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Last updated 04/26/2022(ver.3-1)
渋谷栄一翻字(C)

  

花散里

凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するため太字で表示した。
3.平仮名はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し方には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。

ち流」(題箋)

  志れぬ御心徒可らのも能おもハしさハいつ(△&つ
0001【人しれぬ】−榊巻夏此巻同
  となきことなめれとかくおほ可多の耳徒
  氣てさへ王つらハしうおほしみ多るゝことの
  ミまされ者も能本そ世中へていとハし
  うほしなら流ゝ尓さす可なるほ可り
  麗景殿ときこ盈しハちもおハせ春
0002【麗景殿】−花散姉
  可くれさせのちいよ/\あハれなる
  ありさ満越ゝこの大将殿御心もてかく
  されてすくしふなるへしおとうと農
  うち王多りにてハ(ハ#<朱>)かなう本のめ起ひ」(1オ・387@)
0003【三の君】−花ちる里也始テ云

  しなこり能連いの御心な連ハさす可尓王す
  連も者て者す王さともゝてなし者ぬ尓
  御心をのミ徒くし者てふへ可めるをも
  このろのこる古となくおほしみ多るゝよ能あ
  ハれのくさ者ひ尓ハおもひいて尓ハ志のひか
  多くてさミ多れ能めつらしく者れ多る
  ま尓わ多りな尓ハ可りのよそひなくうちや
0004【御よそひ】−行粧
  徒してこせむなともなく志のひてな可
  の本とおハしすく類尓佐ゝや可なるいゑ能こ多
  ちなとよし者める尓よくなること越あつ万に(に=をイ<墨>、をイ<朱>)」(1ウ・387E)

  志らへてかきあハせ耳きハゝ志くひきな春
  なりみゝと満りてかとち可なるれハ
  こし佐しいてゝいれへハおほきなる可つら
  の(+の)をひ可せ尓まつりのころお本しいてられ
  てこ者可となく遣ハひを可しきを多ゝひとめ
0005【たゝひとめ】−花散里へ出給道中川にての事也 是モ源氏君玉さかに通給し所ナリ 此巻にハしめていひ出せり
  多まひしやとりなりと堂ゝならす
  本とへ耳个るほめ可しくやと徒ゝまし个れと
  す起可て尓や春らひふおりしも本とゝき
0006【すきかてに】−<朱合点> 難過 古今夜やくらき道やまたく(たく$とへ)るほとゝきすわか宿にしも過かてになく(古今154・古今六帖4440・寛平后宮歌歌合65・友則集11、異本紫明抄・河海抄・孟津抄)
  なきて王多るもよ本しきこ盈可本なれ者
  御車をし可へさせて連いのこれみついれふ」(2オ・387K)

    おち可遍りえそ志のハれぬ本とゝき
0007【おちかへり】−源し 万葉に百千かへりとかけり
  の可多らひしやとの可き年尓志んてむ登お
  しきにしの徒万尓/\ゐ多りさ起/\
  もきゝしこゑなれハこ王つくり遣しき
  とりてうそこきこ遊王可や可なる氣し
  きとも志ておほめくなる遍し
    本とゝきすこととふこゑハそれな連と
0008【ほとゝきす】−返主不知
  あな本つ可那さみ多れのと佐ら多とる
  とみ連ハよし/\うへし可起年もとていつる
0009【うへしかきねも】−<朱合点> 奥入かこはねとよもきのまかき夏くれはうへしかきねもしけり合にけり<右>(好忠集158、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄) 紫明花ちりしにわの(の+木の)はもしけりあひてうへしかきねも△(△#え)こそわすれね<左>(新古今186・好忠集381、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  をし連ぬ尓は多うもあハれ丹も个り・」(2ウ・388D)

