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渋谷栄一翻字(C)


【概要】

・大島本「葵」は、朱筆引き歌行間注記の巻である。11首中、1首は漢字カタカナ表記である。
 いせの春るあ万能う希な連やひとつを佐多め可年津る(15オ1)
 くやしくそくミけるあさ个れハ能ミぬるゝ(18ウ10)
 む春ひをく可多ミの古多にな可りせ者志能ふ能を徒万まし(32オ7)
 しもあ連やハのわ可るへき佐るハさむ丹な連累しも(33ウ3)
 神無月い徒も時雨ハ布りし可とかく飛徒るハな可りき(40オ1)
 白雲九重に多つみ年な連ハお本うちとむ遍もいひ个り(40オ5)
 ならハう徒る者可りもそめてましをし累のなさ(40ウ1)
 みな連きのれそなれて者なれなしからんやし可らしや(41ウ1)
 わ可の尓手枕をま起そめてをやへ多てん尓く可らなくに(56オ5)
 見狩スルカタノヽナラ柴ノナレハナサラテ恋ソマサレル(58オ4)
 あ多らしく阿遍る今年をもゝとせ能やきぬるとそなく(59ウ7)

・和歌の書写様式は、2種類見られる。すなわち、
 地の文から改行して和歌の冒頭を約2字ほど下げて書き出し、上句と下句との間で改行して、下句は地の文の高さから書き、和歌の末尾に直接地の文を続けて書く(Ⅰ型A類①~⑤、⑧~⑯、⑱~㉔)。
 地の文から改行して和歌の冒頭を約2字ほど下げて書き出し、上句下句の間以外で改行して、下句は地の文の高さから書き、和歌の末尾に直接地の文を続けて書く(Ⅲ方A類⑥⑦⑰)。

・「葵」では、行頭に同字が並んだ場合に、異なる字母・字形で書かれているものは、5ウ7「く」・6「具」、9ウ3「な」・4「な」、14ウ8「お」・9「お」、16オ2「と」・3「登」、17オ8「か」・9「可、21オ1「の」・2「の」」、24オ9「か」・10「可」、25オ5「可・6「か」、26オ4「志」・5「し」、27ウ8「な」・9「な」、31オ4「な」・5「な」、31ウ9「ま」・10「万」、33ウ5「婦」・6「ふ」、35ウ2「お」・3「お」、40オ9「な」・10「な」、46ウ3「し」・4「志」、51ウ8「お」・9「お」、54ウ9「か」・10「可」、59ウ2「徒」・3「つ」の19事例(色表示)である。
 対して、同じ字母・字形で書かれているものは、6オ6・7「の」、15オ2・3「お」、19ウ1・2「こ」、42オ3・4「を」、46ウ2・3「し」の5事例(色表示)である。

凡例
1.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するために太字で表示した。
2.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
3.変体仮名は字母で表示した。
4.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
5.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し方には「2」と付記した。
6.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
7.本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
8.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。

「あふひ」(題箋)

  か者りてよろつも能う具
0001【世の中かはりて後】-桐壺御門御位を東宮朱雀院へゆつり給ふ事をいへり
0002【ものうくおほされ】-薄ー院ニ副給ふ

  お本され御身のやむことなさもそ婦
0003【御身のやむことなさ】-大将成
  丹や可る/\しき志のひありきも
  徒ゝましうてこゝもかしこも本徒
0004【こゝも】-爰
  可なさのなけきを可さねふむく
0005【むくひ】-<朱合点> 酬
  ひ丹やを王れ尓つ連那き
0006【われにつれなき】-古今 我を思ふ人をおもわぬ(古今1041・古今六帖2133、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
0007【人】-薄
  を徒きせ春のミお本しなけ具
  ハましてひ万なう堂ゝのやうにて
  そひお者しますを万きさき
0008【いまきさき】-弘キ殿女御を申
  やま志うお本春尓やうちにのミさ」(1オ・283①)

  婦らひへハちなら婦
0009【心やすけなり】-桐
  春けなり婦しに志多可ひてハ
  あそひなと越このましうのひゝ
  具ハ可りせさせありさ満
  しもめて多し堂ゝ春宮をそい
0010【春宮】-冷 立太子不見
  こひしう日きこ盈うしろミ
  のなきをうしろめ多うおもひきこ盈
  て大将耳よろつきこえつけ
0011【大将の君】-参議
  ふもか多ハらい多きもの可らうれ
  とお本春万ことや可能六条ミや春」(1ウ・283⑤)

  のハら能のひめさい
0012【せむ坊】-さきの春宮なる人を申
  ゐし可ハ大将御心者へ裳いとた
  のもし遣なきをゝさな御有さ満
  うしろめ多さ耳ことつ希てく多りや
  志なましとかね亭よりお本し个り
  尓もかゝ累ことなむときこしめして
  こ能いとやむことなくお本し登き
0013【こ宮】-前坊事
0014【ときめかし】-御息所事

  め可し堂万ひしものをかる/\しう
  をしなへ多るさ満尓もてな春那る可
  いとおしきこ斎宮をもこのミこ」(2オ・283⑨)
0015【斎宮】-秋好

  多ち能徒ら耳なむおもへハいつ可多尓
  徒氣てもおろ可ならさらむこそよ可ら
  め春さひ尓ま可せ可く春き
  王さするハいとよ能もときひぬへき
  こなと氣しきあし个れハ王可
0016【御けしき】-源氏
  古ゝち尓遣尓とおもひ志らる連者
  かしこま里てさふらひの多め
0017【人のため】-桐詞
  者ち可満しきいつ連をもな
  堂らか耳もてなして能うらミな
  おひそとのハする尓も个しからぬ能」(2ウ・283⑭)
0018【けしからぬ心】-源ノ心中

  おほ氣なさをきこし免し徒遣多らむ
  ときとおそろし个れハかしこまりて
  満可て可く尓もき古しめし
  のた万ハするに御名多めも
  春き可ましういとおしき尓いとゝ
  むこと那くく流しき春ちにハ
  こえへとま多阿ら者れてわさ登
  もてなしき古えハすも尓遣な
  登しの本とを者つ可しうお本し亭
0019【御としのほと】-御息廿九 源廿一
  と氣者ぬ个しき連ハそれ尓徒ゝミ」(3オ・284⑤)

  多る佐万尓もてなして耳き古しめし
  い世中裳志らぬなくなり尓た
  類を婦可うしも阿ら怒御心
  い見しうお本しな个起个りかゝる
  きゝ尓も阿さ可本のひめい可て
0020【あさかほのひめ君】-桃園式部女
  尓にしとふ可うおほせゝ可なきさ満な
  里し御返ともさ/\那しさりとて
  丹くゝハし多なくハもて那し者怒
  个しきをとお本し王多る
0021【君も】-源氏
  おほ殿尓ハかくのミさ多免な御心」(3ウ・284⑨)
0022【おほ殿】-葵上

  徒き那しとお本せあまり徒ゝまぬ
  氣しき能いふ可ひなけ連ハ尓やあらむ
  ふ可うも盈しき古えハすく流しき
0023【心くるしきさま】-葵上懐妊五ケ月ニアタル
  さ満の御心ち尓なやミ物心本そ
  遣耳お本い多りめつらし具阿者れとお
  もひき古え堂れも/\うれしきも能
  可ら遊ゝ志うおほし亭さ満/\の徒ゝ
  しミせさせ堂てまつり可やうな
  いとゝ御心能いと満なくてお本しおこ多る
  とハなけ連と登多えおほ可るへしそ能」(4オ・284⑭)
0024【とたえおほかるへし】-去年譲国後入初斎院是ハ二度御禊也初度去年アルヘシ

  こ斎院もおりゐきさ起ハし(し$<朱>)能
  女三み可ときさ起とこと耳
0025【女三の宮】-桐女
  おもひきこえへる連ハ春ちこと尓
0026【すちことに】-神人ニ
  なりとく類しうおほし多れと
  こと多ち能佐るへきお者せ春きし
  きな徒ねの可む王さなれと可め志う
0027【かむわさ】-神
  のゝし類まつりの本とかきりあるお本や
  氣ことにそ婦ことおほくところこよ
  な可らと多りこ氣い能
0028【こけいの日】-斎院の御はらへをいへり
  達部か春さ多まりて徒可う満」(4ウ・285⑤)
0029【かすさたまりて】-初度ニワ四月祭以前吉日ニアリ 恒例ニワ午日也 祭ヨリサキ也 爰ハ二度也 御禊勅使大納言中納言各一人参議四人四位五位各四人 延喜式

  徒り王さなれと本えと尓か多ちある
  可起り志多可さねう遍の者可満の
0030【したかさね】-公卿染装束
  もむ万くらまてミなとゝのへ多
0031【くら】-唐鞍或倭
  とり王き多るせむし丹て大将
  裳徒可う万つり可年てより物見車
0032【つかうまつり給】-大将供奉例貞観三源朝臣定
  徒可ひ志个り一条のおほち所なむく
  つ遣き万てさハき多り/\の
  しき/\尓志徒くし多る志徒らひ
  のくちさへいミしきものなり
  大殿尓ハかやうのありきもおさ/\し」(5オ・285⑩)

  者ぬ尓御心ちさへなやまし个れ者
  お本し可遣さり个る越王可き々いてや
  をの可とちひき志のひて見侍らむこハへ
  な可るへ个れおほよそ堂尓个婦のもの
  尓ハ大将殿をこそハあやしき可つ
  さへみ多て万つらんと春な連とをきくに
  よりめこをひきくし徒ゝもまうて
  る越らむせぬハいとあまりも
  可なといふを大宮き古しめして古ゝ(春ち&古ゝ)ちも
0033【大宮】-母
  よろしきひまんさ婦らふ々もさう/\し」(5ウ・286①)

  氣なめりとてにハ可尓めくらしお本せ
  て見給多けきし起も王さとな
  ぬさ満尓ていてた万へりひ万もう多
  王多里多る尓よそをしうひき徒ゝきて
  多ち王つら婦(+よ起<朱>)女房車お本くてさふ/\
0034【たちわつらふ】-車事
0035【さふ/\の人】-雑人

