凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体かなの字母と区別するため太字で表示した。
3.平仮名はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し方には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点、朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母は茶色、同じ字母は緑色で表示した。
「佐王ら2飛」(題箋)
や布しわ可年ハ・春の1ひ可りを見給尓徒
0001【やふしわかねハ】−\(朱合点) 「古今(墨) 日能光やふしわ可年ハいその/可ミ/ふり尓1し佐と尓花もさ起个り(朱)」(付箋01 古今870・古今六帖276、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄) 中君の御ありさま
氣ても1・い可て可くな2可ら2へる尓遣る月日な2ら2
むと・夢のやう尓能ミおほえ2給・行可ふと起/\
尓志多可ひ・花とりの色をもね1をも・おな2し
心尓おき2ふし見徒ゝ・者可な2きこ2とをも1・
も1と春ゑをとりて・いひ可ハし心ほそき
0002【もとすゑをとりて】−神楽譜本末(△△△&譜本末)の拍子あり哥なとよむに上句下句をいひかハす事也
世の1うさも1徒ら2さも・うちか多ら2ひあハせ
き古え2し尓古そ2・なくさむ可多もありし
か・お可しきこ2とあハれなる布しをも・きゝ
志る人もな2き2まゝ尓・よ(よ&よ)ろつ1可きくら2し」(1オ・1677@)
心ひとつをく多きて・宮の1おハし満さすな2り
尓1しかな2しさよ里も1・やゝうちまさりて2・
古ひしく王ひしき尓・い可尓1せ2むと・あ氣
く流ゝも1志ら2春・まとハれ多1まへと・世尓登
まるへき程ハ可起りあるわさな2り个れハ・志な2
連ぬも1あさまし・阿さりの1もとより・と2し
0003【としあらたまりてハ】−文のことは
あら2多1まりてハ・な尓こ2と可おハしますら2ん・
御いのりハたゆミなく・徒可うまつり侍り・い満
ハひとゝ古ろの1御こ2とをな2無・や春可ら2春
ね1んしきこえ2さ春流な2と・きこえ2て・王ら2」(1ウ・1677E)
ひ・徒く/\し・お1可しき古耳い連て・古れハわら2
ハへの1くやうして侍者つ1をな2りとて・堂て2
まつ連り・てハいとあしうて・うた盤王さ登可
満しく・ひき2者なちてそ可き多1る
君尓とてあま多の1春を徒みし可は
0004【君にとて】−阿闍梨(右) 兼輔集都にハみるへき人もなき物越つねを思ひて春やきぬらん三条右大臣(左)(兼輔集116、花鳥余情・休聞抄・岷江入楚)
徒年を王春連ぬ者つ1王ら2ひな2り御前尓
よ見申佐しめ給へとあり・多1いしとおもひ
まハして・よ見い多し徒ら2むとおほせ2ハ・う
多1の1心者えもいとあハれ尓て・な2越佐り尓
さしも1お本さぬな2めりと・見ゆるこ2との1」(2オ・1677J)
は越・めて多1くこの1まし遣尓・可起徒くし
給へる人能御文よりハ(ハ=もイ(墨)、もイ$(朱))・こよな2くめとまりて・
涙もこほる連ハ・返事可ゝせ2給
この1春ハ多れ尓可見せ2むな2き2人農
0005【この春ハ】−中君
か多み尓徒める嶺の1さ王ら2ひ徒可ひ尓ろく
と2ら2せさ勢給・いと佐可り尓尓1本ひおほくお
者する人能さ満/\の御物おもひ尓・春古し
うちおもやせ2給へる・いとあて尓な2まめ可し
き2氣色満さりて・昔人尓もおほえ2多満
へり・なら2ひ給へりしお1りハ・とり/\尓て」(2ウ・1678B)
佐ら2尓に多1まへりとも1・見え2さりしを・うち
わ春れてハふとそ2れ可とおほゆるまて・かよひ
給へるを・中納言と能ゝ・から2をた尓と2ゝめて
見多てまつる物な2ら2まし可ハと・あさゆふ尓
古ひきこえ給める尓1・おな2しくハ・見えたて
まつり給・御春くせ2な2ら2さり个むよと・み
多てまつる・人/\ハくちおし可る・かの1御あ多
里能人能かよひくる多1より尓・御ありさ
満ハ多1え2春きゝかハし給ひ个り・徒きせ2
春おもひほ連給て2・あ多ら2しきと2しと2も」(3オ・1678G)
いハす・いやめ尓な2むな2り給へると・きゝ給
ても・遣尓うち徒遣の1心あさゝにハ・も1の