  も徒ゝむへきとそ可しことハり尓あれ者
  す可なりかやうのきハ尓徒くし能ち可
0010【つくしの五せち】−大弐のむすめ也 源しのあひ給ひし人ナリ 須磨巻に見えたり
  らう多け那りしハやとまつおほしい徒い可
  る尓(尓#<朱>)つ氣ても御心のいと満なくくるし遣
  としをへても可やうにみしあ多り
  さけ春くし者ぬ尓志も/\あま多能
  おもひなくさなり可能本いのところハお本し
0011【ほいのところ】−花ー
  屋り徒るも志るくめなくし徒可尓てお者す
  類ありさ満越見給ふもいとあハれなりまつ
  女御能(△△&能)可多尓てむ可し能御物語なときこ盈尓」(3オ・388J)
0012【女御の御かた】−麗景

  ふけ尓个り廿日佐しい徒る本と耳
  いとゝこ多可き可氣ともこくら具みえ王多りて
0013【こくらく】−事/\しき心にや 木立の大なるをいふへし
  ち可起多可本りなつ可しく尓本ひて
  (+イ、イ#)の遣ハひ日尓多れとあ具まてようい
  ありあて尓羅う多け那りすくれて者な
  可なるほえそな可りしかとむ徒まし
  うなつ可しき可多尓ほし多りしも能を
  なひいてきこ盈尓徒氣てもむ可し能
  こと可起徒らねお本されてう地な起郭公
0014【郭公ありつる垣ねのにや】−中川のやとのかきねなり
  あり徒る年の尓やお那しこゑ尓うちな」(3ウ・389B)

  志多ひき尓个るよとおほさるゝ本とも盈んな
  閑しい可尓志りて可な志のひや可尓うちすんし
0015【いかにしりてか】−<朱合点> いにしへのことかたらへハほとゝきすいかにしりてかなくこゑのする<朱>(古今六帖2804・兼輔集31、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
    多ち者那の越なつ可し見本とゝきす
0016【たちはなの】−源氏
  ちるを多つ年てそとふい尓しへの
0017【いにしへの】−源氏のことはナリ
  可多きなくさめ尓は越万いりぬへ可り个り
  こよなう古そま起るゝ可すそふことも
  个連ほ可多のよ尓志多可ふも能な連ハ(+者可なきイ)
  可し可多り裳か起くつ春へき春く那うな
  遊くをましてつれ/\も満きれなくおほさる
  らむときこ盈いとさらなるよなれと」(4オ・389G)
0018【いとさらなるよ】−女御の事を源しのこゝろに思ひ給ふナリ

  も能をいとあハれ尓おほしつゝ氣多る个し
  きあさ可らぬ裳さ満可ら尓やおほく
  あハれそそひ尓个る
    めなくあ連多るやとは多ち者那の
0019【人めなく】−女御
  徒まとなり个れとハ可り能多万
  へるさハいへと尓ハいとことなり氣りと
  しくらへらるにしおもて尓ハわさとなく志
0020【にしおもて】−三の君のすミ給ふ方也
  のひや可尓うちふるまひ日てのそへるも
  免つらしき尓そ遍て尓めな連ぬ佐万
  な連者徒らさも王すれぬへしな尓や」(4ウ・390@)

  かやと連いのつ可しくか多らひおほさぬ
  尓ハあらさるへしかり尓も見給ふかきりハ
  をしなへてのきハ尓はあらすさ満/\尓徒个て
  いふ可ひなしとおほさるゝハなけ連ハ尓やにく氣
  なく王れも裳なさけを可ハし徒ゝ春くし
  り个りれをあいなしとと尓可く
0021【とにかく】−左右<トニカク>
  耳可ハる裳ことハりのよ能さ可とおもひな
  阿りつる可き年裳さやう尓てありさ満か者り
0022【かきねも】−中川の宿の事也
  に多るあ多里な李个り」(5オ・390F))

花ちる里<墨> 二校畢<朱>」(前遊紙1オ)
一校畢<朱>」(後見返し)