First updated 12/29/2001
Last updated 12/16/2025
渋谷栄一翻字(C)

  

若菜下

凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。

「王可那」(題箋)

  古と者りとはおもへともうれ多くもいへる可那
0001【ことはりとはおもへと】-上巻の末の詞につゝけてみるへし
0002【うれたくも】-憂
  いてやなそ可くことなな起あへ志らひ
  をなくさめ尓てハい可ゝすくさむ可ゝるつて
  ならてひと越もの多まひきこゆる
  ありなむやとふ尓つ遣てほ可多尓
  て盤おしくめて多しとおもひきこゆる
0003【院】-源
  の堂めな万ゆ可むやそひ尓多らん
  こもり能/\あま多まいりへり
  うくすゝろ者し个れと能あ多りの
0004【すゝろはしけれと】-スサマシキ様体也 ソヽ同
  越もみてやなくさむとおもひてまいり」(1オ)

  たまふ殿上の里ゆミき佐らきとありし
0005【のりゆみ】-賭弓 公卿殿上人射之
  をすきて三月者多なれ者くちおし
0006【御き月】-薄
  くと/\ふ尓この尓可ゝ流まと井あるへし
0007【まとゐ】-賭ー
  ときゝ徒多へて連いのつとひ多まふ左右大
0008【左右大将】-ヒケ 夕
  将さる可らひ尓てまいり多まへハすけ多ち
0009【すけたち】-近ー 中ー 少ー
  なといとみ可ハしてこゆミとの多まひし可登
0010【こゆミと】-雀ー
  かちゆミ能すくれ多る上手ともありけ連ハ
0011【かちゆミ】-歩射(朱)
  めしいてゝいさせ多まふ殿上人ともゝ徒き/\し
  きかきりハみなまへ志りへのこ満とり尓
0012【まへしりへ】-左方 右方
  王きてくれゆくまゝ尓个ふ尓とちむるかす」(1ウ)
0013【方わきて】-手組

  み能个しきあ者多ゝしくみ多るゝゆふ可せ
  尓の可$遣(朱))いとゝ多つとやす可らて/\い多く
0014【花のかけ】-(朱合点) 古今 けふのみと春越思ハぬ時たにもたつ事やすき花のかけかハ(朱)(古今134・和漢朗詠56・亭子院哥合40・躬恒集382、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋01)
  ゑひす起多まひてえむなる可遣ものとも
  こ多可那多/\能御心見えぬへき越やな
0015【こなた】-女御
0016【かなた】-后
0017【やなきのはを】-
(朱合点)
  き能者越ゝ堂ひ(+い)あてつへきとねりとも
0018【とねりとも】-左右近衛
  のう遣者りていと$累(朱))む志んなりやすこし
0019【むしんなりや】-無尽又無心
  古ゝ志きて徒きとも越こいとませめとて
0020【こゝしき】-巨々
  大将多ちよりハしめてりたまふ尓衛門督
0021【衛門督】-柏
  より遣尓な可め越志つゝものし多まへハ
  可能可多ハし志れるめ尓ハみつけつゝな越」(2オ)

  いと遣しきこと那りわつらハしきいてくへ
  き尓やあらむとさへ日徒きぬるち春
  こ能堂ち御中いとよしさるな可らひと
0022【さるなからひ】-夕ー北方柏妹
  いふな可にも可ハしてねんころなれ者ハ可な
  尓てももハしくうちま起るゝ古と
  あらむをいとおしくおほえ堂満婦つ可らも
  おとゝ越み多てまつる尓遣おそろしく満者
  ゆく可ゝ流ハあるへきもの可能めならむ尓
  て多尓遣し可らす尓てむつ可るへきふる
  まひ者せしとものをましておほ遣な」(2ウ)

  きとおもひ王ひて可能ありしねこ越
  多尓えてし可那思事可多ら婦へくハあらね
  か多ハら佐ひしきなくさめにもなつ遣むと
0023【なつけむ】-馴
  おもふ尓も能く流おしくい可て可ハぬすミいてむ
  とれさへそ可多起なり个る女御
0024【女御々方】-弘ー柏妹
  まいりて能可多りなとき古えま起らハし
  みるいとおく婦可く者つ可しき
  なし尓てまほ尓えたまふ
  かゝる御中らひ尓多尓遣と越くならひ多る
  をゆくり可尓あやしく者ありしわさそ可し」(3オ)

  登ハさす可尓うちおほゆれとおほろ遣尓
  志め多るわ可可らあさくもひなされ春
  尓まいりろなうかよひへる
0025【ろなう】-無論(朱)
  らむ可しとめとゝめてみ多てまつる尓尓本
  ひや可尓なとハあらぬ可多ちなれとさ者
  可りのありさ満者多いと古と尓てあて尓
  なまめ可しくおハしますうち能ねこの
0026【うち】-冷
  あま多ひき徒連多りける者らからとも
  の々尓あ可れてこの尓もまいれる可いと
0027【あかれて】-分也
0028【この宮】-東宮
  お可し遣尓てありく越る尓まつおもひいて」(3ウ)

  らるれハ六条のひめ御方ねここ
0029【ひめ宮】-女三
  いとみえぬやうなる可ほして可しうし可
  者つ可尓なむ見給へしと遣いし多まへハ
0030【けいしたまへハ】-東ー中ー行啓ト云コトシ
  さと羅う多くせさ勢多まふ御心尓てくハし
  くと者せからねこ能古ゝの尓多可へるさ満
  志てりししやうなるれと
  可しくなれ多るハあやしくなつ可しき
  尓ななとゆ可しくおほさるき古え
  なし多ま婦きこしめしをきてあのことくきり
0031【きりつほの御かた】-明ー中ー
  つ本の可多より徒多へてき古えさせ个れハ」(4オ)
0032【つたへて】-自東ー女三猫所望申

  まいらせ堂万へり遣尓いとうつくし遣なる
  ねこなり个りと々けうする越衛門督
  堂つんとおほし多りきと个しき越
  みをきてろへてまいり多まへりわらハ
  なりしより朱雀院とり王起てほし
  つ可ハせし可ハ御山すミ尓をくれき古えてハ
0033【御山】-ミ
  この尓も志多しうまいりよせき
0034【この宮】-東ー
  え多りとなをしへきこえとて
  ともあま多徒とひ尓个りいつらこの
0035【いつらこのみし人は】-柏詞
  みし者と多つ年てつけへりいと」(4ウ)

  羅う多くおほえて可起なてゝ井多り
0036【宮も】-東
  遣尓お可しきさ満し多り个りま多
  なつ可多起者なれぬを志る尓やあ
  らむ古ゝなるねことも古と尓をとらす可し
  登の多まへハこれハさるわきまへ
  さ/\らぬも能なれとそ能尓も可し
  古きハをのつ可ら多ましひらむ可しな
  き古えてまさるともさふら婦める越これハ
  志ハし多満者りあつ可らむと申給
  あ那可ち尓おこ可ましく可つハおほゆるつ井尓」(5オ)

  これを堂つ年とりてよるもあ多りち可くふせ
  あけ多てハ(+こ)の可し徒き越してなてやし
  ひ堂万婦遣と越可りしいとよく
  れてともすれハきぬのすそ尓まつ者れ
  よ里ふしむつ流ゝをまめや可尓うつくしと
  いとい多くな可めてハしち可くより布し
  へる尓きてねう/\といとらう堂け尓
  なけハ可起なてゝう多てもすゝむ可なとほゝ
  ゑま流
    王ふるの可多みとてならせハなれよな」(5ウ)
0037【恋わふる】-衛門督

  てなくねるらむこれもむ可し能ちきり尓や
0038【これもむかしのちきり】-(朱合点) 唐武宗時宮妃後身為猫事アリ(右) これも又さそな昔の契そと思なからもあさましき哉 和泉ー(左)(続詞花556、異本紫明抄・河海抄・休聞抄・孟津抄・花屋抄)
  可ほをゝの多まへハいよ/\羅う多け尓
  く越ふところ尓いれて可め井へりこ多ち
0039【こたち】-後達 女房事也
  とハあやしくにハ可なるねこ能めく可那
  可やうなる物見いれ堂万者ぬ御心尓とと可め
  个りよりめす尓もまいらせすとりこめ
0040【宮より】-東
  てこれ越可多らひ左大将殿能可多ハ
0041【北のかた】-玉
  大殿きミ多ちよりも右大将越ハ
0042【大殿】-致仕
0043【大殿のきミ】-柏
0044【右大将の君】-夕
  な越む可し能まゝ尓う登可らす日きこえ
  へり者への可と/\しく遣ち可くお者する」(6オ)
0045【心はへ】-玉

  尓て堂いめんし給時/\も古万や可尓
0046【たいめん】-夕
  多て堂流个しきなくてなつ連ハ
  大将も志けいさなと能うと/\しくをよひ可多
0047【大将】-夕
0048【しけいさ】-淑景舎 明ー 桐ー
  遣那る御心さ満のあまりなる尓さ満ことな
  むつひ尓てもひ可ハしへりとこ
0049【おとこ君】-ヒケ
  まハまして可能ハしめ能をもゝて者
  なれ者てゝらひなくて可し徒きゝこえ
0050【もてかしつき】-玉
  このハら尓ハとこきむ多ちの可起り
  なれハ佐う/\しとてかのま起ハしら能ひめ
0051【まきハしらのひめ】-槙柱
  きミ越えてかしつ可まほしく志へと」(6ウ)
0052【おほち宮】-兵(=式)ー 紫父

  ほちと佐ら尓ゆるし多ま者須この
0053【この君】-槙柱
  を多尓王らへならぬさ満尓てみむとお本し
0054【おほしの給】-式部卿宮
  のみこのほえいとやむこと那く尓も
0055【内にも】-冷
  この御心よせいと古よ那くてこの
0056【この宮】-兵部ー
  とそうしとをハえそむき者す
  くるしき尓おもひき古えへり
  可多もいまめ可しく可しくお者する尓て
  この院大殿佐し徒き多てまつりて
0057【この院】-源
0058【大殿】-致ー
  もまいり徒可うまつ世人をもくお
  もひき古え个り大将もさる能をもしとなり」(7オ)
0059【大将】-ヒケ

  へき志多可たなれハひめほえな
0060【ひめ君】-槙柱
  て可ハ可流くハあらんき古えいつ
  布れ(#て)おほ可れと本しも佐多め春衛門督
0061【おほしもさためす】-槙柱ーヲ
0062【衛門督】-柏ー
  を佐も个しき者万ハとおほ春へ可めれと
0063【ねこにハ】-女三
  こ尓ハおもひおとし多てまつる尓や可遣ても
  日よらぬそくちおし可りける者ゝのあや
0064【はゝ君】-槙ー
  しく越ひ可める尓てよ能つ年のありさ
  満尓もあらすもて遣ち多まへるをくちおし
  きも能尓おほしてまゝ者ゝ能御あ多りをハ
0065【まゝはゝ】-玉
  つ遣てゆ可しく日ていまめ起多る」(7ウ)

  さ満尓そものし堂万ひ个る兵部卿宮
0066【兵部卿宮】-蛍
  な越ひと能ミおハして御心尓つきてお本し
  けることとみ那堂可ひて世中すさまし
  くわらへ尓おほさるゝ尓さてのミや者あまえ
  て春くすへきとおほしてこの王多り尓个しき
  者ミよりへ連ハ大宮な尓可ハかし徒可ん登
0067【大宮】-式部ー北方
  おも者むこ越ハつ可へ尓つきてハ見こ多ち
0068【つきてハ】-次
  にこそハみせ多てまつらめ多ゝのすくよ可尓
  な越な越(+し(朱))きをのミいま能の可しこく春る
  志なゝきわさなりとの多万ひてい多くもなや」(8オ)

  まし多てまつりハすう遣ひき申給
  こあまりうらみところな起を佐う/\しと
  おほせとお本可多能あなりにくきあ多りな
  れハえしもいひすへしハてハしまし
  そめぬいと尓なくかしつきゝ古え大宮
0069【大宮】-式部
  こあま多ものし多まひてさ満/\ものなけ
  可し起おり/\おほ可る尓も能こり志ぬへ个れと
  な越このきミ能ひ者なちか多くお
0070【このきミ】-槙柱
  ほえてなきミハあやしきひ可とし
0071【母きみ】-北方
  古ろ尓そへてなりまさりたまふ大将ハ多」(8ウ)
0072【大将】-ヒケ

  わ可尓志た可ハ春とてろ可尓すてられ多
  め連ハいとなくるしきとて志つらひをも
0073【心くるしき】-槙柱
  堂ち井てつ可ららんしいれよろつ尓可多し
0074【御てつから】-式部
  希那く御心尓ハいれ多まへりハうせ尓个る
0075【宮】-蛍
  可多越とゝも尓こひき古え堂万ひて多ゝ
0076【北のかた】-前斎院
  む可し能ありさ満尓に多てまつり多らむ
  をみむとおほし个る尓あしくハあらねとさ
0077【あしくはあらねと】-槙柱
  万可者りてそ志多まひ个るとおほ春尓
  くちおしくやあり个む可よひ多まふさ満いと
  物う遣なり大宮いと心月な起わさ可那と」(9オ)

  おほしなけき多り者ゝ佐こそひ可ミ
0078【はゝ君】-北方
  多まへれとうつしいてくるくちおしく
  うき者て大将され者よ
0079【大将の君】-ヒケ
  多くめ起多まへるみこをとハしめよりわ可
0080【みこ】-蛍
  御心尓ゆるしハさりしれハ尓やものし
  とへりかむの可く堂能もし遣
0081【かむの君】-玉ー
0082【たのもしけなき】-蛍
  なきさ満をち可くきゝ尓ハさやうな
  世中まし可ハこ那多可な多い可尓お本し
  見給ハましなとまお可しくもあ者れ尓
  もおほしいて个り楚の可ミも遣ち可くみ」(9ウ)

  き古えむとハよらさりき可し多ゝなさけ/\
  しうふ可きさ満尓の多まひわ多りしをあえ
  なくあ者つ个きやう尓やきゝおとし个むと
  いと者つ可しくとしころもほし王多る
  なれハ可ゝ流あ多り尓てきゝハむことも
  可ひせら流へくなとおほ春これよりもさるへ
  きハあつ可ひきこえたまふせうと能
0083【せうと】-兄弟
  堂ちなとして可ゝ流个しき志ら須可本
  尓にく可らすき古えまつハしなとする尓
  く流しくてて者なれ多る御心ハなき耳」(10オ)

  おの可多といふさ可なも能そつ年尓ゆるし
0084【おほ北のかた】-槙柱ウハ
0085【さかなもの】-悪
  なくゑんしき古えみこ堂ちハのと可尓
  布多那くて見給者むを多尓こそ者な
  や可ならぬなくさめ尓ハふへ个れとむつ可り
  ももりきゝ多まひてハいときゝなら
0086【宮】-蛍
  者ぬ可那む可しいとあ者れとおもひし
  を起ても者可な起すさひハ多えさりし
  可とかうきひし起ものゑんしハ古と尓な可り
  し心月くいとゝむ可しをこひき古え
  徒ゝ布る佐と尓うちな可め可ち尓能ミおハし」(10ウ)

  ますさいひつゝもふ多とせ許尓なりぬれハ
  かゝ流尓めなれて多ゝさる可多能御中尓て
  すくし多まふ者可なくて年月も可さなり
  てみ可とくら井尓徒可せ多まひて
0087【内のみかと】-冷 冷ー受禅ハ源廿八歳也
0088【十八年にならせ給ひぬ】-冷在位清和例
  八年尓ならせひぬ徒き能とならせ多
  まふへきみこおハしまさすものゝ者へな
  世中者可那くおほゆるをやすく
  堂いめんしわ多くしさ満尓越やりて
  と可尓す起ま本しくなむととしころお本し
  多まハせ徒る越ひころいとをも(△△△&とをも)くなや」(11オ)

  ませ多まふありてにハ可尓おり井さ
  せ多まひぬあ可すさ可り能御
  可くの可れ多まふことゝしみなけゝと春宮
  もをとなひさせひ尓多れハうちつきて
  能まつりことな古と尓可ハる遣ちめも
  な可り个りほきおとゝち志のへう多て
0089【おほきおとゝ】-太政大ー柏父
  まつりて古もり井堂万ひぬよの
  つ年なき尓より可く可しこきみ可と能きミ
  もくら井越さり多まひぬる尓とし布可き
  能可うふり越可遣むな尓可おし可らむ登」(11ウ)

  おほしの多まひて左大将右大臣尓なり
  てそ世中能まつりこと徒可うまつり个る
  女御ハ可ゝる御世越もまちつけハて
0090【女御の君】-今上母 承香殿ヒケ妹
  うせ尓个れハ可きりあるくら井をえ多
  ま$へ(朱))れとのゝうしろのちして可ひな可り个り
  六条女御者ら能いち能ハう尓井多
0091【六条の女御】-明石
  まひぬさるへきと可年てもひし可と
  佐しあ多りてハな越めて堂くめおとろ可るゝ
  わさなり个り右大将君大納言尓なり
0092【右大将の君】-夕
  多まひぬいよ/\あらま本しき可らひな」(12オ)

  六条院ハおり井堂まひぬる冷泉院
  つきおハしまさぬをあ可す御心
  おほ春しすちなれとひなやまし
  き御事なくてすくし多まへる者可り尓
  徒ミハ可くれてす衛のまてハえつ多ふまし
  可りけるすくせくちおしくさう/\しく
  おほせと尓の多まひあ者せぬれハ
  いふせくな春宮女御みこ堂ち
0093【春宮の女御】-明石
  あま多かすそいとゝお本えならひ
  なし源氏うちつゝきゝさ起尓井多まふ」(12ウ)
0094【源氏のうちつゝきゝさきに】-薄ー 秋ー 明ー

  遍きこと越世人あ可すおもへる尓つけても
  冷泉院ゆへなくてあな可ち尓可く
0095【かく】-如此
  志を起多まへる御心越おほ春尓いよ/\
  六条院と越年月尓そへて可きり那く
  日きこえ堂万へり可とおほしめしゝ
0096【院の御かと】-冷
  やう尓見遊きもせ可らてわ多りひな
  志徒ゝ可くてしも遣尓めて多くあら万本し
  きありさ満なひめ御事み可と
0097【ひめ宮】-女三
0098【みかと】-今上
  御心とゝめてもひきこえほ可多の
  尓もあま年くもて可し徒可れ堂まふを」(13オ)

  多いのうへのいきをひ尓ハえ満さりた万ハす
  としふるまゝ尓御中いとう流ハしくむつひ
  き古え可ハしひていさゝ可あ可ぬこと那く
  へ多てもみえ堂万者ぬも能可らいまは可うお
0099【おほそう】-大惣
  ほ楚う能す万井ならてのとや可尓をこな
  ひをもとなむおもふこのハ可ハ可りと
  てつちするよ者ひ尓もなり尓个り
  さりぬへきさ満尓おほしゆるしてよと
  まめや可尓きこえ多まふり/\ある越
  あるましくつらき御事みつ可らふ可き」(13ウ)
0100【あるましくつらき】-源詞

  いあることなれととまりて佐う/\しくお
  ある可ハらむありさ満のうしろ
  め多さ尓よりこな可ら婦連徒ゐ尓楚の
0101【つゐにそのこと】-源我世之後
  こととけなむのち尓とも可くもお本しなれなと
  能ミさ満多けき古え堂万婦女御のきミ多ゝ
0102【女御のきミ】-明ー
  こ多越万こと能御おや尓もてなしき古え
0103【こなた】-紫
  堂万ひて御方ハ可くれ可のうしろミ丹て
0104【御方】-明ー
  ひ遣しも能し多まへる志もそな可/\ゆく
0105【ひけ】-卑下
  さ起堂能もしけ尓めて多可りけるあ万き
0106【あまきみ】-明ー
  みもやゝもすれハ堂えぬよろこひのとも」(14オ)

  すれハちつゝめをさへのこ多ゝ羅していの
0107【たゝらして】-爛 タヽル
  ちな可きうれし遣那るためし尓なりてものし
  すミよし能御願可つ/\者多し者むと
  て春宮女御いのり尓まて堂万ハん
  とて可能者こあけて御覧すれハ佐万/\の
  い可めしき古とゝもほ可りとしこと能
  の可くらに可なら須な可きのい能りをく
  者へ多るく王んとも可ゝるい起をひな
  らて者多しへきとゝもひを起て
  さり个り多ゝ者し里可き多るおもむきの」(14ウ)

  さえ/\しく者可/\しく本とけもきゝいれ
0108【さえ/\しく】-才学カマシ
  へきこと能ハあきら可なりい可てさるふし
  のひし里かゝることゝもひより
  个むとあハれ尓おほけなくもらむすさる
  へきにて志ハし可り楚め尓越や徒し
  けるむ可しののをこな尓やあり个む
  なほしめくら須いとゝ可る/\しくも
  おほされさり个りこ能堂ひハこの越ハ
  あらハし多まはす多ゝ能まうて
0109【院】-源
  尓ていて堂ちうらつ多ひのものさハ(+可し)可りし」(15オ)

