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渋谷栄一翻字(C)<BR>

 

【概要】

・明融臨模本「浮舟」帖(東海大学桃園文庫蔵)は1丁表9丁裏までが定家親筆、10丁表から79丁裏までが非定家筆の寄合書本を臨模した写本であると考えられる。

・引き歌を注記した付箋が8枚貼付されているが、その筆跡は本文筆写とは別の筆跡と見受けられる書体である。また定家の筆跡とも別書体である。

・本行本文中の引き歌付箋箇所には合点(掛け点)がある。

・奥入が存在するが、その筆跡は定家筆を臨模したものではない。

・和歌の書写様式はTA型(上句/下句+地の文)@ABCDEFGHIPS2122B型(上句/下句+1字余白+地の文)JC型(上句/下句+余白)KLMNOVG型(上句・下句以外で改行+地の文)QH型(上句・下句以外で改行+余白)Lである。

・定家親筆部分においては行頭の隣行に同字が来た場合は別の種類の字母で書き分けられている(82「お3「お」)ある。なお、87「と」と同8「と」は、字母の書き分けはないが、文字の大きさと点画の断絶によって書き分けられている。非定家筆部分では同様に書き分けられているところ(179「し」・10「志」、264「し」・5「志」、304「堂」・5「多」、361「か」・2「可」、407「可」・8「か」、448「し」・9「志」・10「し」、452「し」・3「志」、715「か」・6「可」)と、書き分けられていないところとがある(2589「れ」、3078「い」、3323「い」、58910「尓」、6212「こ」、68910「し」)。

 

【凡例】

1.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。

2.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。

3.変体仮名はその字母で翻字した。

4.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。

5.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「と付記した。

6.本行本文は10.5ポイントで表示し、書入注記や付箋等は9ポイントで表示した。

 

「うき 五十一」(題箋)

 

「上冷泉殿為和卿御息明融 琴山」(遊紙表)

 

  をかのほの可那里しゆふへをお
  しわ数るゝしこと/\しきほと尓ハ
  ある満し遣なり志を可らの満めや可ニ
  乎可しうもあ里し可那といとあ多な
  御心者くち乎しくてやみ尓しことゝね多
  うおほさるゝ満ゝ尓きみをもかう者

0001【女きみ】−中君ノ嫉妬ヲ云
  かなきことゆへあ那可ち尓かゝる春ちの
  もの尓くみし个りおも者す尓うしと
」(1オ・1859D)
0002【おもはすに】−中詞

 

  者徒可しめうらみきこ江乎り/\者いと
  くるしうてありの万ゝ尓やきこえて万し
  とおほせとやむことなきさ満尓者も

0003【やむことなきさまには】−浮ー
  し多万者さなれとあ佐者可ならぬ可多尓
  とゝめてのかくしをきへる

0004【物いひさかなく】−\<合点>
  い飛さ可那くきこ江いて多らん尓もさて
  きゝ数くしへき御心さ満尓もあら佐

0005【きゝすくし給へき】−浮船ノメノコト
  め里さ布らふのな可尓も者可な」(1ウ・1859H)

 

  のをもの多まひ布れんとお本し多ち
  ぬる可きり者あるましきさと万てたつね
  させ給御さ満よ可らぬ
(+本正る尓さ者可り
  月日をへておほしゝむめるあ多り者万し
  てかなら須みくるしきことゝりいててむ

0006【みくるしきこと】−匂ト薫トノ中間事
  ほ可より徒多へきゝ者ん者い可ゝ者せん
  い徒可多さ満尓もいと乎しくこそはあ里
  とも布せくへき御心ありさ万ならね者
  よそのより者きゝ尓くゝなと者可りそ
」(2オ・1859M)

 

  ほゆへきとてもかくてもわ可乎こ多り尓て
  者もてそこな者しと日かへしつゝいと
  乎しな可らえきこ江いて者すことさ満尓
  徒き/\しく者えいひな者ね者をし
  こ免てものゑんしゝ多るのつねの尓な
  里てそお者し个るかの者堂としへなく
  のと可尓おほしをきてゝ万ちとをなりと
  らむとくるしうのみやり多まひな可ら
  せきのほとをさるへき徒いてなくて
」(2ウ・1861D)

 

  かやし(し=スイ)くかよひへきみちならね者のいさ
0007【神のいさむるよりも】−\<合点>
  むるよりもわ里なしされとい万いとよくもて
0008【いとよくもてなさん】−浮ヲ京ヘノコト
  さんとすさとのなくさめとをきてし
  あるを数こしひ可すもへぬへきことゝも
  徒くりいてゝのとや可尓ゆきてもむさて志
  者しハのしる満しきすみしてやう/\
  さる可多尓かのをものとめをきわ可多め尓
0009【かの心を】−浮コト
  のもときある満しくなのめ尓てこそ/よ可らめ」(3オ・1860I)

 

  尓者可尓な尓そい徒よりなときゝと可め
  られんもゝのさは可しく者しめの尓多/可ふ

0010【はしめの心】−道心ナトヽ云シコト
  へし又宮御方のきゝお本さむことも
0011【宮の御方のきゝおほさむこと】−中君ノ心ニ大君ヲ薫ノ忘カト思ハレント也
  とのをき者/\しうゐて者那れむ可し
  をわすれ可本ならんいと本いなしなとお
  ほしゝつむるもれいのゝと个き
さすき多る
0012【のとけさ】−薫心ノコト
  可らなるへしわ多すへき本し万う个て
  志のひてそ徒くらせ个るすこしいと万な
」(3ウ・1860M)

 

  きやう尓もな尓多れと御方尓者
  たゆみ那くよせ徒可う万つり給事
  なしやうみ多て万つるもあやしき万
  ておもへれと世中をやう/\お本しゝ里
  のありさ万をきゝ万ゝ尓これこそ
  者まことにむ可しをわすれぬ可さの
  なこりさへあさ可らぬ多めしなめれとあ者
  れもすくな可らすねひ万さりまゝに
」(4オ・1861D)
0013【ねひまさり給】−薫コト

 

  可らもおほえもさ満こと尓ものし
  へ者御心のあ万り多のもしけな時/\
  者おも者すなり个るすくせ可那こひめ
  のお本しをきてし満ゝ尓もあらてかく
  おも者し可るへき尓しもかゝりそめ个んよ
  とお本すおり/\お本くなんされと多いめ

0014【たいめし給事】−薫コト
  給事者可多し年月もあ万りむ可し
  をへ多てゆきうち/\の御心を布可うし
」(4ウ・1861H)

 

  らぬ者な/\しき多ゝこそさ者可りの
  ゆ可り多つね多るむ徒ひをもわすれぬ尓
  徒き/\し个れ中/\かうかきりある本とに
  れい尓多可ひ多るありさ万もつゝまし个れハ
  の多えすお本しう多可ひ多るもいよ/\
  くるしうお本し者ゝかり多まひ徒ゝをの
  徒可らうときさ万尓なりゆくをさりとても
  多えすおのか者り多万者ぬなり个り
」(5オ・1861L)

 

  もあ多な御本上こそまうき布
  しもましれわ可きみのいとうつくしうお
  す个まゝ尓ほ可尓者かゝるもいてく万
  しき尓やとやむことな尓お本して
  うちとけなつ可しき可多尓者尓万佐りて
  もてなへ者ありしより者すこし

0015【ありしよりは】−中心
  もひしつ万りて数具し
  つい多ちすき多るころわ多りてわ可きミの

0016【わたり給て】−薫コト
  とし万さりへるをもてあそひうつくし」(5ウ・1862C)

 

  ふ飛るつ可多ちひさきわらはみとりの
  うすやうなる徒ゝみふみのお本きや可
  なる尓ちひさきひ个こをこまへ
(へ$ツ)尓つけ多る
  数く/\しき多て布みとりそへてあ
  ふなく者し里万いるきみ尓多て万つれ
  者それ者い徒くよりそとの多万ふ
  よりたいふのおとゝ尓とてもてわつらひ
  つるをれいのおまへ尓てそらむせんと/て
」(6オ・1862G)

 

  とりぬるといふもいとあ者多ゝしきけ
  しき尓てこのこ者かねをつくりていろとり
  多るこなり个りもいとよう尓て徒く
  り多るえ多そとよとゑみていひつゝくれハ
  もわらひていてわれもゝて者やしてむ
  とめすをきみいと可多ハらい多くお本し
  て布み者多いふ可りやれとの多万ふ可本の
  あ可み多れ者宮大将のさりけなくし
」(6ウ・1862L)

 

  し多る布み尓やう地のなのりもつき/\し
  とお本しよりてこのふみをとり日徒
  さす可尓それならん尓とお本す尓いと

0017【さすかにそれならん】−中心 薫カトノ心
  万者ゆ个れ者あ个てみむよゑんしや
0018【あけてみむ】−匂詞
  者んとするとの多万へ者みくるしう
0019【みくるしう】−中詞
  な尓可者そのとちの尓かきかよ者し
  多らむうちとけ布みを者御覧せむとの
  た万ふ可さ者可ぬ个しきなれ者さはむよ
」(7オ・1863B)
0020【さは見むよ】−匂

 

  の布み可き者い可ゝあるとてあ个多万へれ
  者いとわ可や可なるて尓てお本つ可なくてと

0021【おほつかなくて】−文
  しもくれ尓个るさとのいふせさこ
  そミねのかすみも多え万なくてとては
  し尓これもわ可御前尓あやしう
  れとゝかき多りこと尓らう/\しき布し
  もみえねとおほえなめ多てゝこの
  堂てふミを見給へ者个尓のて尓て
」(7ウ・1863F)
0022【女のてにて】−右近

 

  あら多まりてな尓こと可さ布らふ
  わ多くし尓もい可尓多のしきよろこひ
  お本く者へらんこゝ尓者いとめて多き
  す万ひのふ可さをふさ者し可らす
  多て万つるかくてのみ徒く/\とな可めさせ
  より者時/\者わ多り万いらせ

0023【時/\はわたり】−中ヘ浮ニワタリ給ヘト也
  もなくさめへと思侍尓つゝ万しく
  おそろしき尓お本しとりてな
」(8オ・1863J)

 

  のうきこと尓なけ可せめるわ可
  おまへ尓とてう徒ち万いらせほき
  お満へのらんせさらん本と尓らんせ
  させへとてなんとこ万/\とこといみも
  えしあへすものな个可し个なるさ万の
  か多くなし个なるもうち可へし/\あやし
  と御覧していま者の多まへ可し多可そ
  との多万へ者む可しか能さと尓あり个る
」(8ウ・1864@)

 

  のむすめのさるやうありてこのころ
  かしこ尓あるとなむきゝしときこえ
  へ者をしなへて徒可う万つるとはみえぬ
  布み可きを尓かのわつら者しき
  ことある尓お本しあ者せ徒うつちお
  しうつれ/\なり个るのしわさとみえ
  多りま多布り尓多ち者那つくりてつら
  ぬきそへ多るえ多尓
」(9オ・1864D)

 

    満多布りぬ尓者あれときみ可多め
  布可き尓まつとしらなんとことな
  ことなきをかのわ多るの尓やとお

0024【思わたる人】−浮コト
  ほしよりぬる尓めと万りて返事
  多まへな佐个なしかくい多万ふへきふみ
  尓もあらさめるをな个しきのあし
  き
(+尓)万可りなんよとて堂ちきみ少将
  なとしていとおしくもありつるか那おさ那
」(9ウ・1864H)

 

  きのとりつらむを者い可てみさりつるそ
  なとしのひての給見多まへまし可ハい可て可ハ
0025【見たまへましかは】−女房詞
  まいらせましすへてこのこハちなうさ
0026【さしすくして】−文ヲサシ出シタル心
  しすくしてりおひさきみえてハお
  と可なるこそお可し个れなと尓くめハあ那
  かまおさ那き者ら堂てそとの
  こその冬人のまいらせ堂累わらハの可ほ
  者いとうつくし可り个れハもいとらう多く
  し堂まふなり遣りわ可可多にお者しまして
0027【わか御かたに】−匂コト
  あやしうもある可那宇治大将の可よひ」(10オ・1865@)

 

  ことはとしころ堂えすときくな可にも志の
  ひてよ累とまり給時もありとのいひしを
  いとあまりな累の可堂ミとて佐るましき
  ところ尓堂日ねしらむことゝおもひつるハ
  かやうの可くしをき多まへるなるへしとお
  しう累こともありてふミの尓つ遣てつ
  ひ給大内きなるの可能殿尓し多しき
0028【かの殿】−薫
  堂より(+ある)越ゝほしいてゝおまへ尓めすまいれり
  ふ多き春す(す$
)へき尓しふともえりいてゝこ」(10ウ・1865E)
0029【院】−韻

 

  な多なるつし尓つむへきこと那との多まハせて
  右大将宇治へいますること堂えハて春や
  てらをこそいと可しこくつくり多なれい
  可て可るへきとの堂まへハてら(てら$
)いと可しこく(可しこく$
0030【いといかめしく】−大内詞
  い可めしくつくられてふ多んのまい堂う
  なといと多うとくをきてられ多りとなむきゝ
  堂まふるかよひことハこそのころより
  者ありしよりも志ハ/\ものしりし
  もの人/\のしの日てゝはをなむ可く
  し春へさせへるけしうハあらすおほ春」(11オ・1865K)

 

  るへしあ能王多りにらうし給所/\
0031【所】−トコロ
  ミ那おほ勢尓てまいりつ可うまつるとの井尓
  さしあてなとしつゝよりもいとしのひてさる
  へきことなとゝハせい可なるさい者ひのさ
  す可尓ほそくてゐ多まへるならむとなむ多ゝ
  このし者すのころ本ひ春ときゝへしと
  きこゆいとうれしくもきゝつる可那とおも本志
  て堂し可尓そのとハい者すや可しこ尓もと
  よりあるあまそとふらひときゝしあまハ
  らうになむすミなるこのハいま堂てられ」(11ウ・1866C)

 

