凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは赤色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母は茶色、同じ字母は緑色で表示した。
「うつ1せ1見」(題箋)
二のな2らひとあれと者ゝ木ゝの徒き
なりな2らひといふへくも見え春
一説尓ハ
巻第二 かゝやく日の1宮
このまきもとよりな2し
ならひの一 者ゝ木ゝ<うつ1せ1見ハ/このまき尓こもる>
二 ゆふ可本」(前遊紙2ウ)
ね1ら2連た万ハぬまゝ尓1ハ・我ハ閑く人尓尓1く万
0001【ねられたまハぬまゝにハ」】-源氏ノ心中也 帚木ノ巻ノ終ヨリツヽケテ見ルヘシ
0002【我ハかく】-源ノ小君ニ対シテノ詞也
連ても1なら2者ぬを・こよひな2む者しめてうし
と・よ越おもひ志りぬ連者・はつ可しくて・な2可ら2
0003【なからふましうこそ】-小君ニ迷惑サセントテ源ノ御詞也
婦ましうこ2そ2・お1もひな2りぬ連な2との1たまへ者・
な2み多を佐へこ本してふし多り・いとらう多1しと
0004【ふしたり】-小君
0005【いとらうたし】-源ノ御心
おほ春・てさくり能ほそく・ちいさ起ほと・可見能・
いとな可ゝ羅さりし・気ハひの1佐万かよひ多るも・
0006【さまかよひたる】-空ニ小君似タル也
お1もひな2し尓や阿者れなり・あな2可ちに・かゝ徒ら2ひ
たとりよら2むも1・人王ろ可るへく・満めや可尓1めさ
ましと・おほしあ可し徒ゝ・連いの1やう尓1も1・の多」(1オ・85⑥)
まひ・まつ1者佐春・夜ふ可ういてたまへ者・この1こハ・
0007【いてたまへは】-中河ノ紀伊守宿所ヨリ也
0008【こハ】-小キミ
いとい1とをしく・佐う/\し登思ふ・女も1な2ミ/\
0009【女も】-空ノ心
なら2春・か多ハら2い多しと思婦尓・御せ2うそ2こ(+1も)多1え2
てな2し・おほしこり尓个ると思尓も・や可てつれな2く
亭・やミ給な2まし可者・う可羅まし・志井ていと
をしき御ふるまひの1・堂え2さら2むも1・う多てある
遍し・よ起ほと尓1・かくてとちめてんと・おもふも1の
0010【とちめてん】-ツレナクテ過ント也
可ら2・多1ゝなら2春・な2可め可ちなり・き見ハ心徒き那
0011【心つきなし】-無心付
しと・おほしな2可ら2・かくてハ・え1やむましう・御こゝ
0012【御こゝろ】-源ノ
ろ尓かゝり・人王ろくお1も本し王ひて・こきみ尓1・」(1ウ・85⑫)
いと徒らうも1・うれ1多うも1・おほゆる尓・志井て・
0013【うれたうも】-慨哉 慷哉 以上日本記
おもひ可へせ2登・心尓1しも1・志多可ハ春・くるしき
を・さ里ぬへき1おりミて・た(+1い)めむ春へく・た者可れ
0014【たはかれ】-将計或ハ方便トカケリ
と・の多まひ王多れ者・王徒ら2ハし个れと・可ゝ流
0015【わつらハしけれと】-小君カ心
か多尓ても1・の多まひまつ者春ハ・うれ1しう・
おほえ1个り・おさ那き心地尓1・い可な2ら2んおりと・まち
わ多る尓・きの1可見く尓1ゝ・く多りなとして2・
女とち・の1とや可那る・ゆふ屋ミの1・みちたと/\し
0016【女とち】-トチハ共ニナリ
0017【ゆふやミのみち】-\<朱合点> 夕やミハ道多と/\し月待て/可へれ王可せこそのま尓1もみん<朱>(付箋01)