  そ古ら能くハんともみな者多し徒くし
  へ連ともな越世中尓可くおハしまして
  かゝ流/\能さ可え越多まふ尓つけて
  ものおほむ多すけハ王すれ可多くて多い
0110【たいのうへもくしきこえ】-御堂殿長保ニ室家同道石清水住吉参詣
  のうへもくしき古えさせ多まひてまうて
  させ堂万婦ひゝきのつ年ならすいみしく
  ことゝもそ起すてゝ王つらひあるましく
0111【そきすてゝ】-略ナリ
  とハ(△&ハ)布可せ多まへと可起りあり个れハめつら可
  尓よ楚ほしくなむ可ん多ちめも大臣ふ多
  をゝき多てまつりてハみな徒可うまつり」(15ウ)

  まひ婦のすけとも能可多ちきよ
  け尓堂け堂ちひとしき可起りをえらせ
  こ能えらひ尓いらぬをハ者ち尓うれへなけ
  き多るす起ものともあり个りへい志うも
0112【へいしう】-倍従 引和琴哥ウタフ六衛府佐共也 倍従ヲハ哥人ト云十二人也四位五ー六ー各四人
  者し可もの里むし能まつりなと尓めす
  みちミち能古と尓すくれ多る可起り越とゝ
  へさせへりくハゝり多る布多りなむ
0113【くはゝりたるふたり】-加ー倍ー従ー兵衛二人加也
  徒可さ能多可起可きりをめし多りける
  可くら能尓ハいとおほく徒可うまつれり
0114【御かくら】-ミ
0115【御かくらの方にハ】-兵衛召人
  春宮殿上人/\尓わ可れてよせ」(16オ)
0116【院】-冷

  徒可うまつるかすも志らすいろ/\尓徒くし多る
  かん堂ちめ能むまくらむまそ随身
0117【ことねりわらハ】-小舎人
  とねりわらハつき/\能とねりなとまてとゝの
  遍可さり堂るものま多な起さ満なり
  女御殿堂いのうへハひと$つ(朱))尓多てまつりた多り
0118【女御殿】-明
0119【たいのうへ】-紫
  徒き能くる満尓ハあ可し能御方あま
  のひてのり多まへり女御め能と志り
  尓てのり堂りか多/\能ひと多満井
  への御方女御と能ゝい徒ゝあ可しのあ可
0120【御あかれ】-各別也
  れのもあや尓可さり多る佐うそくあ」(16ウ)

  里さ満い$へ(朱))者佐らなり佐るあ万をハ
  くハいのミ能志者のふハ可り尓め可しくて
  まうてさせむとハの多まひ个れとこの
0121【院】-源
  堂ひハ可くおほ可多能ひゝき堂ちましら
  むもか多ハらい多しふやうならむ
0122【思ふやうならむ世中をまちいて】-東ー位
0123【御方】-明ー
  世中をまちいて堂らハと御方ハ志つ
  个る越古り能いのちうしろめ多くて可つ/\
  ゆ可し可りて志多ひ万いりり个りさる
  へき尓てもとよ里可く尓本ひ多万婦御身
  もよりもいみし可りけるあらハ尓日志ら」(17オ)

  流ゝミありさ満なり十月中十日なれ
  ハのい可起尓者ふくすも可ハりて
0124【神のいかきにはふくす】-(朱合点) 古今 千ハやふる神の井垣にはふくすも(古今262・古今六帖3881、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋02)
  もみちなをと尓能ミもをき可ぬ可ほな
0125【をとにのみも秋を】-(朱合点) 紅葉せぬときハの山ハ吹風の音にや秋をきゝわたるらん(古今251・拾遺集189・新撰和歌12・古今六帖419・919・小町集100、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋03)
  古と/\し起古満もろこし能可くよりもあつま
  あそひの見ゝなれ多るハなつ可しくもしろく
  なミ可せのゑ尓ひゝきあひてさるこ多可
  起松風尓布き多て堂流ハ布え能ね
  ほ可尓てきく志らへ尓ハか者りて尓志ミ
  古と尓うちあ者せ多るひやうしも徒ゝミ越
0126【ことに】-和琴
0127【つゝみをはなれて】-
(朱) 東ー大皷 不用 拍子用也
  者なれてとゝ能へとり多るとろ/\し可らぬ」(17ウ)

  もなまめ可しくすこうおもしろく可らハ
  ましてき古え个りあ井尓すれる堂けの
0128【山あゐにすれるたけのふし】-加茂臨時祭舞人竹文青スリ倍従棕櫚文青スリ
  布しハみとり尓えま可ひ可さし能
  ハのくさ尓古となる遣ちめわ可れてな尓
  こと尓め能みま可ひいろふもとめこ者つる
0129【いろふ】-色エ
0130【もとめこ】-求子自始肩ヌク
  すゑ尓わ可や可なる可む多ちめハ可多ぬきており
0131【かたぬきておりたまふ】-長保五年住吉詣時左大臣以下十人肩ヌキ舞 是ヲ肩ヲロシト云
  堂万婦尓本ひもなく具ろきうへのきぬ
  尓すわうかさ年能えひそめ能に者可尓
0132【すわうかさね】-公卿
0133【えひそめ】-殿上人
  ひきほ古ろハし多流尓くれな井婦可きあこ
  め能たもと能うち志くれ多るに个しきハ可り」(18オ)

  ぬ連多るハら越ハ王すれてもみち能ち流尓
  日わ多さ流みる可ひおほ可るす可多とも
  いと志ろく可れ多るお堂可や可尓かさし
  て多ゝひと可へりまひていりぬるハいとおもし
  ろくあ可す楚あり遣るとゝむ可し能ことお
0134【おとゝ】-源
  ほしいてられ中比志つミありさ満も
  め能まへのやう尓おほさるゝ尓そのよ能こ
  うちみ多れ可多りへきもなけ連ハ$し(朱))
  のとゝをそひしくひき古え遣る
  いりたまひて二のくる満尓志のひて」(18ウ)
0135【二のくるま】-二番車明ー

    堂れ可又心越し里て住吉神世をへ多流
0136【たれか又】-源氏
  耳ことゝ婦堂ゝむ可ミ尓可き多まへり
  万うち志ほ多流可ゝ類よ越みる尓つけて
  か能うらにてい万者とわ可れしほと女御
  の能おハせしありさ満なと日いつるも
  いとか多しけな可りけるのすくせの
  婦よ越そむきしくさ満/\耳
0137【を越むき給し人】-明ー入
  可なしき可つハゆゝしとといみして
    すミ能え越いける可ひあるな起さとハ
0138【すミのえ越】-明石尼
  布るあ万も个ふや志るらんをそくハひむな」(19オ)

  可らむと堂ゝうちおもひ个るまゝなり个り
    む可しこそまつわすられ年住吉
0139【むかしこそ】-明石上
  志るしをみる尓つけてもとひとり古ち个り
  ひとよあそひあ可し多万婦者つ可能者る可
  すミてうミ能おもておもしろくえわ多る
  志も能いと古ち多くをきて松原
  ま可ひてよろつ楚ゝろさむくお
  しろさもあハれさも堂ちそひ多り多い農
  うへつ年能可き年の可ら/\尓つけて
  个婦あるあさゆふの阿そひ尓見ゝ婦りめ」(19ウ)

  な連个れ見可とよりと能おさ/\し
0140【との】-外ナリ
  者すましてかくこのほ可能ありきハ
  ま多ならひ者年ハめつらしくお可しく
  おほさる
    すミ能ふ可くをく
0141【すミの江の】-紫上
  可遣多るゆふ可つら可も多可むら能朝臣ひら
0142【たかむらの朝臣】-(朱合点)
0143【ひらの山さへ】-
(朱合点) ひもろきハ神の心にかけつへしヒラノ高ねに夕かつらせり 文時(右)(夫木抄9085、異本紫明抄・河海抄・弄花抄・花鳥余情・一葉抄・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚) ひもろきの哥ハ祭の時の哥也(左)
  のさへといひけるゆき能あし多をお本し
  や連ハまつり能こゝろう遣多万ふ(△&ふ)志るし尓や
  といよ/\堂のもしくなむ女御のきミ
    ひと能て尓とりも多類榊葉尓ゆふ可遣」(20オ)

  そふるふ可きよ能霜中徒可さ能きミ
    者ふりこ可ゆふうち万可ひをくハ遣尓
0144【はふりこか】-祝子
  いちし流き志るし可つき/\可すしら
0145【つき/\かすしらす】-作者詞
  春おほ可りける越な尓せむ尓可者きゝを
  可む可ゝ流おり布しの連いの上手めき
  とこ堂ちも/\いてき盈して
  ちとせよりハなれてい満め可しきことな
  个れ者うる佐くてなほの/\とあけゆく
  尓志もハいよ/\婦可くてもとす衛も多と/\
0146【もとすゑ】-神楽本末拍子
  しきまてゑひすき尓多流かくらおもて」(20ウ)
0147【かくらおもてとも】-神楽人次居体

  ともをの可かほをハ志らてもしろきと尓
  ハしミて尓ハも可遣志めり多る尓な越
  さい/\とさ可きをとり可へしつゝいハひ
  きこゆる御世春衛おもひや流楚いとゝしき
  やよろつとあ可すおもしろきまゝ尓
0148【千よをひとよに】-(朱合点) 秋のよの千夜を一夜になせりともことハ残りて鳥や鳴なん(朱)(続古今1157・古今六帖1987・伊勢物語46、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋04)
  よ越ひとよになさまほしき夜のなにゝも
  あらてあけぬ連者可へるなミ尓きほふも
  くちおしくわ可き/\おもふハら尓者る/\
  と堂てつゝ遣多流くる満とも尓う
  ちなひく志多す多れのひ万/\もと起者の」(21オ)

  可遣尓しき越ひきく王へ堂るとみゆ
  流尓うへのきぬ能/\希ちめ越きて・お可し
  きか遣ハんとり徒ゝきてものまいりわ多す
  をそ志もとハめ尓つきてめて多しとハ
  おもへるあ万能おまへ尓もせん可う能お
  き尓あ越尓ひのおもてをりてさうし
0149【あ越にひ】-折敷面ヲ帳絹尼用色也
  まいるとてめさ満しきのすくせ可那と
  の可志ゝハ志りうこち个り満うてしみち
0150【しりうこち】-後言
  ハと/\しくて王つらハしき堂可ら
  満/\尓せ遣なりしを可へさハよろつのせう」(21ウ)
0151【所せけ】-セキニ同

  よう越徒くしいひ徒ゝく流もう流さくむつ
  しき古とゝもなれ者可ゝ流ありさ満をも
  入道き可すみぬ尓可け者なれ多万へる
  能ミなんあ可さりけるか多きとな里可し
  満し羅者満しもくるしくや世中
  これをためし尓て多可くなりぬへきこ
  なめりよろつのこと尓つ个てめてあさ見
  のことくさ尓てあ可しのあ万とそさい者い
  尓いひける可能ちしの大殿のあふミ能きミハ
  すくろくうつのこと者にもあ可し能あ万」(22オ)
0152【すくろく】-双六

  /\とそさい者こひ遣る入道のみ可とハをこ
0153【入道のみかと】-朱雀院ノ御事也
  なひをいみしく志御事をもき
0154【内の御事】-春見ヲ云朝秋見ヲ云 覲
  いれ者す春秋行幸尓なむ無可し
  ひいてられ給事まし里けるひめ
0155【ひめ宮】-女三
  と越のミ楚えおほし者な多てこの
0156【この院】-源
  ハおほ可多のうしろミ尓ひき古え
  て/\能御心よせあるへくそうせさ勢
  二品尓なりたまひて御封とまさるいよ/\
0157【二品になりたまひて】-女三
  者那や可尓いきをひそ多いのうへ可く
0158【たいのうへ】-紫
  尓そへて/\尓まさり給御ほえ耳」(22ウ)

  わ可ハ多ゝひともてなし尓尓ハをとら
0159【わか身ハ】-紫詞
  ねとあまりとし徒もりな御心者へも
  徒井尓をとろへなさらむ者てぬ
  佐起尓とそむき尓し可那と堂ゆミなく
  おほしわ多れと佐可しきやう尓やおほさむと
  徒ゝまれて者可/\しくもえきこえ者す
  み可とさへ御心よせ古と尓きこえへハ
0160【内のみかと】-今上
  をろ可尓き可れ多てまつらむもいとおしくて
  わ多りやう/\ひとしきやう尓な
0161【わたり給こと】-源女三方へ
  ゆくさるへきこ/\者りとハひな可ら」(23オ)

  され者よと能ミやす可ら須ほされ个れと
  徒連那くおしさ満尓てすくし
  さしつき能女一古な多尓
0162【女一の宮】-明ー腹
  とり王起て可しつき多てまつり堂満婦
  そあつ可ひ尓なむ連/\なよ可れの
0163【その御あつかひ】-源
  ほともなくさめひ个るいつ連もわ可須
  徒くし具可那しとひき古えたへり
  御方可くとり/\なるむまこあつ可ひを
0164【御むまこあつかひ】-明ー子共
  うらやミて大将能ないしのすけハらの
0165【大将の君】-夕
0166【ないしのすけ】-惟光女
  せち尓む可へてそ可し徒きいとお可し」(23ウ)

  遣尓て者へもほとよりハされおよすけ多
  れ者とゝ能羅う多可りたまふ春くな
0167【おとゝ】-源
0168【君】-花ー
0169【すくなき】-源
  きつきとおほし志可とす衛/\尓ひろ
  古りて古那多可な多いとおほくなりそひ
  堂万婦をいま者多ゝ古れをう徒くしミあつ
  可ひ多まひてそつ連/\もなくさめ
0170【なくさめ給ける】-花ー
  流大殿のまいり徒可うまつり
0171【まいりつかうまつり】-花ちるへ
  い尓しへよりも満さりて志多しくい満ハ
  をとなひハてゝ可能む可しの可
  遣/\しきすちひ者な尓やさる」(24オ)

  へきりもわ多りまうて堂万婦堂いの
  うへ尓も御多いめむありてあら万ほしく
  き古え可ハし个りひめみそお
0172【ひめ宮】-女三
  さ満尓わ可くおほと起て者しま春女御
0173【女御の君】-明中
  能いまはお本や希さ満尓おもひ者な
  ちき古えひてこのをハいとくるし
  をさな可らむむすめ能やう尓ひ者
  ゝ見多てまつ朱雀院いま者
  むけ尓ち可くなりぬるちして物心
  そ起を佐ら尓この能こ可へりしと日」(24ウ)

  すつれと堂いめむなんい万ひと多ひあら満
  ほしきもしうらみの古りもそすれ
  古としきさ満ならてわ多りへくき古え
  け連者とゝも个尓さるへき+事(朱))可ゝる个し
  きな可らむ尓て多尓すゝミまいりへき越
  ましてかうまちきこえひ个る可くるし
  きことゝ満いりへきとおほしまうく徒い
  てなくすさまし起さ満尓てや者#者(朱))ひ王多
  里へきな尓王さ越して可御覧せさ勢
  へきとほしめくらすこの堂ひ堂り」(25オ)
0174【たり給はむとし】-朱雀院五十賀女三ノ有惜也

  者むとしわか那なとてう志てやなとおほし
  てさ満/\能ほう婦く能こいも井のまう
0175【いもゐ】-斎
  遣能志つらいな尓くれとさ満古と尓可ハれる
  古とゝもなれハ御心志らひともいりつゝ
0176【御心しらひ】-心ツカイ
  おほしめくらすい丹しへもあそひの
  とゝめさせへりし可ハまひ可くなとを
  と尓さ多めすくれ多る可きり越とゝのへさせ
  殿御子とも布多り大将
0177【右のおほ殿】-ヒケ
0178【大将】-夕
  こ内侍のすけハら能く者へて三人ま多ちい
  さ起なゝつよりかミのハみな殿上させ多満婦」(25ウ)

  兵部卿のわらハそむわうすへてさるへき
0179【兵部卿の宮】-蛍
0180【わらハ】-童
0181【そむわう】-孫 桐子孫
  堂ちのことものこ能きミ堂ちみな
  えらひいて多まふ殿上きみ多ちもか多ち
  よくおしきまひのす可多もとなるへ
  き越佐多めてあま多能まひのまうけをせ
  さ勢いみし可るへき堂ひのことゝてみな
  越徒くしなむみち/\能ものゝし
  上手いとまなきこハもとより
0182【宮】-女三
  と越なむらひひ遣る越いとわ可くて
0183【ならひ給ひける】-朱ーニ
  尓もひき王可れ多てまつり堂万ひ志可者」(26オ)

  おほつ可なくおほしてまいり堂万者むつゐて
  尓可能と能ねむき可満ほしきさりとも
0184【さりとも琴ハかりハ】-朱ー詞
  ハ可りハひきとりへらむと志りうこと尓
  き古え遣る越尓もきこしめして个尓
0185【けにさりとも】-今上詞
  佐りとも遣ハひことならむ可しまへ
0186【院の御まへ】-朱ー
  尓てゝ徒くし者む徒いて尓まいりき
  き可者やなとの多万ハせける越とゝの
0187【おとゝの君】-源
  ハ徒多へき年比さりぬへきついて
  古と尓ハをしへきこゆることもある越そ能遣
  者ひハ遣尓まさり多万ひ尓多れとま多き」(26ウ)

  古しめしあるふ可き尓ハをよ者ぬ越
  な尓なくてまいり多まへらむ徒いて尓
  き古しめさむとゆるしなくゆ可し可らせ
  者むハいと者し多な可るへき尓もといと
  おしくおほしてこ能ころそ御心とゝめてをしへ
  き古え多万ふ志らへこと那る布多つみつ
  おもしろき古くとも四季尓つけて可ハる
0188【大こく】-有琴 大曲小曲見タリ
0189【四季につけて】-音六律四時十二月調子
  へきひゝきそら能さむさぬるさ越とゝ能へい
  やむこと那可るへき能可起り越とりた
0190【やむことなかるへき】-ヤンコトなき也
  をしへき古え多万婦尓もとなくお」(27オ)

  者するやうなれとやう/\えたまふまゝ尓
  いとよくなりひるハいと志けくな越ひと
  堂ひも遊しあむするいとまもあハ多ゝし
0191【ゆし】-由シ
0192【あむする】-按押
  个れハよる/\なむ志つ可尓と能志め多て
  まつるへきとて堂い尓もそ能ころ盤いと万
0193【たい】-紫
  古えあけくれをしへき古え女御
0194【女御のきみ】-明ー
  ミ尓も多いのうへ尓も琴ハならハし堂て
  まつりハさり个れハこのおりおさ/\見ゝな
  れぬともひきらんをゆ可しとお本して
  女御わさとあり可多きいと満を堂ゝ志」(27ウ)

  ハしとき古えま可て多まへり見こ
  布多を者する越も遣し起ハミ
  い徒月許尓そなりへ連ハ王さなと尓
0195【いつ月許に】-明懐妊
0196【神わさなとに事つけて】-宮人自五ケ月退出
  つけてハしますなり个り十一月すくし
0197【十一月すくし】-十一月十一日神今食
  てハまいりへきせうそこうち志きり
  あれと可ゝ流ついて尓かくおもしろきる/\の
  あそひをうらやましくなとて王れ尓つ多へ
0198【なとてわれに】-源ヲ明ー恨給
  者さり个むと徒らく日きこえ
  の尓堂可ひてめて堂万ふ御心
  なれ者おもしろきゆきの尓おり尓」(28オ)

  あひ多るともひき多万ひつゝさふら婦
  もすこしこ能可多尓ほのめ起多る尓とゝも
  とり/\尓ひ可せてあそひなとし
  くれつ可多ハ堂いなと尓ハいそ可しくこな多
  か那多のいとなミ尓をの可ららむし
  い流ゝともあ連ハ能う羅ゝ可ならむ
  へなと尓い可てこ能と能ねき可むとの多万
  ひわ多る尓とし可へりぬ御賀まつお
0199【院の御賀】-朱ー
0200【おほやけより】-今上
  や遣よりせさ勢古とゝもこち(+多)き尓佐し
  あひてハひんなくおほされてすこしほとす」(28ウ)

  古し多まふ二月十と佐多め堂万まひて
  かくにんまひとまいりつあそひ多え
  すこ能多い尓つ年尓ゆ可しくすると能年
0201【たいに】-紫
  い可て可の/\能佐うひ者能ねもあ者せて
0202【かの人々の】-女楽事
0203【さう】-箏
  可く心見させむ堂ゝいまのもの能ゝ上手
0204【女かく】-ヲンナ
  も佐ら尓こ能王多りの/\能み志ら
0205【心しらひ】-心ツカヒ
  ひとも尓まさらね者可/\しく徒多へとり
  多るハおさ/\なけ連とな尓
  い可て尓志らぬことあらしとなをさ
  なほと尓ひし可ハ尓あるも能ゝし登」(29オ)

