First updated 12/29/2002
Last updated 11/20/2024
若菜下
【凡例】
1.『源氏物語(明融本)U』(東海大学出版会 1990年7月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母字形は茶色で表示し、同じ字母字形が並ぶ場合は緑色で表示した。
「わ可な 三十五/下」(題箋)
「上冷泉殿為和卿御息明融 琴山(印)」(遊紙表貼紙)
こと者りと者お1もへとも1うれ多くもいへる可那いてや
な1そ2可くこ2とな2るこ2とな1きあへしらひ者可りをな1く
佐め尓て者い可ゝ春くさむかゝる人徒てな2らてひと
こ2とをもの1多まひきこゆる世ありな2んやと思ふ尓つ
遣てお1ほ可多尓て者お1しくめて多しとお1も1ひき
こゆる院の御多めな2万ゆ可む心やそ2ひ尓多らむ
0001【なまゆかむ心】−此御ハカリ院ノ御為アシケレトナヲサレヌノ心也
徒こも1りの1日者人/\あ万多万いり給へりな1万物う
く春ゝろ者し个れとそ2のあ多りの花の色をも1
見てやな1くさむと思日て万いり給殿上のゝりゆみきさ
らき(+尓)とありしをすきて」(1オ・1125F)
三月者多御き月な2れ者くち越しくと2人/\
0002【御き月】−藤壺后
お1も1ふ尓1この院尓1可ゝ累まと井あるへしと2
きゝつ1多へてれいのつと2ひ給左右大将さる御
0003【左右大将】−ヒケクロ 夕霧也
な1可らひ尓てまいり給へはすけ堂ちな2といと
0004【すけたち】−中将少将ノコト
見可者してこゆミと2の1給し可と2可ちゆミ能
0005【かちゆみ】−歩射
すくれ堂る上寿と2も1ありけれ者めしいてゝ
いさせ給殿上人と2も1ゝつ1き/\しき可きり者
みな1まへ志りへ能心こまと2りに可多わきてくれ
ゆくまゝにけふ尓とちむる可すミの个しきも1あ
0006【けふにとちむる】−\(合点)
わ多ゝしく見堂るゝゆふ風尓者な1の可け伊
0007【はなのかけ】−\(合点)个ふのミと春をおも者ぬ時多/尓も/立こ2とや春き花の可遣可ハ(付箋@)
と2(+ゝ)堂つ1こ2とやす可らて人/\い堂くゑひすき」(1ウ・1125L)
給てえむな2る可けも1のと2も1こな1多可な2多人/\
の御心見えぬへきをやな2きの者をも1ゝ堂ひ
0008【やなきのはを】−\(合点)
あてつ1へきと2ね里と2も1のうけ者りていと2な1む志
むな2りやすこしこゝしきてつ1きと2も1をこ所
0009【こゝしき】−巨
いと2満せめと2て大将堂ちよ里者しめてお1里
給に衛も1んの可みひと2よ里け尓1な2可めを新
つ1ゝも1のし給遍ハ可能可多者し心しれる御め尓は
0010【かのかたはし】−夕霧
見つ1けつ1ゝなをいと遣しきこ2とな2里わつら者
しき事いてくへきよ尓やあらんと2われさへ
おも1ひつきぬる心ち須この君堂ち御中いと2よ/し」(2オ・1126D)
さる1な2可らひと2いふ中尓も1心可者してねんころ
な2れ者ハ可な2きこ2と尓ても1ゝ能お1も1者しくう
ちまき累ゝこ2とあらんをいとお1しくお1ほえ給
身つ1可らも1お1とゝ越見堂てまつ1累尓遣お1そ2
0011【身つからも】−柏木心
ろしくま者ゆく可ゝ累心者あるへきも1の可な1
のめな2らん尓て堂に个し可らす人尓てむつ1可累
0012【てむつかる】−ホメソシラルヽコト
へきふるまひ盤せしと2お1もふもの1越まして
お1ほ个な2きこ2とゝお1も1ひわひて者可の1あ里志
ねこを堂にえてし可な1お1も1ふこ2と可多らふへくは
あらねと2可多ハらさひしきな2くさめ尓も1なつ1
けむと2お1も1ふ尓も1のくる越しくい可て可者ぬすミ」(2ウ・1126J)
いてむと2そ2れさへそ2可多きこ2とな2り遣る女御の御可多
0013【女御の御かた】−弘徽殿
尓まい里ても1の可多りな2ときこえまきら者し
心ミるいとお1くふ可く心者つ1可しき御も1てな2し
尓てま本に見え給こ2とも1な2し可ゝ累御な2可らひ
に多にけと2をくな2らひ堂る越ゆく里可にあや志く
0014【ゆくりかに】−不意
者あ里しわさそ2可しと2はさす可にうちお1ほゆ
れと2おほろ遣にしめ多るわか心可らあさくも1お
も1ひな2され春春宮にまいり給てろな2う可よ
0015【ろなう】−無論(大島本0025)
0016【かよひ給へる】−似給ントミ給也
ひ給へると2ころあらん可しと2めと2ゝめて見堂て
まつ1るに尓本ひや可にな2とはあらぬ御可多ちな2/れと2」(3オ・1127B)
さ者可りの御あ里さ満ハ多いとこ2と尓てあてにな1
まめ可しくお1者しますうちの御ねこのあま
0017【うちの御ねこ】−禁中ノコト
堂ひきつ1れ堂里け累ハら可らと2も1の1と2ころ
と2ころ尓1あ可れてこの宮尓1も1まいれる可いと2お
可しけ尓てありく越ミるにまつ1おも1ひいてら
累れ者六条の院のひめ宮の1御可多に者へるねこそ2
0018【六条の院の】−柏
いと2見えぬやうな2る可本してお可しう者へし可
者つ1可にな2むミ給へしと2けいし給へ者わさと2らう
0019【らうたくせさせ給御心】−猫ヲ思給フ也
堂くせさせ給御心尓てく者しくと2者せ給
可らねこの1こゝの1尓堂可へるさましてな2む者へ
0020【からねこ】−柏
りしおな2しやうな2るも1の1な2れと2心お可しくひと2」(3ウ・1127H)
な2れ多るはあやしくな2つ1可しきも1の尓な2む
者へるな2とゆ可しくおほさる者可りきこえな1
し給きこしめしをきてき里つ本の1御可
多よりつ1多へてきこえさせ給个れ者まいらせ
給へりけ尓いとうつ1くし个な2るねこな2りけ里と2
人/\个うする越衛も1んの可ミ堂たつ1ねんと2お1
ほし多りきと2御遣しきを見越きてひころへて
まいり給へ里わらハな2りしより朱雀院のと2りわき
てお1ほしつ1可者せ給し可は御山すミに越くれ
きこえては又この宮尓もし堂しうまい里
0021【この宮】−春宮
心よせきこえ多里御こ2とな2と越しへきこえ給」(4オ・1128@)
と2て御ねこと2もあま多つ1と2ひ者へり尓け里いつら
0022【いつらこのみし人は】−柏ノ猫ヲシル人ニソシラス詞
このみし人者と2堂つ1ねて見つ1け堂まへ里いと2ら
う堂くおほえて可きな2てゝゐ多り宮も1け尓1
お可しきさまし堂里け里心な2むま多な1つ1き
可多きは見な2れぬ人をし累尓やあ覧こゝな1
累ねこと2も1こと2にお1と2らす可しと2の1給へ者これ者
0023【これは】−柏
さるわきまへ心も1おさ/\者へらぬも1のな2れと2
そ2の中尓も1心可しこきは越のつ1可ら堂ま
しひ者へらむ可しな2ときこえてまさると2も1
0024【まさるとも】−マタヨキモアレトモト也
さふら婦めるをこれ者しハし給者りあつ1可らん
と2申給心のうち尓1あな2可ち尓1おこ可ましく可つ者
おほゆるにこれを堂つ1ねと2りてよるも1あ多りち」(4ウ・1128G)
可く布せ給あ个多てハねこの1可しつき越志て
な2てやしな2ひ給ひと2けと2を可りし心も1いと2よく
なれてと2も1すれ盤きぬの1すそ2尓1まつ1者れよ
里ふしむつ1累ゝをまめや可にうつ1くしと2おも1ふ
いと2い多くな2可めて者しち可くよ里ふし給へるに
きてねう/\と2いと2らう堂け尓1な2け者可きな2てゝ
う多ても1寿ゝむ(+ル)可な1と2本ゝゑ万る1
恋わふる人の可多ミと2てな2らせはな2れよ
な2尓と2てな2くねな2る覧これも1む可しのちき
0025【むかしのちきり】−\(合点)
里尓やと2可をゝみつ1ゝの給へ者いよ/\らう
堂け尓1な2くを布と2ころ尓1いれてな2可め井給へり」(5オ・1129@)
こ堂ちな2とはあやしく尓者可な2るねこの1と2き
めく可な1可やうな2るも1のミいれ給者ぬ御心尓と2ゝ
可め个り宮よりめすにも1まいらせすと2りこめて
これを可多らひ給左大将殿の1き多の可多は
0026【左大将殿のきたのかた】−玉カツラコト
大殿の君堂ちよりも1右大将の君を者な2をむ
可しのまゝにうと2可らすおも1ひきこえ給へり
心者への可と2/\しくけち可くお1者する君尓て
多いめむし給と2き/\も1こまや可にへ多て堂る
けしきな1くも1てな1し給へれ者大将も1しけい
さな2とのうと2/\しくをよひ可多个な1る御心さ満
のあまりな2るにさまこと2な2る御むつ1ひ尓てお1も1ひ」(5ウ・1129F)
可者し給へりおと2こ君いま者まして可の者し
0027【おとこ君】−ヒケクロ
めの1き多の可多をも1ゝて者な2れ者てゝな2らひ
な2くも1て可しつ1きゝこえ給この御者らに者
お1と2こきむ堂ちの可きりな2れ者さう/\し
と2て可のまき者しらのひめきみをえて可志
つ1可ま本しくし給へと2お1ほち宮な2とさらに
ゆ累し給者すこの1君を堂に人わらへな2らぬさ
0028【この君】−槙柱ノコト式部卿ノ心
ま尓てみむと2おほしの給みこの御お1ほえいと2
0029【みこの】−式部卿ノコト
やむこ2とな2くうちにも1この宮能御心よせいと2
こよな2くてこのこ2とゝそ2うし給こ2とを者えそ2
むき給者す心くるしきも1の1尓お1も1ひきこ」(6オ・1129L)
え給へりお1ほ可多も1いまめ可しくお者する宮
0030【宮】−式部卿
尓てこの院おほ殿尓さしつ1き堂てまつ1里
0031【この院】−源
0032【おほ殿】−太政大臣
て者人も1まい里つ1可うまつ1里よ人も1越も1く
おも1ひきこえ个り大将も1さるよのおも1しと2
0033【大将】−ヒケクロ
な2里給へきし堂可多な2れ者ひめ君能御お1ほえ
0034【ひめ君】−真木柱
な2とて可は可累くはあらむきこえいつ1累人/\
こと2にふれてお1ほ可れと2おほしも1さ多めす衛
門の可ミをさも1个しき者ま者と2おほすへ可
めれと2ねこ尓はおも1ひおと2し堂てまつる尓や
可けても1お1も1ひよらぬそ2くち越し可り个る」(6ウ・1130D)
者ゝ君の1あやしくな2をひ可める人尓てよの
0035【はゝ君】−真木柱ノ心
つ1ねのあ里さま尓も1あら寿も1て个ち給へるを
くちおしきも1の尓おほしてまゝ者ゝの御あ多
0036【まゝはゝ】−玉カツラ
りをは心つ1けてゆ可しくおも1ひていまめき
堂る御心さ満尓そ2も1能し給个累兵部卿宮
猶ひと2ゝころのミお1者して御心尓つ1きてお
ほし个るこ2とゝも1はミな1堂可ひて世中も1す
さましく人わらへ尓おほさ累ゝにさてのミや
者あまえてすく寿へきと2おほしてこのわ多り
0037【このわたり】−真木柱
尓けしき者見より給へれ者大宮な2尓可者可」(7オ・1130I)
志つ1可むと2お1も1者む女こをは宮つ1可へ尓つ1
きて者みこ堂ち尓こ2そ2者見せ堂てまつ1ら
め堂ゝ人のすくよ可尓な2越/\しきをのミ
いまのよの1ひと2の可しこくするしな2ゝき
わさな2りと2の給てい多くも1な2やまし堂て
まつ1里給者すうけひき申給つ1みこあま
0038【みこ】−蛍
里うらみと2ころな2きをさう/\しと2おほせと1
おほ可多の1あな2つ1里尓くきあ多りな2れ者え志
も1いひすへ(へ$く)し給者ておハしましそ2めぬいとに
な2く可しつ1ききこえ給大宮者女こあま多
も1のし給てさま/\も1のな2け可しきお里/\」(7ウ・1131A)
おほ可るにも1のこ里しぬへ个れと2猶この君の
事のお1も1ひ者な1ち可多くおほえてな2む者ゝ
君者あやしきひ可も1の尓1と2しころ尓そ2へて
な2りまさり給大将者多わ可こ2とにし堂可者す
と2てをろかにミすてられ多めれ者いと2な2む心く
累しきと2て御しつ1らひをも1堂ち井御て
つ1可ら御覧しいれよろつ1尓1可多しけな1く御
心尓いれ給へり宮ハうせ給尓けるき多の可多
0039【宮】−蛍
0040【きたのかた】−前斎院ト云人
を世と2ゝも1にこひきこえ給て堂ゝむ可し能
御あ里さ満尓ゝ堂てまつ1里堂らむ人を」(8オ・1131G)
見むと2お1ほしけるにあしくはあらねと2さま
0041【あしくはあらねと】−真木柱
可者りてそ2も1のし給个ると2おほ寿にくち
おしくやあ里个むかよひ給さまいとも1の
うけな2里大宮いと心つ1きな2きわさ可な1と2お本
しな2けき多里者ゝ君も1さこ2そ2ひ可ミ多
まへれと2うつ1しこゝろいてくると2きはくち越
しくうきよとおも1ひ者て給大将の君も1
され者よい多くいろめき給へるみこをと2者し
0042【いろめき給へる】−定ラヌ心
めよりわ可御心尓ゆるし給者さりし事
な2れ者尓やも1のしと2思ひ給へり可むの1君も1
可く堂のも1しけな1き御さまをち可くきゝ」(8ウ・1131M)
0043【御さま】−蛍ノコト
給尓はさやうな2るよの1な2可越みまし可はこな1
堂可な1多いかにおほしみ給者ましな2となま
お1可しくもあ者れ尓1も1おほしいてけ里
そ2の可ミも1けち可くみきこえむと2はお1も1
ひよらさ里き可し堂ゝな2さけ/\しう
心ふ可きさ満尓1の給わ多りし越あえな1く
あ者つ1个きやう尓1やきゝお1と2し給遣むと2いと2
者つ1可しくと2しころも1お1ほしわ多るこ2とな1
れ盤可ゝるあ多里尓てきゝ給者むこ2とも1
心つ1可ひせら累へくな1と2お1ほすこれよ里も1さ
累へきこ2と者あつ1可ひきこえ給せうと2の君」(9オ・1132D)
0044【せうとの君】−真木柱ヘ兄弟シテ玉ノ申返ラルヽ也
堂ちな2として可ゝる御けしきも1志らす可
本尓ゝく可らすきこえまつ1者しな2とするに
心くるしくても1て者な2れ多る御こゝろ者な2き
0045【もてはなれたる御こゝろ】−玉ノ心ワロクハ思ハヌニト也
尓おほき多の1か多と2いふさ可な1も1のそ2つ1ね
にゆるしな1くゑんしきこえ給みこ多ちは
0046【みこたちは】−大宮ノ心宮仕ニセテヲクニト也
のと2可にふ多心な1くて見給者む越多にこそ2
者な2や可な2らぬな2くさめ尓はおも1ふへ遣れと2
むつ1可里給越宮も1ゝ里きゝ給て者いときゝ
0047【宮】−蛍
な2ら者ぬこ2と可な1む可しいとあ者れと2おも1ひ
0048【いとあはれと】−蛍ノマヘノ北方ノコト也
し人をゝきても1な2越者可な2き心のすさひ
者堂えさ里し可と2可うきひしきも1の1ゑし者」(9ウ・1132J)
こ2と(+に)な1可りしも1の越心つ1きな2くいとゝむ可新
越こひきこえ給つ1ゝふるさと2にうちな2可め
可ち尓1のミお者しますさいひつ1ゝも1ふ多と2せ
者可り尓1な2里ぬれ者可ゝ累可多にめな2れてたゝ
さる可多の御中尓てすくし給者可な1くて年
月も1可さな2りてうちのミ可と2御くら井尓1つ1可
0049【うちのみかと】−冷泉
せ給て十八年尓な2らせ給ぬつ1きの君と2な2らせ
給へき見こお者しまさすも1のゝ者えな2き
0050【ものゝはえなき】−冷泉院御心
に世中者可な2くお1ほゆる越心や寿く思ふ人/\
0051【心やすく思ふ】−源ヲ敬ンコト也
尓も1堂いめむしわ多くしさまに心をや里
てのと2可にすきま本しくな2むと2ゝしころお」(10オ・1133B)
ほしの1給者せつ1る越ひころいと越も1くな1
やませ給こ2とあ里て尓者可に越里井させ給
ひぬよの1ひと2あ可すさ可りの1御よ越可く
の可れ給こ2とゝお1しミなけゝと2春宮も1お1と2
0052【春宮】−今上ノ御コト
な2ひさせ給尓1堂れ者うちつ1きて世中の1
まつ1里こ2とな2とこ2とに可者るけちめも1な2可り
遣里お1ほきおと2ゝちしの1へう堂てまつ里て
こも1り井給ぬよのな2可能つ1ねな1きによ里可
しこきみ可と2の1君も1くら井をさ里給ぬ
累尓1と2しふかき身の1可う布り越可けむな2」(10ウ・1133H)
尓可お1し可らんと2おほしの1給て左大将右大臣
0053【左大将】−ヒケクロ
尓な2里給てそ2よのな2可能まつ1里こ1とつ1可う
まつ1里給ける女御の君者可ゝ累御よをも1ま
0054【女御の君】−承香殿
ちつ1け給者てうせ給尓个れ者可きりある御
0055【かきりある御くらゐ】−贈皇后ニナラセ給
くら井をえ給へれと2も1のゝうしろの心ちして
0056【ものゝうしろの心ち】−人ノシラヌ心
可ひな2可り遣り六条の1女御の1御者らの一の宮
者う尓1井給ひぬさるへきこ1とゝ可ねておも1ひ
し可と2さしあ多里て者猶めて堂くめお1と2ろ
可るゝわさな2里个り右大将の君大納言尓な2里
0057【右大将の君】−夕霧
(+給て2連いの左尓うつり給ぬイ)給ひぬいよ/\あらま本しき御な2可らひな1り六条
院者お里井給ひぬるれせい院の御つ1きおは志」(11オ・1134@)
まさぬ越あ可寿御心のうち尓1おほすおな1し
すちな2れと2お1も1ひな2やましき御事な2らて
寿くし給へる者可り尓1つ1ミは可くれてすゑ
の1よまてはえつ1堂ふまし可里け累御すく
せくち越しくさう/\しくおほせと2人尓1
の給ひあ者せぬこ2とな2れ者いふせくな2む春宮
の1女御者みこ堂ちあま多可すそ2ひ給て
いと2ゝ御お1ほえな2らひな2し源しのうちつ1ゝ
ききさきに井給へきこ2と越よひと2あ可すお1
も1へ累尓つ1けても1冷泉院のきさき者ゆへな1
0058【冷泉院のきさき】−秋好
くてあな2可ち尓1可くしをき給へる御心を」(11ウ・1134F)
0059【かく】−如此也
お1ほす尓1いよ/\六条院の御こ2と越と2し月尓1
そ2へて可き里な2くお1も1ひきこえ給へり院の
0060【院のみかと】−六条院へ御幸
み可と2お1ほしめしゝやう尓1ミゆきも1と2ころ
せ可らてわ多里給ひな2としつ1ゝ可くてしも1
け尓1めて多くあらま本しき御あ里さ満な2り
ひめ宮の御こ2とはミ可と2御心と2ゝめておも1ひ
0061【ひめ宮】−女三
0062【みかと】−今上
きこえ給おほ可多のよ尓も1あまねくも1て可
しつ1可れ給越多いのうへの御いきをひ尓者
えまさ里給者すと2し月ふるまゝに御中いと
うるわしくむつ1ひきこ江可者し給ていさゝ
可あ可ぬこ2とな1く遍多ても1みえ給者ぬも1の」(12オ・1134M)
可らいまは可うおほそ2布のすま井な2らてのと
や可に越こな2ひをも1と2な2むおも1ふこのよは
0063【をこなひをもとなむ】−紫ノ心中
可者可りと2見者てつ1累心ちするよ者ひ尓も1
な2里に个りさりぬへきさまにおほしゆるし
てよとまめや可にきこえ給お里/\あるをあ
0064【あるましく】−源
累ましくつ1らき御こ2とな2里ミつ1可らふ可き
本いあるこ2とな2れと2ゝまりてさう/\しく
おほえ給ひあるよに可者らん御あ里さまの
うしろめ多さによ里こそ2な1可らふれつ井尓1
そ2のこ2とゝ个な2んのち尓と2も1可くもおほし
な2れな2とのミさま多けきこえ給女御の君」(12ウ・1135D)
0065【女御の君】−明石姫
堂ゝこな2多越まこ2との御お1や尓も1てな2し
0066【こなた】−紫
きこえ給て御可多ハ可くれ可の御うしろミ
0067【御かた】−明石上
尓てひけしも1のし給へるしも1そ2な1可/\
ゆくさき堂のも1しけ尓めて堂可里个るあ
万きミも1やゝもすれ者堂えぬよろこひの
な2ミ多と2も1すれ盤お1ちつ1ゝめをさへのこひ
多ゝしていのちな2可きうれしけな2る堂め
しにな2里ても1のし給すミよしの御くわん
可つ1/\者多し給はむと2て東宮能女御の御い
の里尓ま(+う)て給者むと2て可の者こあけて御覧
寿れ者さま/\のい可めしきこ2とゝも1お1ほ可」(13オ・1135J)
里と2しこと2の春秋能可くらに可な2らすな2可き
よの1いの里越く者へ多るくわんと2も1け尓可ゝ累
御いきをひな2らては者多し給へきこ2とゝも1
おも1ひ越きてさ里个里堂ゝ者し里可き
堂累おも1むき能さえ/\しく者可/\しく
0068【さえ/\しく】−才々敷
本とけ可見も1きゝいれ給へきこ2との1者あき
ら可な1リい可てさる山ふしのひし里心尓可
可累こ2とゝも1をおも1ひよりけむと2あ者れ尓お
ほけな2くも1御覧すさるへき尓てし者し可里
そ2め尓1ミをやつ1し个るむ可しのよ能をこ
0069【むかしのよ】−先世
な2ひ人尓やあ里遣むな2とお1ほしめくらす尓1」(13ウ・1136B)
いと2ゝ可る/\しくも1お1ほされさ里个りこの
堂ひ者この心を者あら者し給者す堂ゝ院
の御も1のまうて尓ていて多ち給うらつ1多ひ
能も1のさ者可し可里し本とそ2こらの御
くわんと2も1ミな2ハ多しつ1くし給へれと2も1猶世
中尓可くお者しまして可ゝる1いろ/\のさ可え
越み給尓つ1けても1可ミのお1ほむ多すけ者わ
すれ可多くて多いのうへも1くしきこえさせ
給てまうてさせ給ひゝきよのつ1ねな2らす
いミしくこ2とゝもそ2(+き)すてゝよの1わつ1らひ」(14オ・1136H)
あ累ましくと2者ふ可せ給へと2可き里あり个れハ
めつ1ら可によそ2本しくな2む可む多ちめも1
大臣ふ多所を越き多てまつ1里て者ミな1つ1
可うまつ1里給まひ人ハ衛ふのすけと2も1の可
