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渋谷栄一翻字(C)
花 宴
凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。
「花のえん」(題箋)
き佐らきの1者つ可あまり・南殿能さ
くら能宴せ2させ給・后春宮の1御つ本年・
0001【后】-藤壺(明融臨模本0001)
0002【春宮】-朱雀院(明融臨模本0002)
左右尓1して・まうの本里多1まふ・弘徽殿能
女御・中宮の1かく亭お王する越・折ふし
こ2とに・屋春可らすお1ほせと・ものミ尓は盈
0003【ことに】-毎ナリ(明融臨模本0003)
春くし給ハて・万いり給・日い登よく者れて・
空の1遣しき・鳥能こ2ゑも・心ちよけな1類
尓1・見こ多1地可むたちめよ里はしめて・そ
濃道の1ハ見那・多1むゐむ給ハりて・ふミ徒
0004【たむゐむ】-探韻也 各分一字詩也(明融臨模本0004)
0005【ふミつくり】-作文(明融臨模本0005)
くり給ふ・宰相中将・春といふもし給者」(1オ・269①)
0006【宰相中将】-源氏(明融臨模本0006)
連りと・能給ふこ2ゑさへ・連いの1人丹こ2と
なり・徒き尓1頭中将人のめうつしも・たゝな1
らすおほゆへ可めれと・いとめや春く・もう(う$て<朱>)
く(く$<朱>)しつめて・こハつ可ひな2ともの/\しく・春(△&春)
くれ多1り・さての1人/\ハミ那・をくしかち
0007【をくしかち】-臆(明融臨模本0007)
に・者那しろめ類おほ可り・地下能人ハ・まし
0008【はなしろめる】-世俗におくしたる事を鼻しろむといふ(明融臨模本0008)
て見可と春宮の・御さ盈・閑しこく・す
くれておハしま春・可ゝ類可多尓やむゝ(ゝ$こ<朱>)とな2き
人おほく・も能し給ふころな1る丹・者つ可
し具・者る/\とくもりな1き尓はに1・多1ち」(1ウ・269⑤)
いつるほと・者したな1くて・や春き事な1れと・
くるし遣那り・としおい多るハ可せとも能・な里
0009【はかせ】-博士(明融臨模本0009)
あやしくや徒連て・連いな2れ多るも・あハれ
0010【なれ】-馴
尓さ満/\御らん春るな2む・お可し可り遣る・
可くともな2とハ・佐ら尓もい者す・とゝ(ゝ$登<朱>)のへさせ
0011【かく】-楽(明融臨模本0010)
給へり・やう/\入日尓な2るほと・春能鴬さへ
0012【春の鴬さへつるといふまひ】-春鴬囀 一越調 一名天長宝寿楽
徒る登い婦まひ・いとおもしろく見ゆるに・
源氏の・御もみちの1賀能おり・おほしいてら
れて・春宮可佐し多1まハせて・せ2ち尓せ
めの多満2ハする尓・の可れ可多く亭・多ちて」(2オ・269⑩)
の1と可尓そ2てかへすとこ2ろを・ひとをれ遣し
きハ可りまひ給へる尓・にるへきものな1く
見ゆ・左(左$左<朱>)の1おとゝ・うらめしさも王すれて・
0013【左のおとゝ】-摂政(明融臨模本0011)
0014【うらめしさ】-女葵上事(明融臨模本0012)
涙をとし給ふ・頭中将い徒らおそ2しとあれ
者・柳花苑といふ万ひを・これハい満春こし
すくして・可ゝる事もや登心つ1可ひや
し个む・いとおもしろ(△&ろ)け連は・御そ2給
0015【いとおもしろけれは】-花宴事了王卿以下各賜禄也
0016【御そ】-御衣
ハりて・いとめつらしき事に人をもへり・可
む多ちめ・ミ那見多れてまひ給へと・夜に
入ては・こ2とに氣ちめも見え2す・ふミな1とかう」(2ウ・270②)
0017【ふミなとかうするにも】-舞楽之後講詩定事也
する尓も・源氏の1君能御をハ・かうしも盈よミ
0018【御をハ】-御詩也(明融臨模本0014)
やらす・くこ2とにすしのゝ志類・者能可せともの
0019【すし】-誦(明融臨模本0015)
