First updated 04/02/2018
Last updated 06/24/2024
渋谷栄一翻字(C)
「早蕨」
【凡例】
1.『定家本源氏物語 行幸・早蕨』(八木書店 2018年1月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.行頭に同じ文字が並ぶ場合に、異なる字母は茶色で、また同じ字母は緑色で表示した。
\や布し王可ね者春のひ可りをみ堂まふ尓つ
01 日のひ可りやふしわ可ねハいそ2の神/布り尓しさと尓花もさき个り(付箋@)
遣てもい可て可くな2可らへる尓个る月日な2らむと2ゆ
めのやう尓のミお1ほえ給ゆき可ふ時/\尓し多可ひ
者那と2りの1いろをもねをも1お1な2し心尓お1きふ
しみつゝ者可那きこ2とをもゝと2す衛をとりていひ
可者し心本そ2き世のう佐もつ1らさもうち可多ら日
あ者せきこえしにこそ2な2くさむ可多もありし可
お1可しきこ2とあ者れな2るふしをもきゝしる人も1
な2き満ゝ尓よろつ1可きくらし心ひとつをく多き/て」(1オ)
宮のお1者しまさすな2り尓し可那志さよりもやゝ
うちま佐りてこひしくわ日しき尓い可尓せむと2
あ个くるゝも志らすまと者れ多まへと世尓と
まるへき本と者可きりあるわさな2り个れ盤志
な2れぬもあ佐ましあさりのもとよりと2しあら
堂まりてハな2尓事可お1者しますら2む御いのりハ
多ゆみな2くつ可うまつり侍りいまはひとゝころの1
御こ2とをな2むやす可ら2すねむしきこえ佐するな2と
きこえてわらひつく/\しお1可しきこ尓いれて」(1ウ)
これ盤王らハへのくやうして侍る者徒をな2り
と2て堂てまつれりてハいとあしうてう多は
わさと可満しくひき者那ちてそ2可き多る
きみ尓とてあま多の春をつ1みし可は
つねをわ春れぬ者つわらひな2り
御前尓よみ申さしめ多まへとあり堂いしと思
ま者してよみい多しつ1らむと2お1ほせハう多の
心者へもいとあ者れ尓てな2をさり尓佐しもお1ほ
さぬな2めりとみゆるこ2との者をめて多くこの1」(2オ)
ましけ尓かきつくし多まへる人の御ふみよりは
こよ那くめと2まりてなミ多もこ本るれ盤返
事可ゝせ給
この者るは堂れ尓可見せむな2き人の
可多み尓つ1めるミねのさわら2ひ
徒可ひにろくと2らせさせ給いとさ可りにゝほ日
お1ほくお1者する人のさ満/\の御物お1もひ尓
すこしうちお1もやせ多まへるいとあてにな2
まめ可しきけしきまさりてむ可し人尓も」(2ウ)
お1ほえ給へりな2らひ多まへりしお1リハと2り/\尓
てさら2にゝ多まへりと2もみえ佐りしをうち
王すれてハふとそ2れ可とお1ほゆるまて可よひ
多まへるを中納言殿の可らを堂尓とゝめて
み堂てまつる物な2らまし可ハと2あさゆふ尓こ日
きこえ給める尓お1なしくハみえ多てまつり給
御すくせな2らさり个むよと見多てまつる人/\ハ
くちお1しかる可の御あ多りの人の可よひくる
堂よりに御ありさ満ハ多えすきゝか者し多
まひ个り」(3オ)
つきせすお1もひ本れ多まひてあ多ら2しき
と2しともい者すいやめ尓な2むなり多まへると
きゝ給てもけ尓うちつ遣の1心あさゝ尓者物し
多ま者佐り个りといとゝいまそ2あ者れもふ可く
お1もひしらるゝ宮ハお1者しますこ2とのいとゝこ
ろせくあり可多个れ盤京尓わ多しきこえむと
お1ほし多ち尓多りな2いえんな2と物さ者可しき
ころすくして中納言の君心尓あまるこ2とをも