  いふ可きり多可起いへ/\能さるへき
  徒多へとものこ(=(朱))さすみしいとふ可く
  者つ可し起可那とおほゆるきハのなむな
  かりし能可みよりもこのころ能わ可き
  々のされよしめ起すく春尓者多あさく
  なり尓多るへしきむハ堂満して佐ら尓
  ま年ふくなり尓多りと可こ能との
  ね者可り多尓徒多へ多るおさ/\あらしと
  の多まへハな尓古ゝろなくうちゑミてうれ
  しくかくゆるした万婦ほと尓なり尓けると」(29ウ)

  おほす廿一二ハ可り尓なり多まへとな越いと
0206【廿一二ハかり】-女三
  いみしくか多なり尓きひハなるちして
  ほそくあえ可尓うつくしく能ミみえたまふ
  尓もみえ多てまつりハてとしへぬる越
0207【院にも】-朱ー
  ねひまさり尓个りとらん春ハ可りよう
  いく王へてえ多てまつり多まへと
  布れてをしへき古え堂万婦遣尓可ゝ流
  うしろミなくてハましてい者けなくおハし
  ますありさ満可くれな可ら満しと/\も
  多てまつ正月廿日許尓なれハらも」(30オ)
0208【正月廿日許】-実十九日也ふしまち月と下にみえたり

  お可しきほと尓ぬるく布きてまへの
  むめも佐可り尓なりゆきほ可多能
  ともゝみな个しき者ミかすミわ多り尓
  个り多ゝハいそきち可くさハ可し可らむ
0209【御いそきちかく】-朱雀院の五十御賀の事也
  尓可きあ者せ者む古と能ねも志可く
  め起ていひなさむをこのころ志つ可な
  ほと尓心見給へとて志むてん尓わ多し多て
0210【しむてんにわたしたてまつり】-女三宮の御方也
  まつりとも尓わ連も/\とゆ可し可り
  てまうの本らまほし可れとこ那多尓と越
  き越者えりとゝめさせすこしねひ」(30ウ)

  堂れとよしある可きりえりてさふら者せ
  わらハへハ可多ちすくれ多る四人あ可
0211【四人】-紫上の童女也
0212【あか色】-うハき也
  さくら能可さミうすいろ能をりも能ゝあこめ
  うきもんのうへ能者可満くれな井のうち多る
0213【うちたる】-ひとへをいふにや
  さ満もてなしすくれ多る可起りをめし堂り
  女御御方尓も志つらひなといとゝあら多
0214【女御の御方】-明ー
  まれるころ能くもりなき尓をの/\いと満
  しく徒くし多るよそおひともあさや可尓
  尓なしわらハゝあ越いろ尓す王う能かさミ
0215【あ越いろ】-うハき也
  からあや能うへの者可満あこめハふきなる」(31オ)

  から能き越なしさ満尓とゝ能へ多りあ可し
0216【からのき】-綺也
  の御方能ハこと/\し可らて古う者い布多り
  くらふ多りあ越しの可きりにてあこめ古く
0217【あをし】-かさミをいふ
  うすくうちめなとえならてきせ多まへり
0218【うすく】-打てきら付也板引ハ略也
  御方尓もかく徒とひ多まふへくきゝ
0219【宮の御方】-女三
  てわらハへのす可多ハ可りハ古と尓徒くろ者せ
  多まへりあ越尓ゝやな起の可さミえひそめの
0220【あをに】-あをにハうハき也青丹ハ濃青ニ黄をさしたる也
  あこめなと古と尓こ能ましくめつらしき
  さ満尓ハあらねほ可多の希ハひのい可めし
  くけ多可きことさへいとならひなしひさしの」(31ウ)
0221【ひさしの中の御さうし】-しん殿ノ南庇西東執放

  さうしを者なちてこ那多可な多見
  ちやうハ可りを个ちめ尓て能まハ
  おハしますへきおましよそひ多り个婦の
  拍子あ者せ尓ハわらハへをめさむとて
0222【右のおほいとの】-ヒケ
  おほいと能ゝらう可むのミ能ハら能あ尓
0223【三らう】-右大弁
0224【かむのきみ】-玉
  佐うの布え左大将多らうよこ布え
  と婦可せてす能こ尓さふら者せ多まふ
  ハ志と年ともならへてとゝもまいり王
  多すひし多まふとともうるはしき古ん
0225【こんちのふくろ】-紺地錦袋
  ち能ふくろとも尓いれ多るとりいてゝあ可し能」(32オ)

  御方尓ハ琵琶むらさ起のうへ尓ハ和琴女御
0226【女御のきみ】-明ー
  のきみ尓佐う能尓ハかくこと/\しき
0227【宮】-女三
  (+御イ(朱))古とハま多えひき多満者すやとあやう
  くていのてならしへるをそ志らへて
0228【れいの】-女三
  多てまつりさう能古とハゆる婦となけ連
  とな越可くも能尓あ者するおり能志らへ尓つ
  けてことちの堂ちとみ多るゝ物也よく
  そ志らひとゝ能ふへき者え者りし
  つめしな越大将越こめしよせ徒へ可め連
  この布えふきともま多いとをさなけ尓て」(32ウ)

  拍子とゝ能へむ多能ミ徒よ可らすとわらひ
  て大将古那多尓とめせハ御方/\者つ可しく
  徒可ひしてお者すあ可し能越者なちて
0229【あかしの君越はなちて】-明ーハ入道其外ハ六条院伝之
  ハいつ連もみなすて可多き御弟子とも
  れハ御心く者へて大将のきゝ多満者む尓
  んな可るへくとおほす女御者つ年尓うへの
0230【女御】-明ー
  き古しめすにもも能尓あ者せつゝひき
  ならしつ連ハうしろや春起を古んこ
  いく者くならぬ志らへなれとあとさ多まり
  多るなくて/\の多とりぬへ个れ」(33オ)

  能ことの年ハみな可きあハするも能なる越
  み多るゝやとなまいとおしくおほす
0231【大将】-夕
  いとい多く遣さうしてまへのこと/\しく
  うるハしきこゝろミあらむよりも个ふの
  つ可ひハと尓まさりておほえへハあさ
  や可那る可う尓志ミ多るとも
  てい多く堂きしめてひき徒くろひて
  まいりほとくれ者て尓个りゆへある多そ
  可れのそら尓ハこ能ふる雪思いてら
  連てえ多も堂わむハ可りさ起み多れ」(33ウ)

  堂りゆるら可尓うち布くえなら春
  尓本ひ多るみ春能可ほりもふきあハせ
  てうくひ春佐そふ徒万にし徒へくいみしき
0232【うくひすさそふ】-(朱合点) 花の香越風のたよりにたくへてそうくひすさそふしるへにハやる(朱)(古今13・新撰和歌15・古今六帖30・385・4394・友則集2・寛平后宮歌合1、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋05)
  おとゝ能あ多り能尓本ひみすのしたより
  佐うの古と能すそ春こし佐しいてゝ可る/\
0233【すそ】-末也
  しきやうなれとこれ可をとゝ能へて志らへ
0234【をとゝのへ】-緒
  古ゝ尓うときのいるへきやうも
  な起をとの多まへハうち可しこまりて
  たま者りほとよういおほくめやすくて
  いちこちてう能こゑ尓者つ能をゝ堂てゝ」(34オ)
0235【いちこちてう】-一越調
0236【はつのを】-発絃

  婦とも志らへ屋らてさふらひへハな越可き
  あ者せひとつすさまし可らてこ
  と能多まへハ佐ら尓个ふのあそひのさし
  いらへ尓まし($羅ふ)つ可ひなんおほえ春
  遣ると个しき者ミ堂万ふ佐も(△&もあるこ
  なれと可く尓えことませて尓个尓个る
  とつ多ハらむそおし个れとてわらひ
  らへ者てゝお可しきほと尓可きあハせハ可り
  ひきまいらせ多まひつこのむまこの
0237【御むまこ】-孫
  多ち能いとうつくしきと能井す可多とも」(34ウ)
0238【とのゐすかたとも】-直衣事 童殿上共也

  尓て布起あ者せ多流(=ねイ)ともま多王可
  个れといさ起ありていみしくお可し遣那り
  とゝも能志らへともとゝのひ者てゝ可き
  あ者せへるほといつ連となきな可尓ひハゝ
0239【ひハゝすくれて上手めき】-明ー
  すくれて上手めきさひ多るてつ可ひすミ者
  てゝおもしろくきこ古ん尓大将もみゝとゝ
0240【和こん】-紫
0241【大将】-夕
  めへる尓なつ可しくあいきやう徒き多る
  つまをと尓可起可へし多流ねめつらしく
  いまめ起て佐ら尓こ能王さとある上手とも
  能とろ/\しく可起多て多る志らへて(△&て)うしに」(35オ)

  をとらすにきハゝしくやまと古と尓もかゝる
  あり个りときゝおとろ可るふ可きらう
0242【御らうのほと】-年臈久稽古
  能ほとあらハ尓き古えておもしろき
  おとゝ御心ち井ていとあり可多くおもひき
0243【おとゝ】-源
  古え佐う能とハも能ゝひ万/\尓もと
  なくもりいつるものゝね可らにてうつくし
  遣尓なまめ可しくのミきこきむハな越
  わ可起なれとならひさ可りなれハ多と/\し
  からすいとよく尓ひゝきあひていう尓な
  里尓ける古と能ね可な大将きゝ拍子」(35ウ)
0244【大将】-夕

  とりてさう可し給院/\あふきうちな
0245【さうか】-唱哥
0246【院】-源
  してく者へゑむ可しよりもいみしく
  おもしろくすこし婦つ(=くイ)ゝ可尓/\し起遣そ
  ひてきこ大将もこゑいとすくれ多まへる
  尓て志つ可尓なりゆくまゝ尓いふ可き
  里那くなつ可しきあそひなり
  もとな起ころなれハとうろ古那多可な多尓
  可遣てよ起ほと尓ともさせへり
0247【宮の】-女三
  御方のそきへ連ハよりけ尓ちいさく
0248【のそき給へれは】-夕
  うつくし遣尓て多ゝそ能ミあるち春に」(36オ)

  ほひや可那るハをくれて多ゝいとあてや可
  尓お可しく二月中十日許のあ越やき能
  王つ可に志多りハしめ多らむちしてうくひ春
0249【うくひすのはかせ】-(朱合点) 鴬の羽風ニなひく青柳のみたれて物をおもふ比哉 具平親王(出典未詳、河海抄・孟津抄・岷江入楚)
  の者可せ尓もみ多れぬへくあえ可尓
  くら能ほそな可尓くしハひ多りみきより
  ほ連可ゝりてやなきのいと能さ満志多り
  れこそハ可起りな起ありさ満な
  め連とゆる尓女御きミハなしやうな
0250【女御のきミ】-明ー
  まめ起す可多能いますこし尓本ひく
  ハゝ里ててなし遣はひ尓くゝよしある」(36ウ)

  さ満しよくさ起こほ連多る布ち能
  の尓かゝりて可多ハら尓なら婦なき
  あさほら遣のちそ志へるさるハいとふく
0251【ふくらかなる】-懐妊五ケ月
  ら可なるほと尓なりなやましくおほえ
  个れハともしや里てけうそく耳
0252【けうそこに】-脇休
  おし可ゝりへり佐ゝや可尓なよひ可ゝり
  へる尓遣うそくハ連いのほとなれハをよひ
  堂流ちしてこと佐ら尓ちいさく徒くらハ
  やとゆるそいとあハれ个尓おハしけるこう
  者いのそ尓くし能可ゝりハら/\ときよ」(37オ)

  ら尓てほか可けのす可多尓なくうつくし
  遣なる尓むらさ起のうへハえひそめ尓やあ
  らむ古きこうちきうすゝ王う能ほそ
  な可尓くし能堂万れるほとこち多くゆる
  羅可尓おほきさなとよきほと尓やう多
  いあら万ほしくあ多り尓ゝほひみち多る
  ちしてとい者ゝ佐くら尓多とへてもな越
0253【さくらにたとへても】-(朱合点) 桜よりまさる花なき春なれハあたら草木ハ物ならなくに(古今六帖4176・貫之集270、河海抄・孟津抄・岷江入楚)
  ものよりすくれ多る遣者ひ古とに
  かゝるあ多り尓あ可しハけをさるへきをいと
0254【けをさる】-気色也
  佐しもあらすもてなしなと个しき者ミ」(37ウ)

  者つ可しくこゆ可しきさ満して
  こ者可となくあて尓な万め可しくみゆ
  のをりも能ゝほそな可にもえき尓やあらむ
  こうちきゝてうすも能ゝもの者可な遣なる
  ひき可けてと佐らひ遣し多れと个者ひ
  ひなしも尓くゝあ那徒らハし可らす
  こま能あ越ち能尓しき能ハしさし多る志と
  ね満本尓も井てひ者越うちを起て多ゝ
  个しきひき可けて堂越や可尓つ可ひ
  なし多る者ち能もてなし越きくよりも」(38オ)

  あり可多くなつ可しくてまつ多ち
0255【さ月まつ花たちはな】-(朱合点)
  者那の者なもみもくしてをしおれる可本り
  おほゆこれも可れもうちとけぬ遣者ひとも
  をきゝ見給大将もいとゆ可しくおほえ
  堂いのうへ能みしおりよりもひまさり
0256【たいのうへ】-紫
  多まへらむありさ満ゆ可しき志つ
  なし越ハいますこし能すくせをよ者ま
  し可者わ可も能尓ても多てまつりてまし
  いとぬるきそくやしきやハ堂ひ/\
0257【院】-朱ー
  さやう尓おもむ遣て志りう尓も能多」(38ウ)
0258【しりう事】-後言

  ま者せける越と多くへとすこし
  やす起尓みえ多まふ遣者ひ尓あなつり
  きゆとハなけ連といとしもハうこ可さ(#)
  里个りこの御方越ハな尓とももひをよ
0259【この御方】-紫
  ふへき可多なく个と越くてとしころ春
  きぬ連ハい可て可多ゝおほ可多尓よせある
  さ満をもみえ多てまつらむとのくちおし
  くなけ可しき那り(+けり(朱))あな可ち尓あるましく
  おほ遣なちなとハ佐ら尓も能し
  者すいとよくもておさめへり布け」(39オ)

  ゆく遣ハひ飛やゝ可な布しまち能
0260【ふしまちの月はつかに】-源詞
  つ可尓佐しいて多るもとなしや能おほろ
  よゝあはれ者多可うやうなるも能ゝ
  ね尓むしのこよりあ者せ多る堂ゝなら
  春こよ那くひゝきそふちす可しとの多
  まへハ大将君秋のよ能く万なき尓ハ
0261【大将の君】-夕
  よろつのも能ゝとゝこほりなき尓とふえ
  の年もあきら可尓すめるちハ志連と
  な越こと佐ら尓徒くりあ者せ多るやうな
  そら能个しきつゆ尓(+も(朱))/\めうつろひ」(39ウ)

  ちりて可起りこ能そらの多と/\
  き可すミ能まよりほろなる可け尓
  
可尓布起あ者せ多るやう尓ハい可て
  布え能ねともえむ尓すミのほりハて春
  なむをあ者れふと布るきのいひ
0262【女ハ春をあはれふ】-女ハ依陽思春男ハ感陰思秋
  をきける个尓さなむ个るなつ可しく
  も能ゝとゝのほる能ゆふくれこそこと尓
  个れと申給へハいなこのさ多めよい丹しへ
0263【いなこのさためよ】-源詞
0264【いにしへより】-
(朱合点) 昔よりいひし置たることなれは我等ハいかゝ今ハさためん 躬恒(拾遺519、河海抄・休聞抄・孟津抄)
  よりの王き可年多ることをすゑの
  く多れるのえ(+あ)きらめ者はつましくこ」(40オ)

  も能ゝ志らへこく能ものともハしも遣尓里ち
0265【こく】-曲
0266【はしも】-詞ナリ
0267【りちをハつきのものに】-呂ヲサキ律ヲ次 律ハ陽正也呂ハ陰助也律ハ秋也
  をハつき能もの尓志多るハ佐もあり可しな
  の多万ひてい可尓多ゝい万いうそくおほえ
  多可起そ能可能人御前なと尓て堂ひ/\
  ミさせすくれ多るハ可すゝくなくな
  ためる越能この可ミともへる上手とも
  いくハくえま年ひとらぬ尓やあらむこの
  ほの可なる堂ち能御中ひきませ多
  らむ尓き者ゝなるへくこそおほえねとし
0268【はなる】-離
  古ろ可くむもれてすく春に見ゝなともすこし」(40ウ)

  ひ可/\しくなり尓多る尓やあらむくちおしう
  なむあやしくのさえ者可なくとりする
0269【とりする】-執
  ことゝもゝも能ゝ者えありてまさるとこ
  なるそ能御前あそひなと尓ひとき佐
0270【ひときさミに】-第一
  ミ尓えらハるゝ/\それ可連とい可尓そと
  のへハ大将それ越なむとりさむと
0271【大将】-夕
  りつれとあきら可ならぬのまゝ尓お
  すけてやハと思給ふるのほりて能きゝ
  あハせらねハ尓や衛門督和琴兵部
0272【衛門督】-柏
0273【兵部卿宮】-蛍
  卿宮ひ王なと越ここのころめつら可なる」(41オ)

  ためし尓ひきいてめれ遣尓か多ハらな
  きこよひう遣多まハるも能ゝねとも
  のミなひとしくみゝおとろきな越可く
  わさともあらぬ御あそひとかねて思給へ
  たゆミ个る佐者く尓やらむ佐う可な
  といと徒可うまつり尓くゝなむ和琴
  可能おとゝかくをり尓つ遣て古しらへ
0274【かのおとゝ】-致仕
  なひ可し多るね尓ま可せて可起多て
  へるハいとこと尓ものしさ/\き者
  者なれぬへめるをいと可し古くとゝ」(41ウ)

  のひてりつれとめてき古え堂万婦
  いとさこと/\しきゝ者尓ハあらぬ越わさと
  うるハしくもとりなさるゝ可なとて志多り可本
  尓ほゝゑミたまふ个尓希しうハあらぬ弟子
0275【けにけしうハあらぬ】-源
  もなり可し琵琶ハしも古ゝ尓くちいるへき
0276【琵琶ハ】-明
  ことましらぬをさいへと个者ひことな
  へしほえぬ尓てきゝ者しめ多りし尓
0277【おほえぬ所にて】-明ーニテ
  めつらし起も能ゝこゑ可那となむほえし
  可とそ能おりよりハこよ那くまさり尓多る
  をやとせめてわ連可しこ尓かこちなし」(42オ)

  へハ女房なとハ・すこし徒き志ろふよろつ
0278【よろつのこと】-源
  こみち/\尓つ遣てならひま年ハゝさえと
0279【さえ】-才
  いふいつれもきハなくおほえつわ可ち尓
  あくへき可起りなくらひとらむ
  いと可多け連とな尓可ハそ能たとり布可起
  のい万能さ/\なけ連ハ可多ハし越
  な多ら可尓ま年ひえ多らむさる可多か
  と尓越やりてもありぬへき越なむ
  王つらハしくふれ尓くきハあり遣る
  この古とハ満こと尓あと能まゝ尓多つ年とり」(42ウ)

  堂るむ可し能天地越なひ可し
0280【天地をなひかし】-楽書ニ琴ハ天地ヲ動鬼神感セシトアリ
  のをやわら遣よろつのも能ゝねのうち尓
  志多可ひて可那しひ布可起ものもよろこひ尓
  かハりいやしくまつしき堂可起
  あらたまりた可ら尓あつ可り尓ゆるさるゝ堂
  くひおほ可り个りこ能く尓ゝひきつ多ふ類
0281【このくにゝひきつたふる】-波羅門僧正琴始我国一渡允恭文武天皇琴引給ふとアリ
  者しめつ可多まて布可くこ能え多る
  ほく能としを志らぬく尓ゝすこし
0282【しらぬくにゝすこし】-うつほニ波斯国ニいたりて琴を習事アリ
  越なき尓なしてこのこと越ま年ひ
  とらむとまとひて堂尓志う流ハ可多くなむ」(43オ)

  あり遣るけ尓ハ多あきら可尓そら能本し
  をうこ可しらぬ志もゆ起をふらせくも
0283【時ならぬ】-としかけ御前にて曲をつかまつる時
  い可つち越さハ可し多るためしあ可り多る
  ハあり个り可く可きりな起尓てそ能まゝ
  ならひとるのあり可多くす衛なれハ
  いつこのそ能可ミの可多ハし尓可ハあらむ
  されとな越可のおみゝとゝめか多ふき
  そめ尓けるれハ尓やな万/\尓ま年ひて
  可な者ぬ多くひありける能ちこれをひく
  よ可らすと可いふなむを徒遣てうる佐き」(43ウ)
0284【なむ】-難
0285【つけて】-付

  まゝ尓いまハおさ/\徒多ふるなしと可
  いとくちおしき尓こそあれきんのね
  をハなれてな尓と越可ものをとゝのへ志
  流/\へとハせ遣尓よろつとろふる
  さ満ハやすくなりゆく尓ひとりいて
  者なれて越多てゝろこしこ満とこの
  尓まとひありきやこを者なれむこ
  ハ世中尓ひ可め流尓なりぬへしなと可
  なのめ尓てな越このみち越かよハし志る
  ハ可り能ハしをハし里を可佐らむ志らへひとつ尓」(44オ)