  堂累尓なむき多な个なきハうなともあ
  ま多してくちおし可らぬ遣者ひ尓て井て
  ときこゆお可しきことか那ゝ尓ありてい可な
  を可ハさて春へつらんいとけしきありてな
  へての尓ゝぬミりやとゝなとこの
  あまりに堂う志ん尓すゝみててらに
  累さへともすれハとまりる可ろ/\しとも
  ときときゝしを遣尓那と可佐しものみち
  尓者しのひありくらむ可(可=
か)のふる佐と尓
  とゝめ堂るときゝしかゝることこそ(+
ハ)あり个れ」(12オ・1867I)

 

  いつよりハま免なると佐可し可るしも
  ことにひとのおもひい多累ましきくまある
  かまへよとの多ま日ていとお可しとおほい多り
  この者可の殿いとむつましくつ可うまつる
  けいしのむこ尓なむあり个れハ可くしことも
  きくなるへし御心のうち尓ハい可尓してこの
  をみし可ともミさ多免む可のきミの
  さ者可り尓てすへ多るハなへてのよろし尓ハ
  あらしこのわ多りに者い可てうと可らぬ尓可
0032【このわたりには】−中君コト
  ハあらむを可ハして可くし堂まへり个るも」(12ウ・1867A)

 

  いとね多うおほゆ堂ゝそのことをこのころハ
  おほしゝみ多りのりゆミないえんなとすくして
  のと可なるにつ可さめしなといひて
  くす免累可多ハな尓ともおほさねハ宇治
  しのひてお者しまさんことをのミおほしめく
  らすこのきハのそむことありてよるひ累
  い可て御心尓いらむとおもふころれいよりハなつ可
  しうめしつ可ひていと可多きことなりとも
  わ可い者んことハ多者可りてむやなとの
  可しこまりて佐布ら婦いとひんなきことなれ/と」(13オ・1867G)

 

  可の宇治尓すむらむハゝやうほの可尓みし
  のゆくゑもしらすなり尓し可大将尓多つね
  とられ尓个るときゝあハすることこそあれ多し
  可尓はしるへきやうもなきを堂ゝものより
  のそきなとしてそれ可あらぬ可とみさ多めむと
  ないさゝ可尓しるましきかまへハい可ゝ
  すへきとのへハあ那わつらハしとおもへとおハし
  まさんことハいとあらきこえ尓なれと
  こと尓本とゝをくハさふらハすなむゆふつ可多
  いてさせお者しましてゐねの尓ハおハし」(13ウ・1867M)

 

  まし徒きなむさてあ可尓こそハ可へらせ
  多ま者免の志りらむことハ堂ゝとも
  尓佐布らひらむこそハそれもふ可き
0033【さふらひ侍らむこそは】−侍共ノ心ヲ云
  い可て可しり者へらむと春佐可しむ可しも
  ひと多ひふ多ゝひ可よひしみちなり可ろ/\
  しきもときおひぬへき可ものゝきこえの
  つゝましきなりとて可へす/\あるましきことに
  わ可御心尓もおほせとかうまてうちいて多まへれハ
  えおもひとゝめ多ま者すとも尓む可しもか
  しこのあ那いしれりし物二三人このき」(14オ・1868D)

 

  さてハ免のとこ能くらよりかうふりえ多る
  わ可きむつましき可きりをえり多ま日て
  大将遣ふあす(+
ハ)よ尓(尓$モ)お者せしなとないき尓よく
  あないきゝていて多ち尓つ个てもい尓しへ
  をおほしいつあやしきまてをあハせつ
  ゐてありきしの多め尓うしろ免多き
  わさ尓もある可那とおほしいつることもさ満/\
  なる尓のうち堂尓む遣尓しらぬあり
  きハさはいへとえし堂まハぬ御身尓しも
  あやしきさ満のやつれす可多してむま」(14ウ・1868J)

 

  尓てお者するちもゝのおそろしくやゝ
  まし个れとものゝゆ可しき可多ハすゝみ多る
  御心れ盤ふ可うなるまゝにいつし可い可ならん
  あハすることもなくて可へらむこそ佐う/\しく
  あやしか累へ个れとおほす尓もさハき
  本う佐うしの本とまてハくるま尓てそれ
  よりそむま尓ハ堂てまつり个るいそきて
  ひすくるほと尓お者しましぬないきあな
  いよくしれ累可の殿尓とひきゝ多り
  遣れハ殿ある可多にハよらてあし可き」(15オ・1869B)

 

  しこ免堂累尓しをもて越やをらすこし
  こ本ちていりぬ王れもさす可尓ま多みぬ
0034【われもさすかに】−大内記詞
  まひなれハ堂と/\し个れとしけうなとし
  あらねハ志む殿のミ那みおもて尓そ本のくら
  うみえてそよ/\とするをとするまいりてま多
  ハおきて累へし堂ゝこれよりお者しま
  さむとしるへしていれ堂てまつるやをらのほり/て
  かうしのひまあるをみつ个てより尓いよすハ
  さら/\となるもつゝましあ多らしうきよけに
  つくり堂れとさす可尓あら/\しくてひまあり」(15ウ・1869G)

 

  个るを多れ可ハきてみむともうちと个てあな
  もふ多可すきの可多日らうち可けてをしやり
  堂り
)あ可うともしてものぬふ人三四人
  ゐ多りわらハのお可し遣なるいとをそよ累これ可
  可ほまつかの本可け尓見給しそれなりうち
0035【ほかけに見給し】−中君ヲミタル心
  つ遣め可となをう多可ハしき尓右近となのり
  しわ可きもありきミは可ひな越まくら尓て
  をな可免堂累まみ可みのこ本れ可ゝり多る
  ひ堂ひつきいとあてや可尓なま免きて堂いの
  可多尓いとようおほえ多りこの右近ものおる/とて」(16オ・1869M)

 

  可くてわ多らせハとみ尓しもえ可へりわ多ら
  せ堂ま者しを殿ハこのつ可佐めしの本とすきて
  つい多ちころ尓ハ可ならすお者しましなむと昨日
  のつ可ひも遣りふミにハい可ゝきこえさせ
  堂まへり个むといへといらへもせすいともひ多
  累个しきなりおりしも者日可くれさせ
0036【はひかくれさせ給】−石山ヘノコト
  へるやうならむ可みくるし佐といへハむ可ひ多る
  れハ可くなむわ多りぬるとせうそこきこえさ
  勢多まへらむこそよ可らめかる/\しうい可て可ハ
  をと那くてハゝひ可くれさせ者む御物まう」(16ウ・1870E)

 

  てのゝちハや可てわ多りおハしましね可しかくて
0037【わたりおはしましね】−京ヘノコト
  ほそきやうなれと尓ま可せてやすら可な
  春まひ尓ならひて中/\堂ひ心地春へしや
  なといふあるハしハしかくてまちきこえ
  させ者むそのとや可にさ満よ可るへき
  なとむ可へ堂てまつらせへらむのちお多し
  くておや尓もみえ多てまつらせへ可しこのおとゝ
0038【このおとゝ】−母ノコト
  のいときう尓て尓者可尓かうきこえな
0039【いときうに物し給て】−浮ニアヒタキ心
  しめり可しむ可しもいまもゝのねむし
  志てのと可なこそ佐い者ひハ者てれ」(17オ・1870L)

 

  なといふな右近とてこのまゝをとゝ免多
0040【まゝを】−メノトノコト
  てまつらすなり尓个むおいぬるハむつ可しき
  のある尓こそと尓くむハ免のとやう能をそ
0041【めのとやうの人を】−匂ノ心
  しるなめり遣尓ゝくきものあり可し(可し=き)とおほし
0042【けにゝくきもの】−中君所ニテアリシ人ノコト
  い徒るもゆ免のちそす累可多ハらい多きまて
  うちとけ堂累ことゝもをい日てのうへこそ
  いとめて堂きさい者ひな右大殿のさハ可り
0043【右大殿のさはかりめてたき御いきほひ】−六君コト
  めて多きいき本日尓てい可めしう能ゝしり
  なれとわ可きミむまれてのちハこよ那く
  そおハしますなるかゝる佐可しらとものハ」(17ウ・1871D)
0044【さかしら人とも】−中君方コト

 

  せて御心のと可尓かしこうもてなしておハしま
  す尓こそハあめれといふ殿多尓まめや可尓
0045【殿】−薫
  こえことか者らすハおとりきこえへきこと
  可ハといふをきミすこしおきあ可りていときゝ
  尓くきことよその尓こそおとらしともい可尓
  ともおも者免可能こと那可遣てもい日そもり
0046【御こと】−中君
  きこゆるやうもあらは可多者らい多可らむな
  い布な尓者可りのしそく尓可ハあらむいとよく
0047【なにはかりの】−匂心
0048
【しそく】−親族
  も尓可よひ堂るけ者ひ可なとおもひくらふる
0049【にかよひたる】−中ト浮コト
  尓者つ可しけ尓てあてなるハ可れハいとこよ/なし」(18オ・1871J)

 

  これハ堂ゝらう多け尓こま可なるそいとお可し
  きよろしうなりあ者ぬところをみつ遣多らむ
  尓て堂尓佐者可りゆ可しとおほしゝめ堂る
  それとてさてやミ堂まふへき御心らねハま
  してくまもなく見給尓い可て可これをわ可
  ハなすへきともそらになてなをまもり
  多まへハ右近いとねふ多しよへもすゝろ尓お
  あ可してきつと免ての本とにもこれハぬひてむ
  いそ可せともく累まハひ多个てそあらむと
0050【御くるま】−母ヨリノ車
  い日てし佐し堂るものともとりくしてきに」(18ウ・1872B)

 

  うち可遣なとしつゝう堂ゝねのさ満尓より婦し
  ぬきみもすこしおく尓いりてふす右近ハき
  堂越もて尓いきて志者しありてそき多るきミ
  のあとち可くふしぬねふ多しとおもひ个れハ
  いとゝうねいりぬる个しきをみせむや
  うもな个れハしのひや可尓この可うしを多ゝ
  き給右近きゝつ个て堂そといふこわつくりへハ
  あてなるし者ふきときゝしりて殿のおハし
  堂る尓やとておきていて堂りまつこれあ
  けよとの多まへハあやしうおほえなき本と/尓も」(19オ・1872H)

 

  者へる可那ハい多うふけりぬらんものをと
  いふものへわ多りへ可なりとな可のふ可いひつれハ
0051【なかのふ】−内記シウト
  おとろ可れつるまゝにいて堂ちていとこそわ
  りな可りつれまつあけよとのこゑいとようま
  ねひ尓せ多ま日てしのひ多れハおもひもよ
  らす可い者那つミち尓ていとわりなくおそろ
  しきことのありつれハあやしきす可多になりて
  なむひくらうなせとの多まへハあ那いミしとあハ
  てまとひて者とりやりつわれ尓みすな
  よき多りとてとろ可す那といとらう/\」(19ウ・1873@)

 

  しき御心尓てもとよりもほの可尓ゝ堂る
  こゑを堂ゝ可の遣者ひ尓まね日ていり
  堂まふゆゝしきことのさ満との多まひつる
  い可なす可多ならんといとおしくてわれも可
  くろへて多てまつるいとほそや可尓なよ/\と
  さうそきて可のかうハしきこともおとらすち可
  うよりてそともぬきなれ可ほ尓うち婦
  し多まへれ盤れいのおましにこそなといへと
  ものもの堂まハすふ春まゝいりてねつる
  人/\こして春こしゝそきてミ那ねぬ」(20オ・1873F)

 

  とものとれいのこゝ尓は志らぬならひ尓て
0052【れいのこゝにはしらぬならひ】−薫ノイツモ供ナトハ弁方ナトニヲキ給コト也
  あ者れなるよのお者しまし佐ま可那かゝる
  りさ満をこらむしゝらぬよなとさ可しらか
  累もあれとあ那可まへよこゑハ佐ゝめく
  しもそかし可ましきなといひつゝねぬ
  みハあらぬり遣りとおもふ尓あ佐ましうい
  ミし个れとこゑを多尓せ佐せ多ま者すいと
  つゝまし可りし尓て堂尓わりな可りし御心
  れハひ多ふる尓あ佐まし者しめよりあらぬ
  としり堂らはい可ゝいふ可ひもあるへきをゆ免」(20ウ・1873L)

 

  のちする尓やう/\そのおりのつらかりしとし
  ころおもひわ多るさ満の多まふ尓この
  志りぬいよ/\者つ可しくかのうへのことな
  おもふ尓堂けきことな个れハ可きりなう
  なく中/\尓て堂者やすくあひミ佐ら
  むことなと越ゝほす尓なよ者堂ゝあ
  遣尓あくとものきてこわつくる右近きゝ
  てまいれりいて者んちもなくあ可すあハれ
  なる尓ハしまさむことも可多个れハ
  者もと免さは可るとも遣ふ者可りハ可くてあらん」(21オ・1874D)

 

  な尓こともい遣累可きり能堂免こそあれ多ゝ
0053【いけるかきりの】−\<合点>
  いまいてお者しまさむハまことにしぬへくお
  さるれハこの右近越めしよせていとちなしと
  おも者れぬへ个れと遣ふハえいつましうなむある
  をのこともハこの王多りち可ゝらむ尓よく可
  くろへてさ布らへ可多ハへものしててらに
0054【時かた】−家司名
  しの日てなむとつき/\し可らむさまにいらへな
  せよとの尓いとあさ満しくあきれてもな可り
  个るよ能あやまちをゝもふ尓ちもまとひぬへ
  きをしつめていまはよろつ尓をほゝれさハく」(21ウ・1874J)

 

  とも可ひあらし可らな免个なりあやし可り
0055【なめけなり】−無礼
0056
【あやしかりし】−匂ノマヘ浮ヲミ給コト
  しおりにいとふ可うおほしいれ多りしもかう
  の可れさり个累春くせにこそあり个れのし
  堂累わさ可ハとおもひなくさめて遣ふむ可へ尓
  としをい可尓せ佐せ者むとする御事尓可ゝ
  うの可れきこえさせ多万ふまし可り个るすく
  せハいときこえ佐せハへらむ可多なしおりこそいとわ
  りなく个ふハいておハしまして御心さし
  らはのと可にもときこゆおよす个てもいふ可那と
0057【およすけて】−匂心
  おほしてわれハころる尓本れ者てに个れハ
  ひとのもと可むも(+
い者んも)志られ春ひ多ふる尓おもひなりに」(22オ・1875C)