ま多ゝれ尓可ハ可多ら2(+者)むとお1ほし王ひて兵部」(3ウ)
卿の宮の1御可多尓まいり多まへりしめや可な2る
ゆふくれな2れハ宮うちな2可免多まひて者し
ち可くそ2お1者しまし个る佐うの御こ2と可きな2ら
しつゝれいの御心よせな2るむ免の可をめてお1
者するしつえをゝしお1りてまいり給へる尓本
ひのいとえん尓めて多きをお1りお1可しうお1ほして
お1累人の心尓可よふ者那ゝれや
いろ尓者いてすし堂尓ゝ本へる
と2の多まへハ
みる人尓かこ2とよせ个る花のえを」(4オ)
心してこそ2お1るへ可り个れ
王つら2ハしくと堂者ふれ可者し堂まへるいと2
よき御あ(+者)ひな2りこまやかな2る御物可多りと2も
尓な2りてハ可能山さとの御こ2と越そ2まつは
い可尓と宮ハきこえ給中納言もすき尓し
可多のあ可す可な2しきこ2とそ2の可みよりけふま
てお1もひの堂えぬよしお1り/\尓つけてあ者れ
尓もお1可しくもな2きみわらひみと2可いふらむ
やう尓きこえいて給尓まして佐者可りいろめ
可しくな2み多もろな2る御くせは御うへ」(4ウ)
尓てさへそ2てもし本る者可り尓な2りて可ゐ/\
しくそ2あひしらひきこえ給めるそ2らのけし
きも又个尓そ2あ者れしリかほ尓可すミ
わ多れる夜る尓な2りて者けしうふきいつ1る
可勢の个しきま多ふゆめきていとさむけ尓
お1ほとな2ふら2もきえつゝやみ者あやな2き多と/\
しさなれとか多み尓きゝ佐し多まふへくも
あらすつきせぬ御物可多りをえはるけやり
堂ま者て夜もい多うふ个ぬ世尓多めし」(5オ)
あり可多かり个る中のむつひをいてさりともいと
さのみ者あらさり个むとのこりあり遣尓と2ひ
な2し堂まふそ2わりな2き御心な2ら2ひな2める可
しさりな2可らも物尓心え多まひてな个か
志き心のうちも1あきらむ者可り可つ者な2く
さめま多あ者れをもさまし佐ま/\尓可多ら
ひ多まふ御さまのお1可しき尓す可され堂て
まつりて个尓心尓あまるまてお1もひむす本ゝ
るゝこ2とゝもすこしつゝか多りきこえ給そ2こ
よ那くむねのひまあく心ちし多まふ宮も」(5ウ)
可能人ち可くわ多しきこえてむとするほとの1
こ2とゝもか多ら2ひきこえ給をいとうれしきこ2と
尓も侍可那あいな2く身つ可ら2のあやまちとな2む
お1もふ多まへらるゝあ可ぬむ可しのな2こりをま多
堂つぬへき可多も侍ら2ねハお1ほ可多尓者な尓こ
と2尓つ个ても心よせきこゆへき人と2な2むお1もふ
堂まふるをもしひな2くやお1ほしめさるへき
とて可のこ2と人と2な2お1もひ王きそ2とゆつり給
し心をきてをもすこしハ可多りきこえ給へと
\い者せのもり能よふこと2りめい多りしよのこ2とは」(6オ)
のこし堂り遣り心のうち尓者可くなくさめ可多
き可多み尓も个尓佐てこそ2可やう尓もあつ可ひ
きこゆへ可り个れと2くやしきこ2とやう/\まさ
りゆ个と2(□&と2)いま者可ひな2き物ゆへつね尓かうのみ
お1も者ゝある満しき心もこそ2いてくれ多可堂
め尓もあちきな2くお1こ可ましから2むと思者な2る
さてもお1ハしまさん尓つけてもまこ2とにお1もひう
しろみきこえん可多はま多ゝれ可者と2お1ほせハ
御王多りのこ2とゝもゝ心まうけせさせ給かしこ
尓もよきわ可人王らハな2ともとめて人/\ハ」(6ウ)
心ゆき可本尓いそ2きお1もひ多れといま者とて
このふしみをあらし者てむもいミしく心ほそ2
个れ盤な2个可れ給こ2とつきせぬをさりとても1
又せめて心こ者く堂えこもりても堂个可る
