First updated 11/15/2001
Last updated 09/22/2024

若菜上

【凡例】

1.『源氏物語(明融本)Ⅰ』(東海大学出版会 1990年6月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母字形は茶色で表示し、同じ字母字形が並ぶ場合は緑色で表示した。


「わ可な 三十四」(題箋)

「這表一枚明融御筆 琴山(印)」(遊紙表貼紙)


  朱雀院のみ可とありしみゆきのゝちそのころを
  飛よりれいならすなやミわ多らせとよりあ
  徒しくお者し万春うち尓この多ひ者物心
  そ具おほしめされてころをこなひのい布
  かきをきさいの者しましつる本と者よろ徒
0001【きさいの宮】-弘徽殿
  者ゝかりきこ江させてい万ゝておほしとゝこ本り
  徒るを尓もよおす尓やあらん尓飛
  しかる万しき心地ん春るなとの多ま者せて
  累へき御心まうけともせさせみこ多ちハ」(1オ・1025⑥)

  春宮を越きて(て$)多てまつりて女宮多ちな
  むよところお者しまし个るそ尓ふち
  つ本ときこ江しハ先帝源氏尓そお1ハし万
  し遣る万多者うときこ江させし万いり
  て堂可きくら井尓もさ多万里た万(+う)へ可りし
  のとり多て堂るうしろみも者せすハゝ
  か多も能春ちとくものハ可那き可うい者ら
  にてものし多万飛个れハおほんましらひの本と
  も本そ个尓ておほきさきのないしの可ミ越」(1ウ・1025⑩)

  まいら勢多てまつりて可多ハらにならふ
  もてなしきこえとせし本とに个をされてみ
0002【みかと】-朱雀院
  可とも御心うちにいと越しきも能尓ハおもひきこ
  えさせ可らおりさせたまひ尓し可は可ひなくゝ
  ち越しくてよのな可越うらみ多るやう尓てうせ
  尓しそハらの女三宮越あ万多の御中
  寿くれて可なしきもの尓おもひ可しつきゝこえ
  多満ふそ能本と十三四者可り(+尓)者寿い万者
0003【三】-サウ
  とむきすてこもりしなむのちのよに多ちと
  ま里て多れを多のむ可遣尓てものし多万者む/と」(2オ・1026②)

  寿らむと堂ゝこのとをうしろ免多くお
  しな个く尓しや万なてらつくり者てゝう
  つろ者せ者ん本とのいそき越せさせ尓そ
  てま多こ能みやのきのことをおほしいそ可せ
  給院のうちにやむことなくおほ寿堂可らも
  てうとゝも越ハさらにもい者寿者可那きあそ
  ひもの万て寿こしゆへある可きり越ハたゝこの
  可多にとりわ多し多て万つらせてそのつき/\
  をなむことみこ多ちに者おほん所うふんともあり
  个る春宮はかゝるやみ尓そへて越そむ可せ多」(2ウ・1026⑧)

  満ふへきこゝろつ可ひ尓なむとき可せ堂満ひて
  わ多らせへり者ゝ女御ひきこえさせて万
0004【はゝ女御】-承香殿
  いりへり寿くれ多るほえ尓しもあらさりし
  可との可くてお者し万す春寿くせのかきりなくめ
  て多个れハとしころの可多りこ満や可尓き
  こえさせ遣りみや尓もよろつのこ越多も
  者む御心可ひなときこえしらせ(+御年よりハいとよくおとなひさせうしろみともゝ
  こな多可な堂可ろ/\し可らぬな可らひ尓も能し多
  満へハいとうしろや寿くひきこ江させこのよ尓
  うらみのこることもハへらす女御多ち能あま多能こ」(3オ・1026⑭)

  りとゝ万るゆくさき越おもひやるなむさらぬわ可れ尓
  も本多しな2りぬへ可り个るさき/\のうへ尓みきゝ
  し尓もをん那盤より本可にあハ/\しく尓お
  (+志めらるゝすくせあるなんいとくちおしく可なしきいつれをもおもふやうならんよ尓
  はさ満/\尓つけてこゝろとゝ免ておほし多つね
  よそ能な可にうしろみなとあるハさる可多にも
  おもひゆつり者へり三宮んい者个なきよ者
  ひ尓て多ゝ飛とりを多のもしきものとらひて
  うちすてゝんのち能よに多ゝよひさすらへむこ
  いと/\うしろ免多く可なしく者へるとめを」(3ウ・1027⑥)

  しの(+ひ、ひ$)こひつゝきこえしらせさせ給女御尓も
  $)うつくしきさ満尓きこえつけさせされと
  よりハまさりてとき免きしにミ那
  いとみ可ハしし本と可らひとえうるハし
  可らさ里し可はそのなこり尓てけ尓ハ(ハ$)い万ハわさ
  とにくしなとハなくとまことにゝ免てお
  もひうしろむと万て盤おほさすもやと
  越し者可らるゝかしあさゆふ尓この御事をお
  しな个くとしくれゆく万ゝ尓やみま
  こと尓をもくなり万さらせてみ春のと尓も」(4オ・1027⑫)

  いてさせ者寿のゝ个尓てとき/\なやみ(み$ま)
  せともありつれといと可くうち者へをやミな
  きさ満尓ハお者し万さゝりつるをこの多ひハな
  越可きりなりとほし免し多里くら井をさ
  らせつれとのよに多のみそめ(+たて万つり)多満へる/\
  はい万も可しくめて多きありさ万越
  里に万いりつ可う万つり可きりハをつくして
  越しみきこえ給六条院よりもほむと布らひ
  しは/\ありみつ可らもまいりへきよしきこ」(4ウ・1028③)

  志免してはいとい多くよろこひきこえさせ
  給中納言のきみ万いり堂満へる越み春のうちにめ
  しいれておほむも能か多りこ万や可なりこ
  のうへのいまはのきさみ尓あま多のゆいこむあ
  里しな可にこの御事い万のうちの御事
  とりわきてのをきし越ほや遣となりてこ
  可きりあり个れハうち/\の(+よせは可者らすな可ら
  者可那きことのあや万り尓を可れ多て万つることも
  あり个むともふをとしころことにふれてそ能うら
  み能こしへる个しきをなむもらし者ぬさ可」5オ・1028⑨)

  しきといへとみのうへになりぬれハこと多可ひて
  うこき可ならすそのむく井ミえゆ可免ること那む
  い尓しへ多尓おほ可り个るい可ならむおり尓可そ
  こゝろハへ本ころふへ可らむとよ能ひともおもむ个う多
  可ひ个る越つい尓し能ひすくし春宮とにも
  をよせきこえい万ハ多くし堂し可るへき
  な可となりむつ日可者しへるも可きりな尓は
  おもひな可ら本上のおろ可なる尓そへてこのみち能
  やみ尓多ち万し里可多くなゝるさ満尓やとて/\
  よそのことにきこえ者那ち多るさ万尓て者へるうち」(5ウ・1029②)

  の御事ハ可能ゆいこん堂可へ寿つ可う万つ
  越きてしかは可く春ゑのよに(に$の)あきら个きゝみと
  てきし可多のもて越もおこしほいのこ
  いとう連しくなむこの(+の)行幸のゝちい尓しへの
  ことゝりそへてゆ可しくおほつ可那くなむおほえ
  多いめん尓きこゆへきことゝも者へり可ならすみつ
  可らと布らひものしへきよしもよ越し申給
  なとうちし本多れつゝのハす中納言のきみすき
  へり尓个む可多はとも可くももふ多万へわき可多く
  へりとし万可りいりハへりておほやけ尓もつ可う万つ
  へるあひ多よのな可のこと越見給へ万可りありく本と」(6オ・1029⑨)

  尓者大小のこと尓つけてもうち/\のさるへきも可多
  里なとの(+つ)いて尓もい尓しへのうれハしきことありて
  なむなとうち可すめさゝる(ゝる=ル丶)をり(+ハ)者ゝへらすなゝむ
  可くおほや个のうしろ見越つ可う万つりて(て$)さし
  てしつゝ可なるおもひ越可なへむと飛とへ尓こもり
  ゐしのちはな尓こと越も志らぬやう尓てこ
  のゆいこんのこともえつ可う万つらすくら井尓
  おゝハし万しゝよにハよ者ひの本ともみのう徒ハもゝのも
  よ者寿可しこき可見の/\おほくてそさし
  と遣て御覧せらるゝこともな可りきい万可く万つ
  ことをさりてしつ可におハ志ますころ本ひのう」(6ウ・1030②)

  ちをもへ多てなく万いりうけ多満者ら満本しきを
  さす可にな尓と那くところせきのよそ本ひ尓
  ておのつ可らひをすくすことゝなむをり/\な
  き申給とそうし給廿尓も万多わつ可なる本とな(な$)
0005【そうし給】-」朱段落符号
  なれといとよくとゝのひすくして可多ちもさ可りにゝ
  本ひていミしくきよく(く$ら)る越免にとゝ免てう
  ち満もらせゝこのもてわつらハせひ免
  うしろみ尓これをやなしれすおほしより个り
  おほきおとゝのわ多り尓い万はすミつ可れ尓多り
  と那としこえぬさ満尓きゝし可いと越し可りし
  越みゝやすきものから(ら&ら)さす可にね多くおもふことこ」(7オ・1030⑧)

  そあれとハする个しきをい可尓の者する尓とあ
  やしくおもひめくらす尓このひ免みや越可くお
  しあつ可飛てさるへきあらはあつ个てや寿
  くよをもおもひ者那連者やとむおほしの者す
  るとお可らも里きゝ多よりあり个れハさや
  うのすち尓やとはおもひぬれと布とえ可本にも
  尓可はいらへきこえさせむたゝ者可/\しくも者へらぬ
  み尓ハよるへもさふらひ可多くのミなむと者可りそうし
  てやミぬねう者うなとハのそきてきこえていと
  り可多くもみえ可多ちようい可那あ那めて多な
  万りて起こゆるをおいしらへるはいてさりと可能」(7ウ・1030⑬)

  の可者可りにお者せしありさ万尓ハえなすらひ
  きこえた万ハさめ里いとめもあやにこそきらよにも能し
  し可なといひしろふをきこしめして万ことにかれハ
  いとさ満こと那里し可しい万ハ能よにもねひ
  万さりてひ可るとはこれをいふへき尓やとミゆる尓本
  ひなむいとゝく者ゝり尓多るうる者し多ちて者可/\し
  き可多にれ盤いつくしくあさや可尓めもをよ者寿(寿$ぬ)
  ちする越うちと个て多者ふれことをもいひみ多
  れあそへハそ能可多につ个てハ尓るものなくあいつき
  な可しくうつくしきことのならひならひ(ならひ$)なきこそよに
  あり可多个れな尓ことにもさきのよおしハ可られてめつら可」(8オ・1031⑨)

  なるのありさ満なのうちにおひいてゝていわ
  うの可きりなく可なしきもの尓し日さ者可りな
  て(+かし)に可へておほし多里し可との万ゝ尓も越こ
  らすひ个して廿可うちにハ納言尓もならすなり尓き可し
  飛とつあ万りてやさい尓て大将可遣多万へり个む
  それ尓これハいとこよ那くすゝ見尓ためるはつき/\の
  このよ能おほえ能万さる那めり可し満ことに可しこき
  可多のさえもち井なとはこれもおさ/\おとる満しく
  あや万りてもおよす遣万さり多るおほえいとこと那めり
  可し(可し$)なとめてさせ日めのいとうつくし遣尓てわ可く
0006【ひめ宮】-女三
  なありさ満なる越多て万つ尓もみハや」(8ウ・1032②)

  多て万つり可つ可多おひならんことをはみ可くしを
  へきこえつへ可らのうしろやす可らむにあつ遣きこ
  え者やなときこえと那しき免のとゝもめしいてゝ
  もきの本とのこと那との多満者するついて尓六条のおとゝ
  の志きふのミこのむ寿免おほし多て个むやうに
  このをあつ可りて者くゝ万むも可な堂ゝのな可
  に盤あり可多しうち尓ハ中宮さ布らひき/\の女御
  多ちとてもいとやむこと那き可きりも能せらるゝに者可/\
  しきうしろミなくてさやうの万しらひいとな可/\ならむ
  権中納言のあそむの飛とりありつる本とにうち可す免て
  ミる(る$)へ可り个れわ可个れといときやうさくにおひさ
  き多のもし个れ(れ$)なる尓こそあめるをとの者す中納言」(9オ・1032⑪)

  者もとよりいと満め尓てとしころも可能わ多り尓を可
  个て本可さ満尓おもひうつろふへくも者へらさり遣る尓
  そ能おもひ可なひてハいとゝゆるく可多者へらし可能
  こそ可/\なをい可那る尓つ个てもをゆ可し
  くおほし多る者多えすものせさせれ所
  の尓もやむこと那きね可ひふ可くてさい
  とをもい万にわ春れ可多くこそきこえ
  れとすいてそのふりせぬあ多遣こそはいとうし
  ろめ多个れとハの者すれとけ尓あ万多のな可に可ゝつらひ
  てめさ満しかるへきおもひハありとや可ておやさ万に
  さ多め多る尓てさもやゆつりをきゝこ江(ゝこ江$え)満しなともお本」(9ウ・1033④)

  しめすへし万ことにすこしもよつきてあらせむ
  とも者むこも多らはおなしくは可能のあ多り
  にこ所ふれ者ゝせ満本し个れいく者くならぬこのよ能あ
  ひ多はさ者可りゆくありさ満尓てこそすくさ満本
  し个れわれら者おしハら可らりとも可な
  すむつひより那ましわ可ゝりしときなとさなむお
  ほえし万してのあさむ可れむハいとこと者りそ
  と者せて御心のうちに可むのきみ能御事ほしい
  てらるへしこのうしろミともの尓おも/\しきめのと
  のせうと左中弁る可ののし多しき尓てとしこ
  つ可う万つるあり个りこの尓もよせこと尓てさ布らへハ」(10オ・1033⑪)

  万いり多るにあ日ても能可多りするついて尓うへなむし可/\
  个しきありてきこえし越可能尓をりあらハも
  らしきこえさせへみこ多ちハ飛とりお者し万すこそ
  盤れいのこと那連とさ満/\尓つけてよせ多て万つりな
  ことにつ个てもうしろみし給人あるは多のもし个
  なりうへをゝき多てまつりて尓おもひきこえへき
  もな个れ盤越のらハつかう万つるとても尓ハ可りのみや
  つかひ(ひ$へ)尓可あらむわ可飛とつにしもあらておのつ可ら
  飛の本可能こともお者しまし可る/\しきゝこえもあらむと
  に盤い可さ満尓可はわつらハし可らむ御覧春るよにとも可
  くもこの御事さ多満りたらハつかう万つりよくなむあ」(10ウ・1034⑤)

  るへき可志こきすちときこゆれとハいとすくせさ多め可多
  く者し万すも能なれハよろつにな个かしく可くあ
  万多能御中にとりわきゝこえさせ尓つけてものそ
  ねミあへかめるをい可てちりもすゑ多て万つらしと
  可多らふ尓い可なるへき御事尓可あらんハあやし
  き万て御心可く可り尓てもみそへる御心
  り多るをもさしもふ可ゝらさり(+个る)越も可多/\につ遣て
  多つねとゝあ万多つとへきこえへれとやむこ
  なくおほし多るは可きりありて日と可多なめれ盤
  それ尓ことよりて可ひな个なるす万ゐし可多(+/\)
  ハおほ可めるを寿くせありてもしさやうにお者し」(11オ・1034⑬)

  万すやうもあらハいみしききこゆとも多ち那
  らひて越し多ちとは江あらしとハ越し
  者可らるれとい可ゝと者ゝ可らるゝことありてなむお
  ほゆるさるはこのよ能さかえ春ゑのよにすきてみ尓
  もとなきことはなき越すち尓てな
  もときをもも(も$)ひわ可尓もあ可ぬこともあるとな
  つね尓うち/\能すさひことにもほしのハすなる个尓
  をの(+れ)ら可多て万つる尓もさなむおハし万す可多/\に
  つけて可遣に可くしへる見ならす多ち
  く多れるき者尓ハも能し者ねと可きりある多ゝとも
  尓てありさ満尓ならふへきおほえくし多るや者」(11ウ・1035⑥)

  お者すめるそれ尓越なしくハけ尓さもおハし万さはい可尓
  堂くひ堂るあわひならむと可多らふをめのと
  のついて尓し可/\なむな尓可しのあそむに本のめ
0007【しか/\なむ】-朱ニ申
  可し者へし可は可の尓ハ可ならすうけ个(个$)ひき
  させてむとしころの御本い可なひておほしぬへき
  こと那るをこ那多のゆるしまことにありぬへくハつ多<
  へきこえむとな者へりし越い可なるへきこと尓可
  者ゝへらむ本と/\につ个てのきわ(わ=ハ)/\おほしわき万へつ
0008【ほと/\につけて】-源ノ心ヲ云
  あり可多き御心さ満尓もの志れと多ゝ多に可ゝつ
  ひ思人多ちならひ堂ることはのあ可ぬことにしハ」(12オ・1035⑬)

  へめるをめさ満しきこともや者へらむうしろみのそ
  み給人/\ハあま多ものしめりよくおほしさ多め
  てこよくハへらめ可きりなときこゆれとい万の
  よのやうとてハミ那本可ら可にあるへ可しくてよのな可越
0009【ほからかに】-カシコキコト
  御心すくしへきもお者し万すへ可めるをひめみや
  ハあさ満しくおほつかなもと那くのミみえさせ
  尓さ布ら婦/\ハつ可う万つる可きりこハへらめおほ
  可多の御心越きてにし堂可ひきこえてさ可しきしも
  もな(+ひ)きさふら婦こ多よりあることに者へらす(す$め)り多て
  堂累うしろミものしハさらむハな本そきわさ」(12ウ・1036⑥)

  になむ者へるへきときこゆし可おもひ多とるによりな
0010【しかおもひ】-朱詞
  みこ多ちのよつき多るありさ満ハう多てあわ/\しき
0011【よつきたる】-私ノ男ヲツコト
  やうにもあり多可きゝ者といへとをんなハおとこ尓み
  ゆる尓つけてこくやし个那ることもめさ満しき
  おもひもをのつ可らうち万しるわさ那めれと可つ
  るしくおもひみ多るゝを万多さるへき尓多ちをくれ
  て多のむ可遣ともにわ可れぬるのちを多てゝ世中
  すくさむこともむ可しハ多ひら可尓てよにゆるさる
  万しき本とのことをハおもひをよ者ぬものとらひ多り
  遣むいまのよに盤すき/\しくみ多り可者しきこともるい」(13オ・1036⑬)

  にふれてきこゆめり可しき能ふ万て堂可きおや能
  いゑ尓あ可められ可しつ可れしのむす免の个ふハなお/\
  しくゝ多れるきハの春きものとも尓なを多ちあさ
  可れてなき越やのおもてをふせ可けを者つ可し
  る多くひおほくきこゆるいひもてゆ遣はミ那お
  な(な$)しことなり本と/\尓つ个て春き(き$く)せなといふな累
  ことはし里可多きわさなれハよろつ尓うしろめ
  堂くなん春へてあしくもよくもさるへき
  尓ゆるし越き多る万ゝ尓て世中をすく寿ハすくせ/\
  尓てのちの尓おとろへあるときもみつ可ら能あや」(13ウ・1037⑤)

  万ちにハならすありへてこよなきさい者ひありめや
  春きこと尓なるおりハ可くてもあし可らさり个り
  とミゆれと多ち万ちふとうちきゝつ个多る本とハ
  おや尓しられすさるへ起もゆるさぬ尓可らのし
  のひわさしいて堂るなに盤万すことな
  ききすとおほゆるわさ那るなお/\しき多ゝのな
  らひ尓て多にあ者つ个くきなきこと那里見つ可ら
  のより者那れてあるへきにもあらぬをおもふより
  本可に尓もみえす(す=△イ、△#)ゝくせの本とさ多められむなむいと可
  る/\しくみのもてなしありさ満/\(/\$)越しハ可らるゝこ」(14オ・1037⑫)

