凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。
「王可那下」(題箋)
古と者りとはお1もへとも1うれ多くもいへる可那・
0001【ことはりとはおもへと】-上巻の末の詞につゝけてみるへし
0002【うれたくも】-憂
いてやなそ可くこ2とな2る事な起あへ志らひ許
を・なくさめ尓てハ・い可ゝすくさむ・可ゝる人つて
な1らてひと事越も1・の多まひきこゆる世
ありなむやと思ふ尓つ遣て2も・お1ほ可多尓
て盤お1しくめて多しとおもひきこゆる・院
0003【院】-源
の御堂めな万ゆ可む心やそひ尓多らん・徒
こも1り能日ハ・人/\あま多まいり給へり・な2ま
物うくすゝろ者し个れと・そ2能あ多りの花の1
0004【すゝろはしけれと】-スサマシキ様体也 ソヽ同
色越も・みてやな2くさむとお1もひて2まいり」(1オ)
たまふ・殿上の1の里ゆミ・き佐らきとありし
0005【のりゆみ】-賭弓 公卿殿上人射之
をすきて・三月者多・御き月なれ者・くちおし
0006【御き月】-薄
くと人/\思ふ尓・この1院尓可ゝ流まと井あるへし
0007【まとゐ】-賭ー
とき2ゝ徒多へて2・連いのつとひ多まふ・左右大
0008【左右大将】-ヒケ 夕
将・さる御な2可らひ尓て・まいり多まへハ・すけ多ち
0009【すけたち】-近ー 中ー 少ー
なと・いとみ可ハして・こゆミとの多まひし可登・
0010【こゆミと】-雀ー
かちゆミ能すくれ多る上手とも1ありけ連ハ・
0011【かちゆミ】-歩射(朱)
めしいてゝいさせ多まふ・殿上人ともゝ・徒き/\し
き2かきりハ・みな1まへ志りへの1心こ満とり尓
0012【まへしりへ】-左方 右方
方王きて・くれゆくまゝ尓・个ふ尓とちむるかす」(1ウ)
0013【方わきて】-手組
み能个しき2も1・あ者多ゝしくみ多るゝゆふ可せ
尓・花の可き($遣(朱))いとゝ多つ1こ2とやす可らて・人/\い多く
0014【花のかけ】-\(朱合点) 古今 けふのみと春越思ハぬ時たにもたつ事やすき花のかけかハ(朱)(古今134・和漢朗詠56・亭子院哥合40・躬恒集382、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋01)
ゑひす起多まひて2・えむなる可遣ものとも1・
こ2な2多可那多人/\能御心見えぬへき越・やな
0015【こなた】-女御
0016【かなた】-后
0017【やなきのはを】-\(朱合点)
き2能者越・も1ゝ堂ひ(+い)あてつ1へき・とねりとも
0018【とねりとも】-左右近衛
の・う遣者りて2・いとり($累(朱))・む志んなりや・すこし・
0019【むしんなりや】-無尽又無心
古ゝ志きて徒きとも1越こ2そ・いとませめとて・
0020【こゝしき】-巨々
大将多ちよりハしめて2・お1りたまふ尓・衛門督・
0021【衛門督】-柏
人より遣尓な可め越志つ1ゝも1のし多まへハ・
可能可多ハし心志れる御め尓ハ・みつけつゝ・な越」(2オ)
いと遣しきこ2と那り・わつらハしき事いてくへ
き2世尓やあらむと・我さへ思日徒きぬる心ち春・
こ能君堂ち御中いとよし・さるな可らひと
0022【さるなからひ】-夕ー北方柏妹
いふな可にも・心可ハしてね1んこ2ろなれ者・ハ可な2き
事尓ても1・物お1もハしくうちま起るゝ古と
あらむを・いとお1しくおほえ堂満婦・身つ可らも
お1とゝ越み多てまつる尓・遣お1そろしく満者
ゆく・可ゝ流心ハあるへき2もの可・な1能めな2らむ尓
て多尓・遣し可らす人尓てむつ可るへきふる
まひ者せしと思ものを・ましてお1ほ遣な」(2ウ)
き2事とお1もひ王ひて2者・可能ありしねこ越
多尓えてし可那・思事可多ら婦へくハあらね1と・
か多ハら佐ひしき2・なくさめにもなつ遣むと
0023【なつけむ】-馴
お1もふ尓・も能く流お1しくい可て可ハ・ぬすミいてむ
と・そ1れさへそ可多起事なり个る・女御々方耳
0024【女御々方】-弘ー柏妹
まいりて2・も1能可多りなとき古えま起らハし
心みる・いとお1く婦可く心者つ1可しき御も1て
なし尓て・まほ尓見えたまふ事も1な2し・
かゝる御中らひ尓多尓・遣と越くならひ多る
を・ゆくり可尓・あやしく者ありしわさそ可し」(3オ)
登ハ・さす可尓うちお1ほゆれと・おほろ遣尓
志め多るわ可心可ら・あさくも1思ひな2され春・春
宮尓まいり給て・ろなうかよひ給へる所あ
0025【ろなう】-無論(朱)
らむ可しと・めとゝめて2み多てまつる尓・尓本
ひや可尓なとハあらぬ・御可多ちなれと・さ者
可りの御ありさ満・者多いと古と尓て・あて尓
な1まめ可しくお1ハします・うち能御ねこの
0026【うち】-冷
あま多ひき2徒連多りける・者らからとも1
の1・所々尓あ可れて2・この1宮尓もまいれる可・いと
0027【あかれて】-分也
0028【この宮】-東宮
お1可し遣尓て・ありく越見る尓・まつお1もひいて」(3ウ)
らるれハ・六条の院のひめ宮能御方尓侍ねここ2そ・
0029【ひめ宮】-女三
いとみえぬやうな2る可ほして・お1可しう侍し可・
者つ可尓なむ見給へしと・遣いし多まへハ・王
0030【けいしたまへハ】-東ー中ー行啓ト云コトシ
さと羅う多くせさ勢多まふ御心尓て・くハし
くと者せ給・からね1こ能古ゝの尓多可へるさ満
志て2な2ん侍りし・お1な2しやうなる物な2れと・
心お1可しく人なれ多るハ・あやしくなつ可しき
物尓な2む侍なと・ゆ可しくお1ほさる許・き古え
な2し多ま婦・きこしめしをきて・あのこ2とくきり
0031【きりつほの御かた】-明ー中ー
つ本の1御可多より徒多へて・き古えさせ給个れハ・」(4オ)
0032【つたへて】-自東ー女三猫所望申
まいらせ堂万へり・遣尓いとうつくし遣なる
ねこなり个りと・人々けうする越・衛門督ハ・
堂つ1ね1んとお1ほし多りきと・御个しき越
みをきて・日こ2ろへてまいり多まへり・わらハ
なりしより・朱雀院の1とり王起て2お1ほし
つ可ハせ給し可ハ・御山すミ尓をくれき古えてハ・
0033【御山】-ミ
又この1宮尓も志多しうまいり心よせき2
0034【この宮】-東ー
古え多り・御こ2とな2と・をしへきこえ給とて・御ね1
ことも1あま多徒とひ侍尓个り・いつらこの
0035【いつらこのみし人は】-柏詞
みし人者と・多つ年て2見つけ給へり・いと」(4ウ)
羅う多くお1ほえて可起なてゝ井多り・宮も
0036【宮も】-東
遣尓お1可しき2さ満し多り个り心な2ん・ま多
なつ1き2可多起者・見なれぬ人を志る尓やあ
らむ・古ゝなるね1ことも1・古と尓をとらす可し
登の多まへハ・これハさるわきまへ心も1・お1
さ/\侍らぬも能なれと・そ能中尓も心可し
古きハ・をのつ可ら多1ましひ侍らむ可しな2と
き2古えて・まさるとも1さふら婦める越・これハ
志ハし多満者りあつ可らむと・申給・心の中尓
あ那可ち尓お1こ可ましく・可つ1ハお1ほゆる・つ井尓」(5オ)
これを堂つ年とりて2・よるも1あ多りち可く・ふせ
給・あけ多てハ・ね1(+こ)の可し徒き越して・なてやし
なひ堂万婦・人遣と越可りし心も1・いとよく
な2れて2・ともすれハきぬの1すそ尓・まつ1者れ
よ里ふし・むつ流ゝを・まめや可尓うつ1くしと
思ふ・いとい多くな可めて2・ハしち可くより布し
給へる尓・きてねう/\といとらう堂け尓
なけハ・可起な2てゝ・う多ても・すゝむ可なと・ほゝ
ゑま流
恋王ふる人の可多みとてな2らせハなれよな2尓1」(5ウ)
0037【恋わふる】-衛門督
とてなくね1な2るらむこれも1む可し能ちきり尓や
0038【これもむかしのちきり】-\(朱合点) 唐武宗時宮妃後身為猫事アリ(右) これも又さそな昔の契そと思なからもあさましき哉 和泉ー(左)(続詞花556、異本紫明抄・河海抄・休聞抄・孟津抄・花屋抄)
と2・可ほを見つ1ゝの多まへハ・いよ/\羅う多け尓
なく越・ふところ尓いれて2な2可め井給へり・こ多ち
0039【こたち】-後達 女房事也
な2とハ・あやしくにハ可なるねこ能時めく可那・
可やうなる物見いれ堂万者ぬ御心尓と・と可め
个り・宮よりめす尓もまいらせす・とりこめ
0040【宮より】-東
てこれ越可多らひ給・左大将殿の北能可多ハ・
0041【北のかた】-玉
大殿の1きミ多ちよりも1右大将の1君越ハ・
0042【大殿】-致仕
0043【大殿のきミ】-柏
0044【右大将の君】-夕
な越む可し能まゝ尓・う登可らす思日きこえ
給へり・心者への1・可と/\しく・遣ち可くお1者する」(6オ)
0045【心はへ】-玉
君尓て・堂いめんし給時/\も1古万や可尓・遍
0046【たいめん】-夕
多て堂流个しき2なく・も1てな2し給つ連ハ・
大将も志けいさなと能・うと/\しくをよひ可多
0047【大将】-夕
0048【しけいさ】-淑景舎 明ー 桐ー
遣那る・御心さ満の1あまりな2る尓・さ満こ2とな2る
御むつひ尓て・お1もひ可ハし給へり・お1とこ君い
0049【おとこ君】-ヒケ
まハまして・可能ハしめ能北の1方をも1・ゝて者
なれ者てゝ・な2らひなく・も1て可し徒きゝこえ
0050【もてかしつき】-玉
給・この1御ハら尓ハ・お1とこきむ多ちの可起り
なれハ・佐う/\しとて・かの1ま起ハしら能ひめ
0051【まきハしらのひめ】-槙柱
きミ越えて2・かしつ可まほしく志給へと・お1」(6ウ)
0052【おほち宮】-兵(=式)ー 紫父
ほち宮な2と佐ら尓ゆるし多ま者須・この1君
0053【この君】-槙柱
を多尓・人王らへな2らぬさ満尓てみむとお1本し
0054【おほしの給】-式部卿宮
の給・みこの御お1ほえいとやむこ2と那く・内尓も
0055【内にも】-冷
この1宮能御心よせ・いと古よ那くて2・この1
0056【この宮】-兵部ー
事とそ2うし給こ2とをハ・えそむき2給者す・
心くるしき物尓お1もひき古え給へり・お1ほ
可多もいまめ可しく・お1可しくお者する宮尓て・
この1院大殿尓・佐し徒き多てまつ1りて2ハ・
0057【この院】-源
0058【大殿】-致ー
人もまいり徒可うまつ1り・世人も1をもくお1
もひき古え个り・大将もさる世能をもしとなり」(7オ)
0059【大将】-ヒケ
給へき志多可たなれハ・ひめ君能御お1ほえな2と
0060【ひめ君】-槙柱
て可ハ可流くハあらん・き古えいつ1る人々事尓
布れと(#て)お1ほ可れと・お1本しも佐多め春・衛門督
0061【おほしもさためす】-槙柱ーヲ
0062【衛門督】-柏ー
を佐も个しき2者万ハとお1ほ春へ可めれと・ね1
0063【ねこにハ】-女三
こ尓ハお1もひお1とし多てまつる尓や・可遣ても
思日よらぬそくちおし可りける・者ゝ君のあや
0064【はゝ君】-槙ー
しく・な2越ひ可める人尓て・よ能つ年の1ありさ
満尓もあらす・もて遣ち多まへるを・くちおし
き2も能尓お1ほして・まゝ者ゝ能御あ多りをハ・
0065【まゝはゝ】-玉
心つ遣て2・ゆ可しく思日て・いまめ起多る御」(7ウ)
心さ満尓そものし堂万ひ个る・兵部卿宮・
0066【兵部卿宮】-蛍
な越ひと所能ミお1ハして・御心尓つきてお1本し
けるこ2とと2も1ハ・み那堂可ひて世中も1すさまし
く・人わらへ尓お1ほさるゝ尓・さての1ミや者あまえ
て・春くすへきとお1ほして・この王多り尓个しき
者ミより給へ連ハ・大宮な尓1可ハ・かし徒可ん登・
0067【大宮】-式部ー北方
お1も者む・女こ越ハ・宮つ可へ尓つきてハ・見こ多ち
0068【つきてハ】-次
にこ2そハ・みせ多てまつ1らめ・多ゝ人のすくよ可尓・
な越な2越(+し(朱))きをのミ・いま能世の人の可しこく春る・
志な2ゝき2わさな2りとの多万ひて・い多くもなや」(8オ)
まし多てまつり給ハす・う遣ひき2申給つ1・み
こあまりうらみとこ2ろな2起を・佐う/\しと
お1ほせと・お本可多能あな2つ1りにくきあ多りな2
れハ・えしも1いひすへし給ハて2・お1ハしまし
そめぬ・いと尓なくかしつきゝ古え給・大宮ハ女
0069【大宮】-式部
こ・あま多も1のし多まひて・さ満/\ものなけ
可し起おり/\お1ほ可る尓・も能こり志ぬへ个れと・
な越この1きミ能事の思ひ者なちか多くお1
0070【このきミ】-槙柱
ほえてな2ん・母きミハあやしきひ可物尓・とし
0071【母きみ】-北方
古ろ尓そ2へてなりまさりたまふ・大将ハ多」(8ウ)
0072【大将】-ヒケ
わ可事尓志た可ハ春とて・お1ろ可尓見すてられ多1
め連ハ・いとな2む心くるしき2とて・御志つ1らひをも
0073【心くるしき】-槙柱
堂ち井・御てつ1可ら御らんしいれ・よろつ1尓可多し
0074【御てつから】-式部
希那く御心尓ハいれ多まへり・宮ハうせ給尓个る
0075【宮】-蛍
北の1可多越世とゝも尓1こひき2古え堂万ひて・多ゝ
0076【北のかた】-前斎院
む可し能御ありさ満尓・に多てまつり多らむ
人をみむとお1ほし个る尓・あしくハあらね1とさ
0077【あしくはあらねと】-槙柱
万可者りてそ・物志多まひ个るとお1ほ春尓・
くちお1しくやあり个む・可よひ多まふさ満いと
物う遣なり・大宮いと心月な起・わさ可那と」(9オ)
お1ほしなけき多り・者ゝ君も1佐こ2そひ可ミ
0078【はゝ君】-北方
多まへれと・うつし心いてくる時ハ・くちおしく
うき世と思者て給・大将の君も1され者よ・い
0079【大将の君】-ヒケ
多く色め起多まへるみこをと・ハしめよりわ可
0080【みこ】-蛍
御心尓ゆるし給ハさりし事な2れハ尓やものし
と思日給へり・かむの君も1可く堂能も1し遣
0081【かむの君】-玉ー
0082【たのもしけなき】-蛍
なき2御さ満を・ち可くきゝ給尓ハ・さやうな2る
世中を見まし可ハ・こ那多可な2多い可尓お1本し
見給ハましなと・な1まお1可しくも1あ者れ尓
もお1ほしいて个り・楚の可ミも遣ち可く・み」(9ウ)
き古えむとハ思よらさりき可し・多ゝなさけ/\
しう心ふ可きさ満尓の多まひわ多りしを・あえ
なくあ者つ1个き2やう尓や・きゝお1とし給个むと
いと者つ1可しく・としこ2ろも1お1ほし王多る事
なれハ・可ゝ流あ多り尓てきゝ給ハむこ2とも1心つ
可ひせら流へくな2とお1ほ春・これよりも1さるへ
き2事ハあつ可ひきこえたまふ・せうと能君
0083【せうと】-兄弟
堂ちな2として・可ゝ流御个しき2も1志ら須1可本
尓・にく可らすき2古えまつハしな2とする尓・心
く流しくて・も1て者な2れ多る御心ハなき耳・」(10オ)
お1ほ北の可多といふ・さ可な2も能そつ年尓ゆるし
0084【おほ北のかた】-槙柱ウハ
0085【さかなもの】-悪
なく・ゑんしき古え給・みこ堂ちハ・のと可尓
布多心那くて2・見給者むを多尓こそ・者な2
や可な2らぬ・なくさめ尓ハ思ふへ个れと・むつ可り
給越・宮もも1りきゝ多まひてハ・いときゝなら
0086【宮】-蛍
者ぬ事可那・む可しいとあ者れとお1もひし人を
を起ても・猶者可な起心の1すさひハ・多えさりし
可と・かうきひし起ものゑんしハ・古と尓な可り
し物を・心月な2くいとゝむ可しをこ2ひき2古え
給徒ゝ・布る佐と尓うちな可め可ち尓能ミお1ハし」(10ウ)
ます・さいひつゝも1・ふ多とせ許尓なりぬれハ・
かゝ流方尓めな2れて2・多ゝさる可多能御中尓て
すくし多まふ・者可な2くて年月も可さなり
て・内の1み可と御くら井尓徒可せ多まひて2・十
0087【内のみかと】-冷 冷ー受禅ハ源廿八歳也
0088【十八年にならせ給ひぬ】-冷在位清和例
八年尓ならせ給ひぬ・徒き能君とな2らせ多
まふへきみこお1ハしまさす・ものゝ者へな2き
尓世中者可那くお1ほゆるを・心やすく思ふ人々
尓も・堂いめんし・わ多くしさ満尓・心越やりて・
のと可尓す起ま本しくな2むと・としこ2ろお本し
能多まハせ徒る越・ひこ2ろいとをも(△△△&とをも)くな2や」(11オ)
ませ多まふ事ありて・にハ可尓お1り井さ
せ多まひぬ・世の人あ可すさ可り能御世越・
可くの可れ多まふこ2とゝ・お1しみなけゝと・春宮
もをとな2ひさせ給ひ尓多れハ・うちつきて・世
中能まつりこ2とな2と・古と尓可ハる遣ちめも1
な可り个り・お1ほきおとゝ・ち志のへう多て
0089【おほきおとゝ】-太政大ー柏父
まつりて古も1り井堂万ひぬ・よの中の1
つ年なき尓より・可く可しこき2み可と能きミ
も・くら井越さり多まひぬる尓・とし布可き
身能可うふり越可遣むな尓1可お1し可らむ登」(11ウ)
お1ほしの多まひて2・左大将右大臣尓なり給
てそ・世中能まつりこ2と徒可うまつり給个る・
女御能君ハ可ゝる御世越も・まちつけ給ハて・
0090【女御の君】-今上母 承香殿ヒケ妹
うせ給尓个れハ・可きりある御くら井をえ多
まつ($へ(朱))れと・も1のゝうしろの心ちして・可ひな2可り个り・
六条の1女御の御者ら能いち能宮・ハう尓井多
0091【六条の女御】-明石
まひぬ・さるへき事と可年て2お1もひし可と・
佐しあ多りてハ・な越めて堂くめお1とろ可るゝ
わさなり个り・右大将の君大納言尓なり
0092【右大将の君】-夕
多まひぬ・いよ/\あらま本しき御な2可らひな2り・」(12オ)
六条院ハお1り井堂まひぬる冷泉院農
御つきお1ハしまさぬを・あ可す御心の内尓
お1ほ春・お1な2しすちなれと・思ひなやまし
き2御事なくて2すくし多まへる者可り尓・
徒ミハ可くれて・す衛の世まてハ・えつ多ふまし
可りける・御すくせくちおしくさう/\しく
お1ほせと・人尓の多まひあ者せぬ事な2れハ・
いふせくな2む春宮の1女御盤・みこ堂ち
0093【春宮の女御】-明石
あま多かすそ2ひ給て2・いとゝ御お本えな2らひ
なし・源氏の1うちつゝきゝさ起尓井多まふ」(12ウ)
0094【源氏のうちつゝきゝさきに】-薄ー 秋ー 明ー
遍きこ2と越・世人あ可すお1もへる尓つけても・
冷泉院の1后者・ゆへなくて・あな2可ち尓・可く
0095【かく】-如此
志を起多まへる御心越お1ほ春尓・いよ/\
六条院の1御こ2と越年月尓そへて2・可きり那く
思日きこえ堂万へり・院の1御可とお1ほしめしゝ
0096【院の御かと】-冷
やう尓・見遊きも所せ可らてわ多り給ひな2と
志徒ゝ・可くてしも1遣尓めて多くあら万本し
き2御ありさ満な2り・ひめ宮の御事ハ・み可と
0097【ひめ宮】-女三
0098【みかと】-今上
御心とゝめて2・お1もひきこえ給ふ・お1ほ可多の
世尓も・あま年くも1て可し徒可れ堂まふを・」(13オ)
多いの1うへの御いきをひ尓ハ・え満さりた万ハす・
とし月ふるまゝ尓・御中いとう流ハしく・むつひ
き2古え可ハし給ひて・いさゝ可あ可ぬこ1と那く
へ多ても1みえ堂万者ぬも能可ら・いまは可うお
0099【おほそう】-大惣
ほ楚う能す万井な2らて・のとや可尓をこな2
ひをもとな2むお1もふ・この世ハ可ハ可りと見者
てつ1る心ちするよ者ひ尓もなり尓个り・
さりぬへきさ満尓お1ほしゆるしてよと・
まめや可尓きこえ多まふ・お1り/\ある越・
あるましくつらき御事な2り・みつ可らふ可き」(13ウ)
0100【あるましくつらき】-源詞
本いあるこ2とな2れととまりて・佐う/\しくお1
ほえ給ひ・ある世尓・可ハらむ御ありさ満のうしろ
め多さ尓よりこ2そ・な可ら婦連・徒ゐ尓楚の
0101【つゐにそのこと】-源我世之後
こ2ととけな2むのち尓・とも可くもお本しな2れなと
能ミさ満多けき2古え堂万婦・女御のきミ多ゝ
0102【女御のきミ】-明ー
こ2な2多越・万こ2と能御おや尓もてなしき古え
0103【こなた】-紫
堂万ひて・御方ハ可くれ可の御うしろミ丹て2・
0104【御方】-明ー
ひ遣しも能し多まへる志もそ・な可/\ゆく
0105【ひけ】-卑下
さ起堂能も1しけ尓めて多可りける・あ万き
0106【あまきみ】-明ー
みも1やゝもすれハ・堂えぬよろこ2ひの涙・とも1」(14オ)
すれハ・お1ちつゝ・めをさへのこ2ひ・多ゝ羅して・いの
0107【たゝらして】-爛 タヽル
ちな可き・うれし遣那るためし尓なりても1のし
給・すミよし能御願可つ1/\者多し給者むと
て・春宮の女御の御いのり尓まて堂万ハん
とて・可能者こあけて2御覧すれハ・佐万/\の
い可めしき2古とゝも1お1ほ可り・としこ2と能春
秋の可くらに・可な2ら須1な可き世のい能りをく
者へ多るく王んとも1・个尓1可ゝる御い起をひな2
らて2ハ・者多し給へき2こ2とゝも1思ひを起て
さり个り・多ゝ者し里可き多るお1もむきの・」(14ウ)
さえ/\しく者可/\しく・本とけ神もきゝいれ
0108【さえ/\しく】-才学カマシ
給へきこ2と能ハあきら可なり・い可てさる山ふし
の1ひし里心尓・かゝるこ2とゝも1を思ひより
个むと・あハれ尓お1ほけなくも1御らむす・さる
へきにて2志ハし可り楚め尓身越や徒し
ける・む可しの1世のをこな2ひ人尓やあり个む
な2と・お1ほしめくら須1尓・いとゝ可る/\しくも1
お1ほされさり个り・こ能堂ひハこの心越ハ・
あらハし多まはす・多ゝ院の御も1能まうて
0109【院】-源
尓て・いて堂ち給・うらつ多ひの1ものさハ(+可し)可りし」(15オ)
程・そ古ら能御くハんとも1・みな2者多し徒くし
給へ連とも1・な越世中尓可くお1ハしまして・
かゝ流色/\能さ可え越見多まふ尓つけて2
も・神のお1ほむ多すけハ王すれ可多くて・多い
