第1版 2018年04月02日(ver.1-1)
修正版 2018年12月13日(ver.1-2)
渋谷栄一翻字(C)
「行幸」
【凡例】
1.『定家本源氏物語 行幸・早蕨』(八木書店 2018年1月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.行頭に同じ文字が並ぶ場合に、異なる字母は赤色で、また同じ字母は緑色で表示した。
「見遊き」(表紙・題箋)
かくお1ほしい堂らぬこ2となくい可てよ可らむ
こ2と者とお1ほしあつ可ひ給へとこの1をとな1
01【この1をとな1しのたき】−\<朱合点>
しの1堂きこそ2う堂ていとお1しくみな2ミ
のうへの御をし者可りこ2と尓可な日てかる/\
し可るへき御な2ゝれかの1お1とゝな尓こ2と尓
徒遣ても1き者/\しうすこしもか多者な
累さまのこ2とをお1ほしゝの1者すな2ともの
し多まふ御心さまを佐て思日く万なく」(1オ)
遣さや可なる御も1てな2しな2との1あらむ尓つ
个て者お1こ可満しうも1やなとお1ほし可へ
尓1能こる人な1く見さ者くを六條院よりも御
方/\ひきいて徒ゝ見多まふうの時尓いて堂ま
うて朱雀より五条能お1ほちをにしさ満尓
お1れ多万ふか徒ら可はのも1とまて物見く
る満ひ万な2し行幸といへとかな2らすかう」(1ウ)
しも1あらぬを遣ふ者みこ多ちかむ多ちめ
もミ那心こ2と尓御むまくらをとゝのへすい
しんむ万そ2ひ(ひ+0の)可多ち多け多ちさうそ2くを
かさり多まう徒ゝめつら可尓お1可し左右大臣
内大臣納言よりしも1者たまして能こら
す徒可うまつり多まへりあお1いろのうへのきぬ
えひそ2めのし多可さねを殿上人五位六位
万てき多り雪多ゝいさゝ可徒ゝ(ゝ+0うち)ちりてみち」(2オ)
のそ2らさへえむな2りみこ堂ちかむ多ちめな1と
も堂可尓かゝ徒らひ多まへ累ハめつらしき
かりの御よそ2ひともをまうけ給このゑの
堂可ゝひとも者まして世尓免な2れぬすり
衣を見多れき徒ゝ个しきこ2となりめつらし
うお1可しきこ2と尓きお1ひいて徒ゝそ2の1人と
もなくかす可なるあしよ者きくる万なと
わををしひし可れあ者れけな2るもあり」(2ウ)
うき者しの1も1とな2と尓もこの1満しう堂
ちさ万よふよきくる万お1ほ可りにしの1堂いの
ひめきみも多ちいて多まへ里そ2こ者くいと
み徒くし多万へ累人の御可多ちあ里さ万を
見給尓み可とのあ可いろの1御そ2多てまつりて
うる者しうゝこきな1き御可多はらめ尓な
すらひきこゆへき人な2しわ可ちゝお1とゝを人
しれすめを徒遣多てまつり給へときら/\」(3オ)
しう物きよけ尓さ可里尓者ものし多まへと
かきりあり可しいと人尓すくれ多る堂ゝひとゝ
見え2て御こしのうちよりほ可尓めうつるへくも
あら須万して可多ちあ里やお1可しやな2とわ可き
こ多ちのきえ可へり心うつ須中少将な尓くれの1
殿上人やうの人ハな尓ゝもあらすきえわ
多れる者佐ら尓堂くひな1うお1者します
な2り个り源氏のお1とゝの御可ほさま者こ2と」(3ウ)
物とも見え多ま者ぬをお1もひな2しの1い万
すこしい徒可しうか多しけな1くめて多きなり
さ者可ゝる堂くひ者お1者し可多可り个りあて
な累人者ミ那物きよ个尓遣者ひこ2とな1
へい物とのミお1とゝ中将な2との1御尓ほ日尓め
な2れ給へ累をいてきえとものか多者な2る
尓やあらむお1な2しめ者那とも1見え2すくち
お1しうそ2を佐れ多るや兵部卿宮も1お1者す」(4オ)
右大将のさ者可りお1も1り可尓よしめくも个
ふの1よそ2ひいとな1ま免きてやな2くひな2と
お1ひてつ可う満つり多まへりいろくろくひ遣
可ち尓見えていと心月な2しい可て可者徒く
ろ日多て堂るかほのいろあひ尓ハ尓多羅む
いとわ里な2きこ2とをわ可き御心地尓者見お1
とし多まうて个りお1とゝのきみのお1ほしよ
里ての多万ふこ2とをい可ゝ者あらむ宮徒可」(4ウ)
へ者心尓もあらてみくるしきあ里さま尓や
とお1もひつゝみ多まふをなれ/\しきすちなと
越ハもてハ那れてお1ほ可多尓つ可うまつり御ら
むせられむ者お1可しうもあ里なむ可しとそ
思日より多まうける可うて野尓1お者し(し+1まし)つ1
きて御こしとゝめかむ多ち免の1ひらハり尓
物まいり御さうそ2くともな越し可里(里+1の)よそ2
ひなと尓あら堂免多ま婦本と尓六条院」(5オ)
より御みき御く多物なと堂てまつらせ多
まへりけふつ可うまつり給へて2可ねて御个しき
あ里遣れと御物いみの1よし越そ2うせ佐せ多
まへりける1なり个りくら人の1右衛門のせう
を御つ可ひ尓てきしひとえ多ゝてまつらせ
多ま婦お1ほせ事尓ハな尓と可やさやうの1お1り
のこ2とまねふ王つらハしくなむ
ゆき布可き越し本能山尓多つきし能」(5ウ)