  と那るをあやしくもの者可那きさ満尓やとみゆ
  める越(越$)さ満なるをこれ可れの尓万可せもてな
  きこゆな(な=累)さやう那ることのよにも里いてむこといとうき
  ことなりなとみすて多て万つりハむのちのよ越うし
  ろめ多遣尓おもひきこえさせ多万へれハいよ/\わつらハ
  しくひあへりい万すこしものをもひしり
  本と満てみすくさむとこそはとしころ年むし
  つるをふ可きほいもとけすなりぬへきちの春る尓
  おもひもよ本されてなむ可能六条のおとゝは个尓さ
  りとゝ能ゝえてうしろやすき可多はこよ那可りな」(14ウ・1038④)

  むを可多/\にあま多ものせらるへき/\をしるへき尓も
  阿らす可しとても可くても可らなりのと可尓お
  ちゐておほ可多のよの多めしとうしろやすきか
  堂はならひなくものせらるゝりさらてよろし可
  累へき多れハ可り可はあらむ兵部卿飛と可らは
  めやすしかしおしきすち尓てこと(こと=コト)わき万へ
  をとしむへき尓はあらねとあ万りい多くなよひよし
  めく本とにをもき可多をくれてすこし可ろひ多るおほえ
  やすゝみ尓多らむさるハいとたのもし遣なくなむあ
  る又大納言のあそむのいゑつ可さのそむなるさる可多に」(15オ・1038⑪)

  もの万めや可那るへきことにハあなれとさす可にい可尓そ
  やさやうにおしなへ多るき者ゝめさましくなむある
  へきむ可しも可うやうなる江らひ尓ハな尓ことも尓こ
  那るおほえある尓ことよりてこあり个れ多ゝ飛とへ尓
  ま多なくもちゐむ可多者可り越可しこきことにひさ
  多めむ盤いとあ可すくち越し可るへきわさ尓な
  んの可みのし多にわふなるよしないしの可み
  のものせられしそ者可りなむくら井なとい万
  すこしものめ可しき本とになり那ハなと可はともお
  ひよりぬへき越ま多としいとわ可くてむ个尓可ろひ多」(15ウ・1039③)

  累本となり堂可きさし布可くてやもめ尓てす
  くしつゝい多くしつ万里ひあ可れる遣しき尓は
  ぬ个てさえ那ともともくつゐ尓ハよの可多めとなるへ
  き>れハゆく春ゑも多のもし遣れと猶又この多め
  にともひ者てむ尓は可きりそあるやとよろつ尓お
  ほしわつらひ多り可うやうにもおほしよらぬあねみや
  多ちをハか个てもきこえなやまし給人もなしあや
  しくうち/\にのハすゑの(ゑの$る)さゝめきこともの越の
  可ら飛ろこりてこゝをつくす/\おほ可り个りお
  ほきおとゝもこの衛門の可みのい万ゝて飛とりのみあり」(16オ・1039⑩)

  てみこ多ちならすハ江しともへるをかゝるさ多免と
  もいてきたな累おりにさやうにもおもむ个多て万つりて
  免しよせられ多らんときい可者可りわ可多免尓もめむ本
  くありてう連し可らむとほしのてないしの可む
  のきみ尓は可能あねき多の可多してつ多へ申給
0012【かのあねきたのかた】-柏木ノ母朧ノアネ
  个りよろつ可きりなきことの者越つくしてそうせさせ
  个しき多万者らせ給兵部卿宮左大将のき多能
  可多越きこえ者つてきゝらんところもあり可多
  本ならむことはとえりすくしにい可ゝハ御心の多ゝ(多ゝ$うこ可)さらむ
  可きりな(き$く)ほしいられ多りと大納言ハとしころ」(16ウ・1040②)

  のへ多う尓て新(新=シ)多しき(き$く)可う万つ里てさふらひなれ尓
  多る越御山こもりしむのちよりところな
  そ可るへきに古のうしろみ尓ことよせて可へりみ
  させへく个しきせちに多満ハりるへし権中納言
  も可ゝることゝも越きゝて尓もあらすさハ可り
  おもむ个させへりし个しきをみ多て万つ
  てし可は越の可らたよりにつ遣てもらしきこし
  めさることもあらはよもゝて者那連てはあらし可し
  ときめきもしつへ个れと女君のい万者とうちと
  个て多のミへるをとしころつらき尓もことつ遣つ
  可りし本と多に本可さ満のもなくてすくしてし越あ」(17オ・1040⑨)

  やにく尓いまさらに多ちかへり尓者可にをやおも者せ
  きこえむなの免ならすやむことなき可多にかゝつらひ
  なはな尓こともおもふ万ゝならてひ多りみきにやす可らす
  ハわ可もくるしくこそハあら免なともとよりすき/\
  し可らぬれハおもひしつめつゝうちいてねとさす
  可尓本可さ満尓さ多万り者て者むもい可にそやおほえ
  てみゝ者と満り个り春宮尓もかゝることもきこしめ
  してさしあ多り多る多ゝい万のことよりものちのよの
  多免しとなるへきこと那(+ルヲヨクオホシメシメクラスヘキ事也可らよろしとても多ゝ
  者可きりあるを志可おほし多つとならは可能六条」(17ウ・1041②)
0013【人】-ウト

  尓こそやさ満尓ゆつりきこえさせハめとんわさ
  とせうそこニはあらねと个しきあり个るを万ちき
  可せてもけ尓さることなりいとよくおほしの多満者せ
  多りといよ/\御心堂ゝせて万つ可のしてそかつ/\
  あないつ多へきこえさせ个るこのと可くおほ
  しわつらふさ満盤さき/\もミ那起ゝおき多満へれハ
  くるしきことにもあ那る可那さ者ありとも
0014【心くるしき】-源心
  のゝこりすくなしとてこゝにハ(ハ=も)ま多いく者く多ち越く
  れ多てまつるへしとて可そのうしろのをハうけと
  きこえむ个尓し多いをあや万多ぬ尓てい万志者しの」(18オ・1041⑨)

  本とものこりと満る可きりあらはおほ可多につ遣ては
  いつれのみこ多ち越もよそき(き$)尓きゝ者那ち(+多)て万つ
  へき尓もあらぬ(ぬ$子)かくとりわきてきゝをきて(て$)多て万
  つりてむ越ハこと尓こ盤うしろみミきこえめとおもふ
  越それ多にいとふるよのさ多免なさなりやと
0015【ふ定】-不定
  て万してひとつ尓堂の万れ多て万つるへきすちに
  むつひなれきこえむことはいとな可/\にうちつゝきよ越
  さらんきさみくるしくみつ可らの多め尓もあさ可ら
  ぬ本多しになむあるへき中納言とはとしわ可く可ろ/\
  しきやうなれとゆくさきとをくて可らもつい尓おほ」(18ウ・1042②)

  や遣のうしみとりぬへき越飛さきなめれハさも
  おほしよらむ尓なと可こよな可らむされといとい多く
  万免多ちておもふ日とさ多万りにてそあ免る(る#れ)盤そ
  れ尓者ゝ可らせ尓やあらむなとの多万ひてみつ可ら
  はおほし者那れ多るさ満なる越はおほろ遣の
  さ多免尓もあらぬをかくの多万へ者いと越しく
  くち越しくもおもひてうち/\尓おほし多ちに多
  るさ満なとく者しくきこゆれ盤さす可にうちゑ見
  つゝいと可なしくし多て万つりみこな免れハあな
  かちに可くきし可多ゆくさきの堂とりもふ可き」(19オ・1042⑧)

  なめり可しな多ゝうちにこそ多て万つり者め
  やむこと那き万つの飛と/\お者すといふことはよしな
  きこと那里それ尓さ者るへきことにもあら寿可な
  すさりとてすゑのおろ可那るやうもなしこ
  の御時尓おほきさきの者うのハし免の女御尓ていき
0016【いきまき】-威勢ノ心
  万きし可とむ遣のすゑ尓万いりへりし入道
  尓し者しハ越され尓き可しこのみこのハゝ
0017【このみこ】-女三ノコト
  女御こそハ可の者ら可らにものし个め可多ち
  もさしつきにハいとよしとい者れりし可」(19ウ・1042⑭)

  はいつ可多につ遣てもこのひ免をしなへて
  のき者尓ハよもお者せし越なといふかしくはおも
  ひきこえへしとしもくれぬ春さく尓ハ御心
  那をおこ多るさ満尓もおハし万さねハよろつあは
  堂ゝしくおほし多ちて(+き)のことはおほしいそ
  さ満きし可多ゆくさきあり可多个那る万ていつくし
  くのゝしるしつらひハかへ殿のにしおもて尓御長御長$)
0018【かへ殿】-カヤノ木ニテ作タル所
  きより者しめてこゝのあや尓しき万せさせ
  春もろこしのきさきの可さりをおほしやりてうる
  しくこと/\しく可ゝやく者可りとゝのへさせへ」(20オ・1043⑥)

  りこしゆひ尓ハおほきおとゝ越可ねてよりきこえ
  させへり个れハこと/\しくおハする尓て万いり尓くゝ
  おほし遣れと御事越む可しよりそむき申給
  者ねハ万いりい万ふ多大臣多ちそのゝこり可む
0019【ふた所の大臣】-左右大臣
  ちめなとはわ里なきさ者りあるもあな可ち尓
  めらひ多す遣つゝ万いりみこ多ち八人殿上人
  者多さらにもい者春うち春宮のゝこらすまいり
  つとひてい可めしきいそきのひゝきな
  ことこの多(多#)多ひこそちめなれとみ可と春宮をハ」(20ウ・1043⑫)

  しめ多て万つりてくるしくきこしめしつゝくら
  ころをさめ殿のからも(も$)ものもおほく多て万つ
  らせへり六条院よりも(+トフラヒイトコチタシトモ)/\のろく尊者大臣
0020【尊者】-コシユイノ人ヲ云
  ひきいてものなと可のよりそ多て万つらせ
  累中宮よりもさうそくゝしの者こと尓て
0021【中宮】-秋好
  うせさせて可能む可しのくし阿遣のくゆへ
0022【むかしの御くしあけ】-コレハ斎宮ニ立給シ時ノ具也
  あ累さ満尓あら多免くハへてさす可にもとの者江
  もうしな者春それとみせてそのひ能ゆふつ可多
  たて万つれさせ給宮のこん(+の)す个殿上尓もさふら」(21オ・1044③)
0023【宮】-中宮
0024【院】-朱雀ノコト


  ふを可ひ尓て飛免みやの可多に万いらすへく
  能多万ハせつれとかゝることそ尓あり个る
    さしな可らむ可し越いまにつ多ふれは
0025【さしなから】-サナカラ也
  た万のをくしそ可みさひ尓个るこらんしつ
  个てあ者れ尓おほしいてらるゝこともあり个りあ
  江も能个しうハあらしとゆつりきこえへる本
  とけ尓おも多ゝしき可むさしなれハ可へりも
  む可しのあハれをハさしおきて
    さしつきにみるもの尓も可よろつよ越つ个の
0026【さしつきに】-朱
  越くしの可ミさふる万てとそい者ひきこえへる」(21ウ・1044⑧)
0027【かみさふる】-末ヲ祝心

  御心ちいとくるしき越ねむしつゝおほしおこし
  てこのいそきハてぬれハ三日すくしてつい尓
  しおろしよろしき本とののうゑ尓て多尓
  いまはとてさ満か者るは可なし个なるわさなれハ
  ましていとあ者れ个尓可多/\もほし万とふ
  ないしの可んの者つとさふらひていみしくお
  ほしい里多る越こしらへ可ねてこを思道
  可きりあり个り可くおもひしみへるわ可れの多
  へ可多くもある可那とて御心ミ多れぬへ个れと
  那可ちに个うそくに可ゝりのさすより」(22オ・1045③)

  者し免ていむことのあさり三人さ布らひて
0028【御いむこと】-戒法
  ほう布くなと多て万つる本とこのよ越わ可れ
0029【ほうふく】-法服 衣ノコト
  さ本うい見しくおほしいり多る越こしらへか
0030【いみしくおほし】-「いみしくおほし以下削除符号
  ねてこを思道者可きりあり个り可くおもひし
  みへるわ可れの多へ可多くもある可那とて御心見多
  れぬへ个れとあ那可ちにけうそくに可ゝり
  のさすより者しめていむことのあさり三人さふら
  ひてほう布くなと多てまつる本とこのよ越わ可れ
  給御さ本うい見しく可なし个ふはよをゝもひす万
0031【御さほう】-」給御さほうマデ削除符号
  し多るそう多ちなと多になミ多もえとゝめね盤」(22ウ・1045⑤)

  万して女宮多ち女御可ういこゝらのおとこ可み
  しもゆ春りみちてなきとよむ尓いとこゝろあハ
  堂ゝしうかゝらてしつや可な累ところ尓や可て
  こもるへくおほし万うけゝ累い堂可ひておほし
  めさるゝも堂ゝこのおさな尓ひ可されてと
  おほしの者すうちより者しめ多て万つりて
  と布らひのし遣さいとさらな六条院もすこし
  御心ちよろしくときゝ多て万つらせて万いり
  多う者りのみふなとこそみなしことお
  ゐのみ可とゝ飛としくさ多満りへれとまことの太上」(23オ・1045⑪)

  天王のきしきに者う遣者り者寿よのもてな
  しおもひきこえ多るさ満なと那連とことさ
  らにそてれいのこと/\し可らぬくる万に多て万つ
0032【そき給て】-省
  りて可ん多ちめなとさるへきか(+き)りくる万尓てそつ可う
  万つりへる尓はいみしく万ちよろこひきこえ
  させてくるしき御心ち越おほしつよりておほん
  多いめむありうるわしきさ万ならす多ゝおハし万す
  可多におましよそひく者へていれ多て万つり(+カハリタマ)へる
  ありさ万多て万つ尓きし可多ゆくさきく
  れて可なしくとめ可多くおほさるれハとみ尓もえ多」(23ウ・1046③)

  めらひ者すこ尓をくれ多て万つりしころ本ひ
0033【こ院に】-源
  よりよのつねなくおもふへられし可はこの可多の
  ほい布可く春ゝみ者へり尓し越よはくおもふ多
0034【ほい】-出家
  満へ多ゆ多ふことのミゝつゐ尓可くみ多て万つ
  なし者へる万てをくれ(+多て万つり)者へりぬるぬるさ越
  者つ可しくおもふへらるゝかなにとりてハことに
  もある満しくおもふ多満へ多ち者へるおり/\あ
  る越さらにいとしのひ可多きことおほ可りぬへきわ
  さ尓こそ者へり个れとなくさめ可多くおほし
  多里もゝの本そくおほさるゝ尓江よ可らす」(24オ・1046⑨)

  うちし本れつる(つる$つゝ)い尓しへいまのもの可多りいとよ
  者け尓きこえさせて个ふ可あす可とおほえゝさ
  す可尓本とへぬるをうち多ゆミてふ可きいの者しにて
  もとけすなりなむことゝおもひをこし(+て)む可くても
  のこり能よ者ひなくはおこ那ひ能さしも可な
  満し遣れと万つ可里尓てものとめ越きて念仏を多に
  とおもひ者へる者可/\し可らぬみ尓てもよ尓な可らふる
  こと堂ゝこのさしにひきとゝめられ多るとおもふ
  へしられぬ尓しもあらぬをい万ゝてつめなきをこ
  多り越多にやす可らすなむとておほし越きて多るさ」(24ウ・1047②)

  満なとくハしくのたま者するついて尓みこ多ち越
  あ万多うちすへ(へ=て)し者へるなくるしきな可にも
  もひゆつる飛となき越はとりわきうしろめ多くみ
  わつらひハへるとて万本尓はあらぬ个しきくるしく
  み多て万つり給御心のうちにもさす可にゆ可しき
0035【さすかに】-源ノ女三ヲ思コト
  りさ満なれハおほし春くし可多くて个尓たゝより
  もかゝる春ち尓はわ多くしさ万のうしろみ
  なきはくち越しけなるわさ尓那む者へり遣累
  東宮可くておハし万せはいと可しこき春ゑのよの万うけ
  のきみとあ免のし多の多のみところ尓あふきゝこえ
  さするを万してこのことゝきこえを可せ者んことは」(25オ・1047⑨)

  飛とことゝしてお(+そ可に可ろ免申給へきニハへらねハ
  さらにゆくさきのことおほしなやむへきにも者へら
  ねとけ尓こと可きりあれハおほや遣とよの
  万つりこ御心尓可なふへしとはい飛な可らをんな
  多免にな尓ハ可りのけさや可なる御心よせあるへ
  きにも者へらさり个りすへて多めにハさ満/\
  万ことのうしろすへきものハさるへきすち
  尓ちきり越可ハしえさらぬことに者くゝみきこゆる$)
  万もりめ者へるなむうしろや春可るへきことに者へ
  るをしひてのち能よのう多可ひのこるへくハよろ」(25ウ・1048①)

  しき尓おほしえらひてし能ひてさるへき
  つ可りをさ多免を可せへき尓なむ者へなると
  しさやうにおもひよること者へれとそれも可多き
0036【さやうに】-朱詞
  ことになむあり遣累い尓しへの多めし越きゝ
  よ越多もつさ可りの見こに多にをえらひてさるさ
  まのことをしへる多くひおほ可り个り万して可く
  い万者とこの越者那るゝき者にてこと/\しくおもふ
  へき尓あらねとし可春つ尓もすて可多きこ
  と阿りてさ満/\尓おもひわつらひ本とにや万ひハ
  越も里ゆく万多とり可へ春へき尓もあらぬひの春」(26オ・1048⑦)

  きゆ个はあわたゝしくなむ可多者らい多きゆ
  つりなれとこのい者けな内新王飛とりわきて
  者くゝみおほしてさるへきよす可をも御心尓おほしさ
  多めてあつけへときこえ満本しきを権中納言
  の飛とりも能しつる本とにすゝみよるへくこそあり
  个れおほい万うち尓せんせられてね多くおほえ
  へるときこえ給中納言のあそむ万めや可なる可多
0037【中納言のあそむ】-源
  いとよくつ可う万つりぬへく者へるをな尓ことも万多
  あさくて多とりすく那くこそ者へらめ可多しけなくと
0038【たとりすくなく】-タヨリスクナキ心也
  ふ可き尓てうしろみきこえさせ者へらん尓お者し」(26ウ・1048⑭)

  万すおほむ可遣尓可者りてハおほされし越多ゝゆ
  くさきみし可くてつ可う万つりさすことや者へらむ
  とう多可ハしき可多のみなくるしく者へる
  へきとうけ飛き申給よにい里ぬれハあるし
  の可多も万らうと可む多ち免たちもみな
  御前尓てあるし能ことさうし尓てうる者し<
  らすな満め可しくせさせへり万へ尓せん
  うのかけ者(+ん)者ちなとむ可しに可ハりてまいる
  を人/\ミ多をしのこひあハれなるすちのこ
  とゝもあれとうるさ个れハかゝすふけて可へり」(27オ・1049⑥)

  ろくとつき/\尓へ多う大納言をくり尓万
  い里あるしの者个ふのゆきにいとゝ御風く者ゝ
  りて可きみ多りなやましくおほさるれとこの
  御事きこえさ多めつる越やすくおほし
  个り六条院者なるしうさ満/\おほしみ
  多るむらさきのうへも可ゝるさ多めなむと可ねて
  も本のきゝ个れとさしもあらしさいをも
  ねむころ尓きこえやうな(+里)し可とわさとしも
  しとけ春な里尓しをなとおほしてさることも
  あるともとひきこえ者すな尓もなくてお者春る」(27ウ・1049⑫)
0039【なに心もなくて】-源ノ心

