First updated 11/15/2001(ver.1-1)
Last updated 11/02/2016(ver.2-5 凡例5 修正)

若菜上

 

【概要】

・明融臨模本「若菜上」(東海大学桃園文庫蔵)は全文非定家筆本「若菜上」を臨模した写本であると考えられる。

・引き歌を注記した付箋が6枚貼付されているが、その筆跡は本文筆写とは別の筆跡と見受けられる書体である。また定家の筆跡とも別書体である。

・本行本文中の引き歌箇所に朱筆による合点(掛け点)はない。

・奥入が存在するが、その筆跡は定家筆ではない。

・和歌の書写様式は、「若菜下」とほぼ同様で、Ⅰ類A型「地の文から改行して、約2下げて和歌を書き出し、上句と下句との間で改行をして、和歌の末尾に地の文を直接続けて書く」という形式(①)は1例のみ、Ⅲ類G型「地の文から改行して、約2下げて和歌を書き出し、上句・下句の境以外の所で改行をして、和歌の末尾に地の文を直接続けて書く」という形式(②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑭⑮⑯⑰⑱⑲⑳21222324)が最も多く、「若菜下」には見られないⅣ類H型「地の文から改行して、約2下げて和歌を書き出し、上句・下句の境以外の所で改行し、和歌の末尾を余白にする」という形式(⑬)もある。

・「若菜上」では、行頭に同字が並んだ場合に、書き分けている場合(18「佐」・9「さ」、69「者」・10「ハ」・11「者」、69「を」・10「越」、710「あ」・11「阿」、910「こ」・11「古」、205「堂」・6「た」、267「者」・8「は」、277「可」・8「か」、303「可」・4「か」、361「可」・2「か」、446「を」・7「越」、486「あ」・7「阿」、584「多」・5「堂」、613「能」・4「の」、721「ひ」・2「飛」、732「お」・3「お781「か」・2「可」、944「な」・5「な」、956「ひ」・7「飛」、1026「み」・7「見」、104オ「者」・2「は」、1066「万」・7「満」)と、そうではない場合(334「し」、912「し」、1345「む」、3378「む」、4523「な」、55910「へ」、6512「き」、7223「こ」、7978「い」、7934「こ」、9334「も」、10845「き」、10956「こ」)とが見られる。

 

【凡例】

1.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。

2.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。

3.変体仮名はその字母で翻字した。

4.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。

5.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「と付記した。

6.本行本文は10.5ポイントで表示し、書入注記や付箋等は9ポイントで表示した。

 

 

「わ可な 三十四」(題箋)

 

「這表一枚明融御筆 琴山(印)」(遊紙表貼紙)

 

  朱雀院のみ可とありしみゆきのゝちそのころを

  飛よりれいならすなやミわ多らせとよりあ
  徒しくお者し万春うち尓この多ひ者物心
  そ具おほしめされてころをこなひのい布
  かきをきさいの者しましつる本と者よろ徒
0001【きさいの宮】-弘徽殿
  者ゝかりきこ江させてい万ゝておほしとゝこ本り
  徒るをその尓もよおす尓やあらん尓飛
  佐しかる万しき心地ん春るなとの多ま者せて
  さ累へき御心まうけともせさせみこ多ちハ」(1オ・1025⑥)

 

  春宮を越きて(て$)多てまつりて女宮多ちな
  むよところお者しまし个るそ能尓ふち
  つ本ときこ江しハ先帝源氏尓そおハし万
  し遣る万多者うときこ江させし万いり
  て堂可きくら井尓もさ多万里た万(+
う)へ可りし
  のとり多て堂るうしろみも者せすハゝ
  か多もそ能春ちとなくものハ可那き可うい者ら
  にてものし多万飛个れハおほんましらひの本と
  も本そ个尓ておほきさきのないしの可ミ越」(1ウ・1025⑩)

 

  まいら勢多てまつりて可多ハらにならふ
  もてなしきこえとせし本とに个をされてみ
0002【みかと】-朱雀院
  可とも御心うちにいと越しきも能尓ハおもひきこ
  えさせ可らおりさせたまひ尓し可は可ひなくゝ
  ち越しくてよのな可越うらみ多るやう尓てうせ
  尓しそ能ハらの女三宮越あ万多の御中
  寿くれて可なしきもの尓おもひ可しつきゝこえ
  多満ふそ能本ととし十三四者可り(+
尓)お者寿い万者
0003【三】-サウ
  とそむきすてこもりしなむのちのよに多ちと
  ま里て多れを多のむ可遣尓てものし多万者む

と」(2オ・1026②)

 

  寿らむと堂ゝこのことをうしろ免多くお
  しな个く尓しや万なてらつくり者てゝう
  つろ者せ者ん本とのいそき越せさせ尓そへ
  てま多こ能みやのきのことをおほしいそ可せ
  給院のうちにやむことなくおほ寿堂可らも
  てうとゝも越ハさらにもい者寿者可那きあそ
  ひもの万て寿こしゆへある可きり越ハたゝこの
  可多にとりわ多し多て万つらせてそのつき/\
  をなむことみこ多ちに者おほん所うふんともあり
  个る春宮はかゝるやみ尓そへて越そむ可せ多」(2ウ・1026⑧)

 

  満ふへきこゝろつ可ひ尓なむとき可せ堂満ひて
  わ多らせへり者ゝ女御そひきこえさせて万
0004【はゝ女御】-承香殿
  いりへり寿くれ多るほえ尓しもあらさりし
  可との可くてお者し万す春寿くせのかきりなくめ
  て多个れハとしころの可多りこ満や可尓き
  こえさせ遣りみや尓もよろつのこと越多も
  者む御心可ひなときこえしらせ(+
御年よりハいとよくおとなひさせうしろみともゝ
  こな多可な堂可ろ/\し可らぬな可らひ尓も能し多
  満へハいとうしろや寿くひきこ江させこのよ尓
  うらみのこることもハへらす女御
)多ち能あま多能こ」(3オ・1026⑭)

 

  りとゝ万るゆくさき越おもひやるなむさらぬわ可れ尓
  も本多しなりぬへ可り个るさき/\のうへ尓みきゝ
  し尓もをん那盤より本可にあハ/\しく尓お
  (+
志めらるゝすくせあるなんいとくちお)しく可なしきいつれをもおもふやうならんよ尓
  はさ満/\尓つけてこゝろとゝ免ておほし多つね
  よそ能な可にうしろみなとあるハさる可多にも
  おもひゆつり者へり三宮んい者个なきよ者
  ひ尓て多ゝ飛とりを多のもしきものとならひて
  うちすてゝんのち能よに多ゝよひさすらへむこと
  いと/\うしろ免多く可なしく者へるとめを」(3ウ・1027⑥)

 

  しの(+ひ、ひ$)こひつゝきこえしらせさせ給女御尓も
  
)うつくしきさ満尓きこえつけさせされと
  よりハまさりてとき免きしにミ那
  いとみ可ハしし本と可らひともえうるハし
  可らさ里し可はそのなこり尓てけ尓ハ(ハ$
)い万ハわさ
  とにくしなとハなくともまことにとゝ免てお
  もひうしろむと万て盤おほさすもやとそ
  越し者可らるゝかしあさゆふ尓この御事をお
  しな个くとしくれゆく万ゝ尓やみま
  こと尓をもくなり万さらせてみ春のと尓も」(4オ・1027⑫)

 

  いてさせ者寿のゝ个尓てとき/\なやみ(み$ま)
  せこともありつれといと可くうち者へをやミな
  きさ満尓ハお者し万さゝりつるをこの多ひハな
  越可きりなりとおほし免し多里ら井をさ
  らせつれとそのよに多のみそめ(+
たて万つり)多満へる人/\
  はい万も可しくめて多きありさ万越
  里に万いりつ可う万つり可きりハをつくして
  越しみきこえ給六条院よりもほむと布らひ
  しは/\ありみつ可らもまいりへきよしきこ」(4ウ・1028③)

 

  志免してはいとい多くよろこひきこえさせ
  給中納言のきみ万いり堂満へる越み春のうちにめ
  しいれておほむも能か多りこ万や可なりこ
  のうへのいまはのきさみ尓あま多のゆいこむあ
  里しな可にこの御事い万のうちの御事
  とりわきてのをきし越おほや遣となりてこと
  可きりあり个れハうち/\の(+
よせは可者らすな可ら
  者可那きことのあや万り尓を可れ多て万つることも
  あり个むとおもふをとしころことにふれてそ能うら
  み能こしへる个しきをなむもらし者ぬさ可」(5オ・1028⑨)

 

  しきといへとみのうへになりぬれハこと多可ひて
  うこき可ならすそのむく井ミえゆ可免ること那む
  い尓しへ多尓おほ可り个るい可ならむおり尓可その
  こゝろハへ本ころふへ可らむとよ能ひともおもむ个う多
  可ひ个る越つい尓し能ひすくし春宮とにも
  をよせきこえい万ハ多くし堂し可るへき
  な可となりむつ日可者しへるも可きりな尓は
  おもひな可ら本上のおろ可なる尓そへてこのみち能
  やみ尓多ち万し里可多くなゝるさ満尓やとて中/\
  よそのことにきこえ者那ち多るさ万尓て者へるうち」(5ウ・1029②)

 

  の御事ハ可能ゆいこん堂可へ寿つ可う万つ
  越きてしかは可く春ゑのよに(に$
の)あきら个きゝみとし
  てきし可多のもて越もおこしほいのこと
  いとう連しくなむこの(+
の)行幸のゝちい尓しへの
  ことゝりそへてゆ可しくおほつ可那くなむおほえ
  多いめん尓きこゆへきことゝも者へり可ならすみつ
  可らと布らひものしへきよしもよ越し申給
  なとうちし本多れつゝのハす中納言のきみすき
  者へり尓个む可多はとも可くももふ多万へわき可多く
  ハへりとし万可りいりハへりておほやけ尓もつ可う万つ
  者へるあひ多よのな可のこと越見給へ万可りありく本と」(6オ・1029⑨)

 

  尓者大小のこと尓つけてもうち/\のさるへきも可多
  里なとの(+
つ)いて尓もい尓しへのうれハしきことありて
  なむなとうち可すめさゝる(ゝる=
ル丶)をり(+ハ)者ゝへらすな
  可くおほや个のうしろ見越つ可う万つりて(て$
)さし
  てしつ可なるおもひ越可なへむと飛とへ尓こもり
  ゐしのちはな尓こと越も志らぬやう尓てこ
  のゆいこんのこともえつ可う万つらすくら井尓
  おハし万しゝよにハよ者ひの本ともみのう徒ハものも
  をよ者寿可しこき可見の人/\ほくてそのさし
  越と遣て御覧せらるゝこともな可りきい万可く万つ
  ことをさりてしつ可におハ志ますころ本ひのう」(6ウ・1030②)

 

  ちをもへ多てなく万いりうけ多満者ら満本しきを
  さす可になにと那くところせきのよそ本ひ尓
  ておのつ可らひをすくすことゝなむをり/\な
  き申給とそうし給廿尓も万多わつ可なる本とな(な

0005【そうし給】-」<朱段落符号>
  なれといとよくとゝのひすくして可多ちもさ可りにゝ
  本ひていミしくきよく(く$
ら)なる越免にとゝ免てう
  ち満もらせゝこのもてわつらハせひ免
  うしろみ尓これをやなしれすおほしより个り
  おほきおとゝのわ多り尓い万はすミつ可れ尓多り
  と那としころえぬさ満尓きゝし可いと越し可りし
  越みゝやすきものから(ら&
ら)さす可にね多くおもふことこ」(7オ・1030⑧)

 

  そあれとのハする个しきをい可尓の者する尓とあ
  やしくもひめくらす尓このひ免みや越可くお
  しあつ可飛てさるへきあらはあつ个てや寿
  くよをもおもひ者那連者やとなむおほしの者す
  るとお可らも里きゝ多よりあり个れハさや
  うのすち尓やとはおもひぬれと布とえ可本にも
  尓可はいらへきこえさせむたゝ者可/\しくも者へらぬ
  み尓ハよるへもさふらひ可多くのミなむと者可りそうし
  てやミぬねう者うなとハのそきてきこえていと
  あり可多くもみえ可多ちようい可那あ那めて多な
  阿つ万りて起こゆるをおいしらへるはいてさりとも可能」(7ウ・1030⑬)

 

  の可者可りにお者せしありさ万尓ハえなすらひ
  きこえた万ハさめ里いとめもあやにこそきらよにも能し
  し可なといひしろふをきこしめして万ことにかれハ
  いとさ満こと那里しそ可しい万ハそ能よにもねひ
  万さりてひ可るとはこれをいふへき尓やとミゆる尓本
  ひなむいとゝく者ゝり尓多るうる者し多ちて者可/\し
  き可多にれ盤いつくしくあさや可尓めもをよ者寿(寿$
ぬ)
  ちする越うちと个て多者ふれことをもいひみ多
  れあそへハそ能可多につ个てハ尓るものなくあいつき
  な可しくうつくしきことのならひならひ(ならひ$
)なきこそよに
  あり可多个れな尓ことにもさきのよおしハ可られてめつら可」(8オ・1031⑨)

 

  なるのありさ満なのうちにおひいてゝていわ
  うの可きりなく可なしきもの尓し日さ者可りな
  て(+
かし)つに可へておほし多里し可との万ゝ尓も越こ
  らすひ个して廿可うちにハ納言尓もならすなり尓き可し
  飛とつあ万りてやさい尓て大将可遣多万へり个む
  それ尓これハいとこよ那くすゝ見尓ためるはつき/\の
  このよ能おほえ能万さる那めり可し満ことに可しこき
  可多のさえもち井なとはこれもおさ/\おとる満しく
  あや万りてもおよす遣万さり多るおほえいとこと那めり
  可し(可し$
)なとめてさせ日めのいとうつくし遣尓てわ可く
0006【ひめ宮】-女三
  なありさ満なる越多て万つ尓もみハや」(8ウ・1032②)

 

  し多て万つり可つ可多おひならんことをはみ可くしを
  しへきこえつへ可らむのうしろやす可らむにあつ遣きこ
  え者やなときこえと那しき免のとゝもめしいてゝ
  もきの本とのこと那との多満者するついて尓六条のおとゝ
  の志きふのミこのむ寿免おほし多て个むやうに
  このをあつ可りて者くゝ万むも可な堂ゝのな可
  に盤あり可多しうち尓ハ中宮さ布らひき/\の女御
  多ちとてもいとやむこと那き可きりも能せらるゝに者可/\
  しきうしろミなくてさやうの万しらひいとな可/\ならむ
  この権中納言のあそむの飛とりありつる本とにうち可す免て
  古そミる(る$
)へ可り个れわ可个れといときやうさくにおひさ
  き多のもし个れ(れ$
)なる尓こそあめるをとの者す中納言」(9オ・1032⑪)

 

  者もとよりいと満め尓てとしころも可能わ多り尓を可
  个て本可さ満尓おもひうつろふへくも者へらさり遣る尓
  そ能おもひ可なひてハいとゝゆるく可多者へらし可能
  こそな可/\なをい可那る尓つ个てもをゆ可し
  くほし多る者多えすものせさせれ所
  の尓もやむこと那きね可ひふ可くてさい
  とをもい万にわ春れ可多くこそきこえ
  れとすいてそのふりせぬあ多遣こそはいとうし
  ろめ多个れとハの者すれとけ尓あ万多のな可に可ゝつらひ
  てめさ満しかるへきおもひハありともや可ておやさ万に
  さ多め多る尓てさもやゆつりをきゝこ江(ゝこ江$
え)満しなともお本」(9ウ・1033④)

 

  しめすへし万ことにすこしもよつきてあらせむ
  とおも者むこも多らはおなしくは可能のあ多り
  にこ所ふれ者ゝせ満本し个れいく者くならぬこのよ能あ
  ひ多はさ者可りゆくありさ満尓てこそすくさ満本
  し个れわれら者おしハら可らなりとも可な
  すむつひより那ましわ可ゝりしときなとさなむお
  ほえし万してのあさむ可れむハいとこと者りそや
  との者せて御心のうちに可むのきみ能御事ほしい
  てらるへしこのうしろミともの尓おも/\しきめのと
  のせうと左中弁る可ののし多しき尓てとしころ
  つ可う万つるあり个りこの尓もよせこと尓てさ布らへハ」(10オ・1033⑪)

 

  万いり多るにあ日ても能可多りするついて尓うへなむし可/\
  个しきありてきこえし越可能尓をりあらハも
  らしきこえさせへみこ多ちハ飛とりお者し万すこそ
  盤れいのこと那連とさ満/\尓つけてよせ多て万つりな
  ことにつ个てもうしろみし給人あるは多のもし个
  なりうへをゝき多てまつりて尓おもひきこえへき
  もな个れ盤越のらハつかう万つるとても尓ハ可りのみや
  つかひ(ひ$
へ)尓可あらむわ可飛とつにしもあらておのつ可ら
  飛の本可能こともお者しまし可る/\しきゝこえもあらむとき
  に盤い可さ満尓可はわつらハし可らむ御覧春るよにとも可
  くもこの御事さ多満りたらハつかう万つりよくなむあ」(10ウ・1034⑤)

 

  るへき可志こきすちときこゆれとハいとすくせさ多め可多
  く者し万すも能なれハよろつにな个かしく可くあ
  万多能御中にとりわきゝこえさせ尓つけてものそ
  ねミあへかめるをい可てちりもすゑ多て万つらしと
  可多らふ尓い可なるへき御事尓可あらんハあやし
  き万て御心可く可り尓てもみそめへる御心と万
  り多るをもさしもふ可ゝらさり(+
个る)越も可多/\につ遣て
  多つねとりゝあ万多つとへきこえへれとやむこと
  なくおほし多るは可きりありて日と可多なめれ盤
  それ尓ことよりて可ひな个なるす万ゐし可多(+
/\)こそ
  ハおほ可めるを寿くせありてもしさやうにお者し」(11オ・1034⑬)

 

  万すやうもあらハいみしきときこゆとも多ち那
  らひて越し多ちことは江あらしとこそハ越し
  者可らるれとい可ゝと者ゝ可らるゝことありてなむお
  ほゆるさるはこのよ能さかえ春ゑのよにすきてみ尓
  もとなきことはなき越すち尓てな
  もときをもも(も$
)ひわ可尓もあ可ぬこともあるとな
  つね尓うち/\能すさひことにもほしのハすなる个尓
  をの(+
れ)ら可多て万つる尓もさなむおハし万す可多/\に
  つけて可遣に可くしへる見なそ能らす多ち
  く多れるき者尓ハも能し者ねと可きりある多ゝとも
  尓てありさ満尓ならふへきおほえくし多るや者」(11ウ・1035⑥)

 

  お者すめるそれ尓越なしくハけ尓さもおハし万さはい可尓
  堂くひ堂るあわひならむと可多らふをめのとこと
  のついて尓し可/\なむな尓可しのあそむに本のめ
0007【しか/\なむ】-朱ニ申
  可し者へし可は可の尓ハ可ならすうけ个(个$)ひき
  させてむとしころの御本い可なひておほしぬへき
  こと那るをこ那多のゆるしまことにありぬへくハつ
  へきこえむとな者へりし越い可なるへきこと尓可
  者ゝへらむ本と/\につ个てのきわ(わ=
ハ)/\おほしわき万へつ
0008【ほと/\につけて】-源ノ心ヲ云
  あり可多き御心さ満尓もの志れと多ゝ多に可ゝつ
  ひ思人多ちならひ堂ることはのあ可ぬことにしハ」(12オ・1035⑬)

 

  へめるをめさ満しきこともや者へらむうしろみのそ
  み給人/\ハあま多ものしめりよくおほしさ多め
  てこそよくハへらめ可きりなときこゆれとい万の
  よのやうとてハミ那本可ら可にあるへ可しくてよのな可越
0009【ほからかに】-カシコキコト
  御心とすくしへきもお者し万すへ可めるをひめみや
  ハあさ満しくおほつかなもと那くのミみえさせ
  尓さ布ら婦人/\ハつ可う万つる可きりこそハへらめおほ
  可多の御心越きてにし堂可ひきこえてさ可しきしも
  もな(+
ひ)きさふら婦こそ多よりあることに者へらす(す$め)とり多て
  堂累うしろミものしハさらむハな越本そきわさ」(12ウ・1036⑥)

 