ましくあさ可ら2ぬ中のちきりも多え者てぬへ
き御す(+ま)ゐをい可尓お1ほしえ多るそ2とのみうら
みきこえ給もすこしハこ2と者りな2れハい可ゝすへ
可らむと2お1もひみ多れ多まへりき佐ら2きのつい
多ちころとあれ盤ほとち可くなるまゝに者那/の」(7オ)
木ともの遣しき者むものこりゆ可しくみねの
可すミの1\堂つ1をみすてむこ2ともお1の可と2こよ
尓て堂尓あらぬ多ひね尓てい可尓者し多な2く
人王ら者れな2るこ2ともこそ2な2とよろつ尓つ1ゝ
ましく心ひとつ尓お1もひあ可しくら志多まふ御ふ
くも可きりあるこ2とな2れ盤ぬきすて多まふ尓
みそ2きもあさき心ちそ2するお1やひとゝころ者
見多てまつらさりし可ハこひしきこ2とはお1も本えす
そ2の御可者り尓もこの多ひの衣をふ可くそ2めむと」(7ウ)
心尓者お1ほしの多まへと佐す可にさるゆ(ゆ$)へきゆ
へもなき王さな2れ盤あ可す可な2しきこ2とか
きりなし中納言と2のより御くるま人/\
者可せな2と堂て(□&て)まつれ多まへり
者可なしやかすみのころも堂ちしまに
02 春霞多徒を見すてゝゆく可りハ/花な2き佐と尓す見やな2ら2へる(付箋A)
花のひもとくお1りもき尓个り
遣尓いろ/\いときよら2尓て堂てまつれ多
まへり御王多りの本との可つけものともなと
こ2と/\し可ら2ぬ物可らしな2/\尓こまや可尓」(8オ)
お1ほしやリつゝいとお1ほ可りお1り尓つ个てハわす
れぬさまな2る御心よせのあり可多く者ら可ら
な2ともえいとかうまてハお1者せぬわさそ2な2と
人/\ハきこえ志らすあさや可な2ら2ぬふる人とも
の心尓者かゝるか多を心尓しめてきこゆわ可き
人者時(□&時)/\もみ多てまつりな2ら2ひていまはと2こ
と2佐ま尓な2り多ま者むを佐う/\しくい可尓こ
ひ(□&ひ)しくお1ほえさせ多ま者んときこえあへり
身つ可ら2ハわ多り給者むこ2とあすとてのま多」(8ウ)
つとめてお1者し多りれいのまらうとゐの可多尓
お1者する尓つ遣てもいまはやう/\物な2れて
われこそ2人より佐き尓かうやう尓もお1もひ
そ2めし可な2とありしさ満の多まひし心者へ
を思いてつ1ゝさす可尓かけ者な2れこ2とのほ可に
な2とは者し多な免多ま者佐りしをわ可
心もてあやしうもへ堂ゝり尓し可那とむね
い多くお1もひつゝ遣ら2れ給可い者みせし
さうしのあ那も思いてらるれハより(+て)見多まへ/と」(9オ)
この中をはお1ろしこめ堂れ盤いと可ひな2し
うち尓も人/\お1もひいてきこえつゝうちひそ2
みあへり中の宮ハましてもよを佐るゝ御な2み
堂の可者尓あすの王多りも1お1ほえ給ハす
本れ/\しけ尓てな2可免ふし多まへる尓つきこ
ろのつもりもそ2こ者可とな2个れといふせく思
堂まへらるゝを可多者しもあきらめきこえ
させてな2く佐め侍ら者やれいの者し多な2く
な2佐し者な2多せ多まひそ2いとゝあらぬ世の」(9ウ)
心ちし侍りときこえ給へれ者ゝ志多な2し
お1も者れ多てまつらむと2しもお1も者ねとい(+さ)や心
ちもれいのやう尓もお1ほえす可きみ多りつゝいとゝ
者可/\し可らぬひ可こ2ともやと2つゝましうてな2と
くるし遣尓お1ほい多れといとお1しな2とこれ可
れきこえて中のさうしのくち尓て堂いめんし
多まへりいと心者つ可しけ尓な2まめきてま多
この堂ひ者ね日まさり多まひ尓个りと2め
もお1とろくまて尓本日お1ほく人尓も尓ぬ
ようゐな2とあ那めて多の人やとのみゝえ」(10オ)
