First updated 02/24/2003(ver.1-1)
Last updated 04/19/2022(ver.3-1)
桐壺
【凡例】
1.『源氏物語(明融本)T』(東海大学出版会 1990年6月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。
「きりつ本」(題箋)
「上冷泉殿為和卿御息明融<定家卿字形/御似せ候哉>琴山(印)」(遊紙表貼紙)
伊徒れの1御時尓可・女御更衣あ満多佐布
らひ給个るな可尓・いとやむこ2となきゝは尓ハ
0001【いとやむことなきゝは】−きハめて上臈の品をいふ無止事と書
あらぬ可・春くれて時めき給あり个り・はしめより
0002【すくれて時めき給ありけり】−桐壺更衣也
0003【はしめより我はと】−桐壺更衣より前に入内して我こそ寵を得んと思也
我者と思あ可り給へる御方/\・め佐ま志き
0004【御方/\】−弘徽殿の女御抔也
0005【めさましき】−妬さま也
も1の尓お1としめそ2ねみ給・お1な2しほと・そ2れより
0006【おとしめそねみ】−わひ消して妬む心也
0007【おなしほと】−桐壺の更衣と同し位也
下らうの更衣多ち者・満してや春可ら2須
あ佐ゆふの1宮徒可へ尓徒遣ても1・人の心を
0008【人の心をのみうこかし】−下臈の更衣嫉妬の心をうごがす也
の1みうこかし・うらみをお1ふ徒もり尓やあり个ん・」(1オ・5D)
0009【うらみをおふつもりに】−人の恨をおひぬれハ苦しき事ある習也
伊とあ徒しくな1里ゆき・物心ほそ2遣尓佐と
0010【いとあつしく】−更衣也
0011【あつしく】−異例かち也
0012【さとかちなるを】−里住がちにある也
かちなるを・いよ/\あ可春あ者れな1る物尓お1も
0013【いよ/\あかす】−御門の御こゝろ
ほして・人のそ2し里をも1(も1#1も1)えはゝからせ給者す・
世の1堂めし尓もな1里ぬへき御も1てな1し也・
かむたち免・うへ人な2とも・あいなくめをそ2
0014【かむたちめ】−公卿をいふ也
0015【うへ人】−殿上人をいふ也
0016【あいなく】−あぢきなき心也 愛なき也
者めつゝ・いと万者ゆき人の御お1ほえな2り・も1
0017【いとまはゆき】−人のそねみてうちもむかはぬ形也
ろこし尓もかゝることのお1こり尓こそ2世も
0018【かゝることの】−好色を愛する事也
0019【おこりに】−起と驕と両儀也 起よし
み堂れあし可り个れと・やう/\あめの志多尓も」(1ウ・5H)
0020【やう/\】−心をつくへし
あちきな1う・人のも1てな1やみくさ尓な2りて・
0021【あちきなう】−セン方ナキ心也
0022【くさ】−種
楊貴妃の堂めしも飛きいて徒へく(く=0う)なりゆ
0023【楊】−\<合点> アクル
く尓・いと者し多なきこ2とお1ほ可れと・か多し
0024【かたしけなき御心はへ】−帝の御気色ひとつを頼むはかり也
遣な1き御心者への堂くひな1きをたのみ尓て
0025【御】−ミ
満しらひ給・ちゝ能(能$2)大納言者なくな2りて・者ゝ
0026【ましらひ】−交の字也
0027【大納言】−ヂヤウ 津云よみくせ口伝あり
0028【はゝ北の方】−更衣の母きたの方をいふ事也
北の方な2む・い尓しへの人のよしある尓て・お1や
0029【人のよしあるにて】−故ありてたゝならぬ人にてといふ心也
0030【おやうちくし】−句をきりてよむ也
うちくし佐しあ多りて世能お1ほえ者那や可な1る
0031【はなやか】−声花
御方/\尓もい多うお1とらす・な尓こ2とのきし
きをも」(2オ・5M)
0032【きしき】−儀式
も1てな1し給个れと・ゝり多てゝ者可/\しき(き+0御)うしろ
みしな个れ者・事(事+1と)ある時者猶より所な1く心本そ2
0033【事とある時は】−と晴わさなとある時なるべし
遣也・佐きの世尓も御ちきりや布可ゝり个ん・世尓
0034【さきの世にも】−\<合点>
な1くきよらなる・堂万のをのこみこ佐へう万れ
0035【きよらなる】−清の字也 ほめたる詞也
0036【たま】−玉
0037【たまのをのこみこ】−光源氏也 誕生也
給日ぬ・い徒し可と心もとな1可らせ給て・いそ2き万い
0038【いつしかと】−御門御心也 いつかと云心也
0039【まいらせて御覧するに】−源氏の君を御門の御覧する也
らせて御覧する尓・めつら可なるちこの御可多ち
な2り・一のみこ者右大臣の女御の御者ら尓てよせ
0040【よせ】−縁也
越もくう多可ひな1き満う个の君と世尓も1てか
しつきゝこゆれと」(2ウ・6D)
・この1御尓ほひ尓者ならひ給へくもあら佐り个れ
者お1ほ可多のやむこ2とな1き御お1もひ尓て・この君
を者わ多くし物尓お1も1本しかし徒き給事かき
里な2し・(し+1者ゝ君)者しめよりをしな1へての・うへ宮徒可へ志
給へきゝは尓ハあら佐りき・お1ほえいとやむこ2とな1
く上すめ可し个れと・わ里なく万つ者させ給あ万り
0041【上すめかし】−シタリカホナル事也
尓・佐るへき御あそ2ひのお1里/\な尓こ2と尓も1ゆ
へあるこ2との布し/\尓者まつ満うの本らせ給
0042【ふし/\】−節々
0043【まうのほらせ給】−マイリノホル也
・ある時尓者お1ほとのこも1り春くしてや可て」(3オ・6I)
0044【おほとのこもり】−寝事也
0045【やかて】−其マヽ宮ツカヱ給也
佐布ら者せ多まひな2とあな1可ち尓お1まへさらす
も1てな1させ給しほと尓をのつ可らかろき方
尓も見えしを・このみこう万れ給てのち者いと心
こ2と尓お1も1本しをきて多れ者・坊尓もようせす
0046【坊にも】−東宮ヲ申也
者このみこのゐ給へきな1めりと一のみこの女御者
お1ほしう多かへり・人より佐き尓万いり給て
やむことな1き御お1もひな1へてな2らす・みこ多ちな1
0047【やむことなき】−か春志らす君可よ者ひを/の者へ徒ゝな多ゝるやとの1つ遊と/ならな2ん(付箋01)
