First updated 01/13/2002
Last updated 12/24/2024
柏木
【凡例】
1.『源氏物語(明融本)Ⅱ』(東海大学出版会 1990年7月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母字形は茶色で表示し、同じ字母字形が並ぶ場合は緑色で表示した。
9.付箋については、定家本と共通する付箋は○数字で併記した。
「可しハ木 三十六」(題箋)
「上冷泉殿為和卿御息明融 琴山(印)」(遊紙表貼紙)
衛門のかむのきみかくのみな1やみわ堂り給こ2と
猶をこ堂らて年も1可へりぬお1とゝ北の方お1
ほしな1遣くさ満を見多て万つる尓志ひて可个
者な2れなむいの1ち可ひな1く徒みをもかるへき
0001【つみをもかるへきこと】-親ニオクルヽコト
こ2とを思ふ心者心として又あ那可ち尓この世尓
はな2れ可多くお1しみとゝめ万ほしき身可は
い者遣な1か里し本とより思ふ心こ2と尓てな1尓こ
と2をも人尓い万ひとき者万佐らむとお1本や个」(1オ)
0002【きはまさらむと】-摂政
わ多くしのこ2と尓布れてな1のめな2らす思日の本
里し可とそ2の1心かな2ひ可多可り个里と飛と徒
布多徒の布しこ2とに身を思日お1としてしこ
な1多な1へての世中春さましうお1もひな2りて
0003【なへての世中】-\(合点)大可多のわ可身一のう起可ら尓/なへて2の世をも/うら見つる哉(付箋1)
のちの世のをこな2ひ尓ほい布可く春ゝみ尓
しをお1や多ちの御うらみを思ての1山尓もあく
0004【の山にも山にも】-いつく尓1可世をハいとハむ/心古そ野尓1も山尓1も/まとふへらな2れ(付箋2)
かれむみちのをもきほ多しな2るへくお1ほえ
志可者とさ満かうさ万尓万きら者しつゝ」(1ウ)
春くし徒るをつ徒ゐ尓猶世尓堂ち万ふへ
具も1お1ほえぬ物思日の飛と可多な2ら須身尓
0005【物思ひ】-女三
そ2飛尓多る者われよりほ可尓多れ可者つらき
心徒可らも1てそ2こな2飛つるにこそ2あめれと思
尓うらむへき人も1なし神仏をもかこ多む
方な1き者これみな1さるへき尓こそ2者あらめ
堂れも1ちとせのま徒な2らぬ世者徒ゐ尓と万
0006【たれもちとせの】-\(合点)うくも世の思心尓かな者ぬ可/多れちとせの松な2らなく尓1(付箋3/①)
累へき尓もあらぬをかくひと尓もすこしうち」(2オ)
志の1者れぬへきほと尓てな1遣のあ者れをも
か遣給人あらむをこそ2者ひとつお1も1ひ尓
0007【ひとつおもひに】-\(合点)夏むしの身をい多徒ら尓1なす/事も/一思日尓1よりてなり个り(付箋4/②)
も1盈ぬる志るし尓者せめ勢免てな1可らへハ
をの1つ可らあ累満しき名をも多ち我も人も1
や春可らぬみ多れいてくるやうも1あらむより者
な1めしと心をい給らんあ多り尓も佐里ともお1
ほしゆるいてむかしよろつのこ2といま者のとち
め尓者みな1きえぬへきわさな2り又こ2とさ万の」(2ウ)
0008【きえぬへき】-文ノコト
あや満ちしな1个れ者年ころも1のゝお1里ふしこ2と
尓者ま徒者しな2らひ給尓しか多のあ者れも
いてきな2んな2と徒れ/\尓思つゝくるもうち可へし
伊とあちきなしな1と可く本ともな1く志な2しつ
0009【しなしつ】-子ク名ノタツコト也
累身な2らんとかきくらし思み多れて枕もう
0010【枕もうきぬ許】-泪川枕な2可るゝう起年尓ハ/夢もさ多可尓1/見え須そ有个る(付箋5)
きぬ許人やりな2らすな1可しそ2へ徒ゝいさゝ
かひ万ありとて人/\多ちさり給へる本と尓かし
0011【かしこに】-女三
こ尓御布み多て万つれ給いま者かきり尓な1
0012【いまはかきりに】-文詞
りにて侍ありさ万者をのつ可らきこしめす」(3オ)
やうも1者へらんをい可ゝな1りぬると多尓御み
とゝめさせ給者ぬもこ2と者りな2れといとうく
も1侍可那ゝときこゆる尓いみしうわな2ゝけハ
お1もふこ2ともみな2かき佐して
いま者とても1えむ个ふりもむす本ゝれ
0013【もえむけふりも】-\(合点)この世をも後をもい可尓1い可尓/せむ/も1えむ煙のむ春本ゝれつゝ(付箋6)
堂えぬお1もひの猶やのこらむあ者れと
た尓の1多万者せよ心の1とめて人やりな1ら
ぬやみ尓まと者むみちのひ可り尓も志侍」(3ウ)
らむときこえ給志ゝう尓もこ里す満尓あ者
れな2るこ2とゝもをい飛をこせ給へりみつ可らも
い万ひと多ひいふへきこ2とな2むとの多万へれハ
この人もわらはよりさる多より尓万いり
かよ飛徒ゝ見多て万つりな2れ多る人な2れハ
お1ほ个な1き心こそ2う多てお1ほえ給つ連
い万者ときく者いとかな2しうてな1く/\猶この
御返万こ2と尓これをとちめ尓もこそ2侍れと」(4オ)
きこゆれ者我も个ふ可あす可の心地して物心
0014【我も】-女三
0015【けふかあすかの】-人の世のをいを限(限$者て)尓しせまし/可ハ/个ふ可あ春可もいそ可佐ら/まし(付箋7/③)
ほそ2个れ者お1ほ可多のあ者れ許者思しら
累れといと心うきこ2とゝ思こり尓し可ハ伊みし
うな2む徒ゝ満し起とて佐ら尓かい多万者す
御心本上の徒よく徒しや可な2る尓ハあらねと
者つ可し遣な2る人の御个しきのお1り/\尓万本
0016【はつかしけなる人の】-源
な1らぬ可いとお1そ2ろしうわひしきな2るへし
されと御春ゝりな2とま可な1ひてせめきこゆ」(4ウ)
連者志ふ/\尓かい給とりて志の日てよゐの万き
れ尓かしこに万いりぬお1とゝ(+ハ)かしこきをこな2日
人可つらき山より佐うしいて多る万ちうけ
多万ひてか地万いらせむとし給みす本うと
経な2ともいとお1とろ/\しう佐者き多里人
の申す万ゝ尓さ万/\ひし里多徒遣んさな2
と能お1さ/\よ尓もきこえす布可き山尓こ
も1り多るな2とをもお1とうとのきみ多ちを徒可
者しつゝ堂つねめす尓け尓くゝ心月な2き山」(5オ)
布しともな2ともいとお1本く万いるわつらひ給
さ満のそ2こ者可となくものを心本そ2く思て
ねをの1み時/\な1き給お1むやうしな2ともお1本
0017【おむやうし】-ミヤウ
く者女のりやうとのみうらな2ひ申个れ者
さるこ2ともやとお1ほせと佐ら尓も1のゝ遣のあら
者れいてくるもな1き尓お1も本しわつらひてかゝる
0018【おもほしわつらひて】-致仕大臣ノ心
く万/\をも堂つね給な2り个りこのひしりも
堂遣多可や可尓満布し徒へ多万しくて」(5ウ)
0019【つへたましくて】-ツヘ/\シキナト云心
あらゝか尓お1とろ/\しく堂ら尓よむをい亭
阿な1尓くや徒みの布可き身尓やあらむたら
にのこゑ多可き者いとけお1そ2ろしくていよ/\
志ぬへくこそ2お1ほゆれとてやをらすへりいてゝ
この1しゝうとか多らひ給お1とゝ者佐も志り
多ま者すうちやすみ多ると人/\して申させ
給へ者さお1ほして志のひや可尓このひし里
ともの可多りし給お1とな2日給へれと猶者な1やき
0020【おとなひ給へれと】-年ヨリタル心
多る所つきてものわらひし給お1とゝのかゝる物」(6オ)
とも1とむ可ひゐてこのわつらひそ2め給しあり
さ万な尓ともな1くうち多ゆみつゝをもり給へる
こ2と満こ2と尓この物の遣あら者るへうねむし
給へな2とこ万や可尓か多らひ給もいとあ者れな2り
かれきゝ多万へな尓のつみともお1ほしよらぬ尓
0021【かれきゝたまへ】-柏詞侍従ニ
うらな2ひより个む女のりやうこそ2万こ2と尓さる
御しうの身尓そ2ひ多るな2らハ伊と者しき
0022【御しう】-執心
0023【御しうの身にそひたる】-諸仏既離我執(付箋8)
身をひき可へやむこ2とな2くこそ2な2りぬへ个れ
さても越本个な2き心ありてさる万しき」(6ウ)
あや万ちを飛きいてゝ人の御な1をも多て身をも
かへり見ぬ堂くひむ可し能世尓もな1くやハあり个る
0024【むかしの世にも】-伊物かゝるほとにみかときこしめしつけて/此男をハなかしつかハしてけれハ此女の/いとこの宮す所(五条后)女をはまかてさせて/くらにこめてしほりけれはこもりてなく/あまのかるもにすむむしのーー(付箋9)
と思な1お1す尓猶遣者ひわつらはしうかの
御心尓かゝると可を志られ多て万つりて世尓な1
からへむ事もいと万者ゆくお1本ゆる者个尓
こ2となる御飛可りな2るへし布可きあや万ちも
