたまへる人者佐しもお1もふこ2ともの
し堂まふましき2可多地あり佐ま
よはひの本と越い多うこゝろふ可け尓
おもひミ多れて2
067 すめ累い氣能そ2古まてゝらすかゝりひの
まハゆ起まてもう起わ可身可那
やう/\阿氣ゆくほと尓1わ多との耳
きて徒本年能し多よりいつる水越
かうらんをゝ佐へて2志者し見ゐ多れハ
そら能个しきはる秋のかすミ耳も」(16オ)
き2り耳も1お1とらぬこ2ろ本ひな2り
こせう志やうの1すミ能かうしをうち
堂ゝき2多れハゝな2ちてをしお1ろし
たまへりもろとも尓1お1りゐてな1可免
井多り
068 閑氣見てもう起わ可な2ミ多お1ちそ2ひて2
かこ2と閑ましき2堂起のをと可那
返し
069 飛とりゐてな2ミ多くみける水のお1も尓1
うきそはるらんか氣やいつ連そ」(16ウ)
阿可うな2れハい里ぬ長きねをつゝみて2
070 な遍て2世のう起尓1な2可るゝあやめく佐
个ふまて閑ゝるね1者い可ゝみる
かへし
071 な1尓1こ2とゝ阿やめハわ可て2个ふも1な2越
たもと耳あまるね1こ2そ2たえせ2年
うち尓1くひな2の1なくを七八日の1夕
徒く夜尓こせうしやう能きミ
072 阿まとのと能月の1閑よひち佐ゝね1とも
い可な2る可多耳堂ゝく倶ひな2そ」(17オ)
返し
073 ま起の1戸も佐ゝて2屋すら婦月可遣に
な尓1越阿可す登たゝくゝゐ那そ
夜布氣て2戸を堂ゝきし人つと
免て2
074 夜もす可らくひな2よ里け尓なく/\楚
ま起のとくち耳たゝき2王ひつる
か遍し
075 堂ゝならしとは可りたゝくゝひ那ゆへ
阿氣て2ハい可尓1くやしからまし」(17ウ)
あさき2りの1お1可しき本と尓1お1まへの1
者那ともいろ/\尓1み多れ多る中に
をミなへしいと佐可りなる越との御らん
してひとえた多お1らせ佐せ2たまひて2き
ちやう能可ミよりこれ多ゝ尓1かへすな2とて
たまハせ多り
076 をミな遍し佐可りの1いろをみるから尓1
徒ゆの1わきける身こ2そしらるれ
と可起徒遣たる越いとゝく
077 志ら津ゆハわきてもを可し越ミなへし」(18オ)
古ゝろから耳やいろの1そむら舞
ひさしくをとつれぬ人をお1もひいて
多るお1り
078 王するゝ者う起世の1徒年登お1もふにも
身をやる可多能な起そわひぬる
(四行空白)
返し」(18ウ)
079 堂可佐ともとひもやくると本とゝ支須
古ゝろの1かきりま地そ王ひ尓1し
ミやこの可多へとて閑遍る山こえ氣る
尓1よひさ可登いふなるとこ2ろ能王り那き
閑个ち尓1こしも閑起王つらふ越お
そろしとお1もふ尓佐るのこ能葉の中
よりいとおほくいてき多れ盤
080 ましも1な越をち可多人のこ2ゑ閑ハせ
わ連こし王ふるたこのよひ佐可
水うみ尓ていふき能山の1ゆきい登」(19オ)
志ろく見ゆるを
081 名耳堂可起こしの1志ら山ゆき那連て2
いふき能多けをな尓1とこ2そみね1
そ2とハのとし遍多る可まろひたうれつゝ
人耳ふまるゝを
082 古ゝろ阿て尓1あ那か多しけな2こけむせる
本とけ1の1み可ほそ2とはみえね1と
人の1
083 氣ち可くて多1れ1も古ゝろ者見え尓1个ん
こ2と者遍多てぬちき里とも可那」(19ウ)
返し
084 遍多てし登ならひし本と尓1な2つ1衣
うす起古ゝろをまつしられぬる
085 み年さ無ミい者満こほ連る堂尓1水能
ゆくすゑしもそ布可くなるらん
ミやの1御う婦やい徒可の夜月の1ひ可