  きひ万をおもひさ多免てミなさし
  遣さするあんしろ能春こしな
0036【なれたる】-古
  連多る可志多春多れのさ満なよしハめる
  尓い多うひきいりて本の可なくち
  の春そ可さミなも能ゝときよら(△&ら)尓て」(6オ・286⑥)
0037【かさみ】-わらハのうへにきるきぬ也

  ことさらにやつ連多る氣ハひ志るくゆる
  ふ多つありこれハ佐ら尓さやう尓さし
  の氣なと春へき御車尓もあらすと
  具ちこハくてふ連させ春いつ可多(+尓)も
  王可きともゑひ春きちさハ起
  多る本と能ハ盈志多ゝめあへ春
  な/\しきこせむの々ハかく那な
  いへと盈とゝめあへ春さいハゝミや
  春ものおほしみ多るゝなくさめ尓も
  やと志のひて万へる个り徒れ」(6ウ・286⑪)

  なし徒く連とをのつ可ら志りぬさハ
  かりて(て#尓て)ハ佐な者せそ大将殿をそかう
0038【かうけ】-豪家
  氣尓ハおもひきこゆらむないふをそ能
  可多の裳ましれいとおしと可ら
  よういせむも王つらハし个れハ志らす
  可本を徒くる徒ゐ尓御車とも多てつゝ遣
  徒連ハ堂万ひのおく尓をしやられて
0039【人たまひ】-しつしやの事也
  もみえやましきをハさる尓て
  かゝ累や徒連をそれと志ら連ぬる可
  志うね多き可きりな志ちなとも」(7オ・287②)
0040【しち】-榻

  ミなをしおられてすゝろな能とう
0041【とう】-轂
  尓うち可け多連ハ王ろく具や
  志うな丹ゝきつらんとおもふ尓可ひなも能
  裳かへらんと志多まへととおりいてん
  ひ万もな起尓となりぬといへハさす可尓
  徒らきまへ王多りのま多るゝも
  よハしやさゝ能く万尓多尓あらねハにや・
0042【さゝのくまに】-<朱合点> サヽノクマヒノクマ(ヒノクマ=和国)川ニ駒留テシハシ水カヘ(古今1080・万葉3111、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  徒連那く春き尓つ遣ても/\
  徒くしなり氣丹徒年よりもこ能
  見とゝの遍多るとものも/\と」(7ウ・287⑦)

  のり古本連多る志多す多れの春きまと
  もゝ(ら&ゝ)さらぬ可本なれと本をゑミ徒ゝ志り
  め尓とゝめもありお本殿のハ志る个れ者
  まめ多ちて王多里御とも々う
  ちかしこ満り者へありつゝ王多累
  をゝし遣多れ多るありさ満こよな
  お本さ類
    かけをのミみ多らし農徒連なき尓
0043【かけをのみ】-六条宮す所
  のうき本とそい登(+<朱>)しらるゝとのこ
  ほるゝを・人のみるも・ハしたなけれと・めも」(8オ・287⑫)
0044【めもあやなる】-<朱合点> うつくしき物の文を見るやうなる心也<右> 後拾遺 紅葉ゝハにしきと見ゆときゝしかとめもあやにこそ今朝ハ成ぬれ俊頼(後拾遺1206) めもあやなき心也 ちる事をいへり 心かハる也<左>

  あやなさ満可多ち能とゝしうい
  者へを佐らまし可ハとお本さる本と/\
  尓徒个てさう楚くありさ満いミ志
  具とゝのへ多りとゆるな可丹も上達部
  ハいとこと那るをひとひ可り耳ハ
  をし遣多れ多めり大将かりの春い
0045【御かりのすいしん】-かりそめにもちいる随身也 なをある事也
  志ん尓殿上能そうなとの春ることハ徒年の
  こと丹もあらすめつらしき行幸と能
  おり能王さなるを个ふハ右近のくら
0046【くら人のそう】-蔵人将監をそうといふ也
  楚う徒可うまつ連りさらぬ見春いしん」(8ウ・288③)

  とも裳か多ちす可多まハゆくとゝのへて
  耳もて可し徒可連へるさ満
  もなひ可ぬハあるまし遣な徒本
  佐うそくなといふ春可多尓て女ハうのいや
0047【女ハう】-達心也
  しからぬやあ万なと能をそむき
  个るなともう連まとひ徒ゝ物見
  いて多るも連いハあな可ちなりやあな
  くとゆるに个ふハこと者り尓くちうち
  春遣ミて可みきこめ多るあやし濃
  ものとも能を徒くりてひ多い尓あて」(9オ・288⑧)
0048【手をつくりてひたいにあて】-宋朝ニ司馬相如トいひし君子ノ洛中ニいりし時ハ是を見る物てを額ニクワフト云事通鑑ト云ニアリ

  徒ゝ多て万つりあ氣多るもおこ可満
  し氣なる志つのおまてをの可か本の
  らむさ満をハ志らてゑミさ可へ多り
  尓ともい連ましきゑせ
0049【両】-領
  のむすめなとさへ能可きり徒くし多る
  とも尓の里佐万とさらひ
  さうし多るなむお可しきやう/\の
  も能なりけるまして古ゝかしこ尓うち
  志のひてかよひ給所/\ハ志れ春のミ
  可春那らぬなけきまさるもお本可り」(9ウ・288⑬)

  式部卿佐しき尓てそミ多万ひ个る
0050【式部卿の宮】-朝父
0051【さしき】-桟敷

  いとま者ゆきまてひゆくのか
0052【いとまはゆきまて】-式部卿心
0053【ねひゆく人】-源

  多ち可ななとハめもこそとめへ登
  ゆゝしくお本し多りひめとしこ
0054【ひめ君】-槿
  きこ盈王多り御心はへのよの尓ゝぬ
  をめならむ尓て多尓あり満し亭
  かうしもい可てと御心と満里个りいとゝ
  ち可くてむまてハおほしよらす
  王可き々ハきゝにくきまてめて
  きこえあへりまつりのおほ殿尓ハ」(10オ・289④)

  ものミハす大将可能御車
  あらそひをまねひきこゆるあり
  个れハと/\おしううしとお本して
  な越あ多らをもり可尓お者する
  の尓なさ遣をく連春具/\しき
  きへるあまり尓つ可らハさし裳
  お本さゝり遣めともかゝるな可らひハさけ
  可ハすへきともお本い多らぬをきて
  尓志多可ひて徒き/\よ可らぬのせ
  せ堂るならむ可しミや春者せ能(+いと)」(10ウ・289⑧)

  者つ可しくよしありておハする
  い可尓お本しうむし尓个んといとおしくて(△&て)
0055【うむし】-慍<ウレヘ>
  まうてへり个れとさいま多
0056【さい宮】-秋
  の尓おハしませハさ可きのハゝ可り尓
  ことつ遣てや春くもたいめむ志多
  万ハすとハりとハお本しな可らそや
  可くか多ミ尓そハ/\しからてお者せ可しと
  うち徒婦や可れ氣ふハ二条院者な
  連おハしてまつりミにいて丹し能
  多い耳王多りこ連ミつの」(11オ・289⑬)

  本せ多り女房いて堂つやと
  のひめのいとうつくし遣に徒く
0057【ひめ君】-紫上
  ろい多てゝお者春る越うちゑミて多て
  まつりハいさ多満へもろとも尓ミむ
0058【君は】-源氏御詞
  よとてくしの徒年よりもきよらに
  ゆるを可きなひさしうそき
  ハさめる越个ふハよきらむ可しとて
  こよミ能者可せめしてときとハせなとし
  本と尓まつ女房てねとてわら者の
  春可多とものお可し遣なるをらむ春いと」(11ウ・290④)

  羅う多けなるかミとものすそ者なや可
  尓そき王多してうきもむ能うへのハ可満
0059【うきもむのうへのハかま】-わらハはれの時うちはかまのうへにうへのはかまをきる也 紋巣ニ霰也
  にかゝれる本と遣さや可尓ミゆ
  くしハ王れそ可むとてう多てう裳
  ある可ない可尓おひやらむとすらむとそき
  王つらひいとな可きひ多い可ミハ
  古しミし可うそあめるをむ遣尓をくれ
  多る春ちのきや阿まりなさけな
  可らむとてそき者てゝちひろとい者ひき
  こえ少納言あハれ尓か多し遣なしと」(12オ・290⑨)

  多てまつる
    者可りなきちひろのそ能のみるふさ能
0060【はかりなき】-源氏
  おひゆくすゑハ王れのミそミむときこえ
  多万へは
    ちひろともい可て可志らむさ多めなく
0061【ちひろとも】-紫上
  みちひるし本のゝとけ可らぬ尓ともの尓か
  きつ氣ておハするさ満らう/\しき
  可ら王可うお可しきをめて多しとお
  本す个ふももなく多ち尓个りむま
0062【むまはのおとゝのほとに】-左近馬場にある屋かた也 中将の着する所也 一条大宮大内東ツラ也
  者能おとゝの本と尓て王つらひて可む」(12ウ・290⑭)

  多ちめ能ともお本くても能さハ可し遣
  なる王多り可な屋春らひよろし
  き女車い多うのりこ本連多るより
  あふきをさしいてゝをまねきよせ
  てこゝ丹やハ多ゝせ者ぬさりき
  古えむときこえ多りい可那る春起
  ならむとお本されても氣尓よき
  王多りなれハひきよせさせい可て
  盈へる多さ尓なんとの
  万へハよしあるあふきのつ万をおりて」(13オ・291⑥)

    者可なしやかさせ累あふひ遊へ
0063【はかなしや】-源内侍
0064【人のかさせる】-源与紫同車

  能ゆるしの个ふをまち个る志め能
0065【しめのうちには】-<朱合点>
  うち尓ハ登あるをお本しいつ連者
  可の内侍の春けなり个りあさましう
  ふり可多くもいまめく可なくさ耳
  ハし多
    閑さし个類こゝろそあ多尓おも本ゆる
0066【かさしける】-源氏返し
  屋そうち尓なへてあふひをハ徒ら
  しとき古盈个り
    具やしくもかさし个る可ななのミ志て」(13ウ・291⑪)
0067【くやしくも】-源内侍

  多能めなる草葉ハ可りをときこゆ
  あひの里て春多れを多尓あ遣者ぬ
  をやましうおもふお本可り一日
  ありさ満のうるハしかりしに个ふ
  うちミ多れてありき可しれならむ
  のりなら婦遣しうハあらし者やと
  をしハ可りきこゆいとましからぬ
  さしあらそひ可なさう/\しくお本
  せ可やう尓いとおもな可らぬハ多(△&
0068【はた】-又也
  あひのりへる尓徒ゝまれて者可なき」(14オ・292②)