志給ハさり个りと・いとゝいまそあ者れもふ
可く思ひ志ら2流ゝ・宮ハおハしますこ2との・
いとと2古ろせ2くあり可多个れハ・京尓わ多し
きこえ2むと・お本し多1ち尓多り・な2いえんな2
と物さハ可しき古ろすくして・中納言能君
心尓あまるこ2とをも・ま多多れ尓可ハか多ら2
ハむとお本し王ひて2・兵部卿の宮能御方
尓まいり給へり・志めや可なる夕くれな2れハ・」(3ウ・1678M)
宮うちな2可め給て2・ハしち可くそ2おハし満し
氣る・佐うの御こ2と可きな2ら2し徒ゝ・連いの
御心よせなるむめの1可を・めておハするし
徒えを・おしお1りてまいり給へる尓本ひ
の1いとえん尓めて多1きをおりお1可しう
お本して
お流人の心尓かよ婦者那な2連や色
0006【おる人の】−にほふ 中の君のことをおもひよせ侍り
尓ハいて春志多尓にほへるとの給へハ
見る人尓かこ2とよせ遣る者那能えを
0007【見る人に】−中納言
心してこ2そおるへ可り个れ王徒ら2ハしく」(4オ・1679D)
0008【心してこそ】−後ー 大方にをく白露も今よりハ心してこそみるへかりけれ(後撰291・是則集12、花鳥余情・孟津抄・岷江入楚)
と・多1ハふ連可ハし給へる・いとよき御あ者
ひな2り・こまや可なる御物可多りと2も耳
なりてハ・可の山佐と能御こ2と越そ・まつ1ハ
い可尓1と見やハきこ盈給・中納言も1春
き2尓1し可多の1あ可す可な2しきこ2と・そ2能
可ミより个ふまておもひの多1え2ぬよし
お1り/\尓徒遣て2・あハれ尓1もお1可しくも・
な2き2ミ王ら2ひみと可いふら2むやう耳・
きこえ2いて給尓・ましてさハ可りいろめ可
志く涙も1ろなる御くせハ・人能御うへ尓て」(4ウ・1679K)
0009【人の御うへにてさへ】−\(朱合点) 古今 我身からうき世の中と歎つゝ人のうへさへかなしかるらん(古今960、異本紫明抄・花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
佐へ・そても1志ほるハ可り尓な2りて・可ひ/\し
くそ2あひ志ら2ひきこえ2給める・そ2ら2能氣
色も・又遣尓そ2あハれ志り可本尓・かすみ王
多れる・よる尓なりて・者遣しう吹い徒る・
風の1氣しきま多ふゆめきて・いとさむ遣
尓・おほとな2ふら2もきえ2徒ゝ・やミハあやな2き
0010【やミハあやなき】−\(朱合点)
多1と/\しさな2れと・可多み尓・きゝ佐し給へ
くもあら2春・徒きせ2ぬ御もの可多りを・えハる
遣やり給ハて・夜もい多うふけぬ・世尓ためし
あり可多可り遣る・な2可能むつ1ひを・いてさり」(5オ・1680B)
とも1・いとさのミハあら2さり个むと・のこりあ
里遣尓・と2ひな2し給そ・王りな2き2御心な2
らひな2める可し・佐りな2可ら2も物尓心え給
ひて2・な2け可しき心の1うちも・あきら2むハ可
里・可つハな2くさめ・ま多あハれをもさまし・
0011【さまし】−詞 増
さ満/\尓可多ら2ひ給婦・御さ満のお可しき
尓春可され多1てまつりて・氣尓心尓あまる
まて・おもひむ春本るゝこ2とゝも1・春古し
徒ゝ可多りきこえ2給そ・こよな2くむ年のひ
まあく心ちし給ふ・宮も可の人ち可くわ多」(5ウ・1680E)
志き古え2てんとする程のこ2とと2も・可多ら2ひ
きこえ2給を・いとうれしき2こ2と尓も侍閑
な2・あいな2く身徒可ら2能あやまちとなん
思ふ多1まへらる(△△&らる)ゝ・あ可ぬむ可しの1な2こり
を・ま多堂つぬへき可たも侍ら2ね1ハ・お本
可多尓ハな尓こ2と尓徒遣ても・心よせきこ
ゆへき人とな2んおもふ多1まふるを・も1し
ひな2くや・おほしめさるへきとて・可能こ2と
人とな2おもひ王き楚と・ゆつり給志・心を
きてをも・春古しハ可多りき2こえ2たまへと・」(6オ・1680L)
い者せの1もり能よふことりめい多1りし・よ能
0012【いはせのもりの】−\(朱合点) いはせの森のよふこ鳥の事しかとかなひたる古哥侍らすと岩田森とかける本もありと(右) 古今 恋しく(く+ハ)きても見よかし人つてにいはせの杜のよふこ鳥かも(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)引哥ニ合薫ニ中君事を姉ノ云置シマテハ(△&テハ)匂ニ語共会合ノ事をいふ語心也