里佐へこ2と尓1く満な2起水のうへの者し
尓1閑む多ち免とのより者しめ堂て
まつりてゑひミ多れのゝしり堂まふ
佐可月の1お1里尓1さしいつ」(20オ)
086 免徒らしきひ可り佐しそふさ可つきハ
も1ち那可らこ2そ千世越めくらめ
又の夜月の1く満那支1尓1王可人多ち
布年尓能りて2阿そふを見やるなか
志満の松の1ね尓佐しめくる本とお1可し
くみゆれ盤
087 くも里那く地とせ尓1すめ累水のお1も尓1
屋とれる月の1か氣も能と个し
御い可の夜とのゝう多よめとの1たまハ
すれハ」(20ウ)
088 伊可耳い可ゝ閑そへ屋るへきやちと勢の
阿まりひさしき君可御世をは
とのゝ御
089 あし堂つの1よハひしあらハ起ミ可代の
ちとせの1閑すもかそ遍と里て無
たま佐可尓1か遍りこ2とし多里个り人
能ち尓又も閑ゝ佐里ける尓1お1と古
090 お1里/\尓1閑くとは見えて佐ゝ閑尓1の
い可耳お1もへ盤堂ゆる那累らん
返し 九月徒古も里にな里に个り」(21オ)
091 志もか連の阿さ地尓1ま可ふ佐ゝか尓1の1
い可那るお1里に閑くとみゆらん
な丹のおり尓1可人の返こ2と尓1
092 伊累可多は佐や可な里ける月か希を
うハの空尓1もま地しよひ可那
返し
093 佐して2ゆく山の者もみな2閑起くもり
古ゝろもそらにき2えし月か氣
又お1な2しすち九月ゝ阿可支1夜
094 お本閑多の1阿き能阿者れ1を思日やれ」(21ウ)
月耳古ゝろ盤あくか連ぬとも
六月ハ可りな2てし古の花越みて2
095 閑き本1阿連さひし佐まさるとこ夏尓1
徒ゆをきそハん秋まてハみし
も1のやお1もふと人のとひたまへる返事
尓1な可月徒古も里
096 は那すゝき2葉わ遣の1徒ゆやな尓1ゝ可く
か連ゆく野へ耳き2えとまるら無
王つらふこ2とあるこ2ろな2りけり
閑ひぬまのい氣といふ所な2んあると人」(22オ)
の1阿やしき2う多か多りする越きゝて
心み尓よまむといふ
097 世耳ふる尓1な2そかひぬまのい个らしと
お1もひそ志つむそ2古はしらね1と
又心ちよけ尓いひな2佐んとて
098 古ゝろゆく水の个しきは个ふそみ累
こや世耳遍つるかひぬまのい氣
ちしう佐い志やう能五せちの徒本年ミや
の1お1まへいと遣地可き尓1古うき2てんの1
うきやう可ひと夜志る起さ満にて2ありし」(22ウ)
こ2と那と人/\いひ多てゝ日か遣越屋累
佐しま起らハすへ支1あふき那とそへて2
099 お本1か里しとよ能ミや人佐しわきて2
志るき日可けを阿ハ連とそみし
中将せう志やうと名阿る人々能お1な2し
本そとの尓1すミて少将の1きみをよ那
/\阿ひつ1ゝ閑多らふをきゝてと那り
の中将
100 み可さ山お1な2しふもと越佐しわき亭
かすミ耳た丹の遍多て徒る可那」(23オ)
返し
101 佐し古えて2伊累こ2と閑多みゝ閑佐山
かすミふ起とく風越こ2そ2まて
古う梅をお1りて2佐とよりまいらすとて2
102 むまれ木の1し多尓1屋つるゝむめ能花
閑越多尓1ちら勢くもの1う遍まて
う月尓や遍佐ける佐くらの1者那を
内にて2
103 古ゝの遍耳ゝ本ふ越み連は佐くら可り
かさねて2き2多るは累の1佐可りか」(23ウ)
佐くらの1者那能ま徒里の1日まてちり
のこ2り多る徒可ひの1せう志やう能可佐し
尓1たまふとて葉に可く
104 神世耳ハ阿里もや志けん山佐くら
个ふのかさし尓1お1連るためしハ