  をひき徒くさんこと多尓ハ可りもなき
  なゝりい者むやおほくの志らへ王つらハしき
  古くおほ可る越尓いりし佐可り尓ハ
0286【こく】-曲
  ありとあり古ゝ尓つ多ハり多る婦といふも能ゝ
0287【ふ】-譜 琴経琴操(サウ)琴法雑琴百余巻書云々
  かきり越あま年くあハせてのち/\ハ
  とすへきもなくてなむこのみならひ
  志可とあ可りての尓ハあ多るへくもあらし
  をやましてこ能ゝちといひてつ多者るへき
  すゑもな起いとあ者れ尓なむなとの多ま
  へハ大将遣尓いとくちおしく者つ可しとおほ春」(44ウ)
0288【大将】-夕

  この御子多ち能御中尓おもふやう尓いゝ
  ても能し多まハゝ能よ尓なむ楚も
  さ満てな可らへとまるやうあらハいく者く
  ならぬて能可きりもとゝめ多てまつるへき
  二(=、#)いまより遣しきありてみえ多ま
  ふをなとの多まへハあ可しのいとおも
0289【あかしの君】-明石上
  たゝしくくミてきゝ井多まへり女御
  のきミハ佐う能と越ハうへ尓ゆつりきこえ
  てより婦しひぬ連ハあつまをおとゝの
0290【あつま】-和琴
0291【おとゝ】-源
  まへ尓まいりて个ち可きあそひ尓」(45オ)

  なりぬ可つらきあそ者なや可耳
0292【かつらき】-(朱合点) 催馬楽名哥
  おもしろしとゝおり可へしう多ひ給御
  こゑ多とへん可多なくあいきやう徒きめ
  て多しやう/\佐しあ可るまゝ尓
  可も$も(朱))て者やされて个尓いと尓くき
  ほと佐う能古とハ女御つ万をとハいとら
0293【女御】-明中
  う多け尓なつ可しく者ゝ遣ハひくハゝ
  里て遊能ねふ可くいみしくすミてき古え
0294【ゆのね】-由
  つる越このてつ可ひハさ満可ハりてゆるゝ
  可尓おもしろくきく堂ゝなら須すゝろハ」(45ウ)

  しきまてあいきやうつきて里むの
0295【りむの手】-輪前御也又一本りち
  すへて佐ら尓いとかとある古と能ねなり可へり
  こゑ尓み那しらへ可ハりて里ち能可きあハせ
  ともなつ可しくいまめ起多る尓きんハこ可能
0296【きんハこかのしらへ】-五ケ調 掻手 片垂 小宇瓶(ウヘイ) 蒼海波 鴈鳴調(カンメイシラヘ) 一ハ胡笳
  志らへあま多能のな可尓とゝめて可な
  らすひき$へ(朱))き五六のハち(ち=らイ、#)をいとおもし
0297【五六のはち】-万秋楽ノ破ニ五ノ帖六ノ帖アリ 破等
  ろくす満してひき佐ら尓か多ほならす
  いとよくすみてきこ春秋よろつのも能尓
  かよへる志らへ尓てかよハしわ多しつゝひき
  給心志らひをしへき古えさ満堂可へ春」(46オ)

  いとよく王きまへ多まへるをいとうつくし具
  おも多ゝしくひき古えこ能きみ多ち
  能いとうつくし具ふき多てゝせち尓いれ
  る越らうた可りねふ多くなり尓
  らむ尓こよひのあそひハな可くハあらて
  者つ可なるほと尓日つる越とゝめ可多き
  も能ゝねともいつれともなき越きゝ王く
  ほとのみゝと可らぬ堂と/\しさ尓い多く布
  け尓个りなきわさなりやとて佐うの
0298【さうのふえふくきミ】-鬚三郎君
  布えふくきミ尓可ハら遣佐し楚」(46ウ)

  ぬきて可つけよこ布え能きみ尓ハ
0299【よこふえのきみ】-夕大郎君
0300【こなたより】-紫
  よりをりも能ゝほそな可尓ハ可満なとと(と=ちイ、#)/\
  し可らぬさ満尓个しきハ可り尓て大将
  尓ハの御方よりさ可佐しいてゝ
  佐うそくひとく多りかつ遣(△&つ遣)多てまつ
  おとゝあやしやも能ゝをこそまつハものめ
0301【あやしや】-源
  可しハめうれハしき事也と能多まふ尓
  のおハしますみちやうのそ者より
  布えを堂てまつるうちわらひとり
  いみしきこ満布えなりすこしふきならし」(47オ)

  へハみな堂ちいてほと尓大将多ちと
  まりこ能もちたまへる布えをとりて
  いみしくおもしろく婦き多てへる可いとめて
  多くきこゆ連ハいつれも/\みな御手
  者なれぬも能ゝつ多へ/\いとになく能ミある
  尓てそわ可さえ能あり可多くおほし志
  られ个る大将殿ハきみ多ち越くる満尓
  のせてのすめる尓ま可てみちす可ら
  佐う能ことの可ハりていみし可りつるねみゝ
0302【さうのこと】-紫上
  尓つきてひしくおほえ多まふ王可ハ」(47ウ)
0303【わか北の方】-雲井

  故大宮能をしへき古えし可と尓も志め
  ハさりしほと尓わ可れ多てまつり多まひ尓し
  かハゆるゝ可尓ひきとりた万ハてとこ
  のまへ尓てハ者ちて佐ら尓ひき多まハす
  な尓とも多ゝおひら可尓うち越ほとき
  多るさ満してことも能あつ可ひをいと満な
  く徒き/\しへハ可しきくおほゆ
  さす可尓者らあしくても能ね多ミうち志多る
  あいきやう徒きてうつくしきさ満尓そ
  も能しめるハ堂いへ王多りひぬうへハ」(48オ)
0304【うへハとまり給て】-紫女三方ニ

  と満り宮尓ももの可多りなときゆ古え
  堂万ひてあ可尓そわ多りへるひ多可う
0305【あか月にそわたり給へる】-紫我方へ
0306【ひたかう】-源
  なるまておほとのこもれりと能年
0307【宮の御ことのねは】-女三 紫詞
  ハいとうる佐くなり尓个りない可ゝきゝしと
0308【いとうるさくなりにけりな】-よき也 ねたましき也
  古えへハ者しめつ可多あな多尓てほの
0309【はしめつかた】-源
  ゝしハい可尓そやありしをいとこよ那く
  なり尓个りい可て可ハ可くなくをしへ
  き古え堂万ハむ尓ハといらへき古え多万ふ
  さ$か(朱))して越と流/\おほつ可な可らぬもの
  なり可しこれ可連尓もうる佐くわつらハし」(48ウ)

  くていとまいるわさなれハおしへ多てまつら
  ぬ越尓も尓もハ佐りともならハし
  きこゆらむとの多まふときく可いとおしく
  さりともさハ可り能こと越多尓可くとり王き
  て御うしろみ尓とあつけ多まへる志るし尓
  ハとひおこしてなむなとき古え
  いて尓もむ可しよつ可ぬ本と越あつ可ひひし
  さ満そ能尓ハいとまもありか多くて
  と可にとりわきをしへきこゆるなとも
  なくち可き尓もな尓となつき/\ま起」(49オ)

  連つすくしてきゝあつ可者ぬと能ね
  いて者へ志多りしもめむほくありて大将
  のい多くか多ふきおとろき多りし个しき
  も婦やう尓うれしくこそありし可那と
  き古え可やう能春ちもいまハおとな/\
  多ち能あつ可ひなとゝ里もちて
  さ満もい多らぬ那くすへてな尓
  と尓つけてもと可しく堂と/\しきこ
  ましら春あり可多起ありさ満な
  連ハいと可くくしぬるよ尓ひさし可らぬ」(49ウ)

  ためしもあなるをとゆゝしきまてひき
  古えさ満/\なるのありさ満をあつ
  め多まふまゝにとりあつめ堂らひ多るこ
  盤万こと尓多くひあらしと能ミ日き
  古えへり古としハ三十七尓そなり
0310【三十七にそなり給】-紫上
  多てまつ年月となともあ者
  れ尓おほしいて多るついて尓さるへきいの
  里なとつ年よりもとり王きてことしハ徒ゝ
  志ミ多万へも能さハ可しくのミありてもひ
  い多らぬあらむをほしめくらして」(50オ)

  おほきなる古とゝ裳志ハゝをのつ可らせ
  させてこそうつのものし者すなり
  尓多流こいとくちおし个れおほ可多丹て
  うち堂能まむにもいとかしこ可りし
  なとの多まひいつみつ可らハをさ那くより
  尓古と那るさ満尓て古と/\しくおい$い(朱))てゝ
  いまののおほえありさ満きし可多尓
  くひすくなくなむありけるされとよ尓
  すくれて・可なしきめ越みる可多も尓ハ
  まさり遣里可しまつ尓佐万/\」(50ウ)

  をくれのこりとまれるよ者ひのすゑ尓も
  あ可すかなしとふことおほくあちき那く
  さるまし起古と尓つけてあやしくも能
  おもハしく尓あ可すおほゆるこひ多る
  丹てす起ぬ連者それ尓かへてやおもひし
  ほとよりハいまゝてもな可ら婦るならむと
  なん日志らるゝ御身尓ハかのひとふし
  の王可れよりあな多こ物思日とて
  多り給許のことあらしとなんもふき佐き
  といひましてそれよりつき/\ハやむことな」(51オ)

  といへとみな可那らすや春可らぬおもひ
  楚ふ王さ堂可起ましらひ尓つけて
  み多れ尓あらそふ日能堂えぬもや春
  遣な起をやのまとのな可らすくした
  まへるやうなや春きとハなしその
  方人尓すくれ多り个るすくせとハおほし
  志るや日能ほ可尓こ能可く王多りも
  能しへるこそハ万くるし可るへ个れと
  それ尓つけていとゝく者ふるさしの本とを
  御身可ら能うへなれハほし志らすやあ」(51ウ)

  らむも能ゝ婦可く志りめれハさりと
  もとなむふとき古え多まへハの多まふ
  やう尓者可那き尓ハす起尓多るよそ
  能おほえハあらめと尓多えぬも能なけ可し
  さのみうちそふやさハみつ可ら能いのりなり
  るとての古りおほ遣なる遣ハひ者つ可し
  なりまめや可尓ハいとゆくさ起すくな
0311【まめやかにハ】-紫詞
  ちする越古と志も可く志ら春可ほ尓て
  すく須いとうしろめ多くこさ起/\も
  きこゆるい可てゆるしあらハときこえ」(52オ)
0312【きこゆる事】-紫出家事

  給それハしもあるましき尓なんさて
0313【それハしも】-源詞
  可遣者な日なむ尓のこりてハな尓
  の可ひ可あらむ多ゝかくな尓となくてすくる
  年月なれとあけくれのへ多てな起
  れしさの見こますこと那くおほゆ連
  ふさ満ことなほと越・見者て
  へと能ミき古えいの古とゝやまし
  くてなみ多くミたまへる遣しき越いとあ
  者れ尓多てまつりよろつ尓き
  古えま起らハしほくハあらねの」(52ウ)

  ありさ満能とり/\尓くちおしくハあらぬ越
  志りゆくまゝ尓ま万古と能古ゝろハせおひら
  可尓おち井多流こいと可多きわさなり
  个れとなむひハて尓多流大将の者ゝ
  をさ那可りしほと尓そめてやむことな
  くえさらぬすち尓ハひしをつ年尓な可
  よ可らすへ多てあるちしてやミにしこ
  い万へハいとおしくゝやしくもあれわ可あ
  やまちにのミもあらさり个りな悲と
  つ尓なむ日いつうるハしくをもり可尓て」(53オ)

  楚能こと能あ可ぬ可なとおほゆるもな可り
  き堂ゝいとあ万里み多れ多るなく
  く/\しくすこしさ可しとやいふ遍可り个む
0314【さかし】-賢
  とふ尓ハ堂のもしくみる尓ハわつらハし
  かりしさ満尓なん中宮者ゝミや
0315【御はゝミやす所】-六ー
  すなんさ満古と尓ふ可くな万め可し
  きためし尓ハまつひいてら流連と
  みえにくゝ具流し可里しさ満尓なんありし
  うらむへき布しそ遣尓ことハりとおほゆる
  布しをや可てな可くおもひつめて布可くゑん」(53ウ)

  せられしこいとく流し可里し可ゆるひなく
  者つ可しくてうち多ゆミあさゆふ
  むつひ越可者さむ尓ハいと徒ゝましき
  ありし可ハうちとけてとさるゝ
  やなあまり徒くろひし本と尓や可て遍多
  りしそ可しいとあるまし起
  ちてのあ者/\しくなりぬるなけ
  き越いみしく日しめへりし可いとおし
  くけ尓可らをおもひしもミある
  ちしてや見にしなくさめ尓中宮越」(54オ)
0316【中宮を】-秋ー

  かくさるへき御契とハいひな可らとり多てゝ
  のそし里のうらみ越も志ら春
  せ多てまつる越可能な可らも(越&お)さ
  れぬらむむ可しもな越さりな
  のすさひ尓いとおしくゝやし起
  ほくなんときしうへすこしつゝ
  の多まひいてゝ御方うしろミ
0317【内の御方】-明中
  ハな尓の本となら春とあ那つりそめて
  やす起もの尓おもひしを猶心の楚こ
  えすきハなく布可起ある尓」(54ウ)

  う者へハ尓なひきひら可尓みえ
  可らうちとけぬ个しき志多尓古もりて
  そこ者可となく者つ可しきそあ連と
  の多まへハこと盤み年ハ志らぬをこれハ
  まほならねをのつ可ら个しきみるおり/\
  もあ流尓いとうちとけ尓くゝ者つ可しき
  ありさ満しる起をいと堂としへな起うら
  なさ越い可尓見給らんとゝまし个れと
  女御ハをのつ可らおほしゆるすらんと能ミ
  ひてなむとの多まふさハ可りめさ満しと」(55オ)

  を起へりしい万ハ可くゆるして
  みえ可ハしなと志女御堂め能ま
  なるあまりそ可しとおほ春尓いとあり
  可多け連ハそハさす可尓く満な起尓ハ
0318【君こそハ】-紫
  あらぬもの可ら尓より((朱))志多可ひいとよく
  布多すち尓つ可ひハ志个れ佐ら尓古ゝ
  らみ連とありさ満尓ゝたるハな可
  里个りいと个しきそも能しへと本ゝ
  ゑミてき古え尓いとよくひきとり
0319【宮に】-女三
  へりしこと能よろこひき古えむとてゆふ」(55ウ)

  つ可多わ多りわ連尓をくやあらむ
  ともほし多ゝすいとい多くわ可ひて悲とへ尓
  と尓いれてハ春い万ハいと満ゆるして
  うちや春ませへ可しゆ可せ
  てこいとく流し可り徒るろ能志るしあ
  里てうしろやすくなり尓个りとて
  古とゝもしやりてほと能こもりぬ
  い尓ハ連いのハしまさぬよ井ゐ志多
  まひてひと/\尓可多りなとよ満せ
  き可く能堂とひ尓いひあつめ多る」(56オ)

  む可し可多りとも尓もあ多なるこのミ
  ふ多あるかゝ徒らひ多る可やうな
  越いひあつめ多る尓も徒井尓よる可多あ
0320【つゐに】- 古今 大ぬさと名にこそたてれなかれてハつゐによるせハありてふ物を(左)(古今707・業平集36、河海抄・紹巴抄・岷江入楚)
0321【よるかた】-
 よるかたもありといふなるありそ海に立しら波のおなしところに(朱)(右)(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋06)
  里てそあめ連あやしくうきてもすくし
  つるありさ満可那遣尓の多まひつるやう
  尓より古となるすくせもありける
  可らの志のひ可多くあ可ぬ尓する
  の日者なれぬ尓てや屋ミなむと
  すらんあちきなくもある可那なと日つゝ
  个てふけてほと能古もりぬるあ可」(56ウ)

  可多よりむ年をなやミ々み多て
0322【御むねをなやミ給】-紫
  まつりあつ可ひてせうそこき古えさ勢
  むときこゆる越いとひんないことゝせいし
  多へ可多起をおさへてあ可したまふつ
  御身ぬるみて御心ちもいとあし个れと
  もとみ尓王多り多まハぬ可くなむと
0323【院も】-源ー
  も古えす女御可多よりせうそこ
0324【女御の御かた】-明ー
  ある尓かくなやましくてなむとき古え
  える尓とろきて那多よりきこえ
  多まへる尓む年つふれていそきわ多り」(57オ)

  へる尓いとく流し遣尓ておハ春い可な
  ちそとてさくり多てまつへハいと
  あつくお者すれハのふ起こえ
  徒ゝ志ミ能春ちなとほしあ者せ
  いとおそろしくおほさる可ゆなと古な
0325【御かゆなと】-是ハ源ヲ云
  尓まいらせ多れと御覧しもいれ春ひゝとひ
  そひおハしてよろつ多てまつりなけ
  き者可なく多越多尓いとうく
  志きあ可り給事多えてろへぬ
  い可ならむとおほしさハきていのりとも」(57ウ)

  可す志ら須ハしめさせうめして可ち
  なとせさ勢そこ所とも那くいみしく
  流しく志む年ハ々おこりつ王つらひ
  さ満多へ可多く具流し遣那り満/\の
  ゝ志ミ可起りなけ連と志るしもみえ
  春をもしとみ連とをのつ可らをこ堂る
  遣ちめあらハ堂能もしき越いみしく
  ほそく可なしと多てまつり
  おほされね御賀ひゝき志つまりぬ
  可能よりも可く王つらひよしき古し」(58オ)
0326【かの院】-朱ー

  めしてとふらひいとねんころ尓堂ひ/\
  き古えなしさ満尓て二月もすきぬ
  いふ可起りなくおほしなけきて見耳
  越可へ者むとて二条院尓わ多し多てま
  徒りひつうちゆ春りみちて
  けくほ可り冷泉院もき古しめし
  けくこのうせ多万ハゝ可ならす
  越そむくほいと遣多まひてむと大将
  とも越徒くして多てまつりあつ
  可ひミす本うなとハおほ可多能をハ佐類」(58ウ)

  尓てとりわきてつ可うまつらせいさゝ可
  おほしわくひ万尓ハ古ゆる越佐も
  うくとのミうらみきこえへと可きりありて
  わ可れ者て者むよりもめ能まへ尓わ可
  とや徒しすてハむありさ満をみて
0327【やつして】-尼成事
  佐ら尓可多多ふましく能ミおしく可那し
0328【たふましく】-堪忍
  可るへ个れハむ可しよりみつ可らそかゝ流ほい
  布可起をとまりて佐う/\しくおほされん
  く流しさ尓ひ可れつゝすく春越さ可さ満尓
  うちすて堂万ハむとやほ春と能ミしミ」(59オ)

  き古え个尓いとたのミ可多け尓よハり
  徒ゝ可きり能さ満尓みえり/\($)おほ可る
  をい可さ満尓せむとおほしまとひ徒ゝ
0329【宮の御方】-女三
  御方尓もあ可らさ満尓王多り堂万ハ春
  古とゝもすさましくてみなひきこめら
  れうち能々ハみ那ある可起り二条
0330【院のうち】-源
  尓つとひまいりてこの尓ハを遣ち
  多るやう尓て多ゝとちおハしてひとりの
  希ハひなり个りとみゆ女御きミ裳
  わ多りもろとも多てまつりあつ」(59ウ)

  可ひ多まふ堂ゝにもおハしまさて
  希なといとおそろしき者やくまいり
  堂万ひ年とくるしき御心地尓もき古え
  王可いとうつくしうておハします越
0331【わか宮】-東宮
  み多てまつりてもいみしくな起
  となひ堂万者むをえみ多てまつらす
  なりなむこわすれなん可しとのへハ
  女御せ起あへ春可那しとおほし多りゆゝし
0333【ゆゝしくかく】-源詞
  く可く那おほしそさりとも遣しうハもの
  し+ハ(朱))し尓よりなんハとも可くもある」(60オ)

  をきてひろきうつ尓ハさい者ひも
  れ尓志多可ひせ者起あるさるへき
  尓て堂可起みとなりてゆ多可尓ゆるへ
  流か多ハをくれきうなるひさしく
  つ年ならすぬるくな多ら可なな可
  きためしなむおほ可りけるな仏神尓も
  この御心者せのあり可多く徒ミ可ろき
  さ満をあきらめさせ多まふみす
  のあさり多ちよ井なと尓てもち可くさふ
  羅ふ可きりのやむことなきそうなともいと」(60ウ)

  可くおほしまとへる遣ハひをきく尓いといみ
  しくくるしけ連ハ越お古していのり
  きすこしよろしき佐ま尓みえ給時
  五六日うちませつゝをもり王つらひ
  こいつとなくて月日をへい可尓お
  すへき尓可よ可流ましき御心ち尓やと
  おほしなけく御物の遣なといひていて
  く流もなしやミ多まふさ満楚こハ可と
  みえす堂ゝひにそへてよハり佐万尓
  のミゝゆ連ハいとも/\可なしくいみしく」(61オ)