  尓いとおしくこのをい可におほさむわ可者つゆも
  可者るましくさることあらん尓つ个てハな可/\いと
  布可さこそ万さらめみさ多め者さらむ本とい可に
  ひう多可ひ者むなとや春可らすおほさるいまの
  としころとりてハ万して可多み尓へ多てきこえ給事
  那くあ者れなる御中れハしハし尓へ多てのこ
0040【御中なれは】-紫トノコト
  したることあらむもいふせき越そのよはうちやす
  ミてあ可しのひゆきうち布りそらの个し
  きもゝのあ者れ尓春き尓し可多ゆくさきの
  堂りきこえ可者し給院の多能もし遣那くな尓」(28オ・1050④)
0041【院】-源

  たるとふらひ尓万いりてあハれなることゝものあり
  つる可な女三宮御事をいとすて可多け尓おほし
  てし可/\なむ能多満者せつけし可はくるしくて江
  きこ江いなひ春なり尓し越こと/\しくそ盤いひ
  なさむ可しいまはさやうのこともうゐ/\しくすさ
  満しくおもひなり尓多れハて尓遣しき者万
  せし尓ハと可くの可れきこえしを多いめんのついて尓
  ふ可きさ満なることゝも越のゝ遣しにも(も$者)えす
  く/\しくも可へさひさてなむふ可き御山すミ尓
  うつろひ者む本とにこそハわ多し多て万つらめ」(28ウ・1050⑪)

  あちきなくやおほさるへきいミしきことありと
  多めあるより(より$尓)可ハることはさらにある満しきを
  なをきよ可の多めこそくるし可らめそれも
  可多はならすもてなしてむ多れも/\のと可尓てすく
  しハゝなときこえ者可那きすさひことを多尓
0042【御すさひこと】-スキ心
  めさ満しき△△(△△#もの)におほしてや春可らぬ御心さ満な
  れハい可ゝおほさむとおほ春尓いとつれなくてあ者れ
0043【いとつれなくて】-紫体
0044【あはれなる御ゆつりに】-詞

  なるゆつり尓こそあなれこミ(ミ=古ゝ)尓ハいかなるをゝき
  多て万つるへき尓可めさ満しく可くてなとゝかめらる万
  しくハや春くても者へなむを可の者ゝ女御可多さ」(29オ・1051③)

  満尓てもうと可らすおほしかす満へてむやとひけ
  しをあ万り可うゝちとけ給御ゆるしもい可な
0045【あまりかう】-源
  ハとうしろめ多くこそあれ万ことはさ多尓おほし
  ゆるいてわれもえてな多ら可にもてなしすく
  しハゝいよ/\あハれ尓なむ飛可こときこえな
  せむのこときゝいれすへてよののくちといふ
  ものなむ多可(+い)ひいへ(へ=ツ)ることともなく越のつ可ら飛とのな
  可らひなとうちともなく越のつ可ら(ともなく越のつ可ら$)本をゆ可みお(+も)ハす
  なることいてくるものな(+め)るを飛とつ尓しつめてありさ
  満尓し多可ふなむよき万多きにさ者きてあいなきも」(29ウ・1051⑩)

  のうらみしといとよくをしへきこえ給心のう
0046【心のうち】-紫
  ち尓も可くそらよりいてき尓多るやうなることにての
  可多きを尓くけ尓もきこえなさむ(む$し)わ可尓者ゝ
  ひいさむることにし多可ひへきをの可とちの
  より越これる个さう尓もあらすせ可るへき可多なきもの
  可らおこ可満しくひむ寿本をるゝさ満よ(+の)ひとにもり
  きこえし志きふのおほき多の可多つね尓う遣
0047【うけはしけなる】-ノロウ心
  者し遣なることゝもをのひいてつゝあちきな大将
  御事尓てさへあやしくうらみそねミる越可や
  う尓きゝてい可尓いちしるくひあハせ者むなと越」(30オ・1052②)
0048【越ひらかなる人】-ヲトナシキ心

  ひら可なる御心といへとい可て可は可者可りのく満は
  な可らむい万者さ里ともとのミわ可をおもひあ可り
  うらなくてすくし个るよのわらへならむこと越し
  多尓はひつゝけへといとおひら可尓のミもてな
  へりとしも可へりぬ朱雀院尓はひめ宮六条院尓う
  つろひ者むいそき越しきこえへる/\い
  とくちおしくおほしな遣くうちにもゝろ者へあり
0049【うちにも御こゝろはへあり】-内裏ニモ女三ヲホシクオホシタリシ也
0050【御こゝろ】-心

  てきこえ个る本とに可ゝるさため越きこしめして
  おほしと満り尓个りさる(る$)ハことしそよそちにな个れ
  は可能ほや遣尓もきこしめしすくさす世中の」(30ウ・1052⑨)

  いと那見尓て可ねてよりひゝくをことのわつらひお
  くい可めしきハむ可しよりこのミ者ぬ御心尓て
  み那かへさひ申給正月廿三日子のひなるに左大将殿
  のき多の可多わ可なまいり可ねて个しきもゝらし
  者ていといたくしのひておほし万うけ堂り个れハ
  尓者可にてえいさめ可へしきこえ者すし能ひ多れ者(者$と
  さハ可りのいき本ひなれハわ多り(+きしきなといとひゝ
  きことなりみなミのおとゝの尓し能者那ちいて尓お
  しよそ屏風可へしろより者しめあ多らしく
  者こ(こ$ラ)ひしつらひ(ひ$)ハれ多りうるハしくいしなとは多て」(31オ・l1053)

  寿ちしき四十枚御しとねけうそくなとすへて
0051【御ちしき】-地敷 唐筵也
  そ(+く)もいときよらにせさせへりらてんのみつ
  布多よろひ尓ころも者こよ(+徒)すへてなふゆの
  さう寿く可うこく春りの者こすゝりゆ春るつき可ゝ
0052【ゆするつき】-ヒン水入ル物也
  遣の者こなとやうのもうち/\きよら越つくしへり
  可さしの多い尓ハちむし多むをつくりめつらしきあや
0053【御かさしのたい】-造花也挿頭也老ヲフセク心也
0054【あやめをつくし】-木ノモクナトノコト又物ノモン也

  めをつくしおしき可ねをもいろつ可ひなし多る
  者へありい万め可しくかむのき(+ミ)ものゝみやひ布可くか
0055【みやひふかく】-ユウヒナルコト
  とめきへる尓てめなれぬさ満尓しなつる(る=リ)
  おほ可多のことをはことさらにこと/\し可らぬ本となり/\」(31ウ・1053⑧)

  万いりなとしておましにいてて可むのきみ
  に多いめんあり御心のうち尓はい尓しへおほしいつ
  こともさ満/\なり个む可しいとわ可く(いとわ可く$いとわ可く)きよらにて可く
  可なといふことはひ可ゝそへ尓やとほゆるさ満のな
0056【ひかゝそへ】-四十ナトヨリ若キ也
  め可しくのおや遣なくお者し万す越めつらしくて
  とへ多てゝ多て万つりハいと者つ可し个れと
  けさや可なるへ多てもなくてもの可多里きこえ可
  ハしおさ那きゝみもいとうつくし(+く)てものし可むの
  きみハうちつゝきても御覧せられしとの个るを大将
  かゝるついて尓多に御覧せさせむとてふ多りおなし」(32オ・1054①)

  やうにふりわ遣可みのなきなをしす可多と
0057【ふりわけかみ】-玉カツラノ子二人
  尓ておハすゝくるよ者ひもみつからの尓はことにお
0058【すくるよはひも】-源心
  もひと可められす堂ゝむ可しな可らのわ可/\しきあ
  りさ満尓てあら多むることもなきを可ゝるすゑ/\能も
  よ越し尓なむな万ハし多なき万ておもひしらるゝ
  おりも者へり个る中納言のいつし可と万うけ多なるを
  こと/\しくひへ多てゝ万多みせす可しよりことに
  可そへと个るけふのねのひこそなをうれ多遣れ
  志ハしハおいをわ春れても者へるへきをときこえ可む
  のきみもいとよくねひ万さりもの/\しき遣さへそひ」(32ウ・1054⑦)

  てみる可ひあるさ満しへり
    わ可者さ寿能へのこ万つを飛きつれてもとの
0059【わかはさす】-内侍
  い者ねをいのる遣ふ可那とせめておと那ひきこえ
  ちんのおしきよつしてわ可那さ万者可り(+万)いれり可ハら
  遣とり
    こ者ら春ゑのよ者ひ尓飛可れてや能へのわ可な
0060【こ松はら】-源
  もし越つむへきなときこえか者して可む多ちめ
  あま多ミ那ミの飛さし尓しきふきやうの
  万いり尓くゝおほし个れとせうそこあり遣る尓可く
  し多しき可らひ尓てあるやうならむも飛んなく」(33オ・1055①)

  て飛多个てそわ多りへる大将のし多り可本尓て可ゝ
0061【大将のしたりかほにて】-式部卿ノ心
  累御中らひ尓うけ者りてものしけ尓やまし
  个な累わさ那めれとむ万このきみ多ちはいつ可多尓
  つけてもをり多ちてさうやくしこものよそえ(△&え)多お
  りひ(ひ=ウ)のよそ中納言をハしめ多て万つりてさるへき
  可きりとりつゝき多満へり可者らけく多りわ可那のお
  あつい(い$)もの万いるお万へ尓ハちんの可遣者んよつ
0062【あつもの】-カンニシタル也
  つきともな可しくい万めき多る本と尓せられ多里
0063【つきとも】-器
  朱雀院くすりのことなを多ひらき者て者ぬ尓
  より可くとは(+めさす布えなとお本きおとゝのその)可多はとゝのへてよのな可にこのか」(33ウ・1055⑧)

  よりめつらしくきよらへ(へ$ツ)くすへきあらしと
  て春くれ多るねの可きり越可ねてよりおほし万うけ
  多り个れハし能ひや可尓あそひありとり/\尓多て
  まつる尓わこむハ可のおとゝの第一尓飛し个る
  となりさるものゝすのをとゝめてひきならし
  へるねいとならひなき越こハ可き堂て尓くゝし
  へハ(+衛門の可ミのか多くいなふるをせめ多万へハ)个尓いとおもしろくおさ/\をとる満しくひくな
0064【いなふる】-△△
  ことも寿のつきといひな可ら可くしもえつ(+可)ぬわさそ
  しと尓くゝあハれ尓/\おほす志らへ尓し多
  ひてあとあるてともさ多万れるもろこしのつ(る$タ)へとも」(34オ・1056①)
0065【あとあるてとも】-伝タル手ノコト

  はな可/\多つねしるへき可多あらはなるを尓万可
  せて多ゝかきあハせ多るす可ゝき尓よろつのものゝね
0066【すかゝき】-和琴計ニアルコト
  とゝのへられ多る者多へにおもしろくあやしき満て
  ひゝくちゝおとゝはことのをもいとゆる尓ハりてい多うく
  多して志らへひゝきおほくあハせてそ可きならし
  これ者いとわらゝかにの本るねのな可しくあい
  つき堂るをいと可うしもはきこえさりし越と
  こ多ちもをとろききむハ兵部卿宮ひきこの
  こと(こと$ハきやう殿の尓て多い/\尓多いのなありし
0067【きやう殿】-宜陽殿
  とをこの春ゑつ可多一品宮のこのミと尓て」(34ウ・1056⑧)
0068【こ院】-桐ノコト
0069【一品宮】-大后御腹


  まハり堂満へり遣る越このをりのきよらをつくし
  満者んとする堂めおとゝの申給者る(る$り)へる多へ/\
  越おほす尓いとあハれ尓む可しのもこ飛しくお
  ほしいてらるみこもゑひなきえとゝめハす个し
  きとてきむハおまへ尓ゆつりきこえさせのゝ
0070【おまへに】-源ノコト
  あハれ尓江(江=エ)すくしハてめつらしきもの飛とつ者可りひ
  き尓こと/\し可らねと可きりなく越もしろきよの
  (+あ)ひなりさう可の/\み者しにめしてす春くれ多
  るこゑの可きりい多して(+リ)こゑ尓なるよのふ遣ゆく
0071【返りこゑ】-呂ノ律ニナルヲ云
  万ゝ尓も能ゝしらへともな可しくか者りてあ越」(35オ・1056⑭)
0072【あ越やき】-\(合点)

  やきあそほとけ尓ねくらのうくひすおとろ
  きぬへくいみしくおもしろしわ多くしことのさ
  万尓しなてろくなといとさくに万うけられ
  多り个りあ可尓可むのきみ返給御をくりとあり遣
  里可うよ越寿つるやう尓てあ可しくらす本とにと
0073【かうよ越】-源
  のゆくゑもしらすかをなるをかう可そへしら勢多
  万へる尓つけてハ本そくなむとき/\ハをい(+や)万さ
  るとみくらへよかし可くふるめ可しきみのところせ
  さにおもふ尓し多可ひて多いめんなきもいとくち越
  しくなむなときこえ多万ひてあ者れ尓もを可しく」(35ウ・1057⑦)

  もおもひいてきこえとなきにしもあらねハ
  な可/\本の可尓てかくいそきわ多りをいとあ可す
  くち越しくそほされ个る可むのきみも満ことのを
  やをハさるへきちきり者可りにおもひきこえ
  あり可多くこ満可なりしこゝろ者へ越と
  そへてかくよにすミ者て尓つけてもをろ可な
  春おもひきこえ个り可くてきさらきの
  朱雀院のひめみや六条院へわ多りこの尓も$)
0074【この院】-源ノコト
  御心万うけよのつねならすわ可那万いりしにしのハ
  なちいて尓御帳丁$)堂てゝそな多の一二の多いわ多との」(36オ・1057⑬)

  遣てねう者う能つ本年/\万てこ満可尓しつひ見
  ゝせへりうち尓万いり給人のさ本うを万ねひて
  こ(こ=か)よりもてうとと者こ者るわ多りきし
  きいへ者さらなをくり尓可む多ちめなとあ万多
  まいりかの遣いしのそ大納言やす可ら寿
  おもひな可らさふらひ給御くる万よせたるところ尓
  ゐんわ多りておろし多て万つともれい尓
  ハ堂可ひ多るもなり堂ゝ尓おハすれハよろつ
  のこと可きりありてうち万いり尓も尓寿むこのおほきみ
  とい者む尓もこと多可ひてめつらしきな可能あハひ」(36ウ・1058⑤)

  とも尓なむ三日可本と可のよりもあるしのゐんか
  堂よ(+り)もい可めしくめつしきみやひをつくし
  いのうへも尓ふれて堂ゝにもおほされぬよのあ
  さ満なり遣にかゝる尓つけてこよな尓お
  遣多るゝこともある満し个れと万多ならふ
  くならて者那や可にをひさきとをくあな
  つりにくきけ者ひ尓てうつろひ多万へる尓な満
  者し多なくおほさるれとつれなくのミもてなして
  わ多りの本ともゝろ尓ハ可那きこともしいて
  いとらう多遣なるありさ万越いとゝあり可多しと」(37オ・1058⑪)

  おもひきこえひめみやハ遣に万多いとちひさくか多
  なりにおハするうちにもいとい者けなき个しきして
  ひ多みちにわ可ひへりかのむらさきのゆ可り多つね
  とへりしおりおほしいつる尓可れハ可れハ(可れハ$)され
  ていふ可ひありしに(に$)をこれ者いとい者けなくのミみえ
  へハよ可めりにくけ尓越し多ち多ることなとハある満
0075【にくけに】-嫉妬ナトノコト
  し可めりとほすもの可らいとあ万りもゝ者えな
  さ万可なとみ多て万つ給三日可本とはよ可れな
  わ多りをとしころさもならひハぬち尓し能ふ
0076【さもならひ給はぬ】-紫ト今マテハ一夜モヨカレナキ也
  れとなをものあハれなもなといよ/\多きし」(37ウ・1059④)

  めさせの可らうちな可めてものし个しきい見
0077【うちなかめて】-源ノ紫ノ方ヲ也
  しくらうたけ尓お可しなとてよろつのことありと
  万多をハならへてみるへきそあ多/\しくよはく
0078【また】-又
0079【あた/\しく心よはく】-女三ノコトヲウケコイタルコト後悔也

  なりをきに个るわ可をこ多りにかゝるもいてくるそ
  かしわ可个れと中納言をはえおほし可遣すなりぬめり
  し越とわれな可らつらくおほしつゝくる尓なミ多
  く満れてこよひハ可りハことハりとゆるしてんなこれ
0080【こよひはかりは】-紫ヘノ詞
  よりのちの多江あらんこそな可らもきな
  かるへ个れ△△(△△#)さりとて可の尓きこしめさむこ
  よとおもひみ多れへる御心のうちくるし遣なり」(38オ・1059⑩)

  すこし本ゝゑみてみつ可らのこゝろな可ら多にえさ
0081【すこしほゝゑみて】-紫ノ体
  多め堂まふ万し可なるを万してことハりもな尓も
  いつこ尓と満るへき尓可といふ可ひな遣にとりなへハ
0082【いつこにとまるへき】-ナニコトモ源ノコトハ定ラヌト也
  者つ可しうさへおほえてつらつゑをつてよ
0083【はつかしう】-源心
  りふし多万へれハすゝりをひきよせ
    め尓ち可くうつれハか者るよのな可越ゆくすゑ
0084【めにちかく】-紫
  とをく多の見遣る可那ふることなと可き万せをとりて
  み多万ひてハ可那きことなれと遣にとことハり尓て
    いのちこそ多ゆともたえめさ多めなきよのつね
0085【いのちこそ】-源
  ならぬな可のちきりをとみ尓も江わ多り堂満ハぬを」(38ウ・1060③)

  いとか多わらいたきわさ可那とそゝの可しきこえへハ
  なよゝ可にお可しき本とに江ならす尓ほひてわ多り
  堂満ふをみい多しいと多ゝ尓ハあら寿かしと
  ころさもやあらむとおもひしことゝもゝい万者とのみ
0086【さもやあらむ】-槿朧月ナトノコト也
  もてハ那れ多満ひつゝさらは可くにこそハとうちと
0087【うちとけゆくすゑに】-紫ノ油断也
  ゆくすゑ尓あり/\て可くよのきゝみゝもなのめならぬ
  ことのいてきぬるよおもひさ多むへきよのありさ万
  尓もあらさり个れハい万よりのちもうしろめ多な(な#)
  くそほしなりぬるさこそつれなく万きらハし
  へとさ布ら/\もも者寿なるよなりやあ」(39オ・1060⑨)

  満多ものしやうなれといつ可多もみなこ那多の
  遣者ひ尓ハ可多さりハゝ可るさ万にて寿くしへ者
  こそと那くな多ら可にもあれをし多ちて可ハ可り
  なるありさ満尓遣多れても江すくし多満ふまし
0088【江すくしたまふまし】-紫ニ女三ノオサレ給マシト也
  ま多さりとて者可那きことにつけてもやす可らぬこ
  のあらむお里/\可ならすわつらハしきことゝも
  てきなむ可しなとをの可志ゝうち可多らひな遣可
  しけなる越つゆもみしらぬやうにいと个者ひお可し
  くもの可多りなとしつゝよふくる万ておも(も$)者す可う
  の多ゝならすいひおもひ多るもきゝ尓くしとほして」(39ウ・1061①)

  かくこれ可れあ万多も能しめれと御心尓可なひてい万
0089【かくこれかれ】-紫詞
  め可しく寿くれ多るき者尓もあらすとめなれてさう/\
  しくおほし多りつる尓この可くわ多りへるこ
  そめや春个れなをわら者こゝろのうせぬ尓やあらむ
  われもむつひてきこえてあら満本しきをあいなく(く&く)へ多て
0090【あいなくへたて】-嫉妬ノ心
  あるさ満尓/\やとりなさむとすらむ飛としき
  本とおとりさ満なとおもふ尓こそ堂ゝならすみゝ
  多つともをのつ可らいてくるわさなれ可多しけな
  くくるしき御事めれハい可てを可れ多て万つ
  らしとなむおもふなとのへハつ可さ中将君と」(40オ・1061⑧)
0091【中つかさ中将君なと】-源心ヲカケシ人也