  になむ者へるへきときこゆし可おもひ多とるによりな
0010【しかおもひ】-朱詞
  みこ多ちのよつき多るありさ満ハう多てあわ/\しき
0011【よつきたる】-私ノ男ヲツコト
  やうにもあり多可きゝ者といへともをんなハおとこ尓み
  ゆる尓つけてこそくやし个那ることもめさ満しき
  おもひもをのつ可らうち万しるわさ那めれと可つ
  るしくおもひみ多るゝを万多さるへき尓多ちをくれ
  て多のむ可遣ともにわ可れぬるのちを多てゝ世中
  すくさむこともむ可しハ多ひら可尓てよにゆるさる
  万しき本とのことをハおもひをよ者ぬものとならひ多り
  遣むいまのよに盤すき/\しくみ多り可者しきこともるい」(13オ・1036⑬)

 

  にふれてきこゆめり可しき能ふ万て堂可きおや能
  いゑ尓あ可められ可しつ可れしのむす免の个ふハなお/\
  しくゝ多れるきハの春きものとも尓なを多ちあさ
  む可れてなき越やのおもてをふせ可けを者つ可し
  むる多くひおほくきこゆるいひもてゆ遣はミ那お
  な(な
)しことなり本と/\尓つ个て春き(き$く)せなといふな累
  ことはし里可多きわさなれハよろつ尓うしろめ
  堂くなん春へてあしくもよくもさるへき
  尓ゆるし越き多る万ゝ尓て世中をすく寿ハすくせ/\
  尓てのちの尓おとろへあるときもみつ可ら能あや」(13ウ・1037⑤)

 

  万ちにハならすありへてこよなきさい者ひありめや
  春きこと尓なるおりハ可くてもあし可らさり个り
  とミゆれと多ち万ちふとうちきゝつ个多る本とハ
  おや尓しられすさるへ起もゆるさぬ尓可らのし
  のひわさしいて堂るなに盤万すことな
  ききすとおほゆるわさ那るなお/\しき多ゝのな
  らひ尓て多にあ者つ个くきなきこと那里見つ可ら
  のより者那れてあるへきにもあらぬをおもふより
  本可に尓もみえす(す=
イ、)ゝくせの本とさ多められむなむいと可
  る/\しくみのもてなしありさ満/\(/\$
)越しハ可らるゝこ」(14オ・1037⑫)

 

  と那るをあやしくもの者可那きさ満尓やとみゆ
  める越(越
さ満なるをこれ可れの尓万可せもてな
  きこゆな(な
る)さやう那ることのよにも里いてむこといとうき
  ことなりなとみすて多て万つりハむのちのよ越うし
  ろめ多遣尓おもひきこえさせ多万へれハいよ/\わつらハ
  しくひあへりい万すこしものをもひしり
  本と満てみすくさむとこそはとしころ年むし
  つるをふ可きほいもとけすなりぬへきちの春る尓
  おもひもよ本されてなむ可能六条のおとゝは个尓さ
  りともゝ能ゝえてうしろやすき可多はこよ那可りな」(14ウ・1038④)

 

  むを可多/\にあま多ものせらるへき人/\をしるへき尓も
  阿らす可しとても可くても可らなりのと可尓お
  ちゐておほ可多のよの多めしともうしろやすきか
  堂はならひなくものせらるゝりさらてよろし可
  累へき多れハ可り可はあらむ兵部卿飛と可らは
  めやすしかしおしきすち尓てこと(こと=
コト)とわき万へ
  をとしむへき尓はあらねとあ万りい多くなよひよし
  めく本とにをもき可多をくれてすこし可ろひ多るおほえ
  やすゝみ尓多らむさるハいとたのもし遣なくなむあ
  る又大納言のあそむのいゑつ可さのそむなるさる可多に」(15オ・1038⑪)

 

  もの万めや可那るへきことにハあなれとさす可にい可尓そ
  やさやうにおしなへ多るき者ゝめさましくなむある
  へきむ可しも可うやうなる江らひ尓ハな尓ことも尓こと
  那るおほえある尓ことよりてこそあり个れ多ゝ飛とへ尓
  ま多なくもちゐむ可多者可り越可しこきことにひさ
  多めむ盤いとあ可すくち越し可るへきわさ尓な
  んの可みのし多にわふなるよしないしの可み
  のものせられしそ能者可りなむくら井なとい万
  すこしものめ可しき本とになり那ハなと可はともお
  ひよりぬへき越ま多としいとわ可くてむ个尓可ろひ多」(15ウ・1039③)

 

  累本となり堂可きさし布可くてやもめ尓てす
  くしつゝい多くしつ万里ひあ可れる遣しき尓は
  ぬ个てさえ那ともこともくつゐ尓ハよの可多めとなるへ
  きれハゆく春ゑも多のもし遣れと猶又この多め
  にとおもひ者てむ尓は可きりそあるやとよろつ尓お
  ほしわつらひ多り可うやうにもおほしよらぬあねみや
  多ちをハか个てもきこえなやまし給人もなしあや
  しくうち/\にのハすゑの(ゑの$
る)さゝめきこともの越の
  可ら飛ろこりてこゝをつくす人/\ほ可り个りお
  ほきおとゝもこの衛門の可みのい万ゝて飛とりのみあり」(16オ・1039⑩)

 

  てみこ多ちならすハ江しとおもへるをかゝるさ多免と
  もいてきたな累おりにさやうにもおもむ个多て万つりて
  免しよせられ多らんときい可者可りわ可多免尓もめむ本
  くありてう連し可らむとおほしのてないしの可む
  のきみ尓は可能あねき多の可多してつ多へ申給
0012【かのあねきたのかた】-柏木ノ母朧ノアネ
  个りよろつ可きりなきことの者越つくしてそうせさせ
  个しき多万者らせ給兵部卿宮左大将のき多能
  可多越きこえ者つてきゝらんところもあり可多
  本ならむことはとえりすくしにい可ゝハ御心の多ゝ(多ゝ$
うこ可)さらむ
  可きりなき(き$
く)おほしいられ多りとう大納言ハとしころ」(16ウ・1040②)

 

  のへ多う尓て新(新=シ)多しき(き$く)つ可う万つ里てさふらひなれ尓
  多る越御山こもりしむのちよりところな
  そ可るへきに古のうしろみ尓ことよせて可へりみ
  させへく个しきせちに多満ハりるへし権中納言
  も可ゝることゝも越きゝて尓もあらすさハ可り
  おもむ个させへりし个しきをみ多て万つ
  てし可は越の可らたよりにつ遣てもらしきこし
  めさることもあらはよもゝて者那連てはあらし可し
  とときめきもしつへ个れと女君のい万者とうちと
  个て多のミへるをとしころつらき尓もことつ遣つ
  可りし本と多に本可さ満のもなくてすくしてし越あ」(17オ・1040⑨)

 

  やにく尓いまさらに多ちかへり尓者可にをやおも者せ
  きこえむなの免ならすやむことなき可多にかゝつらひ
  なはな尓こともおもふ万ゝならてひ多りみきにやす可らす
  ハわ可もくるしくこそハあら免なともとよりすき/\
  し可らぬれハおもひしつめつゝうちいてねとさす
  可尓本可さ満尓さ多万り者て者むもい可にそやおほえ
  てみゝ者と満り个り春宮尓もかゝることもきこしめ
  してさしあ多り多る多ゝい万のことよりものちのよの
  た免しともなるへきこと那(+
ルヲヨクオホシメシメクラスヘキ事也)り可らよろしとても多ゝ
  者可きりあるを志可おほし多つことならは可能六条」(17ウ・1041②)

0013【人】-ウト

 

  尓こそおやさ満尓ゆつりきこえさせハめとなんわさ
  とのせうそこニはあらねと个しきあり个るを万ちき
  可せてもけ尓さることなりいとよくおほしの多満者せ
  多りといよ/\御心堂ゝせて万つ可のしてそかつ/\
  あないつ多へきこえさせ个るこのこと可くおほ
  しわつらふさ満盤さき/\もミ那起ゝおき多満へれハ
  くるしきことにもあ那る可那さ者ありとも
0014【心くるしき】-源心
  のゝこりすくなしとてこゝにハ(ハ=も)ま多いく者く多ち越く
  れ多てまつるへしとて可そのうしろのをハうけとり
  きこえむ个尓し多いをあや万多ぬ尓てい万志者しの」(18オ・1041⑨)

 

  本とものこりと満る可きりあらはおほ可多につ遣ては
  いつれのみこ多ち越もよそき(き$
)尓きゝ者那ち(+多)て万つ
  へき尓もあらぬ(ぬ$
子)とかくとりわきてきゝをきて(て$)多て万
  つりてむ越ハこと尓こそ盤うしろみミきこえめとおもふ
  越それ多にいとふるよのさ多免なさなりやとの
0015【ふ定】-不定
  て万してひとつ尓堂の万れ多て万つるへきすちに
  むつひなれきこえむことはいとな可/\にうちつゝきよ越
  さらんきさみくるしくみつ可らの多め尓もあさ可ら
  ぬ本多しになむあるへき中納言とはとしわ可く可ろ/\
  しきやうなれとゆくさきとをくて可らもつい尓おほ」(18ウ・1042②)

 

  や遣のうしみともりぬへき越飛さきなめれハさも
  おほしよらむ尓なと可こよな可らむされといとい多く
  万免多ちておもふ日とさ多万りにてそあ免る(る#
れ)盤そ
  れ尓者ゝ可らせ尓やあらむなとの多万ひてみつ可ら
  はおほし者那れ多るさ満なる越はおほろ遣の
  さ多免尓もあらぬをかくの多万へ者いと越しく
  くち越しくもおもひてうち/\尓おほし多ちに多
  るさ満なとく者しくきこゆれ盤さす可にうちゑ見
  つゝいと可なしくし多て万つりみこな免れハあな
  かちに可くきし可多ゆくさきの堂とりもふ可き」(19オ・1042⑧)

 

  なめり可しな多ゝうちにこそ多て万つり者め
  やむこと那き万つの飛と/\お者すといふことはよしな
  きこと那里それ尓さ者るへきことにもあら寿可な
  すさりとてすゑのおろ可那るやうもなしこ
  の御時尓おほきさきの者うのハし免の女御尓ていき
0016【いきまき】-威勢ノ心
  万きし可とむ遣のすゑ尓万いりへりし入道
  尓し者しハ越され尓き可しこのみこのハゝ
0017【このみこ】-女三ノコト
  女御こそハ可の者ら可らにものし个め可多ち
  もさしつきにハいとよしとい者れりし可」(19ウ・1042⑭)

 

  はいつ可多につ遣てもこのひ免をしなへて
  のき者尓ハよもお者せし越なといふかしくはおも
  ひきこえへしとしもくれぬ春さく尓ハ御心
  那をおこ多るさ満尓もおハし万さねハよろつあは
  堂ゝしくおほし多ちて(+
き)のことはおほしいそく
  さ満きし可多ゆくさきあり可多个那る万ていつくし
  くのゝしるしつらひハかへ殿のにしおもて尓御長御長

0018【かへ殿】-カヤノ木ニテ作タル所
  きより者しめてこゝのあや尓しき万せさせ
  者春もろこしのきさきの可さりをおほしやりてうる
  ハしくこと/\しく可ゝやく者可りとゝのへさせへ」(20オ・1043⑥)

 

  りこしゆひ尓ハおほきおとゝ越可ねてよりきこえ
  させへり个れハこと/\しくおハする尓て万いり尓くゝ
  おほし遣れと御事越む可しよりそむき申給
  者ねハ万いりい万ふ多大臣多ちそのゝこり可む
0019【ふた所の大臣】-左右大臣
  堂ちめなとはわ里なきさ者りあるもあな可ち尓
  ためらひ多す遣つゝ万いりみこ多ち八人殿上人
  者多さらにもい者春うち春宮のゝこらすまいり
  つとひてい可めしきいそきのひゝきな
  ことこの多(多#
)多ひこそとちめなれとみ可と春宮をハ」(20ウ・1043⑫)

 

  しめ多て万つりてくるしくきこしめしつゝくら
  ところをさめ殿のからも(も
)ものともおほく多て万つ
  らせへり六条院よりも(+
トフラヒイトコチタシトモ)人/\のろく尊者大臣
0020【尊者】-コシユイノ人ヲ云
  ひきいてものなと可のよりそ多て万つらせ
  累中宮よりもさうそくゝしの者ここと尓て
0021【中宮】-秋好
  うせさせて可能む可しのくし阿遣のくゆへ
0022【むかしの御くしあけ】-コレハ斎宮ニ立給シ時ノ具也
  あ累さ満尓あら多免くハへてさす可にもとの者江
  もうしな者春それとみせてそのひ能ゆふつ可多
  たて万つれさせ給宮のこん(+
の)す个殿上尓もさふら」(21オ・1044③)
0023【宮】-中宮

0024【院】-朱雀ノコト

 

  ふを可ひ尓て飛免みやの可多に万いらすへく

能多万ハせつれとかゝることそ尓あり个る
    さしな可らむ可し越いまにつ多ふれは
0025【さしなから】-サナカラ也
  た万のをくしそ可みさひ尓个るこらんしつ
  个てあ者れ尓おほしいてらるゝこともあり个りあ
  江も能个しうハあらしとゆつりきこえへる本
  とけ尓おも多ゝしき可むさしなれハ可へりも
  む可しのあハれをハさしおきて
    さしつきにみるもの尓も可よろつよ越つ个の
0026【さしつきに】-朱
  越くしの可ミさふる万てとそい者ひきこえへる」(21ウ・1044⑧)
0027【かみさふる】-末ヲ祝心

 

御心ちいとくるしき越ねむしつゝおほしおこし
  てこのいそきハてぬれハ三日すくしてつい尓
  しおろしよろしき本とののうゑ尓て多尓
  いまはとてさ満か者るは可なし个なるわさなれハ
  ましていとあ者れ个尓可多/\もほし万とふ
  ないしの可んの者つとさふらひていみしくお
  ほしい里多る越こしらへ可ねてこを思道
  可きりあり个り可くおもひしみへるわ可れの多
  へ可多くもある可那とて御心ミ多れぬへ个れとあ
  那可ちに个うそくに可ゝりのさすより」(22オ・1045③)

 

  者し免ていむことのあさり三人さ布らひて
0028【御いむこと】-戒法
  ほう布くなと多て万つる本とこのよ越わ可れ
0029【ほうふく】-法服 衣ノコト
  さ本うい見しくおほしいり多る越こしらへか
0030【いみしくおほし】-「<いみしくおほし以下削除符号>
  ねてこを思道者可きりあり个り可くおもひし
  みへるわ可れの多へ可多くもある可那とて御心見多
  れぬへ个れとあ那可ちにけうそくに可ゝり
  のさすより者しめていむことのあさり三人さふら
  ひてほう布くなと多てまつる本とこのよ越わ可れ
  給御さ本うい見しく可なし个ふはよをゝもひす万
0031【御さほう】-」<給御さほうマデ削除符号>
  し多るそう多ちなと多になミ多もえとゝめね盤」(22ウ・1045⑤)

 

万して女宮多ち女御可ういこゝらのおとこ可み
  しもゆ春りみちてなきとよむ尓いとこゝろあハ
  堂ゝしうかゝらてしつや可な累ところ尓や可て
  こもるへくおほし万うけゝ累い堂可ひておほし
  めさるゝも堂ゝこのおさな尓ひ可されてと
  おほしの者すうちより者しめ多て万つりて
  と布らひのし遣さいとさらな六条院もすこし
  御心ちよろしくときゝ多て万つらせて万いり
  多う者りのみふなとこそみなしことお
  ゐのみ可とゝ飛としくさ多満りへれとまことの太上」(23オ・1045⑪)

 

  天王のきしきに者う遣者り者寿よのもてな
  しおもひきこえ多るさ満なとはこと那連とことさ
  らにそきてれいのこと/\し可らぬくる万に多て万つ
0032【そき給て】-省
  りて可ん多ちめなとさるへきか(+き)りくる万尓てそつ可う
  万つりへる尓はいみしく万ちよろこひきこえ
  させてくるしき御心ち越おほしつよりておほん
  多いめむありうるわしきさ万ならす多ゝおハし万す
  可多におましよそひく者へていれ多て万つり(+
カハリタマ)へる
  ありさ万多て万つ尓きし可多ゆくさきく
  れて可なしくとめ可多くおほさるれハとみ尓もえ多」(23ウ・1046③)

 

  めらひ者すこ尓をくれ多て万つりしころ本ひ
0033【こ院に】-源
  よりよのつねなくおもふへられし可はこの可多の
  ほい布可く春ゝみ者へり尓し越よはくおもふ多
0034【ほい】-出家
  満へ多ゆ多ふことのミゝつゐ尓可くみ多て万つ
  なし者へる万てをくれ(+
多て万つり)者へりぬるぬるさ越
  者つ可しくおもふへらるゝかなにとりてハことに
  もある満しくおもふ多満へ多ち者へるおり/\あ
  る越さらにいとしのひ可多きことおほ可りぬへきわ
  さ尓こそ者へり个れとなくさめ可多くおほし
  多里もゝの本そくおほさるゝ尓江よ可らす」(24オ・1046⑨)

 

  うちし本れつる(つる$ゝ)い尓しへいまのもの可多りいとよ
  者け尓きこえさせて个ふ可あす可とおほえゝさ
  す可尓本とへぬるをうち多ゆミてふ可き本いの者しにて
  もとけすなりなむことゝおもひをこし(+
て)なむ可くても
  のこり能よ者ひなくはおこ那ひ能さしも可な
  満し遣れと万つ可里尓てものとめ越きて念仏を多に
  とおもひ者へる者可/\し可らぬみ尓てもよ尓な可らふる
  こと堂ゝこのさしにひきとゝめられ多るとおもふ
  へしられぬ尓しもあらぬをい万ゝてつとめなきをこ
  多り越多にやす可らすなむとておほし越きて多るさ」(24ウ・1047②)

 

  満なとくハしくのたま者するついて尓みこ多ち越
  あ万多うちすへ(へ=
て)し者へるなくるしきな可にも
  もひゆつる飛となき越はとりわきうしろめ多くみ
  わつらひハへるとて万本尓はあらぬ个しきくるしく
  み多て万つり給御心のうちにもさす可にゆ可しき
0035【さすかに】-源ノ女三ヲ思コト
  りさ満なれハおほし春くし可多くて个尓たゝより
  もかゝる春ち尓はわ多くしさ万のうしろみ
  なきはくち越しけなるわさ尓那む者へり遣累
  東宮可くておハし万せはいと可しこき春ゑのよの万うけ
  のきみとあ免のし多の多のみところ尓あふきゝこえ
  さするを万してこのことゝきこえを可せんことは」(25オ・1047⑨)

 

  飛とことゝしておろ(+そ)可に可ろ免申給へきニハへらねハ
  さらにゆくさきのことおほしなやむへきにも者へら
  ねとけ尓こと可きりあれハおほや遣となよの
  万つりこと御心尓可なふへしとはい飛な可らをんな
  多免にな尓ハ可りのけさや可なる御心よせあるへ
  きにも者へらさり个りすへて多めにハさ満/\
  万ことのうしろとすへきものハさるへきすち
  尓ちきり越可ハしえさらぬことに者くゝみきこゆる

  万もりめ者へるなむうしろや春可るへきことに者へ
  るをしひてのち能よのう多可ひのこるへくハよろ」(25ウ・1048①)

 

  しき尓おほしえらひてし能ひてさるへき
  つ可りをさ多免を可せへき尓なむ者へなるとそう
  しさやうにおもひよること者へれとそれも可多き
0036【さやうに】-朱詞
  ことになむあり遣累い尓しへの多めし越きゝ尓も
  よ越多もつさ可りの見こに多にをえらひてさるさ
  まのことをしへる多くひおほ可り个り万して可く
  い万者とこの越者那るゝき者にてこと/\しくおもふ
  へき尓あらねとし可春つ尓もすて可多きこ
  と阿りてさ満/\尓おもひわつらひ本とにや万ひハ
  越も里ゆく万多とり可へ春へき尓もあらぬひの春」(26オ・1048⑦)

 

  きゆ个はあわたゝしくなむ可多者らい多きゆ
  つりなれとこのい者けな内新王飛とりわきて
  者くゝみおほしてさるへきよす可をも御心尓おほしさ
  多めてあつけへときこえ満本しきを権中納言
  の飛とりも能しつる本とにすゝみよるへくこそあり
  个れおほい万うち尓せんせられてね多くおほえ
  者へるときこえ給中納言のあそむ万めや可なる可多
0037【中納言のあそむ】-源
  はいとよくつ可う万つりぬへく者へるをな尓ことも万多
  あさくて多とりすく那くこそ者へらめ可多しけなくとも
0038【たとりすくなく】-タヨリスクナキ心也
  ふ可き尓てうしろみきこえさせ者へらん尓お者し」(26ウ・1048⑭)