堂まへるをひめ宮ハお1も可けさら2ぬ人の御こ2と
を佐へお1もひいてきこえ給尓いとあ者れとみ多
てまつり給つきせぬ御もの可多りな2ともけふ者
こ2といみすへくやな2といひさしつゝわ多ら2せ給へき
と2ころち可くこのころすくしてう徒ろ日侍へけ
れ者よ中あ可月とつき/\しき人のいひ侍める
な2尓こ2とのをり尓もうと可ら2すお1ほしの多まハ
せは世尓侍らむ可きりハきこえ佐せう遣給
者りてすくさ満本しくな2ん侍るをい可ゝハお1本」(10ウ)
しめすら2む人の心さ満/\尓世な2れハあいな2
くやな2とひと可多尓もえこそ2お1もひ侍ら2ねと
きこえ給へハやと2をは可れしと思心ふ可く者へるを
ち可くな2との多ま者する尓つ遣てもよろつ尓み多
れ侍りてきこえ佐せやるへき可多もなくな2と所/\
い日遣ちていミしく物あ者れとお1もひ堂まへるけ
者ひな2といとようお1ほえ多まへるを心可らよそ2
の物尓みな2しつ1るといとくやしくお1もひゐ多まへ
れとかひな2个れ盤そ2のよのこ2とか个てもい者すわ
すれ尓个る尓やとみゆるまてけさや可尓もてな2し」(11オ)
堂まへり御まへち可きこう者いのいろもかも1な2つ
可しき尓うくひす多尓み春くし可多け尓うち
なきて王多るめれ盤まして\者るやむ可しのと心を
03 月やあらぬ春やむ可しの春な2ら2ぬ/わ可身飛とつハもとの身尓して(付箋B・9ウ3に誤貼付)
まと者し堂まふとちの御(□&御)もの可多りにお1りあハれ
な2り可し可せのさとふきいるゝ尓者那の可もまら
うと2の御尓本日も多ち花な2ら2ねとむ可しお1もひ
いてらるゝつまな2りつれ/\のまきら2ハし尓も世の
うきな2くさめ尓も心とゝめてもてあそ2ひ多まひ
し物をなと心尓あまり多まへハ
みる人もあらしにまよふ山さとに」(11ウ)
む可しお1ほゆる花の可そ2す累 い(□&い)ふと2てな2くほ
の可尓て堂え/\きこえ多るをなつ可しけ尓うち
すんしな2して
そ2てふれしむ免者可者ら2ぬ尓本日尓て
ねこ免うつ1ろふやとやこ2と那る 堂えぬな2み
堂を佐まよくのこひ可くしてこ2とお1ほくもあ
らすま多も猶可やう尓てな2むな尓こ2ともきこ
えさせよ可るへきな2ときこえをきて堂ち給ぬ
御わ多りにあるへきこ2とゝも人/\尓の多まひをく
このやともりに可のひ个可ち能と2の井人な2とハさふ(さふ$)
さふら婦へ个れハこの王多りのち可き御さうとも」(12オ)
な2と尓そ2のこ2とゝもゝの堂まひあつけな2□まめ
や可な2るこ2とゝもをさへ佐多めをき給弁そ2かやう
の御とも尓も1お1もひ可けすな2可きいのちいとつ1らく
お1ほえ侍るを人もゆゝしくみお1もふへ个れ盤いまハ
世尓ある物ともひと尓志ら2れ侍ら2しとて可多ち
も可へて遣るをしゐてめしいてゝいとあ者れとみ
堂まふれいのむ可し物可多りな2とせさせ給てこゝ
尓は猶と2き/\ハまいりくへきをいと多つきな2く
心(□&心)ほそ2可るへき尓可くて物し多ま者んハいとあハ
れ尓うれし可るへきこ2と尓な2むな2とえもいひ」(12ウ)
やらすな2き給\いとふ尓はえてのひ侍るいのち能
つ1らくま多い可尓せよとてうちすてさせ給个ん
とうら2めしく\な2へての世をお1もひ堂まへしつむ尓
04 お1ほ可多のわ可身ひとつのうき可ら2/に/なへての1世をもうら2みつる哉(付箋C)
徒みもい可尓ふ可く侍ら2むと思个るこ2とゝもをうれへ
可遣きこゆるもか多くな2しけな2れといとよくいひ