とも1お1者し万せ者この御方の御いさめをのミそ」(3ウ・7@)
0048【この御方の御いさめ】−更衣ノ御イサメ也
猶わつら者しう心くるしう思日きこえ佐せ給
个る・かしこき御可个を者堂のみきこえな1可ら
お1としめきすをも1とめ給人者お1ほく・わ可身ハ
0049【わか身は】−更衣
かよ者く物者可那きあ里さ万尓て中/\な2る物
思日をそ2し給・御つ本ね者きりつ本也あ万多
0050【御】−ミ
の1御方/\を春きさせ給てひ万なき御まへわ
多里尓人の御心を徒くし給も个尓こと者り
0051【御】−ミ
と見え多里・万うの1ほり多万ふ尓もあ万りうち
しきるお1り/\者うちはしわ多とのゝ古ゝ」(4オ・7E)
かしこのみち尓あやしきわさを志徒ゝ・御をくり
む可への1人のきぬの春そ2堂へ可多くまさな1き
こともあり・又ある時尓者え佐らぬめ多うのとを
佐しこめこな1多かな2多心をあ者せて者し多
な1めわつら者せ給時もお1ほ可り・事尓布れてかす
志らすく累しきこ2とのみ万され者いとい多う思
わひ多るをいとゝあ者れと御覧して・後涼殿尓
0052【涼】−ラウ
本より佐布らひ給更衣の佐うしをほ可に」(4ウ・7J)
0053【さうし】−ツホネ
う徒させ多まひてうへ徒本ね尓たま者す・そ2の
怨満してやらむ方な2し・このみこみ徒尓な1
里給年御者可万きのこと一の宮の多て万つりし
尓お1とらす・くらつ可佐お1さめ殿の物を徒くして
0054【おとらす】−ルケチメナク
0055【くらつかさ】−内蔵寮
0056【おさめ殿】−納殿
いみしうせさせ給・そ2れ尓つ个ても世のそ2し
里の1みお1ほ可れと・このみこのお1よすけも1てお1
0057【およすけ】−オトナヒタル也
者春る御可多ち心者へあり可多くめつらしき万て
見え多万ふをえそ2ねみあへ多ま者す・物の
こゝろし里給人者かゝる人も1世尓いて」(5オ・8A)
お1者する物な2り个りとあ佐ましき万てめをお1
とろかし給・そ2の年の夏みやす所者可那き
0058【みやす所】−桐壺更衣事
心地尓わつらひてま可てな2んとし給をいと万
佐らにゆるさせ給者す・年ころ徒ねのあつし
さ尓なり多万へれ者御めな2れて猶しはし心
見よとのみの1多ま者する尓日ゝ尓をもり給て
堂ゝ五六日の本と尓いとよ者うな2れ者・はゝ君
な1く/\そ2うして満可てさせ多て万つり多万ふ・」(5ウ・8E)
かゝるお1り尓もある満しき者ちもこそ2と心徒可日
してみこを者とゝめ堂て万つりて志のひてそ2
いて給・かきりあれ者佐のみもえとゝめさせ給ハす
・御覧し多尓をくら2ぬお1本つ可な1佐をいふ方
な1くお1もほさる・いと尓本ひやか尓う徒くし遣
なる人のい多うお1もやせていとあ者れと物を
思日しみな1可ら事尓いてゝも1きこえやらす
0059【事にいてゝ】−\<合点>
ある可な1き可尓きえいりつゝも1の1し給を御覧
春累尓きし方ゆくすゑお1本しめされす」(6オ・8J)
よろ徒のこ2とをな1く/\ちきりの1多ま者すれと
御いらへもえきこえ給者す・万みな2ともいとた
ゆ遣尓ていとゝな1よ/\とわれ可の个しき尓て
布し多れ者い可佐万尓とお1ほしめし万とハる
・てくる万の宣旨な2との1多ま者せても又いらせ
給て(て+0ハ)さらにえゆるさせ給者す・かきりあらむ
みち尓もをくれさき多ゝしとちきらせ給个るを・
佐里ともうちすてゝ者えゆきやらしとの1た万
者するを」(6ウ・9A)
女も1いといみしと見多て万つりて
0060【いみし】−フカキ心
かき里とてわ可るゝ道の1かな1しき尓
伊可万本しき者いの1ちな2り个り・いと可く思
堂万へ満し可はといきも堂えつゝきこえ万
ほし遣な2る事者ありけな2れと・いとくるし
遣尓堂ゆけな2れハかくな2可ら・ともかくもな1ら
0061【たゆけ】−タヘカタキ也
むを御覧し者てむとお1ほしめす尓・遣ふ
0062【けふはしむへきいのり】−更衣ノ里ニテノ御祈也
者しむへきいのりとも・佐るへき人/\う个多万
者れる」(7オ・9E)
こよ飛よりときこえいそ2可せ者わ里な1くお1も
ほしな1可ら満可てさせ多万ふ・御むね(ね+0のミ)徒と布
堂可りて徒ゆ万とろ万れす・あ可しかねさせ給
・御徒可ひの遊きかふ本ともな1き尓猶いふせ
0063【いふせさ】−不審也
さをかきりなくの1多ま者せ徒るを・夜中うち
春くる本と尓な2む堂え者て給ぬるとてな1き
佐者个者・御つ可ひもいとあえ(え$2遍)な1くてかへり万
0064【あへなくて】−センナキ心歟
いりぬ・きこしめす御心万とひ・な尓こ2とも1お1」(7ウ・9J)
0065【御】−ミ
ほしめしわ可れす・こも1りお1者しま春みこは
0066【みこは】−源氏君三歳ノ時也
かくてもいと御覧せ万ほし遣れとかゝる本と尓
佐布らひ給・れいな1き事な2れ者ま可て給な2
むとす・な尓こ2と可あらむともお1ほし多らす
0067【なにことかあらむ】−御子ノ思心也
・佐布らふ人/\のな1き満とひうへも御な2み多
の1ひ万な1くな2可れお1者し万すをあやしと
見多て万つり給へるを・よろしきこと尓多尓かゝ
累わ可れのかな2し可らぬ者な1きわさな2るを
・ましてあ者れ尓い布可ひな2し・かきりあれハ」(8オ・10A)
0068【ましてあはれに】−死別声ヲノム ナカレモセヌ也
れいのさほう尓お1さめ多て万つるを・者ゝ北の方
お1な2し个ふりに(に+0も1)の1ほりな2むとな1きこ可れ給
て御をくりの女房のくる万尓志多ひのり
給てお1多きといふ所尓いとい可めしうそ2のさ本
0069【おたきといふ所】−御ヲクリノ女房車ニシタヒノリ給テ
うしたる尓お1者しつき多る心地い可者可り可ハ
あり个む・ゝな1しき御からを見る/\猶お者する
物とお1もふ可・いとかひな1个れ者はひ尓な2り
0070【はひになり】−\<合点>
多万者むを見多て万つりていま者な1き人と」(8ウ・10E)