 

  堂りすこしものことをおも(+ひ)者ゝからむ
  かゝ累ありきはおもひ多ちなむや御返尓は遣
  ふ者ものいミなといへ可し尓志らるましきことを
  堂可多免尓もおもへ可しことハ可ひなしと
  の多ま日てこののよ尓しらすあ者れ尓お
  さるゝまゝによろつのそしりもわ春れ多まひ
  ぬへし右近いてゝこのをとな尓可くな
  の堂ま者するをなをいと可多ハならむとを
0058【いとかたはならむと】−匂ヘイケン申シト也
  させへあ佐ましうめつら可な累ありさ満ハさ
  おほしめすともかゝるともともの御心尓こそ」(22ウ・1875I)

 

  あら免い可て可うさ那うハゐて堂てまつり
  こそな免遣なることをきこえ佐する
  つともらまし可ハい可ならましといふきハ
  遣尓いとわつらハしくもある可那と多てり可多
  とおほせらるゝハ堂れ尓可さなむとつ多ふわら
0059【さなむと】−ヲハナル人ノ教
0060
【わらひて】−時方詞
  ひて可うかへ堂まふことゝものおそろし个れハ
0061【かうかへたまふ】−カンタウ
  さらすとも尓けてま可てぬへしまめや可尓ハを
  ろ可ならぬ个しきを堂てまつれハ多れも/\
0062【御けしき】−匂ヲ云
  をすてゝなむよし/\との井もミ那おきぬ
  なりとていそきいてぬ右近人尓しらすましう」(23オ・1876A)

 

  者い可ゝは堂者可るへきとわりなうおほゆ人/\
  おきぬる尓殿者佐るやうありていミしう志の
0063【殿】−薫ト云
  ひさせ个しき多てまつれハみち尓ていミし
  きことのあり个るなめりそともなとよさり
  しの日てもてまいるへくなむおほせられつる
  なといふこ多ちあ那むくつけやこ者多
  いとおそろし可なるやまそ可しれいのさきも
  をはせハすやつれてお者しましけむ尓あ那
  いミしやといへハあ那可ま/\すなとのちり者
  可りもきゝ堂らむ尓いといミし可らむといひ」(23ウ・1876G)

 

  井堂るちおそろしあや尓く尓殿つ可日
  のあらむい可尓い者むと者つせのくわんをん个
  遣(遣$
ふ)こと那くてくらし堂まへとくわんをそ
  堂て个るいし尓け婦まうてさ勢むとてハゝ
  きミのむ可ふ累なり个りこの人/\もミ那さ
  うしゝきよま者りてある尓佐らハ个ふハえ
  わ多らせ堂まふましきなめりいとくちお
  きことゝいふ多可くなれハかうしなとあ个て
  右近そち可くてつ可うまつり个るもやのす多
  れハミ那おろしわ多してものいミなと可ゝせて」(24オ・1876L)

 

  つ个多り者ゝもやつ可らお者するとてゆ免
  みさは可しかりつといひなすなり个りてうつ
  なとまいり堂る佐まハれいのやうなれとま可な
0064【まかない】−宇治ノ宮ノ不コト
  免さ満しうおほされてそこにあら者せハゝ
0065【そこに】−浮ヲサシテ也
  との多まふいとさ満よう尓くきをみな
0066【いとさまよう心にくき人】−薫ノコト
  らひ堂る尓のまもさらむ(+ハ)尓(尓$)しぬへしと
0067【時のまも見さらむは】−匂ノコト
  おほしこ可るゝさしふ可しとハかゝるをいふ
  尓やあらむとしら累ゝ尓もあやし可り个累
  可那堂れもゝのゝきこえあらハい可尓おほさむと
  まつ可のうへの御心いてきこゆれと志らぬを」(24ウ・1877E)
0068【うへの御心】−中君

 

  可へす/\いとうしあらむまゝにの多まへいミし
  きすといふともいよ/\なむあ者れなるへきとわ
  りなうとひ多まへとそのいらへハ堂えてせす
0069【その御いらへは】−浮
  こと/\ハいとお可しく个ち可きさ満尓いらへ
  きこえなとしてなひき多るをいと可きり那う
  らう堂しとのミ多まふ多可くなる本とに
  む可へのき堂りくるまむま那る人/\
0070【むかへの人】−石山
  れいのあらゝかな七八人をのこともおほく
  れいのしな/\し可らぬ个者ひさへつりつゝいりき
  堂れ盤人/\可多わらい多可りつゝあ那多に可くれ」(25オ・1877K)

 

  よとい者せなとす右近い可尓せむ殿むお
0071【殿】−薫
  するといひ堂らむ尓尓さは可りののお者し
  おハせすをのつ可らきゝかよひて可くれなきことも
  こそあれとてこの人/\尓もことにいひあ者せす
0072【この人/\】−女房衆
  可へり可くよへより个可れさせ多まひていとく
0073【けかれ】−月水
  ちおしきことをゝほしな个くめりしにこよ
  ひゆ免ミ佐者可しくみえ佐せつれハ遣ふ者可り
  つゝしませ堂まへとてなむものいミ尓て
  へす/\くちおしくものゝさ満多けのやうにミ多
  てまつりと可きて人/\とくハせてやり」(25ウ・1878C)

 

  つあまきみ尓もけふハものいミ尓てわ多りハぬ
  とい者せ多りれい者くらし可多くのミ可す免累
  き者をな可めわひ尓くれゆくハわ日しくのミ
  おほし者ゝか(者ゝか$
いら)るゝ尓ひ可れ堂てまつりていとは
  可なうくれぬまき累ゝなくのとけき
0074【のとけき春の日に】−\<合点>
  のみれとも/\あ可春そのことそとおほゆるく
  ま那くあいつきなつ可しくお可しけなり佐るハ
  可の堂いの可多にハ尓をとりなり大殿のきみの
0075【たいの御かた】−中
0076
【大殿のきみ】−六君
  佐可りにゝほひへるあ多り尓てハこよ那可累へき
  本とのを多くひなうおほさ累ゝほとなれハ」(26オ・1878I)

 

  ま多志らすお可しとのミゝ給女又大将殿をいと
  きよけ尓ま多かゝるあらむやとみし可とこま
  や可にゝほひきよらなることハこよ那くお
  し遣りとみるすゝりひきよせてゝならひな
  志いとお可し遣尓可きす佐日ゑ那とをミ(ミ$
0077【ミ所】−見
  ほく可きへれハわ可きち尓ハおもひもう
0078【わかき心ち】−浮心
  つりぬへしより本可尓えみさらむほとハこれを
  ミ多まへよとていとお可し个な累おとこもろ
  とも尓そひふし堂るか多を可きてつね尓可く
  てあらハやなとのもなミ多おちぬ」(26ウ・1879A)

 

    な可きよを堂のめても可なしきは
0079【なかきよを】−匂
  堂ゝあすしらぬいのちなり遣りいと可うおもふ
  こそゆゝし个れをも佐ら尓えま可せす
  よろつ尓堂者可らむ本とまことにしぬへくな
  おほゆるつら可りしありさ満を中/\な尓ゝ
0080【御ありさまを】−二条院ニテノコト匂心
  堂つねいて遣むなとの給女ぬらし多まへるふて
  をとりて
    をはな个可佐らましいのちのミ

  さ多免なきよとおも者まし可ハとあるをか
  者らむをハうらめしうおも(+
ふ)へ可り遣りとみ尓も」(27オ・1879G)

 

  いとらう堂しい可な可者りをみならひて
  なと本ゝゑミて大将のこゝ尓わ多し者しめ个む
  ほとを可へす/\ゆ可し可りてとひをくるし
  可りてえい者ぬことをかうのこそとうちゑし
  堂る佐まもわ可ひ多りをのつ可らそれハきゝいてゝ
  むとおほす可らい者せま本しきそわりな
  きやよさりへつ可ハしつる堂いふまいりて右近
  尓あひ多りき佐いのよりもつ可ひまいりて
  の大殿もむつ可りきこえ佐せ尓志られさ
  せ者ぬありきはいと可る/\しくな免け」(27ウ・1880@)

 

  なることもあるをすへてうちなとにきこし
  めさむこともの堂免なむいと可らきといミ
  しくさせ个りひむ可し尓ひしり
  らむし尓とな尓ハるなと可多り/て
  こそつミふ可うお者するもの(+
尓)ハあれすゝろなるけ
0081【女こそつミふかうおはする】−匂ノ虚言ヲイハセラルトミナ被仰ト云
  そうのをさへまとハしてそらことを佐へ
  せさせよといへハひしりのなを佐へつけきこ
0082【ひしりのな】−右近詞
  え佐せ多まひて个れハいとよしわ多くしのつミ
  もそれ尓て本ろほしらむまことにいとあや
  しき御心の遣尓い可てならハせ个む可ねて」(28オ・1880E)

 

  可うお者しますへしとう遣ハらましにもいとか
  堂しけな个れハ多者可りきこえさせてまし
  ものをあふなきありきにこそハとあつ可ひきこ
  ゆまいりてさなむとまね日きこゆれハ遣尓い可な
  らむとおほしやる尓せきこそわるし个れ
  可ろらかなるほとの殿上人と尓て志ハしあら
  者やい可ゝすへき可うつゝむへきめもえはゝ可り
  あふましくな大将もい可尓おも者んとすらん
  さるへき本とゝハいひな可らあやしきまてむ可し
  よりむつましき尓可ゝるのへ多てのしられ多」(28ウ・1880L)

 

  らむ者つ可しうい可尓そやよの堂とひ尓いふ
  こともあれ盤まちとをな累わ可をこ多りをも
0083【まちとをなる】−薫ノウトクノ浮ヲ疑給ント也
  しらすうらみられ者むをさへなむおもふゆめ
  尓も尓志られ多まふましき佐ま尓てこゝ
  ならぬところ尓ゐて者なれ堂てまつらむとそ
  の遣ふさへ可くてこもり井多まふへきならねハ
  いてむとする尓もそてのにそとゝめ多ま
0084【そての中にそとゝめたまひつらむかし】−\<合点>あ可さりし尓や尓个ん/王可しゐのな尓ち春る(付箋01
  ひつらむ可しあ遣者てぬさき尓と人/\しは
  ふきおとろ可しきこゆつまとにもろともにゐて
  お者してえいてやりハす」(29オ・1881C)

 

    よ尓しらすまとふへき可那さき尓堂つ
0085【よにしらす】−タメシナキト也
  なミ多もみちを可きくらしつゝも可きりなく
  あ者れと个り
    なミ多をも本と那きそてにせき可ねて
  い可尓わ可れをとゝむへきそ可勢のをともいと
  あらましく志もふ可きあ可尓をの可きぬ/\も
0086【をのかきぬ/\も】−\<合点>
  ひやゝ可尓なり堂るちしてむま尓のり
  本とひき可へすやうにあ佐まし个れとともの
  人/\いと多者ふれ尓くしとて堂ゝいそ可しに
  いそ可しいつれハわれも(も=
尓)あらていてぬこのゐ」(29ウ・1881J)
0087【この五ゐ二人】−内記 時方

 

  二人むまのくち尓ハ佐布らひ个る佐可
  しきこえい(い=
者)てゝそをの/\むま尓ハのるみ
  き者のこほりをふミならすむまのあしおとさへ
  ほそくもの可なしむ可しもこのみち尓のみ
  こそハかゝるふミハしし可ハあやし可り个る
  佐とのちきり可那とおほ春二条尓おハし
  ましつきてきみのいとう可りしもの可くし
0088【女きみのいと心うかりし御ものかくし】−中ノ浮ヲイヒ給ハヌコト
  も徒ら个れ盤やすき可多尓お殿こもりぬ
  累尓ねられハすいと佐日しき尓ものまさ
  れハよ者く堂い尓わ多りぬなもなく」(30オ・1882B)

 

  いときよけ尓てお者すめつらしくお可しとみ
  よりもこれハあり可多きさ満ハし多まへり
  可しとみもの可らいとよく尓多るをおもひいて
  堂まふもむねふ多可れハい堂くものおほし
  多る佐ま尓てみにいりておほとのこも累
  きみ(+
を)もゐていりきこえちこそいとあし个れ
  い可ならむとする尓可と本そくなむあるまろハ
  いミしくあハれとみをい堂てまつるともありさ
  まはいとゝくか者りなむ可しの本い者可ならす
0089【人のほいは】−薫ニ中ノ心トマラント也
  可なふなれ盤とのけし可らぬことをもまめや可に」(30ウ・1882H)

 

  佐への堂まふ可那とてかうきゝ尓くきこと能も
  りてきこえ堂らハい可やう尓きこえなし堂るに可
  とより者んこそあ佐まし个れうき
0090【人も】−薫コト
  尓者すゝろなることもいとく累しくとてそむき
  へりもまめ多ちてまことにつらしとおもひ
  きこゆることもあらむハい可ゝおほさるへきまろハ
  多免尓をろ可な可ハもあり可多しなとゝ
  可むるまてこそあれ尓ハこよ那うとし
  へ可めり堂(堂=
ソ)れも佐へき尓こそハとことわらるゝをへ
0091【たれもさへきにこそは】−匂心 浮モスクセアルカ中ノ渡給モミタルト也
  堂て給御心の布可きなむいとうきとの多まふにも」(31オ・1883A)

 

  すくせのをろ可ならて堂つねより多るそ可しとお
  ほしいつ累尓なミ多くまれぬまめや可なるをいと
0092【まめやかなるを】−中心
0093
【いとおしういかやうなることを】−薫ノコトカト思給也
  おしうい可やうなることをきゝ堂まへる那らむと
  越とろ可累ゝ尓いらへきこえ者むこともな
  もの者可那きさ満尓てそ免し尓な尓
0094【ものはかなきさまにて】−中ノ匂ニ向ヘラレハセテ薫ノテヒキニテアレハカロ/\シク思給ント也
  ことをも可ろらか尓をし者可り堂まふ尓こそ
  者あら免すゝろなをしるへ尓てそのよせ
  をおもひしり者しめなとし堂るあやまち
  者可りにおほえ越とる尓こそとおほしつゝ
  く累もよろつ可なしくていとゝらう多けなる」(31ウ・1883G)