多ちきよけ尓1多け多ちひと2しき可きり越
えらせ給このえらひ尓いらぬをはゝち尓1う
れへな2けき堂るすきも1のと1も1あ里け里へい
しうも1い者し水可も1の里むしのまつ1里な2
と2にめす人/\のみち/\のこ2とにすくれ堂る可き
りをと2ゝのへさせ堂まへりくハゝ里多るふ多りな1
む近衛つ1可さのな2多可き可きリをめし堂り」(14ウ・1137@)
ける1御可くら能可多尓はいとお1ほくつ1可うまつ1
れ里内東宮院の殿上人可多/\にわ可れて心よ
せつ1可うまつ1累可すも1しらすいろ/\尓つ1く
し堂る可む堂ちめの御むまくらむまそ2
ひすい身こと1ねりわら者つ1き/\のと1ねりな2と
0070【ことねりわらは】−中間ナトノモノ也
まてと1ゝのへ可さり堂るミも1のま多な2きさま
な2里女御殿多いのうへ者ひとつ1尓堂てまつ1
り多里つ1きの御くるま尓はあ可しの御可多あ
ま君しのひての里給へ里女御の御めのと1心志
0071【心しり】−案内者ノ心
里尓ての里多り可多/\のひと2多ま井う
0072【ひとたまゐ】−ノリカヘ也
への御方の五女御と2のゝいつゝあ可しの御あ可」(15オ・1137F)
れのみつ1めも1あや尓可さ里堂るさうそ2く
0073【みつ】−三
0074【めも】−目
あ里さまいへ者さらな2里さるはあま君を
者お1な2しくはおいの1な2ミのし者のふ者可り
尓人め可しくてまうてさせむと1院者の給
个れと2この多ひ者可くお1ほ可多の1ひゝきに
0075【このたひは】−明石上詞
堂ちましらむも1可多者らい多しも1しお1
0076【おもふやうならむ世中】−春宮ノ御世ノコト
も1ふやうな2らむ世中越まちいて堂らは登
御方者しつ1め給个る越のこ里の1いの1ちう
しろめ多くて可つ1/\も1のゆ可し可多里て志
多ひまい里給な2里个里さるへき尓ても1と2より
可く尓本ひ堂まふ御身と2も1よりも1いミし可」(15ウ・1137L)
里けるちきりあらは尓お1もひしらるゝ人の1
0077【人のみありさま】−明石上コト
みあ里さまな2里十月中十日な2れ者可みのい可き
0078【かみのいかきにはふくすも】−\(合点)ち者やふる神のい可支尓者ふく/春も/秋尓はあへ須もみちし尓个り(付箋A)
尓者ふくすも1いろ可者りてまつ1のし多も1み
ちな2とをと2にのミ秋をき可ぬ可本な2里こ2と/\
0079【をとにのミ秋を】−\(合点)もみちせ2ぬときハの山ハ吹風の/をと尓や秋をきゝ王多るらん(付箋B)
しきこまも1ろこしの可くよ里も1あつ1まあ
0080【あつまあそひ】−神楽也
そ2ひの見ゝな2れ多るハな2つ1可しくお1も1しろく
な2ミ可せのこゑ尓ひゝきあひてさるこ堂可き
まつ1風尓1ふき多て堂るふえのねも1本可尓
てきく志らへ尓は可者りて身尓しみゝ(ゝ$御)こと2(こと2=琴)に
0081【御琴】−和琴也
うちあ者せ堂る兵しも1つゝみをはな2れて
0082【兵し】−拍子
0083【つゝみをはなれて】−皷ヲウタヌ也
と2ゝのへと2里堂る可多おと2ろ/\し可らぬも1な2ま」(16オ・1138D)
め可しくすこうおも1しろくと2ころ可らはま
してきこえけ里山あ井尓すれる堂けのふ
0084【山あゐにすれるたけのふし】−布ニアヲク竹ヲカク也
しはまつ1のミと2り尓1見えま可ひ可さしの1いろ
いろ者秋のくさにこ1とな2る个ちめわ可れてな2尓
こ2とにも1めの1みま可ひいろふも1と2めこ者つ1累
0085【いろふ】−色メク心
0086【もとめこ】−求子
すゑ尓わ可や可な2る可む堂ちめ者可多ぬきて
お里給尓本ひも1な2くゝろきうゑのきぬ尓す
0087【くろきうゑのきぬ】−四位ノ袍也
わう可さねのえひそ2めのそ2て越尓者可にひ
き本ころ者し堂るにくれな2井ふ可きあこめ
の堂も1と2のうちしくれ堂るに个しき者可り
ぬれ堂るまつ1者ら越ハわ寿れても1みちのち」(16ウ・1138J)
累尓おも1ひわ多さるみる可ひお1ほ可累す可多
と2もにいとしろく可れ多るお1きを多可や可に
0088【おきをたかやかに】−人長トモ云心也
可さして堂ゝひと2可へりまひてい里ぬる者
いとおも1しろくあ可すそ2あ里け累おと2ゝむ可
し能こ2とお1ほしいてられ中ころしつ1ミ給
新世のあ里さまも1めのまへのやう尓1おほさ
累ゝ尓そ2のよ能こ2とうちミ多れ可多里給へき
人も1な2けれ者ちしのおと2ゝをそ2こひし
くおも1ひきこえ給け累い里給て二のくる
0089【二】−フタツ
ま尓1しのひて
堂れ可ま多心をし里てすミよしの1」(17オ・1139B)
0090【たれかまた】−源
神世を遍多るまつ1尓1こ2とゝ布御多ゝむ可ミ
尓可き給へ里あま君うちし本堂る可ゝ累
世越見るにつ1けても1可のうら尓ていま者と
わ可連給し本と女御の君能お者せしあ里
さ満な2とおも1ひいつ1るも1いと可多しけな2可
里个るみのすくせの1本と越お1もふ世越そ2むき
給し人も1こひしくさま/\にも1の可な2し
き越可つ1者ゆゝしと2こ2といミして
すみの1江をいけ累可ひあるな2きさと2は
0091【すみの江を】−尼
と2しふるあまも1けふや志る覧越そ2く者ひ」(17ウ・1139H)
んな2可らむと2堂ゝうちおも1ひけ累まゝな2里/遣り
む可しこそ2まつ1わ寿られねすミよしの
0092【むかしこそ】−明石上
神のし累しをミ累尓1つ1けても1と2ひと2里こ
ち遣里よひと2よあそ2ひあ可し給者つ1可の
月者る可にすミてうミのをも1ておも1しろく
見えわ多るにしも1のいとこち多く越きて
まつ1者らも1いろま可ひてよろつ1のこ1とそ2ゝ
ろさむくお1も1しろさもあ者れさも1多ち
そ2ひ多里多いの1うへつ1ねの可きねのうち
な2可らと2き/\につ1けてこそ2けふあるあさゆふ」(18オ・1139M)
の1あそ2ひ尓1みゝふ里めな2れ給遣れみ可と2
よ里と2のも1の見おさ/\志給者すまして
可く宮この本可のあ里き者ま多な2らひ
給者ね者めつ1らしくお1可しくお1ほさる
すミの1江のまつ1尓1よふ可くおくしも1は
0093【すみの江の】−紫
可ミの可け多るゆふ可つ1ら可も1堂可むらの1
0094【たかむらのあそむ】−\(合点)
あそ2むの1ひらの1山さへと2いひけるゆきの
あし堂越お1ほしやれ者まつ1里の1心うけ給
し累しにやと2いよ/\堂のも1しくな2む女御君
可ミ人の1て尓1と2里も1多るさ可き者に
ゆふ可けそ2ふるふ可きよのしも1中つ可さの君
0095【中つかさの君】−紫ノ方ノ人
者ふ里こ可ゆふうちま可ひをくしも1は」(18ウ・1140G)
个尓1いちし累き神のし累し可つ1き/\可
すしら寿お1ほ可里个るをな尓せむ(+尓)可はき
きを可む可ゝ累おりふしのう多盤れいの上
すめき給お1と2こ多ちも1中/\いてきえして
松の1ちと2せよ里者な2れていまめ可しきこ2と
な2けれ者うるさくてな2む本の/\と2あ个ゆくに
しも1はいよ/\布可くても1と2すゑも1堂と2/\
新きまてゑひすき尓多る可くらお1も1てと2も
の1をの可ゝをゝ者志らてお1も1しろきこ2とに心
者しミて尓者ひも1可けしめ里堂るにな1を」(19オ・1140L)
まさい/\と2さ可き者をと2里可へしつ1ゝい者ひき
こゆる御よのすゑお1もひやるそ2いと2ゝしき
0096【御よ】−源ノ御世ノコト
やよろつ1のこ2とあ可すおも1しろきまゝにち
0097【ちよをひとよに】−\(合点)秋の夜のちよを一夜尓な2せり/とも/こ2と葉のこりて鳥やな2支な2ん(付箋C)
よをひと2よ尓1な2さま本しきよのな2尓ゝも1
あらてあ个ぬれ盤可へるな2ミにきおふも1く
ちおしくわ可き人々お1も1ふまつ1者らに者る/\
と2堂てつ1ゝ个多る御くるまと2も1の1風尓うち
な2ひくし堂す多れの1ひま/\も1と2き者の可け
尓者な1の1尓しき越ひきく者へ多ると2見ゆるに
うへのきぬの1いろ/\けちめ越きてお可しき可け
者んと2里つ1ゝきても1のまいりわ多すをそ2しも1」(19ウ・1141E)
人な2とはめ尓1つ1きてめて堂しと2はお1もへる
あま君の1おまへ尓1も1せん可うのお1しきにあ
を尓ひのお1も1てを里てさうしも1の越まいる
0098【をりて】−織 衣ニテ覆シタル也
と2てめさましき越むな1の1寿くせ可な2と越
の1可しゝ者し里うこち个里まうて給し
みちはこ2と/\しくてわつ1らハしき神堂可ら
さま/\にと2ころせけな2里しを可へさ者よろつ1
の1せうよう越つくし給いひつ1ゝくるもうるさ
くむつ1可しきこ2とゝも1な2れ者可ゝ累御あ里
さま越も1可の1入道のき可すみぬよ尓1可け者な1」(20オ・1141J)
れ堂うへるのミな2むあ可さ里ける可多(+き)こ2とな2り
可しましらハましも1みくるしくや世中の1
人これを多めし尓て心多可くな2里ぬへきころ
な2め里よろつ1のこ2とにつ1けてめてあさ見よの
0099【あさみ】−欺
こ2とくさ尓てあ可しのあま君と2そ2さい者い
人尓いひ个る可のちしの1お1ほと2のゝあふミの
君者すくろくうつ1と2きのこ2と者にも1あ可しの1
あま君/\と2そ2さい者こひ个る入道のミ可と2は御
0100【入道のみかと】−朱
をこな2ひをいミしく志給てうちの御こ2と越も1
きゝいれ給者す春秋の行幸尓な2む無可し
お1も1ひいてられ給こ2とも1まし里けるひめ宮の1」(20ウ・1142B)
御こ2とをのミそ2猶えお1ほし者な2多てこの院を者
猶おほ可多の御うしろミにお1も1ひきこえ給て
うち/\の御こゝろよせあるへくそ2うせさせ給
二品尓な2里給て御封な2とまさるいよ/\者な2
0101【二品になり給て】−女三
や可に御いきをひそ2ふ多いの1うへ可くと2し月尓
そ2へて可多/\にまさ里給御お1ほえに王可みは
堂ゝひと2ゝころの御も1てな2しに人尓はお1と2ら
0102【たゝひとゝころ】−源ハカリノ愛ト也
ねと2あま里と2しつも1りな2ハそ2の御心者へも1つ1/井
尓おと2ろへな2んさらむよ越見者てぬさきに心と2
そ2むきにし可な2と堂ゆミな1くおほしわ多れと2」(21オ・1142H)
さ可しきやう尓1やおほさむと2つゝまれて者可/\
しくも1えきこえ給者すうちのみ可と2さへ
0103【うちのみかとさへ】−源心
御心よせこ2とにきこえ給へハ越ろ可尓1き可れ多
てまつ1らんも1いとおしくてわ多り給こ2とやう/\
0104【わたり給こと】−女三へ
ひと2しきやう尓1な2里ゆくさるへきこ2と/\者里
0105【ひとしきやう】−紫ト女三ト也
0106【さるへきこと】−紫心
と2はおも1ひな2可らされ者よと2のミや寿可らす
おほされ个れと2猶つ1れな2くおな2しさま尓て
すくし給東宮の1御さしつきの女一の宮をこ
0107【こなたに】−紫上
な2多にと2里わきて可しつ1き堂てまつ1里給そ2
の御あつ1可ひ尓1な2んつ1れ/\な2る御よ可れの本と」(21ウ・1143@)
も1な2くさめ給けるいつれも1わ可すうつ1くし
く可な2しと2お1も1ひきこえ給へりな2つ1の御可多
者可くと2り/\な2る御むまこあつ1可ひをうら
やミて大将の君のな1いしのすけハらの1君をせち尓
0108【ないしのすけ】−惟光女
む可へてそ2可しつ1き給いとお可し个尓て心者へ
も1本とよりはされお1よ寿け堂れ者おと2ゝの1
君もらう堂可里給すくな2き御つ1きとお1ほし
0109【すくなき御つき】−源ノ子孫繁昌ノコト
志可とすゑ尓ひろこ里てこな2多可な2多いとお
ほくな2里そ2ひ給をいまは堂ゝこれをうつ1
くしミあつ1可ひ給ひてそ2徒れ/\も1な2くさ
め給个る右大殿のまい里つ1可うまつ1り給こ2と」(22オ・1143F)
0110【右大殿】−ヒケクロ
い尓しへよりも1まさりて志多しくいまはき多の
0111【きたのかた】−玉カツラ
可多も1おと2な2ひ者てゝ可のむ可しの可け/\し
0112【かけ/\しきすち】−源ノ密通
きすちお1も1ひ者な2れ給尓やさるへきお1里も1
わ多りまうて給多いのうへ尓も1御堂い免む
あ里てあらま本しくきこえ可者し給个り
ひめ宮の1ミそ2おな2しさま尓1わ可くお1ほと2き
0113【ひめ宮】−女三
ておハします女御能君者いまはお1ほやけさ
0114【女御の君】−明石姫君 源心
ま尓1お1も1ひ者な2ちきこえ給てこの宮をは
0115【この宮】−女三
いと2心くるしくおさな2可らむ御む寿めのやう尓1
お1も1ひ者くゝ見多てまつ1里給朱雀院のいま者」(22ウ・1143K)
むけ尓1よち可くな2里ぬる心ちしても1の心本そ2
き越さらにこのよのこ2と可へ里ミしと2おもひ(+す)徒
れと堂いめんな2んいまひと2多ひあらま本しきを
も1しうらミのこ里も1こそ2すれこと2/\しき佐ま
な2らてわ多里給へくきこえ給个れ者おと2ゝも1
け尓1さるへきこ2とな2里可ゝ累御けしきな2可ら
む尓て多にすゝみまい里給へきをまして可う
まちきこえ給个る可心くるしきこ2とゝまい里
給へきこ2とおほしまうくついてな2くすさまし
きさま尓てや盤者ひわ多里給へきな2尓わさ
をして可御らんせさせ給へきと2おほ新めくらす」(23オ・1144D)
この多ひ堂里給者むと2しわ可な2ゝと2てうして
0116【わかなゝと】−朱ノ五十賀来年ノコト
やと2おほしてさま/\の御本うふくのこ2といも1
0117【いもゐ】−斎 イモヰ
井の御まうけ(+の)しつ1らひな2尓くれと2さまこ2とに
可者れるこ1とゝも1な2れ者人の御心しらひと2も1い
里つ1ゝおほしめくらす(+尓)い尓しへも1あそ2ひの可多
尓御心と2ゝめさせ給へ里し可者まひ人可く人な2とを
心こ2とにさ多めすくれ多る可き里をと2ゝのへさせ給
右大殿ゝ御こ2とも1ふた里大将の御こな1いしの寿
0118【大将】−夕霧
けのハらのく者へて三人ま多ち井さきな2ゝつ1
よ里可ミの者みな1殿上せさせ給兵部卿宮の
わらハ所んわうすへてさるへき宮堂ちの御こ2とも1」(23ウ・1144J)
いへのこの1君多ちみな1えらひいて給殿上の君
多ちも可多ちよくおな2しきまひのす可多も1
心こ2とな2るへきをさ多めてあま多のまひのまう
けをせさせ給いミし可るへき堂ひのこ2とゝてミな1
人心をつ1くし給てな2んみち/\能も1のゝし
上寿いとまな2きころな2里宮ハも1と2よ里きむ
0119【宮】−女三
の御こ2とをな2んな2らひ給个るをいとわ可くて院
0120【ならひ給ける】−源ニナラヒ給
尓も1ひきわ可れ多てまつ1里給ひし可はおほつ
可な2くおほしてまい里給者むつ1いてに可の1
御こ2とのねな2むき可ま本しきさりと2も1きむ」(24オ・1145B)
0121【きむはかりは】−女三無キ用ノ人也
者可りはひきと2里給つ1らんと2し里うこ2とに
きこえ給けるをうち尓も1きこしめして
け尓さ里と2も1け者ひこ2とな2らむ可し院の御
前尓てゝつくし給者むつ1い亭尓まいりきて
き可者やな2との多ま者せけるをお1と2ゝの君ハ
つ1多へきゝ給てと2しころさりぬへきつ1いてこ2と
尓者越しへきこゆるこ2とも1あるをそ2の个者ひ
ハけ尓1まさ里給尓多れと2ま多きこしめしと2
ころあるも1のふ可きて尓ハをよ者ぬをな2尓心も1
な2くてまいり給へらんつ1いてにきこしめさんと2
ゆるしな2くゆ可し可らせ給者んハいと者し多な2可」(24ウ・1145H)
累へきこ2と尓も1と2いとお新くおほしてこの1こ
ろそ2御心と2ゝめてをしへきこえ給志らへこ2とな2る
てふ多つ1ミつ1おも1しろき大こくと2も1の四き
0122【大こく】−曲
尓つ1遣て可者るへきひゝきそ2ら能さむさぬる
さをと2ゝのへいてゝやむこ2とな2可るへきての可きり
越と2り多てゝをしへきこえ給尓心も1と2な2く
お1者寿るやうな2れ登やう/\心え給まゝにいと
よくな2里(+給)ひるはいと人しけく猶ひと2多日も1
ゆしあんす累いと万も1心あ者多ゝしけ連者よる/\
0123【ゆし】−由
0124【あんする】−ヲス心
な2むしつ1可尓1こ2との心も1しめ多てまつ1るへき
と2て堂い尓も1そ2のころ者御いと2まきこえ給て」(25オ・1146A)
あけくれをしへきこえ給女御の君尓も1堂い
の1うへ尓もきむはな2らハし堂てまつ1里給者さ
りけれ者このお里お1さ/\みゝな2れぬてと2も1
ひき給らん越ゆ可しと2おほして女御も1わさと2
あ里可多き御いとまを堂ゝし者しと2きこえ
給てま可て給へり見こふ多と2ころを者するを
又も2遣しき者ミ給ていつ1ゝきハ可り尓そ2な2里
給へれ者神わさな2と尓1こ2とつ1けておハしま寿な2り
け里十一日すくしてハまいり給へき御せうそ2こ
うちしき里あれと2可ゝ累つ1いてに可くおも1」(25ウ・1146G)
しろきよる/\の御あそ2ひをうらやましく
な2とてわれ尓1つ1多へ給者さり个むと2つ1らく
お1も1ひきこえ給布ゆのよの1月者人尓多可
ひてめて給御心な2れ者おも1しろきよのゆき
の1ひ可り尓お1里にあひ多るてと2も1ひき給つ1ゝ
さ布ら婦人/\も1すこしこの1可多に本のめき
堂るに御こ2とゝもと2里/\にひ可せてあそ2ひな2と
し給と2しの1くれつ可多ハ多いな2とにハいそ2可しく
こな2多可な2多の1御いとな2み尓をのつ1可ら御覧
しいるゝこ2とゝもあれ者春の1うらゝ可な2らむゆふ
へな2とにい可てこの御こ2とのねき可むと2の給ひわ多」(26オ・1147M)
累尓と2し可へりぬ院の1御賀まつ1おほやけよ里
せさせ給こ2とゝもこち堂きにさしあひては
0125【さしあひては】−六条院ニテノハノヒヌ
ひんな2くおほされてすこしほと2すこし給
二月十よ日と2さ多め給て可く人まひ人な2と
まい里つ1ゝ(+御)あそ2ひ堂えすこの多い尓つ1ね尓
ゆ可しくする御こ2とのねい可て可のひと2/\のさう
0126【さう】−箏
ひ者の1ねも1あ者せて女可く心ミさせむ堂ゝいま
0127【ひは】−琵琶
のも1のゝ上寿と2も1こそ2さらにこのわ多りの人/\
の1ミ心しらひと2も1にまさらね者可/\しく
つ1多へと2里堂累こ2とはおさ/\な2个れと2な2尓こ2と」(26ウ・1147E)
も1い可て心尓しらぬこ2とあらしと2な2むおさな2
き本とにおも1ひし可はよ尓あるも1のゝ志と2
0128【ものゝし】−師
いふ可き里又堂可きいゑ/\の1さるへき人の1
つ1堂へと2も1をも1のこさす心ミしな2可にいとふ可く
者つ1可しき可な2とおほゆるきはの1ひと2な2むな2可
里しそ2の可ミよりも1又このころの1わ可き人/\
の1されよしめきすく寿尓は堂あさくな2り尓1
堂るへしきむ者多ましてさらにまねふ人
な2くな2りに堂里と2可この御こ2とのね者可り多に
0129【御ことのね】−女三
つ1多へ堂る人おさ/\あらしと2の給へハな2尓心な2く
うちゑミてうれしく」(27オ・1147K)
可くゆるし給本とにな2り尓けると2おほす廿一二
者可り尓な2り給へと2猶いといミしく可多な2り尓
きひわな2る心ちしてほそ2くあら(ら$え)可にうつ1
くしくのミ見え給院尓もみえ多てまつり
給者てと2しへぬる越ねひまさ里給尓个りと2
御覧す者可りよういく者へてみえ堂てまつ1
り給へと2こ2とにふれてをしへきこえ給け尓可ゝ
累御うしろミな2くてはましてい者けな2く
お者し万す御あ里さ満可くれな2可らまし登
人/\も1見多てまつ1る正月廿日者可り尓な2れハ」(27ウ・1148C)
そ2らも1お可しき本とに可せぬるくふきて
お1まへのむめも1さ可り尓な2里ゆくお1ほ可多の
者な1のきと2も1ゝみな1けしき者見可すミわ多り
尓け里月堂ゝ者御いそ2きち可くも1のさは可し
可らむ尓可きあ者せ給者む御こ2とのねも1志可
くめきて人いひな2さむ越このころしつ1可な1
累本とに心ミ給へと2て心殿尓わ多し堂てまつ1里
0130【心殿にわたしたてまつり】−女三御試楽アソハス也 紫ヲワタシ給也
給御と2も1にわれも1/\と2も1のゆ可し可里てまう
の本らま本し可れと2こな2多にと2をきをは
え里と2ゝめさせ給てすこしねひ堂れと2よし
あ累可き里え里てさ布ら者せ給わらハへは」(28オ・1148I)
0131【わらはへ】−紫ノ方ノ人々也
可多ちすくれ堂る四人あ可いろ尓さくらの可さミ
う寿いろのを里も1のゝあこめうきも1む能うへの
者可まくれな2井の1うち堂るさまも1てな2しす
くれ堂る可き里をめし堂里女御の御可多にも1
御しつ1らひな2といとゝあら多まれるころ能く
も1りな2きにをの/\いとましくつ1くし堂る
よそ2お1ひと2も1あさや可尓ゝな2しわらハゝあお
いろ尓1すわうの可さミ可らあやのうへの者可満あ
こめは山ふきな2る可らのき越ゝな2しさま尓1と2ゝ/のへ
堂リあ可しの御可多の1ハこ2と/\し可らてこう者い」(28ウ・1149A)
ふ多里さくらふ多里あおしの可き里尓てあこ
