自筆本奥入
First updated 7/10/2002(ver.1-1)
Last updated 4/20/2021(ver.2-2)
渋谷栄一翻字(C)

  

《翻刻資料》
凡例
1 底本には、大橋寛治氏蔵本『源氏物語 奥入』(複刻日本古典文学館 昭和46年10月)を使用し、自筆本の欠脱は、高野本(大東急記念文庫善本叢刊中古中世篇第1巻)により、また判読不明箇所等は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」所収の「奥入(第二次)定家自筆本」を参照した。ただし、巻尾本文は省略した。
2 頁数は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」に従って、復元した「自筆本奥入」の頁数となっている。
3 青表紙本「源氏物語」の「奥入・付箋」に見られる注記には、その注記番号を付けた。
4 行間書き入れ及び割注等は< >で記した。改行は/で記した。朱書は、その語句の冒頭に<朱>と記した。
5 墨筆による末尾本文の削除符号や朱筆による掛点符号は、それぞれ<墨>\、<朱>\と記した。
6 私による注記や定家自筆本、明融臨模本、大島本等において、奥入また付箋に引用されている注釈は( )で記した。
7 本文の校訂記号は次の通りである。
 $(ミセケチ)・#(抹消)・+(補入)・&(ナゾリ)・=(併記)・△(不明文字)
( )の前の文字と( )内の記号の前の文字は訂正前の本文を表し、記号の後の文字はその訂正後の本文を表す。
8 訓点や送り仮名は< >で記した。但し、返り点、朱点は省略した。
9 作字した文字は[ ]で記した。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。


01ひとたまひ 人給 今出車名也
   権記多有此名(以上、巻名からこの行まで後書き加え)」(24ウ)

02 我をおもふ人をおもはぬむくひにや(この行、継紙上の後補筆、定家別人筆か)
  わかおもふ人のわれを思ハぬ(この行以下、「はるやきぬるとうくひすのなく」まで定家別人筆)
03 さゝのくまひのくまかハにこまとめて
  しハし水かへかけをたにミむ
04 伊勢のうミにつりするあまのうけな/れや
  心ひとつをさためかねつる
05 くやしくそくみそめてけるあさけれハ
  そてのミぬるゝ山の井の水
06 身をすてゝいにやしにけむ思ふより
  ほかなるものハ心なりけり
07 おもハしとおもふもゝのを思なり」(25オ)

  おもハしとたに思ハしやなそ
08 むすひをきしかたミのこたになかりせハ
  なにゝしのふのくさをつまゝし
09 時しもあれ秋やハひとのわかるへき
  さるハ夜さむになれるころしも
10 神な月いつもしくれハふりしかと
  かくそてひつるおりハなかりき
11 しらくものこゝのへにたつミねなれは
  おほうちやまとむへもいひけり
12 いろならはうつるハかりもそめてまし
  おもふ心をしる人のなさ
13 みなれきのミなれそ(て&そ)し(し$)なれてハなれなハ(この行、継紙上の後補筆)」(25ウ)

  こひしからんやこひしからしや(この行、継紙上の後補筆)
14 すゑのつゆもとのしつくやよの中の
15 わかくさのにゐたまくらをまきそめて
  よをやへたてむにくからなくに
16 みかりするかりハのをのゝならしハの
  なれハまさらてこひそまされる
17 あたらしくあくることしをもゝとせの
  はるやきぬるとうくひすのなく
18 <長恨哥>
  鴛鴦瓦冷<ヒヤカニシテ>霜華重舊枕故衾(以下、定家筆か)
  誰与共(大島本奥入03)」(26オ)

19 有所嗟<ナケク>二首 夢<ホウ>得
  庾<イウ>令<レイ>楼<ノ>中<ニ>初<ハシメテ>見<ミシ>時 武昌<フシヤウノ>春<ノ>柳<ハ>似<ニタリ>腰支<コシハセニ>
  相<アヒ>逢<アフシモ>相<アヒ>失<ウシナフシモ>両<フタツナカラ>如<コトシ>夢<ユメノ> 為<ナリ>雨<アメト>為<ナリニケム>雲<クモトヤ>今<イマハ>不<ス>知<シラ>
20 鄂<カク>渚濛<モウ>々<トシテ>烟雨<エンウ>微<ヒナリ> 女郎魂<タマシヒ>逐<ヲフテ>暮雲帰<カヘル>
  只<タゝ>應<ヘシ>長<ナカク>在<アル>漢陽<ノ>渡<ワタリニ> 化<クワシテ>作<ナリ>鴛鴦<ト>一隻<セキニ>飛<トハム>
   夢得ハ白楽天同時之人也
   おもふ人にをくれてつくれる詩也(大島本奥入02)」(26ウ)