こ2とはのこし(+多り(墨朱))个り・心の1うち尓ハ・可くな2くさ
め可多き2・か多ミ尓1も・氣尓さてこ2そ2・可やう
尓も1・あつ1可ひきこ2ゆへ可り个れと・くやし
き2こ2と・やう/\まさりゆ遣と・いまは可ひ
な2きものゆへ・徒年尓かうのミ・おもハゝ・あ類
ましき心もこ2そ2いてくれ・多1可多め尓もあ
ちきな2く・おこ可満し可ら2むと思者な2る・
さてもおハし満さむ尓徒遣ても・まこ2と尓
思ひうしろ見きこえ2ん可多ハ・またゝ連可ハ」(6ウ・1681C)
とおほせ2ハ・御わ多り能こ2とゝもゝ・心まう遣(+せ(朱))さ
せ給可しこ尓もよき王可人・王ら2ハな2とも
と2めて・人/\ハ心ゆき可本尓いそき思ひ堂
連登・い満ハとてこの1布しみを・あら2し者
0013【いまはとて】−\(朱合点)
0014【ふしみをあらしはてむ】−\(朱合点) かくしつゝ我世ハへなんすか原や伏見の里のあれまくもおし(古今981・古今六帖1288、花鳥余情・弄花抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄孟津抄・花屋抄・岷江入楚)宇治ふる宮をあらさん事をいはんとてなり
てむも1・いみしく心ほそ个れハ・な2け可連
給こ2と徒きせ2ぬを・佐りとても又せ2めて心こ
ハく多1え2こもりても・多1遣可るましくあ
さ可ら2ぬ中の契も・多1え2者てぬ遍き2
御春ま井を・い可尓お本しえ多るそ2と能ミ・
うら2見き古え2給も・春こしハこ2とハりな2れ」(7オ・1681I)
ハ・い可ゝ春へ可ら2むと・思ひみ多れ給へり・き佐ら2
き2の徒い多1ちこ2ろとあれハ・ほとち可具
なるまゝ尓・花の1木とも1の个しき者む
も・のこりゆ可しく・み年の可すミ能多つ1を
0015【たつをみすてんことも】−\(朱合点) 「古 春可すミ多つ1をみ春てゝ行可りハ/花な2き佐と尓春ミやな2ら2へる(朱)」(付箋02 古今31・新撰和歌35・古今六帖4374・和漢朗詠326・伊勢集303、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
み春てんこ2とも・をの可とこよ尓て多尓・あら2
ぬ堂ひ年尓て・い可尓ハしたな2く人王ら2
ハれなるこ2とも1こ2そ2な2と・よろつ1尓徒ゝまし
く・心ひとつ尓おもひあ可しくら2し給ふ・御
ふくも可きりあるこ2とな2れハ・ぬきすて給ふ
0016【ふくもかきりあること】−姉服三ケ月
尓・みそき2もあさき2心ちそ2する・おやひと」(7ウ・1682@)
0017【みそき】−解除
0018【あさき心ち】−軽服を川の瀬にたとふ
と2こ2ろハ・見多てまつら2さりし可ハ・こひしき2
こ2とハおもほえ2春・そ2の御可ハり尓も1・この1多ひ
の衣を・ふ可くそ2めむと・心尓はお本しの給へと2・
さす可尓佐るへきゆへもな2きわさな2れハ・阿可
春可な2しき2こ2と可起りな2し・中納言殿より
御くる満御前の人/\・者可せな2と多てまつれ
0019【はかせ】−太刀
給へり
者可な2しや可春ミの1こ2ろも多ちしま尓
0020【はかなしや】−かほる
0021【かすみのころも】−服
花の1ひもとくお1りもき尓个りけ尓いろ/\・
0022【ひもとく】−除服事
いときよら2尓て・多てまつれ給へり・御わ多り」(8オ・1682E)
の1ほとの可つけ物とも1な2と・こ2と/\しから2
ぬもの可ら2・志那/\尓こまや可尓1お本しやり
徒ゝ・いとおほ可り・お1り尓つけて2ハ・わ春連ぬ
さ満なる御心よせの1・あり可多くハら2可ら2な2と
も1・えいとかうまてハ・お者せ2ぬわさそ2な2登・
人/\ハきこえ2志ら2春・あさや可な2ら2ぬ布る
人とも1の心尓ハ・可ゝ流か多を心尓志めてきこ
遊・王可き2人盤時/\も・見多てまつりな2ら2
ひて2・い満ハと・こ2とさ満尓な2り多1まハむを・
佐う/\しく・い可尓こひしくおほえ2さ勢」(8ウ・1682K)
給ハむと・きこえ2あへり身徒可ら2ハ・王多り
給ハんこ2とあ春とての1・ま多・徒とめてお1ハし
多1り・連いのまら2うと井のか多尓・おハする尓
つけて2も・い満ハやう/\ものな2れて・王れこ2そ人
よりさき尓かうやう尓も・思ひそ2めし可な2
とありしさ満のたまひし心ハえ2を・思いて2
徒ゝ・さす可尓可け者な2れ・こ2とのほか尓な2と