 

  遣者ひなり可のミつ遣多ることハしは
0095【かの人みつけたることは】−匂心
  しゝらせ堂てまつらしとおもへ(もへ$本せ)ハこと佐ま尓
  おも者せてうらみを堂ゝこの大将ことを
  ま免/\しくの多まふとおほすにやそらこと
  を堂し可なるやう尓きこえ多らむなとおほす
  ありやなしやをき可ぬまハみえ多てまつらむも
  者つ可しうちより大宮ふミある尓とろき
  猶心と个ぬ个しき尓てあ那多尓わ多り
  堂まひぬきのふのほつ可那さをなやましく
  おほされ多なるよろしくハまいりへひさし」(32オ・1883L)

 

  うもなり尓遣るをなとやう尓きこえへれハ
  佐者可れ多てまつらむもくるし个れとまことに
  御心ちも堂可ひ多るやう尓てその者まいり
  者す可む多ちめなとあま多まいり多まへと
  み春のうち尓てくらしゆふつ可多右大将
  いりへりこな多尓をとてうちと个な可ら堂い
  めんしへりなやましけ尓お者しますとつれハ
0096【なやましけに】−薫詞
  尓もいとおほつ可なくおほしめしてなむい可やう
  なやミ尓可ときこえ給見る可らに御心
0097【見るからに】−匂心
  者きのいとゝまされハことすくな尓てひしり」(32ウ・1884D)
0098【ひしりたつ】−薫コト

 

  堂つといひな可らこよ那可り个るふし可那
  佐者可りあ者れなをさてをきてのと可に
  月日をまちわひさすらむよとおほ春れい者
  さしもあらぬことのついて尓堂尓われハまめ
  もてなしなのり多まふをね多可りてよろつに
  の多まひやふるをかゝることみあら者い堂る越
0099【かゝること】−浮コト
  い可尓の堂ま者ましされとさやうの多者ふれこと
  もか遣ハ春いとくるし遣尓みえ多まへハふひん
0100【いとくるしけに】−薫心
  なるわさ可那おとろ/\し可らぬ御心ちのさす可
  尓ひ可すふるハいとあしきわさに侍御可せよく」(33オ・1884J)

 

  つくろ者せへなとまめや可尓きこえをきて
  いてぬ者つ可しけなるり可しわ可ありさ満を
  い可尓くらへ个むなとさ満/\なることにつけつ
0101【思くらへけむ】−浮ノ心ニイカニ思給ト也
  も堂ゝこののまわ春れすおほしいつか
  しこ尓者いしもとまりていとつれ/\な
  ふミ尓者いといミしきことを可きあつめてつ可ハす
  それ堂尓やす可らす可多とめしゝ堂いふのす
0102【すさ】−従者
  さのもしらぬしてなむやり个る右近可ふるく
  しれり个累殿とも尓て堂つねいて
  堂る佐ら可へりてねむころ可るとゝも多ちにハ」(33ウ・1885C)

 

  いひき可せ多りよろつ右近そゝらことしな
  ひ个るも堂ちぬ可うおほしゝら累れと(ゝら累れと=
イラルレト イ)お
0103【月もたちぬ】−匂心
  しますことハいとわりなし可うのミものをゝも
  者ゝ佐ら尓えな可ら婦ましきめりと本そ
  さをそへてな个き給大将殿すこしのと可に
  なりぬるころれいのしの日てお者し堂りてらに
  とお可ミミすせさせそう尓もの多ま
  ひなとしてゆふつ可多こゝ尓ハしのひ堂れとこれハ
  わりなくもやつしハすえ本うしなをしの
  す可多いとあらま本しくきよ个尓てあゆミいり」(34オ・1885I)

 

  よりはつ可し遣尓よういことない可てみえ多
  てまつらむとすらんとそら佐へ者つ可しくおそろし
  き尓あ那可ちなりしありさ満うちいて
  らるゝにこの尓みえ多てまつらむをやるな
  いミしううきわれ盤としころみるをもミ那
0104【われはとしころ】−匂ノ中君ヨリモ浮ヲ思トノ給シコト
  可者りぬへきちなむするとの多まひしを
  遣尓そのゝち御心ちくるしとていつく尓も/\れい
  のありさ満ならてみす本うなと佐者くなるを
  きく尓い可尓きゝておほさんともいとくる志
  このハ多いとけ者ひことにふ可くなま免可」(34ウ・1886A)
0105【この人】−薫

 

  しき佐ましてひさし可りつるほとのをこ多り
  なとのもことおほ可らすこひし可なしと
  おり堂ゝねとつね尓あひミぬこひのくるし
  さを佐まよきほとにうちの多まへるいミしく
  いふ尓ハまさりていとあ者れとぬへきさ
0106【いふにハまさりて】−\<合点>
  まをし免多まへる可らなりえむなる可
  堂ハさる尓てゆくすゑな可くの多の
  ミぬへき者へなとこよ那くまさりへり
  おも者すなるさ満の者へなともりき可せ
0107【おもはすなるさまの心はへ】−匂コトヲ薫ノ聞テモ色ニモ出給ハシト也
  堂らむもなの免ならすいミしくこそ」35オ・1886G)

 

  あへ个れあやしうゝつしもなうおほしいら
  るゝをあ者れともそれハいとあるましく
0108【人】−匂
  可ろきことそ可しこの尓うしとおも者れて
0109【この人】−薫
  わ春れほそさはいとふ可うしミに
  个れ盤おもひミ堂れ多るけしきをころ尓
  こよ那うものゝしりねひまさりに个り
  つれ/\なるすミかの本とにのこすことハあらし
  可しとみ多まふもくるし个れハつねよりも
  とゝめて可多らひつくらするやう/\よろし
0110【つくらする所】−薫詞
  うしなして遣り一日むミし可ハこゝよりは」(35ウ・1886M)

 

  けち可きみつ尓もみ多まひつへし三条
  もち可き本となりあ个くれおほつ可なき
  へ堂てもをのつ可らあるましきをこの
  ほとにさりぬへくハ王多してむとての
  もかののゝと可那るへきもひまうけ多り
0111【かの人の】−匂コト
  ときのふもの堂まへりしを可ゝることも志らて
  さおほすらむよとあ者れな可らもそな多に
  なひくへき尓ハあらす可しと可らにありし
  さ満のおも可け尓おほゆれハわれな可らもう
  堂てうのやとゝ遣てなきぬ御心者への」(36オ・1887E)
0112【御心はへの】−薫詞 浮コト

 

  かゝらておひら可なりしこそのと可にうれし
  可りし可のい可尓きこえ志らせ多ること可ある
  すこしもをろ可ならむさし尓てハ可うまて
  まいりくへきの本とみち能ありさ満尓もあら
  ぬをなとつい多ちころのゆふつくよにすこし
  者しち可くふしてな可免い多し多まへりおとこハ
  すき尓し可多のあ者れをもおほしいてハいま
  よりそひ堂るのうさをな个きく者へて
  可多ミにものおも者しの可多ハ可すみへ多てゝ
  さむきす佐き尓堂てる可佐ゝきのす可多も」(36ウ・1887K)

 

  可らはいとお可しうみゆる尓う地ハしの者る/\と
  わ多さるゝにし者つミふねの所/\尓ゆきち
  可ひ堂累なと本可尓て免なれぬことゝものミ
  とりあつめ堂るれハみ多まふ堂ひことに
  その可ミ能ことの堂ゝいまのちしていと可ゝら
  ぬをみ可者し多らむ多尓めつらしきな可能
  あ者れおほ可るへき本となりまいてこれ(れ$
ひ)しき
  (+
尓)よそへられ多るもこよ那可らすやう/\ものゝ
  りこなれゆくあり佐まのお可しきもこよ
  なくミまさりし多るちしハ可き」(37オ・1888J)

 

  あつめ堂るのうちにもよをさるゝなミ多
  ともすれ盤いて多つをなくさ免可ねつゝ
    うちハしのな可きちきりはくちせしを
0113【うちハしの】−薫
  あやふむ可多尓さはくないまみてんと
  の堂まふ
    堂え満のミよ尓ハあやうきうちハしを
0114【たえまのみ】−浮
  くちせぬも能と多の免とや佐き/\よりも
  いとみすて可多くしハしも堂ちと満らま
  ほしくおほさるれとのものいひのやす可らぬ尓」(37ウ・1888J)

 

  いまさらなやすきさ満尓てこそなとお
  しなしてあ可可へりぬいとようもお
  なひ堂りつる可那とくるしくおほしいつ累ことあ
0115【ありしにまさりけり】−\<合点>
  りし尓まさり遣りき佐らきの十日の本とに
  尓ふミつくらせ多まふとてこの大将
  まいりあひ多まへりおり尓あひ堂るのし
  らへとも尓こゑハいとめて多くてむめ
  可えなとう多ひ尓こともよりハこ
  よ那うまさり堂まへるさ満尓てすゝろな
  ることおほしいら累ゝのミなむつミふ可ゝり/个る」(38オ・1889B)

 

  ゆき尓ハ可尓ふりミ多れ可せなと者けし个れハ
  あそひとくやミぬこの御殿人/\
  まいりものまいりなとしてうちやすミへり
  大将人の多ま者むとてすこし者しち可く
0116【はしちかく】−匂ノトノヰ所ヨリ也
  いて堂まへる尓ゆきのやう/\つもるかほしの
  ひ可り尓ほ/\しきをやミハあやなしとおほゆる
0117【やミハあやなしと】−\<合点>よのやミハあやなの/者なこそミえ年やハかくるゝ(付箋02
  尓本ひありさ満尓てころも可多しきこよひ
0118【ころもかたしきこよひもやと】−\<合点>さむしろ尓可多しき今夜/もや/王れをらんうちの橋姫(付箋03
  もやとうちすしへるも者可那きことをくち
  すさひ尓の多まへるもあやしくあハれなるけ
  しきそへ累さ満尓ていとものふ可けなり」(38ウ・1889H)

 

  ことしもこそあれハね多るやう尓て御心さハく
0119【ことしもこそあれ】−匂ノ心ニカゝル也
  をろ可尓ハおも者ぬなめり可しか多しくそ/てを
  われのみやるちしつるをおるもあ
  者れなりわ日しくもある可那可者可りなるもと
0120【もとつ人】−本人
  つ越ゝきて可多尓まさるハい可てつくへ
  きそとね多うおほさるつとめてゆきのいと多可う
  つもり堂るにふミ多てまつり者むとておまへ尓
  まいりへる可多ちこのころいミしく佐可り尓き
  よけなりかのきミもおしほと尓ていまふ多つ
  みつまさるけちめ尓やすこしねひまさる个しき」(39オ・1890@)

 

  ようゐなとそこと佐らにもつくり(+いて)堂らむあてな
  おとこのにしつへくみ可とのむこ尓
  てあ可ぬことなしとそよもこと者り个る佐え
  なともおほや遣/\しき可多もをくれすそおハす
  へきふミ可うし者てゝみ那ま可て給宮ふミ
  をすくれ多りとすしのゝ志れとな尓ともきゝいれ
  堂まハすい可なち尓て可ゝることをもしいつ
  らむとそら尓のミおも本し本れ多り可の
  个しき尓もいとゝおとろ可れ个れハあさま
0121【御けしきにも】−薫ノ衣カタシキコト
  しう堂者可りてお者しまし堂り尓は」(39ウ・1890F)

 

  ともまつ者可りきえのこり多るゆきふ可く
0122【ともまつはかり】−\<合点>
  いるまゝにやゝふりうつミ多りつねよりもわりな
  きまれのほそみちをわ个本とともの
  なきぬ者可りおそろしうわつらハしきことをさへ
  しるへのきハしきふの少輔む可け多り
  个累いつ可多も/\こと/\し可(+
る)へきつ可佐な可らいと
  つき/\しくひきあ遣なとし堂るす可多もお可し
  可り个りかしこ尓はお者せむとありつれとかゝる
0123【おはせむと】−浮ヘ案内ハアレトヽ也
  ゆき尓ハとうちとけ堂る尓ふ个て右近にせう
  そこし多りあ佐ましうあ者れときみもおもへり
  右近ハい可尓り者てへきありさ満尓可と可」(40オ・1890M)

 

  つハくるし个れとこよひハつゝまし佐も王すれ
  ぬへしいひ可へさむ可多もな个れハおしやうに
  むつましくおほい堂るわ可きさ満もあ
  ふな可らぬを可多らひていミしくわりなきこと
0124【かたらひて】−右近カ別人ヲカタラフ也
  お尓もて可くし多まへとい日て遣りもろと(と$
  とも尓いれ堂てまつるみちの本とにぬれ多まへる
  可能ところせう尓本ふもゝてわつらひぬへ个れと
  かの遣者ひ尓ゝせてなむもてまきらハ
  し遣るの本と尓て多ち可へり者んも中/\
  なへ个れハこゝのめもいとつゝまし佐尓可多に」(40ウ・1891E)

 

  堂者可らせ多まひて可者よりをちなる
  いゑ尓ゐてお者せむと可まへ堂り个れハさき多
  てゝつ可ハし多り个るふくるほとにまいれりいと
  よくようゐして佐布ら婦とさすこはい可尓
  しこと尓可と右近もいとあ者多ゝし遣れハ
  ねおひれておき堂るちもわなゝ可れてあや
  しわらハへのゆきあそひし堂るけ者ひのやう
  尓そふるひあ可り尓个るい可て可なともいひあへ
  させハす可きい多きていて右近ハこの
  うしろミにとまりてしゝうをそ堂てまつる
  いと者可那个なるものとあ个くれミい多すちゐ」(41オ・1891L)

 

  佐きふね尓のりてさし王多り本と者累可
  ならむきしに志もこき者なれ多らむやう尓
  そくおほえてつとつきてい堂可れ多るもいと
  らう堂しとおほすありあ遣のすミの本りて
  みつのおもてもくもりなき尓これなむ多ち
  のこしまとふね志ハしさしとゝ免多る
  をみ多まへハおほきや可なるい者のさ満してさ
  れ堂るときハの可遣しけれり可れミ多まへ
0125【かれみたまへ】−匂詞
  いと者可那个れとちとせもふへきみとりのふ可さを
  との多まひて
    とし婦ともか者らむもの可堂ち者那の」(41ウ・1892E)

