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Last updated 11/02/2016(ver.2-5 凡例5 修正)

若菜下

 

【概要】

・明融臨模本「若菜下」(東海大学桃園文庫蔵)は全文非定家筆本「若菜下」を臨模した写本であると考えられる。

・引き歌を注記した付箋が14枚貼付されているが、その筆跡は本文筆写とは別の筆跡と見受けられる書体である。また定家の筆跡とも別書体である。

・本行本文中の引き歌箇所に合点(掛け点)があるが、ないのが2か所(FG)ある。

・奥入が存在するが、その筆跡は定家筆ではない。

・和歌の書写様式は、「若菜上」とほぼ同様であるが、T類A型「地の文から改行して、約2下げて和歌を書き出し、上句と下句との間で改行をして、和歌の末尾に地の文を直接続けて書く」という形式(ABCDEFGKMNPQ)が最も多く、V類G型「地の文から改行して、約2下げて和歌を書き出し、上句・下句の境以外の所で改行をして、和歌の末尾に地の文を直接続けて書く」という形式(@HIJLO)がこれに次ぐ。

・「若菜下」では、行頭に同字が並んだ場合に、書き分けている場合(34「尓」・5「に」、52「な」・3「な」、94「尓」・5「に」、109「に」・10「尓」、116「の」・7「の」、143「の」・5「能」、175「し」・6「新」、197「し」・8「志」、268「の」・9「の」、383「へ」・4「遍」、425「す」・6「寿」、423「を」・4「越」、431「し」・2「志」、454「も」・5「も」、544「な」・5「な」、642「し」・3「志」、663「お」・4「お」、718「の」・9「の」、723「な」・4「な」、807「ま」・8「満」、838「お」・9「お」、854「お」・5「お」、947「も」・8「も」、953「し」・4「志」、1101「つ」・2「徒」、)と、そうではない場合(656「な」、1112「尓」、1623「し」、1878「あ」、4489「き」、451011「こ」、4956「き」、561011「尓」、6189「こ」、6378「こ」、6667「い」、7034「ま」、76567「可」、8456「こ」、9178「い」、10278「し」、10912「し」、)とが見られる。

 

【凡例】

1.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。

2.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。

3.変体仮名はその字母で翻字した。

4.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。

5.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「と付記した。

6.本行本文は10.5ポイントで表示し、書入注記や付箋等は9ポイントで表示した。

 

 

「わ可な1 三十五」(題箋)

 

「上冷泉殿為和卿御息明融 琴山(印)」(遊紙表貼紙)

 

こと者りと者おもへともうれ多くもいへる可那いてや
  なそ可くことなることなきあへしらひ者可りをな
  佐め尓て者い可ゝ春くさむかゝる徒てならてひと
  ことをもの多まひきこゆるありなんやとふ尓つ
  遣ておほ可多尓て者おしくめて多しとおひき
  こゆる多めな万ゆ可むやそひ尓多らむ
0001【なまゆかむ心】−此御ハカリ院ノ御為アシケレトナヲサレヌノ心也
  徒こもりの人/\あ万多万いりへりな
  く春ゝろ者し个れとそのあ多りのをも
  てやなくさむと日て万いり給殿上のゝりゆみきさ

らき(+尓)とありしをすきて」(1オ・1125F)

 

  三月者多れ者くち越しくと人/\
0002【御き月】−藤壺后
  おふ尓この可ゝ累まと井あるへしと
  きゝつ多へてれいのつとひ給左右大将さる
0003【左右大将】−ヒケクロ 夕霧也
  な可らひ尓てまいりへはすけ堂ちなといと
0004【すけたち】−中将少将ノコト
  見可者してこゆミとの給し可と可ちゆミ能
0005【かちゆみ】−歩射
  すくれ堂る春ともありけれ者めしいてゝ
  いさせ給殿上人ともゝつき/\しき可きり者
  みなまへ志りへ能こまとりに可多わきてくれ
  ゆくまゝにけふ尓とちむる可すミの个しきも
0006【けふにとちむる】−\<合点>
  わ多ゝしく見堂るゝゆふ尓者なの可け伊
0007【はなのかけ】−\<合点>个ふのミとをおも者ぬ多/尓も/ことや春きの可遣可ハ(付箋01
  と(+ゝ)堂つことやす可らて人/\い堂くゑひすき」(1ウ・1125L)

 

  てえむなる可けものともこな多可な人/\
  の御心見えぬへきをやなきのをも
0008【やなきのはを】−\<合点>
  あてつへき
ね里とものうけ者りていとなむ志
  むなりやすこしこゝしきてつきともをこ所
0009【こゝしき】−巨
  いと満せめとて大将堂ちよ里者しめてお
  んの可みひとよ里け尓可めを新
  つゝもの新遍ハ可能可多者ししれるめ尓は
0010【かのかたはし】−夕霧
  けつゝなをいと遣しきことな里わつら者
  しきいてくへきよ尓やあらんとわれさへ
  おもひつきぬるち須この堂ち御中いとよ

し」(2オ・1126D)

 

  さる可らひといふ尓も可者してねんころ
  なれ者ハかなきこと尓てもゝ能お者しくう
  ちまき累ゝことあらんをいとおしくおほえ
  可らもとゝ越堂てまつ累尓遣お
0011【身つからも】−柏木心
  ろしくま者ゆく可ゝ累者あるへきもの可な
  のめならん尓て堂に个し可らす尓てむつ可る累
0012【てむつかる】−ホメソシラルヽコト
  へきふるまひ盤せしとおふもの越まして
  おほ个なきことゝおひわひて者可のあ里志
  ねこを堂にえてし可なふこと可多らふへくは
  あらねと可多ハらさひしきなくさめ尓もなつ
  けむとおふ尓ものくる越しくい可て可者ぬすミ」(2ウ・1126J)

 

  いてむとそれさへそ可多きことなり遣る女御可多
0013【女御の御かた】−弘徽殿
  尓まい里てもの可多りなときこえまきら者し
  ミるいとおくふ可く者つ可しきてな
  尓てま本にこともし可ゝ累可らひ
  に多にけとをくならひ堂る越ゆく里可にあや志く
0014【ゆくりかに】−不意
  者あ里しわさそ可しとはさす可にうちおほゆ
  れとおほろ遣にしめ多るわ可可らあさくも
  もひなされ春春宮にまいりてろなう可よ
0015【ろなう】−無論
0016
【かよひ給へる】−似給ントミ給也
  ひへるところあらん可しとめとゝめて堂て
  まつるに尓本ひや可になとはあらぬ可多ちな

れと」(3オ・1127B)

 

  さ者可りのあ里さ満ハ多いとこと尓てあてにな
  まめ可しくお者しますうちのねこのあま
0017【うちの御ねこ】−禁中ノコト
  堂ひきつれ堂里け累ハら可らともところ
  ところ尓あ可れてこのまいれる可いとお
  可しけ尓てありく越ミるにまつおもひいてら
  累れ者六条のひめ可多に者へるねこそ
0018【六条の院の】−柏
  いとえぬやうなる可本してお可しう者へし可
  者つ可になむミへしとけいしへ者わさとらう
0019【らうたくせさせ給御心】−猫ヲ思給フ也
  堂くせさせ給御心尓てく者しくと者せ
  可らねこのこゝの尓堂可へるさましてなむ者へ
0020【からねこ】−柏
  りしおなしやうなるもれとお可しくひと」(3ウ・1127H)

 

  なれ多るはあやしくな可しきもの尓な
  者へるなとゆ可しくおほさる者可りきこえな
  しきこしめしをきてき里つ本の
  多よりつ多へてきこえさせ个れ者まいらせ
  へりけ尓いとうつくし个なるねこなりけ里と
  人/\个うする越んの可ミは堂つねんとお
  ほし多りきと遣しきを越きてひころへて
  まいりへ里わらハなりしよ里朱雀院のとりわき
  ておほしつ可者せし可は御山すミに越くれ
  きこえてはこの尓もし堂しうまい里
0021【この宮】−春宮
  よせきこえ多里ことなと越しへきこえ」(4オ・1128@)

 

  とてねこともあま多つとひ者へり尓け里いつら
0022【いつらこのみし人は】−柏ノ猫ヲシル人ニソシラス詞
  このみし者と堂つねてけ堂まへ里いとら
  う堂くおほえて可きなてゝゐ多りけ尓
  お可しきさまし堂里け里むま多な
  可多きはれぬをし累尓やあこゝな
  累ねこともことにおとらす可しとのへ者これ者
0023【これは】−柏
  さるわきまへおさ/\者へらぬものなれと
  その尓も可しこきは越のつ可ら堂ま
  しひ者へらむ可しなときこえてまさるとも
0024【まさるとも】−マタヨキモアレトモト也
  さふら婦めるをこれ者しハし者りあつ可らん
  と申給心のうち尓あな可ち尓おこ可ましく可つ者
  おほゆるにこれを堂つねとりてよるもあ多りち」(4ウ・1128G)

 

  可く布せあ个多てハねこの可しつき越志て
  なてやしなひとけとを可りしいとよく
  なれてともすれ盤きぬのすそ尓まつ者れよ
  里ふしむつ累ゝをまめや可にうつくしとおも
  いとい多くな可めて者しち可くよ里ふしへるに
  きてねう/\といとらう堂け尓け者可きなてゝ
  う多ても寿ゝむ(+
ル)可なと本ゝゑ万る
    わふるの可多ミとてならせはなれよ
  な尓とてなくねなこれもむ可しのちき
0025【むかしのちきり】−\<合点>
  里尓やと可をゝみつゝのへ者いよ/\らう
  堂け尓くを布ところ尓いれてな可め井へり」(5オ・1129@)

 

  こ堂ちなとはあやしく尓者可なるねこのとき
  めく可な可やうなるものミいれ者ぬ御心尓とゝ
  可め个りよりめすにもまいらせすとりこめて
  これを可多らひ給左大将殿き多の可多は
0026【左大将殿のきたのかた】−玉カツラコト
  大殿堂ちよりも右大将を者なをむ
  可しのまゝにうと可らすおもひきこえへり
  者への可と/\しくけち可くお者する尓て
  多いめむしとき/\もこまや可にへ多て堂る
  けしきなくもてなへれ者大将しけい
  さなとのうと/\しくをよひ可多个な御心さ満
  のあまりなるにさまことなむつひ尓ておひ」(5ウ・1129F)

 

  可者しへりおとこいま者まして可の者し
0027【おとこ君】−ヒケクロ
  めのき多の可多をもゝて者なれ者てゝならひ
  なくもて可しつきゝこえこの者らに者
  おとこきむ堂ちの可きりなれ者さう/\し
  とて可のまき者しらのひめきみをえて可志
  つ可ま本しくしへとおほちとさらに
  ゆ累し者すこのを堂にわらへならぬさ
0028【この君】−槙柱ノコト式部卿ノ心
  ま尓てみむとおほしのみこのほえいと
0029【みこの】−式部卿ノコト
  やむことなくうちにもこの御心よせいと
  こよなくてこのことゝそうしことを者えそ
  むき者すくるしきも尓おひきこ」(6オ・1129L)

 

  えへりおほ可多もいまめ可しくお者する
0030【宮】−式部卿
  尓てこのおほ殿尓さしつき堂てまつ
0031【この院】−源
0032
【おほ殿】−太政大臣
  て者まい里つ可うまつ里よ越も
  おもひきこえ个り大将さるよのおもしと
0033【大将】−ヒケクロ
  なへきし堂可多なれ者ひめほえ
0034【ひめ君】−真木柱
  なとて可は可累くはあらむきこえいつ人/\
  ことにふれておほ可れとおほしもさ多めす
  の可ミをさも个しき者ま者とおほすへ可
  めれとねこ尓はおもひおとし堂てまつる尓や
  可けてもひよらぬそくち越し可り个る」(6ウ・1130D)

 

  者ゝあやしくなをひ可める尓てよの
0035【はゝ君】−真木柱ノ心
  つねのあ里さま尓もあら寿もて个ちへるを
  くちおしきもの尓おほしてまゝ者ゝのあ多
0036【まゝはゝ】−玉カツラ
  りをはけてゆ可しくおもひていまめき
  堂る御心さ満尓そも能し个累兵部卿宮
  ひとゝころのミお者して御心尓つきてお
  ほし个ることゝもはミな堂可ひて世中
  さましくわらへ尓おほさ累ゝにさてのミや
  者あまえてすく寿へきとおほしてこのわ多り
0037【このわたり】−真木柱
  尓けしき者見よりへれ者大宮尓可者可」(7オ・1130I)

 

  志つ可むとお者むこをは可へ尓つ
  きて者みこ堂ち尓こそ者せ堂てまつ
  め堂ゝのすくよ可尓な越/\しきをのミ
  いまのよのひとの可しこくするしなゝき
  わさなりとのてい多くもやまし堂て
  まつ者すうけひき申給みこあま
0038【みこ】−蛍
  里うらみところなきをさう/\しとおほせと
  おほ可多のあな里尓くきあ多りなれ者え志
  もいひすへ(へ$
く)し者ておハしましそめぬいとに
  なく可しつききこえ給大宮こあま多
  ものしてさま/\ものなけ可しきお里/\」(7ウ・1131A)

 

  おほ可るにものこ里しぬへ个れとこの
  のおひ者なち可多くおほえてなむ者ゝ
  者あやしきひ可もの尓としころ尓そへて
  なりまさり給大将者多わ可ことにし堂可者す
  とてをろ可にミすてられ多めれ者いとな
  累しきとてしつらひをも堂ち井
  つ可ら御覧しいれよろつ可多しけな
  尓いれへりハうせ尓けるき多の可多
0039【宮】−蛍
0040
【きたのかた】−前斎院ト云人
  をとゝもにこひきこえて堂ゝむ可し能
  あ里さ満尓ゝ堂てまつ里堂らむを」(8オ・1131G)

 

  むとおほしけるにあしくはあらねとさま
0041【あしくはあらねと】−真木柱
  可者りてそものし个るとおほ寿にくち
  おしくやあ里个むかよひさまいとも
  うけな大宮いときなきわさ可なとお本
  しなけき多里者ゝさこそひ可ミ多
  まへれとうつしこゝろいてくるときはくち越
  しくうきよとおもひ者て給大将
  され者よい多くいろめきへるみこをと者し
0042【いろめき給へる】−定ラヌ心
  めよりわ可御心尓ゆるし者さりし
  なれ者尓やものしとへり可むの
  可く堂のもしけなさまをち可くきゝ」(8ウ・1131M)
0043【御さま】−蛍ノコト

 

  尓はさやうなるよの可越みまし可はこな
  堂可な多い可におほしみ者ましなとなま
  お可しくもあ者れ尓おほしいてけ里
  その可ミもけち可くみきこえむとはお
  ひよらさ里き可し堂ゝなさけ/\しう
  ふ可きさ満尓わ多りし越あえな
  あ者つ个きやう尓やきゝおとし遣むといと
  者つ可しくとしころもほしわ多ることな
  れ盤可ゝるあ多里尓てきゝ者むことも
  可ひせら累へくなとおほすこれよ里も
  累へきこと者あつ可ひきこえせうとの」(9オ・1132D)
0044【せうとの君】−真木柱ヘ兄弟シテ玉ノ申返ラルヽ也

 

  堂ちなとして可ゝるけしきも志らす可
  本尓ゝく可らすきこえまつ者しなとするに
  くるしくてもて者なれ多るこゝろ者な
0045【もてはなれたる御こゝろ】−玉ノ心ワロクハ思ハヌニト也
  尓おほき多のか多といふさ可なのそつ
  にゆるしなく衛んしきこえみこ多ちは
0046【みこたちは】−大宮ノ心宮仕ニセテヲクニト也
  のと可にふ多くて見給者む越多にこそ
  者なや可ならぬなくさめ尓はおもふへ遣れと
  むつ可里ゝ里きゝて者いときゝ
0047【宮】−蛍
  なら者ぬこと可なむ可しいとあ者れとおも
0048【いとあはれと】−蛍ノマヘノ北方ノコト也
  しをゝきても越者可なのすさひ
  者堂えさ里し可と可うきひしきもゑし者」(9ウ・1132J)

 

  こと(+尓)な可里しもの越きなくいとゝむ可新
  越こひきこえゝふるさとにうちな可め
  可ち尓のミお者しますさいひつゝもふ多とせ
  者可り尓りぬれ者可ゝ累可多にめなれてたゝ
  さる可多の御中尓てすくし者可なくて
  可さなりてうちのミ可とくら井尓
0049【うちのみかと】−冷泉
  せ十八年尓ならせぬつきのとならせ
  へき見こお者しまさすものゝ者えな
0050【ものゝはえなき】−冷泉院御心
  に世中者可なくおほゆる越や寿く人/\
0051【心やすく思ふ】−源ヲ敬ンコト也
  尓も堂いめむしわ多くしさまにをや里
  てのと可にすきま本しくなむとゝしころお」(10オ・1133B)

 

  ほしの者せつる越ひころいと越もくな
  やませことあ里て尓者可に越里井させ
  ひぬよのひとあ可すさ可りのよ越可く
  の可れことゝおしミなけゝと春宮
0052【春宮】−今上ノ御コト
  なひさせ堂れ者うちつきて世中
  まつ里ことなとことに可者るけちめも可り
  遣里おほきおとゝちしのへう堂てまつ里て
  こもり井ぬよのな可能つねなきによ里可
  しこきみ可とのくら井をさ里
  累尓としふ可き可う布里越可けむな」(10ウ・1133H)

 

  尓可おし可らんとおほしの左大将右大臣
0053【左大将】−ヒケクロ
  尓なてそよのな可能まつ里ことつ可う
  まつける女御者可ゝ累よをも
0054【女御の君】−承香殿
  ちつ者てうせ尓个れ者可きりある
0055【かきりある御くらゐ】−贈皇后ニナラセ給
  くら井をえへれとものゝうしろのちして
0056【ものゝうしろの心ち】−人ノシラヌ心
  可ひな可り遣り六条女御者らの
  者う尓ひぬさるへきことゝ可ねておも
  し可とさしあ多里て者めて堂くめおとろ
  可るゝわさな里个り右大将君大納言尓な
0057【右大将の君】−夕霧
  (+連いの尓うつりぬイ)ひぬいよ/\あらま本しき可らひな六条
  者お里井ひぬるれせいきおは志」(11オ・1134@)

 

  まさぬ越あ可寿御心のうち尓おほすおな
  すちなれとおひなやましき御事らて
  寿くしへる者可り尓ミは可くれてすゑ
  のよまてはえつ堂ふまし可里け累すく
  せくち越しくさう/\しくおほせと
  のひあ者せぬことなれ者いふせくなむ春宮
  の女御者みこ堂ちあま多可すそひ
  いとゝほえならひなしのうちつ
  ききさきに井へきこと越よひとあ可すお
  もへ累尓つけても冷泉院のきさき者ゆへな
0058【冷泉院のきさき】−秋好
  くてあな可ち尓可くしをきへる御心を」(11ウ・1134F)
0059【かく】−如此也

 

  おほす尓いよ/\六条院こと越とし
  そへて可き里なくおひきこえへり
0060【院のみかと】−六条院へ御幸
  み可とおほしめしゝやう尓ミゆきもところ
  せ可らてわ多里ひなとしつゝ可くてしも
  け尓めて多くあらま本しきあ里さ満な
  ひめことはミ可と御心とゝめておも
0061【ひめ宮】−女三
0062
【みかと】−今上
  きこえおほ可多のよ尓もあまねくもて可
  しつ可れ越多いのうへのいきをひ尓者
  えまさ里者すとしふるまゝに御中いと
  うるわしくむつひきこ江可者していさゝ
  可あ可ぬことなく遍多てもみえ者ぬもの」(12オ・1134M)

 

  可らいまは可うおほそ布のすま井ならてのと
  や可に越こなひをもとなむおもふこのよは
0063【をこなひをもとなむ】−紫ノ心中
  可者可りと者てつちするよ者ひ尓も
  な里に个りさりぬへきさまにおほしゆるし
  てよとまめや可にきこえお里/\あるをあ
0064【あるましく】−源
  累ましくつらきことな里ミつ可らふ可き
  本いあることなれとゝまりてさう/\しく
  おほえひあるよに可者らんあ里さまの
  うしろめ多さによ里こそな可らふれつ井尓
  そのことゝ个なんのち尓とも可くもおほし
  なれなとのミさま多けきこえ給女御」(12ウ・1135D)
0065【女御の君】−明石姫

 

  堂ゝこな多越まことのや尓もてな
0066【こなた】−紫
  きこえ可多ハ可くれ可のうしろミ
0067【御かた】−明石上
  尓てひけしものしへるしもそな可/\
  ゆくさき堂のもしけ尓めて堂可里个るあ
  万きミもやゝもすれ者堂えぬよろこひの
  なミ多ともすれ盤おちつゝめをさへのこひ
  多ゝしていのちな可きうれしけなる堂め
  しにな里てものしすミよしのくわん
  可つ/\者多し者むとて東宮女御
  の里尓ま(+
う)て者むとて可の者こあけて御覧
  寿れ者さま/\のい可めしきことゝもほ可」(13オ・1135J)