めこくう寿くうちめな2とえな2らてきせ給へり
宮の御可多尓も1可くつ1と2ひ給へくきゝ給てわら
0132【宮の御かた】−女三
ハへのす可多者可りはこ2とにつ1くろ者せ給へリ
あお尓ゝやな2きの可さ見えひそ2めのあこ免
0133【あおに】−青丹
な2とこ2とにこのましくめつ1らしきさま尓は
あらねと2お1ほ可多の个者ひの1い可めしくけ多
可きこ2とさへいとな2らひな2しひさしの中の御
さうし越者な2ちてこな2多可な2多みき丁者可
り越遣ちめ尓て中のまは院のお者しますへき
お1ましよそ2ひ多里个ふの兵しあ者せにハわらハへ」(29オ・1149G)
0134【兵し】−拍子
越めさんと2て右大いと2のゝ三らう可むの君の御者ら
0135【右大いとの】−ヒケクロ
のあ尓君さうのふえ左大将の御多らうよこ
ふえと2ふ可せてすのこにさふらハせ給うち尓ハ
御しと2ねと2も1な2らへて御こ2とゝも1まいりわ多寿
ひし給御こ2とゝも1うるわしきこむちのふく
ろと2も1にいれ多ると2里いてゝあ可しの御方尓ひ者
むらさきのうへ尓わこむ女御の君尓さう
の御こ2と宮尓は可くこ2と/\しきこ2とはま多え
ひき給者すやと2あやうくてれいのてな2らし
給へるをそ2しらへて堂てまつ1里給さうの御」(29ウ・1149M)
こ2とはゆるふとな2けれと2猶可くも1の尓1あ者する
を里の志らへ尓つ1けてこ2とちの多ちと2み多るゝ
も1のな2里よくそ2の心しらひと2ゝのふへき越
をんな2者え者りしつ1めし猶大将をこ2そ2めし
0136【大将】−夕霧
よせつ1へ可免れこのふえふきと2も1ま多いと
お1さな2け尓て兵しと2ゝのへむ多のミつ1よ可らすと2
わらひ給て大将こな2多尓と2めせは御可多/\者つ
可しく心つ1可ひしてお1者寿あ可しの君を
者な2ちて者いつ1れも1ミな1すて可多き御てし
と2も1な2れ者御心く者へて大将のきゝ給者む尓1
な2んな2可るへくと2お1ほ寿女御ハつ1ね尓うへの」(30オ・1150E)
きこしめ寿尓も1ゝの尓1あ者せつ1ゝひきな2ら
し給へれハうしろや寿き越わこむこそ2
いく者くな2らぬしらへな2れと2あと2さ多ま里多
累こ2とな2くて中/\をむな2の堂と2りぬへ个れ春の
0137【春のことのね】−未勘
こ2とのね者みな1可きあ者するも1のな2る越み多
流ゝ所も1やと2な2まいとおしくおほ寿大将(+いと)い多く
心けさうしておまへのこ2と/\しくうるハしき
御心ミあらむよりも1个ふの心つ1可ひ者こ2とにま
さりてお1ほえ給へハあさや可な2る御な2越し
可う尓しミ多る御そ2と2も1そ2てい多く多き
しめてひきつ1くろひてまいり給本とくれ」(30ウ・1150L)
者てに个りゆへある多そ2可れと2きのそ2らに者
0138【はなはこその】−梅花ヘシ
な2ハこそ2のふるゆきお1も1ひいてられてえ多も1
堂者む者可りさきミ多れ堂里ゆるゝ可尓1
うちふく可せにえな2らす尓本ひ堂るミ寿
のうちの可をりも1ふきあ者せてうくひす
0139【うくひすさそふ】−\(合点)花の1可を風のたより尓多くへ/てそ/鴬さそふ志るへ尓ハやる(付箋D)
さそ2ふつ1ま尓1しつ1へくいミしきお1と2ゝの
あ多里の尓本ひな2里ミ寿のし多よ里さう
の御こ2とのすそ2すこしさしいてゝ可る/\しき
0140【かる/\しき】−源詞
やうな2れと2これ可をと2ゝのへて志らへ心ミ給へ
0141【をとゝのへて】−緒
こゝに又うと2き人のいるへきやうも1なきを」(31オ・1151C)
と2の給へハうち可しこまりて給者里給本とよう
いお1ほくめや寿くていちこちてうのこゑ尓1
0142【いちこちてう】−壹越調
者ちのをゝ堂てゝふと2も1志らへやらてさふら
0143【はちのを】−発絃
ひ給へ者猶可きあ者せ者可りはてひと2つ1す
さまし可らてこそ2と2の給へハさらに个ふの
御あそ2ひの佐しいらへ尓ましふ者可りのてつ1
可ひな2むおほえ寿者へり个ると2个しきは見
給さも1あるこ2とな2れと2女可くにえこ2とませて
な2む尓け尓けると2つ1多ハらむな2こそ2お1し个れ
と2てわらひ給志らへハてゝお可しき本とに可き」(31ウ・1151H)
あ者せハ可りひきてまいらせ給つ1この御まこ
の1君堂ちのいとうつ1くしきと2の井す可多
と2も1尓てふきあ者せ堂るも1のゝねと2も1ま多
わ可けれと2おひさきあ里ていミしくお可し
个な2里御こ2とゝも1のしらへと2も1と2ゝのひ者てゝ
可きあ者せ給へる本といつ1れと2な2きな2可に
ひ者ゝすくれて上寿めき可みさひ多るてつ1
可ひ寿み者てゝお1も1しろくきこゆわこむ
尓大将も1みゝと2ゝめ給へるにな2つ可しくあい
行つ1き堂る御つ1まをと2に可き可へし堂る
ねのめつらしくいまめきてさらにこのわさと2」(32オ・1152A)
ある上寿と2も1のおと2ろ/\しく可き多て堂る
志らへてうしにお1と2らす尓きわゝしく山と2こ
0144【しらへ】−調
0145【てうし】−調子
と2にも可ゝる手あ里个里と2きゝお1と2ろ可る
ふ可き御らうの本とあら者にきこえてお1も1
しろきにお1と2ゝ御心お1ち井ていとあ里可多く
お1も1ひきこえ給さうの御こ2とはも1のゝひま/\
尓心も1と2な2くも1里いつるものゝね可ら尓てうつ1
くしけ尓1な2まめ可しくのミきこゆきむは
な越わ可き可多な2れと2な2らひ給さ可りな2れハ
堂と2/\し可らすいとよくも1の尓1ひゝきあひ」(32ウ・1152F)
ていう尓1な2里に个る御こ2とのね可な1と2大将きゝ
給兵しと2りてさう可し給院も1時/\あふき
うちな2らしてく者へ給御こゑむ可しよりも1
いミしくおも1しろくすこし布つゝ可にも1の/\
しきけそ2ひてきこゆ大将も1こゑいとすく
れ給へる人尓てよのしつ1可尓1な2里ゆくまゝ
尓いふ可き里な2くな2つ1可しきよの御あそ2ひ
な2里月心も1と2な2きころな2れ者と2うろこな2多
可な2多に可けて火よき本とにと2も1させ給へり
宮の御可多越のそ2き給へれ者人よ里け尓1ち
ひさくうつ1くしけ尓て堂ゝ御そ2のミあるこゝ/ち」(33オ・1152L)
す尓本ひや可な2る可多はをくれて堂ゝいとあて
や可に越可しく二月の中十日者可りのあをやきの1
わつ1可にし堂里者しめ多らむ心ちしてうく
ひ寿の者可せにも1ミ多れぬへくあえ可に見え
給さくらの1本そ2な2可に御くしは左右よ里こほ
れ可ゝ里てやな2きの1いとのさ満し堂里これ
こそ2ハ可き里な2き人の1御あ里さ満な2めれと2ミゆ
累尓1女御の君者お1な2しやうな2る御な2まめきす
可多の1いますこしに本ひく者ゝ里ても1てな2し
け者ひ心尓くゝよしあるさまし給てよくさ」(33ウ・1153D)
きこ本れ多累ふちの者な1のな2つ1尓可ゝ里て
可多者らにな2らふ者な2ゝきあさ本らけの心ちそ2
し給へるさるはいとふくら可な2る本とにな2里給
0146【ふくらかなる】−懐妊
てな2やましくお1ほえ給个れ者御こ2とも越しや
里てけうそ2くにをし可ゝ里給へ里さゝや可に
な1よひ可ゝ里給へるに御けうそ2くはれいの本
と2な2れハをよひ多る心ちしてこと2さらにちゐ
さくつ1くら者やと2見ゆるそ2いとあ者れけ尓1お1者
しけ累こう者いの御そ2尓御くしの可ゝ里者ら/\
と2きよら尓て本可けの1御す可多よにな2くうつ1
くしけな2る尓むらさきのうへハえひそ2め尓や」(34オ・1153J)
あらむいろこきこうちきう寿ゝわうのほそ2
な2可に御くしの多まれる本とこち多くゆるゝ可に
お1ほきさな2とよき本とにやう多いあらま本しく
あ多里にゝ本ひミち多る心ちして者な1と2い者ゝ
さくらに堂と2へて(+も)猶も1のよ里すくれ多るけ者
ひこ2とにも1のし給可ゝる御あ多り尓あ可しハ遣を
さるへき越いとさしも1あらすも1てな2しな2とけしき
は見者つ1可しく心のそ2こゆ可しきさまして
そ2こ者可と2な1くあてにな2まめ可しく見ゆやな1き
のお1里も1のゝ本そ2な2可も1えき尓やあらむこう」(34ウ・1154B)
ちきゝてう寿も1のゝ裳の者可な2けな2るひき可け
てこ2とさらひけし堂れと2け者ひおも1ひな2しも1
心尓くゝあな2つ1らハし可らすこまのあおちの尓
しきの者しさし堂る志と2ね尓ま本尓も1井て
ひわをうちをきて堂ゝけしき者可りひき可け
て多おや可につ1可ひな2し多る者ちのも1てな2し
ねをきくよ里も1又あ里可多くな2つ1可しくて
さ月まつ1者な2多ち者那花も1ミもくしてをし
0147【さ月まつはなたちはな】−\(合点)
お1れる可本里おほゆこれも1可れも1うちと2けぬ
御け者ひと2も1をきゝ見給尓1大将もいとうちゆ可
しくおほえ給堂いのうへの見しお1里よ里も1」(35オ・1154H)
ねひまさ里給へらむあ里さ満ゆ可しきにしつ1
心も1な2し宮をはいますこしのすくせをよ者満
し可はわ可も1の尓ても見多てまつ1里てまし
心のいとぬるきそ2くやしきや院者多ひ/\さや
う尓1お1も1むけて志里うこ2とにも1の1給者せけ
累越と2ね多くお1も1へと2すこし心やすき可多に
みえ給御个者ひ尓あな2つ1里きこゆと2はな2け
れと2いとしも1心者うこ可さ里个りこの御可多越
0148【この御かた】−紫上
者な2尓こ2ともおも1ひをよふへき可多な1くけと2
をくてと2しころすきぬれハい可て可堂ゝおほ可多
尓心よせあるさまをも1みえ多てまつ1らんと2者可り」(35ウ・1155A)
のくち越しくな2け可しきな2りけ里あな2可ち尓1
あるましくおほけな2き心ちな2とはさらにも1のし
給ハすいとよくも1ておさめ給へりよふけゆくけハ
ひ日やゝ可な2里ふしまちの月者つ1可にさしいて
堂る心も1と2な2しや春のお1ほろ月よゝ秋のあ者れ
0149【春のおほろ月】−源詞
者多可うやうな2るものゝね尓むしのこゑよ里
あ者せ多る堂ゝな2らすこよな1くひゝきそ2ふ心ち
す可しと2の給へハ大将の君秋のよのくまな2き月尓1ハ
よろつ1のも1の1ゝと2ゝこ本里な2きにこ2とふえのねも1
あきら可にすめる心ちはし者へれと2な越こ2とさら/尓
つ1く里あ者せ堂るやうな2るそ2らの个しき者な1の」(36オ・1155G)
露も1いろ/\めうつ1ろひ心ちリて可き里こそ2
者へれ春のそ2ら能堂と2/\しき可すミのまよ里
おほろな2る月かけ尓しつ1可にふきあ者せ多る
やう尓者い可て可布えのねなともえむ尓すミ
の本里者てすな2む女者春をあ者れふと2ふるき
0150【女は春をあはれふ】−\(合点)
人の1いひをき者へり个るけ尓1さな2む者へ里
个るな2つ1可しくも1のゝと2ゝのほるこ2と者者るの
ゆふくれこ2そ2こ2とに者へりけれと2申給へハいな1
0151【いなこのさためよ】−源
このさ多めよい尓しへよ里ひと2のわき可ね多る
0152【いにしへより】−春秋ノ勝負ノコト
こ2と越すゑのよ尓1く多れる人のえあきらめ者つ1」(36ウ・1155M)
ましくこ2そ2も1のゝしらへこくのも2のと2も者し
0153【こく】−曲
も1け尓リちをハつ1きのも1の尓1し堂るはさも
あ里可しな2との給てい可に堂ゝいまいう所く
0154【いかにたゝいま】−源ノ夕ヘ詞
のおほえ多可きそ2の人可の人御前な2と尓て
堂ひ/\心見させ給尓すくれ多るは可すゝく
な2くな2り多める越そ2のこの可見と2おも1へる上寿
と2もいく者くえまねひと2らぬ尓やあらむこの
可く本の可な2るをむな2多ちの御中尓ひきませ
堂らむ尓き者ゝな2るへくこそ2おほえねと2し
0155【きはゝなる】−一キハアルハナキト也
ころ可くむも1れてすく寿にみゝな2とも1すこ
しひ可/\しくな2里に堂るにやあらむくち」(37オ・1156E)
0156【ひか/\しく】−女楽ナトヲヨキトキクハヒカ/\シト也(左)
越しうな2むあやしくひと2のさえハ可な2くと2り
するこ2とゝも1ゝのゝ者えあ里てまさると2ころ
0157【ものゝはえありて】−六条院ノ内ノコト
な2るそ2の御前の御あそ2ひな2とにひと2きさミ
0158【その御前の】−抄心中コト
尓えら者るゝ人/\そ2れ可れと2い可にそ2と2の給
へハ大将そ2れをな2むと2里申さむとおも1ひ者へ
リつ1れと2あきら可ならぬ心のまゝにお1よす
けてやハと2おも1ひ給ふるの本里てのよ越きゝ
0159【のほりてのよ】−上代
あ者せ者へらね者尓や衛も1んの可見のわこむ
兵部卿宮の御ひわな2と越こ2そ2このころめつ1
ら可な2る堂めしにひきいて者へめれ个尓可多」(37ウ・1156J)
ハらな2き越こよひうけ多ま者るも1のゝねと2も1
のみな1ひと2しくみゝおと2ろきは者へるはな2を可く
わさと2も1あらぬ御あそ2ひと2可ねておもふ給へ
堂ゆミける心のさ者く尓や者へらむさう可な2といと
つ1可うまつ1里尓くゝな2む和琴者可のおと2ゝ者
0160【かのおとゝ】−致仕大臣
可里こそ2可くを里尓つ1けてこ志らへな2ひ可志
堂るねな2と心尓ま可せて可き多て給へるハいと
こ2とにも1のし給へおさ/\き者ハな2れぬも1の尓
ハへめる越いと可しこくと2ゝのひてこそ2者へり
0161【とゝのひて】−紫ヲホメ給也
徒れと2めてきこえ給いとさこと/\しきゝ者
0162【いとさこと/\しき】−源詞
尓者あらぬをわさと2うる者しくも1と2りな2さるゝ」(38オ・1157C)
可な2とてし多里可本尓本ゝゑミ給け尓遣しう
はあらぬてしと2も1な2り可しひわ者しも1(+こゝ尓)くちいる
0163【ひわは】−明石上ノコト
へきこ2と満しらぬをさいへと2も1のゝ个者ひこ2とな2る
遍しおほえぬと2ころ尓てきゝ者しめ多里しに
めつ1らしきものゝこゑ可な1と2な2むお1ほえし
可と2そ2のお1里よ里者又こよな1くまさり尓多る
をやとせめてわれ可しこに可こち(こち$た里)な2し給へは
女房な2とはすこしつきしろふよろつ1のこ2と
みち/\につ1けてな2らひまね者ゝさえと2いふも1の
いつれも1き者な1くおほえつ1ゝわ可心ち尓1あくへ」(38ウ・1157I)
き可き里な2くな2らひと2らんこと2はいと可多け
れと2な2尓可はそ2の堂と2りふ可き人のいまのよ尓1
0164【たとりふかき人】−習得ント思人ナキ也
お1さ/\な2个れハ可多者し越な2多ら可にまねひえ
多らむひと2さる可多可とに心をや里ても1あ里ぬ
へきをきむな2む猶わつらハしく手ふれ尓く
きも1のハあ里个るこのこ2とはまこ2とにあと2のまゝ
尓堂つ1ねと2里堂るむ可しのひと2は天地をな2ひ
可しを尓可みの心をやわらけよろつ1のも1のゝ
ねのうち尓1し堂可ひて可な2しひふ可きものも1
よろこひ尓可者里いやしくまつ1しきも1のも1
堂可きよにあら多ま里堂可らにあつ1可里よ尓1」(39オ・1158A)
0165【たから】−寶
ゆるさるゝ堂くひお1ほ可里个りこのく尓ゝひき
つ1多ふる者しめつ1可多まて布可くこのこ2と越心
え多る人者おほく能と2しを志らぬく尓ゝすくし
身をな2きにな2してこの1こ2とをまねひと2らむと2
まとひて堂にしうるは可多くな2むあ里け累
个尓1者多あきら可にそ2らの月本しをうこ可し
と2きな2らぬ志も1ゆき越ふらせくも1い可つち越さ
者可し多累多めしあ可り堂るよ尓者あ里个り
可く可き里な2き物尓てそ2のまゝにな2らひと2る人
の1あ里可多くよのすゑな2れハ(+尓や)いつこのそ2の神の
可多者しに可者あらむされと2猶可のお1尓可みの1」(39ウ・1158G)
見ゝと2ゝめ可多ふきそ2め尓けるも1のな2れ者尓や
な2ま/\にまねひてお1も1ひ可な2者ぬ堂くひあ里
遣るの1ちこれをひく人よ可らすと2可いふな2んを
つ1个てうるさきまゝにい万者おさ/\つ1多ふる
人な2しと2可いとくちおしきこ2とにこそ2あれきむ
の1ねを者な2れてハな2尓こ2とをかも1のをと2ゝのへ
しる/\へと2はせむけ尓よろつ1のこ2とおと2ろふる
さま者や寿くな2里ゆく世中尓ひと2里いて者那
れて心を堂てゝも1ろこしこまとこの世尓ま
と2ひあ里きお1やこを者な2れむこ2とは世中尓
ひ可めるも1の尓1な2りぬへしな2と可な2のめ尓て」(40オ・1159@)
猶このみち越か可よ者し志る者可りのハしを者
し里を可さらむ志らへひと2つ1尓てをひきつ1く
さむこ2と多に者可りも1な2きも1のな2ゝ里い者んや
お1ほくのしらへわつら者しきこくおほ可る越
0166【こく】−曲
心尓い里しさ可里尓はよ尓ありと2(+あリ)こゝにつ1多
者里多るふと2いふも1のゝ可きりをあまねく見
0167【ふ】−譜
あ者せてのち/\者しと2すへき人も1な2くてな2む
このミな2らひし可と2猶あ可里ての人尓はあ多る
へくも1あらしをやましてこのゝちと2いひては
つ1多者るへきすゑも1な2きいとあ者れ尓な2む」40ウ
0168【つたはるへきすゑ】−源ノ御弟子ニキヨフナルナキ也
な2との給へハ大将个尓いとくち越しく者つ1可
しと2お1ほ寿この見こ多ちの御な2可にお1も
ふやう尓お1いゝて給も1のし給者ゝそ2能よにな2む
そ2も1さまてな2可らへと2まるやうあらはいく者く
な2らぬての可きりも1と2ゝめ堂てまつるへき三(三=二)宮
いまよ里けしきあ里て見え給をな2との給へハ
あ可しの君者いと2お1も1たゝしくな2(+ミ)多くミて/きゝ
井給へ里女御の君者さうの御こ2とをはうへ尓
0169【うへ】−紫
ゆつ1里きこえてよ里ふし給ひぬれハあつ1ま
をおとゝの御まへ尓まい里て个ち可き御あそ2ひ尓
な2里ぬ可つらきあそ2ひ給者な2や可におも1しろ新」(41オ・1159L)
0170【かつらき】−\(合点)
おと2ゝお1里可へしう多ひ給御こゑ堂と2へむ可多
な2くあい行つきめて堂し月やう/\さしあ可る
まゝに者な1のいろ可も1ゝて者やされて个尓いと
心尓くき本とな2里さうのこ2とは女御の御つ1ま
をと2はいと2らう堂け尓1な2つ1可しく者ゝ君の
御け者ひく者ゝりてゆのねふ可くいミしく
すミてきこえつ1る越この御てつ1可ひ者又
さま可ハりてゆるゝ可尓おも1しろくきく人
堂ゝな2ら須ゝすろ者しきまてあい行つ1きて
里むのてな2とすへてさらにいと可とある御こ2とのね」(41ウ・1160D)
0171【りむのて】−臨歟(右) 輪(左)
な2り可へりこゑ尓みな2志らへ可者りてりちの可
きあ者せと2も1な2つ可しくいまめき堂る尓きむ
者こ可の志らへあま多の1ての中尓心と2ゝめて可な1
ら寿ひき給へき五六の者ち越いとお1も1しろく
すましてひき給さらに可多本な2らすいと2よく
寿見てきこゆ春秋よろつ1のも1の尓1可よへる
しらへ尓て可よ者しわ多し徒ゝひき給心しらひ
をしへきこえ給さま堂可へ寿いとよくわき
まへ給へる越いとうつ1くしくお1も1多ゝしく
おも1ひきこえ給この君多ちのいとうつ1く新
く布き多てゝせちに心いれ多る越らう多可里」(42オ・1160J)
給てねふ多くな2里に堂らむ尓こよひのあそ2ひ
者な2可くはあらて者つ1可な2る本とにと2お2も1ひつ1る
をと2ゝめ可多きも1のゝねと2も1のいつ1れと2も1な2き
越きゝわく本と2のみゝと2可らぬ多と2/\しさにい多
くふけ尓个里心な2きわさな2りやと2てさうのふえ
0172【さうのふえふく君】−玉ノ子
ふく君尓可者らけさし給て御そ2ぬきて可つ1
0173【御そぬきて】−源
け給よこふえの君尓はこな2多よりを里物の
0174【よこふえの君】−夕ノ子
0175【こなたより】−紫
本そ2な2可に者可まな2とこ2と/\し可らぬさまに
けしき者可り尓て大将の君尓は宮の御方より
さ可つ1きさしいてゝ宮の御さうそ2くひと2く多り
可つ1け多てまつ1里給をおと2ゝあやしやも1のゝ」(42ウ・1161C)
しをこそ2まつ1者も1のめ可し給者めうれ者
志きこ2とな2里と2の給尓宮のお1者しま寿御木丁
のそ2者よ里御ふえ越多てまつるうちわらひ給て
と2里給いミしきこまふえな2里すこしふき
な2らし給へハみな1堂ちいて給本とに大将堂ち
と2ま里給て御このもち給へるふえ越と2里ていミ
しくおも1しろくふき多て給へる可いとめて多く
きこゆれハいつ1れも1/\ミな1御てを者な2れぬも1のゝ
つ多へ/\いと尓1な2くのミある尓てそ2わ可御さえの
0176【わか御さえの】−源ノ心
本とあ里可多くお1ほし志られける大将殿ハ君多
ち越御くるまにのせて月のすめるにま可て給」(43オ・1161I)
みちす可らさうのこ2との可者りていミし可里つ1る
ねも1みゝにつ1きてこひしくお1ほえ給わ可
き多の可多はこ大宮のをしへきこえ給し可と2
心尓も1しめ給者さりし本とにわ可れ多てまつ1
里給ひ尓し可はゆ累ゝ可尓も1ひきと2り給ハて
おと2こ君の御まへ尓てハゝちてさらにひき給
者寿な2尓こ2とも1多ゝおひら可にうちお1ほと2き
多るさ満してこ2とも1のあつ2可ひをいと満な2く
つ1き/\し給へハお可しきと2ころも1な2くお1ほゆ