布累きあと越も个ふハ堂つねよ
太政大臣の可ゝ累野の1行幸尓つ可うまつ1里
02【太政大臣の】\<朱合点>
堂まへ累堂めしな2とやあ里遣むお1とゝ御つ可ひ
を可しこまりもて那させ給
越し本や万みゆきつ1もれるまつハら尓
个ふハ可りな2るあとやな可らむ
とその1ころ越日きゝしこ2と能そ2ハ/\お1もひい
てらるゝハひ可こ2と尓やあらむま多の日お1とゝ
尓しの1多い尓きのふうへハみ多てまつり多」(6オ)
まひきや可の1こ2とはお1ほしなひきぬらん
やときこえ2多まへりしろきしきし尓いとう
ちとけ堂るふミこま可尓个しき者ミてもあ
羅ぬ可お1可しき越み堂まうてあいな2の1こ2とや
とわらひ給物可らよくもをしハ可らせ多ま婦
物可な2とお1本す御返尓きのふハ
うちきらしあさくもりせしミゆきニハ
さや可尓そら能ひ可りやハミし
お1ほつかな2き御こ2とゝも尓なむとある越」(6ウ)
うへもみ多まふさゝの1こ2とをそゝの1可し可と
中宮可くてお1者すこゝな2可らのお1ほえ2尓ハひ
な2可るへし可のおとゝニしられても1女御可くて
又佐ふら日給へハな2とお1もひミ多累免里し
すちな2りわ可人のさもなれつ可うまつらむ尓
者ゝかるお1もひな可らむハうへを本の1み多て
まつりてえ2可遣者那れてお1もふハあらしと
の多まへハあな2う多てめて堂しとみ多て」(7オ)
まつるともこ2ゝろもて宮つ可ひお1もひ堂ゝむ
こそいとさしすき堂累こ2ゝろな2らめとてわ
羅ひ多まふいて2そこ尓しも1そめてき
こえ2多ま者むな2との1多まうて又御返
あ可ねさす悲可りハそ2らにくもらぬ越
なとてミゆき尓免越きらし遣む
な越ゝ本し堂てなと多えす春ゝめ給とて
もかうても1万つ1御も1きのこ2と越こそ2ハと」(7ウ)
お本してそ2の1御まうけの御てうとの1こま
可なるきよらともく者へさせ堂まひな2にく
れの1きしき越御心尓ハいともお1も本さぬこ2と
を多尓をのつ可らよ多けくい可めしくなる越
ましてうちのお1とゝもや可て古の1つ1いて尓や
し羅せ多てまつりてましとお1ほしよれ者
いとめて多うところせき満てなむとし可
へ里て二月尓とおほすをむな2者きこえ」(8オ)
た可くな1可くし堂まふへき本とならぬも
人の1御む春免とてこも1りお者須る本と
者可な2らすしも1うち可ミの1御つとめなとあ
羅者な2らぬ本とな2れハこそ2とし月ハまきれ
すくし多まへこの1も1しお1ほしよるこ2とも1あ
らん尓ハ可す可の1可ミ能御心多可ひぬへきもつ
ゐ尓は可くれてやむましき物可らあちき
な2くわさとかましきのちのなまて」(8ウ)
う多ゝあるへしな2越/\しき人の1きハこそい
まやうとて者うちあら多むるこ2との堂ハ(ゝ&0ハ)やす
きもあれな2とお1ほしめくらすにお1やこの御ち
き里堂ゆへきやうな2しお1な2しくハ我心ゆる
して越し羅せ堂てまつらむな2とお1本し
さ堂免て2この1御こしゆ日尓は可の1お1とゝ
をな2む御せうそ2こきこえ2堂満ふ个れハ
大宮こその1布ゆつ可多よりな2や見多ま」(9オ)
ふことさらにをこ多り堂万者ねハ可ゝ累尓
あ者せてひな2可るへきよしきこえ給へ里
中将のきミもよる日累三条尓そ佐ふら
ひ堂まうて心のひ万(そ2ら&0ひ万)な2く物し堂ま
うてお1りあしき越い可尓せ満しとお1ほ
すよもいとさ多免な2し宮もうせさせ
多ま者ゝ御布くある(る&0る)へき越しらす可
本尓1てものし多ま者んつミふ可きこ2と」(9ウ)
おほ可らむお1者するよ尓このこ2とあらハし
てむとお1本しとりて三条の宮尓御とふら
ひ可てらわ多り多ま婦い万ハましてしの
ひや可尓布る(□&0る)万い多まへとミゆき尓をと
羅すよそ本しくいよ/\ひ可りをのミそへ
給御可多ちな2とのこの1よ尓みえ2ぬ心ちし
てめつらしうミ多てまつり多まふ尓ハ
いとゝ御心ちのな2やましさもとりすてら」(10オ)
累ゝ心ちしてお1きゐ多まへり御遣うそ
く尓可ゝりて2よ者けな2れと物な2と
いとよくきこえ2給个しう者お者しま
さゝり遣る1をな2尓可し能あそ2むの1心まと者
しておとろ/\しうなけきゝこえさす免
れハい可やう尓ものせ佐せ多ま婦尓可とな2む
お1ほつ可な2可りきこえ2佐せつ1るうちなと尓
もこ2と那るついて2なき可き里ハまいらす」(10ウ)
お1ほや遣尓つ可ふる人ともなくてこもりハへれ
者よろつ1うゐ/\しうよ多けくなりにて者
へりよ者ひなと古れよりまさる(□&0る)人こし堂へ
ぬまて可ゝまりありて(て$1く)堂めしむ可しもいま
もハへめれとあやしくお1れ/\しき本上尓そふ
ものうさ尓なむハへ累へきなときこえ2給とし
の1つもりの1な2やミとお1もふ給へつゝ月ころ尓
なりぬる(る&0る)をこ2としとなりてハ堂のミすく」(11オ)