0025【御ひかり】-源ノコト威光
な1き尓見あ者せ多て万つりしゆふへの本とより
や可てかきみ多り万とひそ2め尓し多万しひの
身尓もかへらす」(7オ)
なり尓しをかの院のうち尓あく可れあり可ハ
むすひとゝめ多万へよな2といとよ者け尓から
0026【むすひとゝめたまへよ】-思あまり出にし玉の有ならむよふかくみえハ玉結せよ/恋侘てよる/\まとふわか玉ハ中々身にもかへらさりけり/玉はみつ主ハ誰ともしらね共結ひとむる下かひのつま(付箋10)
0027【からのやうなるさま】-うつせみはからをみつゝも(付箋11)
のやうな2るさ万してなきみわらひみ可多ら日
給宮もゝのをのみ者徒可しうつゝ満しとお本
し多るさ万を可多るさてうちしめりお1もやせ
給へらむ御さ満のお1もか个尓見多て万つる心地し
て思やられ給へ者遣尓あく可るらむ多万やゆ
きかよふらむな2といとゝしき心地もみ多るれ/者」(7ウ)
い万佐ら尓この御こ2とよか个てもきこえしこの
世者可う者可な1くて春きぬるをな可き世能
0028【世のほたしにも】-一念五百生ー(付箋12)
ほ多し尓もこそ2と思な2むいとお1しき心くる
志き御こ2とをたひら可尓と多尓い可てきゝを
い堂て万つらむ見しゆめを心ひとつ尓思あ
0029【見しゆめを】-柏
者せて又か多る人もな1き可いみしういふせく
も1ある可那ゝとゝりあつめ思しみ給へるさ万の
布可きをかつ者いとう多てお1そ2ろしう思へと
あ者れ者多え志の者すこの人もいみしう」(8オ)
0030【この人も】-侍従
な1く志そ2くめして御返見給へハ御ても猶いと
者可な1个尓お1可しき本と尓かい給て心くるし
うきゝな可らい可て可者多ゝをし者可りの1こ
らむとある者
堂ちそ2ひてきえやしな1万しうきこ2とを
思み多るゝ遣ふりくらへ尓をくるへうやはと
0031【けふりくらへに】-柏木/今はとてもえむ煙もむすほゝれたへぬ思ひの猶や残らん(付箋13)
者可りあるをあ者れ尓か多し个な2しと思ふ
いてやこの个ふり者可りこそ2者このよのお1もひ
伊てな2らめ者可な1くもあり个る可那といとゝ」(8ウ)
な1き万佐り給て御返布しな2可らうちやす
み徒ゝかい多万ふこ2とのはのつゝきもな1う
あやしきとりのあとのやう尓て
ゆく衛な1きそ2らの个ふりとな1りぬとも
お1もふあ多りを多ち者ゝな2れしゆふへ者わき
0032【けふりとなりぬとも】-鳥へのにこよひも煙立めりと/いひてなかめし人もいくほと(付箋14)
てな1可めさせ給へと可めきこ江させ多ま者む
人めをもいま者心やすくお1ほしな2りて
かひな1きあ者れを多尓も多えすか个させ給
へな2と」(9オ)
かきみ多りて心地のくるし佐万さ里个れ者よし
い堂う布个ぬさき尓かへり万いり給てかく可き
里のさ満尓な2んともきこえ給へいま佐ら尓人
あやしと思あ者せむをわ可世のゝち佐へ思こそ2
くちお1し个れい可なるむ可しの1ちきり尓ていと
0033【くちおしけれ】-苦シイケレ
かゝるこ2としも1心尓志み个むとな1く/\ゐさりい
0034【心にしみけむ】-別てふことは色にもあらなくに/心にしみてわひしかるらむ(付箋15)
里給ぬれ者れい者むこ尓む可へすへて春ゝろ
0035【れいは】-侍従心
0036【むこに】-無五期
ことをさへい者せ万ほしうし給をこ2とすく」(9ウ)
な1尓てもと思ふ可あ者れな2る尓えもいてやら春
御ありさ万を免のともか多りていみしくな1き
万とふお1とゝな2とのお1ほし多る个志きそ2い
みしきやきのふ个ふ春こしよろし可りつるを
な2と可いとよ者け尓者見え給とさ者き給な2尓
0037【なにか猶】-柏
か猶と万り侍ましきな2めりときこえ給てみつ
可らもな1い給宮者このくれ徒可多よりな1や
0038【宮は】-女三
満しう志給个るをそ2能御个しきと見多て
万つり」(10オ)
志里多る人/\佐者きみちてお1とゝ尓もきこえ多
り个れ者お1とろきてわ多り給へり御心のうち者あ
0039【御心のうち】-源
な1くちお1しや思万す(す=しイ)る方な2くて見多て万つら万
し可者めつらしくうれし可らましとお1ほせと
人尓ハ个しきも1ら佐しとお1ほせ者遣むさな2と2
めしみす本う者いつとな1く布多ん尓せらるれハ
そ2うとものな2可尓遣むあるかきりみ那万いりて
0040【はそうとも】-河 伴僧トアリ(付箋16)
か地万いりさ者くよひとよな1やみあ可佐させ給日て」(10ウ)
日佐しあ可る本と尓う満れ多万ひぬお1とこ君と
0041【おとこ君ときゝ給に】-源
きゝ給尓かく志のひ多るこ2とのあや尓く尓いち
志るきかほつき尓て佐しいて多まへらんこそ2
く累し可るへ个れ女こそ2な尓とな1く万きれ
あ万多の人の見る物な2らねハやす个れとお1本
す尓又かく心くるしきう多可ひ万し里多る尓
て者心やすき方尓ものし給もいとよし可し
0042【心やすき方】-女三也
さてもあやしやわ可世とゝも尓お1そ2ろしと
思しこ2とのむくひな2めりこの世尓てかく思可个ぬ」(11オ)
こ2と尓む可者りぬれ者のちのよの徒みもすこし
0043【のちのよのつみ】-要集云有智之人以智恵力能令地獄/極重之業現世軽受愚痴之人現世軽/業獄重転重軽受注也 出弥鉢経(付箋17)
かろみな2んやとお1本す人者多志らぬこ2とな2れ者
可く心こ2とな2る御者ら尓てすゑ尓いてお1ハし多る
御お1ほえいみし可りな2んと思いとな2みつ可う万つる
御う布やのきしきい可めしうお1とろ/\し
御可多/\さ満/\尓しいて給御(+う)ふやしなひ
よのつねのお1しきつい可さね堂可徒きな2との
心はえもこ2と佐らに心/\尓いとまし佐みえ」(11ウ)
つゝな2む五日の夜中宮の御可多よりこもち
0044【中宮】-秋好 明石歟
0045【こもちの御前】-女三
の御前の物女ハうのな可にも志那/\尓思あて
0046【物】-分物
堂るきは/\お1ほや遣こ2とにい可免しうせ
させ給へり御可ゆてと2んしき五十くと2ころ/\の
きやう院のしもへちやうの免しつきところ
な尓可のくまゝてい可免しくせ佐せ給へり宮
0047【宮つかさ】-中宮職
徒可さ大夫よりハしめて院殿上人ミ那まいれり
0048【大夫】-中宮大夫
0049【院殿上人】-冷 ノ
七夜ハうちよりそ2れもお1ほや遣さ満な2りちし
のお1とゝなと心こ2とにつ可うまつり給へき尓この
ころハ」(12オ)
な尓こ2ともお1ほされて越本そ2うの御と2ふらひ
のみそ2あり遣る宮多ち可む多ち免な2とあま多
まいり給お1ほ可多の个しきもよ尓那きまて
かし徒きゝこえ給へとお1とゝの御心のうちに心く
0050【おとゝの御心】-源
るしとお1ほすこ2とありてい多うもゝて者やし
きこえ給者須1御あそ2ひなとハな2可り个り宮ハ
0051【宮は】-女三
さ者可りひわつな2る御さ満尓ていとむくつけう
な2らハぬこ2とのお1そ2ろしうお1ほされ个るに
御ゆな2ともきこしめさす身の心うきこ2とを」(12ウ)
かゝる尓つけてもお1ほしいれハさハれこのついて尓
も志な2ハやと2お1本すお1と2ゝはいとよう人めを
0052【おとゝ】-源
可さりお1ほせとま多むつ可し遣尓お1者す累な2と
をとりわきてもみ多てまつり給ハすな2とあれハ
お1いしらへる人なとハいてやお1ろそ2可尓もお1
0053【おいしらへる人】-女三ノ官女
者します哉めつらしう佐しいて堂まへる御あり
さ満の可者可りゆゝしきまてにお1ハしますをと2
うつくしみきこゆれハ可多みゝみ尓きゝ給てさのみ
0054【かたみゝみにきゝ給て】-女三
こそ2ハお1ほしへ堂徒るこ2ともまさら免とうら
めしうわ可身つらくてあま尓もな2りなハやの」(13オ)
御心徒きぬよる那ともこな2多尓ハお1ほと2のこも
らすひるつ可多な2とそ2佐しのそ2可せ(可せ$き)給世中の
0055【世中の】-源
者可那きをみるまゝにゆくすゑミし可う物心本
そ2くて越こな2ひ可ち尓なり尓て侍れハかゝる本と
のらうか者しき心ちする尓よりえまいりこぬを
0056【らうかはしき】-ミタレカハシ
い可ゝ御心ちハさ者や可尓お1ほしな2り尓堂りや
心くるしうこそ2とて御き丁のそ2ハより佐しのそ2
き給へり御くしも堂け給てなをえいき多る
0057【御くしもたけ給て】-女三
ましき心ちな2むし侍るをかゝる人ハつみも」(13ウ)