 

  里としことの春秋能可くらに可ならすな可き
  よのいの里越く者へ多るくわんともけ尓可ゝ累
  いきをひならては者多しへきことゝも
  おもひ越きてさ里个里堂ゝ者し里可き
  堂累おもむき能さえ/\しく者可/\しく
0068【さえ/\しく】−才々敷
  本とけ可見もきゝいれへきことの者あき
  ら可なりい可てさるふしのひし里尓可
  可累ことゝもをおもひよりけむとあ者れ尓お
  ほけなくも御覧すさるへき尓てし者し可里
  そめ尓ミをやつし个るむ可しのよ能をこ
0069【むかしのよ】−先世
  な尓やあ里遣むなとおほしめくらす尓」(13ウ・1136B)

 

  いとゝ可る/\しくもほされさ里个りこの
  堂ひ者このを者あら者し者す堂ゝ
  ののまうて尓ていて多ちうらつ多ひ
  能ものさ者可し可里し本とそこらの
  くわんともミなハ多しつくしへれとも猶世
  尓可くお者しまして可ゝるいろ/\のさ可え
  越み尓つけても可ミのおほむ多すけ者わ
  すれ可多くて多いのうへもくしきこえさせ
  てまうてさせひゝきよのつねならす
  いミしくことゝもそ(+
き)すてゝよのわつらひ」(14オ・1136H)

 

  あ累ましくと者ふ可せへと可き里あり个れハ
  めつら可によそ本しくなむ可む多ちめも
  大臣ふ多を越き多てまつ里て者ミな
  可うまつまひふのすけともの可
  多ちきよけ尓多け多ちひとしき可きり越
  えらせこのえらひ尓いらぬをはゝち尓
  れへなけき堂るすきものともあ里け里へい
  しうもい者し可もの里むしのまつ里な
  とにめす人/\のみち/\のことにすくれ堂る可き
  りをとゝのへさせ堂まへりくハゝ里多るふ多りな
  む近衛可さのな多加き可きりをめし堂り」(14ウ・1137@)

 

  ける可くら能可多尓はいとおほくつ可うまつ
  れ里内東宮院殿上人可多/\にわ可れて
  せつ可うまつ累可すもしらすいろ/\尓つ
  し堂る可む堂ちめのむまくらむまそ
  ひすいことねりわら者つき/\のとねりな
0070【ことねりわらは】−中間ナトノモノ也
  まてとゝのへ可さり堂るミものま多なきさま
  な女御殿多いのうへ者ひとつ尓堂てまつ
  り多里つきのくるま尓はあ可しの可多あ
  ましのひての里へ里女御めのと
0071【心しり】−案内者ノ心
  里尓ての里堂り可多/\のひと多ま井う
0072【ひとたまゐ】−ノリカヘ也
  への御方五女御とのゝいつゝあ可し能あ可」(15オ・1137F)

 

  れのみつめもあや尓可さ里堂るさうそく
0073【みつ】−三
0074
【めも】−目
  あ里さまいへ者さらな里さるはあま
  者おしくはおいのミのし者のふ者可り
  尓め可しくてまうてさせむと者の
  个れとこの多ひ者可くおほ可多のひゝきに
0075【このたひは】−明石上詞
  堂ちましらむも可多者らい多しもしお
0076【おもふやうならむ世中】−春宮ノ御世ノコト
  もふやうならむ世中越まちいて堂らは登
  御方者しつ个る越のこ里のいのちう
  しろめ多くて可つ/\ものゆ可し可里て志
  多ひまい里里个里さるへき尓てもとより
  可く尓本ひ堂まふ御身ともよりもいミし可」(15ウ・1137L)

 

  里けるちきりあらは尓おひしらるゝ
0077【人のみありさま】−明石上コト
  みあ里さまな十月中十日れ者可みのい可き
0078【かみのいかきにはふくすも】−\<合点>ち者やふるのい可支尓者ふく/春も/尓はあへ春もみちし尓个り(付箋02
  尓者ふくすもいろ可者りてまつのし多も
  ちなとをとにのミをき可ぬ可本な里こと/\
0079【をとにのミ秋を】−\<合点>もみちせぬときハの吹風の/をと尓やをきゝ王多るらん(付箋03
  しきこまもろこしの可くよ里もあつまあ
0080【あつまあそひ】−神楽也
  そひの見ゝなれ多るハな可しくおしろく
  なミ可せのこゑ尓ひゝきあひてさるこ堂可き
  まつふき多て堂るふえのねも本可尓
  てきく志らへ尓は可者りて尓しミゝ(ゝ$
)こと(こと=琴)に
0081【御琴】−和琴也
  うちあ者せ堂るしもつゝみを者なれて
0082【兵し】−拍子
0083
【つゝみをはなれて】−ヲウタヌ也
  とゝのへと里堂る可多おとろ/\し可らぬもま」(16オ・1138D)

 

  め可しくすこうおもしろくところ可らはま
  してきこえけ里あ井尓すれる堂けのふ
0084【山あゐにすれるたけのふし】−布ニアヲク竹ヲカク也
  しはまつのミとり尓えま可ひ可さしのいろ
  いろ者のくさにことなる个ちめわ可れてな
  ことにもめのミま可ひいろふもとめこ者つ
0085【いろふ】−色メク心
0086
【もとめこ】−求子

  すゑ尓わ可や可なる可む堂ちめ者可多ぬきて
  お里尓本ひもくゝろきうゑのきぬ尓す
0087【くろきうゑのきぬ】−四位ノ袍也
  わう可さねのえひそめのそて越尓者可にひ
  き本ころ者し堂るにくれな井ふ可きあこめ
  の堂もとのうちしくれ堂るに个しき者可り
  ぬれ堂るまつ者ら越ハわ寿れてもみちのち」(16ウ・1138J)

 

  累尓おもひわ多さるみる可ひおほ可累す可多
  ともにいとしろく可れ多るおきを多加や可に
0088【おきをたかやかに】−人長トモ云心也
  可さして堂ゝひと可へりまひてい里ぬる者
  いとおもしろくあ可すそあ里け累おとゝむ可
  し能ことおほしいてられころしつ
  新のあ里さまもめのまへのやう尓おほさ
  累ゝ尓そのよ能ことうちミ多れ可多里へき
  けれ者ちしのおとゝをそこひし
  くおもひきこえけ累い里のくる
0089【二】−フタツ
  ま尓しのひて
    堂れ可ま多をし里てすミよしの」(17オ・1139B)
0090【たれかまた】−源

 

  神世を遍多るまつことゝ布多ゝむ可ミ
  尓可きへ里あまうちし本堂る可ゝ累
  るにつけても可のうら尓ていま者と
  わ可連し本と女御能お者せしあ里
  さ満なとおもひいつるもいと可多しけな
  里个るみのすくせの本と越おもふ越そむき
  こひしくさま/\にもの可な
  き越可つ者ゆゝしとこといミして
    すみのをいけ累可ひあるなきさとは
0091【すみの江を】−尼
  としふるあまもけふや志る越そく者ひ」(17ウ・1139H)

 

  んな可らむと堂ゝうちおもひけ累まゝな里/遣り
    む可しこそまつわ寿られねすミよしの
0092【むかしこそ】−明石上
  のし累しをミ累尓つけてもとひと里こ
  ち遣里よひとよあそひあ可し者つ可の
  者る可にすミてうミのをもておもしろく
  えわ多るにしものいとこち多く越きて
  まつ者らもいろま可ひてよろつのことそゝ
  ろさむくおしろさもあ者れさも多ち
  そひ多里多いのうへつねの可きねのうち
  な可らとき/\につけてこそけふあるあさゆふ」(18オ・1139M)

 

  のあそひ尓みゝふ里めな遣れみ可と
  よ里とのもおさ/\志者すまして
  可くこの本可のあ里き者ま多ならひ
  者ね者めつらしくお可しくおほさる
    すミののまつよふ可くおくしも
0093【すみの江の】−紫
  可ミの可け多るゆふ可つら可も堂可むらの
0094【たかむらのあそむ】−\<合点>
  あそむのひらのさへといひけるゆきの
  あし堂越おほしやれ者まつ里のうけ
  し累しにやといよ/\堂のもしくな女御君
    可ミて尓と里も多るさ可き者に
  ゆふ可けそふるふ可きよのしもつ可さの
0095【中つかさの君】−紫ノ方ノ人
    者ふ里こ可ゆふうちま可ひをくしもは」(18ウ・1140G)

 

  个尓いちし累きのし累し可つき/\可
  すしら寿おほ可里个るをな尓せむ(+
尓)可はき
  きを可む可ゝ累おりふしのう多盤れいの
  すめきとこ多ちも中/\いてきえして
  ちとせよ里者なれていまめ可しきこと
  なけれ者うるさくてなむ本の/\とあ个ゆくに
  しもはいよ/\布可くてもとすゑも堂と/\
  志きまてゑひすき尓多る可くらおてとも
  のをの可ゝをゝ者志らておしろきことに
  者しミて尓者ひも可けしめ里堂るになを」(19オ・1140L)

 

  まさい/\とさ可き者をと里可へしつゝい者ひき
  こゆるよのすゑおもひやるそいとゝしき
0096【御よ】−源ノ御世ノコト
  やよろつのことあ可すおもしろきまゝにち
0097【ちよをひとよに】−\<合点>のちよを一夜尓なせり/とも/ことのこりてやな支な(付箋04
  よをひとよ尓さま本しきよのな尓ゝも
  あらてあ个ぬれ盤可へるなミにきおふも
  ちおしくわ可き人々ふまつ者らに者る/\
  と堂てつゝ个多るくるなとも尓うち
  なひくし堂す多れのひま/\もとき者の可け
  尓者な尓しき越ひきく者へ多るとゆるに
  うへのきぬのいろ/\けちめ越きてお可しき可け
  者んと里つゝきてものまいりわ多すをそしも」(19ウ・1141E)

 

  とはめ尓きてめて堂しとはおもへる
  あまおまへ尓せん可うのおしきにあ
  を尓ひのおてを里てさうしもの越まいる
0098【をりて】−織 衣ニテ覆シタル也
  とてめさましき越むな寿くせ可なと越
  の可しゝ者し里うこち个里まうて
  みちはこと/\しくてわつらハしき堂可ら
  さま/\にところせけな里しを可へさ者よろつ
  のせうよう越つくしいひつゝくるもうるさ
  くむつ可しきことゝもれ者可ゝ累あ里
  さま越も可の入道のき可すみぬよ尓可け者な」(20オ・1141J)

 

  れ堂うへるのミなむあ可さ里ける可多(+き)ことな
  可しましらハましもみくるしくや世中
  これを多めし尓て多可くな2里ぬへきころ
  なめ里よろつのことにつけてめてあさ見よの
0099【あさみ】−欺
  ことくさ尓てあ可しのあまとそさい者い
  尓いひ个る可のちしのほとのゝあふミの
  者すくろくうつときのこと者にもあ可しの
  あま君/\とそさい者こひ个る入道のミ可とは
0100【入道のみかと】−朱
  をこなひをいミしく志てうちのこと越も
  きゝいれ者す春秋行幸尓なむ無可し
  おもひいてられこともまし里けるひめ」(20ウ・1142B)

 

  ことをのミそえおほし者な多てこのを者
  おほ可多のうしろミにおひきこえ
  うち/\のこゝろよせあるへくそうせさせ
  二品尓な御封とまさるいよ/\者な
0101【二品になり給て】−女三
  や可にいきをひそふ多いのうへ可くとし
  そへて可多/\にまさ里給御ほえに王可みは
  堂ゝひとゝころのてなしに尓はおとら
0102【たゝひとゝころ】−源ハカリノ愛ト也
  ねとあま里としつもりなハその御心者へも/井
  尓おとろへなんさらむよ越者てぬさきに
  そむきにし可なと堂ゆミなくおほしわ多れと」(21オ・1142H)

 

  さ可しきやう尓やおほさむとつゝまれて者可/\
  しくもえきこえ者すうちのみ可とさへ
0103【うちのみかとさへ】−源心
  御心よせことにきこえへハ越ろ可尓き可れ多
  てまつらんもいとおしくてわ多りことやう/\
0104【わたり給こと】−女三へ
  ひとしきやう尓里ゆくさるへきこと/\者里
0105【ひとしきやう】−紫ト女三ト也
0106
【さるへきこと】−紫心
  とはおもひな可らされ者よとのミや寿可らす
  おほされ个れとれなくおなしさま尓て
  すくし給東宮さしつきの女一をこ
0107【こなたに】−紫上
  な多にと里わきて可しつき堂てまつ
  のあつ可ひ尓んつれ/\なよ可れの本と」(21ウ・1143@)

 

  もくさめけるいつれもわ可すうつくし
  く可なしとおひきこえへりな可多
  者可くとり/\なむまこあつ可ひをうら
  やミて大将のないしのすけハらのをせち尓
0108【ないしのすけ】−惟光女
  む可へてそ可しついとお可し个尓て者へ
  も本とよりはされおよ寿け堂れ者おとゝの
  もらう堂可里すくなきとおほし
0109【すくなき御つき】−源ノ子孫繁昌ノコト
  志可とすゑ尓ひろこ里てこな多可な多いとお
  ほくな里そひをいまは堂ゝこれをうつ
  くしミあつ可ひひてそ徒れ/\もくさ
  め个る右大殿のまい里つ可うまつこと」(22オ・1143F)
0110【右大殿】−ヒケクロ

 

  い尓しへよりもまさりて志多しくいまはき多の
0111【きたのかた】−玉カツラ
  可多もおとなひ者てゝ可のむ可しの可け/\し
0112【かけ/\しきすち】−源ノ密通
  きすちおひ者な尓やさるへきお里も
  わ多りまうて多いのうへ尓も堂い免む
  あ里てあらま本しくきこえ可者し个り
  ひめミそおなしさま尓わ可くおほとき
0113【ひめ宮】−女三
  ておハします女御者いまはおほやけさ
0114【女御の君】−明石姫君 源心
  ま尓ひ者なちきこえてこのをは
0115【この宮】−女三
  いとくるしくおさな可らむむ寿めのやう尓
  おひ者くゝ見多てまつ給朱雀院のいま者」(22ウ・1143K)

 

  むけ尓よち可くな里ぬるちしても本そ
  き越さらにこのよのこと可へ里ミしとおもひ(+
す)徒
  れと堂いめんなんいまひと多ひあらま本しきを
  もしうらミのこ里もこそすれこと/\しき佐ま
  ならてわ多里へくきこえ个れ者おとゝも
  け尓さるへきな里可ゝ累けしきな可ら
  む尓て多にすゝみまい里へきをまして可う
  まちきこえ个る可くるしきことゝまい里
  へきことおほしまうくついてなくすさまし
  きさま尓てや盤者ひわ多里へきな尓わさ
  をして可らんせさせへきとおほ新めくらす」(23オ・1144D)

 

  この多ひ堂里者むとしわ可なゝとてうして
0116【わかなゝと】−朱ノ五十賀来年ノコト
  やとおほしてさま/\の本うふくのこといも
0117【いもゐ】−斎 イモヰ
  井のまうけ(+の)しつらひな尓くれとさまことに
  可者れることゝもれ者御心しらひとも
  里つゝおほしめくらす(+
尓)い尓しへもあそひの可多
  尓御心とゝめさせへ里し可者まひ可くとを
  ことにさ多めすくれ多る可き里をとゝのへさせ
  右大殿こともふ多里大将こないしの寿
0118【大将】−夕霧
  けのハらのく者へて三人ま多ち井さきなゝつ
  よ里可ミの者みな殿上せさせ給兵部卿宮
  わらハ所んわうすへてさるへき堂ちのことも」(23ウ・1144J)

 

  いへのこの多ちみなえらひいて給殿上
  多ちも可多ちよくおなしきまひのす可多も
  ことなるへきをさ多めてあま多のまひのまう
  けをせさせいミし可るへき堂ひのことゝてミな
  人心をつくしてなんみち/\能ものゝし
  寿いとまなきころなハもとよ里きむ
0119【宮】−女三
  のことをなんならひ个るをいとわ可くて
0120【ならひ給ける】−源ニナラヒ給
  尓もひきわ可れ多てまつひし可はおほつ
  可なくおほしてまい里者むついてに可の
  ことのねなむき可ま本しきさりともきむ」(24オ・1145B)
0121【きむはかりは】−女三無キ用ノ人也

 

  者可りはひきと里らんとし里うことに
  きこえけるをうち尓もきこしめして
  け尓さ里ともけ者ひことならむ可し
  尓てゝつくし者むつい亭尓まいりきて
  き可者やなとの多ま者せけるをおとゝの
  つ多へきゝてとしころさりぬへきついてこと
  尓者越しへきこゆることもあるをその个者ひ
  ハけ尓まさ里尓多れとま多きこしめしと
  ころあるものふ可きて尓ハをよ者ぬをな
  なくてまいりへらんついてにきこしめさんと
  ゆるしなくゆ可し可らせ者んハいと者し多な可」(24ウ・1145H)

 

  累へきこと尓もといとお新くおほしてこの
  ろそ御心とゝめてをしへきこえ志らへことな
  てふ多つミつおもしろきこくとも
0122【大こく】−曲
  尓つ遣て可者るへきひゝきそら能さむさぬる
  さをとゝのへいてゝやむことな可るへきての可きり
  越とり多てゝをしへきこえとな
  お者寿るやうなれ登やう/\まゝにいと
  よくな里(+
)ひるはいとしけくひと多日も
  ゆしあんす累いと万もあ者多ゝしけ連者よる/\
0123【ゆし】−由
0124
【あんする】−ヲス心
  なむしつ可尓ことのしめ多てまつるへき
  とて堂い尓もそのころ者いとまきこえて」(25オ・1146A)

 

  あけくれをしへきこえ給女御尓も堂い
  のうへ尓もきむはならハし堂てまつ者さ
  りけれ者このお里おさ/\みゝなれぬてとも
  ひきらん越ゆ可しとおほして女御わさと
  あ里可多きいとまを堂ゝし者しときこえ
  てま可てへり見こふ多ところお者するを
  遣しき者ミていつゝきハ可り尓そな
  へれ者わさなと尓ことつけておハしま寿な
  け里十一日すくしてハまいりへきせうそこ
  うちしき里あれと可ゝ累ついてに可くおも」(25ウ・1146G)

 

  しろきよる/\のあそひをうらやましく
  なとてわれ尓多へ者さり个むとつらく
  おひきこえ布ゆのよの尓多可
  ひてめて給御心れ者おもしろきよのゆき
  のひ可り尓お里にあひ多るてともひき
  さ布ら婦人/\すこしこの可多に本のめき
  堂るにことゝもと里/\にひ可せてあそひな
  しとしのくれつ可多ハ多いなとにハいそ可しく
  こな多可な多のいとなみ尓をのつ可ら御覧
  しいるゝことゝもあれ者うらゝ可ならむゆふ
  へなとにい可てこのことのねき可むとのひわ多」(26オ・1147M)

 

  累尓とし可へりぬ御賀まつおほやけよ里
  せさせことゝもこち堂きにさしあひては
0125【さしあひては】−六条院ニテノハノヒヌ
  ひんなくおほされてすこしほとすこし
  二月十とさ多めて可くまひ
  まい里つゝ(+
)あそひ堂えすこの多い尓つね尓
  ゆ可しくすることのねい可て可のひと/\のさう
0126【さう】−箏
  ひ者のねもあ者せて可くミさせむ堂ゝいま
0127【ひは】−琵琶
  のものゝ寿ともこそさらにこのわ多りの人/\
  のしらひともにまさらね者可/\しく
  つ多へと里堂累ことはおさ/\な个れとな尓こと」(26ウ・1147E)

 

  もい可て尓しらぬことあらしとなむおさな
  き本とにおもひし可はよ尓あるものゝ志と
0128【ものゝし】−師
  いふ可き里堂可きいゑ/\のさるへき
  つ堂へともをものこさすミしな可にいとふ可く
  者つ可しき可なとおほゆるきはのひとなむな
  里しその可ミよりもこのころのわ可き人/\
  のされよしめきすく寿尓は堂あさくなり尓
  堂るへしきむ者多ましてさらにまねふ
  なくなりに堂里と可このことのね者可り多に
0129【御ことのね】−女三
  つ多へ堂るおさ/\あらしとのへハな
  うちゑミてうれしく」(27オ・1147K)

 

  可くゆるし本とになり尓けるとおほす廿一二
  者可り尓なへといといミしく可多なり尓
  きひわなちしてほそくあら(ら$
え)可にうつ
  くしくのミ給院尓もみえ多てまつり
  者てとしへぬる越ねひまさ里尓个りと
  御覧す者可りよういく者へてみえ堂てまつ
  りへとことにふれてをしへきこえけ尓可ゝ
  累うしろミなくてはましてい者けな
  お者し万すあ里さ満可くれな可らまし登
  人/\多てまつ正月廿日者可り尓なれハ」(27ウ・1148C)