飛多ふる尓思な2りな2んと佐可しうの1多万ひつれ
とくる万よりもお1ちぬへう万ろひ給へは
・佐者思徒・可しと人/\も1てわつらひきこゆ
・内より御つ可ひあり三位のくら飛をくり給
0071【三位】−ミツ
よし勅使きてそ2の宣命よむな2んかな2し
0072【宣命よむ】−少納言墓所ニテヨムサホウアリ
きことな2り个る・女御と多尓い者せすな2りぬる
かあ可すくちお1しうお1本さるれ者い万ひと
きさみの位を多尓とをくら2せ給な2り个り」(9オ・10J)
・これ尓つ个てもにくみ給人/\お1ほかり物思ひ
志り給者・佐万可多ちな2とのめて多か里し事
心者せのな1多ら可にめやすくにくみか多(か多$2所な2)可り
しこ2となといまそ2お1ほしいつる・佐万あしき
御も1てな1しゆへこそ2春けな1うそ2ねみ給
志可・人からのあ者れ尓な1佐遣ありし御心を・
うへの女房な2ともこひしのひあへり・な1くて
0073【なくてそとは】−\<合点>ある時者ありのすさひ尓にく可り/き/な1くてそ2人ハこ飛し可りける(付箋02)
そ2と者かゝるお1り尓やと見え多り・者可な1く」(9ウ・11@)
日ころすきて・の1ちのわさな2と尓もこ満(満+0や)可尓
0074【のちのわさ】−弔ノコト也
とふら者せ給・ほと布る満ゝ尓せむ方な1う
かな1しうお1本さるゝ尓御方/\の御とのゐな2と
0075【とのゐ】−宿直也
も1堂えて(堂えて$3)し給者す・堂ゝなみ多尓飛ちて
あ可しくら佐せたまへハ見多て万つる人さへ
徒ゆ个き秋也・なきあと万て人のむねあ
0076【つゆけき秋也】−\<合点>
くましかり个る人の御お1ほえかな2とそ2弘
0077【弘】−コウ
徽殿な2と尓は猶ゆるしな1うの1多万日个る・」(10オ・11D)
一の宮を見多て万つらせ給尓もわ可宮の御こ飛
し佐のみお1も1本しいて徒ゝ志多しき女房
御めのとな2とを徒可者しつゝ・ありさまをきこ
しめす・野わき多ちて・尓は可尓者たさむき
0078【野わきたちて】−清濁両説
0079【はたさむき】−清濁両義清用
ゆふくれのほと徒ねよりもお1ほしい徒るこ2と
お1ほくてゆ个ひの命婦といふをつ可者須・ゆ
0080【ゆけひの命婦】−左衛門女
0081【命婦】−\<合点>
布徒くよのお1可しき本と尓い多し多てさせ給
てや可てな1可めお1者しますかう(う=0カ)やうのお1りハ」(10ウ・11I)
御あそ2ひな2とせさせ給し尓心ことな2る物のねを
0082【こと】−琴
かきな1らし・者可なくきこえいつる事の者も
人より者こ2とな1里しけ者ひ・か多ちの1お1も1可个
尓徒とそ2ひてお1本さるゝ尓(尓$2)も・やみのうつゝ尓ハ
0083【やみのうつゝにハ】−\<合点>む者多満のやみのうつゝハ佐多可/なる/夢尓いくらも万佐らさり个り(付箋03)
猶お1とり个り(り$2流、流#2)・命婦かしこ尓満(満+1可)て徒きて
かと飛きいるゝより遣者ひあ者れ也・やも1め
0084【かと】−門
0085【ひきいるゝ】−車事也
春みな2れと人飛とりの御かしつき尓と可くつ
0086【人ひとりの御かしつき】−更衣一人ニテツクロイ給シ也
くろひ堂てゝめや春きほと尓て春くし給つる」(11オ・11M)
0087【めやすきほと】−目安程ハ無見苦ホト也<左>
・やみ尓くれて布しゝ徒み給へるほと尓草もた可
くな2り野わき尓いとゝあれ多る心地して月影
者可りそ2やへむくら尓も佐者らす佐しいり多る
0088【やへむくらにも】−\<合点>とふ人も1な2きやとな2れとくる春ハ/やへむくら尓もさハらさり个り(付箋04)
ミ那み越もて尓お1ろして者ゝ君もとみ尓え
0089【とみに】−急
物もの多ま者す・いまゝてと満り侍可いとうきを
0090【とまり侍】−ナカラウルコト也
かゝる御徒可ひのよも1きふの徒ゆわ个いり給尓つ
遣てもいと者徒可しうな2んとて・遣尓え堂ふ万
0091【たふましく】−堪マシキ也
しくな1い給・万いりて者いとゝ心くるしう心きもゝ
0092【まいりては】−命婦詞
徒具るやう尓な2んと・内侍のす个のそ2うし給志」(11ウ・12E)
を・物お1も1ふ(ふ$2ひ)多まへしらぬ心地尓も个尓こそ2
いと志のひかたう侍个れとてやゝ堂めらひて
お1ほせこ2と徒多へきこゆ・志はし者ゆめ可とのみ
0093【しはしは】−勅院
多とられしをやう/\思ひしつ万る尓しも1さむ
へき方な1く堂へ可多き者・い可尓春へきわさ尓可
とも1・とひあ者すへき人多尓な1きを・志のひて
者満いり給日な2んや・わ可宮のいとお1本つ可な1く
徒ゆ个きな2可尓春くし給も・心くるしうお1本さ
累ゝを・とく万いり給へな1と・者可/\しうもの多万
者せ」(12オ・12J)
やら春・むせ可へらせ給つゝ・か徒者・人も1心よ者く
見多てまつるらんとお1ほしつゝ万ぬ尓しも1あら
ぬ御个しきの心くるし佐尓う个多ま者り(り+0も)者
てぬやう尓てな2ん・満可て侍ぬるとて・御布み多て
0094【御ふみ】−勅書
万つる・めも見え侍らぬ尓・かくかしこきお1ほせこ2と
0095【めも見え侍らぬに】−母君コト
を飛可り尓てな2ん・とて見給・本とへ者春こしう
ち満きるゝこともやと・万ち春くす月日尓そ2へて
いと志のひ可多き者・わ里な1きわさ尓な2ん・い者
けな2き人を(を$2も)」(12ウ・13A)
伊可尓と思日やりつゝも1ろとも尓者くゝ万ぬお1ほ
徒可な1さを・いま者猶む可しのか多み尓な1すら
へても1の1し多満へな2とこ満や可尓かゝせ多万へり
宮木のゝ徒ゆ布きむすふ風のをと尓
こ者き可も1とを思日こそ2やれとあれと・え
見多万ひ者て春・いのちな1可佐のいと徒らう
思給へ志らるゝ尓松の1お1も1者むこ2と多尓者つ
0096【松のおもはむこと】−\<合点> 北方住セ給アタリノ様也
かしう思給へ侍れ者・も1ゝしき尓ゆき可ひ侍
らむこ2と者満していと者ゝかりお1本くな2ん」(13オ・13G)