0110【たいのうへもくしきこえ】-御堂殿長保ニ室家同道石清水住吉参詣
の1うへも・くしき2古えさせ多まひて・まうて
させ堂万婦・ひゝき世のつ年な2らす・いみしく
こ1とゝも1そ起すてゝ・世の1王つらひあるましく
0111【そきすてゝ】-略ナリ
と・ハ(△&ハ)布可せ多まへと・可起りあり个れハ・めつら可
尓・よ楚ほしくなむ・可ん多ちめも1・大臣ふ多
所をゝき多てまつりてハ・みな2徒可うまつり」(15ウ)
給・まひ人ハ・衛婦の1すけとも1能可多ちきよ
け尓堂け堂ちひとしき2可起りをえらせ
給・こ能えらひ尓いらぬをハ・者ち尓うれへなけ
き2多るす起ものとも1あり个り・へい志うも1・い
0112【へいしう】-倍従 引和琴哥ウタフ六衛府佐共也 倍従ヲハ哥人ト云十二人也四位五ー六ー各四人
者し水可もの里むし能まつりなと尓・めす人々
の1みちミち能古と尓すくれ多る可起り越・とゝ
のへさせ給へり・くハゝり多る布多りなむ・近
0113【くはゝりたるふたり】-加ー倍ー従ー兵衛二人加也
衛徒可さ能名多可起可きりをめし多りける・
御可くら能方尓ハ・いとお1ほく徒可うまつれり・内・
0114【御かくら】-ミ
0115【御かくらの方にハ】-兵衛召人
春宮・院の1殿上人・方/\尓わ可れて2心よせ」(16オ)
0116【院】-冷
徒可うまつるかすも志らす・いろ/\尓徒くし多る
かん堂ちめ能御むまくら・むまそ2ひ随身こ
0117【ことねりわらハ】-小舎人
とね1りわらハ・つき2/\能とね1りな2とまてとゝの
遍可さり堂る見ものま多な起さ満なり・
女御殿堂いのうへハ・ひとへ($つ(朱))尓多てまつりた多り・
0118【女御殿】-明
0119【たいのうへ】-紫
徒き能御くる満尓ハ・あ可し能御方あま君志
のひて2のり多まへり・女御の御め能と心志り
尓てのり堂り・か多/\能ひと多満井・う
への御方能五・女御と能ゝい徒ゝ・あ可しの御あ可
0120【御あかれ】-各別也
れの1三・目もあや尓可さり多る・佐うそくあ」(16ウ)
里さ満いつ1($へ(朱))者佐らなり・佐るあ万君をハ・お1な2し
くハ・お1いの1な2ミ能志者・のふハ可り尓・人め可しくて・
まうてさせむと・院ハの多まひ个れと・この1
0121【院】-源
堂ひハ可くお1ほ可多能ひゝき2尓・堂ちましら
むも・か多ハらい多し・も1し思ふやうならむ
0122【思ふやうならむ世中をまちいて】-東ー位
0123【御方】-明ー
世中をまちいて堂らハと・御方ハ志つ1め給
个る越・の1古り能いのち・うしろめ多くて・可つ/\
物ゆ可し可りて2・志多ひ万いり給な2り个り・さる
へき2尓て・もとよ里可く尓本ひ多万婦御身と
も1よりも・いみし可りける契あらハ尓・思日志ら」(17オ)
流ゝ人の1ミありさ満なり・十月中能十日なれ
ハ・神のい可起尓者ふくすも1色可ハりて・松の下
0124【神のいかきにはふくす】-\(朱合点) 古今 千ハやふる神の井垣にはふくすも(古今262・古今六帖3881、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋02)
もみちな2と・をと尓能ミも秋をき2可ぬ可ほな2り・
0125【をとにのみも秋を】-\(朱合点) 紅葉せぬときハの山ハ吹風の音にや秋をきゝわたるらん(古今251・拾遺集189・新撰和歌12・古今六帖419・919・小町集100、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋03)
古と/\し起古満も1ろこし能可くよりも・あつま
あそ2ひの見ゝな2れ多るハなつ1可しく・お1もしろく
なミ可せの1こ2ゑ尓ひゝき2あひて2・さるこ多可
起松風尓布き多て堂流ハ布え能ね1も・
ほ可尓てきく志らへ尓ハか者りて・身尓志ミ・
古と尓うちあ者せ多るひやうしも1・徒ゝミ越
0126【ことに】-和琴
0127【つゝみをはなれて】-鞁(朱) 東ー大皷 不用 拍子用也
者な2れて・とゝ能へとり多る方お1とろ/\し可らぬ」(17ウ)
も・なまめ可しくすこうお1もしろく・所可らハ
ましてき2古え个り・山あ井尓すれる堂けの
0128【山あゐにすれるたけのふし】-加茂臨時祭舞人竹文青スリ倍従棕櫚文青スリ
布しハ・松の1みとり尓見えま可ひ・可さし能色々
ハ秋のくさ尓古となる・遣ちめわ可れて2・な尓1
こ2と尓1も1め能みま可ひいろふ・もとめこ者つる
0129【いろふ】-色エ
0130【もとめこ】-求子自始肩ヌク
すゑ尓・わ可や可な2る可む多ちめハ可多ぬきており
0131【かたぬきておりたまふ】-長保五年住吉詣時左大臣以下十人肩ヌキ舞 是ヲ肩ヲロシト云
堂万婦・尓本ひもなく具ろき2うへのきぬ
尓・すわうかさ年能・えひそ2め能袖を・に者可尓
0132【すわうかさね】-公卿
0133【えひそめ】-殿上人
ひきほ古ろハし多流尓・くれな2井婦可きあこ
め能たもと能うち志くれ多るに・个しき2ハ可り」(18オ)
ぬ連多る松ハら越ハ王すれて・もみち能ち流尓
思日わ多さ流・みる可ひお1ほ可る・す可多とも1尓・
いと志ろく可れ多るお1き2越・堂可や可尓かさし
て・多ゝひと可へりまひていりぬるハ・いとおもし
ろくあ可す楚あり遣る・お1とゝむ可し能こ2とお1
0134【おとゝ】-源
ほしいてられ・中比志つミ給し世の1ありさ満も・
め能まへのやう尓お1ほさるゝ尓1・そのよ能こ2と
うちみ多れ・可多り給へき人もな2け連ハ・ちゝ($し(朱))
の1お1とゝをそ・こ2ひしく思ひき古え給遣る・
いりたまひて・二の1くる満尓志のひて2」(18ウ)
0135【二のくるま】-二番車明ー
堂れ可又心越し里て住吉の1神世をへ多流
0136【たれか又】-源氏
松耳こ2とゝ婦御堂ゝむ可ミ尓可き多まへり・あ
万君うち志ほ多流・可ゝ類よ越みる尓つけて2も・
か能うらにて2い万者とわ可れ給しほと・女御
の1君能お1ハせしありさ満なと・思日いつ1るも
いとか多しけな2可りける・身のすくせの程越思
婦・よ越そ2むき給し人も1恋しくさ満/\耳
0137【を越むき給し人】-明ー入
物可な2しき2越・可つハゆゝしと・こ2といみして
すミ能え越いける可ひあるな起さとハ年
0138【すミのえ越】-明石尼
布るあ万も1个ふや志るらんをそ2くハ・ひむな2」(19オ)
可らむと・堂ゝうちお1もひ个るまゝなり个り
む可しこ2そまつわすられ年住吉の1神の
0139【むかしこそ】-明石上
志るしをみる尓つけて2もとひとり古ち个り・
夜ひとよあそ2ひあ可し多万婦・者つ1可能月者る可
尓すミて・うミ能お1もておもしろく見えわ多る
耳・志も能いと古ち多くをきて・松原裳色
ま可ひて2よろつ1の1事楚ゝろさむくお1も
しろさもあハれさも堂ちそ2ひ多り・多い農
うへつ年能可き年の内な2可ら・時/\尓つけて2こ2そ・
个婦あるあさゆふの阿そ2ひ尓見ゝ婦りめ」(19ウ)
な連給个れ・見可とよりと能・も1の見おさ/\し
0140【との】-外ナリ
給者す・ましてかく宮このほ可能ありきハ・
ま多な2らひ給者年ハ・めつ1らしくお1可しく
お1ほさる
すミ能江の松尓夜ふ可くをく霜ハ神の
0141【すミの江の】-紫上
可遣多るゆふ可つら可も多1可むら能朝臣の・ひら
0142【たかむらの朝臣】-\(朱合点)
0143【ひらの山さへ】-\(朱合点) ひもろきハ神の心にかけつへしヒラノ高ねに夕かつらせり 文時(右)(夫木抄9085、異本紫明抄・河海抄・弄花抄・花鳥余情・一葉抄・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚) ひもろきの哥ハ祭の時の哥也(左)
の1山さへといひける・ゆき能あし多をお本し
や連ハ・まつり能こゝろう遣多万ふ(△&ふ)志るし尓や
と・いよ/\堂のもしくなむ女御のきミ
神ひと能て尓とりも多類榊葉尓ゆふ可遣」(20オ)
そ2ふるふ可きよ能霜中徒可さ能きミ
者ふりこ可ゆふうち万可ひをく霜ハ遣尓
0144【はふりこか】-祝子
いちし流き神の1志るし可つき/\可すしら
0145【つき/\かすしらす】-作者詞
春お1ほ可りける越・な尓1せむ尓可者きゝを
可む・可ゝ流お1り布しの哥ハ・連いの上手めき
給お1とこ堂ちも1・中/\いてき盈して・
松の1ちとせよりハな2れて2・い満め可しきこ2とな2
个れ者・うる佐くてな2む・ほの/\とあけゆく
尓志もハいよ/\婦可くて・もとす衛も1多と/\
0146【もとすゑ】-神楽本末拍子
しきまて・ゑひすき尓多流かくらお1もて」(20ウ)
0147【かくらおもてとも】-神楽人次居体
とも1・をの可かほをハ志らて・お1もしろき2こ2と尓
心ハしミて・尓ハ火も可遣志めり多る尓・な越
万さい/\と・さ可き葉をとり可へしつゝいハひ
きこゆる御世の1春衛お1もひや流楚いとゝしき
や・よろつ1の1こ2とあ可すお1もしろき2まゝ尓・千
0148【千よをひとよに】-\(朱合点) 秋のよの千夜を一夜になせりともことハ残りて鳥や鳴なん(朱)(続古今1157・古今六帖1987・伊勢物語46、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋04)
よ越ひとよになさまほしき夜のなにゝも
あらてあけぬ連者・可へるな2ミ尓きほふも1
くちおしくわ可き人/\お1もふ・松ハら尓者る/\
と堂てつゝ遣多流御くる満とも1能・風尓う
ちなひく志多す多れのひ万/\も1・と起者の」(21オ)
可遣尓・花の1尓1しき越ひきく王へ堂るとみゆ
流尓・うへのきぬ能色/\希ちめ越きて・お1可し
き2か遣ハんとり徒ゝきてものまいりわ多す
をそ・志も人な2とハ・め尓つ1きてめて多しとハ
お1もへる・あ万君能お1まへ尓もせん可う能お1し
き尓1・あ越尓ひのお1もてをりて・さうし物を
0149【あ越にひ】-折敷面ヲ帳絹尼用色也
まいるとて・めさ満しき女のすくせ可那と・を
の可志ゝハ志りうこち个り・満うて給しみち
0150【しりうこち】-後言
ハ・こ2と/\しくて・王つらハしき2神堂可ら・さ
満/\尓所せ遣な2りしを・可へさハよろつ1のせう」(21ウ)
0151【所せけ】-セキニ同
よう越徒くし給・いひ徒ゝく流も・う流さくむつ
可しき2古とゝも1なれ者・可ゝ流御ありさ満をも・
かの1入道の・き可す・みぬ世尓可け者な2れ多万へる
能ミなん・あ可さりける・か多き2こ2とな2里可し・
満し羅者満しも1・見くるしくや・世中の
人これをためし尓て・心多可くなりぬへきこ2ろ
な2めり・よろつ1のこ2と尓つ个て・めて2あさ見・世
のこ2とくさ尓て・あ可しのあ万君とそさい者い
人尓いひける・可能ちしの1大殿のあふミ能きミハ・
すくろくうつ1時のこ2と者にも・あ可し能あ万」(22オ)
0152【すくろく】-双六
君/\とそさい者こひ遣る・入道のみ可とハ・御をこ
0153【入道のみかと】-朱雀院ノ御事也
なひをいみしく志給て2・内の1御事をもき2ゝ
0154【内の御事】-春見ヲ云朝秋見ヲ云 覲
いれ給者す・春秋の行幸尓な2む無可し思
ひいてられ給事も1まし里ける・ひめ宮の1
0155【ひめ宮】-女三
御こ2と越のミ楚・猶えお1ほし者な2多て・この院を
0156【この院】-源
ハ猶おほ可多の1御うしろミ尓思ひき古え給
て・内/\能御心よせあるへく・そうせさ勢給・
二品尓なりたまひて2御封な2とまさる・いよ/\
0157【二品になりたまひて】-女三
者那や可尓御いきをひそ2ふ・多いのうへ可く年
0158【たいのうへ】-紫
月尓そへて2・方/\尓まさり給御お1ほえ耳・」(22ウ)
わ可身ハ多ゝひと所の御もてな2し尓・人尓ハをとら
0159【わか身ハ】-紫詞
ねとあまりとし徒も1りな2ハ・そ2能御心者へも1
徒井尓をとろへな2む・さらむ世越見者てぬ
佐起尓・心とそ2むき2尓し可那と・堂ゆミなく
お1ほしわ多れと・佐可しきやう尓やお1ほさむと
徒ゝまれて2・者可/\しくも1えきこえ給者す・
内の1み可とさへ御心よせ古と尓きこえ給へハ・
0160【内のみかと】-今上
をろ可尓き可れ多てまつらむも・いとおしくて
わ多り給こ2と・やう/\ひとしき2やう尓な2り
0161【わたり給こと】-源女三方へ
ゆく・さるへきこ2と・/\者りとハ思ひな可ら・」(23オ)
され者よと能ミやす可ら須1お1ほされ个れと・
猶徒連那くお1な2しさ満尓てすくし給・春
宮の御さしつき能・女一の1宮越・古な2多尓
0162【女一の宮】-明ー腹
とり王起て2・可しつき多てまつ1り堂満婦・
そ2能御あつ可ひ尓なむ・つ1連/\な2る御よ可れの
0163【その御あつかひ】-源
ほとも1なくさめ給ひ个る・いつ1連もわ可須1う
徒くし具可那しと思ひき2古えた給へり・夏の1
御方ハ・可くとり/\なる御むまこあつ可ひを
0164【御むまこあつかひ】-明ー子共
うらやミて・大将の君能な2いしの1すけハらの1
0165【大将の君】-夕
0166【ないしのすけ】-惟光女
君越・せち尓む可へてそ可し徒き2給・いとお1可し」(23ウ)
遣尓て心者へも1・ほとよりハされお1よすけ多
れ者・お1とゝ能君も1・羅う多1可りたまふ・春くな1
0167【おとゝ】-源
0168【君】-花ー
0169【すくなき】-源
き2御つきとお1ほし志可と・す衛/\尓ひろ
古りて2古那多可な1多いとお1ほくなりそひ
堂万婦を・いま者多ゝ古れを・う徒くしミあつ
可ひ多まひてそ・つ連/\も1なくさめ給遣
0170【なくさめ給ける】-花ー
流・右の1大殿のまいり徒可うまつり給こ2と・
0171【まいりつかうまつり】-花ちるへ#
い尓しへよりも1満さりて2・志多しくい満ハ
北の1方も・をとな2ひハてゝ・可能む可しの可
遣/\しきすち思ひ者な2れ給尓や・さる」(24オ)
へき2お1りも1わ多りまうて堂万婦・堂いの
うへ尓も御多いめむありて・あら万ほしく
き古え可ハし給个り・ひめ宮の1みそお1な2し
0172【ひめ宮】-女三
さ満尓・わ可くお1ほと起て2お1者しま春・女御
0173【女御の君】-明中
能君ハ・いまはお本や希さ満尓お1もひ者な2
ちき2古え給ひて2・この1宮をハいと心くるし
くをさな2可らむ御むすめ能やう尓・思ひ者
くゝ見多てまつ1り給・朱雀院の1いま者
むけ尓世ち可くなりぬる心ちして・物心ほ
そ2起を佐ら尓この1世能こ2と・可へり見しと思日」(24ウ)
すつれと・堂いめむなん・い万ひと多ひあら満
ほしき2越・もしうらみの古りも1こ2そすれ・こ2と
古としきさ満ならて・わ多り給へく・き古え
給け連者・お1とゝも1个尓1さるへき2(+事(朱))也・可ゝる御个し
き2な可らむ尓て多尓・すゝミまいり給へき越・
ましてかうまちきこえ給ひ个る可・心くるし
きこ2とゝ・満いり給へき2こ2とお1ほしまうく・徒い
てなくすさまし起さ満尓てや者・ゝ(#者(朱))ひ王多
里給へき2・な尓1王さ越して可・御覧せさ勢
給へきと・お1ほしめくらす・この堂ひ堂り給」(25オ)
0174【たり給はむとし】-朱雀院五十賀女三ノ有惜也
者むとし・わか那なと・てう志てやな2とお1ほし
て・さ満/\能御ほう婦く能こ2と・いも井の御まう
0175【いもゐ】-斎
遣能志つ1らい・な尓1くれとさ満古と尓可ハれる
古とゝも1なれハ・人の御心志らひとも1いりつゝ・
0176【御心しらひ】-心ツカイ
お1ほしめくらす・い丹しへも1あそ2ひの方尓御
心とゝめさせ給へりし可ハ・まひ人可く人なとを・
心こ2と尓さ多め・すくれ多る可きり越とゝのへさせ
給・右の1お1ほ殿の御子とも1布多り・大将の1御
0177【右のおほ殿】-ヒケ
0178【大将】-夕
こ内侍のすけハら能く者へて2三人・ま多ちい
さ起な2ゝつ1よりかミのハ・みな2殿上せ2させ多満婦・」(25ウ)
兵部卿能宮のわらハそ2むわう・すへて2さるへき宮
0179【兵部卿の宮】-蛍
0180【わらハ】-童
0181【そむわう】-孫 桐子孫
堂ちの御ことも1・家のこ能き2ミ堂ち・みな2
えらひいて多まふ・殿上の1きみ多ちも・か多ち
よくお1な2しき2まひのす可多も・心こ2となるへ
き越佐多めて2・あま多能まひのまうけをせ
さ勢給・いみし可るへき2堂ひのこ2とゝて・みな2人
心越徒くし給て2なむ・みち/\能ものゝし
上手いとまな2きこ2ろ也・宮ハもとより琴の
0182【宮】-女三
御こ2と越なむ・な2らひ給ひ遣る越・いとわ可くて
0183【ならひ給ひける】-朱ーニ
院尓もひき王可れ多てまつり堂万ひ志可者・」(26オ)
お1ほつ可なくお1ほしてまいり堂万者むつゐて
尓・可能御こ2と能ね1な2むき2可満ほしき2・さりとも1
0184【さりとも琴ハかりハ】-朱ー詞
琴ハ可りハ・ひきとり給へらむと・志りうこ2と尓
き古え給遣る越・内尓もきこしめして・个尓
0185【けにさりとも】-今上詞
佐りとも1遣ハひこ2とな2らむ可し・院の1御まへ
0186【院の御まへ】-朱ー
尓て・ゝ徒くし給者む徒いて尓・まいりき2て2
き可者やなと・の多万ハせける越・お1とゝの
0187【おとゝの君】-源
君ハ徒多へき2ゝ給て2・年比さりぬへき2ついて
古と尓ハ・をしへきこゆるこ2とも1ある越・そ能遣
者ひハ・遣尓まさり多万ひ尓多れと・ま多き」(26ウ)
古しめし所ある物ふ可き手尓ハ・をよ者ぬ越・
な尓1心も1なくてまいり多まへらむ徒いて尓・
き古しめさむとゆるしなくゆ可し可らせ給
者むハ・いと者し多な可るへき2事尓もと・いと
お1しくお1ほして・こ能こ2ろそ御心とゝめて2をしへ
き古え多1万ふ・志らへこ2と那る手布多つみつ1
お1もしろき・大古くとも1能四季尓つけて2・可ハる
0188【大こく】-有琴 大曲小曲見タリ
0189【四季につけて】-音六律四時十二月調子
へき2ひゝき・そら能さむさぬるさ越とゝ能へい
てゝ・やむこ2と那可るへき2手能可起り越・とりた
0190【やむことなかるへき】-ヤンコトなき也
亭ゝ・をしへき古え多万婦尓・心もとなくお1」(27オ)
者するやうな2れと・やう/\心えたまふまゝ尓・
いとよくなり給・ひるハいと人志けく・な越ひと
堂ひも1・遊しあむするいとまも・心あハ多ゝし
0191【ゆし】-由シ
0192【あむする】-按押
个れハ・よる/\なむ志つ1可尓・こ2と能心も1志め多て
まつるへき2とて・堂い尓もそ2能こ2ろ盤御いと万
0193【たい】-紫
き2古え給て・あけくれをしへき古え給・女御の1
0194【女御のきみ】-明ー
きミ尓も多いの1うへ尓も・琴ハならハし堂て
まつり給ハさり个れハ・このお1りおさ/\見ゝな2
れぬ手とも1・ひき2給らんをゆ可しとお1本して・
女御も1わさとあり可多き御いと満を・堂ゝ志」(27ウ)
ハしとき古え給て2ま可て多まへり・見こ
布多所を者する越・又も遣し起ハミ給て・
い徒月許尓そなり給へ連ハ・神王さな2と尓
0195【いつ月許に】-明懐妊
0196【神わさなとに事つけて】-宮人自五ケ月退出
事つけて2・お1ハしますな2り个り・十一月すくし
0197【十一月すくし】-十一月十一日神今食
てハ・まいり給へき御せうそこ・うち志きり
あれと・可ゝ流ついて尓かくお1もしろき2・夜る/\の
御あそ2ひをうらやましく・なとて王れ尓つ多へ
0198【なとてわれに】-源ヲ明ー恨給
給者さり个むと・徒らく思日きこえ給・冬
の夜の1月ハ人尓堂可ひて・めて堂万ふ御心
なれ者・おもしろき夜の1ゆきの1光尓お1り尓」(28オ)
あひ多る手とも1ひき2多万ひつゝ・さふら婦人々
もすこしこ能可多尓ほのめ起多る尓・御こ2とゝも1
とり/\尓・ひ可せて2あそ2ひなとし給・年の
くれつ1可多ハ堂いな2と尓ハいそ可しく・こな多
か那多の御いとな2ミ尓・をの1つ1可ら御らむし
い流ゝ事とも1あ連ハ・春能う羅ゝ可な2らむ夕
へな2と尓・い可てこ能御こ2と能ね1き可むとの多万
ひわ多る尓・とし可へりぬ・院の御賀まつお1ほ
0199【院の御賀】-朱ー
0200【おほやけより】-今上
や遣よりせさ勢給古とゝも1・こち(+多1)き尓佐し
あひてハ・ひんなくお1ほされて2すこしほとす」(28ウ)
古し多まふ・二月十よ日と佐多め堂万まひて2・
かくにんまひ人な2とまいりつ1ゝ・御あそ2ひ多え
す・こ能多い尓つ年尓ゆ可しくする・御こ2と能年
0201【たいに】-紫
い可て可の人/\能佐うひ者能ね1もあ者せて2・
0202【かの人々の】-女楽事
0203【さう】-箏
女可く心見させむ・堂ゝいまのもの能ゝ上手と
0204【女かく】-ヲンナ
も1こ2そ・佐ら尓こ能王多りの1人/\能み心志ら
0205【心しらひ】-心ツカヒ
ひとも尓まさらね1・者可/\しく徒多へとり
多る事ハお1さ/\なけ連と・な尓1事も1
い可て心尓志らぬこ2とあらしとな2む・をさ
な1き2ほと尓思ひし可ハ・世尓あるも能ゝし登」(29オ)
いふ可きり・又多可起いへ/\能さるへき人の
徒多へとも1ゝ・のこ(=こ(朱))さす心みし中尓・いとふ可く
者つ1可し起可那とお1ほゆるきハの人なむな2
かりし・そ2能可みよりも1又このこ2ろ能わ可き2
人々の1・されよしめ起すく春尓者多あさく
なり尓多るへし・きむハ堂満して佐ら尓
ま年ふ人な1くなり尓多りと可・こ能御こ2との
ね1者可り多尓徒多へ多る人・おさ/\あらしと
の多まへハ・な尓1古ゝろな1くうちゑミて・うれ
しくかくゆるした万婦ほと尓なり尓けると」(29ウ)