気なる・ま起連尓1・王可くる満尓て・ゐて堂て
0018【わかくるま】-小君カ車ニ源ヲ
まつる・この1古も1・お1さ那き越・い可な2ら2むと・おほせ2」(2オ・86④)
0019【こも】-子也
0020【いかならむ】-源ノ御心
と・さの1ミも1・えおほし・のとむまし个れ者・さり気
な2起・す可多尓て・かとなと佐ゝぬ・さ起尓と・いそき
おハ春・人みぬ可多より・ひきいれて2・お1ろし多て
0021【おハす】-空ノ所也
まつ1る・王らハな2れ1者・とのゐ人な2とも1・古と尓1・見
い連・徒いせ2うせ2す・心や春し・日む可しの・徒万
0022【ついせう】-追従トカケリ アヤシミハヽカラヌ心也
と尓1・多1て多てまつりて2・王れ1ハみな2ミの1・春見
0023【たてたてまつりて】-源
0024【われハ】-小君
の万より・かうし多1ゝき・の1ゝし里て・いりぬ・こ
堂ち・あら2者なりといふなり・な2そかうあつ1き尓・
こ能可うしハ・おろされ多るととへ者・ひるより尓1し
の御可多のわ多ら2せ給て・こう多せたまふとい婦・」(2ウ・86⑩)
0025【御かた】-ヲ 軒端ノ荻 伊与ノ守カムスメ
佐てむ可ひゐ多ら2むを・みハやとおもひて・やをら2
あゆミいてゝ・春多れ1の者さ満尓いり給ぬ・この1
いり徒るかうしハ・またさゝね1者・ひ万みゆるにより
て・尓1しさ満尓・見と越し給へ者・この1きハ尓1多て
多1るひやう風・者しのか多・をしたゝまれ多る尓・満
きるへき・几帳な2とも1・あつ1个連者尓や・うち可
気て2・いとよくみい連ら2流・火ち可ふともし多り・
も1やの・な2可者しらに・そ2ハめ流人や・王可心可くる
0026【もや】-母屋
と・まつめとゝめたまへ者・こき1あやの1ひとへ
0027【こきあや】-紅ノ色ノコキ也
可さね1な2めり・な尓1ゝ可あら2む・う遍尓きて・閑し」(3オ・87①)
0028【なにゝか】-遠キ心也
羅徒き・ほそ2や可尓1・ちいさ起人の・もの1気那き
春可多そし堂る・可本な2とハ・佐しむ可ひ多1ら2む
人な2と尓1も1・王さ登みゆましう・もてな2し多り・
て徒き・やせ2/\尓1て2・い多うひき可くしためり・
い万ひとりハ・ひむ可しむき尓1て2・の1こる所な2
0029【いまひとり】-軒端ノ荻
くみゆ・しろきう春物の1ひとへ可さね1・二あひ
の1こうちき多1つ1も1農・な2い可しろ尓・きな2し
て・くれな2井の・古しひきゆへるきハまて・む年
0030【こし】-袴腰也
あら2ハ尓1・はうそくなる・もてな2しなり・いと志
0031【はうそく】-傍側トカケリアラワナル心也 ハウラツナル心也 引ツクロハヌサマ也
ろう・お可しけ尓1・徒ふ/\と・古ゑて・そゝろ可な2る・」(3ウ・87⑦)
0032【そゝろかなる】-尖トカケリ
人能頭徒き・ひ多い徒き・ものあさや可尓1・ま見・
くちつき・いとあひきやう徒き1・者な2や可なる可
多ちなり・可見ハいとふさや可尓1て・な2可くハあらね1と・
さ可り者・可たの1ほと・きよけ尓1・春へ亭・いとね1ち
0033【さかりは】-下場
気多る・所な2くお1可し気那る・人とみえ2多り・むへ
0034【むへ】-宜
こそ・おやの1・よ尓1な2くハ・思ら2めと・お1可しく・見