 

  そらもお可しき本とに可せぬるくふきて
  おまへのむめもさ可り尓な里ゆくおほ可多の
  者なのきともゝみなけしき者見可すミわ多り
  尓け里堂ゝ者いそきち可くものさは可し
  可らむ尓可きあ者せ者むことのねも志可
  くめきていひなさむ越このころしつ可な
  累本とにへとて心殿尓わ多し堂てまつ
0130【心殿にわたしたてまつり】−女三御試楽アソハス也 紫ヲワタシ給也
  給御ともにわれも/\とものゆ可し可里てまう
  の本らま本し可れとこな多にとをきをは
  え里とゝめさせてすこしねひ堂れとよし
  あ累可き里え里てさ布ら者せわらハへは」(28オ・1148I)
0131【わらはへ】−紫ノ方ノ人々也

 

  可多ちすくれ堂る四人あ可いろ尓さくらの可さミ
  う寿いろのを里ものゝあこめうきもむ能うへの
  者可まくれな井のうち堂るさまもてなしす
  くれ堂る可き里をめし堂里女御可多にも
  しつらひなといとゝあら多まれるころ能く
  もりなきにをの/\いとましくつくし堂る
  よそおひともあさや可尓ゝなしわらハゝあお
  いろ尓すわうの可さミ可らあやのうへの者可満あ
  こめはふきなる可らのき越ゝなしさま尓とゝ/のへ
  堂りあ可しの可多のハこと/\し可らてこう者い」(28ウ・1149A)

 

  ふ多里さくらふ多里あおしの可き里尓てあこ
  めこくう寿くうちめなとえならてきせへり
  可多尓も可くつとひへくきゝてわら
0132【宮の御かた】−女三
  ハへのす可多者可りはことにつくろ者せへり
  あお尓ゝやなきの可さ見えひそめのあこ免
0133【あおに】−青丹
  なとことにこのましくめつらしきさま尓は
  あらねとおほ可多の个者ひのい可めしくけ多
  可きことさへいとならひなしひさしの
  さうし越者なちてこな多可な多みき者可
  り越遣ちめ尓てのまはのお者しますへき
  おましよそひ多里个ふのしあ者せにハわらハへ」(29オ・1149G)
0134【兵し】−拍子

 

  越めさんとて右大いとのゝらう可むの者ら
0135【右大いとの】−ヒケクロ
  のあ尓さうのふえ左大将多らうよこ
  ふえとふ可せてすのこにさふらハせうち尓ハ
  しとねともらへてことゝもまいりわ多寿
  ひし給御ことゝもうるわしきこむちのふく
  ろともにいれ多ると里いてゝあ可しの御方尓ひ者
  むらさきのうへ尓わこむ女御尓さう
  のこと尓は可くこと/\しきことはま多え
  ひき者すやとあやうくてれいのてならし
  へるをそしらへて堂てまつさうの」(29ウ・1149M)

 

  ことはゆるふとなけれと可くもの尓あ者する
  を里の志らへ尓つけてことちの多ちとみ多るゝ
  ものな里よくそのしらひとゝのふへき越
  をんな者え者りしつめし猶大将をこそめし
0136【大将】−夕霧
  よせつへ可免れこのふえふきともま多いと
  おさなけ尓てしとゝのへむ多のミつよ可らすと
  わらひ大将こな多尓とめせは可多/\者つ
  可しく可ひしてお者寿あ可しの
  者なちて者いつれもミなすて可多きてし
  ともれ者御心く者へて大将のきゝ者む尓
  なんな可るへくとおほ寿女御ハつね尓うへの」(30オ・1150E)

 

  きこしめ寿尓もゝの尓あ者せつゝひきな
  しへれハうしろや寿き越わこむこそ
  いく者くならぬしらへなれとあとさたま里多
  累ことなくて中/\をむなの堂とりぬへ个れ
0137【春のことのね】−未勘
  ことのね者みな可きあ者するものなる越み多
  流ゝやとなまいとおしくおほ寿大将(+
いと)い多く
  けさうしておまへのこと/\しくうるハしき
  御心ミあらむよりも个ふの可ひ者ことにま
  さりておほえへハあさや可な越し
  可う尓しミ多るそともそてい多く多き
  しめてひきつくろひてまいり本とくれ」(30ウ・1150L)

 

  者てに个りゆへある多そ可れときのそらに者
0138【はなはこその】−梅花ヘシ
  なハこそのふるゆきおひいてられてえ多も
  堂者む者可りさきミ多れ堂里ゆるゝ可尓
  うちふく可せにえならす尓本ひ堂るミ寿
  のうちの可をりもふきあ者せてうくひす
0139【うくひすさそふ】−\<合点>可をのたより尓多くへ/てそ/さそふ志るへ尓ハやる(付箋05
  さそふつま尓しつへくいミしきおとゝの
  あ多里の尓本ひな里ミ寿のし多よ里さう
  のことのすそすこしさしいてゝ可る/\しき
0140【かる/\しき】−源詞
  やうなれとこれ可をとゝのへて志らへ
0141【をとゝのへて】−緒
  こゝにうときのいるへきやうもきを」(31オ・1151C)

 

  とのへハうち可しこまりて者里本とよう
  いおほくめや寿くていちこちてうのこゑ尓
0142【いちこちてう】−壹越調
  者ちのをゝ堂てゝふとも志らへやらてさふら
0143【はちのを】−発絃
  ひへ者可きあ者せ者可りはてひとつ
  さまし可らてこそとのへハさらに个ふの
  あそひの佐しいらへ尓ましふ者可りのてつ
  可ひなむおほえ寿者へり个ると个しきは見
  さもあることなれと可くにえことませて
  なむ尓け尓けるとつ多ハらむなこそおし个れ
  とてわらひ志らへいてゝお可しき本とに可き」(31ウ・1151H)

 

  あ者せハ可りひきてまいらせこのまこ
  の堂ちのいとうつくしきとの井す可多
  とも尓てふきあ者せ堂るものゝねともま多
  わ可けれとおひさきあ里ていミしくお可し
  个なことゝものしらへともとゝのひ者てゝ
  可きあ者せへる本といつれとなきな可に
  ひ者ゝすくれて寿めき可みさひ多るてつ
  可ひ寿み者てゝおしろくきこゆわこむ
  尓大将みゝとゝめへるにな可しくあい
  き堂るまをとに可き可へし堂る
  ねのめつらしくいまめきてさらにこのわさと」(32オ・1152A)

 

  ある寿とものおとろ/\しく可き多て堂る
  志らへてうしにおとらす尓きわゝしくとこ
0144【しらへ】−調
0145
【てうし】−調子
  とにも可ゝるあ里个里ときゝおとろ可る
  ふ可きらうの本とあら者にきこえてお
  しろきにおとゝ御心ち井ていとあ里可多く
  おひきこえさうのことはものゝひま/\
  尓となくも里いつるものゝね可ら尓てうつ
  くしけ尓まめ可しくのミきこゆきむは
  な越わ可き可多なれとならひさ可りなれハ
  堂と/\し可らすいとよくもの尓ひゝきあひ」(32ウ・1152F)

 

  ていう尓里に个ることのね可な大将きゝ
  給兵しとりてさう可し給院時/\あふき
  うちならしてく者へ給御こゑむ可しよりも
  いミしくおもしろくすこし布つゝ可にもの/\
  しきけそひてきこゆ大将こゑいとすく
  れへる尓てよのしつ可尓里ゆくまゝ
  尓いふ可き里なくな可しきよのあそひ
  な月心となきころなれ者とうろこな
  可な多に可けてよき本とにともさせへり
  可多越のそきへれ者よ里け尓
  ひさくうつくしけ尓て堂ゝそのミあるこゝ/ち」(33オ・1152L)

 

  す尓本ひや可なる可多はをくれて堂ゝいとあて
  や可に越可しく二月中十日者可りのあをやきの
  わつ可にし堂里者しめ多らむちしてうく
  ひ寿の者可せにもミ多れぬへくあえ可に
  さくらの本そな可にくしは左右よ里こほ
  れ可ゝ里てやなきのいとのさ満し堂里これ
  こそハ可きりなあ里さ満なめれとミゆ
  累尓女御者おしやうなまめきす
  可多のいますこしに本ひく者ゝ里てもてな
  け者ひ尓くゝよしあるさましてよくさ」(33ウ・1153D)

 

  きこ本れ多累ふちの者なのな尓可ゝ里て
  可多者らにならふ者なゝきあさ本らけのちそ
  しへるさるはいとふくら可なる本とにな
0146【ふくらかなる】−懐妊
  てなやましくおほえ个れ者ことも越しや
  里てけうそくにをし可ゝ里へ里さゝや可に
  なよひ可ゝ里へるにけうそくはれいの本
  となれハをよひ多るちしてことさらにちゐ
  さくつくら者やとゆるそいとあ者れけ尓
  しけ累こう者いのそ尓くしの可ゝ里者ら/\
  ときよら尓て本可けのす可多よになくうつ
  くしけなる尓むらさきのうへハえひそめ尓や」(34オ・1153J)

 

  あらむいろこきこうちきう寿ゝわうのほそ
  な可にくしの多まれる本とこち多くゆるゝ可に
  おほきさなとよき本とにやう多いあらま本しく
  あ多里にゝ本ひミち多るちして者なとい者ゝ
  さくらに堂とへて(+
も)のよ里すくれ多るけ者
  ひことにものし可ゝるあ多り尓あ可しハ遣を
  さるへき越いとさしもあらすもてなしなとけしき
  者見者つ可しくのそこゆ可しきさまして
  そこ者可となくあてになまめ可しくゆやな
  のお里ものゝ本そな可もえき尓やあらむこう」(34ウ・1154B)

 

  ちきゝてう寿ものゝの者可なけなるひき可け
  てことさらひけし堂れとけ者ひおもひなしも
  尓くゝあならハし可らすこまのあおちの尓
  しきの者しさし堂る志とね尓ま本尓も井て
  ひわをうちをきて堂ゝけしき者可りひき可け
  て多おや可につ可ひなし多る者ちのもてな
  ねをきくよ里もあ里可多くな可しくて
  さまつ者な多ち者那ミもくしてをし
0147【さ月まつはなたちはな】−\<合点>
  おれる可本里おほゆこれも可れもうちとけぬ
  け者ひともをきゝ見給大将もいとうちゆ可
  しくおほえ堂いのうへのしお里よ里も」(35オ・1154H)

 

  ねひまさ里へらむあ里さ満ゆ可しきにしつ
  をはいますこしのすくせをよ者満
  し可はわ可もの尓ても多てまつ里てまし
  のいとぬるきそくやしきや者多ひ/\さや
  う尓むけて志里うことにも者せけ
  累越とね多くおへとすこしやすき可多に
  みえ給御个者ひ尓あな里きこゆとはな
  れといとしも者うこ可さ里个りこの可多越
0148【この御かた】−紫上
  者な尓こともおもひをよふへき可多なくけと
  をくてとしころすきぬれハい可て可堂ゝおほ可堂
  尓よせあるさまをもみえ多てまつらんと者可り」(35ウ・1155A)

 

  のくち越しくなけ可しきなりけ里あな可ち尓
  あるましくおほけなちなとはさらにもの/し
  ハすいとよくもておさめへりよふけゆくけハ
  ひ日やゝ可な里ふしまちの者つ可にさしいて
  堂るとなしやのおほろよゝのあ者れ
0149【春のおほろ月】−源詞
  者多可うやうなるものゝね尓むしのこゑよ里
  あ者せ多る堂ゝならすこよなくひゝきそふ
  す可しとのへハ大将君秋のよのくまな
  よろつのもとゝこ本里なきにことふえのねも
  あきら可にすめるちはし者へれとな越ことさら/尓
  つく里あ者せ堂るやうなるそらの个しき者なの」(36オ・1155G)

 

  いろ/\めうつろひちりて可き里こそ
  者へれのそら能堂と/\しき可すミのまよ里
  おほろな可け尓しつ可にふきあ者せ多る
  やう尓者い可て可布えのねなともえむ尓すミ
  の本里者てすなをあはれふふるき
0150【女は春をあはれふ】−\<合点>
  いひをき者へり个るけ尓さなむ者へ里
  个るな可しくものゝとゝのほること者者るの
  ゆふくれこそことに者へりけれと申給へハいな
0151【いなこのさためよ】−源
  このさ多めよい尓しへよ里ひとのわき可ね多る
0152【いにしへより】−春秋ノ勝負ノコト
  こと越すゑのよ尓く多れるのえあきらめ者つ」(36ウ・1155M)

 

  ましくこそものゝしらへこくのものとも者し
0153【こく】−曲
  もけ尓りちをハつきのもの尓し堂るはさも
  あ里可しなとのてい可に堂ゝいまいう所く
0154【いかにたゝいま】−源ノ夕ヘ詞
  のおほえ多可きその可の人御前と尓て
  堂ひ/\心見させ尓すくれ多るは可すゝく
  なくなり多める越そのこの可見とおもへる寿
  ともいく者くえまねひとらぬ尓やあらむこの
  可く本の可なるをむな多ちの御中尓ひきませ
  堂らむ尓き者ゝなるへくこそおほえねとし
0155【きはゝなる】−一キハアルハナキト也
  ころ可くむもれてすく寿にみゝなともすこ
  しひ可/\しくな里に堂るにやあらむくち」(37オ・1156E)
0156【ひか/\しく】−女楽ナトヲヨキトキクハヒカ/\シト也<>

 

  越しうなむあやしくひとのさえハ可なくとり
  することゝもゝものゝ者えあ里てまさるところ
0157【ものゝはえありて】−六条院ノ内ノコト
  なるその御前あそひなとにひときさミ
0158【その御前の】−抄 心中コト
  尓えら者るゝ人/\それ可れとい可にそとの
  へハ大将それをなむと里さむとおもひ者へ
  りつれとあきら可ならぬのまゝにおよす
  けてやハとおもふるの本里てのよ越きゝ
0159【のほりてのよ】−上代
  あ者せ者へらね者尓やんの可見のわこむ
  兵部卿宮ひわなと越こそこのころめつ
  ら可なる堂めしにひきいて者へめれ个尓可多」(37ウ・1156J)

 

  ハらなき越こよひうけ多ま者るものゝねとも
  のみなひとしくみゝおとろき者へるはなを可く
  わさともあらぬあそひと可ねておもふ
  堂ゆミけるのさ者く尓や者へらむさう可なといと
  つ可うまつ里尓くゝな和琴者可のおとゝ者
0160【かのおとゝ】−致仕大臣
  可里こそ可くを里尓つけてこ志らへなひ可志
  堂るねな尓ま可せて可き多てへるハいと
  ことにものしへおさ/\き者ハなれぬもの尓
  ハへめる越いと可しこくとゝのひてこそ者へり
0161【とゝのひて】−紫ヲホメ給也
  徒れとめてきこえいとさこと/\しきゝ者
0162【いとさこと/\しき】−源詞
  尓者あらぬをわさとうる者しくもとりなさるゝ」(38オ・1157C)

 

  可なとてし多里可本尓本ゝゑミけ尓遣しう
  はあらぬてしともり可しひわ者しも(+
こゝ尓)くちいる
0163【ひわは】−明石上ノコト
  へきこと満しらぬをさいへとものゝ个者ひことな
  遍しおほえぬところ尓てきゝ者しめ多里しに
  めつらしきものゝこゑ可なとなむおほえし
  可とそのお里よ里者こよなくまさり尓多る
  をやとせめてわれ可しこに可こち(こち$
た里)なへは
  女房とはすこしつきしろふよろつのこと
  みち/\につけてならひまね者ゝさえといふも
  いつれもき者なくおほえつゝわ可ち尓あくへ」(38ウ・1157I)

 

  き可き里なくならひとらんことはいと可多け
  れとな尓可はその堂とりふ可きのいまのよ尓
0164【たとりふかき人】−習得ント思人ナキ也
  おさ/\な个れハ可多者し越な多ら可にまねひえ
  多らむひとさる可多可とにをや里てもあ里ぬ
  へきをきむなわつらハしくふれ尓く
  きものハあ里个るこのことはまことにあとのまゝ
  尓堂つねと里堂るむ可しのひとは天地をな
  可しを尓可みのをやわらけよろつのものゝ
  ねのうち尓し堂可ひて可なしひふ可きものも
  よろこひ尓可者里いやしくまつしきものも
  多可きよにあら多まり堂可らにあつ可里よ尓」(39オ・1158A)
0165【たから】−宝

 

  ゆるさるゝ堂くひおほ可里个りこのく尓ゝひき
  つ多ふる者しめつ可多まて布可くこのこと越
  え多る者おほく能としを志らぬく尓ゝすくし
  をなきになしてこのことをまねひとらむと
  まとひて堂にしうるは可多くなむあ里け累
  个尓者多あきら可にそらの本しをうこ可し
  ときならぬ志もゆき越ふらせくもい可つち越さ
  者可し多累多めしあ可り堂るよ尓者あ里个り
  可く可きりな尓てそのまゝにならひとる
  のあ里可多くよのすゑなれハ(+
尓や)いつこのその
  可多者しに可者あらむされと可のお尓可みの」(39ウ・1158G)

 

  見ゝとゝめ可多ふきそめ尓けるものなれ者尓や
  なま/\にまねひておひ可な者ぬ堂くひあ里
  遣るのちこれをひくよ可らすと可いふなんを
  つ个てうるさきまゝにい万者おさ/\つ多ふる
  しと可いとくちおしきことにこそあれきむ
  のねを者なれてハな尓ことを可ものをとゝのへ
  しる/\へとはせむけ尓よろつのことおとろふる
  さま者や寿くな里ゆく世中尓ひと里いて者那
  れてを堂てゝもろこしこまとこの尓ま
  とひあ里きおやこを者なれむことは世中
  ひ可めるもの尓りぬへしなと可なのめ尓て」(40オ・1159@)

 

  このみち越可よ者し志る者可りのハしを者
  し里を可さらむ志らへひとつ尓てをひきつ
  さむこと多に者可りもきものなゝ里い者んや
  おほくのしらへわつら者しきこくおほ可る越
0166【こく】−曲
  尓い里しさ可里尓はよ尓あ里と(+あり)こゝにつ
  者里多るふといふものゝ可きりをあまねく
0167【ふ】−譜
  あ者せてのち/\者しとすへきくてな
  このミならひし可とあ可里ての尓はあ多る
  へくもあらしをやましてこのゝちといひては
  つ多者るへきすゑもきいとあ者れ尓なむ」(40ウ・1159F)
0168【つたはるへきすゑ】−源ノ御弟子ニキヨフナルナキ也

 

  なとのへハ大将个尓いとくち越しく者つ
  しとおほ寿この見こ多ちの可にお
  ふやう尓おいゝてのし者ゝそ能よにな
  そもさまてな可らへとまるやうあらはいく者く
  ならぬての可きりもとゝめ堂てまつるへき
二)
  いまよ里けしきあ里てをなとのへハ
  あ可しの者いとお多ゝしくな(+
)多くミて/きゝ
  井へ里女御者さうのことをはうへ尓
0169【うへ】−紫
  ゆつ里きこえてよ里ふしひぬれはあつ
  をおとゝのまへ尓まい里て个ち可きあそひ尓
  な里ぬ可つらきあそひ者なや可におもしろ新」(41オ・1159L)
0170【かつらき】−\<合点>

 

  おとゝお里可へしう多ひ給御こゑ堂とへむ可多
  なくあいつきめて堂しやう/\さしあ可る
  まゝに者なのいろ可もゝて者やされてけ个尓いと
  尓くき本とな里さうのことは女御
  をとはいとらう堂け尓可しく者ゝ
  け者ひく者ゝりてゆのねふ可くいミしく
  すミてきこえつる越このてつ可ひ者
  さま可ハりてゆるゝ可尓おもしろくきく
  堂ゝなら須ゝすろ者しきまてあいきて
  里むのてなとすへてさらにいと可とあることのね」(41ウ・1160D)

0171【りむのて】−臨歟<> 輪<>

 

  なり可へりこゑ尓みな志らへ可者りてりちの可
  きあ者せともつ可しくいまめき堂る尓きむ
  者こ可の志らへあま多のてのとゝめて可な
  ら寿ひきへき五六の者ち越いとおしろく
  すましてひきさらに可多本ならすいとよく
  春見てきこゆ春秋よろつのもの尓可よへる
  しらへ尓て可よ者しわ多し徒ゝひき給心しらひ
  をしへきこえさま堂可へ寿いとよくわき
  まへへる越いとうつくしくお多ゝしく
  おもひきこえこの多ちのいとうつく新
  く布き多てゝせちにいれ多る越らう多可里」(42オ・1160J)

 