お1ほす・廿一二ハ可り尓なり多まへと・な越いと
0206【廿一二ハかり】-女三
いみしくか多なり尓きひハなる心ちして・
ほそくあえ可尓うつ1くしく能ミみえたまふ・
院尓もみえ多てまつり給ハて・としへぬる越・
0207【院にも】-朱ー
ね1ひまさり給尓个りと御らん春ハ可り・よう
いく王へて2見え多てまつり多まへと・事尓
布れてをしへき古え堂万婦・遣尓可ゝ流御
うしろミなくてハ・ましてい者けなくお1ハし
ます御ありさ満可くれな1可ら満しと・人/\も1
見多てまつ1る・正月廿日許尓なれハ・そ2らも」(30オ)
0208【正月廿日許】-実十九日也ふしまち月と下にみえたり
お1可しき2ほと尓・風ぬるく布きて・お1まへの1
むめも1佐可り尓なりゆき・お1ほ可多能花の
木ともゝみな1个しき者ミ・かすミわ多り尓
个り・月多ゝハ御いそ2きち可く物さハ可し可らむ
0209【御いそきちかく】-朱雀院の五十御賀の事也
尓・可きあ者せ給者む御古と能ね1も志可く
め起て2人いひなさむを・このこ2ろ志つ1可な2る
ほと尓心見給へとて・志むてん尓わ多し多て
0210【しむてんにわたしたてまつり】-女三宮の御方也
まつり給ふ・御とも尓わ連も/\と・物ゆ可し可り
てまうの本らまほし可れと・こ那多尓と越
き2越者・えりとゝめさせ給て2・すこしね1ひ」(30ウ)
堂れと・よしある可きりえりて2さふら者せ
給ふ・わらハへハ可多ちすくれ多る・四人あ可色尓
0211【四人】-紫上の童女也
0212【あか色】-うハき也
さくら能可さミ・うすいろ能をりも1能ゝあこめ・
うきもんのうへ能者可満・くれな2井のうち多る
0213【うちたる】-ひとへをいふにや
さ満・もてなしすくれ多る可起りをめし堂り・
女御の1御方尓も御志つらひな2といとゝあら多
0214【女御の御方】-明ー
まれるこ2ろ能くも1りなき尓・をの/\いと満
しく徒くし多るよそお1ひとも1・あさや可尓・
尓なし・わらハゝあ越いろ尓す王う能かさミ・
0215【あ越いろ】-うハき也
からあや能うへの者可満・あこめハ山ふきなる」(31オ)
から能き越・お1なしさ満尓とゝ能へ多り・あ可し
0216【からのき】-綺也
の1御方能ハこ2と/\し可らて・古う者い布多り・さ
くらふ多り・あ越しの1可きりにて2・あこめ古く
0217【あをし】-かさミをいふ
うすく・うちめなとえな2らてきせ多まへり・
0218【うすく】-打てきら付也板引ハ略也
宮の御方尓もかく徒とひ多まふへくきゝ給
0219【宮の御方】-女三
て・わらハへの1す可多ハ可りハ・古と尓徒くろ者せ
多まへり・あ越尓ゝやな2起の可さミ・えひそ2めの
0220【あをに】-あをにハうハき也青丹ハ濃青ニ黄をさしたる也
あこめなと・古と尓こ能ましくめつらしき2
さ満尓ハあらね1と・お1ほ可多の希ハひのい可めし
く・け多可きこ2とさへいとな2らひなし・ひさしの」(31ウ)
0221【ひさしの中の御さうし】-しん殿ノ南庇西東執放
中能御さうしを者な2ちて・こ那多可な2多見
木ちやうハ可りを个ちめ尓て・中能まハ院の
お1ハしますへきお1ましよそ2ひ多り・个婦の1
拍子あ者せ尓ハ・わらハへをめさむとて・右農
0222【右のおほいとの】-ヒケ
おほいと能ゝ三らう可むの1き2ミ能御ハら能あ尓
0223【三らう】-右大弁
0224【かむのきみ】-玉
君佐うの1布え・左大将の御多らうよこ布え
と婦可せて・す能こ尓さふら者せ多まふ・内尓
ハ御志と年とも1ならへて・御こ2とゝも1まいり王
多す・ひし多まふ御こ2ととも1・うるはしき2古ん
0225【こんちのふくろ】-紺地錦袋
ち能ふくろとも1尓いれ多る・とりいてゝあ可し能」(32オ)
御方尓ハ琵琶・むらさ起の1うへ尓ハ和琴・女御
0226【女御のきみ】-明ー
の1きみ尓佐う能御こ2と・宮尓ハかくこ2と/\しき
0227【宮】-女三
(+御イ、$(朱))古とハ・ま多えひき1多満者すやとあやう
くて・れ1いの1てならし給へるをそ志らへて2
0228【れいの】-女三
多てまつり給・さう能御古とハ・ゆる婦となけ連
と・な越可くも1能尓あ者するお1り能志らへ尓つ
けて2・ことちの1堂ちとみ多るゝ物也・よく
そ2能心志らひとゝ能ふへき2を・女者え者りし
つめし・な越大将越こ2そ・めしよせ徒へ可め連・
この1布えふきとも1ま多いとをさなけ尓て・」(32ウ)
拍子とゝ能へむ多能ミ・徒よ可らすとわらひ給
て・大将古那多尓とめせハ・御方/\者つ可しく
心徒可ひしてお1者す・あ可し能君越者な2ちて
0229【あかしの君越はなちて】-明ーハ入道其外ハ六条院伝之
ハ・いつ1連も1みな1すて可多き2御弟子とも1
なれハ・御心く者へて大将のきゝ多満者む尓・
な1んな可るへくとお1ほす・女御者つ年尓うへの
0230【女御】-明ー
き古しめすにも1・も能尓あ者せつ1ゝひき2
な1らし給つ連ハ・うしろや春起を・和古んこ2そ・
いく者くならぬ志らへな2れと・あとさ多まり
多る事なくて・中/\女の多とりぬへ个れ・」(33オ)
春能こ2との年ハ・みな1可きあハするも能な2る越・
み多るゝ所も1やとなまいとお1しくおほす・大
0231【大将】-夕
将いとい多く心遣さうして・お1まへのこ2と/\しく
うるハしき2・御こゝろミあらむよりも1・个ふの1
心つ可ひハ・こ1と尓まさりてお1ほえ給へハ・あさ
や可那る御な2お1し・可う尓志ミ多る御そ2とも1・そ
てい多く堂きしめて2・ひき2徒くろひて2
まいり給ほとくれ者て尓个り・ゆへある多そ
可れ時のそら尓・花ハこ2そ2能ふる雪思いてら
連て2・え多も堂わむハ可りさ起み多れ」(33ウ)
堂り・ゆるら可尓うち布く風尓・えな2ら春
尓本ひ多るみ春能内の1可ほりも1ふきあハせ
て・うくひ春佐そ2ふ徒万にし徒へく・いみしき2
0232【うくひすさそふ】-\(朱合点) 花の香越風のたよりにたくへてそうくひすさそふしるへにハやる(朱)(古今13・新撰和歌15・古今六帖30・385・4394・友則集2・寛平后宮歌合1、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋05)
お1とゝ能あ多り能尓本ひ也・みすのしたより
佐うの御古と能すそ2・春こし佐しいてゝ可る/\
0233【すそ】-末也
しきやうな2れと・これ可・をとゝ能へて志らへ
0234【をとゝのへ】-緒
心ミ給へ・古ゝ尓又うとき人のいるへきやうも
な起をとの多まへハ・うち可しこまりて2
たま者り給ほと・よういお1ほくめやすくて・
いちこちてう能こ2ゑ尓者つ1能をゝ堂てゝ・」(34オ)
0235【いちこちてう】-一越調
0236【はつのを】-発絃
婦とも1志らへ屋らてさふらひ給へハ・な越可き
あ者せ許ハ・手ひとつ・すさまし可らてこ2そ
と能多まへハ・佐ら尓个ふの1御あそ2ひのさし
いらへ尓・ましる($羅ふ)許の1手つ可ひなんお1ほえ春
侍遣ると・个しき2者ミ堂万ふ佐も1(△&も1)・あるこ2と
なれと・女可く尓えこ2とませて2な2む・尓个尓个る
と・つ多ハらむ名こ2そお1し个れとてわらひ給・志
らへ者てゝお1可しき2ほと尓・可きあハせハ可り
ひき2て2まいらせ多まひつ1・この1御むまこの
0237【御むまこ】-孫
君多ち能いとうつ1くしき2と能井す可多とも1」(34ウ)
0238【とのゐすかたとも】-直衣事 童殿上共也
尓て・布起あ者せ多流物の1手(=ね1イ)とも1・ま多王可
个れと・お1いさ起ありていみしくお1可し遣那り・
御こ2とゝも能志らへとも1とゝのひ者てゝ・可き
あ者せ給へるほといつ1連とな2きな可尓・ひハゝ
0239【ひハゝすくれて上手めき】-明ー
すくれて2上手めき・神さひ多るてつ可ひすミ者
てゝおもしろくきこ2ゆ・和古ん尓大将もみゝとゝ
0240【和こん】-紫
0241【大将】-夕
め給へる尓・なつ1可しくあいきやう徒き多る御
つまをと尓1・可起可へし多流ね1の・めつらしく
いまめ起て・佐ら尓こ能王さとある上手とも1
能・お1とろ/\しく可起多て多る志らへて(△&て)うしに」(35オ)
をとらす・にきハゝしく・やまと古と尓も・かゝる
手あり个りときゝお1とろ可る・ふ可き御らう
0242【御らうのほと】-年臈久稽古
能ほとあらハ尓1き古えておもしろき2尓・
お1とゝ御心お1ち井て・いとあり可多くお1もひき
0243【おとゝ】-源
古え給・佐う能御こ2とハ・も能ゝひ万/\尓心もと
なくも1りいつ1るものゝね1可らにて2・うつくし
遣尓な1まめ可しくのミきこ2ゆ・きむハな越
わ可起方なれとな2らひ給さ可りなれハ・多と/\し
からす・いとよく物尓ひゝき2あひて2・いう尓な
里尓ける・御古と能ね1可な2と・大将きゝ給・拍子」(35ウ)
0244【大将】-夕
とりて・さう可し給院も1時/\あふき2うちな1ら
0245【さうか】-唱哥
0246【院】-源
してく者へ給・御こ2ゑむ可しよりも1いみしく
お1もしろくすこし婦つ(=くイ)ゝ可尓・物/\し起遣そ2
ひて2きこ2ゆ・大将もこ2ゑいとすくれ多まへる人
尓て・夜の1志つ1可尓なりゆくまゝ尓・いふ可き2
里那くなつ可しき・夜の御あそ2ひなり・月
心もとな起こ2ろなれハ・とうろ古那多可な2多尓
可遣て2・火よ起ほと尓ともさせ給へり・宮の
0247【宮の】-女三
御方越・のそき給へ連ハ人よりけ尓・ちいさく
0248【のそき給へれは】-夕
うつくし遣尓て・多ゝ御そ能ミある心ち春・に」(36オ)
ほひや可那る方ハをくれて2・多ゝいとあてや可
尓お1可しく・二月の1中十日許のあ越やき能
王つ可に志多りハしめ多らむ心ちして・うくひ春
0249【うくひすのはかせ】-\(朱合点) 鴬の羽風ニなひく青柳のみたれて物をおもふ比哉 具平親王(出典未詳、河海抄・孟津抄・岷江入楚)
の者可せ尓もみ多れぬへくあえ可尓見え給さ
くら能ほそな可尓御くしハひ多りみきより
こほ連可ゝりて・やな2きの1いと能さ満志多り・
古れこ2そハ可起りな起人の・御ありさ満な1
め連と・見ゆる尓・女御の1きミハ・お1なしやうな2る
0250【女御のきミ】-明ー
御な1まめ起す可多能・いますこし尓本ひく
ハゝ里て・も1てなし遣はひ心尓くゝ・よしある」(36ウ)
さ満し給て2・よくさ起こほ連多る布ち能花
の1夏尓かゝりて・可多ハら尓なら婦花なき
あさほら遣の1心ちそ志給へる・さるハいとふく
0251【ふくらかなる】-懐妊五ケ月
ら可なるほと尓なり給て2・なやましくお1ほえ
給个れハ・御こ2とも1お1しや里て・けうそく耳・
0252【けうそこに】-脇休
おし可ゝり給へり・佐ゝや可尓なよひ可ゝり給
へる尓・御遣うそくハ・連いのほとな2れハをよひ
堂流心ちしてこ2と佐ら尓ちいさく徒くらハ
やと見ゆるそ・いとあハれ个尓お1ハしける・こう
者いの1御そ尓1御くし能可ゝり・ハら/\ときよ」(37オ)
ら尓て・ほか可けの1御す可多世尓なく・うつ1くし
遣なる尓・むらさ起のうへハえひそ2め尓やあ
らむ・色古きこうちき・うすゝ王う能ほそ
な可尓・御くし能堂万れるほとこち多くゆる
羅可尓お1ほきさなと・よきほと尓やう多
いあら万ほしくあ多り尓ゝほひみち多る心
ちして2・花とい者ゝ・佐くら尓多とへても1・な越
0253【さくらにたとへても】-\(朱合点) 桜よりまさる花なき春なれハあたら草木ハ物ならなくに(古今六帖4176・貫之集270、河海抄・孟津抄・岷江入楚)
ものよりすくれ多る遣者ひ古とに物し給・
かゝる御あ多り尓あ可しハ・けをさるへきを・いと
0254【けをさる】-気色也
佐しも1あらす・もてなしなと个しき2者ミ」(37ウ)
者つ1可しく心の1そ2こゆ可しき2さ満して2・楚
こ者可となくあて尓な万め可しくみゆ・柳
の1をりも能ゝほそな可にも1えき尓やあらむ
こうちきゝて・うすも能ゝもの者可な2遣なる
ひき可けて2・こ2と佐ら・ひ遣し多れと・个者ひ
思ひなしも1・心尓くゝあ那徒らハし可らす・
こま能あ越ち能尓しき能ハしさし多る志と
ね1尓・満本尓も井て2・ひ者越うちを起て2多ゝ
个しき2許ひき可けて2・堂越や可尓つ可ひ
なし多る・者ち能もてなし・ね1越きくよりも」(38オ)
又あり可多くなつ可しくて・さ月まつ花多ち
0255【さ月まつ花たちはな】-\(朱合点)
者那の・者な1もみも1くして・をしおれる可本り
お1ほゆ・これも1可れもうちとけぬ御遣者ひとも
を・きゝ見給尓大将もいと内ゆ可しくお1ほえ
給・堂いの1うへ能みしお1りよりも1ね1ひまさり
0256【たいのうへ】-紫
多まへらむありさ満ゆ可しき2尓・志つ1心も1
なし・宮越ハいますこし能すくせをよ者ま
し可者・わ可も能尓ても・見多てまつりてまし・
心の1いとぬるきそくやしきや・院ハ堂ひ/\
0257【院】-朱ー
さやう尓お1もむ遣て2・志りう事尓も能多」(38ウ)
0258【しりう事】-後言
ま者せける越と・ね1多く思へと・すこし心
やす起方尓みえ多まふ御遣者ひ尓・あな2つり
き2こ2ゆとハなけ連と・いとしも1心ハうこ可さゝ(#)
里个り・この1御方越ハな尓1こ2とも1お1もひをよ
0259【この御方】-紫
ふへき2可多なく个と越くてとしこ2ろ春
きぬ連ハ・い可て可多ゝお1ほ可多尓心よせある
さ満をもみえ多てまつらむと許のくちおし
く・なけ可しき那り(+けり(朱))・あな2可ち尓あるましく
お1ほ遣な2き心ちなとハ佐ら尓も1能し給
者す・いとよくもてお1さめ給へり・夜布け」(39オ)
ゆく遣ハひ飛やゝ可な1り・布しまち能月者
0260【ふしまちの月はつかに】-源詞
つ1可尓佐しいて多る心もとな2しや・春能お1ほろ
月よゝ・秋の1あはれ者多可うやうな2るも能ゝ
ね1尓むしのこ2ゑ・よりあ者せ多る堂ゝなら
春・こよ那くひゝき2そふ心ちす可しとの多
まへハ・大将の1君秋のよ能く万なき月尓ハ
0261【大将の君】-夕
よろつ1のも能ゝ・とゝこほりなき尓・こ2とふえ
の1年もあきら可尓すめる心ちハ志侍連と・
な越こ2と佐ら尓徒くりあ者せ多るやうな2る
そら能个しき2・花の1つゆ尓(+も(朱))・色/\めうつろひ」(39ウ)
心ちりて・可起りこ2そ侍連・春能そらの多と/\
しき可すミ能まより・お1ほろなる月可け尓・
志つ1可尓布起あ者せ多るやう尓ハ・い可て2可
布え能ね1な2とも1えむ尓すミのほりハて春
なむ・女ハ春をあ者れふと・布るき人のいひ
0262【女ハ春をあはれふ】-女ハ依陽思春男ハ感陰思秋
をき侍ける・个尓1さなむ侍个る・なつ可しく
も能ゝとゝのほる事ハ・春能ゆふくれこ2そこ2と尓
侍个れと申給へハ・いな1このさ多めよ・い丹しへ
0263【いなこのさためよ】-源詞
0264【いにしへより】-\(朱合点) 昔よりいひし置たることなれは我等ハいかゝ今ハさためん 躬恒(拾遺519、河海抄・休聞抄・孟津抄)
より人の王き可年多るこ2とをすゑの1世耳・
く多れる人のえ(+あ)きらめ者はつましくこ2そ・」(40オ)
も能ゝ志らへこく能ものとも1ハしも遣尓・里ち
0265【こく】-曲
0266【はしも】-詞ナリ
0267【りちをハつきのものに】-呂ヲサキ律ヲ次 律ハ陽正也呂ハ陰助也律ハ秋也
をハ・つき能もの尓志多るハ・佐もあり可しな2と
の多万ひて2・い可尓多ゝい万いうそくお1ほえ
多可起・そ能人可能人御前なと尓て・堂ひ/\
心ミさせ給尓・すくれ多るハ可すゝくなくな2り
ためる越・そ2能この可ミと・お1もへる・上手とも1
いくハく・えま年ひとらぬ尓やあらむ・この1
ほの可なる女堂ち能御中尓・ひきませ多1
らむ尓・き者・ゝなるへくこ2そお1ほえね1・とし
0268【はなる】-離
古ろ可くむもれて2すく春に・見ゝな2とも1すこし・」(40ウ)
ひ可/\しくなり尓多る尓やあらむ・くちおしう
なむ・あやしく人のさえ・者可な2くとりする
0269【とりする】-執
こ2とゝも1ゝも能ゝ者えありて2・まさるとこ2ろ
なるそ能御前の1御あそ2ひな2と尓・ひとき佐
0270【ひときさミに】-第一
ミ尓・えらハるゝ人/\それ可連とい可尓そと
の給へハ・大将それ越なむとり申さむと思ひ
0271【大将】-夕
侍りつれと・あきら可な2らぬ心のまゝ尓お1よ
すけて2やハと思給ふる・のほりて能世越・きゝ
あハせ侍らね1ハ尓や・衛門督の1和琴・兵部
0272【衛門督】-柏
0273【兵部卿宮】-蛍
卿宮の1御ひ王なと越こ2そ・このころめつら可な2る」(41オ)
ためし尓ひきいて侍めれ・遣尓か多ハらな
き2を・こよひう遣多まハる・も能ゝね1とも1
のミな1ひとしくみゝお1とろき侍ハ・な越可く
わさともあらぬ御あそひと・かねて思給へ
たゆミ个る・心の1佐者く尓や侍らむ・佐う可な2
といと徒可うまつり尓くゝなむ・和琴盤
可能お1とゝ許こ2そ・かくをり尓つ遣て2古しらへ
0274【かのおとゝ】-致仕
なひ可し多るね1な2と心尓ま可せて・可起多て
給へるハ・いとこ2と尓も1のし給へ・お1さ/\・き者
者な2れぬ物尓侍へめるを・いと可し古くとゝ」(41ウ)
のひて2こ2そ侍りつれと・めてき古え堂万婦・
いとさこ2と/\しき・ゝ者尓1ハあらぬ越・わさと
うるハしくも1・とりなさるゝ可な1とて・志多り可本
尓ほゝゑミたまふ・个尓1希しうハあらぬ弟子と
0275【けにけしうハあらぬ】-源
も1なり可し・琵琶ハしも1・古ゝ尓くちいるへき2
0276【琵琶ハ】-明
こ2とましらぬを・さいへと物の1个者ひこ2とな2る
へし・お1ほえぬ所尓てきゝ者しめ多りし尓・
0277【おほえぬ所にて】-明ーニテ
めつらし起も1能ゝこ2ゑ可那となむ・お1ほえし
可とそ2能お1りよりハ・又こよ那くまさり尓多る
をやと・せめて2わ連可しこ尓かこちなし給」(42オ)
へハ・女房なとハ・すこし徒き志ろふ・よろつ1の
0278【よろつのこと】-源
こ2と・みち/\尓つ遣て2ならひま年ハゝ・さえと
0279【さえ】-才
いふ物・いつれも1きハな1くお1ほえつ1ゝ・わ可心ち尓
あくへき可起りなく・な2らひとらむ事盤
いと可多け連と・な尓1可ハそ能たとり布可起
人のい万能世尓・お1さ/\なけ連ハ・可多ハし越
な多ら可尓ま年ひえ多らむ人・さる可多か
と尓1心越やりて2もありぬへき越・琴なむ
猶王つ1らハしく・手ふれ尓くき物ハあり遣る・
この1古とハ満こ2と尓・あと能まゝ尓多つ年とり」(42ウ)
堂るむ可し能人盤・天地越なひ可し・お1尓神
0280【天地をなひかし】-楽書ニ琴ハ天地ヲ動鬼神感セシトアリ
の心をやわら遣・よろつ1のも1能ゝね1のうち尓
志多可ひて2・可那しひ布可起ものも1よろこ2ひ尓
かハり・いやしくまつしき物も1・堂可起世耳
あらたまり・た可ら尓あつ1可り・世尓ゆるさるゝ堂
くひお1ほ可り个り・こ能く尓1ゝひきつ1多ふ類
0281【このくにゝひきつたふる】-波羅門僧正琴始我国一渡允恭文武天皇琴引給ふとアリ
者しめつ1可多まて・布可くこ能事越心え多る
人ハ・お1ほく能としを志らぬく尓1ゝすこし・
0282【しらぬくにゝすこし】-うつほニ波斯国ニいたりて琴を習事アリ
身越なき尓なして・このこ2と越ま年ひ
とらむと・まとひて堂尓・志う流ハ可多くな2む」(43オ)
あり遣る・け尓ハ多あきら可尓そら能月本し
をうこ可し・時な1らぬ志もゆ起をふらせ・くも1
0283【時ならぬ】-としかけ御前にて曲をつかまつる時
い可つち越さハ可し多るためし・あ可り多る世尓
ハあり个り・可く可きりな起物尓てそ2能まゝ
尓ならひとる人のあり可多く・世の1す衛なれハ
尓や・いつ1このそ能可ミの可多ハし尓可ハあらむ・
されとな越可のお1尓神の1みゝとゝめ・か多ふき
そめ尓ける物な2れハ尓や・な万/\尓ま年ひて2・
思可な1者ぬ多くひありける能ち・これをひく
人よ可らすと可いふ・なむを徒遣て2うる佐き2」(43ウ)
0284【なむ】-難
0285【つけて】-付
まゝ尓・いまハお1さ/\徒多ふる人なしと可・
いとくちお1しき2事尓こ2そあれ・きんのね1
をハなれて2ハ・な尓1こ2と越可も1のをとゝのへ志
流/\へとハせ2む・遣尓よろつ1の1こ2と・お1とろふる
さ満ハやすくな2りゆく・世の中尓ひとりいて
者な2れて2心越多てゝ・も1ろこしこ満と・この
世尓まとひありき2・お1やこを者な2れむこ2と
ハ世中尓ひ可め流物尓なりぬへし・なと可
なのめ尓てな越このみち越・かよハし志る
ハ可り能ハしをハ・し里を可佐らむ志らへひとつ尓・」(44オ)
手をひき2徒くさんこ2と多尓・ハ可りも1なき物
なゝり・い者むやお1ほくの1志らへ王つらハしき・
古くお1ほ可る越・心尓いりし佐可り尓ハ・世尓
0286【こく】-曲
ありとあり・古ゝ尓つ多ハり多る婦といふも能ゝ
0287【ふ】-譜 琴経琴操(サウ)琴法雑琴百余巻書云々
かきり越・あま年く見あハせて2・のち/\ハ
師とすへき人もなくてなむ・この1みな2らひ
志可と・猶あ可りての人尓ハ・あ多るへくもあらし
をや・ましてこ能ゝちといひて2ハ・つ多者るへき
すゑも1な起・いとあ者れ尓なむな2との多ま
へハ・大将遣尓いとくちお1しく者つ1可しとお1ほ春・」(44ウ)
0288【大将】-夕
この1御子多ち能御中尓お1もふやう尓・お1いゝ
て給・も能し多まハゝ・そ2能よ尓1なむ・楚も1
さ満て2・な可らへとまるやうあらハ・いく者く
ならぬて能可きりも・とゝめ多てまつるへき・
二(=三イ、#)宮いまより遣しきありて2みえ多ま