・かしこきお1ほせこ2とを堂ひ/\う个多万者りな2可
らみ徒可ら者えな1ん思多万へ堂徒万しき・わ可宮
者い可尓お1もほしゝる尓可万いり多ま者む事を
の1みな2んお1本しいそ2くめれ者・ことはり尓かな1
しう見多て万つり侍な2とうち/\尓思多万ふ(ふ$2へ)る
0097【うち/\に】−内/\也
さ万をそ2うし給へ・ゆゝしき身尓侍れ者・かくて
0098【ゆゝしき】−イマ/\シキ心也
お1者し万すもい万/\しうか多し个な1くな2んと
の1多万ふ・宮者お1ほとのこも1り尓个り・見多て万
徒りてくはしう(う=0く)御ありさ万も1そ2うし侍」(13ウ・13L)
0099【御】−ミ
ら万本しきを・満ちお1者しますらむ尓夜布
遣侍ぬへしとていそ2く・具れ万とふ心のやみも1
0100【心のやみも】−北方詞 \<合点>ひとのお1やの心者や見尓あらねとも/こを思道尓迷ぬる哉(付箋05)
堂へ可多き・か多はしを多尓・者るく(く$2流)許尓きこえ
0101【たへかたき】−カタエハルヽ
0102【かたはしをたに】−少ナリトモト也
0103【きこえまほしう侍を】−物語聞マホシキ也
満本しう侍を・わ多くし尓も心の1と可尓万可て
0104【わたくしにも】−命婦私ニ也
多まへ年ころうれしく・お1も多ゝしき徒い亭
0105【おもたゝしき】−面目シキ心也
尓て堂ちより給し物を・かゝる御せうそ2こ尓て
見多て万つる返/\徒れな2きいのち尓も侍可な2
・む万れし時より思ふ心ありし人尓て故大
0106【むまれし時より】−更衣生シ時也
納言いま者とな1る万て堂ゝこの人の宮」(14オ・14C)
0107【いまはとなるまて】−又遺言ニハ我ナクナリヌトモ大内ヘ宮ツカヘニマイラセヨト也<左>
徒可への本いかな2らすと个させ多て万つれ・我な2く
なりぬとてくちお1しう思く徒をるな1と・返ゝい
さめを可れ侍し可者・は可/\しうゝしろみ思
へき(へき$3)人も1な1きましらひ者・な2可/\な2るへき事と
思給へな2可ら・堂ゝかのゆいこんを堂可へしと許尓
い多し多て侍しを身尓あ万る万ての御心さしの
よろ徒尓か多し个な1き尓・人けな1き者ちをかく
0108【かくし】−隠
し徒ゝ・ましらひ給ふめりつ(りつ$2)るを・人のそ2ねみ
0109【つゝ】−乍
布可く徒も1りや春可らぬこ2とお1ほくな2りそ2日」(14ウ・14H)
侍つ(つ$2)る尓よこ佐万な2るやう尓て・徒ゐ尓かく
なり侍ぬれ者かへりて者徒らくな2む・かしこき
御心さしを思給へられ(られ$2)侍これもわ里な1き心の
0110【御】−ミ
やみ尓な2むといひもやらす・むせ可へり給本と尓
夜も布个ぬ・うへも志可な2んわ可御心な2可らあ
0111【うへもしかなん】−命婦詞
0112【御】−ミ
な1可ち尓人めお1とろく許お1ほされしも1・な1可ゝ
る満しきな2り个りと今者徒ら可り个る人のち
0113【人のちきりに】−命婦北方ヘ返答ノ詞也
きり尓な2ん・世尓いさゝ可も人の心を万遣多累事
者あらしと思ふを・多ゝこの1人のゆへ尓て」(15オ・14M)
あ満多佐累ましき人のうらみをお1ひし者て/\
者・かう(かう$2)ゝち春てられて・心お1さめむ方な1き尓
・いとゝ・人わろう・か多くな1尓な2り者つ(つ$2へ)るも・佐き
の1世ゆ可しうな2むと・うち返し徒ゝ御し本
堂れ可ち尓のみお1者しますとか多りて徒き
せすな1く/\夜い多う布遣ぬれ者・こよひ
春くさす御返(返+0り)そ2うせむといそ2き万いる・月
者い里可多の1そ2らきよう春みわ多れる尓」(15ウ・15D)
風いとすゝしくな2り(な2り$2吹)てく佐むらのむしのこゑ/\
も1よ本しかほな1るもいと堂ち者な2れ尓くき
草のも1と也
春ゝむしの1こゑのかきりを徒くしても1
0114【すゝむしの】−ユケイノ命婦
な1可き夜あ可す布累なみ多哉盈も
の1りやらす
0115【のりやらす】−車
伊とゝしく虫のねし个きあ佐ちふ尓
0116【いとゝしく】−更衣ノ母
徒ゆをきそ2ふるくものうへ人」(16オ・15H)
0117【くものうへ人】−昇殿シタル人ヲ男女ニカヨハシ云也
かこ2ともきこえ徒へくな1むとい者せ給ふ・お1可
しき御をくり物な2とあるへきお1里尓もあらねハ
・堂ゝかの御可多み尓とてかゝるようも1やとの1こ
し多万へり个る・御さうそ2く飛とく多り・御くし
0118【御】(後出)−ミ
あ遣の1てうとめく物そ2へ給ふ・わ可き人/\
かな2しきこ2と者・佐ら尓もい者春・内王多りを
あ佐ゆふ尓な2らひていとさう/\しくうへの御
阿りさ万な2と思日いてきこゆれ者とく万いり
0119【とくまいりたまはん事】−若宮ノ参給コト也
多万者ん事をそ2ゝのかしきこゆれと・かく」(16ウ・15M)
いま/\しき身の1そ2ひ多て万つらむもいと人
きゝう可るへし・又見たてまつらて志はしも
あらむ者いとうしろめ多う思日きこ江給て
・春可/\ともえ万いらせ多て万つり給者ぬな2り个り・
命婦者満多お1ほとのこも1らせ多ま者佐り
遣ると(と=0を)あ者れ尓見多て万つる・お1まへの徒本
せんさいのいとお1もしろき佐可りな2るを御覧
春るやう尓て志のひや可尓心尓くきかきりの
女房四五人佐ふら者せ給て御物可多りせさせ2」(17オ・16E)
給な2り个り・このころあ遣くれ御覧する長
恨哥の御ゑ亭子院のかゝせ給て伊勢つらゆき
0120【亭子院】−宇多院ノ御事也 テイジノイン
尓よ万せ給へるや万とことの者をもゝろこしの
う多をも多ゝそ2のすちをそ2満くらこ2と尓せ
0121【まくらことに】−\<合点>
させ給・いとこ満や可尓ありさ万(万+0を)と者せ多万ふ
あ者れな2りつる事志のひや可尓そ2う春・御返(返+0り)
御覧すれ者いともかしこき者をき所も侍らす
0122【いともかしこき】−北方文章
0123【所】−トコロ
かゝるお1ほせこ2と尓徒遣てもかきくらす・み多り」(17ウ・16I)
心地尓な2ん
あらき風布せきしか个のかれしより