 

  こしまの佐き尓ちき累もめつらしからむ
  みちのやう尓ほえて
    堂ちのこし満のいろハか者らし越
  このうきふねそゆくゑしられぬおり可ら
  さ満尓可しくのミな尓こともおほしなす可の
  きし尓佐しつきてお尓い多可せ
  むハいとくるし遣れハい多き堂まひて多す个
  られつゝいりをいとみくるしくな尓を可く
  もて佐者きらむと多てまつる可多可を
  ちのいな者の可みなる可らうす累さう尓者可那/う」(42オ・1892K)

 

  つくり多累いゑなり个りま多いとあら/\しき尓
  あしろ屏風らむしもしらぬ志つらひ尓て
  可せもことにさ者らす可きのもとにゆきむら
  きえつゝいまも可きくもりてふるひさしいてゝ
  のきの堂る日のひ可りあひ堂累尓可多ち
  もまさるちすもところせきみちの本とに
  可累らかなるへき本とのそともなもぬ
  きすへさせてし可ハほそや可なるす可多つきいと
  お可し遣なりひきつくろふこともなくうちと
  け多るさ満をいと者つ可しくま(+
ハ)ゆきまてきよ」(42ウ・1893C)

 

  らな尓佐しむ可ひ多るよとおもへとまき
  れむ可多もなしなつ可しき本と那るしろき
  可きりをいつゝ者可りそてくちすその本とまて
  なま免可しくいろ/\尓あま多可さね多らん
  よりもお可しうきなし多りつね尓給人とても
  可くまてうちとけ堂るす可多なとハみな
  ひハぬを可ゝる佐へそめつら可尓可しう
  おほされ个るしゝうもいと免やすきわ可
  なり遣りこれ(+
さ)へ可ゝるをのこりなうみるよと
  きミハいみしと思宮もこれハ堂そわ可那/もらすなよと」(43オ・1893I)
0126【わかなもらすなよと】−\<合点>

 

  くち可多めをいとめて堂しとおもひきこえ多り
0127【いとめてたしと】−匂ノ御詞ヲ参ト思也
  こゝのやともり尓てすミ个るもの可多をしう/と
  おもひてかしつきあり个ハこの者します
  やりとをへ多てゝところえ可ほ尓ゐ多りこゑ
  ひきしゝめかしこまりてもの可多りしをるを
  いらへもえせすお可しと个りいとおそろしく
  うらなひ堂るものいミによりのうちをさへ
  さりてつゝしむなりほ可のよす那といひ多り
  めも堂えてやすく可多らひくらし
0128【かのひとの】−薫コト
  のひとのものしへり个む尓可くてみえてむ」(43ウ・1894A)

 

  可しとおほしやりていミしくうらみ給二
0129【二の宮を】−薫コト
  をいとやむこと那くてもち堂てまつりへる
  ありさ満なとも可多り可のみゝとゝめ多ま
  ひしひとハの堂まひいてぬそ尓くきや
0130【のたまひいてぬそ】−衣カタシキノコト
  可多てうつく多とゝりつきてまいる
  をらむしていミしくかしつ可る免るまら
  うとのぬしさてなみえそやといましめ
  しゝういろめ可しきわ可うとのち尓いとお
  志とてこの堂いふとそも能可多りしてくら
  し个るゆきのふりつもれる尓可のわ可すむ」(44オ・1894G)
0131【わかすむかたを】−\<合点>

 

  可多をみやり多まへれハ可すミの堂え/\に
  こすゑ者可り者可ゝみを可け堂るやう
  尓きら/\とゆふかゝやき堂る尓よへ
  わ个こしみちの王り那さなとあ者れお
  うそへて可多り
    ミねのゆきみきはのこ本りふミわ个て
  きみ尓そまとふみちハまとハすこ者多の
0132【こはたのさとにむまはあれと】−\<合点>しろのこわ多の者/あれと/をおもへハ可ちよりそ遊く(付箋04
  さとにむまハあれとなとあやしきすゝりめし
  いてゝてならひ
    婦りミ多れミきは尓こ本るゆきよりも」(44ウ・1894L)

 

  な可そら尓てそわれハ遣ぬへき と可きけち
  堂りこのそらをと可免け尓ゝくゝも可
  きて个累可那と者つ可しくてひきやりつさら
  て堂尓る可ひあるありさまをいよ/\あハれ
  尓いミしと尓しめられんとつくしこと
  の者けしきい者む可多なものいミふつ可と
  堂者可りへれハのと可なるまゝに可多ミにあ
  者れとのミふ可くおほしま佐る右近ハよろつ
  尓れいのいひまきらハしてそなと堂てまつり
  多り遣ふハミ多れ堂る(+
可)みすこしけつらせて」(45オ・1895D)

 

  こきゝぬ尓こう者いのをりとあ者ひお
  しくき可へてゐ多まへり志ゝうもあやしき
  志ひらき多りしをあさやき堂れハそのも
0133【しひら】−ウハ裳也 褶
  をとりてきミきせてうつまいらせ
  日め尓これを堂てまつり多らはいミしき
0134【ひめ宮】−女一宮
  もの尓してむ可しいとやむことなきゝハの
  おほ可れと可者可り能さ満し堂るハ可多くやと
  ミ可多ハなるまてあそひ堂者ふれつゝくらし
  多まふしのひてゐて可くしてむことを可へす/\
  のその本と可の尓みえ多らはといミしき」(45ウ・1895J)
0135【かの人】−薫

 

  ことゝもをち可者せ多まへハいとわりなきことゝ
  ていらへもやらすなミ多佐へおる遣しき佐
  ら尓めのまへ尓多尓うつらぬなめりとむね
0136【めのまへにたに思うつらぬなめり】−匂ニ御心ノウツラヌト恨心
  い多うおほさるうらみてもなきてもよろつ
0137【うらみてもなきても】−\<合点>
  のあ可してふ可くゐて可へりれいのい多

  きいミしくおほすめるハ可うはよも
  あらしよしり多りやとのへハけ尓と
  てうなつきて井多るいとらう(+
多)けな右近
  つまと者那ちていれ堂てまつるや可てこれより
  わ可れていてもあ可すいミしとおほさ累」(46オ・1896B)

 

  可やうの可へさは猶二条尓そおハしますいと
  なやましう志てものなと堂えてきこしめ
  さすひをへてあ越ミやせ給御个しきも
  可者るをうち尓もいつく尓もおも本しな
  く尓いとゝものさハ可しくてふミ多尓こま
  可にハ可き堂ま者すかしこ尓も可の佐可し
0138【かしこにも】−浮ノ方
  き免のとむす免のこうむいて多り个累
  可へりき尓个れハや(+
すく)もえミす可くあやしき
  すまひを堂ゝ可の殿のもてな者む
0139【かの殿】−薫
  さ満をゆ可しくまつこと尓て者ゝきミも」(46ウ・1896G)

 

  おもひなくさ免多る尓しのひ堂る佐まな
  可らもち可くわ多してんことをおほしな
  尓个れハいと免やすくうれし可るへきことに
  てやう/\もと免わらハのめやすきな
  む可へてをこせわ可尓もそれこそハあるへき
  ことに者しめよりまちわ多れとハおもひな可ら
  あな可ちなるのおほむことをいつる尓
  うらみ多まひしさ満の堂まひしことゝも
  おも可け尓つとそ日ていさゝかまとろめハゆめに」(47オ・1896M)

 

  みえつゝいとう多てあるまておほゆあ免ふり
  やまてひころおほくなるころいとゝ山地
  おほし堂えてわりなくおほされ个れハお
0140【おやのかふこは所せきものにこそと】−\<合点>堂らちめ能をやの可ふこの万遊/こもり/いふせくもある可いも尓/あ者すて(付箋05
  やの可ふこ者せきものこそとおほすも
  可多しけなしつきせぬことゝも可き
    な可免や累そ那多のくもゝみえぬまて
0141【なかめやる】−匂
  そら佐へくるゝころのわひしさ
  ふて尓ま可せてかきミ多りへるしもみあり
  お可しけなりことにいと越もくなとハあらぬわ
  可きちにいとかゝるをおもひもまさり」(47ウ・1897D)

 

  ぬへ个れと者しめよりちきりしさ満もさ
  す可尓かれハいとものふ可う可らのめて多き
0142【かれは】−薫コト
  なとも世中をしり尓し者しめなれ者(+尓)や可ゝ
  累うきこときゝつ遣てうとみむよ尓ハ
  い可て可あらむいつし可とおもひまとふおや尓も
  おも者すにつきなしとこそハもてわつらハれ
  め可くいられし給人ハ多いとあ多なる御心
0143【心いられし給人】−匂
  本上とのミきゝし可ハかゝるほとこそあら免
  可うな可らも尓も可くしすへ日な可らへ
  てもおほし可すまへむ尓つ个てハ可のうへの」(48オ・1897J)

 

  おほさむことよろつ可くれなきよ那り个れハ
  あやし可り志ゆふくれのしるへ者可りに堂尓
0144【ゆふくれのしるへ】−二条院ニテノコト
  可う堂つねいてめりましてわ可ありさ満の
  とも可くもあらむをきゝハぬやうハありな
  やと(+
へイ)多とる尓わ可もきすありて可の
  うとまれ多てまつらむいミし可るへしとお
  ひミ多るゝおりしも可の殿よりつ可ひあり
  これ可れとみるもいとう多てあれハなをことお
  可りつるをつゝふし多まへれハ志ゝう右近
  あハせてうつりに遣りなとい者ぬやう尓ていふ」(48ウ・1898A)
0145【うつりにけりなと】−匂ニト也

 

  ことわりそ可し殿可多ち越多くひお者しま
  さしとみし可とこのありさ満ハいミし可り遣り
  うちミ多れ多まへるあいよまろならハ可
  者可り能御思越ミ累/\え可くてあらしきさい
  の尓もまいりてつね尓多てまつりてむと
  い婦右近うしろめて多の御心の本とや殿
  ありさ満尓まさり給人ハ堂れ可あらむ可多ち
  なとハしらす御心者へ遣者ひなとよこの
  ことハいとミくるしきわさ可那い可ゝならせ
  者むとすらむとふ多りして可多らふひとつ尓」(49オ・1898H)

 

  しよりハそらことも堂よりいてきに个り
  のちのふミ尓ハ可らひころ尓なること時/\
0146【御ふみには】−薫文
  者それよりもおとろ可い者んこそさ満
  ならめをろ可なる尓やハなと者し可き尓
    みつまさるをち能さとい可ならむ
  者れぬな可免尓可きくらすころ
  つねよりもおもひやりきこゆることまさりてな
  としろきしきしにて堂てふミなても
  こま可尓お可しけならねとかきさ満ゆへ/\しく
  みゆハいとおほ可るをちゐさくむすひなし」(49ウ・1899@)

 

  堂まへるさ満/\お可しま徒可れをみぬ
0147【かれを】−匂ヘノ
  本と尓ときこゆ个ふハえきこゆましと者ち
  らひてゝならひ尓
    佐とのなをわ可にしれハしろの
  う地のわ多りそいとゝすミうき
  の可きへりしゑを時/\見てな可れ个り
  な可らへてあるましきことそとゝさ満可う
  さま尓おもひなせとほ可尓堂えこもりて
  やミなむハいとあ者れ尓おほゆへし
    かきくらし者れせぬミねのあまくも尓」(50オ・1899E)

 

  うきてをふるを(を=と)もなさハや
  ましりなハときこえ堂るをハよゝとな
0148【ましりなはと】−\<合点>
  れさりとて(て$)もこひしとらむ可しとおほし
  や累尓もゝのてゐ多らむさ満のミおも可けに
  みえまめハのと可に見給つゝあ者れい可尓
0149【まめ人】−薫
  な可むらむとやりていとこ日し
    つれ/\とをしるあ免のをやまねハ
0150【身をしるあめの】−\<合点>
  そて佐へいとゝみ可さま佐りて
  とあるをうちもを可すミ給女宮尓もの可多り
0151【女宮】−女二
  なときこえてのついて尓なめしともやお」(50ウ・1899K)

 

  ほさんとつゝましな可ら佐す可にとしへぬる
  をあやしき尓すてをきていミしくもの
  る可くるしさにち可うよひよせてと
  へ累む可しよりことやうなる者へりし
  尓て世中をすへてれいのらてすくしてん
  とおもひ者へりしを可くみ多てまつる尓つ
  遣てひ多ふる尓もすて可多个れハありと尓も
  志らせさりしのうへさへくるしうつミえぬ
  へき心地してなむときこえ多まへハい可なるこ
  と尓をくものとも志らぬをといらへ給内」(51オ・1900B)

 

  なとあしさ満尓きこしめさするらむ
  よののものいひそいとあちきなく个し
  可らす者へるやされとそれハさ者可りの可す尓
  堂尓ましなときこえつくり多る
  わ多してむとおほし堂つ尓可ゝ累れうな
  遣りなと者那や可尓いひなやあらむなとく
  るし个れハいとしのひてさうし者らすへきこと
  なしもこそあれこのないき可しる
  おやおほくらの堂いふなるもの尓むつましく
0152【おほくらのたいふ】−内記シウト
  やすきまゝに能多まひつけ多り遣れハきゝ」(51ウ・1900H)

 

  つきて尓ハ可くれなくきこえ遣りゑし
  ともなともすいしんともの尓あるむつまし
  き殿人とをえりてさす可尓わさとなむせ
  させす尓いとゝおほしさハきてわ可
  のと能とをきすらうのめ尓てく多るいゑしも
  つ可多尓あるをいとしのひ多る志ハし可くい
  堂らむと可多らひ个れハい可な尓可ハと
  おもへと堂いしとおほし多る尓可多しけな
  れハさらはときこえ个りこれをまうけ
  すこし御心のと免こののつこもり可多に」(52オ・1901@)

 