さす可に者らあしくても1のね多ミうちし堂る
あい行つ1きてうつ1くしき人さ満尓そ2も1のし」(43ウ・1162B)
給める院者多いへわ多里給ひぬうへハと2まり給て
0177【うへは】−紫
宮尓1御物可多りな2ときこえ給てあ可月尓そ2
王多里給へる日多可うな2るまてお1ほと2のこも1れ里
宮の御こ2とのね者いと2うるさ(さ=せイ)くな2里に个里な1い可ゝ
0178【いとうるさくなり】−コヽニハウルハシキ心
きゝ給しと2きこえ給へハ者しめつ1可多あな2多尓
0179【はしめつかた】−紫
て本のきゝしはい可尓そ2やあ里し越いとこよ
な2くな2り尓个里い可て可者可くこ2と/\な2くをしへ
きこえ給者む尓はと2いらへきこえ給さ可して
越と2累/\おほつ可な2可らぬも1のゝしな2里可しこれ
0180【これかれに】−源
可れ尓も1うるさく王つ1ら者しくていと2満いるわ
さな2れ者越しへ堂てまつ1らぬを院尓も1うち/尓も1」(44オ・1162H)
きむ者さ里と2も1な2らハしきこゆらんと2の給と2
きく可いと2おしくさ里と2も1さ者可りのこ2とを多
尓可くと2里わきて御うしろミ尓と2あつ1け給へる
志るし尓はと2おも1ひお1こしてな2むな2ときこ
え給つ1いて尓も1む可しよつ1可ぬ本と越あつ1可
ひおも1ひしさまそ2のよにハいとまも1あ里可多
くて心のと2可にと2里わきをしへきこゆるこ2とな1
と2も1な2くち可きよ尓も1な2尓と2な2くつき/\ま
きれつ1ゝすくしてきゝあつ1可者ぬ御こ2とのねの1
いて者へ志多りしも1めむ本くあ里て大将のい多く
可多ふきおと2ろき堂りしけしきも1おも1ふやう」(44ウ・1163A)
にうれしくこ2そ2あ里し可な2ときこえ給可や
うの1すちも1いま者ま多お1と2な2/\しく宮多ち
の御あつ1可ひな2と2ゝ里も1ちてし給さまも1
い多らぬこ2とな2くすへてな2尓こ2とにつ1けても1ゝ
と2可しく堂と2/\しきこ2とましらすあ里可多
き人の1御あ里さ満な2れ者いと可くゝしぬる人ハ
0181【くしぬる人】−具
よ尓ひさし可らぬ堂めしも1あな2るをと2ゆゝしき
まてお1も1ひきこえ給さ満/\な2る人のあ里さ満
を見あつ1め給まゝにと2里あつ1め堂らひ堂累
こ2とはまこ1とに堂くひあらしと2のミおも1ひき
こえ給へりこと2しは卅七尓そ2な2里給見多て」(45オ・1163G)
0182【見たてまつり給しとし月のこと】−養育ノ時ノコト
まつ1里給しと2し月のこ2とな2とも1あ者れ尓お1
本しいて堂るつ1いてにさるへき御いの里な2とつ1
ねよりも1と2里わきてこ2とし者つ1ゝしミ給へ
も1のさ者可しくのミあ里ておも1ひい多らぬこ2と
0183【ものさはかしく】−コトシケク源ノ御乱コトアルトモト也
もあらむを猶お1ほしめくらしておほきな2る
0184【おほきなることゝも】−大徳
こ2とゝも1ゝし給者ゝ越のつ1可らせさせてむこそ2
0185【こそうつ】−北山ノナニカシ僧都
う徒のも能し給者すな2りに多るこそ2いとくち越
しけれおほ可多尓てうち多のまむ尓も1いと
可しこ可里し人をな2との給(+日)いつ1見つ1可らは
0186【みつからは】−源ノ御コト
越さな2くよ里人尓こ2とな2るさま尓てこ2と/\
しくおひいてゝいまのよ能おほえあ里さま」(45ウ・1163M)
きし可多に多くひすくな2くな2むあ里けるされと2
又よ尓すくれて可な2しきめを見る可多も人尓
0187【かなしきめを】−須磨ノコト
者まさ里个り可しまつハおも1ふ人尓さ満/\を
くれのこ里と2まれるよ者ひのすゑ尓も1あ可す可
0188【あかすかなし】−桐心之コト
な2しと2おも1ふこ2とおほくあちきな2くさるまし
きこ2とにつ1けても1あやしくも1のおも者しく
心尓あ可すお1ほゆるこ2とそ2ひ多る身尓てすきぬれハ
そ2れ尓可へてやおも1ひし本とよりはいまゝても1
な2可らふるな2らむと2な2むおも1ひ志ら累ゝ君の御身
0189【君の御身】−紫ヲサシテ
尓は可のひと2ふしの王可れよりあな1多こな2多も1
0190【ひとふし】−スマノコト
のおも1ひと2て心み多里給者可りのこ2とあらしと2」(46オ・1164F)
な2むお1も1ふきさきと2いひましてそ2れよ里
つ1き/\はやむこ2とな2き人と2いへと2ミな1可な2らす
や寿可らぬも1のお1も1ひそ2布わさな2里堂可き
ましらひ尓つ1けても1心ミ多れ人尓あらそ2ふお1
も1ひの堂えぬも1や寿けな2き越おやのま2との
うちな2可らすくし給へるやうな2る心や寿きこ2とは
な2しそ2の可多ひと2(ひと2=一人イ)にすくれ堂里け累すくせと2者
お1ほしゝ累やおも1ひの本可にこの宮の可くわ多
0191【この宮】−女三
里も1のし給へるこそ2者な2満くるし可るへ个れと2
そ2れ尓つ1けてはいとゝく者ふる心さしの本と越
御身つ1可らのうへな2れはお1ほしゝらすやあらむ」(46ウ・1164L)
も1のゝ心も1ふ可くし里給めれ者さりと2も1と2な2む
お1も1ふと2きこえ給へハの給やう尓も1の者可な2き身
0192【の給やうに】−紫
尓はすき尓多るよそ2のおほえはあらめと2心尓多
0193【すきにたる】−過歟
へぬも1のな2け可しさのミうちそ2ふやさはみつ1可ら
0194【さは】−サレハノ心
のいの里な1リけると2てのこ里お1ほけな2るけ者ひ
0195【いのりなりける】−物思カ我身ノ祈請トナルト也
者つ1可しけな2里まめや可に者いと2ゆくさきすくな2
き心ち寿る越こと2しも1可く志ら寿可本尓てす
0196【ことし】−今年
く寿者いとうしろめ多くこそ2さき/\も1きこゆ
0197【きこゆること】−出家コト
累こ2とい可て御ゆるしあらはと2きこえ給そ2れ者
0198【それは】−源
しも1あるましきこ2とにな2むさて可け者な2れ
給ひな2むよ尓のこ里て者な1尓の可ひ可あらむ」(47オ・1165E)
堂ゝ可くな2尓と2な2くてすくると2し月な2れと2あ
けくれのへ多てな2きうれしさのミこそ2ま寿
こ2とな2くおほゆれな2越おも1ふさ満こ2とな2る
心の本と越見者て給へと2のミきこえ給をれい
0199【れいのこと】−紫心
のこ2とゝ心やましくてな2ミた多く見給へるけしき
越いとあ者れと2み多てまつ1里給てよろつ1尓き
0200【いとあはれと】−源心
こえまきら者し給お1ほく者あらねと2人の
0201【おほくはあらねと】−人ノヒヤウハン也
あ里さ満のと2里/\にくち越しくはあらぬを見新
里ゆくまゝにまこと2の心者せお1ひら可にお1ち井多
累こそ2いと2可多きわさな2里个れと2な2むおも1ひ者」(47ウ・1165J)
てに堂る大将の者ゝ君越おさな2可りし本とに
見そ2めてやむこ2とな2くえさらぬすち尓ハおも1
ひしをつ1ね尓中よ可らすへ多てある心ちして
やミ尓しこそ2いまおも1へハとおしくゝやしく
も1あれ又わ可あやまち尓のミも1あらさ里けり
0202【わかあやまちにのみもあらさりけり】−葵ノ心クツロカサリシコト
な2と心ひと2つ1尓な2むおも1ひいつ1るうるわしく
おも1里可尓てそ2のこ2とのあ可ぬ可な1と2おほゆる
こ2とも1な2可りき堂ゝいとあま里見堂れ多る
と2ころな2くすく/\しくすこしさ可しと2やいふ
0203【すく/\しく】−驀直(マツスク)
へ可里けむと2おも1ふ尓は多のも1しくみるに者わつ
0204【たのもしくみるには】−夫婦ニテハトケヌ心
らハし可里し人さま尓1な2む中宮の御者ゝ宮」(48オ・1166B)
寿と2ころな2むさまこ2とに心ふ可くな2満め可しき
多めし尓はまつ1おも1ひいてらるれと2人みえ
0205【人みえにくゝ】−心トリニクキ人也
尓くゝくるし可里しさ満尓な2むあ里しうら
むへき布しそ2け尓1こ2と者りと2おほゆるふし越
や可てな2可くおも1ひつ1めて布可く衛んせられ
し(し=ぬイ)こそ2いとくるし可里し可心ゆるひな2く者つ1
可しくてわれも1人も1うち堂ゆミあさゆふの1
むつ1ひを可者さむ尓者いとつ1ゝましきと2ころ/の
あ里し可はうちと2けては見お1とさるゝこ2とや
な2とあまりつ1くろひし本とにや可てへ多ゝり」(48ウ・1166H)
し中そ2可しいとあるましきな2越堂ちて
ミのあ者/\しくな2里ぬるな2个きをいミしく
おも1ひしめ給へ里し可いとおしくけ尓1ひと2可
ら越おも1ひしも1われつ1ミある心ちしてやミ
にしな2くさめ尓中宮越可くさるへき御ちき
0206【さるへき御ちきり】−冷トノ契サルコトナレ共ト也
りと2者いひな2可らと2里堂てゝよのそ2し里
人のうらみをも1しらす心よせ多てまつ1るを
可の1世な2可らも1見な2をされぬらんいまも1む可志
0207【かの世なからも】−後世ニテモ也
も1な2をさ里なる心の1すさひ尓いとおしくゝや
しきこ2とも1おほくな2むと2きし可多の人の御
うへすこしつ1ゝの給いてゝうちの(+御可多の)御うしろミ者」(49オ・1167@)
0208【うちの御方の御うしろみ】−女御ノ御後見明石上ノコト
な2尓者可りの本とな2らすと2あ那つ1里そ2めて心や
すきも1の尓1おも1ひしを猶心のそ2こみえす
き者な2くふ可き所ある人尓な2んうわへハ人尓
な2ひきおひら可に見えな2可らうちと2けぬ个志
きし多にこも1里てそ2こ者可と2な2く者つ1可新
き所こそ2あれと2の給へハこ2と人ハ見ね者志らぬ
0209【こと人】−紫
をこれハま本な2らねと2をのつ可らけしき見る
お1り/\も1あるにいとうちと2け尓くゝ心者つ1可新
きあ里さ満しるき越いと多と2しへな2きうら
な2さ越い可に見給らんと2つ1ゝましけれと2女御者」(49ウ・1167F)
0210【いかに見給らん】−源ノ紫ヲモイカニ思給ト我テニノ詞
をのつ1可らおほしゆる寿らむと2のミ思てな2んと2
0211【おほしゆるすらむ】−源ノ女御ヲ明石上ノ如ト見給ユルスラント紫心
の1給さ者可りめさましと2心をき給へ里し人を
0212【さはかり】−源心
0213【めさましと】−明石上ヲ恥カシク紫ノ思給シヲ今カク互ニアリ女御ヲ思給ユヘト也
いま者可くゆるしてみえ可者しな2と2し給も1
女御の御多めのま心な2るあま里そ2可しと2おほす
尓いとあ里可多个れ者君こそ2者さ寿可にく満
0214【君こそは】−紫ノコトヲホメ給詞
な2きにハあらぬも1の1可ら人尓よ里こ2と尓し多
可ひいとよくふ多すち尓1心つ1可ひ者し給个れ
さらにこゝと2(と2$ら)みれと2御あ里さま尓ゝ多る人ハな2可
リ遣里いとけしきこそ2も1のし給へと2本ゝゑミ
0215【けしきこそ】−嫉妬ノ心ハナク也
てき(+こ)え給宮尓いとよくひきと2り給へりし
0216【よくひきとり】−琴
こ2とのよろこひきこえむと2てゆふつ1可多わ多里」(50オ・1167L)
給ひぬわれ尓心をく人やあらんと2も1おほし
0217【われに】−女三ノ心ヲ源ノ心
多らすいとい多くわ可ひてひと2へ尓御こ2とに心い
れてお1者寿いまはいとまゆるしてうちや寿ま
0218【いまは】−女三ヘ源詞
せ給へ可しも1のゝしハ心ゆ可せてこそ2いとくるし
0219【心ゆかせて】−琴ヲ心ニ入給テオホエ給ト也
可里つ1る1ひころのし累しあ里てうしろや寿く
な2里給尓个りと2て御こ2とゝも1をしや里てお1ほと2
の1こも1りぬ堂い尓者れいのお1者しまさぬよはよ
ひ井し給てひと2/\にも1の可多りな2とよませて
きゝ給可くよの堂と2ひ尓いひあつ1め堂るむ可し
可多里と2も尓1も1あ多な2るおと2こいろこのミふ多」(50ウ・1168D)
心ある人尓可ゝつ1らひ堂るをんな2可やうな2る
0220【かやうなること】−フルキモノ語ノコト
こ2と越いひあつ1め多るにも1つ1い尓1よる可多あ里
0221【よるかたありて】−\(合点)よ類可多もありといふな2り(り$る)あ里そ/海尓/多つ白な2ミのおな2し所尓(付箋E)
てこそ2あめれあやしくうきても1すくしつ1る
あ里さ満可な1个尓1の給つるやう尓ひと2よりこ2と
0222【の給つるやうに】−源ノヽ給ヤウニ人メハカリハヨキト也
なるすくせ2も1あ里ける身な2可らひと2のしのひ
可多くあ可ぬこ2とにするも1のおも1ひ者な2れぬ身
0223【あかぬこと】−嫉妬ノコト
尓てやゝみな2むと2すらんあちきな2くも1ある可な2
な2とお1も1ひつ1ゝ个てよふけておほと2のこも1里ぬる
あ可月可多より御むねをな2やミ給人/\ミ多てま
つ1里あつ1可ひて御せうそ2こきこえさせむと2
0224【御せうそこ】−源ヘ也
きこゆる越いとひんな2いこ2とゝせいし給て多え」(51オ・1168J)
可多き越おさへてあ可し給つ1御身も1ぬるミて
御心ちも1いとあし个れと2院も1と2み尓わた里給
者ぬ本と可くな2むと2も1きこえす女御の御方
0225【女御の御方】−明石
よ里御せうそ2くあるに可くな2やましくてな2むと2
きこえ給へるにおと2ろきてそ2な2多よ里きこ
え給へるにむねつふれていそ2きわ多里給へるに
いとくるしけ尓てお1者寿い可な2る御心ちそ2と2て
さく里多てまつ1里給へ者いとあつ1くお者寿れ者
きのふきこえ給し御つ1ゝしみのすちな2とおほし
あ者せ給ていとおそ2ろしくお1ほさる御可ゆな2と
0226【御かゆなと】−源ヘ也
こな2多にまいらせ多れと2御覧しも1いれ寿ひゝと飛」(51ウ・1169C)
ひ(ひ$)そ2ひお者してよろつ1尓1ミ多てまつ1里な2け
き給者可な2き御く多も1のを多尓いとも1のうく
し給ておきあ可り給こ2と多えてひころへぬ
い可な2らむと2お1ほしさ者きて御いの1里と2も可す/し
らす者しめさせ給そ2うめして御可ちな2とせさ
せ2給そ2こと2ころと2も1な2くいミしくゝ累しく/し
給てむね者とき/\おこ里つ1ゝわつ1らひ給さま
堂へ可多くゝ累し个な2りさま/\の御つ1ゝしミ
可き里な2けれと2新るしも1見え寿をも1しと2みれと2
越のつ1可らをこ多るけちめあらは多のも1しきを
いミしく心本そ2く可な2しと2見多てまつ1里給尓」(52オ・1169I)
こ2と/\お1ほされね者御可のひゝきも1しつ1ま里
0227【御かのひゝき】−朱雀院
ぬ可の院よ里も1可くわつらひ給よしきこし
0228【かの院】−朱
めして御と2ふらひいとねむころ尓1堂ひ/\きこ
え給おな2しさま尓て二月も1すきぬいふ可き里な2
くお1ほしな2个きて心み尓1所を可へ給者むと2て
二条の院尓わ多し堂てまつ里給つ1院のうち
ゆ寿り見ちてお1も1ひな2个く人お1ほ可里冷泉院
も1きこしめしな2けくこの人うせ給者ゝ院も1
可な2らす世をそ2むく御本いと2け給てむと2大将の
君な2とも1心をつ1くして見多てまつ1里あつ1可ひ」(52ウ・1170A)
給み寿本うな2とはおほ可多のをはさるも1の尓
てと2里わきてつ1可うまつ1らせ給いさゝ可も1の
お1ほしわくひま尓はきこゆるこ2とをさも心う
0229【きこゆること】−紫ノ出家ノコト
くと2のミうらみきこえ給へと2可き里あ里てわ
可れ者て給者むよ里も1めのまへ尓わ可心と2やつ1
しすて給者む御あ里さ満を見て者さらに可多
時多ふましくのミおしく可な2し可るへ个れハむ可し
よ里身つ1可らそ2可ゝ累本いふ可きをと2まりて
さう/\しくおほされん心くるしさにひ可れつ1ゝ
すく寿をさ可さま尓1うち寿て給者むと2やお1ほす
と2のミお1しミきこえ給尓け尓1いと堂のミ可多け尓1」(53オ・1170G)
よ者りつ1ゝ可き里のさま尓1見え給お1里/\おほ
可累をい可さま尓せむと2おほしまと2ひつ1ゝ宮の
御方尓も1あ可らさま尓1わ多里給者寿御こ2とゝも1ゝ
すさましくてミな1ひきこめられ院のうちの
人/\はミな1ある可き里二条の院尓つ1と2ひまい
りてこの院尓者火をけち多るやう尓て堂ゝをん
な1と2ちお者して人ひと2り(+の)御け者ひな2りけ里と2み
0230【人ひとり】−紫コト
ゆ女御の君も1わ多り給ても1ろと2も1にみ多てまつ
りあつ1可ひ給堂ゝにも1お1者しまさても1のゝけ
0231【たゝにもおはしまさて】−紫詞 御懐妊
な2といとおそ2ろしき越者やくまいり給ねと2くる」(53ウ・1170M)
しき御心ちに尓も1きこえ給わ可宮のいとうつ1
くしうてお者しま寿を見多てまつ1里給ても1
いミしくな2き給ておと2な2ひ給者む越え見多て
0232【おとなひ給はむ】−女一宮
まつ1らすな1里な2むこ2とわ寿れ給な2む可しと2の1給へハ
女御せきあへ春可な2しと2おほし堂里ゆゝしく/可く
0233【ゆゝしくかく】−源
な1お1ほしそ2さりと2もけしう者も2のし給者し
心尓よ里な2む人者と2も1可くも1あるをきて日ろき
0234【心によりなむ】−心モチカラ病ナヲルト也
うつ1者も1の尓はさい者ひも1そ2れ尓し堂可ひせ
者き心ある人ハさるへき尓て堂可きみと2な2りて/も1
ゆ多可尓1ゆ(+る)へる可多はをくれきうな2る人者ひさ
しくつね可(可$な)らす心ぬるくな2多ら可な2る人ハな2可き」(54オ・1171F)
堂めしな2むおほ可里けるな2と本とけ神尓も1この
御心者せのあ里可多くつ1ミ可ろきさまを申
あきらめさせ給み寿本うのあさり多ちよ井
な2と尓てもち可くさふら婦可きりの1やむこ2と
なきそ2うな2とはいと可くお1ほしまとへる御け者
ひをきくにいといミしく心くるしけ連ハ心を
お1こしていの里きこゆすこしよろしきさま
尓みえ給時五六日うちませつ1ゝ又をも1りわつ
らひ給こ2といつ1と2な2くて月日をへ給者な2をい可
尓お者寿へきに可よ可るましき御心ち尓やと2お1ほ
しな2けく御も1のゝけな2といひていてくるも1な2し」(54ウ・1171L)
な2やミ給さまそ2こ者可と2ミえ寿堂ゝひ尓そ2
へてよ者り給さまにのミゝゆれ者いと2も1/\可な2
しくいミしくおほ寿尓1御心のいとまも1な2けな2里
まこ2とや衛も1んの可ミは中納言尓な2里にき可志
いまの御よ尓はいとし多しくおほされていと
と2きのひと2な2里みのおほえまさるにつ1けても1
おも1ふこ2との可な2者ぬうれわしさ越おも1ひわひ
てこの宮の1御あねの二の宮越な2むえ多てまつ1
0235【御あねの二の宮】−オチハノ宮
里てけ累下らうの可うい者らにおハしましけれハ
0236【下らうのかうい】−一条御息所
心や寿き可多まし里ておも1ひきこえ給へり
人可らも1な2へての人尓おもひな2寿らふれ者」(55オ・1172D)
け者ひこよな2くお1者寿れと2も1と2より志ミ尓
0237【しみにしかた】−女三
し可多こそ2な2越ふ可ゝり个れな2くさめ可多
0238【なくさめかたきをはすて】−わ可心なくさめ可年つ佐らし/な2や/を者すて山尓てる月をミて(付箋F)
きをはすて尓て人め尓と2可めらるましき者可り尓
も1てな2しきこ江給へりな2越可のし堂の心わ寿
られ数こ志ゝうと2いふ可多らひ人ハ宮の御志ゝう
のめのと2のむ寿めな2里け里そ2のめのと2のあねそ2
可能可むの1きみの御めのとな2里けれ者ハやくより
0239【かむのきみ】−柏木ノコト
けち可くきゝ多てまつ1里てま多宮おさな2く越
者しましゝと2きよりいときよらぬ(ぬ$尓)な2むお1者し
ま寿み可と2の可しつ1き堂てまつ1里給さ満な2と
きゝをき多てまつ1里て可ゝ累おも1ひも1つ1き」(55ウ・1172J)
そ2め多るな2里けリ可くて院も1者な2れお1ハし
0240【院】−源
ます本とひと2免すくな2くしめや可な2らむをゝ
し者可りてこしゝうをむ可へと2り里つ1ゝいミしう
可多らふむ可しよ里可くいの1ちも1堂ふましく
おもふこ2と越可ゝ累し多しきよ寿可あ里て御
あ里さま越きゝつ1多へ堂えぬ心の本と越も1き
こしめさせて堂のも1しきにさらにそ2のしる1し
の1な2个れハいミしくな2むつ1らき院のうへ多に
0241【院のうへ】−朱
可くあま多に可け/\しくて人尓をされ給やう
尓てひと2里おほと2のこも1るよな1/\おほくつ1れ/\
尓てすくし給な2里な2と人の1そ2うし个るつ1いて」(56オ・1173C)
尓も1すこしくいおほし多る御けしき尓ておな1
しくは堂ゝ人の心や寿きうしろミをさ多めむ
尓はまめや可につ1可うまつるへき人をこそ2佐堂
むへ可里个れと2の給者せて女二宮のな2可/\うしろ
や春くゆく寿衛な2可きさま尓ても1のし給な2る
0242【ゆくすゑなかきさまにて】−柏ノ心ハタカハシト朱ノヽ給ト人ノツケル也
こ2とゝの給者せ个るをつ1多へきゝしにいとをしく
も1くちをしくも1い可ゝおも1ひミ多るゝ个尓お
な2し御すちと2は堂つねきこえし可とそ2れ者そ2れ
と2こそ2おほゆるわさな2り个れと2うちうめき給へハ
こしゝういてあな1お1ほけな1そ2れをそ2れと2さし
0243【それを】−女二ノコト
をき堂てまつ1里給てま多い可やう尓可きりな2」(56ウ・1173I)