な2くさめ給い多くね日尓堂れとむ可しきよけな2
り个るな2こりをそ2きすて多れ盤ひ多ひの本と
さま可者れる尓すこしわ可くな2りてさる可□に
みやひ可な2りお1もひ王日てハな2と可ゝ累さま
尓も」(13オ)
な2し堂てまつら佐り个むそ2れ尓のふるやうもや
あらましさてもい可尓心ふ可く可多らひきこえて
阿ら満しな2とひと可多な2らすお1ほえ給尓この
人さへうらやまし个れ盤可くろへ多る木丁を
すこしひきやリてこま可にそ2可多らひ給
遣尓む个尓お1もひ本け多るさ満な2可ら物
うちいひ多るけしきようゐくちお1し可らす
ゆへあり个る人のな2こりとみえ多り
佐き尓堂つ1なみ多の可者尓みをな2けハ」(13ウ)
人尓をくれぬいのちな2ら2満し と2うちひそ2
みきこゆそ2れもいとつみふ可ゝな2るこ2とにこそ2
可能きし尓い多るこ2とな2と可佐しもあるま
しきこ2と尓て佐へふ可きそ2こ尓志つ1みすく
さむもあいな2しすへてな2へてむな2しくお1もひ
と2るへき世尓なむな2との給
身をな个むな2ミ多の可者にしつみても
こひしきせゝ尓わ春れしも1せし い可な2ら2む
世尓すこしもお1もひな2くさむるこ2とありなむと
者てもな2き心ちし給可へら2む可多もな2く」(14オ)
な2可免られて日もくれ尓个れとすゝろ尓多ひ
ねせむも人のと可むるこ2とやとあいな2个れ盤返
堂まひぬお1も本しの多まへる佐まを可多り
て弁者いとゝなくさめ可多くゝれまとひ多り
ミ那人者心ゆき堂る个しき尓て物ぬひ
いと(+な2)みつゝお1ひゆ可め累可多ちもしらすつくろ日
さまよふ尓いよ/\やつ1して
人者みな2いそ2き堂つ免るそ2てのうらに
ひとりもし本越多るゝあま哉と2うれへきこゆれハ」(14ウ)
し本堂累ゝあまの衣尓こ2とな2れや
うき多るなみ尓ぬるゝわ可そ2て
世尓すみつ可むこ2ともいとあり可多可るへきわさと
お1ほゆれ盤さま尓し堂可ひてこゝをハあれ
者てしとな2むお1もふをさら2ハ堂いめんもあり
ぬへ个れと2し者しの本とも心ほそ2くて多ち
と2まり多まふをみをく尓いとゝ心もゆ可す
な2む可ゝるか多ちなる人も可な2ら2すひ多
ふる尓しも1堂えこもら2ぬわさなめるを」(15オ)
猶世のつね尓お1もひな2して時/\もみえ給へな2と
いとな2つ可しく可多ら2ひ給む可しの人のもてつ1
可ひ多まひし佐るへき御てうと2ゝもな2とは
ミ那この人尓と2ゝ免をき給て可く人よりふ
可くお1もひしつみ多まへるをみれ盤佐きの世
もとり王き多るちきりもや物し堂まひ
个むとお1もふさへむつましくあ者れ尓な2むと
の多まふ尓いよ/\わら2ハへのこ日てな2くやう尓
心お1さめん可多な2くお1ほゝれゐ多りみな2」(15ウ)
可き者らひよろつと2りし堂ゝめて御くるま
と2もよせて御せんの人/\四井五ゐいとお1ほ
可り御身つ可ら2もいミしうお1者しま佐ま本し
遣れとこ2と/\しくな2りて中/\あし可るへ个れハ
堂ゝしのひ多る佐ま尓もてな2して心もと那く
お1ほさる中納言殿よりも1御せんの人可すお1ほく
堂てまつれ多まへりお1ほ可多のこ2とをこそ2
宮よりハお1ほしをきつめれこまや可な2る
うち/\の御あつ可ひ者堂ゝこの殿よりお1もひ」(16オ)
よら2ぬこ2那くとふらひきこえ給日くれぬへしと
うち尓もと2にもゝよ本しきこゆる尓心あ者
堂ゝしくいつちな2ら2むとお1もふ尓もいと者可な2く
可な2しと2のみお1も本え堂まふ尓御くるま尓
のる堂い(+ふ)の君といふ人のい布
