First updated 7/14/2002(ver.1-1)
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渋谷栄一翻字(C)

  

若菜下

《翻刻資料》
凡例
1 底本には、大橋寛治氏蔵本『源氏物語 奥入』(複刻日本古典文学館 昭和46年10月)を使用し、自筆本の欠脱は、高野本(日本古典文学影印叢刊19)により、また判読不明箇所等は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」所収の「奥入(第二次)定家自筆本」を参照し、漢字仮名字母翻字法によって翻字した(翻刻資料の凡例を参照)。ただし、巻尾本文は省略した。
2 頁数は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」に従って、復元した「自筆本奥入」の頁数となっている。
3 青表紙本「源氏物語」の「奥入・付箋」に見られる注記には、その注記番号を付けた。
4 行間書き入れ及び割注等は< >で記した。改行は/で記した。朱書は、その語句の冒頭に<朱>と記した。
5 墨筆による末尾本文の削除符号や朱筆による掛点符号は、それぞれ<墨>\、<朱>\と記した。
6 私による注記や定家自筆本、明融臨模本、大島本等において、奥入また付箋に引用されている注釈は( )で記した。
7 本文の校訂記号は次の通りである。
 $(ミセケチ)・#(抹消)・+(補入)・&(ナゾリ)・=(併記)・△(不明文字)
( )の前の文字と( )内の記号の前の文字は訂正前の本文を表し、記号の後の文字はその訂正後の本文を表す。
8 訓点や送り仮名は< >で記した。但し、返り点、朱点は省略した。
9 作字した文字は[ ]で記した。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。

(若菜下)

01 遣ふのみとをおも者ぬ多尓も
  堂つやすきの可け可ハ(明融本付箋01)
02 ち者や布るのい可き尓者ふくすも
  尓者あへすもミ地し尓个り(明融本付箋02)
03 もみちせぬ者の吹風
  をと尓やをきゝわ多る(明融本付箋03)
04 <朱>ひらのさへ
05 のちよをひと尓なせりとも
  こと者のこりてやなきなむ(明融本付箋04)
06 の可をの多より尓多くへてそ
  うく日すさそふしるへ尓ハやる(明融本付箋05)(この行、切断により左端一部切れる)」(76ウ)

07 <布し万ちの月 十九日>(この行、切断により末尾一字切れる)
08 毛詩云
  女
感陽氣春思男 男感陰氣
  秋思
(明融本奥入02・大島本奥入02)
09 よるもありといふなるありそうみの(の$尓)
  多つしらなミのお尓(明融本付箋06)
10 わ可こゝろなくさめ可ねつ佐らしな
  を者すて尓てるて(明融本付箋07)
11 こひしな者多可な者多ゝし世中
  つねなといひハなすとも(明融本付箋08)
12 まてといふ尓ちらてしとまるらハ
  な尓を佐くら尓万佐まし(明融本付箋09)」(77オ)

13 のこりなくちるそめて多き佐くら
  な尓可うき尓ひさし可るへき(明融本付箋10)
14 ゆふくれ者多と/\し万ちて
  かへれわ可せこその万尓もむ(明融本付箋11)
15 こひの山地のし个ゝれハ
  里といりぬる万とふらむ(明融本付箋12)
16 のあさゆふすゝみある
  なとわ可こひのひまな可るらむ(明融本付箋13)
17<朱>うき尓万きれぬこ日しさの
18 可らのとなりのち可个れハ
  可きよりそ者ちり个累(明融本付箋14)」(77ウ)

19 <朱>掛冠事
  わ可那のまき
   もろ可つら」(78オ)

20 史記 周本紀
  楚有養由基
<ト云>者善<ヨク><ユミイル>者也
  去
<サルコト>柳葉百歩<ニシテ>而射<イル><モゝタヒ><ハナチテ>
  百
<モゝタヒ><アツ>之左右観<ミル>者数千人
  皆曰善
<ヨク><ユミイルト>々々々々(明融本奥入01・大島本奥入01)」(78ウ)

21 掛冠懸車
  東観漢記
<トウクワンカンキニ><ク>王莽<マウカ>居構<キヨセフニ>子宇<シウ><イサム>
  莽
<マウヲ>而莽<マウ><チウス>之逢萌<ハウマウ>謂其<ソノ><イウ><ニ><ク>
  三綱
<カウ>絶矣<タヘヌ><スハ><サラ><ワサハイ><マサニ><ハムトス><ニ>
  解
<トイテ><カウフリヲ><カケテ><トウ><ニ>而去
  蒙求 逢
<ホウ>萌掛冠<ケイクワン>
  後漢
<ニ>逢萌字子康<シカウ>北海<ホカイ>人掛<カケテ><カウフリヲ><サンヌ><ヲ>
  牆
<カキノ><ニ>」(79オ)

  懸車
  古文孝
<ケウ><ニ><ク>七十<ニシテ><テ>致仕<チシ><カケテ><ソノ>
  所
<ノ><ツカフル>之車<ヲ><オク>諸廟<ヘウ><ク>使<シテ>子孫<シソンヲ>
  監
<カンカミテ>而則<モハラ><シム><ツル><ヲ>之終<オハリ><ノ>要然<ヨウセム>
  漢
<ノ><サツ>広徳為<タル事>御史<キヨシ>大夫<フ><スヘテ>十月
  免
<ヘンシテ>帰沛<ハイニ>太守<シユヲ><フ>之界上<サカイノホトリニ><ハイ>以為<ス><エイト>
  懸
<カケテ><ソノ>安車<キヨヲ><ツタフ>子孫<ソンニ><師古<コ><ク><カケテ>其所<ノ>安車<ヲ>以乗栄也
  
致仕<チシゝテ><カクル><マヲ><又>/古法也コセツ>(明融本奥入03・大島本奥入03)」(79ウ)