  てねふ多くな里に堂らむ尓こよひのあそひ
  者な可くはあらて者つ可なる本とにとおひつ
  をとゝめ可多きものゝねとものいつれとも
  越きゝわく本とのみゝと可らぬ多と/\しさにい多
  くふけ尓个里きわさなりやとてさうのふえ
0172【さうのふえふく君】−玉ノ子
  ふく尓可者らけさしそぬきて可つ
0173【御そぬきて】−源
  けよこふえの尓はこな多よりを里
0174【よこふえの君】−夕ノ子
0175
【こなたより】−紫
  本そな可に者可まなとこと/\し可らぬさまに
  けしき者可り尓て大将尓は御方より
  さ可つきさしいてゝさうそくひとく多り
  可つけ多てまつをおとゝあやしやものゝ」(42ウ・1161C)

 

  しをこそまつ者ものめ可し者めうれ者
  志きことな里とののお者しま寿御木丁
  のそ者よ里ふえ越多てまつるうちわらひ
  と里いミしきこまふえな里すこしふき
  ならしへハみな堂ちいて本とに大将堂ち
  とま里このもちへるふえ越と里ていミ
  しくおもしろくふき多てへる可いとめて多く
  きこゆれハいつれも/\ミなてを者なれぬものゝ
  つ多へ/\いと尓くのミある尓てそわ可さえの
0176【わか御さえの】−源ノ心
  本とあ里可多くおほし志られける大将殿
  ち越くるまにのせてのすめるにま可て」(43オ・1161I)

 

  みちす可らさうのことの可者りていミし可里つ
  ねもみゝにつきてこひしくおほえわ可
  き多の可多はこ大宮のをしへきこえし可と
  尓もしめ者さりし本とにわ可れ多てまつ
  里ひ尓し可はゆ累ゝ可尓もひきとりハて
  おとこまへ尓てハゝちてさらにひき
  者寿な尓ことも多ゝおひら可にうちおほとき
  多るさ満してこともあつ可ひをいと満な
  つき/\しへハお可しきところもくおほゆ
  さす可に者らあしくてものね多ミうちし堂る
  あいきてうつくしきさ満尓そものし」(43ウ・1162B)

 

  める者多いへわ多里ひぬうへハとまり
0177【うへは】−紫
  御物可多りなときこえてあ可尓そ
  王多里へる多可うなるまておほとのこもれ里
  ことのね者いとうるさ(さ=
せイ)くな里に个里ない可ゝ
  きゝしときこえへハ者しめつ可多あな多尓
0179【はしめつかた】−紫
  て本のきゝしはい可尓そやあ里し越いとこよ
  なくなり尓个里い可て可者可くこと/\なくをしへ
  きこえ者む尓はといらへきこえさ可して
  越と累/\おほつ可な可らぬものゝしな里可しこれ
0180【これかれに】−源
  可れ尓もうるさく王つら者しくていと満いるわ
  さなれ者越しへ堂てまつらぬを尓もうち

尓も」(44オ・1162H)

 

  きむ者さ里ともらハしきこゆらんとの
  きく可いとおしくさ里ともさ者可りのことを多
  尓可くと里わきてうしろミ尓とあつへる
  志るし尓はとおもひおこしてなむなときこ
  えいて尓もむ可しよつ可ぬ本と越あつ
  ひおもひしさまそのよにハいとまもあ里可多
  くてのと可にと里わきをしへきこゆることな
  ともくち可きよ尓も尓となくつき/\ま
  きれつゝすくしてきゝあつ可者ぬことのねの
  いて者へ志多りしもめむ本くあ里て大将のい多く
  可多ふきおとろき堂りしけしきもおもふやう」(44ウ・1163A)

 

  にうれしくこそあ里し可なときこえ可や
  うのすちもいま者ま多おとな/\しく多ち
  のあつ可ひなとゝ里もちてしさまも
  い多らぬことなくすへてな尓ことにつけても
  と可しく堂と/\しきことましらすあ里可多
  きあ里さ満なれ者いと可くゝしぬる
0181【くしぬる人】−具
  よ尓ひさし可らぬ堂めしもあなるをとゆゝしき
  まておひきこえさ満/\なのあ里さ満
  をあつまゝにと里あつめ堂らひ堂累
  ことはまことに堂くひあらしとのミおもひき
  こえへりことしは卅七尓そな給見多て」(45オ・1163G)

0182【見たてまつり給しとし月のこと】−養育ノ時ノコト

 

  まつしとしのことなともあ者れ尓お
  本しいて堂るついてにさるへきいの里なとつ
  ねよりもと里わきてことし者つゝしみ
  ものさ者可しくのみあ里ておもひい多らぬこと
0183【ものさはかしく】−コトシケク源ノ御乱コトアルトモト也
  もあらむをほしめくらしておほきな
0184【おほきなることゝも】−大徳
  ことゝもゝし者ゝ越のつ可らせさせてむこそ
0185【こそうつ】−北山ノナニカシ僧都
  う徒のも能し者すなりに多るこそいとくち越
  しけれおほ可多尓てうち多のまむ尓もいと
  可しこ可里しをなとの(+
日)いつ見つ可らは
0186【みつからは】−源ノ御コト
  越さなくよ里尓ことなるさま尓てこと/\
  しくおひいてゝいまのよ能おほえあ里さま」(45ウ・1163M)

 

  きし可多に多くひすくなくなむあ里けるされと
  よ尓すくれて可なしきめをる可多も
0187【かなしきめを】−須磨ノコト
  者まさ里个り可しまつハおも尓さ満/\を
  くれのこ里とまれるよ者ひのすゑ尓もあ可す可
0188【あかすかなし】−桐心之コト
  なしとおもふことおほくあちきなくさるまし
  きことにつけてもあやしくものおも者しく
  尓あ可すおほゆることそひ多る尓てすきぬれハ
  それ尓可へてやおもひし本とよりはいまゝても
  な可らふるならむとなむおもひ志ら累ゝ御身
0189【君の御身】−紫ヲサシテ
  尓は可のひとふしの王可れよりあな多こな多も
0190【ひとふし】−スマノコト
  のおもひとてみ多里者可りのことあらしと」(46オ・1164F)

 

  なむおふきさきといひましてそれよ里
  つき/\はやむことなといへとミな可ならす
  や寿可らぬものおひそ布わさな里堂可き
  ましらひ尓つけてもミ多れ尓あらそふお
  もひの堂えぬもや寿けなき越おやのまとの
  うちな可らすくしへるやうなや寿きことは
  なしその可多ひと(ひと=
一人イ)にすくれ堂里け累すくせと者
  おほしゝ累やおもひの本可にこのの可くわ多
0191【この宮】−女三
  里ものしへるこそ者な満くるし可るへ个れと
  それ尓つけてはいとゝく者ふるさしの本と越
  御身可らのうへなれハおほしゝらすやあらむ」(46ウ・1164L)

 

  ものゝふ可くし里めれ者さりともとな
  おもふときこえへハのやう尓もの者可な
0192【の給やうに】−紫
  尓はすき尓多るよそのおほえはあらめと尓多
0193【すきにたる】−過歟
  へぬものなけ可しさのミうちそふやさはみつ可ら
0194【さは】−サレハノ心
  のいの里なりけるとてのこ里おほけなるけ者ひ
0195【いのりなりける】−物思カ我身ノ祈請トナルト也
  者つ可しけな里まめや可に者いとゆくさきすくな
  きち寿る越ことしも可く志ら寿可本尓てす
0196【ことし】−今年
  く寿者いとうしろめ多くこそさき/\もきこゆ
0197【きこゆること】−出家コト
  累ことい可てゆるしあらはときこえそれ者
0198【それは】−源
  しもあるましきことになむさて可け者な
  ひなむよ尓のこ里て者な尓の可ひ可あらむ」(47オ・1165E)

 

  堂ゝ可くな尓となくてすくるとしれとあ
  けくれのへ多てなきうれしさのミこそま寿
  ことなくおほゆれな越おもふさ満ことな
  の本と越者てへとのミきこえをれい
0199【れいのこと】−紫心
  のことゝやましくてなミ多くみへるけしき
  越いとあ者れとみ多てまつてよろつ尓き
0200【いとあはれと】−源心
  こえまきら者しほく者あらねと
0201【おほくはあらねと】−人ノヒヤウハン也
  あ里さ満のと里/\にくち越しくはあらぬを
  里ゆくまゝにまことの者せおひら可におち井多
  累こそいと可多きわさな里个れとなむおもひ者」(47ウ・1165J)

 

  てに堂る大将の者ゝ越おさな可りし本とに
  そめてやむことなくえさらぬすち尓ハおも
  ひしをつね尓よ可らすへ多てあるちして
  やミ尓しこそいまおもへハいとおしくゝやしく
  もあれわ可あやまち尓のミもあらさ里けり
0202【わかあやまちにのみもあらさりけり】−葵ノ心クツロカサリシコト
  なひとつ尓なむおもひいつるうるわしく
  おも里可尓てそのことのあ可ぬ可なとおほゆる
  ことも可りき堂ゝいとあま里見堂れ多る
  ところなくすく/\しくすこしさ可しとやいふ
0203【すく/\しく】−驀直<マツスク>
  へ可里けむとおもふ尓は多のもしくみるに者わつ
0204【たのもしくみるには】−夫婦ニテハトケヌ心
  らハし可里しさま尓中宮者ゝ」(48オ・1166B)

 

  寿ところなむさまことにふ可くな満め可しき
  多めし尓はまつおもひいてらるれとみえ
0205【人みえにくゝ】−心トリニクキ人也
  尓くゝくるし可里しさ満尓なむあ里しうら
  むへき布しそけ尓こと者りとおほゆるふし越
  や可てな可くおもひつめて布可く衛んせられ
  し(し=
ぬイ)こそいとくるし可里し可ゆるひなく者つ
  可しくてわれもうち堂ゆミあさゆふの
  むつひを可者さむ尓者いとつゝましきところ/の
  あ里し可はうちとけてはとさるゝことや
  なとあまりつくろひし本とにや可てへ多ゝり」(48ウ・1166H)

 

  しそ可しいとあるましきな越堂ちて
  ミのあ者/\しくな里ぬるな个きをいミしく
  おもひしめへ里し可いとおしくけ尓ひと可
  ら越おもひしもわれつミあるちしてやミ
  にしなくさめ尓中宮越可くさるへきちき
0206【さるへき御ちきり】−冷トノ契サルコトナレ共ト也
  りと者いひな可らと里堂てゝよのそし里
  のうらみをもしらすよせ多てまつるを
  可の可らもをされぬらんいまもむ可志
0207【かの世なからも】−後世ニテモ也
  もをさ里なるすさひ尓いとおしくゝや
  しきこともおほくなむときし可多の
  うへすこしつゝのいてゝうちの(+
可多の)うしろミ者」(49オ・1167@)
0208【うちの御方の御うしろみ】−女御ノ御後見 明石上ノコト

 

  な尓者可りの本とならすとあ那つ里そめて
  すきもの尓おもひしを猶心のそこみえす
  き者なくふ可きある尓なんうわへハ
  なひきおひら可にえな可らうちとけぬ个志
  きし多にこも里てそこ者可となく者つ可新
  きこそあれとのへハことね者志らぬ
0209【こと人】−紫
  をこれハま本ならねとをのつ可らけしき
  おり/\もあるにいとうちとけ尓くゝ者つ可新
  きあ里さ満しるき越いと多としへなきうら
  なさ越い可に見給らんとつゝましけれと女御者」(49ウ・1167F)

0210【いかに見給らん】−源ノ紫ヲモイカニ思給ト我テニノ詞

 

  をのつ可らおほしゆる寿らむとのミてなんと
0211【おほしゆるすらむ】−源ノ女御ヲ明石上ノ如ト見給ユルスラント紫心
  のさ者可りめさましとをきへ里し
0212【さはかり】−源心
0213
【めさましと】−明石上ヲ恥カシク紫ノ思給シヲ今カク互ニアリ女御ヲ思給ユヘト也
  いま者可くゆるしてみえ可者しなとし
  女御多めのまるあま里そ可しとおほす
  尓いとあ里可多个れ者こそ者さ寿可にく満
0214【君こそは】−紫ノコトヲホメ給詞
  なきにハあらぬも可ら尓よ里こと尓し多
  可ひいとよくふ多すち尓可ひ者し个れ
  さらにこゝと(と$
ら)みれとあ里さま尓ゝ多るハな
  り遣里いとけしきこそものしへと本ゝゑミ
0215【けしきこそ】−嫉妬ノ心ハナク也
  てき(+)え給宮尓いとよくひきとりへりし
0216【よくひきとり】−琴
  ことのよろこひきこえむとてゆふつ可多わ多里」(50オ・1167L)

 

  ひぬわれ尓をくやあらんともおほし
0217【われに】−女三ノ心ヲ源ノ心
  多らすいとい多くわ可ひてひとへ尓ことに
  れてお者寿いまはいとまゆるしてうちや寿ま
0218【いまは】−女三ヘ源詞
  せへ可しものゝしハゆ可せてこそいとくるし
0219【心ゆかせて】−琴ヲ心ニ入給テオホエ給ト也
  可里つひころのし累しあ里てうしろや寿く
  な尓个りとてことゝもをしや里ておほと
  のこもりぬ堂い尓者れいのお者しまさぬよはよ
  ひ井してひと/\にもの可多りなとよませて
  きゝ可くよの堂とひ尓いひあつめ堂るむ可し
  可多里とも尓あ多なるおとこいろこのミふ多」(50ウ・1168D)

 

  ある尓可ゝつらひ堂るをんな可やうな
0220【かやうなること】−フルキモノ語ノコト
  こと越いひあつめ多るにもい尓よる可多あ里
0221【よるかたありて】−\<合点>よ類可多もありといふなり(り$1る)あ里そ/尓/多つミのおな(付箋06
  てこそあめれあやしくうきてもすくしつ
  あ里さ満可な个尓つるやう尓ひとよりこと
0222【の給つるやうに】−源ノヽ給ヤウニ人メハカリハヨキト也
  なるすくせあ里ける可らひとのしのひ
  可多くあ可ぬことにするものおもひ者なれぬ
0223【あかぬこと】−嫉妬ノコト
  尓てやゝみなむとすらんあちきなくもある可な
  なとおひつゝ个てよふけておほとのこも里ぬる
  あ可可多よりむねをなやミ給人/\ミ多てま
  つ里あつ可ひてせうそこきこえさせむと
0224【御せうそこ】−源ヘ也
  きこゆる越いとひんないことゝせいして多え」(51オ・1168J)

 

  可多き越おさへてあ可し御身ぬるミて
  御心ちもいとあし个れととみ尓わ多里
  者ぬ本と可くなむともきこえす女御御方
0225【女御の御方】−明石
  よ里せうそくあるに可くなやましくてなむと
  きこえへるにおとろきてそな多よ里きこ
  えへるにむねつふれていそきわ多里へるに
  いとくるしけ尓てお者寿い可な御心ちそとて
  さく里多てまつへ者いとあつくお者寿れ者
  きのふきこえゝしみのすちなとおほし
  あ者せていとおそろしくおほさる可ゆな
0226【御かゆなと】−源ヘ也
  こな多にまいらせ多れと御覧しもいれ寿ひゝと飛」(51ウ・1169C)

 

  ひ(ひ$)そひお者してよろつミ多てまつ里な
  き者可なく多ものを多尓いとものうく
  しておきあ可りこと多えてひころへぬ
  い可ならむとおほしさ者きていの里とも可す/し
  らす者しめさせそうめして可ちなとせさ
  せそこところともくいミしくゝ累しく/し
  てむね者とき/\おこ里つゝわつらひさま
  堂へ可多くゝ累し个なりさま/\のゝしミ
  可き里なけれと新るしもえ寿をもしとみれと
  越のつ可らをこ多るけちめあらは多のもしきを
  いミしく本そく可なしと多てまつ尓」(52オ・1169I)

 

  こと/\おほされね者可のひゝきもしつま里
0227【御かのひゝき】−朱雀院
  ぬ可のよ里も可くわつらひよしきこし
0228【かの院】−朱
  めしてとふらひいとねむころ尓堂ひ/\きこ
  えおなしさま尓て二月すきぬいふ可き里な
  くおほしな个きてみ尓を可へ者むとて
  二条尓わ多し堂てまつ里のうち
  ゆ春り見ちておひな个くほ可里冷泉院
  もきこしめしなけくこのうせ者ゝ
  可ならすをそむく本いとけてむと大将
  ともをつくして多てまつ里あつ可ひ」(52ウ・1170A)

 

  み寿本うなとはおほ可多のをはさるもの尓
  てと里わきてつ可うまつらせいさゝ可も
  おほしわくひま尓はきこゆることをさも
0229【きこゆること】−紫ノ出家ノコト
  くとのミうらみきこえへと可き里あ里てわ
  可れ者て者むよ里もめのまへ尓わ可とやつ
  しすて者むあ里さ満をて者さらに可多
  多ふましくのミおしく可なし可るへ个れハむ可し
  よ里可らそ可ゝ累本いふ可きをとまりて
  さう/\しくおほされんくるしさにひ可れつ
  すく寿をさ可さま尓うち寿て者むとやおほす
  とのミおしミきこえ尓け尓いと堂のミ可多け尓」(53オ・1170G)

 

  よ者りつゝ可き里のさま尓里/\おほ
  可累をい可さま尓せむとおほしまとひつ
  御方尓もあ可らさま尓わ多里者寿ことゝも
  すさましくてミなひきこめられのうちの
  人/\はミなある可き里二条尓つとひまい
  りてこの尓者をけち多るやう尓て堂ゝをん
  なとちお者してひとり(+
の)け者ひなりけ里とみ
0230【人ひとり】−紫コト
  ゆ女御わ多りてもろともにみ多てまつ
  りあつ可ひ堂ゝにも者しまさてものゝけ
0231【たゝにもおはしまさて】−紫詞 御懐妊
  なといとおそろしき越者やくまいりねとくる」(53ウ・1170M)

 

  しき御心ち尓もきこえわ可のいとうつ
  くしうてお者しま寿を多てまつても
  いミしくなておとな者む越え多て
0232【おとなひ給はむ】−女一宮
  まつらすな里なむことわ寿れむ可しとのへハ
  女御せきあへ春可なしとおほし堂里ゆゝしく可く
0233【ゆゝしくかく】−源
  なほしそさりともけしう者ものし者し
  尓よ里な者とも可くもあるをきて日ろき
0234【心によりなむ】−心モチカラ病ナヲルト也
  うつ者もの尓はさい者ひもそれ尓し堂可ひせ
  者きあるハさるへき尓て堂可きみとなりて/も
  ゆ多可尓ゆ(+
る)へる可多はをくれきうな者ひさ
  しくつね可(可$
)らすぬるくな多ら可なハな可き」(54オ・1171F)

 

  堂めしなむおほ可里けるなと本とけ尓もこの
  御心者せのあ里可多くつミ可ろきさまを
  あきらめさせみ寿本うのあさり多ちよ井
  なと尓てもち可くさふら婦可きりのやむこと
  なきそうなとはいと可くおほしまとへるけ者
  ひをきくにいといミしくくるしけ連ハ
  おこしていの里きこゆすこしよろしきさま
  尓みえ給時五六日うちませつをもりわつ
  らひこといつとなくて月日をへ者なをい可
  尓お者寿へきに可よ可るましき御心ち尓やとお
  しなけくのゝけなといひていてくるもし」(54ウ・1171L)

 

  なやミさまそこ者可とミえ寿堂ゝひ尓そ
  へてよ者りさまにのミゝゆれ者いとも/\可な
  しくいミしくおほ寿尓御心のいとまもけな
  まことやんの可ミは中納言尓な里にき可志
  いまのよ尓はいとし多しくおほされていと
  ときのひとな里みのおほえまさるにつけても
  おもふことの可な者ぬうれわしさ越おもひわひ
  てこのあねの越なむえ多てまつ
0235【御あねの二の宮】−オチハノ宮
  里てけ累らうの可うい者らにおハしましけれハ
0236【下らうのかうい】−一条御息所
  や寿き可多まし里ておもひきこえへり
  可らもへての尓おもひな寿らふれ者」(55オ・1172D)

 

  け者ひこよなくお者寿れともとより志ミ尓
0237【しみにしかた】−女三
  し可多こそな越ふ可ゝり个れなくさめ可多
0238【なくさめかたきをはすて】−わ可なくさめ可年つ佐らし/なや/を者すて尓てるをミて(付箋07

  きをはすて尓てめ尓と可めらるましき者可り尓
  もてなしきこ江へりな越可のし堂のわ寿
  られ数こ志ゝうといふ可多らひ志ゝう
  のめのとのむ寿めな里け里そのめのとのあねそ
  可能可むのきみのめのとな里けれ者ハやくより
0239【かむのきみ】−柏木ノコト
  けち可くきゝ多てまつ里てま多おさなく越
  者しましゝときよりいときよらぬ(ぬ$
尓)なむお者し
  ま寿み可との可しつき堂てまつさ満な
  きゝをき多てまつ里て可ゝ累おもひもき」(55ウ・1172J)

 