  く堂るへ个れハや可てそのわ多さむとお
  し可まふ可くなむおもふゆめ/\といひやり
  つゝお者しまさんことはいとわりなくあるうち
  尓もこゝ(こゝ=
ト)にもめのとのいと佐可し个れハ可多かる
  へきよしをきこゆ大将殿ハう十日とな
  さ多免多まへり个る佐そふミつあらハとはお
0153【さそふみつあらはと】−\<合点>
  者すいとあやしくい可尓しなすへきみ尓可あ
  らむとうき堂累ちのミすれハ者ゝのもとに
  し者しわ多りておもひめくらすほとあらんと
  おほ勢と少将の免こうむへき本とち可く」(52ウ・1901F)

 

  なりぬとてす本うととひま那くさわけハ
  いし尓もえいて堂つまし者ゝそこちわ
  堂り多まへる免のといてきて殿より人/\
  さうそくなともこま可におほしやりてな
  い可てきよ个にな尓こともとおもふ多まふれと
  まゝ可ひとつ尓ハあやしくのミそしいて
  らむ可しなといひさ者く可ちよけなるを
  み尓もきミは遣し可らぬことゝものいてきて
  わらへならは堂れも/\い可尓も者んあや
  尓くにの堂まふ者多やへ堂つ尓こもる」(53オ・1901K)
0154【やへたつ山に】−\<合点>

 

  とも可ならす堂つねてわれももい多つらに
  なりぬへしなやすく可く可く(可く$
)れなむこと
  をおもへと遣ふものへるをい可尓せむとちあ
0155【けふもの給へる】−匂ヨリ也
  しくてふしへりなと可ゝくれいならすい多
0156【なとかゝく】−母詞
  くあをミやせ多まへるとおとろきひころ
  あやしくのミなむ者可那きもきこしめさ
  すなやまし遣尓せ佐せといへハあしきこと/可那
  のけなと尓やあらむとい可な御心ちそとお
0157【いかなる御心ちそと】−懐妊
  へといしとまり堂ま日尓(+き可)しといふも可多わら
0158【いし山とまりたまひ】−月水ト云ハト也
  い多个れハ婦しめなりくれていとあ可し」(53ウ・1902C)

 

  ありあ遣のそらをおもひいつるなミ多のいとゝ(ゝ=と)め
0159【ありあけのそら】−小嶋コト
  可多きはいと遣し可らぬ可那とおもふ者ゝ
0160【けしからぬ心かな】−匂ヲ思ト也
  む可し可多りなとしてあ那多のあまきミよ
  ひいてゝこひめありさ満ふ可くおはして
0161【こひめ君】−大君コト
  さるへきこともおほしいれ多りし本とにめにミ
  す/\きえいり尓しことなと可多るお者しまさ
  まし可ハのうへなとのやう尓きこえ可よひ
  てほそ可りしあり佐まとものいとこよ那
  きさい者井尓そらまし可しといふ尓もわ可
  むす免ハこと可はおもふやうなるすくせの」(54オ・1902I)

 

  お者し者てハおとらしをなとおもひつゝ遣てよ
  とゝも尓この尓つ个てハをのミおもひミ多れ
0162【この君】−浮
  しけしきのすこしうちゆる日て可くてわ多り
0163【わたりたまひぬへかめれハ】−京ヘ也
  堂まひぬへかめれハこゝ尓まいりくること可ならす
0164【こゝに】−母心 宇治コト
  しもこと佐らにハえおもひ堂ちらし可ゝる多
  いめんのおり/\尓む可しのことものと可にきこえ
  う遣者らま本し遣れなと可多らふゆゝしき
0165【ゆゝしき】−弁詞
  みとのミおもふへしみ尓し可ハこまや可尓みえ
  堂てまつりきこえさせむもな尓可ハ(+
と)つゝましくて
  すくしりつるをうちすてゝわ多らせハいと」(54ウ・1903A)

 

  ほそくなるへ个れと可ゝるすまひハもと/那く
  のミゝ堂てまつるをうれしくもるへ可那る可な
  よ尓志らすおも/\しくお者しますへ可める殿
  ありさ満尓て可く堂つねきこえ佐せしも
  おほろ遣ならしときこえ越きり尓しうき
  堂ること尓やハゝへり个るなといふのちハしらねと
0166【のちはしらねと】−母詞
  多ゝいまハ可くおほし者なれぬさ満尓の
  徒个ても堂ゝしるへをなむおもひいてきこゆる
0167【御しるへを】−媒ニヨリテ喜ト也
  のうへの可多しけなくあ者れ尓おほし多り志も
0168【宮のうへ】−中君
  つゝましきことなとの越(+の)つ可らりし可ハそらに」(55オ・1903G)

 

  ところせき御身りとおもひな个きりてといふ
  あまうちわらひてこののいと佐わ可しき
  まていろ尓おハしますなれハ者せあらんわ可
  きさふらひ尓くけ尓なむおほ可多者いとめて
  多きあり佐まなれとさるすちのこと尓てうへの
0169【うへの】−中君
  な免しとおほさむなむわりなきと堂いふ可
  むすめの可多りりしといふ尓も佐りやましてと
0170【ましてと】−匂ノ御心ノコトヲ中君ニシラレスニト也
  きミはきゝふしへりあ那むくつ个やみ可との
  むすめをもち堂てまつり多まへるれと
  よそ/\尓てあしくもよくもあらむハい可ゝハせむと
  おほ个なくおもひなるよ可らぬことをひき」(55ウ・1904@)
0171【よからぬこと】−薫ト中君トノコト

 

  いて多まへらまし可ハすへてにハ可なしくいミしと
  おもひきこゆともみ多てまつらさらましな
0172【なといひかはす】−母と弁
  いひ可者すことゝも尓いとゝきもゝつふれぬ
0173【心きもゝつふれぬ】−匂ノコトヲシラレテハト浮心
  わ可をうしな日てハや(+つ)ゐ尓きゝ尓くきことは
  いてきなむとおもひつゝくる尓このみつのをとのお
  ろしけ尓ひゝきてゆくを可ゝらぬな可れもあり
  可志よ尓ゝすあらましきところ尓とし
  すくし堂まふをあ者れとおほしぬへきわさ尓
  なむなと者ゝきみし多り可本尓いひ井多りむ可
  しよりこの可者の者やくおそろしきことをい日
  てさいつころわ多しもり可むまこのわらは」(56オ・1904F)

 

  さ越さし者徒して越ちいりりに个るすへて
  い多つらになほ可る尓者へりと人/\もい日
  あへりきミはさてもわ可ゆくゑも志らすな
  なハ堂れも/\あえ那くいミしと志ハしこそおもふ
  多ま者免な可らへてわらへ尓うきことも
  あらむハいつ可そのもひの堂えむとすると
  おもひ可くる尓ハさ者りところもあるましく
  さ者や可尓よろつおもひなさるれとうち可へし
  いと可なしおやのよろつ尓おもひいふありさまを
  ね多るやう尓てつく/\とミ多るなやましけ尓て
  やせへるをめのとにもいひてさるへきいのりなと」(56ウ・1904M)

 

  勢させへまつり者らへなともすへきやうなといふ
  ミ堂ら志可者にみそきせま本しけなるを可く
0174【ミたらしかはにみそきせまほしけなるを】−\<合点>しとミ多らし尓せし/ミそき/ハうけ春もなり尓个ら/しも(付箋06
  も志らてよろつ尓いひさ者くすくなゝめりよく
0175【人すくなゝめり】−母詞
  さ(+る)へ可らむあ多りを堂つねていまゝいりハとゝめ
0176【いまゝいりは】−奉云人コト
  やむこと那き可らひハ佐うしみこそな尓こ
  とも(+
)ひら可におほさめよ可らぬとなりぬるあ
  堂りハわつらハしきこともありぬへしかくしひそ
0177【かくしひそめて】−宮隠衣
  めて佐るし堂まへなとおもひい多らぬこと那く
  いひをきて可しこにわつらひもおほつ可な
  しとて可へるをいとも者しくよろつ
0178【物おもはしく】−浮
  そ个れハあひミてもこそとも可くもなれと」(57オ・1905F)

 

  おもへハちのあしくる(+尓)もみ多てまつらぬ可いと
  越ほつ可なくおほえるを(+
とのイ、とのイ$)しハしもまいり
0179【まいりこまほしく】−母方ヘ也
  こ満本しくこそとし多ふさなむおもひれと
0180【さなむ】−母詞
  可志こもいとさハ可しくりこの人/\も者
0181【かしこも】−母方モイソカハシト也
0182
【人/\も】−常子共也
  かなきことなとえしやるましくせ者くな
  れハな堂个婦のこう尓うろ日とも
0183【たけふのこうに】−\<合点> イツクニアリ共参ント也
  しのひてハまいりきなむをなをゝ(ゝ$/\)しき
0184【なを/\しき身】−母ノヒケ詞
  のほとハ可ゝる多免こそいとおしく
  なとうちなきつゝのとのゝふミハ遣ふも
  ありなやましときこえ多り志をい可ゝとゝふら」(57ウ・1905L)

 

  ひへりつ可らとおもひるをわりなき佐者り
  おほくてなむこの本とのくらし可多さこそ中/\
  くるしくなとありハきのふの可へりもな可
  りしをい可尓おほし堂ゝよふそ可せのな
0185【かせのなひかむかたも】−\<合点>
  可む可多もうしろめ多くなむいとゝ本れまさ
  りてな可免る那とこれハおほく可きへり
  あめふりしきあひ多りしつ可ひともそ
  遣ふもき多り个る殿のみすいしん可のせふ可いゑ
0186【せふかいゑ】−式部少輔薫方ナカノフムコ
  尓て時/\みるをのこなれハまうとハな尓しにこゝ
  尓者堂ひ/\ハまいるそとゝふわ多くし尓とふら
  婦へきのもとにまうてくるなりといふわ多くしの」(58オ・1906D)

 

  尓やえんなるふミハさしとらするけしきある
  まうと可那可くしハなそといふまことはこの
  可うのふミハう尓堂てまつりといへは
0187【かうの君】−時方也
  こと堂可ひつゝあやしとおもへとこゝ尓てさ多め
  い者むもことやうなへ个れハをの/\まいりぬ可と/\
  しき尓てとも尓あるわらハをこの越のこ尓
  さりけなくてめつけよさいもの堂いふのいゑ尓や
0188【さいものたいふ】−時方コト
  いるとみせ个れハ尓まいりてしきふのせふ
  尓なふミはとらせりつるといふ佐まて多
  つねむものともおとりの遣すハおも者すことの
  をもふ可うしらさり个れハとねりのひとに」(58ウ・1906K)

 

  みあらハされ尓个んそくちおしきや殿尓まいりて
0189【殿】−薫
  いまいて者んとするほとにふミ多てまつらす
  なをし尓て六条きさいののいてさせ
  へるころなれハまいりり个れハこと/\しく
  こせんなとあま多もなしふミ万いらする
  あやしきことのりつるみ堂まへさ多めむと
  ていまゝて佐布らひつるといふをほのきゝてあ
  ゆミいてまゝ尓な尓ことそとゝひこの
  き可むもつゝましとおもひて可しこまりて越り
  殿もし可みしり堂ま日ていて日ぬれい」(59オ・1907C)
0190【宮】−明石

 

  ならすなやましけ尓おハすとてみや多ちも
  ミ那まいり堂まへり可む多ちめなとおほく
  まいりつと日て佐者可し个れとことなることも
  お者しまさす可のないきハくわんなれハ
  越くれてそまいれるこのふミも堂てまつる
  を堂い者ん尓おハしましてとくちに
  めしよせてとり大将まへの可多より多ち
  いてそハめ尓みと越してせちにもおほす
  へ可め累ふミのけしき可那とお可しさに多ち
  とまり多まへりひきあ个てみ多まふくれな
  ゐのうすやう尓こまや可尓可き堂るへしと」(59ウ・1907I)

 

  みゆふミ尓いれてとみ尓もむきハぬ尓とゝ
0191【おとゝ】−夕霧
  も堂ちてと佐ま尓お者すれハこのきミは佐
0192【とさま】−外也
  うしよりいてとておとゝいてとうちしわ
0193【うちしわふきて】−夕霧ノミ給ト薫也
  ふきておとろ可い堂てまつりひき可くし
  堂まへる尓そおとゝ佐しのそきへるお
  ろきて日もさしとの(+
つい)ゐてま可て
  ぬへししやけのひさしくおこらせ多まは
  さりつるをおそろしきわさなりやのさ
  す堂ゝいまさうしにつ可ハさんといそ可しけ
  尓て堂ちふ个てミ那いて日ぬおとゝ/ハ」(60オ・1908A)

 

  みやを佐き尓堂て/\まつり多まひてあま多
  のこともの可む多ち免きみ多ちをひきつゝけ
0194【ひきつゝけて】−夕ヘ也
  てあ那多尓わ多りぬこの殿ハをくれていて
0195【この殿】−薫
  堂まふすいしんけしき者みつるあやしと
  おほし个れハこせんなと越りてともす本と
  尓すいしんめしよすまうしつるハな尓ことそ
  とゝひけさ可の宇治尓いつものこんの可ミ可多
  のあそむのもとにるおとこのむら佐きのうす
  やう尓て佐くらにつ个堂るふミを尓しのつまと
  尓よりてハう尓とらせりつるみ多まへつけて」(60ウ・1908F)

 

  し可/\とひりつれハこと堂可へつゝそらことの
  やう尓申侍りつるをい可尓そとてわらハへ
  してみせ者へりつれハ兵部卿尓まいり
  りてしきふのせうみちさ多能あそむ尓なむ
  その可へりことハとらせり个るとすきみ
  あやしとおほしてその可へりハい可やう尓して
  可い堂しつるそれハみ多まへすこと可多よりい多
  しり尓个る下人申侍りつるハあ可きし
  きしのいときよらなると那む申侍りつるとき
  こゆおほしあハする尓堂可ふことなし佐まて」(61オ・1908L)
0196【さまてみせつらむを】−人ヲ付タルコト

 

  みせつらむを可と/\しとおほせと人/\ち可个れハ
  く者しくものハすみちす可らいとお
  ろしくゝま那くお者春るりやい可なり个む
  ついて尓さるありときゝ个むい可ていひより
  堂まひ个むゐひ多るあ多り尓て可うやう能
0197【かうやうのすち】−浮コト
  すちのまきれハえしもあらしとおもひ个るこそ
  おさ那个れさても志らぬあ多りにこそ佐累す
  きことをもの多ま者免む可しよりへ多てなくて
  あやしきまて志るへしてゐてありき多てまつ
  り志み尓しもうしろめ多くおほしよるへし」(61ウ・1909C)