をも可な2りあま尓な2りてもしそ2れ尓やいきと満
累と心ミ又なくな2るともつみをうしな2ふこ2と
もやと2な2む思者へると2つねの御个者ひよりは
いとお1とな2ひてきこえ給をいとう堂てゆゝしき
0058【いとうたて】-源
御こ2とな2りなとて可さ満てハお1ほす可ゝるこ2とハ
さのみこそ2お1そ2ろし可な2れとさてな2可らへぬわ
佐な2らハこそ2あらめと2きこえ給御心のうちにハ
まこ2とにさもお1ほしよりての堂まハゝさやう
尓てみ多てまつらむハあ者れな2りなむ可し
可つみつゝもこ2と尓ふれて心を可れ多ま者む可」(14オ)
0059【かつみつゝも】-カク也
心くるしう我な2可らもえ思な2お1すましうゝき
こ2とうちましりぬへきをゝのつ可らをろ可尓人の
みと可むるこ2ともあらむ可いと/\お1しう院な2との
きこしめさむこ2ともわ可をこ堂りにのみこそ2
者な2ら免御なやみ尓こ2とつけてさもやな2し
堂てまつりてましなとお1ほしよれと又いと
あ堂らしうあ者れ尓可者可りとをき御くし
のお1日さき越し可やつさむこ2とも心くるし
遣れハなをつよくお1ほしな2れ个しうハお1ハ
せし可きりとみゆる人も堂日らなる多めし」(14ウ)
ち可遣れ盤佐す可に堂のみあるよ尓な2むなと
きこえ給て御ゆまいり給いとい多うあお1み
や勢てあ佐ましうは可な2个尓てうち婦し
堂まへる御さ満お1ほときうつくしけな2れ者
いミしきあやまちありと2も心よ者くゆるし
徒へき御さ満可那とみ多てまつり給山のみ可と
者めつらしき御こ2と堂日ら可なりと2きこし
めしてあ者れ尓ゆ可しうお2も本す尓可くな2やミ
堂まふよしのミあれ盤い可尓物し給へき尓可と」(15オ)
御をこなひもみ多れてお1ほし遣り佐者可りよ
者り給へる人のものをきこしめさてひころへ
堂まへハいと多のもしけな1くなり給てと2しころ
み堂てまつら佐りし本とよりも院のいとこ日
しくお1ほえ給を又もみ多てまつらすなり
ぬる尓やとい多うな2い給可くきこえ給さ満
さ累へき人してつ多へそ2う勢させ給个れハ
いと多え可多う可な2しとお1ほしてあるましき
0060【いとたえかたうかなし】-朱
0061【あるましきこと】-出山ノコト
こ2とゝハお1ほしめしな2可らよ尓可くれていてさせ」(15ウ)
堂まへり可ねてさる御せうそ2こもなくて尓ハ
可尓かくわ多りお1者しまい堂れ盤あるしの
院お1とろきかしこまりきこえ給世中を
可へりみすまし(+う)思者へりし可となをまとひ
さ免可多きもの者このみちのやみ尓な2む侍
り个れハをこな2ひも遣多いしてもしをくれ
佐き堂つみち能堂うりのまゝな2らてわ可れな2ハ
や可てこのうらみもや可多み尓のこらむとあち
きなさ尓このよのそ2しりをはしらて可く」(16オ)
ものし侍ときこえ給御可多ちこ2と尓てもな2ま
め可しうな2つ可しきさ満尓うちしのひやつれ給て
うるわしき御本うふくな2らすゝみそ2免の御す
可多あら満本しうきよらなるもうらやましく
み堂てまつり給れいのま徒な2み多お1とし給
わつらひ給御さ満こ2と那る御なやミ尓も侍らす
堂ゝ月ころよ者り給へる御ありさまに者
可/\しう物なともまいらぬつもり尓や可く物
し堂まふ尓こそ2な2ときこえ給可多わらいた/き」(16ウ)
0062【かたわらいたき】-レウシナルコト
越ましな2れともとて御丁のまへ尓御しと2ね
まいりていれ堂てまつり給宮をもと2可う人/\
つくろ日きこえてゆ可のしも尓お1ろし堂て
まつる御木丁すこし越しやらせ多まひてよ
0063【よゐかちそう】-朱詞
ゐ(+ノ)可ち(+ノ)そ2うなとの心ちすれと2ま多个むつく
者可りのをこな2ひ尓もあらねハ可多わらい多
遣れと多ゝお1ほつ可な2くお1ほえ給らむさま
を佐な2可らみ給へきなりとて御免をしのこハせ
堂まふ宮もいとよ者けにな2い給ていくへう/も」(17オ)
お1ほえ侍らぬを可くお1者しまい堂るついてに
あま尓なさせ給てよときこえ給さる御本い
0064【さる御本い】-朱詞
阿らはいと多うときこ2と那るを佐す可に可きらぬ
いのちのほと尓てゆくす衛とをき人ハ可へりて
こ2とのみ多れあり世の人尓そ2しらるゝやうあり
ぬへきなとの給者せてお1とゝの君尓可くな2む
すゝみの堂まふをいまは可きりのさ満ならハ
可多時の本と尓てもそ2の堂す个あるへきさ
ま尓てとな2む思多まふるとの多まへハひころ/も」(17ウ)
0065【ひころも】-源
可くな2むの堂まへと佐遣な2との人の心多ふろ
かして可ゝる可多尓てすゝむるやうも者へな2るを
とてきゝもいれ侍らぬな2りと2きこえ給ものゝけの
0066【ものゝけの】-朱詞
お1しへ尓てもそ2れ尓まけぬとてあし可るへきこ2と
0067【あしかるへきこと】-コレハ出家ノコトナレハト也
な2らハこそ2者ゝから免よ者りに多る人の可きり
とて物し堂(堂$)給者むこ2と越きゝすくさむはのち能
くい心くるしうやとの給御心のうち可きりなう
うしろやすくゆつりをきし御こ2と越う遣とり
堂まひてさしも心さしふ可ゝらすわ可お1もふ」(18オ)
0068【心さしふかゝらす】-源ノ女三ヲ思給ハヌトノ心
やう尓ハあらぬ御个しきをこ2と尓ふれつゝと2しころ
きこし免しお1ほしつめ个るこ2といろ尓いてゝう
らみきこえ給へき尓もあらねハよの人の思いふらむ
ところもくちお1しうお1ほしわ多る尓かゝ累お1
りにもて者な2れな2むもな尓可ハ人わらへ尓よ
0069【人わらへに】-世ニサタアルヲ色ニ出マシトノ心
をうらみ堂累けしきな2らて佐もあら佐らむ
お1ほ可多のうしろミに者なを多のまれぬへき御
をきてな2る越堂ゝあつけをき多てまつりし
しるしにハ思な2して尓く遣尓そ2むくさ満尓ハ」(18ウ)
あらすとも御そ2うふん尓ひろくお1もしろき宮
0070【御そうふん】-所分
0071【おもしろき宮】-三条院
堂ま者り多まへるをつくろ日てすま勢多て
0072【たまはりたまへる】-朱ヨリ女三ヘ給也
まつらむわ可お1者しますよ尓佐る可多尓ても1
うしろめ堂可らすきゝをき又可のお1とゝも
さいふともいとお1ろ可尓ハよもお1もひ者な2ち給ハ
しそ2の心者え(+を)もみ者てむとお1も本しとりて
さらハ可くものし堂るついて尓いむこ2とう遣給
0073【いむこと】-戒法
者ら(ら$)むを多尓けちえん尓せむ可しとの給ハす
0074【けちえん】-結縁
お1とゝの君うしとお1ほす可多もわすれてこ者
い可な2るへきこ2とそ2と可な2しくゝちお1し遣れハえ堂」(19オ)
へ給者すうちにま(ま$)いりてな2と可いく者くも侍る
0075【うちにいりて】-女三ヘノ詞
0076【いくはくも侍るましき身】-いく世しもあらしわか身をなそもかく/あまのかるもに思みたるゝ(付箋18)
ましき身越ふりすてゝかう者お1ほしな2り
尓遣累なをし者し心をし徒め多まひて
御ゆ万いりものな2と(+を)もきこしめせ堂うとき
こ2とな2りとも御身よ者うてハをこな2井も
し堂まひてんや可つハ徒くろ日給てこそ2
ときこえ給へとかしらふりていと徒らうの
堂まふとお1ほし多りつれな2くてうらめしと
0077【つれなくてうらめしと】-源ノ心女三ノ恨アルカト也
お1ほすこ2ともあり遣る尓やとみ多て満つり」(19ウ)
堂まふ尓いとお1しうあ者れな2りと2可くきこえ
かへさむお1ほしやすら婦本と尓よあけ可多尓な2
りぬ可へりいらむ尓みちも日るはゝし多な
可累へしといそ2可せ給て御いのり尓(尓$の)候(候=さふらふ)な2可にやむ
こ2とな2う多うとき可きりめしいれて御くしお1ろ
させ給いと佐可り尓きよらなる御くしをそ2き
すてゝいむこ2とう遣給さ本う可な2しうくちお1
し遣れハお1とゝハえしのひあへ給ハすいみし
うな2い給院ハ多もとよりと2りわきてやむこ2と/な2う」(20オ)
人よりもすくれてみ多てまつらむとお1ほしゝ
をこの世尓ハ可ひな2きやう尓ない多てまつるも
あ可す可な2し个れハうちし本多れ給可くても
堂ひら可にてお1な2しうハねむすをもつと免多
まへときこえをき給てあ遣者てぬる(る=無イ)尓いそ2
きていて佐せ多まひぬ宮ハな2をよ者うきえ
いるやう尓し給て者可/\しうもえみ多てまつらす
ものな2ともきこえ多ま者すお1とゝもゆめのやう尓
思多まへみ多るゝ心まとひ尓かうむ可しお1ほえ」(20ウ)
堂るみゆきの可しこまりをもえ御らむせられぬ