  そめ多るな里けり可くて者なれおハし
0240【院】−源
  ます本とひと免すくなくしめや可ならむをゝ
  し者可りてこしゝうをむ可へと里つゝいミしう
  可多らふむ可しよ里可くいのちも堂ふましく
  おもふこと越可ゝ累し多しきよ寿可あ里て
  あ里さま越きゝつ多へ堂えぬの本と越も
  こしめさせて堂のもしきにさらにそのしる
  の个れハいミしくなむつらきのうへ多に
0241【院のうへ】−朱
  可くあま多に可け/\しくて尓をされやう
  尓てひと里おほとのこもるよな/\おほくつれ/\
  尓てすくし里なそうし个るついて」(56オ・1173C)

 

  尓もすこしくいおほし多るけしき尓ておな
  しくは堂ゝや寿きうしろミをさ多めむ
  尓はまめや可につ可うまつるへきをこそ佐堂
  むへ可里个れとの者せて女二宮のな可/\うしろ
  や春くゆく寿衛な可きさま尓てものし
0242【ゆくすゑなかきさまにて】−柏ノ心ハタカハシト朱ノヽ給ト人ノツケル也
  ことゝの者せ个るをつ多へきゝしにいとをしく
  もくちをしくもい可ゝおもひミ多るゝ个尓お
  なすちとは堂つねきこえし可とそれ者それ
  とこそおほゆるわさなり个れとうちうめきへハ
  こしゝういてあなほけなそれをそれとさし
0243【それを】−女二ノコト
  をき堂てまつてま多い可やう尓可きりな」(56ウ・1173I)

 

  き御心らむといへハうち本ゝゑミてさこそは
  あ里けれ尓可多しけなくきこえさせを
0244【宮】−女二
  よひ个るさまは尓もうち尓もきこし
  めしけ里なとて可はさてもさふら者さらま
0245【さてもさふらはさらまし】−女三ヲ柏ニモト前ハノ給シト也
  しとなむことのついて尓はの者せけるいてや
  堂ゝいますこしのい多者里あらまし可はな
0246【いますこしの御いたはり】−女二ノ給ホトナラハ女三ヲトノ心
  いへハいと可多き御事里やすくせと可いふこと
0247【いとかたき御事なりや】−小侍従
  者へなるをもと尓て可ののこと(+尓)いてゝねむころ
  尓きこえ尓堂ちならひさま多けきこえ
  させへき御身のおほえとやおほされし
0248【御身のおほえ】−柏ノコト
  このころこそすこしもの/\しくそのいろも」(57オ・1174A)
0249【御そのいろ】−三位ノ色ハコキ紫

 

  ふ可くなへれといへハいふ可ひなく者やり可
0250【いふかひなく】−柏
  なるくちこは(+さ尓えいひ者て多万ハてい万者よしすき尓し)可多をはきこえしや堂ゝ可く
  あ里可多きものゝひまに个ち可き本と尓て
  このころのうち尓ふことの者しすこ新
  きこえさせつへく堂者可りへおほけな
  者すへてよしみへいとおそろし个れハおも
  ひ者なれて者へりとのへハこれよ里おほけな
0251【これよりおほけなき】−小侍従
  者い可ゝハあらむいとむくつけきことをもおほし
  よ里け累可なゝ尓しにまいりつらんと者ちふく
  いてあなきゝ尓くの(の$
)あま里こち堂くものを」(57ウ・1174H)

0252【いてあなきゝにく】−柏

 

  こそいひなへ个れよはいとさ多めなきも
  のを女御きさきもあるやうありてものし
  堂くひなくや者ましてそのあ里さ満よ
0253【その御ありさまよ】−女三
  おへハいと堂くひなくめて多けれとうち/\ハ
  やましきこともおほ可るらむのあま多の
0254【院】−朱
  御中らひなきやう尓なら者しきこえ
0255【ならひなきやう】−女二ノコト
  しにさしもひとし可らぬき者の可多/\に
  堂ちまし里めさましけなることもあ里ぬへく
  こそいとよくきゝ者へりやよのな可はいとつ
0256【よのなかはいとつねなき】−\<合点>しなハ多可ハ多ゝし世中/徒年なきといひハなすとも(付箋08
  なきものをひとき者におもひさ多めて者し
  多なくつきゝりなることなそよとのへハ」(58オ・1175@)

0257【つきゝりなる】−ツ キリタル心

 

  尓おとされへるあ里さまとてめて多き
0258【人に】−小侍従
  可多にあら多めへきにや者ゝへらむこれはよの
  つねのあ里さ満尓も者へらさめ里堂ゝうし
  ろミなくて堂ゝよ者しくおハしまさむよりは
  おやさまにとゆつ里きこえし可は可多見尓さ
  こそおひ可者しきこえさせ多めれあい
  なとしめことになんと者て/\ハ者ら多つ
  よろつ尓いひこしらへてまことはさ者可りよ尓
0259【よろつに】−柏
  なあ里さ満を多てまつりなへる御心
0260【御ありさまを】−源ノコト
  可す尓もあらすあやしきなれす可多をうちとけ
  てらんせられむとはさらにおもひ可けぬことなり」(58ウ・1175F)

 

  堂ゝひとことものこし尓てきこえしらす者可り
  はな尓者可りの御身のやつれ尓可者あらん可み
  本とけ尓もおも事申寿はつミあるわさ可は
  といミしきち可ことをしつゝのへハし者し
0261【ちかこと】−誓
0262
【しはしこそ】−小侍従
  こそいとあるましきことにいひ可へしけれも
  ふ可ゝらぬわ可ハひとの可く尓可へていミしく
  おひのふをえいなひ者てゝもしさ里ぬへき
  ひまあらは堂者可り者へらむのお者しまさ
  ぬよは御丁のめくり尓おほくさふらひてお
  ましの本と里にさるへき可ならすさふらひ
  へハい可なるおりを可はひまをけ者へるへ可」(59オ・1175M)

 

  とわひつゝまい里ぬい可に/\とひゝにせめられこ
0263【こうして】−功
  うしてさるへきお里う可ゝひつけてせうそこ
  しをこせ多里よろこひな可らいミしくやつ
0264【なから】−ツヽノ心
  れしのひておハしぬまことに王可尓もいとけ
  し可らぬことなれ者けち可くな可/\おひミ多累ゝ
0265【けちかくなか/\】−ソハチカクマテハ思ヨラヌト也
  こともまさるへきことまてはおもひもよらす堂ゝ
  いと本の可にそのつま者可りをみ多てまつ里し
  のゆふのあ可すよとゝもにおひいてられ
  ありさ満をすこしけち可くて多てまつ
  おふことをもきこえしらせて者ひとく多りの」(59ウ・1176E)

 

  可へりなともあ者れとやおほし志る
  とそおひ个る四月十者可りのことな里みそ
  きあ寿とてさい尓多てまつ給女房十二人
  ことにらう尓はあらぬわ可きわらハへなと越
  の可しゝものぬひけさうなとしつゝもむと
  おもひまうくるもとり/\にいと満なけ尓て御前
  の可多しめや可尓てし个可らぬおりなり个里
  ち可くさふら婦あせちのとき/\可よふ
0266【あせちの君も】−女三ノ御方ヘ
0267
【源中将】−アセチニ通人
  中将せめてよひい多させ个れハお里堂るまに
  堂ゝこのしゝう者可りち可くはさふら婦なり个里
  よきお里とおひてやをら御帳のひ(+
む)可し」(60オ・1176K)

 

  おてのおましの者しにすゑつさまてもあるへ
0268【さまてもあるへきことなりや】−柏ノ心ニモレウシト思給心
  きことなりや者ハなくおほとのこも
  尓ける越ち可くおとこのけ者ひのすれハのおハ
  するとおほし堂るにうち可しこまり多る个し
  きせてゆ可のしもにい多きおろし堂て
  まつるにもの尓をそ者るゝ可とせめてあけ
  へれハあらぬり个里あやしくきゝも
0269【きゝもしらぬ】−柏ノヽ給コト
  しらぬことゝもをそきこゆるやあさましく
  むくつけくな里てめせとち可くもさふら
  者ね者きゝつけてまいるもしわなゝきさ満」(60ウ・1177C)

 

  ミつのやう尓あせ可れてものもおほえ
  ぬけしきいとあ者れ尓らう多けなり可寿ならね
0270【かすならねと】−柏詞
  といと可うしもほしめさるへきみとはおも
  へられ寿なむむ可しよ里おほけなの者へ
  りしをひ多ふるにこめてやミ者へなまし可は
  のうち尓く多してすきぬへ可里ける越な可/\
  もらしきこえさせて尓もきこしめされ尓
  しをこよなくもて者なれても者せ
  さ里けるに多のミ越可けそめ者へりての可す
  ならぬひとき者にひとよりふ可きさし越
  むなしくなし者へりぬることゝうこ可し者へ」(61オ・1177I)

 

  り尓しむよろついまは可ひなきことゝ
  おもふ多まへ可へせとい可者可りしみ者へり尓け
  累尓可とし尓そへてくち越しくもらく
  もむくつけくもあ者れ尓もいろ/\にふ可く
  おふ堂まへまさるにせき可ねて可くおほけ
  なきさま越御覧せられぬるも可つ者いと
  おひや里なく者つ可しけれ者つミをも
0271【つみをもき】−宮事アルマシト也
  こゝろもさらに者へるましといひもてゆくに
  この里けりとおほ寿尓いとめさましく
  おそろしくてつゆいらへも者寿いとこと」(61ウ・1178@)

 

  わ里なれとよ尓多めしなきことにも者へらぬを
  めつら可になさけな御心者へならはいとうく
  て中/\ひ多ふるなこそつき者へれあ
0272【ひたふるなる心】−フツル心
  者れと多にの者せはそれをうけ者りて
  ま可てなむとよろつ尓きこえよそのお
  や里はいつくしくものなれてみえ多てまつ
0273【いつくしく】−女三ノ御体
  むも者つ可しくをし者可られ尓堂ゝ可者
  可里おひつめ堂る可多者しきこえ志らせて
  な可/\可け/\しきことはなくてやみなむとおも
0274【かけ/\しき】−来心
  ひし可といとさ者可りけ堂可う者つ可しけ尓は」(62オ・1178F)

 

  あらてな可しくらう堂け尓や者/\とのミ
  給御け者ひのあて尓いミしくおほゆる
  尓ゝさせ者さ里けるさ可しくお
  ひしつむるうせていつちも/\井て可
  くし堂てまつ里てわ可よ尓ふるさ満
  ならすあと多えてやミな者やとまてお
  ミ多れぬ堂ゝ(堂ゝ=
さて)いさゝ可まとろむともきゆ免
  尓このてならしゝねこのいとらう堂け尓うち
  なきてき多る越この尓多てまつらんとて
  わ可井てき多るとおほしき越な尓しに」(62ウ・1178K)
0275【なにしに】−形見トヲシム心

 

  堂てまつ里つらむとおふ本とにおとろきて
  い可尓えつるならむとおハいとあさま
  しくうつゝともほえ者ぬ尓むねふ多可
  りておほしおほゝるゝをなを可くの可れぬ
0276【なをかくのかれぬ】−柏
  すくせのあさ可らさ里个累とお(+)ほしな
  つ可らの可らもうつ尓はあらすな
  おほえ者へる可のおほえな可りしみ寿のつまを
  ねこのつひき堂里しゆふへ(+
の)こともきこえ
  いて多里け尓さ者多あ里遣むよとくちおしく
  ちきりうき御身里个里尓もいまはい可て

可ハ」(63オ・1179C)

 

  え多てまつらんと可なしく本そくていと
  おさなけ尓をいと可多しけなくあ者れと
  多てまつ里てひとのミ多をさへのこふ
  そてはいとゝつゆけさのミまさるあけゆく
  けしきなるにいてむ可多なくな可/\な里い可ゝ
  ハし者へるへきいミしく尓くませへハ
  こえさせむこともあ里可多き越堂ゝひと
  ことこゑをき可せへとよろつ尓きこえ
  なやま寿もうるさくわひしくてものゝさ
  らにい者れ者ね者者て/\ハむくつけくこそ」(63ウ・1179I)

 

  な里者へりぬれま多可ゝ累やうはあらしといと
0277【またかゝるやうは】−柏
  うしとおひきこえてさらはふようなめ里
0278【ふよう】−不用
  越い多つらにや者なし者てぬいとすて可多き
0279【身をいたつらに】−\<合点>
  によりてこそ可くまても者へれこよひ尓可き
  り者へりなむもいミしくなむつゆ尓ても御心
  ゆるしさ満なと(と$
ラ)はそれ尓可へつる尓ても
0280【それにかへつる】−命ノコト
  すて者へ里なましとて可きい多きていつるに者
  てはい可尓しつるそとあきれておほさるすみ
  のまの屏風をひきひろけてとをゝしあけ
  堂れ者わ多とのゝみなミのとのよへいりし可ま多」(64オ・1180@)

 

  あきな可らあるにま多あ个くれの本となるへ
  し本の可尓多てまつらんのあれ者可う
  志をやをらひきあ个て可ういとつらき
  尓うつうせ者へりぬすこしおも
  のとめよとおほされハあ者れと多にの者せ
  よとをとしきこゆる越いとめつら可な里とお
  ほしてものもい者むとしへとわなゝ可れて
  いとわ可/\しきさまな里堂ゝあけ尓あけゆ
  くにいとあ者多ゝしくてあ者れなるゆめ可多り
  もきこえさ寿へき越可く尓くませへハこそ」(64ウ・1180F)

 

  さ里ともいまおほしあ者寿ることも者へりな
  むとてのと可ならす堂ちいつるあ个くれ
  そらよ里もくしな
    越きてゆくそらも志られぬあ个くれ尓
  いつくのの可ゝ累そてな里とひきいてゝ
  うれ遍きこゆれ者いてなむとするにすこし
  なくさめ
0281【なくさめ給て】−ウレシク思給也
    あ个くれのそらにうきみ者きえなゝむゆめ
  な里けりとてもやむへくと者可なけ尓
  こゑのわ可くお可しけなるをきゝさ寿やう尓て
  いてぬる堂ましひはまことにを者なれてと満」(65オ・1180L)

 

  里ぬるち寿女宮とにもまうて者て
0282【女宮】−女二ノコト
  大殿へそしのひてお者しぬるうちふし堂れと
  めもあ者寿るゆめのさ多可にあ者むことも
  可多き越さへおふ尓可のねこのあ里しさまいと
  こひしくひいてらるさてもいミしきあやま
  ちしつるみ可なき(き$
)よ尓あらむことこそま者ゆ
  くな里ぬれとおそろしくそら者つ可しき
0283【そらはつかしき】−ヲソロシキ心
  ちしてあ里きなとも者春の多め者さ
  らにもい者寿わ可ち尓もいとあるましきことゝ
  いふ尓もむくつけくおほゆれ者おもひの」(65ウ・1181D)

 

  まゝにもえまきれあ里可寿み可とのめをも
0284【御め】−ミ
  と里あやまちてことのきこえあらむ尓可者可里
  おほえむことゆへハのい多つらにならむくるし/く
  おほゆましゝ可いちし累きつミ尓者あ多らすと
0285【いちしるき】−キツトシタル心
  もこの尓めをそ者められ多てまつらむことは
  いとおそろしく者つ可しくおほゆ可き里な
0286【かきりなきをむな】−世人ヲ云 ハカナキ女トイヘ共
  をむなときこゆれとすこしよつき多る者へ
  まし里うはへハゆへあ里こめ可しきにもし多可者ぬ
  新多のそひ多るこそとあること可ゝ累ことにうち
0287【こそとあること】−コソヲウヘニ付テミヨト
  なひき可者し多くひもあ里个れこれ者ふ可
  き者せねとひ多おもむきにものをち志」(66オ・1181J)

 

  へる御心尓堂ゝいましもきゝつけ多らむ
  やう尓ま者ゆくハつ可しくおほさるれ者あ可き
  ところ尓堂にえ井さりいて者寿いとくち越
  しき里け里とみつ可らおほしゝ累へし
  なやましけ尓なむとあ里个れ者おとゝきゝ
0288【なやましけに】−女三
  いミしく御心をつくし給御ことにうちそへて
0289【御心を】−紫コト
  い可尓とおとろ可せてわ多りへりそこ者可と
  くるしけなることもみえ者寿いとい多く者ち
  らひしめ里てさや可にもあ者せ多てまつ
  者ぬをいとひさしくな里ぬる多えま越うらめしく
  おほ寿にやといとおしくて可の御心ちのさ満なと」(66ウ・1182C)
0290【御心ち】−紫コト

 

  きこえていま者のとちめ尓もこそあれいま
  さらにをろ可なるさま越えを可れしとてな
  いわけな可里し本とよ里あつ可ひそめて者な
  ち可多けれ者可うつきころよろつを志らぬ
  さま尓すくし者へるそをのつ可らこの本とすき
  はおしてむなときこえ可くけしき
0291【かく】−女三心
0292
【けしきも】−柏心
  も志里者ぬもいとおしくくるしくおほされ
  てしれ寿なミ多くましくおほさる可む/の
  者ましてな可/\なるちのミまさ里てお
  ふしあ可しくらしわひまつ里のとはも/の
  尓あらそひゆくきむ多ち可きつれきていひ」(67オ・1182I)

 

  そゝの可せとなやましけ尓てなしてな可めふし
  へり女宮を者可しこま里をき多るさま尓
0293【女宮】−女二
  もてなしきこえておさ/\うちとけてもえ多て
  まつハすわ可ゝ多に者なれ井ていとつれ/\尓
  本そくな可め井へるにわらハへのも多るあふひ/を
  見給
    くやしくそつミを可し个るあふひくさ可ミ
0294【くやしくそ】−柏
  のゆるせる可さしならぬ尓とおふもいとな可/\な
  世中しつ可ならぬくるまのをとなと越よそのことに
  きゝてや里ならぬつれ/\尓くらし可多くお
  ほゆる女宮可ゝ累けしきのすさましけさも」(67ウ・1183B)
0295【女宮】−女二心
0296
【けしき】−柏体

 

  しられへハな尓ことゝ者し里者ねと者つ
  しくめさましきにものお者しくそおほさ
  れけ累女房とも尓ミないてゝすくな
  のとや可なれ者うちな可めてさうのことな可し
0297【さうのことなつかしく】−女二
  くひきまさく里てお者寿るけ者ひもさ寿可に
  あてにな満め可しけれとおしく者いまひとき
  はをよ者さりけるすくせよとなをおほゆ
    もろ可つらおち者をな尓ゝひろ日けむな
  むつましき可さしなれともと可きすさひ井
  堂るいとなめけなるし里うことな里可しおとゝ
0298【なめけなる】−無礼ノ心
0299
【おとゝの君】−源
  のハまれ/\わ多りてえふとも多ち可へ里ハす」(68オ・1183J)

 

  しつくおほさるゝに多えいりひぬとてひと
0300【たえいり給ひぬ】−紫ノセツシ也
  まい里多れハさらにな尓こともほしわ可れ寿
  くれてわ多里みちの本とのとなきに
  け尓可の者ほと里のおほちまてひと堂ち
0301【かの院】−二条院
  さ者き多里とのゝうちなきのゝし累け者ひいと
  ま可/\しわれ尓もあらてい里へれハひころ者
  いさゝ可ひまへる越尓者可になむ可くお
  しま寿とてさふら婦可きりはわれもをくれ多
  てまつらしとまとふさまとも可き里なしみ寿
  本うともの堂むこ本ちそうなともさるへき可き
  里こそま可てね本ろ/\とさわく越見給尓さらは」(68ウ・1184B)

 

  可きり尓こそ者とおほし者へるあさましさに
  な尓こと可は多くひあらむさりともゝのゝけの
  する尓こそあらめいと可くひ多ふるになさ者き
  そとしつていよ/\いミしきくわんとも
  多てそへさせすくれ多るけむさともの可き
  里めしあつめて可き里あるいのち尓てこのよつ
  きひぬとも堂ゝいまし者しのとめへ布とう
  そんの御本のち可ひあ里そのひ可寿を多に可け
  とゝめ多てまつ里へと可しらよりまことにくろ
  けふ里を多てゝいミしきをおこして可ちし
  堂てまつ堂ゝいまひと多ひめ越あ」(69オ・1184I)

 

  者せへいとあえなく可きりな里つらん本とを
  堂にえ寿な里に个ることのくやしく可な
  きをとおほしまとへるさ満とま里へき尓も
  あらぬを多てまつちとも多ゝをし者
  可るへしいミしき御心のうち越本とけも
  てまつ尓やころさらにあら者れいて
  こぬものゝけちひさきわら者尓うつ里てよ者
  ひのゝし累本とにやう/\いきいて尓うれし
  くもゆゝしくもほしさ者可るいミしくてうせら
  れてハミ那さりねひとゝころの見ゝにきこ
  えむをのれをころてうしわひさせ可な」(69ウ・1185A)
0302【てうし】−テウロウノ心

 