  おほ春尓御心のいとまもなけなまこ
  や衛門督中納言尓なり尓き可しいま
0334【衛門督】-柏
  御世尓ハいとし多しくおほされていと
  人也のおほえまさる尓つけて
  こと能可な者ぬうれハしさ越日王ひてこの
0335【この宮】-女三
  あ年能二宮をなむ盈多てまつり
0336【御あねの二宮】-落ー
  て个るらう能可うい者ら尓おハしまし
  遣れハやす起可多まし里てひき
  こえへり可らもなへて尓おもひ
  なすら婦連ハ个者ひこよ那くお者すれと」(61ウ)

  もとより志ミにし可多こな越ふ可ゝりけ
  連なくさめ可多起をハすて尓てめ尓
0337【なくさめかたきをハすて】-大和 我心なくさめかねつさらしなや(古今878・新撰和歌257・古今六帖320・大和物語261、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋07) 模落ー為東宮ヲハ也
  と可めらるましきハ可り尓もてなしき
  へりな越可能志多の王すられ春
0338【わすられす】-女三
  侍従といふ可多らひ御侍従
  め能とのむすめなり个り能めのと能あ年
  そ可能かん(+の(朱))めのとなり个れハ者やく
0339【かんの君】-柏
  より个ち可くきゝ多てまつりてま多
  をさなくおハしましゝよりいときよら
0340【をさなくおハしましゝ時より】-女三事
  尓なむおはし(はし&はし)ますみ可と能可しつ多て」(62オ)
0341【みかと】-朱ー

  まつりたまふさ満なきゝを起多てまつ
  里てかゝ流おもひもつきそめ多流(△&流)なり
  个り可くてもハなれおハしますほと(△&ほと)
0342【院も】-源
  めすく那く志めや可ならむをしハ可りて
  こ志ゝうをむ可へとりついみしうか多ら婦
  む可しより可くいのちも堂ふましく
  こと越可ゝ流志多しきよす可ありてあり
  さ満をきゝつ多へ堂えぬほと越も
  こしめさせて多能もしき佐ら尓その
  志るし能なけ連ハいみしくなんつら起の」(62ウ)
0343【院のうへ】-朱ー

  うへ多尓可くあま多尓可遣/\しくて
  おされやうにて悲とりおほと能古も
0344【ひとりおほとのこもる】-女三
  よ那/\おほくつ連/\尓てすくし
  なと楚うしけるついて尓もすこし
0345【すこしくいおほしたる】-朱ー心
  くいおほし多流个しき尓てなしくハ
  多ゝや春起うしろミ越佐多めむ尓
  ハまめや可尓徒可うまつるへき越こ
  佐多むへ可り个れとの多まハせて女二
0346【女二の宮】-落ー
  /\うしろや春くゆく春衛な可き
  さ満尓てものし能多万ハせ」(63オ)

  ける越つ多へきゝし尓いとおしくもくち
  おしくもい可ゝみ多るゝ个尓
  ちとハ堂つ年き古えし可とれ者それと
  こそおほゆるわさなり个れとうちうめき
  へハこ志ゝういてあ那おほ遣なそれ越
  それと佐しを起堂てまつりい可
  やう尓可起りなき御心ならむといへハ
  うちほゝゑミてさこそハあり个れ尓可多し
0347【宮】-女三
  遣なく古えさせをよひ个る佐万ハ尓も
  尓もき古しめし个りなとて可ハ佐て」(63ウ)

  佐ふらハさらましとなむと能徒いて尓ハ
  の多まはせ遣るいてや多ゝい万すこしの
  い多者りあらまし可ハなといへハいとか
  多起御事也すくせと可いふこ
  をと尓てかの(+に)いてゝんころ尓
0348【もと】-本
  き古えふ尓堂ちならひさ満多けき
  古えさせへき御身能おほえとやおほされ
  しこのろこそすこし/\しくそ能
  ふ可くなりへ連といへハいふ可ひなく
  者やり可なるくちこハさ尓えいひ者て者」(64オ)

  てい満ハよしす起尓し可多越ハきこえしや
  多ゝ可くあり可多きも能ゝひま尓个ち可
  きほと尓てこの(朱&墨)(朱&墨))能うち尓ふこと能者
  しすこしき古えさせ徒へくた者可り
  ほ遣な起盤すへてよし見給いと
  そろし个れハ日者なれてりとの多
  まへハこれよりおほ遣な起い可ゝハあら
  むいとむくつ希起越もほしよりける
  可那な尓し尓まいりつらむと者ちふく
  いてあなゝにくあまりこち多くもの越」(64ウ)

  古楚いひなしへ个れハいとさ多めな
  きの越女御きさ起もあるやうありて
  も能し多まふ多くひなくや者ましてそ能
  ありさ満よもへハいと堂くひなくめて
  多け連とうち/\ハやましきとも
  おほ可るらむあま多の御中
  ならひな起やう尓ならハしき古えひし
  尓佐しもひとし可らぬきハの御方/\尓
  堂ちまし里めさまし遣なる古とも
  ありぬへくこいとよくきゝりや世中」(65オ)

  ハいとつ年な起ひときハ尓日さ
  ためてハし多なく徒きゝりなる
0349【つきゝり】-フツキリ
  の多まひそよとの多まへハとされ
0350【人におとされ】-小侍従詞
  へるありさ満とてめて多き
  あらためへき尓やハらむこれハのつ
  ねありさ満尓も$ら(朱))さめり多ゝ
  しろなくて多ゝよハしくハしまさむ
  よりハやさ満尓とゆつりき古え
  可ハ可多ミに佐こ日可ハしき古えさせ
  堂めれあいな起おとしめこと尓なむと」(65ウ)

  者て/\ハ者ら多つよろつ尓いひこし
  らへてまことハさハ可りよ尓な起ありさ
  ま越み多てまつりなれへる御心可す
  にもあらすあやしきなれ春可多越うち
  とけて御覧せられんとハ佐ら尓
  可けぬ多ゝひとこの古し尓て
  き古え志らすな尓者可り能御身
  屋つれ尓可ハあらむ仏神尓も事申(+春)ハ
  徒ミあるわさ可ハといみしきち可こと越志つゝ
  の多まへハ志ハしこそいとあるまし起こと尓」(66オ)

  いひ可へし个れふ可ゝら(△&ら)ぬ王可の可く
  尓可へていミしく日の多まふをえい
  なひハてゝし佐りぬへきひまあらハ
  堂者可りらむのお者しまさぬ
0351【院】-源
  見めくり尓ほく佐ふら婦て
  まし能本とり尓さるへき可ならす佐ふら
  ひへハい可なるおり越可者ひ万をつ遣
  へ流遍可らむとわひつゝまいりぬい可尓/\
  とひゝ尓せめられこうしてさるへきおりう
  可ゝひつけて・せうそこしお古せ多りよろ」(66ウ)

  こひな可らいみしくやつれしのひてハし
  ぬまことにわ可こゝろ尓もいと个し可らぬこ
  なれハ个ち可くな可/\おもひみ多るゝことも
  まさるへきとまてハ日もよらす多ゝ
  いとほの可尓そ能つ万ハ可り越み多てま
  つりしのゆふへのあ可すとゝも
  日いてられ給御ありさ満をすこし个ち
  可くて多てまつりもふこと越もき古え
  志らせてひとく多り能可へりなともや
  せ多まふあ者れとやほし志るとそ日」(67オ)

  ける四月十よ日ハ可り能事也みそあす
  とて斎院尓多てまつり女房十二人と尓
  らう尓ハあらぬ王可き王らへなとをの可
  志ゝも能ぬひ希さうなとし徒ゝも能ミむと
  日まうく流もとり/\尓いと満なけ
  尓て御前の可多志めや可尓て志け可らぬ
  おりなり个りち可く佐ふら婦あせちの
0352【あせちのきみ】-女三女房
  きみも時々可よふ源中将せめてよひい多
  させ个れハり多るま尓多ゝこの志ゝう
  ハ可りち可くハさふら婦なり个りよ起おりと」(67ウ)

  もひてやをら見ひん可しおもての
  まし能ハし尓す衛つさまてもあるへき
  となりやハ盤な尓もなくほとの
0353【宮】-女三
  りに个る越ち可くおとこの遣ハひの
  れハのお者するとおほし多る尓うち可し
  こまり多る个しきみせて遊可能志も
  い多きおろし多てまつるにも能尓をそ者るゝ
  可とせめてあけへ連ハあらぬなり
  个りあやしくきゝも志らぬことゝも越楚
  きこゆるやあさ満しくむくつ遣くなりて」(68オ)

  めせとち可くもさふら者年ハきゝつけて
  まいるもなしわなゝきさ満やう尓
  あせもな可れても能もほえ者ぬ个し
  きいとあ者れ尓羅う多け可すならね
  といと可うしもほしめさるへきとハ
  思給へられ春なむ無可しよりおほ遣な
  きしをひ多ふる尓こめてやミ
  なまし可ハうち尓く多してすきぬへ
  可り个る越/\もらしき古えさせて
0354【院】-朱ー
  尓もき古しめされ尓しをこよ那くもて」(68ウ)

  者なれても能多万者せさりける尓多のミ
  を个遣そめの可すならぬひとき
  尓より布可起さしをむなしくなし
  ぬる古とゝうこ可し尓しよろ
  ついまハ可ひな起古とゝ思給へ可へせとい可
  ハ可り志ミ尓个る尓可とし尓そへて
  くちおしくも徒らくもむくつ遣くもあハ
  れ尓も/\尓ふ可く思給へまさる尓せき
  可年て可くおほ遣な起さ満越らむせ
  られぬるも可つハいとひやりなく者つ」(69オ)

  可し个れハミをも起佐ら尓るまし
  といひもてゆく尓こ能り个りとお
  春尓いとめさ満しくおそろしくて徒ゆいら
  へも者すいとことハりなれと尓ためし
  な起古と尓もらぬ越めつら可尓なさ
  遣な御心者へならハいとうくて/\
  ひ多ふるつきあ者れと多尓
  の多ま者せハそれをうけ多まハりてま可
  てなむとよろつ尓き古えよそ能
  やりハいつくし具れてえ多てまつらむ」(69ウ)

  者つ可しくし者可られ多ゝ可
  おもひつめ多る可多ハしき古え志らせて
  可/\可遣/\し起ハなくてやミなんと
  おもひし可といとさハ可り遣多可う者つ可し
  个尓ハあらて可しく羅う多け尓やハ/\
  と能ミゝえ多満ふ遣者ひのあて尓いミ
  しくおほゆること楚尓にさせハさり个る
  さ可しくひしつむるもうせていつち
  も/\井て可$く(朱))し多てまつりてわ可
0355【ゐて】-将
  よ尓婦るさ満ならすあと多えてやミな」(70オ)

  者やとまてみ多れぬ多ゝいさゝ可まとろ
  むともな起ゆめ尓このならしゝねこ
  のいとらう多け尓うちなきてき多る越
  こ能尓多てまつらむとてわ可井てき多
  流とおほしき越な尓し尓多てまつりつ
  らむとふほと尓とろきてい可尓みえ
  るならむとハいとあさましくう
0356【宮】-女三
  ゝともほえ者ぬ尓む年布多可りて
  おほしをほ本るゝを可くの可れぬすくせの
  あさ可らさり个るともほしなせみつ可ら」(70ウ)

  の可らもうつし尓ハあらすなむお
  ほえ可能おほえな可りしみす能つ万を
  ねこのつなひき多りしゆふへの古とも
  古えいて多り个尓さハ多あり个むよと
  ちおしく契心うきミなり个り
  もいまハい可て可ハえ多てまつらむと可なしく
  ほそくていとをさ那个尓なき多まふを
  いとか多しけなくあ者れとみ多てまつりて
  御涙をさへのこふそてハいとゝ徒ゆ希
  さ能ミまさるあけゆく个しきなる耳」(71オ)

  いてむ可多なく中/\い可ゝハ志へきいみしく
  にくませへハ古えさせむあり
  か多起を多ゝひとこゑをき可せ
  とよろつ尓き古えなやますもうる佐く
  わひしくて佐ら尓い者れ多満者年ハ
  もて/\ハむくつ遣くこそなりぬ連ま多
  可ゝるやうハあらしといとうしとおもひき
  古えてさらハ婦ようなめり越い多つら尓
0357【ふよう】-不用
  やハなし者てぬいとすて可多起尓よりて
  こ可くまてもこよひ尓可起り」(71ウ)

  なむもいみしくな徒ゆ尓ても御心ゆるし
  堂万婦さ満なとハそれ尓可へ徒る尓ても
  てなましとて可起い多きていつる耳
  者てハい可尓しつるそとあきれてほさる
  すミ能万の屏風をひきひろ希てと越ゝし
  あけ多れハわ多と能ゝみなミ能とのよへいりし
  可ま多あ起な可らある尓ま多あけくれ
  ほとなるへし本の可尓多てまつらむ
  あれハかうしをやを$羅(朱))ひきあけて可う
  いとつらき御心うつしうせ春」(72オ)

  古しおもひのとめよとおほされハあ者れと
  多尓の多ま者せよとをとしきゆる
  をいとめつら可とおほしても能もい者む
  とおほせとわなゝ可れていと王可/\し起
  さ満多ゝあけ尓あけゆく尓いと
  者多ゝしくてあ者れなるゆめ可多りも
  古えさすへき越可くにくませへハこさり
  ともいまおほしあ者するりなむ
  とてのと可ならす堂ちいつあけくれ
  のそらよりもつくし」(72ウ)

    おきてゆく志られぬあけくれ尓いつ
0358【おきてゆく】-衛門督
0359【いつくの露】-そこらとみるへし
  く能可ゝ流りとひきいてゝうれへ
  きこゆれハいてなむとする尓すこしなくさ
  め
    あけくれの尓う起ミハきえなゝん
0360【あけくれの】-女三宮
  个りともやむへくと者可那遣尓の多万婦
  こゑの王可くお可し遣なる越きゝさすやう
  尓ていてぬる多ましひハ満こと尓越者な
0361【たましひハ】-(朱合点) 古今 あかさりし袖のなかにや入にけん我玉しいのなき心ちする(古今992、河海抄・一葉抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  てと満りぬるちす女宮もと尓もま
0362【女宮】-落
  うてた万者て大殿へそ志のひておハしぬる」(73オ)
0363【大殿】-致仕

  うち布し多れとめもあ者すミつるゆめ能
  佐多可尓あ者むことも可多きをさへふ尓
  可能ねこのありしさ満いとこひしくおもひ
  いてら流さてもいみしきあやまち志つ
  可那尓あらむ古とこそ満者ゆくなりぬ
  連とそろしくそら者つ可しきちして
  ありきなとも者す堂め
  盤佐ら尓もい者すわ可ち尓もいとある
  ましきとゝいふ尓もむくつ遣くおほゆ
  連ハもひのまゝにもえま起連あり可す」(73ウ)

  み可と能め越もとりあや万ちてと能き古え
  あらむ尓か者可りおほえむことゆへハのい多
  つら尓ならむくるしくもほゆまし志可
  いちし流き徒ミ尓ハあ多らすともこの
0364【この院】-源
  にめ越そハめられ多てまつらむ
  いとおそろしく者つ可しくおほゆ可起りな
  きときこゆれとすこしよつき多る
  えまし里う&#(朱))へハゆへありこめ可しき尓
  志多可ハぬ志多能ひ多ることあるこ
  かゝること尓うちなひき可ハし多くひ」(74オ)

  もあり个れこれハ布可き者せ年と
  ひ多おもむき尓も能おちしへる御心
  多ゝいましもきゝつ遣多らむやう
  尓満者ゆく者つ可しくおほさる連ハあ可き
0365【あかき】-明
  尓多尓え井さりいて多満者すいと
  くちおしきり个りとみつ可らお本し
  志るへしなやましけ尓なむとありけ連ハ
0366【なやましけに】-女三
  おとゝきいみしく御心を徒くし
  御事尓うちそへてい可尓とおとろ可せ
  わ多りへりこ者可とくるしけなる」(74ウ)

  古ともみえ者すいとい多く者ちらひし
  めりてさや可尓もみあ者せ多て万つり
  ぬをいとひさしくなりぬる多えま越うらめ
  しくおほ春にやといとおしくて可能御心
0367【かの御心ち】-紫
  ち能佐万なとき古えいまはのとち
  め尓もこそあ連い万佐ら尓をろ可なるさ
  ま越えを可れしとてなんい者けな可りし
  ほとよりあつ可ひそめてみ者なち可多け
  連ハ可うろよろつを志らぬさ満尓
  すくし尓こをのつ可らこのほとす起」(75オ)

  者ミな越しむなとき古え可く希
  し起も志りハぬもいとおしくくるしく
  おほされて志れ春なみ多くまし
  くおほさる可むのきミハまして/\な
0368【かむのきミ】-柏
  心ち能ミまさりてふしあ可しくらし
  わひ多まふまつりのひなとハ物見尓あら
  そひゆくきむ多ち可き徒連きていひそゝ
  の可せとなやましけ尓もてなして可め
  布したま(#)へり女宮をハ可しこまりを起
0369【女宮】-落
  多るさ満尓もてなしき古えてさ/\うち」(75ウ)

  とけてもみえ多てまつり者すわ可
  なれ井ていとつ連/\尓ほそくな可め
  ゐ多まへる尓わら者へのも多流あふひを
  多まひて
    くやしくそ徒ミを可しけるあふひ草神
0370【くやしくそ】-衛門督
  ゆるせる可さしならぬ尓とおもふもいと/\
  なり世中志つ可ならぬくる万能をとなと越
  よ楚の尓きゝてやりならぬつれ/\尓
  くらし可多くおほゆ女宮可ゝる个しき能
0371【女宮】-落
  すさましけさもみしられへハな尓とゝ」(76オ)

  ハし志り者年と者つ可しくめさ満しき
  尓能おもハしくそおほされ个る女房
  とも物見尓みないてゝすくなのと
  や可なれハうちな可めてさう能古となつ
  可しくひき満さくりて者する遣者ひも
0372【ひきまさくりて】-落ー
  さす可尓あて尓な万め可し个れと
  くハいまひときハをよ者さりけるすくせよ
  とほゆ
    もろ可つらお越な尓ゝひろひ个む
0373【もろかつら】-衛門督
  ハむつまし起かさしなれともと可起春」(76ウ)

  さひゐ多流いとなめけな志りうなり
0374【なめけなる】-無礼也
  可しとゝ能ハまれ/\王多りえふと
0375【おとゝの君】-源
  も堂ち可へり者す志つなくおほ
  佐るゝ尓多えいりひぬとてまいり多
  れ者佐ら尓な尓古ともほし王可れ春御心
  もくれて王多りみち能もとな
  きけ尓可能ハほとりのおほちまて
0376【かの院】-二条ー
0377【おほち】-大路
  多ちさハ起多りと能ゝうちなきのゝ
  志る遣ハひいとま可/\しわれ尓もあらて
  いりへ連者ろハいさゝ可ひ万みえ」(77オ)

  堂万へるをに者可尓なん可くおハしますとて
  佐ふら婦可きりもをくれ多てまつら志と
  満とふさ満とも可きりなし見すとも
  のたんこほち楚うなともさるへき可起り
  こそま可てね本ろ/\と佐ハく越み多万
  婦尓佐らハ可起り尓こそ者とおほし者へる
  あさましさ尓な尓と可ハ多くひあらむ
  佐りとも希能する尓こそあらめいと
  可くひ多ふる尓さハ起そと志つめ堂
  万ひていよ/\いみしきともを多て」(77ウ)

  そへさせすくれ多る个んさとも能可起り
  めしあつめてかきりあるいのち尓て
  このつき多まひぬとも多ゝい万志ハしの
  とめ多まへ不動尊御本のち可ひあり・
  そ能可すを多尓可けとゝめ多(+て)ま(朱&墨)(朱&墨))りた
  まへと可しらより万こと尓くろ个ふりを
  多てゝいみしきゝこして可ちし多
  まつるも多ゝいまひと多ひめ越
  者せいとあへなく可きりなりつらむ
  本とを多尓えみ春なり尓けること能くや」(78オ)

  志く个なしき越とほしまとへるさ満とま
  里へき尓もあらぬ越多てまつ
  心地とも多ゝおし者可るへしいみしき
  御心み多てまつり尓や
  ろ佐ら尓あら者れいてこぬも能ゝ希
  ちいさ起わらハ尓うつりてよ者ひのゝしる
  本と尓やう/\いきいてう連しくも
  ゆゝ志くもほしさハ可るいみしくてうせ
0378【てうせられて】-調伏
  られてハみなさりね井むひとゝこ
  能みゝ尓き古えむをの連越古ろて」(78ウ)