らう可ハしさハこ2と佐らにまいり侍りてな2むと
きこえ給御をくりに人/\まいらせ給世中の
0078【世中の】-朱詞
个ふ可あす可にお1ほえ侍りし本と尓又しる人
0079【しる人】-女三ヲ預ン人ナシト也
もな1くて堂ゝよ者むこ2とのあ者れ尓さり可多う
お1ほえハへし可は御本い尓者あらさり遣免と
可くきこえつ个てと2しころ者心やすく思多まへ
つるをも1しもいきと満り侍らハさ満こ2と尓可者り
0080【さまことにかはりて】-女三ノコト
て人志けきすまゐ者つきな2可るへきを佐るへき
山さとな2とに可け者な2れ多らむありさまも」(21オ)
又さす可に心本そ2可るへくやさ満尓し多可ひて
な2をお1ほし者な2つましくなときこえ給へ者
さらに可くまてお1ほせらるゝな2む可へりて者つ可
0081【さらにかくまて】-源詞
しう思多まへらるゝみ多り心ちと2可くみ多れ侍
てな尓こ2ともえわきまへ者へらすとてけ尓いと
堂え可多遣尓お1本し多りこやの御可ちに御物の
けいてきて可うそ2あるよいと可しこうと2り可へし
徒と2ひとりをはお1本し堂りし可いとね多可りし
可者このわ多り尓佐り个な2くてな2む日ころ
さふらひつるいまは可へりなむとてうちわらふ」(21ウ)
0082【いまはかへりなむとて】-栄花 小一条院女御〔顕光/女〕の邪気にて御堂の/御女のひさしく煩給ひてつゐに御くしおろさせ/給ふその時邪気人に付て今こそうれしけれ/とて手をうちて笑けるよしみえたり(付箋19)
いとあ佐ましうさはこの物の个のこゝにも者な2
れさり个る尓やあらむとお1ほす尓いとお1しう
くやしうお1ほさる宮すこしいきいて給やうな2
れとなを多のみ可多遣尓見え給さふら婦人/\も
いといふ可ひな2うお1ほゆれとかうても堂日ら可に
堂尓お1者しま佐者とねむしつゝみ春本う又のへ
て多ゆみな2くをこな2者せなとよろつ尓せさせ
多まふ可のゑもんの可みハ可ゝる御こ2とをきゝ給尓
いとゝきえいるやう尓し給てむ遣尓多のむ可多すく/な2う」(22オ)
な2り給尓多り女宮のあ者れ尓お1ほえ多まへ者
0083【女宮】-女三
こゝ尓わ多り堂ま者むこ2とはいま佐ら尓かる/\
しきやうにもあらむをうへもお1とゝも可くつと
0084【うへも】-母
0085【おとゝも】-父
そ2ひお1者すれハ越のつ可らとり者つしてみ多て
まつり給やうもあらむ尓あちきな2しとお1ほして
可の宮尓と2可くしていまひと多ひまうてむと
の堂まふを佐ら尓ゆるしきこえ給ハす多れ尓
0086【たれにも】-柏詞
もこの宮の御こ2とをきこえつけ給者しめより
0087【この宮】-女二
者ゝみやす所者お1さ/\心ゆき多ま者さりし
をこのお1とゝの井多ちねむころ尓きこえ給」(22ウ)
て心さしふ可ゝりし尓満个給て院尓もい可ゝハせむ
と2お1ほしゆる志个る越二品宮の御こ2とお1も本し
0088【二品宮】-女三
み多れ个るついて尓中/\この宮ハゆくさきう
しろやすくまめや可な2るうしろみまうけ給へ
りとの多まハすときゝ給しを可多しけな2う思
いつ可くてみすて多てまつりぬるな2めりと思尓つけ
てハさ満/\尓いとお1し个れと心より本可なるい
のちな2れハ多へぬちきりうらめしうてお1ほし
な2个可れむ可心くるしきこ2と御心さしありて」(23オ)
と2ふらひ物せ佐せ多まへと者ゝうへ尓もきこえ給
いてあ那ゆゝしをくれ堂てまつりてハいく者く
0089【いてあなゆゝし】-母詞
よ尓婦へき身とて可うまてゆくさきのこ2と
をはの多まふとてなき尓のミな2き多まへハ
えきこえやり堂ま者す右大弁の君尓そ2
0090【右大弁の君】-紅梅
お1ほ可多のこ2とゝもはく者しうきこえ給心ハへ
のゝと2可によくお1ハしつる君な2れハお1とうと2の
0091【君】-柏ノコト
きみ多ちも又春ゑ/\のわ可きハお1やと2のみ
多のみきこえ給つる尓可う心本そ2うの給を」(23ウ)
可な2しとお1も者ぬ人な2くと2のゝうちの人も1な
遣くお1ほや遣もお1しみくちお1し可らせ給可く
可きりときこしめして尓者可に権大納言尓な2
させ給へりよろこひ尓思お1こしていまひと多日
もまいり給やうもあるとお1ほしの多ま者せ
个れとさら尓え多めらひやり多ま者てくるし
きな可尓もかしこまり申給お1とゝも可くを
もき御をほえをみ多まふ尓つけてもいよ/\
可な2しうあ多らしとお1ほしまとふ大将の君
つね尓いとふ可う思な2个きとふらひきこえ給」(24オ)
御よろこ日尓もま徒まうて多まへりこのお1者する
0092【御よろこひにも】-権大納言ノ祝
堂いの本とりこ那多のみ可とハむまくるま多ち
0093【たいのほとり】-柏詞
こみ人さわ可しうさはきみち多りこ2としと2
な2りてハ越きあ可るこ2ともお1さ/\し堂ま者ねハ
お1も/\しき御さ満尓み多れな2可らハえ多いめし
多ま者て思つゝよはりぬるこ2とゝ思尓くちお1
し遣れハなをこな多尓いらせ多まへいとらう
可者しきさ満尓者へるつ1ミはお1のつ可らお1ほし
ゆるされな2むとてふし多まへるまくら可みの可多
尓そ2うなとしハしい多し給ていれ多てまつり給」(24ウ)
者やうよりいさゝかへ多て給こ2とな2うむつひ可ハし
0094【はやうよりいさゝか】-栄 粟田殿〔道兼也母同道長公〕御病の中に関白になり給御よろこひに小野宮殿参/給へりけるをもやのみすおろしてよひいれ奉り給へりふしなから/たいめんありてみたり心ちいとあしう侍てとにはまかりいてねハかく/申侍なりーー(付箋20)
給御中な2れハわ可れむこ2との可な2しうこひし
可るへきな2けきお1や者ら可らの御思尓も越とら
す个ふハよろこ日とて心ちよけな2ら満しをと
お1もふ尓いとくちお1しう可ひな2しなと可く多の
0095【なとかく】-夕霧詞
もし遣な2くはな2り給尓个る个ふ者可ゝる御よ
ろこ日尓いさゝかすくよ可尓もやとこそ2思侍つれ
とて木丁のつまひきあ个多まへれハいとくちお1しう
そ2の人尓もあらすなり尓て者へりやとてえ本う(う$)
し者可りお1しいれてすこしお1きあ可らむとし給へと」(25オ)
いとくるし遣な2りしろきゝぬとものな2つ可しう
な2よゝかなるをあま多可さねてふすまひき
可遣てふし多まへりお2ましのあ多り物きよけ尓
け者ひ可うハしう心尓くゝそ2すみな2し多まへる
うちとけな2可らようゐありとみゆをもくわつらひ
多る人ハをのつ可ら可みひ个もみ多れものむつ可し
き个者ひもそ2ふわさなるをやせさら本ひ多る
0096【やせさらほひたる】-髐
しもいよ/\しろうあてなるさ満してまくらを
そ2ハ多てゝものな2ときこえ給个者日いとよは个に
いきも多えつゝあ者れ个な2りひさしうわつらひ」(25ウ)
多まへる本とよりハこ2とにい多うもそ2こな2ハれ
堂満者さり个りつねの御可多ちよりも中/\
0097【つねの御かたちよりも】-夕詞
ま佐りてな2むみえ給との多まふもの可らな2ミ多
をしのこ日てをくれ佐き多つへ多てなくとこ
0098【をくれさきたつ】-\(合点)
そ2ちきりきこえし可いミしうもある可那この1
御心ちのさ満をな尓こ2と尓てをもり給と多尓
えきゝわき侍らす可くし多しき本とな可ら
お1ほつ可な2くのみな2との給尓心尓ハをもくなる
0099【心には】-柏
けち免もお1ほえ侍らすそ2こ所とくるしきこ2とも
な2个れ盤多ちまち尓かうも思多まへさりし本と/尓」(26オ)
月日もへてよ者り侍尓个れハいま者うつし心も
うせ多るやう尓な2んお1しけな2き身をさ満/\尓
ひきとゝ免らるゝいのりくわんな2とのち可ら尓や
さす可に可ゝつらふも中/\くるしう侍れ者心も
てな2むいそ2き多つ心ちの(の#)し者へるさる(+ハ)このよの
0100【いそきたつ心ち】-死タキトナリ
わ可れさり可多きこ2とハいとお1ほうな2むお1や尓も
つ可うまつりさしていまさらに御心と2もをなやま
し君尓つ可ふまつるこ2ともな可者の本と尓て
0101【なかはのほとにて】-河 礼記五十指仕〔なかはゝ柏/廿五六歟〕不用之(付箋21)
身を可へりみる可多ハ多まして者可/\し可らぬ
うらみをとゝめ徒るお1ほ可多のな2けきをは」(26ウ)
さる物尓て又心のうち尓思給へみ多るゝこ2との
侍を可ゝるいまはのきさみ尓てな2尓可ハもら
すへきと思者へれとな2をしのひ可多きこ2と越
堂れ尓かハうれへ侍らむこれ可れあま多もの