  さけなくつら个れハおなしくはおほしゝら
  せむとおひつれとさ寿可にいのちも堂う
  ましくみをく多きておほしまとふを多て
  まつれハいまこそ可くいミしきみをうけ
0303【いみしきみ】−ナニ身ニテイマ/\シキ業ト也
  多れい尓しへののゝこ里てこそ可くまても
  まい里き多るなれハものゝくるしさ越え
  くさてつ井尓あら者れぬることさらにしら
  れしとおひつるものをとて可みをふ里可
  けてなくけ者ひ堂ゝのむ可しみしものゝけ
  のさまとみえ多りあさましくむくつけしと
  おほしゝみ尓しことの可者らぬもゆゝしけれハ」(70オ・1185G)

 

  このわらハのてをとらへてひき寿衛てさ満あ新
  くもせさせ者寿まことにその可よ可らぬき
  つねなといふなるものゝ堂(+
者)ふれ多る可な
  のおてふせなることいひいつるもあなるを
  堂し可なるなの里せよひとのしらさらんこと
0304【ひとのしらさらんこと】−源ノ人ノシラヌコト我ハカリシリタルコトヲイヘト也
  の尓し累くおひいてられぬへ可らむをいへさ
  てなむいさゝ可尓ても志ん寿へきとのへハ本ろ/\
  とい多くなきて
    わ可こそあらぬさまなれそれな可ら
  そらおほ連寿累者きみな里いとつらし/\
  となきさ个ふもの可らさす可尓もの者ちし多」(70ウ・1186@)

 

  累个者ひ可者らす中/\いとうとましくうけれ者
  ものい者せしとおほす中宮こと尓てもいとう
0305【ものいはせし】−源ノハツカシキ心
  れしく可多しけなしとなむあま可け里ても多て
  まつれとミちことにな里ぬれハこのうへまてもふ可く
0306【なりぬれは】−生前死後
0307
【この】−子
  おほえぬ尓やあらんミつ可らつらしとおもひ
  きこえしのし布なむとまるものな里けるそ
0308【しふ】−執心
  の尓もいきてのよ尓よ里おとしておほし
  すてしよ里ももふとちのの(+
か多りの)ついてによ可
  らす尓く可里しあ里さまをのいて多りし
  なむいとうらめしくいまは堂ゝなきにおほし
  ゆるしてことのいひおとしめむ越多に者ふき」(71オ・1186G)

 

  可くしへとこそおへとうちおひし
  者可り尓可くいミしきみのけ者ひなれ者可く
0309【みのけはひ】−アラハルヽモハツカシキケハヒト也
  ところせきな里この日とをふ可く尓くしと
0310【ふかくにくし】−紫コト
  おひきこゆることはなけれとまも里つよく
  いとあ多里とをきちしてえち可つきまいらす
0311【御あたりとをき】−源ニモツキタケレ共ト也
  こゑを多に本の可尓(+んきゝ)者へるよしいまはこのつ
  見可ろむ者可りのわさをせさせへす本うと
  のゝし累ことも尓はくるしくわひしき本
  の本とのミまつ者れてさらに多うときことも
  きこえねハいと可なしくな中宮尓もこのよし」(71ウ・1186M)

 

  越つ多へきこえへゆめミやつ可へのほと尓
  ときしろひそねむ可ひさい
  お者しましゝころ本ひのミ可るむへ可らむ
  くとくのこと越可ならすせさせへいとくやしき
  ことになむあ里けるなといひつゝくれとものゝけ尓
  む可ひてもの可多り志者むも可多者らい多け
  れ者ふんしこめてうへをはこと可多にしのひ
  てわ多し多てまつ可くうせ尓け里と
  いふこと世中尓みちてとふらひ尓きこえ
  人/\ある越いとゆゝしくおほ寿けふの可へさ」(72オ・1187D)

0312【かへさみに】−祭ノカヘサヲミルコト

 

  み尓いて个る可む多ちめなと可へりみち尓
  可くせはいといみしくさ(くさ$
き)ことにもある可
  ないけ累可ひあ里つるさい者ひのひ可里うし
  なふ飛尓てあめはそ本ふるな里け里とうちつ
  け給人あり可く多らひぬる
  可ならすえな可ゝらぬことな里な尓越さくらにと
0313【なにをさくらに】−\<合点>満てといふ尓ちらてしと満る/ならハ/な尓まさまし(付箋09
  いふゝ累こともあるは可ゝ累のいとゝ尓な可ら
  へてよの多のしひをつくさは可多者らの
  くるし可らんいまこそ二品宮はもとのほえ」(72ウ・1187J)

 

  あら者れ者めいとおしけ尓をされ多りつ
  ほえ越なとうちさゝめきけ里んの可ミ
  きのふくらし可多可りしをおひてけふ者
  おとうとゝも左大弁とうさいと越くの可多
  尓のせてみ个里可くいひあへるをきく尓も
  むねうちつふれてな尓可うきよ尓ひさし可累
0314【なにかうきよに】−\<合点>のこりなくちるそめて多起さくら/てよのな可者てのう个れ者(付箋10
  へきとうちすしひと里こちて可のへミなまいり
  多し可ならぬことなれハゆゝしくやとて堂ゝ
  おほ可多のとふらひ尓まい里へる尓可く
  なきさ者け者まことな里个里と多ちさ者き」(73オ・1188A)
0315【たちさはき給へり】−夕

 

  へり志きふわ多りていとい多く
  おほし本れ多るさま尓てそい里給人せう
  そこも多へ者寿大将ミ多
  をのこひて多ちいてへるにい可尓/\ゆゝし
0316【いかに/\】−柏詞
  きさまにれハ志んし可多きこと尓て
  なむ堂ゝ飛さしきやミをうけ者里なけき
  てまい里つるなとのいとをもくなりて月日
  へる越このあ可よ里堂えい里へりつるを
  ものゝけのし堂るになんあ里けるやう/\いきいて
  やう尓きゝなし者へりていまなむみな人心」(73ウ・1188G)

 

  しつむ免れとま多いと多のもし个なしや
  累(累=
ル)しきことにこそとてまことにい多くな
  へるけしきな里めもすこし者れ堂里
  の可ミわ可あやしきらひ尓やこののいと
  さしも志多し可らぬまゝハゝのこと越い多く
  しめ多まへる可なとめをとゝむ可くこれ可れま
0317【かくこれかれ】−院
  いりへるよしきこしめしてをもきひやう
  さの尓者可にとちめつるさまな里つる越ねう
  者うなとはえおさめ寿ミ多り可者しく
  さ者き者へり个る尓ミつ可らもえのとめす
  者多ゝしきほと尓てなむことさらになむ可く」(74オ・1188M)

 

  ものしへるよろこひはきこゆへきとのへり
  可むのハむねつふれて可ゝ累おりのらうろう
0318【らうろう】−牢籠 ヲトロク心
  ならす者えまいるましく个者ひ者つ可しく
  おもふもうちそ者らき多な可里け累可く
  いきいててのゝちしもおそろしくおほし
  て又/\いミしき本うとも越つくしてく者へ
  をこな者せうつ尓て多にむくつけ可里
0319【うつし人】−御息所ノコト
  しけ者ひのましてよ可者里あやしき
  ものゝさまにな里多まへらむをおほしやるにいと
  うけれハ中宮をあつ可ひきこえさへそ」(74ウ・1189E)

 

  このお里はものうくいひもてゆけ者
  ミなしつミふ可きもと井そ可しとなへて
  の世中いと者しく可の又人き可さ里し
  可能むつの可多り(むつの可多り=
ムツコト イ)にすこし可多りいてへり
  しこと越いひいて多里し尓まことゝおほしいつ
  累尓いとわつら者しくおほさるくしおろして
  むとせち尓おほし堂れハいむことのち可らもやとて
  い多ゝきしるし者可りはさミて可い者可りうけ
  させ堂てまつ給御可いのしいむことのすくれ多る
  よし本とけ尓す尓もあ者れ尓堂うとき」(75オ・1189K)

 

  ことまし里てわるく可多わらにそひ井て
  なミ多をしのこひゝ本とけをもろ
  ねむしきこえさまよ尓可しこくお
  するいと可く御心まとふことにあ多りては
  え志つ者ぬわさな里个りい可なるわさ
  をしてこれをすくひ可けとゝめ多てまつ
  むとのミよるひるおほしなけくに本れ/\しき
  まて可をもすこしおやせひ尓多里五月
  なとはまして者れ/\し可らぬそらのけしき
  尓えさ者やき者ねとあ里しよりはすこし」(75ウ・1190B)

 

  よろしきさまな里されとなを多え寿なやミ
  わ多りのゝけのつミすくふへきわさひこ
  とに本花経一部ゝくやうせさせ給日ことに
  な尓くれと多うときわさせさせ給御まくら
0320【御まくら】−紫ノコト
  可みち可くてもふ多んのみとこ衛多うとき
  可きりしてよませあら者れそめてはおり/\
  可なしけなることゝも越いへとさらに(+
こ)のものゝ
0321【かなしけなる】−モノヽケ
  けさ里者て寿いとゝあつき本とはいきも多
  えつゝいよ/\のミよ者りへハい者む可多な
  おほしなけき堂りなきやうな御心ち尓も
0322【なきやうなる】−紫心
  可ゝ累けしきをくるしくみ多てまつ里」(76オ・1190H)

 

  世中尓なくなりなむもわ可尓はさらに
  くちおしきことのこるまし个れとかくおほし
  まとふめるにむなしくされ多てまつらむ可
  いとおひくまな可るへ个れ者おひおこして
  ゆなといさゝ可まいるけ尓や六月尓なりてそ
  とき/\くしも堂けけるめつらしく
  多てまつ尓もいとゆゝしくて六条
0323【ゆゝしくて】−アヤシキ心
  尓はあ可らさま尓もえわ多り者寿ひめ
  あやし可里しことをおほしなけき志よりや可て
  れいのさま尓もハせ寿なやましくしへと」(76ウ・1191@)
0324【れいのさまに】−クワイニン

 

  おとろ/\しくはあらす堂ちぬるよ里も
  きこしめさてい多くあお見そこな者れ
  可の者わ里なくおひあまるとき/\者ゆめ
0325【かの人】−柏
  のやう尓多てまつ里个れときせ寿わ
  里なきことにおほし多りをいミしくをち
  きこえへる御心尓あ里さ満もの本とも
  ひとしく多にや者あるい多くよしめきなまめき
  堂れハおほ可多のひとめ尓こそなへての日とにハ
  まさりてめてらるれおさなくよ里さる多くひ
  なあ里さま尓ならひへる御心尓はめさ満」(77オ・1191F)
0326【御ありさまに】−女三ノ源ニソヒ給ヘハ柏ヲハ御心ニイカヽソマントノ心

 

  しくのミ見給本とに可くなやミわ多里
  あ者れなすくせ尓そあ里けるめのと多ち
  多てまつ里と可めてのわ多らせこともいと
  多まさ可尓なる越つふやきうらミ多てまつ
  可くなやミときこしめしてそわ多り給女君
0327【女君】−紫上ノコト
  者あつくむつ可しとてくしすましてすこし
  さ者や可尓もてなへりふしな可らうちや里
  へりし可はと見尓も可者可ねとつゆ者可りうち
  ふくみまよふすちもくていときよらにゆら/\
  としてあおミおとろへへるしもいろ者さ越尓」(77ウ・1191L)
0328【いろは】−紫コト
0329
【さをにしろく】−アヲキ心

 

  しろくうつくしけ尓すき多るやう尓ゆる
  者多つきなとよ尓なくらう多けな里もぬけ
  多るむしの可らなとのやう尓ま多いと多ゝよは
  しけにお者寿としころすみ者てすこし
  あれ多里つのうち多としへなくせ者け尓
0330【院】−二条院
  さへゆきのふけふ可くものおほえひま尓て
  ことにつくろ者れ多るや里水前さいのうち
  つけ(+
尓)ちよけなるをい多してもあ者れ尓
  いまゝてへ尓ける越おほ寿いけ者いとすゝし
  け尓て者ち寿の者なのさきわ多れる尓ハゝいと」(78オ・1192C)

 

  あおや可尓てきら/\と堂まのやう尓えわ
  多るを可(可=
あ)れ見給へをのれひとりもすゝしけ
  なる可なとの尓おきあ可里てい多しへる
  もいとめつらしけれハ可くて多てまつるこそ
  ゆめのちすれいミしくわ可さへ可きりとお
0331【ゆめの心ち】−タエ入タル心ヲミレハト也
  ほゆるお里/\のあ里し者やとなミ多越うけ
  て能へハ可らもあ者れ尓おほして
    きえとまる本とや者ふへき堂まさ可に者ち
0332【きえとまる】−紫
  すのつゆの可ゝ累者可りをとの
    ちき里を可むこのよならても者ち寿者尓」(78ウ・1192I)
0333【ちきりをかむ】−源

 

  堂ま井るつゆのこゝろへ多ついて多(多$可多さ
0334【いて給かた】−源心
  ま者ものうけれとうち尓も尓もきこし
  めさむところあ里なやミときゝてもほとへぬ
  累をめ尓ち可きにをまと者しつる本とみ多て
  まつることもさ/\な可りつるに可ゝ累くも
  尓さへや者多えこもらむとおほし多ちてわ多り
  ぬ御心のお尓ゝみえ多てまつらんもハつ可しう
  つゝましくおほ寿尓ものなときこえ給御いらへも
  きこえ者ね者ひころのつりをさす可にさ里
  けなくてつらしとおほしけるとくるしけれハ
  と(と=
ふ)可くこしらへきこえおとなひ多るめして」(79オ・1193B)

 

  御心ちのさ満なとゝひれいのさまならぬ御心
0335【れいのさまならぬ御心ち】−懐妊
  尓なむとわつらひ(+)あ里さまをきこゆあやし
  く本とへてめつらしきことにもと者可りの
  御心のうち尓はとしころへぬる人/\多尓も
  さることなき越不定御事尓もやとお
  せはことにとも可くもひあへしらひ
  者て堂ゝうちなやミへるさまのいとらう多け
  なるをあ者れと多てまつ里可らうしてお
  ほし多ちてわ多りし可はふともえ可へり
  て二三日者寿る本とい可尓/\とうしろめ多く」(79ウ・1193H)

 

  おほさるれはふミをのミ可きつくしいつ
0336【御ふみ】−紫ヘノ源ノ文
  ま尓つことの者尓可あらむいてやゝ寿可ら
  ぬをもる可なとわ可あやまちをし
  らぬハいふ志ゝうそ可ゝ累尓つけてもむねう
  ちさ者きける可の可くわ多りへ里とき
  く尓おほけなあやま里していミしきこ
  とゝも越可きつゝけてをこせへ里堂い尓あ可ら
  さま尓わ多りへる本とにまなり遣れハしの
  ひてせ多てまつるむつ可しきも寿るこ
  そいとうけれちのいとゝあしきにとてふし」(80オ・1194@)

 

  堂まへれハ多ゝこの者し可きのいとおしけ尓
  者つるそやとてひろけ多れハひとのまいるにいと
  くるしくてみきひきよせてさりぬいとゝむ
  ねつふるゝにい里へハえよくも可くし
  者てしとねのし多尓さし者さみ
  うさりつ可多二条へわ多り者むとていと
  まきこえこゝ尓はけしうはあら須
0337【こゝには】−源
0338
【けしうはあらす】−女三ノ御ナヤミハサホトナキ心
  満多いと堂ゝよ者しけな里し越すて多るや
  う尓も者るゝもいまさらにいとおしくてなむ
  ひ可/\しくきこえな寿あ里ともゆめを」(80ウ・1194E)

 

  きいまおしてむと可多らひ
  い者なまい者けなき多者ふれことなともうち
  とけきこえをい多くしめ里てさや可にもみあ
  者せ多てまつ者ぬを堂ゝよのうらめし
  き遣しきと(+
フ)ひ(ひ+ル)そのをましにうちふ新
  の可多りなときこえ本とにくれ尓け
  りすこしおほとのこもりいり尓けるにひくら
  しの者なや可になくにおとろきてさらは見
  ち多と/\し可らぬ本と尓とてそなと多てま
  つ里なお寿まちてともいふなるものをと」(81オ・1194K)
0339【月まちて】−\<合点>くれハみち多と/\し月待て/可遍れ王可せこその満尓も/ミむ(付箋11

 

  いとわ可や可なるさましてのハ尓く可らす可し
  そのま尓とやおほ寿とくるしけ尓
0340【そのまにもとや】−\<合点>
  して堂ちとまり
    ゆふ尓そてぬらせとやひくらしの
0341【ゆふ露に】−女三
  なくをきく/\おきてゆく可多な里な
  御心ま可せていひいてへるもらう多けれハ
  つい井てあなくるしやとうちなけき
    まつさともい可ゝきくらむ可多/\尓
0342【まつさとも】−源
  ハ可寿ひくらしのこゑなとおほしや寿らひて
  さけな可らむもくるしけれハとまりひ」(81ウ・1195D)

 

  ぬしつくさ寿可にな可められく多も
  者可りまいりなとしておほとのこもりぬま多あさ
  すゝみの本とにわ多り者むとてとくおよへ
  の可者本里をおとしてこれハぬるくこそ
  あ里个れとてあふきをきてきのふう多ゝね
  しへりしおましのあ多里を多ちとまりて
  しとねのすこしまよひ堂るつまよ里
0343【まよひたる】−乱タ心
  あさミとりのう寿やうなるふミのをしまき多る
  者しゆるをなくひきいてゝ御覧
  するにおとこのてな里可みの可なといとえむ尓
  ことさらめき堂る可きさ満なりふ多可さねに」(82オ・1195K)

 

  こま/\登可き堂る越み尓まきるへき可多
  なくその能てな里けりと見給ひつ
  む可ゝ見なとあけてまいらする見給ふミ
  尓こそハとしらぬ尓こ新ゝうみつけて
  きのふ能ふミのいろとるにいといミしくむ
  ねつふ/\となち寿可ゆなとまいる可多尓
  めもやら寿いてさ里ともそれ尓者あらしいと
  いミしくさることはあ里なむや可くいてけ
  むとおもひな寿ハなくま多おほと
  のこもれ里あない者けな可ゝ累ものをちらし」(82ウ・1196B)

 

  てわれならぬけ多らまし可はとお
  すもとりしてされ者よいとむけ尓尓く
  きところなあ里さ満越うしろめ多しと
  はみる可しとおほ寿いてぬれは人/\すこし
  あ可れぬるに志ゝうよ里てきのふのものはい可ゝ
0344【あかれぬる】−ワカレタル心
  せさせてしけさ御覧しつ累ふミのいろ
  こそ尓て者へりつれときこゆれハあさましと
  おほしてなミ多の多ゝいてきにいてくれ者いと
  おしきもの可らいふ可ひなさまやと多て
  まつ累いつく尓可はを可せてし人/\のまいり」(83オ・1196H)

 

  しにことあ里可本尓ち可くさふら者しとさ者可り
0345【ちかくさふらはし】−小侍従女三ノ御ソハチカクイルモ人メヲモヒサルト也
  のい見を多に心のお尓ゝ(+さ)里者へし越いらせ
  本とはすこし本とへ者へり尓しを可くさせ
  つらむとなむおもふへしときこゆれ者いさとよ
0346【いさとよ】−女三
  し本とにい里し可はふともえをきあか(か=へ)
  ら(ら=
無イ)てさし者さ見し越わ寿れ尓个里との
0347【ら】−無イ
  尓いときこえむ可多なしよりてれハいつ
  の可はあらむあないミし可のいとい多く越
0348【かの君】−柏
  ち者ゝ可里てけしき尓てもゝりき可せこと
  あら者と可しこまりきこえしもの越本と」(83ウ・1197@)

 

  多尓へ寿可ゝ累ことのいてまうてくるよすへて
  いわけなあ里さま尓て尓もみえさせ
0349【御ありさま】−鞠ノコト
  个れハとしころさ者可りわ寿れ可多くうらみ
  いひわ多里し可と可くまておもへし
  こと可は多可堂め尓もいとおしく者へるへき
  ことゝ者ゝ可里もくきこゆや春くわ可く
  お者寿れハなれきこえ堂るなめりいらへも
  者て堂ゝなきにのミそないとなやまし
  け尓てつゆ者可りのものもきこしめさねハ可く
  なやましくせさせをき堂てまつ里」(84オ・1197E)
0350【なやましく】−源ノソヒヲハシマサハカヤウノコトモタハカルマシイモノトノ心

 

  ていまはをこ多里者て尓多るあつ可ひ尓
0351【いまは】−紫
  をいれへることゝつらくおひいふおとゝ者
  このふミのあやしくおほさるれ者人見ぬ可
  多尓てうち可へしつゝみさふらふ人/\
  可の中納言のて尓ゝ堂るてして可き多る可と
  まておほしよれとこと者つ可ひきら/\と満可
  うへくもあらぬことゝもあ里としをへてお
  わ多里けることの多まさ可に本いめ(め$
可)なひてや寿可
  らぬすちを可きつくし堂ること者いとところ
  あ里てあ者れなれといと可くさや可尓(+
ハ)可くへし」(84ウ・1197K)

 