ふをなとの多まへハ・あ可しの君ハ・いとおも
0289【あかしの君】-明石上
たゝしく・涙くミてきゝ井多まへり・女御
の1きミハ・佐う能御こ2と越ハ・うへ尓ゆつりきこえ
てより婦し給ひぬ連ハ・あつまをお1とゝの
0290【あつま】-和琴
0291【おとゝ】-源
御まへ尓まいりて2・个ち可き御あそ2ひ尓」(45オ)
なりぬ・可つらきあそ2ひ給・者な2や可耳
0292【かつらき】-\(朱合点) 催馬楽名哥
お1もしろし・お1とゝお1り可へしう多ひ給御
こ2ゑ多とへん可多なく・あいきやう徒きめ
て多し・月やう/\佐しあ可るまゝ尓・花の
色可も・ら($も(朱))て者やされて2・个尓いと心尓くき
ほと也・佐う能古とハ・女御の1御つ万をとハ・いとら
0293【女御】-明中
う多け尓なつ1可しく・者ゝ君の1御遣ハひくハゝ
里て2・遊能ね1ふ可くいみしく・すミてき2古え
0294【ゆのね】-由
つ1る越・この御てつ可ひハ又さ満可ハりてゆるゝ
可尓お1もしろく・きく人堂ゝなら須・すゝろハ」(45ウ)
しきまてあいきやうつ1きて・里むの手な2と
0295【りむの手】-輪前御也又一本りち
すへて佐ら尓いとかとある御古と能ね1なり・可へり
こ2ゑ尓み那しらへ可ハりて2・里ち能可きあハせ
とも1なつ可しく・いまめ起多る尓・きんハこ可能
0296【きんハこかのしらへ】-五ケ調 掻手 片垂 小宇瓶(ウヘイ) 蒼海波 鴈鳴調(カンメイシラヘ) 一ハ胡笳
志らへあま多能手のな1可尓・心とゝめて2可な1
らすひき2給つ($へ(朱))き五六のハち(ち=らイ、#)を・いとおもし
0297【五六のはち】-万秋楽ノ破ニ五ノ帖六ノ帖アリ 破等
ろくす満してひき2給・佐ら尓か多ほな2らす・
いとよくすみて2きこ2ゆ・春秋よろつ1のも能尓
かよへる志らへ尓て・かよハしわ多しつ1ゝひき
給心志らひ・をしへき古え給さ満堂可へ春・」(46オ)
いとよく王きまへ多まへるを・いとうつくし具
お1も多ゝしく思ひき古え給・こ能きみ多ち
能いとうつくし具ふき多てゝ・せち尓心いれ
多る越らうた可り給て2・ねふ多くなり尓
多1らむ尓・こよひの1あそ2ひハな可くハあらて・
者つ1可なるほと尓1と思日つ1る越・とゝめ可多き
も1能ゝね1とも1の1いつれとも1なき越・きゝ王く
ほとのみゝと可らぬ・堂と/\しさ尓い多く布
け尓个り・心なきわさな1りやとて・佐うの
0298【さうのふえふくきミ】-鬚三郎君
布えふくきミ尓1・可ハら遣佐し給て・御楚」(46ウ)
ぬきて可つけ給・よこ布え能きみ尓ハ・こ2な2多
0299【よこふえのきみ】-夕大郎君
0300【こなたより】-紫
よりをりも能ゝほそな可尓ハ可満なと・こ2と(と=ちイ、#)/\
し可らぬさ満尓个しき2ハ可り尓て・大将の君
尓ハ宮の御方より・さ可月佐しいてゝ宮の御
佐うそくひとく多りかつ遣(△&つ遣)多てまつ1り給を・
お1とゝあやしや・も能ゝ師をこ2そまつハも1のめ
0301【あやしや】-源
可し給ハめ・うれハしき事也と能多まふ尓・宮
のお1ハしますみ木ちやうのそ者より・御
布えを堂てまつる・うちわらひ給て2とり給・
いみしき2こ満布えなり・すこしふきならし」(47オ)
給へハ・みな1堂ちいて給ほと尓・大将多ちと
まり給て2・御こ能もちたまへる布えをとりて・
いみしくお1もしろく婦き多て給へる可・いとめて2
多くきこ2ゆ連ハ・いつれも1/\みな1御手越
者な2れぬも能ゝつ多へ/\・いとになく能ミある
尓てそ・わ可御さえ能程あり可多くお1ほし志
られ个る・大将殿ハきみ多ち越御くる満尓
のせて2・月のすめる尓ま可て給・みちす可ら
佐う能こ2との可ハりて2・いみし可りつ1るね1も1みゝ
0302【さうのこと】-紫上
尓つきて・こ2ひしくお1ほえ多まふ・王可北の1方ハ」(47ウ)
0303【わか北の方】-雲井
故大宮能をしへき古え給し可と・心尓も志め給
ハさりしほと尓1・わ可れ多てまつ1り多まひ尓し
かハ・ゆるゝ可尓1も1・ひきとりた万ハて・お1とこ君
の御まへ尓てハ・者ちて佐ら尓ひき多まハす・
な尓1こ2とも1多ゝお1ひら可尓・うち越ほとき
多るさ満して2・ことも1能あつ可ひを・いと満な2
く・徒き2/\し給へハ・お1可しき所も1な1くお1ほゆ・
さす可尓1者らあしくても能ね1多ミうち志多る・
あいきやう徒きて・うつ1くしき人さ満尓そ
も能し給める・院ハ堂いへ王多り給ひぬ・うへハ」(48オ)
0304【うへハとまり給て】-紫女三方ニ
と満り給て2・宮尓も御もの可多りなときゆ古え
堂万ひて・あ可月尓そわ多り給へる・ひ多可う
0305【あか月にそわたり給へる】-紫我方へ
0306【ひたかう】-源
なるまてお1ほとのこも1れり・宮の1御こ2と能年
0307【宮の御ことのねは】-女三 紫詞
ハいとうる佐くなり尓个りな1・い可ゝきゝ給しと
0308【いとうるさくなりにけりな】-よき也 ねたましき也
き2古え給へハ・者しめつ可多あな2多尓て・ほの
0309【はしめつかた】-源
きゝしハい可尓そやありしを・いとこよ那く
なり尓个り・い可て可ハ可く・事なくをしへ
き古え堂万ハむ尓ハと・いらへき2古え多1万ふ・
さり($か(朱))して越と流/\お1ほつ可な2可らぬもの1ゝ
師なり可し・これ可連尓もうる佐くわつらハし」(48ウ)
くて2・いとまいるわさなれハ・おしへ多てまつら
ぬ越・院尓も内尓も琴ハ佐りとも1・ならハし
きこ2ゆらむとの多まふと・きく可・いとお1しく
さりとも1さハ可り能こ2と越多尓・可くとり王き
て・御うしろみ尓と・あつけ多まへる・志るし尓
ハと思ひお1こしてなむなと・き古え給徒
いて尓も・む可しよつ1可ぬ本と越・あつ可ひ思ひし
さ満・そ能世尓ハいとまもありか多くて・心の
と可にとりわき2・をしへきこゆる事なとも1
なく・ち可き世尓もな尓1とな2く・つき/\ま起」(49オ)
連つ1ゝ・すくしてきゝあつ可者ぬ御こ2と能ね1の・
いて者へ志多りしも1・めむほくありて2・大将
の1い多くか多ふきお1とろき多りし个しき
も・思婦やう尓うれしくこ2そありし可那と・
き2古え給・可やう能春ちも1いまハ又おとな2/\
しく・宮多ち能御あつ可ひなと・ゝ里もちて・
志給さ満も・い多らぬ事那く・すへて2な尓1こ
と尓つけて2も・もと可しく堂と/\しきこ2と・
ましら春あり可多起人の御ありさ満な
連ハ・いと可くくしぬる人ハ・よ尓1ひさし可らぬ」(49ウ)
ためしも1あな2るをと・ゆゝしき2まて思ひき
古え給・さ満/\なる人のありさ満を・見あつ
め多まふまゝに・とりあつめ堂らひ多るこ2と
盤・万こ2と尓多1くひあらしと能ミ思日き2
古え給へり・古としハ三十七尓そなり給・見
0310【三十七にそなり給】-紫上
多てまつ1り給し年月の1こ2とな2とも1あ者
れ尓お1ほしいて多るついて尓・さるへき2御いの
里な2とつ年よりも1・とり王きてことしハ徒ゝ
志ミ多万へ・も能さハ可しくのミありて2・お1もひ
い多らぬ事も1あらむを・猶お1ほしめくらして・」(50オ)
お1ほき2なる古とゝ裳志給ハゝ・をのつ1可らせ
させて2む・こそうつの1ものし給者すなり
尓多流こ2そ・いとくちお1し个れお1ほ可多丹て2・
うち堂能まむにもいとかしこ可りし人越
なとの多まひいつ1・みつ可らハをさ那くより
人尓古と那るさ満尓て・古と/\しくおいら($い(朱))てゝ・
いまの世のお1ほえありさ満きし可多尓・た
くひすくなくなむありける・されと又よ尓1
すくれて2・可な1しき2め越みる可多も人尓ハ
まさり遣里可し・まつ1ハ思ふ人尓佐万/\」(50ウ)
をくれ・のこりとまれるよ者ひのすゑ尓も1・
あ可すかな1しと思ふこ2とお1ほく・あちき那く
さるまし起古と尓つけて2も・あやしくも能
お1もハしく心尓あ可すお1ほゆるこ2と・そ2ひ多る
身丹て2す起ぬ連者・それ尓かへてやお1もひし
ほとよりハ・いまゝても1な可ら婦るな1らむと
なん・思日志らるゝ・君能御身尓ハ・かの1ひとふし
の王可れよりあな2多こ2な2多物思日とて・心見
多り給許のこ2とあらしとなん・お1もふき佐き
といひ・ましてそれよりつき/\ハやむこ2とな2き2」(51オ)
人といへと・みな1可那らすや春可らぬ物おもひ
楚ふ王さ也・堂可起ましらひ尓つけて2も
心み多れ人尓あらそふ思日能堂えぬもや春
遣な起を・お1やの1まとの内な可ら・すくした
まへるやうな2る心や春き2こ2とハなし・その1
方人尓すくれ多り个る・すくせとハお1ほし
志るや・思日能ほ可尓こ能宮の1可く王多りも
能し給へるこ2そハ・な1万くるし可るへ个れと・
それ尓つけて2ハ・いとゝく者ふる心さしの本とを・
御身つ1可ら能うへなれハ・お1ほし志らすやあ」(51ウ)
らむ・も能ゝ心も1婦可く志り給めれハ・さりと
も1となむ思ふとき2古え多まへハ・の多まふ
やう尓物者可那き2身尓ハ・す起尓多るよそ
能お1ほえハあらめと・心尓多えぬも能なけ可し
さのみうちそ2ふやさハ・みつ可ら能いのりなり
けるとて・の古りお1ほ遣なる遣ハひ・者つ可し
遣なり・まめや可尓ハいとゆくさ起すくな2起
0311【まめやかにハ】-紫詞
心ちする越・古と志も可く志ら春可ほ尓て
すく須1ハ・いとうしろめ多くこ2そ・さ起/\も1
き2こゆる事い可て・御ゆるしあらハとき2こえ」(52オ)
0312【きこゆる事】-紫出家事
給・それハしも1あるましき2事尓なんさて・
0313【それハしも】-源詞
可遣者な2れ給日なむ世尓のこりてハ・な尓1
の1可ひ可あらむ・多ゝかくな尓1とな2くて・すくる
年月なれと・あけくれのへ多てな起・う
れしさの見こ2そ・ますこ2と那くお1ほゆ連・猶
思ふさ満こ2とな2る心の1ほと越・見者て給
へと能ミき2古え給越・れ1いの古とゝ心やまし
くて2なみ多くミたまへる遣しき越・いとあ
者れ尓見多てまつり給て2・よろつ1尓き2
古えま起らハし給・お1ほくハあらね1と・人の」(52ウ)
ありさ満能とり/\尓くちおしくハあらぬ越・
見志りゆくまゝ尓1・ま万古と能古ゝろハせお1ひら
可尓お1ち井多流こ2そ・いと可多き2わさなり
个れとなむ・思ひハて尓多流・大将の者ゝ君
を・お1さ那可りしほと尓・見そめて2やむこ2とな2
く・えさらぬすち尓ハ思ひしを・つ年尓な可
よ可らす・へ多てある心ちして・やミにしこ2そ・
い万思へハいとおしく・ゝやしくも1あれ・又わ可あ
やまちにのミも1・あらさり个りな2と・心悲と
つ尓なむ思日いつ1る・うるハしくをもり可尓て・」(53オ)
楚能こ2と能あ可ぬ可な1とお1ほゆる事もな可り
き2・堂ゝいとあ万里み多れ多る所なく・春
く/\しく・すこし・さ可しとや・いふ遍可り个む
0314【さかし】-賢
と思ふ尓ハ・堂のもしくみる尓ハ・わつらハし
かりし人さ満尓なん・中宮の1御者ゝミや
0315【御はゝミやす所】-六ー
す所なん・さ満古と尓心ふ可くな1万め可し
き2ためし尓ハ・まつ思ひいてら流連と・人
みえにくゝ・具流し可里しさ満尓なんありし・
うらむへき布しそ遣尓こ2とハりとお1ほゆる
布しを・や可てな可くお1もひつめて2・布可くゑん」(53ウ)
せられしこ2そ・いとく流し可里し可・心ゆるひなく
者つ可しくて・我も人も1うち多ゆミあさゆふ
のむつひ越・可者さむ尓ハ・いと徒ゝましき2所
の1ありし可ハ・うちとけて2ハ見お1とさるゝ事
やな2と・あまり徒くろひし本と尓・や可て遍多
多りし中そ可し・いとあるまし起名越
堂ちて・身のあ者/\しくなりぬるなけ
き越いみしく思日しめ給へりし可・いとおし
くけ尓人可らをお1もひしも・我つ1ミある心
ちして2・や見にしなくさめ尓・中宮越」(54オ)
0316【中宮を】-秋ー
かくさるへき2御契とハ・いひな可らとり多てゝ・
世のそし里人のうらみ越も志ら春・心よ
せ多てまつる越・可能世な可らも1・見な2お1(越&お1)さ
れぬらむ・今も1む可しもな越さりな2る心
のすさひ尓・いとお1しくゝやし起事も1・お1
ほくなんと・きし方能人の御うへすこしつゝ
の多まひいてゝ・内の1御方の・御うしろミ
0317【内の御方】-明中
ハ・な尓1許の本となら春とあ那つりそめて2・
心やす起もの尓お1もひしを・猶心の楚こ
見えすきハなく・布可起所ある人尓」(54ウ)
なむ・う者へハ人尓なひき2・お1ひら可尓みえ
な1可ら・うちとけぬ个しき2志多尓古も1りて2・
そ2こ者可となく・者つ1可しき所こ2そあ連と
の多まへハ・こと人盤み年ハ志らぬを・これハ
まほならね1と・をのつ1可ら个しきみるお1り/\
もあ流尓・いとうちとけ尓1くゝ心者つ1可しき2
ありさ満しる起を・いと堂としへな起うら
なさ越・い可尓見給らんと・つ1ゝまし个れと・
女御ハをのつ1可らお1ほしゆるすらんと能ミ
思ひて2なむとの多まふ・さハ可りめさ満しと」(55オ)
心を起給へりし人越・い万ハ可くゆるして
みえ可ハしなと志給も1・女御の1御堂め能ま
心なるあまりそ可しとお1ほ春尓・いとあり
可多け連ハ・君こ2そハさす可尓く満な起尓ハ
0318【君こそハ】-紫
あらぬもの可ら・人尓より(+事丹(朱))志多可ひ・いとよく
布多すち尓心つ可ひハ志給个れ・佐ら尓古ゝ
らみ連と御ありさ満尓・ゝたる人ハな可
里个り・いと个しき2こ2そも能し給へと・本ゝ
ゑミて2き古え給・宮尓いとよくひき2とり
0319【宮に】-女三
給へりしこ2と能・よろこ2ひき古えむとて・ゆふ」(55ウ)
つ1可多わ多り給ぬ・わ連尓心をく人やあらむ
とも1・お1ほし多ゝす・いとい多くわ可ひて2・悲とへ尓
御こ2と尓心いれて2お1ハ春・い万ハいと満ゆるして・
うちや春ませ給へ可し・物の1師ハ心ゆ可せ
てこ2そ・いとく流し可り徒る・日こ2ろ能志るしあ
里て・うしろやすくなり給尓个りとて・
御古とゝも1お1しやりて・お1ほと能こも1りぬ・堂
い尓ハ連いの1お1ハしまさぬ夜ハ・よ井ゐ志多
まひて・ひと/\尓物可多りなとよ満せ2て2
き2ゝ給・可く世能堂とひ尓いひあつめ多る」(56オ)
む可し可多りとも1尓も・あ多なる男・色このミ
ふ多心ある人尓・かゝ徒らひ多る女可やうな2る
事越いひあつめ多る尓も・徒井尓よる可多あ
0320【つゐに】-\ 古今 大ぬさと名にこそたてれなかれてハつゐによるせハありてふ物を(左)(古今707・業平集36、河海抄・紹巴抄・岷江入楚)
0321【よるかた】-\ よるかたもありといふなるありそ海に立しら波のおなしところに(朱)(右)(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋06)
里て2こ2そあめ連・あやしくうきてもすくし
つ1るありさ満可那・遣尓の多まひつるやう
尓・人より古とな2るすくせも1ありける身な2
可ら・人の志のひ可多くあ可ぬ事尓する・も
の1思日者なれぬ身尓てや・屋ミなむと
すらん・あちきなくも1ある可那なと・思日つゝ
个て2夜ふけて2お1ほと能古も1りぬる・あ可」(56ウ)
月可多より御む年をなやミ給・人々み多て
0322【御むねをなやミ給】-紫
まつ1りあつ1可ひて2・御せうそこき2古えさ勢
むときこ2ゆる越・いとひんないこ2とゝせいし
給て2・多へ可多起をお1さへて2あ可したまふつ1・
御身も1ぬるみて2・御心ちも1いとあし个れと・
院もとみ尓王多り多まハぬ程・可くなむと
0323【院も】-源ー
も1き2古えす・女御の御可多より御せうそこ
0324【女御の御かた】-明ー
ある尓・かくなやましくて2なむとき2古え
給える尓・お1とろきて・そ2那多よりきこえ
多まへる尓・む年つふれて2いそきわ多り給」(57オ)
へる尓・いとく流し遣尓てお1ハ春・い可な2る御
心ちそとて・さくり多てまつ1り給へハ・いと
あつ1くお1者すれハ・き2のふ起こえ給し御
徒ゝ志ミ能春ちなと・お1ほしあ者せ給て2・
いとお1そろしくお1ほさる・御可ゆな2と古な2多
0325【御かゆなと】-是ハ源ヲ云
尓まいらせ多れと・御覧しもいれ春・ひゝとひ
そ2ひお1ハして・よろつ1尓見多てまつ1りなけ
き2給・者可な2き御く多物越多尓・いと物うく
志給て2・お1きあ可り給事多えて・日こ2ろへぬ・
い可な2らむとお1ほしさハきて・御いのりとも1」(57ウ)
可す志ら須2ハしめさせ給・そ2うめして御可ち
なとせさ勢給・そこ所とも那く・いみしく・具
流しく志給て2・む年ハ時々お1こりつ1ゝ・王つらひ
給さ満多へ可多く・具流し遣那り・さ満/\の
御つ1ゝ志ミ可起りなけ連と・志るしもみえ
春・をもしとみ連と・をのつ1可らをこ堂る
遣ちめあらハ・堂能もしき越いみしく心
ほそく可な2しと見多てまつり給尓・こ2と事
お1ほされね2ハ・御賀の1ひゝき2も1志つまりぬ・
可能院よりも1・可く王つらひ給よしき古し」(58オ)
0326【かの院】-朱ー
めして・御とふらひいとね2んこ2ろ尓・堂ひ/\
き2古え給・お1なしさ満尓て二月もすきぬ・
いふ可起りなくお1ほしなけきて・心見耳
所越可へ給者むとて・二条院尓わ多し多てま
徒り給ひつ1・院の1うちゆ春りみちて思日
なけく人お1ほ可り・冷泉院もき古しめし
な2けく・この1人うせ多万ハゝ・院も1可な2らす
世越そ2むく御ほいと遣多まひてむと・大将の
君な2とも心越徒くして・見多てまつ1りあつ1
可ひ給て2・ミす本うな2とハお1ほ可多能をハ・佐類」(58ウ)
物尓てとりわきてつ可うまつらせ給・いさゝ可物
お1ほしわくひ万尓ハ・き2古ゆる事越佐も心
うくとの1ミうらみきこえ給へと・可きりありて
わ可れ者て給者むよりも1・め能まへ尓わ可心
とや徒しすて給ハむ・御ありさ満をみて2ハ・
0327【やつして】-尼成事
佐ら尓可多時多ふましく能ミお1しく・可那し
0328【たふましく】-堪忍
可るへ个れハ・む可しよりみつ可らそ・かゝ流ほい
布可起を・とまりて・佐う/\しくお1ほされん・
心く流しさ尓・ひ可れつ1ゝすく春越・さ可さ満尓
うちすて堂万ハむとや・お1ほ春と能ミ・お1しミ」(59オ)
き2古え給尓・个尓1いとたのミ可多け尓よハり
徒ゝ・可きり能さ満尓みえ給・お1り/\尓($)お1ほ可る
を・い可さ満尓せむとお1ほしまとひ徒ゝ・宮の1
0329【宮の御方】-女三
御方尓も1・あ可らさ満尓王多り堂万ハ春・
御古とゝも・すさましくて・みな1ひき2こめら
れ・院の1うち能人々ハみ那ある可起り・二条
0330【院のうち】-源
院尓つとひまいりて2・この1院尓ハ・火を遣ち
多るやう尓て・多ゝ女とちお1ハして・人ひとりの
御希ハひなり个りとみゆ・女御の1きミ裳
わ多り給て2・もろとも1尓見多てまつりあつ1」(59ウ)
可ひ多まふ・堂ゝにも1おハしまさて・物の
希な2といとお1そろしき2を・者やくまいり
堂万ひ年と・くるしき2御心地尓も1き古え
給・王可宮の1いとうつくしうてお1ハします越・
0331【わか宮】-東宮
み多てまつり給ても・いみしくな起給て1・を
となひ堂万者むを・えみ多てまつらす
なりな2むこ2と・わすれ給なん可しとの1給へハ・
女御せ起あへ春可那しとお1ほし多り・ゆゝし
0333【ゆゝしくかく】-源詞
く可く那お1ほしそ・さりとも1・遣しうハもの
し給(+ハ(朱))し・心尓よりなん人ハとも1可くもある・」(60オ)
をきてひろきうつ1ハ物尓ハ・さい者ひも・そ
れ尓志多可ひせ者起心ある人ハ・さるへき2
尓て・堂可起みとなりて2も1・ゆ多可尓ゆるへ
流か多ハをくれ・きうなる人ハ・ひさしく
つ年な2らす・心ぬるくな多ら可な2る人ハ・な可
き2ためしなむお1ほ可りけるな2と・仏神尓も
この1御心者せの1・あり可多く徒ミ可ろき2
さ満を・申あきらめさせ多まふ・みす法
の1あさり多ち・よ井な2と尓ても1ち可くさふ
羅ふ・可きりのやむこ2とな2きそうなとも1・いと」(60ウ)
可くお1ほしまとへる御遣ハひをきく尓・いといみ
しく心くるしけ連ハ・心越お1古して・いのり
き2こ2ゆ・すこしよろしき佐ま尓みえ給時・
五六日うちませつゝ・又をもり王つ1らひ給
こ2と・いつ1となくて月日をへ給ハ・猶い可尓お1ハ
すへき2尓可・よ可流ましき2御心ち尓やと
お1ほしなけく・御物の遣な1といひて2・いて
く流もなし・な2やミ多まふさ満楚こハ可と
みえす・堂ゝひにそへて2よハり給佐万尓
の1ミゝゆ連ハ・いとも/\可な1しく・いみしく」(61オ)
お1ほ春尓・御心のいとまも1なけな2り・まこ2と
や・衛門督ハ中納言尓なり尓き可し・いま
0334【衛門督】-柏
の1御世尓ハ・いとし多しくお1ほされて2・いと・時
の人也・身のお1ほえまさる尓つけて2も・思ふ
こ2と能可な1者ぬうれハしさ越・思日王ひて・この
0335【この宮】-女三
宮の1御あ年能二宮をなむ・盈多てまつり
0336【御あねの二宮】-落ー
て个る・下らう能可うい者ら尓お1ハしまし
遣れハ・心やす起可多まし里て思ひき2
こえ給へり・人可らも1なへて2の人尓お1もひ
なすら婦連ハ・个者ひこよ那くお1者すれと・」(61ウ)
もとより志ミにし可多こ2そ・な越ふ可ゝりけ
連・なくさめ可多起をハすて尓て・人め尓
0337【なくさめかたきをハすて】-大和 我心なくさめかねつさらしなや(古今878・新撰和歌257・古今六帖320・大和物語261、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋07) 模落ー為東宮ヲハ也