那きやう尓お1ほえ2者へれ者いま悲と多ひかくみ
堂てまつりきこえ2さするこ2とも1なくてやと心
本そ2く思堂まへつ1るをけふこそ又春こし
のひぬる心ちし者へれいま者お1しミ登むへ
き本と尓もハへらすさへき人/\尓も多ち越く
れよのすゑ尓のこりと満れる(る&0る)堂くひを人の
うへ尓ていと心つ1き那しとみハへりし可者い
て多ちいそき越なむお1もひもよ越され」(11ウ)
ハへる尓この1中将のいとあハれ尓あやしき
まてお1もひあつ可ひ心をさハ可い堂まふみハへ
累尓なむさま/\尓可遣とゝ免られてい満ゝて
な可ひきハへると堂ゝなきにな2きて2御古ゑ
の1わな2ゝくもお1こ可まし个れとさる(る&0る)こ2とゝも
なれハいとあハれな2り御物可多りともむ可しいま
のとりあつ1免きこえ2多まふついて尓うちの1
おとゝは日へ多て春まいり堂まふこ2とし」(12オ)
遣可らむを可ゝるついて尓堂(□&0堂)いめんの1あら者
い可尓うれし可らんい可てきこえ2し羅せむ
とお1もふこ2とのハへる越さる(る&0る)へきついて那くてハ堂い
めんもあ里可多个れハお1ほつ可な2くてなむ
ときこえ2多ま婦お1ほや个こ2と能新遣き尓や
わ多くし能心さしの1ふ可ゝらぬ尓やさしも1と
ふらひものしハへらす能堂万者すへ(へ&0へ)可らむ
こ2とはな尓さまのこ2とに可ハ中将のうらめし」(12ウ)
け尓お1も者れ堂累こ2ともハへるをハ志免の
こ2とハし羅ねといまは遣尓くゝもてなすニ
つ个て堂ちそめ尓し名の1とり可へさるゝ物尓
もあらすお1こ可ましきやう尓可へりてハよ人
もい日もら春那る越な2とものしハへれハ堂
て多る所む可しよりいとゝ个可多き人の1本上尓て
心え2すな2むみ多まふるとこの中将の1御こ2とゝお
ほしての多まへハうちわらひ多まひていふ」(13オ)
可ひなき尓ゆるしすて堂まふこ2とも1やとき
き侍(者&0侍)へり(へり$2)てこゝ(ゝ&0ゝ)尓さへ(へ&0へ)なむ可す免申やうあ
里し可といときひしういさめ多まふよし越み
ハへりしのちな2尓ゝさまてこ2とをもませ(と&0せ)ハへり
个むと人わるうくいお1もふたまへ(へ&0へ)て2な2むよろ
つ1のこ2とにつ个てきよめといふこ2と(□&0と)ハへ(へ&0へ)れハい可ゝ
者さもとり可へしすゝい給者さらむとはお1
もふ堂まへな可ら可うくち越しき尓こり」(13ウ)
の1すゑ尓まちとり布可う春むへき水こそ2
いてき可多可へいよなれな2尓こ2とにつ遣ても1す
ゑ尓な2れハお1ちゆく个ちめこそやすくハへめれ
いと本しうきゝ堂まふるなと申堂まうて
さるハ可のし里給へき人をな2むお1もひま
可ふるこ2とハへりて不い尓堂つ年とりてハへるを
そのお1りハさるひ可わさともあ可しハへらす
あ里し可者あな2可ち尓こ2との心を多つね可へ」(14オ)
さふ事も者へらて堂ゝさる(る&0る)物ゝくさの1す
く那きを可こ2と尓ても1な2尓可ハとお1もふ多ま
へゆる(る&0る)してお1さ/\むつ1ひもみハへらすして
とし月はへりつる(る&0る)越い可て可きこし免し个む
うち尓お1ほせらるゝやうなむあるな2いしの
可ミゝやつ1可へする人な2くてハ可のところのまつり
こ2としとけな2く女官な2ともお1ほや遣こ2と越
を(を$1)つ可うまつるに多つきな2くこ2とみ多るゝ」(14ウ)
やう尓な2むあ里遣る越堂ゝいまうへニ佐ふら婦
こらうのすけ二人又さるへき人/\さ満/\尓申
03【こらう】―古老<右> ら<左>
さする越は可/\しうえら者せ多ま者むた
つ1ね尓堂くふへき人な2むな2き猶いへ堂可う人
のおほえ2可ろ可らていへの1いと那ミ堂て多らぬ
人な2むい尓しへよりなりき尓けるし多ゝ可
尓可しこき可多のえらひ尓てハそ2の人な2らて
もとし月の1らう尓な2りの本る堂くひあ」(15オ)
れとし可多くふへきもな2しとな2らハお1ほ可多
の1お1本え2越堂尓え2羅せ堂まハむとな2む
うち/\におほせられ堂りし越尓遣なきこ2と
としも1な尓可ハお1もひ堂ま者む宮つ可へ者
さ累へきすち尓て上も下もお1もひをよひ
いて2堂つ1こそ心堂可きこ2となれお1ほや个
さま尓てさる(る&0る)所の1こ2と越つ可さとりまつ1里
こ2とのお1もふきをし多ゝめしらむこ2と者」(15ウ)
者可/\し可らすあ者つ1遣支やう尓お1ほえ2た
れとな2と可又さしも1あらむ堂ゝ王可身能あり
さまからこそよろつ1のこ2と者へめれとお1もひ
よ者りハへしついて尓な2むよ者ひの本とな2とゝ
ひきゝハへれハ可のお1ほむ堂つねあへ(へ&0へ)いこ2とに
な2むありけるをい可なへいこ2とそとも申
あきらめ満本しうハへ累ついてな2くてハ堂い
め者へゝき尓もハへらすや可て可ゝるこ2とな2む」(16オ)