ありふれ盤うれしきせ尓もあひ个るを
身をうち可者にな2个てまし可ハ うちゑみ
堂るを弁のあまの心者へ尓こよ那うもあ
る可那と心つきな2うもみ多まふいまひとり」(16ウ)
すき尓し可こひしきこ2ともわ春れねと
遣ふ者多まつ1もゆく心可那 いつれも1と2しへ
堂る人/\尓てみな2可の御可多をは心よせ
ましきこえ多めりしをいま者可くお1もひ
あら2堂免てこ2といみするも心うの世やと2お1
ほえ多まへハ物もい者れ多ま者すみちの本と
の者るけく者けしき山みちのありさ満を
み多まふ尓そ2つ1らき尓のみお1もひな2されし
人の御中の可よひをこ2と者りの多え満な2り个り/と」(17オ)
すこしお1ほし志ら2れ个る七日の月のさや可尓
さしいて堂るか个お1可しく可すミ堂るをみ
堂まひつゝいとゝほき尓な2ら者すくるし
个れ盤うちな2可免ら2れて
な2可むれ盤山よりいてゝゆく月も
世尓すミわひてやま尓こそ2いれさ満可者り
てつ1ゐ尓い可な2らむと2のみあやうくゆくす衛
うしろめ堂き尓と2しころな2尓こ2とを可
お1もひ个んと2そ2とり可へさま本しきやよひ」(17ウ)
うちすきてそ2お1者しつき多るみも志ら2ぬ
さま尓めも可ゝやくやうな2る殿つくりのみつは
よつ者な2る中尓ひきいれてみやいつし可と
まちお1者しまし个れハ御くるまのもとに身
つ1可らよら2せ給てお1ろし多てまつり給御し
つらひな2とあるへき可きりして女者うのつ本ね/\
まて御心とゝめさせ給个る本としるくみえて
いとあらま本しけな2りい可者可りのこ2と尓可と2
みえ多まへる御ありさ満の尓者可尓可く佐多ま/リ」(18オ)
多まへハお1ほろ个な2らすお1ほさるゝこ2とな2
めりと世人も心尓くゝお1もひお1(を&お1)とろきけり
中納言は三条の宮尓この廿よ日のほとに
わ多り多ま者んとてこのころ者ひゝ尓お1ハ
しつゝみ堂まふ尓この1院ち可きほとな2れハ
遣者ひもき可むとてよふくるまてお1者し
ける尓多てまつれ多まへる御せんの人/\
可へりまいりてありさ満な2と可多りきこゆ
いみしく(く$う)御心尓いりてもてなし多まふな2るを」(18ウ)
きゝ給尓もかつ者うれしき物可らさす可にわ可
心な2可らお1こ可ましくむねうちつふれて\もの
尓も可な2やと2可へす/\ひとりこ多れて
しなてるや尓ほのみつうみ尓こく舟の
ま本な2ら2ねともあひミし物を と2そ2いひく
堂さ満本しき右(+の)お1ほと2の者六のきみを
宮尓多てまつり給者んこ2とこの1月(+尓)とお1ほし
さ多め堂り个る尓可くお1もひのほ可の人をこの
本とより佐き尓とお1ほしか本尓可しつきすゑ」(19オ)
堂満日て者な2れお1者すれ盤いと物しけ尓
お1ほし堂りときゝ給もいとお1し个れハ御ふミ
者時/\多てまつり給御もきのこ2と世尓ひゝきて
いそ2き給へるをのへ堂ま者んも人わら2へな2る
へ个れ盤者つ可あまり尓きせ多てまつり給
お1な2しゆ可り尓めつらしけな2くともこの中納言
をよそ2人尓ゆつらむ可くちお1しき尓佐もや
な2してましと2しころ人しれぬもの尓お1もひ
遣む人をもな2くなしてもの心ほそ2くな2可」(19ウ)
免井多まふな2るをなとお1ほしよりてさるへ
き人してけしきと2ら2せ給个れと世の者可那
さをめ尓ち可くみし尓いと心うく身もゆゝ志
うお1ほゆれハい可尓も/\さやうのありさ満者
物うくな2むとす佐ましけな2るよしきゝ給て
い可て可このきみさへお1ほな2/\こ2といつるこ2とを