  やうの/\め越くハせつゝあ万りなるもひやり可那
  なといふへしむ可しハ多ゝなぬさ満尓つ可ひならし
0092【つかひならし】-源ノ方ニ仕シニ候也
  もなれとゝしころ者この可多にさふらひ
0093【この御かた】-紫也
  てミ那(+せ)きこえ多るなめりこ可多/\よりもい可尓
0094【こと御かた/\よりも】-六条院ノ殿ヨリ
  おほ寿らむもとよりひ者那れ多る/\ハな可/\
0095【思ひはなれ】-末ツムナトノコト
  やすき越なとおもむ遣つゝとふらひきこえ
  ある越可くをし者可るこそ/\くるし个れ
  もいとつねな越なとて可さのミはおもひな
  万むなとおほすあ万り飛さしきよ(+ひ)井もれいなす」(40ウ・1061⑭)
0096【あまりひさしきよひゐ】-源ノルスニヨイヰノコトヲ紫ノ心

  やと可めむとお尓ゝおほしてい里ぬれハ
  ふ春満ゝい里ぬれとけ尓可多者らさ飛しきよ那/\
  へ尓个るも多ゝならぬちすれとかのす万のわ可
  れのおりなと越おほしいつれハいまはと可遣者那れ
  てもたゝおなしよのうちにきゝ多て万つら満し可は
  とわ可万てのことはうち越きあ多らしく可なし可
  里しありさ満そ可しさてその万きれ尓われも
  もいのち多へすなり那まし可はいふ可ひあら満しよ
0097【たへす】-不堪
  可はとおほしな越寿うちふきたるよのけ者ひ」(41オ・1062⑤)

  飛やゝ可尓てふともねいられ者ぬをち可くさ布ら
  ふ/\あやしとやき可むとうちもみしろき
  者ぬもいとくるし个な里よふ可きとりのこゑの
  きこえ多るもゝのあハれなりわさとつ(く$ら)しと尓は
  あらねと可やうにおもひみ多れ遣尓や可の
0098【かの御ゆめに】-源ノ御夢ニ紫ヲミ給也
  め尓个れハうち越とろき堂万ひてい可尓
  とさは可し尓とり能ねまちいてへれハよふ可
  きも志らす可本尓いそきいていとい者けなあり
  さ万なれ盤めのと多ちゝかくさ布らひ个りつ万とお
  あけていてをみ多て万つりをくるあ遣くれの」(41ウ・1062⑫)

  そらにゆきの飛可りみえておほつ可なしなこり
  まてと万れる尓本ひやみハあやなしとひとりみ(み$こ)
0099【やみはあやなし】-\(合点)
  堂るゆきハところ/\きえのこりたる可いとしろき尓
  者の布と个ちめみえわ可れぬ本となる尓(+れ)
0100【猶のこれるゆき】-\(合点)子城陰處猶残雪/衙皷声前未有塵(付箋①)
  ゆきとしのひや可尓くち春さひゝみ可うしうち
  多ゝき飛さしくかゝることな可里つるならひ尓/\
0101【かゝること】-早帰給コト稀ト也
  もらねをしつゝやゝ万多せたて万つりてひきあ
  遣多里こよ那く飛さし可りつる尓みもひ江尓遣累
  はをちきこゆるのをろ可ならぬ尓こそあめれさるは
  つ見もしやとひきや里那とにすこし」(42オ・1063④)
0102【つみもなしや】-紫ヘ道理ト也

  ぬれ多る飛とへのそて越ひき可くしてうらも
  くな可しきもの可らうちとけて者多あらぬよう
  いなといと者つかし遣尓越可し可きりなきときこ
0103【かきりなき人】-女三宮トイヘト紫程ニナキト也
  ゆれと可多可めるよをとほしくらへらるよろつい尓
  しへのこと越おほしいてつゝと遣可多き遣しき
  をうらみきこえてそのひハくらしひつれ盤えわ
  多りハてしむ殿尓ハうそこ越きこえけさの
  ゆきにちあや万里ていとなやましく者へれハこゝろ
  やすき可多に多めらひ者へるとありめのとさきこえ
  させ者へりぬとは可りこと者尓きこえ多りこと那ること」(42ウ・1063⑩)
0104【ことなることなの】-源心

  那の御返やとほ寿尓きこしめさむこともいと
  おしこのころ者可りつくろ者むとほせとえさもあ
  らぬをさハおもひしことそ可しあ那くるしと
  つ可らおもひつゝ遣をむなきみももひやりな
0105【をむなきみ】-紫上モ源ノコナタニアレハ不可然ト也
  き御心可那とくるし可り个さはれいのやうにお
  とのこもりおきさせ可多にふミ多て万
0106【宮の御かた】-女三也
  つとに者つ可し个もなきさ満なれと
  
てなとひきつくろひてしろき可み尓
    な可みち越へ多つる本とはな遣れともこゝろ
  み多るゝけさのあ者ゆきむ免尓つけへり」(43オ・1064③)

  めして尓しのわ多とより多て万つらせよとの
  や可てみい多して者しち可くおハし万すしろき
0107【みいたして】-源ノ女三ノ御返ヲ待給也紫ニ忍給心也
  をきて者那を万さくりゝとも万つ
0108【はな】-花
0109【ともまつゆきの】-\(合点)

  ゆきの本の可にのこれるうへ尓うちゝりそふそら越な
  可免へりうくひ春のわ可やかにち可きこう者いの
  春ゑ尓うちなき多る越そてこそ尓本へと者那越
0110【そてこそにほへと】-\(合点)おりつれハこそ尓ほへ/ありとやこゝ尓のなく(付箋②)
  ひき可くしてみす越しあけてな可めへるさ満ゆ
  め尓も可ゝるのおや尓て越もきくら井とみえ者す
  わ可うな満め可しきさ満な可へりすこし本とふる
  ち寿れハい里てをむなきみ尓者那みせ多て万」(43ウ・1064⑨)

  つ者那とい者ゝかくこそ尓本者満本し个れな
0111【はな】-梅ノコト
  くらにうつしてハ万多ちりハ可りもわくる可多なくや
  あら満しなとのこれもあ万多うつろハぬ本とめと
  満る尓やあらむ者那のさ可りにならへて者やな
0112【はなのさかりに】-梅ト桜ノ心
  の可へりありくれなゐのう春やうにあさや可尓
  しつゝ万れ多る越むねつふれててのいとわ可き
  しハしみせ多て万つらてあらハやへ多つはな
  个れとあハ/\しきやうならんハの本とかたし个な
  しとほ寿にひき可くしハむもをきへ个
  れ盤可多そハひろ遣へるをし里めにみをこせて」(44オ・1065①)

  そひふしへり
    者可那くてう者のらにそきえぬへき
  堂ゝよふ者るのあハゆきてけ尓いとわ可くおさな
0113【いとわかく】-ヨカラヌ心
  遣なりさハ可りの本とになリぬるハいと可くは
  おハせぬものをとめと満れとみぬやうに万きらハして
  やミぬこのうへならはさこそあれなとは
  しのひてきこえへ个れといとおしくて多ゝやす
0114【いとおしくて】-紫上詞
  く越ひなへとのミきこえ遣ふは
  多にひるわ多り給心とにうち遣さうしへるあり
  さ満い万み多て万つるねう者うなとは万してみ累」(44ウ・1065⑦)
0115【いまみたてまつる】-始テノ心

  かひありともひきこゆらん可しおほむめのととやう
  のおいしらへ累/\そいてやこのありさ満ひとゝころ
  こそめて多个れめさ万しきことはありなむ可しとう
  ち万せておもふもあり个る女宮者いとら(ら=ラ)う多个尓お
  那きさ満尓てしつらひなとのうと(うと=コト)/\しくよ多遣く
0116【よたけく】-コト/\シキ心
  うるハしき尓みつ可らはなもなくもの者可那き
  本と尓ていと可ちにみもくあえ可那里ことに者
0117【みもなく】-チイサキ女房也
  ち那ともし者す堂ゝちこのおもきらひせぬちし
  てこゝろやすくうつくしきさ満しへりのみ可とハ
0118【院のみかと】-朱ノコト
  越ゝしくすくよ可那る可多のさえなとこそもとな」(45オ・1065⑭)
0119【御さえなと】-無学ナル也

  くお者し万すとよひともひ多めれお可しき寿ち
  万めきゆへ/\しき可多は尓満さりつるを
  とて可くおひら可尓おほし多て个むさるはいと
  御心とゝめつるみこときゝし越ともふもな満くち
  越し个れと尓く可らす多て万つ里多満ふ多ゝ
  きこえ万ゝ尓なよ/\登那ひきいらへなとを
  もほえ个ることはい者个なくうちのて$多万ひ)いてゝ
  ゑみ者那多すみえむ可しのら満し可はう多
  てとりせ万し越い万ハよのをミ那さ満/\尓お
  もひな多らめてとあるもかゝるもき者ゝ那累ゝことは」(45ウ・1066⑥)

  可多きものなり遣りとり/\尓こそほゆれ(ゆれ$)うはあり
  个れよそもひハいとあら満本しき本と那りかしと
0120【よそのおもひ】-女三ハヨソカラハヨキト思サント也
  おほすにさしならひめ可れすみ多て万つへると
  ころよりも多いのうへのありさ満そな越あり可多く
  われな可らもほし多て个りとほす飛とよの本と
  あし多の万もこ飛しくおほつ可なくいとゝしき御心
  しの万さる越なと可くおほゆらんとゆゝしき万てな
  むのみ可とはのうちにてらにうつろひひぬ
  このゐんにあハれなるせうそこともきこえひめ
0121【このゐんに】-源ヘ
  の御事ハさらなり可ゝり(可ゝり$わつら者しくい可尓きくところやなと者ゝかり)と那くてとも可くも多ゝ御心」(46オ・1066⑬)

  尓かけてもてなへくそ多ひ/\きこえ个るさ
  れとあ者れ尓うしろめ多くおさなくおハするを
  おもひきこえ个りむらさきのうへ尓もせうそ
  ことにありおさ那きち那きさ満尓てうつろひ
0122【おさなき人】-文詞
  ものすらんをつミなくおほしゆるしてうしろみ
  多つねへきゆへもやあらむと
0123【たつね給へきゆへも】-紫ト女三トユカリト也
    そむき尓しこのよにのこるこそいる
  ちの本多しなり个れやみ越(+え)者るけてきこゆるも
  おこ可万しくやとありおとゝもてあハれなる
  うそこ越可しこまりきこえへとて可ひ尓も女房」(46ウ・1067⑥)

  して可者らけさしいてさせてしひさせ給御可へりハ
  い可ゝなときこえ(+尓)くゝおほし堂れとと/\しくおもし
  ろ可るへきおりのこと那らねハ多ゝ越のへて
    そむくよのうしろめ多くも(も$者)さり可多き本多し越
  しひて可遣那者那れそとやうにそあめりし
  者う(者う$のさ)うそくに本そな可そへてかつけ給御てなとの
  いとめて多きを院御覧してな尓こともいと者つ可し遣
  な免るあ多りにい者けなくてみえらむこといとくる
  しうおほし多りい万者とて女御かうい多ちなと越
0124【いまはとて】-朱ノ寺入キコト草子地也
  の可しゝわ可れあハれなること那むおほ可り遣る」(47オ・1067⑬)

  ないしの可むのきみハこきさいの能お者し万しゝ
  条
尓そ寿ミひめと越ゝきてハこの御事
  越なむ可へりみ可ちにみ可ともおほし多り遣るあ万尓
  なりなむとほし堂れとかゝるき本ひ尓はし多ふ
  やうにあ者多ゝしくといさめ多満ひてやう/\本とけの
  御事といそ可せ給六条のおとゝハあハれ尓あ可すのミ
  おほしてやみ尓しあ多りなれハとしころもわ春れ可
  多くい可ならむおり尓多いめあらむい万ひと多ひあひミ
  てそのよのこともきこえ満本しくのミおほしわ多るを可多
  み尓よのきゝみゝも者ゝ可りへきみの本とにいとし」(47ウ・1068⑥)

  遣なりしよのさ者きなともおほしいてるられハ
  よろつ尓つゝみ春くし个る越可うのとや可尓な
  てよのひしつ万里給覧ころ本ひの
  ありさ万いよ/\ゆ可しくもと那个れハある万しき
  とはおほしな可らおほ可多の$)とふらひ尓ことつ遣て
  ハれなるさ万につね尓きこえわ可/\し可るへき
  者ひならねハ可へりもき/\尓つけてきこえ可者し
  む可しよりもこよ那くうちくしとゝのひ(+者)て尓多る
  遣者ひ越見給尓もしのひ可多くてむ可しの中納言のき
  み能もとにもふ可きことゝも越つね尓の可ののせう」(48オ・1068⑬)

  と那るいつ見能さきの可みをめしよせてわ可/\しく
  い尓しへ尓可へりて可多らひ給人てならてものこし尓
  きこ江志ら寿へきこと那むあるさりぬへくきこ江な
  ひ可していみしく志のひて万いらむいまはさやうの
  ありきもところせきの本とにおほろ遣ならすし能
  ふれハそこ尓万多尓者もらしハしとおもふ尓
0125【そこにも】-朧ノコト
  可多み尓うしろや寿くなむとの多まふ可むのきみ
  いてやよのひしる尓つ遣てもむ可しよりつら
  きゝろをこゝらおもひ(+志)めつるとしころ(+の)者てに
  あハれ尓可なしき御事越さしをきてい可なるむ可し」(48ウ・1069⑤)
0126【かなしき御事】-朱ニ別給コト

  可多り越可きこえむけ尓ハも里き可ぬやうありと
  者むこそいと者つ可しかるへ个れとうちなけ
0127【心のとはむこそ】-\(合点)なきそと尓ハいひてありなまし/のとハゝい可ゝこ多へん(付箋③)
  きさらにある満しきよし越のミきこゆい尓
0128【いにしへ】-源詞
  しへわ里な可りしよに多尓可ハしハぬことにも
0129【わりなかりし】-弘徽殿ノコト
  らさ里し越个尓そむきぬる多めうしろめ多き
0130【うしろめたき】-朱ニ対ノコト
  やう尓はあれとあらさりしことにもあらねハい万し
  も个さや可尓きよ万者りてたち尓しわ可那い万
0131【たちにしわかな】-\(合点)むらとりの多ち尓しわ可いま/佐ら尓/ことなしふとも志るしあらめや(付箋④)
  さらにとり可へしへき尓やとほしおこしてこの志の
0132【しのたのもり越】-\(合点)
  多のもり越みちのしるへ尓て万うて給女君尓はひ
0133【女君】-紫
  む可しの尓ものするひ多ちのきみのひころわつら」(49オ・1069⑫)

  ひて飛さしくなり尓个るをも能さハ可しき万き
  れ尓とふらハねハいとおしくてなむ飛るなとけさ
  や可にわ多らむも飛んなき越よの万にし能ひて
  とむおもひ者へる飛とにも可くともしら勢しと
  きこえていとい多く个さうしをれい者さしも
  者ぬあ多り越あやしとておもひあハせ
0134【あやしとみ給て】-紫
  ともあハ(ハ$)れとひめ御事能ゝちハな尓こともい
  と春きぬる可多のやう尓はあらすすこしへ多つ
  ひてみしらぬやう尓てお者すそのひハしむ殿へもわ
  多り者てふミかき可ハし多きものなとに越い」(49ウ・1070③)

  れてくらしよひすくしてむつましきのかきり
  四五人者可りあしろくる満のむ可しおほえてやつ
  多る尓ていていつみの可ミしてせうそこきこえ
  かくわ多りおハし万したるよしさゝめきゝこゆれハお
  とろきてあやしくい可やうにきこえ多る尓可とむつ
  可りへと越可しやか尓て可へし多て万つらむにいとひ
  むなう者へらむとてあな可ちにおもひめくらして
  いれ多て万つとふらひなとに(に$)きこえてたゝこゝ
  もと尓ものこし尓てもさらにむ可しのある満しき
  とはのこらすなりに个るをとわ里なくきこえ」(50オ・1070⑪)

  へはい多くな个く/\ゐさりいてへりされハよ个ち
0135【されはよ】-源心
0136【猶】-ナヲ

  可さハと可つほさる可多ミにおほろ遣ならぬ
  見しろきなれハあハれもすく那可らすひん可しの
  多いなり个り多つミ能可多の飛さし尓春ゑ多て万
  つりてみさうし能しり(+ハ可り)ハ可多め多れハいとわ可や可な
0137【いとわかやかなる心ち】-源心
  るちもする可那とつもり越も万きれな
  可そへらるゝ那らひ尓(+かく)ほし(し$)め可しきはいみし
  うつらくこそとうら見きこえ給夜い多くふ遣ゆ
  く多満もにあそふ越しのこゑ/\なとあ者れ尓きこ
  江てしめ/\とめすくなきうちのありさ」(50ウ・1071③)

  万もさもうつ里ゆくよ可那とおほしつゝくるにへい
  かまねならねと万ことになミ多もろ尓なむむ可し
  に可者りておと那/\しく者きこえ能可らこれ
0138【これをかくてやと】-障子ヲアケントスル也
  を可くてやとひきうこ可し
    としをな可尓へ多てゝあふさ可能さもせ
0139【とし月を】-源
  き可多き(き$く)おるなミ多可
    なミ多のミせきとめ可多きしみつ尓てゆき
  あふみちハゝやく堂えにきなと可遣者那連きこえ
  へとい尓しへをゝほしいつるも多れ尓よりおほう
  はさるいみしきこともありしよのさ者きそハ(ハ$)と」(51オ・1071⑨)

  おもひいて尓个尓いまひと多(+ひ)の多いめむハありも
  すへ可り个りとほしよ者るもゝとよりつしや可な累
  ところハおハせさりしのとしころハさ満/\尓よの
  をゝもひし里きし可多越くやしくおほや遣わ多く
  しのとにふれつゝかすもなくおほしあつめていと
  い多くすくし尓多れとむ可しおほえ多る多いめ
  む尓そのよ能こともを可らぬちして江よ可らぬ(可らぬ$くも)
  もてな者すらう/\しくわ可うなつ可しく
  てひと可多ならぬよのつゝ万しさ越もあハれをも
  もひミ多れてなけき可ち尓てものし个しき」(51ウ・1072①)

  なとい万者しめ多らむよりもめつらしくあハれ
  尓てあ遣ゆくもいとくち越しくていて者むそ
  しあさ本ら遣の多ゝなぬそらにもゝちとり能こゑ
  いとうらゝかな里者那者みなちりすきてなこり可
  すめるみ(み$こ)寿ゑのあさみとりなるこ多ちむ可しふち
  の江んししこのころ能ことなり个り可しとほし
  いつるとのつもり尓个るほともそのおりのこと可き
  つゝ个あ者れ尓おほさる中納言のきみゝ多て万つりを
  くるとてつ(+と)をしあ遣多る尓多ちかへりてこの
  ふちよい可尓そめ个むいろ尓可えならぬ布尓」(52オ・1073⑧)

  本ひ尓こそい可て可この可遣越者多ち者那るへきとわ里
  那くいて可て尓おほしや寿らひ多里き者よりさし
  いつるひの者那や可なる尓さしあひめも可ゝやく
  ち春るさ満のこよなくねひく者ゝりへる遣ハ
  ひなと越めつらしく本とへてもみ多て万つる者万し
  てよのつねならすおほゆれハさる可多尓てもなと可
  多て万つりすくし者さらむみやつ可へ尓も可
  き里ありてき者ことに者那連ともな可りし越
  こよろつをつくしひよ可らぬよ能さ者き」(52ウ・1072⑭)
0140【こ宮】-弘徽殿