とあらハしまうすへきやうをお1もひめくらし
てせうそ2こまうしゝ越御な2やミにこ2とつけ
てものうけ尓春まひ多まへりし个尓
お1りしも1ひんなうおもひとまり侍尓よ
ろしうものせさせ給个れハな越可う
お1もひお1こせるついて尓とな2むお1もふ多
まふるさやうにつ多へものせさせ多まへときこ江
多まふ宮い可尓/\侍个るこ2とに可ゝしこに」(16ウ)
者さま/\尓1可ゝ累なの里する人をいとふこ2と
な2く日ろひあつ1免らるめく(□&く)る尓1い可那
累心尓て可くひき堂可へかこちきこえ
羅累らむこのとしころう(う+1け)堂万者りて
な2りぬる尓やときこえ給へハさるやうハへるこ
と那里くハしきさま者可のをとゝもをのつ可ら
堂つねきゝ多まうてむく多/\しきな2を
人のな2可らひ尓ゝ堂る(る&0る)こ2とに者へれハあ可さむ
尓つ遣て2もらう可ハ志う人い日つ多へハへらむ」(17オ)
を中将のあそん尓多尓ま多王き満へし
らせハへらす人尓もゝらさせ堂まふましと
御くち可多免きこえ1多ま婦うち能お1ほいとの
尓1も1かく三条の宮に大きお1とゝ王多りお1ハし
まい堂るよしきゝ堂まひてい可尓さひし遣
尓ていつくしき御さま越万ちうけきこえ2た
まふらんこせんと母ゝてはやしお1ましひき
つ1くろふ人もハ可/\しうあらし可し中将者
御とも1尓こそものせられつらめ那とお1とろき」(17ウ)
堂まふて御こ2ともの1きみ多ちむつましう
さる(る&0る)へきまうちきみ多ち堂てまつれ多ま
ふ御く多物御みきな2とさりぬへくまいらせ
よ身つ可らも1まいるへき越可へりて2物さハ可
しきやうな2らむなとの多まふ本と尓大宮
の御ふミあ里六条のお1とゝのとふらひにわ多
里多まへる越ものさひし个尓侍れハ人めの
いと越しうも可多し遣那うもあるをこ2と/\
しう可うきこ江堂るやう尓者あらてわ多り
堂まひなむや堂いめん尓きこえ2満本し遣」(18オ)
那るこ2ともあなりときこえ2給へりな尓こ2とニ
か者あらむこの1日免きみの1御事中将の
うれへ尓やとお本しま者すに宮も可う御よ
のこりな2个尓てこのこ2とゝせち尓の多まひ
お1とゝも尓く可らぬさま尓ひとこ2とうちいて
うらみ堂ま者む尓と可く申可へさふこ2と江
あらし可しつれなくてお1もひいれぬ越みる
尓はやす可らすさる(る&0る)へきついてあらハ人の御事
尓なひき可本尓てゆるしてむとお1ほす御心」(18ウ)
をさしあ者せて2の多まハむこ2とゝお1もひより
多(多+0万)ふ尓いとゝいなひ所な可らむか又なと可
さしも1あらむとやすらハるゝいと遣し可らぬ
御あやにくこ2ゝろなり可しされと宮可くの多
まひお1とゝも堂いめん春へくまちお1者するに
や可多/\に可多し个那しまいりて2こそハ御个しき
尓し多可者免なとお1も本しなりて御さう
そ2く心こ2とにひきつくろ日てこせんな2とも1
こ2と/\しきさ満尓ハあらて王多り堂まふ」(19オ)
きみ堂ちいとあま多ひきつれて2い里多まふ
さまもの1/\しう堂の1もし遣なり堂遣多ち
そ2ゝろ可にものし多まふニ布とさもあひて
いとしうとく尓おもゝちあゆ万日(□&0日)大臣とい者ん
04【しうとく】−宿徳
に堂らひ多まへりえひそ免の1御さしぬき
さくらの1し堂可さねいとな可うハし里ひきて
ゆる/\とこ2とさらひ堂る(る&0る)御もてな2しあな2きら/\
しとみえ2給へる(る&0る)尓六条とのハさくら能可らの
きの1御な2越しいまやういろの1御そ2ひき可さね」(19ウ)
てしと个那きお1ほきミす可多いよ/\堂とへんも
の1な2しひ可りこそ2まさり給へ可うし多ゝ可にひ
きつくろひ堂まへ累御あ里さま尓な2春ら
ひても1みえ多万者さり个りきみ多ちつ1き/\
尓いと物きよけな2る御な2可らひ尓てつとひ給
へ里とう大納言春宮の大夫なといま者きこゆ
累こ2ともゝみな2ゝりいてつゝものし堂ま婦を
のつ可らわさともな1き尓お1ほえ2多可くやむこ」(20オ)
とな2き殿上人くらひとのとう五ゐの1くら人近衛
の中少将弁官な2と人可ら者那や可尓ある(る&0る)へ可しき
十よ人つとひ多まへれハい可めしうつき/\の1多ゝ人
もお1ほくて可ハら遣あま多ゝひな2可れみな2
ゑ日尓な2りてをの/\かうさい者ひ人尓すくれ
給へる御あ里さ万を物可多り尓し个りお1とゝ
もめつらしき御多いめん尓む可しのこ2とお本し
いてられてよそ/\尓てこそハ可な2きこ2とにつ」(20ウ)
遣ていと満しき御心もそふへ可めれさしむ可
ひきこえ2給てハ可多み尓いとあハれな2るこ2との可す/\
お1ほしいてつ1ゝれいの1へ多てな2くむ可しいまの1こ2と
ともとしころの1御物可多り尓日くれゆく御可ハら
遣な2とすゝめ万いり多まふ佐ふらハて者あし