  いらへもや春くき古えん裳まハ
  遊し可しミやすをお本しミ多
  類ゝとしころより裳お本く
  そひ尓个り徒らきか多尓おもひ者て
  へといまハとてふり者なく多里
  多万ひなむハいと本そ可り怒遍く
  よのきゝも王らへ尓ならんことゝ
  本春さりとてちと満る遍具
  ほしなる尓ハかくこよなさ満耳
  ミな日く多すへ可め尓(尓$<朱>)もやすからす」(14ウ・292⑦)

  徒里春るあ万能う氣な連やとお起布し
0069【つりするあまのうけなれや】-\<朱合点> 古今<墨>いせの海に釣するあまのうけなれや心ひとつをさためかねつる<朱>(古今509・古今六帖3011、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  ほし王つら婦遣尓や御心ちもう起多るやうに
0070【うき】-泛子
  ほされてなやましう志大将殿盤く
  多り者無もて者那連亭あるし(し#)まし起
  ことなと裳さ満多遣きこ盈者すか春な
  ぬみ万う具おほし春てむもとハりな
  れといまはいふ可ひなき尓て裳らんし者て
  むやあさ可らぬ尓ハあらんときこゆ(ゆ$<朱>)かゝ徒らひ
  者さ多めかね多満へる御心もやなくさむと
  いてへりしみそあら可りしせいとゝ」(15オ・292⑪)

  よろついとうくおほしい連多大殿尓ハものゝ
0071【御ものゝけめきて】-葵上
  遣めきてい多う王つらひへハれも/\おほし
  なけく尓ありきなと日無な起れハ二条
  尓もと起/\そ王多りさハいへとやむことな
  可多ハことにきこ盈多万へるめつらしき
  さへそひへ流やミなれハくるしう
  おほしなけきてみ春本うやなにやな王可
  可多尓ておほくおこな王せものゝ遣いき春
  多満なといふものおほくいてきてさ満/\能な
  のり春るさらにうつら春つ可ら」(15ウ・293③)

  の御身つとそひ多るさ満尓てと尓
  ろ/\しう王つらハしきこ遊るこ
  もな个れと可多とき者なるゝおり
  裳な悲とつありいミしき个んさ
  とも尓も志多可ハす志うねき个しき
  お本ろ遣のも能尓阿ら春とみえ多り大将
  のかよひこゝ可しことお本し
  あ徒る尓このミや春二条
0072【二条の君】-紫上
  ハ可りこそハをしなへてのさ満尓ハお本し
  多らさめ連ハうらミの布可ゝらめと」(16オ・293⑨)

  さゝめきてもの能なととハせへとさして
  きこ盈あつることもなも能ゝ氣とても
  王さとふ可き可多ききこ遊累も
  なしすき尓个る(り&る)めのと多もしハ
  おやの可多尓徒氣つゝ徒多ハり多る
  ものゝよハめ尓いてき多るなとむね/\
  しからすそミ多れあら者るゝ
  徒く/\とねをのミなきおり/\
  ハむねをせきあけつゝい見しう多
  可多遣尓まとふ王さを志へハい可尓おハす」(16ウ・293⑭)

  遍き尓かと遊ゝしう可なしくお本しあ
  ハて多りよりもと婦らひ日万な
0073【院よりも】-桐
  いの里のことまておほしよらせ
  ま能可多し遣なき尓つ希てもいとゝおし
  遣なる御身也あ万ね
  おしミきこ遊るをきゝ尓もミや春
  ハ多ゝならすお本さるとしころハいと
  くし裳あらさ里しいとミ
  かりし阿らそひ尓御心
  能うこき尓个る越可のとの尓ハさまても」(17オ・294⑤)

  お本しよら佐り个りかゝ累御物おもひの
0074【かゝる御物おもひ】-御息
  見多れ御心連いならすのミお本
  さる連ハ本可尓王多りみ春本うな
0075【ほかにわたり給て】-神事殿
  とせさせ大将殿きゝい可な御心
  尓可といとおしうお本しをこして王多り
  へり連いならぬ多れハい多う志
  のひより本可なるおこ堂りなと
0076【心よりほかなる】-源
  ミゆるされぬ遍くきこ盈徒ゝ遣
  なやミ給人ありさ満もう連へきこ盈
  つ可らハさし裳い連らね」(17ウ・294⑩)

  おや多ち能いと古と/\しうおもひまとハるゝ
  可く流しさに可ゝるほとをみ春くさ無
  とてよろつお本しのとめ多る御心
  ならハいとうれしうなむなと可多らひきこ
  盈徒年よりもくるし遣なる氣しき
  をとハりにあハれ尓ミ多て万つりうち
0077【うちとけぬ】-平心
  と遣ぬあさ本ら遣尓いてさ満のお可し
0078【いて給】-源
0079【御さま】-御息所心

  き尓も布り者那連なお本し
  可へさるやむことなきか多尓いとゝさしそ
0080【やむことなきかたに】-葵
  へきこともいてき尓多れハ日とつ可多尓」(18オ・295①)

  お本し志つまりなむを可やう尓(+<朱>)き
  こ盈徒ゝあらむもミ徒きぬへき
  /\ものおとろ可さ類ゝちし
  尓ふミハ可りそくれつ可多あるろ春
0081【御ふミ】-源
0082【日ころ】-源文詞

  古しおこ多るさ満なり徒るちの尓ハ可尓
  いとい多く流し氣尓るを盈ひきよ
  かてなむとあるを連いのとつけと
0083【れいの】-御息ノ
  多まふ可ら
    ぬるゝちと可つハ志りな可らおり
0084【袖ぬるゝ】-宮す所
  堂つこの徒可らそうき」(18ウ・295⑥)
0085【山の井の水】-<朱合点> くやしくそくミ初てけるあさけれハ袖のミぬるゝ山の井の水<朱>(古今六帖、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)

  もとハり尓とそあるてハな越こゝら能
  春くれ多り可しと見給ひ徒ゝい可尓
  そやもある可なも可多地裳と里/\尓春徒
  遍くもなおもひさ多むへきもなきをく流
  志うお本さる可へりいとくらうなり尓多れとのミ
  ぬるゝやい可尓ふ可ゝらぬ御事耳な無
    あさ見尓やハおり多王可か多盤
0086【あさみにや】-源氏返し
  裳そ本つまてふ可きちをお本ろ
  遣尓てやこの可へりをミつ可らきこ盈さ
  せぬなとありおほ殿尓ハものゝ氣い多うお」(19オ・295⑫)
0087【おほ殿】-葵上

  りていミしう王つらひこのいき春多満
  ちゝおとゝ能らうなといふものありときゝ
0088【こちゝおとゝ】-御息
0089【御らう】-死霊

  尓徒个ておほし徒ゝくれハひとつのうきな
0090【おほしつゝくれは】-御息
  氣きより本可尓をあし可連なとお
  もな个れとおもひ尓あく可るなましゐ
  ハさもやあらむとお本し志らるゝこともあり
  しころよろつ日のこ春ことな
  くしつ連とかうし裳く多遣ぬをハ可な
  おり尓のおもひ个ちなきもの尓
  もてな春さ満なりしみそきのふ」(19ウ・296④)

  し尓おほしう可れ尓志つまりか多うお本
  さ累ゝ氣尓や春こしうちまとろミ給夢
  尓ハ可能ひめとおほしきいときよら尓て
  あるいきてと可く日起まさくりうつゝ
0091【いきてとかくひきまさくり】-たけ/\しき心也
  尓もに春多けくい可きひ多布るいてきて
0092【いかき】-辛労
  うち可なく累な給事多ひ可さな
  尓个りあなうや个尓を春てゝやい耳
0093【身をすてゝやいにけむ】-<朱合点> 身ヲ捨テイニヤシニケン思フヨリ外ナルモノハ心ナリケリ躬恒(古今977・躬恒集303、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  氣むとうつしらすおほえおり/\
0094【うつし心】-現 梅の花木つたひちらす鴬ノうつし心もわかおもハなくに(古今六帖4211、河海抄・休聞抄・孟津抄)
  もあ連ハさならぬ多尓め尓ハ
  よさ満のとをし裳い日いてぬれ者」(20オ・296⑨)

  ましてこれハいとようい日なし徒へき多
  里なりとおほ春尓いとなたゝ(ゝ$<朱>)しうひ多すら
  尓那くなりてうら見のこすハよの徒ね
  こそれ多尓のうへ尓てハつミふかう遊ゝ
  しきをうつゝ能我身可ら佐るうと満しき
  ことをい日徒氣ら累ゝ春くせ能うき古と
  春へてつ連ない可ても可けきこえ
  しとおほし可へせおもふもをなさい
0095【おもふも物をなり】-<朱合点> おもわしとおもふも物をおもふ也おもわしとたにおもハしやなそ(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  こそうち尓いりへ可りしを佐万/\
  さハるありてこの秋入給九月尓ハや可て」(20ウ・296⑭)

  うつろ日へ个れハふ多ゝ飛のハらへ
  いそきとり可さねあるへき尓多ゝあや
  しうほ遣/\しうて徒く/\と布しなやミ
  宮人いミしき多いし尓ていのりな
0096【たいし】-大事
  佐万/\徒可うまつるおとろ/\しきさ満尓
  ハあらすこ者可となくて月日をすくし
  大将殿つね尓とふらひきこ盈
  へとまさるか多のい多う王つらひへハ御心いと満
0097【まさるかた】-葵上
  なけなま多佐るへき本と尓もあらすと
  ミなも多ゆミへる尓に者可尓个しき」(21オ・297⑥)

  ありてやミへハいとゝしきいのり可すを徒
  くしてさせへ連と連いの志うね
  ものゝ遣悲とつさらにうこ可すやむこ
  なき个むさともめつらかもてなやむ
  さす可に(+い見しう<朱>)亭うせられてく流し遣尓
0098【てうせ】-調
  王ひて春こしゆるへへや大将尓きこ
  遊へきありとの多まふされハよある
  やうあらんとてち可起のもと尓
  連多てまつり堂りむ遣尓かきりのさ
  ま尓のしきこ盈を可万ほし」(21ウ・297⑪)

