First updated 07/14/2002
Last updated 04/22/2024
渋谷栄一翻字(C)

  

総角

《翻刻資料》
凡例
1 底本には、大橋寛治氏蔵本『源氏物語 奥入』(複刻日本古典文学館 昭和46年10月)を使用し、自筆本の欠脱は、高野本(日本古典文学影印叢刊19)により、また判読不明箇所等は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」所収の「奥入(第二次)定家自筆本」を参照し、漢字仮名字母翻字法によって翻字した。ただし、巻尾本文は省略した(翻刻資料の凡例を参照)。
2 頁数は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」に従って、復元した「自筆本奥入」の頁数となっている。
3 青表紙本「源氏物語」の「奥入・付箋」に見られる注記には、その注記番号を付けた。
4 行間書き入れ及び割注等は〔 〕で記した。改行は/で記した。朱書は、その語句の冒頭に(朱)と記した。
5 墨筆による末尾本文の削除符号や朱筆による掛点符号は、それぞれ(墨)\、(朱)と記した。
6 私による注記や定家自筆本、明融臨模本、大島本等において、奥入また付箋に引用されている注釈は( )で記した。
7 本文の校訂記号は次の通りである。
 $(ミセケチ)・#(抹消)・+(補入)・&(ナゾリ)・=(併記)・△(不明文字)
( )の前の文字と( )内の記号の前の文字は訂正前の本文を表し、記号の後の文字はその訂正後の本文を表す。
8 訓点や送り仮名は〈 〉で記した。
9 作字した文字は[ ]で記した。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。

角総(後書加)

01 をうしとふ尓きえぬれハ
  かくてもへぬるもの尓そあり个る
02 よりあ者せてなくなるこゑをいと尓/して
  わ可なみ多を者多ま尓ぬ可なむ
     七条后崩之時伊勢哥也
03 いと尓よる(+者)し尓わ可れちの
  ほそくもおもほゆる
04 か多いとをこな多かな多尓より可个て
05 おの者れぬ个しきそわひ
  そてのいろを者いとゝ万し个る」(107ウ)

06 王昭君 朝綱卿
  邊風吹断秋心緒隴水流添夜
涙行
07 文集
  晨鶏再〈フタヽヒ〉〈テ〉殘月没〈インヌ〉征馬連〈シキリニ〉〈テ〉行人出
08 角総
  安介万支也止宇々々比呂波可利や
  止宇々々左加利天祢田礼止毛万呂
  比安比介利と宇々々加与利安比
  介利と宇々々(大島本奥入01)」(108オ)

09 いなせともいひ者なたれすうき
  ともせぬなり个り 伊勢
10 世中をうしといひてもいつく尓可
  (+ハ)可く佐むしの
11 な可しとも者てぬむ可しより
  あふ可られ者
12 堂つねくるをしと者す者よ(+さ)のうミに
  もなけ徒へきちこそすれ
13 ほりこく多なゝしをこき可へり
  おな尓やこ日わ多りなむ」(108ウ)

14 若草の尓ゐ(+めて
15 しろのこは多のさと尓む万ハあれと
16 世中をな尓ゝ多とへむあさ本ら
17 いそふるのさとい可な
  をちのさと可す見(△&見)へ多てゝ
18 尓多にゆと者えしあさな/\」(109オ)

19 雲井尓てとを山鳥の者つ可尓も
  ありとしきけ盤こひつゝもをら
20 い可なれ者あふミのうミの(の$そ可ゝりてふ
  るめの多えておひ年ハ
21 伊てのみそよき月草(は$の)
  うつし者いろこと尓して
22 とり可へすもの尓も可那や世中
23 うらわ可見ねよけ尓ゆるわ可くさを
  のむすハむをしそふ」(109ウ)

24 者つのなとめつらしきの者そ
  うらなく日个る
25 樂府 李夫人
  漢武帝初喪
〈ウシナヘリ〉李夫人〈ヲ〉々々病〈セシ〉〈尓〉
  不
〈カヘンス〉〈ワカレ〉死後留得生前恩
  君恩未
〈サレハ〉〈ツキ〉念未已〈ヤマ〉甘泉殿
  裏令
〈シム〉〈ウツサ〉〈カタチヲ〉丹青畫出〈カキイタシテ〉〈ツヒニ〉
  何
〈ナンノ>〈エキカアル〉」(110オ)