心尓もい見しうおもへり・かうやう能おり尓1
も・まつ1この1君を日可り尓志多1まつ(つ$へ<朱>)れ者能・
見可ともい可て可をろ可尓1おほされ連(連#<朱>)ん・中
宮御め能とまるに徒个て・春宮の1女御の1
0020【春宮の女御】-春宮の母女御也(明融臨模本0016)
あな1可ちに・尓1く見給らむも阿やしう・
志う(志う$<朱>)わ可かうおもふも・心うしとそ2見つ可ら・
おほし可へされ个る
おほ可多尓1花のす可多越見まし可は」(3オ・270⑦)
0021【おほかたに】-藤壺(明融臨模本0018) 古今 露ナラヌ心越花ニヲキソメテ風ふくことに物ヲモイソツク(古今589・古今六帖586、河海抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
露も心のお可れましやハ御心の1うちな1り个ん
こ2と・い可ても里尓1个む・夜い多1うふけてな1
むこ2と者て遣る・上達部をのを能あ可れ・后
0022【あかれ】-分散ナリ(明融臨模本0019)
春宮可へらせ給日ぬれ者・の1とや可丹なり
ぬるに・月いとあかう佐しいてゝ・お可しき
を・源氏の君・ゑい心ち尓1・見春くしか多く
おほえ2給日个れハ・うへの1人/\もうちや春
見て・可やうに思日可けぬほと尓・もしさりぬ
遍きひまもやあ類と・布ちつ1本わ多り
を・ハ(ハ$わ<朱>)りな1ふ志のひて・う可ゝひあり遣と・か多ら」(3ウ・270⑫)
婦へきとくちも佐して个れハ・う地な1け
きて・なをあらしに・弘徽殿の本そ2との丹・
0023【なをあらしに】-\<朱合点> 万 なをあらしとことなしくさにいふことをきゝしれらくハすくなかりけり(万葉1262、河海抄)
0024【ほそとの】-細殿也 廊を細殿といふ 一説廂を云(明融臨模本0021)
多ちよ里給つ(つ$へ<朱>)れハ・三の1くちあき2多1り・
0025【三のくち】-弘徽殿に北南へほそくとをりたる戸あり是ハ北より第三間ニアタル戸也格子ヤリ戸也(明融臨模本0023)
女御ハうへの御つ本年尓・や可てまう能
ほり
給尓个れハ・人すくな2ゝ類遣ハひな2り・おく
のくるゝともあきて・人をともせ春かやう
0026【くるゝと】-クルヽ木也或ハタヽキ戸とも号也
尓て・世中のあやまちハするそ可し登思日
て・や△(△#<墨>を<朱>)らのほりてのそ2き給・人ハ見な1ね1多
類へし・いとわ可うお可し遣な2るこ2ゑの・な1へ
0027【いとわかうおかしけなるこゑの】-源氏君通朧月夜尚侍事(明融臨模本0025)
ての1人とハきこえ2ぬ・おほろ月夜ににる」(4オ・271③)
0028【おほろ月夜ににるものそなき】-\<朱合点> 大江千里 てりもせすくもりもはてぬ春のヨノヲボロ月ヨニシク物ソナキ(明融臨模本0026・付箋02 新古今55・千里集72、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)是ニヨツテ朧月ヨノ尚侍ノ御門といふ
ものそ2な1起と・う地すして・こな1多さ満尓1(+ハ)く
類も能可・い登うれしくて・ふと袖越とらへ
多満2ふ・女おそろしと思へる遣しき尓て・あ
な1無くつ1遣・こハ多1そとの給へと・な1に可うと
ましきとて
婦可き夜のあハれをしるも入月の
0029【ふかき夜の】-宵灯共憐深夜月(明融臨模本0028)
お本ろ遣な1らぬ契とそおもふとて・やをら
い多きおろして・とハをし多て徒・あさまし
0030【とハ】-戸
き尓あきれ多るさ満いとな1つ可しう・おかし遣な1り
わな1ゝく/\古ゝ尓人と・の多満2へと・万ろハ見な1」(4ウ・271⑧)
人尓ゆるされ多連ハ・めしよせ多1りとも・
な2むてう事可あらん・多1ゝ志のひてこ2そ2と
の給ふこ2ゑ尓・このきミな2り个り登きゝ
さ多めて・いさゝ可な2くさめ个り・王ひしとおもへる