と可めらるましき2ハ可り尓・もてなしき2
古え給へり・な越可能志多の心・王すられ春・
0338【わすられす】-女三
こ侍従といふ可多らひ人ハ・宮の1御侍従の
め能とのむすめなり个り・そ2能めのと能あ年
そ・可能かん(+の(朱))君能御めのとなり个れハ・者やく
0339【かんの君】-柏
より个ち可く・きゝ多てまつりて・ま多宮
をさなくお1ハしましゝ時より・いとき2よら
0340【をさなくおハしましゝ時より】-女三事
尓なむお1はし(はし&はし)ます・み可と能可しつ1き2多て」(62オ)
0341【みかと】-朱ー
まつりたまふさ満な2と・きゝを起多てまつ
里て・かゝ流お1もひもつきそ2め多流(△&流)なり
个り・可くて院もハなれお1ハしますほと(△&ほと)人
0342【院も】-源
めすく那く志めや可な2らむを・お1しハ可りて2・
こ志ゝうをむ可へとりつ1ゝ・いみしうか多ら婦・
む可しより可くいのちも1堂ふましく思ふ
こ2と越・可ゝ流志多しき2よす可ありて1・御あり
さ満をきゝつ多へ・堂えぬ心の1ほと越も・き2
こしめさせて2多能もしき2尓・佐ら尓その1
志るし能なけ連ハ・いみしくなんつら起・院の」(62ウ)
0343【院のうへ】-朱ー
うへ多尓可くあま多尓・可遣/\しくて人尓
お1され給やうにて・悲とりお1ほと能古も1流・
0344【ひとりおほとのこもる】-女三
よ那/\おほく・つ連/\尓てすくし給な2り
なと・人の1楚うしけるついて尓も・すこし
0345【すこしくいおほしたる】-朱ー心
くいお1ほし多流御个しき2尓て・お1なしくハ・
多ゝ人の1心や春起・うしろミ越佐多めむ尓
ハ・まめや可尓・徒可うまつるへき2人越こ2そ2・
佐多むへ可り个れとの多まハせて2・女二の
0346【女二の宮】-落ー
宮の1中/\うしろや春く・ゆく春衛な可き
さ満尓ても1のし給な2る事と・能多万ハせ」(63オ)
ける越・つ多へきゝし尓・いとお1しくも1くち
お1しくも1・い可ゝ思み多るゝ・个尓1お1な2し御春
ちとハ堂つ1年き古えし可と・そ2れ者それと
こ2そお1ほゆるわさなり个れと・うちうめき
給へハ・こ志ゝういてあ那お1ほ遣な1・それ越
そ2れと佐しを起堂てまつり給て・又い可
やう尓可起りなき御心ならむといへハ・
うちほゝゑミて2・さこ2そハあり个れ・宮尓可多し
0347【宮】-女三
遣なく・き2古えさせをよひ个る佐万ハ・院尓も
内尓も・き古しめし个り・なとて可ハ佐て2も1・」(63ウ)
佐ふらハさらましとなむ・こ2と能徒いて尓ハ
の多まはせ遣る・いてや多ゝい万すこしの
御い多者りあらまし可ハなといへハ・いとか
多起御事也や・御すくせと可いふこ2と侍な2る
を・も1と尓て・かの1院の事(+に)いてゝ・ね1んこ2ろ尓
0348【もと】-本
き2古え給ふ尓・堂ちならひさ満多けき
古えさせ給へき・御身能お1ほえとやお1ほされ
し・この1こ2ろこ2そすこし物/\しく・御そ能
色も1ふ可くなり給へ連といへハ・いふ可ひなく・
者やり可なる・くちこハさ尓・えいひ者て給者」(64オ)
て・い満ハよし・す起尓1し可多越ハきこえしや・
多ゝ可くあり可多き2も能ゝひま尓・个ち可
き2ほと尓て・この1こ2ろ($(朱&墨)心(朱&墨))能うち尓思ふこ2と能者
し・すこしき2古えさせ徒へく・た者可り給へ・
お1ほ遣な起心盤すへて2よし見給へ・いと
おそろし个れハ・思日者な2れて2侍りとの多
まへハ・これよりお1ほ遣な起心ハ・い可ゝハあら
む・いとむくつ1希起事越も・お1ほしよりける
可那・な尓1し尓まいりつ1らむと・者ちふく・
いてあな2き2ゝにく・あまりこち多くもの越」(64ウ)
古楚・いひなし給へ个れ・世ハいとさ多めな
き2も1の越・女御きさ起も・あるやうありて2
も能し多まふ多くひなくや者・ましてそ能
御ありさ満よ・お1もへハいと堂くひなく・めて
多け連と・うち/\ハ心やましき2こ2とも1
お1ほ可るらむ・院の1あま多の御中尓・又
ならひな起やう尓・ならハしき2古え給ひし
尓・佐しも1ひとし可らぬき2ハの・御方/\尓
堂ちまし里・めさまし遣な2る古とも1
ありぬへくこ2そ・いとよくきゝ侍りや・世中」(65オ)
ハいとつ年な起物越・ひとき2ハ尓思日さ
ためて2・ハし多なく・徒きゝりなる事な2
0349【つきゝり】-フツキリ
の多まひそよと・の多まへハ・人尓・お1とされ
0350【人におとされ】-小侍従詞
給へる御ありさ満とて・めて多き方耳
あらため給へき2尓やハ侍らむ・これハ世のつ
ね1の御ありさ満尓も1侍し($ら(朱))さめり・多ゝ御う
しろ見なくて・多ゝよハしく・お1ハしまさむ
よりハ・お1やさ満尓とゆつりき2古え給し
可ハ・可多ミに佐こ2そ思日可ハしき古えさせ給
堂めれ・あいな起御おとしめこ2と尓1なむと・」(65ウ)
者て/\ハ者ら多つ1を・よろつ1尓いひこし
らへて・まことハさハ可り・よ尓1な起御ありさ
ま越・み多てまつりなれ給へる御心尓・可す
にも1あらす・あやしきなれ春可多越・うち
とけて2御覧せられんとハ・佐ら尓思日
可けぬ事な2り・多ゝひとこ2と・も1の古し尓て
き2古え志らす許ハ・な尓1者可り能御身の
屋つれ尓可ハあらむ・仏神尓も思ふ事申(+春)ハ・
徒ミあるわさ可ハと・いみしき2・ち可こ2と越志つゝ
の多まへハ・志ハしこ2そいとあるまし起こ2と尓」(66オ)
いひ可へし个れ・物ふ可ゝら(△&ら)ぬ王可人ハ・人の可く
身尓可へて2・いミしく思日の多まふを・えい
な1ひハてゝ・も1し佐りぬへき2ひまあらハ・
堂者可り侍らむ・院のお1者しまさぬ夜ハ・
0351【院】-源
見帳の1めくり尓・人お1ほく佐ふら婦て2・お1
まし能本とり尓・さるへき2人可な2らす・佐ふら
ひ給へハ・い可な2るお1り越可者・ひ万を見つ遣
侍へ流遍可らむと・わひつゝまいりぬ・い可尓/\
とひゝ尓せめられこうして・さるへき2おりう
可ゝひつけて2・せうそこしお1古せ多り・よろ」(66ウ)
こ2ひな可らいみしく・やつれしのひて2お1ハし
ぬ・まこ2とにわ可こゝろ尓もいと个し可らぬこ2と
なれハ・个ち可くな2可/\お1もひみ多るゝこ2とも1・
まさるへき2こ2とまてハ思日もよらす・多ゝ
いとほの可尓・御そ能つ万ハ可り越み多てま
つりし・春のゆふへの1あ可す・世とゝも1耳
思日いてられ給御ありさ満を・すこし个ち
可くて見多てまつり・お1もふこ2と越もき2古え
志らせて2ハ・ひとく多り能御可へりな2ともや見
せ多まふ・あ者れとや・お1ほし志るとそ思日」(67オ)
ける・四月十よ日ハ可り能事也・みそ2き・あす
とて・斎院尓多てまつり給・女房十二人こ2と尓
上らう尓ハあらぬ王可き人・王らへなと・をの可
志ゝ・も能ぬひ希さうな2とし徒ゝ・も能ミむと
思日まうく流も1・とり/\尓いと満なけ
尓て・御前の可多志めや可尓て・人志け可らぬ
お1りなり个り・ち可く佐ふら婦・あせちの
0352【あせちのきみ】-女三女房
きみも1・時々可よふ源中将せめて2・よひい多
させ个れハ・お1り多るま尓・多ゝこの1志ゝう
ハ可りち可くハ・さふら婦なり个り・よ起おりと」(67ウ)
お1もひて2・やをら見帳の1ひん可しお1もての1
おまし能ハし尓す衛つ・さまても1あるへき
こ2とな2りやハ・宮盤な尓1心もなく・お1ほとの
0353【宮】-女三
古も1りに个る越・ち可くお1とこの1遣ハひの1春
れハ・院のお1者するとおほし多る尓・うち可し
こまり多る个しき2みせて2・遊可能志も1尓・
い多きお1ろし多てまつるに・も能尓をそ者るゝ
可と・せめて2見あけ給へ連ハあらぬ人なり
个り・あやしくき2ゝも1志らぬこ2とゝも越楚
きこゆるや・あさ満しく・むくつ遣くなりて・」(68オ)
人めせと・ち可くも1さふら者年ハ・きゝつけて2
まいるも1なし・わな2ゝき2給さ満・水の1やう尓
あせもな可れて2・も能も1お1ほえ給者ぬ个し
き2・いとあ者れ尓羅う多け也・可すな2らね1
と・いと可うしも1お1ほしめさるへき2身とハ
思給へられ春なむ・無可しよりお1ほ遣な
き2心の・侍しを・ひ多ふる尓こめて2・やミ侍
な1まし可ハ・心の1うち尓く多してすきぬへ
可り个る越・中/\も1らしき2古えさせて・院
0354【院】-朱ー
尓もき2古しめされ尓しを・こよ那くも1て」(68ウ)
者な2れて2も能多万者せさりける尓・多のミ
を个遣そめ侍て2・身の可すな2らぬひとき2ハ
尓・人より布可起心さしを・むな2しくなし
侍ぬる古とゝ・うこ可し侍尓し心な2む・よろ
つ1いまハ可ひな起古とゝ思給へ可へせと・い可
ハ可り志ミ侍尓个る尓可・とし月尓そへて2・
くちおしくも・徒らくも1・むくつ遣くも・あハ
れ尓も・色/\尓ふ可く思給へまさる尓せき2
可年て2・可くお1ほ遣な起さ満越御らむせ
られぬるも・可つ1ハいと思ひやりなく者つ」(69オ)
可し个れハ・つ1ミをも起心も1佐ら尓侍るまし
と・いひもてゆく尓・こ能人な2り个りとお1ほ
春尓1・いとめさ満しくお1そろしくて・徒ゆいら
へも1志給者す・いとこ2とハりなれと世尓ためし
な起古と尓も侍らぬ越・めつら可尓なさ
遣な2起御心者へならハ・いと心うくて中/\
ひ多ふる心も1こ2そ・つき侍れ・あ者れと多尓
の多ま者せハ・それをうけ多まハりて2・ま可
てなむとよろつ1尓き2古え給・よそ能思ひ
やりハいつ1くし具・物な2れて2・見え多てまつらむ」(69ウ)
事も1者つ1可しく・お1し者可られ給尓・多ゝ可許
お1もひつめ多る・可多ハしき2古え志らせて2・な
可/\可遣/\し起事ハなくて2・やミなんと
お1もひし可と・いとさハ可り遣多可う・者つ1可し
个尓1ハあらて・な2つ1可しく羅う多け尓やハ/\
と能ミゝえ多満ふ・御遣者ひのあて尓いミ
しくお1ほゆるこ2と楚・人尓にさせ給ハさり个る・
さ可しく思ひしつむる心もうせて2・いつち
も1/\・井て可へ($く(朱))し多てまつ1りて・わ可身も1
0355【ゐて】-将
よ尓1婦るさ満ならす・あと多えてやミな」(70オ)
者やとまて・思み多れぬ・多ゝいさゝ可まとろ
むとも1な起ゆめ尓・この1手ならしゝねこ
の1いとらう多け尓うちな2きてき多る越・
こ能宮尓多てまつらむとて・わ可井て2き多
流とお1ほしき越・な尓1し尓多てまつりつ
らむと思ふほと尓1・お1とろきて・い可尓みえ
徒るな2らむと思ふ・宮ハいとあさましくう
0356【宮】-女三
つ1ゝとも1お1ほえ給者ぬ尓・む年布多可りて
お1ほしをほ本るゝを・猶可くの可れぬ御すくせの
あさ可らさり个ると・お1もほしなせ・みつ可ら」(70ウ)
の1心な2可らも1・うつし心尓ハあらすなむお1
ほえ侍・可能おほえな可りしみす能つ1万を・
ねこのつな1ひき多りしゆふへの1古とも1き2
古えいて多り・个尓1さハ多あり个むよと・く
ちお1しく契心うき2御ミなり个り・院尓
もいまハい可て可ハ見え多てまつらむと可な1しく
心ほそくて・いとをさ那个尓1なき多まふを
いとか多しけな2くあ者れとみ多てまつりて・
人の御涙をさへの1こふ・そてハいとゝ徒ゆ希
さ能ミまさる・あけゆく个しき2なる耳」(71オ)
いてむ可多なく・中/\也・い可ゝハ志侍へきいみしく
にくませ給へハ・又き2古えさせむ事も1あり
か多起を・多ゝひとこ2と御こ2ゑをき可せ給へ
と・よろつ1尓き2古えなやますも・うる佐く
わひしくて物の1佐ら尓い者れ多満者年ハ・
もて/\ハむくつ遣くこ2そなり侍ぬ連・ま多
可ゝるやうハあらしといとうしとお1もひき2
古えて・さらハ婦ようなめり・身越い多つら尓
0357【ふよう】-不用
やハ・なし者てぬ・いとすて可多起尓よりて2
こ2そ・可くまても侍れ・こよひ尓可起り侍」(71ウ)
なむもいみしくな2む・徒ゆ尓ても御心ゆるし
堂万婦さ満なとハ・それ尓可へ徒る尓ても1す
て侍なましとて・可起い多きていつ1る耳
者てハい可尓1しつ1るそと・あきれて2お1ほさる・
すミ能万の屏風をひきひろ希て・と越ゝし
あけ多れハ・わ多と能ゝみな2ミ能との・よへいりし
可・ま多あ起な可らある尓・ま多あけくれ
の1ほとなるへし・本の可尓1も見多てまつらむ
の心あれハ・かうしをやをし($羅(朱))ひきあけて2・可う
いとつらき2御心尓・うつし心も1うせ侍ぬ・春」(72オ)
古しお1もひのとめよとお1ほされハ・あ者れと
多尓の多ま者せよと・をとしき2こ2ゆる
を・いとめつら可也とお1ほして・も能も1い者む
とお1ほせと・わな1ゝ可れて2・いと王可/\し起
御さ満也・多ゝあけ尓あけゆく尓・いと心あ
者多ゝしくて・あ者れなるゆめ可多りも1き2
古えさすへき越・可くにくませ給へハこ2そ・さり
とも1いまお1ほしあ者する事も1侍りなむ
とて2・のと可な2らす堂ちいつ1る・あけくれ
秋のそらよりも1心つくし也」(72ウ)
お1きてゆく空も1志られぬあけくれ尓いつ
0358【おきてゆく】-衛門督
0359【いつくの露】-そこらとみるへし
く能露の1可ゝ流袖な2りとひき2いてゝうれへ
きこ2ゆれハ・いてなむとする尓・すこしなくさ
め給て
あけくれの1空尓う起ミハきえなゝん夢な2り
0360【あけくれの】-女三宮
个りと見て2もやむへくと者可那遣尓の多万婦
こ2ゑの1・王可くお1可し遣なる越・きゝさすやう
尓ていてぬる・多ましひハ満こ2と尓身越者な2れ
0361【たましひハ】-\(朱合点) 古今 あかさりし袖のなかにや入にけん我玉しいのなき心ちする(古今992、河海抄・一葉抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
てと満りぬる心ちす・女宮の1御もと尓1もま
0362【女宮】-落
うてた万者て・大殿へそ志のひてお1ハしぬる・」(73オ)
0363【大殿】-致仕
うち布し多れと・めも1あ者すミつるゆめ能・
佐多可尓あ者むこ2とも1可多き2をさへ思ふ尓・
可能ね1このありしさ満・いとこ2ひしくお1もひ
いてら流・さても1いみしきあやまち志つ1る
身可那・世尓あらむ古とこ2そ満者ゆくなりぬ
連と・お1そろしくそら者つ1可しき2心ちして・
ありきなとも1志給者す・女の1御堂め
盤佐ら尓も1い者す・わ可心ち尓も・いとある
ましき2こ2とゝいふ中尓も・むくつ遣くお1ほゆ
連ハ・お1もひの1まゝにも1・えま起連あり可す・」(73ウ)
み可と能御め越もとりあや万ちて・こ2と能き2古え
あらむ尓・か者可りお1ほえむこ2とゆへハ・身のい多
つ1ら尓ならむくるしくも1お1ほゆまし志可・
いちし流き2徒ミ尓ハあ多らすとも1・この1
0364【この院】-源
院にめ越そハめられ多てまつ1らむ事盤・
いとお1そろしく者つ1可しくお1ほゆ・可起りな2
き2女ときこ2ゆれと・すこしよつき2多る心者
えまし里うハ($&#ハ(朱))へハ・ゆへありこめ可しき尓1も1・
志多可ハぬ志多能心そ2ひ多るこ2そ・とあるこ2と・
かゝるこ2と尓・うちなひき2・心可ハし給多くひ」(74オ)
もあり个れ・これハ布可き心も1お1者せ年と・
ひ多お1もむき2尓も能お1ちし給へる御心尓・
多ゝいましも1人の1見きゝつ遣多らむやう
尓・満者ゆく者つ1可しくお1ほさる連ハ・あ可き
0365【あかき】-明
所尓多尓・え井さりいて多満者す・いと
くちお1しき2身な2り个りと・みつ1可らお1本し
志るへし・なやましけ尓な2むとありけ連ハ・
0366【なやましけに】-女三
お1とゝき2ゝ給て2・いみしく御心を徒くし給
御事尓うちそへて・又い可尓1とお1とろ可せ
給て2わ多り給へり・そ2こ者可と・くるしけな2る」(74ウ)
古とも1みえ給者す・いとい多く者ちらひし
めりて・さや可尓1もみあ者せ多て万つり給者
ぬを・いとひさしくなりぬる多えま越・うらめ
しくお1ほ春にやと・いとお1しくて・可能御心
0367【かの御心ち】-紫
ち能佐万なとき古え給て2・いまはのとち
め尓もこ2そあ連・い万佐ら尓をろ可なるさ
ま越見えを可れしとてなん・い者けな2可りし
ほとより・あつ1可ひそめて・み者な2ち可多け
連ハ・可う月こ2ろよろつ1を志らぬさ満尓・
すくし侍尓こ2そ・をのつ1可らこの1ほとす起」(75オ)
者・ミな越し給て2むな2とき2古え給・可く希
し起も志り給ハぬも・いとお1しく心くるしく
お1ほされて2・宮者人志れ春なみ多くまし
くお1ほさる・可むの1きミハまして・中/\な2る
0368【かむのきミ】-柏
心ち能ミまさりて・お1き2ふしあ可しくらし
わひ多まふ・まつりの1ひなとハ・物見尓あら
そひゆくきむ多ち・可き徒連きて・いひそゝ
の可せと・なやましけ尓もてなして・な2可め
布したまふ(#)へり・女宮をハ・可しこまりを起
0369【女宮】-落
多るさ満尓・もてなしき古えて・お1さ/\うち」(75ウ)
とけて2もみえ多てまつり給者す・わ可方尓・者
なれ井て2・いとつ1連/\尓心ほそくな可め
ゐ多まへる尓・わら者への1も多流あふひを
見多まひて2
くやしくそ徒ミを可しけるあふひ草神の
0370【くやしくそ】-衛門督
ゆるせる可さしならぬ尓とお1もふもいと中/\
なり・世中志つ1可な1らぬくる万能をとな2と越
よ楚の事尓きゝて・人やりならぬつれ/\尓
くらし可多くお1ほゆ・女宮も1可ゝる个しき能
0371【女宮】-落
すさましけさも1・みしられ給へハ・な尓1こ2とゝ」(76オ)
ハし志り給者年と・者つ1可しくめさ満しき
尓・も1能お1もハしくそお1ほされ个る・女房な2
とも1物見尓みな1いてゝ・人すくな2尓1のと
や可なれハ・うちな可めて2・さう能古と・なつ
可しくひき2満さくりて・お1者する遣者ひも・
0372【ひきまさくりて】-落ー
さす可尓あて尓な万め可し个れと・お1な1し
くハ・いまひときハ・をよ者さりける・すくせよ
と・猶お1ほゆ
も1ろ可つらお1ち葉越な尓1ゝひろひ个む
0373【もろかつら】-衛門督
名ハむつまし起かさしなれとも1と可起春」(76ウ)
さひゐ多流・いとなめけな2る・志りう事なり
0374【なめけなる】-無礼也
可し・お1とゝ能君ハまれ/\王多り給て2・えふと
0375【おとゝの君】-源
も1堂ち可へり給者す・志つ1心なくおほ
佐るゝ尓・多えいり給ひぬとて人まいり多
れ者・佐ら尓な尓1古とも1お1ほし王可れ春・御心
も1くれて2王多り給ふ・みち能程の心もとな
き2尓・け尓可能院ハほとりのおほちまて・
0376【かの院】-二条ー
0377【おほち】-大路
人多ちさハ起多り・と能ゝうちなきのゝ
志る遣ハひ・いとま可/\し・われ尓もあらて・
いり給へ連者・日こ2ろハいさゝ可・ひ万みえ」(77オ)
堂万へるを・に者可尓1なん可くお1ハしますとて・
佐ふら婦可きり・我もをくれ多てまつら志と・
満とふさ満とも1可きりなし・見す法とも
のたんこほち・楚うなとも1さるへき可起り
こ2そま可てね1・本ろ/\と佐ハく越み多万
婦尓・佐らハ可起り尓こ2そ者とお1ほし者へる・
あさましさ尓1な尓1こ2と可ハ・多くひあらむ・
佐りとも1物の1希能する尓こ2そあらめ・いと
可くひ多ふる尓・な1さハ起そと・志つ1め堂
万ひて2・いよ/\いみしき2願とも1を多て」(77ウ)
そへさせ給・すくれ多る个んさとも1能可起り・
めしあつ1めて2・かきりある御いのち尓て2・
この1世つき多まひぬとも1・多ゝい万志ハしの
とめ多まへ・不動尊能御本のち可ひあり・
そ能日可すを多尓・可けとゝめ多(+て)まへ($(朱&墨)徒(朱&墨))りた
まへと・可しらより万こ2と尓・くろ个ふりを
多てゝいみしき2心を・ゝこして可ちし多1て
まつる・院も多ゝいまひと多ひめ越見あ
者せ給へ・いとあへなく・可きりなりつらむ
本とを多尓・えみ春なり尓けること能・くや」(78オ)
志く个な1しき越と・お1ほしまとへるさ満・とま
里給へき2尓も1あらぬ越・見多てまつ1る
心地とも1・多ゝお1し者可るへし・いみしき
御心の内を・仏も1み多てまつり給尓や・
月こ2ろ佐ら尓あら者れいてこぬ・も能ゝ希・
ちいさ起わらハ尓うつりて2・よ者ひのゝしる
本と尓・やう/\いきいて給尓・う連しくも1・
ゆゝ志くも1・お1ほしさハ可る・いみしく・てうせ
0378【てうせられて】-調伏
られて2・人ハみな2さりね1・井むひとゝこ2ろ
能御みゝ尓き2古えむ・をの連越・月古ろ・て」(78ウ)
うしわひさせ給可・な1さけなく・つらけ連ハ・
お1な1しくハ・お1ほし志らせむとお1もひつれと・
さす可尓いのちも1・堂ふましく・身越く多
きてお1ほしまとふを・み多てまつれハ・い万
こ2そ可くいみしき2身越うけ多れ・い尓しへの
心のゝ古りて2こそ可くまても1・まいりき多
流なれハ・物の1心くるしさ越・え見すくさて・
つ井尓あらハれぬるこ2と・佐ら尓志られしと・
思つ1る物越とて・可ミ越ふり可けて2・なく
0379【かミ】-髪
遣ハひ・多ゝ(+可(朱))のむ可し見給しも1能ゝ遣の」(79オ)
0380【むかし見給し】-葵上時
さ満とみえ多り・あさ満しくむくつ遣しと
お1ほし志ミにしこ2と能・可ハらぬも・ゆゝしけ
連ハ・この1王らハ能て越・とらへて・ひきすへて・
佐万あしくも・せ2させ給者す・万こ2と尓
楚の人可・よ可らぬきつ年な2といふな2る物
の・多1ふれ多る可・なき人のお1もてふせな2る
こ2と・いひいつ1るもあな2るを多し可な2るな2のり
せよ・又人の1志ら佐らむこ2と能心尓しるく
思日いてられぬへ可らむをいへ・さてなむい
