First updated 7/14/2002(ver.1-1)
Last updated 3/21/2022(ver.2-2)
渋谷栄一翻字(C)

  

総角

《翻刻資料》
凡例
1 底本には、大橋寛治氏蔵本『源氏物語 奥入』(複刻日本古典文学館 昭和46年10月)を使用し、自筆本の欠脱は、高野本(日本古典文学影印叢刊19)により、また判読不明箇所等は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」所収の「奥入(第二次)定家自筆本」を参照し、漢字仮名字母翻字法によって翻字した。ただし、巻尾本文は省略した(翻刻資料の凡例を参照)。
2 頁数は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」に従って、復元した「自筆本奥入」の頁数となっている。
3 青表紙本「源氏物語」の「奥入・付箋」に見られる注記には、その注記番号を付けた。
4 行間書き入れ及び割注等は< >で記した。改行は/で記した。朱書は、その語句の冒頭に<朱>と記した。
5 墨筆による末尾本文の削除符号や朱筆による掛点符号は、それぞれ<墨>\、<朱>\と記した。
6 私による注記や定家自筆本、明融臨模本、大島本等において、奥入また付箋に引用されている注釈は( )で記した。
7 本文の校訂記号は次の通りである。
 $(ミセケチ)・#(抹消)・+(補入)・&(ナゾリ)・=(併記)・△(不明文字)
( )の前の文字と( )内の記号の前の文字は訂正前の本文を表し、記号の後の文字はその訂正後の本文を表す。
8 訓点や送り仮名は< >で記した。但し、返り点、朱点は省略した。
9 作字した文字は[ ]で記した。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。

角総(後書加)

01 をうしとふ尓きえぬれハ
  かくてもへぬるもの尓そあり个る
02 よりあ者せてなくなるこゑをいと尓/して
  わ可なみ多を者多ま尓ぬ可なむ
     <七条后崩之時伊勢哥也
03 いと尓よると(+者)なし尓わ可れちの
  ほそくもおもほゆる
04 か多いとをこな多かな多尓より可个て
05 おの者れぬ个しきそわひ
  そてのいろを者いとゝ万し个る」(107ウ)

06 王昭君 朝綱卿
  邊風吹断秋心緒隴水流添夜
涙行
07 <文集
  晨鶏再<フタゝヒ><テ>殘月没<インヌ>征馬連<シキリニ><テ>/行人出
08 角総<呂>
  安介万支也止宇々々比呂波可利や
  止宇々々左加利天祢田礼止毛万呂
  比安比介利と宇々々加与利安比
  介利と宇々々(大島本奥入01)」(108オ)

09 いなせともいひ者なたれすうき
  ともせぬなり个り 伊勢
10 世中をうしといひてもいつく尓可
  を(+ハ)可く佐むしの
11 な可しとも者てぬむ可しより
  あふ可らのれ者
12 堂つねくるをしと者す者よ(+さ)のうミに
  もなけ徒へきちこそすれ
13 ほりこく多なゝしをこき可へり
  おな尓やこ日わ多りなむ」(108ウ)

14 若草の尓ゐ(+をそめて
15 しろのこは多のさと尓む万ハあれと
16 世中をな尓ゝ多とへむあさ本ら遣
17 いそふるのさとい可ならむ
  をちのさと可す見(△&見)へ多てゝ
18 尓多にゆと者えしあさな/\」(109オ)

19 雲井尓てとを山鳥の者つ可尓も
  ありとしきけ盤こひつゝもをらむ
20 い可なれ者あふミのうミの(の$そ)可ゝりてふ
  るめの多えておひ年ハ
21 伊てのみそよき月草は(は$の)
  うつし者いろこと尓して
22 とり可へすもの尓も可那や世中
23 うらわ可見ねよけ尓ゆるわ可くさを
  のむすハむをしそふ」(109ウ)

24 者つのなとめつらしきの者そ
  うらなく日个る
25 樂府 李夫人
  漢武帝初喪
<ウシナヘリ>李夫人<ヲ>々々病<セシ><ニ>
  不肯
<カヘンス><ワカレ>死後留得生前恩
  君恩未
<サレハ><ツキ>念未已<ヤマ>甘泉殿
  裏令
<シム><ウツサ><カタチヲ>丹青畫出<カキイタシテ><ツヒニ>
  何
<ナンノ><エキカアル>」(110オ)