給・心ちそ・な越しつ可な2る・遣をそ遍者や登・
ふと・みゆる・可とな2き尓1者・あるまし・こうち者
てゝ・気ち佐春・わ多り古ゝろとけ尓1みえ2て・き1
0035【けち】-結又闕
0036【こゝろとけ】-心疾也 心ハヤキ也
ハ/\と・さうとけ者・おくの1人盤・いとし徒可耳・」(4オ・87⑬)
0037【さうとけ】-早速也 物サハカシキ体也
の1とめて・まち給へや・そ2こハ・持耳こそあら2め・
こ能王多りの・こうをこそ2な2とい遍と・いてこ能多ひ
0038【こう】-劫
ハまけ耳気り・春み農所・いて/\と・およひを
かゝめて・と越・者多ち(ち$3<朱>)・みそ・よそな2と・かさふる佐万
0039【とをはたみそよそ】-十 廿 三十 四十
い1よの1ゆけ多も1・たと/\し可流ましうみゆ・春
こし志な2をくれ多り・たとしへな2く・ゝちおほひて2・
さや可尓1も・みせ2年と・めをしつけたま遍連者・
をのつ可ら2そ者めも(も=1にイ<朱>)みゆ・免春こしは連多る
0040【めすこし】-目ノ上腫タル様也 一説晴タル也 ヒタイノ高キ心地 如何
心ちして・はな2なとも1・あさや可な2るところな2ふ・
ね1ひ連て1・尓本ハしきところも1みえ2春・いひ多1」(4ウ・88④)
徒連者・王ろき尓1よ連るか多ちを・いとい1多うもて
つ気て2・この1まされる人よりハ・心あら2むと・めとゝ
0041【人】-ノキハノ荻
めつ1遍き・佐万志多り・尓1き王ゝしう・あひき
やう徒き・お可し遣なるを・い1よ/\ほこり可尓1
うちとけて1・わらひな2と・そ本る連者・尓本ひお1
0042【そほるれ】-タワフルヽ也
ほくみえ2て・佐る可た尓・いとお可しき人さ満な2り・
あ者徒気し登ハおほしな2可ら・満めな2ら2ぬ御古ゝ
0043【まめ】-実也
ろハ・これ1も1・えお本しはな2つ1まし可里个り・
み多まふ可起りの1人ハ・うちと気多る世な2く・ひ
0044【みたまふかきりの人】-源ノ世上ノ人ノ事
き徒くろひそ者め多るうハへをのミこそ2見」(5オ・88⑩)
給へ・可くうちとけ多る人の1あり佐万・可いま見
0045【かいま見】-<万葉>垣間見 [門+免]<伊勢物語真名ノ本>
な2とハ・ま多し給ハさ里徒るこ2とな2連は・な尓1
心もな2う・さや可な2るハ・いとおしな2可ら・ひ佐しう・
み多まふ(ふ$1、+1ハ)万ほしきに・こきみ・いてく流心ち春
0046【まほしき】-源ノ御心中
連者・やをら2いて給ぬ・王多とのゝ・とくち尓1
よりゐ多まへり・いとか多し気那しとおもひて2・
0047【いとかたしけなし】-小君カ心中
連いな2ら2ぬ人侍て2・えち可ふも1より侍ら2春・さ
0048【れいならぬ】-小君カ詞
0049【人】-軒端ノ荻
0050【さてこよひもや】-源ノ御詞
てこよひも1や可遍してんと春流・いとあさまし
う・可羅うこそあへ个連との1多まへ者・な2とて
0051【あへけれ】-アルヘケレ也
0052【なとてか】-小君カ詞
可・あな2多尓可へり侍りな2者・た者可り侍な2んとき」(5ウ・89②)
こ遊・さも1なひ可しつ遍き・気しき尓こそ2ハ
0053【さも】-源ノ御心中
あら2め・わら2者な2れ1と・も1の1ゝ古ゝろ者へ・人の个し
き・み徒遍くしつまれるを登おほ春なり
0054【をと】-ヲ文字ヤスメ字也
个り・五うち者て徒る尓やあらむ・うちそよめく