さゝ可尓ても1・志むすへき2との多まへハ・」(79ウ)
ほろ/\とい多くな起て2
王可身こ2そあらぬさ満なれそれな2可ら空
お1ほ連するき2(+見(朱))ハ君也いと徒らし/\登・
な起さけふも能可らさす可尓・も能者ちし
堂る遣ハひ可ハらす・中/\いとうと満しく・
心うけ連ハ・物い者せしとお1ほ春・中宮の1御
0381【中宮】-秋
事尓ても1・いとうれしく・可多しけな2しと
なん・あ万可遣りても1・み多てまつれと・道こ2と
尓なりぬ連ハ・こ能うへまても1・布可くお1ほえ
ぬ尓やあらむ・な越みつ可ら徒らしと思日」(80オ)
き2古えし心の1志ふなむ・と満るも能なり个る・
そ能な可尓も1・いきて能よ尓1・人よりお1とし
てお1ほしすてゝ($し(朱))よりも1・思ふとち能御物
0382【思ふとち】-源与紫
可多り能ついて尓・心よ可らすにく可りしあり
さ満をの多まひいて多りしな2む・いとうら
めしく・い万ハ多ゝな起尓お1ほしゆるして・
こ2と人のいひお1としめむを多尓・者ふき2
可くし給へとこ2そ思へと・うち思しハ可り尓・
かくいみしき2身の遣者ひなれハ・可くとこ2ろ
せき那り・この1人越ふ可く・尓くしと思き」(80ウ)
こ2ゆるこ2とハなけ連と・まもり徒よく・いと御
あ多りとをき心ちして・えち可つきまいら
す(=せイ(墨)、せイ$(朱))・御こ2ゑを多尓1・ほの可尓なむきゝ侍る
よしい万ハこの1つミ能可ろむハ可り能王さ越
せ2させ給へ・す法と経と・のゝ志る事も・身
尓はくるしく・わひしき2本のほとのミ・まつ
者れて2・佐ら尓堂うとき古とも1きこえ
ね1ハ・いと可な2しくなむ・中宮丹もこのよし・
0383【中宮】-秋
をつ多へき2古え給へ・ゆめ宮つ可への1本と尓・人
0384【ゆめ】-努
ときしろひそ年む心つ可ひ堂万婦な・」(81オ)
斎宮尓お1ハしましゝ古ろ本ひの・御つミ可ろ
むへ可らむくとく能事越・可な1らすせさ勢
0385【くとく】-功徳
給へ・いとくやしき2こ2と尓1なむありける
な2と・いひつゝくれと・も能ゝ遣尓む可ひて・も1の
可多り志給者むも・か多ハらい多け連ハ・
婦むしこめて2・うへをハ又こ2と方尓志のひて・
わ多し多てまつり給・可くうせ給尓个りと
いふこ2と・世の1中尓みちて・御とふらひ尓き2古
え給人々ある越・いとゆゝしくお1ほ春・个ふ
0386【けふのかへさ】-賀茂祭
の可へさ見尓いて給ひ遣る・可む多ち免」(81ウ)
なと可へり給みち尓可く人の申せハ・いといミ
しきこ2と尓もある可那・いける可ひあ里つ1る・
さい者ひ人のひ可りうしなふ日尓て・あめハ
そほふるなり个りと・うちつけ事志給
人も1あり・又可くたらひぬる人ハ・可な2らす
えな1可からぬ事なり・な2尓1越さくらにといふ
0387【なに越さくらに】-\(朱合点) 古今(墨) まてといふにちらてしとまる物ならは何をさくらに思ひまさまし(朱)(古今70・古今六帖4197・素性集10、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋09)
ふる事も1あるハ・可ゝ流人のいとゝ世尓な1可らへ
て・世のたのしひを徒くさハ・か多ハら能人
くるし可らむ・いまこ2そ二品宮ハ・もと能御お1
0388【二品宮】-女三
ほえあらハれ給ハめ・いとお1し遣尓お1され多り」(82オ)
つる御おほえをなと・うち佐ゝめ起个り・衛門
督・き能ふくらしか多可りしを思ひて・个ふ
ハ御お1とうととも1・左大弁藤宰相な2と・お1く
の1方尓のせてみ給个り・可くいひあへるを
きくにも1・む年うちつふ連て2・な尓1可う支1
0389【なにかうき世に】-\(朱合点) のこりなくちるそめてたき桜花ありて世の中はてのうけれは(朱)(古今71、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋10) ちれはこそいとゝさくらハめてたけれなにかうきよに久しかるへき(墨)(伊勢物語146、異本紫明抄・弄花抄・休聞抄・一葉抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚)
世尓ひさし可るへき2とうちすし・ひとりこ
ちて2・可能院へみな2まいり給・多し可な1らぬ
こ2とな連は・ゆゝしくやとて・多ゝお1ほ可多
の御とふらひ尓まいり給へる尓・可く人の1なき
さハ遣ハ・満こ2となり个りと・多ちさハ起給」(82ウ)
へり・式部卿宮も1わ多り給て2・いとい多くお1本し
0390【式部卿宮】-紫父
ほ連多るさ満尓てそいり給・人の御せうそ
こも・え申つ多へ多満ハす・大将の1君な2み多
0391【大将の君】-夕
を・のこ2ひて2・堂ちいて給へる尓・い可尓/\
ゆゝしきさ満尓・人の申つ連盤・志んし
可多き事尓てなむ・多ゝひさしき御な1
やミを・うけ多まハりな2けきてまいりつる
なとのたまふ・いとをもくな2りて・月日へ
0392【いとをもくなりて】-夕霧ノ詞
多まへるを・この1暁より多えいり給へり
徒る越・物の遣能志多る尓なむある($里(朱))ける・やう」(83オ)
やういきいて給やう尓・きゝなし侍て2・
い万なむみな2人心志つむめ連と・ま多
いとたのもし遣な2しや・心くるしき2事尓
こ2そとて・満こ2と尓い多くなき給へる个し
き2也・めもすこしハれ多り・衛門督王可あ
やし起心な2らひ尓や・この1君のいとさしも
志多し可らぬ・まゝはゝ能御こ2と越・い多く心
志め堂まへる可那と・め越とゝむ・可くこれ可連
まいり給へるよし・き古しめしてをもき・
ひやうさ能・にハ可尓とちめつ1るさ満な2り」(83ウ)
つるを・女房なとハ・心も1えお1さめす・み多り
可ハしく・さハ起侍遣るに・身つ可らも1・えのと
めす・心あ者多ゝし起程尓てなむ・こ2と
佐ら尓なむ・可くものし給へる・よろこ2ひハ
き2こ2ゆへきとの多まへり・可むのきミハ
0393【かむのきミ】-柏
む年つふれて2・可ゝるお1り能羅うろうなら
0394【らうろう】-牢籠 驚サハク心也
春ハ・えまいるましく・个ハひ者つ1可しく
思ふも・心の1内そ者らき多な可りける・
可くいきいて給てのゝちしも1・お1そろしく
お1ほして・又々いみしき法とも1を・徒くして」(84オ)
く者へをこな者せ給・うつ1し人尓て多尓・
0395【うつし人】-現
むくつ1遣可りし人の御个者ひのまして・
世可ハりあやしきも1能ゝさ満尓・なり堂
万へらむをお1ほしやる尓・いと心うけ連ハ・
中宮越あつ1可ひき古え給さへそ・こ能お1り
0396【中宮】-秋
ハも能うく・いひもてゆけハ・女の1身ハ・みな1
0397【女の身ハ】-三千界男煩悩女一人持也
お1な2し徒ミふ可きもと井そ可しと・な2へて
能世中いとハしく・可能又ひとも1き可さりし
御中の・むつ1も能可多り尓・すこし可多りい
て給へりしこ2と越・いひいて多りし尓・満こ2とゝ」(84ウ)
お1ほしいつる尓・いとわつらハしくお1ほさる・御くし
おろしてむと・せち尓・お1ほし多れハ・いむ事の
ち可らも1やとて・御い多ゝき2・志るし許・者さミて・
五可い許・うけさせ多てまつり給・御可い(+の)師・いむ
こ2と能すくれ多るよし・仏尓申す尓も・あ者れ尓
たうと起こ2とまし里て・人王るく・御可多ハら
尓・そ2ひ井て・なみ多お1しのこ2ひ給ひ徒ゝ・仏
をもろ心尓・ね1むしきこえ給さ満・世尓可し
古くお1者する人も・いと可く御心まとふこ2と尓
あ多りてハ・え志つ1めた万者ぬわさなり个り・」(85オ)
い可なるわさをして・これをすくひ可けとゝめ
多てまつらむとのミ・よるひるお1ほしな2けく
尓・本れ/\し起まて・御可ほもすこしお1もや
せ給尓多り・五月な2とハまして・者れ/\し
可らぬそら能个しき2尓・えさハやきたまハ年
と・ありしよりハ・すこしよろしき2さ満な2り・
佐れとな2越堂えす・なやミわ多り給・も能ゝ
希能つミすくふへき・わさ・ひこ2と尓法花経一
部徒ゝ・くやうせさ勢給・日こ2と尓な尓1くれと・
堂うと起わさ・せさせ給・御まくら可ミち可く」(85ウ)
ても1・布多んの1みと経・こゑ堂うと起可きり
してよませ給・あらハれそめて2ハ・お1り/\可な2し
遣な2るこ2とゝも越いへと・佐ら尓このも能ゝ遣
さり者て春・いとゝあつき程ハ・いきも多え
つゝ・いよ/\能ミよハり給へハ・い者む可多なく
お1ほしなけき多り・な2きやうな2る御心ち
尓も・可ゝる御个しき越・心くるしくみ多てま
つり給て2・世中尓なくな2りなんも・わ可身
尓ハ佐ら尓くちお1しき2こ2と能こるまし个れと・
かくお1ほしまとふめる尓・むな2しく見な2され」(86オ)
多てまつらむ可・いと思日く満な2可るへ个れハ・
お1もひおこして御ゆな2といさゝ可まいるけ尓
や・六月尓なりてそ・時/\御くし・も多け給
ける・めつ1らしくみ多てまつり給尓も・猶いと
ゆゝしくて・六条院尓ハ・あ可らさ満耳も1・
えわ多り給ハす・ひめ宮ハあやし可りし
0398【ひめ宮】-女三
古と越・お1ほしなけきしより・や可てれ1い
の1さ満尓もお1者せ春なやましく志給へと・
お1とろ/\しくハあらす・堂ちぬる月より・
物き2古しめさて・い多くあ越ミ・楚こな2ハれ」(86ウ)
給・可能人ハわりなく思ひあまる時/\ハ・夢
0399【かの人】-柏
のやう尓見多てまつり个れと・宮つきせ春
わりなき事尓お1ほし多り・院をいみしく・
0400【院】-源
をちき古え給へる御心尓・ありさ満も人の
程も1・ひとしく多尓や者ある・い多くよしめ
き2・なまめき多れハ・お1ほ可多の1人め尓こ2そ・
なへて2能人尓ハまさりて2・めてらるれ・
お1さ那くよりさる多くひなき御ありさ
満尓・な2らひ多まへる御心尓ハ・めさ満しく
のミみ給本と尓・可くなやミ王多り給ハ・あハ」(87オ)
れな2る御すくせ尓そありける・御め能と多ち
み多てまつりと可めて2・院の王多らせ給
こ2とも1・いとたまさ可なる越・つふやき2
うらみ多てまつる・可くな2やミ給と・き2こし
めしてそ王多り給・女きミハあつ1くむつ可し
0401【女きみ】-紫
とて・御くしすまして・すこしさハや可尓・
もてなし給へり・布しな2可らうちや里給
へり・志可ハ・とミ尓も1可ハ可年とつゆハ可りう
ち布くミ満よふすちもなくて・いときよ
ら尓・ゆら/\として・あ越ミお1とろへ多ま」(87ウ)
へるしも1・いろハさ越尓・志ろくうつくしけ尓・
0402【さをに】-小青
す起多るやう尓みゆる御者多つき2な2と・
よ尓1なく・羅う多け也・も1ぬけ多るむしの
0403【もぬけ】-蛻
からな2と能やう尓・ま多いと多ゝよ可($ハ(朱))し遣尓
お1者す・としこ2ろすミ給者て・すこしあ
連多りつ1る院の1内・多としへなくせ者遣
尓さへみゆ・きのふ个ふ可くも能お1ほえ堂
万ふ・ひま尓て・心こ2と尓・つくろ者れ多る・やり
水せんさいの1うちつけ尓・心ちよけな2るを・
見い多し給ても1・あ者れ尓いまゝてへ耳」(88オ)
ける越・お1もほ春・池ハいとすゝしけ尓て・
者ちす能花のさ起王多れる尓・者ゝいと
あ越や可尓て・つゆきら/\とた万のやう
尓見えわ多る越・可れ見多まへをの連ひ
とりも1・すゝし遣な2る可な1との多まふ尓・
お1きあ可りて見い多し給へるも・いとめつら
し个れハ・可くて見多てまつるこ2そ・夢の
心ちす連いみしく王可身さへ可きりと・
お1ほゆる・おり/\能ありしハやと・涙をう
けて2の多まへハ・身つ可らも1あハれと($尓(朱))お本して」(88ウ)
き2えと満るほとやハふへきたまさ可尓
0404【きえとまる】-紫上
者ちす能つゆの可ゝ流許をとの給
契を可むこの1世な2らても1者ちす者尓
0405【契をかむ】-源氏
玉井るつゆ能古ゝろへ多つな1いて多まふ可多
0406【いてたまふかた】-女三へ
さ満ハ・も能うけ連と・内尓も院尓も・き古し
0407【院】-朱ー
めさむ所あり・なやミ給ときゝても1・ほと
へぬるを・め尓ち可き尓心越まとハしつ1る
0408【めにちかきに】-紫違例
程・み多てまつる事も1・お1さ/\な可りつる
尓・かゝ流くもま尓1さへやハ・多えこもらむと
お1ほし多ちて王多り給ひぬ・宮ハ御心の」(89オ)
お1尓1ゝみえ多てまつらむも・者つ1可しうつ1ゝ
ましくお1ほす尓・物な2とき古え堂万婦・
御いらへもき古え給者年ハ・ひこ2ろ能徒
も1りを佐春可尓・佐り遣那くて・徒らしと
おほしけると心くるしけ連ハ・と可くこしら
へき2古え給・をと那ひ多る人めして・御心ち能
さ満なとゝひ給・連いの1さ満ならぬ御心ち
尓なむと・王つらひ給御ありさ満をきこ
ゆ・あやしく本とへて・めつらし起御古と尓
もと許の多まひて2・御心の内尓ハとし」(89ウ)
古ろへぬる人/\多尓も・さ流こ2とな2起を・不
定なる御古と尓もやとお1ほせハ・古と尓登
も1可くも・の多まひあへ志らひ給ハて・多ゝ
うちなやミ給へるさ満の・いとらう多けな2る
を・あ者れと見多てまつり給・可らうして
お1ほし多ちて王多り多まひし可ハ・布と
もえ可へり給者て・二三日お1者するほと・い
可尓1/\と・うしろめ多くお1ほさるれハ・御ふミ
0409【御ふミ】-源紫へ
を能ミ可起徒くし給・いつ1の1ま尓1つも1るお1
ほむこ2と能者尓1可あらむ・いてやゝす可らぬ」(90オ)
世越もみる可那と・わ可き2見の御あやまち
0410【わかきみ】-我
を志らぬ人ハいふ・侍従そ可ゝ流尓つけて2も・
む年うちさハ起ける・可能人も可く王多り
0411【かの人】-柏
多まへりとき2く尓・お1ほ遣那く心あや
ま里して・いみしきこ2とゝも1越・かきつ1ゝ
个て2をこせ堂万へり・堂い尓あ可らさ満
0412【たいに】-紫
尓わ多り給へる程尓・人まな2り个れハ・志の
ひて2みせ多てまつる・むつ可しき物見
0413【むつかしき】-女三
するこ2そ・いと心うけ連心ち能いとゝあし
き2尓とて・布し多まへ連ハ・な越多ゝこの」(90ウ)
ハし可き能いとお1し遣尓侍そやとて・ひろ
け多れハ・人のまいる尓いとく流しくて・見木
ちやうひきよせて2さりぬ・いとゝむ年つふ
流ゝ尓・院いり給へハ・えよくも1かくし給ハて・
御志と年能志多尓佐し者佐ミ給つ1・ようさり
つ1可多・二条院へ王多り給ハむとて・御いと満
き2古え多まふ・古ゝ尓ハ遣しうハあらす見
え給を・ま多いと堂ゝよハし遣なり志越・
見すて多るやう尓・お1もハるゝも・い万佐ら尓
いとお1しくてな2む・ひ可/\しくき古えな2春」(91オ)
人ありとも1・ゆめ心をき給な2・い万みな1
お1し多まひてむと・可多らひ給・連い者な
万い者けな起・堂ハふれこ2とな2とも1・うちと
希き古え堂万婦を・い多く志めりて・さや
可尓1も見あ者せ多てまつり給者ぬを・多ゝ
世の1うらめしき2御个しきと心え堂まふ・
ひる能お1ましの($)にうち布し給て2・御物可多
里なとき古え給ほと尓・くれ尓个り・すこし
お1ほと能こも1りいり尓ける尓・ひくらしの
者那や可尓なく尓お1とろき給て2・佐らハ」(91ウ)
みち多と/\し可らぬ程尓とて・御そな2と多て
まつりな越春・月まちてとも1いふな2る物を
0414【月まちて】-\(朱合点) 万(墨) 夕くれハ道たと/\し月待てかへれわかせこ其まにも見ん(朱)(古今六帖371・伊勢集437、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋11)
と・いとわかや可な2るさ満しての多まふ盤・
にく可らす可し・そ能ま尓1もとやお1ほすと・
0415【にくからすかし】-明石
0416【そのまにも】-\(朱合点)
心くるしけ尓おほして・堂ちとまり給
夕露尓袖ぬらせとやひくらし能な2く越
0417【夕露に】-女三宮
き2く/\お1きて行らむ可多なり那る御
心尓ま可せて・いひ(+い)て2給へるも・羅う堂
个れハ・つ井ゐて・あ那くるしやと・うちなけき
堂万ふ」(92オ)
まつ1里も1い可ゝきくらんか多/\尓心さハ
0418【まつ里も】-源氏
可すひくらし能こゑなとお1ほしやすらひ
て・な越な2さけな2可らむも・心くるしけ連ハ・
と満り給ひぬ・志つ1心なくさす可尓な2可め
られ給いて・御く多物ハ可りまいりな1として・
お1ほと能こも1りぬ・ま多あさすゝミ能本と尓
わ多り給者むとて・とくお1き給ふ・よへの
0419【よへの】-女三方
可ハ本りをお1として・これハ風ぬるくこ2そあり
0420【かハほり】-蝙蝠
个れとて・御あふきを起給て2・きのふう
0421【御あふきをき給て】-檜扇ハ風ぬるきとてをく也
多ゝね1志給へりしお1ましのあ多りを・多ち」(92ウ)
とまりて見給尓・御志と年能すこし満よひ
堂流つ万より・あさみとり能うすやうな2る
ふミ能おしま起多るハしミゆるを・な尓1心も
なくひき2いてゝ御覧する尓お1とこの手
なり・可ミ能可な1と・いとえむ尓こ2と佐らめ
0422【かミのか】-香
き多る可き佐万なり・布多可さ年耳・
こ万/\と可起多る越見給尓・まきるへき2
方那く・そ2能人の手なり个りと見給つ1・
御可ゝミな2とあけて2まいらする人ハ見給
ふミ尓こ2そハと・心も志らぬ尓・こ志ゝうみ」(93オ)
つけて2・きのふの1ふミ能色とみる尓・いといミ
しくむ年つふ/\となる心ちす・御可ゆな2と
0423【御かゆ】-粥
まいる方尓・めも1見やらす・いてさりとも1・
それ尓ハあらし・いといみしく・さ流こ2とハあり
なんや・可くい多まひて2个むと思ひな春・
宮ハな尓1心もなくま多お1ほと能こも1れ
里・あ那い者けな1・可ゝ流物越ちらし給ひて・
0424【あないはけな】-源御心中
わ連な2らぬ人も・みつけ多らまし可ハと
お1ほ春も1・心お1とりして・佐連ハよいとむけ
尓・心にくき2所な起御ありさ満を・うしろ」(93ウ)
め多しとハみる可しとお1ほ春・いて多まひ
0425【いてたまひぬれハ】-源
ぬ連ハ・人々すこしあ可れぬる尓・志ゝうよ
里て2・昨日能ものハい可ゝせ2させ給てし・遣さ
院の1御らむしつるふミ能色こ2そ・尓て侍
つれとも(#)きこ2ゆれハ・あさ満しとお1ほして・
0426【あさましと】-女三
涙の多ゝいてき尓1いてくれハ・いとおしき
物可ら・いふ可ひな2能御さ満やと・見多てまつる・
いつ1く尓1可ハ・を可せ給てし人々能まいり志尓・
こ2とあり可ほ尓・ち可くさふらハしと・さハ可り
のいミを多尓・心のお1尓1ゝ・さり侍しを・」(94オ)
いらせ給しほとハ・すこし本とへ侍尓しを・可く
させ給つ1らむとなむ・思給へしときこ
ゆ連ハ・いさとよ・みしほと尓いり給し可ハ・
婦とも1えお1きあ可らて・佐しハさミしを・
わ春れ尓个りとの多まふ尓・いとき古えむ
可多那し・よりてみ連ハ・いつ1く能可ハあらむ・あ
な1いみし・可能君も1いとい多くお1ち者ゝ可り
て・个しき2にて2も・も1りき可せ給事
あらハと・可しこまりき古え給しものを・ほと
多尓へ春・可ゝ流こ2と能いてまうてく流よ・すへ」(94ウ)
てい者けな2起御ありさ満尓て・人耳も1
みえさせ給け連ハ・とし古ろさハ可りわ春
れ可多く・うらみいひ王多り給し可と・可くまて
思ひ給へし御こ2と可ハ・堂可御ため尓も・いと
お1しく侍へき2こ2とゝ・者ゝ可りも1なくき2こ
ゆ・心や春く・わ可く・お1者すれハ・な2れき古え
多るな2めり・いらへも志給者て・多ゝなき尓
のミそな起給・いとなやまし遣尓て・
つゆハ可り能ものも1き古しめさ年ハ・可くな
やましくせさ勢給を・見をき多てまつり」(95オ)
給て2・いまハをこ多り者て給尓多る・御あつ
可ひ尓・心越いれ給へるこ2とゝ・徒らく思ひい
婦・おとゝハ・この1ふミ能な1をあやしくお1ほ
さるれ者・人ミぬ方尓て・うち返しつゝミ給・
佐ふら婦人/\の中尓・可能中納言の1手尓
に多るてして2・可起多る可とまてお1ほし
よれと・こ2と葉つ可ひ・きら/\と・ま可うへく
も1あらぬ古とゝも1あり・年をへて2・思日王多
里けるこ2と能多満さ可尓・本い可な2ひて2・心
や春可らぬすち越・可きつくし多るこ2と盤・」(95ウ)
いと見所ありて2あハれな連と・いと可くさ
や可尓ハ可くへしや・あ多ら人のふミ越こ2そ・お
もひやりなく可起个れ・お1ちゝ流こ2とも1こ2そ
と思日し可ハ・む可し可やう尓古満可なるへき
お1りふし尓も1・古と楚きつゝこ2そ・可きま
きらハし志る($(朱)可(墨)&か(朱))・人の1ふ可きよう井ハ・可多き
わさなり个りと・可能人の心越さへ・見お
とし給つ1・さても1この人をハ・い可ゝもてな2し
きこ2ゆへき・めつ1らしきさ満の御心ちも1・
可ゝ流こ2と能ま起連尓てなり个り・いてあな2」(96オ)
心うや・可く人徒て2ならす・う起こ2と越志る/\
ありしな可ら・み多てまつらむよと・わ可御心
な1可らも1・え思ひな2越春満しくお1ほゆる
を・猶さり能すさひと・ハしめより心越とゝめ
ぬ人多尓・又こ2とさ満の1心王くらむと思ふ
ハ・心月なく思ひへ多てら流ゝを・まして
これハ・さ満古と尓お1ほ希な起人の心尓も
ありける可那・見可と能御めをも・あやまつ1た
0427【御め】-ミ
くひむ可しもあり个れと・それハ又いふ可多
こ2と也・宮つ1可へといひて2・わ連も人もお1な2し」(96ウ)
君尓・な2れ徒可うまつるほと尓・をのつ1可ら
佐るへき2方尓つけて2も・心越可ハしそめ・も
のゝまきれお1ほ可りぬへき2王さ也・女御可う