  きこともおハする尓やとておとゝ裳春こし
  志(+<朱>)そ起へり可ちのそうともこゑ志つめて
  法花経をよミ多るい見しう堂うとし
  き可多ひらひきあけてみ多て万つり
  へハいとお可し遣尓てハらハいミしう堂可う
  て布しへるさ満よそ多尓多て万つらむ
  尓み多れぬ遍しましておしうかなしう
  おほ春ことハり志ろきそにあひいと
  者なやか尓てくしのいとな可うこち多
  きを日きゆひてうちそへ多るもかうて」(22オ・298③)

  こそらう多遣尓な万めき多る可多そひ
  亭お可し可り个れとミゆてをとらへてあな
  いミしうきめをミせ可なとてもきこ
  え者春なきへハ連いハいと王つらハしう
  者つ可し遣なるまミをいと堂ゆ遣尓
  阿遣てうち満もりきこ盈こ本
  類ゝさ満を見給い可ゝあハれのあさ可らむ阿万
  里い多うなき堂まへハくるしきおや多ち能
  御事をおほし可く見給尓徒个てくちおしう
  お本え尓やとおほしてな尓いと」(22ウ・298⑧)

  かうなお本しい連そさりとも氣しうハお者
  せい可なりともかなら春あふせあな連ハ
  多いめ無ハ阿りなおとゝともふ可き
0099【おとゝ宮】-父母
  あるめくりても多さなれハあひ
  類本とありなむとおほせ那くさめいて
  あら春やうへのいと具流しきを志ハしや
0100【身のうへのいとくるしき】-父母ノ深チキリモイラス先我身ノクルシキ也
  春めへときこ盈むとてなかくまい里
0101【かくまいりこむ】-邪気
  こむとも・さらに者ぬをもふの多
0102【物おもふ人のたましひハけにあくかるゝ】-後 物おもへハさはの蛍も我身よりあくかれにける玉かとそみる(後拾遺1162、花鳥余情・一葉抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  ましひハ遣尓あく可るゝ尓なむあり个ると
  なつ可し氣尓い日て」(23オ・298⑬)

    なけき王ひ尓ミ多るゝ王可多万を
0103【なけきわひ】-宮息所物ゝ気に入て
  む春ひとゝめよ志多可への徒万との
0104【むすひとゝめよしたかへのつま】-玉ハみつ主ハ誰ともしらねとも結ひとゝめよしたかひの妻 吉備誦文(袋草紙290、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  氣ハひその尓もあら春かハり多万へり
  いとあやしとおほしめくら春にゝ可能
  ミや春所也个りあさ満しうのと可く
  ゆふをよ可らぬものとものい日いへ(へ$<朱>)ることも(△&も)
  きゝにくゝお本しての遣つをめに春/\
  尓ハ可ゝるこそハあり个れとうと満しう
  なりぬ阿なうとおほされてかくの
0105【かくの給へと】-源
  へと多れとこそ志らねし可尓のへと」(23ウ・299⑥)

  のへハ多ゝそれなるありさ満尓あさ満し
  とハよのつね々ちかう万いるもか多ハら
  い多うおほさる春こしゑも志つまり
  へ連ハひ万おハする尓やとて
  ゆもてよせへる尓かきおこされ本と
  なくうまれうれしとおほ春
0106【うまれ給ぬ】-夕霧誕生
  きりなき尓尓可りうつしへるものゝ
  遣とも多可りまとふ遣ハひいとさハ
  しうてのちのいともとないふ
0107【のちのこと】-胞衣<エナ>
  きりなきく王んともてさせ遣尓」(24オ・299⑪)

  やいら可尓り者てぬ連ハ
  さすくれやむことなきそうとも志多
  里可本尓あせをしのこひ徒ゝいそき万可
  てぬお本く能を徒くしつるろ能
  なこり春こしうちやすミてハさ里
  ともとおほ春みす本うなとハ/\ハし
  めそへさせへとまつハ遣うありめつら
0108【けう】-興
  しき可し徒き尓ミなゆるへり
0109【御かしつき】-男子
  をハしめ多てまつりてみこ多可無
  多ちめ能こるなきうふや志なひ登も」(24ウ・300②)

  のめつら可尓いかめしきをとにミのゝ
  志るおとこにてさへおハ春れハ能本と農
  さ本う尓きハゝしくめて多可の
  ハかゝるありさ満をきゝても多ゝなら春
  年てハいとあやうくきこ盈しをいら
  ハ多とうちおほし个りあやしう
  王れ尓もあらぬ御心ちをおほし徒ゝくる尓
  そなともゝ遣しの可尓志ミかへり堂類
0110【御そ】-御息所
0111【けし】-芥子

  あやしさ尓遊春るまいりき可へ
0112【御ゆする】-沐浴
  なとし(え<朱>)多まへとお那しやう」(25オ・300⑦)

  尓のミあれハ王可可ら多うと満しうお
  本さるゝ尓ましてのい日おも者むことな
  尓のへきらね(△&ね)ハ日とつ尓おほし
  なけく尓いとゝ御心可ハりもまさりゆく大将
  殿ち春こしのとめあさまし可りし
  本とのとハすか多り裳うくおほしいて
  られつゝいと本とへ尓个るもくるしう氣ち
  可う多て万つらむ尓ハい可尓そやう多亭
  おほ遊へきをめいとおしうよろつ
0113【御ため】-御息
  尓お本してふミハ可りそあり个るい多う王」(25ウ・300⑫)
0114【わつらひ給し人】-葵上

  徒らひ古りゆゝしうゆるひ
  なけ尓多れもおほし多れハとハり尓て
  里き裳なしいとなやまし个尓のミ
  万へハ連いのさ満尓てもま多多いめん
0115【また】-源誰ニも
  
者春王可のいと遊ゝしき万て
0116【わか君】-夕霧
  給御ありさ満をいま可う(う$<朱>)いと佐万ことにもて
  可しつききこ盈さ満おろ可ならす
  あひ多るちしておとゝ裳うれしういミし
0117【おとゝ】-摂政
  とおもひきこ盈へる尓多ゝこの御心
0118【御心ち】-葵上
  おこ多里ハて者ぬをもとなくおほせ」(26オ・301④)

  さハ可りいみし可りしなこり尓こそハとお本
0119【いみしかりし】-難産
  してい可て可ハ<朱>)のミハをもまとハしハん
  王可まミのうつくしさなとの春宮
0120【わか君の】-源氏心
0121【春宮】-冷ー 連枝の心ヲフクマセリ

  尓い見しうに多て万つりへるをミたて
  まつりまつこひ志うおもひられ
  させ志のひ可多くてまいりハむと
0122【まいり】-源
  てうちなと尓あまりひさしう万い
  らねいふせさに个ふなうひ多ちし
  春こし遣ち可起本と尓てきこ盈
  させ者やあまりおほつ可な御心能へ多て」(26ウ・301⑨)

  可なうらミきこ盈へ連ハ氣尓多ゝひ
0123【うらミきこえ給へれハ】-葵上
  とへ尓盈む尓のミあるへき御中尓もあらぬ
  をい多うおとろへへりといひな可らも能
  こし尓てなとあへき可ハとて布しへる
  尓おましち可う満いり多れハいりて
  なときこ盈いらへ々きこ盈
  いとよハけされとむ个尓なとお
  もひきこ盈しありさ満をおほしいつ
  連ハちして遊ゝし可りし本と能
  ともなときこ盈徒いて尓も可の」(27オ・301⑭)

  む遣尓いきも多多るやう尓おハせし可ひき
  可へし徒ふ/\との多万ひしともお本し
  いつる尓う遣れハいさやきこ盈万本
  しきこといとおほ可連とま多いと多ゆけ
  尓お本し多めれハこそとて遊万い連な
  さへあつかひきこ盈いつならひ
  个んと々あハれ可りきこゆいとお可し遣
  のい多うよハりそこなハれてある可
  き可の遣しき尓て布しへるさ満
  いとらう多け尓くるし遣なくし能」(27ウ・302⑤)

  み多れ多る春ちも那くハら/\とかゝれる
  本とあり可多き万てミ遊連ハとしころな
  こと越あ可ぬことありておもひ徒らむとあや
  しきまてうちまも(+<朱>)れと尓万い
  里ていととうまかてなむ可やう尓てお本
  つ可な可らすミ多て万つらハうれし可るへきを
  徒とおハする尓ちな具やと徒ゝ
  ミて春くしつるも具るしきをやう/\
  つよくお本しなして連いのおまし
  こそあさ(さ$<朱>)り王可くもてなへハ可多へ者」(28オ・302⑪)

  かくもものしそなときこえをき
  いときよけ尓うち佐うそきていて
0124【いて給を】-源
  つねよりハめとゝめてい多して布し
0125【めとゝめて】-葵
  遍りつ可さめしあるへきさ多め尓て
0126【秋のつかさめし】-京官
  大殿も万いりへハ多ち裳い多ハり
0127【君たちも】-摂政子
0128【いたハり】-労
0129【のそミ給事】-官

  そミ(て&ともありてとのゝあ多り者
  なハ年者ミなひきつゝきいて
  とのゝうち春く那尓志めや可なる本と尓
  に者可尓連いのむねをせきあ遣て
0130【にはかに】-葵上
  いとい多うまとひうち尓うそこ」(28ウ・303②)

  きこ盈本ともなくえいりあしを
  そら尓てれも/\ま可てぬ連ハちもく
0131【ちもく】-除目
  のり个れとかくわりなさハりな
  者ミなやふれ多るやうのゝ志りさ
  ハくほと夜中ハ可りな連ハさすな尓
  具れのそう徒多ち裳盈さうしあへ
  ハすいまハさりともとおもひ多ゆミ
  多りつる尓あさ満し个れハとのゝうち能
  もの尓そあ多る/\のとふらひの
  つ可ひなちこミ多れと盈きこ盈」(29オ・303⑦)

  徒可春遊春りミちていミしき御心まとひ
0132【つかす】-不次
0133【ゆすり】-響

  ともいとおそろしきまてものゝ遣
  の多ひ/\とりいれ多て万つりしをお本し
  て万くらなともさな可ら二三日み多て
  まつりへとやう/\か者りとゝもの
  あ連ハかきりとお本し者つる本とれも/\
  いといミし大将殿ハ可なしきこと尓ことを
  そへてをいとう起尓おほし志ミ
  ぬ連ハゝならぬあ多里のとふらひとも
  裳うしとのミそなへておほさるゝ尓」(29ウ・303⑫)