む月の三日うちよりいてゝふるさと能多ゝ
志ハしの1本と尓1古よな2うち里つ1も里
阿連万佐里尓1个る越こ2といミも志阿へす
105 阿らためて2个ふしもゝの1ゝ閑那しきは
身能うさや又佐ま閑ハりぬ累」(24オ)
五せちの1本とまいらぬをく地お1しな2と
遍ん佐い志やう能きみのゝたまへる尓1
106 め津らし登き2ミしお1もハゝき2て2見えむ無
すれるこ2ろも1の1本とす起ぬとも
か遍し
107 佐らハき見屋ま井のこ2ろも1す起ぬとも1
こひしき本と尓1きてもみえ那ん
人のをこせ多る
108 う地志のひな2けき阿可せ盤し能ゝ免の1
本可らか耳多尓1ゆめ越みぬ可那」(24ウ)
七月つい多ちこ2ろ阿遣本の成个り
返し
109 志のゝ免能そらき2里わ多り伊津しかと
秋の个しき尓1世はな里に个り
七日
110 お本か多耳お1も遍盤ゆゝし阿ま能川
个ふの1阿ふせはうらやまれ个り
返し
111 あま能河阿ふせ2はよ楚能くも井にて2
堂えぬちき里し世ゝ耳阿せすハ」(25オ)
かとの1まへよりわ多るとてう地とけたらん
を見むと阿る尓1かきつ个て返しやる
112 な2越佐里の1たよ里耳とハ無ひとこ2と尓1
う地とけてしもみえしとそお1もふ
月見る阿し多伊可尓1い日多累尓1可
113 夜こ免をも1ゆ免とい1日しハた連な2れや
秋の月尓1もい可て可は見し
九月九日きく能わ多越う遍の御閑多
よりたまへる尓1
114 起くの1徒ゆわ可ゆは可り耳そてふれて2」(25ウ)
花のあるし尓1千世はゆつら舞
志くれする日こ少将の1きみ佐とより
115 く満も那くな可無るそ羅も1閑起くらし
い可耳志のふ累しくれ1なるら無
返し
116 こ2登ハ里の1志くれのそらハくも満阿連と
な可むるそて楚閑はく世も那き
里耳いてゝ大な2こんの1きみふミたま
遍る徒いて2尓1
117 う起ね1せし水のう遍のミこひしくて2」(26オ)
閑も1の1うハけ耳佐えそお1とらぬ
返し
118 う地者ら婦とも那きこ2ろの1ね1さめ尓ハ
徒可ひしをしそ夜ハ尓1恋しき
又い可な里し尓1可
119 な尓1は可り古ゝろ徒くし耳な2可免ね1と
みし尓1くれぬる阿き能月可氣
すまひ御らんする日内にて2
120 堂つ1き那支1多ひのそら那るすまゐをは
阿めもよ尓1とふ人も1あらし那」(26ウ)
返し
121 いと無人阿ま多き2こゆるも1ゝしき能
すまゐうしとはおもひ志るやは
あめふりて2その日ハ御らんとゝま里に
个り阿いな2の1おほやけこ2とゝもや
はつゆきふり多る夕くれ尓人の
122 古ひ王ひて2阿里婦る本との1者つ徒きハ
き2えぬる可とそう多かハ連ける
返し
123 布れハ可くう1佐の1ミま佐る世越しらて」(27オ)
阿連多る丹は尓1徒もる者つゆき
古せう志やう能き見のかきたまへりし
うちとけ布ミの1も1のゝ中なる越見つ
遣てかゝせうな2こんの1もと尓1
124 くれぬま能身をはお1もハて人の世能
あハ連越し累そ閑つ1盤かな2しき
125 多1れ1可世耳な可らへて2ミ無かきとめし
あとはき2えせぬ閑多みな2れとも1
返し
126 な起人越志のふるこ2ともい徒まて楚」(27ウ)
个ふの1阿ハれ者阿すの1わ可身を」(28オ)
本云
以京極黄門定家卿筆跡本不違
一字至于行賦字賦雙紙勢分
如本令書写之于時延徳二年
十一月十日記之
癲老比丘判
天文廿五年夾鐘上澣書寫之」(28ウ)