いといへと・とあるすち・可ゝ流可多尓つ遣て2・
可多ほなる人も1あり・心者せ可な2らすを
も可らぬうちまし里て2・お1も者すなる
事も1あれと・お1ほろ遣能さ多可な2るあや
まち・みえぬ程ハ・さても1まし羅ふやう
もあらむ尓・ふとしも・あらハならぬまき
れ・ありぬへし・可くハ可り又なき佐万尓・」(97オ)
もてなしき2古えて・内/\能心さしひく方
よりも1・いつ1くしく可多しけな2き2物尓・思日
者くゝまむ人を・をきて・可ゝ流こ2とハ・佐ら尓
堂くひあらしとつ万ハしきせられ給・み
可とゝきこ2ゆれと・多ゝすな2本尓・お1ほや希
さ満の1心者へハ可りにて2・宮つ1可への1程も1・
も能すさましき尓1・心さしふ可きわ多くし
の1・ね1きこ2と尓1なひき2を能可志ゝ・あハれを
0428【ねきこと】-\(朱合点) 古今 ねきことをさのみきゝけん秋こそはてハなけきの社と成けれ(古今1055、河海抄・孟津抄)
徒くし・見すくし可多起お1りのいらへをも・いひ
そ2め・志ねん尓・心可よひそ2む覧・な可らひハ・」(97ウ)
お1なし遣し可らぬすちな2れと・よる可多あり
や・王可身な可らも1・さハ可り能人尓心王け
給へくハお1ほえぬも能をと・いと心月なけ連
と・又个しき2尓い多すへき古と尓もあら
すな2とお1ほしみ多るゝ尓つけて2・故院の
0429【故院のうへ】-薄雲
うへも・可く御心尓ハ志ろしめしてや・志ら春
可ほを徒くらせ給ひ个む・思へハそ1能世の
こ2とこ2楚ハ・いとお1そろしく・あるましき
あやまちなり个れと・ち可きためしをお1
ほ春尓そ・恋の1山ち盤・えも1とくましき」(98オ)
0430【恋の山ち】-\(朱合点) いかはかり恋の山ちのふかけれはいりといりぬる人まとふらん(朱)(古今六帖496、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋12)
御心まし里ける・徒連なしつくり給へと・
も能お1ほしみ多るゝさ満の1志るけ連者・女
0431【ものおほしみたるゝ】-源
0432【女君きえのこりたる】-紫詞
君きえの古り多る・いとお1しミ尓1わ多り
堂万ひて2・人やりならす・心くるしう・
思やりき古え給尓やとお1ほして・心ちハ
よろしくなり尓て侍越・可能宮のなや万し
0433【かの宮】-女三
け尓お1者すらむ尓・登く王多り給尓1し
こ2そ・いとお1し个れと・き2古え給へハ・さ可し
0434【さかし】-源詞
れ1いな2らすみえ給志可と・こ2と那る心ち尓
もお1者せ年ハ・をのつ可ら心のと可尓思ひて」(98ウ)
なむ・内よりハ・堂ひ/\御つ可ひあり个り・
个ふも1御ふミあり徒と可・院の1いとやむこ2と
なく・き2古えつけ堂万へれ者・うへも可くお1
ほし多るなるへし・すこしをろ可尓なとも1
あらむハ・こ那多可な1多お1ほさむ古と能・いと
お1しき2そやとて・うめき給へハ・内の1き
0435【内のきこしめさむよりも】-紫詞
古しめさむよりも1・みつ可らうらめしと
思ひき2古え給者むこ2そ・心くるし可ら免・
王れハお1ほしと可めすとも1・よ可らぬさ満尓・
き2古えなす人/\可な1らすあらむと思へ」(99オ)
ハ・いとく流しくなむな2との多まへハ・个尓1
あな1可ち尓・思ふ人の1ため尓ハ・王つ1らハし
き2・よす可なけ連と・よろつ1尓たとりふ可
きこ2と・とや可くやと・お1ほよ楚人のお1もハむ
心さへ・思ひめくらさるゝを・これハ多ゝ・古く
0436【こくわうの】-御門の
わう能御心や・をき給者むとハ可りを・者ゝ
可らむハ・あさ起心ちそしけると・ほゝゑミて・
の多まひ万きらハす・わ多り給ハむこ2と
ハ・も1ろとも尓かへりてを・心のと可尓あらむ
と能ミ・き古え給越・古ゝ尓ハ志ハし心やすく」(99ウ)
0437【こゝにハ】-紫詞
て侍らん・まつ1王多り給て2・人の御心もなく
さミな2む程尓をとき古え可ハし給ほと尓
日こ2ろへぬ・ひめ宮ハ可く王多りた万ハぬ日
0438【ひめ宮】-女三
こ2ろの1ふるも・人の1御つらさ尓のミお1ほ春
を・い万ハわ可御をこ多りうちませて2・可く
なりぬるとお1ほ春尓・院もき古しめし
つけて2・い可尓お1ほしめさむと・世中つゝまし
くなむ・可能人もいみし遣尓の1ミ・いひ王多
0439【かの人も】-柏
れとも1・こ志ゝうも1わつらハしく思日なけき
て・かゝ流こ2とな2むありしと・徒个て2个れ者・」(100オ)
いとあさましく・い徒のほと尓さる事
0440【いとあさましく】-柏心
いてき2个む・可ゝ流こ2とハあり婦連ハ・をのつ1
可ら遣しき尓ても1・もりいつ1るやうも1やと・
お1もひし多尓いとつゝましく・そ2ら尓めつき
0441【そらにめつきたる】-天眼五眼一也
多るやう尓お1ほえしを・ましてさハ可りた
可ふへくも1あらさりしこ2とゝも1を・見給て个む
者つ1可しく可多しけな2く・か多ハらい多き尓・
あさゆふすゝ(+ミ)も1・な起こ2ろな1れと・身も志
0442【あさゆふすゝミも】-\(朱合点) 拾 夏の日も朝夕すゝミある物をなとわか恋のひまなかるらん(朱)(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋13)
0443【しむる心ち】-ひゆる心也
むる心ちして・い者む可多那くお1ほゆ・とし
こ2ろまめ古と尓も・あ多こ2と尓もめしまつハし」(100ウ)
まいりなれつ1る物越・人よりハこ満可耳
お1ほしとゝめ多流御个しき能あ者れ尓な
つ可しきを・あさ満しくお1ほ遣なき物尓
心を可れ多てまつりてハ・い可て可者・め越も
見あ者せ多てまつらむ・さりとて可起多え
本の1めきまいらさらむも・人めあやしく
可能御心尓もお1ほしあハせむこ2と能いみしさ
なと・やす可らす思ふ尓心ちも1いとなや
ましくて・内へもまいらすさしてをも起
つミ尓ハあ多るへき2ならね1と・身能い多つら」(101オ)
0444【身のいたつらに】-\(朱合点) 後 あハれともいふへき人ハおもほえ△(△#て)身のいたつらに成ぬへきかな(拾遺集950・一条摂政集1、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄)
尓なりぬる心ちすれハ・されハよと可つ1ハ王可
心も1いとつ1らくお1ほゆ・いてや志つや可尓・
心尓くき2个者ひ見え給ハぬ王多りそや・
まつ1ハ可能みすの者さ満も・さるへき2こ2と
可ハ・かる/\しと大将の1お1もひ給へる个し
0445【大将】-夕
き2見えき可しなと・いまそ思ひあハする・
志井て2こ能こ2とを・思日さ満さむとお1もふ
方尓て・あ那可ち尓・なむつ遣多てまつら
満ほしき尓やあらむ・よきやうとても1・
あまりひ多お1もむき2尓お1ほと可尓あて」(101ウ)
なる人ハ・世のありさ満も志ら春・可つ1さふら
婦人尓心をき給こ2とも1なくて・可くいとお
しき御身能ためも1・人のためも・いみしき
こ2と尓1もある可那と・可能御こ2と能心くるしさ
も1・え思ひ者那多れ給者す・宮盤いと
羅う多け尓てなやミわ多り給さま能・
な越いと心くるしく可く思ひ者な2ち
たまふ尓徒个てハ・あや尓1く尓・う起尓ま
0446【うきにまきれぬ】-\(朱合点) 恋しさのうきにまきれぬ(れぬ$るゝ)物ならハ又二たひと君を見ましや 大弐三位(後拾遺792)
きれぬ・こ2ひしさ能・くるし具お1ほさるれハ・
わ多り給て2見多てまつ1り給尓つ遣ても・」(102オ)
む年い多くいとお1しくおほさる・御いのりな2と
さ満/\尓せ2させ給・お1ほ可多の1こ2とハありし
尓可者らす・な可/\い多ハしくやむこ2となく・
もてなしき2こ2ゆるさ満をまし給・遣ち可く
うち可多らひき古え給さ満ハ・いとこよな
く御心へ多ゝ里て・可多ハらい多个れハ・人
めハ可り越・めやすくもてなして・お1本しのミ
み多るゝ尓・こ能御心の1内志もそくるし可り
ける・さるこ2と見きとも1・あらハしき古え
給者ぬ尓・みつ1可らいと王りなくお1ほし」(102ウ)
多るさ満も1心をさなし・いと可くお1ハ春る
遣楚可し・よきやうといひな2可ら・あまり
心もと那くをくれ多る堂のもし遣な起
わさなりとお1ほす尓・世中なへて2・うし
ろめ多く・女御の1あ万りやハら可尓をひ連
0447【女御】-明石中
0448【をひれたまへる】-をさなき心也
多万へるこ2そ・可やう尓心可けき古えむ人
ハまして心み多れなむ可し・女ハ可う・者流
遣所なく・な1よひ多るを人もあ那つらハし
き尓や・さるましき尓・ふとめと満り心つ
よ可らぬあやまちハ・志いつるなり个りと」(103オ)
お1ほ春・右の1お1とゝ能北の1方能・とり多て多る
0449【北の方】-玉
うしろミも1なく・お1さ那くよりも能者可な2き
世尓・佐すら婦るやう尓て・お1い(+い)て給个れと・
かと/\しく羅うありて・我もお1ほ可多尓ハ
お1やめ起し可と・にくき2心の1そ者ぬ尓し
もあらさりしを・な多ら可尓つれなくもて
なしてすくし・この1お1とゝ能さるむしんの1
0450【このおとゝ】-ヒケ
0451【むしん】-無心
女房尓心あ者せて2・いりき多り个ん尓も・
けさや可尓・もて者な2れ多るさ満を・人尓も1
みえ志られ・古とさら尓ゆるされ多るありさ」(103ウ)
ま尓志なして・わ可心と徒ミある尓ハな2さ
すなりにしな2と・い万お1もへハ・い可尓可とある
こ2となり个り・契ふ可き中なり个れハ・
な1可くかくて多も多むこ2とハ・とても1可くても
お1なしこ2とあらまし物可ら・心もてありし
古とゝも1・世人もお1もひいてハ・すこし可る/\
しき2思ひくハゝりな1まし・いとい多くもて
なしてしわさなりとお1ほしいつ1・二条の
0452【二条の内侍のかむのきミ】-朧月夜の事
内侍の可むの1きミをハ・猶多え春思日いて
きこえ給へと・可くうしろめ多き春ちの1」(104オ)
こ2と・うき物尓お1ほし志りて・可能御心よハ
0453【御心よハさ】-女三宮事也
さも1・すこし可るく思日なされ給个り・
つ井尓御本いの事志給て2个りと・きゝ給
0454【御ほいの事】-内侍のかんの君尼と成給へる事也
てハ・いとあ者れ尓くちお1しく御心うこきて
まつとふらひき古え給・い万なむと多尓・
0455【いまなむ】-尼
尓ほハし給者さりけるつらさを・あさ可ら春
0456【にほハし】-ほのめかし也
き2古え多まふ
あ万の1世をよ楚尓き可めやす万能浦尓
も1しほ多れしも堂れならな2く尓1さ満/\な2る
世のさ多めな2さ越・心尓お1もひ徒めていま」(104ウ)
まてをくれき2古えぬるくちお1しさ越・お1本し
すてつ1とも1佐り可多き2御ゑ可う能うち尓ハ・
0458【ゑかう】-廻向
まつこそハとあ者れ尓なむな2とお1ほくき
古え給へり・とくお1ほし多ちにしこ2とな2れと・
この1御さ満多け尓可ゝつ1らひて・人尓ハ志可あ
らハし給者ぬこ2となれと・心の1内あ者れ尓
む可しよりつらき御契を・さす可尓あさく
しも1お1ほし志られぬなと・方/\尓お1ほし
いてら流・御返い万盤可くしも1可よふましき
御ふミ能とちめとお1ほせハ・あハれ尓て心とゝ」(105オ)
めて2可き給・すミつきな2といとお1可し・つ年
な起世とハ身ひとつ能ミ志り侍尓しを・ゝ
くれぬとの多まハせ多流尓なむ个尓1
あ万舟尓い可ゝハ思日をくれ个んあ可しの
0459【あま舟に】-かんの君
うらにいさりせしきミゑ可うにハあま年
0460【あまねきかとにても】-普門
き2可とにて2も・い可ゝハとあり・こきあを尓ひ
の1可ミ尓て・志きみ尓さし多まへハ・れ1いの
事なれとい多くすくし多る・布てつ可ひな2
をふり可多くお1可しけな2り・二条院尓お1ハし
ます程尓て・女君尓もいまハむけ尓多え」(105ウ)
0461【女君】-紫
ぬる事尓て・見せ多てまつり給・いとい多く
こ2そ・者つ可しめられ多連・遣尓心月なしや・
さ満/\心本そ2き世中能ありさ満を・よく
0462【さま/\】-源詞
見すくし徒るやうな2るよ・なへて2の世能
こ2とにて2も・者可那く物をいひ可ハし・時/\
尓よせてあ者れをも志り・ゆへをもすく
さす・よ楚な2可ら能・むつひ可ハし徒へき2
人ハ・斎院とこの君とこ2そハの古りありつる
0463【斎院】-槿
を・可くみ那そむき者てゝ・斎院ハ多いみ
しう徒とめて2・まきれなくをこなひ尓」(106オ)
志ミ給尓多なり・な2越古ゝら能人のありさ
ま越きゝみる中尓・布可く思ふさ満耳・
さす可尓なつ可しきこ2と能可の人の1御な2す
らひ尓多尓1もあらさりける可那・女こを・お1
ほし多てむこ2とよ・いと可多可るへき2わさ也
个り・すくせな2といふらむも能ハ・め尓みえぬ
わさ尓て・お1やの心尓ま可せ可多し・お1い多ゝ
む程の心つ可ひハ・な越ち可らいるへ可めり・
よくこ2楚あま多方/\尓心越み多るま
しき2契なり个れ・年ふ可くいらさりし」(106ウ)
0464【年ふかくいらさりしほと】-よらぬ也
ほとハ・佐う/\し能わさや・さ満/\尓見まし
可ハとなむ・な2け可しき2お1り/\ありし・
わ可宮を心してお1ほし多て堂てまつり
0465【わか宮】-東ー
給へ・女御ハ物の1心越ふ可く志り多まふほと
0466【女御】-明ー
ならて・可くいと満なきましらひを志給
へハ・な尓1事も1心もとな2き2方尓そも能し
給覧みこ多ちなむ・な2越あく可起り人
尓てむつ可るましくて・世をのと可尓すくし
給ハむ尓・うしろめ多可るましき心者せ
つけまほしき2わさ那りける・可きりありて」(107オ)
とさ満可うさ満のうしろミまうくる・多ゝ
人ハをのつ可ら・それ尓も・堂すけられぬる
をなとき古え給へハ・者可/\しき佐万の
0467【はか/\しきさまの】-紫詞
御うしろミな1らすとも1・世尓な可らへん可き
里ハ・み多てまつらぬやうあらしと思ふを・
い可な2らむとて猶物越心ほそけ尓て・可く
心尓ま可せて・をこなひをも・とゝこほり
なく志多まふ人々を・うらやましく思日
き古え多まへり・可むの1君尓・さ満可ハりた
0468【かむの君に】-朧
まへらむ佐うそくなと・ま多ゝちなれ」(107ウ)
ぬほとハ・とふら婦へき越・遣さな2とハい可耳
ぬふ物そ・そ2れせ2させ給へ・ひとく多りハ・六条
0469【六条のひむかしの君】-花ー
の1ひむ可しの君尓ものしつけむ・うるハしき
法ふく多ちて2ハ・う多て見めも1・个う登
可るへし・さす可尓楚の心者へみせ2てを
なと・き古え給・あ越尓ひのひとく多りを・
古ゝ尓ハせ2させ給・徒くも所の1人めして・志の
0470【つくも所】-作物所
ひて2あま能御くとも1のさるへき2・者しめ・
0471【はしめ】-始
能多ま者す・御志と年・う王むしろ屏風
木長なと能事も1いと志のひて2わさと」(108オ)
可満しくいそ可せ給个り・可くて山のみ可と
0472【山のみかと】-朱ー
の御賀も1のひて・秋とありしを八月ハ
大将の1御忌月尓て・可くそ能こ2と・越こなひ給
0473【大将の御忌月】-葵上
0474【かくそ】-所
ハむ尓ひんな可るへし・九月ハ院の1お1ほ
0475【院のおほきさき】-二条ー
き2さ起の可くれ給尓し月な2れハ・十月尓と
お1ほしまうくる越・ひめ宮い多くなやミ
0476【ひめ宮】-女三
給へハ・又のひぬ・衛門督の御あつ可りの宮な2む・
0477【御あつかりの宮】-落ー
そ能月尓者まいり給ける・お1ほき2お1とゝ・
0478【おほきおとゝ】-致ー
井多ちてい可めしくこま可尓も1能のき
0479【ゐたちて】-居立
よら・きし起を徒くし給へり个り・可むの」(108ウ)
0480【かむの君】-柏ー
君も1そ2能徒いて尓そ・思日お1こしていてた
0481【思ひおこしていて】-ー出
まひける・な越な2やましく連いなら春・
やまひつきてのミすくし(+(朱)給(墨))・宮も1うち者へて
も能をつゝましく・いとお1しと能ミお1ほし
なけく遣尓やあらむ・月おほく可さな2り
給まゝ尓・いとくるしけ尓お1ハしませハ・院
0482【院】-源
ハ心うしと思ひき2古え給可多こ2そあ連・
いとらう多け尓あえ可な2るさ満して・可く
なやミわ多り給を・い可尓お1者せむと・なけ可
しくて佐万/\尓お1ほしな2けく・御いのり」(109オ)
なと・古としハ・ま起連お1ほくてすくし給・
御山尓もき古しめして・羅う多く古ひしと
0483【御山にも】-ミ 朱ー
お1もひき2古え給・月こ2ろ可く・ほ可/\尓て
わ多り給事も1・お1さ/\なきやう尓人
の1楚うし个れハ・い可な2る尓1可と御む年つふ
連て2世中も1いまさら尓うらめしくお本
して・堂いの1方能王つらひ个るこ2ろハ・な越
0484【たいの方】-紫
そ能あつ可ひ尓と・き古しめして多尓・なま
やす可らさりしを・そ1能ゝちな越り可多くもの
し給らむハ・そ能こ2ろほひ・ゝ($飛(朱))むなき事や・」(109ウ)
いてき多り个む・みつ1可ら志り多まふ古と
ならね1と・よ可らぬ御うしろミとも1能心尓て・
い可な2る事可あり个む・うち王多りな2と能・
みやひを・可ハすへき2な可らひな2と尓も・遣し
0485【みやひ】-風姿
から春・う起こ2といひいつ1る堂くひもき2こ
ゆ可しとさへお1ほしよるも・こまや可なる
事お1ほしすてゝし世なれと・な越この1
みちハ者な2れ可多くて・宮尓御ふミこまや可
0486【宮に】-女三
丹て2ありける越・お1とゝお1ハします本と尓て
0487【おとゝ】-源
見給・そ2能こ2とゝなくて・志ハ/\も1き2古えぬ」(110オ)
0488【そのことゝなくて】-朱ー文詞
ほと尓お1本つ可那くてのミ・とし月のすくる
な2むあ者れな2り个る・なやミ給な2るさ満ハ・
くはしくき2ゝし能ち・ね1んす能徒いて尓も
思日やら流ゝハ・い可ゝ世中さひしくお1も者す
なるこ2とありとも1・志の1ひすくし給へ・うら
めし遣なる个しき2なとお1ほろ遣尓て見
志り可ほ尓・本の1め可す・いと志那をくれ多る
わさ尓なむな2と・をしへき2古え給へり・いと/\
0489【いと/\おしく】-源詞
お1しく心くるしく・可ゝ流内/\の1あさまし
き2をハき古しめすへき2尓ハあらて・わ可をこ」(110ウ)
多り尓・本いなくの1ミきゝお1ほすらん・こ2と越と
ハ可り・お1ほしつゝけて2この1御返をハ・い可ゝき
古え給・心く流しき御せうせこ尓・まろこ
そいとく流し个れ・お1もハす尓思日き2こ2ゆる
こ2とありとも1・お1ろ可尓人の見と可むハ可り
ハあらしとこ2そお1もひ侍連・多可・起こえ多る
尓可あらむとの多まふ尓・ハちらひて・そ2むき
堂まへる御す可多も・いと羅う多け也・い
多くお1もやせ2ても能おもひくし堂まへる・
いとゝあて尓・お1可し・いとをさなき御心」(111オ)
者へを見を起給て2・い多くハ・うしろめ多可り
き2古え多まふな2り个りと・思日あ者せ多て
まつれハ・いまより能ちも1よろつ1尓なむ・
可うまても1・い可てき2古えしとお1もへと・うへの
御心尓そむくとき2古しめす覧こ2と能
やす可ら春いふせき越・こゝに多尓き古えし
らせてやハとてな2む・い多りすくなく・多ゝ
0490【いたりすくなく】-おれう申事をハおろかに思食て也
人のき古えな2す方尓能ミ・よるへ可める
0491【人のきこえなす】-我(我#)申事也
御心尓ハ多ゝをろ可尓・あさきと能ミお1本し・
0492【をろかにあさきと】-我申事を
又い万ハこよな2く・さ多す起尓多るありさ」(111ウ)
0493【さたすきにたる】-としよる
まも・あ那つらハしくめなれて2のミ見な2し
給らむもか多/\尓くちお1しくもうれ多くも
0494【うれたくも】-憂
お1ほゆる越院の1お1ハしまさむほとハ・な2越
0495【院】-朱
心をさめて2・可能お1ほしをきて多るやう
0496【かのおほしおきて】-朱 思
あり个む・佐多すき人をも・お1な2しく・なす
0497【さたすき人をもおなしく】-我ことく年よりたる物を定につゝハ説ある也
らへき2古えて・い多くな可るめ多まひそ・
い尓しへより本いふ可きみちにも・たとりう
0498【ほいふかきみち】-道心
す可るへき女可多尓多尓・みな2お1もひをく
0499【おもひをくれつゝ】-道心好色
れつゝ・いとぬるき事お1ほ可る越・身つ可ら
0500【いとぬるき事】-源心
の1心尓ハな尓1ハ可里お1ほしまよふへき尓」(112オ)
ハあらね1と・い万ハとすて給遣む世のうし
ろミ尓をき給へる御心者えの・あ者れ尓
うれし可りしを・ひき2つゝ($徒(朱))き・あらそひき2
こ2ゆるやう尓てお1なしさ満尓・見すて
多てまつらむこ2と能あえなくお1ほされん
尓徒ゝミてなむ・心くるしとお1もひし
人々も1・い万ハ可けとゝめらるゝほ多し許
なるも侍らす・女御も1可くてゆく春衛ハ
0501【女御】-明
志り可多け連と・みこ多ち可すそ2ひ給
めれハ・身つ1可ら能世多尓・のとけくハと・みを」(112ウ)
き2徒へし・そ能ほ可ハ多れも/\あらむ尓
志多可ひて2・もろとも1尓身をすてむもお1
し可流ましき2よ者ひとも1尓なり尓
堂流を・やう/\すゝしく思日侍・院の御世
のゝ古りひさしくもお1ハせし・いとあつし
くいとゝなりまさり給て2・もの1心ほそ
け尓能ミおほし多流尓・いま佐ら尓思ハす
なる御な1もりき古えて・御心み多り給な1・
この1世ハいとやすし・古と尓1もあらす・のち
能よの御みち能さ満多けな2らむも・徒み」(113オ)