可りぬへ可り遣累をめし那き尓ハゝ可りてうけ
堂ま者りすくしてまし可ハ御可うしやそ2者
ましと申堂ま婦耳可む多うハこな多さ満尓」(21オ)
な2む可うしと思こ2とおほくハへるな2と个しき者
見堂まふ尓この1こ2と尓やとお1ほせハわつらハしう
て可しこ満り堂るさ満尓て2もの1し多まふむ
可しよりお1ほや遣わ多くしの1こ2と尓つ1遣て
こゝろのへ多てなく大小のこ2ときこえ2うけ多まハ
里者ねをな2らふるやう尓てお1ほや遣の1御
うしろミ越もつ可うまつるとなむお1もふ多ま
へしをすゑのよとな2りてそ2の可み思多万へし本
いな2きやうな2るこ2とうちましりハへれとうち/\」(21ウ)
のわ多くしこ2と尓こそ2ハお1ほ可多能心さしハ
さらにうつろふこ2とな1くな2むな2にともな2くてつ
もり者つるとしよ者ひ尓そへてい尓しへのこ2と
な2むこ日し可りけるを堂いめん給者るこ2とも
いとまれ尓のミハへれハこ2と可き里ありてよ多け
き御ふるまひとハお1もふ多まへな可らし堂し
き本と尓ハその1御いき本日をもひきしゝめ多
ま日てこそはとふらひものし給者めとな2む」(22オ)
うらめしきお1り/\ハへ累ときこえ2給へハい尓しへ
者遣にお1もな2れてあやしく堂い/\しきまてな1
れさふらひ心尓へ多つ1るこ2とな2く御覧せられ
しをお1ほや个尓つ可うまつりしき者ゝ者ね
な2らへ堂る可す尓もお1もひハへらてうれしき
御返みをこそハ可/\し可らぬ身尓て可ゝ累くらゐ
尓をよひ侍ておほや遣尓つ可うまつ里侍こ2と
尓そへて2もお1もふ多まへし羅ぬ尓者ハへら
ぬをよ者ひのつ1も1り尓者遣尓をの1」(22ウ)
つ可らうちゆるふこ2とのミな2むお1ほく侍个る
な2とかしこまりまうし多まふそのついて尓
本の1め可しいて給て个りお1とゝいとあ者れに
めつら可な2るこ2とにも侍可な2とまつうちな2き給
てその1可ミよりい可尓な2り尓个むと堂つねお1
もふたまへしさ満者な2にのついてに可侍个む
うれへ尓1堂へすもらしきこしめさせし心ち
な2むし侍るい満可くすこし人可す尓もな1
里ハへるにつ个てハ可/\し可らぬ物ともの1か
堂/\につ个てさまよひ侍を可多く那しく」(23オ)
みくるしとみ侍尓つ个ても又さるさ満にて
可す/\につらねてハあ者れ尓お1もう堂まへらるゝ
お1り尓そ2へて2もまつな2むお1もひ多まへいて
羅るゝとの多まふついて尓かのいにしへの1あ万
よの1物可多り尓いろ/\な2りし御むつこ2とのさ多め
をお本しいてゝな2きみわらひミゝな2うちミ
堂れ給ぬ夜い多うふ个てをの/\あ可(可&0可)れ多まふ
可くまいりきあひて者さらにひさしくな2り
ぬるよのふるこ2とお1もふたまへいてられこひ」(23ウ)
しきこ2とのしの日可多きニ堂ちいてむ心ちもし
者へらすとてお1さ/\心よ者くお1者しまさぬ
六条とのもゑいな2きにやうちし本れ多まふ
宮者多まいてひ免きミの1御こ2と越お1本し
いつる尓ありしにまさる御あ里さ満いき本
日をみ多てまつり堂まふ尓あ可す可な2しくてとゝ
め可多くし本/\とな2き堂まふあまころ
も者个尓心こ2と那り个り可ゝ累ついてな2れと
中将の御こ2とをはうちいて多ま者すな2り」(24オ)
ぬひとふしよういな2しとお本しをきて遣れハ
くちいれむこ2とも人わ累くお本しとゝめ可の1
お1とゝ者多人の1御个しきな2きニさしすく
し可多くてさす可尓むす本ゝれ堂る心ち
したまう个り古よひも御ともにさふら
婦へき越うちつ个尓さ者可しくもやとてな2む
个ふの1可しこ満り者ことさらにな2むまいるへくハ
へるとまうし堂まへはさらは古の1御な2やミも
よろしうみえ多まふを可なら須きこえし」(24ウ)
日多可へさせ給者すわ多り堂まふへきよしき
こえ2ちきり堂まふ御个しきともようてをの/\
いて多まふひゝきいとい可めしきみ多ちの御と
もの人/\な2にこ2とありつるな2らむめつらしき
御堂いめ尓いと御个しきよ个な2りつるは又い可
な2る御ゆつりあるへきに可な2とひ可心をえ2つゝかゝ
累すちとはお1もひよらさり个りお1とゝうち
つ遣尓いといふ可しう心もとな2うお1ほえ2多ま
へとふとしかう个とりお1や可らむもひな2可らん」(25オ)
堂つねえ堂まへらむハしめをお1もふ尓さ多めて
心きよう見者な2ち堂まハしやむこ2とな2き可多/\
を者ゝ可りてう遣者りてその1き者にハもて
な2さすさす可尓わつらハしう物のきこえを
お1もひてかくあ可したまふな2(な2&0な2)めりとお1本す者く
ち越し个れとそれをきすとすへきこ2と可ハこ2と
さらにも可の1御あ堂り尓ふれハゝせむ尓なとか
お1ほえ2の1お1とらむ宮つ可へさ満尓おもむき
堂満へらは女御な2との1お1ほさむ(む+0事)もあちき」(25ウ)