 

  やとおもふ尓いとつきなし堂いの可多のことを/いミ
0198【たいの御かた】−中君
  しくつゝとしころすく春ハわ可をもさこ
  よな可り遣り佐るハそれ者いま者しめて佐まあし
  可るへきほと尓もあらすもとよりの堂より尓も
  よれるを多ゝのうちのくまあらん可わ可多め
  もくるし可るへき尓よりこそおもひ者ゝか累
  もこなるわさなり遣り(り$
連)このころ可くなやま
0199【なやましくしたまひて】−后宮コト
  しく志多まひてれいよりもしけき満きれ尓
  い可て者る/\と可きやりらむお者しやそめに
  遣むいと者る可なるけさうのみちなりやあや志
  くておハしところ堂つねられ給日もありとき」(62オ・1909J)

 

  こえき可しさやうのことにおほゝしみ多れてそ
  こ者可と那くなやミるへしむ可しをおほし
0200【なやみ給なる】−匂ノ然コト
  いつ累尓もえお者せさりしほとのな个きいと/\
0201【おはせさりしほとのなけき】−中君時ノコト
  本しけなりき可しとつく/\とおもふ尓のい多く
  もひ多る佐まなりしも可多者しえそ
0202【物おもひたるさま】−浮舟コト
  めてハよろつおほしあハする尓いとうしあり
0203【ありかたき物ハ人の心にもあるかな】−心ノヨキ人ハナキト也
  可多き尓もある可那らう堂个にお
  と可なりとはみえな可らいろめき堂累可多は
0204【いろめきたる】−色
  そひ多るそ可しこのく尓てハいとよき
0205【御くにてハ】−浮ハ匂ニ一具也似合タル也
  あ者ひなりとおもひもゆつりつへくのくち/\し」(62ウ・1910B)
0206【おもひも】−浮ヲ匂ニ也

 

  多まへとやむこと那くそ免者しめ(+尓)しらハ
0207【やむことなく思そめ】−本台ニハナキ程ニト也
  こそあらめなをさる尓て越き多らむいまハ
  とてみさらむハ多こ日し可るへしとひとわろく
  いろ/\のうち尓おほすわれすさましく
  なりてすて越き多らハ可ならす可の(+
の)よひ
  とり堂まひてむの多めのち能いとおしさを
  もことに堂とり堂まふましさやう尓おほす
  こそ一品宮可多尓人二三人まいらせ多ま
0208【一品宮の御かた】−浮ヲモ後ハ宮仕アラント也
  ひ多なれさていて堂ち多らむ越き可むいと
  おしくなとなをすて可多くけしきみま本/しくて」(63オ・1910H)

 

  ふミつ可者すれいのすいしんめしててつ可らひと
  ま尓めしよせ多りみちさ多のあそむハ
  のふ可いゑ尓や可よふさなるとすう地へハ
  つね尓やこのあり个む越のこハやるらむ可す可尓て
0209【かすかにてゐたる人】−浮コト
  ゐ多るれハみちさ多もおもひ可くらむ可しと
  うちうめき堂ま日て尓みえてをま可れ
  おこなりとの可しこまりてせうふ可つね尓こ
  のとのゝことあ那いし可しこのことゝひしもおも日
  あハすれとれて(+
も)えいてすもけす尓く
  者しくハ志らせしとおほせハと者せハす可しこにハ」(63ウ・1911@)

 

  つ可ひのれいよりしけき尓つ个てももふこと
  さ満/\なり堂ゝかくそのつ(つ=
へ)る
    なミこゆるころとも志らすゝゑのま徒
0210【なみこゆる】−薫
0211
【すゑのまつまつらむと】−\<合点>
  まつらむとのミおもひ个る可那尓わらハせ
0212【人にわらはせ】−匂ニ也
  堂まふなとあるをいとあやしとおもふ尓むね
  ふ堂可りぬ可へりことをえ可本尓きこえむも
  いとつゝましひ可こと尓てあらんもあやし个れハ
  ふミハもとのやうにしてところ堂可へのやう尓み
  えれハなむあやしくなやましくてな尓こと
  もと可きそへて堂てまつれつみてさす可に」(64オ・1911F)

 

  い堂くもし堂る可那可遣てみをよ者ぬ者へよと
0213【みをよはぬ心はへ】−浮ヲホムル心
  ほゝゑまれ多まふも尓くしとはえおほし者て
  ぬなめりま本ならねとほのめ可しへるけしきを
  可しこ尓者いとゝおもひそふつ井尓わ可
  けし可らすあやしくなりぬへきなめりといとゝ
  おもふところ尓右近きて殿ふミハなとて
  可へし堂てまつらせつるそゆゝしくいミ
  なをひ可ことのあるやう尓みえつれハところ
0214【ひかことのあるやうに】−浮詞
  堂可へ可とてとのあやしとみ个れハミち尓て
  あ遣てみ个るなり遣りよ可らすの右近可佐まや」(64ウ・1911L)

 

  なみつとハい者てあ那いとおしくるしきことゝ
  も尓こそ殿ハものゝけしきらむし多る
  へしといふ尓越もてさとあ可みてもの堂まハす
0215【をもてさとあかみて】−浮也
  ふミゝつらむとおも者ねハこと佐ま尓て可能けし
0216【ふミゝつらむと】−浮心
  きみるの可多り堂る尓こそハとおもふ尓多れ可
  さいふそなともえとひ堂ま者すこの人/\のミ
  おもふらむこともいミしく者つ可しわ可もてありそ
  めしことならねともうきすくせ可那とおもひいりて
  ね堂る尓志ゝうとふ多りして右近可あねのひ多
  ちも(も$
尓て)ふ多りみりしをほと/\尓つ个てハ多ゝ
  可くそ可しこれも可れもおとらぬさし尓ておもひ」(65オ・1912E)

 

  まとひてし本と尓ハいまの可多にいますこし
  よせまさりてそり个るそれ尓ね多ミてつゐ尓い
  まのをハころして志そ可し佐てわれもすミ
  すなり尓きく尓ゝもいミしきあ多らつひとり
  うしなひつま多このあやまち堂るもよきらう
  とうなれとかゝるあやまちし多るをい可て可ハつ可
  者んとてく尓のうちをも越い者らハれすへて
  堂い/\しきそとて堂ちのうち尓も越いへら
  さりし可ハあつまの尓なりてまゝもいま尓こひ
0217【まゝも】−浮ノメノト也
  なるはつミふ可くこそみ多まふれゆゝし
  きついてのやう尓れともかゝるすちのことハ」(65ウ・1912L)

 

  おほしみ堂るゝハいとあしきわさないのちま
  て尓ハあらすとも本と/\尓つ个てハへること
  なりしぬる尓ま佐る者ちなることもよき
  御身尓ハ中/\侍りひと可多尓おほしさ多め
  てよ御心さしまさりてまめや可尓堂尓きこ
  え佐せ多ま者ゝそな多佐ま尓もなひ可せ
  ない多くな遣可せ多まひそやせおとろへさせ
  もいとやくなしさ者可りうへのおもひい多つきゝこ
  え佐せ堂まふをまゝ可このいそき尓をい
  れてまとひゐてる尓つ遣てもそれよりこ那多
0218【それよりこなた】−匂ヘト也
  尓ときこえさせ給御ことこそいとくるしくいと」(66オ・1913D)

 

  おし遣れといふ尓いまひとりう多ておそろしき
0219【いまひとり】−侍従
  まてなきこえ佐せそな尓こともすくせ
  尓こそあらめ堂ゝ御心のうちにすこしおほしな
  ひ可む可多をさるへき尓おほしならせへいてや
  いと可多しけなくいミしき个しきなりし可ハ
0220【御けしき】−匂コト
  の可くおほしいそくめりし可多尓も御心
  よらすし者しハ可くろへてももひのまさ
  らせ多ま者む尓よらせねとそおもひ
  ると越いミしくめてきこゆるれハひ多
  みち尓いふいさや右近ハとても可くてもこと那く
  すくさせ堂まへと者つせいしやまなとにくわん」(66ウ・1913K)

 

  をなむ多て者へるこの大将殿さうのひと日とゝ
  い布もの者いミしきふ多うのとも尓てひとるいこの
  さとにみちてるなりおほ可多このしろやまとに
  とのゝし堂まふ所/\むミ那このうとねり
0221【うとねり】−侍也
  といふのゆ可り可遣つるそれ可むこの右近
  堂いうといふをもとゝしてよろつのことをゝきて
0222【もとゝして】−素ノコト
  おほせられ多るなゝりよき御中とちハな佐个
  なきことしいてよとおほさすともえぬゐ
  とものとの井尓て可者り/\さふらへハ越の可者ん
  尓あ多りていさゝ可なることもあらせしなとあやま/ちも」(67オ・1914C)

 

  しりなむありしよのありきはいとこそむく
  つ遣くおもふ多まへられし可ハわりなくつゝませ
  堂まふとてとものもゐておハしまさすや
  つれてのミお者しますを佐るのみつ遣堂てまつ
  り多らむハいといミしくなむといひつゝくるをきミ
  なを王れをよせ多てまつり多ると日て
  この人/\のいふいと者つ可しくち尓ハいつれと
  もおも者す多ゝゆ免のやう尓あきれていミしくい
0223【いられたまふ】−匂コトヨリ心イラ/\シト也
  られ堂まふをハなと可くしもと者可りおもへと多
  のミきこえてとしころ尓なりぬるをいま者と」(67ウ・1914I)
0224【人】−薫

 

  もてハなれむとおも者ぬ尓よりこそ可くいミしと
  ミ多るれ遣尓よ可らぬこともいてき多らむ
  とつく/\とおもひゐ多りまろハい可てしなハやよ
  徒可すう可り个る可那可くうきことある堂め
  しハ遣すなとの尓多尓ほくやハあ那ると
  てうつふし/\堂まへハ可くなほしめしそや
  すら可におほしなせとてこそきこえ佐せ
  おほしぬへきことをも佐らぬ可お尓のミのと可に
  みえ佐せ堂まへるをこのことのゝちいミしく
  いられをせ佐せへハいとあやしくな多て
  まつるとしり多る可きりハミ那可くおもひミ」(68オ・1915B)

 

  多れさわく尓めのと越の可をやりてそめいと
0225【めのとをのか心をやりて】−ナニモシラヌ也
  なみゐ多りいまゝいりわらハなとのめやすきを
  よひとりつゝかゝる人御らむせよあやしくてのみ
  布させへるはの遣なと能さま多个きこえ
  さ勢んとする尓こそとな遣くとのよりハかの
  里し返事越多(多=
タ)尓の多ま者(者=ハ)てころへぬこ能おと
  志ゝうとねりといふそき多るけ尓いと阿ら/\しく
  婦つゝかなる佐まし多るおきなのこゑ可れさす可尓遣
  しきある女房とりさんとい者せ多れ盤右近
  しもあひ多り殿めし志可者けさまいり
  堂ゝいまなんま可り可へりハんへりつるさうしとも」(68ウ・1915I)

 

  羅れつるついて尓かくてお者しま須本と尓夜中あ可
  のな尓可しら可くてハ(ハ$
さふらふ)とおも本してとのいわさと
  さし堂てまつらせ
給事なき越このころきこし
  めせは女房もと尓しらぬところの可よふ
  やう尓なんきこし免須ある堂い/\しき
  なりとのい尓ハ(ハ$
さふらふ)とも者そのあんないきゝ堂らん/しらて
  者い可ゝ佐ふら婦へきとと者せへる尓う遣者らぬ
  なれ盤な尓可しハのやまひおもくてとのゐ
  つ可うまつるころおこ多りて者あんないも
  し里者んへら須さるへきおのことも者遣多いなく
  もよ越しらせをさのことき日しやうのこと能
0226【ひしやう】−非常
  者無越はい可て可うけ者らぬやうハらんと/なん」(69オ・1916D)

 

  させつるよういしてへひんなき
  あらはおもく可ん多うせし免へきよしなん
  事侍つれ盤い可なるおほせ尓可とおそれ
  者んへ累といふ越きく尓婦くろう(う=
ふ)能な可んよりも
  いとそろし伊て(て
らへ)もやらて佐りやきゝこえさせ
  し尓多可者(者=
者)ぬとも越きこしめ勢の遣しき
  らんし多るな免りせうそこもらぬよと
  な遣く免のとはほのうちきゝていとうれしく
  おほせられ多りぬ春ほ可んなるわ多り尓との
  井者し免のやう尓もあらすみ那の可者
0227【身のかはりに】−代官コト
  里所といひつゝあやしきす越のミまいらすれ/者」(69ウ・1916J)

 

  夜行お堂尓えせぬ尓とよろこふきみ者け尓
0228【夜行】−キ
  堂ゝいまいと阿しくなりぬへきな免りとお
  す尓よりはい可尓/\とこけのミ多るゝわりなさお
0229【こけのみたるゝわりなさ】−\<合点>尓あハむそのをいつと/のの/こけのミ多れてをこそ/おもへ(付箋07
  の多まふいとわつら者しくてなんとても可くても悲と
  か多/\尓つ遣ていとう多てあるハいてきなん
  日とつのなくなりなんのミこそめや須可ら免む可
  しはさうするのありまのいつれとな
  王つらひて多尓こそ越なくる堂免しもあり遣
  れな可らへ盤可なら須うき事見えぬへきのなく
  ならんハな尓可おし可るへきおやもし者新こそな
  遣きまとひ者免あま多のこともあつ可ひ尓お
  のつ可らわ春れくさつみてんありな可らもてそこなひ」(70オ・1917D)

 