  不言
<モノイハ><レハ><ワラハ><ウレヘ><ソマシム><ヲ>又令方士<ヲ>
  合
<アハセ><レイ><ヲ>玉釜<フ>煎練<センレンシテ>金爐<ロニ><タク>
  九華
<キウクワ>帳深<フカウシテ>夜悄々<タリ>反魂<ノ><カウ>
  反
<カヘス>夫人魂<ヲ>夫人之魂在<アル><イツレノ><トコロニカ>
  香
<カウノ><ケフリニ><ヒカレテ><イタル><タク><ヲ><トコロニ>既来<テ><ソ>
  苦
<クルシフ><サルコトヲ>須臾<シハラクタモ>縹眇悠揚<トシテ><テ>
  滅
<キエ><サンヌ><コト><ソ><スミヤカニ>兮来<コト><ソ><キ>」110ウ

  <ソレ><カ><アラヌ><カ><ナカラ>不知翠娥<ハ>
  髣髴
<ハウヒタレトモ>平生<ヘイセイノ><カタチニ>不似昭陽<ニ><フセン>
  疾
<ヤマヒニ><ニタモ>魂之不<サル時ニモ>来君心苦<シフ>
  魂之来
<キタヌル時ニモ>兮君思悲<フ><ケ><ヲ>
  隔
<ヘタテゝ><ヲ>不得語<モノカタリスルコト><イツクンソ><モテ><ク>
  来
<テ><ハルカニ><ミタルヲ>」(111オ)

  傷
<イタマシムルコト>心不<アラス>獨武皇帝<ノミニ><イ>古及<ヲヨフマテニ>
  今多
<ク><コトシ><カクノ>君不<ヤ>見穆王三日
  哭
<センヲ>重璧臺前傷<ムシヲ>感姫
  又不
<ヤ>見秦陵一椈<ノ><ヲ>
  嵬
<ノ>路上<ホトリニ><フシテ>楊妃<ヲ>縦令妍
  姿艶骨
<ヲ><シテ><ナラ>土此恨長在<テ>
  無銷期生思惑
<マトハス>死思惑<マトハス>」(111ウ)

  <ケヤケキ>物感人忘不得人非<レハ>
  石皆有情不如不
<サラムニハ>遇傾城<ケイセイノ>(大島本奥入02)
26 あすしらぬわ可へとくれぬ万の
  遣ふ者こそかなし可り个れ
27 い者そゝく山井をむす日あけて
  堂可多めおしきいのちと可しる
28 伊尓しへももむ可しもゆくすゑも
  かくそてひつるおり者あらしを」(112オ)

29 みなといりのあしわ遣をふねさ者り/おほ見
30 遺愛寺鐘敧枕聴香鑪
  峯雪撥簾看
31 涅槃経
  雪山童子半偈投身
  諸行無常是生滅法生滅々已
  寂滅為樂
(大島本奥入03)」(112ウ)

32 い个てつれなを可へて
  く累しき日しらせむ」(113オ)

33 伊勢集
   つね尓やましくせさせ个るをつゐ尓
   六月尓可くれ多万ひ尓个るあさましく
   いみしく可なしくてつ可う万つりし
   さな可らあつ万りてよるひるなき可な
   しひこ日多て万つる尓のちのわさの
   おり尓やう/\なりぬあめのふる日心
   しといひし志も尓なむこもりゐ
   多り个るうへのあつ万りてわさ
   のくみをなむし个るしもる」(113ウ)

   人いと者より者て多まうつなり
   多ゝい万な尓わさを可し多万ふ
   こゝ尓者あめをない多して
   な可めとい日あけ多り个れ者
   うへのおもと多ちのかへし尓は
   いと者より者てゝいま者ねをな
   よりあハせてなといひをこせ
   多れハしも
  よりあ者せてなくなるこゑをいと尓/して
  わ可なみ多を者多万尓ぬ可なむ(大島本奥入04)」(114オ)

(白紙)」(114ウ)