な2しとお1ほせとともかくもお1もひよりの多ま
者むをきてをた可ふへきこ2と可ハとよろつ1尓お1
本し个り可くの多まふハ二月ついたちころな2り
个り十六日ひ可んのハし免尓ていとよき日なり
遣里ち可う又よき日な2しとかう可へ申个る
うちによろしうお1ハしませハいそき堂ち多ま
うてれいのわ多り多まうてもお1とゝ尓申
あらハしゝさ満な2といとこま可にあへきこ2とゝも
をしへきこえ2多まへハあ者れな2る御心者お1や」(26オ)
ときこえ2な1可らもあ里可多可らむをとお1ほす物
可らいとな2むうれし可り个る可くてのち者中将
の1きみ尓もしの日て可ゝ累こ2と能心の多万日
しらせ个りあやしのこ2とゝもやむへなり个りと
お1もひあ者するこ2とゝも1あるに可の1つれな1き人
の1御あ里さ満よりもな本も1あらすお1もひ
いてられてお1もひよらさり遣累こ2とよと志れ/\
しき心ちすされとあるましうねち遣多る
へき本とな2り遣りとお1もひ可へすこ2とこそ者」(26ウ)
あ里可多きまめ/\しさな免れ可くてその
日尓な2りて三条の1宮よりしのひや可に御つ可ひ
あ里御くしのハこなとに者可那連と事(事+1とも)いとき
よら尓し堂まうて御文ニハきこえ2むにもい
ま/\しきあ里さ満越けふハしのひこ免ハへれと
さる可多尓てもな1可き堂めしハ可りをお1ほしゆ
るすへうやとてな2むあハれ尓うけ多ま者りあ
きら免堂る春ち越可遣きこえ2むもい可ゝ
御个しきにし多可ひてな2む」(27オ)
布多可多にいひもてゆ遣ハ堂満くし遣
王可身者な2れぬ可遣こなり个り
といとふるめ可しうわな2ゝき堂まへ累越とのも
こな2多尓お1ハしましてこ2とゝも御覧しさ多
むる本とな2れハみ多まうて古堂いな累御
ふミかきな2れとい堂しやこの1御てよむ可しハ
上す尓ものし堂ま个る越とし尓そへて
あやしくお1いゆく物尓こそあ里遣れいと」(27ウ)
からく御てふるひ尓个りなとうち可へしみ
堂まうてよくも堂満くし个尓万つ者れ
多る可な1卅一字のな2可尓こ2ともし者すく那く
そへ多るこ2との可多きな2りとしのひてわら
ひ給中宮よりしろき御も可らきぬ御さ
うそ2く御くしあ遣能くな2といと尓那くて
れいのつ本とも尓可らの多き物心こ2と尓可本り
ふ可くて多てまつり多まへり御可多/\みな2心/\」(28オ)
尓1御さうそ2く人/\の1れう尓くしあふきま
てとり/\尓しいて多まへるありさ満お1とりま
さらすさ満/\尓つ遣て2可者可りの1御心者せ
ともにいとミつくし堂まへれハお1可しうみゆる
をひむ可しの院の人/\も可ゝ累御いそ2きハきゝ
多まう遣れともとふらひきこえ2多まふへき
可すな2らねハ堂ゝきゝ春くし堂るにひ多ち
の1宮の御方あやしうも1の1うる者しうさる
へきこ2と能お1りすくさぬ古堂いの1御心尓て」(28ウ)
い可て可この1御いそき越よその1こ2とゝはきゝすく
さむとおほして可多のこ2とな2むしいて多まう
遣累あ者れなる御心さしな里可しあをに日
の1本そな2可ひと可さねお1ちくりと可やな2にと可
やむ可しの人の1めて堂うし个るあ者せの1はハ可満
ひとくむらさきのし可きりみゆるあられち
の御こうちきとよき古ろも1ハこ尓いれてつゝ
みいとうるわしうて堂てまつれ多まへり」(29オ)
御文尓ハし羅せ多ま婦へき可す尓も侍らねハ
つゝまし个れと可ゝる越里はお1も多まへ志のひ
可多くな2むこれいとあやし个れと人尓も多ま者
せよとお1日ら可也との御らむしつ个ていとあさ
ましうれいのとお1ほす尓御可本あ可みぬあや
しきふる人尓こそあれ可く物つゝみ志多る
人ハひきいりしつ1ミいり堂るこそ2よ个れ
さす可尓ハち可ましやとて返こ2とはつ可者せ者
し多な2くお1もひな2むちゝみこのいと可な1
しうし多まひ个るお1もひいつれ者人尓」(29ウ)
お1とさむハいと心くるしき人也ときこえ2多まふ
御こうちきの堂もとにれいの1おな2しすち能
う多あり个り
わ可ミ古そうらみられ个れ可らころも1
きミ可多もとにな2れすとお1もへハ
お1ほむてハむ可し堂にあ里し越いとわり那う
し可みゑりふ可うつよう可多う可き堂まへり
お1とゝ尓くき物のお可しさをハえ2ねむし堂
ま者てこのう多よミつらむ本とこそましてい
万者ち可らな2くてところせ可り个むといとお1し
可り多まふいてこの返こ2とさハ可しうともわれせん」(30オ)
との堂まひてあやしう人のお1もひよるまし
き御心者え2こそ2あらてもあ里ぬへ个れと尓く
さ尓可き堂まうて
からこ2ろも1又可らころも1からころも
可へす/\も可らころもな累
とていと万めや可尓かの1人の堂て2ゝこのむ春ち那
れ者ものしてハへるなりとてみせ多てまつり
多万へハきみいと尓本ひや可尓わらひ多まひてあ