  わらひ(ひ$へ)なる佐ま尓てさすらへむ者まさ累
  もひなるへしなとおもひなるこめきおほと
  か尓多越/\とみゆれと遣多可うのあり佐ま越も
  志る可多すくなくておほし多て堂る(な
)しあれ者
0230【おほし】−生
  すこし多(多$)す可るへきこと越よるなり遣む可しむつ
0231【おすかる】−ヲソロシキコト
  可しきほく(く=こ)なとやりておとろ/\しく日と多ひ尓
  も志多ゝ免須とう多いの尓やきな遣い
  れさせなとやう/\うしなしらぬこ多ち者
  へ王多りへ遣れハつれ/\な月日越へて者可那(那=
ナ)
  くしあつめへるてならひなと越やりなめ
  里とおもふ志ゝうなとそつくる者なと可くは」(70ウ・1917K)

 

  せさせあ者れな御中とゝめて可き可者
  しへるふミは尓こそみせさ勢堂ま者さら
  免の所こ尓お可せて佐らむするなん本と/\ニ
  つ遣てハいと阿者れ尓る佐者可りめて多き可ミつ
  かひか多しけなことのハをつくさせ多まへる越
  可くのミやらせさけなきことゝいふな尓可むつ可し/く
  な可ゝ累ましきみ尓こそあめれおちとゝまりて
  堂めもいと越し可らむさ可しら尓これおとり越き个
  累よなともりきゝ堂ま者んこそ者つ可し遣れな
  との給心本そきこと越日もてゆく尓ハえおもひ
  堂つましきわさなり遣りおやをゝきてなくな累
  者いとつミ布可ゝなる越なと佐春可尓ほの」(71オ・1918E)

 

  きゝ多ること越も者つ可あまり尓なりぬ可の
  いゑあるし廿八日く多るへしはそのよ可なら須む可
  へむしもとによく遣しきゆましきつ可
  ひしへこ那堂さまよりハゆ免尓もきこえある
  ましう多可ひゝとのさてあるましき佐ま尓
  てお者し多らむ尓いまひと多ひをもミきこえすお
  つ可なくて可へし堂て万つらむことよ又時のま尓てもい可て可
  こゝ尓はよせ多て万つらむとする可ひなくうらみてかへり
  者んさまなと越日や累尓れいのも可遣者な
  れ春堂えす可那しくてこのふミお可本尓越しあて
  てし者志ハつゝめともいといみしくなき給右近」(71ウ・1918L)

 

  あ可きミ可ゝ累遣しきつゐ尓人見多てまつり徒
  遍しやう/\あやしなと思人侍へ可めり可う可ゝつらひ
  おも本さて佐るへき佐ま尓きこえ佐せてよ右近侍
  者おほ遣なきことも堂者可りい多しらはか者可
  里ちゐさき御身日とつハそらより井て多てまつらせ
  むといふと者可り堂免らひて可くのミいふこそいと
0232【とはかりためらひて】−浮詞
  遣れさもありぬへきことゝおもひ可遣は古そあら免
  あるましきことゝみ那おもひとる尓わりなく可くの
  み堂のミ多るやう尓へハい可なること越しいて堂ま
  者むとする尓可なとおもふ尓つ遣てみのいとうきな
  里とてこともきこえ者須りぬ可くのミう遣」(72オ・1919E)

 

  日く遣しきもなくて可へりことさへ堂え/\尓なるハ
  かの日とのあるへきさま尓い日し多ゝめてすこし
0233【かのひと】−薫
  す可るへき可多尓おもひさ多まりぬるな免りこと者りと
  おほゆ(ゆ$
す)可らいとくちおしくね多くさりともわれお
  者あら(ら=
者)れと日多りしをあひぬと多え尓人/\
  いひしらする可堂尓よるならむ可しなとな可免
  ゆく可多しら須むなしきそら尓みちぬるちしへハ
0234【ゆくかたしらすむなしきそらにみちぬる心ち】−\<合点>王可ハむなしき尓ミち/ぬらし/おもひや連とも可多もな(付箋08
  れいのいみしくおほし堂ちてお者しましぬあし
  かきの可多越る尓れいならすあれハ多そといふこゑ/\
  いさとけなり多ちのきてしりの越のこ越いれた多れハ」(72ウ・1919L)

 

  それをさへとふ佐き/\の遣者ひ尓も尓すわつら
  者しくてよりとみのふミあるなりといふ右近ハ(ハ=
カ)
  すさのな越よ日てあ日多りいとわつら者しくいとゝ
  おほゆさらにこよひハふようなりいミしく可多し遣
  なきことゝい者せ多りなと可くもて者那るらむと
  おほ春尓わ里なくてまつ可多いりて志ゝう尓あひ
  て佐るへきさま尓堂者可れとてつ可者す可と/\しき
  尓てと可くいひ可まえて堂つてあひ多りい可な
  耳可あらむ可の殿のゝ多ま者することありとてとの井尓
  あるとものさ可し可り多ち多るころ尓ていとわりなき
  なりおまへ尓もをのミいみしくおほし多めるは可ゝる」(73オ・1920E)
0235【おまへにも】−浮コト

 

  こと能可多し遣なきをおほしみ多るゝにこそと
0236【かたしけなきを】−難ノ心
  くるしくな多てまつる佐らにこよひハ遣しき
  見侍りな中/\尓いとあし可りなんや可てさも御心つ可
0237【御心つかひ】−匂方ヘ浮ヲ向ヘントコト
  ひせさせ日つ遍可らむこゝ(ゝ=と)尓もしれ春日可
  まへてなむきこえさすへ可める免のとのいさとき
  なともか多る堂いふお者しますみちのお本ろ遣なら須
  あ那可ちなる遣しき尓あへなくきこえ佐せむ
  なむ堂い/\しきさらはいさへとも尓く者しく
  きこえ佐せへといさ那ふいとわりな可らむとい日し
  ろふ本と尓よもい多くふ遣ゆくむま尓て」(73ウ・1920L)

 

  すこしと越く堂ち多まへる尓さとひ多るこゑし
  多るいぬとものいてきてのゝ志るもいとおそろしく
  日とす具な尓いとあやしきありきなれは
  すゝろならむの者し里いてき多らむもい可さま尓
  とさ布ら婦可きりをそまと者し遣るとく/\/ま
  いりなむといひさわ可してこの志ゝう越井て万いる可み
  わきより可い多(多$
△、△#こ)してやう多いゝとお可しきなりむま
  尓のせむとすれと佐ら尓き可ね盤きぬのすそ越とりて
  多ちそ日てゆくわ可くつを者可せてつ可らはともな
  累のあやしき越者き堂り万いりて可くなん/と」(74オ・1921E)

 

  きこゆれハ可多らひ堂まふへきやう多尓な遣れハ
  可つ可きねのおとろむくらの可遣尓あふりとい
  ふをしきておろし多て万つるわ可御心ち尓も
  あやしきあり佐ま可な可ゝ累みち尓そこな者れて
  者可/\しくハえあるましきなめりとおほしつゝ
  くる尓なきこと可きりなしよ者きハましていと
  いみしく可なしとみ多てまつるい見しきあ多越ゝ
  尓ゝつくり多りとも越ろ可尓み春つましきあり
  佐まなり堂めらひて堂ゝ日とこともえきこ江さす
0238【ひとこと】−一言
  ましき可い可なれハいまさら尓可ゝるそなを人/\の」(74ウ・1921K)

 

  い日なし多るやうあるへしとのあり佐まく者
  しくきこえてや可てさおほしめさむ越可ねて
  者ちるましき佐ま尓堂者可らせ堂まへかくか多
  し遣なきことゝも多てまつれハ
  すてゝももふ堂まへ多者可りらむときこゆ
  もめをいミしくおほせハ日と可多尓うらみ多ま
  者むやうもなしよはい多くふ遣ゆく尓このと可
  免するいぬ能こゑ多えす人/\越ひさけなとする尓
  ゆミ日きならしあやしき越のことものこゑとも
  してあや布(布$
う)しなといふもいとあわ多ゝし/遣れハ」(75オ・1922D)

 

  かへり堂まふほといへハさらなり
    いつく尓可みをはすてむと志らくも可ゝら
  ぬもなく/\そゆく佐らは者やとてこの
  可へし給御遣しきな万め可しくあ者れ尓ふ可き
  徒ゆ尓しめり多るか本(本$
)の可う者しさなと多とへ
  む可多なしなく/\そ可へりき堂る右近ハい日き
  里つるよしい日井多る尓きミはいよ/\おもひみ
  多るゝことおほくてふし堂まへる尓いりきてあり
0239【いりきて】−侍従也
  つる佐ま可多る尓いらへもせねとまくらのやう/\う
  きぬるを可つ者い可尓みるらむとつゝましつとめても」(75ウ・1922J)

 

  あやし可らむ万みをおもへハむこ尓ふし多り
0240【むこに】−無期
  者可那遣尓越ひ(+うち可け)なとしてよむおや尓さき
  堂ちなむつミうしなひ堂まへとのミおもふあ
  里しゑ越とりいてゝみて可きしてつき可本の尓
  本ひなと能む可ひきこえ多らむやう尓ほゆれハ
  よへ日とこと越堂尓きこえすなり尓しハいま
  ひとへ万さりていみしとおもふ可ののと可なる佐ま
0241【心のとかなるさま】−薫コト
  尓てみむとゆくすゑと越可るへきことをの日わ
  堂る日ともい可ゝおほさむといと越しうきさ
  ま尓いひなあらむこそおもひやり者つ」(76オ・1923B)

 

  かし遣れとあさく遣し可らす日とわらへ
  ならんをき可れ多てまつらむよりハな日つゝ
0242【思ひつゝけて】−薫ハヽツカシト也
  遣て
    な遣きわひみをはすつともなき
  かけ尓うきなゝかさむこと越こそおもへ
  おやもいとこ日しくれい者ことにおもひいてぬ
  者ら可ら能み尓くや可なるもこ日しのうへ越
0243【宮のうへ】−中君
  日いてきこゆる尓もすへてい万日と多ひゆ可
  しきほ可りハみ那越の/\そ免
  いそきな尓や可やといへとみゝ尓もいらすよると」(76ウ・1923G)

 

  なれ盤日と尓つ遣られすいてゝゆくへき
  をまう遣つゝねられぬまゝ尓ちもあしく
  み那堂可ひ尓多りあ个多てハ可者能可多を
  やりつゝつしのあゆみよりほとな
0244【ひつしのあゆみより】−\<合点>
  すハいみしきことゝもをのへりいまさら
0245【宮】−匂
  尓むとおもへハこの御返事越多尓
  まゝ尓も可ゝす
    可らを多尓うき尓とゝ免すは
0246【からをたに】−浮
  いつこ越者可ときみもうらみむとのみ可きて」(77オ・1923M)

 

  い堂しつ可のとの尓もいま者能遣しき
  多てまつら万本し遣れとゝころところ尓可きお
  きて者なれぬ御中れ盤つい尓きゝあ者せ者ん
  こといとう可るへしすへてい可尓なりけむと(と+
尓もおほつ可なくてやミなんと)おもひ
  可へすより者ゝ能ふミもてき多りねぬる
0247【ねぬる夜のゆめに】−文
  のゆ免尓いとさ者可しくてみ多まひつれハす
  ところ/\せさ勢なとしるをや可てそのゆ免
  のゝちねられさりつるけ尓や堂ゝいまひるねして
  るゆ免尓のいむといふことなんえ多まひ
0248【いむといふこと】−葬礼
  つれ盤おとろきな可ら多てまつるよくつゝし/ませへ」(77ウ・1924E)

 

  日と者那連多るすま井尓て時/\多ちよらせ
0249【時/\たちよらせ給人】−薫也
  給人ゆ可りもいと越そろしくなやまし
0250【御ゆかりも】−女二ノ御念モアラント也
  遣尓させ堂まふおりしもゆ免の可ゝ累越
  よろつむおもふふるまいりこ満本し
  き越少将の可多のいともと那遣尓の遣多ち
0251【少将のかたの猶いと心もとなけに】−難産ト也
  てなやみれハ可多も堂ちさることゝいみし
  くい者れり(り=
リ)てなむそのち可きてら尓もみ
  すせさ勢堂まへとてそのれうのふミなと
  かきそへてもてき多り可きりとおもふいのち
  のほと越しらて可くいひつゝ遣多まへるもいと可/なしと」(78オ・1924J)

 

  おもふてらへや里多るほと可へりこと可く
  い者ま本しきことおほ可れとつゝましくて/多ゝ
    のち尓あひみむことをおも者な
0252【のちに又】−浮
  こののゆめ尓万と者てすの可ねの可せ
  つ遣てきこえくる越つく/\ときゝ布し
    かねのおとの堂ゆる日ゝき尓ね越そへて
0253【かねのおとの】−同
  わ可きぬときみ尓多へよもてき多る尓
0254【もてきたるに】−巻数
  かきつ遣てこよひハえ可へるましといへハ
  ゆひつ遣て越きつめ能とあやしく」(78ウ・1925C)

 

  者しり能する可那ゆめもさは可しと能
0255【心はしり】−胸ハシリナノ心
  者せ多りつとの井よく佐ふらへとい者する
  越くるしときゝ婦しへりきこしめさぬ
  いとあ(+
や)しゆつ遣なとよろついふを佐可し
  かるめれといとみ尓くゝおいなりてわれなくは
0256【われなくは】−浮心
  いつく尓可あらむとおもひや里堂まふもいと
  あ者れなりえあり者つましき
  佐まをほのめ可してい者むなとおほ春尓
  まつとろ可されてさき多つミ多越つゝミ
  もい者れす右近ほとち可くふすとて」(79オ・1925H)

 

  かくのミをおも本せハもふの堂まし
  井盤あく可るなるも能なれハゆめもさは可し
  きならむ可しいつ可多とおほしさ多まりてい可尓
  も/\お者しまさなむとうちな遣くな
  多るきぬを可を尓越しあてゝ婦し堂まへり
  となむ」(79ウ・1925K)

 

(白紙)」(80オ)

(白紙)」(80ウ)

 

【奥入01道口律
【奥入02大国尓ハ以羊為食物女馬牛飼置矣
    臨食物相具屠所歩行也随歩死期近
    以之世間人女相待無常喩之
    経云歩々近死地人命亦女是

    遣ふも又午の可ひをそふき徒なる
     ひつしのあゆミち可つきぬらむ」(81オ)

 

【奥入03遣さうするのありさ万のいへれうな
     や万ともの可多り在万葉集
      をとめ徒可の事也」(81ウ)