いとお1そろし可らむなと・まほ尓そ能こ2とゝハ
あ可し給ハ年と・徒く/\とき2古え徒ゝ希
給尓・涙のミお1ちつゝ・我尓もあらすお1もひ
0502【涙のミおちつゝ】-女三
志ミてお1者すれハ・我もうちなき多ま
ひて2・人のうへ丹て2もも1と可しく・きゝ思し
婦る人のさ可し羅よ・身尓1可ハる古と尓
0503【ふる人のさかしら】-源我こと
こ2そ・い可尓1う多て能お1き那やと・むつ可しく
う流さ起御心そ2ふらんと・者ち多まひつゝ・
御すゝ里ひきよせ給て2・手つ可らお1し
0504【手つから】-源
すり・可ミとりま可なひ可ゝせ多てまつり」(113ウ)
給へと・御てもわな2ゝきてえ可き給者す・可
0505【御てもわなゝきて】-女三
0506【かのこまかなりし返事】-柏方へ
能こ満可なりし返事ハ・いと可くしもつゝます
かよハし給らむ可しとお1ほしやる尓・いとにく
个れハ・よろつ1の1あ者れもさめぬへく($け(朱))れと・こ2と
葉なとをしへてかゝせ多てまつり給・まいり
0507【まいり給はむ事】-源詞女三ニ
給者む事ハ・この1月可くてすきぬ・二の1宮
の御いき2をひこ2と尓てまいり給ひ遣るを・
0508【御いきをひ】-賀
布るめ可しき2御身さ満尓て・堂ちな2らひ
可ほな2らむも・者ゝ可りある心ちし个り・志も1
月ハ身つ可ら能忌月也・とし能をハり・ハ多・い」(114オ)
0509【身つからの】-源ー父桐也
0510【忌月】-キ
とも1能さハ可し・ま多いとゝこの1御す可多も
みくるしく・まち見給ハんをと思ひ侍連
と・佐りとて2さ能ミ・のふへきこ2と尓やハ・むつ
0511【のふへきこと】-御賀事
可しく物おほしみ多れす・あきら可尓も1て
な2し給て2・この1い多くお1もやせ給へる・徒くろ
ひ給へな2と・いと羅う多しとさす可尓見多
てまつり多まふ・衛門督をハ・な尓1さ満の
事尓も・ゆへあるへき2お1りふし尓ハ・可な2らす
こ2と佐ら尓・まつ1ハし給つゝの多まハせあ
ハせしを・堂えてさ流御せうそこもな2し・」(114ウ)
人あやしと思ふらんとお1ほせと・みむ耳
つけて2も・いとゝ本れ/\しき方者つ1可し具・
見む尓ハ・又わ可心も1多ゝな2らすやとお1ほし
可へされつゝ・や可て月こ2ろまいり給ハぬをも・
と可めな2し・お1ほ可多の1人ハ・な越連いな2らす
なやミわ多りて2・院尓ハ多御あそ2ひな2とな
0512【院】-源
き2年なれハと能ミ思日わ多るを・大将の君
0513【大将の君】-夕
そ・あるやうあるこ2と那るへし・す起もの盤
佐多めて2・わ可个しき2とりし・こ2と尓ハ・志の
ハぬ尓やあり个むと・思日よれと・いと可くさ」(115オ)
た可尓・の古りな起さ満な2らむとハお1もひより
給ハさり个り・十二月尓なり尓1个り・十よ日
と佐多めて2・まひとも1ならし・と能ゝうち
ゆすりてのゝ志る・二条の院の1うへハま多
0514【二条の院のうへ】-紫
王多りたまハさり个る越・この1志可く尓より(+て(墨)、$(朱))
そ・へ($盈(朱))しつめはてゝ王多り給へる・女御の君も
0515【わたり給へる】-六条
0516【女御の君】-明ー
佐と尓お1ハします・この1多ひのみこハ・又おと
0517【このたひのみこ】-匂兵部卿
こ尓てなむお1ハしましける・すき/\いと
0518【すき/\】-次々也 湯次(ユスキ)産江別
お1可しけ尓ておハする越・あけくれもてあそ2ひ
多てまつり給尓な2む・すくるよ者ひの志るし・」(115ウ)
うれしくお1ほされ个る
試楽尓右大臣殿の1き多能可多も1王多り給
0519【試楽に】-\(誘導線)
0520【右大臣殿のきたのかた】-玉
へり・大将の1君うしとら能まち尓て・まつうち/\
0521【大将の君】-夕
0522【うしとらのまち】-花ー
尓てう可くのやう尓あけくれあそ2ひな2らし
給个れハ・可能御方ハお1まへの物ハ見多まハす・
衛門督を・可ゝる事能お1りも1・ましらハせさ
らむハ・いと者えなく・佐う/\し可るへき2
うち尓・人あやしと可多ふき2ぬへきこ2とな2
れハ・まいり給へき2よしありける越・をもく
王つ1ら婦よし申てまいらす・さるハそこハ可と」(116オ)
く流し遣な2るやまひ尓もあらさな2るを・思ふ
心の1あるから($丹(朱))やと・心くるしくお1ほして・登り
王きて御せうそこ徒可ハす・ちゝお1とゝも1・
0523【ちゝおとゝ】-致ー
なと可・かへさひまうされ个る・ひ可/\しき
やう尓・院尓もき古しめさむを・お1とろ/\し
0524【院】-源
き2やまひ尓もあらす・多すけて2まいり
給へと・楚ゝ能可し給尓・可く可さ年ての多
まへれ者・く流しとお1もふ/\まいりぬ・ま多
可む多ちめなとも1・つとひ給ハぬほとなり
个り・れ1いのけち可きみ春能内尓いれ給」(116ウ)
て・もや能みすお1ろしてお1ハします・遣尓
いとい多く・やせ2/\尓あ越ミて・連いも本古り
可尓・ハな2やき多る可多ハ・お1とうと能君多ち
0525【はなやきたる】-花
丹は・もて遣多れて2・いとよういあり可ほ尓
志つ1め多るさ満そことな2る越・いとゝ志つ1め
て・佐ふらひ多まふ・佐万な2と可ハみこ多ちの
御可多ハら尓・佐しならへ多らむ尓・佐ら尓と可
あるましき2を・多ゝこ2と能さ満の多れも/\
いと思ひやりなきこ2そ・いとつ1ミゆるし
可多个れな1と・御めとまれとさりけなく・」(117オ)
いとなつ1可しくそ能こ2とゝなくて・多いめんも
0526【そのことゝなくて】-源詞
いとひさしくなり尓个り・月こ2ろ者色/\
のひやうさ越・見あつ1可ひ・心のいと満な2き
ほと尓・院の1御賀の1堂め・古ゝ尓も能し
0527【院】-朱ー
給みこの1・本うし徒可うまつり給へくあり
0528【ほうし】-法事
しを・つき/\とゝこほるこ2と志けくて・可く
0529【つき/\】-月々
としも1せめつれハ・え思日の1古とく・志あへて2
0530【せめつれは】-迫
か多能こ2とくな2ん・いも井能御者ちまいるへ
0531【御はち】-鉢
き2を・御賀な2といへハ・こ2と/\しきやうな
れと・家尓おいゝつ1るわらハへの1可す・お1ほくな2り」(117ウ)
尓ける越御らんせさせむとて・まいな2となら
ハし者しめし・楚の1事を多尓者多さん
とて・拍子とゝのへむこ2と・又多れ尓可ハと・お1もひ
めくらし可年てなむ・月こ2ろとふらひものし
給者ぬうらみも1・すてゝけるとの多まふ・御
个しき2能うらな起やうな2るも能可ら・いと/\
者つ1可しき2尓・可ほの色多可ふらむとお1ほえ
て・御いらへもとみ尓えき古えす・月こ2ろ
0532【月ころ】-柏詞
可多/\尓お1ほしな2やむ御こ2とうけ多まハり
なけき侍な1可ら・春の1比をひより・連いも」(118オ)
わつらひ侍る・み多り可くひやうといふ物・と
0533【みたり】-乱心
0534【かくひやう】-脚病
こ2ろせくお1古りわつらひ侍りて・者可/\
しく婦ミ多つる事も1侍らす・月こ2ろ尓
0535【ふみたつる事】-脚気
そへて2志つ1ミ侍て2な2む・内な2と尓もまいら
す・世中あと多え多るやうにてこも1り
侍・院の1御よ者ひ多り多まふ年な2り・人
0536【院】-朱
より佐多可尓かそへ多てまつ1り徒可うま
つ1るへき2よし・ちし能お1とゝ・思ひをよひ
申佐連しを・かうふりを可け・く流万越
0537【かうふりをかけ】-\(朱合点)
お1しますゝてゝし身尓て・すゝミ徒可う」(118ウ)
まつらむ尓徒く所な2し・个尓1下羅うな2り
とも1・お1な1しこ2と婦可きとこ2ろ侍らむその
心御覧せられよと・もよをしまうさるゝ
こ2と能侍し可ハ・をもきやまひをあひ多
すけて2なん・まいりて2侍し・いまハいよ/\
いとかす可なるさ満尓・お1ほしすまして・
い可めしき2御よそひをまちうけ多てまつ
0538【御よそひ】-用
里給者むこ2と・ね可ハしくも1お1ほすましく
見多てまつり侍しを・ことゝも1をハ・そ可せ給
て・志つ1可なる御物可多り能・ふ可き御ね1可ひ」(119オ)
可な2者せ給者むなんまさりて侍へき2と
申給へハ・い可めしくきゝし御賀の1こ2と越・女
0539【いかめしく】-源詞
0540【御賀のこと越】-女二ノ
0541【女二の宮】-落
二の1宮の御方さ満尓ハ・いひな2さぬも・羅う
0542【らうありと】-おとなくおほす
ありとお1ほす・多ゝかくなんこ2とそき多る
0543【ことそきたる】-略
佐万尓・世人ハあさくみるへき越・さハいへと・
0544【みるへき越】-女二ノ賀也
心えて・も1の1せら流ゝ尓・されハよとな2む・いとゝ
0545【心えて】-柏心得
お1もひなられ侍・大将ハ・お1ほやけ可多ハ・やう/\
をとな1ふめれと・可うやう尓なさけひ多る
可多ハ・もとより志まぬ尓やあらむ・可能院な2
0546【かの院】-朱
に古とも1・心をよひ給者ぬこ2とハ・お1さ/\な2き」(119ウ)
うちにも1・可く能可多のこ2とハ・御心とゝめて2・いと
可し古く・志りとゝのへ給へるを・佐こ2そお1本し
すて多るやうなれ・志つ1可尓き2古しめ
しすまさむ事・いましも1なむ心つ可ひ
せら流へき・可能大将と・もろとも1尓見いれ
0547【かの大将】-夕
て・まひの1わらハへのようい・心者へよくゝ
ハへ給へ・も能ゝ志な2といふ物ハ・多ゝわ可多て多る
こ2とこ2そあれ・いとくちおしき物な2りなと・
いとなつ可しく能多まひ徒くる越・うれしきも
の1可ら・くるしく徒ゝましくて・こ2とすくな2尓て・」(120オ)
この1御まへ越・とく多ちなむとお1もへハ・れ1い
0548【この御まへ】-源
0549【とくたちなむと】-柏
のやう尓・こまや可尓1もあらて・やう/\春へり
いてぬ・ひむ可しの1お1とゝにて2・大将の1徒くろ
0550【大将】-夕
ひい多し給・可く人まひ人の佐うそく能
こ2とな2と・ま多/\をこなひ・くハへ給・ある
へき2可きりいみしく・徒くし給へる尓・いとゝく
ハしき2心志らひそふも・け尓この1みちハ・いと
ふ可き人尓楚も能し給め流个ふハ可ゝ流
こゝろ見の1ひな2れと・御方/\物見堂万
ハむ尓・見とこ2ろなくハあらせしとて・可の」(120ウ)
御賀の1ひハ・あ可き志ら徒るはミ尓・えひ
0551【あかきしらつるはミ】-赤白橡
0552【えひそめ】-葡萄染
そ2め能志多可さ年をきるへし・个ふハあを
0553【かさね】-襲
0554【けふは】-試楽
いろ尓・す王う可さ年・可く人三十人・个ふハ
0555【すわうかさね】-蘇芳重
志ら可さ年をき多る・たつミ能可多の徒りと
0556【しらかさね】-下重白打
0557【つりとの】-釣
の尓・つゝき多る羅うを・可く所尓て・山のみ
な2ミ能そハより・御前尓いつ1るほと・仙遊霞
0558【仙遊霞】-センユウカ 大食調曲ノ無舞 古楽也 小曲也
といふも能あそ2ひて・雪の多ゝいさゝ可ち流尓・
春の1とな2りち可く・むめ能个しき2みる可ひ
0559【春のとなりちかく】-\(朱合点) 冬なから春のとなりのちかけれハ中かきよりそ花ハちりける(朱)(古今1021・古今六帖1349・深養父集18、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋14)
ありて2・ほゝゑミ多り・ひさしのミす農
0560【ほゝゑミたり】-\(朱合点) にほハねとほゝゑむ梅の花をこそ我もおかしとおりてなかむれ(好忠集26、異本紫明抄・河海抄・孟津抄・岷江入楚)
0561【ひさし】-庇也
うち尓・お1ハしませハ・式部卿の1みや・右の」(121オ)
0562【右のおとゝ】-ヒケ
お1とゝハ可り佐ふらひ多まひて・そ2れより志も
の可む多ちめハ・すのこ尓わさとな2らぬひの
0563【すのこ】-簀子
事尓て・御あるしな2と遣ち可きほと尓つ
可うまつりな2し多り・右の大と能ゝ能($(朱))四ら
0564【右の大との】-ヒケ
0565【四らう君】-頭中将
う君・大将殿の1三らう君・兵部卿のみや
0566【三らう君】-源宰相中将
0567【兵部卿のみや】-蛍
能そ2む王うの君多ち婦多りハ・万歳楽・
0568【そむわう】-五世まて孫王といふ
0569【ふたり】-宰相中将 侍従
ま多いとちひさ起ほと尓て・いと羅う多け
也・四人な2可らいつ1連とな2く・多可起い(+へ(朱))のこ尓て・
可多ちお1可し遣尓・かし徒きいて多流・思日
な2しも1やむこ2とな1し・又大将の御子のな2いし」(121ウ)
0570【ないしのすけ】-藤内侍 惟光ー
の1す遣ハら能二らう君・式部卿の宮の1兵衛
0571【二らう君】-中納言
0572【式部卿の宮】-紫父
督といひし・いまハ源中納言の御こ・わう
0573【御こ】-若公
0574【わう上】-皇麞
上・右の1お1ほ井と能ゝ三らう君・れうわう・
0575【三らう君】-右大弁 振分髪二人
0576【れうわう】-陵王(朱)
大将殿能堂らう・羅くそむ・さてハ・太平
0578【大将殿】-夕
0579【たらう】-右衛門督
0580【らくそむ】-落蹲(朱)
楽・喜春楽な2といふまひとも1をな2ん・お1な2し
御な2可らひの君堂ち・お1とな2多ちな2とまひ
个る・くれゆけハみ春あけさせ給て2・も能ゝ
希う満さる尓・いとうつくしき2御むまこ
0581【御むまこの君たち】-源
の君多ち能・可多ちす可多尓て・まひのさ
まも・世尓見えぬ手越徒くして・お1ほむ」(122オ)
師ともゝ・をの1/\ての可きりを・ゝしへき古え
ける尓・婦可き可と/\しさ越くハへて・めつら
可尓まひ給を・いつれをも・いとらう多し
とお1ほ春・お1い給へる可む多ちめ多ち盤・
み那・涙おとし給・式部卿の宮も・御まこ
をお1ほして・御者な2の1色つくまて志ほ多
連給・あるし能院春く流よハひ尓そ2へて2
0582【あるしの院】-源
ハ・ゑひなきこ2そ・とゝめ可多き2わさな2り
0583【ゑひなき】-\(朱合点)
个れ・衛門督心とゝめて2・ほゝゑまるゝ・いと
心者つ可しや・さりとも1い万志ハしな2らん・」(122ウ)
さ可さ満尓ゆ可ぬとし月よ・お1い者・え能か
0584【さかさまにゆかぬ】-\(朱合点) 古今 さかさまに年もゆかなんとりもあへすすくる齢やともにかへると(古今896、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
連ぬ王さ也とて・うちみやり給尓・人より
遣尓まめ多ちくんして・まこ2と尓心ち
も1・いとな2やまし个れハ・いみしきこ2とも1・
めもとまらぬ心ちする人をしも1佐し
王起て2・そらゑひをしつゝ・可くの多まふ
た者ふ連のやうな2れと・いとゝむ年つふ連て2・
さ可つき能めくりく流も・可しらい多くお1ほ
ゆ連ハ・希しき2許尓て・まきらハす越・御
覧しと可めて2・も多せな2可ら・堂ひ/\」(123オ)
志井戸給へハゝ($者(朱))し多なくて・もて王つら婦さ満
なへて2能人尓ゝす・お1可し心地可きみ多りて・
堂へ可多け連ハ・ま多こ2とも1者てぬ尓ま可て
給ぬるまゝ尓・いとい多くまとひて・れいの
いとおとろ/\しき・ゑひ尓もあらぬを・い可
なれハ・可ゝ流な2らむ・つゝましと・物を思日つる
尓・氣の(+の(朱))ほりぬる尓や・いとさいふハ可り・お1
0585【気ののほりぬる】-気のあかる也
くすへき心よハさとハ・お1ほえぬを・いふ
可ひなくも1ありける可那と・身つ可ら思日
志ら流・志ハしの1ゑひのまとひ尓も・あらさり」(123ウ)
个り・や可ていとい多く・王つらひ給・お1とゝ・ハゝ
0586【おとゝ】-致ー
北の1方・お1ほしさハきて・よ楚/\尓て・いと
お1ほつ可な1しとて・と能尓わ多し多てまつり
0587【とのに】-致ー家
給を・女宮の1お1ほし多るさ満・ま多いと心
0588【女宮】-落ー
く流し・こと那くて・すく春へきひ比ハ・心のと
可尓1・あいな1多のミしていとしも1・あらぬ御
0589【あいなたのミ】-空契
こゝろさしなれと・い万ハと・わ可れ多てまつる
へき2・可とて・尓やとお1もふハ・あ者れ尓可な1し
0590【かとて】-門出
くをくれて2お1ほしな2け可んこ2と能可多し(+(朱)け(墨))な
き越・いみしと思ふ・者ゝミやす所もいと」(124オ)
いみしくなけき給て2・世のこ2とゝ志て・お1や
0591【世のことゝして】-御母詞
をハ・猶さる物尓・を起多てまつりて・可ゝ流
御な2可らひハ・とあるお1りも1・可ゝるおりも1・
者な2れ多満者ぬこ2そ・連いのこ2とな1れ・可く
ひき2王可れて2・多ひら可尓も能し多まふ
まても1・すくし給者む可・心徒くしな2るへき2
こ2と越・志はし古ゝ尓て・可くて古ゝろ見多まへ
0592【こゝにて】-致ー家
と・御可多ハら尓御きちやうハ可り越遍多
てゝ・見多てまつり給・こ2とハりや・可すな2ら
ぬ身尓て・をよひ可多き2御な可らひ尓・」(124ウ)
な1ましひ尓ゆるされ多てまつりて・さふら婦
志るし尓ハ・な可く世尓侍りて2・可ひなき身
能ほとも1・すこしひとゝ・飛としくなる・遣ち
めをもや・御覧せら流ゝとこ2そお1もふ給つれ・
いといみしく・可くさへな2り侍へ連ハ・布可き心
佐しを多尓・御覧し者てられ春やなり
侍りなむと・お1もふ多まふる尓な2んとまり
可多起心地尓も・えゆきやるましく思
給へら流ゝな2と可多み尓なき給ひて・
とミにもえ王多り給者年ハ・又者ゝき多」(125オ)
の1可多うしろめ多くお1ほして・な2と可まつ1み
えむとハお1もひ多まふましき2・王れハ心ち
も・すこし連(+い(朱))ならす心本そ2き時者・
あま多能中尓・まつとりわきて・ゆ可しくも・
たのもしくも・こ2そお1ほえ給へ・可くいとお1
ほつ可な1き2ことゝうらみき古え給も・又いと
こ2とハりなり・人よりさ起な2りける・遣ちめ
0593【さきなりけるけちめ】-嫡子
尓や・とりわきてお1もひな2らひ多るを・いま尓
な越可那しくし給ひて2・志ハしもみえぬを
ハ・く流しき2物尓し給へハ・心ちの可く可き」(125ウ)
里尓お1ほゆるおりしも1・みえ多てまつらさ
らむ・つミふ可くいふせ可るへし・い万ハと多の
0594【いまハと】-柏詞
ミなくき2可せ給ハゝ・いと志のひて2王多り
給ひて2御覧せよ・可な1らす又堂いめん
たまハらむ・あやしく堂ゆくをろ可な2る本
0595【あやしくたゆく】-堕窳
上尓て・古と尓ふれて2をろ可尓お1ほさるゝこ2と
も1ありつらむこ2そ・くやしく侍連・可ゝ流い
のち能ほと越志らて・ゆくす衛な可く・の1ミ・
お1もひ侍个るこ2とゝ・なく/\わ多り多まひぬ・
宮ハとまり給て2・いふ可多なくお1ほしこ可れ」(126オ)
0596【宮】-落
多り・大殿尓まちう遣き古え給て2・よろ
つ1尓さハき給・さ流ハ堂ちま地尓・お1とろ
おとろしき御心ちのさ満尓も1あらす・
月こ2ろも1能な2と越佐ら尓・まいらさりける尓・
いとゝ者可那き2可うしな2と越多尓ふ連多ま
ハす・多ゝやう/\も能尓ひき2いるゝやう尓
みえ給・さ流時のいうそくの・可く物し多まへハ・
0597【いうそくの】-二心アリ
世中お1しミあ多らし可りて・御とふらひ尓
まいり給者ぬ人な1し・内よりも1・院よりも・
0598【院よりも】-冷
御とふらひ志ハ/\き2古え徒ゝ・いみしくお1しミ」(126ウ)
お1ほしめし多流尓も・いとゝし起お1や多ち
の御心のミまとふ・六条院尓も・いとくちおし
き2わさな2りとお1ほしおとろきて・御とふら
ひ尓多ひ/\ね1んこ2ろ尓・ちゝお1とゝ尓もき2
0599【ちゝおとゝ】-致ー
古え給・大将盤ましていとよ起御中な2れハ・
0600【大将】-夕
希ち可くも能し給徒ゝ・いみしくなけき2
ありき給・御賀ハ廿五日尓なり尓个り・
0601【御賀】-朱ー
かゝ流時のやむこ2とな2き可む多ちめ能お1もく
わつらひ多まふ尓・お1や者ら可らあま多の
人/\・佐るた可き御な2可らひのなけき志ほ」(127オ)
連給へる古ろをひ尓て・も能すさましき
やうな2れと・徒き/\尓とゝこほりつる事
多尓ある越・さてやむましき2事なれハ・
い可て可ハ・お1ほしとゝまらむ・女宮の御心の
0602【女宮】-女三
内をそ・いとおしく思ひき2古えさせ給・連い
の1五十寺の御す経・又可能お1ハします御
0603【五十寺】-歳数
てらにも1・ま可ひ類さな1能」(127ウ)
0604【てら】-仁和寺円堂本尊金大日
【奥入01】史記 周本記
楚有養由基者善射者也去柳葉
百歩而射百発而百中左右観者数十人
皆曰善射々之
伊行
【奥入02】毛詩云
如ハ感陽氣春思男々感陰氣
秋思
【奥入03】掛冠 懸車
東観漢記曰 王莽居構子宇諌
莽而莽殺之逢萌謂其友人田三綱」(128オ)
絶矣不去禍将及人即解冠掛東
門而去蒙求 逢萌掛冠
後漢書逢萌字子康北海人掛冠
避世懸車
古文孝経曰
七十老致仕懸其所仕之車置
諸廟永使子孫監而則焉立身之
給其要然也」(128ウ)
イ本
源四十一歳三月より四十七歳まての事有此巻はかなくて年月も
かさなると云詞ニ四十二三四五の事篭歟
一名ハもろかつら但不用之
此巻条
一冷泉院御位をさり給事<在位十八年> 一今上御位につき給事
一住吉詣源氏同紫上明石等事 一朱雀院五十御賀女三
宮在憎床之延引遂に廿五日云々 女二宮先奉御賀
一紫上違例邪気<御息>事 一柏事
此巻よく学すれは末巻心得やすき物也任師説
加首筆者也 前大僧正良鎮」(後遊紙1オ)
一校了(墨)
二校了(朱)」(表表紙蓋紙)