 

  万すおほむ可遣尓可者りてハおほされし越多ゝゆ
  くさきみし可くてつ可う万つりさすことや者へらむ
  とう多可ハしき可多のみなるしく者へる
  へきとうけ飛き申給よにい里ぬれハあるし
  の可多も万らうとの可む多ち免たちもみな
  御前尓てあるし能ことさうし尓てうる者し
  可らすな満め可しくせさせへり万へ尓せん
  かうのかけ者(+
ん)に者ちなとむ可しに可ハりてまいる
  を人/\ミ多をしのこひあハれなるすちのこ
  とゝもあれとうるさ个れハかゝすふけて可へり」(27オ・1049⑥)

 

  ろくともつき/\尓へ多う大納言をくり尓万
  い里あるしの者个ふのゆきにいとゝ御風く者ゝ
  りて可きみ多りなやましくおほさるれとこの
  御事きこえさ多めつる越やすくおほし
  个り六条院者なるしうさ満/\おほしみ
  多るむらさきのうへも可ゝるさ多めなむと可ねて
  も本のきゝ个れとさしもあらしさいをも
  ねむころ尓きこえやうな(+
里)し可とわさとしも
  しとけ春な里尓しをなとおほしてさることも
  あるともとひきこえ者すな尓もなくてお者春る」(27ウ・1049⑫)
0039【なに心もなくて】-源ノ心

 

尓いとおしくこのをい可におほさむわ可者つゆも

可者るましくさることあらん尓つ个てハな可/\いとゝ
  布可さこそ万さらめみさ多め者さらむ本とい可に
  ひう多可ひ者むなとや春可らすおほさるいまの
  としころとなりてハ万して可多み尓へ多てきこえ給事
  那くあ者れなる御中れハしハし尓へ多てのこ
0040【御中なれは】-紫トノコト
  したることあらむもいふせき越そのよはうちやす
  ミてあ可しのひゆきうち布りそらの个し
  きもゝのあ者れ尓春き尓し可多ゆくさきの
  堂りきこえ可者し給院の多能もし遣那くな尓」(28オ・1050④)
0041【院】-源

 

たるとふらひ尓万いりてあハれなることゝものあり

る可な女三宮御事をいとすて可多け尓おほし
  てし可/\なむ能多満者せつけし可はくるしくて江
  きこ江いなひ春なり尓し越こと/\しくそ盤いひ
  なさむ可しいまはさやうのこともうゐ/\しくすさ
  満しくおもひなり尓多れハて尓遣しき者万
  せし尓ハと可くの可れきこえしを多いめんのついて尓
  ふ可きさ満なることゝも越のゝ遣しにも(も
者)えす
  く/\しくも可へさひさてなむふ可き御山すミ尓
  うつろひ者む本とにこそハわ多し多て万つらめ」(28ウ・1050⑪)

 

  あちきなくやおほさるへきいミしきことありとも
  
)多めあるより(より$尓)可ハることはさらにある満しきを
  なをきそよ可の多めこそくるし可らめそれも
  可多はならすもてなしてむ多れも/\のと可尓てすく
  しハゝなときこえ者可那きすさひことを多尓
0042【御すさひこと】-スキ心
  めさ満しき△△△△もの)におほしてや春可らぬ御心さ満な
  れハい可ゝおほさむとおほ春尓いとつれなてあ者れ
0043【いとつれなくて】-紫体
0044
【あはれなる御ゆつりに】-詞
  なるゆつり尓こそあなれこミ(ミ=古ゝ)尓ハいかなるをゝき
  多て万つるへき尓可めさ満しく可くてなとゝかめらる万
  しくハや春くても者へなむを可の者ゝ女御可多さ」(29オ・1051③)

 

  満尓てもうと可らすおほしかす満へてむやとひけ
  しをあ万り可うゝちとけ給御ゆるしもい可な
0045【あまりかう】-源
  ハとうしろめ多くこそあれ万ことはさ多尓おほし
  ゆるいてわれもえてな多ら可にもてなしすく
  しハゝいよ/\あハれ尓なむ飛可こときこえな
  せむのこときゝいれすへてよののくちといふ
  ものなむ多可(+
い)ひいへ(へ=ツ)ることともなく越のつ可ら飛とのな
  可らひなとうちともなく越のつ可ら(ともなく越のつ可ら$
)本をゆ可みお(+も)ハす
  なることいてくるものな(+
め)るを飛とつ尓しつめてありさ
  満尓し多可ふなむよき万多きにさ者きてあいなきも」(29ウ・1051⑩)

 

  のうらみしといとよくをしへきこえ給心のう
0046【心のうち】-紫
  ち尓も可くそらよりいてき尓多るやうなることにての
  可れ可多きを尓くけ尓もきこえなさむ(む$
し)わ可尓者ゝ
  かりひいさむることにし多可ひへきをの可とちの
  より越これる个さう尓もあらすせ可るへき可多なきもの
  可らおこ可満しくひむ寿本をるゝさ満よ(+
の)ひとにもり
  きこえし志きふのおほき多の可多つね尓う遣
0047【うけはしけなる】-ノロウ心
  者し遣なることゝもをのひいてつゝあちきな大将
  御事尓てさへあやしくうらみそねミる越可や
  う尓きゝてい可尓いちしるくひあハせ者むなと越」(30オ・1052②)
0048【越ひらかなる人】-ヲトナシキ心

 

ひら可なる御心といへとい可て可は可者可りのく満は
  な可らむい万者さ里ともとのミわ可をおもひあ可り
  うらなくてすくし个るよのわらへならむこと越し
  多尓はひつゝけへといとおひら可尓のミもてな
  へりとしも可へりぬ朱雀院尓はひめ宮六条院尓う
  つろひ者むいそき越しきこえへる人/\
  とくちおしくおほしな遣くうちにもこゝろ者へあり
0049【うちにも御こゝろはへあり】-内裏ニモ女三ヲホシクオホシタリシ也
0050
【御こゝろ】-心
  てきこえ个る本とに可ゝるさため越きこしめして
  おほしと満り尓个りさる(る$
)ハことしそよそちにな个れ
  は可能ほや遣尓もきこしめしすくさす世中の」(30ウ・1052⑨)

 

  いと那見尓て可ねてよりひゝくをことのわつらひお
  くい可めしきハむ可しよりこのミ者ぬ御心尓て
  み那かへさひ申給正月廿三日子のひなるに左大将殿
  のき多の可多わ可なまいり可ねて个しきもゝらし
  者ていといたくしのひておほし万うけ堂り个れハ
  尓者可にてえいさめ可へしきこえ者すし能ひ多れ者(者$
と)
  さハ可りのいき本ひなれハわ多り(+
)きしきなといとひゝ
  きことなりみなミのおとゝの尓し能者那ちいて尓お
  しよそふ屏風可へしろより者しめあ多らしく
  者こ(こ$
ラ)ひしつらひ(ひ$)ハれ多りうるハしくいしなとは多て」(31オ・1053

 

  寿ちしき四十枚御しとねけうそくなとすへて
0051【御ちしき】-地敷 唐筵也
  その(+く)ともいときよらにせさせへりらてんのみつ
  布多よろひ尓ころも者こよ(+
徒)すへてなふゆの
  さう寿く可うこく春りの者こすゝりゆ春るつき可ゝ
0052【ゆするつき】-ヒン水入ル物也
  遣の者こなとやうのもうち/\きよら越つくしへり
  可さしの多い尓ハちむし多むをつくりめつらしきあや
0053【御かさしのたい】-造花也挿頭也老ヲフセク心也
0054
【あやめをつくし】-木ノモクナトノコト又物ノモン也
  めをつくしおしき可ねをもいろつ可ひなし多る
  者へありい万め可しくかむのき(+
ミ)ものゝみやひ布可くか
0055【みやひふかく】-ユウヒナルコト
  とめきへる尓てめなれぬさ満尓しなつる(る=り)
  おほ可多のことをはことさらにこと/\し可らぬ本となり人/\」(31ウ・1053⑧)

 

  万いりなとしておましにいてとて可むのきみ
  に多いめんあり御心のうち尓はい尓しへおほしいつ
  こともさ満/\なり个む可しいとわ可く(いとわ可く$
いとわ可く)きよらにて可く
  可なといふことはひ可ゝそへ尓やとおほゆるさ満のな
0056【ひかゝそへ】-四十ナトヨリ若キ也
  め可しくのおや遣なくお者し万す越めつらしくて
  としへ多てゝ多て万つりハいと者つ可し个れと
  けさや可なるへ多てもなくてもの可多里きこえ可
  ハしおさ那きゝみもいとうつくし(+
く)てものし可むの
  きみハうちつゝきても御覧せられしとの个るを大将
  かゝるついて尓多に御覧せさせむとてふ多りおなし」(32オ・1054①)

 

  やうにふりわ遣可みのなきなをしす可多とも
0057【ふりわけかみ】-玉カツラノ子二人
  尓ておハすゝくるよ者ひもみつからの尓はことにお
0058【すくるよはひも】-源心
  もひと可められす堂ゝむ可しな可らのわ可/\しきあ
  りさ満尓てあら多むることもなきを可ゝるすゑ/\能も
  よ越し尓なむな万ハし多なき万ておもひしらるゝ
  おりも者へり个る中納言のいつし可と万うけ多なるを
  こと/\しくひへ多てゝ万多みせす可しよりことに
  可そへとり个るけふのねのひこそなをうれ多遣れ
  志ハしハおいをわ春れても者へるへきをときこえ可む
  のきみもいとよくねひ万さりもの/\しき遣さへそひ」(32ウ・1054⑦)

 

  てみる可ひあるさ満しへり
    わ可者さ寿能へのこ万つを飛きつれてもとの
0059【わかはさす】-内侍
  い者ねをいのる遣ふ可那とせめておと那ひきこえ
  ちんのおしきよつしてわ可那さ万者可り(+
万)いれり可ハら
  遣とり
    こ者ら春ゑのよ者ひ尓飛可れてや能へのわ可な
0060【こ松はら】-源
  もとし越つむへきなときこえか者して可む多ちめ
  あま多ミ那ミの飛さし尓しきふきやうの
  万いり尓くゝおほし个れとせうそこあり遣る尓可く
  し多しき可らひ尓てあるやうならむも飛んなく」(33オ・1055①)

 

  て飛多个てそわ多り給へる大将のし多り可本尓て可ゝ
0061【大将のしたりかほにて】-式部卿ノ心
  累御中らひ尓うけ者りてものしけ尓やまし
  个な累わさ那めれとむ万このきみ多ちはいつ可多尓
  つけてもをり多ちてさうやくしこものよそえ(
え)多お
  りひ(ひ=
ウ)つのよそち中納言をハしめ多て万つりてさるへき
  可きりとりつゝき多満へり可者らけく多りわ可那のお
  むあつい(い$
)もの万いるお万へ尓ハちんの可遣者んよつ
0062【あつもの】-カンニシタル也
  むつきともな可しくい万めき多る本と尓せられ多里
0063
【つきとも】-器
  朱雀院くすりのことなを多ひらき者て者ぬ尓
  より可くとは(+
めさす布えなとお本きおとゝのその)可多はとゝのへてよのな可にこのか」(33ウ・1055⑧)

 

  よりめつらしくきよらへ(へ$ツ)くすへきあらしとの
  て春くれ多るねの可きり越可ねてよりおほし万うけ
  多り个れハし能ひや可尓あそひありとり/\尓多て
  まつる尓わこむハ可のおとゝの第一尓飛し个る
  ことなりさるものゝすのをとゝめてひきならし
  へるねいとならひなき越ことハ可き堂て尓くゝし
  へハ(+
衛門の可ミのか多くいなふるをせめ多万へハ)个尓いとおもしろくおさ/\をとる満しくひくな
0064【いなふる】-△△
  ことも寿のつきといひな可ら可くしもえつ(+可)ぬわさそ
  可しと尓くゝあハれ尓人/\ほす志らへ尓し多
  かひてあとあるてともさ多万れるもろこしのつる(る$
タ)へとも」(34オ・1056①)
0065【あとあるてとも】-伝タル手ノコト

 

はな可/\多つねしるへき可多あらはなるを尓万可
  せて多ゝかきあハせ多るす可ゝき尓よろつのものゝね
0066【すかゝき】-和琴計ニアルコト
  とゝのへられ多る者多へにおもしろくあやしき満て
  ひゝくちゝおとゝはことのをもいとゆる尓ハりてい多うく
  多して志らへひゝきおほくあハせてそ可きならし
  これ者いとわらゝかにの本るねのな可しくあい
  つき堂るをいと可うしもはきこえさりし越とみ
  こ多ちもをとろききむハ兵部卿宮ひきこの
  こと(こと$
)ハきやう殿の尓て多い/\尓多いのなありし
0067【きやう殿】-宜陽殿
  ことをこの春ゑつ可多一品宮のこのミこと尓て」(34ウ・1056⑧)
0068【こ院】-桐ノコト
0069
【一品宮】-大后御腹

 

多まハり堂満へり遣る越このをりのきよらをつくし

堂満者んとする堂めおとゝの申給者る(る$り)へる多へ/\
  越おほす尓いとあハれ尓む可しのもこ飛しくお
  ほしいてらるみこもゑひなきえとゝめハす个し
  きとりてきむハおまへ尓ゆつりきこえさせのゝ
0070【おまへに】-源ノコト
  あハれ尓江(江=エ)すくしハてめつらしきもの飛とつ者可りひ
  き尓こと/\し可らねと可きりなく越もしろきよの
  (+
あ)そひなりさう可の人/\み者しにめしてす春くれ多
  るこゑの可きりい多して(+
り)こゑ尓なるよのふ遣ゆく
0071【返りこゑ】-呂ノ律ニナルヲ云
  万ゝ尓も能ゝしらへともな可しくか者りてあ越」(35オ・1056⑭)
0072【あ越やき】-\<合点>

 

やきあそひほとけ尓ねくらのうくひすおとろ
  きぬへくいみしくおもしろしわ多くしことのさ
  万尓しなてろくなといとさくに万うけられ
  多り个りあ可尓可むのきみ返給御をくりとあり遣
  里可うよ越寿つるやう尓てあ可しくらす本とにとし
0073【かうよ越】-源
  のゆくゑもしらすかをなるをかう可そへしら勢多
  万へる尓つけてハ本そくなむとき/\ハをい(+
や)万さ
  るとみらへよかし可くふるめ可しきみのところせ
  さにおもふ尓し多可ひて多いめんなきもいとくち越
  しくなむなときこえ多万ひてあ者れ尓もを可しく」(35ウ・1057⑦)

 

  もおもひいてきこえことなきにしもあらねハ
  な可/\本の可尓てかくいそきわ多りをいとあ可す
  くち越しくそおほされ个る可むのきみも満ことのを
  やをハさるへきちきり者可りにおもひきこえ
  あり可多くこ満可なりしこゝろ者へ越とし
  そへてかくよにすミ者て尓つけてもをろ可な
  春おもひきこえ个り可くてきさらきの
  朱雀院のひめみや六条院へわ多りこの尓も

0074【この院】-源ノコト
  御心万うけよのつねならすわ可那万いりしにしのハ
  なちいて尓御帳丁
)堂てゝそな多の一二の多いわ多との」(36オ・1057⑬)

 

  可遣てねう者う能つ本年/\万てこ満可尓しつらひ見
  かゝせへりうち尓万いり給人のさ本うを万ねひて
  こ(こ=
か)のよりもてうとなと者こ者るわ多りきし
  きいへ者さらなをくり尓可む多ちめなとあ万多
  まいりかの遣いしのそ見大納言やす可ら寿
  おもひな可らさふらひ給御くる万よせたるところ尓
  ゐんわ多りておろし多て万つともれい尓
  ハ堂可ひ多るともなり堂ゝ尓おハすれハよろつ
  のこと可きりありてうち万いり尓も尓寿むこのおほきみ
  とい者む尓もこと多可ひてめつらしきな可能あハひ」(36ウ・1058⑤)

 

  とも尓なむ三日可本と可のよりもあるしのゐんか
  堂よ(+
り)もい可めしくめつらしきみやひをつくし
  いのうへも尓ふれて堂ゝにもおほされぬよのあ
  りさ満なり遣にかゝる尓つけてこよな尓お
  里遣多るゝこともある満し个れと万多ならふ
  くならひて者那や可にをひさきとをくあな
  つりにくきけ者ひ尓てうつろひ多万へる尓な満
  者し多なくおほさるれとつれなくのミもてなして
  わ多りの本ともゝろ尓ハ可那きこともしいて
  いとらう多遣なるありさ万越いとゝあり可多しと」(37オ・1058⑪)

 

  おもひきこえひめみやハ遣に万多いとちひさくか多
  なりにおハするうちにもいとい者けなき个しきして
  ひ多みちにわ可ひへりかのむらさきのゆ可り多つね
  とりへりしおりおほしいつる尓可れハ可れハ(可れハ$
)され
  ていふ可ひありしに(に$
)をこれ者いとい者けなくのミみえ
  へハよ可めりにくけ尓越し多ち多ることなとハある満
0075【にくけに】-嫉妬ナトノコト
  し可めりとおほすもの可らいとあ万りもゝ者えな
  さ万可なとみ多て万つ給三日可本とはよ可れな
  わ多りをとしころさもならひハぬち尓し能ふ
0076【さもならひ給はぬ】-紫ト今マテハ一夜モヨカレナキ也
  れとなをものあハれなそともなといよ/\多きし」(37ウ・1059④)

 

  めさせの可らうちな可めてものし个しきい見
0077【うちなかめて】-源ノ紫ノ方ヲ也
  しくらうたけ尓お可しなとてよろつのことありとも
  万多をハならへてみるへきそあ多/\しくよはく
0078【また】-又
0079
【あた/\しく心よはく】-女三ノコトヲウケコイタルコト後悔也
  なりをきに个るわ可をこ多りにかゝるもいてくるそ
  かしわ可个れと中納言をはえおほし可遣すなりぬめり
  し越とわれな可らつらくおほしつゝくる尓なミ多
  く満れてこよひハ可りハことハりとゆるしてんなこれ
0080【こよひはかりは】-紫ヘノ詞
  よりのちのと多江あらんこそな可らもきな
  かるへ个れ
△△△△)さりとて可の尓きこしめさむこと
  よとおもひみ多れへる御心のうちくるし遣なり」(38オ・1059⑩)

 

  すこし本ゝゑみてみつ可らのこゝろな可ら多にえさ
0081【すこしほゝゑみて】-紫ノ体
  多め堂まふ万し可なるを万してことハりもな尓も
  いつこ尓と満るへき尓可といふ可ひな遣にとりなへハ
0082【いつこにとまるへき】-ナニコトモ源ノコトハ定ラヌト也
  者つ可しうさへおほえてつらつゑをつてよ
0083【はつかしう】-源心
  りふし多万へれハすゝりをひきよせ
    め尓ち可くうつれハか者るよのな可越ゆくすゑ
0084【めにちかく】-紫
  とをく多の見遣る可那ふることなと可き万せをとりて
  み多万ひてハ可那きことなれと遣にとことハり尓て
    いのちこそ多ゆともたえめさ多めなきよのつね
0085【いのちこそ】-源
  ならぬな可のちきりをとみ尓も江わ多り堂満ハぬを」(38ウ・1060③)

 

  いとか堂わらいたきわさ可那とそゝの可しきこえへハ
  なよゝ可にお可しき本とに江ならす尓ほひてわ多り
  堂満ふをみい多しいと多ゝ尓ハあら寿かしとし
  ころさもやあらむとおもひしことゝもゝい万者とのみ
0086【さもやあらむ】-槿朧月ナトノコト也
  もてハ那れ多満ひつゝさらは可くにこそハとうちと遣
0087【うちとけゆくすゑに】-紫ノ油断也
  ゆくすゑ尓あり/\て可くよのきゝみゝもなのめならぬ
  ことのいてきぬるよおもひさ多むへきよのありさ万
  尓もあらさり个れハい万よりのちもうしろめ多な(な

  くそおほしなりぬるさこそつれなく万きらハし
  へとさ布ら婦人/\も者寿なるよなりやあ」(39オ・1060⑨)

 