心ちして・ひと/\あ可るゝ気ハひな2と春也・王可
0055【あかるゝ】-別ル也
0056【わか】-若也
君ハ・い徒く尓お1ハしま春な2ら2む・この1み可うしハ
佐してんとて・な2ら2春な2り・志つ1まりぬな2り・いりて2
0057【いりて】-源ノ御詞
佐ら2者・た者可れとの給この1古も1・いもうと能御
0058【こも】-子也
0059【いもうと】-空ノ事也 小君心中
こゝろハ・たハ無ところな2く満め多ちた連者・
いひあハせ2無可多な2くて・人すくな2ゝら2んおり尓・」(6オ・89⑦)
い連多てまつら2んと思なり个り・きの1可ミのいもう
0060【きのかミの】-源ノ御詞
0061【いもうと】-軒ハノ荻
ともこな2多尓ある可・我尓可いまみせ2させよ登・
の多まへと・い可て可さハ侍ら2ん・かうしに盤几帳
0062【いかてか】-小君カ詞
そ2へて2侍ときこゆ・佐可しされとも1・お可しく
0063【さかし】-サアル也
おほせ2登・みつ1とハ・志らせ2し・いとおしと・お1ほして・
0064【しらせし】-小君ニ
夜ふくる古との・心もと那さをの給・こ多ミハ・つ万
0065【こたみ】-今度也
と越多ゝきている・みな2人/\志つ1ま里ね1尓个り・
0066【いる】-小君
こ能佐うしくち尓1・まろハね1多ら2む・可せふ起と
0067【かせふきとをせ】-\<朱合点> 風吹と人ニハいひて戸ハさゝしあけんと君にいひてし物を
をせとて・たゝ見ひろ気て・ふ春・こ多ち・日む可し
0068【ひろけて】-屏風也
0069【こたち】-後達
の・ひさし尓・いとあま多ね1多る遍し・と者な2ち徒る・」(6ウ・89⑬)
ハら(+1ハ)遍も1・そな2多尓入て2・ふしぬ連者・とハ可りそ2ら2
0070【そらねして】-小君
ね1して・火あ可起可多尓1・日やう風をひろ気て2・
か気ほの可なる尓・やをら2入多てまつる・い可耳
0071【入たてまつる】-源ヲ
そ2・おこ可満しき事も1こ2そとおほ春尓・いと
徒ゝまし个れと・みちひくまゝに・もやの1木丁
の可多ひら2・ひき1あけて2・いとやをら2いり給とすれ
と・みな2しつまれ累よ能・御その気者ひ・やハら2可
なるしも1・いと志累可り个り・女者さこそわ春
れ1給を・うれしき1尓おもひな2せと・あやしくゆ免(△&2免)
のやうな2る古と越・古ゝろ尓1者那るゝおりな2きころ」(7オ・90⑤)
尓1て2・心と気多るい多尓・ね1ら2連春なむ・ひ累ハな2
0072【ひるはなかめ】-\<朱合点> 女ノ哥也 ヨルハサメヒルハナカメニクラサレテ春ハコノ目ソイトナカリケル
可め・夜盤ね1さめ可ちな2れ者・春な2ら2ぬ・このめも・い
0073【いとなく】-無暇也
とな2く・なけ可しき尓1・五うち徒る君・こよひ盤
0074【君】-軒ハノヲキ
こな2多尓と・い満め可しく・う1ち可多羅ひて2
0075【こなたに】-空ノ方
ね1尓个り・王可起人盤な尓1こゝろな2く・いとよう
0076【わかき人】-ノキハノヲキ
まとろ見多る遍し・かゝる気ハひの1・いとかう者
しくうち尓本ふ尓・可本をも多け多る尓・ひとへ
0077【かほ】-空ノ
うち可気多る几帳の1・春起ま尓1くら2个連と・
う地見しろきよる気者ひ・い1と志るし・あさ
0078【あさましく】-空ノ心中