もの可ら・な2さけな1く・こわ/\志うハ見え2し
とおもへ里・ゑい心ちやれいな1らさり个む・ゆ
類さん事ハ・くちおしき尓・女もわ可う多(△△&う多)を
やきて・つよ起心も志らぬな2るへし・らう
多1しと見給ふ尓・ほとな2くあけゆ遣ハ・心
あハ多ゝし・女ハましてさ満/\に・おもひ見」(5オ・271⑭)
多れ多る遣しきなり・猶な1の里し多満2
へ・い可てきこゆへき・可うて屋ミな2むとハ・
佐りともお本されしと能給へハ
うき身世尓1や可てき△(△#)盈(+な2<朱墨>)者多つ年ても
0031【うき身世に】-おほろ月夜(明融臨模本0027)
草能者らをはとはしとやおもふといふさ満・
えむ尓な2満めき多1り・こ2とハりやきこ盈た
可へ多るも・し可な2とて
0032【しかなとて】-サソナノ心也
いつれそ2と露能やとりをわ可むま耳
0033【いつれそと】-源氏 いつれそとタツネン程も猶おほつかなかるへしといふナリ(明融臨模本0028)
こさゝ可ハら尓1可せもこ2そふけ王つ1らハし
具おほ春事な2らす者・な1尓可徒ゝまむ・もし」(5ウ・272⑤)
す可い給ふ可とも・いひあへ春・人/\おき
さハ起・うへの御つ本年尓・まひりち个ふ遣し
きとも・志遣くまよへハ・いとハりな2くて・あふき
ハ可りを志るしに・とりかへていて給ひぬ・きりつ
本尓ハ人/\おほくさふらひて・おとろき多1
類もあれハ・かゝ流をさも1多1ゆミな1起御志のひ
ありき可な2と・徒き志ろひつ1ゝ・そ2らね1をそ
0034【つき】-突
志あへる・いり給日てふし給へれと・ね1いら連
春・お可し可り徒る人のさ満可な1・女御能御
おとうと多1ちにこ2そ2ハあらめ・ま多世丹な1れぬ」(6オ・272⑪)
0035【世になれぬ】-ぬしなきをいふ(明融臨模本0030)
ハ・五六の1君な2らん可し・そ2ち能宮の北の1
0036【そち】-帥<朱>
方頭中将の1すさめぬ四の君な2とこ2そ2・よ
志ときゝし可・な1可/\そ2れな2らまし个ハ・い満
春こしお可志可らまし・六ハ春宮尓多て
0037【六ハ】-朧月夜也(明融臨模本0031)
まつらんと・心さし給へるを・いとおし(△&し)うもあ
類へい可な2・王つらハしう多1つね1む程も・満2
きらハしさて多1え2な2むとハおも者ぬ遣し
きな2りつるを・い可な2れハ・こ2とかよハすへきさ満
0038【こと】-言
を・ゝしへ春な2りぬらんな2とよろつ1尓おもふも・
心のと満2るなる遍し・かうやうな2るに徒」(6ウ・273③)
遣ても・まつ1かの1王多り能ありさ満の・こよ
0039【かのわたり】-葵上
な2うおくまり多1るハやと・ありか多ふおもひ
くらへられ給ふ・そ2の日ハ後宴の1事ありて・
ま起連具らし多1万ひ徒・さう能こ2と徒
可うまつり給・きのふの1事よ里も・な2ま免
可しうおもしろし・ふち徒本ハあ可徒きに
まうのほり給尓个り・かの1ありあけ・いてや志
0040【ありあけ】-尚侍(明融臨模本0032)
ぬらんと・心も空尓て・おもひい多らぬく満な1
きよ(+しきよ)これミつ1を・つけて・う可ゝハせ給个れ者・
0041【よしきよこれミつ】-良清 惟光(明融臨模本0033)
おまへよりま可て給日遣る本と尓・多1ゝい満北」(7オ・273⑧)
の1ちんより・か年てよりかくれ多1地て侍つ(つ#徒)る
車とも・ま可りいつる・御可多/\の1さと人侍つる
中尓1・四位の少将・右中弁な2と・いそ2きいてゝ・
0042【四位の少将右中弁】-両人二条太政大臣子(明融臨模本0033)
をくりし侍つるや・弘徽殿の御あ可れな2らん
0043【御あかれ】-女御御里ヘいて給ふ也(明融臨模本0035)
と見給へ徒る・个しうハあらぬ遣ハひとも志
類くて・くる満見つ1者可り侍つときこゆる
尓も・む年うちつふれ給ふ・い可尓して・いつれ