き御心な2らむと2いへハうち本ゝゑミてさこそ2は
あ里けれ宮尓可多しけな2くきこえさせを
0244【宮】−女二
よひ个るさまは院尓も1うち尓もきこし
めしけ里な2とて可はさてもさふら者さらま
0245【さてもさふらはさらまし】−女三ヲ柏ニモト前ハノ給シト也
しと2な2むこ2とのつ1いて尓はの給者せけるいてや
堂ゝいますこしの御い多者里あらまし可はな2と
0246【いますこしの御いたはり】−女二ノ給ホトナラハ女三ヲトノ心
いへハいと可多き御事な2里や御すくせと2可いふこ2と
0247【いとかたき御事なりや】−小侍従
者へな2るをも1と2尓て可の院のこ2と(+尓)いてゝねむころ
尓きこえ給尓堂ちな2らひさま多けきこえ
させ給へき御身のおほえと2やおほされし
0248【御身のおほえ】−柏ノコト
このころこそ2すこしも1の/\しく御そ2のいろも1」(57オ・1174A)
0249【御そのいろ】−三位ノ色ハコキ紫
ふ可くな2り給へれと2いへハいふ可ひな2く者やり可
0250【いふかひなく】−柏
な2るくちこは(+さ尓えいひ者て多万ハてい万者よしすき尓し)可多をはきこえしや堂ゝ可く
あ里可多きものゝひまに个ち可き本と尓て
この1ころのうち尓1お1も1ふこと2の1者しすこ新
きこえさせつ1へく堂者可り給へおほけな2き
心者すへてよしみ給へいとおそ2ろし个れハおも1
ひ者な2れて者へりと2の給へハこれよ里お1ほけな2き
0251【これよりおほけなき】−小侍従
心者い可ゝハあらむいとむくつ1けきこ2とをも1おほし
よ里け累可な1ゝ尓しにまいりつ1らんと2者ちふく
いてあな1きゝ尓くの(の$)あま里こち堂くも1のを」(57ウ・1174H)
0252【いてあなきゝにく】−柏
こそ2いひな2し給へ个れよはいとさ多めな2きも
のを女御きさきも1あるやうありても1のし
給堂くひな2くや者ましてそ2の御あ里さ満よ
0253【その御ありさまよ】−女三
お1も1へハいと多くひな2くめて多けれと2うち/\ハ
心やましきこ2ともお1ほ可るらむ院のあま多の
0254【院】−朱
御中尓又な2らひな2きやう尓な2ら者しきこえ
0255【ならひなきやう】−女二ノコト
給しにさしも1ひと2し可らぬき者の御可多/\に
堂ちまし里めさましけな2るこ2とも1あ里ぬへく
こそ2いとよくきゝ者へりやよのな2可はいと2つ1ね
0256【よのなかはいとつねなき】−\(合点)恋しな2ハ多可名ハ多ゝし世中の1/徒年なき物といひハなすとも(付箋G)
な2きも1のをひと2き者におも1ひさ多めて者し
多な2くつ1きゝリな2るこ2とな1の給そ2よと2の給へハ」(58オ・1175@)
0257【つきゝりなる】−ツ キリタル心
人尓お1と2され給へる御あ里さまと2てめて多き
0258【人に】−小侍従
可多にあら多め給へきにや者ゝへらむこれはよの
つ1ねの御あ里さ満尓も1者へらさめ里堂ゝ御うし
ろミな2くて堂ゝよ者しくおハしまさむよりは
お1やさまにと2ゆつ1里きこえ給し可は可多見尓さ
こそ2お1も1ひ可者しきこえさせ給多めれあい
な2き御お1と2しめこ2とにな2んと2者て/\ハ者ら多つ1を
よろつ1尓いひこしらへてまこ2とはさ者可りよ尓
0259【よろつに】−柏
な2き御あ里さ満を見多てまつ1りな2れ給へる御心尓
0260【御ありさまを】−源ノコト
可す尓もあらすあやしきな2れす可多をうちと2け
て御らんせられむと2はさらにお1も1ひ可けぬこ2とな2り」(58ウ・1175F)
堂ゝひと2こ2とも1のこし尓てきこえしらす者可り
はな2尓者可りの1御身のやつ1れ尓可者あらん可み
本とけ尓も1おも1ふ事申寿はつ1ミあるわさ可は
と2いミしきち可こ2とをしつ1ゝの給へハし者し
0261【ちかこと】−誓
0262【しはしこそ】−小侍従
こそ2いと2あるましきこ2とにいひ可へしけれも1の
ふ可ゝらぬわ可人ハひと2の可く身尓可へていミしく
お1も1ひの給ふをえいな2ひ者てゝも1しさ里ぬへき
ひまあらは堂者可り者へらむ院のお者しまさ
ぬよは御丁のめくり尓人おほくさふらひてお1
ましの本と里にさるへき人可な2らすさふらひ給
へハい可な2るお1りを可はひまを見つ1け者へるへ可覧」(59オ・1175M)
と2わひつ1ゝまい里ぬい可に/\と2ひゝにせめられこ
0263【こうして】−功
うしてさるへきお1里う可ゝひつ1けてせうそ2こ
しをこせ多里よろこひな2可らいミしくやつ1
0264【なから】−ツヽノ心
れしのひてお1ハしぬまこ2とに王可心尓も1いとけ
し可らぬこ2とな2れ者けち可くな2可/\お1も1ひミ多累ゝ
0265【けちかくなか/\】−ソハチカクマテハ思ヨラヌト也
こ2とも1まさるへきこ2とまてはお1もひも1よらす堂ゝ
いと本の可に御そ2のつ1ま者可りをみ多てまつ里し
春のゆふのあ可すよと2ゝも1にお1も1ひいてられ給
御ありさ満をすこしけち可くて見多てまつ1里
お1も1ふこ2とをも1きこえしらせて者ひと2く多りの」(59ウ・1176E)
御可へりな2とも1や見せ給あ者れと2やお1ほし志る
と2そ2お1も1ひ个る四月十よ日者可りのこ2とな里みそ2
きあ寿と2てさい院尓多てまつ1里給女房十二人
こ2とに上らう尓はあらぬわ可き人わらハへな2と越
の可しゝも1のぬひけさうな2としつ1ゝも1の見むと2
お1も1ひまうくるも1と2り/\にいと満な2け尓て御前
の1可多しめや可尓て人し个可らぬお1りな2り个里
ち可くさふら婦あせちの君も1と2き/\可よふ源
0266【あせちの君も】−女三ノ御方ヘ
0267【源中将】−アセチニ通人
中将せめてよひい多させ个れハお里堂るまに
堂ゝこの1しゝう者可りち可くはさふら婦な2り个里
よきお1里と2お1も1ひてやをら御帳のひ(+む)可し」(60オ・1176K)
お1も1てのお1ましの者しにすゑつ1さまても1あるへ
0268【さまてもあるへきことなりや】−柏ノ心ニモレウシト思給心
きこ2とな2りや者宮ハな2尓心も1な2くお1ほと2のこも1り
尓ける越ち可くお1と2このけ者ひのすれハ院のおハ
すると2おほし堂るにうち可しこまり多る个し
き見せてゆ可のしも1にい多きお1ろし堂て
まつるにも1の尓をそ2者るゝ可と2せめて見あけ
給へれハあらぬ人な2り个里あやしくきゝも1
0269【きゝもしらぬ】−柏ノヽ給コト
しらぬこ2とゝも1をそ2きこゆるやあさましく
むくつ1けくな2里て人めせと2ち可くも1さふら
者ね者きゝつ1けてまいるも1な2しわな2ゝき給さ満」(60ウ・1177C)
ミつ1のやう尓あせ2も1な2可れても1のもお1ほえ給者
ぬけしきいとあ者れ尓らう多けな2り可寿な2らね
0270【かすならねと】−柏詞
と2いと2可うしも1お1ほしめさるへきみと2はおも1ふ
給へられ寿な2むむ可しよ里お1ほけな2き心の者へ
リしをひ多ふるにこめてやミ者へな2まし可は心
のうち尓1く多してすきぬへ可里ける越な2可/\
も1らしきこえさせて院尓も1きこしめされ尓
しをこよな1くも1て者な2れても1の給者せ
さ里けるに多のミ越可けそ2め者へりて身の可す
な2らぬひと2き者にひと2よりふ可き心さし越
むな2しくな2し者へりぬるこ2とゝうこ可し者へ」(61オ・1177I)
リ尓し心な2むよろつ1いまは可ひな2きこ2とゝ
お1も1ふ多まへ可へせ2と2い可者可りしみ者へり尓け
累尓可と2し月尓そ2へてくち越しくも1つ1らく
も1むくつ1けくも1あ者れ尓も1いろ/\にふ可く
お1も1ふ堂まへまさるにせき可ねて可くお1ほけ
な2きさま越御覧せられぬるも1可つ1者いと2
お1も1ひや里な2く者つ1可しけれ者つ1ミをも1き
0271【つみをもき】−宮事アルマシト也
こゝろも1さらに者へるましと2いひも1てゆくに
この人な2里けりと2お1ほ寿尓いとめさましく
お1そ2ろしくてつ1ゆいらへも1し給者寿いと/こ2と」(61ウ・1178@)
わ里な2れと2よ尓1多めしな2きこ2とにも1者へらぬを
めつら可にな2さけな2き御心者へな2らはいと心うく
て中/\ひ多ふるな2る心も1こそ2つ1き者へれあ
0272【ひたふるなる心】−フツル心
者れと2多にの給者せはそ2れをうけ給者りて
ま可てな2むと2よろつ1尓きこえ給よそ2のお1も1ひ
や里はいつ1くしくも1のな2れてみえ多てまつ1ら
0273【いつくしく】−女三ノ御体
むも1者つ1可しくをし者可られ給尓堂ゝ可者
可里お1も1ひつ1め堂る可多者しきこえ志らせて
な2可/\可け/\しきこ2とはな2くてやみな2むと2おも1
0274【かけ/\しき】−来心
ひし可と2いと2さ者可りけ多可う者つ1可しけ尓は」(62オ・1178F)
あらてな2つ1可しくらう堂け尓1や者/\と2のミ
見え給御け者ひのあて尓いミしくお1ほゆる
事そ2人尓ゝさせ給者さ里けるさ可しくお1も1
ひしつ1むる心も1うせていつ1ちも1/\井て可
くし堂てまつ1里てわ可身も1よ尓1ふるさ満
な2らすあと2多えてやミな2者やと2まてお1も1ひ
ミ多れぬ堂ゝ(堂ゝ=さて)いさゝ可まと2ろむと2も1な2きゆ免
尓このてな2らしゝねこのいとらう堂け尓うち
な2きてき多る越この宮尓多てまつ1らんと2て
わ可井てき多ると2お1ほしき越な2尓しに」(62ウ・1178K)
0275【なにしに】−形見トヲシム心
堂てまつ1里つ1らむと2お1も1ふ本とにお1と2ろきて
い可尓見えつ1るな2らむと2お1も1ふ宮ハいとあさま
しくうつ1ゝと2も1お1ほえ給者ぬ尓むねふ多可
リてお1ほしお1ほゝる1ゝをな2を可くの可れぬ
0276【なをかくのかれぬ】−柏
御すくせのあさ可らさ里个累と2お1(+も1)ほしな1せ身
つ1可らの心な2可らも1うつ1し心尓はあらすな2む
お1ほえはへる可のお1ほえな2可りしみ寿のつ1まを
ねこのつ1な2ひき堂里しゆふへ(+の)こ2とも1きこえ
いて多里け尓さ者多あ里遣むよとくちお1しく
ちきり心うき御身な1里个里院尓も1いまはい可て/可ハ」(63オ・1179C)
見え多てまつ1らんと2可な2しく心本そ2くていと2
お1さな2け尓1な2き給をいと可多しけな2くあ者れと2
見多てまつ1里てひと2の御な2ミ多をさへのこふ
そ2てはいと2ゝつ1ゆけさのミまさるあけゆく
けしきな2るにいてむ可多な2くな2可/\な2里い可ゝ
ハし者へるへきいミしく尓くませ給へハ又き
こえさせむこ2とも1あ里可多き越堂ゝひと2
こ2と御こゑをき可せ給へと2よろつ1尓きこえ
な2やま寿も1うるさくわひしくても1のゝさ
らにい者れ給者ね者者て/\ハむくつ1けくこそ2」(63ウ・1179I)
な2里者へりぬれま多可ゝ累やうはあらしと2いと
0277【またかゝるやうは】−柏
うしと2お1も1ひきこえてさらはふような2め里
0278【ふよう】−不用
身越い多つ1らにや者な2し者てぬいとすて可多き
0279【身をいたつらに】−\(合点)
によりてこそ2可くまても1者へれこよひ尓可き
り者りな2むも1いミしくな2むつ1ゆ尓ても1御心
ゆるし給さ満な2と(と$ラ)はそ2れ尓可へつ1る尓ても1
0280【それにかへつる】−命ノコト
すて者へ里な2ましと2て可きい多きていつ1るに者
てはい可尓しつ1るそ2と2あきれておほさるすみ
のまの屏風をひきひろけてと2をゝしあけ
堂れ者わ多と2のゝみな1ミのと1のよへいりし可ま多」(64オ・1180@)
あきな2可らあるにま多あ个くれの本とな2るへ
し本の可尓1見多てまつ1らんの心あれ者可う
志をやをらひきあ个て可ういと2つ1らき御
心尓うつ1し心も1うせ者へりぬすこしおも1ひ
のと2めよとお1ほされハあ者れと2多にの給者せ
よと2をと2しきこゆる越いと2めつら可な2里と2お1
ほしても1のも1い者むと2し給へと2わな2ゝ可れて
いとわ可/\しき御さまな2里堂ゝあけ尓1あけゆ
くにいと2心あ者多ゝしくてあ者れな2るゆめ可多り
も1きこえさ寿へき越可く尓くませ給へハこそ2」(64ウ・1180F)
さ里と2も1いまお1ほしあ者寿るこ2とも1者へりな2
むと2てのと2可な2らす堂ちいつ1るあ个くれ秋の
そ2らよ里も1心つ1くしな2里
越きてゆくそ2らも1志られぬあ个くれ尓1
いつ1くの1露の可ゝ累そ2てな2里と2ひきいてゝ
うれ遍きこゆれ者いてな2むと2するにすこし
な2くさめ給て
0281【なくさめ給て】−ウレシク思給也
あ个くれのそ2らにうきみ者きえな2ゝむゆめ
な里けりと2見ても1やむへくと2者可な2け尓1の給
こゑのわ可くお1可しけな2るをきゝさ寿やう尓て
いてぬる堂ましひはまこ2とに身を者な2れてと2満」(65オ・1180L)
里ぬる心ち寿女宮の御も1と2にも1まうて給者て
0282【女宮】−女二ノコト
大殿へそ2しのひてお1者しぬるうちふし堂れと2
めも1あ者寿見つ1るゆめのさ多可にあ者むこ2とも1
可多き越さへお1も1ふ尓可のねこのあ里しさまいと
こひしく思ひいてらるさても1いミしきあやま
ちしつ1るみ可な2き(き$)よ尓あらむこ2とこそ2ま者ゆ
くな2里ぬれと2お1そ2ろしくそ2ら者つ1可しき
0283【そらはつかしき】−ヲソロシキ心
心ちしてあ里きな2とも1し給者寿女の多め者さ
らにも1い者寿わ可心ち尓もいと2あるましきこ2とゝ
いふ中尓も1むくつ1けくお1ほゆれ者お1もひの」(65ウ・1181D)
まゝにも1えまきれあ里可寿み可と2の御めをも1
0284【御め】−ミ
と2里あやまちてこ2とのきこえあらむ尓可者可里
お1ほえむこ2とゆへハ身のい多つ1らにな2らむくるし/く
おほゆましゝ可いちし累きつ1ミ尓者あ多らすと2
0285【いちしるき】−キツトシタル心
も1この院尓めをそ2者められ多てまつらむこ2とは
いと2お1そ2ろしく者つ1可しくお1ほゆ可き里な2き
0286【かきりなきをむな】−世人ヲ云 ハカナキ女トイヘ共
をむな2ときこゆれと2すこしよつ1き多る心者へ
まし里うへハゆへあ里こめ可しきにも1し多可者ぬ
新多の心そ2ひ多るこそ2と2あるこ2と可ゝ累こ2とにうち
0287【こそとあること】−コソヲウヘニ付テミヨト
な2ひき心可者し給多くひも1あ里个れこれ者ふ可
き心も1お1者せねと2ひ多お1もむきにも1のをち志」(66オ・1181J)
給へる御心尓堂ゝいましも1人の見きゝつ1け多らむ
やう尓ま者ゆくハつ可しくお1ほさるれ者あ可き
と2ころ尓堂にえ井さりいて給者寿いとくち越
しき身な2里け里と2みつ1可らお1ほしゝ累へし
な2やましけ尓な2むとあ里个れ者お1と2ゝきゝ給て
0288【なやましけに】−女三
いミしく御心をつ1くし給御こ2とにうちそ2へて又
0289【御心を】−紫コト
い可尓と2お1と2ろ可せ給てわ多り給へりそ2こ者可と2
くるしけな2るこ2とも1みえ給者寿いと2い多く者ち
らひしめ里てさや可にも1見あ者せ多てまつ1里給
者ぬをひさしくな1里ぬる多えま越うらめしく
お1ほ寿にやと2いとお1しくて可の御心ちのさ満な2と」(66ウ・1182C)
0290【御心ち】−紫コト
きこえ給ていま者のと2ちめ尓も1こそ2あれいま
さらにをろ可な2るさま越見えを可れしと2てな2む
いわけな2可里し本とよ里あつ1可ひそ2めて見者な2
ち可多けれ者可うつ1きころよろつ1を志らぬ
さま尓すくし者へるそ2をのつ1可らこの本とすき
は見な2おし給てむな2ときこえ給可くけしき
0291【かく】−女三心
0292【けしきも】−柏心
も1志里給者ぬも1いとおしく心くるしくお1ほされ
て宮者人しれ寿なミ多くましくお1ほさる可む/の
君者ましてな2可/\なる心ちのミまさ里てお1き
ふしあ可しくらしわひ給まつ1里の日な2とはも/の1
見尓あらそ2ひゆくきむ多ち可きつ1れきていひ」(67オ・1182I)
そ2ゝの可せと2な2やましけ尓1も1てな2してな2可めふし
給へり女宮を者可しこま里をき多るさま尓
0293【女宮】−女二
も1てな2しきこえてお1さ/\うちと2けても1見え多て
まつ1里給ハすわ可ゝ多に者な2れ井ていとつ1れ/\尓
心本そ2くな2可め井給へるにわらハへのも1多るあふひ/を
見給て
くやしくそ2つ1ミを可し个るあふひくさ可ミ
0294【くやしくそ】−柏
のゆるせる可さしな2らぬ尓と2お1も1ふも1いとな2可/\な2り
世中しつ1可な2らぬくるまのをと2な2と越よそ2のこ2とに
きゝて人や里な2らぬつ1れ/\尓くらし可多くお1
ほゆる女宮も1可ゝ累けしきのすさましけさも1」(67ウ・1183B)
0295【女宮】−女二心
0296【けしき】−柏体
見しられ給へハな2尓こ2とゝ者し里給者ねと2はつ1可
しくめさましきにも1のお1も1者しくそ2お1ほさ
れけ累女房な2とも1の見尓ミな1いてゝ人すくな2尓
のと2や可な2れ者うちな2可めてさうのこ2とな2つ1可し
0297【さうのことなつかしく】−女二
くひきまさく里てお1者寿るけ者ひも1さ寿可に
あてにな2満め可しけれと2お1な2しく者いまひと2き
はをよ者さりけるすくせよと2な2をおほゆ
も1ろ可つ1らおち者をな2尓ゝひろ日けむな2者
むつ1ましき可さしな2れと2も1と2可きすさひ井
堂るいとな2めけな2るし里うこ2とな2里可しおと2ゝ
0298【なめけなる】−無礼ノ心
0299【おとゝの君】−源
の君ハまれ/\わ多り給てえふと2も多ち可へ里給ハす」(68オ・1183J)
しつ1心な2くお1ほさるゝに多えいり給ひぬと2てひと2
0300【たえいり給ひぬ】−紫ノセツシ也
まい里多れハさらにな2尓こ2とも1お1ほしわ可れ寿御
心も1くれてわ多里給みちの本との心も1と1な2きに
け尓可の院者ほと2里のお1ほちまてひと2堂ち
0301【かの院】−二条院
さ者き多里と2のゝうちな2きのゝし累け者ひいと2
ま可/\しわれ尓も1あらてい里給へれハひころ者
いさゝ可ひま見え給へる越尓者可にな2む可くお1者
しま寿と2てさふら婦可きりはわれも1をくれ多
てまつ1らしと2まと2ふさまと2も1可き里な2しみ寿
本うと2も1の堂むこ本ちそ2うな2とも1さるへき可き
里こそ2ま可てね本ろ/\と2さわく越見給尓さらは」(68ウ・1184B)
可きり尓こそ2者と2お1ほし者へるあさましさに
な2尓こ2と可は多くひあらむさりと2も1ゝのゝけの
する尓こそ2あらめいと可くひ多ふるにな2さ者き
そ2と2しつ1め給ていよ/\いミしきくわんと2も1越
堂てそ2へさせ給すくれ多るけむさと2も1の可き
里めしあつ1めて可き里ある御いのち尓てこのよつ1
き給ひぬと2も1堂ゝいまし者しのと2め給へ布と2う
そ2んの御本のち可ひあ里そ2のひ可寿を多に可け
と2ゝめ多てまつ里給へと2可しらよりまこ2とにくろ
けふ里を多てゝいミしき心をお1こして可ちし
堂てまつ1る院も1堂ゝいまひと2多ひめ越見あ」(69オ・1184I)
者せ給へいとあえな2く可きりな2里つ1らん本とを
堂にえ見寿な2里に个るこ2とのくやしく可な2し
きをと2お1ほしまとへるさ満と2ま里給へき尓も1
あらぬを見多てまつ1る心ちと2も1多ゝをし者
可るへしいミしき御心のうち越本とけも1見多
てまつ1里給尓や月ころさらにあら者れいて
こぬも1のゝけちひさきわら者尓うつ1里てよ者
ひのゝし累本とにやう/\いきいて給尓うれし
くも1ゆゝしくも1お1ほしさ者可るいミしくてうせら
れて人ハミ那さりね院ひと2ゝころの御見ゝにきこ
えむをのれを月ころてうしわひさせ給可な1」(69ウ・1185A)
0302【てうし】−テウロウノ心
さけな2くつ1ら个れハおな2しくはおほしゝら
せむと2お1も1ひつ1れと2さ寿可にいのちも1堂う
ましくみをく多きてお1ほしまと2ふを見多て
まつ1れハいまこそ2可くいミしきみをうけ
0303【いみしきみ】−ナニ身ニテイマ/\シキ業ト也
多れい尓しへの心のゝこ里てこそ2可くまても1
まい里き多るな2れハも1のゝ心くるしさ越え見す
くさてつ1井尓あら者れぬるこ2とさらにしら
れしと2お1も1ひつ1るも1のをと2て可みをふ里可
けてな2くけ者ひ堂ゝむ可しみ給しも1のゝけ
のさまとみえ多りあさましくむくつ1けしと2
おほしゝみ尓しこ2との可者らぬも1ゆゝしけれハ」(70オ・1185G)
このわらハのてをと2らへてひき寿衛てさ満あ新
くも1せさせ給者寿まこ2とにそ2の人可よ可らぬき
つ1ねな2といふな2るも1のゝ堂(+者)ふれ多る可な2き人
のお1も1てふせな2るこ2といひいつ1るも1あな2るを
堂し可な2るな2の里せよ又ひと2のしらさらんこ2と
0304【ひとのしらさらんこと】−源ノ人ノシラヌコト我ハカリシリタルコトヲイヘト也
の1心尓し累くお1も1ひいてられぬへ可らむをいへさ
てな2むいさゝ可尓ても1志ん寿へきと2の給へハ本ろ/\