  お本しな遣きとふらひきこ盈させさ満
  可へりておも多ゝし遣なるをう連しき
  を(を$せ)もまし里ておとゝハ御涙いと満なし
  春尓志多可ひてい可めしきことゝ
  もをいきや可へりさ満/\尓のこる
  な可つそこな(+ハ)れ給事とものあるを
  類/\裳徒きせ春お本しまとへと可ひな
  てろ尓なれハい可ゝハせ無とて
  ゐてて万つる本といミし遣な
  おほ可りこな多可な多のをくりの」(30オ・304③)

  ともてら/\の念仏そうなこらひ日
  ろきもなを者さらにも
  さ春きさいの宮春宮とのつ可ひ
  さらぬ/\能裳万いりち可ひてあ可す
  いミしきとふらひをきこえおとゝハ
  盈多ちあ可り者春かゝるよハひの春ゑ
  尓王可くさ可りのこ尓をくれ多まつり
  て裳こよふことゝハちなこゝら能
  可なしうみ多て万つるも春可らいミ志う
  のゝ志りつるきし起なれといとも者可なき」(30ウ・304⑧)

  か者ねハ可りをなこり尓てあ可ふ可
  具可へりつねれとひとり可
  あ万多志も見給ハぬことな連ハ尓やくひ
  くおほしこ可連多り八月廿在明
  れハも氣しき裳あハれすく那可ら
  ぬ尓おとゝ能やミ尓くれまとひへるさ満
  をまふもことハり尓いミし个れハ
  ミな可められ
    の本りぬる个ふりハそれと王可ねと裳
0134【のほりぬる】-源氏
  なへてゐのあハれなるとの尓おハし」(31オ・304⑬)

  徒きてまとろ万連ハすとしころ能
  ありさ満をおほしいて徒ゝとて徒ゐ尓
  ハをのつ可ら越してむと能と可尓お
  もひて越さりの春さひ尓徒个ても徒ら
  しとお本えられ多て万つり个無よをへて
  うとく者つ可しき尓おもひて春起ハて
  ぬるな具やしきおほくお本し
  徒ゝ氣らる連と个ひなし者める多て
0135【にはめる御そ】-にふ色の事也
  つ連累もちして王れさき多ゝ
  し可ハふ可くそハましとお本春さへ」(31ウ・305⑤)

    かきりあ連ハうすゝミあさ遣れ登
0136【かきりあれハ】-源氏
  を布ちとなし个るとてねむ春し
  へるさ満いとゝな万め可しさまさりて
  志のひや个尓よミ徒ゝ可いまいふ
  个ん志とうちのへるおこなひなれ多る本うし
  よりハ氣那り王可多て万つり
0137【けなり】-勝
  裳にゝ志のふ能といとゝ遣ゝれとかゝる
0138【なにゝしのふの】-<朱合点> 後 むすひをくかたみのこたになかりせは何にしのふの草をつままし<朱>(後撰1187・古今六帖3133、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  可多見さへな可らまし可ハとおほしなくさむ
  ハ志つミいり亭そのまゝにおきあ可り
0139【宮ハ】-葵上母宮
  ハすあやう氣に給をお本し」(32オ・305⑪)

  さハきていのりなとせさせハら(ら$<朱>)な
  春起遊氣ハ王さのいそきなとせさせ
  給おほし可けさりしことな連ハ徒き
  せすいミしうなのめ尓可多本なるを
  多におやハい可ゝおもふめるましてこ
  ハりくひお者せぬを多尓さう/\しく
  おほしつる尓うへ能く多け多り个む
  よりもあさまし遣な大将
  二条院尓多尓あ可らさ満丹も王多りハす
  あ者れ尓ふ可うおもひなけきておこなひ」(32ウ・306②)

  をまめ尓し日つあ可しくらし/\尓ハ
  布ミハ可り楚多て万つり可の
  ハさい衛門濃徒可さにいり尓个れハ
  いとゝい徒くしききよまハり尓ことつ遣
0140【御きよまハり】-潔斎
  てき古盈もかよひハすうしとおもひ志ミ
  丹しもなへていとハしうな里かゝる
  ほ多し多そハ佐らまし可ハ可ハしき
  さ満尓もりなましとお本春にハまつ
  多いのひめ佐う/\しくてものし
  らむありさ満そ布とおほしやらるゝ」(33オ・306⑦)

  よ流ハうち尓ひとり布しとの
  井能々ハち可うめくりてさふらへとか多
  ハらさひしくてし裳あ連とさめ
0141【時しもあれ】-<朱合点> 時しもあれ秋やハ人のわかるへきさるハ夜さむになれる比しも<朱>(古今839・古今六帖2478・忠岑集162、源氏釈・奥入・異本紫明抄・河海抄)
  可ちなるにゑすくれ多るかきり盈りさ
  らハせ念仏可多な志のひ可多し
  可起あハれまさりのをと
0142【風のをと身にしみけるかな】-\<朱合点> 吹よれハ身にもしミける秋かせ越色なき物と思ひけるかな(続古今306・古今六帖423、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  志ミ个る可なら者ぬひとりねあ可し
  可ねへるあさ本ら遣のきり王多れ流尓
  の氣しきハめるこ起あを尓
0143【こきあをに】-花田にあをけのましりたる也
  ひの可ミなるふミ徒けてさしをきてい」(33ウ・306⑫)

  丹个りい万め可しうもとて見給へハ
  のきこ盈怒本とハおほし志(+<朱>)ら
  無や
    をあハ連ときくも遣き尓
0144【人の世を】-宮す所
  をく流ゝをおもひこそや連多ゝいまの
  におもひへあま里てな無とあり
  徒ねよりもいう丹も可いへる可なさす可
0145【つねよりも】-源氏心中様
0146【いう】-幽

  尓をきか多うミ給物可らつ連なとふ
  らひやとうしさりとてかき多をと
  なうきこ盈さらむもいとおしく」(34オ・307③)

  な能具ちぬへきおほしみ多る
0147【すきにし人ハ】-葵上事
   
き尓ハとても可くてもさるへき尓こそハ
  遣めな尓ゝさることをさ多/\と
0148【さた/\と】-タシカ
  氣さや可尓きゝ个むと具やしきハ
  我御心可ら盈おほしなを春ましき
  なめり可し斎宮きよまハりも王つら
  ハしくやなひさしうおもひ王つらひへと
  王さとある御返くハさけなくや登て
  むらさきのハめる可ミ尓こよな本とへ
0149【むらさきのにハめるかミに】-花田にあか花の入たる色也
  尓个るを思給へおこ多ら春な可ら徒ゝ」(34ウ・307⑨)
0150【つゝましき】-慎心也

  ましき本とハさらハおほし志るらむや登て
  な
    と満る裳きえしもお那
0151【とまる身も】-源氏返し
  をくらむ本とそ者可なき可つハお本し
  氣ちてよ可しらんせ春もやとて多れ
0152【御らんせすもや】-穢所文
  尓もときこ盈へりさとにお者する
  本となり个れハ志のひて見給て本のめ可し
  へる氣しきをのお尓ゝ志るくミ
  されハよとお本春もいとい見しいと可き
  里なのうさ个り可やうなるきこ」(35オ・307⑭)

  盈ありて尓もい可尓おほさむ故前坊
0153【故前坊】-桐兄弟秋ーモ御門ノメイ也
  しきハらからといふ尓もい見しう
  もひ可ハしきこ盈させこの斎宮
  のとをもねんころ尓きこ盈徒遣万(万$<朱>)せ
  し可はその可ハり尓や可て多て万
  つりあへる(へる$徒可<朱>)ハむな徒ね尓のや可て
  うちすミ志へと多ひ/\きこ盈させ
0154【うちすみ】-院ノ御息
  しを多尓いとあるましきことゝおもひハ
  なれ尓しを可くより本可尓王可/\しき
  物思日をして徒ゐ尓うきをさへ可し」(35ウ・308⑥)

  者てつへきことゝおほしミ多るゝにを連いの
  さ満尓もお者せさ流ハ可多の尓つ家遣て
  丹くゝよしあるきこ盈ありてむ可し
  より多可くへハ
0155【野の宮の御うつろひ】-二年メノ八月也去年初度ハ見エタリ
  つろひの本と尓お可しういまめき多
  おほく志なして殿上人とものこのましき
  なとハ朝夕王けありくをその
  屋く尓なむ春累なときゝ大将
  のハこと者里そ可し遊へハあくまて
  つきへるもし世中尓あき者てゝ」(36オ・308⑪)

  く多里さう/\しくもあるへき可な
  春可尓おほされ个り御法事と春きぬ連
  と正日まてハこもりおハ春らハぬ
0156【正日】-四十九日
  れ/\を具るし可り三位中将
0157【三位中将】-摂政
  徒ね耳まいり徒ゝ世中御物可多り
  なとまめや可なるも又連いのミ多里可ハし
  きをもきこ盈いてつゝくさめき
  こ盈可の内侍うち王らひくさ
  ハひ尓ハなるめ類大将ハあないとおし
  やをハおとゝのうへない多う可ろめ日」(36ウ・309②)
0158【をハおとゝ】-ウハ 源内ヲ云

  そといさめ給物可ら徒ね耳お可しとお本し
  多り可のいさよひのさや可ならさりし
0159【かのいさよひの】-末摘巻
  なとさらぬもさ満/\の春起こ
  とゝもを可多ミにく万なくいひあらハし
  ハて/\ハあハれない日/\て・うちな
  なとも志个り時雨うちしてあハれな
  つ个多中将尓ひのなをしさし
0160【中将の君】-三位兄弟服三ケ月服廿日
0161【なをし】-平絹

  ぬきう春ら可に可へしていとおゝしう
0162【うすらかに】-十月更衣ノ次色ヲ薄ス
0163【おゝしう】-雄々 男々シキ也

  あさや可尓者つ可しきさ満してまいり
  へりハ丹しのつ万能かうらん尓をし」(37オ・309⑦)