  に可ろ/\しきさへひゝきてやみ尓しよなとお
  ひいてらるなこりおほくのこりぬらん可多り
  のとちめ(+尓ハけ尓のこりあら勢ま本しきわさなり(り$め)
  るを御身心尓え万可せ万しくこゝらのめも
  いと越そろしくつゝ万し个れハやう/\さしあ可りゆく
  尓あ者多ゝしくてらうのとにくる万さしよせ
  堂る/\もし能ひてこわつくりきこゆめして
  可能さき可ゝり多る者那ひと江多おらせへり
    しつみしもわ寿れぬものをこり春満尓
0141【しつみしも】-源
  な个つへきやとふちな見」(53オ・1073⑥)

  いとい多くおほしわつらひてよりゐへる越くる
  しうみ多て万つる女君もい万さらにいとつゝましく
  さ万/\尓おもひみ多れ(つ$へ)る尓者那の可遣ハなをな
  つ可しくて
    みをな个むふちも万ことのふちならて可遣
0142【みをなけむ】-朧
  しやさらにこりす万のなミいとわ可や可なるふる
  万ひをな可らもゆるさぬ尓おほしな可らせき
  もりの可多可らぬ多ゆミ尓やいとよく可多らひをきて
  いての可ミもよりこよ那くとゝめておもふ
  へりし御心さしな可ら者つ可尓てやみ尓し可らひ」(53ウ・1073⑫)

  尓ハい可て可ハあ者れもすく那可らむいみしく新のひ
  いりへるおほんねく多れのさ満を万ちうけて女君
  さ者可りならむとつれとほめ可しくもてな
  てお者春な可/\うち布すへなへらむよりも
  くるしくなと可くしも者那ちつらむとおほさ
0143【見はなち】-紫ノミハナチ給テハト也
  るれハありしより遣にふ可きちきりをのミな可きよを
  可遣てきこえ可むのきみの御事もらすへきな
  らねといにしへのこともし里へれハ万本尓はあらねと
  ものこし尓者つ可な里つる多いめなんのこりある
  ちするい可て飛とめと可めある万しくもて可くしてハ」(54オ・1074⑤)

  い万ひと多ひもと可多らひきこえうちわらひていま
0144【うちわらひて】-紫
  め可しくも里可へるありさ万可那む可し越い
0145【むかし越いまに】-\(合点)い尓しへの志つのを多満支くり/し/む可しを尓なすよしも可な(付箋⑤)
  万尓あら多め(+く)(は$ら)本とな可そらなるのためくるし
  くとてさす可になミ多く見堂万へる万みのいと
  らう多け尓みゆる尓可うやす可らぬ个しきこそ
0146【かう心やすからぬ】-源
  くるし个れ多ゝおひら可尓ひきつミなとして越し
  へ多まへゝ多てあるへくもらハしきこえぬをおも
  者寿尓こそり尓个る御心れとてよろつ御心
  りほと尓な尓こともえのこしハすなりぬめ里
  可多尓もとみ尓えわ多りハすこしらへきこ」(54ウ・1074⑪)

  江つゝお者し万すひめ者な尓ともおほし多ら
  ぬをうしろミともそやす可らすきこえけるわつ
0147【わつらはしう】-心 女三ノコト
  者しうなとみえ个しきならはそな多も万し
  てくるし可るへきをお(+い)ら可尓うつくしきもてあそ
  ひくさ尓おもひきこえへりきりつ本の可多ハうち
0148【きりつほの御方】-明石中宮
  者へえ満可てハすいと満のあり可多遣れハや寿く
  ならひへるわ可き御心尓いとくるしくのミおほし多
  りなころなや満しくしをとみ尓もゆるしき
0149【なやましくし給】-明石中宮御懐妊
  こえ者ねハいとわ里なしとほ寿めつらしきさ
  万の御心ち尓そあり个る万多いとあえ可なるおほむ本と」(55オ・1075④)

  にいとゆゝしくそ堂れも/\もおほすらむ可し可ら
  うして万可てへりひめのお者し万すおとゝのひむ
0150【ひめ宮】-女三
  可しおもて尓可多ハ志つらひ多りあ可しの御方いま者
  御身尓そひていていりあら満本しき寿くせ
  なり可し多いのうへ尓(尓$)こ那多にわ多りて多い免し
  ついてに日め尓もあ遣てきこえむ可ねて
  よりもさやうにおもひし可といてなき尓ハつゝ万し
  きを可ゝるおりにきこえ者(者$)那連なや寿くなむあ累
  きとおとゝにきこえ多万へハうちゑみておもふやうなる
0151【うちゑみて】-源
  可多らひ尓こそ盤あなれいとおさ那遣尓もの」(55ウ・1075⑩)

  しめる越うしろやすく越しへなへ可しとゆ
  るしきこえ給宮よりもあ可しのきみ(+の)者つ可し遣
0152【宮より】-紫心
  尓て万しらむをお本せはくしす万しひきつ
  ろひておハする多くひあらしとへりおとゝハ
  可多にわ多りてゆふ可多可の多い尓者へるのし
0153【宮の御かた】-女三
  けいさに多いめんせんとていて多つ能ついて尓ち可つ
  きこえさ勢万本し遣にもの寿める越ゆるして可多らひ
  とはいとよきり万多わ可/\しくてあそ
  可多き尓もつきな可らすなむなときこえハつ可し
0154【はつかしうこそ】-女三
  うこハあらめな尓こと越可きこえむとおひら可尓能」(56オ・1076③)

  給人のいらへハことにし多可ひてこそハおほしいてめへ多
0155【人のいらへ】-源
  てをきて那もてなこ万可に越しへきこえ
  給御な可うるハしくて春くしへとおほすあ万りに
  なもなきありさ満をみあらハされむも者つ
  かしくあちきな个れとさの多万者ん越こゝろへ多て
  むもあいなしとほ寿なり遣り多い尓ハかくいて
  たちなとし能可らわれより可みのやは阿
  るへきの本となるものハ可那きさ万越みえ越き
  多て万つり堂る(+ハ可り)こそあらめなとおもひつゝ遣ら
  てうちな可免てならひなとする尓も越の可ら」(56ウ・1076⑨)

  ふることもゝのおも者しきすち(+ニ)のミかゝるゝ越さらハ
  わ可尓ハおもふことあり个りと可らそほし
  しらるゝわ多り宮女御のきみなとのおほさ(さ$)
  むさむ(さむ$)さ万と越うつくしうもハする可那とさ
  万/\み多て万つへるめうつし尓ハとしころ
  めなれへるのおほろ遣ならん可いと可くおとろい(い#)
  かるへき尓もあらぬをな越多くひなくこそはとみ
0156【たくひなく】-紫ヲ源ノ心
  あり可多きり可しあるへきかきり遣多可う者つ
  し遣にとゝのひ多る尓そひてハ那や可尓い万め可しく
  尓本ひな万めきたるさ満/\の可ハ(ハ$を)りもりあつめゝて」(57オ・1077②)

  多きさ可りにみえ多満ふこそよりことしは万さり
  き能ふよりハ个ふハめつらしくつね尓めなれぬさ
  まのし多万へるをい可てかくしもあり遣むとお
  すうちとけた里つてならひをすゝりのし多ニ
0157【うちとけたりつる】-恨給コト
  さしいれ多万へれとみつてひき可く(く=へ)しみ
  てなとのいとわさともすとみえてらう/\しく
  うつくし遣に可きへり
    み尓ち可くあきやきぬらんみる万ゝ尓あ越
0158【みにちかく】-紫
  ハのうつろひ尓个りとあるところ尓めとゝめ
  て」(57ウ・1077⑧)

    みつとりのあをハゝいろも可ハらぬを者きの
0159【みつとりの】-源
0160【はき】-萩

  多こそ个しきことなれなと可きそへつゝすさ
0161【けしき】-紫ノコト
  ひとにふれてこゝろくるしき遣しきのし
  尓はをの可らもりつゝみゆるをことなく个ち
  満つるもあり可多くあハれ尓おほさるこよひハ
  いつ可多にもいと満ありぬへ个れ者かのし能ひと
0162【かのしのひこと】-朧
  ろ尓いとわ里なくていてひ尓个りいとあるましき
  ことゝいみしくおほし可へ春尓も可なハさり个り
  東宮可多ハ志ちの者ゝきみよりもこ能可多越ハ
0163【東宮の御かた】-明石中宮
0164【この御かた】-紫

  むつましきもの尓多のミきこえへりいとうつ(+く)し」(58オ・1078①)

  遣におとなひ万さり多万へるをゝもひへ多て寿か
  なしとみ多て万つ給御能可多りなといと
  可しくきこえ可ハし多万ひてな可のとあ遣てみ
  や尓も多いめんしへりいとさな个尓のミみえへハ
  やすくておと那/\しく越やめきたるさ万にむ可し
  のすちをも多つねきこえ給中納言のめのとゝいふめ
0165【御すち】-イトコノ心
0166【中納言のめのとゝいふ】-紫詞

  しいてゝ越なし可さしを多つねきこゆれハ可多し
0167【越なしかさし】-\(合点)
  遣な个れとわ可ぬさ万にきこえさ寿れ者(者$といてな
  て者へりつるをいまよりハうと可らすあ那多なとに
  もゝのしてをこ多らむことはおとろ可しなとも」(58ウ・1078⑦)

  ものし堂ま者むなむうれし可るへきなとの
  まへは堂のもしき可遣とも尓さ満/\尓をくれきこ
0168【たのもしき】-メノト詞
0169【御かけ】-母宮コト

  江多万ひて本そけ尓お者し万すめるをかゝる
  ゆるしの者へめれハま春ことなくなむおもふ多万へら
  遣るそむき尓しうへの御心む个も多ゝ可くな御心へ多
  てきこえハすま多い者个なありさ万をも者く
  くみ多て万つらせへくそ者へめりしうち/\尓もさ
0170【うち/\にも】-メノト詞
  なむ多のみきこえさせしなときこゆいと可多し
0171【いとかたしけなかりし】-紫詞
  けな可りしせうそこのゝちハい可てとのミおもひ
  れと尓ことにつ遣ても可すならぬむくち」(59オ・1078⑬)

  越し可り个るとやすら可におとなひたる个者ひ尓て
  尓も御心尓つきへくゑなとのことひゐなの寿て
  可多きさ満わ可や可尓きこえへハ遣にいとわ可く
  よけなる可那とさな御心ちにハうちと
  へりさてのちハつね尓ふミ可よひなとしてお
  かしきあそひわさなとにつけてもうと可らすき
  こ江可ハしよのな可の1あいなう可ハ可りに
  なりぬるあ多りのことはいひあつ可ふものなれハ
  者しめつ可多ハ多いのうへい可尓おほ寿らむを本
  江(江=え)いとこのとしころのやう尓はお者せしすこしハ」(59ウ・1079⑤)

  おとりなんなといひ遣るをいますこし布可き
  御心さし可くてしも万さるさ満なる越それ尓
  つ遣ても万多やす可らすゆ(ゆ$い)/\ある尓かく尓
  く遣なくさへきこえ可ハしへハことなりてめ
  や寿くなんあり遣累可ミなきに多いのうへ
0172【なんありける】-](朱段落符号)
  の御賀尓さ可能ゝみ多う尓てやくし本と遣くや
  うし堂て万つい可めしきことはせちにいさめ
  申給へハし能ひや可尓とおほしをきて多り本と遣
  者こちすのとゝのへ万ことのこくらくおもひやら累さい
  そうわうこむ可う者む尓やすみやうといと」(60オ・1079⑪)

  ゆ多けきいのりなリ可む多ちめいとお本く万いり
  へりみ多うのさま越もしろくい者ん可多な
  もみちの可遣わけゆくのへの本とより者しめて
  みものなる尓可多へハき本ひあつ万りなるへし
  しも可れわ多れる能ハらの万ゝ尓う万くるまのゆき
  ち可ふをとし遣くひゝき多り寿われも/\と
  可多/\い可めしくせさ勢多満ふ廿三日しみの
  ひ尓てこの者可くすき万なくつひ多満へるう
  ち尓わ可わ多くしのとのとほ寿二条尓て
  そ万う遣勢させ給御さうそく越者しめおほ」(60ウ・1080④)

  か多のことゝもゝみなこな多尓のミし給御可多/\もさる
  へ(つ&へ)きことゝもわ遣つゝのそみつ可うまつり多いと
0173【たいとも】-二条院ノコト
  のつ本年/\尓したる越者らひて殿上人諸大夫
  し志も万ての万うけい可めしくせさせ多万
0174【院し】-六条院ノ院司也
  へり心殿能者那ちいて越連いのしつらひ尓てらてん
  のいし多てた里おとゝの尓しの万にのつくゑ
  多てゝな(れ$つふゆ能よそふ春満なとれいのこ
  くむらさきのあやのおほひとうるわしくみえわ多
  りてうちのこゝろ盤あらハならす万へ尓をきものゝつ
0175【をきものゝ】-御服ヲヽク也
  ゑ布多△(△#つから)のち(ち=らイ)の春そこのおほひし多り可さし能多い」(61オ・1080⑩)

  はちむのくゑそくこ可ねのとりしろ可ねの江多尓
  ゐ多る者へなと志遣いさのあつ可り尓てあ可し
  可多の勢させへるゆへ布可くとなりうしろ
0176【御かた】-中宮
  御屏風四帖ハ(ハ&ハ)しき布卿宮なむ勢させ遣る
  いみしくつくしてれいの四季のゑなれとめつらしき
  せんすい多んなとの(の$め)なれすおもしろしき多のかへ尓
0177【たんなと】-庭ノタン也
  そへてをきもゝみつしふ多よろひ多てゝてう
  とゝもれいのことなりミ那ミのひさし尓かむたちめ
  左右大臣志き布卿宮を者しめ多て万つ里」(61ウ・1081②)

  てつき/\はまして万いり者ぬしふ多いの
  かく能ひら者りうちてにし飛ん可し尓とんし
  き八十くろくの可らひつ四十ゝつゝ遣て多て多里
0178【十】-ジフ
0179【ろく】-禄

  飛つしのとき者可り尓可くまいる万んさいらく
  わ(わ&わ)う志やうなとまいてひくれかゝる本とにこ満のらん
0180【わうしやう】-皇麞
0181【らんしやう】-乱聲

  しやうしてらくそん万いゝて多る本とつねのめな
0182【らくそん】-落蹲
  れぬ万ひのさ満なれ者万ひ者つる本と尓権中納言
0183【権中納言】-夕
  ゑもんの可みおりてい里あやを本の可に万ひても見
0184【ゑもんのかみ】-柏
  ちの可遣尓い里ぬるなこりあ可す遣うありと/\」(62オ・1081⑦)

  おほし堂りい尓しへの春さく行幸尓せい可い
  者のいみし可りしゆふへおもひいて給人/\ハ権中
  納言衛もんの可みとらす多ちつゝき尓遣累
  よのおほえありさ満可多ち(+ようい)ともおさ/\おとらす
  つ可さくら井ハやゝすゝみてさへこそとよ者ひの
  本とをも可そへてさるへき尓てむ可しよりかく
  堂ちつゝき多累御中らひなり个りとめて多く
  あるしのあ者れ尓なミ多く満しくおほしいて
  らるゝことゝもおほ可りよにい里て可くも万かりいつ」(62ウ・1081⑬)

  き堂の万むところのへ多うとひと/\ひきゐて
0185【きたのまむところ】-紫上ノコト
  ろく能可らひつ尓よりて飛とつゝつとりてつき/\
  しろきも能ともをしな/\可つきてき者より
  い遣のゝ春すくる本と能よそめハちとせ越可ねて
0186【ちとせ越かねて】-\(合点)
  あそ(+つるのけ万可へらるあそひ)者し万里ていともしろしとゝも
  は春宮よりそゝ能へさせ个る朱雀院よりわ多
  り万いれるひわきむうちより者りへるさうの
  なとミ那む可しおほえ多るものゝねとも尓てめつらし
  く可きあハせへる尓な尓能お里にもすきにしか多」(63オ・1082⑤)

  のありさ満うちわ多里なとおほしいてらる故入道
  者せ万し可はかゝる可なとわれこそすゝみつ可
0187【われこそすゝみつかうまつらましか】-薄雲ハ源氏ヨリ御アネ也
  う万つら万志可は(は$)な尓ことにつ个てかはさしもみえ
  多て万つり遣むとあ可すくちおしくのミおもひい
  てきこえうちにも故宮のお者し万さぬこと越な
  尓ことにも者え那くさう/\しくおほさるゝ尓この
  のと越多にれいのあと越阿るさ満の可しこ万りをつ
  くしてもえみせ多て万つらぬをよとゝも尓あかぬ
  ちしとしハこの御賀にことつ遣てみゆきなとも」(63ウ・1082⑪)

  あるへくおほしをきて个れとよのな可のわつらひ
  ならむことさらにせさせ万しくなむといな
  申給と多ひ/\尓なりぬれハくちおしくおほし
  と万りぬしハすの者つ可あ万りの本とに中宮万可て
  させてことしのゝこりのいのりにならの七大
  尓み寿ぬの四千このち可きみやこの四十寺
0188【四千収】-四千段
  きぬ四百疋をわ可ちてせさせあり可多き者くゝみ
  越お本しゝりな可らな尓ことも(も$尓)つ遣ても(も$可)ふ可き御心
  しをもあらハし御覧せさせ者むとてちゝ」(64オ・1083③)

  者ゝ寿のお者せまし多め能さしをも
0189【はゝ宮す所の】-秋好ノ心
  とりそへおほ寿に可くあな可ちにおほや遣尓
  もきこえ可へさせへハことゝもほくとゝめさせ
  つ四十といふことはさき/\越きゝ者へる尓もの>
  こりのよ者ひゝさしきためしなむ寿く那可里遣
  るをこ能多ひハよのひゝきとゝめさせて万ことに
  のちに多らむこと越可そへき可(き可$さ)へとあり个れと
  ほや遣さ満尓ていとい可めしくなむあり遣る
  おハし万す万ちの心殿しつらひなとしてさき/\」(64ウ・1083⑧)

  尓と可ハらす可む多ちめのろくなとたいきやうにな
  すらへてみこ多ちにハことにさうろ(ろ=ソ)くひき能
  四位万うちきむ多ちなとの(の$)堂ゝの殿上人尓はしろ
  き本そな可ひと可さねこしさしなと万てつき/\尓多(多#)
0190【こしさし】-絹
  多満ふさうそく可きりなくきよら越つくしてな
  かきお者可しな故前坊可多さ満尓てつ
0191【御はかし】-太刀コト
  者り万いり多るもあハれ尓なむふるきよの
  ものとある可きりハみなつとひ万いる御賀尓な
  あめるむ可しも能可多りにもゝのえさせ多るを可しこ」(65オ・108⑭)

  とにハ可そへつゝ个多めれといとうるさくてこ△△(△△#ち多)
  可らひのことゝも(+者)江そ可そへあへ者へらぬや△(△#)
  にハおほしそめてしことゝも越む个尓やハと中納言
  尓そ个させて遣るそのころの右大将や万ゐし
0192【つけさせ給て】-仰付ラルヽ也
  てしゝ个るをこの中納言御賀の本とよろこひく
  者へむとほしめして尓者可になさせ
  ろこひきこえさせの可らいと可く尓者可にあ万る
  よろこひをなむいち者やきちしひ遣し
  うしとらの万ちにしつらひ万うけて可くろへ」(65ウ・1084⑥)

  たるやうにしな(つ=へ)れと遣ふハなを可多ことに
  きしき万さりてところ/\のきやうなともくらつ
  可さこくさうよりつ可う万つらせへりとんし
  きなとおほや个さ万尓て頭中将せんしうけハりて
  みこ多ち五人左右とゝ大納言ふ多り中納言三人さい
  将五人殿上人者れいの内東宮院のこるすくな
  おましてうとゝもとはおほきおとゝくハしくうけ
  ハりてつ可う万つらせへり个ふハおほせことあり
  てつ可う万つらせ(つ可う万つらせ$わ多り万いり)へりゐんもいと可しこくおとろ」(66オ・1084⑫)