  やあ多らのふミをこそおもひや里なく可き
  けれをちゝ累こともこそとひし可はむ可し
0352【むかしかやうに】−朧ノカタヘノ源文
  可やう尓こま可なるへきお里ふし尓もことそき
  つゝこそ可きまきら者しゝ可のふ可きよ
  うい者可多きわさな里个里と可のひとのをさ
  へとしさてもこの越ハい可ゝも
  なしきこゆへきめつらしきさ満の御心ちも
0353【めつらしきさま】−懐妊
  可ゝ累ことのまきれ尓てな里遣里いてあな
  うや可くてならすうき越し累/\あ(あ$

  あ里しな可らみ多てまつらんよとわ可御心可」(85オ・1198C)

 

  らもえおひな寿ましくおほゆる越な
  さりのすさひと者しめよ里をとゝめぬ多尓
  ことさまのわくらむとおふ者きな
  おひへ多てらるゝ越ましてこれ者さまことに
  おほけな尓もあ里ける可なミ可との
  め越もあやまつ堂くひむ可しもあ里遣れと
  それハま多いふ可多ことなりミやつ可へといひてわ
  れももお尓なれつ可うまつる本と
  尓をのつ可らさるへき可多尓つけてもを可
  ハしそめものゝまきれおほ可里ぬへきわさな里」(85ウ・1198I)

 

  女御可ういといへとゝあるすち可ゝる可多尓けて
  可多本なあ里者せ可ならすをも可ら
  ぬうちまし里ておも者寿なることもあれと
  おほろ遣のさ多可なるあやまちえぬ本とは
  さてもましらふやうもあらむ尓ふとしもあら
  者ならぬまきれあ里ぬへし可く者可り
0354【かくはかり】−女三ノコト
  さま尓てなしきこえてうち/\のさし
  ひく可多よ里もいつくしく可多しけなきも
  の尓おひ者くゝまむをゝきて可ゝ累こと
0355【おもひはくゝまむ人】−源ノ身上ノコト
  はさらに多くひあらしとつま者しきせられ」(86オ・1199@)

 

  ミ可とゝきこゆれと堂ゝすな本尓ほやけ
  さまの者へ者可り尓てみやつ可への本とも
  のすさましきにさしふ可きわ多くしの
  ねきことになひきをの可しゝあ者れをつ
  しすくし可多きおりのいらへをもいひそ
  めしねむ尓可よひそむらむな可らひハお
  しけし可らぬすちなれとよる可多あ里やわ可
0356【わか身】−源
  可らもさ者可りのわけへく者お
  ほえぬものをといときなけれとけしき
  尓い多すへきことにもあら須なとおほしミ多累ゝ」(86オ・1199F)

 

  につけて故院のうへも可く御心尓者しろし
0357【故院のうへ】−ウスクモノコト
  め志てや志らす可本をつくらせ遣むお
  へハそのよ能ことこそ者いとおそろしくあるま
  しきあやまちな里けれとち可き多めしをお
  ほす尓そこひのち者えもとくましき
0358【こひの山ち】−\<合点>い可ハ可り山路の志个ゝれ者/い里といりぬる満とふらん(付箋12
  まし里けるつれなしつく里へとものおほし
  ミ多累ゝさまのし累けれは女君きえのこ里
0359【女君】−紫
  多るいと本し見尓わ多里や里ならす
  累しうおひや里きこえ尓やとおほして
  ち者よろしくなり尓て者へる越可ののな」(87オ・1199K)

 

  やましけに者寿らむ尓とくわ多里尓し
  こそいとおしけれときこえへハさ可しれい
  ならすみえし可とことなち尓者せ
  ね者おのつ可らのと可尓おもひてなむうち
  よりは(は$
)堂ひ/\可ひあ里け里遣ふもふミ
0360【たひ/\御つかひ】−女三ノコトヲ尋ヘニトノ御文ナルヘシ
  あ里つと可のいとやむことなくきこえつ
0361【院】−朱
  へれハうへも可くおほし多るなるへしすこ志
  をろ可尓ともあらむ者こな多可な多おほさん
  ことのいとおしきそやとてうめきへハうちの
0362【うちの】−紫
  きこしめさむよりもみつ可らうらめしと」(87ウ・1200C)

 

  おひきこえ者むこそくるし可らめわれ
0363【おもひきこえ】−女三ノ心ノコト
  ハおほしと可め寿ともよ可らぬさま尓きこえ
  な寿人/\可ならすあとおもへハいとくるし
  くなむなとのへハけ尓あな可ち尓もふ
  堂め尓はわつらハしきよす可なけれとよろつ
  尓堂とりふ可きことゝや可(+
く)やとおほよそ
  お者むさへおもひめくらさるゝをこれハ堂ゝ
  こくわうの御心やをきハむと者可り越者ゝ可ら
  む者あさきちそしけるとほゝゑミての
  まきら者寿わ多里者むこと者もろともに」(88オ・1200I)
0364【わたり給はむこと】−六条院ニ紫ト源ト

 

  可へりてをのと可にあらむとのミきこえ
  こゝに者し者しや春くて者へらむまつわ多り
0365【こゝには】−紫
  御心くさミなむ本とにをとき
  こえ可ハし本とにひころへぬひめ者可く
  わ多里者ぬころのふるもらさ
  尓のミおほ寿をいま者わ可をこた里うち
  ませてな里ぬるとおほ寿尓きこしめ志
0366【院も】−朱
  け(け$徒)けてい可におほしめさむと世中ゝましくな
  可のいミしけ尓のミいひわ多れともこしゝ
0367【かの人】−柏
  うもわつら者しくおもひなけきて可ゝ累こ」(88ウ・1201A)
0368【かゝること】−文ヲ源ノミ給シト也

 

  となむあ里しとつけて个れハいとあさましく
  いつ本とにさることいてきけむ可ゝることは
  あ里ふれハをのつ可らけしき尓てもゝりいつ
  累やうもやとおもひし多尓いとつゝましく
  そらにめつき多るやう尓ほえし越まして
  さ者可里堂可ふへくもあらさ里しことゝも
  見給てけむ者つ可しく可多しけなく可多わら
  い多きにあさゆふすゝ見もきころなれと
0369【あさゆふすゝみも】−\<合点>のひ農あさゆふすゝ見ある/を/なと王可のひ満な可るらん(付箋13
  もしむるちしてい者む可多なくおほゆとし
0370【しむる心ち】−ソヽロヲソロシキ心
  ころまめことにもあ多ことにもめしまつ者し」(89オ・1201F)

 

  まい里なれつるものをよ可(可=り)はこま可尓お
  しとゝめ多るけしきのあ者れ尓な可し
  きをあさましくおほけなきもの尓を可れ
  多てまつ里て者い可て可はめをもみあ者せ多て
  まつらむさりとて可き多え本のめきまいらさら
  むもめあやしく可の御心尓もほしあ者せむ
  ことのいミしさなとや寿可ら須ふ尓ちも
  いとなやましくてうちへもまいらすさして
  をもきつミ尓はあ多るへきならねとのい多
  つらにな里ぬるちすれハされハよと可つは」(89ウ・1201L)

 

  わ可いとつらくおほゆいてやしつや可尓
0371【いてやしつやかに】−女三ノ心ニ難ヲツケテ云フ
  尓くきけ者ひ者ぬわ多里そやまつ
  可のみ寿の者さ満もさるへきこと可は可る/\しと
  大将のおへるけしきえき可しなといま
  そおもひあ者寿る志ひてこのこと越お
  さまさむとおふ可多尓てあな可ち尓
  つけ多てまつらま本しき尓やあらむよき
  やうとてもあま里ひ多おむきにおほと可
0372【ひたおもむき】−ウツクシキ心
  尓あてな者よのあ里さ満もしらす可つ
  ふら婦越き堂まふこともくて可く」(90オ・1202C)

 

  いとおしき御身の多めもの多めもいミしき
  ことにもある可なと可のことのくるしさも
  えおひ者な多れ者寿者いとらう多
  け尓てなやミわ多里さ満のなをいとくるし
  く可くひ者な尓つけてはあや尓くに
0373【かく思ひはなち】−源心女三ヲ思ハナチテハ又恋シト也
  うきにまきれぬこひしさのくるしくおほさ
0374【うきにまきれぬ】−\<合点>
  累れハわ多里多てまつ尓つけても
  むねい多くいとおしくおほさるいの里な
  さま/\にせさせほ可多のことはあ里しに
  可者らすな可/\いた者しくやむことなくもて」(90ウ・1202I)

 

  なしきこゆるさまをましけち可くうち
  可多らひきこえさま者いとこよな御心
  へ多ゝ里て可多わらい多けれハめハ可りをめや
  すくもてなしておほしのミゝ多るゝ尓この
  のうちしもそくるし可里けるさること
  きともあらハしきこえ者ぬ尓見つ可ら
  いとわ里なくおほし多るさ満もおさな
  いと可くお者寿るけそ可しよきやうといひな
  可らあま里となくをくれ多る堂のも
  けなきわさな里とおほ寿尓世中へてう」(91オ・1203@)

 

  しろめ多く女御のあま里や者ら可尓をひ
0375【女御】−明石
0376
【をひれ給へる】−ヲサナキコト
  れへるこそ可やう尓可けきこえむ者満
  して見多れなむ可しハ可う者る遣
  くなよひ多るをあなら者しき尓や
  さるましきにふとめとま里つよ可らぬあや
  まちはしいつるなりけ里とおほ寿みきのおとゝ
  のき多の可多のとり多て多るうしろミもくお
0377【きたのかた】−玉カツラ
  なくよりもの者可なきよ尓さ寿らふるやう尓
  ておひいて个れと可と/\しくらうありて
  われもほ可多にハおやめきし可と尓くきの」(91ウ・1203F)

 

  そ者ぬ尓しもあらさりし越な多ら可尓つ
  れなくもてなしてすくしこのおとゝのさるむ
0378【むしむの女はうに】−心ヲツクシテ弁ヲ契タマフ心也
  しむの者う尓あ者せてい里き多りけむ尓
  もけさや可尓もて者なれ多るさまを尓も
  えしられことさらにゆるされ多るありさ満尓
  しなしてわ可とつミある尓はなさすな里尓新
  なといまおへハい可尓可とあることな里け里ちき
0379【ちきりふかきなか】−ヒケクロト玉トノ中
  りふ可きな可なりけれハな可く可くて多も
  むことはとても可くてもしことあらましも
  の可らてあ里しことゝもひいて
  者すこし可る/\しきおひく者ゝ里なまし」(92オ・1203L)
0380【かる/\しきおもひ】−玉ノカロクハ今モ人ノイヒ出サンカオモクアリタルト女三コトヲアテヽ源詞也

 

  いとい多くもてなしてしわさな里とおほしいつ
  二条のないしの可むのをは多え寿ひいて
0381【二条のないしのかむの君】−朧月
  きこえへと可くうしろめ多きすちのことうき
  もの尓おほしゝ里て可の御心よわ(わ=
者)さもすこし
0382【かの御心よわさ】−女三
  可るくおひなされ个里つ井尓本いのこ
0383【御ほいのこと】−朧ノ出家
  としてけ里ときゝてハいとあ者れ尓くちお
  く御心うこきてまつとふらひきこえいま
  なむと多尓ゝ本者し者さりけるつらさを
0384【にほはし給はさりける】−源ニシラセ給ハヌトノ給也
  あさ可らすきこえ
    あまのよをよそ尓き可めやすまの」(92ウ・1204D)
0385【あまのよを】−源

 

  もし本多れしも堂れならなく尓さま/\
  なのさ多めなさ越尓おひつめていまゝ
  てをくれきこえぬるくち越しさ越おほし
  すてつともさ里可多きゑ可うのうち尓者ま
0386【まつこそは】−エカウニハ源ノ我ヲモ入給ヘトノ心
  つこそハとあ者れ尓なむなとおほくきこえ
  へりとくおほし堂ち尓しことなれとこの
0387【とくおほしたち】−朧ノトクヨリ出家ヲ思立シト也
0388
【この御さま】−源ノコト
  さま多け尓可ゝつらひて尓はし可あらハし
  者ぬことなれとのうちあ者れ尓む可しよ里
  つらきちきりをさ寿可尓あさくしも
  おほしゝられぬなと可多/\尓ほしいてらる」(93オ・1204I)

 

  御返いまハ可くしも可よふましきふミの
0389【かくしもかよふましき】−コレカトチメナルヘシトノ心
  とちめとおほせはあ者れ尓てとゝめて可き
  すミつきなといとお可しつねなきよとハ
  ひとつ尓のミし里者へり尓しをゝくれ
  ぬとの者せ多るになむけ尓
    あまふね尓い可ゝハおひをくれ遣む
0390【あまふねに】−朧
  あ可しのうらにいさ里せし衛可う尓はあま
0391【あまねきかとにても】−普門示現 エカウノコト
  ねき可と(と=タ)尓てもい可ゝ者とあ里こきあを尓
  ひの可見尓て志き見尓さしへるれいのこと
  なれとい多くすくし多る布てつ可ひふ」(93ウ・1205A)

 

  里可多くお可しけな二条院尓おハしま寿
  本と尓て女君尓もいまはむけ尓多えぬること
0392【たえぬること】−朧トノ中ノコト
  尓てせ多てまついとい多くこそ者つ
0393【いといたくこそ】−返歌ニ我ヲハツカシメシト也
  しめられ多れけ尓きなしやさ満/\
  そき世中のあ里さ満をよくみ寿くしつ
  やうなるよなへてのよのこと(こと=
中)尓ても者可な
  ものをいひ可者しとき/\尓よせ(よせ=
付イ)てあ者れを
  もし里ゆへをもすくさ寿よそな可らのむつ
  ひ可者しつへきハさいとこのとこそは
0394【この君】−朧ノコト
  のこ里あ里つる越可くみなそむき者てゝさい
  (+
ハ)者多いミしうつとめてまきれなくをこ」(94オ・1205G)

 

  なひ尓しミ尓堂な里な越こゝらのひとの
  あ里さま越きゝみるふ可くおもふさ満
  尓さ寿可尓可しきことの可の
0395【かの人】−斎院コト
  らひ尓多尓もあらさりける可なをむなこを
  おほし多てむことよいと可多可るへきわさな
0396【おほし】−生
  け里すくせなといふらんもの者め尓ミえぬわさ
  尓ておやの尓ま可せ可多しおひ堂ゝむ
  本との可ひはち可らいるへ可め里よくこ
0397【よくこそ】−源ノ今ヨリ心ヲミタスマシト也
  そあま多可多/\尓をミ多るましきちき
  里な里けれとしふ可くいらさりし本とはさう/\」(94ウ・1205M)

 

  しのわさやさま/\にまし可はとなむな
0398【さま/\に見ましかはと】−源ノ昔ハ女子少ト思シト也今ハイヤト也
  可しきおり/\あ里しわ可してお
0399【わか宮】−今上女一宮
  し多て/\まつ女御ハものゝをふ可く
  志里本とならて可くいと満なきましらひ
  をしへハな尓こともとなき可多尓そ
  ものしらむみこ多ちなむな越あく可きり
  尓てむつ可るましくて越のと可尓すくし
  者む尓うしろめ多可るましき者せつ
  ま本しきわさな里ける可きりあ里てとさ満
  可うさ満のうしろミまうくる堂ゝハ越のつ
  らそれ尓も堂すけられぬるをなときこえへハ」(95オ・1206E)

 

  者可/\しきさ満のうしろミならすともよに
0400【はか/\しきさまの】−紫
  な可らへむ可き里は多てまつらぬやうあらしと
  おもふ越い可ならむとてな越もの越本そけ尓
0401【いかならむ】−命ヲシラヌト心
  て可く尓ま可せてをこなひをもとゝこ本里
  なく志給人/\をうらやましくおひきこ
  えへり可むの尓さま可者里へらむさう
0402【かむの君に】−源 朧ヘ源ヨリツカハシ給ヘキト也
  そくなとま多多ちなれぬ本と者とふら婦へき
  越けさなとはい可尓ぬふものそゝれせさせ
  へひとく多りは六条のひむ可しの尓も
0403【六条のひむかしの君】−花チル
  しつけむうるわしきほうふく多ちては」(95ウ・1206J)

 

  う多て(+流)めもけうと可累へしさ寿可にその
  者えせてをなときこえあを尓ひのひ
0404【あをにひ】−コレハ衣装コト
  とく多り越こゝに者せさせくもところの
0405【こゝには】−紫上
0406
【つくもところ】−細工所
  めして志のひてあまのくとものさるへき者
0407【御くとも】−手道具
  しめの者寿しとねうわむしろ屏風木丁
  なとのこともいとしのひてわさと可ましくいそ
  可せけ里可くてのミ可との御賀のひて
  とあ里し越八月大将尓て可くそ
0408【大将の御き月】−葵上
  のことをこな者む尓ひんな可るへし九月
  のおほきさきの可くれ尓しれハ十月
0409【院のおほきさき】−弘徽殿
  尓とおほしまうくる越ひめい多くなやミへハ」(96オ・1207C)

 

  のひぬんの可ミのあつ可里のむその
  尓はまい里けるおほきおとゝ井多ちてい可
0410【まいり給ける】−朱へ也
  めしくこま可にものゝきよらきしきをつ
  くしへりけ里可むのそのついてにそ
  おひおこしていてけるやましく
0411【いて給ける】−朱へ
  れいならすやまひつきてのミすくし(+)も
  うち者えてものをつゝましくいとおしとの
  ミおほしなけく个尓やあらむほく可
  さなまゝにいとくるしけ尓者しませ
  はうしとおひきこえ可多こそ」(96ウ・1207H)
0412【院は】−源

 

  あれいとらう多け尓あえ可なるさ満して
  可くなやミわ多里をい可尓者せむとな
  け可しくてさ満/\尓おほしなけくいの里
  なとことしはまきれおほくてすくし給御山
0413【御山】−ミ
  尓もきこしめしてらう多くこひしと(+)きこ
  え給月ころ可く本可/\尓てわ多里こと
0414【月ころ】−源ノ女三ヘウトキコト
  もさ/\なきやう尓のそうしけれは
  い可なる尓可とむねつふれて世中いまさ
  らにうらめしくおほして多いの可多のわつら
  ひけるころはそのあつ可ひ尓ときこし
  めして多になまや寿可らさりし越そのゝち」(97オ・1208@)

 

  なおり可多くものしらむハそのころほ
  ひゝむなきことやいてき多り遣むミつ
  らし里ことならねとよ可らぬうしろミと
  も尓てい可なること可あ里けむうちわ多
  里なとのみやひ越可者寿へきな可らひな
0415【みやひをかはす】−宮仕ナトニ心ヲカハスコト
  尓もけし可らすうきこといひいつる多くひ
  もきこゆかしとさへおほしよるもこまや
  可なることおほしすてゝしれとこのミち
0416【このミち】−子
  はゝなれ可多くてふミこまや可尓て
  あ里けるをおとゝお者しま寿本と尓て見給」(97ウ・1208E)

 

  そのことゝなくて志者/\もきこえぬ本とに
0417【そのことゝなくて】−文詞
  おほつ可なくてのミとしのすくるなむあ者
  れな里けるなやミるさま者く者しく
  きゝしのちねむ寿のついて尓ももひやらるゝ
  はい可ゝ世中さひしくお者寿なることあり
  ともしのひすくしへうらめしけなるけしき
  なとおほろけ尓てし里可本尓本のめ可寿いと
  しなをくれ多るわさ尓なむ(+
と)をしへきこえ
  へりいと/\おしくくるしく可ゝるうち/\
0418【いと/\おしく】−源ノ心 朱ノ我ウト/\シキヲ思給ト也
  のあさまし起越者きこしめ寿へきにハあらて」(98オ・1208K)

 

  わ可おこ多里に本いなくのミきゝおほ寿らん
  こと越と者可りおほしつゝけてこの御返をは
0419【この御返】−女三ヘノ詞
  い可ゝきこえ給心くるしきせうせこ尓
  まろこそいとくるし遣れお者寿尓
  きこゆることあ里ともをろ可尓と可
  む者可里はあらしとこそおひ者へれ多可
  きこえ多る尓可あらむとの者ちらひて
  そむきへる寿可多もいとらう多けなりい多
  くおやせてものおもひくしへるいとゝあ
  てにお可しいとおさな御心者へをミ越き」(98ウ・1209C)

 

  てい多くはうしろめ多可りきこえ
0420【いたくは】−朱ノ心ヲ思心
  け里とおひあ者せ多てまつれハいまよりの
  ちもよろつ尓なむ可うまてもい可てきこえ
  しとおへとうへの御心尓そむくときこしめ寿
0421【うへの】−朱ノコト
0422
【御心にそむく】−女三ノ心ニ源ノ背ト朱ノ思給ハント也
  らむことのや寿可らすいふせき越こゝ尓多尓
  こえしらせてや者とてなむい多里すくなく多ゝ
  のきこえな寿可多にのミよるへ可める御心
0423【御心】−朱ノ御心也
  は堂ゝをろ可尓あさきとのミおほしいまは
  こよなくさ多すきに多るあ里さ満もあな
0424【こよなくさたすき】−源ノ年タリタルコト
  ら者しくめなれてのミらむも可多/\」(99オ・1209H)
0425【見なし給らむ】−女三ノミナシ給ハント也