  可ゝ里て可連のせ無さいミ本と
  个りあらゝか尓ふき志くれさと志多る
  本とも阿らそふちしてとな
0164【雨となり】-<朱合点>
  とや尓个んい万ハ志らすとうちひとり
  こちて徒らつゑ徒きへるさま尓てハ
  ミすてゝくなら無しひ可なら春と万里
  なむ可しとめ可しきち尓うちまも
  られつゝち可う徒いゐへ連ハ志と遣な
  うちミ多れへるさ満な可らひもハ可りをさ
0165【ひもハかりを】-本妻服三ケ月依忌無更衣紐斗替之
  しなをしこれハいま春こしこ万や」(37ウ・309⑫)
0166【こまやかなる】-にふ色のこきをいふ也

  可なをしに徒屋ゝ可な
0167【紅のつやゝかなる】-紅の衣ハふくしやもきる物也 巌光
  ひき可さねやつ連へるし裳ても
  あ可ぬちそする中将もいとあハれなる
  まミに可め堂万へり
    とな里志くるゝうき
0168【雨となり】-三位中将
  いつ連の可多と王きてな可め無ゆくゑな
  やとひとりこと能やうなるを
    となり尓雲井さへ
0169【見し人の】-源氏
  いとゝ時雨尓かきくら春との給御个し
  きもあさ可らぬ本と志るくゆれハあや」(38オ・310③)

  志うとしいとしもあらぬ御心さしを
  なとゐ多ちてのハせおとゝのもてなしも
  くるしう大宮可多さ満尓もて者那る
  ましきなか多/\尓さしあひ多れハ盈し
  もふま(ま<朱>)り春てハてものう氣な个し
  きな可らありへなめり可しといとおしう
0170【へ給】-経
  ゆるおり/\あり徒るを万こと尓やむ
  ことなくをもき可多ハと尓きこえ
  个るなめりと志る尓いよ/\くちおしう
  お本ゆよろつ尓つ遣てひ可りうせぬ累」(38ウ・310⑨)

  ちしてくんしゐあ(あ$た可<朱>)り个り可れ多る下草
0171【くんしゐたかりけり】-苦痛
  の里ん多うなてしこなとのさきいて
  多るをおらせ中将の堂ちぬる
  のち尓王可め能との宰相志て
    可連のま可きにのこるなてしこを
0172【草かれの】-源氏大宮へ
  王可れしの可多ミとそる尓本ひおと
0173【にほひおとりてや】-葵上まし/\し時ほとハよも夕きりをは思給ハしと也
  里てらんせらるらむときこ盈
  へり遣尓な尓ゑミ可本そいミ
  しううつくしき吹風尓徒个て
  多尓より个尓もろき御涙ハ」(39オ・310⑭)
0174【木の葉よりけにもろき御涙】-嵐ふく嶺の木のはのひにそへてもろく成行我涙かな俊成(定家十体245)

  ましてとりあへハす
    いまも可/\をく多春可なかき
0175【いまも見て】-大宮
  本あれ丹しやまとなてしこいミしう
  徒連/\なあさ可本の尓个ふの
  あ者れハさりともし里らむとおし
  者可らるゝ御心ハへなれハくらき本とな連と
  きこ盈万と越个れとさのも能
0176【さのもの】-さやうのさる物 もの
  となり尓多るふミな連ハと个なくて
  ら無せさすし多るから能可ミに
    王きてこのくれこ氣ゝれ」(39ウ・311⑤)
0177【わきてこの】-源氏

  おもふハあま多へぬれとい徒も時雨
0178【いつも時雨ハ】-<朱合点> 古今 神無月いつも時雨ハふりしかとかく袖ひつる折ハなかりき<朱>(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  ハとあり御手と能とゝめて可きへる
  徒ねよりもミありて春くし可多き本と
  なりときこ盈ミ徒可らもお本され
  个れ者うちおもひやりきこえ
0179【大うち山を】-白雲の九重にたつみねなれハおほうち山とむへもいひけり<右朱>(新勅撰1265・兼輔集98、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄) 左大将直房大内宣陽門ノ内廊<左墨>
0180【おもひやりきこえなから】-源ヲ思ヤル心中ヲシリ給ハシト也
  な个らえやハとて
0181【えやはとて】-<朱合点> 色ならハうつるはかりもそめてまし思ふ心をしる人のなさしる人のなさ#えやはみせける<墨>)<朱>(後撰631、奥入・異本紫明抄・河海抄)
    きり尓多ちをくれぬときゝしより
0182【秋きりに】-あさかほの宮
  時雨もい可ゝとそおもふとのミ本の可
  るすミつき尓ておもひな尓くし
  尓徒けても万さりハ可多き」(40オ・311⑫)

  める越徒らきし裳こそとあ者れ尓
0183【つらき人しもこそと】-<朱合点>
  おほえ御心さ満な徒連なな可ら
  さるへきり/\能あハれをすくし者ぬ
  こ連こそ可多み尓さけも者つへき
  王さな遊へ徒きよしつきて
  尓遊ハ可りなるハあまりのなむもいて
  き个りいのひめさハお本し多てし
0184【たいのひめ君】-紫
  とおほ春徒連/\尓てしとらむ
  可しと王春るゝおりなけ連とゝめおや
  なゝき多らむちしてぬ本と」(40ウ・312④)

  うしろめ多くい可ゝおもふらむとお本え
  そや春き王さなり氣るくれ者て
  ぬれハとなふらち可く万いらせ
  さるへ(+<朱>)可きりの/\まへ尓て物語
  なとせさせ中納言といふハとし
0185【中納言の君】-葵女房
  ころ志のひお本し志可とこの御思日の
  本とハ/\さやうなるすち尓も可遣
  ハすあハれな御心可な多てま
  徒る可多尓ハなつ可しううち可多らひ
  かうこのろありしより氣に」(41オ・312⑨)

  多れも/\まき累ゝか多なれ/\
0186【見なれ/\て】-<朱合点> みなれきの見なれそなれてはなれなハ恋しからんや恋しからしや<朱>(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  亭盈し裳徒ね尓可ゝら春ハし可ら
  しやいミしきを者さる尓て
  うちおもひめくら春こへ可多きこ
  おほ可り个れとのへハいとゝミ那なきて
  いふ可ひな御事ゝかきくら春
  しさる尓てこりなきさ満尓
  あく可連(+者)てさせハむ本と思給ふる
  こそときこ盈もやら春あ者れと
  多しこりなくハい可ゝハあさくも」(41ウ・312⑬)

  とりな給哉かき尓阿ら者
  日なそは者可な个れと
  てをうちな可め堂万へるまミのうち
  ぬ連へる本とそめて起とり王きて
  らう多くしちいさきわらハの
0187【ちいさきわらは】-葵上アテキ後ニ兵部ノ君
  やともゝなくいと本そ氣尓おもへ流
  と者り尓見給あてきハい万ハ王れを
  こそハおもふ遍きめれとの多まへハいミ
  志うな本となきあこめよりハくろう
0188【ほとなき】-短心
  そめてくろき可さミく王むさう能者可満」(42オ・313④)
0189【くわむさう】-からし色ともいふ

  なとき多るもお可しき春可多む可し
  王春れさらむ徒連/\を志のひて
  さな春て春ものし
  こりな/\さへ可連なハ
  多つきなさもまさ里ぬへくな無なミな
  可ゝる遍きことゝもをのへといてや
  いとゝまちと越尓そハむとおもふ
  尓いとゝ本そしとのハ々尓きハ/\
  本とをき徒ゝハ可なもてあそとも
0190【もてあそひ物】-遺物事
  万こと尓可の可多ミなるへき王」(42ウ・313⑨)

  さとならぬさ満尓登りなしつゝミなくハらせ
  个りハ可くてのミ裳い可て可ハ徒く/\
0191【君は】-源
  とすくしハむとてへまいり給御
  さしいてゝこせ無なと万いりあつまる
  本とおり志り可本な時雨うちそゝきて
  さそふ阿ハ多ゝしう
  らひ多る尓おまへ尓さふら婦々もの
  いと本そくて春こしひ万あり徒る
  ともうるひ王多りぬよさ里ハや可て
  二条院と満りへしとてさふらひの」(43オ・314①)
0192【二条院】-紫

  /\裳可しこ尓てまちきこ盈んと
  なるへしをの/\多ちいつる尓个ふ尓しもと
  ちむましきなくものか
  なおとゝ裳氣ふの个しき耳
0193【おとゝ】-摂政
0194【宮】-母

  ま多可なしさあら多めておほさる
0195【宮】-母
  まへ尓うそこきこ盈へり
0196【御せうそこ】-源
0197【院】-桐

  お本つ可な可りの多春るにより个ふな
  万いりあ可らさ満尓ちいて尓徒
  氣ても个ふまてな个らへ尓氣るよと
  多りちのミうこきてむき古盈」(43ウ・314⑤)

  させむも/\にへ个れハそな多丹も万いり
  らぬとあ連ハいとゝ志くハめもハ春
  志つミいりて御返もきこ盈者春おとゝ
  そや个て王多りへるいと堂へ个多遣尓お本
  して御袖ひき者那ちハす
  万つる/\もいと可な大将よをお
  本し徒ゝく累こいとさ満/\尓て
  さ満あハれ尓ふ可き可らいとさ満
  よくなまめきへりおとゝひさしう
  多めらひよハひの徒もる尓ハさしも」(44オ・314⑩)
0198【よハひ】-おとゝの詞

  あるましきこと尓徒个て多尓もろな
  王さにましてひるよなおもひ
  へまとハれ侍心盈のとめらねめも
  いとミ多り可はしうよハ起さ満尓
  个れハと尓も万いりらぬと農
  徒いて尓ハさやう尓おもむ遣そうせさせ
  い具ハくもるましきおいの春ゑ尓
  うち春てられ多る可徒らう裳可な
  せめて日志つめての氣しきいと
  王りなも多ひ/\者なうちかみて」(44ウ・315②)
0199【君も】-源氏

  をくれさき多本とのさ堂めなさハ
0200【をくれさきたつ】-<朱合点> 末露
  さ可と見給へ志りな可らさしあ多りてお本
  えまとひハ堂くひあるましき王さ
  とな尓もありさ満そうしらむに
  おしハ可らせてむときこ盈さらハ
0201【さらハ】-摂政
  時雨ひ万なめるをぬ本と尓と
  そゝの可しきこ盈うち万ハし
  尓みきのうしろさうしのあな多な
  のあきとおる(る$<朱>)多るなと尓者う卅人
  ハ可りしこりてこきうす起尓ひとも」(45オ・315⑦)
0202【おしこりて】-凝集