と2い多くな2きて
わ可身こそ2あらぬさまな2れそ2れな2可ら
そ2らお1ほ連寿累君者きみな2里いと2つらし/\
と2な2きさ个ふも1の可らさす可尓も1の者ちし多」(70ウ・1186@)
累个者ひ可者らす中/\いと2うとましく心うけれ者
も1のい者せしと2お1ほす中宮の御こ2と尓ても1いとう
0305【ものいはせし】−源ノハツカシキ心
れしく可多しけな2しと2な2むあま可け里ても1見多て
まつ1れと2ミちこ2とにな2里ぬれハこのうへまても1ふ可く
0306【なりぬれは】−生前死後
0307【この】−子
お1ほえぬ尓やあらん猶ミつ1可らつ1らしと2お1もひ
きこえし心のし布な2むと2まるも1のな2里けるそ2
0308【しふ】−執心
の中尓も1いきてのよ尓人よ里おと2してお1ほし
すてしよ里も1お1もふと2ちの御も1の(+か多りの)つ1いてに心よ可
らす尓く可里しあ里さまをの給いて多りし
な2むいとうらめしくいまは堂ゝな2きにおほし
ゆるしてこ2と人のいひおと2しめむ越多に者ふき」(71オ・1186G)
可くし給へと2こそ2お1も1へと2うちお1も1ひし
者可り尓可くいミしきみのけ者ひな2れ者可く
0309【みのけはひ】−アラハルヽモハツカシキケハヒト也
と2ころせきな2里この日と2をふ可く尓くしと2
0310【ふかくにくし】−紫コト
お1も1ひきこゆるこ2とはな2けれと2まも1里つ1よく
いと御あ多里と2をき心ちしてえち可つ1きまいらす
0311【御あたりとをき】−源ニモツキタケレ共ト也
御こゑを多に本の可尓(+な2んきゝ)者へるよしいまはこのつ1
見可ろむ者可りのわさをせさせ給へす本うと2経と2
のゝし累こ2とも1身尓はくるしくわひしき本
の1本と2のミまつ1者れてさらに多うと2きこ2とも1
きこえねハいと可な2しくな2む中宮尓も1このよし」(71ウ・1186M)
越つ1多へきこえ給へゆめ御ミやつ1可へのほと2尓
人と2きしろひそ2ねむ心つ1可ひ給な1さい宮尓
お1者しましゝころ本ひの御つ1ミ可るむへ可らむ
くと2くのこ2と越可な2らすせさせ給へいと2くやしき
こ2とにな2むあ里けるな2といひつ1ゝくれと2も1のゝけ尓1
む可ひても1の可多り志給者むも1可多者らい多け
れ者ふんしこめてうへをは又こ2と可多にしのひ
てわ多し多てまつ1里給可くうせ給尓け里と2
いふこ2と世中尓みちて御と2ふらひ尓きこえ給
人/\ある越いとゆゝしくお1ほ寿けふの可へさ」(72オ・1187D)
0312【かへさみに】−祭ノカヘサヲミルコト
み尓いて給个る可む多ちめな2と可へり給みち尓
可く人の申せはいと2いみしくさ(くさ$き)こ2とにも1ある可
な1いけ累可ひあ里つ1るさい者ひ人のひ可里うし
な2ふ飛尓てあめはそ2本ふるな2里け里と2うちつ1
け事し給人も1あ里又可く多らひぬる人者
可な2らすえな2可ゝらぬこ2とな2里な2尓越さくらにと2
0313【なにをさくらに】−\(合点)満てといふ尓ちらてしと満る物/な2らハ/な尓1を桜尓思まさまし(付箋H)
いふゝ累こ2とも1あるは可ゝる人のいとゝ世尓な2可ら
へてよの多のしひをつ1くさは可多者らの人
くるし可らんいまこそ2二品宮はも1と2の御お1ほえ」(72ウ・1187J)
あら者れ給者めいとお1しけ尓をされ多りつ1る
御お1ほえ越な2とうちさゝめきけ里衛も1んの可ミ
きのふくらし可多可りしをお1も1ひてけふ者御
おと2うと2ゝも1左大弁と2うさい将な2と越くの可多
尓のせてみ給个里可くいひあへるをきく尓も1
むねうちつ1ふれてな2尓可うきよ尓ひさし可累
0314【なにかうきよに】−\(合点)のこりな1くちるそめて多起さくら/花/有てよのな可者てのう个れ者(付箋I)
へきと2うちすしひと2里こちて可の院へミな1まいり
給多し可な2らぬこ2とな2れハゆゝしくやと2て堂ゝ
お1ほ可多の御と2ふらひ尓まい里給へる尓可く人の
な2きさ者け者まこ2とな2里个里と2多ちさ者き」(73オ・1188A)
0315【たちさはき給へり】−夕
給へり志きふ卿の宮も1わ多り給ていと2い多く
お1ほし本れ多るさま尓てそ2い里給人の御せう
そ2こも1え申つ1多へ給者寿大将の君な2ミ多
をのこひて多ちいて給へるにい可尓/\ゆゝし
0316【いかに/\】−柏詞
きさまに人の申つ1れハ志んし可多きこ2と尓て
な2む堂ゝ飛さしき御な2やミをうけ給者里な2けき
てまい里つ1るな2との給いと2をもくな2りて月日へ
給へる越このあ可月よ里堂えい里給へりつ1るを
も1のゝけのし堂るにな2んあ里けるやう/\いきいて
給やう尓きゝな2し者へりていまなむみな1人心」(73ウ・1188G)
しつ1む免れと2ま多いと多のも1し个な2しや心く
累(累=ル)しきこ2とにこそ2と2てまこ2とにい多くな2き給
へるけしきな2里めも1すこし者れ堂里衛も1ん
の可ミわ可あやしき心な2らひ尓やこの君のいと
さしも1志多し可らぬまゝハゝの御こ2と越い多く心
しめ多まへる可な2とめをと2ゝむ可くこれ可れま
0317【かくこれかれ】−院
いり給へるよしきこしめしてをも1きひやう
さの尓者可にと2ちめつるさまな2里つ1る越ねう
者うな2とは心も1えお1さめ寿ミ多り可者しく
さ者き者へり个る尓ミつ1可らも1えのと2めす心あ
者多ゝしきほと尓てな2むこ2とさらにな2む可く」(74オ・1188M)
も1のし給へるよろこひはきこゆへきと2の給へり
可むの君ハむねつ1ふれて可ゝ累お1りのらうろう
0318【らうろう】−牢籠 ヲトロク心
な2らす者えまいるましく个者ひ者つ可しく
お1もふも1心の1うちそ2者らき多な2可里け累可く
いきいて給てのゝちしも1おそ2ろしくおほし
て又/\いミしき本うと2も越つ1くしてく者へ
をこな2者せ給うつ1し人尓て多にむくつ1け可里
0319【うつし人】−御息所ノコト
し人の1御け者ひのましてよ可者里あやしき
も1のゝさまにな2里多まへらむをお1ほしやるにいと
心うけれハ中宮をあつ1可ひきこえ給さへそ2」(74ウ・1189E)
このお里はも1のうくいひも1てゆけ者女の身者
ミな1お1な2しつ1ミふ可きも1と2井そ2可しと2な2へて
の世中いと者しく可の又人も1き可さ里し御な1
可能むつ1も1の可多り(むつ1も1の可多り=ムツコト イ)にすこし可多りいて給へり
しこ2と越いひいて多里し尓まこ2とゝお1ほしいつ1
累尓いとわつら者しくおほさる御くしお1ろして
むと2せち尓お1ほし堂れハいむこ2とのち可らも1やと2て御
い多ゝきしるし者可りはさミて五可い者可りうけ
させ堂てまつ1里給御可いのしいむこ2とのすくれ多る
よし本とけ尓申す尓も1あ者れ尓堂うと2き」(75オ・1189K)
こ2とまし里て人わるく御可多わらにそ2ひ井て
な2ミ多をしのこひ給つ1ゝ本とけをもろ心尓
ねむしきこえ給さまよ尓可しこくお1者
する人も1いと2可く御心まと2ふこ2とにあ多りては
え志つ1め給者ぬわさな2里个りい可な2るわさ
をしてこれをすくひ可けと2ゝめ多てまつ1ら
むと2のミよるひるお1ほしな2けくに本れ/\しき
まて御可をも1すこしお1も1やせ給ひ尓多里五月
な2とはまして者れ/\し可らぬそ2らのけしき
尓えさ者やき給者ねとあ里しよりはすこし」(75ウ・1190B)
よろしきさまな2里されと2な2を多え寿な2やミ
わ多り給も1のゝけのつ1ミすくふへきわさひこ
と2に本花経一部つ1ゝくやうせさせ給日こ2とに
な2尓くれと2多うと2きわさせさせ給御まくら
0320【御まくら】−紫ノコト
可みち可くても1ふ多んのみと2経こ衛多うと2き
可きりしてよませ給あら者れそ2めてはおり/\
可な2しけな2るこ2とゝも1越いへと2さらに(+こ)のも1のゝ
0321【かなしけなる】−モノヽケ
けさ里者て寿いとゝあつ1き本とはいきも多
えつ1ゝいよ/\のミよ者り給へハい者む可多な2く
おほしな2けき堂りな2きやうな2る御心ち尓も1
0322【なきやうなる】−紫心
可ゝ累御けしきを心くるしくみ多てまつ1里」(76オ・1190H)
給て世中尓な2くな2りな2むも1わ可身尓はさらに
くちお1しきこ2とのこるましけ个れと2かくお1ほし
まと2ふめるにむな2しく見な2され多てまつ1らむ可
いとお1も1ひくまな2可るへ个れ者お1も1ひおこして
御ゆな2といさゝ可まいるけ尓や六月尓な2りてそ2
と2き/\御くしも1堂け給けるめつ1らしく見
多てまつ1里給尓も1猶いとゆゝしくて六条の院
0323【ゆゝしくて】−アヤシキ心
尓はあ可らさま尓もえわ多り給者寿ひめ宮者
あやし可里しこ2とをお1ほしな2けき志よりや可て
れいのさま尓も1お1ハせ寿な2やましくし給へと2」(76ウ・1191@)
0324【れいのさまに】−クワイニン
お1とろ/\しくはあらす堂ちぬる月よ里も1の
きこしめさてい多くあお見そ2こな2者れ給
可の人者わ里な1くお1も1ひあまると2き/\者ゆめ
0325【かの人】−柏
のやう尓見多てまつ1里个れと2宮つ1きせ寿わ
里な2きこ2とにお1ほし多り院をいミしくをち
きこえ給へる御心尓あ里さ満も1人の本とも1
ひと2しく多にや者あるい多くよしめきな2まめき
堂れハおほ可多のひと2め尓こそ2な2へての日とにハ
まさりてめてらるれおさな2くよ里さる多くひ
な2き御あ里さま尓な2らひ給へる御心尓はめさ満」(77オ・1191F)
0326【御ありさまに】−女三ノ源ニソヒ給ヘハ柏ヲハ御心ニイカヽソマントノ心
しくのミ見給本とに可くな2やミわ多里給は
あ者れな2る御すくせ尓そ2あ里ける御めのと2多ち
見多てまつ1里と2可めて院のわ多らせ給こ2とも1いと
多まさ可尓な2る越つ1ふやきうらミ多てまつ1る
可くな2やミ給と2きこしめしてそ2わ多り給女君
0327【女君】−紫上ノコト
者あつ1くむつ可しと2て御くしすましてすこし
さ者や可尓も1てな2し給へりふしな2可らうちや里
給へりし可はと2見尓も1可者可ねと2つ1ゆ者可りうち
ふくみまよふすちも1な2くていときよらにゆら/\
と2してあおミおと2ろへ給へるしも1いろ者さ越尓」(77ウ・1191L)
0328【いろは】−紫コト
0329【さをにしろく】−アヲキ心
しろくうつ1くしけ尓すき多るやう尓見ゆる御
者多つ1きな2とよ尓な2くらう多けな2里も1ぬけ
多るむしの可らな2とのやう尓ま多いと多ゝよは
しけ尓お1者寿と2しころすミ給者てすこし
あれ多里つ1る院のうち多と2しへな2くせ者け尓
0330【院】−二条院
さへ見ゆきのふけふ可くも1のお1ほえ給ひま尓て
心こ2とにつ1くろ者れ多るや里水前さいのうち
つ1け(+尓)心ちよけな2るを見い多し給ても1あ者れ尓
いまゝてへ尓ける越お1も1ほ寿いけ者いとすゝし
け尓て者ち寿の者な1のさきわ多れる尓ハゝいと」(78オ・1192C)
あおや可尓て露きら/\と2堂まのやう尓見えわ
多るを可(可=あ)れ見給へをのれひと2りも1すゝしけ
な2る可なと2の給尓おきあ可里て見い多し給へる
も1いとめつ1らしけれハ可くて見多てまつ1るこそ2
ゆめの心ちすれいミしくわ可身さへ可きりと2お1
0331【ゆめの心ち】−タエ入タル心ヲミレハト也
ほゆるお1里/\のあ里し者やと2な2ミ多越うけ
て能給へハ身つ1可らも1あ者れ尓おほして
きえと2まる本と2や者ふへき堂まさ可に者ち
0332【きえとまる】−紫
すのつ1ゆの可ゝ累者可りをと2の給
ちき里を可むこのよな2らても1者ち寿者尓」(78ウ・1192I)
0333【ちきりをかむ】−源
堂ま井るつ1ゆのこゝろへ多つ1な1いて多(多$)給可多さ
0334【いて給かた】−源心
ま者も1のうけれと2うち尓も1院尓も1きこし
めさむと2ころあ里な2やミ給と2きゝても1ほと2へぬ
累をめ尓ち可きに心をまと2者しつ1る本とみ多て
まつ1るこ2とも1お1さ/\な2可りつ1るに可ゝ累くも1ま
尓さへや者多えこも1らむと2お1ほし多ちてわ多り給日
ぬ宮者御心のお1尓ゝみえ多てまつ1らんも1ハつ可しう
つ1ゝましくお1ほ寿尓も1のな2ときこえ給御いらへも1
きこえ給者ね者ひころのつ1も1りをさす可にさ里
けな2くてつ1らしと2お1ほしけると2心くるしけれハ
と2(と2=ふ)可くこしらへきこえ給おと2な2ひ多る人めして」(79オ・1193B)
御心ちのさ満な2とゝひ給れいのさまな2らぬ御心ち
0335【れいのさまならぬ御心ち】−懐妊
尓な2むと2わつらひ給(+御)あ里さまをきこゆあやし
く本とへてめつらしき御こ2とにも1と2者可りの
給て御心のうち尓はと2しころへぬる人/\多尓も1
さるこ2とな2き越不定な2る御事尓も1やと2お1ほ
せはこ2とにと2も1可くも1の給ひあへしらひ給
者て堂ゝうちな2やミ給へるさまのいとらう多け
な2るをあ者れと2見多てまつ里給可らうしてお1
ほし多ちてわ多り給し可はふと2も1え可へり給者
て二三日お1者寿る本とい可尓/\と2うしろめ多く」(79ウ・1193H)
おほさるれハ御ふミをのミ可きつ1くし給いつ1の
0336【御ふみ】−紫ヘノ源ノ文
ま尓つ1も1る御こ2との者尓可あらむいてやゝ寿可ら
ぬ世をも1見る可な1と2わ可君の御あやまちをし
らぬ人ハいふ志ゝうそ2可ゝ累尓つ1けても1むねう
ちさ者きける可の人も1可くわ多り給へ里と2き
く尓お1ほけな2く心あやま里していミしきこ
と2ゝも1越可きつ1ゝけてをこせ給へ里堂い尓あ可ら
さま尓わ多り給へる本とに人まな2り遣れハしの
ひて見せ多てまつ1るむつ1可しきも1の見寿るこ
そ2いと心うけれ心ちのいとゝあしきにと2てふし」(80オ・1194@)
堂まへれハ猶多ゝこの者し可きのいとお1しけ尓1
者つるそ2やと2てひろけ多れハひと2のまいるにいと2
くるしくてみき丁ひきよせてさりぬいとゝむ
ねつ1ふるゝに院い里給へハえよくも可くし給
者て御しと2ねの1し多尓さし者さみ給つ1よ
うさりつ1可多二条の院へわ多り給者むと2て御いと
まきこえ給こゝ尓はけしうはあら須見え給を
0337【こゝには】−源
0338【けしうはあらす】−女三ノ御ナヤミハサホトナキ心
満多いと2堂ゝよ者しけな2里し越見すて多るや
う尓1お1も者るゝも1いまさらにいと2お1しくてなむ
ひ可/\しくきこえな2寿人あ里と2も1ゆめ心を」(80ウ・1194E)
き給な1いま見な1おし給てむと2可多らひ給れ
い者な2まい者けな2き多者ふれこ2とな2とも1うち
と2けきこえ給をい多くしめ里てさや可にも1みあ
者せ多てまつ1里給者ぬを堂ゝよのうらめし
き御遣しきと2心え給ひ(ひ=フル)そのをましにうちふ新
給て御も1の可多りな2ときこえ給本とにくれ尓け
りすこしお1ほと2のこも1りいり尓けるにひくら
しの者な2や可にな2くにお1と2ろき給てさらは見
ち多と2/\し可らぬ本と尓と2て御そ2な2と多てま
つ1里な2お寿月まちてと2も1いふな2るも1のをと2」(81オ・1194K)
0339【月まちて】−\(合点)夕くれハみち多と/\し月待て/可遍連王可せこその満尓も/ミむ(付箋J)
いと2わ可や可な2るさましての給ハ尓く可らす可し
そ2の1ま尓1も1と2やおほすと2心くるしけ尓1お1ほ
0340【そのまにもとや】−\(合点)
して堂ちと2まり給
ゆふ露尓そ2てぬらせ2と2やひくらしの1
0341【ゆふ露に】−女三
な2くをきく/\おきてゆく覧可多な2里な2る
御心尓1ま可せていひいて給へるもらう多けれハ
つ1い井てあな2くるしやと2うちな2けき給
まつ1さと2もい可ゝきくらむ可多/\尓1心さ
0342【まつさとも】−源
ハ可寿ひくらしのこゑな2とお1ほしや寿らひて
猶な2さけな2可らむも1心くるしけれハと2まり給ひ」(81ウ・1195D)
ぬしつ1心な2くさ寿可にな2可められ給て御く多も1の
者可りまいりな2としてお1ほと2のこも1りぬま多あさ
すゝみの本とにわ多り給者むと2てと2くお1き給よへ
の可者本里をおと2してこれハ風ぬるくこそ2
あ里个れと2て御あふきをき給てきのふう多ゝね
し給へりしお1ましのあ多里を多ちと2まりて見
給尓御しと2ねのすこしまよひ堂るつ1まよ里
0343【まよひたる】−乱タ心
あさミと2りのう寿やうな2るふミのをしまき多る
者し見ゆるをな2尓1心も1な2くひきいてゝ御覧
するにおと2このてな2里可みの可な2といとえむ尓1
こ2とさらめき堂るかきさ満な2りふ多可さねに」(82オ・1195K)
こま/\登可き堂る越み給尓まきるへき可多
な2くそ2の人能てな2里けりと2見給ひつ1お1ほ
む可ゝ見な2とあけてまいらする人者見給ふミ
尓こそ2ハと2心も1しらぬ尓1こ新ゝうみつ1けて
きのふ能ふミの1いろと2見るにいと2いミしくむ
ねつ1ふ/\と2な2る心ち寿御可ゆな2とまいる可多尓1
めも1見やら寿いてさ里と2もそ2れ尓者あらしいと
いミしくさるこ2とはあ里な2むや可くい給てけ
むと2おも1ひな2寿宮ハな2尓心も1な2くま多お1ほと2
の1こも1れ里あな2い者けな2可ゝ累も1のをちらし給」(82ウ・1196B)
てわれな2らぬ人も1見つ1け多らまし可はと2お1ほ
すも1心お1と2りしてされ者よいとむけ尓1心尓く
きと2ころな2き御あ里さ満越うしろめ多しと2
はみる可しと2お1ほ寿いて給ぬれは人/\すこし
あ可れぬるに志ゝうよ里てきのふのも1のはい可ゝ
0344【あかれぬる】−ワカレタル心
せさせ給てしけさ院の御覧しつ1累ふミのいろ
こそ2尓て者へりつ1れと2きこゆれハあさましと2
お1ほしてな2ミ多の多ゝいてきにいてくれ者いと2
おしきも1の可らいふ可ひな1の御さまやと2見多て
まつ1累いつ1く尓可はを可せ給てし人/\のまいり」(83オ・1196H)
しにこ2とあ里可本尓ち可くさふら者しと2さ者可り
0345【ちかくさふらはし】−小侍従女三ノ御ソハチカクイルモ人メヲモヒサルト也
の1い見を多に心のお尓ゝ(+さ)里者へし越いらせ給し
本とはすこし本とへ者へり尓しを可くさせ給
つ1らむと2な2むお1もふ給へしと2きこゆれ者いさと2よ
0346【いさとよ】−女三
見し本とにい里給し可はふと2も1えをきあ可(可=へ)
ら(ら=無イ)てさし者さ見し越わ寿れ尓个里と2の給
0347【ら】−無イ
尓いと2きこえむ可多な2しよりて見れハいつ1く
の可はあらむあな1いミし可の君も1いとい多く越
0348【かの君】−柏
ち者ゝ可里てけしき尓ても1ゝ里き可せ給こ2と
あら者と2可しこまりきこえ給しも1の越本と」(83ウ・1197@)
多尓へ寿可ゝ累こ2とのいてまうてくるよすへて
いわけな2き御あ里さま尓て人尓も1みえさせ
0349【御ありさま】−鞠ノコト
給个れハと2しころさ者可りわ寿れ可多くうらみ
いひわ多里給し可と2可くまておも1ふ給へし御
こ2と可は多可御堂め尓も1いとお1しく者へるへき
こ2とゝ者ゝ可里も1な2くきこゆ心や寿くわ可く
お1者寿れハな2れきこえ堂るな2めりいらへも1し
給者て堂ゝな2きにのミそ2な2き給いとな2やまし
け尓てつ1ゆ者可りのも1のも1きこしめさねハ可く
な2やましくせさせ給を見をき堂てまつ1里」(84オ・1197E)
0350【なやましく】−源ノソヒヲハシマサハカヤウノコトモタハカルマシイモノトノ心
給ていまはをこ多里者て給尓多る御あつ1可ひ尓
0351【いまは】−紫
心をいれ給へるこ2とゝつ1らくお1も1ひいふお1と2ゝ者
このふミの猶あやしくお1ほさるれ者人見ぬ可
多尓てうち可へしつ1ゝみ給さふらふ人/\の中尓
可の中納言のて尓ゝ堂るてして可き多る可と2
まておほしよれと2こ2と者つ1可ひきら/\と2満可
うへくも1あらぬこ2とゝも1あ里と2しをへてお1も1ひ
わ多里けること2の多まさ可に本いめ(め$可)な2ひて心や寿可
らぬすちを可きつ1くし堂るこ2と者いと見と2ころ
あ里てあ者れな2れと2いと可くさや可尓(+ハ)可くへし」(84ウ・1197K)
やあ多ら人のふミをこそ2おも1ひや里な2く可き
けれをちゝ累こ2とも1こそ2と2思ひし可はむ可し
0352【むかしかやうに】−朧ノカタヘノ源文
可やう尓こま可な2るへきお1里ふし尓も1こ2とそ2き
つ1ゝこそ2可きまきら者しゝ可人のふ可きよ
うい者可多きわさな2里个里と2可のひと2の心をさ
へ見お1と2し給つ1さても1この人越ハい可ゝも1て
な2しきこゆへきめつ1らしきさ満の御心ちも1
0353【めつらしきさま】−懐妊
可ゝ累こと2のまきれ尓てな2里遣里いてあな1心
うや可く人つ1てな2らすうき事越し累/\あ(あ$)
あ里しな2可らみ多てまつ1らんよと2わ可御心な2可」(85オ・1198C)
らも1えお1も1ひな1お1寿ましくお1ほゆる越な2越
さりのすさひと2者しめよ里心をと2ゝめぬ人多尓
又こ2とさまの心わくらむと2お1も1ふ者心つ1きな2く