  き申給さ尓つきぬもやのさにむ可へて越
  とゝ能さありいときよらにもの/\しくふとりてこのおとゝ
  そい万さ可りのしうとくとハへるあるしの
  いとわ可きしのきみ尓みえ給御屏風四帖尓う
  ちのてかゝせへる可らのあやのうす多ん尓志多ゑの
0193【うすたん】-ウスタミノコト
  さ満な越ろ可ならむやハおもしろき春秋つくりゑ
  なとよりもこの御屏風の春見つきの可ゝやくさ万ハ
  めもをよ者寿おもひなしさへ(く&へ)めて多くなむあり遣累
  越きも能ゝミつしひきふきとくら人所より」(66ウ・1084④)

  者りへり大将いきをひいとい可免しくな
  多れハうちそへて个ふのさ本ういとことなむ万四十
  疋左右む万つ可さゑふ(ふ=ウ)官人可みよりつき/\尓
  ひきとゝのふる本と飛くれ者てぬれいの万んさいら
  くかわうおんなといふ万ひ遣しき者可り万ひて
  おとゝのわ多りへる尓めつらしくもて者やし
  へるあそひ尓ミ那人心をいれへりひわハれいの
  兵部卿宮尓ことにもよに可多きもの寿にお
  者していとになしお万へ尓きむのとおとゝわこむ」(67オ・1085⑩)

  ひきしころそ尓个るみゝのきゝな
  尓やいというにあ者れ尓おほさるれハきむも
0194【きむ】-院ノコト
  おさ/\可くし者すいみしきねともいつむ可しの
  の可多りともなといてきてい万者多かゝるな可
  らひ尓いつ可多につ遣てもきこえ可よひへき
  むつひなよくきこえみきあ万多ゝひ
  万いりても能ゝおもしろさもゝこ本りなゑひ
  なきとも江とゝめハすをくりもの尓すくれ多累
  わこむひとつこのみこ万ふ江そへて志多んの」(67ウ・1086①)

  者こ飛とよろひ尓からのもこゝ能さうの
  なといれてくる万尓をひて多て万つれ給御む万
  とむ可へとりて(+の)つ可さとん(ん=も)こ万の可くしてのゝし
  る六衛ふの官人のろくと大将(+多万ふ)御心
  い可めしきことゝもはこの多ひとゝめへれと内東宮
  一院きさいのつき/\のゆ可りいつくしきほといひ
0195【一院】-朱ノコト
  志ら寿みえに多ることなれ盤なを可ゝ累おり尓ハめ
  て多くなむおほえ个る大将多ゝひとゝころお
  する越さう/\しく者えなちせし可とあ万多」(68オ・1086⑦)

  の尓寿くれおほえこと尓可らも可多ハらなきや
  うにも能し尓も可能者ゝき多の可多のいせのみや
  春のうらみ布可くいとみ可ハし个む本との寿
  くせとものゆく春ゑえ多るなむさ満/\なり个る
  そのひのさうそくともとこ那多のうへなむし
0196【こなたのうへ】-花チル里
  个るろくともおほ可多のとをそ三条のき多の
0197【三条のきたのかた】-雲ゐ

  たハいそめりしお里ふし尓つ遣多るいとな
  うち/\のものゝきよら越もこな多にハ多ゝよそのこと尓
0198【こなたに】-花チル
  のミきゝわ多り越な尓ことにつけて可はかゝるもの/\」(68ウ・1086⑬)

  しき可寿にも万しらひ者万しとほえたる
  を大将のきみのゆ可りにいとよく可す万へられ
  リとし可へりぬき里つ本の可多ち可つきぬる尓
  より正月つい多ちよりみす本うふ多んにせさせ
  ら/\やしろ/\のいのりハ堂(ハ堂$者多)可すもしらすおとゝの
  きみゆゝしきことを見給へてし可は可ゝる本とのこと
0199【見給へて】-葵ノコト
  いとおろしきもの尓おほしゝみ多るを多いのうへ
0200【たいのうへ】-紫ヲツヰ子ヲウミ給ハス
  なとのさることしハぬハくち越しくさう/\しき
  も能可らうれしくおほさるゝ尓万多いとあえ可那る」(69オ・1087⑤)
0201【またいとあえかなる】-明石姫君十四ナリ

  本とにい可にお者せむと可ねておほしさ者くに
  二月者可りよりあやしく个しき可者りてなやみ
  御心さわくへしみやうしともゝところを
  可へてつゝしみへく个れハ本可のさし者那れ
  多らむ者おほつ可なしとて可能あ可しの万ちの
  な可能多い尓わ多し多てまつこ那多ハ堂ゝお
  きなる多いふ多つらうとむめくりてあり遣る尓
  み春本うの多んひ万なくぬりていみしき个むさ
  とひて能ゝしる者ゝきみこ能ときにわ可」(69ウ・1087⑩)

  すくせもゆへきわさなめれ盤いみしき
  つくし可のほあ万きみもい万ハこよ那き本
  遣尓てそあり遣む可しこのありさ万を
  て万つるハゆめのちしていつし可と万いりち可つき
  なれ多て万つるとしころハゝハ可うそひさふらひ
  へとむ可しのことなと万本尓しもきこえしらせ
  者さり遣るをこのあ万よろこひ尓え多へて万いり
  てハいとなミ多可ちにふるめ可しきことゝも越わなゝき
  いてつゝか多りきこゆハしめつ可多ハあやしくむ」(70オ・1088②)

  つかしき可那とうち万もし可とかゝるあり
  と者可りハ本のきゝをきへれハな可しくもてな
0202【ほのきゝをき給へれは】-尼ニ初対面
  しへりむ万れし本とのとゝのき(+ミ)の可能う
  らにおハし万したりしありさ万い万ハと(+へ)
  本りし尓堂れも/\を万とハしてい万ハ可き
  り可は可りのちきりにこそハあり个れとな个きし
  越わ可きみの可くひき多す个へる春くせの
0203【わかきみ】-姫君ゆへと也
  いみしく可なしきことゝ本ろ/\と(き$个)はけ尓あ
  者れなり遣るむ可し能ことを可くき可せさら満し」(70ウ・1088⑧)

  可はおほつ可那くてもすきぬへ可り遣りとほし
  てうちなけ(け$)き給心のうちに盤わ可ハけ尓う遣ハ
  りていみしかるへきゝ者尓ハあらさり遣るを多いの
  うへのもてなし尓み可ゝれてのおもへるさ万
  なとも可多本にハあらぬなり遣りみ(み$ひと/\)をハ万多な
  尓おもひて(て$)个ちこよ那きおこり越者しつ
  れよ飛とはし多にいひいつるやうもありつらむ
  可しなとおほしゝ里者てぬハゝを者もとより可
  くすこしおほえく多れるすちとし里な可らむ万」(71オ・1088⑬)

  れ个む本となとをはさるよ者那連多るさ可ひ
  尓てなもし里者さり个りいとあ万りおほと
  きた万へる个尓こそハあやしくお本/\し可り遣る
  ことなりや可能入道のいまは仙人のよにもす万ぬや
0204【かの入道のいまは】-姫君心
  う尓てゐ多なるをきゝくるしくなと可多/\
  尓おもひミ多れぬいとも能あ者れ尓な可免てお
  者春る尓可多万いり日中可ちにこな多可な
0205【日中】-ニツチウ
  多より万いりつとひも能さ者可しくのゝしるにお万へ尓
  こさ布らハすあ万きみところえていとち可くさふ」(71ウ・1089⑤)

  らひあなくるしやみし可き御木丁ひきよせて
0206【あな見くるしや】-明石上詞
  こそさふらひ者めとさ者可しくて越のつ可ら本
  ころひのひ万もあらむにくすしなとやう能さ満し
0207【くすし】-医
  ていとさ可り春きへりやなとな満可多わらい多く
  へりよしめきそしてふる万ふは(は$と)ほゆめ
0208【そして】-存(存$殺)
  れとももう/\尓みゝも本/\し可り个れ盤あゝと可
  多ふきてゐ多りさるはいとさいふ者可りにもあら
  す可し六十五六本と那里あ万す可多いと可ハら可
  に(+あてなるさ万してめ徒やゝか尓)き者れ多るけしきのあやしくむ可しおも」(72オ・1089⑪)
0209【むかしおもひいてたる】-明石上詞

  いて多るさ満なれ盤むねうちつふれてこ多いの
  可ことゝもやリつらむよくこのよの本可なるやう
  なるひ可おほえともにと里万せつゝあやしきむ可し
  のともゝいて万うてきつらむ者やゆめのちこそ
  し者へれとうち本おゑみてみ多て万つりへハいと
  な万め可しくきよら尓てれいよりもい多く志つ
  里ものおほし多るさ満尓わ可こともおほえ
  者春可多しけなき尓いと越しきことゝもをきこえ
  ておほしみ多るゝ尓やい万ハ可者可りとくら井を」(72ウ・1090③)
0210【おほしみたるゝにや】-尼ノイカナルコトヲ姫君ニ申給ト也
0211【御くらゐをきはめ給はむよに】-国母ニ成給ヲ後ニ尼君ニ対面ト明石上ノ心ニ思シコト也


  き者め者むよにきこえも志ら勢むとこそ
  もへくち越しくおほしすつへきにハあらねといと/\
  しくおとりしらむとほゆ可ち者てゝ万
  可てぬるにく多ものなとち可く万可なひなしこ
  れ者可り越多にといとくるしけ尓(+て)きこえ
  万きみハいとめて多ううつくしう多て万つる万ゝ
  尓もなミ多盤えとゝめす可本ハゑみてくちつきな
  とくるしく飛ろこり多れと万ミのわ多りうち
  しくれて飛そみゐ多りし(し#)あな可多わらい多とめく」(73オ・1090⑧)

  者春れときゝもいれ寿
    おいのミ可ひあるうらに堂ちいてゝし
0212【おいのなみ】-尼
  本多るゝあ万を多れ可と可めむむ可しのよにも
  可やうなる布る盤つみゆるされてな个る
  ときこゆ春ゝりなる可み尓
    し本多るゝあ万越なミちのしるへ尓て多つね
0213【しほたるゝ】-姫
  もハや者満のと万やを御方江し能ひハて
  うちなひぬ
    よをすてゝあ可し能うらに寿むのやミ」(73ウ・1090⑭)
0214【よをすてゝ】-明石上(朱)

  盤ゝ累遣しも勢しなときこえ満きらハし
  わ可れ遣むあ可とも遊めの尓おほしいて
0215【わかれけむあか月のこと】-姫ノ心昔ヲ知給ハヌト也
0216【中】-ナカ

  られぬをくち越しくもあ里个る可那とほ寿
0217【おほす】-」(朱段落符号)
  やよひのの本とに多いら可尓む万れひぬ可
  ねてハおとろ/\しくおほしさ者きし可とい多
  くなやみ多満ふことなくておとこみこさへお
  者寿れハ可きりなくおほ寿さ満尓ておとゝも
  御心ちゐひぬこ那多ハ可くれの可多尓てたゝ遣
  ち可き本と那るにい可めしきうふやしなひな」(74オ・1091⑤)

  とのうちしき里ひゝきよそ越しきありさま遣
  に可ひあるうらとあ万きみの多め尓はみえ多れと
  きしきなきやうなれハわ多りむとす多いの
0218【わたり給なむと】-源ノコト
  うへもわ多りへりしろきさうそくし
  のおやめきてわ可をつい多きてゐへるさ万
  いと可しみつ可らかゝることし里者すのうへ尓
  てもらひ者ねハいとめつら可尓うつくしとお
  もひきこえへりむつ可し遣にお者する本と越多えす
  い多きとへハ満ことの越ハ者多ゝ万可勢多て万つ」(74ウ・1091⑪)

  りてゆとゝあつ可ひなと越つ可う万つ給春
  せんしなるないしのすけそ可う万つ
0219【せんしなるないしのすけ】-内侍ヲカネタル宣旨也
  む可へゆ(+尓)り堂ちへるもいとあハれ尓うち/\の△(△#)
  ことも本のし里たるにすこし可多本ならはいと
  し可ら満し越あさ満しく遣多可くけ尓可ゝるち
  きりことにものし个る可那とみきこゆこの本と
  のきしきなともまねひ多てむ尓いとさら那りや
  六日いふ尓れいのとゝにわ多りひぬ七日夜内
0220【れいのおとゝに】-源ノ返給心
  よりもうふやしなひ能ことあり朱雀院可く」(75オ・1092②)

  越すてお者し万す可者り尓やくらころよ
  り頭弁宣旨うけハりてめつら可那るさ満尓つ
  う万つれ里きぬなと万多中宮御方よりも
0221【中宮】-秋好
  おほや遣こと尓は多ち万さりい可めしくせさ勢
  つき/\能みこ多ち大臣のいへ/\そ能ころ能いとなみ尓て
  われも/\ときよらをつくしてつ可う万つりとゝの
  きみもこの本と能ことともはれいのやう尓もとそ可せ
  ハてよになくひゝきこち多き本とにうち/\の満め
  可しくこ満可なひの万ねひつ多ふへきふし者め」(75ウ・1092⑧)

  もと満ら寿なりに个りおとゝのきみもわ可越本とな
  くい多き多て万つり大将あま多まうけ多
  なる越い万ゝてみせぬ可うら免しきにかくらう多
  き越そ江多て万つりたるとうつくしみきこえ
0222【うつくしみ】-愛心
  こと者りなりやゝにもの越ひき能ふるやうにをよ
  春遣給御めのとしらぬはとみ尓めさてさ布ら
  婦尓しな寿くれ多るかきり越えりてつ可う
  まつらせ給御可多の御心をきてのらう/\しくけ多可く
0223【御かたの御心】-明石上心
  おほと可那るものゝさるへき可多に盤ひ个して尓くら」(76オ・1092⑭)

  可にもうけハらぬなと越本めぬし多いのうへハ
  万本ならねとみえ可ハしてさハ可りゆるしなくお
  ほし多里し可とい万ハとくにいとむつ万し
  くやむこと那くおほしなり尓た里ちこうつくしみ
  し給御心尓てあ万可つてつ可らつくりそゝく
  りお者春るもいとわ可/\しあ个くれこのかしつき尓
  て春くしこ(こ=可)のこ多いのあ万きみハわ可越えのと
  可にミ多て万つらぬなむあ可すおほえ个る/\み多て
  万つりそめてこひきこゆる尓そいのちもえ多ふ」(76ウ・1093⑥)

  まし可免るかのあ可し尓かゝる御事多へきゝてさ(さ$)
  さる飛し里ち尓もいとうれしくおほえ个れ盤い
  万なむこのよのさ可ひ越やすくゆき者那るへき
  とてしともにいひてこのいゑをはてら尓なしあ
  多り能とのやう能ものハみな能てらのことにし越
  きてこのく尓能おくのこ本りにも可よひ可多くふ
  可きあるをとしころもしめ越きな可らあ志こ
  にこも里なむのち又人尓はみえしらるへき尓
  らすともひて多ゝすこしのおほつ可なきこと」(77オ・1093⑫)

  のこり个れ者いまゝてな可らへ遣るをい万はさり
  ともと本と个可ミ越多のみてなむうつろひ遣
  るこ能ち可きとしころとなりて者と那るこ
  ならても可よ者し多て万つらさりつこれより
0224【これより】-尼君京ヨリノ使
  く多し給人者可り尓つけてなむひとく多り尓ても
  あまきみさるへきおりふしのとも可よひ遣累
  おもひ者那るゝよのとちめにふミ可きて可多に多
  て万つ連へりこのとしころハおしよの能う
  ち尓めくらひ者へりつれとな尓可は可くな可ら越」(77ウ・1094③)
0225【めくらひ】-廻

  へ多るやうにおもふ多満へなしつゝさせること那き
  きりハきこえうけ者らす可なふミみふるハ
  め能いと満いりて念仏け多いするやうにやくな
0226【いとまいりて】-暇入
  てなせう所こも多て万つらぬをつて尓うけ
  者れ者わ可きみ者春宮に万いりておとこ
  む万れへるよし越なんふ可くよろこひ
  者へるそのゆへ者みつ可らかくつた△(△#)なふし
  の尓い万さらにこのよ能さ可え越おもふ尓も
  者へら寿ゝき尓し可多能としころきたなく」(78オ・1094⑧)

  六時免にも多ゝ御事尓可遣て者ち
0227【たゝ御事越】-明石上ノコト
  寿能うへののね可ひ越はさし越きてな
  ねむし多て万つりしわ可おもとむ万れ者むと
0228【わかおもと】-御本上ノコト
  しそのとしの二月能そのよのゆめ尓みしやうみ
  つ可らすみのをみきのて尓さゝけ多り左右
  り月日のひ可りさや可にさしいてゝをてらすみ
  つ可らはのしもの可遣にかくれてそのひ可りにあ多
  らすをはひろきうみ尓う可へをきてち井さき
  ふねにのりてにしの可多越さしてこきゆくとむ」(78ウ・1094⑭)

  者へしゆ免さ免てあし多よりか寿ならぬに多
  のむところいてきな可らな尓ことにつけて可さるい可め
  しきことをハ満ちいてむとうちにおもひ者へし
  越そのころより者ら万れ尓しこな多そゝ(ゝ=く)能可多の
  ふミ越者へし尓もいけうのを多つぬる
  尓もゆめ越しんのを(のを$)すへきことおほく者へし可は
  やしきふところのうち尓も可多しけな
  多つきたて万つりし可とち可らをよ者ぬ
  おもむき(むき$布)た万へ可ねてなむかゝるみちにおもむ」(79オ・1095⑤)

  き者へリ尓しこのくにのとにしつてお
  いのなミにさら尓多ち可へらしとひとちめて
  のうらにとしころし本ともわ可を多のむ
  とにおもひきこ江者へし可はな飛とつ
  おほくのくわんを多て者へしその可へり
  たひら可尓おもひのこととき尓あひわ可きみく尓
  能者ゝとなりてね可ひみち者むにすみよ
  しのしろを者しめ者多(+し)申給へさらにな尓
  こと越可はう多可ひらむこのひとつのおもひち可」(79ウ・1095⑩)

  きよに可なひ者へりぬれ者者る可に西の可多十万
  のくにへ多てたる九品のうへのゝそ見う多可
  ひなくなり者へりぬれ盤いま者多ゝむ可ふる者
  ちすをまち者へる本とそ能ゆふへ万て水草
0229【水草】-ミツ
  よき春ゑ尓てつとめらむとてなむ万可
  りい里ぬる
    ひ可りいてむあ可ち可くなりに个りい万そ
0230【ひかりいてむ】-入道
  しよのゆ免か多り春ると月日可き多りいの
0231【月日かきたり】-ヒツケナリ命日トシレト也
0232【いのちおはらむ】-ハシカキ也

  ちおハらむ月日もさらになしろしめしそい尓しへ」(80オ・1096①)

  よりのそめをき个るふちころも尓もな尓可や
  つ多ゝわ可ハへんのものとほしなして
  おい本うしの多め尓ハくとくをつくりへこのよの
  多のしみ尓そへてものちのよをわ寿れなね可
  ひ者へる尓多にい多りは可ならす多いめん者
  むさハ里(里$)の本可のきし尓い多りてとくあひみむと
  をおほせさて可のやしろに多てあつめ多るくわん(くわん$ね可ひ)ふミ
  ともをおほきなるちむ(+の)ふ者こに布んしこめて多て
  万つりへりあ万尓はこと/\尓も可ゝす堂ゝこの」(80ウ・1096⑦)

  の十四日になむくさのい本り万可り者那連てふ可き
  尓いり者へりぬる可ひなをハく満おほ可み尓
  もせし者へりなむそこ尓はもひしやうな
0233【せし】-施
  よを万ちいてへあきら可なるところ尓て
0234【あきらかなる】-浄土
  いめん者ありなむとのみありあまきみこのふミを
  てか能つ可ひの多いとこにとへはこのふミ可き
  三日といふ尓なむ可の多え多るみね尓うつ
  ひ尓しな尓可しらも可能をくりにふもと万て
  者さ布らひし可とミ那可へしてそ一人わらハ二人」(81オ・1096⑫)