0102【これかれ】-兄弟タチニモ語ラヌコト也
すれとさ満/\なるこ2と尓て佐ら尓可す免者へ
らむもあいな2し可志六てうの院尓いさゝかな2る
0103【六てうの院に】-女三ノコト
こ2との多可ひめありて月ころ心のうちに可しこ
まり申すこ2とな2む者へりしをいと本いな2う
世中心本そ2う思なりてやまゐつきぬとお1ほえ
者へしにめしありて院の御かの可くそ2の心みの」(27オ)
0104【かくそ】-所
ひまいりて御个しきを多ま者りし尓なをゆる
されぬ御心者へあるさ満尓御ましりをみ多てまつり
者へりていとゝよ尓な2可らへむこ2とも者ゝかりお1ほう
お1ほえな2り侍りてあちきなう思多まへしに
心のさはきそ2めて可くしつまらすな2りぬる尓
な2む人可すにハお1ほしいれさり个免といま(ま#者)け
0105【人かすには】-柏ヲ源ノ思召シノ心
なう者へし時よりふ可く堂のみ申す心の侍しを
い可な2る佐う个んなとのあり个る尓可と2これな2む
0106【さうけん】-讒言
このよのうれへ尓てのこり侍へ遣れハろな2う可の1ゝ
0107【ろなう】-無労
ちの1よ能さ満多け尓もやと思給ふるをことの」(27ウ)
ついて者へらは御みゝとゝめてよろしうあきらめ
申させ多まへな2可らむうしろ尓もこの可うし
0108【かうし】-カンタウ
ゆるされ堂らむな2む御と2く尓者へるへきな2と
の給まゝ尓いとくるしけ尓のみゝえまされ者いミ
0109【いとくるしけに】-夕詞
しうて心のうちに思あ者するこ2とゝもあれとさ/し
て堂し可尓ハえしも1お1し者可らすい可な2る御心のお1
尓ゝか者さらにさやうなる御个しきもな2く可く
をもり多まへるよしをもきゝお1とろきなけき
堂まふこ2とかきりなうこそ2くちお1し可り申給め
りし可なと可くお1ほすこ2とある尓てハいまゝて」(28オ)
0110【いまゝて】-ナトヽク仰給ハヌト也
のこい多まひつらむこ那多可(+な2)多あきらめ申
0111【のこい】-残
へ可り个るものをいまはいふ可ひな2しやとてと2り可へ
さ満本しう可な2しくお1ほさるけ尓いさゝかもひ
0112【けにいさゝかも】-柏
まありつるお1りきこえう遣給者るへうこそ2者へり
个れされといと可う遣ふあすとしも1やはと身つ可ら
0113【けふあすとしも】-今日不知死明日不知死何故造作栖安穏無常身(付箋22)
な2可らしらぬいのちの本とを思日のと免者へりける/も
者可なくな2むこのこ2とはさらに御心よりもらし給
ましさるへきついて侍らむお1り尓者御ようゐくハへ
堂まへとてきこえをく尓な2む一条尓ものし給
0114【一条にものし給】-女二ノコト
宮こ2と尓ふれてとふらひきこえ多まへ心くるしき」(28ウ)
さ満尓て院な2と尓もきこしめされ堂ま者むを
つくろ日多まへな2との給い者ま本しきこ2とはお1ほ
可るへ个れと心ちせむ可多な2くなり尓个れハいてさ
せ多まひねとて可きゝこえ多まふ可ちまいるそ2
うともち可うまいりうへお1とゝな2とお1ハしあつまりて
人/\も多ちさは遣者な1く/\いて給ぬ女御を者佐ら
0115【女御】-冷ノ女御柏ノイモト
尓も1きこえすこの大将の御可多な2ともいミしうな遣
0116【大将の御かた】-雲井雁
き給心お1きてのあまねく人のこの可み心尓もの
し堂まひ个れハ右の大と2のゝき多の可多もこの
0117【右の大とのゝきたのかた】-玉
きみをのみそ2むつましきもの尓思きこえ給个れハ」(29オ)
よろつ尓思な2个き給て御いのりな2とゝりわきて
せ佐せ給个れとやむくすりな2らねハ可ひな2きわさ
0118【やむくすりならねハ】-\(合点)我こそ2や(や=ハ)ミぬ人こ布るくせつ氣/れ(くせつ氣れ=病スレ イ)/あふより外のやむく春りな2し(付箋23/④)
尓な2むあり个る女宮尓もつ井尓え堂いめしきこ
え多ま者てあわのきえいるやう尓てうせ給ぬと2し
0119【あわのきえいるやうにて】-\(合点)水の泡のきえてうき身と知なから/流て猶もたのまるゝ哉/世皆不牢固如水沫泡焔 法花/幻世春来夢浮世水上泡 白氏(付箋24)
0120【としころしたの心】-女二ト柏ノ中
ころし多の心こそ2ねむころ尓ふ可くもな可りし可
お1ほ可多尓者いとあらま本しくもてな2し可志つ1きゝ
こえてけな2つ可しう心者へお1可しうゝちとけぬさ満尓て
すくい給个れ者徒らきふしもこ2とにな2し多ゝかく
みし可ゝり个る御身尓てあやしくなへての世す佐
ましう思給へ个るな2り个りと思いて多まふ尓」(29ウ)
いミしうてお1ほしいり多るさ満いと心くるし宮す所
もいみしう人わらへ尓くちお1しと2み多てまつり
な2けき給こ2と可きりな2しお1とゝき多の可多なとハ
0121【おとゝきたのかたなとは】-或説 清慎公〔致仕大臣〕の敦忠〔柏木〕の少将にをくれ給へるに/准す末の御子廉義公の昇進は廉義公に准/世継に 東のかたより敦忠少将のうせ給へるとも/しらて馬を奉りけれはおとゝ清慎公〔小野宮〕/またしらぬ人もありけり東ちに我も行てそ/すむへかりける(付箋25)
ましてい者む可多な2くわれこそ2佐き多ゝめ世の
こ2と者りなうつらいこ2とゝこ可れ多まへとな2尓の
可ひな2しあま宮者お1ほ个な2き心もう多て
0122【あま宮】-女三
のみお1ほされて世尓な2可ゝれとしもお1ほさゝりし
を可くな2むときゝ給ハ佐す可(+尓)いとあ者れな2り可し
わ可君の御こ2とをさそ2とお1もひ多りしも1け尓可ゝ
0122【わか君】-カホル
るへきちきり尓てや思の本可尓心うきこ2とも」(30オ)
あり个むとお1ほしよる尓さ満/\もの心本そ2うて
うちな可れ給ぬやよひ尓な2れハそ2らのけしき
もゝのうらゝか尓てこの君い可の本と尓なり給
0123【いかのほとに】-五十夜
ていとしろうゝつくしう本とよりハお1よす个て物
可多りな2とし給お1とゝわ多り給て御心ちハさは
や可尓なり多まひ尓多りやいてやいと可ひな2くも
者へる可那れいの御ありさ満尓て可くみな2し
0124【みなしたてまつらましかは】-残齢アルヲ尼ニナリ給ハヌ先ナラハ恨カラシトノ詞
堂てまつら満し可ハい可尓うれしう侍らまし心うく
お1ほしすて个るこ2とゝなミ多くみてうらみきこ
え給ひゝ尓わ多り給ていましもやむこ2となく」(30ウ)
可きりなきさ満尓もてな2しきこえ給御い可尓
0125【御いか】-五十日
もちゐまいらせ多ま者むとて可多ちこ2と那る
0126【かたちことなる】-尼ノコト
御さ満を人/\い可尓な2ときこえやすらへと院わ多らせ
多まひてな尓可女尓て(て$)物し給者ゝこそ2お1な2し
0127【なにか女に】-源詞
すち尓ていま/\しくもあらめとてみな2ミお1もてに
ちゐさきお1ましな2とよそ2ひてまいらせ給御免のと
いと者な2や可尓佐うそ2きて御前の物いろ/\をつくし
多るこ物日わりこの心者へと2も越うち尓もと尓も
本の心をしらぬこ2とな2れ者とりちらしな尓心も1な
0128【本の心】-柏ノ子トシラヌ心
きをいと心くるしうま者ゆきわさな2りやとお1本
0129【まはゆきわさなりや】-柏木の喪の説入ホカ也不用之(付箋26)
す宮もお1きゐ給て御くしのすゑのところせう」(31オ)
日ろこり堂る越いとくるしとお1ほしてひ多いな2と
な2てつ遣てお1者する尓木丁をひきやりてゐ給へハ
いと者つ可しうてそ2むき多まへるをいとゝちひさう
ほそ2り給て御くしハ越しミきこえてな可うそ2
き多り个れ盤うしろ者こ2とに个ちめもみえ
堂ま者ぬ本とな2り春き/\みゆる尓ひいろとも
0130【すき/\みゆるにひいろとも】-次々也非過重タル衣也(付箋27)
き可ちなるいまやういろな2とき給てま多ありつ可ぬ
0131【いまやういろ】-紅也
0132【いまやういろ】-水原/紅ニナラヘテハユルシ色トモ云/紅ニ撤スル時ハ今ヤウ色ト云也/延喜式ニモアリ(付箋28)
御可多者ら免可くてしもうつくしきこともの心ち
してな2満免可しうお1可し遣な2りいてあ那心う
すみそ2めこそ2な2をいとう多てめもくるゝいろな2り
个れ可やう尓てもみ多てまつるこ2とは多ゆましき」(31ウ)
そ2可しと思な2く佐め者へれとふり可多うわりな2き
心ちするなミ多の人わろさをいと可う思すてら
れ多てまつる身能と2可尓思な2すもさ満/\尓むね
い堂うくちお1しくな2むと2り可へす物尓も可な2や