ましくおほえ2て・とも1閑くも思わ可連春・や」(7ウ・90⑩)
をら2おき1い1てゝ・春ゝしなるひとへを・日とつ
きて・春へりいて尓个り・君ハい1り給て・た1ゝひとり
0079【君】-源
0080【たゝひとり】-ノキハノヲキヲ空トヲホス
婦し多る越・古ゝろやすくおほ春・ゆ可能志も尓・
二人ハ可りそ・婦し多る・きぬをゝしや里て2・
より給へる尓・あ里し気ハひよりハ・も1の/\し
く・お本ゆ連と・おも本しうも1よら2春かし・いき
0081【いきたなき】-ヨクネルヲ云
多那き・佐万な2とそ・あや志く可者りて・やう/\・
みあら2ハし給て・阿さましく・こゝろやまし个れ
0082【みあらハし給て】-軒ハノヲキト知
と・人た可へと・たとりてみえ2んも1・おこ可満し具・
0083【人たかへと】-源ノ心中
あやしと・おもふ遍し・本いの1人を多つ年よら2む」(8オ・91②)
0084【本いの人】-空ノ事
も1・可者可り・能可るゝこゝろあめ連者・可ひなふ・
おこ尓1こ2そおも1ハめと・おほ春・可のお可し可り
徒る・本可けなら2ハ・い可ゝハせ2む尓・おほしな2るも・
王ろき御こゝろあさゝ那めり可し・やう/\めさ
0085【わろき御こゝろあさゝなめりかし】-草子地
0086【やう/\めさめて】-軒ハノヲキヲトロク也 心中
めて・いとおほえ2春・あさましき1に・あきれ多る
个しき尓て・な2尓1の1こゝろふ可く・いとお1しき
よう井も1な2し・世中をま多おもひ志ら2ぬ本
とよりハ・され者ミ多るか多尓1て2・あえ2可尓1もおも
ひまとハ春・わ連とも1志ら2せ1し登おほせ2登・い
0087【おほせと】-源ノ
可尓1して・かゝることそ2と・のち尓思めくら2さ無も・わ可」(8ウ・91⑧)
多1め尓1ハ・こ2と尓1もあらね1と・阿の1徒ら2き人農・
0088【人】-空
あな2可ち尓1・な越徒ゝむも1・佐春可尓1・い1とをし
个連者・多1ひ/\の・御か多ゝ可へ尓・こ2とつけ給し
さ満を・いと可ういひな2し給ふ・たとら2む人者・心
え徒へ个れと・ま多い1と王可き心地尓・さこ2そ2・さ
0089【さしすきたる】-碁ウツ時ノ事
し春起多1るやうな2れと・えしも1思王可春・耳
くしとハな気れ1と・御心とまるへきゆへも1な2起
心ちしてな越可のうれ多き人の・心をいみしく・
おほ春・いつ1く尓・者いまきれて・か多くなしと・
おもひゐ多ら2無・閑く志うね1き人盤・あり可多」(9オ・91⑬)
き1もの越と・おほ春しも1・あや尓1く尓まきれ可多
婦・おもひいてられ給・こ能人の・な万心な2く・わ可
0090【この人】-ノキハノヲキ
や可な2る気者ひも1・あ者れな2れ1者・佐春可耳・
な2さけ/\しく・ち起りを可せ給・人志り堂る
ことよ里も1・可やうなるハあハ連もそふ事と
なむ・昔人もい1ひ个る・あひおもひたまへよ・
徒ゝ無こと那き尓しも1阿ら2ね1者・みな1可ら・
0091【みなから】-身也
心尓1も・盈ま可すましくな2んあり気る・またさる
遍き人/\も1・ゆるされしかしと・可年てむね1
い1多くなん・忘て2まちたま遍よな2と・な2越/\し」(9ウ・92⑤)
くか多ら2ひ給・人の思侍ら2んこと能・者つ1可しき尓
0092【人の思侍らん】-ノキハノ荻カ詞
なん・盈き1こえ2佐春ましきと・う羅もな2く
いふ・な2遍て2人尓志らせ者こ2そあら2め・こ能ちい