0124【あらき風】−更衣母返し
こ者き可うへそ2志徒心な1きな2とやう尓み多
里可はしきを心お1さめ佐り个るほとゝ御覧
しゆるすへし・いとかうしも1見えしと・お1本
志ゝ徒むれと佐ら尓え志のひあへさせ給ハす・
御覧し者しめし年月の1事さへ・かきあ
徒めよろ徒尓お1ほし徒ゝ遣られて・時の
まも1お1ほつ可な2可りしをかくても1月日者」(18オ・17@)
へ尓个りとあさ満しうお1本しめさる・故大
納言のゆいこんあや万多す・宮徒可へのほい布可
くも1の1し多りしよろこひ者・かひある佐万尓
とこそ2思(思+1わ多り)つれ・い布かひな2しやとうちの多万者
せて・いとあ者れ尓お1ほしやる・かくてもをのつ可ら
わ可宮な2とお1ひいて給者ゝ・佐るへき徒いても1あ
里な2むいのちな2可くとこそ2思ねむせめな2との1
多ま者す・かのをくり物御覧せさ春な1き人
0125【なき人のすみか】−\<合点>
の1春み可多つねいて多り个ん志るしのかむ」(18ウ・17E)
佐しな2らまし可はとお1もほすも1いと可ひな2し
堂つねゆく万本ろしも1哉徒て尓ても
0126【たつねゆく】−御門
0127【まほろし】−方士
堂万のありかをそ2こと志るへく
ゑ尓か个る(个る$2き多る)楊貴妃のか多ち者いみしきゑしと
いへとも布てかきりあり个れ者伊と・尓本ひす
くなし・大液芙蓉未央柳も遣尓かよひ
0128【大液芙蓉未央柳】−\<合点>
0129【央】−ワウ<右> ヤウ<左>
堂里しか多ちを・からめい多るよそ2ひ者・うる
0130【から】−唐
わしうこそ2あり个めあり个め(あり个め$3)・な1徒可しう・らう
0131【らうたけなりし】−ホケ/\トシタル也
た遣な2りしを・お1本しいつる尓花とりのいろ」(19オ・17J)
尓も1ね尓もよそ2ふへき方そ2な1きあ佐ゆふの1
こ2とく佐尓者ねをな2らへ枝をか者さむとち
0132【はねをならへ枝をかさはむ】−\<合点>在天願作比翼鳥/在地願為連理枝(付箋06)
きらせ給し尓かな者さり个るいのちのほと
所徒きせ春うらめしき・風のをとむしの1ね尓
つ遣て物のみかなしうお1ほさるゝ尓・弘徽殿
尓者・飛佐しく(く$2う)うへの御つ本ね尓も・まうの本り
0133【うへの御つほねにもまうのほり給はす】−御門へ参給ハヌ也
0134【御】−ミ
給ハす月のお1もしろき尓夜布くる万てあそ2
飛をそ2し給な2る・いと春さ万しうも1のしと
きこしめ春・このころの御个しきを見多て」(19ウ・18@)
0135【御】−ミ
満つる・うへ人女房な2と者か多者らい多しときゝ
0136【かたはらいたしときゝけり】−笑止ト思也
个り・いとをし多ち・かと/\しき所ものし堂万ふ
0137【をしたちかと/\しき所ものしたまふ御方】−コウキテンノ御心カト/\シキ也
御方尓て事尓もあらす・お1本し个ちても1て
0138【事にもあらす】−御門ノ愁歎ヲ事ニモアラス思ケチ給也
な1し給な2るへし月も1いりぬ
雲のうへもな1み多尓くるゝ秋の月
い可て春むらんあさちふのやとお1ほしめし
やり徒ゝともし火をかゝけ徒くしてお1きお1
0139【ともし火をかゝけつくして】−\<合点>夕殿蛍飛思悄然/秋燈挑盡未能眠(付箋07)
者しま春・右近の徒可さのとのゐ申のこゑ
0140【右近のつかさのとのゐ申】−\<合点>
0141【申】−マウシ
きこゆる者・うし尓なりぬるなるへし・」(20オ・18E)
人めをお1ほしてよるのお1とゝ尓いらせ給ても
満とろ万せ給こ2と可多し・あし多尓お1きさせ
給とてもあくるも志らてと・お1本しいつる尓も
0142【あくるもしらて】−\<合点>堂万す多れあくるもしらすねし/物を/ゆめ尓も見しと思日可けきや(付箋08)
猶あ佐まつりこと者をこ多らせ給日ぬへ可めり・
0143【あさまつりことは】−\<合点>春宵苦短日高起/従此君王不早朝(付箋09)
物な2ともきこしめさすあ佐可れ日の个しき許
布れさせ給て・大正しの1お1も1のな2と者いと
0144【正し】−床子
0145【おもの】−御膳
者る可尓お1本しめし多れ者はいせん尓佐布
らふかきり者心くるしき御个しきを見多て
0146【御】−ミ
万つりな1个く・春へてち可う佐布らふかきりハ」(20ウ・18J)
お1とこ女いとわ里なきわさかな2といひあ者せつゝ
な1けく・佐るへきちきりこそ2はお1者し満し个め
そ2こらの人のそ2し里うらみをも者ゝからせ
給者す・この1御事尓布れ多る事をは堂う
里をもうしな1者せ給ひいま者多かく世中
の1こ2とをもお1もほしすて堂るやう尓な2り
ゆく者・いとたい/\しきわさな2りと人のみ
0147【たい/\】−退々
かとの多めし万てひきいて佐ゝめきな1个き
0148【さゝめき】−耳言
个り・月日へてわ可宮万いり給日ぬいとゝ」(21オ・19A)
この1世の物な2らすきよら尓お1よすけ給へれ者
いとゆゝしうお1本し多里・あくる年の春坊さ
多満り給尓もいと飛きこさ満本しうお1本せ
と御うしろみ春へ起人も1な1く又世の1う
遣ひく満しき事な2り个(り个$2)れ者な1可/\あやう
くお1ほし者ゝかりていろ尓もい多させ給ハす
な2りぬるを佐者可りお1本し多れとかきりこそ2あ
里个れと世(世+0の)人もきこえ女御も御心お1ちゐた
0149【世の人】−口伝
0150【御】−ミ
まひぬ・かの御を者北の方な1くさむ方な1く」(21ウ・19F)
0151【をは】−ウハヲ云
お1ほしゝつみてお1者すらむ所尓多に堂つねゆ
かむとね可ひ給ひしゝるし尓や徒ゐ尓うせ給日
ぬれ者又これをかな2しひお1ほすことかきりな2し
・みこむ徒尓な2り給年な2れ者この多ひ者お1
ほしゝ里てこ飛な1き給年ころな2れむつひ
きこえ給つ(つ=0へ)るを見多て万つりをくかなしひを
な1む返ゝの1多まひ个る・いま者内尓のみさふ
らひ給・な1ゝつ尓な2り給へ者布み者しめな2と