  をき徒ゝミないミしう本そ遣尓てうち志
  本多れ徒ゝゐあつまり多るをいと阿ハれとミ
  おほし春つましきと万里多まへ
0203【おほしすつましき人】-夕霧
  連ハさりともものゝ徒いて尓ハちよらせ
  ハしやなとくさめひとへ尓おもひや
  里なハうなとハ个ふを可きりにお本
  し春て徒る古郷くむしてな可く
  王可れぬる可なしひよりも/\
0204【わかれぬる】-葵上
0205【なれつかうまつる】-源

  連徒可う万つるとしのなこりな可るへ
  きをな氣きめるなとハりなうち」(45ウ・315⑫)

  とけおハしま春さりつれとさりとも
  徒ゐ尓ハとあいなのめしつる越氣尓
  こ本そきゆふへ尓連とてもな
  ぬいとあさ者可な々のけき尓も
  なる可なまことにい可なりともとのと可尓思給
  へ徒る本とハをのつ可らめ可るゝおり裳
  らむを/\い万ハなにを多のミ尓て可ハ
  おこ多りらんい万らんしてむとて
  ておとゝをくりきこ盈いり
  へる尓志つらひよりハしめありし尓可ハる」(46オ・316③)

  もな个れとうつせ見のむなしきちそ
0206【うつせみのむなしき心ち】-葵曹司体
  御丁まへ尓すゝりなうちゝら
  らひ春てへるをとりてめをお
0207【めをおしゝほりつゝみ給】-摂政
  ゝ本り徒ゝミ王可き々ハ可なしき
  尓も本をゑむあるへしあハれなるふる
  ともからのもやまと能もかき遣可し
  徒ゝさう尓まなにもさ満/\めつらしき
  さ満尓可きませへりかしこのてやと
  をあふきてな可めよそ尓ミ多て
  万つりなさむ可おしきなるへしふるき」(46ウ・316⑧)
0208【ふるき枕ふるき衾たれとともにか】-<朱合点> 鴛鴦ノ瓦冷霜ノ花重旧枕故衾誰与共

  布るき多れととも尓可とある
    なそいとゝ可なしきねしとこの
0209【なき玉そ】-源氏手習ニ<右> 古今 声をたにきかてわかるゝ玉よりもなき床にねん君そかなしき<左>(古今858・古今六帖2497、花鳥余情・一葉抄・細流抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  あく可れ可多きらひ尓又霜
  志ろしと阿る
0210【しろしとある所に】-二人子也 時ノ事ヲ思ヨセ侍リ
    なくてちり徒も里ぬるとこな
0211【君なくて】-同
  うちハらひいくぬら無一日
0212【一日の花なるへし】-大宮へたてまつれし花のこりてありし也 竜タン撫子付草枯
  るへし枯てまし連りらん
  せさせいふ可ひなをハさる
  尓て可ゝ累可なしき多くひ尓なくやハと
  し津ゝな可ゝらてかくを」(47オ・316⑬)

  まとハ春へくてこそハあり遣めとかへりてハ
  徒らくさき能屋り徒ゝなさ満し
  多ゝろ尓そへてしさの堂へ
  可多きとこの大将い万ハとよそに
  なハむなあ可春いミしくまへ
  らるゝ一日ふつ可も(△&も)(+え)ハす可れ/\尓お者
  せしを多尓あ可春むねい多く思侍しを
  あさゆふの日可りうしなひてい可て可
  可ら婦へ可らんとゑも盈志のひあへハす
  なおまへなるおとな/\しき」(47ウ・317⑤)

  ないと可なし具てさとうちなき多
  そゝろさむきゆふへの个しき王可き
  ハ/\尓む連ゐ徒ゝをの可とち阿ハれな
  ともうち可多らひてとのゝお本し能
  多万ハ春るやう尓#わ可)をミ多てまつりて
0213【わか君】-夕
  こそハくさむへ可めれとふもいと者可な
  本と能可多ミにこそとてをの/\あ可ら
  さ満尓ま可てゝまいらむといふも阿連ハ
  可多ミ尓王可れおしむ本と(+を)能可志ゝあハれな
  ともお本可りへまいりへ連ハいと」(48オ・317⑪)
0214【まいり給へれハ】-源

  い多うおもひ(ひ<朱>)やせに个りさうし尓て
  布る遣尓やとくるし遣尓おほしめして
  まへ尓てと万いらせとや可くやと
  おほしあつ可ひきこ盈させへるさ満あ
  者れ尓可多し遣な中宮可多尓万い
0215【中宮】-薄
  里へ連ハ/\めつらし可り多て万つ累
  命婦して徒きせとも越
0216【思つきせぬ】-<朱合点>
  本とふる尓徒个てもい可丹とうそこきこ
  盈へりつ年な可多尓もおもふ
  へ志り尓しをめ尓ち可く見侍徒る尓いと」(48ウ・318②)

  ハしきことお本く思給へみ多れしも多ひ/\
  のうそこ尓くさめ个ふまて
  もとてさな(な<朱>)らぬおり多尓ある个しきとり
  そへていとくるし氣なむもんのうへの
0217【むもんのうへ】-ふくしやのきる也
  尓ひし多可さ年盈いまき
  へる屋つ連す可多ハなや可なよそひよりも
  なまめ可しさ満さ里へり春宮尓も
  ひさしう万いらぬお本つ可なさなきこ
  盈ふけてそま可て二条院
  ハ可多/\ハらひみ可きておとこまち」(49オ・318⑦)

  きこ盈多りらうとも(△&もミなまうの本りて
  王れも/\とさうそき氣さうし多るをミる
  尓つ氣ても可能ゐなミくむし多り徒る氣し
0218【ゐなミ】-卅人斗女房
  きともそあハれ尓おもひいてられさう
0219【御さうそくたてまつりかへて】-自八月至十月三ケ月除服
  そく多てまつり可へて丹しの多い尓王多り
0220【にしのたい】-紫
  た万へり可への志つらひくもりなくあさ
0221【衣かへの御しつらひ】-源氏君三月のふくをぬきて衣をかへし給ふ也
  や可によき王可王らハへのなり春
  可多めや春くとゝのへて少納言可もてな
0222【少納言】-紫女房
  もとな尓くしと見給ひめ
0223【ひめ君】-紫
  いとうつくしうひき徒くろひておハす」(49ウ・318⑬)

  ひさしかり徒る本と尓いとこよなうこおと
  な尓个れとてちいさ起ミきひき
  阿氣て多てまつりへハうち(+そ)ハミて者(者#王)ら
  ひへるさ満あ可ぬと本可遣の个多
  ハらめかしらつきなたし(し$<朱>)可能徒くし
0224【心つくしきこゆる人】-藤壺事
  きこ遊累多可ふくな可な
  と見給いとうれち可くより
  お本徒可な可りつる本と能ともなときこえ
  ろ能可多りのと可尓きこえ
  本し个れとい万/\しうお本え連ハ志者し」(50オ・319④)

  こと可多尓や春らひてまいりこ無ハと多え
  な多て万つるへ个れハいとハしうさへや
  お本さ連むと可多らひきこ盈少納言
  ハうれしときく可らあやうく
  こ遊やむことなき志のひお本うかゝ
  徒らひへ連ハ王つらハしきや多ち
  可ハりハむとふそにくきるや
  御方尓王多り中将といふ
  あしなと万いり春さひておほとのこも
  里ぬ阿し多尓ハ王可(+も)とも(も#)尓ふミ」(50ウ・319⑨)

  たてまつりあハれな御返見給
  きせとものミないと徒連/\尓
  め可ちなれとな尓と那きありきも
  う具おほしなられてお本しも多ゝれ春ひめ
  能な裳阿ら満本しうとゝのひ者
  てゝいとめて堂うの尓けな可らぬ
  本と尓ハ多ミ那しへ連ハ个しきハミ堂る
  おり/\きこ盈こゝろミへと
  も志り者ぬ个しき徒連/\なるまゝ尓
  堂ゝこな多尓てこうちへん徒きなとし」(51オ・319⑭)
0225【こうち】-碁
0226【へんつき】-突


  徒ゝ越くらし者へのらう/\し具
  あいきやうつき者可なハ婦連こ
  のな可丹もうつくしき春ちを志いてへハ
  お本し者なち多る年月ゝさる可多能
  らう多さのミハありつ連志のひ可多くなりて
  く累し个れとい可ゝ个無の氣ちめ
  多て万つり王具へき御中尓も阿らぬ尓
  とことくお女君ハさらに
  者ぬあしたあり々い可な連ハ
  閑くおハしま春ならむ御心ちの連い」(51ウ・320⑥)

  なら春おほさるゝ尓やと多て万つりな
  氣く耳ハ王多りとて春ゝ里の
0227【君ハ】-源
  者こを御帳のうち尓さしいれておハし
0228【さしいれて】-返哥あれの心
  尓个りま尓からうしてかしらも多遣
  へる尓ひきむ春ひ多る布ミ御枕
  尓ありもなひきあけて見給へハ
    阿やなくも遍多て个る可なよ越可さ年
0229【あやなくも】-源(源#)
  さす可耳な連しよるのをと可き
  春さひへるやうかゝる御心おハすら無
  とハか个てもおほしよらさりし可ハとて」(52オ・320⑪)
0230【なとてかう】-紫

  可ううかり个る御心うらなくたのもしき
  尓おもひきこ盈个むとあさましうお本
  さるひるつ个多尓(尓$<朱>)多りやましけ尓
  志ら無ハい个な御心ちそ个ふハこもう多
  てさう/\しやとてのそへハいよ/\
  ひき可つきてふしへり々ハ志り
  そきて(て#)つゝさふらへハよりと可く
  いふせもてなしそもひの本可尓(+う<朱墨>)く
  こそおハし个れなもい可尓あやしとおもふ
  らむとてふ春満をひき屋りへ連ハ」(52ウ・321③)