  満多ものしやうなれといつ可多もみなこ那多の
  遣者ひ尓ハ可多さりハゝ可るさ万にて寿くしへ者
  こそこと那くな多ら可にもあれをし多ちて可ハ可り
  なるありさ満尓遣多れても江すくし多満ふまし
0088【江すくしたまふまし】-紫ニ女三ノオサレ給マシト也
  ま多さりとて者可那きことにつけてもやす可らぬこと
  のあらむお里/\可ならすわつらハしきことゝも
  てきなむ可しなとをの可志ゝうち可多らひな遣可
  しけなる越つゆもみしらぬやうにいと个者ひお可し
  くもの可多りなとしつゝよふくる万ておも(も$
)者す可う
  の多ゝならすいひおもひ多るもきゝ尓くしとおほして」(39ウ・1061①)

 

  かくこれ可れあ万多も能しめれと御心尓可なひてい万
0089【かくこれかれ】-紫詞
  め可しく寿くれ多るき者尓もあらすとめなれてさう/\
  しくおほし多りつる尓この可くわ多りへるこ
  そめや春个れなをわら者こゝろのうせぬ尓やあらむ
  われもむつひてきこえてあら満本しきをあいなく(く&
く)へ多て
0090【あいなくへたて】-嫉妬ノ心
  あるさ満尓人/\やとりなさむとすらむ飛としき
  本とおとりさ満なとおもふ尓こそ堂ゝならすみゝ
  多つこともをのつ可らいてくるわさなれ可多しけな
  くくるしき御事めれハい可てを可れ多て万つ
  らしとなむおもふなとのへハつ可さ中将君と」(40オ・1061⑧)
0091【中つかさ中将君なと】-源心ヲカケシ人也

 

やうの人/\め越くハせつゝあ万りなるもひやり可那
  なといふへしむ可しハ多ゝならぬさ満尓つ可ひならし
0092【つかひならし】-源ノ方ニ仕シニ候也
  ともなれとゝしころ者この可多にさふらひ
0093【この御かた】-紫也
  てミ那よ(+せ)きこえ多るなめりこと可多/\よりもい可尓
0094【こと御かた/\よりも】-六条院ノ殿ヨリ
  おほ寿らむもとよりひ者那れ多る人/\ハな可/\
0095【思ひはなれ】-末ツムナトノコト
  やすき越なとおもむ遣つゝとふらひきこえ
  ある越可くをし者可るこそ中/\くるし个れ
  もいとつねな越なとて可さのミはおもひな
  万むなとおほすあ万り飛さしきよ(+
ひ)井もれいならす」(40ウ・1061⑭)
0096【あまりひさしきよひゐ】-源ノルスニヨイヰノコトヲ紫ノ心

 

やと可めむとお尓ゝおほしてい里ぬれハ
  ふ春満ゝい里ぬれとけ尓可多者らさ飛しきよ那/\
  へ尓个るも多ゝならぬちすれとかのす万のわ可
  れのおりなと越おほしいつれハいまはと可遣者那れ
  てもたゝおなしよのうちにきゝ多て万つら満し可は
  とわ可万てのことはうち越きあ多らしく可なし可
  里しありさ満そ可しさてその万きれ尓われも
  もいのち多へすなり那まし可はいふ可ひあら満しよ
0097【たへす】-不堪
  可はとおほしな越寿うちふきたるよのけ者ひ」(41オ・1062⑤)

 

  飛やゝ可尓てふともねいられ者ぬをち可くさ布ら
  ふ人/\あやしとやき可むとうちもみしろき
  者ぬもいとくるし个な里よふ可きとりのこゑの
  きこえ多るもゝのあハれなりわさとつく(く$
ら)しと尓は
  あらねと可やうにおもひみ多れ遣尓や可の
0098【かの御ゆめに】-源ノ御夢ニ紫ヲミ給也
  め尓个れハうち越とろき堂万ひてい可尓
  とさは可し尓とり能ねまちいてへれハよふ可
  きも志らす可本尓いそきいていとい者けなあり
  さ万なれ盤めのと多ちゝかくさ布らひ个りつ万とお
  あけていてをみ多て万つりをくるあ遣くれの」(41ウ・1062⑫)

 

  そらにゆきの飛可りみえておほつ可なしなこり
  まてと万れる尓本ひやみハあやなしとひとりみ(み$
こ)
0099【やみはあやなし】-\<合点>
  堂るゆきハところ/\きえのこりたる可いとしろき尓
  者の布と个ちめみえわ可れぬ本となる尓こ(+
れ)累
0100【猶のこれるゆき】-\<合点>子城陰處猶残雪/衙皷声前未有塵(付箋01
  ゆきとしのひや可尓くち春さひゝみ可うしうち
  多ゝき飛さしくかゝることな可里つるならひ尓人/\
0101【かゝること】-早帰給コト稀ト也
  もそらねをしつゝやゝ万多せたて万つりてひきあ
  遣多里こよ那く飛さし可りつる尓みもひ江尓遣累
  はをちきこゆるのをろ可ならぬ尓こそあめれさるは
  つ見もしやとてそひきや里那としにすこし」(42オ・1063④)
0102【つみもなしや】-紫ヘ道理ト也

 

ぬれ多る飛とへのそて越ひき可くしてうらも
  く可しきもの可らうちとけて者多あらぬよう
  いなといと者つかし遣尓越可し可きりなきときこ
0103【かきりなき人】-女三宮トイヘト紫程ニナキト也
  ゆれと可多可めるよをとおほしくらへらるよろつい尓
  しへのこと越おほしいてつゝと遣可多き遣しき
  をうらみきこえてそのひハくらしひつれ盤えわ
  多りハてしむ殿尓ハうそこ越きこえけさの
  ゆきにちあや万里ていとなやましく者へれハこゝろ
  やすき可多に多めらひ者へるとありめのとさきこえ
  させ者へりぬとは可りこと者尓きこえ多りこと那ること」(42ウ・1063⑩)
0104【ことなることなの】-源心

 

那の御返やとおほ寿尓きこしめさむこともいと
  おしこのころ者可りつくろ者むとおほせとえさもあ
  らぬをさハおもひしことそ可しあ那くるしとみ
  つ可らおもひつゝ遣をむなきみももひやりな
0105【をむなきみ】-紫上モ源ノコナタニアレハ不可然ト也
  き御心可那とくるし可り个さはれいのやうにお
  とのこもりおきさせ可多にふミ多て万
0106【宮の御かた】-女三也
  つことに者つ可し个もなきさ満なれと
  てなとひきつくろひてしろき可み尓
    な可みち越へたつる本とはな遣れともこゝろ
  み多るゝけさのあ者ゆきむ免尓つけへり」(43オ・1064③)

 

  めして尓しのわ多とのより多て万つらせよとの
  や可てみい多して者しち可くおハし万すしろき
0107【みいたして】-源ノ女三ノ御返ヲ待給也紫ニ忍給心也
  そともをきて者那を万さくりゝとも万つ
0108【はな】-花
0109
【ともまつゆきの】-\<合点>
  ゆきの本の可にのこれるうへ尓うちゝりそふそら越な
  可免へりうくひ春のわ可やかにち可きこう者いの
  すゑ尓うちなき多る越そてこそ尓本へと者那越
0110【そてこそにほへと】-\<合点>おりつれハこそ尓ほへ/ありとやこゝ尓のなく(付箋02
  ひき可くしてみす越しあけてな可めへるさ満ゆ
  め尓も可ゝるのおや尓て越もきくら井とみえ者す
  わ可うな満め可しきさ満な可へりすこし本とふる
  ち寿れハい里てをむなきみ尓者那みせ多て万」(43ウ・1064⑨)

 

  つ者那とい者ゝかくこそ尓本者満本し个れな
0111【はな】-梅ノコト
  くらにうつしてハ万多ちりハ可りもわくる可多なくや
  あら満しなとのこれもあ万多うつろハぬ本とめと
  満る尓やあらむ者那のさ可りにならへて者やな
0112【はなのさかりに】-梅ト桜ノ心
  の可へりありくれなゐのう春やうにあさや可尓
  をしつゝ万れ多る越むねつふれててのいとわ可き
  越しハしみせ多て万つらてあらハやへ多つとはな
  个れとあハ/\しきやうならんハの本とかたし个な
  しとおほ寿にひき可くしハむもをきへ个
  れ盤可多そハひろ遣へるをし里めにみをこせて」(44オ・1065①)

 

  そひふしへり
    者可那くてう者のそらにそきえぬへき
  堂ゝよふ者るのあハゆきてけ尓いとわ可くおさな
0113【いとわかく】-ヨカラヌ心
  遣なりさハ可りの本とになりぬるハいと可くは
  おハせぬものをとめと満れとみぬやうに万きらハして
  やミぬことのうへならはさこそあれなとは
  しのひてきこえへ个れといとおしくて多ゝやす
0114【いとおしくて】-紫上詞
  くひなへとのミきこえ遣ふは
  多にひるわ多り給心ことにうち遣さうしへるあり
  さ満い万み多て万つるねう者うなとは万してみ累」(44ウ・1065⑦)
0115【いまみたてまつる】-始テノ心

 

かひありとおもひきこゆらん可しおほむめのとなとやう
  のおいしらへ累人/\そいてやこのありさ満ひとゝころ
  こそめて多个れめさ万しきことはありなむ可しとう
  ち万せておもふもあり个る女宮者いとら(ら=
ラ)う多个尓お
  那きさ満尓てしつらひなとのうと(うと=
コト)/\しくよ多遣く
0116【よたけく】-コト/\シキ心
  うるハしき尓みつ可らはなもなくもの者可那き
  本と尓ていとそ可ちにみもくあえ可那里ことに者
0117【みもなく】-チイサキ女房也
  ち那ともし者す堂ゝちこのおもきらひせぬちし
  てこゝろやすくうつくしきさ満しへりのみ可とハ
0118【院のみかと】-朱ノコト
  越ゝしくすくよ可那る可多のさえなとこそもとな」(45オ・1065⑭)
0119【御さえなと】-無学ナル也

 

者し万すとよひとおもひ多めれお可しき寿ち

万めきゆへ/\しき可多は尓満さりつるを
  なとて可くおひら可尓おほし多て个むさるはいと
  御心とゝめつるみこときゝし越とおもふもな満くち
  越し个れと尓く可らす多て万つ里多満ふ多ゝ
  きこえ万ゝ尓なよ/\と登那ひきいらへなとを
  もほえ个ることはい者个なくうちのて(給て$
多万ひ)いてゝ
  ゑみ者那多すみえむ可しのら満し可はう多
  てとりせ万し越い万ハよのをミ那さ満/\尓お
  もひな多らめてとあるもかゝるもき者ゝ那累ゝことは」(45ウ・1066⑥)

 

  可多きものなり遣りとり/\尓こそおほゆれ(ゆれ$)うはあり
  个れよそのもひハいとあら満本しき本と那りかしと
0120【よそのおもひ】-女三ハヨソカラハヨキト思サント也
  おほすにさしならひめ可れすみ多て万つへるとし
  ころよりも多いのうへのありさ満そな越あり可多く
  われな可らもほし多て个りとおほす飛とよの本と
  あし多の万もこ飛しくおほつ可なくいとゝしき御心
  しの万さる越なと可くおほゆらんとゆゝしき万てな
  むのみ可とはのうちにてらにうつろひひぬ
  このゐんにあハれなるせうそこともきこえひめ
0121【このゐんに】-源ヘ
  の御事ハさらなり可ゝり(可ゝり$わつら者しくい可尓きくところやなと者ゝかり)こと那くてとも可くも多ゝ御心」(46オ・1066⑬)

 

  尓かけてもてなへくそ多ひ/\きこえ个るさ
  れとあ者れ尓うしろめ多くおさなくおハするを
  おもひきこえ个りむらさきのうへ尓もせうそこ
  ことにありおさ那きち那きさ満尓てうつろひ
0122【おさなき人】-文詞
  ものすらんをつミなくおほしゆるしてうしろみ
  多つねへきゆへもやあらむとそ
0123【たつね給へきゆへも】-紫ト女三トユカリト也
    そむき尓しこのよにのこるこそいる
  ちの本多しなり个れやみ越(+
え)者るけてきこゆるも
  おこ可万しくやとありおとゝもてあハれなる
  うそこ越可しこまりきこえへとて可ひ尓も女房」(46ウ・1067⑥)

 

  して可者らけさしいてさせてしひさせ給御可へりハ
  い可ゝなときこえ(+
尓)くゝおほし堂れとこと/\しくおもし
  ろ可るへきおりのこと那らねハ多ゝ越のへて
    そむくよのうしろめ多くも(も
者)さり可多き本多し越
  しひて可遣者那れそなとやうにそあめりし
  者う(者う$
のさ)うそくに本そな可そへてかつけ給御てなとの
  いとめて多きを院御覧してな尓こともいと者つ可し遣
  な免るあ多りにい者けなくてみえらむこといとくる
  しうおほし多りい万者とて女御かうい多ちなと越
0124【いまはとて】-朱ノ寺入キコト草子地也
  の可しゝわ可れあハれなること那むおほ可り遣る」(47オ・1067⑬)

 

  ないしの可むのきみハこきさいの能お者し万しゝ
  条
尓そ寿ミひめこと越ゝきてハこの御事
  越なむ可へりみ可ちにみ可ともおほし多り遣るあ万尓
  なりなむとおほし堂れとかゝるき本ひ尓はし多ふ
  やうにあ者多ゝしくといさめ多満ひてやう/\本とけの
  御事といそ可せ給六条のおとゝハあハれ尓あ可すのミ
  おほしてやみ尓しあ多りなれハとしころもわ春れ可
  多くい可ならむおり尓多いめあらむい万ひと多ひあひミ
  てそのよのこともきこえ満本しくのミおほしわ多るを可多
  み尓よのきゝみゝも者ゝ可りへきみの本とにいとおし」(47ウ・1068⑥)

 

  遣なりしよのさ者きなともおほしいてるられハ
  よろつ尓つゝ春すくし个る越可うのとや可尓な
  てよのひしつ万里給覧ころ本ひの
  ありさ万いよ/\ゆ可しくもと那个れハある万しき
  とはおほしな可らおほ可多の
)とふらひ尓ことつ遣て
  あハれなるさ万につね尓きこえわ可/\し可るへき
  阿者ひならねハ可へりもとき/\尓つけてきこえ可者し
  む可しよりもこよ那くうちくしとゝのひ(+
者)て尓多る
  遣者ひ越見給尓もしのひ可多くてむ可しの中納言のき
  み能もとにもふ可きことゝも越つね尓の可ののせう」(48オ・1068⑬)

 

  と那るいつ見能さきの可みをめしよせてわ可/\しく
  い尓しへ尓可へりて可多らひ給人てならてものこし尓
  きこ江志ら寿へきこと那むあるさりぬへくきこ江な
  ひ可していみしく志のひて万いらむいまはさやうの
  ありきもところせきの本とにおほろ遣ならすし能
  ふれハそこ尓万多尓者もらしハしとおもふ尓
0125【そこにも】-朧ノコト
  可多み尓うしろや寿くなむとの多まふ可むのきみ
  いてやよのひしる尓つ遣てもむ可しよりつら
  きこゝろをこゝらおもひ(+
志)つめつるとしころ(+の)者てに
  あハれ尓可なしき御事越さしをきてい可なるむ可し」(48ウ・1069⑤)
0126【かなしき御事】-朱ニ別給コト

 

可多り越可きこえむけ尓ハも里き可ぬやうありとも
  と者むこそいと者つ可しかるへ个れとうちなけ
0127【心のとはむこそ】-\<合点>なきそと尓ハいひてありなまし/のとハゝい可ゝこ多へん(付箋03
  きさらにある満しきよし越のミきこゆい尓
0128【いにしへ】-源詞
  しへわ里な可りしよに多尓可ハしハぬことにも
0129【わりなかりし】-弘徽殿ノコト
  らさ里し越个尓そむきぬる多めうしろめ多き
0130【うしろめたき】-朱ニ対ノコト
  やう尓はあれとあらさりしことにもあらねハい万し
  も个さや可尓きよ万者りてたち尓しわ可那い万
0131【たちにしわかな】-\<合点>むらとりの多ち尓しわ可いま/佐ら尓/ことなしふとも志るしあらめや(付箋04
  さらにとり可へしへき尓やとおほしおこしてこの志の
0132【しのたのもり越】-\<合点>
  多のもり越みちのしるへ尓て万うて給女君尓はひ
0133【女君】-紫
  む可しの尓ものするひ多ちのきみのひころわつら」(49オ・1069⑫)

 

  ひて飛さしくなり尓个るをも能さハ可しき万き
  れ尓とふらハねハいとおしくてなむ飛るなとけさ
  や可にわ多らむも飛んなき越よの万にし能ひて
  となむおもひ者へる飛とにも可くともしら勢しと
  きこえていとい多く个さうしをれい者さしも
  者ぬあ多り越あやしとみておもひあハせ
0134【あやしとみ給て】-紫
  こともあハ(ハ$)れとひめ御事能ゝちハな尓こともい
  と春きぬる可多のやう尓はあらすすこしへ多つ
  ひてみしらぬやう尓てお者すそのひハしむ殿へもわ
  多り者てふミかき可ハし多きものなとに越い」(49ウ・1070③)

 

  れてくらしよひすくしてむつましきのかきり
  四五人者可りあしろくる満のむ可しおほえてやつ
  多る尓ていていつみの可ミしてせうそこきこえ
  かくわ多りおハし万したるよしさゝめきゝこゆれハお
  とろきてあやしくい可やうにきこえ多る尓可とむつ
  可りへと越可しやか尓て可へし多て万つらむにいとひ
  むなう者へらむとてあな可ちにおもひめくらして
  いれ多て万つとふらひなとに(に$
)きこえてたゝこゝ
  もと尓ものこし尓てもさらにむ可しのある満しき
  とはのこらすなりに个るをとわ里なくきこえ」(50オ・1070⑪)

 

  へはい多くな个く/\ゐさりいてへりされハよ个ち
0135【されはよ】-源心
0136
【猶】-ナヲ
  可さハと可つほさる可多ミにおほろ遣ならぬ
  見しろきなれハあハれもすく那可らすひん可しの
  多いなり个り多つミ能可多の飛さし尓春ゑ多て万
  つりてみさうし能しり(+
ハ可り)ハ可多め多れハいとわ可や可な
0137【いとわかやかなる心ち】-源心
  るちもする可那としつもり越も万きれな
  可そへらるゝ那らひ尓(+
かく)おほし(し$)め可しきはいみし
  うつらくこそとうら見きこえ給夜い多くふ遣ゆ
  く多満もにあそふ越しのこゑ/\なとあ者れ尓きこ
  江てしめ/\とめすくなきうちのありさ」(50ウ・1071③)

 

  万もさもうつ里ゆくよ可那とおほしつゝくるにへい
  かまねならねと万ことになミ多もろ尓なむむ可し
  に可者りておと那/\しく者きこえ能可らこれ
0138【これをかくてやと】-障子ヲアケントスル也
  を可くてやとひきうこ可し
    としをな可尓へ多てゝあふさ可能さもせ
0139【とし月を】-源
  き可多き(き$く)おるなミ多可
    なミ多のミせきとめ可多きしみつ尓てゆき
  あふみちハゝやく堂えにきなと可遣者那連きこえ
  へとい尓しへをゝほしいつるも多れ尓よりおほう
  はさるいみしきこともありしよのさ者きそハ(ハ$
)と」(51オ・1071⑨)

 

  おもひいて尓个尓いまひと多(+ひ)の多いめむハありも
  すへ可り个りとおほしよ者るもゝとよりつしや可な累
  ところハおハせさりしのとしころハさ満/\尓よの
  をゝもひし里きし可多越くやしくおほや遣わ多く
  しのことにふれつゝかすもなくおほしあつめていと
  い多くすくし尓多れとむ可しおほえ多る多いめ
  む尓そのよ能こともとを可らぬちして江よ可らぬ(可らぬ$
くも)
  もてな者すらう/\しくわ可うなつ可しく
  てひと可多ならぬよのつゝ万しさ越もあハれをも
  もひミ多れてなけき可ち尓てものし个しき」(51ウ・1072①)

 

  なとい万者しめ多らむよりもめつらしくあハれ
  尓てあ遣ゆくもいとくち越しくていて者むそら
  もしあさ本ら遣の多ゝならぬそらにもゝちとり能こゑ
  もいとうらゝかな里者那者みなちりすきてなこり可
  すめるみ(み$
)寿ゑのあさみとりなるこ多ちむ可しふち
  の江んししこのころ能ことなり个り可しとおほし
  いつるとしのつもり尓个るほともそのおりのこと可き
  つゝ个あ者れ尓おほさる中納言のきみゝ多て万つりを
  くるとてつ万(+
と)をしあ遣多る尓多ちかへりてこの
  ふちよい可尓そめ个むいろ尓可えならぬそ布尓」(52オ・1073⑧)