0133【とりかへす物にもかなや】-\(合点)
とうちな个き多まひていま者とてお1ほし者な2
れ者まこ2とに御心といとひすて給个ると者つ可しう
0134【御心といとひすて】-女三ノ真実ノ心ニテステ給ハヽ我ヲミ限給カト思ハンヲト也
心うくな2むお1ほゆへきなをあ者れとお1ほせと
きこえ多まへハ可ゝる佐まの人ハ物のあ者れも志ら
0135【かゝるさまの人は】-女三
ぬものときゝしをましてもとよりしらぬこ2と尓て
い可ゝハきこゆへ可らむとの多まへハかひなのこ2とや」(32オ)
0136【かひなのことや】-源
お1ほしゝる可多もあらむ物をと者可りの給さしてわ可
君をみ多てまつり給御めのと多ちハやむこ2となく
めやすき可きりあまた多さふら婦めしいてゝつ可うま徒
るへき心をきてなとの給あ者れのこりすくなき世
にお日い徒へき人尓こそ2とてい多きとり多まへハいと
0137【おひいつへき】-\(合点)
心やすくうちゑミて徒ふ/\とこえてしろうゝつくし
大将な2とのちこお1ひ本の可にお1ほしいつる尓ハ尓給
0138【大将】-夕キリ
者す女御の御宮多ち者多ちゝみ可と2の御可多さ満尓
わう遣つきて个堂可うこそ2お1者しませこ2とにすく
れてめて多うしもお1者せすこの君いとあてなる尓」(32ウ)
そ2へてあい行つき満ミの可をりてゑ可ちなるな2とを
いとあ者れと見給思な2し尓やな2をいとようお1ほえ
0139【いとようおほえたり】-柏ニヽタル心
多り可し多ゝいまな2可らまな2こ井のゝの1(の1$)と可に者つ
0140【まなこゐ】-眼
かしきさま満もやう者な2れて可越りお1可しき可越さ
まな2り宮者さしもお1ほしわ可す人者多さらに
0141【宮は】-女三
しらぬこ2とな2れハ多ゝひとゝころの御心のうち尓のミ
そ2あ者れ者可那可り个る人のちきり可那とみ給尓お1
ほ可多の世のさ多免な2佐もお1ほしつゝ遣られてなミ
堂の本ろ/\とこ本れぬるを遣ふ者こ2といミすへき
日をと越しのこひ可くし給しつ可尓思てな个くに
0142【しつかに思て】-\(合点) 五十八翁方有後 静思堪喜亦堪嗟/持盃祝願無他語 慎勿頑愚似汝爺 白(付箋29)
0143【なけくにたへたり】-いとふにたえんと/かきたる本不用也(付箋30)
堂へ多りとうちすうし多まふ五十八をと2お1とり」(33オ)
すて堂る御よ者ひな2れとすゑ尓な2り多る心ちし
給ていと物あ者れ尓お1ほさる汝可ちゝ尓とも1いさ
0144【汝かちゝに】-\(合点)
めま本しうお1ほし个む可しこのこ2との心しれる
人女者うの中尓もあらむ可し志らぬこそ2ね多个れ
0145【しらぬこそ】-柏トノ中立ノコト
お1こな2りとみるらんとやす可らすお1ほせと2わ可御と2可
あるこ2とはあへなむふ多つい者む尓者女の御多め
0146【あへなむ】-アルマイト云心
こそ2いとお1し个れな2とお1ほしていろ尓もい多し
堂ま者すいと那尓心な2う物可多りしてわらひ
給へるまみくちつきのうつくしきも心しらさらむ
0147【まみ】-カホル
人者い可ゝあらむなをいとよく尓可よひ多り个り
と2み給尓お1や多ちのこ多尓あれ可しとない給」(33ウ)
0148【み給におやたちのこたに】-給をくかたみの子たに(付箋31)
らむ尓もえみせす人しれす者可那き可多み者可り
をと2ゝめをきて佐者可り思あ可りお1よす个多り志
身を心もてうしなひつるよとあ者れ尓お1し
遣れ者めさ満しとお1もふ心もひき可へしうちな
可れ給ぬ人/\春へり可くれ多る本と尓宮の御
0149【すへりかくれたる】-御祝ハテタル也
もとにより多まひてこの人をはい可ゝみ給や
0150【この人を】-カホル
可ゝる人をすてゝそ2むき者て多まひぬへき世に
やあり个るあ那心うとお1とろ可しきこえ給へハ
可本うちあ可免てお1者す
堂可よ尓可多ね者まきしと人と2者ゝ
0151【たかよにか】-源
い可ゝい者ねのま徒ハこ多へむ」(34オ)
0152【たかよにかたねは】-あつさ弓いそへの小松たか世にか/万代かけて種をまきけむ(付箋32)
あ者れなりな2としのひてきこえ給尓御いらへも
なうて日れふし多まへりこ2と者りとお1ほせハし
ゐてもきこえ給者すい可尓お1ほすらむものふ可
うな2とハお1者せねとい可て可ハ堂ゝ尓はとお1し
0153【たゝにはと】-女三ノ此事ヲ深思給ント也
者可りきこえ給もいと心くるしうな2む大将のきみ/ハ
0154【大将のきみ】-夕
可の心尓あまりて本の免可しいて多りしをい可
0155【ほのめかしいてたりし】-女三ノコト
な2るこ2とに可あり个むすこし物お1ほえ多るさ満
0156【物おほえたるさま】-柏ノ体
ならまし可ハさ者可りうちいてそ2免多りしにいと
ようけしきはみてましをいふ可ひな2きとちめ
尓てお1りあしういふせくてあ者れ尓もありし/可那と」(34ウ)
お1も可けわ春れ可多うて者ら可らの君多ちよりも
しゐて可な2しとお1ほえ給个り女宮の可く世を
そ2むき多まへるありさ満お1とろ/\しき御な2やミ
尓もあらてす可や可にお1ほし多ち个る本とよ
0157【すかやかに】-スミヤカ也
又さりともゆるしきこえ給へきこ2と可ハ二条
0158【二条のうへ】-紫上
のうへのさハ可り可きり尓てなく/\申給ときゝ
しを者いみしきこ2とにお1本してつゐ尓可く
可个とゝめ多てまつり多まへるものをなとゝり
あつめて思く多くにな2をむ可しより多えすみゆる
0159【なをむかしより】-柏ノマヘヨリ思ソメラレシカト也
心者へえしの者ぬお1り/\ありき可しいとよう」(35オ)
もてしつめ堂るう者へ者人より遣尓ようゐ
0160【うはへは人より】-夕霧ノ上ニミル説不用(付箋33)
ありのと可にな2尓こ2と越この人の心のうち尓思
らむとみゆ(ゆ$る)ひともくるしきまてありし可とすこ
0161【みるひとも】-柏ノ様ヲミル人モ心苦心
しよ者きと2ころつきてなよひすき多りし
けそ2可しいみしうともさるましきこ2と尓心を
み多りて可くしもみ尓可ふへきこ2と尓やハあり
个る人の堂免尓もいとお1しうわ可身者い多つら
尓やな2すへきさるへきむ可しのちきりといひな2可ら
0162【むかしのちきり】-インクワ也
いとかる/\しうあちきなきこ2となり可しなと
心ひとつ尓思へとをむな2君尓堂にきこえいて」(35ウ)
堂ま者須1さるへきついてなくて院尓もま多
え申給者さり个りさるは可ゝるこ2とをな2む
可す免しと申いてゝ御个しきもみま本し可り
个りちゝお1とゝ者ゝき多の可多ハなミ多のいとま
な2くお1ほしゝつみて者可那くすくるひ可すをも
志り給ハす御わさの本うふく御さうそ2くな2尓
0163【御わさのほうふく】-僧ニ施心
くれのいそ2きをも君多ち御可多/\と2り/\尓なむ
せさせ給个る経仏のをきてな2とも右大弁の君せ
させ給七日/\の御す行(行$経)な2とを人のきこえお1と
ろ可す尓もわれ尓な2き可せそ2可くいみしと思」(36オ)
0164【われに】-致仕詞
まとふ尓中/\みちさ満多个尓もこそ2とてな2き
やう尓お1ほし本れ多り一条の宮尓者ましてお1ほつ可
0165【おほつかなうて】-女三ニハ侍従対面ナキ也
な2うてわ可れ多ま日尓しうらみさへそ2ひて日ころ
ふるまゝにひろき宮のうち人けすくなう心ほ
そ2遣尓て志多しくつ可日な2ら新給し人ハなを
まいりと2ふらひきこゆこのみ給し多可むまなとそ2
0166【このみ】-好
の可多能あつ可りと2もゝみな2つくと2ころなう思うし
てかす可にいているをみ給もこ2と尓ふれてあ者れハ
0167【ことにふれて】-父母ノ心
つきぬもの尓な2むあ(+り)个るもてつ可日多まひし
御てうと2ゝもつね尓ひき給し日わゝこむ」(36ウ)
な2と(+の)をもと2り者な2ちや徒されてねを多て
ぬもいとむもれい多きわさな2りや御前のこ多
ちい多う遣ふりて花ハ時をわ春れぬ个しきな2る
をな2可めつゝ物可な2しくさふら婦人/\も尓日いろ
尓やつれつゝさひしうつれ/\な2るひるつ可多佐き者
な2や可尓越ふをとしてこゝにとまりぬる人あり阿
者れこ殿の御个者ひとこそ2うちわすれてハ思
0168【こ殿】-古
つれとてな2くもあり大将と2のゝお1者し多るなり个り
御せうそ2こきこえいれ多まへりれいの弁の君
さい将な2とのお1者し多るとお1ほしつるをいと」(37オ)