  うしわひさせさけなくつらけ連ハ
  おしくハほし志らせむとおもひつれと
  さす可尓いのちも堂ふましく越く多
  きておほしまとふをみ多てまつれハい万
  こそ可くいみしき越うけ多れい尓しへの
  のゝ古りてこそ可くまてもまいりき多
  流なれハくるしさ越すくさて
  つ井尓あらハれぬるこ佐ら尓志られしと
  越とて可ミ越ふり可けてなく
0379【かミ】-髪
  遣ハひ多ゝ(+可(朱))のむ可し見給しも能ゝ遣の」(79オ)
0380【むかし見給し】-葵上時

  さ満とみえ多りあさ満しくむくつ遣しと
  おほし志ミにしこと能可ハらぬもゆゝしけ
  連ハこの王らハ能て越とらへてひきすへて
  佐万あしくもさせ者す万こと尓
  楚のよ可らぬきつ年なといふな
  のふれ多る可なきのおもてふせな
  こいひいつるもあなるを多し可なるなのり
  せよ又人志ら佐らむこと能尓しるく
  日いてられぬへ可らむをいへさてなむい
  さゝ可尓ても志むすへきとの多まへハ」(79ウ)

  ほろ/\とい多くな起て
    王可そあらぬさ満なれそれな可ら
  おほ連するき+見(朱))ハ君也いと徒らし/\登
  な起さけふも能可らさす可尓も能者ちし
  堂る遣ハひ可ハらす/\いとうと満しく
  うけ連ハい者せしとおほ春中宮
0381【中宮】-秋
  尓てもいとうれしく可多しけなしと
  なんあ万可遣りてもみ多てまつれと
  尓なりぬ連ハこ能うへまても布可くおほえ
  ぬ尓やあらむな越みつ可ら徒らしと日」(80オ)

  き古えし志ふなむと満るも能なり个る
  そ能な可尓もいきて能よ尓よりおとし
  ておほしすて$し(朱))よりもふとち能御物
0382【思ふとち】-源与紫
  可多り能ついて尓よ可らすにく可りしあり
  さ満をの多まひいて多りしないとうら
  めしくい万ハ多ゝな起尓おほしゆるして
  このいひおとしめむを多尓者ふき
  くしへとこへとうちしハ可り尓
  くいみしきの遣者ひなれハ可くとこ
  せき那りこの越ふ可く尓くしとき」(80ウ)

  こゆることハなけ連とまもり徒よくいと
  あ多りとをきちしてえち可つきまいら
  す(=せイ(墨)、せイ(朱))ゑを多尓ほの可尓なむきゝ
  よしい万ハこのつミ能可ろむハ可り能王さ越
  せさせのゝ志る
  尓はくるしくわひしき本のほとのミまつ
  者れて佐ら尓堂うとき古ともきこえ
  ねいと可なしくなむ中宮丹もこのよし
0383【中宮】-秋
  をつ多へき古えゆめつ可への本と尓
0384【ゆめ】-努
  ときしろひそ年むつ可ひ堂万婦な」(81オ)

  斎宮尓おハしましゝ古ろ本ひのつミ可ろ
  むへ可らむくとく能可ならすせさ勢
0385【くとく】-功徳
  いとくやしきと尓なむありける
  ないひつゝくれとも能ゝ遣尓む可ひて
  可多り志者むもか多ハらい多け連ハ
  婦むしこめてうへをハ尓志のひて
  わ多し多てまつり可くうせ尓个りと
  いふこ尓みちてとふらひ尓き
  え給人々ある越いとゆゝしくおほ春个ふ
0386【けふのかへさ】-賀茂祭
  の可へさ尓いてひ遣る可む多ち免」(81ウ)

  なと可へりみち尓可くせハいといミ
  しきこと尓もある可那いける可ひあ里つ
  さい者ひのひ可りうしなふ尓てあめハ
  そほふるなり个りとうちつけ
  あり可くたらひぬる可ならす
  えな可からぬなり越さくらにといふ
0387【なに越さくらに】-(朱合点) 古今(墨) まてといふにちらてしとまる物ならは何をさくらに思ひまさまし(朱)(古今70・古今六帖4197・素性集10、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋09)
  ふるあるハ可ゝ流のいとゝ尓な可らへ
  てのたのしひを徒くさハか多ハら能
  くるし可らむいまこ二品宮もと能
0388【二品宮】-女三
  ほえあらハれハめいとおし遣尓おされ多り」(82オ)

  つるおほえをなとうち佐ゝめ起个り衛門
  き能ふくらしか多可りしをひて个ふ
  ハとうととも左大弁藤宰相
  の尓のせてみ个り可くいひあへるを
  きくにもむ年うちつふ連てな尓可う支
0389【なにかうき世に】-(朱合点) のこりなくちるそめてたき桜花ありて世の中はてのうけれは(朱)(古今71、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋10) ちれはこそいとゝさくらハめてたけれなにかうきよに久しかるへき(墨)(伊勢物語146、異本紫明抄・弄花抄・休聞抄・一葉抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚)
  尓ひさし可るへきとうちすしひとりこ
  ちて可能へみなまいり多し可ならぬ
  ことな連はゆゝしくやとて多ゝおほ可多
  のとふらひ尓まいりへる尓可くなき
  さハ遣ハ満ことなり个りと多ちさハ起」(82ウ)

  へり式部卿宮わ多りいとい多くお本し
0390【式部卿宮】-紫父
  ほ連多るさ満尓てそいりせうそ
  こもつ多へ多満ハす大将み多
0391【大将の君】-夕
  をのこひて堂ちいてへる尓い可尓/\
  ゆゝしきさ満尓人のつ連盤志んし
  可多き尓てなむ多ゝひさしき
  やミをうけ多まハりなけきてまいりつる
  なとのたまふいとをもくなりて月日
0392【いとをもくなりて】-夕霧ノ詞
  多まへるをこのより多えいりへり
  徒る越の遣能志多る尓なむあ$里(朱))けるやう」(83オ)

  やういきいてやう尓きゝなし
  万なむみな人心志つむめ連とま多
  とたのもし遣なしやくるしき
  こそとて満こと尓い多くなきへる个し
  きめもすこしハれ多り衛門督王可あ
  やし起らひ尓やこののいとさしも
  多し可らぬまゝはゝ能と越い多く
  め堂まへる可那とめ越とゝむ可くこれ可連
  まいりへるよしき古しめしてをもき
  ひやうさ能にハ可尓とちめつるさ満なり」(83ウ)

  つるを女房なとハえおさめすみ多り
  可ハしく・さハ起遣るにつ可らもえのと
  めすあ者多ゝし起尓てなむ
  佐ら尓なむ可くものしへるよろこひハ
  きゆへきとの多まへり可むのきミハ
0393【かむのきミ】-柏
  む年つふれて可ゝるおり能羅うろうなら
0394【らうろう】-牢籠 驚サハク心也
  春ハえまいるましく个ハひ者つ可しく
  ふもそ者らき多な可りける
  可くいきいててのゝちしもそろしく
  おほして々いみしきとも徒くして」(84オ)

  く者へをこな者せうつ尓て多尓
0395【うつし人】-現
  むくつ遣可りし个者ひのまして
  可ハりあやしきも能ゝさ満尓なり堂
  万へらむをおほしやる尓いとうけ連ハ
  中宮越あつ可ひき古えさへそこ能お
0396【中宮】-秋
  ハも能うくいひもてゆけハみな
0397【女の身ハ】-三千界男煩悩女一人持也
  おし徒ミふ可きもと井そ可しとへて
  能世中いとハしく可能ひともき可さりし
  御中むつも能可多り尓すこし可多りい
  てへりしこと越いひいて多りし尓満ことゝ」(84ウ)

  ほしいつる尓いとわつらハしくおほさるくし
  ろしてむとせち尓ほし多れハいむ
  ち可らもやとてい多ゝき志るし者さミて
  可いうけさせ多てまつり可い(+の)いむ
  こと能すくれ多るよしす尓もあ者れ尓
  たうと起ことまし里て王るく可多ハら
  尓ひ井てなみ多おしのこひ徒ゝ
  をもろむしきこえさ満尓可し
  古くお者するいと可く御心まとふこと尓
  あ多りてハえ志つめた万者ぬわさなり个り」(85オ)

  い可なるわさをしてこれをすくひ可けとゝめ
  多てまつらむとのミよるひるおほしなけく
  尓本れ/\し起まて可ほもすこしおもや
  せ尓多り五月とハまして者れ/\し
  可らぬそら能个しきえさハやきたまハ年
  とありしよりハすこしよろしきさ満な
  佐れとな越堂えすなやミわ多りも能ゝ
  希能つミすくふへきわさひこと尓法花経一
  徒ゝくやうせさ勢と尓な尓くれと
  堂うと起わさせさせまくら可ミち可く」(85ウ)

  ても布多んのみとこゑ堂うと起可きり
  してよませあらハれそめてり/\可な
  遣なることゝも越いへと佐ら尓このも能ゝ遣
  さり者て春いとゝあつきいきも多え
  つゝいよ/\能ミよハりへハい者む可多なく
  おほしなけき多りきやうな御心
  尓も可ゝる个しき越心くるしくみ多てま
  つり世中尓なくなりなんもわ可
  尓ハ佐ら尓くちおしきと能こるまし个れと
  かくおほしまとふめる尓むなしくされ」(86オ)

  多てまつらむ可いと日く満な可るへ个れハ
  おもひおこしてゆなといさゝ可まいるけ尓
  や六月尓なりてそ/\くしも多け
  けるめつらしくみ多てまつり尓もいと
  ゆゝしくて六条院尓ハあ可らさ満耳も
  えわ多りハすひめハあやし可りし
0398【ひめ宮】-女三
  古と越ほしなけきしよりや可てれ
  のさ満尓もお者せ春なやましく志へと
  おとろ/\しくハあらす堂ちぬるより
  古しめさてい多くあ越ミ楚こなハれ」(86ウ)

  可能ハわりなくひあまる/\ハ
0399【かの人】-柏
  のやう尓多てまつり个れとつきせ春
  わりなき尓おほし多りをいみしく
0400【院】-源
  をちき古えへる御心ありさ満も
  ひとしく多尓や者あるい多くよしめ
  きなまめき多れハほ可多のめ尓こ
  なへて尓ハまさりてめてらるれ
  おさ那くよりさる多くひなきありさ
  満尓らひ多まへる御心尓ハめさ満しく
  のミみ本と尓可くなやミ王多りあハ」(87オ)

  れなすくせ尓そありけるめ能と多ち
  み多てまつりと可めての王多らせ
  こともいとたまさ可なる越つふやき
  うらみ多てまつる可くなやミこし
  めしてそ王多りきミハあつくむつ可し
0401【女きみ】-紫
  とてくしすましてすこしさハや可尓
  もてなしへり布しな可らうちや里
  へり志可ハとミ尓も可ハ可年とつゆハ可りう
  ち布くミ満よふすちもなくていときよ
  ら尓ゆら/\としてあ越ミおとろへ多ま」(87ウ)

  へるしもいろハさ越尓志ろくうつくしけ尓
0402【さをに】-小青
  す起多るやう尓みゆる者多つき
  よ尓なく羅う多けぬけ多るむしの
0403【もぬけ】-蛻
  からなと能やう尓ま多いと多ゝよ$ハ(朱))し遣尓
  お者すとしころすミ者てすこしあ
  連多りつ多としへなくせ者遣
  尓さへみゆきのふ个ふ可くも能おほえ堂
  万ふひま尓てと尓つくろ者れ多るやり
  せんさいのうちつけ尓ちよけなるを
  い多してもあ者れ尓いまゝてへ耳」(88オ)

  ける越もほ春ハいとすゝしけ尓て
  者ちす能のさ起王多れる尓者ゝいと
  あ越や可尓てつゆきら/\とた万のやう
  尓えわ多る越可れ多まへをの連ひ
  とりもすゝし遣なる可なとの多まふ尓
  おきあ可りてい多しへるもいとめつら
  し个れハ可くて多てまつるこ
  ちす連いみしく王可さへ可きりと
  おほゆるおり/\能ありしハやとをう
  けての多まへハつ可らもあハれ$尓(朱))お本して」(88ウ)

    きえと満るほとやハふへきたまさ可尓
0404【きえとまる】-紫上
  者ちす能つゆの可ゝ流をとの
    を可むこのらても者ちす者尓
0405【契をかむ】-源氏
  井るつゆ能古ゝろへ多つないて多まふ可多
0406【いてたまふかた】-女三へ
  さ満ハも能うけ連と尓も尓もき古し
0407【院】-朱ー
  めさむありなやミときゝてもほと
  へぬるをめ尓ち可き尓越まとハしつ
0408【めにちかきに】-紫違例
  み多てまつるさ/\な可りつる
  尓かゝ流くもま尓さへやハ多えこもらむと
  おほし多ちて王多りひぬ御心の」(89オ)

  おゝみえ多てまつらむも者つ可しうつ
  ましくおほす尓とき古え堂万婦
  いらへもき古え者年ハひころ能徒
  もりを佐春可尓佐り遣那くて徒らしと
  おほしけるとくるしけ連ハと可くこしら
  へき古えをと那ひ多るめして御心ち能
  さ満なとゝひ連いのさ満ならぬ御心
  尓なむと王つらひ給御ありさ満をきこ
  ゆあやしく本とへてめつらし起古と尓
  もとの多まひて御心尓ハとし」(89ウ)

  古ろへぬる/\多尓もさ流ことな起を
  なる古と尓もやとおほせハ古と尓登
  も可くもの多まひあへ志らひハて多ゝ
  うちなやミへるさ満のいとらう多けな
  をあ者れと多てまつり可らうして
  おほし多ちて王多り多まひし可ハ布と
  もえ可へり者て二三日者するほと
  可尓/\とうしろめ多くおほさるれハふミ
0409【御ふミ】-源紫へ
  を能ミ可起徒くしいつま尓つもるお
  ほむこと能者尓可あらむいてやゝす可らぬ」(90オ)

  越もみる可那とわ可き見のあやまち
0410【わかきみ】-我
  を志らぬハいふ侍従そ可ゝ流尓つけて
  む年うちさハ起ける可能も可く王多り
0411【かの人】-柏
  多まへりときく尓ほ遣那くあや
  ま里していみしきことゝもかきつ
  个てをこせ堂万へり堂い尓あ可らさ満
0412【たいに】-紫
  尓わ多りへるまなり个れハ志の
  ひてみせ多てまつるむつ可しき物見
0413【むつかしき】-女三
  するこいとうけ連ち能いとゝあし
  き尓とて布し多まへ連ハな越多ゝこの」(90ウ)

  ハし可き能いとおし遣尓そやとてひろ
  け多れハのまいる尓いとく流しくて
  ちやうひきよせてさりぬいとゝむ年つふ
  流ゝ尓いりへハえよくもかくしハて
  志と年能志多尓佐し者佐ミようさり
  つ可多二条院へ王多りハむとていと満
  き古え多まふ古ゝ尓ハ遣しうハあらす
  えま多いと堂ゝよハし遣なり志越
  すて多るやう尓もハるゝもい万佐ら尓
  いとおしくてなひ可/\しくき古えな春」(91オ)

  ありともゆめをきい万みな
  おし多まひてむと可多らひ連い者な
  万い者けな起堂ハふれことなともうちと
  希き古え堂万婦をい多く志めりてさや
  可尓あ者せ多てまつり者ぬを多ゝ
  うらめしき个しきとえ堂まふ
  ひる能おまし($)にうち布し御物可多
  里なとき古えほと尓くれ尓个りすこし
  おほと能こもりいり尓ける尓ひくらしの
  者那や可尓なく尓おとろき佐らハ」(91ウ)

  みち多と/\し可らぬ尓とてそなと多て
  まつりな越春まちてともいふな
0414【月まちて】-(朱合点) 万(墨) 夕くれハ道たと/\し月待てかへれわかせこ其まにも見ん(朱)(古今六帖371・伊勢集437、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋11)
  といとわかや可なるさ満しての多まふ盤
  にく可らす可しそ能ま尓もとやおほすと
0415【にくからすかし】-明石
0416【そのまにも】-
(朱合点)
  くるしけ尓おほして堂ちとまり
    夕露ぬらせとやひくらし能なく越
0417【夕露に】-女三宮
  きく/\おきてらむ可多なり那る
  尓ま可せていひ(+い)てへるも羅う堂
  个れハつ井ゐてあ那くるしやとうちなけき
  堂万ふ」(92オ)

    まつい可ゝきくらんか多/\尓さハ
0418【まつ里も】-源氏
  可すひくらし能こゑなとおほしやすらひ
  てな越なさけな可らむもくるしけ連ハ
  と満りひぬ志つなくさす可尓な可め
  られいてく多ハ可りまいりなとして
  おほと能こもりぬま多あさすゝミ能本と尓
  わ多り者むとてとくおよへの
0419【よへの】-女三方
  可ハ本りをおとしてこれハぬるくこそあり
0420【かハほり】-蝙蝠
  个れとてあふきを起きのふう
0421【御あふきをき給て】-檜扇ハ風ぬるきとてをく也
  多ゝねへりしおましのあ多りを多ち」(92ウ)

  とまりて見給志と年能すこし満よひ
  堂流つ万よりあさみとり能うすやうな
  ふミ能おしま起多るハしミゆるをな尓
  くひきいてゝ御覧する尓おとこの
  可ミ能可ないとえむ尓こと佐らめ
0422【かミのか】-香
  き多る可き佐万なり布多可さ年耳
  こ万/\と可起多る越見給まきるへき
  那くなり个りと見給
  可ゝミなとあけてまいらする見給
  ふミ尓こそハとも志らぬ尓こ志ゝうみ」(93オ)

  つけてきのふのふミ能とみる尓いといミ
  しくむ年つふ/\となるちす可ゆな
0423【御かゆ】-粥
  まいるめもやらすいてさりとも
  それ尓ハあらしいといみしくさ流ことハあり
  なんや可くい多まひて个むとひな春
  ハな尓もなくま多おほと能こも
  里あ那い者けな可ゝ流越ちらしひて
0424【あないはけな】-源御心中
  わ連ならぬみつけ多らまし可ハと
  おほ春もとりして佐連ハよいとむけ
  尓にくきな起ありさ満をうしろ」(93ウ)

  め多しとハみる可しとおほ春いて多まひ
0425【いてたまひぬれハ】-源
  ぬ連ハ々すこしあ可れぬる尓志ゝうよ
  里て昨日能ものハい可ゝせさせてし遣さ
  らむしつるふミ能尓て
  つれと(#)きこゆれハあさ満しとおほして
0426【あさましと】-女三
  の多ゝいてき尓いてくれハいとおしき
  可らいふ可ひなさ満やと多てまつる
  いつく尓可ハを可せてし々能まいり志尓
  ことあり可ほ尓ち可くさふらハしとさハ可り
  のいミを多尓のおさりしを」(94オ)

  いらせしほとハすこし本とへ尓しを可く
  させらむとなむ思給へしときこ
  ゆ連ハいさとよみしほと尓いりし可ハ
  婦ともえおきあ可らて佐しハさミしを
  わ春れ尓个りとの多まふ尓いとき古えむ
  可多那しよりてみ連ハいつく能可ハあらむ
  ないみし可能いとい多くおち者ゝ可り
  て个しきにてりき可せ給事
  あらハと可しこまりき古えしものをほと
  多尓へ春可ゝ流こと能いてまうてく流よすへ」(94ウ)

  てい者けなありさ満尓て耳も
  みえさせけ連ハとし古ろさハ可りわ春
  れ可多くうらみいひ王多りし可と可くまて
  へしと可ハ堂可ため尓もいと
  おしくへきとゝ者ゝ可りもなくき
  ゆや春くわ可く者すれハれき古え
  多るなめりいらへも志者て多ゝなき尓
  のミそな起いとなやまし遣尓て
  つゆハ可り能ものもき古しめさ年ハ可くな
  やましくせさ勢をき多てまつり」(95オ)

  いまハをこ多り者て尓多るあつ
  可ひ尓越いれへることゝ徒らくひい
  婦おとゝハこのふミ能なをあやしくお
  るれ者ミぬ尓てうちしつゝミ
  ふら婦/\の可能中納言
  に多るてして可起多る可とまておほし
  よれとつ可ひきら/\とま可うへく
  もあらぬ古とゝもありをへて日王多
  里けること能多満さ可尓本い可なひて
  や春可らぬすち越可きつくし多ること盤」(95ウ)

  いと見所ありてあハれな連といと可くさ
  や可尓ハ可くへしやあ多らのふミ越こ
  もひやりなく可起个れちゝ流ことも
  と日し可ハむ可し可やう尓古満可なるへき
  おりふし尓も古と楚きつゝこ可きま
  きらハし志(朱)可(墨)&か(朱))ふ可きよう井ハ可多き
  わさなり个りと可能越さへ
  としさてもこのをハい可ゝもてな
  きこゆへきめつらしきさ満の御心ちも
  可ゝ流こと能ま起連尓てなり个りいてあな」(96オ)