 

  本ひ尓こそい可て可この可遣越者多ち者那るへきとわ里
  那くいて可て尓おほしや春らひ多里き者よりさし
  いつるひの者那や可なる尓さしあひめも可ゝやく
  ち春るさ満のこよなくねひく者ゝりへる遣ハ
  ひなと越めつらしく本とへてもみ多て万つる者万し
  てよのつねならすおほゆれハさる可多尓てもなと可
  多て万つりすくし者さらむみやつ可へ尓も可
  き里ありてき者ことに者那連こともな可りし越
  こよろつをつくしひよ可らぬよ能さ者き」(52ウ・1072⑭)
0140【こ宮】-弘徽殿

 

に可ろ/\しきさへひゝきてやみ尓しよなとお
  ひいてらるなこりおほくのこりぬらん可多り
  のとちめ(+
)ハけ尓のこりあら勢ま本しきわさなり(り$め)
  るを御身心尓え万可せ万しくこゝらのめも
  いと越そろしくつゝ万し个れハやう/\さしあ可りゆく
  尓あ者多ゝしくてらうのとにくる万さしよせ
  堂る人/\し能ひてこわつくりきこゆめして
  可能さき可ゝり多る者那ひと江多おらせへり
    しつみしもわ寿れぬものをこり春満尓
0141【しつみしも】-源
  な个つへきやとのふちな見」(53オ・1073⑥)

 

  いとい多くおほしわつらひてよりゐへる越くる
  しうみ多て万つる女君もい万さらにいとつゝましく
  さ万/\尓おもひみ多れつ(つ$
へ)る尓者那の可遣ハなをな
  つ可しくて
    みをな个むふちも万ことのふちならて可遣
0142【みをなけむ】-朧
  しやさらにこりす万のなミいとわ可や可なるふる
  万ひをな可らもゆるさぬ尓おほしな可らせき
  もりの可多可らぬ多ゆミ尓やいとよく可多らひをきて
  いてその可ミもよりこよ那くとゝめておもふ
  へりし御心さしな可ら者つ可尓てやみ尓し可らひ」(53ウ・1073⑫)

 

  尓ハい可て可ハあ者れもすく那可らむいみしく新のひ
  いりへるおほんねく多れのさ満を万ちうけて女君
  さ者可りならむとつれとおほめ可しくもてな
  てお者春な可/\うち布すへなと志へらむよりも
  くるしくなと可くしも者那ちつらむとおほさ
0143【見はなち】-紫ノミハナチ給テハト也
  るれハありしより遣にふ可きちきりをのミな可きよを
  可遣てきこえ可むのきみの御事もらすへきな
  らねといにしへのこともし里へれハ万本尓はあらねと
  ものこし尓者つ可な里つる多いめなんのこりある
  ちするい可て飛とめと可めある万しくもて可くしてハ」(54オ・1074⑤)

 

  い万ひと多ひもと可多らひきこえうちわらひていま
0144【うちわらひて】-紫
  め可しくも里可へるありさ万可那む可し越い
0145【むかし越いまに】-\<合点>い尓しへの志つのを多満支くり/し/む可しを尓なすよしも可な(付箋05
  万尓あら多め(+く)は(は$ら)へ本とな可そらなるのためくるし
  くとてさす可になミ多く見堂万へる万みのいと
  らう多け尓みゆる尓可うやす可らぬ个しきこそ
0146【かう心やすからぬ】-源
  くるし个れ多ゝおひら可尓ひきつミなとして越し
  へ多まへゝ多てあるへくもらハしきこえぬをおも
  者寿尓こそなり尓个る御心れとてよろつ御心
  りほと尓な尓こともえのこしハすなりぬめ里
  可多尓もとみ尓えわ多りハすこしらへきこ」(54ウ・1074⑪)

 

  江つゝお者し万すひめ者な尓ともおほし多ら
  ぬをうしろミともそやす可らすきこえけるわつ
0147【わつらはしう】-心 女三ノコト
  者しうなとみえ个しきならはそな多も万し
  てくるし可るへきをお(+
い)ら可尓うつくしきもてあそ
  ひくさ尓おもひきこえへりきりつ本の可多ハうち
0148【きりつほの御方】-明石中宮
  者へえ満可てハすいと満のあり可多遣れハや寿く
  ならひへるわ可き御心尓いとくるしくのミおほし多
  りなころなや満しくしをとみ尓もゆるしき
0149【なやましくし給】-明石中宮御懐妊
  こえ者ねハいとわ里なしとおほ寿めつらしきさ
  万の御心ち尓そあり个る万多いとあえ可なるおほむ本と」(55オ・1075④)

 

  にいとゆゝしくそ堂れも/\もおほすらむ可し可ら
  うして万可てへりひめのお者し万すおとゝのひむ
0150【ひめ宮】-女三
  可しおもて尓可多ハ志つらひ多りあ可しの御方いま者
  御身尓そひていていりあら満本しき寿くせ
  なり可し多いのうへ尓(尓$
)こ那多にわ多りて多い免し
  ついてに日め尓もとあ遣てきこえむ可ねて
  よりもさやうにおもひし可とついてなき尓ハつゝ万し
  きを可ゝるおりにきこえ者(者$
)那連なや寿くなむあ累
  へきとおとゝにきこえ多万へハうちゑみておもふやうなる
0151【うちゑみて】-源
  へき可多らひ尓こそ盤あなれいとおさ那遣尓もの」(55ウ・1075⑩)

 

  しめる越うしろやすく越しへなへ可しとゆ
  るしきこえ給宮よりもあ可しのきみ(+
の)者つ可し遣
0152【宮より】-紫心
  尓て万しらむをお本せはくしす万しひきつ
  ろひておハする多くひあらしとへりおとゝハ
  可多にわ多りてゆふ可多可の多い尓者へるのし
0153【宮の御かた】-女三
  けいさに多いめんせんとていて多つそ能ついて尓ち可つ
  きこえさ勢万本し遣にもの寿める越ゆるして可多らひ
  とはいとよきり万多わ可/\しくてあそひ
  可多き尓もつきな可らすなむなときこえハつ可し
0154【はつかしうこそ】-女三
  うこそハあらめな尓こと越可きこえむとおひら可尓能」(56オ・1076③)

 

  給人のいらへハことにし多可ひてこそハおほしいてめへ多
0155【人のいらへ】-源
  てをきて那もてなそとこ万可に越しへきこえ
  給御な可うるハしくて春くしへとおほすあ万りに
  なもなきありさ満をみあらハされむも者つ
  かしくあちきな个れとさの多万者ん越こゝろへ多て
  むもあいなしとおほ寿なり遣り多い尓ハかくいて
  たちなとし能可らわれより可みのやは阿
  るへきの本となるものハ可那きさ万越みえ越き
  多て万つり堂る(+
ハ可り)こそあらめなとおもひつゝ遣られ
  てうちな可免てならひなとする尓も越のつ可ら」(56ウ・1076⑨)

 

  ふることもゝのおも者しきすち(+ニ)のミかゝるゝ越さらハ
  わ可尓ハおもふことあり个りと可らそおほし
  しらるゝわ多り宮女御のきみなとのおほさ(さ$

  むさむ(さむ$
)さ万とも越うつくしうもハする可那とさ
  万/\み多て万つへるめうつし尓ハとしころ
  めなれへるのおほろ遣ならん可いと可くおとろい(い#

  かるへき尓もあらぬをな越多くひなくこそはとみ
0156【たくひなく】-紫ヲ源ノ心
  あり可多きり可しあるへきかきり遣多可う者つ
  し遣にとゝのひ多る尓そひてハ那や可尓い万め可しく
  尓本ひな万めきたるさ満/\の可ハ(ハ$
を)りもとりあつめゝて」(57オ・1077②)

 

  多きさ可りにみえ多満ふこそよりことしは万さり
  き能ふよりハ个ふハめつらしくつね尓めなれぬさ
  まのし多万へるをい可てかくしもあり遣むとお
  すうちとけた里つてならひをすゝりのし多ニ
0157【うちとけたりつる】-恨給コト
  さしいれ多万へれとみつてひき可く(く=へ)しみ
  てなとのいとわさともすとみえてらう/\しく
  うつくし遣に可きへり
    みにち可くあきやきぬらんみる万ゝ尓あ越
0158【みにちかく】-紫
  ハのうつろひ尓个りとあるところ尓めとゝめ
  て」(57ウ・1077⑧)

 

    みつとりのあをハゝいろも可ハらぬを者きの
0159【みつとりの】-源
0160
【はき】-萩
  多こそ个しきことなれなと可きそへつゝすさ
0161【けしき】-紫ノコト
  ひことにふれてこゝろくるしき遣しきのし
  多尓はをの可らもりつゝみゆるをことなく个ち
  堂満つるもあり可多くあハれ尓おほさるこよひハ
  いつ可多にもいと満ありぬへ个れ者かのし能ひとこ
0162【かのしのひこと】-朧
  ろ尓いとわ里なくていてひ尓个りいとあるましき
  ことゝいみしくおほし可へ春尓も可なハさり个り
  東宮可多ハ志ちの者ゝきみよりもこ能可多越ハ
0163【東宮の御かた】-明石中宮
0164
【この御かた】-紫
  むつましきもの尓多のミきこえへりいとうつ(+く)し」(58オ・1078①)

 

  遣におとなひ万さり多万へるをゝもひへ多て寿か
  なしとみ多て万つ給御能可多りなといとな
  可しくきこえ可ハし多万ひてな可のとあ遣てみ
  や尓も多いめんしへりいとおさな个尓のミみえへハ
  やすくておと那/\しく越やめきたるさ万にむ可し
  のすちをも多つねきこえ給中納言のめのとゝいふめ
0165【御すち】-イトコノ心
0166
【中納言のめのとゝいふ】-紫詞
  しいてゝ越なし可さしを多つねきこゆれハ可多し
0167【越なしかさし】-\<合点>
  遣な个れとわ可ぬさ万にきこえさ寿れ者(者$と)ついてな
  て者へりつるをいまよりハうと可らすあ那多なとに
  もゝのしてをこ多らむことはおとろ可しなとも」(58ウ・1078⑦)

 

  ものし堂ま者むなむうれし可るへきなとの
  まへは堂のもしき可遣とも尓さ満/\尓をくれきこ
0168【たのもしき】-メノト詞
0169
【御かけ】-母宮コト
  江多万ひて本そけ尓お者し万すめるをかゝる
  ゆるしの者へめれハま春ことなくなむおもふ多万へられ
  遣るそむき尓しうへの御心む个も多ゝ可くな御心へ多
  てきこえハすま多い者个なありさ万をも者く
  くみ多て万つらせへくそ者へめりしうち/\尓もさ
0170【うち/\にも】-メノト詞
  なむ多のみきこえさせしなときこゆいと可多し
0171【いとかたしけなかりし】-紫詞
  けな可りしせうそこのゝちハい可てとのミおもひ
  れとな尓ことにつ遣ても可すならぬ
)なむくち」(59オ・1078⑬)

 

  越し可り个るとやすら可におとなひたる个者ひ尓て
  尓も御心尓つきへくゑなとのことひゐなの寿て
  可多きさ満わ可や可尓きこえへハ遣にいとわ可く
  よけなる可那とおさな御心ちにハうちと遣
  へりさてのちハつね尓ふミ可よひなとしてお
  かしきあそひわさなとにつけてもうと可らすき
  こ江可ハしよのな可のもあいなう可ハ可りに
  なりぬるあ多りのことはいひあつ可ふものなれハ
  者しめつ可多ハ多いのうへい可尓おほ寿らむを本
  江(江=
え)いとこのとしころのやう尓はお者せしすこしハ」(59ウ・1079⑤)

 

  おとりなんなといひ遣るをいますこし布可き
  御心さし可くてしも万さるさ満なる越それ尓
  つ遣ても万多やす可らすゆ(ゆ$
い)ふ人/\ある尓かく尓
  く遣なくさへきこえ可ハしへハことなりてめ
  や寿くなんあり遣累可ミなきに多いのうへ
0172【なんありける】-]<朱段落符号>
  の御賀尓さ可能ゝみ多う尓てやくし本と遣くや
  うし堂て万つい可めしきことはせちにいさめ
  申給へハし能ひや可尓とおほしをきて多り本と遣
  者こちすのとゝのへ万ことのこくらくおもひやら累さい
  そうわうこむ可う者む尓やすみやうといと」(60オ・1079⑪)

 

  ゆ多けきいのりなり可む多ちめいとお本く万いり
  へりみ多うのさま越もしろくい者ん可多な
  もみちの可遣わけゆくのへの本とより者しめて
  みものなる尓可多へハき本ひあつ万りなるへし
  しも可れわ多れる能ハらの万ゝ尓う万くるまのゆき
  ち可ふをとし遣くひゝき多り寿われも/\と
  可多/\い可めしくせさ勢多満ふ廿三日としみの
  ひ尓てこの者可くすき万なくつとひ多満へるう
  ち尓わ可わ多くしのとのとおほ寿二条尓て
  その万う遣勢させ給御さうそく越者しめおほ」(60ウ・1080④)

 

  か多のことゝもゝみなこな多尓のミし給御可多/\もさる
  へ(つ&
へ)きことゝもわ遣つゝのそみつ可うまつり多いとも
0173【たいとも】-二条院ノコト
  のつ本年/\尓したる越者らひて殿上人諸大夫
  し志も万ての万うけい可めしくせさせ多万
0174【院し】-六条院ノ院司也
  へり心殿能者那ちいて越連いのしつらひ尓てらてん
  のいし多てた里おとゝの尓しの万にそのつくゑ
  多てゝなれ(れ$
)ふゆ能よそひふ春満なとれいのこと
  くむらさきのあやのおほひともうるわしくみえわ多
  りてうちのこゝろ盤あらハならす万へ尓をきものゝつ
0175【をきものゝ】-御服ヲヽク也
  ゑ布多つから)のち(ち=らイ)の春そこのおほひし多り可さし能多い」(61オ・1080⑩)

 

  はちむのくゑそくこ可ねのとりしろ可ねの江多尓
  ゐ多る者へなと志遣いさのあつ可り尓てあ可し
  能可多の勢させへるゆへ布可くことなりうしろ
0176【御かた】-中宮
  の御屏風四帖ハ(ハ&ハ)しき布卿宮なむ勢させ遣る
  いみしくつくしてれいの四季のゑなれとめつらしき
  せんすい多んなとの(の$
め)なれすおもしろしき多のかへ尓
0177【たんなと】-庭ノタン也
  そへてをきもゝみつしふ多よろひ多てゝてう
  とゝもれいのことなりミ那ミのひさし尓かむたちめ
  左右大臣志き布卿宮を者しめ多て万つ里」(61ウ・1081②)

 

  てつき/\はまして万いり者ぬしふ多いの
  かく能ひら者りうちてにし飛ん可し尓とんし
  き八十くろくの可らひつ四十ゝつゝ遣て多て多里
0178【十】-ジフ
0179
【ろく】-禄
  飛つしのとき者可り尓可くまいる万んさいらく
  わ(わ&
わ)う志やうなとまいてひくれかゝる本とにこ満のらん
0180【わうしやう】-皇麞
0181
【らんしやう】-乱声
  しやうしてらくそん万いゝて多る本とつねのめな
0182【らくそん】-落蹲
  れぬ万ひのさ満なれ者万ひ者つる本と尓権中納言
0183【権中納言】-夕
  ゑもんの可みおりてい里あやを本の可に万ひても見
0184【ゑもんのかみ】-柏
  ちの可遣尓い里ぬるなこりあ可す遣うありと人/\」(62オ・1081⑦)

 

  おほし堂りい尓しへの春さく行幸尓せい可い
  者のいみし可りしゆふへおもひいて給人/\権中
  納言衛もんの可みとらす多ちつゝき尓遣累
  よのおほえありさ満可多ち(+
ようい)なともおさ/\おとらす
  つ可さくら井ハやゝすゝみてさへこそなとよ者ひの
  本とをも可そへてさるへき尓てむ可しよりかく
  堂ちつゝき多累御中らひなり个りとめて多く
  あるしのあ者れ尓なみ多く満しくおほしいて
  らるゝことゝもおほ可りよにい里て可くとも万かりいつ」(62ウ・1081⑬)

 

  き堂の万むところのへ多うともひと/\ひきゐて
0185【きたのまむところ】-紫上ノコト
  ろく能可らひつ尓よりて飛とつゝつとりてつき/\
  しろきも能ともをしな/\可つきてき者より
  い遣のゝ春すくる本と能よそめハちとせ越ねて
0186【ちとせ越かねて】-\<合点>
  あそふ(つるのけ
万可へらるあそひ)者し万里ていとおもしろしことゝも
  は春宮よりそとゝ能へさせ个る朱雀院よりわ多
  り万いれるひわきむうちより者りへるさうのこと
  なとミ那む可しおほえ多るものゝねとも尓てめつらし
  く可きあハせへる尓な尓能お里にもすきにしか多」(63オ・1082⑤)

 

  のありさ満うちわ多里なとおほしいてらる故入道
  者せ万し可はかゝる可なとわれこそすゝみつ可
0187【われこそすゝみつかうまつらましか】-薄雲ハ源氏ヨリ御アネ也
  う万つら万志可は(は$)な尓ことにつ个てかはさしもみえ
  多て万つり遣むとあ可すくちおしくのミおもひい
  てきこえうちにも故宮のお者し万さぬこと越な
  尓ことにも者え那くさう/\しくおほさるゝ尓この
  のこと越多にれいのあと越阿るさ満の可しこ万りをつ
  くしてもえみせ多て万つらぬをよとゝも尓あかぬ
  ちしことしハこの御賀にことつ遣てみゆきなとも」(63ウ・1082⑪)

 

  あるへくおほしをきて个れとよのな可のわつらひ
  ならむことさらにせさせ万しくなむといな
  申給こと多ひ/\尓なりぬれハくちおしくおほし
  と万りぬしハすの者つ可あ万りの本とに中宮万可て
  させてことしのゝこりのいのりにならの七大
  尓み寿
)ぬの四千収このち可きみやこの四十寺
0188【四千収】-四千段
  きぬ四百疋をわ可ちてせさせあり可多き者くゝみ
  越お本しゝりな可らな尓ことも(も
尓)つ遣ても(も可)ふ可き御心
  しをもあらハし御覧せさせ者むとてちゝ」(64オ・1083③)

 

  者ゝ寿のお者せまし多め能さしをも
0189【はゝ宮す所の】-秋好ノ心
  とりそへおほ寿に可くあな可ちにおほや遣尓
  もきこえ可へさせへハことゝもほくとゝめさせ
  つ四十といふことはさき/\越きゝ者へる尓もの
  こりのよ者ひゝさしきためしなむ寿く那可里遣
  るをこ能多ひハよのひゝきとゝめさせて万ことに
  のちに多らむこと越可そへき可(き可$
さ)せへとあり个れとお
  ほや遣さ満尓ていとい可めしくなむあり遣る
  おハし万す万ちの心殿しつらひなとしてさき/\」(64ウ・1083⑧)

 

  尓こと可ハらす可む多ちめのろくなとたいきやうにな
  すらへてみこ多ちにハことにさうろ(ろ=
ソ)くひき能
  四位万うちきむ多ちなとの(の$
)堂ゝの殿上人尓はしろ
  き本そな可ひと可さねこしさしなと万てつき/\尓多(多#

0190【こしさし】-絹
  多満ふさうそく可きりなくきよら越つくしてな
  かきお者可しな故前坊可多さ満尓てつ
0191【御はかし】-太刀コト
  者り万いり多るもあハれ尓なむふるきよの
  ものとなある可きりハみなつとひ万いる御賀尓な
  あめるむ可しも能可多りにもゝのえさせ多るを可しこ」(65オ・1083⑭)

 

  きことにハ可そへつゝ个多めれといとうるさくてこ△△△△ち多)
  き可らひのことゝも(+
者)江そ可そへあへ者へらぬや
  にハおほしそめてしことゝも越む个尓やハとて中納言
  尓そつ个させて遣るそのころの右大将や万ゐし
0192【つけさせ給て】-仰付ラルヽ也
  てしゝ个るをこの中納言御賀の本とよろこひく
  者へむとおほしめして尓者可になさせ
  ろこひきこえさせの可らいと可く尓者可にあ万る
  よろこひをなむいち者やきちしとひ遣し
  うしとらの万ちにしつらひ万うけて可くろへ」(65ウ・1084⑥)