  不言
〈モノイハ〉〈レハ〉〈ワラハ〉〈ウレヘ〉〈ソマシム〉〈ヲ〉又令方士〈ヲ〉
  合
〈アハセ〉〈レイ〉〈ヲ〉玉釜〈フ〉煎練〈センレンシテ〉金爐〈ロニ〉〈タク〉
  九華
〈キウクワ〉帳深〈フカウシテ〉夜悄々〈タリ〉反魂〈ノ〉〈カウ〉
  反
〈カヘス〉夫人魂〈ヲ〉夫人之魂在〈アル〉〈イツレノ〉〈トコロニカ〉
  香
〈カウノ〉〈ケフリニ〉〈ヒカレテ〉〈イタル〉〈タク〉〈ヲ〉〈トコロニ〉既来〈テ〉〈ソ〉
  苦
〈クルシフ〉〈サルコトヲ〉須臾〈シハラクタモ〉縹眇悠揚〈トシテ〉〈テ〉
  滅
〈キエ〉〈サンヌ〉〈コト〉〈ソ〉〈スミヤカニ〉兮来〈コト〉〈ソ〉〈キ〉」(110ウ)

  〈ソレ〉〈カ〉〈アラヌ〉〈カ〉〈ナカラ〉不知翠娥〈ハ〉
  髣
〈ハウヒタレトモ〉平生〈ヘイセイノ〉〈カタチニ〉似昭陽〈ニ〉〈フセン〉
  疾
〈ヤマヒニ〉〈ニタモ〉魂之不〈サル時ニモ〉来君心苦〈シフ〉
  魂之来
〈キタヌル時ニモ〉兮君思悲〈フ〉〈ケ〉〈ヲ〉
  隔
〈ヘタテゝ〉〈ヲ〉不得語〈モノカタリスルコト〉〈イツクンソ〉〈モテ〉〈ク〉
  来
〈テ〉〈ハルカニ〉〈ミタルヲ〉」(111オ)

  傷
〈イタマシムルコト〉心不〈アラス〉獨武皇帝〈ノミニ〉〈イ〉古及〈ヲヨフマテニ〉
  今多
〈ク〉〈コトシ〉〈カクノ〉君不〈ヤ〉見穆王三日
  哭
〈センヲ〉重璧臺前傷〈ムシヲ〉感姫
  又不
〈ヤ〉見秦陵一椈〈ノ〉〈ヲ〉
  嵬
〈ノ〉路上〈ホトリニ〉〈フシテ〉楊妃〈ヲ〉縦令妍
  姿艶骨
〈ヲ〉〈シテ〉〈ナラ〉土此恨長在〈テ〉
  無銷期生思惑
〈マトハス〉死思惑〈マトハス〉」(111ウ)

  〈ケヤケキ〉物感人忘不得人非〈レハ〉
  石皆有情不
如不〈サラムニハ〉遇傾城〈ケイセイノ〉(大島本奥入02)
26 あすしらぬわ可へとくれぬ万の
  遣ふ者こそかなし可り个れ
27 い者そゝく山井をむす日あけて
  堂可多めおしきいのちと可しる
28 伊尓しへももむ可しもゆくすゑも
  かくそてひつるおり者あらしを」(112オ)

29 みなといりのあしわ遣をふねさ者り/おほ見
30 遺愛寺鐘敧枕聴香鑪
  峯雪撥簾看
31 涅槃経
  雪山童子半偈投身
  諸行無常是生滅法生滅々已
  寂滅為樂
(大島本奥入03)」(112ウ)

32 い可てつれなを可へて
  く累しき日しらせむ」(113オ)

33 伊勢集
   つね尓なやましくせさせ个るをつゐ尓
   六月尓可くれ多万ひ尓个るあさましく
   いみしく可なしくてつ可う万つりし
   さな可らあつ万りてよるひるなき可な
   しひこ日多て万つる尓のちのわさの
   おり尓やう/\なりぬあめのふる日心
   しといひし志も尓なむこもりゐ
   多り个るうへのあつ万りてわさ
   のくみをなむし个るしもる」(113ウ)

   人いと者より者て多まうつなり
   多ゝい万な尓わさを可し多万ふ
   こゝ尓者あめをない多して
   な可めとい日あけ多り个れ者
   うへのおもと多ちのかへし尓は
   いと者より者てゝいま者ねをな
   よりあハせてなといひをこせ
   多れハしも
  よりあ者せてなくなるこゑをいと尓/して
  わ可なみ多を者多万尓ぬ可な(大島本奥入04)」(114オ)

(白紙)」(114ウ)