と志らむ・ちゝおとゝな2ときゝて・古と/\しう
もてな2さんも・い可にそ2や・ま多人の1ありさ満
よく見さ多めぬ本と者・王つらハし可るへし・」(7ウ・273⑬)
さりとて志らてあらんハた・い登くちおし
可るへ个れハ・い可尓1せ2ましとおほし王つ
らひて・徒く/\とな2可めふし給へ里・ひめ
0044【ひめ君】-紫上(明融臨模本0036)
君い可尓1つれ/\な2らん・ひこ2ろ尓な2れハ・くし
てや・あらむと・らう多1くおほしやる・かの志る
しの1あふきハ・佐くら可さ年尓て・こき可
0045【さくらかさねにて】-\<朱合点> 檜扇ノ両方ノうへ三枚つゝをうす様ニテツヽミテいろ/\の糸にてトチテすへニあはひにむすひたる也 五重の扇も同<右> 清少納言枕草子ナマメカシキ物三へかさねのあふき五へニナリヌレハあまりあつくて
多1尓かすめる月越可起て・水尓うつ1し多1る
心者へめな2れ(+多る事な2れ)と・ゆへな2つ(△&つ)可しう・もてな2らし
多1り・くさの1ハらをハ登いひしさまのミ(△&ミ)・心
尓可ゝり給へハ」(8オ・274⑤)
世尓志らぬ心ちこ2そ2すれ有明の1
0046【世にしらぬ】-源氏(明融臨模本0037)
月の1ゆくゑをそ2らにま可へてとかき徒遣
給日てをき給へり・おほいとの尓も・ひさしうな1
里丹个るとおほせ2と・王可君も・心くるし个れ
0047【わか君】-紫上(明融臨模本0038)
ハ・こしらへむとおほして・二条院へおハし
ぬ・見るまゝにいとうつくし遣丹おひな2りて・
0048【見るまゝに】-紫上十二歳也(明融臨模本0039)
あいきやうつ1きらう/\しき心者え2・いと
こ2となり・あ可ぬ所な2う・王可御心のまゝに・をしへ
な2さんとおほ春尓・かな2ひぬ遍し・おとこの1御
をしへな2れハ・春こし人な2れ多る事やまし」(8ウ・274⑪)
らむとおもふこ2そ2・うしろめ多1个れ・日こ2ろ
の1御もの可多り・御こ2とな2と・をしへくらして
いて給ふを・連いのとくちおしくう(くう$う<朱>)おほせ2と・
い満ハいとような2らハされて・王りな1くハ志多ひ
万つハさす・おほいとの尓ハ・れいの1ふとも多1いめん
0049【たいめん】-葵上(明融臨模本0041)
志多満2ハす・つれ/\と・よろつ1お本しめくらさ
連て・さうの御こ2と満さく里て・やハら可丹・ぬる
0050【やハらかにぬる夜ハなくて】-\<朱合点>(明融臨模本0042) ヌキ川ノせゝノタマクラヤワラカニヌルヨワナクテヲヤサクルツマ 貫河律哥
夜ハなくてと・う多1ひ給・おとゝわ多り給日て・
一日の1・个ふありし事きこえ2給ふ・古ゝらの1
よハひ尓て・めいわうの御代・四代をな1んミ侍」(9オ・275②)
ぬ連と・この1多1ひのやう尓・ふミとも・きやう
0051【きやうさくに】-𨗈迹也 あらハなる心也 一云さとくしるき心也 一説警策也(明融臨模本0043)
さくに・まひ・可くものゝね1ともとゝ(ゝ$登<朱>)のほりて・よ
ハひのふる事な1む・侍らさりつる・道/\能・もの
濃上手とも・おほ可るこ2ろをひ・くハしう志ろし
めし・とゝのへさせ給へる遣な1り・おきな1も本と
0052【ほとほと】-殆
ほとまひいてぬへき・心ちな1んし侍しときこ
え玉へハ・こ2とにとゝのへおこな2ふ事も侍らす・
0053【ことに】-源氏(明融臨模本0044)
多ゝおほや遣事尓そ2志うな1るも1のゝ志とも
を・こゝ可しこ丹多1つ年侍しな2り・よろつ1のこ2と
よりハ・柳花苑・満こ2とに古う多1いのれいとも」(9ウ・275⑦)
な里ぬ遍く見多1まつ(つ$へ<朱>)し尓・ましてさ免(免$か<朱>)
0054【さかゆくはるに】-\<朱合点> 古今 今コソアレ我モ昔ハ男山サカユク時モ有コシ物ヲ(古今889・新撰和歌353、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄 明融臨模本0045・付箋03)