 

  たるやうにしなつ(つ=へ)れと遣ふハなを可多ことに
  きしき万さりてところ/\のきやうなともくらつ
  可さこくさうよりつ可う万つらせへりとんし
  きなとおほや个さ万尓て頭中将せんしうけハりて
  みこ多ち五人左右とゝ大納言ふ多り中納言三人さい
  将五人殿上人者れいの内東宮院のこるすくな
  おましてうとゝもとはおほきおとゝくハしくうけ
  ハりてつ可う万つらせへり个ふハおほせことあり
  てつ可う万つらせ(つ可う万つらせ$
わ多り万いり)へりゐんもいと可しこくおとろ」(66オ・1084⑫)

 

  き申給さ尓つきぬもやのさにむ可へて越
  とゝ能さありいときよらにもの/\しくふとりてこのおとゝ
  そい万さ可りのしうとくとハへるあるしの
  いとわ可きしのきみ尓みえ給御屏風四帖尓う
  ちのてかゝせへる可らのあやのうす多ん尓志多ゑの
0193【うすたん】-ウスタミノコト
  さ満なと越ろ可ならむやハおもしろき春秋つくりゑ
  なとよりもこの御屏風の春見つきの可ゝやくさ万ハ
  めもをよ者春おもひなしさへ(く&
へ)めて多くなむあり遣累
  越きも能ゝミつしひきふきとくら人所より」(66ウ・1084④)

 

  者りへり大将いきをひいとい可免しくな
  多れハうちそへて个ふのさ本ういとことなむ万四十
  疋左右む万つ可さゑふ(ふ=
ウ)の官人可みよりつき/\尓
  ひきとゝのふる本と飛くれ者てぬれいの万んさいら
  くかわうおんなといふ万ひ遣しき者可り万ひて
  おとゝのわ多りへる尓めつらしくもて者やし
  へるあそひ尓ミ那人心をいれへりひわハれいの
  兵部卿宮尓ことにもよに可多きもの寿にお
  者していとになしお万へ尓きむのことおとゝわこむ」(67オ・1085⑩)

 

  ひきとしころそひ尓个るみゝのきゝな
  尓やいというにあ者れ尓おほさるれハきむも
0194【きむ】-院ノコト
  おさ/\可くし者すいみしきねともいつむ可しの
  の可多りともなといてきてい万者多かゝるな可
  らひ尓いつ可多につ遣てもきこえ可よひへき
  むつひなよくきこえみきあ万多ゝひ
  万いりても能ゝおもしろさもとゝこ本りなゑひ
  なきとも江とゝめハすをくりもの尓すくれ多累
  わこむひとつこのみこ万ふ江そへて志多んの」(67ウ・1086①)

 

  者こ飛とよろひ尓からのともこゝ能さうの
  なといれてる万尓をひて多て万つれ給御む万
  ともむ可へとりて(+
の)つ可さとん(ん=も)こ万の可くしてのゝし
  る六衛ふの官人のろくとも大将(+
多万ふ)御心とそき
  い可めしきことゝもはこの多ひとゝめへれと内東宮
  一院きさいのつき/\のゆ可りいつくしきほといひ
0195【一院】-朱ノコト
  志ら寿みえに多ることなれ盤なを可ゝ累おり尓ハめ
  て多くなむおほえ个る大将多ゝひとゝころお
  する越さう/\しく者えなちせし可とあ万多」(68オ・1086⑦)

 

  の尓寿くれおほえこと尓可らも可多ハらなきや
  うにも能し尓も可能者ゝき多の可多のいせのみや
  春とのうらみ布可くいとみ可ハし个む本との寿
  くせとものゆく春ゑえ多るなむさ満/\なり个る
  そのひのさうそくともとこ那多のうへなむし
0196【こなたのうへ】-花チル里
  个るろくともおほ可多のことをそ三条のき多の
0197【三条のきたのかた】-雲ゐ
  たハいそきめりしお里ふし尓つ遣多るいとな
  うち/\のものゝきよら越もこな多にハ多ゝよそのこと尓
0198【こなたに】-花チル
  のミきゝわ多り越な尓ことにつけて可はかゝるもの/\」(68ウ・1086⑬)

 

  しき可寿にも万しらひ者万しとおほえたる
  を大将のきみのゆ可りにいとよく可す万へられ
  りとし可へりぬき里つ本の可多ち可つきぬる尓
  より正月つい多ちよりみす本うふ多んにせさせ
  ら/\やしろ/\のいのりハ堂(ハ堂$
者多)可すもしらすおとゝの
  きみゆゝしきことを見給へてし可は可ゝる本とのこと
0199【見給へて】-葵ノコト
  いとおそろしきもの尓おほしゝみ多るを多いのうへ
0200【たいのうへ】-紫ヲツヰ子ヲウミ給ハス
  なとのさることしハぬハくち越しくさう/\しき
  も能可らうれしくおほさるゝ尓万多いとあえ可那る」(69オ・1087⑤)
0201【またいとあえかなる】-明石姫君十四ナリ

 

本とにい可にお者せむと可ねておほしさ者くに
  二月者可りよりあやしく个しき可者りてなやみ
  御心ともさわくへしみやうしともゝところを
  可へてつゝしみへく个れハ本可のさし者那れ
  多らむ者おほつ可なしとて可能あ可しの万ちの
  な可能多い尓わ多し多てまつこ那多ハ堂ゝお
  きなる多いふ多つらうともむめくりてあり遣る尓
  み春本うの多んひ万なくぬりていみしき个むさ
  ともとひて能ゝしる者ゝきみこ能ときにわ可」(69ウ・1087⑩)

 

  すくせもゆへきわさなめれ盤いみしき
  つくし可のほあ万きみもい万ハこよ那き本
  遣尓てそあり遣む可しこのありさ万を
  て万つるハゆめのちしていつし可と万いりち可つき
  なれ多て万つるとしころハゝハ可うそひさふらひ
  へとむ可しのことなと万本尓しもきこえしらせ
  者さり遣るをこのあ万よろこひ尓え多へて万いり
  てハいとなミ多可ちにふるめ可しきことゝも越わなゝき
  いてつゝか多りきこゆハしめつ可多ハあやしくむ」(70オ・1088②)

 

  つかしき可那とうち万もし可とかゝるあり
  と者可りハ本のきゝをきへれハな可しくもてな
0202【ほのきゝをき給へれは】-尼ニ初対面
  しへりむ万れし本とのとゝのき(+ミ)の可能う
  らにおハし万したりしありさ万い万ハとて(+
へ)の
  本りし尓堂れも/\を万とハしてい万ハ可き
  り可は可りのちきりにこそハあり个れとな个きし
  越わ可きみの可くひき多す个へる春くせの
0203【わかきみ】-姫君ゆへと也
  いみしく可なしきことゝ本ろ/\となき(き$个)はけ尓あ
  者れなり遣るむ可し能ことを可くき可せさら満し」(70ウ・1088⑧)

 

  可はおほつ可那くてもすきぬへ可り遣りとおほし
  てうちなけ(け$
)き給心のうちに盤わ可ハけ尓う遣ハ
  りていみしかるへきゝ者尓ハあらさり遣るを多いの
  うへのもてなし尓み可ゝれてのおもへるさ万
  なとも可多本にハあらぬなり遣りみ(み$
ひと/\)をハ万多な
  尓おもひて(て$
)个ちこよ那きおこり越者しつ
  れよ飛とはし多にいひいつるやうもありつらむ
  可しなとおほしゝ里者てぬハゝを者もとより可
  くすこしおほえく多れるすちとし里な可らむ万」(71オ・1088⑬)

 

  れ个む本となとをはさるよ者那連多るさ可ひ
  尓てなともし里者さり个りいとあ万りおほと
  きた万へる个尓こそハあやしくお本/\し可り遣る
  ことなりや可能入道のいまは仙人のよにもす万ぬや
0204【かの入道のいまは】-姫君心
  う尓てゐ多なるをきゝくるしくなと可多/\
  尓おもひミ多れぬいとも能あ者れ尓な可免てお
  者春る尓可多万いり日中可ちにこな多可な
0205【日中】-ニツチウ
  多より万いりつとひも能さ者可しくのゝしるにお万へ尓
  ことさ布らハすあ万きみところえていとち可くさふ」(71ウ・1089⑤)

 

  らひあなくるしやみし可き御木丁ひきよせて
0206【あな見くるしや】-明石上詞
  こそさふらひ者めとさ者可しくて越のつ可ら本
  ころひのひ万もあらむにくすしなとやう能さ満し
0207【くすし】-医
  ていとさ可り春きへりやなとな満可多わらい多く
  へりよしめきそしてふる万ふは(は$
と)おほゆめ
0208【そして】-存(存$殺)
  れとももう/\尓みゝも本/\し可り个れ盤あゝと可
  多ふきてゐ多りさるはいとさいふ者可りにもあら
  す可し六十五六本と那里あ万す可多いと可ハら可
  に(+
あてなるさ万してめ徒やゝか尓)なき者れ多るけしきのあやしくむ可しおも」(72オ・1089⑪)
0209【むかしおもひいてたる】-明石上詞

 

  ひいて多るさ満なれ盤むねうちつふれてこ多いの
  飛可ことゝもやりつらむよくこのよの本可なるやう
  なるひ可おほえともにと里万せつゝあやしきむ可し
  のともゝいて万うてきつらむ者やゆめのちこそ
  し者へれとうち本おゑみてみ多て万つりへハいと
  な万め可しくきよら尓てれいよりもい多く志つ
  里ものおほし多るさ満尓わ可こともおほえ
  者春可多しけなき尓いと越しきことゝもをきこえ
  ておほしみ多るゝ尓やい万ハ可者可りとくら井を」(72ウ・1090③)
0210【おほしみたるゝにや】-尼ノイカナルコトヲ姫君ニ申給ト也
0211
【御くらゐをきはめ給はむよに】-国母ニ成給ヲ後ニ尼君ニ対面ト明石上ノ心ニ思シコト也

 

き者め者むよにきこえも志ら勢むとこそ
  おもへくち越しくおほしすつへきにハあらねといと/\
  おしくおとりしらむとおほゆ可ち者てゝ万
  可てぬるにく多ものなとち可く万可なひなしこ
  れ者可り越多にといとくるしけ尓ひ(+
て)きこえ
  万きみハいとめて多ううつくしう多て万つる万ゝ
  尓もなミ多盤えとゝめす可本ハゑみてくちつきな
  とはくるしく飛ろこり多れと万ミのわ多りうち
  しくれて飛そみゐ多りし(し#
)あな可多わらい多とめく」(73オ・1090⑧)

 

  者春れときゝもいれ寿
    おいのミ可ひあるうらに堂ちいてゝし
0212【おいのなみ】-尼
  本多るゝあ万を多れ可と可めむむ可しのよにも
  可やうなる布る盤つみゆるされてな个る
  ときこゆ春ゝりなる可み尓
    し本多るゝあ万越なミちのしるへ尓て多つね
0213【しほたるゝ】-姫
  もハや者満のと万やを御方江し能ひハて
  うちなひぬ
    よをすてゝあ可し能うらに寿むのやミ」(73ウ・1090⑭)
0214【よをすてゝ】-明石上<>

 

盤ゝ累遣しも勢しなときこえ満きらハし
  わ可れ遣むあ可ことも遊めの尓おほしいて
0215【わかれけむあか月のこと】-姫ノ心昔ヲ知給ハヌト也
0216
【中】-ナカ
  られぬをくち越しくもあ里个る可那とおほ寿
0217【おほす】-」<朱段落符号>
  やよひのの本とに多いら可尓む万れひぬ可
  ねてハおとろ/\しくおほしさ者きし可とい多
  くなやみ多満ふことなくておとこみこさへお
  者寿れハ可きりなくおほ寿さ満尓ておとゝも
  御心ちゐひぬこ那多ハ可くれの可多尓てたゝ遣
  ち可き本と那るにい可めしきうふやしなひな」(74オ・1091⑤)

 

  とのうちしき里ひゝきよそ越しきありさま遣
  に可ひあるうらとあ万きみの多め尓はみえ多れと
  きしきなきやうなれハわ多りむとす多いの
0218【わたり給なむと】-源ノコト
  うへもわ多りへりしろきさうそくし
  のおやめきてわ可をつとい多きてゐへるさ万
  いとお可しみつ可らかゝることし里者すのうへ尓
  てもらひ者ねハいとめつら可尓うつくしとお
  もひきこえへりむつ可し遣にお者する本と越多えす
  い多きとりへハ満ことの越ハ者多ゝ万可勢多て万つ」(74ウ・1091⑪)

 

  りてゆとのゝあつ可ひなと越つ可う万つ給春
  せんしなるないしのすけそつ可う万つ
0219【せんしなるないしのすけ】-内侍ヲカネタル宣旨也
  む可へゆ(+尓)おり堂ちへるもいとあハれ尓うち/\の
  ことも本のし里たるにすこし可多本ならはいとを
  し可ら満し越あさ満しく遣多可くけ尓可ゝるち
  きりことにものし个る可那とみきこゆこの本と
  のきしきなともまねひ多てむ尓いとさら那りや
  六日といふ尓れいのとゝにわ多りひぬ七日夜内
0220【れいのおとゝに】-源ノ返給心
  よりもうふやしなひ能ことあり朱雀院可く」(75オ・1092②)

 

  越すてお者し万す可者り尓やくらところよ
  り頭弁宣旨うけハりてめつら可那るさ満尓つ
  う万つれ里きぬなと万多中宮御方よりも
0221【中宮】-秋好
  おほや遣こと尓は多ち万さりい可めしくせさ勢
  つき/\能みこ多ち大臣のいへ/\そ能ころ能いとなみ尓て
  われも/\ときよらをつくしてつ可う万つりとゝの
  きみもこの本と能ことともはれいのやう尓もことそ可せ
  ハてよになくひゝきこち多き本とにうち/\の満め
  可しくこ満可なひの万ねひつ多ふへきふし者め」(75ウ・1092⑧)

 

  もと満ら寿なりに个りおとゝのきみもわ可越本とな
  くい多き多て万つり大将あま多まうけ多
  なる越い万ゝてみせぬ可うら免しきにかくらう多
  き越そ江多て万つりたるとうつくしみきこえ
0222【うつくしみ】-愛心
  こと者りなりや日ゝにもの越ひき能ふるやうにをよ
  春遣給御めのとなしらぬはとみ尓めさてさ布ら
  婦尓しな寿くれ多るかきり越えりてつ可う
  まつらせ給御可多の御心をきてのらう/\しくけ多可く
0223【御かたの御心】-明石上心
  おほと可那るものゝさるへき可多に盤ひ个して尓くら」(76オ・1092⑭)

 

  可にもうけハらぬなと越本めぬし多いのうへハ
  万本ならねとみえ可ハしてさハ可りゆるしなくお
  ほし多里し可とい万ハとくにいとむつ万し
  くやむこと那くおほしなり尓た里ちこうつくしみ
  し給御心尓てあ万可つてつ可らつくりそゝく
  りお者春るもいとわ可/\しあ个くれこのかしつき尓
  て春くしこ(こ=
可)のこ多いのあ万きみハわ可越えのと
  可にミ多て万つらぬなむあ可すおほえ个る中/\み多て
  万つりそめてこひきこゆる尓そいのちもえ多ふ」(76ウ・1093⑥)

 

  まし可免るかのあ可し尓かゝる御事多へきゝてさ(さ$
  さる飛し里ち尓もいとうれしくおほえ个れ盤い
  万なむこのよのさ可ひ越やすくゆき者那るへき
  とてしともにいひてこのいゑをはてら尓なしあ
  多り能とのやう能ものハみなそ能てらのことにし越
  きてこのく尓能おくのこ本りにも可よひ可多くふ
  可きあるをとしころもしめ越きな可らあ志こ
  にこも里なむのち又人尓はみえしらるへき尓
  らすとおもひて多ゝすこしのおほつ可なきこと」(77オ・1093⑫)

 

  のこり个れ者いまゝてな可らへ遣るをい万はさり
  ともと本と个可ミ越多のみてなむうつろひ遣
  るこ能ち可きとしころとなりて者こと那ること
  ならても可よ者し多て万つらさりつこれより
0224【これより】-尼君京ヨリノ使
  く多し給人者可り尓つけてなむひとく多り尓ても
  あまきみさるへきおりふしのことも可よひ遣累
  おもひ者那るゝよのとちめにふミ可きて可多に多
  て万つ連へりこのとしころハおしよの能う
  ち尓めくらひ者へりつれとな尓可は可くな可ら越」(77ウ・1094③)
0225【めくらひ】-廻

 

かへ多るやうにおもふ多満へなしつゝさせること那き
  可きりハきこえうけ者らす可なふミみふるハ
  め能いと満いりて念仏け多いするやうにやくな
0226【いとまいりて】-暇入
  てなせう所こも多て万つらぬをつて尓うけ
  者れ者わ可きみ者春宮に万いりておとこ
  む万れへるよし越なんふ可くよろこひ
  者へるそのゆへ者みつ可らかくつた
)なふし
  の尓い万さらにこのよ能さ可え越おもふ尓も
  者へら寿ゝき尓し可多能としころきたなく」(78オ・1094⑧)

 

  六時と免にも多ゝ御事尓可遣て者ち
0227【たゝ御事越】-明石上ノコト
  寿能うへののね可ひ越はさし越きてな
  ねむし多て万つりしわ可おもとむ万れ者むとせ
0228【わかおもと】-明石上ノコト
  しそのとしの二月能そのよのゆめ尓みしやうみ
  つ可らすみのをみきのて尓さゝけ多り左右
  り月日のひ可りさや可にさしいてゝをてらすみ
  つ可らはのしもの可遣にかくれてそのひ可りにあ多
  らすをはひろきうみ尓う可へをきてち井さき
  ふねにのりてにしの可多越さしてこきゆくとなむ」(78ウ・1094⑭)

 

  者へしゆ免さ免てあし多よりか寿ならぬに多
  のむところいてきな可らな尓ことにつけて可さるい可め
  しきことをハ満ちいてむとうちにおもひ者へし
  越そのころより者ら万れ尓しこな多そゝ(ゝ=
く)能可多の
  ふミ越者へし尓もいけうのを多つぬる
  尓もゆめ越しんのを(のを$
)すへきことおほく者へし可は
  いやしきふところのうち尓も可多しけな
  い多つきたて万つりし可とち可らをよ者ぬ
  おもむき(むき$
布)た万へ可ねてなむかゝるみちにおもむ」(79オ・1095⑤)

 

  き者へり尓しこのくにのことにしつてお
  いのなミにさら尓多ち可へらしとひとちめて
  このうらにとしころし本ともわ可を多のむ
  ことにおもひきこ江者へし可はな飛とつ
  おほくのくわんを多て者へしその可へり
  たひら可尓おもひのこととき尓あひわ可きみく尓
  能者ゝとなりてね可ひみち者むにすみよ
  しのしろを者しめ者多(+
し)申給へさらにな尓
  こと越可はう多可ひらむこのひとつのおもひち可」(79ウ・1095⑩)

 

  きよに可なひ者へりぬれ者者る可に西の可多十万
  のくにへ多てたる九品のうへのゝそ見う多可
  ひなくなり者へりぬれ盤いま者多ゝむ可ふる者
  ちすをまち者へる本とそ能ゆふへ万て水草
0229【水草】-ミツ
  よき春ゑ尓てつとめらむとてなむ万可
  りい里ぬる
    ひ可りいてむあ可ち可くなりに个りい万そみ
0230【ひかりいてむ】-入道
  しよのゆ免か多り春るとて月日可き多りいの
0231【月日かきたり】-ヒツケナリ命日トシレト也
0232
【いのちおはらむ】-ハシカキ也
  ちおハらむ月日もさらになしろしめしそい尓しへ」(80オ・1096①)

 

  よりのそめをき个るふちころも尓もな尓可や
  つ多ゝわ可ハへんのものとおほしなして
  おい本うしの多め尓ハくとくをつくりへこのよの
  多のしみ尓そへてものちのよをわ寿れなね可
  ひ者へる尓多にい多りは可ならす多いめん者
  むさハ里(里$
)の本可のきし尓い多りてとくあひみむと
  をおほせさて可のやしろに多てあつめ多るくわん(くわん$
可ひ)ふミ
  ともをおほきなるちむ(+
の)ふ者こに布んしこめて多て
  万つりへりあ万尓はこと/\尓も可ゝす堂ゝこの」(80ウ・1096⑦)

 