者つ可し个尓きよらなるもてな2し尓ていり給へり
もやのひさし尓お1ましよそ2ひていれ多てまつ
るをしな2へ多るやう尓人/\のあへしら日きこえむハ
可堂しけな2きさ満のし給へれハみやす所そ2多い
めし給へるいみしきこ2とを思給へな个く心は
0169【いみしきこと】-夕詞
さるへき人/\尓もこえて者へれと可きりあれハ
きこえ佐せやる可多な2うてよのつね尓な2り侍り
0170【よのつねになり侍り】-恋しさもうき世のつねに成行を/心ハ猶そもの思ひける(付箋34)
尓遣りいま者の本と尓もの多まひをくこ2と
者へりし可ハをろ可な2らすな2む多れものとめ
可多きよな2れとをくれさき多つ本とのけちめ」(37ウ)
尓は思多まへをよ者む尓し多可ひてふ可き
心の本とをも御らむせられ尓し可な2と2な2む神わさ
な2とのしけきころほひわ多くしの心さし尓ま
0171【ころほひ】-二月
可せてつく/\とこもりゐ者へらむもれいな2らぬこ2と
な2り个れハ多ちな2可ら者多中/\尓あ可す思給へ
0172【たちなからはた中/\に】-立ナカラ立ヨランヨリハトテ過シテ参ト也
らるへうてな2む日ころをすくし侍り尓个るお1
とゝな2との心をみ多り多まふさ満みきゝ侍尓つけ
てもお1やこのみちのやミをはさる物尓てかゝる
御な2可らひのふ可く思とゝ免多まひ个む本とをゝ
し者可りきこえ佐する尓いとつきせすな2むとて」(38オ)
しは/\をしのこ日者那うち可み多まふあさや可
尓遣堂可き物可らなつ可しうな2ま免い多りみや
春所も者那こゑ尓な2り多まひてあ者れな2る
こ2とはそ2のつねな2きよのさ可にこそ2はいミしとて/も
又多くひな2きこ2と尓やハと2ゝしつもりぬる人者
しゐて心つようさ満し者へるをさらにお1ほ
0173【おほしいりたるさま】-女二ノコト
志いり多る佐まのいとゆゝしきまてし者しも
堂ちをくれ多まふましきやう尓みえ侍れハ
すへていと心う可り个る身のいまゝてな2可らへ者へり/て」(38ウ)
可く可多/\尓者可那きよのす衛のありさ満を
み給へすく春へき尓やといとしつ心那くな2む越
0174【み給へすくすへきにや】-女二ノアヤウクアルヲナカラヘテミンカト也
のつ可らち可き御な2可らひ尓てきゝをよ者せ給
0175【ちかき御なからひ】-夕ト柏ノコト
やうも者へり个む者しめつ可多よりお1さ/\うけ
ひきゝこえ佐りし御こ2とをお1とゝの御心むけも
心くるしう院尓もよろしきやう尓お1ほしゆる
い多る御个しきな2との者へし可はさらは身つ可ら/の
心をきての越よ者ぬな2り遣りと2思給へな2して
な2むミ多てまつりつるを可くゆ免のやうなる/こ2とを」(39オ)
み多まふる尓思給へあ者すれ盤身つ可らの心の1
ほとな2むお1な2しうはつようもあら可ひきこえ
ましをと2思者へる尓なをいとくやしうそ2れ者
可やう尓しもお1もひより者へらさりき可しみこ
0176【かやうにしも】-柏ノカホトハヤクナクナルコトヲハシラサリシト也
多ちはお1ほろ遣のこ2とな2らてあしくもよくも
かやう尓よつき給こ2とはえ心にく可らぬこ2とな2り
0177【かやうによつき給こと】-皇子ハヒトリアルコト前ニモアル
と2ふるめき心尓者思侍しをいつ可多尓もよらす
な2可そ2らにうき御すくせを(を$)な2り个れ盤な2尓可
0178【御すくせ】-女二ノ柏ニオクレ給コト
者可ゝるついて尓けふり尓もまきれ給な2む者この」(39ウ)
御身の堂免の人きゝな2とはこ2とにくちお1し
可るまし个れとさりとても志可すくよ可にえ
0179【すくよかに】-スクヤカ スミヤカ也
思しつむましう可な2しうみ多てまつり侍る尓
いとうれしうあさ可らぬ御と2ふらひの多ひ/\尓
な2り侍めるを阿り可多うも(+と)きこえ者へるも1
さらは可の御ちきりあり个る尓こそ2はと思や
う尓しもみえさり志御心者へなれといま者とて
0180【みえさりし御心はへ】-女二ト柏トサホトナカリシ中モユイコンナトアレハ思ナリシカト也
これ可れ尓つけをき給日个る御ゆいこんのあ者れ
なる尓な2むうき尓もうれしきせはましり/侍り」(40オ)
0181【うきにもうれしきせは】-\(合点)うれしきもうきも心ハひとつにて/別ぬものハ泪なりけり(付箋35)
个るとていとい多うな2い給个者ひな2り大将も
と2み尓え堂めらひ給者須1あやしういとこよ
な2く越よす个多まへりし人の可ゝるへうてや
0182【をよすけたまへりし人】-柏ノコト
この二三ねんのこな多な2むい多う志めりて物
心本そ2遣に見え給し可はあまり世のこ2とハ
りをお1もひ志りものふ可うな2りぬる人の1春み
0183【すみすきて】-ハウニハツレタル心
0184【ものふかうなりぬる人の】-とにかくに物ハ思ハすひたゝくみうつすみなはのたゝ一筋に(付箋36)
すきて可ゝる堂めし心うつくしからす可へりてハ
あ佐や可な2る可多のお1ほくうすらくものな2りと
0185【あさやかなるかた】-深ク物ヲ思心
な2むつね尓者可/\しからぬ心尓いさめきこえし/可ハ」(40ウ)
心あさしと2思多まへりしよろつよりも人尓
0186【心あさしと】-柏ノ心ニ夕ヲ心アサシト思ハレシト也
まさりてけ尓可のお1ほしな2个くらむ御心の
0187【かのおほしなけくらむ】-女二
うちの可多し遣な2个れといと心くるしうも
侍る可那ゝとな2つ可しうこまや可にきこえ給て
やゝほとへてそ2いて給可の君者五六年の本との
この可みな2りし可と2なをいとわ可や可尓なまめき
あい堂れてものし給しこれ者いとすくよ可
尓お1も/\しくをゝしきけ者日して可本のみ
そ2いとわ可うきよらなるこ2と人尓すくれ多まへ/る」(41オ)
わ可き人/\者もの1可な2し佐もすこしまきれて
みい多し堂てまつる御前ち可きさくらのいとお1
もしろきをこ2とし者可りハと2うちお1ほゆるも
0188【ことしはかりは】-\(合点)深草の野への桜し心あらハことしハかりハ墨染にさけ(付箋37)
いま/\しきすちな2り个れ盤あひ見むこ2とはと
0189【いま/\しきすち】-夕ノ心ニ祝言ヲ思給
0190【あひ見むことは】-\(合点)春毎尓花のさ可りハありな1/めと/あひミん事ハ命な2り个り(付箋38/⑤)
くちすさひて
時しあれ盤可者らぬいろ尓ゝほ日遣り
0191【時しあれは】-夕霧
可堂え可れ尓しやと2のさくらも1わさとなら
すゝ志な2して多ち給尓いとゝう
この春者やな2き能免尓そ2堂満ハぬく」(41ウ)
0192【この春は】-御息所
0193【やなきのめにそ】-涙ノ心
0194【たまはぬく】-「あさみとり糸より可けてーー/よりあハせてなくなる聲をいと尓/して/王可涙をは玉にぬ可なん」(付箋39/⑥)
佐きちる花のゆくゑしらねハときこえ給いと
ふ可きよし尓はあらねといま免可しう可と
ありとはい者れ給し可ういな2り个りけ尓め
やすき本とのよういな2めりと2み給ちしの1
大殿尓や可てまいり給へれ者君多ちあま多
0195【まいり給へれは】-夕ノコト
ものし給个りこな多尓いらせ多まへとあれハ
お1とゝの御いてゐの可多尓いり給へり多めらひて
0196【御いてゐのかた】-常ノ殿
堂いめんし給へりふり可多うきよけな2る御可
多ちい多うやせお1とろへて御ひ个な2ともと2
りつくろ井多ま者ねハし遣りて越やの个う」(42オ)
0197【をやのけうよりも】-致仕ハ親ニ不孝ナリシ人也
よりも遣尓やつれ給へりみ多てまつり給より
0198【やつれ給へり】-孝経/哭弗依礼亡容(付箋40)
いとしのひ可多个れ者あまり尓越さまらす
み多れお1つるなミ多こそ2はし多な2个れと2思へハ
せめてそ2もて可くし給お1とゝもと2りわきて御
0199【御中よく】-柏ト夕ノコト
中よくも1の1し多まひしをと2み給尓堂ゝ
ふり尓ふりお1ちてえとゝめ給ハすつきせぬ御
こ2とゝもをきこえか者し給一条の宮尓まて
堂り徒るありさ満な2ときこえ給いとゝ志う
春さ免可とみゆるまてのきのしつく尓こ2と」(42ウ)
な2らすぬらしそ2へ給たら(ら=た)む可み尓可のやなき
のめ尓そ2とありつる越可い給つるを多てまつり
多まへハめもみえすやとをしゝほりつゝみ給うち
ひそ2みつゝそ2見給御さ満れい者心つようあ
さや可に本こり可なる御个しきな2こりなく
人わろしさるはこ2となるこ2とな可めれとこの