  なも尓さ布らハせいまはと越そむき
  しお里越可なしきとちめとおもふへし可と
  こり者へり遣里としころをこなひ能ひ万/\尓よ里ふ
  しな可ら可きな可(可$)らししきむのと日者とり
  よせて可いしらへつゝほと遣に万可り申給$志)てな
  むみ多う尓せ尓うししさらぬものともゝおほく
0235【せにう】-琴ナトヲモ施入也
  者多て万つりてそ能ゝこり越なてしと
  六十むし多しき可きりさ布らひ遣る本と
  尓つ遣てみな所分てなをしのこり越なむ」(81ウ・1097④)

  れうとてをくり多て万つりへるい万者と
  て可きこも里さる者(+る)遣きくも可すミに万志
  リひ尓しむなしきあとにと満りて可なしひ
  おもふ/\なむおほく者へるなとこの多いとこも
  わらハ尓てよりく多りしける(ける$)のおい本うし
  になりてと満れるいとあ者れ尓本そしとおもふ(ふ$へ)
  里本とけのてしのさ可しき飛し里(+た)にわし
0236【御】-ミ
  能みねをハ多と/\し可らす堂のみきこえな可ら
0237【たと/\しからす】-常在霊鷲山
  多きゝつき个るの万とひハふ可ゝり遣るをましてあ」(82オ・1097⑨)
0238【たきゝつきける】-仏涅槃ノコト
0239【夜】-夜半也


  万きみの可なしとおもひ多満へること可きりな
  可多(+ハ)みなミのおとゝ尓お者するをかゝるせうそ
0240【御かた】-明石上
  なむあると阿里个れ盤し能ひてわ多りへりおも/\
  しくみをもてなしておほろけならてハ可よひ阿
  ひとも可多き越あ者れなることなむときゝてお
  ほつ可な个れ者うちし能ひてものしへるにいとい見
  しく可なし个なる遣しき尓てゐへりち可く
0241【けしき】-尼ノコト
  とりよせてこのふみミ(ミ$)越見給尓个尓せきとめむ可多
0242【このふみ越】-明石上
  そ可り遣るよ(よ=そ)ハな尓ともめとゝむましき」(82ウ・1098①)

  の万つむ可しきし可多のことおもひいてこ飛しとお
  もひわ多り給心尓はあひて寿き者てぬるに
  こそハとみ尓い見しくいふ可ひなしなみ多越えせ
  きとめすこのゆ免可多り越可つハゆくさきたのもし
  くさらハひ可尓てわ可越さしもある万しき
  さ満尓あく可らし可ころおもひ多ゝよ者れ
  しことは可く者可那きゆめに多のみを可けて
  可くものしり个りと可つ/\おもひあ者せ
  万ひさしく多めらひてきみのくにハうれしく
0243【きみ】-明石上ヘ
  おも多ゝしきことをもみ尓あ万りてならひなくおもひ」(83オ・1098⑦)

  者へりあ者れ尓いふ勢きおもひもすくれてこそ
  へり个れ可すならぬ可多尓てもな可らへしこをす
  てゝかしこにしつみゐしを多によひと尓多可ひ
0244【しつみゐしをたに】-入道ノ心ヲ云
  多るすくせにもある可なひ者へし可とい遣
  るよにゆき者那連へ多ゝるへきのちきりと盤
  おもひ可け春おし者ちす尓すむへきのちのよ
  の多のみをさへかけてとし越すくしきて尓
  可に可くおほえぬといてきてそむきにしよに多
  ち可へりて者へる可ひある御事をみ多て万つ里」(83ウ・1098⑫)

  よろこふもの可ら可多つ可多に者おほつ可なく可な
0245【かたつかたには】-入道ノコト
  しきことのうちそひて多えぬをつい尓可くあひみ
  すへ多てな可らこのよ越わ可れぬるなむくち越し
0246【わかれぬる】-入道ノコト
  くおほえ者へるよにへし多に(+者へにより
0247【人に似ぬ心はへ】-入道ノコト
  越もてひ可むるやうなりし越わ可きとちたのミな
  らひてをの/\ハくちきり越きて个れハ可多み尓
0248【又】-マタ
  いとふ可くこそたのミ者へし可い可なれハ可くみゝ尓ち
0249【みゝにちかきほと】-播州ヘチカキ也
  かき本と那可ら可くし(し#)てわ可れぬらむといひつゝ个て
  いとあ者れ尓うちひそ給御可多もいみしくな」(84オ・1099④)

  きて尓すくれむゆくさきのこともおほえすやか
  すならぬ尓ハな尓こともけさや可尓可ひあるへ
  き尓もあらぬもの可らあ者れなる(る$)ありさ万尓
  おほつ可那くてや見なむのみこそくちおし
  个れよろつのことさるへき多めとこそ
0250【さるへき人】-親ノコト
  ほえ者へれさてたえこもり世中もさ多
  めなきにや可てきえは可ひなくなむとてよも
  す可らあ者れなることゝもをいひつゝあ可し
  能ふもおとゝのきみ能あな多にありと越きて」(84ウ・1099⑨)

  しを尓者可に者ひ可くれ多らむも可ろ/\しきや
  うなるへしひとつ者な尓者可りももひ者ゝ可り
  者へらす可くそ給御多めなとのいとおしきにな
  尓万可せてミをもゝてなしにく可るへきとてあ可
  尓可へりわ多りひぬわ可者い可ゝおハし万す
  い可て可多て万つるへきとてもきぬい万み多て
  万つりてむ女御もいとあ者れ尓なむおほし
  いてに(に$、+つゝえさせめるもことのつゐて耳)もしよの中思ふやうならはゆゝしき可ねこ
0251【よの中】-春宮ノ世ノコト
  とあ万の本と万てな可らへ者なむとの多満ふ」(85オ・1100①)

  めりきい可にお本すことに可あらむとへハうち
0252【又うちゑみて】-尼ノ心
  ゑみていてやされハこそさ満/\多めしなきすく
  勢にこそ者へれとてよろこふこ能ふ者こハも多せ
  て万うの本りひぬよりとく万いりへきよし
  のミあれ者可くおほし多ること者りなりめつらし
  きことさへそひてい可にもとなくおほさるらん
  とむらさきのうへもてわ可しのひて万い
  らせ多て万つらん(+可ひし給宮ハおほむ
  いと万のや春可らぬにこりてかゝ累ついて尓し」(85ウ・1100⑦)

  者しあら満本しくおほし多り本と那き御身尓さ
  るおろしきことをしへれハすこしおもやせ
  本そりていみしくな満め可しきさ万しへり
  可く多めらひ可多くおハする本とつくろひてこそ
  な可多なとはくるし(+可り)きこえをおとゝハ可やう
  におもやせてみえ多て万つり者むも/\あ者れ
  なるへきわさ那里なとの多いのうへなとのわ多り
  ひぬるゆふつ可多しめや可なるに可多お万へ尓
  満いりてこのふ者こきこえしらせもふさ満尓」(86オ・1100⑫)

  可ない者てさせ万てはとり可くして越きて者へ
  るへ个れと世中さ多め可多个れ盤うしろめ多さ
  尓なむな尓ことをも御心とおほし可す万へさら
  むこ那多(+と)も可くも者可那くなり者へりなは可な
  寿しもい万者能とちめ越らむせらるへきみ尓も
  らねハうつしこゝろうせす者へるよにな
  者可那きことをもきこえさせをくへく者へり个ると
  てむつ可しくあやしきあと那連とこれも
  らむせよこのくわんふみハち可きみつしなと」(86ウ・1101④)
0253【くわん】-ネカヒ

  に越可せて可ならすさるへ可らむおりにらむ
  してこのうち能ことゝもハせさ里(里$せ)へうと
  はなもら(+さ)可者可りとみ多て万つりをき
  つ連ハ見つ可らもをそむき者へなむともふ
  多満へな里ゆ遣はよろつのと可にもほえ者へ
  らす多いのうへの御心をろ可尓ひきこえさせ
  いとあり可多くものしふ可き个しきを者へ
  れ盤にハこよ那く万さりてな可きよにもあら
  なむとそもひ者へるもとより御身にそひきこ」(87オ・1101⑨)

  江させむにつけてもつゝ満しき能本とに者へれハ
  ゆつりきこえそめ者へり尓しをいと可うしも
  能し者しとなむとしころハよのつね尓
  おもふへわ多りつるい万ハきし可多さきう
  しろや寿くおもひなり尓てりなといとおほく
  きこえミ多くみてきゝお者す可くむつ万し
  可るへきおまへ尓もつねにうちとけぬさ満し
0254【うちとけぬさま】-明石上ノ心
  てわ里那くものつゝ満(満$見)し多るさ満なりこのふ
  みのことはいとう多てこ者くにくけなるさ万をみち」(87ウ・1101⑭)

  のく尓可み尓てとしへ尓个れ者き者みあつこえ
  たる五六枚さす可に可うにいとふ可くしみ多る尓か
  きへりいとあ者れとほしてひたひ可みのやう/\
  ぬれゆく者めあて尓な万め可し者ひめ
0255【ひめ宮】-女三ノコト
  の可多にお者し个るをな可能みさうしよりふ
  とわ多りへれ盤江しもひき可くさて御木丁
  すこしひきよせてみつ可らはゝ多可くれへりわ可
  ハおとろきへりやの万もこ飛しきわさな
  个りときこえへハ寿ハいらへもきこえハねハ」(88オ・1102⑥)

  可多ゝい尓わ多しきこ江つときこえ(+つ)いとあや
  しやあな多にこの越らうし多てまつりて
  ふところをさらに者那多すもてあつ可ひつ
  や里ならすきぬもみなぬらしてぬき可へか
  ちなめるかろ/\しくなと可くわ多し多て万つ里
  (+こな多尓わ多りてこそ多て万つり多万)ハめとのへハいとう多ておもひく満な御事
  那尓お者し万さむ尓多にあな多尓て多て万
  つり者むこそよく者へらめましておとこは可き
  りなしときこ江さすれとや春くおほえを多」(88ウ・1102⑫)

  者ふれ尓ても可やうにへ多て可満しきこと那さ
  可しら(ら#)可里きこ江させきこえうちわ
  らひて可ともに万可せて者那ちきこゆへ
  きなゝり那へ多てゝい万ハ多れも/\さしハ那ちさ
  可しら(△&ら)なとのこそさ那个れ万つハ可やう尓
  者ひ可くれてつれなくい飛おとしめ里し(し$かし)とて
  御木丁をひきや里へれハもやのは(△&は)しらにより可ゝ
  りていときよけ尓者つ可し遣なるさ満して
  ものしありつる者こも万とひ可くさむもさ満阿
  し个れハさてお者春るをなの者こふ可き」(89オ・1103④)

  あらむけさうのな可う多よみてふんしこめ
  堂るちこそ寿れとへハあなう多てやい万
  め可しくなり可へらせめる御心らひ尓きゝし
  らぬやうな春さひことゝもこそとき/\いて
  くれとて本ゝゑみへれとあ者れなり个る
  个しきとしる个れハあやしとうち可多ふき
  へるさ満なれハわつらハしくて可能あ可し能い者や
0256【かのあかしのいはやより】-明石上
  よりし能ひてハへしいのり能巻数又万多しき
0257【数】-スエ
  くわんなとの者へり个る越御心にもしらせ多て万つ
  るへきお里あらは御覧しをくへくやとて者へ」(89ウ・1103⑩)

  累を多ゝい万はついてなくてな尓可ハあ遣させ
  者むときこえ尓遣にあハれなるへきありさ
  さ満そ可しとほしてい可尓をこなひ万してすミ
  尓多らむいのちな可くてこゝら能としころつ
  るつみもこよな可らむ可しよのな可によしあり(り$ル)
  さ可しき可多/\のてみる尓もこのよ尓そみ多
  る本との尓こり布可き尓やあらむかしこき可多こ
  そあれいと可きりありつゝをよ者さり遣りや
  さもい多りふ可くさす可に个しきありし」(90オ・1104①)

  ありさ万可な飛し里多ちこのよ者なれ可本
  にもあらぬもの可らしたの者見那あらぬよ尓
  可よひすミ尓多るとこそえし可満してい万ハ
  くるしき本多しもなくおもひ者那連に多ら
  むをや可や春(春=ス)らはしのひていとあ者満
  本しくこそい万は可能をもす(す$)
  すてゝとり能ねきこえぬ尓となむきゝ者へる
  ときこゆれ者さらハそ能ゆいこんなくも(くも$なり)せうそ
  こは可よ者しやあ万きみい可に思給らんお」(90ウ・1104⑥)

  やこのよりも万多さるさ万のちきりハこと尓
  こそゝふへ个れとてうちなミ多くみへりと(+イ)
  つも里によの能ありさ万をと可くおもひし里ゆ
  く万ゝ尓あやしくこひしくいてらるゝ
  みありさ万なれ者ふ可きちきり能な可らひは
  い可尓阿者れならむなとのいてにこのゆめ
  可多りもおほしあ者することもやと(ひ&ひ、+て)いとあや
  しき本むしと可いふやうなるあとに者へめれ
  とらんしとゝむへきふしもや万し里者へると」(91オ・1104⑪)

  てなむい万者とてわ可れ者へり(+尓)し可とな越こそ
  あ者れハのこり者へるも能なり遣れとてさ満よ
  くうちなけ(け$)き(て$、+より、より=△イ)いと可しこく本れ/\し可ら寿
  こそあるへ个れてなともすへてな尓こともわ
  さというそくにしつへ可り遣るの多ゝこのよふ
  る可多の越きてこそすく那可り个れ可の所のお
  とゝを(を$ハ)いと可しこくあり可多きさし越つくしてお
  や遣につ可う万つひ尓(尓$)个る本とにものゝ堂可ひ
  めありてそ能むくひ尓可く春ゑハなきなりな」(91ウ・1105③)

  いふめ里しを女子可多につ遣堂れと可くていと
  つきなしといふへき尓も(も$ハ)あらぬもこらのをこ那ひ
  のしるし尓こそはあらめなとなみ多をしのこ
  ひつゝこのゆ免のわ多り尓めとゝ免あやし
0258【ゆめのわたり】-\(合点)
  く飛可/\しくすゝろ尓堂可きさしありと
  と可免われも(も$)な可らもさる満しき布る万ひ越
  可り尓てもする可なとおもひしことはこのきみのむ
  万れ志とき尓ちきりふ可くおもひし里にし可と
  めのまへ尓みえぬあ那多能ことハおほつ可那くこそ」(92オ・1105⑧)

  おもひわ多りつれさらはかゝる多のみありてあ那可
  ち尓はのそみしなり个りよこさ万にいみしき
  めをみ多ゝよひしもこの飛とりの多免尓こ(こ$)そ
  あり个れい可なるくわんを可尓越こし个むとゆ可
  し个れ者のうちにを可みてとこれハ万多
  くして多て万つるへきものハへりい万きこえしら
  せむ(む#)者へらむと女御尓ハきこえ能ついて尓い万ハ
  可くい尓しへのことをもたとりし里ぬれとあな多の
  御心者へ越ゝろ可尓おほしなすなもとよりさるへきな」(92ウ・1105⑭)

  かえさらぬむつひよりもよこさ満の个の
  あハれをも可遣(+ひと)とのよせあるハおほろけのこと尓
  あらす万してこゝになとさ布らひな越みる/\
  ハしめのさしかハらすふ可く(+ねむ)ころにおもひきこ
  え多るをい尓しへのよの多とへ尓もさこそハう者へ尓ハ
  者くゝみ个れ連(連$)とらう/\しき堂と里あらむも可し
  こきやうなれとあや万里てもわ可多めし多の
  ゆ可み多らをさもおもひよらすうらな可らむ
  多めはひき可へしあ者れ尓い可てかゝる尓はとつ見
  江可満しき尓もをることもあるへしおほろ」(93オ・1106⑥)

  个のむ可し能よのあ多ならぬ者多可ふゝし/\阿
  れと飛とり/\つミ那きとき尓者をのつ可らも
  てな(+をイ)すためしともあるへ可めりさしもあるまし
  きことに可と/\しき(き$く)ゝせをつ遣あい
  もて者那るゝあるはいとうちと遣可多くおもひ
  く万なきわさ尓なむあるへきおほくハあらねと
  ののとあるさ万可ゝるおもむきをるにゆへよし
  といひさ満/\尓くち越し可らぬきハ能者せあるへ可め
  里ミ那をの/\え多る可多ありてとるところなくも」(93ウ・1106⑫)

  あらねとり多てゝわ可うしろみ尓おもひ万め/\
  しくえらひお(+ハ)む尓ハあり可多きわさになむ多ゝ
  万ことにせなくよきことはこの多い越のみ
  むこれをそおひら可なるといふへ可りけると
  ハへるよしとあ万里ひ多く(多く$多ゝ)遣てたのも
  しけなきもいとくちおしやと者可り能尓可多への
  はおもひやられぬ可しそこにこそすこしもの
  えてもの志めるをいとよし(し=く)むつひ可者してこの
  うしろをも尓ても能しへなと」(94オ・1107③)

  し能ひ(+や)可尓のの多まハせねといとあり可多き
  个しきを多て万つる万ゝにあ个くれのことく
  さにきこえ者へるめさ満しきも能尓なとおほし
  ゆるさゝらむに可うまて御覧しゝるへき尓もあら
  ぬ越可多者らい多き万て可す万への者すれ者
  可へりてハま者ゆくさへなむ可すならぬのさす可
  にきえぬ者よのきゝみゝもいとくるしくつゝ万しく
  おもふ多満へらるゝ越つミなきさ満尓もてかくされ
  多て万つりつゝのみこそときこえへハそ多」(94ウ・1107⑨)

  め尓ハな(+の)さし可者あらむ堂ゝこのありさ万
0259【御ありさま】-姫君
  越うちそひても多て万つらぬおほつ可な
  にゆつ里きこえらるゝなめりそれも万多とりも
  ちてけちえ(+ン)になとあらぬもてなしともによ
  ろつ能こと那のめ尓めや寿く那連はいとむお
  くうれしき者可那きことにてものゝこゝろえす
  可/\しき者多ちましらふ尓つ个ての多
  めさへ可らきことあり可しさな越しところなく多れ
  もゝのしめれ盤や寿く那むとのにつ遣ても」(95オ・1108①)

  さりやよくこそひ个しに个れなとおもひつゝ遣
  たいへわ多り日ぬさもいとやむこと那き御心
  さしの見まさるめる可那希尓ハ多よりことに
  可くしもくしへるありさ満のことわ里とみえ
  るこそめて多个れ可多うわへの可しつき能
  みめてたくてわ多りともえなの免ならさめるハ
  可多しけなきわさなめり可しおしすちに者お
  者寿れとい万ひとき盤ゝくるしくとし里ふこちき
  こえ尓つ个てもわ可すくせはいとたけくそほえ」(95ウ・1108⑥)

  个るやむこと那きたにおほ寿さ満尓もあらさめるよ
  にましてたち満しるへきおほえ尓しあらねハすへて
  い万はうらめしき布しもし堂ゝ可能多江こもり
  尓多る寿ミをひやるのミそあ者れ尓おほつ可な
  きあ万きみもたゝふくちのそ能に多ね万きてとや
0260【その】-一本ま
  うな里し飛とことをうち多のみてのちの
  や里つゝな可免ゐへり大将のきみハこのひめ
  と越おもひをよ者ぬ尓しもあらさりし可はめ尓
  ち可くお者し万す越いと多ゝ尓もおほえすおほ可多」(96オ・1108⑫)

  能可しつきにつ个てこ那多尓ハさりぬへきお/\
  に万いりなれをの可ら个者ひありさ満も
  きゝ尓いとわ可く越ほときへる飛と寿ち尓て
0261【をほとき給へる】-女三ノ体
  うへのきぬ(ぬ$)しき盤い可免しくよの多めし尓志
  つ者可りもて可しつき多て万つへ(へ&へ)れとおさ/\け
  さや可にも能ふ可くはえす女房ともおと那/\し
  き盤すく那くわ可や可なる可多ちひ多ふる尓
  うち者那やきされさり(さり#者)免るハいとおほく可すしら
  ぬ万てつとひさ布らひつゝももひな个な累」(96ウ・1109③)