  うや可く徒てならすう起こと越志る/\
  ありしな可らみ多てまつらむよとわ可御心
  な可らもひな越春満しくおほゆる
  をさり能すさひとハしめより越とゝめ
  ぬ多尓とさ満の王くらむと
  ハ心月なくひへ多てら流ゝをまして
  これハさ満古と尓おほ希な起尓も
  ありける可那見可と能めをもあやまつ
0427【御め】-ミ
  くひむ可しもあり个れとそれハいふ可多
  こ可へといひてわ連ももおし」(96ウ)

  れ徒可うまつるほと尓をのつ可ら
  佐るへき尓つけて越可ハしそめ
  のゝまきれおほ可りぬへき王さ女御可う
  いといへととあるすち可ゝ流可多尓つ遣て
  可多ほなるあり者せ可ならすを
  も可らぬうちまし里ても者すなる
  あれとほろ遣能さ多可なるあや
  まちみえぬさてもまし羅ふやう
  もあらむ尓ふとしもあらハならぬまき
  れありぬへし可くハ可りなき佐万尓」(97オ)

  もてなしき古えて/\能さしひく
  よりもいつくしく可多しけな
  者くゝまむをきて可ゝ流ことハ佐ら尓
  堂くひあらしとつ万ハしきせられ
  可とゝきこゆれと多ゝすな本尓ほや希
  さ満の者へハ可りにて可への
  も能すさましき尓さしふ可きわ多くし
  のきこと尓なひきを能可志ゝあハれを
0428【ねきこと】-(朱合点) 古今 ねきことをさのみきゝけん秋こそはてハなけきの社と成けれ(古今1055、河海抄・孟津抄)
  徒くしすくし可多起おりのいらへをもいひ
  そ志ねん尓可よひそな可らひハ」(97ウ)

  おなし遣し可らぬすちなれとよる可多あり
  や王可な可らもさハ可り能王け
  へくハおほえぬも能をといと心月なけ連
  と个しき尓い多すへき古と尓もあら
  すなとおほしみ多るゝ尓つけて故院
0429【故院のうへ】-薄雲
  うへも可く御心尓ハ志ろしめしてや志ら春
  可ほを徒くらせひ个むへハそ
  ことこ楚ハいとおそろしくあるましき
  あやまちなり个れと
ち可きためしをお
  ほ春尓そち盤えもとくましき」(98オ)
0430【恋の山ち】-(朱合点) いかはかり恋の山ちのふかけれはいりといりぬる人まとふらん(朱)(古今六帖496、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋12)

  御心まし里ける徒連なしつくりへと
  も能おほしみ多るゝさ満の志るけ連者
0431【ものおほしみたるゝ】-源
0432【女君きえのこりたる】-紫詞
  きえの古り多るいとおしミ尓わ多り
  堂万ひてやりならすくるしう
  やりき古え尓やとおほしてちハ
  よろしくなり尓て可能のなや万し
0433【かの宮】-女三
  け尓お者すらむ尓登く王多り
  こいとおし个れと古えへハさ可し
0434【さかし】-源詞
  れいならすみえ志可とと那るち尓
  もお者せ年ハをのつ可らのと可尓ひて」(98ウ)

  なむよりハ堂ひ/\つ可ひあり个り
  个ふもふミあり徒と可いとやむこ
  なく古えつけ堂万へれ者うへも可くお
  ほし多るなるへしすこしをろ可尓なとも
  あらむハこ那多可な多おほさむ古と能いと
  おしきそやとてうめきへハ
0435【内のきこしめさむよりも】-紫詞
  古しめさむよりもみつ可らうらめしと
  ひき古え者むこくるし可ら免
  王れハおほしと可めすともよ可らぬさ満尓
  き古えなす/\可ならすあらむとへ」(99オ)

  ハいとく流しくなむなとの多まへハ个尓
  あな可ち尓ため尓ハ王つらハし
  よす可なけ連とよろつ尓たとりふ可
  とや可くやとほよ楚のおもハむ
  さへひめくらさるゝをこれハ多ゝ古く
0436【こくわうの】-御門の
  わう能御心をき者むとハ可りを者ゝ
  可らむハあさ起ちそしけるとほゝゑミて
  の多まひ万きらハすわ多りハむこ
  ハろとも尓かへりてをのと可尓あらむ
  と能ミき古え古ゝ尓ハ志ハしやすく」(99ウ)
0437【こゝにハ】-紫詞

  てらんまつ王多り御心もなく
  さミな尓をとき古え可ハしほと尓
  ろへぬひめハ可く王多りた万ハぬ
0438【ひめ宮】-女三
  ころのふるもつらさ尓のミおほ春
  をい万ハわ可をこ多りうちませて可く
  なりぬるとおほ春尓もき古しめし
  つけてい可尓おほしめさむと世中つゝまし
  くなむ可能もいみし遣尓のいひ王多
0439【かの人も】-柏
  れともこ志ゝうもわつらハしく日なけき
  てかゝ流ことなむありしと徒个て个れ者」(100オ)

  とあさましくい徒のほと尓さる
0440【いとあさましく】-柏心
  てき个む可ゝ流ことハあり婦連ハをのつ
  可ら遣しき尓てももりいつるやうもやと
  おもひし多尓いとつゝましくら尓めつき
0441【そらにめつきたる】-天眼五眼一也
  多るやう尓おほえしをましてさハ可りた
  可ふへくもあらさりしことゝも見給て个む
  者つ可しく可多しけなか多ハらい多き尓
  あさゆふすゝ(+ミ)もな起ころなれとも志
0442【あさゆふすゝミも】-(朱合点) 拾 夏の日も朝夕すゝミある物をなとわか恋のひまなかるらん(朱)(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋13)
0443【しむる心ち】-ひゆる心也
  むるちしてい者む可多那くおほゆとし
  ころまめ古と尓もあ多こと尓もめしまつハし」(100ウ)

  まいりなれつよりハこ満可耳
  おほしとゝめ多流个しき能あ者れ尓な
  つ可しきをあさ満しくおほ遣なき
  を可れ多てまつりてハい可て可者め越も
  あ者せ多てまつらむさりとて可起多え
  本のめきまいらさらむもめあやしく
  可能御心尓もおほしあハせむこと能いみしさ
  なとやす可らすふ尓ちもいとなや
  ましくてへもまいらすさしてをも起
  つミ尓ハあ多るへきならね能い多つら」(101オ)
0444【身のいたつらに】-(朱合点) 後 あハれともいふへき人ハおもほえ△(△#て)身のいたつらに成ぬへきかな(拾遺集950・一条摂政集1、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄)

  尓なりぬるちすれハされハよと可つハ王可
  いとつらくおほゆいてや志つや可尓
  尓くき个者ひハぬ王多りそや
  まつハ可能みすの者さ満もさるへき
  可ハかる/\しと大将もひへる个し
0445【大将】-夕
  きえき可しなといまそひあハする
  志井てこ能ことを日さ満さむとおもふ
  尓てあ那可ち尓なむつ遣多てまつら
  満ほしき尓やあらむよきやうとても
  あまりひ多おもむき尓おほと可尓あて」(101ウ)

  なるのありさ満も志ら春可つさふら
  婦をきともなくて可くいとお
  しき御身能ためものためもいみしき
  こと尓もある可那と可能と能くるしさ
  もひ者那多れ者す盤いと
  羅う多け尓てなやミわ多りさま能
  な越いとくるしく可くひ者な
  たまふ尓徒个てハあや尓く尓う起尓ま
0446【うきにまきれぬ】-(朱合点) 恋しさのうきにまきれぬ(れぬ$るゝ)物ならハ又二たひと君を見ましや 大弐三位(後拾遺792)
  きれぬひしさ能くるし具おほさるれハ
  わ多り多てまつ尓つ遣ても」(102オ)

  む年い多くいとおしくおほさるいのりな
  さ満/\尓せさせほ可多のとハありし
  尓可者らすな可/\い多ハしくやむことなく
  もてなしきゆるさ満をまし遣ち可く
  うち可多らひき古えさ満ハいとこよな
  く御心へ多ゝ里て可多ハらい多个れハ
  めハ可り越めやすくもてなして本しのミ
  み多るゝ尓こ能御心志もそくるし可り
  けるさるこきともあらハしき古え
  者ぬ尓みつ可らいと王りなくおほし」(102ウ)

  多るさ満もをさなしいと可くおハ春る
  遣楚可しよきやうといひな可らあまり
  もと那くをくれ多る堂のもし遣な起
  わさなりとおほす尓世中なへてうし
  ろめ多く女御あ万りやハら可尓をひ連
0447【女御】-明石中
0448【をひれたまへる】-をさなき心也
  多万へるこ可やう尓可けき古えむ
  ハましてみ多れなむ可しハ可う者流
  遣なくよひ多るをもあ那つらハし
  き尓やさるましき尓ふとめと満り
  よ可らぬあやまちハ志いつるなり个りと」(103オ)

  おほ春とゝ能とり多て多る
0449【北の方】-玉
  うしろミもなくさ那くよりも能者可な
  佐すら婦るやう尓てい(+い)て个れと
  かと/\しく羅うありてもおほ可多尓ハ
  おやめ起し可とにくきそ者ぬ尓し
  もあらさりしをな多ら可尓つれなくもて
  なしてすくしこのとゝ能さるむしんの
0450【このおとゝ】-ヒケ
0451【むしん】-無心
  女房あ者せていりき多り个ん尓も
  けさや可尓もて者なれ多るさ満を尓も
  みえ志られ古とさら尓ゆるされ多るありさ」(103ウ)

  ま尓志なしてわ可と徒ミある尓ハな
  すなりにしない万おもへハい可尓可とある
  ことなり个りふ可きなり个れハ
  な可くかくて多も多むことハとても可くても
  おなしことあらまし可らもてありし
  古とゝも世人もおもひいてハすこし可る/\
  しきひくハゝりなましいとい多くもて
  なしてしわさなりとおほしいつ二条
0452【二条の内侍のかむのきミ】-朧月夜の事
  内侍の可むのきミをハ多え春日いて
  きこえへと可くうしろめ多き春ちの」(104オ)

  こうき尓おほし志りて可能御心よハ
0453【御心よハさ】-女三宮事也
  さもすこし可るく日なされ个り
  つ井尓本いの个りときゝ
0454【御ほいの事】-内侍のかんの君尼と成給へる事也
  てハいとあ者れ尓くちおしく御心うこきて
  まつとふらひき古えい万なむと多尓
0455【いまなむ】-尼
  尓ほハし者さりけるつらさをあさ可ら春
0456【にほハし】-ほのめかし也
  き古え多まふ
    あ万のをよ楚尓き可めやす万能
  もしほ多れしも堂れならなく尓さ満/\な
  のさ多めなさ越尓おもひ徒めていま」(104ウ)

  まてをくれき古えぬるくちおしさ越本し
  すてつとも佐り可多きゑ可う能うち尓ハ
0458【ゑかう】-廻向
  まつこそハとあ者れ尓なむなとおほくき
  へりとくおほし多ちにしことなれと
  さ満多け尓可ゝつらひて尓ハ志可あ
  らハし者ぬことなれとあ者れ尓
  む可しよりつらき御契さす可尓あさく
  しもほし志られぬなと/\尓おほし
  いてら流御返い万盤可くしも可よふましき
  ふミ能とちめとおほせハあハれ尓てとゝ」(105オ)

  めて可きすミつきなといとお可しつ年
  な起とハひとつ能ミ志り尓しを
  くれぬとの多まハせ多流尓なむ个尓
    あ万尓い可ゝハ日をくれ个んあ可しの
0459【あま舟に】-かんの君
  うらにいさりせしきミゑ可うにハあま年
0460【あまねきかとにても】-普門
  き可とにてい可ゝハとありこきあを尓ひ
  の可ミ尓て志きみ尓さし多まへハいの
  なれとい多くすくし多る布てつ可ひな
  をふり可多くお可しけな二条院尓おハし
  ます尓て女君尓もいまハむけ尓多え」(105ウ)
0461【女君】-紫

  ぬる尓てせ多てまつりいとい多く
  こ者つ可しめられ多連遣尓心月なしや
  さ満/\本そ世中能ありさ満をよく
0462【さま/\】-源詞
  すくし徒るやうなるよなへて
  ことにて者可那くをいひ可ハし/\
  尓よせてあ者れをも志りゆへをもすく
  さすよ楚な可ら能むつひ可ハし徒へき
  斎院とこのとこそハの古りありつる
0463【斎院】-槿
  を可くみ那そむき者てゝ斎院ハ多いみ
  しう徒とめてまきれなくをこなひ尓」(106オ)

  志ミ尓多なり越古ゝら能のありさ
  ま越きゝみる布可くふさ満耳
  さす可尓なつ可しきこと能可の
  らひ尓多尓もあらさりける可那こを
  ほし多てむことよいと可多可るへきわさ
  个りすくせなといふらむも能ハめ尓みえぬ
  わさ尓てやの尓ま可せ可多しい多ゝ
  むつ可ひハな越ち可らいるへ可めり
  よくこ楚あま多/\尓越み多るま
  しきなり个れふ可くいらさりし」(106ウ)
0464【年ふかくいらさりしほと】-よらぬ也

  ほとハ佐う/\し能わさやさ満/\尓まし
  可ハとなむけ可しきり/\ありし
  わ可しておほし多て堂てまつり
0465【わか宮】-東ー
  女御越ふ可く志り多まふほと
0466【女御】-明ー
  ならて可くいと満なきましらひを志
  へハな尓もとな尓そも能し
  給覧みこ多ちなむ越あく可起り
  尓てむつ可るましくてをのと可尓すくし
  ハむ尓うしろめ多可るましき者せ
  つけまほしきわさ那りける可きりありて」(107オ)

  とさ満可うさ満のうしろミまうくる多ゝ
  ハをのつ可らそれ尓も堂すけられぬる
  をなとき古えへハ者可/\しき佐万の
0467【はか/\しきさまの】-紫詞
  うしろミならすとも尓な可らへん可き
  里ハみ多てまつらぬやうあらしとふを
  い可ならむとて猶物ほそけ尓て可く
  尓ま可せてをこなひをもとゝこほり
  なく志多まふ々をうらやましく
  き古え多まへり可むのさ満可ハりた
0468【かむの君に】-朧
  まへらむ佐うそくなとま多ゝちなれ」(107ウ)

  ほとハとふら婦へき越遣さなとハい可耳
  れせさせひとく多りハ六条
0469【六条のひむかしの君】-花ー
  のひむ可しの尓ものしつけむうるハしき
  ふく多ちてう多て見めも个う登
  可るへしさす可尓楚の者へみせてを
  なとき古えあ越尓ひのひとく多りを
  古ゝ尓ハせさせ徒くもめして志の
0470【つくも所】-作物所
  ひてあま能くとものさるへき者しめ
0471【はしめ】-始
  能多ま者す志と年う王むしろ屏風
  木長なと能いと志のひてわさと」(108オ)

  可満しくいそ可せ个り可くてのみ可と
0472【山のみかと】-朱ー
  の御賀のひてとありしを八月
  大将御忌月尓て可くそ能こ越こなひ
0473【大将の御忌月】-葵上
0474【かくそ】-所
  ハむ尓ひんな可るへし九月
0475【院のおほきさき】-二条ー
  きさ起の可くれ尓しれハ十月尓と
  おほしまうくる越ひめい多くなやミ
0476【ひめ宮】-女三
  へハのひぬ衛門督あつ可りの
0477【御あつかりの宮】-落ー
  そ能尓者まいりけるほきとゝ
0478【おほきおとゝ】-致ー
  井多ちてい可めしくこま可尓も能のき
0479【ゐたちて】-居立
  よらきし起を徒くしへり个り可むの」(108ウ)
0480【かむの君】-柏ー

  能徒いて尓そ日おこしていてた
0481【思ひおこしていて】-ー出
  まひけるな越なやましく連いなら春
  やまひつきてのミすくし((朱)給(墨))うち者へて
  も能をつゝましくいとおしと能ミおほし
  なけく遣尓やあらむおほく可さな
  まゝ尓いとくるしけ尓おハしませハ
0482【院】-源
  ハうしとひき古え可多こそあ連
  いとらう多け尓あえ可なるさ満して可く
  なやミわ多りい可尓お者せむとなけ可
  しくて佐万/\尓おほしなけくいのり」(109オ)

  なと古としハま起連おほくてすくし
  御山尓もき古しめして羅う多く古ひしと
0483【御山にも】-ミ 朱ー
  おもひき古えろ可くほ可/\尓て
  わ多り給事さ/\なきやう尓
  の楚うし个れハい可なる尓可とむ年つふ
  連て世中いまさら尓うらめしくお本
  して堂いの能王つらひ个るころハな越
0484【たいの方】-紫
  そ能あつ可ひ尓とき古しめして多尓なま
  やす可らさりしを能ゝちな越り可多くもの
  しらむハそ能ころほひ$飛(朱))むなき」(109ウ)

  いてき多り个むみつ可ら志り多まふ古と
  ならねよ可らぬうしろミとも尓て
  い可な可あり个むうち王多りなと能
  みやひを可ハすへきな可らひなと尓も遣し
0485【みやひ】-風姿
  から春う起こといひいつる堂くひもき
  ゆ可しとさへおほしよるもこまや可なる
  ほしすてゝしなれとな越この
  みちハ者なれ可多くてふミこまや可
0486【宮に】-女三
  丹てありける越とゝおハします本と尓て
0487【おとゝ】-源
  見給能ことゝなくて志ハ/\も古えぬ」(110オ)
0488【そのことゝなくて】-朱ー文詞

  ほと尓お本つ可那くてのミとしのすくる
  なむあ者れなり个るなやミるさ満ハ
  くはしくきゝし能ちんす能徒いて尓も
  日やら流ゝハい可ゝ世中さひしくおも者す
  なることありとも志のひすくしうら
  めし遣なる个しきなとおほろ遣尓て
  志り可ほ尓本のめ可すいと志那をくれ多る
  わさ尓なむなをしへき古えへりいと/\
0489【いと/\おしく】-源詞
  おしくくるしく可ゝ流/\のあさまし
  きをハき古しめすへき尓ハあらてわ可をこ」(110ウ)

  多り尓本いなくのミきゝおほすらんと越と
  ハ可りほしつゝけてこの御返をハい可ゝき
  古えく流しきせうせこ尓まろこ
  そいとく流し个れもハす尓日きゆる
  ことありともろ可尓と可むハ可り
  ハあらしとこそおもひ多可起こえ多る
  尓可あらむとの多まふ尓ハちらひてむき
  堂まへるす可多もいと羅う多け
  多くおもやせても能おもひくし堂まへる
  いとゝあて尓可しいとをさなき御心」(111オ)

  者へをを起い多くハうしろめ多可り
  き古え多まふなり个りと日あ者せ多て
  まつれハいまより能ちもよろつ尓なむ
  可うまてもい可てき古えしとおもへとうへの
  御心尓そむくとき古しめすと能
  やす可ら春いふせき越こゝに多尓き古えし
  らせてやハとてない多りすくなく多ゝ
0490【いたりすくなく】-おれう申事をハおろかに思食て也
  のき古えな尓能ミよるへ可める
0491【人のきこえなす】-我(我#)申事也
  御心尓ハ多ゝをろ可尓あさきと能ミお本し
0492【をろかにあさきと】-我申事を
  い万ハこよなさ多す起尓多るありさ」(111ウ)
0493【さたすきにたる】-としよる

  まもあ那つらハしくめなれてのミ
  らむもか多/\尓くちおしくもうれ多くも
0494【うれたくも】-憂
  おほゆる越ハしまさむほとハ
0495【院】-朱
  をさめて可能おほしをきて多るやう
0496【かのおほしおきて】-朱 思
  あり个む佐多すきをもしくなす
0497【さたすき人をもおなしく】-我ことく年よりたる物を定につゝハ説ある也
  らへき古えてい多くな可るめ多まひそ
  い尓しへより本いふ可きみちにもたとりう
0498【ほいふかきみち】-道心
  す可るへき可多尓多尓みなもひをく
0499【おもひをくれつゝ】-道心好色
  れつゝいとぬるきほ可る越つ可ら
0500【いとぬるき事】-源心
  の尓ハな尓ハ可里おほしまよふへき尓」(112オ)

  ハあらねい万ハとすて遣むのうし
  ろミ尓をきへる御心者えのあ者れ尓
  うれし可りしをひき$徒(朱))きあらそひき
  こゆるやう尓ておなしさ満尓すて
  多てまつらむこと能あえなくおほされん
  尓徒ゝミてなむくるしとおもひし
  々もい万ハ可けとゝめらるゝほ多し
  なるもらす女御可くてゆく春衛ハ
0501【女御】-明
  志り可多け連とみこ多ち可すそ
  めれハ可ら能多尓のとけくハとみを」(112ウ)

  き徒へしそ能ほ可ハ多れも/\あらむ尓
  多可ひてもろともをすてむもお
  可流ましきよ者ひとも尓なり尓
  堂流をやう/\すゝしく御世
  のゝ古りひさしくもおハせしいとあつし
  くいとゝなりまさりものほそ
  け尓能ミおほし多流尓いま佐ら尓ハす
  なるもりき古えて御心み多り
  このハいとやすし古と尓もあらすのち
  能よのみち能さ満多けならむも徒み」(113オ)