お1も1ひへ多てらるゝ越ましてこれ者さまこ2とに
おほけな2き人の心尓も1あ里ける可な1ミ可と2の御
め越も1あやまつ1堂くひむ可しも1あ里遣れと2
そ2れハま多いふ可多こ2とな2里ミやつ1可へと2いひてわ
れも1人もお1な2し君尓な2れつ1可うまつ1る本と
尓をのつ1可らさるへき可多尓つ1けても1心を可
ハしそ2めも1のゝまきれお1ほ可里ぬへきわさな2里」(85ウ・1198I)
女御可ういといへと2ゝあるすち可ゝる可多尓1つ1けて
可多本な2る人も1あ里心者せ可な2らすをも1可ら
ぬうちまし里ておも1者寿な2るこ2ともあれと2
お1ほろ遣のさ多可な2るあやまち見えぬ本とは
さても1ましらふやうも1あらむ尓1ふと2しも1あら
者な2らぬまきれあ里ぬへし可く者可り又な2き
0354【かくはかり】−女三ノコト
さま尓1も1てな2しきこえてうち/\の心さし
ひく可多よ里も1いつ1くしく可多しけな2きも1
の尓お1も1ひ者くゝまむ人をゝきて可ゝ累こ2と
0355【おもひはくゝまむ人】−源ノ身上ノコト
はさらに多くひあらしと2つ1ま者しきせられ」(86オ・1199@)
給ミ可と2ゝきこゆれと2堂ゝすな2本尓1お1ほやけ
さまの心者へ者可り尓てみやつ1可への本とも1ゝ
のすさましきに心さしふ可きわ多くしの
ねきこ2とにな2ひきをの可しゝあ者れをつ1く
し見すくし可多きお1りのいらへをも1いひそ2
めしねむ尓心可よひそ2むらむな2可らひハお1な1
しけし可らぬすちな2れと2よる可多あ里やわ可
0356【わか身】−源
身な2可らも1さ者可りの人尓心わけ給へく者お1
ほえぬものをと2いと心つきな2けれと2又けしき
尓い多すへきこ2とにも1あら須な2とお1ほしミ多累ゝ」(86ウ・1199F)
につ1けて故院のうへも1可く御心尓者しろし
0357【故院のうへ】−ウスクモノコト
め志てや志らす可本をつ1くらせ給遣むお1も1
へハそ2のよ能こ2とこそ2者いと2お1そ2ろしくあるま
しきあやまちな2里けれと2ち可き多めしをお1
ほす尓そ2こひの山ち者えも1と2くましき御
0358【こひの山ち】−\(合点)い可ハ可り恋の1山路の志个ゝれ者/い里といりぬる人満とふらん(付箋K)
心まし里けるつ1れな2しつ1く里給へと2も1のお1ほし
ミ多累ゝさまのし累けれハ女君きえのこ里
0359【女君】−紫
多るいと本し見尓わ多里給て人や里な2らす心く
累しうお1も1ひや里きこえ給尓やと2お1ほして
心ち者よろしくな2り尓て者へる越可の宮のな1」(87オ・1199K)
やましけ尓1お1者寿らむ尓と2くわ多里給尓し
こそ2いとお1しけれと2きこえ給へハさ可しれい
な2らすみえ給し可と2こと2な2る心ち尓1も1お1者せ
ね者お1のつ1可ら心のと2可尓1お1もひてな2むうち
よりは(は$)堂ひ/\御つ1可ひあ里け里遣ふも1御ふミ
0360【たひ/\御つかひ】−女三ノコトヲ尋ヘニトノ御文ナルヘシ
あ里つ1と2可院のいとやむこ2とな2くきこえつ1け
0361【院】−朱
給へれハうへも1可くお1ほし多るな2るへしすこ志
をろ可尓1な2と2も1あらむ者こな2多可な2多お1ほさん
こ2とのいと2お1しきそ2やと2てうめき給へハうちの
0362【うちの】−紫
きこしめさむよりも1みつ1可らうらめしと2」(87ウ・1200C)
お1も1ひきこえ給者むこそ2心くるし可らめわれ
0363【おもひきこえ】−女三ノ心ノコト
ハお1ほしと2可め寿と2もよ可らぬさま尓1きこえ
な2寿人/\可な2らすあ覧と2お1も1へハいとくるし
くな2むな2との給へハけ尓1あな2可ち尓1お1も1ふ人の
堂め尓はわつ1らハしきよす可な2けれと2よろつ1
尓堂と2りふ可きこ2とゝや可(+く)やと2お1ほよそ2人の
お1も1者む心さへお1も1ひめくらさるゝをこれハ堂ゝ
こくわうの御心やをき給ハむと2者可り越者ゝ可ら
む者あさき心ちそ2しけると2ほゝゑミての給ひ
まきら者寿わ多里給者むこ2と者も1ろと2も1に」(88オ・1200I)
0364【わたり給はむこと】−六条院ニ紫ト源ト
可へりてを心のと2可にあらむと2のミきこえ給を
こゝに者し者し心や春くて者へらむまつ1わ多り
0365【こゝには】−紫
給て人の御心も1な2くさミな2む本とにをと2き
こえ可ハし給本とにひころへぬひめ宮者可く
わ多里給者ぬ日ころのふるも1人の御つ1らさ
尓のミお1ほ寿をいま者わ可御をこ多里うち
ませてな2里ぬると2お1ほ寿尓1院も1きこしめ志
0366【院も】−(朱)
け(け$徒)けてい可にお1ほしめさむと2世中つ1ゝましくな2ん
可の人も1いミしけ尓1のミいひわ多れと2も1こしゝ
0367【かの人】−柏
うも1わつ1ら者しくお1も1ひな2けきて可ゝ累こ」(88ウ・1201A)
0368【かゝること】−文ヲ源ノミ給シト也
と2な2むあ里しと2つ1けて个れハいとあさましく
いつ1の1本とにさるこ2といてきけむ可ゝるこ2とは
あ里ふれハをのつ1可らけしき尓ても1ゝりいつ1
累やうも1やと2お1も1ひし多尓1いとつ1ゝましく
そ2らにめつ1き多るやう尓1お1ほえし越まして
さ者可里堂可ふへくも1あらさ里しこ2とゝも1越
見給てけむ者つ1可しく可多しけな2く可多わら
い多きにあさゆふすゝ見も1な2きころな2れと2身
0369【あさゆふすゝみも】−\(合点)夏のひ農あさゆふすゝ見ある物を/なと王可恋のひ満な2可るらん(付箋L)
も1しむる心ちしてい者む可多な2くお1ほゆと2し
0370【しむる心ち】−ソヽロヲソロシキ心
ころまめこと2にも1あ多こ2とにも1めしまつ1者し」(89オ・1201F)
まい里な2れつ1るも1のを人よ可(可=り)はこま可尓お1ほ
しと1ゝめ多る御けしきのあ者れ尓な2つ1可し
きをあさましくお1ほけな2きも1の尓心を可れ
多てまつ1里て者い可て可はめをもみあ者せ多て
まつ1らむさりとて可き多え本のめきまいらさら
むも1人めあやしく可の御心尓も1お1ほしあ者せむ
こ2とのいミしさな2とや寿可ら須お1も1ふ尓心ちも1
いとな2やましくてうちへも1まいらすさして
をも1きつ1ミ尓はあ多るへきな1らねと2身のい多
つ1らにな2里ぬる心ちすれハされハよと2可つ1は」(89ウ・1201L)
わ可心も1いとつ1らくお1ほゆいてやしつ1や可尓1
0371【いてやしつやかに】−女三ノ心ニ難ヲツケテ云フ
心尓くきけ者ひ見え給者ぬわ多里そ2やまつ1ハ
可のみ寿の者さ満も1さるへきこ2と可は可る/\しと2
大将のお1も1ひ給へるけしき見えき可しな2といま
そ2お1も1ひあ者寿る志ひてこのこ2と越お1も1ひ
さまさむと2お1も1ふ可多尓てあな2可ち尓1な2ん
つ1け多てまつ1らま本しき尓やあらむよき
やうと2ても1あま里ひ多お1も1むきにお1ほと2可
0372【ひたおもむき】−ウツクシキ心
尓あてな2る人者よのあ里さ満も1しらすかつ1さ
ふら婦人尓心越き堂まふこ2とも1な2くて可く」(90オ・1202C)
いと2お1しき御身の多めも1人の多めも1いミしき
こ2とにも1ある可な1と2可の御こ2との心くるしさも1
えお1も1ひ者な2多れ給者寿宮者いとらう多
け尓てな2やミわ多里給さ満のな2をいと心くるし
く可く思ひ者な2ち給尓つ1けてはあや尓くに
0373【かく思ひはなち】−源心女三ヲ思ハナチテハ又恋シト也
うきにまきれぬこひしさのくるしくお1ほさ
0374【うきにまきれぬ】−\(合点)
累れハわ多里給て見多てまつ1里給尓つ1けても1
むねい多くいとお1しくお1ほさる御いの里な2と
さま/\にせさせ給お1ほ可多のこ2とはあ里しに
可者らすな2可/\い多者しくやむこ2とな2くも1て」(90ウ・1202I)
な2しきこゆるさまをまし給けち可くうち
可多らひきこえ給さま者いとこよな2く御心
へ多ゝ里て可多わらい多けれハ人めハ可りをめや
すくも1てな2してお1ほしのミゝ多るゝ尓この御
心のうちしも1そ2くるし可里けるさるこ2と見
きと2も1あらハしきこえ給者ぬ尓見つ1可ら
いと2わ里な2くお1ほし多るさ満も1心おさな2し
いと可くお1者寿るけそ2可しよきやうと2いひな2
可らあま里心も1と2な2くをくれ多る堂のも1し
けな2きわさな2里と2お1ほ寿尓1世中な2へてう」(91オ・1203@)
しろめ多く女御のあま里や者ら可尓1をひ
0375【女御】−明石
0376【をひれ給へる】−ヲサナキコト
れ給へるこそ2可やう尓心可けきこえむ人者満
して心見多れな2む可し女ハ可う者る遣所な2
くな2よひ多るを人も1あな2つ1ら者しき尓や
さるましきにふと2めと2ま里心つ1よ可らぬあや
まちはしいつ1るな2りけ里と2お1ほ寿みきのおと2ゝ
のき多の可多のと2り多て多るうしろミも1な2くお1さ
0377【きたのかた】−玉カツラ
な2くよりも1の者可な2きよ尓1さ寿らふるやう尓
てお1ひいて給个れと2可と2/\しくらうありて
われも1お1ほ可多にハお1やめきし可と2尓くき心の」(91ウ・1203F)
そ2者ぬ尓しも1あらさりし越な2多ら可尓つ1
れな2くも1てな2してすくしこのおと2ゝのさるむ
0378【むしむの女はうに】−心ヲツクシテ弁ヲ契タマフ心也
しむの女者う尓心あ者せてい里き多りけむ尓
も1けさや可尓も1て者な2れ多るさまを人尓も1
見えしられこ2とさらにゆるされ多るありさ満尓
しな2してわ可心と2つ1ミある尓はな2さすな1里尓新
な2といまお1も1へハい可尓可と2あるこ2とな2里け里ちき
0379【ちきりふかきなか】−ヒケクロト玉トノ中
りふ可きな2可な2りけれハな2可く可くて多も1多
むこ2とはと2ても1可くても1お1な2しこ2とあらましも1
の可ら心も1てあ里しこ2とゝも1よ人も1お1も1ひいて
者すこし可る/\しきお1も1ひく者ゝ里な2まし」(92オ・1203L)
0380【かる/\しきおもひ】−玉ノカロクハ今モ人ノイヒ出サンカオモクアリタルト女三コトヲアテヽ源詞也
いとい多くも1てな2してしわさな2里と2おほしいつ1
二条のな1いしの可むの君をは猶多え寿思ひいて
0381【二条のないしのかむの君】−朧月
きこえ給へと2可くうしろめ多きすちのこ2とうき
も1の尓お1ほしゝ里て可の御心よわ(わ=者)さも1すこし
0382【かの御心よわさ】−女三
可るくお1もひな2され給个里つ1井尓御本いのこ
0383【御ほいのこと】−朧ノ出家
と2し給てけ里と2きゝ給てハいとあ者れ尓くちお1し
く御心うこきてまつ1と2ふらひきこえ給いま
な2むと2多尓ゝ本者し給者さりけるつ1らさを
0384【にほはし給はさりける】−源ニシラセ給ハヌトノ給也
あさ可らすきこえ給
あまのよをよそ2尓き可めやすまの浦尓1」(92ウ・1204D)
0385【あまのよを】−源
も1し本多れしも1堂れな2らな2く尓1さま/\
な2る世のさ多めな2さ越心尓お1も1ひつ1めていまゝ
てをくれきこえぬるくち越しさ越お1ほし
すてつ1と2も1さ里可多き御ゑ可うのうち尓1者ま
0386【まつこそは】−エカウニハ源ノ我ヲモ入給ヘトノ心
つ1こそ2ハと2あ者れ尓な2むな2とお1ほくきこえ
給へりと2くお1ほし堂ち尓しこ2とな2れと2この御
0387【とくおほしたち】−朧ノトクヨリ出家ヲ思立シト也
0388【この御さま】−源ノコト
さま多け尓1可ゝつ1らひて人尓はし可あらハし給
者ぬこ2とな2れと2心のうちあ者れ尓む可しよ里
つ1らき御ちきりをさ寿可尓1あさくしも1
お1ほしゝられぬな2と可多/\尓1お1ほしいてらる」(93オ・1204I)
御返いまハ可くしも1可よふましき御ふミの
0389【かくしもかよふましき】−コレカトチメナルヘシトノ心
と2ちめと2お1ほせはあ者れ尓て心と2ゝめて可き
給すミつ1きな2といとお可しつ1ねな2きよとハ
身ひと2つ1尓のミし里者へり尓しをゝくれ
ぬと2の給者せ多るにな2むけ尓1
あまふね尓1い可ゝハお1も1ひをくれ遣む
0390【あまふねに】−朧
あ可しのうらにいさ里せし君衛可う尓はあま
0391【あまねきかとにても】−普門示現 エカウノコト
ねき可と2(と2=タ)尓ても1い可ゝ者と2あ里こきあを尓1
ひの可見尓て志き見尓さし給へるれいのこ2と
な2れと2い多くすくし多る布てつ1可ひ猶ふ」(93ウ・1205A)
里可多くお1可しけな2里二条院尓おハしま寿
本と尓て女君尓も1いまはむけ尓1多えぬるこ2と
0392【たえぬること】−朧トノ中ノコト
尓て見せ多てまつ1里給いとい多くこそ2者つ1可
0393【いといたくこそ】−返歌ニ我ヲハツカシメシト也
しめられ多れけ尓1心つ1きな2しやさ満/\心本
そ2き世中のあ里さ満をよくみ寿くしつ1る
やうな2るよな2へてのよのこ2と(こ2と=中)尓ても1者可な2く
も1のをいひ可者しと2き/\尓よせ(よせ=付イ)てあ者れを
もし里ゆへをも1すくさ寿よそ2な2可らのむつ1
ひ可者しつ1へき人ハさい院と2この君と2こそ2は
0394【この君】−朧ノコト
のこ里あ里つ1る越可くみな1そ2むき者てゝさい
院(院+ハ)者多いミしうつ1と2めてまきれな2くをこ」(94オ・1205G)
な2ひ尓しミ給尓堂な2里な2越こゝらのひと2の
あ里さま越きゝみる中尓1ふ可くお1も1ふさ満
尓1さ寿可尓1な2つ1可しきこ2との可の人の御な2す
0395【かの人】−斎院コト
らひ尓多尓も1あらさりける可な1をむな1こを
お1ほし多てむこ2とよいと可多可るへきわさな2り
0396【おほし】−生
け里すくせな2といふらんも1の者め尓ミえぬわさ
尓てお1やの心尓ま可せ可多しお1ひ堂ゝむ
本と2の心つ1可ひは猶ち可らいるへ可め里よくこ
0397【よくこそ】−源ノ今ヨリ心ヲミタスマシト也
そ2あま多可多/\尓心をミ多るましきちき
里な2里けれと2しふ可くいらさりし本とはさう/\」(94ウ・1205M)
しのわさやさま/\に見まし可はと2な2むな2け
0398【さま/\に見ましかはと】−源ノ昔ハ女子少ト思シト也今ハイヤト也
可しきお1り/\あ里しわ可宮を心してお1ほ
0399【わか宮】−今上女一宮
し多て/\まつ1里給へ女御ハも1のゝ心をふ可く
志里給本とな2らて可くいと満な2きましらひ
をし給へハな2尓こ2とも1心も1と2な2き可多尓そ2
も1のし給らむみこ多ちな2むな越あく可きり
人尓てむつ1可るましくて世越のと2可尓1すくし
給者む尓うしろめ多可るましき心者せつ1け
ま本しきわさな2里ける可きりあ里てと2さ満
可うさ満のうしろミまうくる堂ゝ人ハ越のつ1可
らそ2れ尓も1多すけられぬるをな2ときこえ給へハ」(95オ・1206E)
者可/\しきさ満の御うしろミな2らすと2も1よに
0400【はか/\しきさまの】−紫
な2可らへむ可き里は見多てまつ1らぬやうあらしと2
お1も1ふ越い可な2らむと2てな2越も1の越心本そ2け尓
0401【いかならむ】−命ヲシラヌト心
て可く心尓ま可せてをこな2ひをも1と2ゝこ本里
な2く志給人/\をうらやましくお1も1ひきこ
え給へり可むの君尓さま可者里給へらむさう
0402【かむの君に】−源 朧ヘ源ヨリツカハシ給ヘキト也
そ2くな2とま多多ちな2れぬ本と者と2ふら婦へき
越けさな2とはい可尓1ぬふも1のそ2ゝれせさせ
給へひと2く多りは六条のひむ可しの君尓も1の
0403【六条のひむかしの君】−花チル
しつ1けむうるわしきほうふく多ちては」(95ウ・1206J)
う多て見(+流)めも1けうと2可累へしさ寿可にそ2の
心者え見せてをな2と2きこえ給あを尓ひのひ
0404【あをにひ】−コレハ衣装コト
と2く多り越こゝに者せさせ給つ1くも1と2ころの人
0405【こゝには】−紫上
0406【つくもところ】−細工所
めして志のひてあまの御くと2も1のさるへき者
0407【御くとも】−手道具
しめの給者寿御しと2ねうわむしろ屏風木丁
な2とのこ2とも1いと2しのひてわさと2可ましくいそ2
可せ給け里可くて山のミ可と2の御賀も1のひて
秋と2あ里し越八月ハ大将の御き月尓て可くそ2
0408【大将の御き月】−葵上
のこ2とをこな2ひ給者む尓ひんな2可るへし九月者
院のお1ほきさきの可くれ給尓し月な2れハ十月
0409【院のおほきさき】−弘徽殿
尓と2お1ほしまうくる越ひめ宮い多くな2やミ給へハ」(96オ・1207C)
又のひぬ衛も1んの可ミの御あつ1可里の宮な2むそ2の
月尓はまい里給けるお1ほきお1と2ゝ井多ちてい可
0410【まいり給ける】−朱へ也
めしくこま可にも1のゝきよらきしきをつ1
くし給へりけ里可むの君も1そ2のつ1いてにそ2
お1も1ひお1こしていて給ける猶な2やましく
0411【いて給ける】−朱へ
れいな2らすやまひつ1きてのミすくし給(+宮)も1
うち者えても1のをつ1ゝましくいとお1しと2の
ミお1ほしな2けく个尓やあらむ月お1ほく可
さな2り給まゝにいとくるしけ尓1お1者しませ
は院ハ心うしと2お1も1ひきこえ給可多こそ2」(96ウ・1207H)
0412【院は】−源
あれいとらう多け尓1あえ可な2るさ満して
可くな2やミわ多里給をい可尓1お1者せむと2な
け可しくてさ満/\尓お1ほしな2けく御いの里
な2とことしはまきれお1ほくてすくし給御山
0413【御山】−ミ
尓も1きこしめしてらう多くこひしと2(+思)きこ
え給月ころ可く本可/\尓てわ多里給こ2と
0414【月ころ】−源ノ女三ヘウトキコト
も1お1さ/\な1きやう尓1人のそ2うしけれは
い可な2る尓可と2御むねつ1ふれて世中も1いまさ
らにうらめしくお1ほして多いの可多のわつら
ひけるころは猶そ2のあつ1可ひ尓と2きこし
めして多にな2まや寿可らさりし越そ2のゝち」(97オ・1208@)
な2おり可多くも1のし給らむハそ2のころほ
ひゝむな2きこ2とやいてき多り遣むミつ1可
らし里給こ2とな2らねと2よ可らぬ御うしろミと2
も1の心尓てい可な2るこ2と可あ里けむうちわ多
里な2とのみやひ越可者寿へきな2可らひな2と
0415【みやひをかはす】−宮仕ナトニ心ヲカハスコト
尓も1けし可らすうきこ2といひいつ1る多くひ
も1きこゆかしと2さへお1ほしよるも1こまや
可な2るこ2とお1ほしすてゝし世な2れと2猶このミち
0416【このミち】−子
はゝな2れ可多くて宮尓1御ふミこまや可尓て
あ里けるをお1と2ゝお1者しま寿本と尓て見給」(97ウ・1208E)
そ2のこ2とゝな2くて志者/\も1きこえぬ本とに
0417【そのことゝなくて】−文詞
お1ほつ可な2くてのミと2し月のすくるな2むあ者
れな2里けるな2やミ給な2るさま者く者しく
きゝしのちねむ寿のつ1いて尓も1お1も1ひやらるゝ
はい可ゝ世中さひしくお1も1者寿な2るこ2とあり
と2も1しのひすくし給へうらめしけな2るけしき
な2とお1ほろけ尓て見し里可本尓本のめ可寿いと
しな2をくれ多るわさ尓な2む(+な2と)をしへきこえ
給へりいと2/\お1しく心くるしく可ゝるうち/\
0418【いと/\おしく】−源ノ心 朱ノ我ウト/\シキヲ思給ト也
のあさまし起越者きこしめ寿へきにハあらて」(98オ・1208K)
わ可お1こ多里に本いな2くのミきゝお1ほ寿らん
こ2と越と2者可りお1ほしつ1ゝけてこの御返をは
0419【この御返】−女三ヘノ詞
い可ゝきこえ給心くるしき御せうそ2こ尓1
まろこそ2いとくるし遣れお1も1者寿尓1お1も1飛
きこゆるこ2とあ里と2も1をろ可尓1人の見と2可
む者可里はあらしと2こそ2お1も1ひ者へれ多可
きこえ多る尓可あらむと2の給尓1者ちらひて
そ2むき給へる御寿可多も1いとらう多けな2りい多
くお1も1やせても1のお1もひくし給へるいと2ゝあ
てにお1可しいとお1さな2き御心者へをミ越き給」(98ウ・1209C)
てい多くはうしろめ多可りきこえ給な2り
0420【いたくは】−朱ノ心ヲ思心
け里と2お1も1ひあ者せ多てまつ1れハいまよりの
ちも1よろつ1尓な2む可うまても1い可てきこえ
しと2お1も1へと2うへの御心尓そ2むくと2きこしめ寿
0421【うへの】−朱ノコト
0422【御心にそむく】−女三ノ心ニ源ノ背ト朱ノ思給ハント也
らむこ2とのや寿可らすいふせき越こゝ尓多尓1き
こえしらせてや者と2てな2むい多里すくな2く多ゝ
人のきこえな2寿可多にのミよるへ可める御心尓
0423【御心】−朱ノ御心也
は堂ゝをろ可尓1あさきと2のミお1ほし又いまは
こよな1くさ多すきに多るあ里さ満も1あな2つ1
0424【こよなくさたすき】−源ノ年タリタルコト
ら者しくめな2れてのミ見な2し給らむも1可多/\」(99オ・1209H)
0425【見なし給らむ】−女三ノミナシ給ハント也
にくちお1しくも1うれ多くも1お1ほゆる越院の