  あ多りとハいひな可らな尓ことものとや可にしつ
  め多るハうち能あらハ尓しもえぬわさなれハ
  尓しれぬおもひそひ多らむも万ことにちゆ
  きけ尓とゝこ本りな可るへきにしうち万しれハ可多
  へ能尓ひ可れつゝおし个者ひもてなし尓な
  ら可なる越多ゝあ遣くれ者い者个多るあそ
  ハふれ尓い(い&い)れ多るわら者へのありさ万な者い
  とめ尓つ可ぬ(ぬ$寿)見給とゝもあれと飛とつさ万によの
  をおほしの者ぬ御本上れハ可ゝる可多をも万可」(97オ・1109⑨)

  せてさこそハあら満本し可らめとらむしゆるし
  つゝい万しめとゝ能へさせ者寿さうしみ能ありさ万
  者可り越ハいとよく越しへきこえ尓すこしもて
  つへり可やうのことを大将のきみも遣にこそ
  あり可多きり个れむらさきのようい遣しき
  能こゝら(こゝら=コ丶ラ)しへぬれとも可くもゝ里いてえきこえ
  堂るくしつや可なるをもとゝしてさす可に
  つくしうをもけ多す越もやむことなく尓くゝ
  もてなしそつることゝみしおも可遣もわ寿れ可」(97ウ・1110①)

  多くの見なひいてられ个るわ可き多の可多も
  あハれとほす可多こそふ可个れいふ可ひ阿りす
  くれたるらう/\しさなとものし者ぬ
  お多しきもの尓いまはとめなるゝにゆるひて
  可くさ万/\につへるありさ満とものり/\
  尓越可しき越ひとつにおもひ者那連可多きを万
  してこの本とをおもふ尓も可きりな
  ことなる本とにとりわき多る个しきしも阿らす
  めの可さり者可りにこそ多て万つりしり(り$流)わさ」(98オ・1110⑦)

  とほ个な尓しもあらねとみ多て万つるお
  ありなむやとゆ可しくおもひきこえ个りゑも
  の可むのきみも(+尓)つね尓万いりし多しくさふらひ
  なれハこのをちゝみ可とのかしつ
  あ可免多て万つ御心をきてなとくハ志く
  み多て万つりをきてさ万/\能さ多めありしころ本
  ひよりきこえより尓もめさ万しとハおほしの
  せすときゝしをかくことさ万になりへるはいとく
  ち越しくむねい多きちすれハえおもひ者那」(98ウ・1110⑫)

  れ寿そ能おリよりか多らひつき尓个るねう者う
  能堂よりにありさ満なともきゝつ多ふる越なくさ
  めにおもふそ者可那可り遣る多いのうへの个者ひ(+尓)
  をされてなむとよ(+ノ)ひとも万ねひつ多ふる越
  きゝてハか多しけなくともさるもの者おもハせ多て
  万つらさら満し个に多くひな御身にこそあ多ら
  さらめとつねにこのこしゝうといふちぬしをもいひ
  ハ个万して世中さ多めなき越も(も$おとゝ)きみもとより
  ほいありておほしをきて多る可多におもむきハゝ」(99オ・1111④)

  とたゆミなくおもひありき个りやよひハ可り能そ
  うらゝかなるひ六条兵部卿宮衛もむの可ミ
  なと万いりへりおとゝいてか多りなとし
  しつ可なるす万ゐハこ能ころこそいとつれ/\に△(△#)
  万きるゝこと那可り遣れおほや遣わ多くし尓ことな
  しやな尓わさしてかハくらすへきなとのて遣さ
  大将のも能しつるハいつ可多にそいとさう/\しき越
  れいのふ(ふ$こ)ゆき(き$み)いさせてみるへ可り遣る(る=リ)このむめるわ可うと
  ともゝみえつる越ね多ういてやしぬるとゝハせ給大将」(99ウ・1111⑩)

  のきみハうしとらの(+ち)/\あ万多して万△(△#)り
0262【うしとらのまち】-花チルノ方
  もてあそハしてみときこしめして見多り可ハし
  きことのさす可にめさめてかと/\しきそ可しいつ
  こ那多にとてせうそこあれハ万いりへリわ可き
  む多ちめく(△&く)/\おほ可り个り万りも多せへり
  や多れ/\可ものしつるとのこれ可れ者へりつこ那多
  へ万可てむやと心殿の飛む可しおもてきりつ
  本ハわ可くし多て万つりて万いりひ尓しころな
  れ者こ那多(+ハ)かくろへ多り遣りや里とのゆきあ」(100オ・1112②)

  ひ者(+なれてよしあるかゝり能本と越多つねて多ちいつ
  おほきおほいとのゝの多ち頭弁兵衛佐大夫
0263【佐】-スケ
0264【大夫】-タユウ

  なとすくし多るもか多なりなるもさ万/\により
  万さりてのみものしやう/\くれ可ゝるにふ可
  す可しこきりと遣うしてのきみもえし
  つめす多ち万しれ盤おとゝ弁官も江(江=え)さめあへさ
  めるを可む多ちめなりともわ可きゑふつ可さ多ち
  ハなと可み多れ者さらむ可ハ可りのよ者ひ尓てハ
  あやしくすく(く=く)寿くち越しくおほえしわ(△&わ)さ」(100ウ・1112⑦)

  なりさるはいと/\なりやこのことのさ満よなとの
  大将もかむのみなて江ならぬ
  の可け尓さ満よひて(て#)ゆふ者えいときよ遣なりお
  さ/\さ万よくしつ可なぬ見多れことな免れと
  可ら可らなり个りゆへある尓者のこ多ちのい多く可
  すミこめ多る尓いろ/\ひもときわ多る者那のきと
  わつ可なるもえきのか遣尓(△&尓)可く者可那きことなれと
  よきあしき个ちめあるをいとみつとら
  しと日可本なる尓ゑもむの可み能可りそめに多ち」(101オ・1112⑬)

  万し里へるあしもとにならふ可り个り可多ちいと
  きよ个になまめき多るさ満し多るよういゝ多
  くしてさす可にみ多り可ハしきお可しくみゆみ
  者しの(+万尓あ多連るさくらの可个尓よりて/\の)うへもわ春れて尓いれ多るをおとゝも
0265【宮】-蛍也
  すミ能可うら(+ン)にいてゝ御覧すいとら(ら$ラ)うある者へともみ
  え(え=エ)てかすおほくなりゆくにらうも見多れてかう
  ふりのひ多ひすこしくつろき多り大将のきみも
  くらゐの本とふこそれいならぬみ多り可ハしさ可
  なほゆれみるめはよりけ尓わ可くお可し遣尓て」(101ウ・1113⑥)

  さくらのなしのやゝなえ多るにさしぬきの寿そ
  つ可多すこし布くみて个しき者可りひきあ遣
  へり可る/\しうもミえすもきよ遣なるうち
  と遣す可多ハ那(ハ那#尓のゆきのゆきの(ゆきの$)やうに布り可ゝれハ
  うちみ阿遣てし本△れ(△れ#れ多る)え多すこしをしおりて
  みハしのな可能しなの本とにゐ(+ぬ)可むのきみつ
  きて者那(+ミ)多りかハしくちるめりやさくらハよきてこ
0266【さくらはよきてこそ】-\(合点)
  そと能御前の可多をし里め尓れハ
0267【宮】-女三
  れいのこと尓おさ万らぬけ者ひともしていろ/\こ本れ
  いて多るみすのつ万すき可遣なと者るの多む遣のぬ」(102オ・1113⑫)

  さふくろ尓やとほゆみ木丁もしと遣なくひ
  きやりつけち可くよつきてそみゆる尓からね
  このいとちゐさく越可し遣那るをすこしおほき
  なるねこをひき(き#)つゝきてにハか可尓みすのつ万より
【きて】-来
  者し里いつるに/\をひえさハきてそよ/\と
  しろきさ万よふ遣者ひともきぬのをと那ひ
  ゝ可し可万しきちすねこハ万多よく尓も
  な可ぬ尓やつないとな可くつき多り个る越もの尓
  ひき可遣万つ者れ尓个る越に遣むとひこしろふ本と」(102ウ・1114③)

  にみすのそハいとあら者にひきあ遣られ多るをとみ尓
  ひきなをすしこの者しらのもとにありつ
  /\もあハ多ゝし遣尓ても能おちし多る遣
  者ひともな木丁のきハすこしいり多る本とに
  うちきす可多尓て多ちへるあり者しより尓し
  の能万の飛ん可しのそハ那連ハ万きれところも
0269【二】-ニ
  なくあらハ尓いれらるこう者い尓やあらむこき
  うすきニ(ニ#)すき/\にあ万多可さなり多るけちめ者那
  や可尓さうしのつ万能やうにみえてさくらのをりも」(103オ・1114⑨)

  のゝ本そ可なるへしくしの春そ万てけさ
  や可尓みゆるハいとをより可遣多るやうになひきて
0270【いと】-糸
  すそ能ふさや可にそ(+か)れ多るいとうつくしけ尓て
  七八す者可りそあ万里へる能すそ可ちに
  いと本そくさく(さく$佐ゝ)や可にてす可多つき可みの可ゝりへる
  そハめいひしらすあて(+尓)らうた遣なりゆふ可遣なれハ
  さや可ならすおくゝらきちするもいとあ可すくち越
  し万りにをなくるわ可きむ多ちの者那のちるを
  おしみもあ(あ$あ)へぬ个しきとも越みるとて/\あら」(103ウ・1115①)

  越布ともえ个ぬなるへしねこのい多くな
  み可へりへるおもゝちもてなしなといとおひら可尓
  てわ可くうつくしのやとふとみえ多り大将いと可
  多わらい多个れと者ひよらんもな可/\いと可る/\し
  个れハ多ゝを江さ(江さ=エサ)せてうちしハふきへる尓そ
  やをらひきい里さるはわ可ちにもいとあ可ぬ
  しへとねこのつ那ゆるしつれハ(耳$尓)もあらすうち
  な(+遣)可るましてさハ可りをしめ多るゑもんの可ミはむ
  ねふと布多可りて多れハ可り尓可はあらむこゝら能
  尓しるきうちきす可(可=可)多よりも尓まきるへくもあ」(104オ・1115⑦)

  らさりつ遣者ひな尓可ゝりておほゆさら
  ぬ可本にもてなし多れとまさにめとゝめしやと
  大将者いとおしくおほさるわりなちのなくさ
  めにねこを万ねきよせて可きい多き多れ盤いと可う
  者しくてらうたけ尓うちなくもなつ可しくおもひ
  よそへらるゝそすき/\しきやおとゝらむしをこせ
  て可む堂ちめのさいと可ろ/\しやこな多にこそ
  多い能みなみおもてにい里へれハみ那そ多に万いり
0271【たいのみなみおもて】-紫ノスミ給方也
  ひぬもゐな可多りしき/\能
0272【宮も】-蛍
  殿上人ハすのこにわらう多めしてわさと那くつ者いも」(104ウ・1115⑭)
0273【わらうた】-円座也

  ちゐなし可うしやうのも能ともさ満/\に者このふ多
  とにとり万せつゝある越わ可き/\そ本れとり
0274【そほれ】-サルヽ也
  くふさるへき可らもの者可りしてかハらけ万いるゑも
0275【からものはかり】-肴ハカリノ心
  むの可みはいとい多くおもひしめ里てやゝも寿れハ者
  那の尓めをつ遣てな可めやる大将し里にあや
  し可りつるみすの春き可遣ひいつることも(も$)やあらむ
  と思給いと者しち可なりつるありさ満越可つ者可ろ/\
  しとおもふらむ可しいてやこ那多のありさ満の
0276【こなたの】-紫ノコト
  さハある万し可めるものをとおもふに可ゝれ盤こそ
  よのおほえ能本とよりはうち/\能御心さしぬるきや」(105オ・1116⑥)

  うに盤あり个れとひあハせてうちとよう
0277【うちとのようい】-紫ノコト内外ノ心モチ取捨ナキ也
  いおほ可らすい者けなきハらう多きやうなれとう
  しろめ多きやうなりやともひおとさるさい
0278【さい将のきみ】-柏木也
  のきみハよろつのつミをもさ/\堂とられすお
  ほえぬものゝひ万より本の可尓もそれとみ多て万
  つりつる尓もわ可む可しよりのさし能しるしあ
  るへきにやとちきりうれしきちしてあ可すのミお
  ほゆハむ可し△△(△△#)も能可多りしいてておほき
  おとゝのよろつのことに多ちならひて可ち万遣能さ多
  めし尓万りなむ江越よ者すなりにし者可な」(105ウ・1116⑫)

  きことはつたへ(△&へ)ある満し个れとも能ゝすち盤こよ
  な可り个りいとめも越よ者寿可しこうこそみえつれと
  のへハうちほゝゑみて者可/\しきか多にハぬるく者
  へるいへののさしもふきつ多へ者へらむにのちのよの
  多めこと那ることなくこそ者へりぬへ个れと申給へハい可
  て可な尓ことも尓こと那る遣ちめ越ハしるしつ多ふ
  へきなりいゑの多へなとに可きとゝめいれたらむこそ
  个うハあらめなと多ハふれ給御さ万の尓本ひや可にき
0279【御さまのにほひかに】-柏木ノ心
  よらなる越み多て万つるにも可ゝる尓ならひてい可者可り
  の尓可をうつハものし者むな尓ことにつ遣」(106オ・1117⑤)

  て可あハれとみゆるしハ可りハなひ可しきこゆへきと
  もひめくらすにいとゝこよ那くあ多り者る可なるへき
  みの本ともおもひしらるれ盤むねのミふ多かりて万可り(り$)
  て大将のきみ飛とつくる万尓てみちの本ともの
  可多りし越このころ能つれ/\尓ハこの尓万いりて
0280【な越このころの】-柏詞
  きらハすへきなり个り个ふ能やうなむいと満のひ
  ゝちつ个て者那のおりすくさす万いれとつるを
  者る越しミ可てらのうちにこゆみも多せて万いり
  へと可多らひちきるをの/\わ可るゝみちの本とも能可多
  りし多万うて御事のな越い者満(+本)し遣れハ」(106ウ・1117⑫)

  尓はなをこ能多いにのみものせさせめりな可のお
0281【このたいに】-紫
0282【なか】-中

  むおほえのことなるなめり可しこのい可におほすらん
0283【おほえ】-紫ノコト也
0284【この宮】-女三ノコトヲ柏ノ心

  み可とのならひなくならハし多て万つへる尓さし
  もあらてくしひ尓多らむこそくるし个れと
  いなくいつ(つ$へ)は多い/\しきことい可て可さ者あらむこ
0285【たい/\しき】-夕霧詞
  な多はさ万可者りておほし多てた万へるむつ
0286【おほしたて】-紫ノコト 生
  の遣ちめ者可りにこそあへ可めれをは可多/\尓
  つ遣ていとやむこと那くひきこえへるもの
  とか多りへハいてあな可満へみ那きゝて者へりいと/\」(107オ・1118④)
0287【いてあなかま】-柏木詞
0288【給へきゝてはへり】-人ノ云ヲ聞タルト也


  越し遣なるおり/\あなるをやさるはよに越し
  なへ多らぬほえ越あり可多きわさな
  りやといと本し可る
    い可なれハ者那尓こつ多ふうくひ寿のさく
0289【いかなれは】-柏
  ら越わきてねくらとはせぬとりのさくらひ
  と尓と万らぬよあやしとほゆることそ
  しとくちすさひ尓いへはいてあなあちきな
  も能あつ可ひやされハよとおもふ
    みや万きにねくらさ多むる者ことりもい可て
0290【みやまきに】-夕霧
  可者那のいろ尓あくへきわ里なきことひ多おもむ」(107ウ・1118⑩)

  き尓のミやハ(+と)いらへてわつらハし个れ盤ことにい者せ
  すなりぬこと/\尓いひ万きらハしてをの/\わ可れ
  ぬ可むのきみハほいとのゝ飛ん可しの多いにひとり
  (+す)み尓てそも能し个るおもふありてとしころかゝ
  累す万ひをする尓や里ならぬ(ぬ$寿)さう/\しく
  そきお里/\あハ(ハ#)れとわ可か者可り尓てなと可お
  もふこと可なハさらむとのミこりをする尓この
  ゆふへよりくしい多くもも者しくてい可ならむお
  にま多さハ可り尓ても本の可那るありさ万を多尓
  みむとも可くも可き万きれ多るきハのこそか」(108オ・1119②)

  りそめ尓も多ハや寿きものいみ可多ゝかへのうつ
  ひも可る/\しき(+尓)をのつ可らと可く(可く$も可くも)も能ゝひ万をう
  可ゝひつくるやうもあれなやる可多なくふ可
  万とのうちにな尓ハ可りのとにつ个て可ゝくふ可
  あり遣りと多にしら(△&ら)せ多て万つるへきとむね
  い多くいふ勢个れ者こしゝうかりれいのふみやり
0291【かり】-モトノ心
  給一日風尓さそハれてみ可きの(の$可)者ら(△&ら)越わ遣いりてハ
0292【一日】-文ノ詞
  へしにいとゝい可にみおとし个むそ能ゆふへよりみ
  多り(△&り)ち可きくらしあやなく遣ふハな可めくらし
0293【あやなくけふは】-\(合点)
  者へるなと可きて」(108ウ・1119⑧)

    よそにみておらぬな个きハし个れともなこり
  こ飛しき者那のゆふ可遣とあれと(+侍従一日能こゝろもし
  らぬ(ぬ$子)ハ多ゝよのつねのな可免尓こそハとおもふ越万へ尓
  し遣可らぬ本となれハか能ふミ越もて万いりて
  かくのミわ春れぬもの尓ことゝひものし
  わつらハしく者へれくるし遣なるありさ
  万もみ多万へあ万るやそひ者へらんと可ら
  のな可らし里可多くなむとうちわらひてきこゆれハ
  いとう多てあることをもいふ可那ともな个れ(れ#)
0294【いとうたて】-女三心
  にのてふミひろ遣たるをらむすもせぬと」(109オ・1120①)
0295【見もせぬと】-\(合点)春もあら須ミもせし/くハ/あやなく个ふやな可めくらさむ(付箋⑥)

  いひ多るところをあさ万し可りしみすのつ万
  越お本しあハせらるゝにおもてあ可みておとゝ
  のさ者可り(+こと)能ついてことに大将い者
  个なありさ万なんめれハをの可らとり者つ
  して多て万つるやうもありなむといましめ
  きこえをおほしいつる尓大将のさることの
  ありしと可多りきこえ多らむときい可にあ者め
  むと多て万つり个むことをハおほさてまつ
  者ゝかりきこ江給心のうちそさな可り遣るつねよ
  リもほむさし(+イ)らへな个れハすさ満しくしゐて」(109ウ・1120⑦)

  きこゆへきことにもあらね者ひきし能ひてれ
  いの可く一日者つれなし可本をなむめさ満しく(く$う)
0296【一日は】-文詞
0297【つれなし】-\(合点)

  とゆるしきこえさりし越み寿もあらぬやい可尓
0298【みすもあらぬや】-\(合点)
  あなか个/\しと者やり可尓者し里可きて
    いまさらにいろ尓ないてそさくらをよハ
  ぬ江多にこ(ゝ=コ)ろ可遣きと可ひなきこと越とあり」(110オ・1120⑪)

(白紙)」(110ウ)

【奥入01】ちとせを可ねてあそふつるのけ
    席田第二反度也
【奥入02】耶輸陀蘿可布くちのその尓
    堂ね万きてあ者むかならす
    有為のみやこ尓
    雖有此説此哥之證拠不知誰説
    頗凡俗事歟
」(111オ)

(白紙)」(111ウ)