な2いとをしろうし多るやう尓もはへる可な2とく
累し可り給ようなしこ2といとおほ可りやう」(30ウ)
ちの1お1とゝ者さしも1いそ2可れ多まふましき御心な2
れとめつら可尓きゝ多まふしのちはいつし可と御心尓
かゝ里多れハとく万いり多まへりきしきなとあへ
い可きり尓又春きて免つらしきさま尓しな
させ堂まへり个尓わさと御心とゝ免多まう个る
こ2とゝみ多まふも可多し遣な2き物可らやうか
者りてお1ほさるゐの時尓ていれ多てまつり多
まふれいの1御まうけをハさる物尓てうちのお
万しいと尓な2くしつら者せたまうて御さ可那
まいらせ多ま婦御とな2ふられいの1可ゝる所より者
春こし日可りみせてお1可しき本と尓もてな2」(31オ)
しきこえ2多まへりいミしうゆ可しうお1もひきこ
え2多万へと(と+0古)よひハいとゆくり可なへ个れハひきむ
すひ多ま婦本とえしのひ多ま者ぬ个しき
なりあるしのお1とゝこよひハい尓しへさ満の1こ
とは可遣ハんへらねハな2尓のあやめもわ可せ多まふ
ましくな2む心しらぬ人めを可さりてな越よの
つねの1さ本う尓ときこえ2多まふ个尓さらにき
こえさせやるへき方ハへらすな2む御可ハら遣ま
いる本とにかきりな2きかしこまりをハよ尓多め
しなきこ2とゝきこえ2させな2可らいまゝてかくし」(31ウ)
の1ひこめさせ多ま日个るう羅ミもい可ゝそへハへ
らさらむときこえ2多まふ
うらめしやおきつ1堂まも越可つ1くまて
いそ可くれ遣るあ万のこゝろよ
とてな越つゝみもあへすし本多れ給ひめきミ
者いと者つ可しき御さまとも1の1さしつとひつゝ
ましさ尓え2きこえ2多ま者ねハ殿
よるへな2ミ可ゝ累なきさ尓うちよせて
あまも堂つねぬもくつとそみし
いと王り那き御うちつ遣こ2と尓な2むときこえ2多
まへハいとこ2とハり尓な2むときこえ2やる可多那くて」(32オ)
いて多まひぬみこ多ちつき/\人/\のこる那くつとひ
堂万へり御个さう人もあま多まし里堂まへれ
者このお1とゝかくいりお1者して本とふる越い可な1
累事に可とうた可ひ多まへりかのとのゝきむ
堂ち中将弁のきみ者可りそ2本の1し里給へり
遣る人しれすお1もひしこ2と越可らうもうれし
うもお1もひな2り多まふ弁ハよくそうちいて
さり遣累とさゝめきてさまこ2と那るお1とゝの御
このみともなめり中宮の御多くひ尓したて
多まハむとやお本すらむな2とをの/\いふよし」(32ウ)
をきゝ堂まへと猶志者しハ御心つ可ひしたまう
てよ尓そ2志り那きさま尓もてな2させ多まへな1
(+0尓)こ2とも心やすき本との人こそ2ミ多り可ハしうとも
かくもハへゝ可めれこ那多をもそ2な2多をもさ満/\
の人のきこえ2なやまさむ堂ゝならむよりはあち
きな2き越な2多ら可尓やう/\人めをもな2らすな2
むよきこ2と尓ハゝへ累へきとまうし堂まへハ堂ゝ
御もてな1し尓な2むし多可ひはへ累へきかうまて
こらむせられあり可多き御ハくゝミ尓かくろへ侍
个るもさきのよ能ちきりをろ可な2らしと申多」(33オ)
ま婦御越くり物なとさらにもい者すゝへてひき
いて物ろくともしな2/\につ1遣てれいあるこ2と
かきりあれと又こ2とく者へにな2くせ佐せ給へり
お1本宮の御な2やみ尓こ2とつけ多まうしなこ
里もあれハこ2と/\しき御あそ2ひな2とはな2し
兵部卿の宮いま者こ2とつ遣やり給へきとゝこ本り
もなきをとおり多ちきこえ2多まへとう1ち
より御个しきあるこ2と可へさひそ2うしま多/\
おほせこ2とにし多可ひてな2むこ2とさまの1事
ハともかくもお1もひさ多むへきとそ2きこ江」(33ウ)
させ堂(堂+0ま)ひ个るちゝお1とゝハ本の可な2りしさま越
い可てさや可尓又みむな2万可多本な2るこ2とみえた
ま者ゝ可うまてこ2と/\しうもてな2しお1ほさ
しなと中/\心もと那うこひしうお1もひきこ江
多まふいまそ2可の御ゆめもまこ2とにおほしあ者
せ个る女御者可り尓1ハさ多可なるこ2とのさ満を
きこえ2堂まう个りよのひときゝ尓志ハし
このこ2とい多さしとせち尓こめ多まへとくちさ可
な2きものハよの人なり个り志ねんニい日もら
しつゝやう/\やうきこえ2いてくる越可のさ可な」(34オ)
物のきみきゝて女御のお1まへ尓中将少将さふら
ひ多まふ尓いてきて殿ハ御むすめまうけ多
まふへ可な2(□&1な2)りあな2めて2多やい可な累人二可多に
もてな1さるらんき遣ハ可れもお1とりハらな2りと
あふな1遣にの1多まへハ女御可多ハらい多しと
お1ほしても1のもの1多ま者す中将し可ゝし
つ可るへきゆへこそ2ものし堂まふらめさても多可
い日しこ2とを可くゆくりな2くうちいてたまふ
そ2物いひ堂ゝならぬ女方な2ともこそ2みゝ」(34ウ)
とゝむれとの多まへハあな2可まミな1きゝてハへりな2いし