ハ・はし多1な2め給はさりしを・我心もてあ
やしうも1遍多ゝ里尓し可な2と・む年い1
堂く思ひ徒ゝ遣ら2れ給・可い者(者#満(朱))ミせ2し・さ」(9オ・1683C)
うしのあな2も・思ひいてら2類連ハ・よりて2み
給へと・この1な2可越ハ・おろしこめ多れ者・いと
可ひな2しうち尓も・人/\思ひいて・きこ盈
つゝ・うちひそ2ミあへり・中の1宮ハまして・も
よ本さるゝ御涙の1可ハに・あ春のわ多りもお1
0023【御涙のかハにあすのわたりも】−明日京へわたり給ハん事を川によせていふ
ほえ2給者す・本れ/\し遣尓て・な可め布し
給へる尓・月古ろの徒もりも・そ2こ者可とな2
个れと・いふせ2く思多まへら2流ゝを・可多ハしも
あきら2めきこ盈させ2て・な2くさめ侍ら2者
や・れ2いの1ハし多1な2くな・さし者な2多1せ」(9ウ・1683H)
給ひそ2・いとゝあら2ぬ世の心ちし侍りと・きこえ2
給へれハ・者し多1な2しと・おもハれ多てまつ
ら無と2しも・おもハ年と・いさや心ちもれ2い
の1やう尓もおほえ2春・可きみ多里徒ゝ・いとゝ
者可/\しから2ぬ・ひ可こ2とも1やと・徒ゝまし
うてな2と・く流し遣尓お本い多れと・いとお1し
なとこれ可連きこえ2て・な2可能さうし能く
ち尓て・多1いめむ志給へり・いと心者つ可し遣
尓・な満めきて・又この1多ひハね1ひ満さり給
ひ尓个りと・めもおとろくまて・尓本ひおほく・」(10オ・1683M)
人尓もにぬよういな2と・あ那めて多1のひと
やとのミ見え2給へるを・ひめみやハおも可遣さ
0024【おもかけさらぬ人】−故姫
らぬ人の御こ2とをさへ・おもひいてきこえ2給
尓・いとあハれとみ多てまつり給・つ1きせ2ぬ御
もの可多りな2とも・个ふハこ2といミ春へくやな2
といひ佐し徒ゝ・王多ら2せ2給へきとこ2ろち可
く・この1こ2ろ春くして・うつろひ侍へ个れハ・よ
0025【うつろひ侍へけれハ】−三条宮造出て薫渡
な2可あ可月と・徒き/\しき人能いひ侍める・
な尓こ2とのお1り尓1も・うと可ら2すおほしの1
多1まハせハ・世尓侍ら2む可きりハ・きこえ2させ」(10ウ・1684E)
う氣多1まハりて・すくさ満本しくな2ん
侍るを・い可ゝハお本しめすら2む・人の心さ満/\
尓侍世な2れ盤(盤$者(朱))・あいな2くやなと・ひと可多尓
も1・えこ2そ2おもひ侍ら2ね1と・きこえ2給へ者・
やと越ハ・可れしと思心ふ可く侍を・ち可具
0026【やとをはかれし】−\(朱合点) 古今 今そしるくるしき物と人またん宿越ハかれすとふへかりけり(右)(古今969・新撰和歌303・古今六帖1290・業平集65・伊勢物語89、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄) 中務集 花のかの妻越わすれぬ(△&ぬ)春ことに宿越かれにし君をしそ思ふ(左)(出典未詳、花鳥余情・孟津抄・岷江入楚)
な2との多まハする尓徒遣ても・よろつ1尓
見多れ侍りて・きこえ2させやるへき可多も
なくな2と・所/\いひ遣ちて・い見しく
ものあハれとおもひ給へる遣ハひな2と・いとよう
おほえ給へるを・心可ら2よそ2能もの尓見な2し」(11オ・1684J)
徒ると・いとくやしく思ひゐ多1まへれと・可ひ
な2个れハ・そ2の1よ能古と可けて2もい者す・わ春れ
尓个流尓やと見ゆるまて・遣さや可尓も1て2
な2し給へり・御前ち可きこう者いの色も・可も
なつ可しき尓うくひ春多1尓・見春くし
可多け尓うちな2きて王多るめ連ハ・まして
者るやむ可しのと・心をまとハし給ふとち
0027【はるやむかしのと】−\(朱合点) 「月やあらぬ春や昔能者るな2らぬ/我身日とつハもとの身尓1して(朱)」(付箋03 古今747・古今六帖2904・業平集37・伊勢物語5、源氏釈・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
能御物可多り尓・おりあハれな2り可し・風のさと
吹い類ゝ尓・者那の可もまら2人の御尓本ひも・た
0028【たちはなゝらねと】−\(朱合点)
ち者な2ゝ羅ね1と・む可し思ひいてゝ(ゝ$ら(朱))類ゝ徒」(11ウ・1685A)
満な2り・徒連/\のまきら2ハし尓も・世のう起
なくさめ尓1も・心とゝめて・もてあそひ給ひ