物うくハもてな2すへきそ2とうら2み多まひ个
れとし多しき御中らひな2可ら2も人さ満の1
いと心者つ可しけ尓物し給へハえしゐてしも」(20オ)
きこえうこかし堂ま者佐り个り者那さ可り
のほと二条の院のさくらをみやり給尓\ぬし
な2きやと2能まつ1思やら2れ多まへハ\心やすくや
なとひと2りこちあまりて宮の御もとにまいり
多まへりこゝかち尓お1者しましつきていとよう
すみな2れ多まひ尓多れ盤めやすのわさやとみ多て
まつるもの可られいのい可尓そ2やお1ほゆる心のそ2
ひ多るそ2あやしきやされとしちの御心者へハ
いとあ者れ尓うしろやすくそ2思きこえ給」(20ウ)
个るな2尓くれと御物可多りきこえ可ハし多ま日て
ゆふつ可多宮ハ内へまいり給者んと2て御くるまの
さうそ2くして人/\お1ほくまいりあつまり
な2とすれハ堂ちいて給て堂いの御可多へ万いり
多まへり山さとのけ者ひゝき可へてみすのうち
心尓くゝすみな2してお1可しけな2るわら2ハの春き
可遣ほのみゆるして御せうそ2こきこえ給へ
れ盤御し(□&し)と2ねさしいてゝむ可しの心しれる人
な2るへしいてきて御返きこゆあさゆふのへ多て/も」(21オ)
あるましうお1もふ多まへらるゝほとな2可らそ2の
こ2とゝな2くてきこえ佐せんも中/\な2れ/\しき
と2可免やとつ1ゝみ侍る本とに世中可者り尓多る
心ちのみそ2し侍るや御まへのこす衛も可すミ
へ堂てゝみえ侍る尓あ者れな2るこ2とお1ほく
も侍る可那ときこえてうちな可めて物し給
けしき心くるし遣な2るをけ尓お1ハせまし可ハ
お1ほつ可な2可ら2すゆき返可多み尓花のいろとり
のこゑをも越り尓つけつゝすこし心ゆきて」(21ウ)
すくし徒へ可り个る世をな2とお1ほしいつる尓
つ遣てハひ多ふる尓堂えこもり多まへりし
春満井の心ほそ2さよりも1あ可す可な2しう
くちお1しきこ2とそ2いとゝまさり个る人/\も
世のつね尓うと/\しくな2もてなしきこえ佐せ
給そ2可きりな2き御心の本とをはいましも
こそ2み多てまつり志ら2せ多まふさ満をも見
え堂てまつら2せ多まふへ个れな2ときこゆれと
ひとつてな2ら2すふと佐しいてきこえむこ2との」(22オ)
な2をつ1ゝましきをやすらひ多まふ本と尓
宮いて堂ま者んと2て御ま可り申志尓わ多
り多まへりいときよらにひきつくろ日けさう
し堂まひてみる可ひある御さ満な2り
中納言ハこな2多尓なり个りと2み多ま日て
な2と可む个尓さし者那ちて者い多しすゑ
多まへる御あ多り尓はあまりあやしと思
まてうしろやす可りし心よせをわ可多め
者お1こ可ましきこ2ともやとお1ほゆれとさ」(22ウ)
す可にむ遣尓へ多てお1ほ可らむハつ1みもこそ2
うれち可や可尓てむ可し物可多りもうち可多ら日
多まへ可しな2ときこえ給もの可らさはあり
と2もあまり心ゆるひせんもま多い可尓そ2や
う多可者しきし多の心尓そ2あるやと2うち可へし
の堂まへハひと可多な2ら2す王つらハし遣れとわ可
御心尓もあ者れふ可くお1もひしら2れ尓し人の
御心をいましも越ろ可な2るへきな2ら2ねハ可能
人もお1もひの堂まふめるやう尓い尓しへの御可」(23オ)
者りとな2すら2へきこえて可うお1もひ志り
けリ(□&リ)とみえ堂てまつるふしもあら者やと2ハ
お1ほ勢と佐す可にと2可くやと2可多/\尓やす可ら
すきこえな2し堂まへ(□&へ)ハくるしうお1ほさ
れ个り」(23ウ)
墨付弐拾三枚」(24オ)
(白紙)」(24ウ)