  の十四日になむくさのい本り万可り者那連てふ可き
  尓いり者へりぬる可ひなをハく満おほ可み尓
  もせし者へりなむそこ尓はもひしやうな
0233【せし】-施
  よを万ちいてへあきら可なるところ尓て
0234【あきらかなる】-浄土
  いめん者ありなむとのみありあまきみこのふミを
  てか能つ可ひの多いとこにとへはこのふミ可き
  三日といふ尓なむ可の多え多るみね尓うつ
  ひ尓しな尓可しらも可能をくりにふもと万て
  者さ布らひし可とミ那可へしてそう一人わらハ二人」(81オ・1096⑫)

 

  なとも尓さ布らハせいまはと越そむき
  しお里越可なしきとちめとおもふへし可との
  こり者へり遣里としころをこなひ能ひ万/\尓よ里ふ
  しな可ら可きな可(可$)らししきむのこと日者とり
  よせて可いしらへつゝほと遣に万可り申給
志)てな
  むみ多う尓せ尓うししさらぬものともゝおほく
0235【せにう】-琴ナトヲモ施入也
  者多て万つりてそ能ゝこり越なてしとも
  六十むし多しき可きりさ布らひ遣る本と
  尓つ遣てみな所分てなをしのこり越なむ」(81ウ・1097④)

 

  れうとてをくり多て万つりへるい万者と
  て可きこも里さる者(+
る)遣きくも可すミに万志
  りひ尓しむなしきあとにと満りて可なしひ
  おもふ人/\むおほく者へるなとこの多いとこも
  わらハ尓てよりく多りしける(ける$
のおい本うし
  になりてと満れるいとあ者れ尓本そしとおもふ(ふ$
へ)
  里本とけのてしのさ可しき飛し里(+
た)にわし
0236【御】-ミ
  能みねをハ多と/\し可らす堂のみきこえな可ら
0237【たと/\しからす】-常在霊鷲山
  多きゝつき个るの万とひハふ可ゝり遣るをましてあ」(82オ・1097⑨)
0238【たきゝつきける】-仏涅槃ノコト
0239
【夜】-夜半也

 

万きみの可なしとおもひ多満へること可きりな
  可多(+
ハ)みなミのおとゝ尓お者するをかゝるせうそこ
0240【御かた】-明石上
  なむあると阿里个れ盤し能ひてわ多りへりおも/\
  しくみをもてなしておほろけならてハ可よひ阿
  ひことも可多き越あ者れなることなむときゝてお
  ほつ可な个れ者うちし能ひてものしへるにいとい見
  しく可なし个なる遣しき尓てゐへりち可く
0241【けしき】-尼ノコト<>
  とりよせてこのふみミ(ミ$)越見給尓个尓せきとめむ可多
0242【このふみ越】-明石上
  そな可り遣るよ(よ=そ)のハな尓ともめとゝむましき」(82ウ・1098①)

 

  の万つむ可しきし可多のことおもひいてこ飛しとお
  もひわ多り給心尓はあひて寿き者てぬるに
  こそハとみ尓い見しくいふ可ひなしなみ多越えせ
  きとめすこのゆ免可多り越可つハゆくさきたのもし
  くさらハひ可尓てわ可越さしもある万しき
  さ満尓あく可らしとな可ころおもひ多ゝよ者れ
  しことは可く者可那きゆめに多のみを可けて
  可くものしり个りと可つ/\おもひあ者せ
  万ひさしく多めらひてきみのとくにハうれしく
0243【きみ】-明石上ヘ
  おも多ゝしきことをもみ尓あ万りてならひなくおもひ」(83オ・1098⑦)

 

  者へりあ者れ尓いふ勢きおもひもすくれてこそ者
  へり个れ可すならぬ可多尓てもな可らへしこをす
  てゝかしこにしつみゐしを多によひと尓多可ひ
0244【しつみゐしをたに】-入道ノ心ヲ云
  多るすくせにもある可なひ者へし可とい遣
  るよにゆき者那連へ多ゝるへきのちきりと盤
  おもひ可け春おし者ちす尓すむへきのちのよ
  の多のみをさへかけてとし越すくしきて尓
  可に可くおほえぬこといてきてそむきにしよに多
  ち可へりて者へる可ひある御事をみ多て万つ里」(83ウ・1098⑫)

 

  よろこふもの可ら可多つ可多に者おほつ可なく可な
0245【かたつかたには】-入道ノコト
  しきことのうちそひて多えぬをつい尓可くあひみ
  すへ多てな可らこのよ越わ可れぬるなむくち越し
0246【わかれぬる】-入道ノコト
  くおほえ者へるよにへし多にに(+)ぬ者へにより
0247【人に似ぬ心はへ】-入道ノコト
  越もてひ可むるやうなりし越わ可きとちたのミな
  らひてをの/\ハくちきり越きて个れハ可多み尓
0248【又】-マタ
  いとふ可くこそたのミ者へし可い可なれハ可くみゝ尓ち
0249【みゝにちかきほと】-播州ヘチカキ也
  かき本と那可ら可くし(し#)てわ可れぬらむといひつゝ个て
  いとあ者れ尓うちひそ見給御可多もいみしくな」(84オ・1099④)

 

  きて尓すくれむゆくさきのこともおほえすやか
  すならぬ尓ハな尓こともけさや可尓可ひあるへ
  き尓もあらぬもの可らあ者れなる(る$
)ありさ万尓
  おほつ可那くてや見なむのみこそくちおし
  个れよろつのことさるへき多めとこそお
0250【さるへき人】-親ノコト
  ほえ者へれさてたえこもり世中もさ多
  めなきにや可てきえは可ひなくなむとてよも
  す可らあ者れなることゝもをいひつゝあ可し
  能ふもおとゝのきみ能あな多にありと越きて」(84ウ・1099⑨)

 

  しを尓者可に者ひ可くれ多らむも可ろ/\しきや
  うなるへしひとつ者な尓者可りももひ者ゝ可り
  者へらす可くそひ給御多めなとのいとおしきにな
  尓万可せてミをもゝてなしにく可るへきとてあ可
  尓可へりわ多りひぬわ可者い可ゝおハし万す
  い可て可多て万つるへきとてもきぬい万み多て
  万つりてむ女御もいとあ者れ尓なむおほし
  いてに(に$
、+つゝえさせめるもことのつゐて耳)もしよの中思ふやうならはゆゝしき可ねこ
0251【よの中】-春宮ノ世ノコト
  とあ万その本と万てな可らへ者なむとの多満ふ」(85オ・1100①)

 

  めりきい可にお本すことに可あらむとのへハうち
0252【又うちゑみて】-尼ノ心
  ゑみていてやされハこそさ満/\多めしなきすく
  勢にこそ者へれとてよろこふこ能ふ者こハも多せ
  て万うの本りひぬよりとく万いりへきよし
  のミあれ者可くおほし多ること者りなりめつらし
  きことさへそひてい可にもとなくおほさるらん
  とむらさきのうへもてわ可しのひて万い
  らせ多て万つらん(+
)つ可ひし給宮ハおほむ
  いと万のや春可らぬにこりてかゝ累ついて尓し」(85ウ・1100⑦)

 

  者しあら満本しくおほし多り本と那き御身尓さ
  るおそろしきことをしへれハすこしおもやせ
  本そりていみしくな満め可しきさ万しへり
  可く多めらひ可多くおハする本とつくろひてこそハ
  な可多なとはるし(+
可り)きこえをおとゝハ可やう
  におもやせてみえ多て万つり者むも中/\あ者れ
  なるへきわさ那里なとの多いのうへなとのわ多り
  ひぬるゆふつ可多しめや可なるに可多お万へ尓
  満いりてこのふ者こきこえしらせもふさ満尓」(86オ・1100⑫)

 

  可ない者てさせ万てはとり可くして越きて者へ
  るへ个れと世中さ多め可多个れ盤うしろめ多さ
  尓なむな尓ことをも御心とおほし可す万へさら
  むこ那多(+
と)も可くも者可那くなり者へりなは可な
  寿しもい万者能とちめ越らむせらるへきみ尓も
  らねハうつしこゝろうせす者へるよにな
  者可那きことをもきこえさせをくへく者へり个ると
  てむつ可しくあやしきあと那連とこれも
  らむせよこのくわんふみハち可きみつしなと」(86ウ・1101④)
0253【くわん】-ネカヒ

 

に越可せて可ならすさるへ可らむおりにらむ

してこのうち能ことゝもハせさ里(里$せ)へうとき
  はなもら(+
さ)せそ可者可りとみ多て万つりをき
  つ連ハ見つ可らもをそむき者へなむとおもふ
  多満へな里ゆ遣はよろつのと可にもほえ者へ
  らす多いのうへの御心をろ可尓ひきこえさせ
  いとあり可多くものしふ可き个しきを者へ
  れ盤にハこよ那く万さりてな可きよにもあら
  なむとそおもひ者へるもとより御身にそひきこ」(87オ・1101⑨)

 

  江させむにつけてもつゝ満しき能本とに者へれハ
  ゆつりきこえそめ者へり尓しをいと可うしも
  能し者しとなむとしころハよのつね尓
  おもふへわ多りつるい万ハきし可多さきう
  しろや寿くおもひなり尓てりなといとおほく
  きこえミ多くみてきゝお者す可くむつ万し
  可るへきおまへ尓もつねにうちとけぬさ満し
0254【うちとけぬさま】-明石上ノ心
  てわ里那くものつゝ満(満$見)し多るさ満なりこのふ
  みのことはいとう多てこ者くにくけなるさ万をみち」(87ウ・1101⑭)

 

  のくに可み尓てとしへ尓个れ者き者みあつこえ
  たる五六枚さす可に可うにいとふ可くしみ多る尓か
  きへりいとあ者れとおほしてひたひ可みのやう/\
  ぬれゆくそ者めあて尓な万め可し者ひめ
0255【ひめ宮】-女三ノコト
  の可多にお者し个るをな可能みさうしよりふ
  とわ多りへれ盤江しもひき可くさて御木丁
  すこしひきよせてみつ可らはゝ多可くれへりわ可
  ハおとろきへりやの万もこ飛しきわさな
  个りときこえへハ寿ハいらへもきこえハねハ」(88オ・1102⑥)

 

  可多ゝい尓わ多しきこ江つときこえ(+つ)いとあや
  しやあな多にこの越らうし多てまつりて
  ふところをさらに者那多すもてあつ可ひつ
  や里ならすきぬもみなぬらしてぬき可へか
  ちなめるかろ/\しくなと可くわ多し多て万つ里
  (+
こな多尓わ多りてこそ多て万つり多万)ハめとのへハいとう多ておもひく満な御事
  那尓お者し万さむ尓多にあな多尓て多て万
  つり者むこそよく者へらめましておとこは可き
  りなしときこ江さすれとや春くおほえ給を多」(88ウ・1102⑫)

 

  者ふれ尓ても可やうにへ多て可満しきこと那さ
  可しら(ら#
)可里きこ江させそときこえうちわ
  らひて可ともに万可せて者那ちきこゆへ
  きなゝり那へ多てゝい万ハ多れも/\さしハ那ちさ
  可しら(
ら)なとのこそおさ那个れ万つハ可やう尓
  者ひ可くれてつれなくい飛おとしめ里し(し$
かし)とて
  御木丁をひきや里へれハもやのは(
は)しらにより可ゝ
  りていときよけ尓者つ可し遣なるさ満して
  ものしありつる者こも万とひ可くさむもさ満阿
  し个れハさてお者寿るをなその者こふ可き」(89オ・1103④)

 

  あらむけさうのな可う多よみてふんしこめ
  堂るちこそ寿れとのへハあなう多てやい万
  め可しくなり可へらせめる御心らひ尓きゝし
  らぬやうな春さひことゝもこそとき/\いて
  くれとて本ゝゑみへれともあ者れなり个る
  个しきともしる个れハあやしとうち可多ふき
  へるさ満なれハわつらハしくて可能あ可し能い者や
0256【かのあかしのいはやより】-明石上
  よりし能ひてハへしいのり能巻数又万多しき
0257【数】-スエ
  くわんなとの者へり个る越御心にもしらせ多て万つ
  るへきお里あらは御覧しをくへくやとて者へ」(89ウ・1103⑩)

 

  累を多ゝい万はついてなくてな尓可ハあ遣させ
  者むときこえ尓遣にあハれなるへきありさ
  さ満そ可しとおほしてい可尓をこなひ万してすミ
  尓多らむいのちな可くてこゝら能としころつとむ
  るつみもこよな可らむ可しよのな可によしあり(り$
ル)
  さ可しき可多/\のとてみる尓もこのよ尓そみ多
  る本との尓こり布可き尓やあらむかしこき可多こ
  そあれいと可きりありつゝをよ者さり遣りや
  さもい多りふ可くさす可に个しきありし」(90オ・1104①)

 

  ありさ万可な飛し里多ちこのよ者なれ可本
  にもあらぬもの可らしたの者見那あらぬよ尓
  可よひすミ尓多るとこそえし可満してい万ハ
  くるしき本多しもなくおもひ者那連に多ら
  むをや可や春(春=
ス)きらはしのひていとあ者満
  本しくこそとのい万は可能をもす(す$

  すてゝとり能ねきこえぬ尓となむきゝ者へる
  ときこゆれ者さらハそ能ゆいこんなくも(くも$
り)なせうそ
  こは可よ者しやあ万きみい可に思給らんお」(90ウ・1104⑥)

 

  やこのよりも万多さるさ万のちきりハこと尓
  こそゝふへ个れとてうちなミ多くみへりとし(+
イ)の
  つも里によの能ありさ万をと可くおもひし里ゆ
  く万ゝ尓あやしくこひしくいてらるゝ
  みありさ万なれ者ふ可きちきり能な可らひは
  い可尓阿者れならむなとのいてにこのゆめ
  可多りもおほしあ者することもやとひ(ひ&
ひ、+て)いとあや
  しき本むしと可いふやうなるあとに者へめれ
  とらんしとゝむへきふしもや万し里者へると」(91オ・1104⑪)

 

  てなむい万者とてわ可れ者へり(+尓)し可とな越こそ
  あ者れハのこり者へるも能なり遣れとてさ満よ
  くうちなけ(け$
)きて(て$、+より、より=イ)いと可しこく本れ/\し可ら寿
  こそあるへ个れてなともすへてな尓こともわ
  さというそくにしつへ可り遣るの多ゝこのよふ
  る可多の越きてこそすく那可り个れ可の所のお
  とゝを(を$
ハ)いと可しこくあり可多きさし越つくしてお
  や遣につ可う万つひ尓(尓$
)个る本とにものゝ堂可ひ
  めありてそ能むくひ尓可く春ゑハなきなりな」(91ウ・1105③)

 

  いふめ里しを女子可多につ遣堂れと可くていと
  つきなしといふへき尓も(も$
ハ)あらぬもそこらのをこ那ひ
  のしるし尓こそはあらめなとなみ多をしのこ
  ひつゝこのゆ免のわ多り尓めとゝ免あやし
0258【ゆめのわたり】-\<合点>
  く飛可/\しくすゝろ尓堂可きさしありと
  と可免われも(も$
)な可らもさる満しき布る万ひ越
  可り尓てもする可なとおもひしことはこのきみのむ
  万れ志とき尓ちきりふ可くおもひし里にし可と
  めのまへ尓みえぬあ那多能ことハおほつ可那くこそ」(92オ・1105⑧)

 

  おもひわ多りつれさらはかゝる多のみありてあ那可
  ち尓はのそみしなり个りよこさ万にいみしき
  めをみ多ゝよひしもこの飛とりの多免尓こ(こ$
)そ
  あり个れい可なるくわんを可尓越こし个むとゆ可
  し个れ者のうちにを可みてとりこれハ万多
  くして多て万つるへきものハへりい万きこえしら
  せむ(む#
)者へらむと女御尓ハきこえそ能ついて尓い万ハ
  可くい尓しへのことをもたとりし里ぬれとあな多の
  御心者へ越ゝろ可尓おほしなすなもとよりさるへきな」(92ウ・1105⑭)

 

  かえさらぬむつひよりもよこさ満の个の
  あハれをも可遣(+
ひと)ことのよせあるハおほろけのこと尓
  もあらす万してこゝになとさ布らひな越みる/\
  もハしめのさしかハらすふ可く(+
ねむ)ころにおもひきこ
  え多るをい尓しへのよの多とへ尓もさこそハう者へ尓ハ
  者くゝみ个れ連(連$
)とらう/\しき堂と里あらむも可し
  こきやうなれとあや万里てもわ可多めし多の
  ゆ可み多らむをさもおもひよらすうらな可らむ
  多めはひき可へしあ者れ尓い可てかゝる尓はとつ見
  江可満しき尓もをることもあるへしおほろ」(93オ・1106⑥)

 

  个のむ可し能よのあ多ならぬ者多可ふゝし/\阿
  れと飛とり/\つミ那きとき尓者をのつ可らも
  てな(+
をイ)すためしともあるへ可めりさしもあるまし
  きことに可と/\しき(き$
く)ゝせをつ遣あい
  もて者那るゝあるはいとうちと遣可多くおもひ
  く万なきわさ尓なむあるへきおほくハあらねと
  ののとあるさ万可ゝるおもむきをるにゆへよし
  といひさ満/\尓くち越し可らぬきハ能者せあるへ可め
  里ミ那をの/\え多る可多ありてとるところなくも」(93ウ・1106⑫)

 

  あらねととり多てゝわ可うしろみ尓おもひ万め/\
  しくえらひおも(も+
ハ)む尓ハあり可多きわさになむ多ゝ
  万ことにせなくよきことはこの多い越のみ
  なむこれをそおひら可なるといふへ可りけると
  なハへるよしとてあ万里ひ多く(多く$
多ゝ)遣てたのも
  しけなきもいとくちおしやと者可り能尓可多への
  はおもひやられぬ可しそこにこそすこしもの
  えてもの志めるをいとよし(し=
く)むつひ可者してこの
  うしろをも尓ても能しへなと」(94オ・1107③)

 

  し能ひ(+や)可尓のの多まハせねといとあり可多き
  个しきを多て万つる万ゝにあ个くれのことく
  さにきこえ者へるめさ満しきも能尓なとおほし
  ゆるさゝらむに可うまて御覧しゝるへき尓もあら
  ぬ越可多者らい多き万て可す万への者すれ者
  可へりてハま者ゆくさへなむ可すならぬのさす可
  にきえぬ者よのきゝみゝもいとくるしくつゝ万しく
  おもふ多満へらるゝ越つミなきさ満尓もてかくされ
  多て万つりつゝのみこそときこえへハその多」(94ウ・1107⑨)

 

  め尓ハな尓(+の)さし可者あらむ堂ゝこのありさ万
0259【御ありさま】-姫君
  越うちそひても多て万つらぬおほつ可な
  にゆつ里きこえらるゝなめりそれも万多とりも
  ちてけちえ(+
ン)になとあらぬもてなしともによ
  ろつ能こと那のめ尓めや寿く那連はいとなむお
  ひなくうれしき者可那きことにてものゝこゝろえす
  飛可/\しき者多ちましらふ尓つ个ての多
  めさへ可らきことあり可しさな越しところなく多れ
  もゝのしめれ盤や寿く那むとのにつ遣ても」(95オ・1108①)

 

  さりやよくこそひ个しに个れなとおもひつゝ遣
  たいへわ多り日ぬさもいとやむこと那き御心
  さしの見まさるめる可那希尓ハ多よりことに
  可くしもくしへるありさ満のことわ里とみえ
  るこそめて多个れ可多うわへの可しつき能
  みめてたくてわ多りこともえなの免ならさめるハ
  可多しけなきわさなめり可しおしすちに者お
  者寿れとい万ひとき盤ゝくるしくとし里ふこちき
  こえ尓つ个てもわ可すくせはいとたけくそおほえ」(95ウ・1108⑥)

 

  个るやむこと那きたにおほ寿さ満尓もあらさめるよ
  にましてたち満しるへきおほえ尓しあらねハすへて
  い万はうらめしき布しもし堂ゝ可能多江こもり
  尓多る寿ミをひやるのミそあ者れ尓おほつ可な
  きあ万きみもたゝふくちの多ね万きてとや
0260【その】-一本ま
  うな里し飛とことをうち多のみてのちの
  や里つゝな可免ゐへり大将のきみハこのひめ
  こと越おもひをよ者ぬ尓しもあらさりし可はめ尓
  ち可くお者し万す越いと多ゝ尓もおほえすおほ可多」(96オ・1108⑫)

 