しものをな2と・心尓あまり給へハ
見る人もあら2し尓満よふや満佐と尓
0029【見る人も】−中君
む可しおほゆる花の1可そするいふとも1な2く
本の可尓て・多1え2/\きこえ2多1るをなつ
可し遣尓うちすんしな2して
袖ふれし梅ハか者ら2ぬ尓本飛尓て
0030【袖ふれし】−かほる
ね1こめう徒ろふ屋とやこ2とな2る多え2ぬ
0031【ねこめうつろふ】−後 垣越にちりける花を見るよりハねこめに風のふきもこさなん伊せ(後撰85、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
涙を・さ満よくのこひ可くして・こ2とお本」(12オ・1685G)
くもあら2す・ま多も1な越可やう尓てな2む・
な尓古とも1・きこえ2させよ可るへきな2と・
きこえ2をきて多ち多まひぬ・御わ多り尓
あるへきこ2とゝも1・人/\尓の多まひをく・こ
の1宿もり尓・可の1ひ遣可ちのと能井人な2とハ・
佐ふら2婦へ个れハ・このわ多り能ち可きみさ
うとも1な2と尓・そ2の1こ2とゝもゝの給ひ阿
徒遣な2と・こまや可なるこ2とゝもをさへ・佐多
めをき2給・弁そ可やうの御とも1尓1も・思可け
春・な可きいのちいと徒ら2くおほえ2侍を・」(12ウ・1685L)
人もゆゝ志く・見思ふへ个れハ・いまは世尓ある
物とも1人尓志ら2れ侍ら2しとて・可多ちも1か
へて2遣るを・志井てめしいてゝ・いとあハれとみ
給ふ・連いの1む可しも能可多りな2とせ2させ給
て・古ゝ(△ゝ&古ゝ)尓ハなを時/\ハ満いりくへき・いと多つ
きなく心ほそかるへき尓・可くても能し給
者むハ・いとあハれ尓うれし可るへきこ2と尓な2む
な2と・えもいひやら2春な2き給いとふ耳
0032【いとふにはえて】−\(朱合点) 拾 あやしくもいとふにはゆる心哉いかにしりてかおもひたゆへき(右)(後撰608・拾遺集996、河海抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚) 拾 大方の我身一のうきからになへての世をも恨つるかな(左)(拾遺集953・拾遺抄346)
者え2て・△(△#)のひ侍いのちの1徒らく・ま多
い可尓せ2よとてうちすてさせ給个んと・う」(13オ・1686C)
らめしくなへて2の世を・おもひ給へ志つ1
0033【なへての世を】−\(朱合点) 「おくにもある御返し不審まちかくこへしイ(墨)/ お本可多能う起身日とつのうき/可ら2尓/な2へての世をもうら2ミつる哉(朱)」(付箋04 拾遺集953・拾遺抄346、源氏釈・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
む尓・徒ミもい可尓ふ可く侍ら2むとおもひ氣
流こ2とと2も越・うれへ可遣きこゆるも・閑多く
な2し希な2連と・いとよくいひなくさめ給・
い多くね1ひ尓多れと・む可しきよ遣な2り
遣るな2こりを・そき春て多1れ者・ひ多ひ
の1程・さ満可ハれる尓・春古し王可くなり
て・佐る可多尓・みやひ可な2り・おもひわひてハ
0034【みやひかなり】−潤麗
な2と可ゝ流さ満尓もな2し多てまつら2さり
个む・そ2れ尓のふるやうもやあら2まし・さて」(13ウ・1686I)
も1い1可尓心不布可く・か多ら2ひきこえ2て・あら2ま
志な2と・ひとか多なら2春おほえ2給尓・こ能人
さへうら2やまし个れハ・可くろへ多1る木ちやう
をす古しひきやりて・こ満可尓そ・可多ら2ひ給
遣尓・む氣尓・思ひ本遣多るさ満な2可ら2・物
うちいひ多1る氣色ようい・くちおし可ら2
春・ゆへあり氣る人の1な2こりとみえ2多り
さ起尓多1つ1涙の川尓身をな2け者
0035【さきにたつ】−弁の尼(右) さきにたつ涙の道にさそわれてかきりの旅に思ひけるかな(左)(兼澄集32、休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
人耳をくれぬいのちな2ら2ましとうち
ひそ2ミきこ2ゆ・そ2れもいと徒ミふ可くな2る」(14オ・1687@)
こ2と尓こ2そ2・かの1きし尓い多るこ2とな2と閑・
佐しもあるましきこ2と尓てさへ・布可き
楚こ尓志つ1ミすくさむも1あひな2し・すへ
てなへて2・むな2しく・おもひとるへき世
尓なむ・な2との給
身をな2遣む涙の1川尓志つ1ミても