0093【なへて】-源ノ御詞
0094【ちいさきうへ人】-小君カ事
さ起・う遍人尓徒多へて2きこえ2ん・个しきな2く
も1てな2し給へな2といひを起て2・かのぬき春へし
多1るとみゆる・う春衣をとりて・い1て給ぬ・こ君
ち可ふふし多1るを・おこし給へ者・うしろ免多う
おもひ徒ゝね1个れ者・ふとおとろきぬ・と越やをら2・
をしあくる尓1・おい多るこ多ちのこ2ゑ尓1て2・阿
連は・多1そと・おとろ/\志くとふ・王つら2ハしく」(10オ・92⑩)
て・まろそ2と・い1ら2ふ・夜中尓・こハ・な2そ登あり
0095【まろそ】-小君カ詞
0096【夜中】-コタチノ詞
可せ給と・佐可し可りて・と佐万へく・い1と尓1くゝて
0097【さかしかりて】-イサメタル也
0098【とさま】-外也
0099【いとにくゝて】-小君カ心中
あら2春こゝもとへ・い徒るそ2とて・君ををしいて
多1てまつる尓・あ可徒きち可起月く万なく
佐しいてゝ・ふと人の可気みえ2个連は・ま多お1者
春るハ多1そ2とゝ婦・民部のおもとな2めり个しう
0100【おもと】-侍者<オモト> 白氏文集 御許<ヲモト>トモ 空ノツカイ人也
盤あら2ぬ・お1もとの多け多1ち可那といふ・堂気
た可き人の・徒ね1尓わら2ハるゝをい1ふ也个り・おい
人・こ連越つら2ね1て2・ありきけるとおもひて・い1ま
0101【つらねて】-行列也
多1ゝ今・堂ちな2ら2ひ給日な無とい1ふ/\・王れ」(10ウ・93②)
0102【たちならひ】-ヲモトノタケニ小君ノナラント也
も1この1とよりいてゝ具・わひし个連者・盈は多
をし可遍さて・王多と能ゝくち尓・可ひそ2ひて・可く
0103【かくれたち給へれは】-源ノ
連多1ち給へ連は・この1お1もと佐しよ里て・おもと
ハ・こよひハ・う遍尓やさふら2ひ給徒る・おとゝひより・
者ら2をやみて2・いと王りな2気れハ・しも尓1侍つる
を・人すく那な2りとて・めし志可者・よ遍まうの本り
し可と・な越え(+1多)ふましくなむとう連ふ・い1ら2
0104【たふましく】-コラヘましき也
へも1き可て・あな2はら2/\・い1万きこえ2んとて・春起
0105【はら】-腹
ぬる尓・から2ふしてい1て2たまふ・な越かゝるありきハ・
可ろ/\しく・あやし可り个りと・い1よ/\おほし」(11オ・93⑧)
古りぬ遍し・こ君御くる満の1志り尓て・二条院
尓おハしましぬ・ありさ満の給ひて・おさ那可り
个りと・あハめ給て・可の1人能こゝろを・徒万者し
0106【あはめ】-アワ/\シクニクム心也
0107【かの人】-空ノ
きをし徒ゝうら2見給・いとをしうて・も1のも1・盈
0108【うらみ】-源ノ
0109【いとをしうて】-小君カ心
き1こえ2春・いとふかう・尓くみ給へ可めれ者・身も1
うく・おもひ者てぬ・なと可よそ尓1て2も1・な2つ可しき
0110【なとか】-源ノ御詞
い1ら2へ者可りハ・志給ましき・伊与の介尓・お1とり个る
みこそな2と・心徒き那しとお1もひて・の多まふあり
徒る・こうちき越・佐春可尓1・御その志多尓1・ひきい
連て2・おほとのこもれり・こ君を・おま遍尓ふせ2て2」(11ウ・93⑭)
よろつ1尓うら2見・可つハか多ら2ひ給・あこハらう多1
0111【あこは】-ナンヂ也