  阿せ尓をしひ多してひ多い可ミもい多うぬれ
  へりあなう多てこれハいと遊ゝしき
  王さそよとてよろつ尓こしらへきこ盈
  へと万こと尓いと徒らしと思給
  のいらへも志ハすよし/\さらに盈多て
  万つらしいと者つ可しなと盈し
  すゝ里あけてへともなけ連盤王可
  のありさ満やと蘿う多く多て万つり
  て飛とひいりゐてくさめ起こ盈
  へとと氣可多き个しきいとゝらう多け」(53オ・321⑧)

  なそのよさ里井のもちゐ万いらせ
  多かゝる御思本とな連ハと/\しきさ満
0231【かゝる御思】-紫
  尓ハあらて多ハ可り尓お可し氣なる
  王りこなとハ可りを/\尓て万いれるをミ
  てみなミ能可多尓いてこれミつ
  めしてこ能もち井かうか春/\尓
0232【かうかす/\に】-可為白一色
  さ満尓ハ阿らてあ春のくれ尓万いらせ
  ふハいま/\しき日也个りとうちほゝゑミて
0233【いま/\しき日】-重日
  の給御个しきをとき尓て布と
  里ぬこ連ミつ堂し个尓もう氣多万ハらて」(53ウ・321⑬)

  氣にあいきやうのハしめハり志て
0234【あいきやうのハしめ】-嫁娶の三日あたる夜餅を枕上にをく事ハ死人のにする也 偕<トモ>老同穴契男女同
  こしめ春へき尓こさてもねこハ
  いくつか可津可うまつら春へうら無と
  め多ちてミ徒可日とつ可尓ても阿らむ
0235【ミつかひとつかにても】-源 秘事也 一段別ニ可習也
  可しとの者てゝ多ちぬ連能
0236【心えはてゝ】-惟光
  さ満やときみハお本春尓もい者て
  徒可らといふハ可りさと尓てそ徒くりゐ多
  里氣るハこしらへ王ひいまハ
  しめぬすミもてき多らむち春
  類もいとお可しくてとしあハれとおもひ」(54オ・322④)

  きこ盈徒るハか多ハしにもあらさり个り
  そう多てあるハ阿連い万ハ一夜
  も遍多てむ王りな可るへき
  とお本さるしもち井志のひてい多う
  ふ可してもて万い連り少納言ハおと
  なしくて者つ可し具やお本さむとや里
  ふ可くしらひてむ春め濃といふを
  よひいてゝこ連志のひて万いらせへとて
  うこの者こをひとつさしいれ多り多し
  御枕可ミ耳万いら春へきい者ひの」(54ウ・322⑩)

  尓あな閑しこあ多尓なといへハあやしと
  おもへと阿多なま多なら者ぬ
  とてと連ハ万こと尓い万ハさるもしいませ
0237【いまハさるもし】-いまハに句をきりてさるもしとよむ説あり 又秘説在之 可習之
  へよゝもまし里らしといふ王可き
  尓て个しきも盈ふ可くよらねもて万
  いりて御枕可ミのより佐しい連
  多る越そ連い能きこ盈志らせらむ
  可しハ盈志らぬ尓徒とめてこの者こを
  ま可てさせへる尓そ志多しきかきり
0238【まかてさせ】-食ヲ退<マカル>
  の/\おもひあハするともあり个る」(55オ・323①)

  佐え(え$羅)ともない徒の万尓可志いてけむ
  氣そいときよら尓してもち井能
  さ満もとさらひいとお可しうとゝのへ多里
  少納言ハいと可うしもやとこきこ
  盈させ徒連あハれ尓可多し氣なくお
  本しい多らぬ御心者へをまつ
  うちな可連ぬさてもうち/\尓の万ハ
0239【うち/\に】-内々に仰よかし
  せよな可濃い可尓おもひ徒ら無と
  さら(ら$<朱>)めきあへり可くてうち尓も
  尓もあ可らさ満尓万いりへる」(55ウ・323⑥)
0240【まいり給へる】-源

  志つくおも可遣尓し个れハあや志能
  やと王れな可らお本さるかよひ
  /\よりハうらめし遣尓おとろ可しきこ盈
  と春れハいとおしとおほ春もあ連登
  新手枕くるしくてよをや遍多
0241【新手枕】-<朱合点> わ可の尓手枕をま起そめてをやへ多てん尓く可らなくに<朱>(古今六帖2749・万葉2547、孟津抄)
  てむとお本し王つらハる連ハいと物うくて
  なやまし遣尓のミもてな世中
  のいとうくお本遊る本とすくしてな
  尓もみえてまつるへきとのミいらへ徒ゝ
  春くしい万きさ起ハみくし氣殿」(56オ・323⑪)
0242【いまきさき】-大后心
0243【みくしけ殿】-朧


  この大将尓のミ徒氣多万へるを个に
  ハ多かくやむことな可りつるうせ
  める越さてもあら無尓なと可くちおし可らむ
  な
おとゝのいと丹くしと日きこ
  盈つ可へもおさ/\しく多尓志な
  しへらハと可阿し可らむと万いらせ
0244【まいらせ】-朧
  たまつら無ことをお本し者个む
0245【君も】-源
  をしなへてのさ満尓ハおほえさりしを
  くちをしとハお本せゝい万ハことさ満
  尓王くる御心もなくて可ハかハ可りみし」(56ウ・324②)

  △ゝ(△ゝ#<朱>)免(免=覧歟)可くておもひさ多まりな
  のうらミもおふまし可り个りといとゝあ
  やうくお本しこり尓多りかのミや春
  ハいと/\おし个れと万こと能よるへと多
  のミきこ盈む尓ハ可ならすを可連ぬへ
  しろのやう尓てみ春くしハゝ
  さるへきおり婦し尓も能きこ盈あハ春る
  尓てハあら無なさす可尓ことの本可
  尓ハおほし者な多すこのひめをいまゝ
0246【ひめ君】-紫上
  
てよそ能とも志りきこえぬも氣」(57オ・324⑦)

  なきやうちゝ尓志らせきこ盈てむ
0247【ちゝ宮】-兵部卿宮
  とおも本しなりて裳きの
  あまねくハ能給ハ年とへてらぬさ満
  尓おほしまうくるよういなといとあり
  可多个れと女君こよなううとミきこえ
  ろよろつ尓多のミきこ盈て
  まつハしきこえ个るこあさましき
  なり个れとくや志うのミお本してさや可
  尓もあハせてまつりハすきこ盈
  たハふ連くるしう王りな弐耳」(57ウ・324⑫)

  お本しむ春本ゝ連てあ阿里し尓も阿ら春
  なへるありさ満をお可しう裳いとお
  しうもお本されてろおもひきこ
  盈し本いなくな連ハまさらぬ个しき
0248【なれはまさらぬ】-<朱合点> み狩スルカタノヽヲノヽナラ柴ノナレハマサラテ恋ソマサレル<朱>(万葉集3062・新古今1050、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  のう起ことゝうらミきこ盈本と尓
  としも可へりぬ徒い多ちのハ連いの
  万いり内春宮と尓も万いり
  それよりとの尓ま可てへりおとゝ
0249【大との】-摂政
0250【おとゝ】-葵上の父

  あ多らしきともい者春む可しの
  御事ともきこ盈いてさう/\しく」(58オ・325③)

  可なしとお本春尓いとゝ閑くさへ王多里
  へる尓つ遣て無し可へしへと
  多へ可多うお本し多り御年くハゝる氣
  尓やもの/\しき氣さへそひあり
  しより个尓きよらに多ちいてゝ
  可多尓いりへ連ハ々もめつらしう
  多まつりて志のひあへ春王可きミ多て
0251【わかきミ】-夕霧
  まつ里へハこよなうおよす遣て王らひ
0252【こよなうおよすけて】-二歳
  可ち尓おハするもあハれ万ミくちつき多
  春宮おなしさ満なれハもこ」(58ウ・325⑧)
0253【春宮】-冷泉院

  堂て万つりと可む連と見給志徒らひな
  ともかハらすみそ可けの佐うそくなと
0254【みそかけ】-懸也 衣架也
  連いのやう尓志可遣られ多る尓の可
  者ぬこ者へなくさう/\し氣れ(氣れ$<朱>)者へな
  个れ宮のうそこ尓て个ふハいミし具
0255【宮】-葵上母
  思給へ志のふるを可く王多らせへる尓な
  /\なときこえむ可し尓ならひ
  耳个るよそひも・ろハいとゝ
  尓
きり布多可りてあひならむ
  せられらむと思給連と个ふハ可りハ」(59オ・325⑬)

  やつ連させまへとていミし具し
  くしへるとも可さねてま
  へり可ならす个ふ多てまつるへきと
  お本し个る志多可さねもをりさ満も
  よのつ年なら春となるを可ひなくや
0256【かひなくやハ】-卑下詞
  ハとてき可へこ佐らまし可ハくちをしう
  お本さましとくるし御返やき
0257【春やきぬる】-<朱合点> あたらしくあへる今年をもゝとせの春やきぬると鴬そなく<朱>(古今六帖16・貫之集218、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  ぬるともまつらむせられ尓なん万いり
  つれと思給へいてらるゝお本くて
  きこ盈させら春」(59ウ・326④)

    あま多个ふ阿ら多めしろも
0258【あまた年】-源
0259【色ころも】-ウツクシ

  きてハ布るこゝちする盈こそおも
  ひ多まへ志つめねときこ盈へり御返
    阿多らしきとしともいハす布る
0260【あたらしき】-おとゝ返し
  ふりぬるり个りをろ可なるへ
  きこと尓そあらぬや

【奥入01】擎掌上珠摧心中丹<古願文歟>
   此事非さ本文歟追可勘
【奥入02】有所嗟 二首 劉夢得
  庾令楼中初見時 武昌春柳似胸支」(60オ)

  相逢相失両如夢 為雨為雲今不知
  鄂渚濛々烟雨微 女郎魂遂暮雲帰
  只応長在漢陽渡 化作鴛鴦一隻飛
   夢得ハ白楽天同時之人也
   耳をくれて徒く連累詩也
【奥入03】鴛鴦(鴦$<朱>)瓦冷霜華重舊枕故
  衾誰与為

  歌をもて巻の名とせり源氏廿一二歳の事あり花のえんハ源氏十九の時
  の事也廿歳の事ハ物語に見えす
   以大殿仰加頭書者也イ本 良鎮イ本」(60ウ)

一校了<朱> 二交了<朱>(表表紙蓋紙)