0036【身をなけむ】−中納言返し(右) 拾 涙川底のもくつとなりはてゝ恋しき瀬々になかれこそすれ(すれ#)順(拾遺集877・拾遺抄313、花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
恋しきせ2ゝ尓王春れしもせ2しい可な2ら2
む世尓春こしも1思ひな2くさむるこ2とあ
里な2むと・者てもな2き2古ゝちし給・可へら2ん
可多もな2くな2可めら2れて日もくれ尓个れと・」(14ウ・1687E)
すゝろ尓多1ひ年せ2ん(+(朱)も(墨)、も#も1(朱))人のと可むるこ2とやと・あ
ひな2个れハ・可へり給ぬ・おもほしの給へるさ満
を可多りて・弁ハいとゝ・な2くさめか多く・くれ満
とひ多1り・ミ那人ハ古ゝろゆき多1る个しき
尓て・も能ぬひいとなミ徒ゝ・おひゆ可める可多
ちも1志ら2す・徒くろひさ満よふ尓・いよ/\
や徒して
人ハミ那いそ起多1つ1める袖の1うら2耳
0037【人ハミな】−弁の尼(右) 後 から衣袖しの浦(=周防)のうつせ貝独りしほたるゝ海人かな(出典未詳)
飛とりもし本を多1るゝあま可な2とう連
へきこゆ連ハ」(15オ・1687J)
志ほ多1るゝあ満の古ろも尓こ2とな2れや
0038【しほたるゝ】−中君(右) 後 心からうきたる舟にのりそめてひといも浪にぬれぬ日そなき小町(左)(後撰779・古今六帖1816・小町集2、河海抄・弄花抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
うき多1る浪尓ぬるゝ我(△&我)袖世尓春見
徒可むこ2とも1・いとあり可多可るへきわさと
おほゆ連ハ・さ満尓志多可ひて2・古ゝを者あ
連者てしとなんおもふを・佐ら2ハたいめん
もありぬへ个れと・志ハしの1ほとも古ゝろ
ほそくて・多1ちとまり給ふを見を具
尓・いとゝ心もゆかすな2ん・可ゝる可多ちなる人
も可な2ら2春・ひ多ふる尓志も堂え2こもら2
ぬ・わさな2めるを・な越よ能つ年尓お1もひ」(15ウ・1688B)
な2して・とき/\も見え2給へな2と・いとなつ1
可しく可多ら2ひ給・む可しの1人能もて徒可ひ
給飛し・さるへき御てうとと2もな2とハ・ミ那
この人尓・と2ゝめ越き給て2・可く人より布可く
思ひ志つ1ミ給へるをミれ(れ#、$連(朱))ハ・さき2の世もとり
0039【さきの世も】−\(朱合点) 君とわれいかなる事越契けん昔の世こそしらまほしけれ(新千載1033・和漢朗詠739、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
王き多1る契も1や・も能し給ひ个む登
思ふさへむつましくあハれ尓な2んとの給ふ
尓・いよ/\王ら2ハへのこひて2なくやう尓・心お
さめむ可多なくをほゝ連い多里・みな2可き2
ハら2飛よろつ1とり志多ゝめて・御くる満とも1」(16オ・1688G)
よせ2て御前の1人/\・四位五位いとおほ可り・御身
徒可ら2も・いみしう・おハしまさ満ほし个れと・
こ2と/\志くな2りて・な可/\あし可るへ个れハ・多ゝ
志のひ多るさ満尓もてな2して・心もとな2くお1
本さる・中納言とのよりも・御前の1人可すお本
く多1てまつれ給へり・おほ可多の古とをこ
そ2・みやよりハお本しを起徒めれ・こまや可那る・
うち/\能御あつ1可ひハ・多ゝこの1殿よりお1も
ひよら2ぬ古とな2く・と2ふら2ひきこえ2給・日くれ
ぬへしと・うち尓も・と2にももよ本しきこ2ゆる」(16ウ・1688L)
尓・心あハ多1ゝ志く・い徒ちな2らむと・お1もふ
尓1も・いと者可な2く可な2しとのミおもほえ2給ふ
尓・御くる満尓のる・多1いふの君といふ人のい婦
ありふれハうれしきせ2尓もあひ遣るを
0040【ありふれハ】−かゝる世も有ける物をとまりゐて身越うち川と思ひけるかな(右) (出典未詳、河海抄・細流抄・孟津抄・岷江入楚) 後 心ミに猶おりたゝむ涙川うれしき瀬にもなかれあふやと(左)(後撰612、異本紫明抄・河海抄・孟津抄・岷江入楚)
身をうち河尓な2けて2まし可可ハうちゑ見
多るを・弁のあま能心者え2尓・こよな2うもある
哉と・心徒きなうも1見給ふ・いまひとり
春き尓1し可恋しきこ2とも王春れね1と
个ふ者たまつ1も行心可な2いつれもとしへ