ゆくはる尓・多1ちいてさせ給遍まし可ハ・世の
めん本く尓や侍らましと・きこえ2給ふ・弁中将・
な2とまいりあひて・かうらむ尓せ2な2可をし
つ1ゝ・とり/\にものゝね1とも・志らへあハせてあ
そ2ひ給ふ・いとおもしろし・かのありあけ能
0055【ありあけの君】-朧月夜尚侍(明融臨模本0046)
君ハ・者可な1可りし夢をおほしいてゝいとも
の1な2け可しう・な2可め給ふ・春宮尓ハ・卯月
者可りとお本しさ多め多れハ・いと王りな1うお
ほし見多れ多1るを・おとこも多1つ年給ハむ」(10オ・275⑬)
尓・あと者可な2くハあら年と・いつれとも志らて・こ2と
にゆるし給ハぬあ多り尓・かゝ(ゝ$か<朱>)つらハむも・人王
類くおもひ王つらひ給ふ尓やよひの廿余日(△△&余日)
右大殿の1・ゆミの1个ちに・かむ多1ちめみこ
0056【右大殿のゆミのけち】-二条右大臣藤花宴事(明融臨模本0047)
0057【けち】-結也(明融臨模本0048)
多1ち・おほくつとへ給て・や可て布ち能宴し
0058【たち】-殿上人
給ふ・花佐可りハ春きに多1るを・本可能ちりな2む
とや・をしへられ多1り个む・をくれてさくさくら・
ふ多木そ2・い登おもしろき・あ多らしう
つ1くり給へる殿を・宮多1ち能御もき能日・
0059【宮たちの御もき】-弘徽殿女御の御腹の宮達也(明融臨模本0051)
見可き志つらハれ多1り者那/\とものし」(10ウ・276④)
給殿の1やう尓て(+ヰトイ、ヰトイ#<朱>)・な2に事もい満め可しう(う=くイ、くイ#<朱>)も
てなし給へり・源氏の1君尓も・一日うちにうく(うく$て<朱>)
御多1いめんの1ついて丹・きこえ2給し可と・おハせね1
ハ・くちおしうものゝハ遍な2志とおほして・御
0060【ハへなし】-光也 栄也
0061【御】-ヲン
この1四位の1少将を・多1てまつり多満2ふ
0062【四位の少将】-軒ハの荻の夫也(軒ハの荻の夫也#)(明融臨模本0052)
わ可屋との花しな2へての1色な2らは
0063【わかやとの】-右大臣(明融臨模本0053)
な2に可ハ佐らに君をま多まし内尓お者する
ほと尓てうへ尓う古(う古$そ2う<朱>)し給ふ・志多1りかほな1里
やと・わらハせ給て・わさとあめる類を・者やうもの(の#)
せよ可し・女御(御#<墨>み<朱>)こ多1地な登も・お1いひ(ひ$い<朱>)徒流」(11オ・276⑩)
0064【女みこたち】-弘キ殿ノ御腹の宮たち也(明融臨模本0054)
所な2れハ・な2へてのさ満尓ハ思ましき越な1
との給ハす・御よそひな2と・ひきつ1くろひ給
0065【御よそひ】-粧(明融臨模本0055)
て・い多うくるゝ本と丹・ま多連てそ2・わ多り給さ
くら能可らの1きの御な2越し・えひそ2め能志多
0066【からのき】-綺 うすきからあや也(明融臨模本0056)
0067【えひそめ】-蒲陶染(明融臨模本0057)
0068【したかさね】-下襲
可さ年・志りいとな1可くひきて・ミな1人ハう遍の1
0069【しり】-裾(明融臨模本0058)
きぬな1る尓・あされ多1る・おほきミす可多能那
0070【あされたる】-鮮也 又宿老之義歟 あハたすけ詞也 宿の字越されたるといへり(明融臨模本0059)
万めき多1る尓て・いつ1可れいり堂万へる御さ満2・
け丹いと古とな1り・花の尓ほ本ひも遣おされて・な1
可/\こ2とさ満し尓な2む・あそ2ひな2といとおも
志ろう志給て・夜春こしふけゆく程尓1・」(11ウ・277①
源氏の1きミ・い多くゑいな2やめるさ満尓1もて
なし給て・ま起連多1ち給日ぬ・しむ殿尓1・
女一宮・女三宮能・おハします・ひむ可しのと
0071【女一宮女三宮】-皆弘キ殿女御の御腹也(明融臨模本0060)
