First updated 07/10/2002
Last updated 04/08/2024
渋谷栄一翻字(C)

  

末摘花

《翻刻資料》
凡例
1 底本には、大橋寛治氏蔵本『源氏物語 奥入』(複刻日本古典文学館 昭和46年10月)を使用し、自筆本の欠脱は、高野本(大東急記念文庫善本叢刊中古中世篇第1巻物語 平成19年2月)により、また判読不明箇所等は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」所収の「奥入(第二次)定家自筆本」を参照し、漢字仮名字母翻字法によって翻字した(翻刻資料の凡例を参照)。ただし、巻尾本文は省略した。
2 頁数は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」に従って、復元した「自筆本奥入」の頁数となっている。
3 青表紙本「源氏物語」の「奥入・付箋」に見られる注記には、その注記番号を付けた。
4 行間書き入れ及び割注等は〔 〕で記した。改行は/で記した。朱書は、その語句の冒頭に(朱)と記した。
5 墨筆による末尾本文の削除符号や朱筆による掛点符号は、それぞれ(墨)\、(朱)と記した。
6 私による注記や定家自筆本、明融臨模本、大島本等において、奥入また付箋に引用されている注釈は( )で記した。
7 本文の校訂記号は次の通りである。
 $(ミセケチ)・#(抹消)・+(補入)・&(ナゾリ)・=(併記)・△(不明文字)
( )の前の文字と( )内の記号の前の文字は訂正前の本文を表し、記号の後の文字はその訂正後の本文を表す。
8 訓点や送り仮名は〈 〉で記した。
9 作字した文字は[ ]で記した。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。
11 奥入の01~08までが「伊勘」(藤原伊行「源氏釈」)からの引用、09~18は定家が追加した「書加」の注釈。

末摘花(本紙と継紙上に書加)

 伊勘(△△&伊勘 本紙と継紙上の「末摘花」の上に書加)
01 (墨)琴詩酒友皆抛我雪月花時尤憶君(大島本奥入01 \は除去符号)
02 (朱線で「若紫」巻の「くらふの山」と「ちはやふる」云々の間へ移動させる記し有り)伊毛可々度世奈可々度 由支須支
  可祢天也 和可由可波 比知可左の比知
  可左のあめもふらむしてた
  を左あ万やとり可さやとりて
  まからむして多をさ(大島本奥入02)
03 わ可尓多徒すゑのまつ
  そよりのこえき」(15オ)

04 白雪白雪$あハゆき)者遣ふ者な布りそ白妙
  まきほさむもな(大島本付箋02)
05 こきし可とも
  をあく多尓うつろひ尓个り(大島本付箋03)
06 あら多満の年立帰朝より
  ま多るゝ者うく日すのこゑ
07 もゝちとりさへ徒る者る者とに
  あら多万れとも布りゆく(大島本付箋04)
08 とこそへ个れとおほつ可な
  ねぬ尓し可ハわきそ可年つる(大島本付箋05)」(15ウ)

 書加(この行、継紙上に一部掛る)
09 北窓三友 文集六十二 三友是也
  今日北窓下 〈ラ〈トフ〉〈ソ〉所為〈スル〉 欣然〈キムセムトシテ〉得三友
  三友〈ハ〉者為〈スル〉 琴罷〈ヤム〉〈スナハチ〉〈キヨス〉 酒罷輙吟〈キム〉
  三友逓〈タカヒ〉相引 脩環〈シウクワンシテ〉無已〈ヤム〉 〈タヒ〉〈タムシ〉〈カナヘリ〉中心
  一詠〈シ〉〈ノフ〉四支 猶恐〈ヲソラク〉中有間〈ヒマ〉 以酔弥〈ヒ〉〈ホウ〉(大島本奥入05)」(16オ)

10 お者す者おも者すとやハ伊ひ者てぬ
  な世中多ま多すきなる(大島本付箋01)
11 志多尓のみこ布れ者くるしのは尓
  ま多るゝのあらハれ者い可尓
12 布るき 〈フルキ〉といふけものゝか者の/きぬ
13 文集秦中吟
  夜深〈フケテ〉〈ロ〉火盡〈ヌ〉 霰雪白〈シ〉〈フン〉(この行、左端一部、継紙上に掛る)」(16ウ)

  〈ワカキ〉〈ハ〉形不蔽〈カクレ〉 老者〈ハ〉〈テイ〉無温〈アタゝカナルコト〉
  悲端〈ヒタント〉与寒氣〈キ〉 併入〈テ〉鼻中〈ウチ〉〈カラシ〉(大島本奥入03)
14 〈メ〉を 春日尓てハみ可さのと/う多ふ(大島本奥入04)
  此事猶不叶歟〕(頭注)
15 平中妻哥云々
  尓こそつらさ者可みすれとも
  尓すみ徒くかほのけしきよ(大島本付箋06)
16 尓ほ者ねとほおゑむをこそ
  もお可しとなりてな可むれ(大島本付箋07)
17 わ可むと本り 王孫をいふ
18 可とそるとうちすして伊行釋不相叶可勘之」(17オ)

(空白)」(17ウ)