多1る人/\尓て・みな2可能御可多をハ・心よせま(+本(朱))し(+く(朱))」(17オ・1689D)
きこえ2多1めりしを・いまは可くおもひあら2多
めて・こ2といミ春るも・心う能世やとおほえ2給へ
ハ・物も1い者れ給ハ春・みちの程の1者る遣く・
者个しき山みちの1ありさ満を見給ふ尓(+そ)・
徒ら2き尓のミ・思ひな2されし人の1御な可の
かよひを・こ2とハりの多1え2まな2り个りとすこ
し・お本し志ら2れ个る・七日の月の1さや可耳
佐しいて多る影・お可しく可春ミ多1るを見
給徒ゝ・いとと2越き尓な2ら2ハす・く流し个れハ・
うちな2可めら2れて」(17ウ・1689J)
な2可む連ハ山よりいてゝゆく徒きも
0041【なかむれハ】−中君
よ尓1春見王ひて2山尓こ2そ2いれさ満可ハりて・
徒ゐ尓い可な2可ら2むとのミ・あやうく・行春ゑ
うしろめ多1きに・と2し古ろな尓こ2とを可・お1
もひ个んとそとり可へさま本しきや・よひ
0042【とりかへさまほしき】−\(朱合点)
うち春きてそ2・おハし徒き多る・みも1志ら2ぬ
さ満尓・めも可ゝやくやうなる・殿徒くり能み
0043【殿つくりのみつ葉よつは】−\(朱合点)
徒葉よつ1者なる中尓ひきいれて・宮い
徒し可とまちおハしまし个れハ・御くる満能
もと尓身徒可ら2・よら2せ2給て2・おろし多て」(18オ・1690B)
まつり給・御志つ1らひな2とあるへき可きり
して・女房の徒本年/\まて・御心と2ゝめさせ
給个るほと志るく見え2て・いとあら2ま本し
遣な2り・い可者可り能こ2と尓可と見え2給へる・御
ありさ満の1尓ハ可尓1可く佐多まり給へハ・お本
0044【おほろけならす】−不少縁(ヲホロケナラス)
ろ遣な2ら2春おほさるゝこ2とな2めりと・世人も
心尓くゝおもひおとろき个り・中納言ハ三条
の1宮尓・この1廿よ日のほと尓わ多り給者む
とて・このこ2ろハひゝ尓おハし徒ゝミ給ふ尓・古
の院ち可きほとな2れハ・遣ハひもき可むとて・」(18ウ・1690G)
よふく流まておハし个る尓・多1てまつれ給へる・
御前の1人/\可へり満いりてありさ満な2と・か多り
きこゆ・い見しう御心尓いりて・も1てな2し給ふ
なるをきゝ給尓も・可つ1ハうれしき物可ら2・
さす可尓・我心な2可ら2・おこ可満しく・む年
うち徒ふ連て物尓も可な2やと返々ひとり
0045【物にもかなやと】−\(朱合点) 古今 取返す物にもかなや世中を有しなからの我とおもハんイ(イ#)(出典未詳、源氏釈・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
こ多れて2
志な2てるや尓本のみつ1うミに古く舟の
0046【しなてるや】−中納言(右) 万 しなてるやにほの水うミにこく舟のまほならすとも(ならすとも#)あひ見てし哉(哉#)人丸(出典未詳、原中最秘抄・河海抄・弄花抄・一葉抄・細流抄・休聞抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚)
ま本な2ら2ね1とも1あひ見し物をとそいひ
く多さま本しき・右のおほ殿ハ・六の君を」(19オ・1690L)
0047【くたさ】−腐
0048【右のおほ殿】−夕
みや尓堂てまつり給ハんこ2と・この1月尓とお
ほし佐多め多1り遣る尓・可くおもひの本か
能人を・この1ほとよりさ起尓とお本し可本尓・
可し徒き春遍給ひて2・者な2れおハ春れ者
いとも能し遣尓おほし多1りときゝ給も・いと
おし个れハ・文ハ時/\多1てまつり給・御もきの
事世尓ひゝきていそ2き給へるを・のへ給者む
も・人王ら2へなるへ个れハ・廿日あま(△&ま)里尓きせ2
多1てまつり給・おな2しゆ可り尓めつら2し遣な2
くとも1・この1中納言をよそ2人尓ゆつら2む可」(19ウ・1691D)
0049【この中納言】−夕ー心六君を
くちお1しき尓・さも1やな2してまし・登し
古ろ人志れぬも能尓思ひ个む人をも・な2く
0050【人】−大ー
な2して・もの心ほそくな2可めゐ給ふなるを
なと・おほしよりて佐るへき人して氣色
と2ら2せ給个れと・世の1者可なさ越めにち可く
見し尓・いと心うく身もゆゝ志うお本ゆ連
ハ・い可尓も/\さやうのありさ満ハ・物う具な2ん
とすさまし遣なるよしきゝ給て2・い可て
可この1きみさへおほな2/\・こ2とい徒るこ2とを物