0072【とくち】-ツマ戸ノクチ也(明融臨模本0061)
くちにおハして・よりゐ多1まへり・布ちハ
こな2多のつ1まにあ多りてあれハ・見可うし
ともあけわ多して・人/\いてゐ多1り・
そ2てくちな2と・多1う可の1おりおほえ2て・古とさ
0073【たうか】-男踏哥(明融臨模本0062)
らめきもていて多1るを・ふさハし可らす
0074【ふさハしからす】-不祥 日本紀(明融臨模本0063)
と・まつ布ち徒本わ多りおほしいてら類・
な2やましき尓・いとい多う志ひられて・王ひ尓て」(12オ・277⑦)
0075【わひにて】-ワヒタル也 ニハ詞也(明融臨模本0064)
侍り・可しこ个れと・この1おまへ丹こ2そ2ハ・可け
0076【かしこけれ】-をそれねと也
0077【かけにもかくさせ】-\<朱合点> いせ物かたり サク花の下ニカクルヽ人ヲホミ有シニマサル藤ノカケカモ(業平集32・伊勢物語177、河海抄・花鳥余情・一葉抄・紹巴抄・岷江入楚)
尓もかくさせ給ハめとて・徒まと能み春を・ひ
きゝ多1満2へハ・あな1王つらハし・よからぬ人こ2そ2・
やむこ2とな2起ゆ可りハ・かこち侍な2れといふ遣し
0078【ゆかりハ】-源氏のイモウトノ宮タチヲワシマス也(明融臨模本0066)
きを・見給婦丹・おも/\しうハあらね1と・
をしな1へ亭の1わ可うとともにハ阿らす・あ
て尓お可しき遣ハひし類し・そ2ら多1きも
のいと个ふ多1うくゆりて・きぬのをとな1ひ・い
登者なや可にふるま日な1して・心尓くゝをく
まり多る遣ハひハ・多1ちをくれ・い満め可し起」(12ウ・277⑫)
事を・このミ多るわ多り尓て・やむこ2とな2起
御方/\・ものミ給とて・この1とくちハ・しめ多1
まへるなる遍し・さしもあるましき事
な2れと・さす可にお可しうおも本されて・いつ連
0079【いつれならむ】-あり明君(明融臨模本0067)
ならむと・む年うち徒ふ連て・あふきをとら
0080【あふきをとられて】-石川ノこまう人ニおひをとられてからきハヒスルいかなるおひそ花田ノ帯の中ハたえたる催馬楽石川(明融臨模本0068)
れて・からきめ越見るとう地・おほとけ堂るこ
ゑ尓・いひな1して・よりゐ多1まへり・あやし
くもさ満可へ遣る・こ満うと可那といら婦類者・
0081【こまうと】-\<朱合点>
心志らぬ尓やあらん・いらへハせて・多1ゝと起/\
うちな2け具遣ハひするか多丹・より可ゝ里」(13オ・278③)
て・き丁古し尓・手越とらへて
あつ1さゆミい類さの1や万尓まとふ哉
0082【あつさゆミ】-源氏 弓の結の日なれハかくよめり<右>(明融臨模本0069) アツサ弓入サノ山ハ朝キリノアタルコトニヤイロマサルラン宗于(後撰379、河海抄・孟津抄)
本の見し月の1可遣や見ゆるとな1にゆへ可登・
をしあて尓の多1まふを・盈しの者ぬな1
類遍し
心い類可多な1らませハゆ見者りの1
0083【心いる】-おほろ(大島本0070)
月な1き空尓まよハ(+ま<朱>)しやハといふこ2ゑ多1ゝそ2
れな2りいと・うれしきもの可ら
任師説加首書已下 良鎮」(13ウ・278⑧)
【奥入01】な1をあらし尓詞 万葉集第七
黙然不有 な2をあらしと事な1しくさ尓1いふ事ウ
きゝれハすくな2可り个り
【奥入02】貫河律
ぬ支可波乃世々のノや波良多末久良
也波良加尓 ぬ留与波名久天 於也左久留
川末於や左久留川末波末之天留波之
之加左良波や波々 千加伊乃保曽之支乎
可戸 左之波支天 宇波毛と利支天
美や知加与波牟」(14オ)
【奥入03】石川呂
伊之加波の己末宇と尓 於比乎と良礼
天可良支久以須留 己比須留
伊可奈留以可奈留於比曽 波奈多の
於比の奈可波多伊礼太留加可や留可
あや留加奈可波太 伊礼太留可」(14ウ)
二校了<朱> 一校了<朱>(表表紙蓋紙)