  能可しつきにつ个てこ那多尓ハさりぬへきおり/\
  に万いりなれをの可ら个者ひありさ満も
  きゝ尓いとわ可く越ほときへる飛と寿ち尓て
0261【越ほとき給へる】-女三ノ体
  うへのきぬ(ぬ$)しき盤い可免しくよの多めし尓志
  つ者可りもて可しつき多て万つへ(
へ)れとおさ/\け
  さや可にも能ふ可くはえす女房ともおと那/\し
  き盤すく那くわ可や可なる可多ちひ多ふる尓
  うち者那やきされさり(さり#
者)免るハいとおほく可すしら
  ぬ万てつとひさ布らひつゝももひな个な累」(96ウ・1109③)

 

  あ多りとハいひな可らな尓ことものとや可にしつ
  め多るハうち能あらハ尓しもえぬわさなれハ
  尓しれぬおもひそひ多らむも万ことにちゆ
  きけ尓とゝこ本りな可るへきにしうち万しれハ可多
  へ能尓ひ可れつゝおし个者ひもてなし尓な
  堂ら可なる越多ゝあ遣くれ者い者个多るあそひ
  多ハふれ尓い(い&
い)れ多るわら者へのありさ万な者い
  とめ尓つ可ぬ(ぬ$
寿)見給ことゝもあれと飛とつさ万によの
  をおほしの者ぬ御本上れハ可ゝる可多をも万可」(97オ・1109⑨)

 

  せてさこそハあら満本し可らめとらむしゆるし
  つゝい万しめとゝ能へさせ者寿さうしみ能ありさ万
  者可り越ハいとよく越しへきこえ尓すこしもて
  つへり可やうのことを大将のきみも遣にこそ
  あり可多きり个れむらさきのようい遣しき
  能こゝら(こゝら=
コ丶ラ)のとしへぬれととも可くもゝ里いてえきこえ
  堂るくしつや可なるをもとゝしてさす可に
  つくしうをもけ多す越もやむことなく尓くゝ
  もてなしそへつることゝみしおも可遣もわ寿れ可」(97ウ・1110①)

 

  多くの見なひいてられ个るわ可き多の可多も
  あハれとおほす可多こそふ可个れいふ可ひ阿りす
  くれたるらう/\しさなとものし者ぬ
  お多しきもの尓いまはとめなるゝにゆるひて
  可くさ万/\につとひへるありさ満とものとり/\
  尓越可しき越ひとつにおもひ者那連可多きを万
  してこの本とをおもふ尓も可きりな
  ことなる本とにとりわき多る个しきしも阿らす
  めの可さり者可りにこそと多て万つりしり(り$
流)わさ」(98オ・1110⑦)

 

  とおほ个な尓しもあらねとみ多て万つるお
  ありなむやとゆ可しくおもひきこえ个りゑも
  の可むのきみも(+
尓)つね尓万いりし多しくさふらひ
  なれハこのをちゝみ可とのかしつ
  あ可免多て万つ御心をきてなとくハ志く
  み多て万つりをきてさ万/\能さ多めありしころ本
  ひよりきこえより尓もめさ万しとハおほしの
  せすときゝしをかくことさ万になりへるはいとく
  ち越しくむねい多きちすれハえおもひ者那」(98ウ・1110⑫)

 

  れ寿そ能おりよりか多らひつき尓个るねう者う
  能堂よりにありさ満なともきゝつ多ふる越なくさ
  めにおもふそ者可那可り遣る多いのうへの个者ひ(+
尓)ハ
  をされてなむとよ(+
ノ)ひとも万ねひつ多ふる越
  きゝてハか多しけなくともさるもの者おもハせ多て
  万つらさら満し个に多くひな御身にこそあ多ら
  さらめとつねにこのこしゝうといふちぬしをもいひ
  ハ个万して世中さ多めなき越も(も$
とゝ)のきみもとより
  ほいありておほしをきて多る可多におもむきハゝ」(99オ・1111④)

 

  とたゆミなくおもひありき个りやよひハ可り能そら
  うらゝかなるひ六条兵部卿宮衛もむの可ミ
  なと万いりへりおとゝいてか多りなとし
  しつ可なるす万ゐハこ能ころこそいとつれ/\に

  万きるゝこと那可り遣れおほや遣わ多くし尓ことな
  しやな尓わさしてかハくらすへきなとのて遣さ
  大将のも能しつるハいつ可多にそいとさう/\しき越
  れいのふ(ふ$
)ゆき(き$み)いさせてみるへ可り遣る(る=り)このむめるわ可うと
  ともゝみえつる越ね多ういてやしぬるとゝハせ給大将」(99ウ・1111⑩)

 

  のきみハうしとらの万(+ち)に人/\あ万多して万)り
0262【うしとらのまち】-花チルノ方
  もてあそハしてみときこしめして見多り可ハし
  きことのさす可にめさめてかと/\しきそ可しいつ
  こ那多にとてせうそこあれハ万いりへりわ可き
  む多ちめく(
く)人/\ほ可り个り万りも多せへり
  や多れ/\可ものしつるとのこれ可れ者へりつこ那多
  へ万可てむやとの心殿の飛む可しおもてきりつ
  本ハわ可くし多て万つりて万いりひ尓しころな
  れ者こ那多(+
ハ)かくろへ多り遣りや里とのゆきあ」(100オ・1112②)

 

  ひ者(+)れてよしあるかゝり能本と越多つねて多ちいつ
  おほきおほいとのゝの多ち頭弁兵衛佐大夫
0263【佐】-スケ
0264
【大夫】-タユウ
  なとすくし多るもか多なりなるもさ万/\により
  万さりてのみものしやう/\くれ可ゝるにふ可
  す可しこきりと遣うしてのきみもえし
  つめす多ち万しれ盤おとゝ弁官も江(江=
え)おさめあへさ
  めるを可む多ちめなりともわ可きゑふつ可さ多ち
  ハなと可み多れ者さらむ可ハ可りのよ者ひ尓てハ
  あやしくすく(く=
く)寿くち越しくおほえしわ(わ)さ」(100ウ・1112⑦)

 

  なりさるはいと経/\りやこのことのさ満よなとの
  大将もかむのみなて江ならぬ
  の可け尓さ満よひて(て#
)ゆふ者えいときよ遣なりお
  さ/\さ万よくしつ可ならぬ見多れことな免れと
  可ら可らなり个りゆへある尓者のこ多ちのい多く可
  すミこめ多る尓いろ/\ひもときわ多る者那のきとも
  わつ可なるもえきのか遣尓(
尓)可く者可那きことなれと
  よきあしき个ちめあるをいとみつとら
  しと日可本なる尓ゑもむの可み能可りそめに多ち」(101オ・1112⑬)

 

  万し里へるあしもとにならふ可り个り可多ちいと
  きよ个になまめき多るさ満し多るよういゝ多
  くしてさす可にみ多り可ハしきお可しくみゆみ
  者しの(+
万尓あ多連るさくらの可个尓よりて人/\花の)うへもわ春れて尓いれ多るをおとゝも
0265【宮】-蛍也
  すミ能可うら(+ン)にいてゝ御覧すいとら(ら$ラ)うある者へともみ
  え(え=
エ)てかすおほくなりゆくにらうも見多れてかう
  ふりのひ多ひすこしくつろき多り大将のきみも
  くらゐの本とふこそれいならぬみ多り可ハしさ可
  なとおほゆれみるめはよりけ尓わ可くお可し遣尓て」(101ウ・1113⑥)

 

  さくらのなしのやゝなえ多るにさしぬきの春そ
  つ可多すこし布くみて个しき者可りひきあ遣
  へり可る/\しうもミえすもきよ遣なるうち
  と遣す可多ハ那(ハ那#
)のゆきのゆきの(ゆきの$)やうに布り可ゝれハ
  うちみ阿遣てし本
れ(れ#れ多る)え多すこしをしおりて
  みハしのな可能しなの本とにゐひ(+
ぬ)可むのきみつ
  きて者那(+
ミ)多りかハしくちるめりやさくらハよきてこ
0266【さくらはよきてこそ】-\<合点>

  そなと能御前の可多をし里め尓れハ
0267【宮】-女三
  れいのこと尓おさ万らぬけ者ひともしていろ/\こ本れ
  いて多るみすのつ万すき可遣なと者るの多む遣のぬ」(102オ・1113⑫)

 

  さふくろ尓やとおほゆみ木丁ともしと遣なくひ
  きやりつけち可くよつきてそみゆる尓からね
  このいとちゐさく越可し遣那るをすこしおほき
  なるねこをひき(き#
)つゝきてにハか可尓みすのつ万より
0268【きて】-来
  者し里いつるに人/\をひえさハきてそよ/\と
  みしろきさ万よふ遣者ひともきぬのをと那ひ
  見ゝ可し可万しきちすねこハ万多よく尓も
  な可ぬ尓やつないとな可くつき多り个る越もの尓
  ひき可遣万つ者れ尓个る越に遣むとひこしろふ本と」(102ウ・1114③)

 

  にみすのそハいとあら者にひきあ遣られ多るをとみ尓
  ひきなをすしこの者しらのもとにありつ
  人/\あハ多ゝし遣尓ても能おちし多る遣
  者ひともな木丁のきハすこしいり多る本とに
  うちきす可多尓て多ちへるあり者しより尓し
  の能万の飛ん可しのそハ那連ハ万きれところも
0269【二】-ニ
  なくあらハ尓いれらるこう者い尓やあらむこき
  うすきニ(ニ#
)すき/\にあ万多可さなり多るけちめ者那
  や可尓さうしのつ万能やうにみえてさくらのをりも」(103オ・1114⑨)

 

  のゝ本そな可なるへしくしの春そ万てけさ
  や可尓みゆるハいとをより可遣多るやうになひきて
0270【いと】-糸
  すそ能ふさや可にそ(+か)れ多るいとうつくしけ尓て
  七八す者可りそあ万里へるそ能すそ可ちに
  いと本そくさく(さく$
佐ゝ)や可にてす可多つき可みの可ゝりへる
  そハめいひしらすあて(+
尓)らうた遣なりゆふ可遣なれハ
  さや可ならすおくゝらきちするもいとあ可すくち越
  し万りにをなくるわ可きむ多ちの者那のちるを
  おしみもあ(あ$
あ)へぬ个しきとも越みるとて人/\あら」(103ウ・1115①)

 

  者越布ともえ个ぬなるへしねこのい多くな
  はみ可へりへるおもゝちもてなしなといとおひら可尓
  てわ可くうつくしのやとふとみえ多り大将いと可
  多わらい多个れと者ひよらんもな可/\いと可る/\し
  个れハ多ゝを江さ(江さ=
エサ)せてうちしハふきへる尓そ
  やをらひきい里さるはわ可ちにもいとあ可ぬ
  しへとねこのつ那ゆるしつれハ耳(耳$
尓)もあらすうち
  な(+
遣)可るましてさハ可りをしめ多るゑもんの可ミはむ
  ねふと布多可りて多れハ可り尓可はあらむこゝら能
  尓しるきうちきす可(可=
可)たよりも尓まきるへくもあ」(104オ・1115⑦)

 

  らさりつ遣者ひな尓可ゝりておほゆさら
  ぬ可本にもてなし多れとまさにめとゝめしやと
  大将者いとおしくおほさるわりなちのなくさ
  めにねこを万ねきよせて可きい多き多れ盤いと可う
  者しくてらうたけ尓うちなくもなつ可しくおもひ
  よそへらるゝそすき/\しきやおとゝらむしをこせ
  て可む堂ちめのさいと可ろ/\しやこな多にこそとて
  多い能みなみおもてにい里へれハみ那そな多に万いり
0271【たいのみなみおもて】-紫ノスミ給方也
  ひぬもゐな可多りしき/\能
0272【宮も】-蛍
  殿上人ハすのこにわらう多めしてわさと那くつ者いも」(104ウ・1115⑭)
0273【わらうた】-円座也

 

ちゐなし可うしやうのも能ともさ満/\に者このふ多
  ともにとり万せつゝある越わ可き人/\そ本れとり
0274【そほれ】-サルヽ也
  くふさるへき可らもの者可りしてかハらけ万いるゑも
0275【からものはかり】-肴ハカリノ心
  むの可みはいとい多くおもひしめ里てやゝも寿れハ者
  那の尓めをつ遣てな可めやる大将し里にあや
  し可りつるみすの春き可遣ひいつることも(も$
)やあらむ
  と思給いと者しち可なりつるありさ満越可つ者可ろ/\
  しとおもふらむ可しいてやこ那多のありさ満の
0276【こなたの】-紫ノコト
  さハある万し可めるものをとおもふに可ゝれ盤こそ
  よのおほえ能本とよりはうち/\能御心さしぬるきや」(105オ・1116⑥)

 

  うに盤あり个れとひあハせてうちとのよう
0277【うちとのようい】-紫ノコト内外ノ心モチ取捨ナキ也
  いおほ可らすい者けなきハらう多きやうなれとう
  しろめ多きやうなりやとおもひおとさるさい
0278【さい将のきみ】-柏木也
  のきみハよろつのつミをもさ/\堂とられすお
  ほえぬものゝひ万より本の可尓もそれとみ多て万
  つりつる尓もわ可む可しよりのさし能しるしあ
  るへきにやとちきりうれしきちしてあ可すのミお
  ほゆハむ可し
△△△△)も能可多りしいてておほき
  おとゝのよろつのことに多ちならひて可ち万遣能さ多
  めし尓万りなむ江越よ者すなりにし者可な」(105ウ・1116⑫)

 

  きことはつたへ(へ)ある満し个れとも能ゝすち盤こよ
  な可り个りいとめも越よ者寿可しこうこそみえつれと
  のへハうちほゝゑみて者可/\しきか多にハぬるく者
  へるいへののさしもふきつ多へ者へらむにのちのよの
  多めこと那ることなくこそ者へりぬへ个れと申給へハい可
  て可な尓ことも尓こと那る遣ちめ越ハしるしつ多ふ
  へきなりいゑの多へなとに可きとゝめいれたらむこそ
  个うハあらめなと多ハふれ給御さ万の尓本ひや可にき
0279【御さまのにほひかに】-柏木ノ心
  よらなる越み多て万つるにも可ゝる尓ならひてい可者可り
  の尓可をうつハものし者むな尓ことにつ遣」(106オ・1117⑤)

 

  て可あハれとみゆるしハ可りハなひ可しきこゆへきとお
  もひめくらすにいとゝこよ那くあ多り者る可なるへき
  みの本ともおもひしらるれ盤むねのミふ多かりて万可り(り$

  て大将のきみ飛とつくる万尓てみちの本ともの
  可多りし越このころ能つれ/\尓ハこの尓万いりて
0280【な越このころの】-柏詞
  万きらハすへきなり个り个ふ能やうならむいと満のひ
  満ゝちつ个て者那のおりすくさす万いれとのつるを
  者る越しミ可てらのうちにこゆみも多せて万いり
  へと可多らひちきるをの/\わ可るゝみちの本とも能可多
  りし多万うて御事のな越い者満(+
本)し遣れハ」(106ウ・1117⑫)

 

  尓はなをこ能多いにのみものせさせめりな可のお
0281【このたいに】-紫
0282
【なか】-中
  むおほえのことなるなめり可しこのい可におほすらん
0283【おほえ】-紫ノコト也
0284
【この宮】-女三ノコトヲ柏ノ心
  み可とのならひなくならハし多て万つへる尓さし
  もあらてくしひ尓多らむこそくるし个れとあ
  いなくいつ(つ$
へ)は多い/\しきことい可て可さ者あらむこ
0285【たい/\しき】-夕霧詞
  な多はさ万可者りておほし多てた万へるむつ
0286【おほしたて】-紫ノコト 生
  の遣ちめ者可りにこそあへ可めれをは可多/\尓
  つ遣ていとやむこと那くひきこえへるもの
  とか多りへハいてあな可満へみ那きゝて者へりいと/\」(107オ・1118④)
0287【いてあなかま】-柏木詞
0288
【給へきゝてはへり】-人ノ云ヲ聞タルト也

 

越し遣なるおり/\あなるをやさるはよに越し
  なへ多らぬほえ越あり可多きわさな
  りやといと本し可る
    い可なれハ者那尓こつ多ふうくひ寿のさく
0289【いかなれは】-柏
  ら越わきてねくらとはせぬとりのさくらひ
  とつ尓と万らぬよあやしとおほゆることそ可
  しとくちすさひ尓いへはいてあなあちきな
  も能あつ可ひやされハよとおもふ
    みや万きにねくらさ多むる者ことりもい可て
0290【みやまきに】-夕霧
  可者那のいろ尓あくへきわ里なきことひ多おもむ」(107ウ・1118⑩)

 

  き尓のミやハ(+と)いらへてわつらハし个れ盤ことにい者せ
  すなりぬこと/\尓いひ万きらハしてをの/\わ可れ
  ぬ可むのきみハほいとのゝ飛ん可しの多いにひとり
  (+
す)み尓てそも能し个るおもふありてとしころかゝ
  累す万ひをする尓や里ならぬ(ぬ$
寿)さう/\しく
  そきお里/\あハ(ハ#
)れとわ可か者可り尓てなと可お
  もふこと可なハさらむとのミこりをする尓この
  ゆふへよりくしい多くもも者しくてい可ならむお
  にま多さハ可り尓ても本の可那るありさ万を多尓
  みむとも可くも可き万きれ多るきハのこそか」(108オ・1119②)

 

  りそめ尓も多ハや寿きものいみ可多ゝかへのうつ
  ひも可る/\しき(+
尓)をのつ可らと可く(可く$も可くも)も能ゝひ万をう
  可ゝひつくるやうもあれなやる可多なくふ可
  き万とのうちにな尓ハ可りのことにつ个て可ゝくふ可
  きあり遣りと多にしら(
ら)せ多て万つるへきとむね
  い多くいふ勢个れ者こしゝうかりれいのふみやり
0291【かり】-モトノ心
  給一日風尓さそハれてみ可きの(の$可)者ら(ら)越わ遣いりてハ
0292【一日】-文ノ詞
  へしにいとゝい可にみおとし个むそ能ゆふへよりみ
  多り(
り)ち可きくらしあやなく遣ふハな可めくらし
0293【あやなくけふは】-\<合点>
  者へるなと可きて」(108ウ・1119⑧)

 

    よそにみておらぬな个きハし个れともなこり
  こ飛しき者那のゆふ可遣とあれと(+
侍従一日)能こゝろもし
  らぬ(ぬ$
子)ハ多ゝよのつねのな可免尓こそハとおもふ越万へ尓
  し遣可らぬ本となれハか能ふミ越もて万いりて
  このかくのミわ春れぬもの尓ことゝひものし
  こそわつらハしく者へれくるし遣なるありさ
  万もみ多万へあ万るやそひ者へらんと可ら
  のな可らし里可多くなむとうちわらひてきこゆれハ
  いとう多てあることをもいふ可那となもな个れ(れ#

0294【いとうたて】-女三心
  にのてふミひろ遣たるをらむすもせぬと」(109オ・1120①)
0295【見もせぬと】-\<合点>春もあら須ミもせし/くハ/あやなく个ふやな可めくらさむ(付箋06

 

いひ多るところをあさ万し可りしみすのつ万
  越お本しあハせらるゝにおもてあ可みておとゝ
  のさ者可り(+
こと)能ついてことに大将い者
  个なありさ万なんめれハをの可らとり者つ
  して多て万つるやうもありなむといましめ
  きこえをおほしいつる尓大将のさることの
  ありしと可多りきこえ多らむときい可にあ者め
  むと多て万つり个むことをハおほさてまつ
  者ゝかりきこ江給心のうちそおさな可り遣るつねよ
  りもほむさし(+
イ)らへな个れハすさ満しくしゐて」(109ウ・1120⑦)

 

  きこゆへきことにもあらね者ひきし能ひてれ
  いの可く一日者つれなし可本をなむめさ満しく(く$
う)
0296【一日は】-文詞
0297
【つれなし】-\<合点>
  とゆるしきこえさりし越み寿もあらぬやい可尓
0298【みすもあらぬや】-\<合点>
  あなか个/\しと者やり可尓者し里可きて
    いまさらにいろ尓ないてそさくらをよハ
  ぬ江多にこゝ(ゝ=
コ)ろ可遣きと可ひなきこと越とあり」(110オ・1120⑪)

 

(白紙)」(110ウ)

 

【奥入01ちとせを可ねてあそふつるのけ衣
    席田第二反度也
【奥入02耶輸陀蘿可布くちのその尓
    堂ね万きてあ者むかならす
    有為のみやこ尓
    雖有此説此哥之證拠不知誰説
    頗凡俗事歟」(111オ)