  いとおそろし可らむなとまほ尓そ能ことゝハ
  あ可しハ年と徒く/\とき古え徒ゝ希
  のミおちつゝ尓もあらすおもひ
0502【涙のミおちつゝ】-女三
  志ミてお者すれハもうちなき多ま
  ひてのうへ丹てももと可しくきゝ
  婦るのさ可し羅よ可ハる古と尓
0503【ふる人のさかしら】-源我こと
  こい可尓う多て能おき那やとむつ可しく
  う流さ起御心ふらんと者ち多まひつゝ
  すゝ里ひきよせつ可らお
0504【手つから】-源
  すり可ミとりま可なひ可ゝせ多てまつり」(113ウ)

  へとてもわなゝきてえ可き者す
0505【御てもわなゝきて】-女三
0506【かのこまかなりし返事】-柏方へ
  能こ満可なりし返事いと可くしもつゝます
  かよハしらむ可しとおほしやる尓いとにく
  个れハよろつあ者れもさめぬへ$け(朱))れと
  なとをしへてかゝせ多てまつりまいり
0507【まいり給はむ事】-源詞女三ニ
  者むこの可くてすきぬ
  のいきをひこと尓てまいりひ遣るを
0508【御いきをひ】-賀
  布るめ可しき御身さ満尓て堂ちならひ
  可ほならむも者ゝ可りあるちし个り志も
  つ可ら能忌月也とし能をハりハ多い」(114オ)
0509【身つからの】-源ー父桐也
0510【忌月】-キ

  とも能さハ可しま多いとゝこのす可多も
  みくるしくまち見給ハんをと
  と佐りとてさ能ミのふへきこと尓やハむつ
0511【のふへきこと】-御賀事
  可しくおほしみ多れすあきら可尓も
  なこのい多くおもやせへる徒くろ
  ひへないと羅う多しとさす可尓
  てまつり多まふ衛門督をハな尓さ満の
  尓も・ゆへあるへきりふし尓ハ可ならす
  こと佐ら尓まつハしつゝの多まハせあ
  ハせしを堂えてさ流せうそこもな」(114ウ)

  あやしとふらんとおほせとみむ耳
  つけていとゝ本れ/\しき者つ可し具
  む尓ハわ可多ゝならすやとおほし
  可へされつゝや可てろまいりハぬをも
  と可めなほ可多のな越連いならす
  なやミわ多りて尓ハ多あそひなとな
0512【院】-源
  きなれハと能ミ日わ多るを大将
0513【大将の君】-夕
  そあるやうあること那るへしす起もの盤
  佐多めてわ可个しきとりしと尓ハ志の
  ハぬ尓やあり个むと日よれといと可くさ」(115オ)

  た可尓の古りな起さ満ならむとハおもひより
  ハさり个り十二月尓なり尓个り
  と佐多めてまひともならしと能ゝうち
  ゆすりてのゝ志る二条うへハま多
0514【二条の院のうへ】-紫
  王多りたまハさり个る越この志可く尓より(+て(墨)、(朱))
  そ$盈(朱))しつめはてゝ王多りへる女御
0515【わたり給へる】-六条
0516【女御の君】-明ー
  佐と尓おハしますこの多ひのみこハおと
0517【このたひのみこ】-匂兵部卿
  こ尓てなむおハしましけるすき/\いと
0518【すき/\】-次々也 湯次(ユスキ)産江別
  お可しけ尓ておハする越あけくれもてあそ
  多てまつり尓なすくるよ者ひの志るし」(115ウ)

  うれしくおほされ个る
  試楽右大臣殿き多能可多も王多り
0519【試楽に】-(誘導線)
0520【右大臣殿のきたのかた】-玉
  へり大将うしとら能まち尓てまつうち/\
0521【大将の君】-夕
0522【うしとらのまち】-花ー
  尓てう可くのやう尓あけくれあそひならし
  个れハ可能御方ハおまへの多まハす
  衛門督可ゝる能おりもましらハせさ
  らむハいと者えなく佐う/\し可るへき
  うち尓あやしと可多ふきぬへきことな
  れハまいりへきよしありける越をもく
  王つら婦よしてまいらすさるハそこハ可と」(116オ)

  く流し遣なるやまひ尓もあらさなるを
  あるから$丹(朱))やとくるしくおほして登り
  王きてせうそこ徒可ハすちゝおとゝも
0523【ちゝおとゝ】-致ー
  なと可かへさひまうされ个るひ可/\しき
  やう尓尓もき古しめさむをとろ/\し
0524【院】-源
  きやまひ尓もあらす多すけてまいり
  へと楚ゝ能可し可く可さ年ての多
  まへれ者く流しとおもふ/\まいりぬま多
  可む多ちめなともつとひハぬほとなり
  个りいのけち可きみ春能尓いれ」(116ウ)

  てもや能みすおろしておハします遣尓
  いとい多くやせ/\尓あ越ミて連いも本古り
  可尓ハなやき多る可多ハとうと能多ち
0525【はなやきたる】-花
  丹はもて遣多れていとよういあり可ほ尓
  志つめ多るさ満そことなる越いとゝ志つ
  て佐ふらひ多まふ佐万なと可ハみこ多ちの
  可多ハら尓佐しならへ多らむ尓佐ら尓と可
  あるましき多ゝこと能さ満の多れも/\
  いとひやりなきこいとつミゆるし
  可多个れなめとまれとさりけなく」(117オ)

  となつ可しくそ能ことゝなくて多いめんも
0526【そのことゝなくて】-源詞
  とひさしくなり尓个りろ者/\
  のひやうさ越あつ可ひのいと満な
  ほと尓御賀堂め古ゝ尓も能し
0527【院】-朱ー
  みこの本うし徒可うまつりへくあり
0528【ほうし】-法事
  しをつき/\とゝこほること志けくて可く
0529【つき/\】-月々
  としもせめつれハ日の古とく志あへて
0530【せめつれは】-迫
  か多能ことくないも井能者ちまいるへ
0531【御はち】-鉢
  き御賀といへハと/\しきやうな
  れと尓おいゝつるわらハへの可すほくなり」(117ウ)

  尓ける越らんせさせむとてまいなとなら
  ハし者しめし楚のを多尓者多さん
  とて拍子とゝのへむこ多れ尓可ハともひ
  めくらし可年てなむろとふらひものし
  者ぬうらみもすてゝけるとの多まふ
  个しき能うらな起やうなるも能可らいと/\
  者つ可しき可ほの多可ふらむとおほえ
  ていらへもとみ尓えき古えす
0532【月ころ】-柏詞
  可多/\尓おほしなやむとうけ多まハり
  なけき可らをひより連いも」(118オ)

  わつらひみ多り可くひやうといふ
0533【みたり】-乱心
0534【かくひやう】-脚病
  ころせくお古りわつらひりて者可/\
  しく婦ミ多つるらすろ尓
0535【ふみたつる事】-脚気
  そへて志つと尓もまいら
  す世中あと多え多るやうにてこも
  よ者ひ多り多まふ
0536【院】-朱
  より佐多可尓かそへ多てまつり徒可うま
  つるへきよしちし能おとゝひをよひ
  佐連しをかうふりを可けく流万越
0537【かうふりをかけ】-(朱合点)
  おしますゝてゝし尓てすゝミ徒可う」(118ウ)

  まつらむ尓徒く个尓羅うな
  ともしこと婦可きとこらむその
  心御覧せられよともよをしまうさるゝ
  こと能し可ハをもきやまひをあひ多
  すけてなんまいりていまハいよ/\
  とかす可なるさ満尓ほしすまして
  可めしきよそひをまちうけ多てまつ
0538【御よそひ】-用
  里者むこね可ハしくもほすましく
  多てまつりしをことゝもをハそ可せ
  て志つ可なる御物可多り能ふ可き可ひ」(119オ)

  可な者せ者むなんまさりてへき
  申給へハい可めしくきゝし御賀と越
0539【いかめしく】-源詞
0540【御賀のこと越】-女二ノ
0541【女二の宮】-落
  御方さ満尓ハいひなさぬも羅う
0542【らうありと】-おとなくおほす
  ありとおほす多ゝかくなんことそき多る
0543【ことそきたる】-略
  佐万尓世人ハあさくみるへき越さハいへと
0544【みるへき越】-女二ノ賀也
  えてせら流ゝ尓されハよとないとゝ
0545【心えて】-柏心得
  おもひなられ大将ほやけ可多ハやう/\
  をとなふめれと可うやう尓なさけひ多る
  可多ハもとより志まぬ尓やあらむ可能
0546【かの院】-朱
  に古ともをよひ者ぬことハさ/\なき」(119ウ)

  うちにも可く能可多のことハ御心とゝめていと
  可し古く志りとゝのへへるを佐こそお本し
  すて多るやうなれ志つ可尓き古しめ
  しすまさむいましもなむつ可ひ
  せら流へき可能大将もろともいれ
0547【かの大将】-夕
  てまひのわらハへのようい者へよくゝ
  ハへも能ゝ志なといふ多ゝわ可多て多る
  ことこそあれいとくちおしきりなと
  いとなつ可しく能多まひ徒くる越うれしきも
  の可らくるしく徒ゝましくてとすくな尓て」(120オ)

  このまへ越とく多ちなむとおもへハ
0548【この御まへ】-源
0549【とくたちなむと】-柏
  のやう尓こまや可尓もあらてやう/\春へり
  いてぬひむ可しのとゝにて大将徒くろ
0550【大将】-夕
  ひい多し可くまひの佐うそく能
  ことなま多/\をこなひくハへある
  へき可きりいみしく徒くしへる尓いとゝく
  ハしき志らひそふもけ尓このみちハいと
  ふ可き尓楚も能しめ流个ふハ可ゝ流
  こゝろ見のひなれと御方/\物見堂万
  ハむ尓ところなくハあらせしとて可の」(120ウ)

  御賀ひハあ可き志ら徒るはミ尓えひ
0551【あかきしらつるはミ】-赤白橡
0552【えひそめ】-葡萄染
  そめ能志多可さ年をきるへし个ふハあを
0553【かさね】-襲
0554【けふは】-試楽
  いろ尓す王う可さ年可く人三十人个ふハ
0555【すわうかさね】-蘇芳重
  志ら可さ年をき多るたつミ能可多の徒りと
0556【しらかさね】-下重白打
0557【つりとの】-釣
  の尓つゝき多る羅うを可く尓てのみ
  なミ能そハより御前尓いつるほと仙遊霞
0558【仙遊霞】-センユウカ 大食調曲ノ無舞 古楽也 小曲也
  といふも能あそひての多ゝいさゝ可ち流尓
  となりち可くむめ能个しきみる可ひ
0559【春のとなりちかく】-(朱合点) 冬なから春のとなりのちかけれハ中かきよりそ花ハちりける(朱)(古今1021・古今六帖1349・深養父集18、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本付箋14)
  ありてほゝゑミ多りひさしのミす農
0560【ほゝゑミたり】-(朱合点) にほハねとほゝゑむ梅の花をこそ我もおかしとおりてなかむれ(好忠集26、異本紫明抄・河海抄・孟津抄・岷江入楚)
0561【ひさし】-庇也
  うち尓ハしませハ式部卿みやの」(121オ)
0562【右のおとゝ】-ヒケ

  おとゝハ可り佐ふらひ多まひてれより志も
  の可む多ちめハすのこ尓わさとならぬひの
0563【すのこ】-簀子
  尓てあるしなと遣ち可きほと尓つ
  可うまつりなし多りと能ゝ(朱))
0564【右の大との】-ヒケ
0565【四らう君】-頭中将
  う大将殿らう兵部卿のみや
0566【三らう君】-源宰相中将
0567【兵部卿のみや】-蛍
  能そむ王うの多ち婦多りハ万歳楽
0568【そむわう】-五世まて孫王といふ
0569【ふたり】-宰相中将 侍従
  ま多いとちひさ起ほと尓ていと羅う多け
  四人可らいつ連とな多可起い(+へ(朱))のこ尓て
  可多ちお可し遣尓かし徒きいて多流
  なしもやむことな又大将御子のないし」(121ウ)
0570【ないしのすけ】-藤内侍 惟光ー

  のす遣ハら能らう式部卿兵衛
0571【二らう君】-中納言
0572【式部卿の宮】-紫父
  といひしいまハ源中納言わう
0573【御こ】-若公
0574【わう上】-皇麞
  ほ井と能ゝらうれうわう
0575【三らう君】-右大弁 振分髪二人
0576【れうわう】-
陵王(朱)
  大将殿能堂らう羅くそむさてハ太平
0578【大将殿】-夕
0579【たらう】-右衛門督
0580【らくそむ】-
落蹲(朱)
  喜春楽といふまひともをな
  可らひの堂ちとな多ちなとまひ
  くれゆけハみ春あけさせも能ゝ
  う満さる尓いとうつくしき御むまこ
0581【御むまこの君たち】-源
  の多ち能可多ちす可多尓てまひのさ
  まもえぬ越徒くしてほむ」(122オ)

  ともゝをの/\ての可きりをゝしへき古え
  ける尓婦可き可と/\しさ越くハへてめつら
  可尓まひいつれをもいとらう多し
  とおほ春へる可む多ちめ多ち盤
  み那おとし式部卿まこ
  をおほして者なつくまて志ほ多
  連あるし能春く流よハひ尓そへて
0582【あるしの院】-源
  ハゑひなきことゝめ可多きわさな
0583【ゑひなき】-(朱合点)
  个れ衛門督心とゝめてほゝゑまるゝいと
  者つ可しやさりともい万志ハしならん」(122ウ)

  さ可さ満尓ゆ可ぬとしい者え能か
0584【さかさまにゆかぬ】-(朱合点) 古今 さかさまに年もゆかなんとりもあへすすくる齢やともにかへると(古今896、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  連ぬ王さとてうちみやりより
  遣尓まめ多ちくんしてまこと尓
  もいとなやまし个れハいみしきことも
  めもとまらぬちするをしも佐し
  王起てそらゑひをしつゝ可くの多まふ
  た者ふ連のやうなれといとゝむ年つふ連て
  さ可つき能めくりく流も可しらい多くお
  ゆ連ハ希しき尓てまきらハす越
  しと可めても多せな可ら堂ひ/\」(123オ)

  志井戸へハ$者(朱))し多なくてもて王つら婦さ満
  なへて尓ゝす可し心地可きみ多りて
  堂へ可多け連ハま多ことも者てぬ尓ま可て
  ぬるまゝ尓いとい多くまとひてれいの
  いとおとろ/\しきゑひ尓もあらぬをい可
  なれハ可ゝ流ならむつゝましと日つる
  尓の(+の(朱))ほりぬる尓やいとさいふハ可り
0585【気ののほりぬる】-気のあかる也
  くすへきよハさとハほえぬをいふ
  可ひなくもありける可那とつ可ら
  志ら流志ハしのゑひのまとひ尓もあらさり」(123ウ)

  个りや可ていとい多く王つらひとゝハゝ
0586【おとゝ】-致ー
  ほしさハきてよ楚/\尓ていと
  おほつ可なしとてと能尓わ多し多てまつり
0587【とのに】-致ー家
  女宮ほし多るさ満ま多いと
0588【女宮】-落ー
  く流しこと那くてすく春へきひのと
  可尓あいな多のミしていとしもあらぬ
0589【あいなたのミ】-空契
  こゝろさしなれとい万ハとわ可れ多てまつる
  へき可とて尓やとおもふハあ者れ尓可な
0590【かとて】-門出
  くをくれてほしなけ可んこと能可多し((朱)け(墨))な
  き越いみしと者ゝミやすもいと」(124オ)

  いみしくなけきのことゝ志て
0591【世のことゝして】-御母詞
  をハさるを起多てまつりて可ゝ流
  可らひハとあるおりも可ゝるおりも
  者なれ多満者ぬこ連いのことな可く
  ひき王可れて多ひら可尓も能し多まふ
  まてもすくし者む可徒くしなるへき
  こと越志はし古ゝ尓て可くて古ゝろ多まへ
0592【こゝにて】-致ー家
  と可多ハら尓きちやうハ可り越遍多
  てゝ多てまつりとハりや可すな
  ぬ尓てをよひ可多きな可らひ尓」(124ウ)

  なましひ尓ゆるされ多てまつりてさふら婦
  志るし尓ハな可くりて可ひなき
  能ほともすこしひとゝ飛としくなる遣ち
  めをもや御覧せら流ゝとこそおもふつれ
  いといみしく可くさへなへ連ハ布可き
  佐しを多尓御覧し者てられ春やなり
  りなむともふ多まふる尓なんとまり
  可多起心地尓もえゆきやるましく
  へら流ゝなと可多み尓なきひて
  とミにもえ王多り者年ハ者ゝき多」(125オ)

  の可多うしろめ多くおほしてと可まつ
  えむとハおもひ多まふましき王れハ
  もすこし連(+い(朱))ならす本そ
  あま多能まつとりわきてゆ可しくも
  たのもしくもそおほえ可くいとお
  ほつ可なことゝうらみき古えいと
  ことハりなりよりさ起なりける遣ちめ
0593【さきなりけるけちめ】-嫡子
  尓やとりわきておもひならひ多るをいま尓
  な越可那しくしひて志ハしもみえぬを
  ハく流しき尓しへハちの可く可き」(125ウ)

  里尓おほゆるおりしもみえ多てまつらさ
  らむつミふ可くいふせ可るへしい万ハと多の
0594【いまハと】-柏詞
  ミなくき可せハゝいと志のひて王多り
  ひて御覧せよ可ならす堂いめん
  たまハらむあやしく堂ゆくをろ可な
0595【あやしくたゆく】-堕窳
  尓て古と尓ふれてをろ可尓おほさるゝこ
  もありつらむこくやしく可ゝ流い
  のち能ほと越志らてゆくす衛な可く
  おもひ个ることゝなく/\わ多り多まひぬ
  ハとまりいふ可多なくおほしこ可れ」(126オ)
0596【宮】-落

  多り大殿尓まちう遣き古えよろ
  つ尓さハきさ流ハ堂ちま地尓とろ
  おとろしき御心ちのさ満尓もあらす
  ろも能なと越佐ら尓まいらさりける尓
  いとゝ者可那き可うしなと越多尓ふ連多ま
  ハす多ゝやう/\も能尓ひきいるゝやう尓
  みえさ流のいうそくの可くし多まへハ
0597【いうそくの】-二心アリ
  世中しミあ多らし可りてとふらひ尓
  まいり者ぬよりもよりも
0598【院よりも】-冷
  とふらひ志ハ/\き古え徒ゝいみしくおしミ」(126ウ)

  おほしめし多流尓もいとゝし起おや多ち
  の御心のミまとふ六条院尓もいとくちおし
  きわさなりとおほしおとろきてとふら
  ひ尓多ひ/\ねんころ尓ちゝおとゝ尓もき
0599【ちゝおとゝ】-致ー
  古え大将盤ましていとよ起御中れハ
0600【大将】-夕
  希ち可くも能し徒ゝいみしくなけき
  ありき御賀廿五日尓なり尓个り
0601【御賀】-朱ー
  かゝ流のやむことなき可む多ちめ能おもく
  わつらひ多まふ尓や者ら可らあま多の
  /\佐るた可き可らひのなけき志ほ」(127オ)

  連へる古ろをひ尓ても能すさましき
  やうなれと徒き/\尓とゝこほりつる
  多尓ある越さてやむましきなれハ
  い可て可ハほしとゝまらむ女宮御心
0602【女宮】-女三
  をそいとおしくひき古えさせ連い
  の五十寺可能おハします
0603【五十寺】-歳数
  てらにもま可ひ類さな能」(127ウ)
0604【てら】-仁和寺円堂本尊金大日

【奥入01】史記 周本記
    楚有養由基者善射者也去柳葉
    百歩而射百発而百中左右観者数十人
    皆曰善射々之
    伊行

【奥入02】毛詩云
    如ハ感陽氣春思男々感陰氣
    秋思

【奥入03】掛冠 懸車
    東観漢記曰 王莽居構子宇諌
    莽而莽殺之逢萌謂其友人田三綱
」(128オ)

    絶矣不去禍将及人即解冠掛東
    門而去蒙求 逢萌掛冠
    後漢書逢萌字子康北海人掛冠
    避世懸車
    古文孝経曰
    七十老致仕懸其所仕之車置
    諸廟永使子孫監而則焉立身之
    給其要然也
」(128ウ)

イ本
源四十一歳三月より四十七歳まての事有此巻はかなくて年月も
かさなると云詞ニ四十二三四五の事篭歟
一名ハもろかつら但不用之
 此巻条
一冷泉院御位をさり給事<在位十八年> 一今上御位につき給事
一住吉詣源氏同紫上明石等事 一朱雀院五十御賀女三
 宮在憎床之延引遂に廿五日云々 女二宮先奉御賀
一紫上違例邪気<御息>事 一柏事
 此巻よく学すれは末巻心得やすき物也任師説
 加首筆者也 前大僧正良鎮」(後遊紙1オ)

一校了(墨)
二校了(朱)」(表表紙蓋紙)