せさせ給て世尓志らす佐とうかしこく」(22オ・19K)
お1者すれ者あ満り(り+0尓)お1そ2ろしき万て御覧す・
いま者堂れも/\え尓くみ給者し・者ゝきみ
な1くて多尓らう多うし給へとて弘徽殿な2と
尓もわたらせ給御とも尓者や可てみすの内尓
いれ多て万つり給・いみしき物の布あ多可多きな2
里とも見て者うちゑ万れぬへきさ満のし給
へれ者え佐し者な1ち給者す・女(女$2)みこ多ち布
多所この1御者ら尓お1者し万せとな2すらひ給
へき多尓そ2な1可り个る・御方/\も1かくれ給者す」(22ウ・20B)
い万よりな1万め可しう者徒かし个尓お1者すれハ
伊とお1可しうゝちと个ぬあそ2ひくさ尓た
れも/\思きこえ給へり・わさとの御かくもんハ
さる物尓てこと布えのね尓もくも1ゐをひゝ
かし春へてい飛つゝけ者こと/\しうゝ多てそ2
0152【こと/\しう】−イト
な1里ぬへき人の御さ満な2り个る・そ2のころ
こ満うとの1満いれるな2可にかしこき佐う尓ん
あり个るをきこしめして宮のうち尓めさむ
こ2と者」(23オ・20F)
宇多のみ可との御いまし免あれ者いみし
0153【宇多のみかと】−\<合点> 寛平法皇
う志のひてこのみこをこうろくわん尓徒可
0154【こうろくわん】−鴻臚舘
者し多里・御うしろみ多ちて徒可う万つ累
右大弁の子のやう尓お1も者せてゐて多て万
0155【ゐて】−将
徒る尓・相人お1とろきてあ万多ゝひか多ふき
あやしふ(ふ=0ウ)く尓のお1やとな2りて帝王のかみな1木
くらゐ尓の1本るへき佐うお1者し万す人のそ2
な1多尓て見れ者み多れうれ布る事やあらむ
お1ほやけのか多めとな2りて天下を(を$2)多すくる」(23ウ・20K)
0156【天】−アメ
方尓て見れ者又そ2の佐う堂可ふへしといふ
弁もいと佐えかしこき者可せ尓ていひ可ハ
し堂る事ともな2むいと遣うあり个る布
みな2と徒くりか者して个ふあすかへり佐り
なむとする尓かくあ里可多き人尓たいめん
し堂るよろこひかへりて者かな2しかるへき
心者へをお1もしろく徒くり多る尓・みこもいと
あ者れな2る句を徒くり多万へるをかき里
な1うめてたてまつりていみしきをくり物と
もを」(24オ・21B)
佐ゝ遣多て万つる・お1ほや遣よりもお1本くの物
堂万者す・をの1つ可ら事ひろこりても1ら佐せ
給者ねと春宮の1お1ほちお1とゝな2とい可な2る
事尓可とお1ほしう多可ひてな2んあり个累
み可とかしこき御心尓や万と佐うをお1本せて(て=0て)
0157【御】−ミ
0158【やまとさう】−我国ニツタヘテ人ヲ相スル事也
お1ほしより尓个るすちな2れ者いまゝてこの君
をみこ尓もな1佐せ多ま者佐り个るを相人ハ
万こ2とにかしこかり个りとお1本して無品の(の$2)親
王の外尺(尺=1戚イ)のよせな1き尓て者多ゝよ者さし」(24ウ・21G)
0159【外尺】−ケ(戚=0サヱ)<右> クワイセキ<左>
わ可御世もいと佐多めなきを多ゝ人尓てお1本
0160【人】−ウト
や遣の御うしろみをするな1むゆくさきも
堂のもしけな2め(め$2)るこ2とゝお1ほし佐多めて・
いよ/\みち/\の佐えをな1ら者さ(さ$2)せ給・きは
0161【さえ】−才
こと尓かしこくて堂ゝ人尓ハ伊とあ多らし
0162【人】−ウト
遣れとみことな2り給な2は世のう多可ひお1日
給ぬへく・も1のし給へ者・春くえうのかしこき
0163【すくえう】−宿曜師事
みちの人尓かむ可へさせ給尓もお1な2しさ万尓
申せは・源氏尓な2し多て万つるへくお1本し」(25オ・21L)
0164【源氏になしたてまつる】−姓ヲ給ハリテ只人ニナリ給事サカノ天皇ノ御時ヨリ始マレリ
をきて多里・年月尓そ2へてみやす所の御事
をお1ほしわするゝお1里な2し・な1くさむやと
佐るへき人/\(/\+0を)万いらせ給へとなすらひ尓お1本
さ累ゝ多尓いと可多き世可那とうとましうの
みよろ徒尓お1ほしな2りぬる尓・先帝の四
0165【帝】−タイ
0166【四の宮】−薄雲ノ女院御事
の1宮の御可多ち春くれ給へるきこえ多可く
お1者します者ゝ后世尓な1くかし徒きゝこ
え多万ふをうへ尓さ布らふ内侍のす个者
先帝の御時の人尓てかの1宮尓も志多」(25ウ・22C)
しう万いりな2れ多り个れ者い者遣な1くお1者
志万しゝ時より見多て万つりいまも本の見
堂て万つりてうせ給尓しみやす所の御可多
ち尓ゝ多万へる人を三代のみや徒可へ尓徒
0167【三代】−光孝 宇多 醍醐
多者りぬる尓え見多て万つり徒遣ぬを(を=0尓)・き
佐いの宮のひめ宮こそ2いとようお1本えて
お1ひいてさせ給へり个れあ里可多き御可
多ち人尓な2んとそ2うし个る尓まこ2と尓や
と御心と万りてねむころ尓きこえさせ給个り・」(26オ・22G)
者ゝきさきあな1お1そ2ろしや春宮の女御の
いと佐可なくてきりつ本のかういのあらは尓
0168【いとさかなくて】−御心
者可な1くも1てな2佐れ尓し多めしもゆゝしう
0169【ゆゝしう】−アシキコト也
とお1ほしつゝみて春可/\しうも1お1本し多ゝ
佐り个る本と尓后もうせ給日ぬ・心本そ2き
さ満尓てお1者します尓多ゝわ可女みこ(女みこ$2宮)多
ちの1お1な2しつら(お1な2しつら$2やう)尓思きこえむといとねむ
ころ尓きこえさせ給さ布らふ人/\御うしろ
0170【さふらふ】−候
み多ち御せうとの兵部卿のみこな2とかく」(26ウ・22L)
0171【御せうと】−薄雲ノ女院ノアニ也
0172【みこ】−宮
心本そ2くてお1者し万佐むより者・うちすみ
0173【うちすみ】−内住
せさせ給て御心もな1くさむへくな2とお1本し
な2りて万いらせ多て万つり給へり・布ちつ本と
きこゆ・遣尓御可多ちありさ万あやしき万て
そ2お1ほえ給へる・これ者人の御き者万佐り
て思日な2しめて多く人も1えお1としめきこえ
給者ねハう遣者りてあ可ぬこ2とな2し・かれハ
0174【うけはりて】−承諾