の可み尓な2るへ可な2り宮つ可へにといそ2きいてたち侍
しこ2とはさやうの御返みもやとてこそな2へての
女方堂ち多尓つ可うまつらぬこ2と満てお1り多ちつ可う
まつれお1まへのつらくお1ハしますな2りとうらみ可く
れ者みな2本お1ゑミてな2いしの可ミあ可ハな2に可しこそ2
のそ万むとお1もふをひ多う尓もおほし可けゝ累可な2
な2との多まふ尓ハら多ちてめて多き御中尓可すな1
羅ぬ人者ましるま志可り个り中将のきミそ2つらく
お1者するさ可しら尓む可へたま日て可ろめあさ个り多
まふせう/\の人ハえ多てるましきとのゝうち可那あ」(35オ)
な2可しこ/\とし里ゑさ満尓ゐさりしそ2きてみを
こせ給尓く个もな2个れといとハらあし个尓ま志り
ひきあ遣多り中将ハ可くいふ尓つ个ても个尓1し
あやまち堂るこ2とゝお1もへハ万めや可尓てものし多
まふ少将ハかゝる可多尓ても多くひな2き御あり
さま越お1ろ可尓ハよもおほさし御心しつめ堂ま
うてこそ2可多きい者越もあ者ゆき尓な2し多まう
つへきお1ほむ个しきな2れ者いとようお1も1ひかな2日
給時もありな2むと本お1ゑミてい日ゐ多まへり中将
もあまのい者とさしこも1り堂まひな2むやめ
やすくとて多ちぬれハ本ろ/\と那きてこの1きみ」(35ウ)
堂ちさへみな1春个那くし堂まふ尓多ゝ御前の御
心の1あ者れ尓お1ハしませハ佐ふら婦也とていと可やすく
いそしく下らうわら者へな2とのつ可うまつり堂ら
ぬさうやくをもたち者しりやすくまと日あ里き
つゝ心さしをつくしてミやつ1可へしありきてな2いしの
可ミにをれを申な2し堂まへとせめきこゆれ者あさ
ましうい可尓思ていふこ2とな2らむとお1ほす尓も能
もい者れ多ま者すお1とゝこのゝそ2ミ越きゝ給て
いと者な2や可尓うちわらひ多まひて女御の御可多ニ
まいり給へるついて尓いつらこのあふミのきみこな2多
尓1と免せハをといと个さや可尓きこえ2ていてき」(36オ)
堂りいとつ可へ多るみ遣者いお1ほや遣人尓て个尓
い可尓あひ堂らんな2いしの可みのこ2とはな2と可を
の1れ尓とくハものせさりしといと万めや可尓ての1
堂まへハいとうれしとお1もひてさも御个しき多
まハらま本しう侍し可とこの女御殿な2とをのつ1
からつ1(□&1つ1)堂へきこえ2させ給てむと堂の1ミふくれて
な2む佐ふらひつる越な2るへき人ものし堂まふや
う尓き堂まふれハゆめ尓とみし多累心ちし
侍てな2むむね尓て越ゝき多累やう尓侍と申
堂まふ志多ふりいとものさ者や可なりゑミ」(36ウ)
給ぬへきをねんしていとあやしうお1本つ可な2き
御くせな2りやさもおほしの多ま者まし可ハまつ
人のさき尓そ2うしてましお1ほきお1とゝの1御
む春めやむこ2と那くともこゝにせちに申さんこ2とハ
きこしめさぬやうあらさらましいまニても申布ミ
越とりつくりてひゝしうかきい多されよな2可う多
な2との心者えあらむ越御覧せむ尓ハすてさせ
多まハしうへハそのうち尓な2さけすて須お1ハし
ませ者な2といとようす可し多まふ人のお1や遣
な2く可多者な2りや山とう多者あしとも1つゝ遣
侍な2むむね/\しき方のこ2とハ多とのより申させ」(37オ)
堂ま者ゝつまこえ2のやう尓て御とくをも可う
ふりハへらむとてゝをゝしすりてきこえ2ゐ多りミ
き丁の1うしろな2と尓てきく女方しぬへく
お1ほゆ物王らひ尓堂え2ぬ者すへりいてゝな2む
な2くさめ个る女御も御お1もてあ可みてわり
なうみくるしとお1ほし堂りとの1もゝ
のむつ可しきお1りハあふミの1きみゝ累こそ2よ
ろつまきるれとて多ゝわらひくさ尓つくり多
まへとよ人ハはち可てらハし堂な2免多ま
ふな2とさ満/\いひ遣り」(37ウ)
【奥入01】仁和二年十二月十四日<戊/午>寅四剋行幸芹川(河&川)野用
鷹鷂也式部卿本康親王常陸太守(+1貞固)親王太政大臣<藤原/朝臣>
左大臣<源朝臣>右大臣<源朝臣>大納言藤原朝臣<良世>中納言源朝臣<能有>在原朝臣<行平>
藤原朝臣<山蔭>已下参議皆扈従其狩猟之儀一依承和故事
或考舊記付故老口語而行事乗輿出朱雀門留輿砌上
勅召太政大臣云皇子源朝臣定ー宜賜佩釼太政大臣傳勅
定ー拝舞輿前帯釼騎馬皇子源朝臣正五位下藤原時平着
摺衣午三剋亘猟野於淀河邊供朝膳<行宮在泉河鴨河/宇治河之會>海人等
献鯉鮒天子命飲右衛門督諸葛朝臣奏歌天子和之群臣以次
歌謳大納言藤原朝臣起舞未二剋入猟野放鷂撃鶉
如前放隼撃水鳥坂上宿祢ム献鹿一太政大臣馬上奏之乗輿
幸於左衛門権佐高経別墅供夕膳高経献贄勅叙正五位下
太政大臣卒高経拝舞」(38オ)
(白紙)」(38ウ)
右定家卿真跡也然此本
散在於世云々庶乎其以
類集矣
寛永第七林鐘上澣特進藤(光広花押)」(39オ)