个連と・徒ら2きゆ可り尓1こ2そ・盈おもひ者つまし
気れ1と・満めや可尓1・の多まふを・い1と王ひしと思
多り・志はしうちや春み給へと・ね1ら2連給ハ春・御
春ゝ里・い1そきめして2・佐し者へ多る・御ふミ耳ハ
あらて・多1ゝう可見尓・てな2ら2ひのやう尓・可き春
さひたまふ
うつ1せ2見のみ越可へて个る木能もと尓1
な越人可ら2のな2徒可しき1可な2と可起たまへるを・
ふとこ2ろ尓ひき入て2・も1多り・可能人もい可尓1・お1」(12オ・94⑤)
0112【もたり】-持也
0113【かの人】-軒ハノヲキ
も1ふら2んと・い1とをし个連と・か多/\おも本し可へ
して2・御こ2とつ希も1な2し・可のう春衣盤・こうち
きの1・いとなつ可しき1・人可尓1志める越・みち可く
0114【みちかく】-源ノ御身
な2ら2して・みゐ多まへり・こ君可しこ尓・い1き多れ
0115【かしこに】-空ノ方
者・あね1き見まちつけて2・いみしくの給ふ・あさ
まし可りしに・と可うま起ら2ハしても1・人のお1もひ
0116【とかう】-空ノ詞
个無こ2と・さり所な起尓・いとな2む王りな2き1・い1登
可う・心おさ那きを・可つ1ハい可尓1・おも本春ら2んとて・
0117【おもほす】-源ノ御心ヲ空ノ小君ニ云キカスル也
者つ可し免給ひ多里みき尓1くるしう思へと
0118【ひたりみきに】-小君カ心源ト空トヲ左右ト云
かの御てな2ら2ひとりいて多り・佐春可尓とりてみ給」(12ウ・94⑪)
0119【み給】-空ノ
か能も1ぬ気越い可尓1伊勢を能あ万の1し本
0120【伊勢をのあまの】-\<朱合点>すゝ可川いせをのあ万のすて衣/志本な2れ多りと人やみるらん<朱>(付箋02)
な2れて2やな2と思も1・堂ゝなら2春・いとよろつ1尓
0121【思も】-空ノ心中
み多れて・尓1しの君も1・物者つ可しき心ちして・王
0122【にしの君】-ノキハノヲキ
多り給尓个り・ま多志る人も1な2きこ2とな2れ1ハ・人
志れ春うちな2可めてゐ多り・こきみの1わ多りありく
尓徒気ても・むね1のミふ多可れと・御せ2うそ2こも1
な2し・あさましと思ひうるか多もな2くて・され多る
心尓・も(△&2も)のあ者れなるへし・つれな2き1人も1さこ2そ
0123【つれなき人】-空ノ事也 心中也
しつむ連・いと阿さ者可尓1もあら2ぬ・御个しき
を・ありしな2可らの・王可身な2ら者と・とり返春も」(13オ・95③)
0124【ありしなからの】-\<朱合点>
0125【わか身ならは】-男ナキ時ナラハノ心
のな2ら2ね1と・志のひ可多気れ者・この1御たゝう可見
能可多つ1か多尓1
うつ1せ2見の者尓1をく露の1木かくれて
志のひ/\尓ぬるゝそ2て1可那」(13ウ・95)
追注加之
な2可ゝみ 何神字 長歟中歟
問安家答云な可ゝみ天一神也
世俗所称事旧事(△&1事)可為中字歟
金樻経云天一立中央為十二将定吉凶
断事者也如此文者中字無不審歟
凡天一神巡方八方猶天子巡狩方
岳云々毎其方名号注異未有中
有中(有中$3<朱>)神之号只和語凡俗之詞所
伝承也件方忌事古今所違来也(「帚木」注 竄入)」(14オ)
【奥入01】春ゝ可山いせをのあ万のぬ連衣
志本な2れ多りと人や見るら2ん
【奥入02】とり可へ春物尓1も可那や世中を
ありしな2可ら2能王可身とおも者ん(「帚木」巻から転載)