お1者しまさむ本とは猶心お1さめて可のお1ほ
しをきて多るやうあ里遣むさ多すきひと2
0426【さたすき】−トシヨリタルコト
越も1お1な2しくな2寿らへきこえてい多くな1
可累免給そ2い尓しへより本いふ可きミち尓1
0427【ほい】−出家
も1多と2里う寿可るへき女(+可多)に多にミ那お1も1ひ
0428【うすかるへき】−葵ナトノ時
をくれつ1ゝいと2ぬるきこ2とお1ほ可る越ミつ1可ら
の(+御)こゝろ尓はな2尓1者可りお1ほし(ほし=もひ)万よふへき尓は
あらねと2いま者と2すて給けむよのうしろみ尓
(+ゆつり)をき給へる御心者えのあ者れ尓1うれし可里し越」(99ウ・1210@)
ひきつ1ゝきあらそ2ひきこゆるやう尓てお1な2し
さま尓1見すて多てまつ1らんこと2のあえな2く
お1ほされむ尓つ1ゝミてな2む心くるしと2お1も1ひ
し人/\も1いまは可けと2ゝめら累ゝ本多し者可り
な2るも1者へらす女御も1可くてゆく寿ゑはし
里可多けれと2ミこ多ち可寿そ2ひ給めれハミつ1
可らのよ多尓のと2けく者と2見をきつ1へし
そ2の本可は堂れも1/\あらむ尓し多可ひて
も1ろと2も1に身越すてむも1お1し可るましき
よ者ひと2も1にな2り尓多る越やう/\すゝしく」(100オ・1210F)
0429【よはひともに】−方々ノ所モミナトシヨリシト也
お1も1ひ者へる院の御よのゝ古りひさしくも1お1
者せしいとあつ1しくいと2ゝな2里まさり給て
も1の心本そ2け尓のミお1ほし多るにいまさらに
お1も1者寿な2る御な2(な2+の)も1里きこえて御こゝろ見
多里給な2このよはいとや寿しこ2とにも1あらす
のちのよ能御ミちのさま多けな2らむも1つ1ミ
いと2お1そ2ろし可らむな2とま本尓1そ2のこ2とゝハあ
可し給者ねと2つ1く/\と2きこえつ1ゝけ給尓
な2ミ多のミお1ちつ1ゝわれ尓も1あらすお1も1ひ
し見てお1者寿れハ我も1うちな2き給て人」(100ウ・1210K)
のうへ尓ても1もと2可しくきゝお1もひしふる
人のさ可しらよ身尓可者るこ2とにこそ2い可尓1
う多てのお1きな2やと2むつ1可しくうるさき
御心そ2ふらむと2者ち給つ1ゝ御すゝ里ひきよせ給
てゝつ1可らをしす里可見と2りま可な2ひ可ゝせ多
てまつ1里給へと2御ても1わな2ゝきてえ可き給者
す可のこま可な2里し返事ハいと2可くしも1
0430【かのこまかなりし返事】−柏ノ方ヘノコト
つ1ゝま寿可よ者し給らむ可しと2お1ほしや累尓
いと2尓くけれハよろつ1のあ者れも1さめぬへけれと2
こ2とはな2とをしへて可ゝせ多てまつ1里給まい里給」(101オ・1211C)
0431【まいり給はむこと】−賀ノコト
者むこ2とはこの月可くてすきぬ二の宮の御
いき本ひこ2と尓てまい里給ける越ふるめ可し
き御身さま尓て多ちな2らひ可本な2らむも1
0432【御身さま】−懐妊
者ゝ可里ある心ちしけ里志も1月者身つ1可ら
0433【身つからのき月】−桐壺御門
のき月な2里と2しのを者りは多いと2も1のさ者
可しま多いと2ゝこの御寿可多も1みくるしく
0434【御すかた】−懐妊
まち見給者むをと2お1も1ひ者へれと2さりと2て
さのミのふへきこ2と尓や者むつ1可しくも1のお1ほ
し見多れすあきら可にも1てな2し給てこのい多
くお1も1やせ給へるつ1くろひ給へな2といと2らう」(101ウ・1211H)
多しと2さす可尓1見多てまつ1里給衛も1んの可ミ
をはな2尓1さまのこ2と尓もゆへあるへきお1里ふ
しにハ可な2らすこ2とさらにまつ1者し給つ1ゝ
の給者せあ者せし越多えてさる御せうそ1こ
も1な2しひと2あやしと2お1もふらんと2お1ほせと2見
む尓つ1けても1いとゝ本れ/\しき可多者つ1可
しく見む尓は又わ可心も1多ゝな2らすやと2お1ほ
し可へされつ1ゝや可て月ころまいり給者ぬを
も1と2可めな2しお1ほ可多の人ハ猶れいな2らすな2やミ
わ多りて院尓(+ハ)者多御あそ2ひな2とな2きと2しな2れ者」(102オ・1212@)
0435【院に】−源ノコト
と2のミ思ひわ多る越大将の君そ2あるやうある
こ2とな2るへしすきも1の者さ多めてわ可けし
0436【けしきとりしこと】−ネコノ時ノコト
きと2りしこ2と尓はしの者ぬ尓やあ里けむ
と2思ひよれと2いと2可くさ多可にのこ里な2きさ
0437【のこりなきさま】−源ノシリ給トハシリ給ハヌ夕ノ心
まな2らむと2はお1も1ひよ里給ハさり个里十二月
尓な2り尓け里十よ日と2さ多めてまひと2も1な2
ら志と2のゝうちゆ寿里てのゝしる二条の院の1
うへハま多わ多里給者さりける越このし可く
尓よ里そ2(そ2=て)えしつ1め者てゝわ多り給へる女御
の君も1さと2尓1お1者しま寿この多ひのミこハ」(102ウ・1212E)
又お1とこ尓てな2むお者しましけるすき/\
0438【おとこにて】−匂宮ニテハナシ常陸君
0439【すき/\】−次々
いとお1可しけ尓てお1ハ寿る越あ个くれも1てあ
そ2ひ多てまつ1里給尓な1むすくるよ者ひの
しるしうれしくお1ほされける志可く尓
右大臣と2のゝき多の可多も1わ多里給へり大将
の君うしと2らのまち尓てまつ1うち/\尓て
う可くのやう尓あ个くれあそ2ひな2らし給
けれハ可の御可多はおまへのも1のハ見給者寿
0440【かの御かたは】−心得カタキ段
衛もんの可ミ越可ゝ累こと2のお1里も1ましら
者せさらむハいと者えな2くさう/\し可る」(103オ・1212J)
へきうち尓1ひと2あやしと2可多ふきぬへきこ2と
な2れ者まいり給へきよしあ里ける越をも1く
わつ1らふよし申てまいらすさるはそ2こ者
可と2くるしけな2るやまひ尓も1あらさな2る越
思ふ心のある尓やと2心くるしくお1ほしてと2里
わきて御せうそ2こつ1可者寿ちゝお1と2ゝも1な2
と2可ゝへさひまうされけるひ可/\しきやう
尓院尓も1きこしめさむをお1と2ろ/\しき
やまひ尓も1あらす多すけてまいり給へと2そ2(+所)の可」(103ウ・1213A)
し給尓1可く可さねての給へれハくるしと2思ふ/\
まい里ぬま多可む多ちめな2とも1つ1と2ひ給ハぬ
本と2な2里け里れいのけち可きみ寿のうち尓1
0441【けちかき】−源ヘチカク
いれ給ても1やの見すお1ろしてお1者しま寿
け尓1いとい多くやせ/\尓1あおミてれいも1本こ
里可尓1者な2やき多る可多者おと2うと2の君多
ち尓はも1てけ多れていと2よういあ里可お尓1志
つ1め多るさ満そ2こ2とな2る越いと2ゝしつ1めてさ
ふらひ給さまな2と可者みこ多ちの御可多者
らにさしな2らへ堂らむ尓1さらにと2可あるまし」(104オ・1213G)
き越堂ゝ古と2のさまの1堂れも1/\いとお1も1ひ
や里な2きこそ2いとつ1ミゆるし可多けれな2と
御めと2まれと2さ里けな2くいとな2つ1可しくそ2
0442【御めとまれと】−源ノ心
0443【さりけなく】−詞
のこ2とゝな2くて多いめむも1いとひさしくな2り尓1
け里月ころ者いろ/\のひやうさ越見あつ1
可ひ心のいと2まな2き本とに院の御可の多め古ゝ
尓も1のし給みこのほうしつ1可うまつ1里給
0444【みこ】−女三
へくあ里し越つ1き/\と2ゝこ本るこ2としけくて
0445【つき/\】−月々
可くと2しも1せめつれハえ思ひのこ2とくしあへて」(104ウ・1213L)
可多のこ2とくな2むいも1井の御者ちまいるへき越
0446【御はち】−ミ
御賀な2といへ者こ2と/\しきやうな2れと2いへ尓
お1ひいつ1るわら者への可すお1ほくな2里にけるを
御覧せさせむと2てまひな2とな2らハし者しめ
しそ2のこ2とを多尓1者多さむと2て兵しと2ゝの
へむこ2と又堂れ尓可はと2お1も1ひめくらし可ねて
な2む月ころと2ふらひも1のし給者ぬうら見も1
0447【うらみもすてゝけると】−恨モステヽヨヒタルト
すてゝけると2の給御けしきのうらな2きやうな2る
も1の可らいと/\者つ1可しきに可本のいろ堂可ふ
0448【いと/\】−イトヽ
らむと2お1ほえて御いらへも1と2見尓きこえ寿」(105オ・1214D)
月ころ可多/\尓1お1ほしな2やむ御事うけ給
0449【月ころ】−柏
者里な2けき者へりな2可ら春のころ本ひより
れいも1わつ1らひ者へるみ多里可くひやうと2いふ
も1のと2ころせくお1こ里わつ1らひ者へりて者可/\
しくふミ多つ1るこ2とも1者へらす月ころ尓1
そ2へてしつ1ミ者へりてな2むうちな2とにも1まい
ら寿世中あと多え多るやう尓てこも1り者へる
院の御よ者ひ多り給と2しな2里人よ里さ多可尓1
可そ2へ多てまつ1里つ1可うまつ1るへきよしちしの
おと2ゝ思ひをよひ申されし越可うふり越可け」(105ウ・1214I)
0450【かうふり越かけ】−\(合点)
くるまをお1しま寿すてゝし身尓てすゝみつ1
0451【おしますすてゝ】−御賀ヲ致仕シタレハトクモタレヌト也
可うまつ1らむ尓つ1くと2ころな2しけ尓下らう
0452【つく】−着
な2りと2も1お1な2しこ2とふ可きと2ころ者へらむそ2の
0453【おなしこと】−柏ニユツリ給ト也
心御覧せられよと2も1よ越しまうさるゝこと2の
者へし可はをも1きやまひ越あひ多寿けてな2む
まいりて者へしいまはいよ/\いと可寿可な2るさ
0454【いまは】−朱ノコト
万尓1お1ほしすましてい可めしき御よそ2ひを
0455【いかめしき御よそひをまちうけ】−女三ノ御賀ヲ待給コト
まちうけ多てまつ1里給者むこ2とね可者しく
も1お1ほ寿ましく見多てまつ1里者へし越
こ2とゝも1を者そ2可せ給てしつ1可な2る御も1の」(106オ・1215A)
可多りのふ可き御ね可ひ可な1者せ給者むな2む
まさりて者へるへきと2申給へハい可めしく
きゝし御賀のこ2と越女二の宮の御可多さまに
者い飛な2さぬも1らうあ里と2お1ほ寿堂ゝ可く
な2むこ2とそ2き多るさま尓世人ハあさく見累
へき越さ者いへと2心えても1のせらるゝ尓されは
よとな2むいと2ゝお1もひな2られ者へる大将者お1ほ
やけ可多者やう/\お1と2な2ふめれと2可うやう尓な2
0456【なさけひたる】−アソヒノ方
さけひ多る可多はも1と2よりしまぬ尓やあらむ
可の院な2尓こ2とも1心をよひ給者ぬ事者お1さ/\」(106ウ・1215F)
な2きうち尓も1可くの可多のこ2とは御心と2ゝめて
いと2可しこく志里と2ゝのへ給へるをさこそ2お1ほ
しすて多るやうな2れしつ1可尓1きこしめし
すまさむこ2といましも1な2む心つ1可ひせらるへき
可の大将と2も1ろと2も1に見いれてまひのわらハへ
のようい心者へよくゝ者へ給へも1のゝしな2といふ
ものハ多ゝわ可多て多るこ2とこそ2あれいとくちお1
しきも1のな2りな2といとな2つ1可しくの給ひつ1く
累をうれしきも1の可らくるしくつ1ゝましく
0457【うれしきものから】−柏心
てこ2と寿くな2尓てこの御まへをと2く多ちな2む/と2」(107オ・1215L)
お1も1へ者れいのやう尓1こまや可尓1も1あらてやう/\
すへりいてぬひむ可しのおと2ゝ尓て大将のつ1くろ
0458【ひむかしのおとゝにて】−花チル
ひい多し給可く人まひゝとの佐うそ2くのこ2と
な2とま多/\をこな2ひく者へ給あるへき可き
0459【をこなひくはへ給】−柏ノイケンアル也
りいミしくつ1くし給へるにいとゝくハしき
心しらひそ2ふも1け尓1このみちはいとふ可き
人尓そ2も1のし給めるけふ者可ゝ累心見のひな2れ/と
0460【ものし給】−柏ノコト
御可多/\もの見給者む尓1みと2ころな2くはあらせ
しと2て可の御賀のひはあ可きしらつる者見尓1
えひそ2めのし多可さねをきるへしけふ者あお」(107ウ・1216D)
いろ尓1すわう可さね可く人三十人けふ者しら
可さねをき多る多つ1ミの可多のつ1里と2の尓1つ1ゝ
き多るらうを可く所尓て山のミな2みのそ2者よ
0461【かく所】−ソ
里御前尓1いつ1る本と仙遊霞と2いふも1のあそ2ひ
てゆきの堂ゝいさゝ可ちるに春のと2な2里ち可く
0462【春のとなりちかく】−\(合点)冬な可ら春のとなりのち可/个れハ/中可きよりそ花ハちりく(く$个)る(付箋M)
むめのけしき見る可ひあ里て本ゝゑミ堂り
ひさしのミすのうち尓1お1ハしませはしき
ふ卿の宮右のおと2ゝ者可りさふらひ給てそ2れ
よりしも1の可む多ちめはすのこにわさと2な2らぬ
日のこ2と尓て御あるしな2とけち可き本とにつ1」(108オ・1216J)
可うまつ1里な2し多里右の大と2のゝの四らう君大将
殿の三らう君兵部卿宮の1そ2むわうの君多ち
ふ多りはまんさいらくま多いとち井さき本と
尓ていと2らう多けな2里四人な2可らいつ1れと2な2く
堂可きいへのこ尓て可多ちお1可しけ尓1可しつ1
きいて多るお1も1ひな2しも1やむこ2とな2し又大将
の御(御$)な2いしのすけ者らの二らう君志きふ卿の
0463【ないしのすけ】−惟光女
宮の兵衛の可ミと2いひしいまは源中納言の御
こわう上右のおほい殿の三らう君れうわう
0464【れうわう】−陵王
大将殿の多らうらくそ2むさては多いへいら」(108ウ・1217A)
0465【らくそむ】−落蹲
0466【たいへいらく】−大平
く喜春らくな2といふまひと2も1をな2むお1な2し
御な2可らひの君多ちお1と2な2多ちな2とまひける
くれゆけハみ寿あけさせ給ても1のゝけうまさる
尓いと2うつ1くしき御むまこの君多ちの可多ち
す可多尓てまひのさまも1よ尓1見えぬてをつ1く
してお1ほむしと2も1ゝをの/\ての可きり越ゝしへ
きこえけるにふ可き可と2/\しさ越く者へてめつ1
ら可尓1まひ給をいつ1れをも1いと2らう多しと2
お1ほ寿お1い給へる可む多ちめ多ちはみな2ゝみ
多お1と2し給しきふ卿の宮も1御まこをお1ほ」(109オ・1217G)
して御者な1のいろつ1くまてし本多れ給ある
しの院すくるよ者ひ尓そ2へてはゑひな2き
こそ2と2ゝめ可多きわさな2りけれ衛も1んの可ミ
心と2ゝめて本ゝゑまるゝいと心者つ可しやさりと2も1
いまし者しな2らむさ可さま尓1ゆ可ぬと2し月
0467【いましはしならむ】−柏ヲヤカテ老ント源ノ心
0468【さかさまにゆかぬ】−\(合点)
よお1いはえの可れぬわさな2里と2てうちみや里給
尓人よりけ尓1まめ多ちくんしてまこ2とに心ちも1
いと2な2やまし个れハいミしきこ2とも1めも1と2まら
ぬ心ちする人をしも1さしわきてそ2らゑひを志」(109ウ・1217L)
0469【そらゑひをしつゝ】−源ノコト
つ1ゝ可くの給堂者ふれのやうな2れと2いと2ゝむね
徒ふれてさ可月のめく里くるも1可しらい多く
お1ほゆれハけしき者可り尓てまきら者寿を
御覧しと2可めても1多せな2可ら多ひ/\し井給
へは者し多な2くても1てわつらふさまな2へての
人尓ゝすお1可し心地可きミ多りて多え可多个れ
者ま多こ2とも1者てぬ尓ま可て給ぬるまゝにいと2
い多くまと2ひてれいのいと2おと2ろ/\しきゑひ
尓も1あらぬをい可な2れハ可ゝ累な2らむつ1ゝましと2
も1のをお1もひつ1累尓けのゝ本里ぬる尓やいと2」(110オ・1218D)
さいふハ可りお1く寿へき心よ者さと2はお1ほえ
ぬ越いふ可ひな2くも1あ里ける可な1と2身つ1可ら
お1も1ひしらるし者しの衛ひのまと2ひ尓も1
あらさりけ里や可ていとい多くわつ1らひ給おと2ゝ
者ゝき多の可多お1ほしさ者きてよそ2/\尓て
いとお1ほつ1可な2しと2てと2の尓1わ多し多てまつ1
0470【おほつかなし】−柏ヲ女ニヨリ親ノヨヒ給ト也
里給を女宮のお1ほし多るさ満又いと心くるし
0471【女宮の】−柏心
こ2とな2くてすく寿へきひ(ひ=比)者心のと2可にあいな2多
のミしていとしも1あらぬ御心さしな2れと2いま」(110ウ・1218I)
者と2わ可れ多てまつ1るへき可と2て尓やと2お1も1
ふハあ者れ尓可な2しくをくれてお1ほしな2け
可むこ2との可多しけな2き越いミしと2お1も1ふ者ゝ
0472【はゝ宮す所】−オチハノハヽ
宮寿所も1いと2いミしくな2けき給てよのこ2とゝ
0473【よのことゝして】−御息所詞
してお1やをはな2越さるも1の尓1をき多てま
つ1里て可ゝる御な2可らひハと2あるお1りも1可ゝ累お1
0474【御なからひ】−夫婦
りも1者な2れ給者ぬこそ2れいの事な2れ可くひ
きわ可れて多ひら可にも1のし給まても1すくし
給者む可心つ1くしな2るへきこ2と越し者し古ゝ
尓て可くて心見給へと2御可多者らに御木丁者可り/越」(111オ・1219A)
へ多てゝみ多てまつ1里給こ2とわ里や可寿な2らぬ
0475【ことわりや】−柏詞
身尓てをよひ可多き御な2可らひ尓な2まし
ひ尓ゆるされ多てまつ1里てさふら婦しるし
尓はな2可く世尓1者へりて可ひな2き身の本と
も1すこしひと2ゝひと2しくな2るけちめをも1や
御覧せらるゝと2こそ2お1も1ふ給つれいといミし
く可くさへな2り者へれハふ可き心さし越多に
御覧し者てられ寿やな2り者へりな2むと2お1も1
ふ給ふる尓な2むと2まり可多き心ち尓1も1えゆ」(111ウ・1219F)
0476【とまりかたき心ち】−柏ノナカラヘ難キ女二ヲヽキテチヽヘハエユキヤラシト也
きやるましく思給へらるゝな2と可多身尓な2き
給てと2見尓も1えわ多り給者ねハ又者ゝき多の
可多うしろめ多くお1ほしてな2と可まつ1見えむと2
者お1も1ひ多まふましきわれハ心地も1すこし
れいな2ら数心本そ2きと2きはあま多の中尓ま
つ1と2里わきてゆ可しくも1堂のも1しくも1こそ2
お1ほえ給へ可くいとお1ほつ1可な2きこ2とゝうらみ
きこえ給も又いとこ2とわ里人よりさきな2里
0477【又いとことわり人より】−柏
けるけちめ尓やと2りわきて思ひな2らひ多る越
いま尓1猶可な2しくし給てし者しも1みえぬを者」(112オ・1219L)
くるしきも1の尓し給へハ心ちの可く可きり
にお1ほゆるお里しも1みえ多てまつ1らさらむ
つ1ミふ可くいふせ可るへしいま者と2多のミな2
0478【いまはと】−女二宮ヘ柏ノ詞
くき可せ給者ゝいとしのひてわ多り給て御
覧せよ可な2らす又堂いめむ多ま者らむあや
しく多ゆくをろ可な2る本上尓てこ2とにふれ
てをろ可尓1お1ほさるゝこ2とあ里つ1らむこそ2
くやしく者へれ可ゝ累いのちの本と越しらて
ゆくすゑな2可くのミお1も1ひ者へりけるこ2とゝ」(112ウ・1220C)
な2く/\わ多り給ぬ宮ハと2まり給ていふ可多な2く
お1ほしこ可れ多里大殿尓1まちうけきこえ
給てよろつ1尓1さ者き給さるは多ちまち尓1お1
と2ろ/\しき御心ちのさま尓もあらす月ころ
も1のな2と越さらにまいらさりけるにいと2ゝ者可な1
き可うしな2とを多にふれ多まハ寿多ゝやう/\
も1の尓1ひきいるゝやう尓1みえ給さると2きの
いうそ2くの可くも1のし給へハ世中をし見
あ多らし可里て御と2ふらひ尓まいり給者ぬ人」(113オ・1220H)
0479【あたらしかりて】−アタラト云コト
な2しうちよ里も1院よりも御と2ふらひし者/\
きこえつ1ゝいミしくお1しミお1ほしめし多るに
も1いとゝしきお1や多ちの御心のミまと2ふ六条
院尓も1いとくちお1しきわさな2里と2お1ほし
お1と2ろきて御と2ふらひ尓多ひ/\ねむころ尓1
ちゝお1と2ゝにも1きこえ給大将者ましていと2
よき御中な2れ者けち可くも1のし給つ1ゝいミ
しくな2けきあ里き給御賀者廿五日尓な2り尓1
け里可ゝ累ときのやむこ2とな2き可む多ちめの」(113ウ・1221M)
をも1くわつ1らひ給尓1お1や者ら可らあま多の
ひと2/\さる可(可#)多可き御な2可らひのな2けきし
本れ給へるころ本ひ尓ても1のすさましきや
うな2れと2つ1き/\にと2ゝこ本里つ1るこ2と多に
あるをさてやむましきこ2とな2れ者い可て可は
お1ほしと2ゝまらむをむな1宮の御心のうちを
0480【をむな宮】−女三
そ2いとお1しくお1も1ひきこえさせ給れいの
五十寺の御寿経ま多可のお1者しま寿御てら
尓も1ま可ひるさな2の」(114オ・1221C)
(白紙)」(114ウ)
【奥入01】史記〔周本紀〕
楚有養由基者善射者也去柳葉
0481【史記〔周本紀〕】−百七(貼紙)
百歩而射百発而百中左右観者数十人
皆曰善射ーーー
〔伊行〕
【奥入02】毛詩云
女ハ感陽気春思男々感陰氣
秋思」(115オ)
【奥入03】掛冠 懸車
東観漢記曰王莽居構子宇諌
莽而莽殺之逢萌謂其友人曰三綱
絶矣不去禍将及人即解冠掛東門而去
蒙求 逢萌掛冠
後漢書逢萌字子康北海人掛冠避世
牆東」(115ウ)
懸車
古文孝経曰
七十老致仕懸其所仕之車置諸
廟永使子孫監而則焉立身之給(給=終)
其要然也」(116オ)