 

  にくちおしくもうれ多くもほゆる越
  お者しまさむ本とは猶心さめて可のお
  しをきて多るやうあ里遣むさ多すきひと
0426【さたすき】−トシヨリタルコト
  越もしくな寿らへきこえてい多くな
  可累免そい尓しへより本いふ可きミち尓
0427【ほい】−出家
  も多と里う寿可るへき(+可多)尓多にミ那お
0428【うすかるへき】−葵ナトノ時
  をくれつゝいとぬるきことおほ可る越ミつ可ら
  の(+
)こゝろ尓はな者可りおほし(ほし=もひ)万よふへき尓は
  あらねといま者とすてけむよのうしろみ尓
  (+
ゆつり)をきへる御心者えのあ者れ尓うれし可里し越」(99ウ・1210@)

 

  ひきつゝきあらそひきこゆるやう尓てお
  さま尓すて多てまつらんことのあえな
  おほされむ尓つゝミてなくるしとお
  し人/\いまは可けとゝめら累ゝ本多し者可り
  なるも者へらす女御可くてゆく寿ゑはし
  里可多けれとミこ多ち可寿そひめれハミつ
  可らのよ多尓のとけく者とをきつへし
  その本可は堂れも/\あらむ尓し多可ひて
  もろとも越すてむもし可るましき
  よ者ひともになり尓多る越やう/\すゝしく」(100オ・1210F)
0429【よはひともに】−方々ノ所モミナトシヨリシト也

 

  おひ者へるよのゝ古りひさしくも
  者せしいとあつしくいとゝな里まさり
  も本そけ尓のミおほし多るにいまさらに
  お者寿な(+
の)も里きこえてこゝろ見
  多里このよはいとや寿しことにもあらす
  のちのよ能ミちのさま多けならむも
  いとおそろし可らむなとま本尓そのことゝハあ
  可し者ねとつく/\ときこえつゝけ
  なミ多のミおちつゝわれ尓もあらすお
  し見てお者寿れハうちな」(100ウ・1210K)

 

  のうへ尓てももと可しくきゝおもひしふる
  のさ可しらよ尓可者ることにこそい可尓
  う多てのおきなやとむつ可しくうるさき
  御心そふらむと者ちすゝ里ひきよせ
  てゝつ可らをしす里可見とりま可なひ可ゝせ多
  てまつへとてもわなゝきてえ可き
  す可のこま可な里し返事ハいと可くしも
0430【かのこまかなりし返事】−柏ノ方ヘノコト
  つゝま寿可よ者しらむ可しとおほしや累尓
  いと尓くけれハよろつのあ者れもさめぬへけれと
  ことはなとをしへて可ゝせ多てまつまい里」(101オ・1211C)
0431【まいり給はむこと】−賀ノコト

 

  者むことはこの可くてすきぬ
  いき本ひこと尓てまい里ける越ふるめ可し
  き御身さま尓て多ちならひ可本ならむも
0432【御身さま】−懐妊
  者ゝ可里あるちしけ里志も可ら
0433【身つからのき月】−桐壺御門
  のき里としのを者りは多いとものさ者
  可しま多いとゝこの寿可多もみくるしく
0434【御すかた】−懐妊
  まち見給者むをとおひ者へれとさりとて
  さのミのふへきこと尓や者むつ可しくものお
  し見多れすあきら可にもてなてこのい多
  くおやせへるつくろひへなといとらう」(101ウ・1211H)

 

  多しとさす可尓多てまつ給衛んの可ミ
  をはなさまのこと尓もゆへあるへきお里ふ
  しにハ可ならすことさらにまつ者し
  の者せあ者せし越多えてさるせうそこ
  もしひとあやしとおもふらんとおほせと
  む尓つけてもいとゝ本れ/\しき可多者つ
  しくむ尓はわ可多ゝならすやとお
  し可へされつゝや可てころまいり者ぬを
  もと可めなしおほ可多のれいならすなやミ
  わ多りて尓(+
ハ)者多あそひなとなきとしなれ者」(102オ・1212@)
0435【院に】−源ノコト

 

  とのミひわ多る越大将そあるやうある
  ことなるへしすきもの者さ多めてわ可けし
0436【けしきとりしこと】−ネコノ時ノコト
  きとりしこと尓はしの者ぬ尓やあ里けむ
  とひよれといと可くさ多可にのこ里なきさ
0437【のこりなきさま】−源ノシリ給トハシリ給ハヌ夕ノ心
  まならむとはおひよ里ハさり个里十二月
  尓なり尓け里とさ多めてまひとも
  ら志とのゝうちゆ寿里てのゝしる二条
  うへハま多わ多里者さりける越このし可く
  尓よ里そ(そ=
て)えしつめ者てゝわ多りへる女御
  のさと尓者しま寿この多ひのミこハ」(102ウ・1212E)

 

  とこ尓てなむお者しましけるすき/\
0438【おとこにて】−匂宮ニテハナシ常陸君
0439
【すき/\】−次々
  いとお可しけ尓ておハ寿る越あ个くれもてあ
  そひ多てまつ尓なむすくるよ者ひの
  しるしうれしくおほされける志可く尓
  右大臣とのゝき多の可多もわ多里へり大将
  のうしとらのまち尓てまつうち/\尓て
  う可くのやう尓あ个くれあそひならし
  けれハ可の可多はおまへのものハ見給者寿
0440【かの御方は】−心得カタキ段
  んの可ミ越可ゝ累ことのお里もましら
  者せさらむハいと者えなくさう/\し可る」(103オ・1212J)

 

  へきうち尓ひとあやしと可多ふきぬへきこと
  なれ者まい里へきよしあ里ける越をも
  わつらふよしてまいらすさるはそこ者
  可とくるしけなるやまひ尓もあらさなる越
  のある尓やとくるしくおほしてと里
  わきてせうそこつ可者寿ちゝおとゝも
  と可ゝへさひまうされけるひ可/\しきやう
  尓尓もきこしめさむをおとろ/\しき
  やまひ尓もあらす多すけてまいりへとそ(+
所)の可」(103ウ・1213A)

 

  し可く可さねてのへれハくるしとふ/\
  まい里ぬま多可む多ちめなともとひハぬ
  本とな里け里れいのけち可きみ寿のうち尓
0441【けちかき】−源ヘチカク
  いれてもやの見すおろしてお者しま寿
  け尓いとい多くやせ/\尓あおミてれいも本こ
  里可尓者なやき多る可多者おとうとの
  ち尓はもてけ多れていとよういあ里可お尓
  つめ多るさ満そことなる越いとゝしつめてさ
  ふらひさまなと可者みこ多ちの可多者
  らにさしならへ堂らむ尓さらにと可あるまし」(104オ・1213G)

 

  き越堂ゝ古とのさまの堂れも/\いとお
  や里なきこそいとつミゆるし可多けれな
  めとまれとさ里けなくいとな可しくそ
0442【御めとまれと】−源ノ心
0443
【さりけなく】−詞
  のことゝなくて多いめむもいとひさしくなり尓
  け里ころ者いろ/\のひやうさ越あつ
  可ひのいとまなき本とに可の多め古ゝ
  尓ものしみこのほうしつ可うまつ
0444【みこ】−女三
  へくあ里し越つき/\とゝこ本ることしけくて
0445【つき/\】−月々
  可くとしもせめつれはえひのことくしあへて」(104ウ・1213L)

 

  可多のことくなむいも井の者ちまいるへき越
0446【御はち】−ミ
  御賀といへ者こと/\しきやうなれといへ尓
  おひいつるわら者への可すおほくな里にけるを
  御覧せさせむとてまひなとならハし者しめ
  しそのことを多尓者多さむとてしとゝの
  へむこと堂れ尓可はとおひめくらし可ねて
  なころとふらひものし者ぬうら見も
0447【うらみもすてゝけると】−恨モステヽヨヒタルト
  すてゝけるとの給御けしきのうらなきやうな
  もの可らいと/\者つ可しきに可本のいろ堂可ふ
0448【いと/\】−イトヽ
  らむとおほえていらへもと見尓きこえ寿」(105オ・1214D)

 

  ころ可多/\尓ほしなやむ御事うけ
0449【月ころ】−柏
  者里なけき者へりな可らのころ本ひより
  れいもわつらひ者へるみ多里可くひやうといふ
  ものところせくおこ里わつらひ者へりて者可/\
  しくふミ多つることも者へらすころ尓
  そへてしつミ者へりてなむうちなとにもまい
  ら寿世中あと多え多るやう尓てこもり者へる
  よ者ひ多りとしなよ里さ多可尓
  可そへ多てまつ里つ可うまつるへきよしちしの
  おとゝひをよひされし越うふり越け」(105・1214I)
0450【かうふり越かけ】−\<合点>

  くるまをおしま寿すてゝ尓てすゝみつ
0451【おしますすてゝ】−御賀ヲ致仕シタレハトクモタレヌト也
  可うまつらむ尓つくところなしけ尓らう
0452【つく】−着
  なりともしことふ可きところ者へらむその
0453【おなしこと】−柏ニユツリ給ト也
  心御覧せられよともよ越しまうさるゝことの
  者へし可はをもきやまひ越あひ多寿けてな
  まいりて者へしいまはいよ/\いと可寿可なるさ
0454【いまは】−朱ノコト
  万尓ほしすましてい可めしきよそひを
0455【いかめしき御よそひをまちうけ】−女三ノ御賀ヲ待給コト
  まちうけ多てまつ者むことね可者しく
  もほ寿ましく多てまつ里者へし越
  ことゝもを者そ可せてしつ可なの」(106オ・1215A)

 

  可多りのふ可きね可ひ可な者せ者むな
  まさりて者へるへきと申給へハい可めしく
  きゝし御賀のこと越女二可多さまに
  者い飛なさぬもらうあ里とおほ寿堂ゝ可く
  なむことそき多るさま尓世人ハあさく
  へき越さ者いへとえてものせらるゝ尓されは
  よとなむいとゝおもひなられ者へる大将者お
  やけ可多者やう/\おとなふめれと可うやう尓な
0456【なさけひたる】−アソヒノ方
  さけひ多る可多はもとよりしまぬ尓やあらむ
  可の尓こともをよひ者ぬ者おさ/\」(106ウ・1215F)

 

  なきうち尓も可くの可多のことは御心とゝめて
  いと可しこく志里とゝのへへるをさこそお
  しすて多るやうなれしつ可尓きこしめし
  すまさむこといましも可ひせらるへき
  可の大将ともろともいれてまひのわらハへ
  のようい者へよくゝ者へへものゝしなといふ
  ものハ多ゝわ可多て多ることこそあれいとくちお
  しきものなりなといとな可しくのひつ
  累をうれしきもの可らくるしくつゝましく
0457【うれしきものから】−柏心
  てこと寿くな尓てこのまへをとく多ちなむ/と」(107オ・1215L)

 

  おへ者れいのやう尓こまや可尓あらてやう/\
  すへりいてぬひむ可しのおとゝ尓て大将のつくろ
0458【ひむかしのおとゝにて】−花チル
  ひい多し可くまひゝとの佐うそくのこと
  なとま多/\をこなひく者へあるへき可き
0459【をこなひくはへ給】−柏ノイケンアル也
  りいミしくつくしへるにいとゝくハしき
  しらひそふもけ尓このみちはいとふ可き
  尓そものしめるけふ者可ゝ累心見のひなれ/と
0460【ものし給】−柏ノコト
  可多/\もの見給者む尓みところなくはあらせ
  しとて可の御賀のひはあ可きしらつる者見尓
  えひそめのし多可さねをきるへしけふ者あお」(107ウ・1216D)

 

  いろ尓すわう可さね可く人三十人けふ者しら
  可さねをき多る多つミの可多のつ里との尓
  き多るらうを可く尓てのミなみのそ者よ
0461【かく所】−ソ
  里御前いつる本と仙遊霞といふものあそひ
  てゆきの堂ゝいさゝ可ちるにのとな里ち可く
0462【春のとなりちかく】−\<合点>な可らのとなりのち可/个れハ/可きよりそハちりくる(く$1个)る(付箋14
  むめのけしきる可ひあ里て本ゝゑミ堂り
  ひさしのミすのうち尓ハしませはしき
  ふ宮右のおとゝ者可りさふらひてそれ
  よりしもの可む多ちめはすのこにわさとならぬ
  のこと尓てあるしなとけち可き本とにつ」(108オ・1216J)

 

  可うまつ里なし多里とのゝのらう君大将
  殿らう君兵部卿宮そむわうの多ち
  ふ多りはまんさいらくま多いとち井さき本と
  尓ていとろう多けな四人可らいつれとな
  堂可きいへのこ尓て可堂ちお可しけ尓可しつ
  きいて多るおひなしもやむことな又大将
  の
)ないしのすけ者らのらう志きふ
0463【ないしのすけ】−惟光女
  兵衛の可ミといひしいまは源中納言
  こわう上右のおほい殿らうれうわう
0464【れうわう】−陵王
  大将殿の多らうらくそむさては多いへいら」(108ウ・1217A)
0465【らくそむ】−落蹲
0466
【たいへいらく】−大平

 

  く喜春らくなといふまひともをなむお
  可らひの多ちおとな多ちなとまひける
  くれゆけハみ寿あけさせてものゝけうまさる
  尓いとうつくしきむまこの多ちの可多ち
  す可多尓てまひのさまもよ尓えぬてをつ
  しておほむしともゝをの/\ての可きり越ゝしへ
  きこえけるにふ可き可と/\しさ越く者へてめつ
  ら可尓まひをいつれをもいとらう多しと
  おほ寿おへる可む多ちめ多ちはみなゝみ
  多おとししきふまこをおほ」(109オ・1217G)

 

  して者なのいろつくまてし本多れある
  しのすくるよ者ひ尓そへてはゑひな
  こそとゝめ可多きわさなりけれんの可ミ
  とゝめて本ゝゑまるゝいと者つ可しやさりとも
  いまし者しならむさ可さま尓ゆ可ぬとし
0467【いましはしならむ】−柏ヲヤカテ老ント源ノ心
0468
【さかさまにゆかぬ】−\<合点>
  よおいはえの可れぬわさな里とてうちみや里
  尓よりけ尓まめ多ちくんしてまことにちも
  いとなやまし个れハいミしきこともめもとまら
  ぬちするをしもさしわきてそらゑひを志」(109ウ・1217L)
0469【そらゑひをしつゝ】−源ノコト

 

  つゝ可くの堂者ふれのやうなれといとゝむね
  徒ふれてさ可のめく里くるも可しらい多く
  おほゆれハけしき者可り尓てまきら者寿を
  御覧しと可めても多せな可ら多ひ/\し井
  へは者し多なくてもてわつらふさまなへての
  尓ゝすお可し心地可きミ多りて多え可多个れ
  者ま多ことも者てぬ尓ま可てぬるまゝにいと
  い多くまとひてれいのいとおとろ/\しきゑひ
  尓もあらぬをい可なれハ可ゝ累ならむつゝましと
  ものをおもひつ累尓けのゝ本里ぬる尓やいと」(110オ・1218D)

 

  さいふハ可りおく寿へきよ者さとはおほえ
  ぬ越いふ可ひなくもあ里ける可な可ら
  おひしらるし者しの衛ひのまとひ尓も
  あらさりけ里や可ていとい多くわつらひおとゝ
  者ゝき多の可多おほしさ者きてよそ/\尓て
  いとおほつ可なしとてとの尓わ多し多てまつ
0470【おほつかなし】−柏ヲ女ニヨリ親ノヨヒ給ト也
  里女宮のおほし多るさ満いとくるし
0471【女宮の】−柏心
  ことなくてすく寿へきひ(ひ=比)者のと可にあいな
  のミしていとしもあらぬ御心さしなれといま」(110ウ・1218I)

 

  者とわ可れ多てまつるへき可とて尓やとお
  ふハあ者れ尓可なしくをくれておほしな
  可むことの可多しけなき越いミしとおふ者ゝ
0472【はゝ宮す所】−オチハノハヽ
  寿いといミしくなけきてよのことゝ
0473【よのことゝして】−御息所詞
  しておやをはな越さるもの尓をき多てま
  つ里て可ゝる可らひハとあるおりも可ゝ累お
0474【御なからひ】−夫婦
  りも者な者ぬこそれいのれ可くひ
  きわ可れて多ひら可にものしまてもすくし
  者む可くしなるへきこと越し者し古ゝ
  尓て可くて心見給へと可多者らに御木丁者可り/越」(111オ・1219A)

 

  へ多てゝみ多てまつことわ里や可寿ならぬ
0475【ことわりや】−柏詞
  尓てをよひ可多き可らひ尓なまし
  ひ尓ゆるされ多てまつ里てさふら婦しるし
  尓はなかく者へりて可ひなの本と
  もすこしひとゝひとしくなるけちめをも
  御覧せらるゝとこそおつれいといミし
  く可くさへなり者へれハふ可きさし越多に
  御覧し者てられ寿やなり者へりなむとお
  ふふる尓なむとまり可多きち尓えゆ」(111ウ・1219F)
0476【とまりかたき心ち】−柏ノナカラヘ難キ女二ヲヽキテチヽヘハエユキヤラシト也

 

  きやるましく思給へらるゝなと可多尓な
  てと見尓もえわ多り者ねハ者ゝき多の
  可多うしろめ多くおほしてなと可まつえむと
  者おひ多まふましきわれハ心地すこし
  れいなら数本そきときはあま多の尓ま
  つと里わきてゆ可しくも堂のもしくもこそ
  おほえへ可くいとおほつ可なきことゝうらみ
  きこえいとことわ里よりさきな
0477【又いとことわり人より】−柏
  けるけちめ尓やとりわきてひならひ多る越
  いま尓可なしくしてし者しもみえぬを者」(112オ・1219L)

 

  くるしきもの尓しへハちの可く可きり
  におほゆるお里しもみえ多てまつらさらむ
  つミふ可くいふせ可るへしいま者と多のミな
0478【いまはと】−女二宮ヘ柏ノ詞
  くき可せ者ゝいとしのひてわ多り
  せよ可ならす堂いめむ多ま者らむあや
  しく多ゆくをろ可な本上尓てことにふれ
  てをろ可尓ほさるゝことあ里つらむこそ
  くやしく者へれ可ゝ累いのちの本と越しらて
  ゆくすゑな可くのミおひ者へりけることゝ」(112ウ・1220C)

 

  なく/\わ多りハとまりていふ可多な
  おほしこ可れ多里大殿まちうけきこえ
  てよろつさ者きさるは多ちまち尓
  とろ/\しき御心ちのさま尓もあらすころ
  ものなと越さらにまいらさりけるにいとゝ者可な
  き可うしなとを多にふれ多まハ寿多ゝやう/\
  もの尓ひきいるゝやう尓みえさるときの
  いうそくの可くものしへハ世中をし見
  あ多らし可里てとふらひ尓まいり者ぬ」(113オ・1220H)
0479【あたらしかりて】−アタラト云コト

 

  なしうちよ里もよりもとふらひし者/\
  きこえつゝいミしくおしミおほしめし多るに
  もいとゝしきおや多ちの御心のミまとふ六条
  尓もいとくちおしきわさな里とおほし
  おとろきてとふらひ尓多ひ/\ねむころ尓
  ちゝおとゝにもきこえ給大将者ましていと
  よき御中れ者けち可くものしゝいミ
  しくなけきあ里き給御賀廿五日尓なり尓
  け里可ゝ累ときのやむことなき可む多ちめの」(113ウ・1221M)

 

  をもくわつらひや者ら可らあま多の
  ひと/\さる可(可#
)多可き可らひのなけきし
  本れへるころ本ひ尓てものすさましきや
  うなれとつき/\にとゝこ本里つること多に
  あるをさてやむましきことなれ者い可て可は
  おほしとゝまらむをむな御心のうちを
0480【をむな宮】−女三
  そいとおしくおひきこえさせれいの
  五十寺寿ま多可のお者しま寿てら
  尓もま可ひるさなの」(114オ・1221C)

 

(白紙)」(114ウ)

 

【奥入01史記<周本紀>
    楚有養由基者善射者也去柳葉
0481
【史記<周本紀>】−百七(貼紙)
    百歩而射百発而百中左右観者数十人
    皆曰善射ーーー
    <伊行>
【奥入02毛詩云
    女ハ感陽気春思男々感陰気
    秋思」(115オ)

 

【奥入03掛冠 懸車
    東観漢記曰王莽居構子宇諌
    莽而莽殺之逢萌謂其友人曰三綱
    絶矣不去禍将及人即解冠掛東門而去
    蒙求 逢萌掛冠
    後漢書逢萌字子康北海人掛冠避世
    牆東」(115ウ)

 

    懸車
    古文孝経曰
    七十老致仕懸其所仕之車置諸
    廟永使子孫監而則焉立身之給(給=
終)
    其要然也」(116オ)