うくハもてな2すへきそ2と・うら2ミ給个れと・」(20オ・1691J)
志多しき御な2可ら2ひな2可ら2も・人さ満能いと
心者つ1可し遣尓物し給へハ・え志井てしも
きこえ2うこ可し給ハさり个り・花佐可りの
程二条の院の1さくら2を見やり給尓・ぬし
0051【ぬしなきやとの】−\(朱合点) 拾ー 浅茅原ぬしなき宿の桜花心やすくや風にちるらん(拾遺集62・拾遺抄・恵慶集38、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・花鳥余情・弄花抄・一葉抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚)
な2き2やとのまつ思やら2れ給へハ・心やすく
0052【心やすくやなと】−\(朱合点)
やな2とひとりこちあまりて・宮の御もと耳
まいり給へり・古ゝ可ち尓おハしまし徒きて・いと
よう春見な2れ給ひ尓多れハ・めやすの王さや
と見多てまつる物可ら2・れ2いのい可尓そやお本
ゆる・心の1そ2ひ多るそ2あやしきや・されと志ち」(20ウ・1692A)
0053【しち】−実
の1御心者え2ハ・いとあハれ尓うしろやすくそ2思
ひき2こ盈給遣る・な尓くれと御物可多りき2
こえ2可ハし給ひて2・ゆふ徒可多宮ハうちへまいり
給者むとて・御車の1佐うそくして・人/\おほ
くまいりあつ1まりな2と春れハ・多1ちいて2給て
多1いの1御方へ満いり給へり・山佐との遣ハひ・飛
き2可へて2・み春のうち心尓1くゝ春見な2して・お可
し遣なる王ら2者の春き可け本の1みゆる
志て2・御せ2うそこきこ盈給へ連ハ・御志とね1さ
しいてゝむ可しの1心志れる人なる遍し・い」(21オ・1692F)
てきて御返きこ2ゆ・あさゆふの1へ多てもある
ましう・思ふ給へら類ゝほとな2可ら2そ2能こ2と
と2なくて・きこ盈させ2むも1・中/\な2れ/\
しきと可めやと・徒ゝ見侍ほと尓・よ能な2
可かハりに多る心ちのミ楚し侍るや・御前
の1こ春ゑも可すミへ多てゝみえ2侍る尓・あハ
連なるこ2とおほくも侍る可な2とき古盈
て・うちな2可めて2も能し給遣しき・心く
流し遣なるを遣尓・おハせまし可ハ・お本徒可
な2可ら2す・行可へりか多ミ尓・花の1いろとりの」(21ウ・1692L)
こ2ゑをも・おり尓つけ徒ゝ・春古し心ゆきて・すく
し徒へ可り个る世をな2と・お本しいつる尓つけ
てハ・ひ多ふる尓多1え2こもり給へりしすま井
の1心ほそさよりも・あ可す可な2しうくちおし
き2こ2とそ2・いとゝ満さり个る・人ひともよ能つ年
尓・こ2と/\しくな2もてな2しきこえ2させ給
そ2・可きりな2き2御心の1ほとをハ・いましもこ2そ
見多1てまつり志ら2せ2多1まふさ満をも・見え2
多1てまつら2せ2給婦(△&婦)へ个れな2と・きこゆ連登・
人徒て2な2ら2春・ふと佐しいてきこえんこ2と」(22オ・1693C)
の1なを徒ゝましき2を・や春ら2ひ給ふ本
と尓・宮いて給ハむとて御ま可り申志尓王
多り給へり・いときよら2尓・ひき徒くろひ遣
佐うし給て2・みる可ひある御さ満な2り・中納言
ハこ2な2多尓な2り个りと見給て2・な2と可む遣
尓佐し者な2ちてハ・い多1し春ゑ給へる御あ多
里尓ハ・あまりあやしとおもふまて・うしろ
や春可りし心よせを・我多1めハおこ可満し
き2こ2ともやとお本ゆ連と・さす可尓む遣
尓遍多てお本可ら2むハ・徒ミもこ2そうれ・ち可や」(22ウ・1693I)
可尓て・む可し物可多りも1うちか多ら2ひ給へ可し
な2と・きこ盈給もの可ら2・さハありともあまり
心ゆるひせ2んも・ま多い可尓そ2や・うた可ハし
き2志多の心尓そあるやと・うち可へしの給
へハ・ひと可多な2ら2す王徒ら2ハし个れと・我御
心尓もあハれふ可く・思ひ志ら2連尓1し人の御こゝ
ろを・いましもをろ可なるへきな2ら2ね1ハ・か
の1人も思ひの給ふめるやう尓・い尓しへの
御可ハりと・な2すら2へきこえ2て・かうおもひし
里个りと・ミ盈多てまつる布しも1あら2」(23オ・1694@)
ハやとハおほせ2登・さす可尓と2可くやと2・可多/\
尓や春可ら2すきこえ2な2し給へハ・く流しう
お本され个り
以哥詞為巻名但詞ニワ蕨トアリ
薫廿一歳の春の事あり 異本」(23ウ)
二交了(朱)」(前遊紙1オ)