多ま者ぬくとあるふしの遣尓とお1ほさるゝ尓
心ミ多れてひさしうえ堂めらひ多ま者す
君の御者ゝ君の可くれ多まへりし秋な2む」(43オ)
0200【君の御はゝ君】-葵上
よ尓可な2しきこ2とのき者にハおほえ侍りしを
女者かきりありてみる人すくなうと2あるこ2と
も可ゝるこ2ともあら者那らね者可な2しひも
可くろへてな2むあり个る者可/\しからねとお1
ほや遣もすて給者すやう/\人となりつ可佐く
0201【人となり】-柏ノコト
らゐ尓つ个てあひ多のむ人/\をのつ可らつ1き/\
尓お1ほうな2りなとしてお1とろきくちお1し可る
もるい尓ふれてあるへし可うふ可きお1もひ者
そ2のお1ほ可多の世のお1ほえも(+つ可さ)くらゐもお1も」(43ウ)
本えす多ゝこ2となるこ2とな2可りし身つ可らのあ
りさ満のみこそ2多へ可多くこひし可り个れな2尓
者可りの1こ2と尓て可お1もひさますへ可らむとそ2ら
をあふきてな2可め給ゆふくれのくものけしき
0202【ゆふくれのくものけしき】-\(合点)夕暮の雲の気色をみるからに/なかめしとおもふ心こそつけ/大空ハ恋しき人のかたみかハ/物おもふことに詠らるらん(付箋41)
尓ひいろ尓可すミて者那のちり多るこす衛とも
をも遣ふそ2めとゝめ給この1御多ゝむ可み尓
0203【御たゝむかみ】-御息所ノ哥ノ次ニ
この1し多の志つく尓ぬれて佐可さ満尓
0204【このしたの】-致仕
可すみのころもき多る春可那 大将の君
なき人も1思者佐り个むうちすてゝ
ゆふへの可すみきみき多れとハ 弁君」(44オ)
うらめしや可春みのころも多れきよと
者累より佐き尓花のちり个む
御わさな2とよのつねな2らすい可免しうな2む
あり个る大将とのゝき多の可多をはさる物尓て
0205【大将とのゝきたのかた】-雲井ノコト
と2の者心こ2とにす経な2ともあ者れ尓ふ可き心ハ
0206【とのは】-夕霧ノコト
へをく者へ給可の一条の宮尓もつね尓と2ふら
ひきこえ給う月者可り能うの者那(うのはな=空)者そ2こ
者可と那う心ちよけ尓ひとついろな2るよもの
こすゑもお1可しうみえわ多るをもの思やとはよ/ろ」(44ウ)
0207【思】-フ
0208【やと】-一条宮
つのこ2と尓つ个てしつ可に心ほそ2うくらし可ね
堂まふ尓れいの王多り給へり尓者もやう/\
0209【わたり給へり】-夕霧
あお1みいつるわ可くさみえ王多りこゝかしこ
のす那こうすきものゝ可くれの可多尓よも
きもと2ころえ可本なりせんさい尓心いれてつ
くろ日多まひしも1心尓ま可せて志个りあひ
日とむらすゝきも多のもしけ尓ひろこりて
0210【ひとむらすゝき】-\(合点)夕立の一村薄露ちりて/虫のねそはぬ秋かせそ吹 果守僧正(付箋42)
むしのねそ2へむ秋思やられ(れ$)るゝよりいと物
あ者れ尓つゆ个くてわ个いり給いよすか遣わ多/して」(45オ)
0211【いよす】-伊与簾
尓ひ(+い)ろのき丁ころも可へし多るすき可け
すゝし遣尓みえてよきわらハのこまや可にゝ
者める可さみのつま可しらつきなとほのみえ多
累お1可し个れとな2をめお1とろ可るゝいろな2り可志
遣ふ者すのこ尓ゐ多まへハしとねさしいて多り
いと可るらかなるをましなりと2てれいの宮す所
お1とろ可しきこゆれとこのころなやましとて
よりふし多まへりと2可くきこえまきらハす本と
お1まへのこ多ちと2も思こ2と那个なるけしきを」(45ウ)
み給もいと物あ者れな2りかし者きと可えて
と2のも能より遣尓わ可や可なるいろしてえ多さ
し可者し堂るをい可な2るちきり尓可すゑあ
へる多のもし佐よなとの給てしのひや可尓さ
しよりて
こ2とな2らはならしのえ多(え多=やと2)尓な2ら佐な2む
0212【ならさなむ】-ナルヽ心
者もりの神のゆるしありきとみすのと2の1へ多て
0213【はもりの神】-柏ニヨム也
0214【はもりの神】-柏木に葉守の神のましけるを/しらてそおりしたゝりなさるな/大和ニ枇杷殿〔左大臣/仲平〕よりとし/こか家に柏木のありけるを折に/おこせたりけるを/我やとをいつならしてかならのはの/ならしかほにハ折にをこする(付箋43)
ある本とこそ2うらめし个れとてな2个し尓
より井多まへりな2よひす可多者多いとい多
う堂をや(+き)遣るをやとこれ可れつきしろふ」(46オ)
この御あへしらひきこゆる少将の君といふ人
して
かし者木尓者もり能神者ま佐すとも
人な2らすへきやとのこす衛可うちつけな2
0215【うちつけなる】-落詞
累御こ2との者にな2むあさう思給へなりぬる
と2きこゆれ盤け尓とお1ほす尓すこしほお1
ゑみ多まひぬ宮す所ゐさりいて給个者ひ
すれ盤やをら井な2お1り給ぬうき世中
0216【うき世中】-御息所詞
を思給へしつむ月日のつもるけちめ尓や」(46ウ)
み多り心ちもあやしう本れ/\しうてすくし
侍るを可く堂ひ/\可さねさせ給御とふら
ひのいと可多しけな2き尓思給へお1こしてな2む
と2て遣尓なやましけな2る御个者ゐな2り
お1も本しな2个くはよのこ2と者りな2れと又
0217【おもほしなけくは】-夕詞
いと佐のみ者い可ゝよろつの1こ2とさるへき尓こ
そ2者へめれさす可に可きりある世尓な2むと
な2くさ免きこえ給この宮こそ2きゝしよりハ
0218【この宮】-女二ノコト
心のお1くみえ給へあ者れ个尓い可尓人わらハれ」(47オ)
0219【人わらはれなること】-中空ナルヘキノ心
なるこ2とをと2りそ2へてお1ほすらむと思も多ゝ
な2らね者い多う心とゝめて御ありさ満もと2ひ
きこえ給个りか多ちそ2いとま本尓者え物し
給まし遣れといとみくるしう可多わらい多き
本と尓多尓あらす者な2とてみる免尓より
0220【みるめにより】-\(合点)
人をも思あき又さるましき尓心をもまと
者すへきそ2さ満あしや多ゝ心者勢のみこそ2
い日もてゆ可む尓者やむこ2とな可可るへ个れと
お1もほ春いまはな2をむ可し尓お1も本し」(47ウ)
0221【おもほしなすらへて】-柏ニ夕ノ思ナツラヘヨト也
な2すらへてうと可らすもてなさせ給へな2と
わさとけさうひてハあらねとねむころ尓
けしき者みてきこえ給な2お1しす可多いと
あさや可尓て堂个多ちもの/\しうそ2ろゝ
0222【そろゝかに】-せノ高キ心
可尓そ2みえ給个る可のお1とゝハよろつのこ2と
0223【かのおとゝ】-柏ノコト
な2つ可しうなま免きあて尓あい行つき給
へるこ2とのな2らひなきな2りこれ者をゝしう
者那や可尓あ那きよらと2ふと見え給尓本日
そ2人尓ゝぬやとうちさゝめきてお1な2しうハ」(48オ)
かやう尓てもいていり給者まし可ハな2と人/\
いふめりいう志やうくん可つ可尓くさ者しめて
0224【いうしやうくんかつかに】-右大将保忠カコトヲ作レル也/天與〔クミスルニ〕善人吾不信/右将軍墓草初青(青=秋)紀在昌(付箋44)
あお1しとうちくちすさひてそ2れもいとち
可きよのこ2とな2れ盤さ満/\尓ち可うと2をう
心み多るやうなりし世中尓多可きもく多
れるもお1しみあ多らし可らぬ者な2きも
むへ/\しき可多をはさる物尓てあやしう
0225【むへ/\しきかた】-藝能ノコト
な2佐遣を堂て多る人尓そ2ものし給个れ盤」(48ウ)
さしもあるましきお1ほや遣人女者う
な2とのと2しふる免き多る(+と)もさへこひ可な2
しひきこゆるましてうへ尓は御あそ2ひ
な2とのお1りこ2とにもまつお1ほしいてゝな2む
しの1者せ給个るあ者れ衛もんの可みといふこ2と
くさな尓こ2と尓つ遣てもい者ぬ人な2し六条
の院尓者ましてあ者れとお1ほしいつるこ2と
月日尓そ2へてお1ほ可りこのわ可君を御心ひと
つ尓は可多みと見な2し多まへと人のお1もひ」(49オ)
よらぬこ2とな2れ盤いと可ひなし秋つ可多尓
な2れ者このきみ者井さりなと」(49ウ)
【奥入01】文集
五十八自嘲詩
五十八翁方有後静〈シツカニ〉思〈タヘタリ〉喜亦堪嗟〈ナケク〉
持盃祝〈イノリ〉願〈ネカフコト〉無他語慎〈ツシテ〉勿〈ナカレ〉頑〈カタクナニ〉愚〈ヲロカナルコト〉似汝耶〈チニ〉
白楽天ハ子な2くして老尓のそむ人也
五十八尓て者しめて男子むまれ多りむま万類ゝ
事をそ2き尓よりて生遅と名徒くそ2の子ニ
む可日てつくり个る詩也」(50オ)
【奥入02】妹与我呂」(50ウ)
上冷泉殿為和卿御息明融 琴山」(見返)