0175【かれは】−更衣
人のゆるしきこ江さりし尓御心さしあや
尓くな2りしそ2可し・お1本し万きるとは」(27オ・23C)
な1个れとをのつから御心う徒ろひてこよな1う(う$2く)
お1ほし(お1ほし$2)な1くさむやうな2るもあ者れな2るわさ
な2り个り・源氏のきみ者御あ多り佐り給者ぬ
を満して志けくわ多らせ給御方者・え者ち
あへ多ま者す・いつれの御方も我人尓お1とらむ
とお1ほい多るや者ある・とり/\尓いとめて多け
れとうちお1とな2ひ給へる尓いとわ可うゝ徒くし
0176【いとわかう】−藤壺
个尓てせち尓かくれ給へとをのつ可らも1り見多
0177【もり見たてまつる】−源氏
て万つる・者ゝみやす所もか个多尓お1ほえた」(27ウ・23H)
ま者ぬをいとよう尓給へりと内侍のすけの
きこえ个るをわ可き御心地尓いとあ者れと
0178【わかき御心地】−源氏
思きこ江給て徒ね尓万いら万ほしく(く=0う)な2徒
0179【なつさひ】−ナレムツフ也
佐ひ見多て万つら者やとお1ほえ給・うへも
かきりなき御お1もひとち尓て・な1うとみ給
0180【とち】−共
そ2あやしくよそ2へきこ江つ(つ+1へ)遍き心地な2ん
春る・な1めしとお1本さてらう多くし給へ徒
0181【なめし】−無礼
0182【らうたく】−イタハル労
ら徒き満みな1とハ伊と(伊と$2)ように多里しゆへ
0183【ゆへ】−由
かよひて見え給(給=0給)もに个な2可らすな2むな2と」(28オ・23M)
0184【にけなからす】−ニクカラヌ也<左>
きこえつけ給へれ者・お1さな2心地尓も者可那き
花も1みち尓徒个ても心さしを・見え多て万
徒る(る=0り)こよな1う心よせきこ江給へれ者・弘徽殿
女御・又この宮とも御な2可そ2は/\しきゆへ
うちそ2へて本よりの尓くさも堂ちいてゝも1の
しとお1ほし多り・世尓多くひな2しと見多て
万徒り給日・な1多可うお1者する宮の御可多ち尓も
猶尓本者しさ者堂とへむ方な2くう徒く
し遣な2るを世の人・飛可るきみときこゆ」(28ウ・24D)
布ちつ本な2らひ給て御お1ほえもとり/\な2れ
者かゝ(ゝ=0ク)やく日の宮ときこゆ・このきみの御わら
はす可多いとかへ万うくお1ほせと十二尓て
御元服志多万ふ・ゐ多ちお1本しいとな2みて
0185【ゐたち】−居ツタツツスル也
かきりある事尓事をそ2へさせ給・ひとゝせ
の1春宮の御元服南殿尓てありしきしき
よそ2ほしかりし御ひゝき尓お1とさ(さ$2ら)せ給ハす・
ところ/\のきやうな2とくらつ可佐こく佐うゐん
な2と」(29オ・24H)
0186【きやう】−饗
0187【こくさうゐん】−穀倉院
お1ほやけこ2と尓徒可う万つれるお1ろそ2可なる
こ2とも(も+1古)そ2とゝ里わきお1ほせこ2とありてきよ
らを徒くして徒可う万つれり(り=0ル、ル$2)・お1者し万す
0188【おはします殿】−おハします殿ハ清涼殿
殿の飛む可しの飛佐し飛む可しむき尓いし
0189【殿】−テン
0190【いし】−御門ノ御座事 イスト云モノヽコト
堂てゝ火ん佐の1御座・ひきいれの大臣の御さ
0191【火んさの御座】−クハン 元服スル人ノ座也 冠者
御前尓あり・さるの時尓て源氏万いり給み
徒らゆひ多まへる徒らつきか本の尓本ひ
佐万かへ多万者む事お1しけ也・大蔵卿」(29ウ・25L)
くらひ(ひ=0ウ)と徒可う万つるいときよらなる御く
0192【御くしをそく】−理髪
しをそ2くほと心くるし遣な2るを・うへは
みやす所の見(見+0給ハ)まし可はとお1ほしい徒る尓
堂へ可多きを心徒よくねむしかへさせ給・
かうふりし給て・御やすみ所尓万可て多万日て
御そ2堂て万つりかへてお1里て(お1里て$2)者いし多て万つり
給さ万尓み那人な2み多お1とし給・み可と者
多ましてえ志のひあへ給者すお1ほし万き
るゝお1りもありつるむ可しのこ2とゝり返し」(30オ・25C)
かな1しくお1ほさる・いとかうきひわ(わ=0ハ)な2る本とハ
0193【きひわ】−イトケナキ心也
あ遣越とりやとう堂可はしくお1本され
0194【あけをとり】−元服シテワルクナルヲ云
つるを・あさ満しうゝ徒くしけさそ2ひ給
へりひきいれの大臣のみこはら尓堂ゝひと
里かし徒き給・お1ほむ女春宮よりも御遣
0195【女】−ムスメ 葵上事
0196【御】−ミ
しきあるをお1ほしわつらふ事あり个る(る+1ハ)この
きみ尓堂て万つらむの御心な2り个り・内
尓も1御个しき堂万者らせ給へり(へり$2)个れハ」(30ウ・25G)
0197【御】−ミ
佐ら者このお1里のうしろみな1可めるをそ2
飛布し尓もとも1よ本させ給个れ者佐お1
ほし多里・佐布らひ尓満可て給て人/\お1
0198【さふらひ】−内殿上事
本みきな2と万いる本と・みこ多ちの御さのす
0199【みこたちの御さ】−\<合点>
ゑ尓源氏徒き給へり・お1とゝ个しき者み
きこ江給事あれと物の徒ゝまし起本と尓て
とも1可くも(も+1え)あへしらひきこ江給者す・お1万へ
より内侍せんしう个多満者り徒多へて
お1とゝ万いり多万ふへき」(31オ・25K)
免しあれ者万いり給・御ろくの物うへの
0200【うへの命婦】−内命婦也
命婦とりてたまふ志ろきお1本うちき尓
御そ2ひとく多りれいの事也御さ可徒きの1
徒いて尓
伊ときなき者つもとゆひ尓な2可き世を
0201【いときなき】−御門
ちきる心者むすひこめ徒や
御心者えありてお1とろ可させ給
0202【御】−ミ
むすひつる心も布可きも1とゆひ尓」(31ウ・26B)
0203【むすひつる】−おとゝ
こきむらさきの1色しあせす者
とそ2うして・な1可はしよりお1りてふ多
うし給・ひ多りの徒可佐の御む万くら人
0204【人】−ウト
所の堂可春へて堂万者り給・み者しの1
も1と尓みこ多ちかむ多ちめ徒らねて
ろくとも志な2/\尓堂万者り給・そ2の日の
お1まへのお1りひつものこも1のな2と右大弁
0205【おまへ】−御
な2むう个多万者りて徒可う万つら2せ个る」(32オ・26F)
とんしきろくのからひつともな2と所せき万て
0206【とんしき】−ツカミイヽトテキシキノ時シヨシニクメルハヽ也
春宮の御元服のお1り尓もかす万佐れり・
な1可/\かきりもな1くい可めしうな2ん・そ2の
夜お1とゝの御さと尓源氏のきみ万可て
佐せ多万ふさ本う世尓めつらしき万ても1
てかし徒きゝこえ給へり・いときひ者尓て
お1者し多るをゆゝしうゝ徒くしと思きこ江
給へり・女きみ者春こしすくし給へる本と
尓」(32ウ・26J)
0207【女きみはすこしすくし給へるほと】−源氏ハ十二葵ノ上ハ十六ナル事ヲ云
いとわ可うお1者すれ者に遣な2く者つ可しと
お1ほい多り・この1お1とゝの御お1ほえいとやむ
こ2とな1き尓・者ゝ宮内の1ひとつきさいは
ら尓な2むお1者し个れ者い徒可多尓つ个ても
いと者なや可(いと者なや可$3も1のあさや可)な1る尓・この君さへかくお1者し
そ2ひぬれ者・春宮の御お1ほち尓て徒ゐ尓
世中を志り給へき右のお1とゝの御いきを日ハ
0208【をひ】−ホヒ
物尓もあらすをされ給へり・御こ2ともあ万多」(33オ・27@)
はら/\尓も1のし給・宮の御者ら者蔵人
0209【蔵人少将】−ウトノ 後致仕太政大臣
少将尓ていとわ可うお1可しきを・右のお1とゝ
の1御な2可者いとよ可らねとえ見すくし給
者てかし徒き給四の君尓あ者せ給へり・
お1とらすも1てかし徒き多る者あら万本
しき御あ者ひとも尓な2ん・源氏の君
者うへの徒ね尓めし満つ者せ者心やすく
佐とすミもえし給者す・心のうち尓は」(33ウ・27D)
堂ゝ布ちつ本の御ありさ満を堂く飛な1
しと思きこえて佐やうな2らむ人をこそ2
見めにる人な1くもお1者し遣る可那・お1本
いとのゝきみいとお1かし个尓かし徒可れ
堂る人と者見ゆれと心尓も徒可すお1ほえ
給てお1さな1きほとの(の+1御ヒトヘ)こゝろひとつ(ひとつ$1)尓かゝりて
いとくるし起万てそ2お1者し遣流・お1とな1尓
な2り給てのち者あ里しやう尓みすの内
尓も」(34オ・27H)
いれ堂万者春・御あそ2ひのお1里/\こと布えの
ね尓きこえ(こえ$2き)かよひほの1可なる御こゑをな1く
佐免尓て内すみのミ(のミ$2)こ能ましうお1ほえ給・
五六日佐布らひ給てお1本いとの尓二三日な2
と堂え/\尓満可て給へと堂ゝいま者お1さ
なき御ほと尓(尓+1よろ徒)徒みな1くお1ほしな1して
いとな2みかし徒き支こ江給・御方/\の人/\
世中尓をしな1へ多らぬをえりとゝの1へす」(34ウ・27L)
具里て佐布ら者せ給・御心尓徒くへき御(御$2)
あそ2ひをしお1ほな1/\お1本しい多徒く・
0210【おほな/\】−ワサトカマシキ事
内尓者も1とのしけいさを御さうし尓て・
0211【しけいさ】−淑景舎
0212【御】−ミ
者ゝみやす所の御方(方+0/\)の人/\満可てちらす
佐布らはせ給・佐との殿者春りしきた
0213【さとの殿】−二条院
0214【すりしき】−修理職
くみ徒可さ尓宣旨く多りてにな1うあら
堂めつくらせ多万ふ・も1とのこ多ち山の多ゝ
春万ひお1も1しろき所な2り个(り个$2)るを池の1」(35オ・28B)
こゝろ飛ろく志な2してめて多く徒くりの1ゝ
志る・かゝる所尓お1もふやうな2らむ人をすへ
て春満者やとの1みな1遣可しうお1ほし
わ多る・飛かるきみといふ(ふ+0御)名者こ満うとの1
めてきこえて徒遣多て万つり个るとそ2い
飛徒多へ多るとな2む」(35ウ・28E)
【奥入01】対此如何 芙蓉似面柳如眉
【奥入02】在天願作比翼鳥 在地願為連理枝
【奥入03】堂万す多れあくるも1しらすねし物を
ゆめ尓も見しと思日可けきや
書加之
【奥入04】寛平遺誡
外蕃之人安所召見<シム>者<モノ>在簾中見之
不可直<タヽチニ>對<ムカフ>耳李環<クワイニ>朕已失<セリ>之慎之」(36オ)
【奥入05】<古哥也可用此一両首>(小字)
今更尓とふへき人も1おもほえす
やへむくらしてかとさせりてへ
とふ人も1な1きやとな2れとくる春者
やへむくら尓も1さハらさり个り
【奥入06】万(万=0マ)くらこ2と尓 あ个くれのこ2とくさといふ心也
【奥入07】か多ミの可むさし
長恨哥 傳
指碧衣女取金釵鈿合各折其中
授使者曰為我謝太上皇謹献是物尋」(36ウ)
【奥入08】ともし火をかゝけつくして 同長恨哥
夕殿螢飛思悄然 秋燈挑盡未能眠
【奥入09】あさ万つりこ2とハをこ多らせ給
春夜苦<イト>短<ミシカクシテ>日高<タケテ>起 <オク> 従是<コレヨリ>君王不早朝<アサマツリコトシタマ>
【奥入10】右近のつ可さ能とのゐ申
亥一刻左近衛夜行官人初奏時<終子/四刻>
丑一刻右近衛宿申事至卯一刻
内竪亥一刻奏宿簡」(37オ)
【奥入11】延長七年二月十六日當代源氏二人元服垂
母屋壁代撤晝御座其所立倚子御座孫庇第
二間有引入左右大臣座其南第一間置円座二枚
為冠者座<並西面円座前置円座又其/下置理髪具皆盛柳筥>先両大臣被召
着円座引入訖還着本座次冠者二人退下
於侍所改衣装此間両大臣給禄於庭前拝
舞<不着/沓>出仙華門於射場着沓撤禄次冠者二人
入仙華門於庭中拝舞退出参仁和寺帰参先是
宸儀御侍所倚子親王左右大臣已下同候有盃酒御遊」(37ウ)
両源氏候此座<候四位親王/之次依仰也>深更大臣已下給禄両源
氏宅各調屯食廿具令分諸陣所々
【奥入12】天慶三年親王元服日屯食事
内蔵寮十具穀倉院十具已上検校太政大臣仰調之衛府
五具<督仰/調之>列立南殿版位東其東春興殿西立辛櫃
十合件等物有宣旨自長楽門出入上卿仰弁官分所々
史二人勾當其事仰検非違使令分給弁官三大政官二
左右近三左右兵衛二左右衛門二蔵人所二内記所一薬殿一
御書所一内竪所一校書殿一作物所一内侍所四
采女一内教坊一糸所一匣殿一」(38オ)
(白紙)」(38ウ)