First updated 02/01/2003
Last updated 04/05/2024
渋谷栄一翻字(C)

  

桐 壺

《翻刻資料》
凡例
1 底本には、大橋寛治氏蔵本『源氏物語 奥入』(複刻日本古典文学館 昭和46年10月)を使用し、自筆本の欠脱は、高野本(大東急記念文庫善本叢刊中古中世篇第1巻物語 平成19年2月)により、また判読不明箇所等は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」所収の「奥入(第二次)定家自筆本」を参照し、漢字仮名字母翻字法によって翻字した(翻刻資料の凡例を参照)。ただし、巻尾本文は省略した。
2 頁数は、池田亀鑑『源氏物語大成』巻七「研究資料篇」に従って、復元した「自筆本奥入」の頁数となっている。
3 青表紙本「源氏物語」の「奥入・付箋」に見られる注記には、その注記番号を付けた。
4 行間書き入れ及び割注等は〔 〕で記した。改行は/で記した。朱書は、その語句の冒頭に(朱)と記した。
5 墨筆による末尾本文の削除符号や朱筆による掛点符号は、それぞれ(墨)\、(朱)と記した。
6 私による注記や定家自筆本、明融臨模本、大島本等において、奥入また付箋に引用されている注釈は( )で記した。
7 本文の校訂記号は次の通りである。
 $(ミセケチ)・#(抹消)・+(補入)・&(ナゾリ)・=(併記)・△(不明文字)
( )の前の文字と( )内の記号の前の文字は訂正前の本文を表し、記号の後の文字はその訂正後の本文を表す。
8 訓点や送り仮名は〈 〉で記した。
9 作字した文字は[ ]で記した。
10 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。
11 奥入01〜09は藤原伊行「源氏釈」からの引用、奥入10〜19が定家の書き加えた注釈である。

桐壺(継紙上、切断後の書加)

 このまき 徒本せんさい(この行の右端一部、継紙上にかかる)
  或本分奥端有此名謬説也
  一巻之二名也(以上、切断直後の書加注記)

 伊行朝臣勘
01 ある者ありのすさひ尓ゝく可りき
  なくてそ能こひし可り个る(明融本付箋02)
02 む者多満のやみのうつゝ者佐多可なる
  尓いくらも万佐らさり个り(明融本付箋03)
03 やへむくらしけれるやとのさひしき尓
  こそえね者き尓个り此哥非其時古哥不可為證哥(自筆本判読不明箇所あり、大成翻刻参照)
04 問人も/なき/やと/なれとくる者る者 貫之哥 八重むくらにも佐ハらさり个り〕(欄外 自筆本判読不明箇所あり、大成翻刻参照 明融本付箋04)」(1オ)

05 い可尓してあ里と志られし堂可佐この
  まつのお者むことも者徒可し
06 ひとのやの者やみ尓あらねとも
  思道ぬる可那(明融本付箋05)
07 長恨哥
  歸来〈レ〉池苑皆依〈レリ〉〈フルキ〉大液芙蓉未央柳(明融本奥入01)
08 在天願作〈タラム〉比翼鳥在地願為連理枝(明融本付箋06・奥入02)
09 堂万す多れあくるもしら須ねし
  ゆめ尓もしとひかけきや(この行の左端一部、継紙上にかかる 明融本付箋08・奥入03)」(1ウ)

 書加之(この行の右端一部、継紙上にかかる)
10 寛平遺誡(明融本奥入04)
  外蕃〈クワイハム〉之人必所〈ラレム〉召見〈メシミ〉〈モノ〉在簾中
  〈ミヨ〉之不可〈ヘカラ〉〈タヽチ〉〈ムカフ〉耳李環〈リクワン〉〈チン〉已失〈セリ〉
  之慎〈ツヽシメ〉
11 三条右大臣家屏風 貫之〕(明融本付箋04・奥入06)
  (朱)とふきやとなれとくる
  やへむくら尓もさはらさり个り
12 命婦 女房五位〈シヨ〉するをいふ
  〈リヤウニ〉〈ク〉謂婦人帯〈タイセルヲ〉五位以上曰為内命婦也
  五位以上妻曰外命婦」(2オ)

13 まくら(明融本奥入07)
  あけくれのことくさのよし
14 なのすみ可堂つねいて多り个む
  か多みの可むさし(明融本奥入08)
  長恨哥傳
  〈サシ〉〈ヘキ〉女取〈トリ〉金釵〈サ〉鈿合〈テンカウ〉各折〈ツムオリ〉其半
  〈サツケ〉使者曰為我謝〈シヤセマク〉太上皇〈シムテ〉是物
  〈ネヨ〉〈キ〉〈ヒヲ〉
15 とをかゝけ徒くして(この行の左端、一部継紙にかかる 明融本奥入09)」(2ウ)

  同長恨哥(この行、継紙上の後補筆)
  夕殿螢飛思悄然秋燈挑〈カヽケ〉〈ツクシ〉未能〈アタハ〉
16 あさまつりこと者をこたら(明融本付箋09・奥入10)
  春霄苦〈イト〉〈ミシカクシテ〉日高〈タケテ〉〈オク〉従是〈コレヨリ〉君王不早朝〈アサマツリコ〉
17 右近のつ可さのとのゐのこゑきこゆるハうし尓なりぬるなる/へし〕(明融本奥入11)
  〈ヰ〉一剋〈ニ〉左近衛夜行官人初奏時
  〈ル〉子四剋
  丑一剋右近衛宿申〈トノヒマウシ〉事至卯一剋
  内竪〈シユ〉亥一剋奏〈ス〉宿簡〈トノイフタヲ〉」(3オ)

18 延長七年二月十六日當代源氏二人元服(明融本奥入12)
  垂
〈レテ〉母屋壁代〈ロヲ〉〈テス〉〈ノ〉御座一〈ヲ〉其所〈ニ〉〈イ〉〈ノ〉
  御座〈ヲ〉孫庇第二間〈ニ〉引入左右大臣座
  其南第一〈ノ〉〈ニ〉〈ヲイテ〉円座二枚一〈ヲ〉冠者〈ノ〉一〈ト〉〔〈ナラヒテ〉/西
  面又円座〈ノ〉〈ニ〉円座〈ヲ〉又其下〈ニ〉/理髪〈ノ〉〈ヲ〉皆盛〈モル〉柳筥〈ニ〉〕先両大臣被〈ツク〉
  〈マツ各円座引入訖〈ヲハテ〉還着〈ツク〉本座一〈ニ〉次冠者
  二人立座〈ヲ〉退〈シリソキオル〉於侍〈ライ〉〈ニ〉〈アラタム〉衣装一〈シヤウヲ〉此間〈アイタ〉
  大臣給〈テ〉〈ヲ〉〈シテ〉庭前一〈ニ〉拝舞〈ス〉〔〈ス〉〈チヤク〉/〈ヲ〉〕仙華門
  退出〈ス〉射場一〈ユハニ〉〈ス〉〈ヲ〉撤禄〈ヲ〉次冠者二人(この行の左半分、継紙上に書かれる)」(3ウ)

  〈テ〉仙華門一〈ニ〉庭中一〈ニシテ〉拝舞〈ス〉退出参〈テ〉仁和寺一〈ニ〉(この行の右半分は、継紙上)
  帰参宸儀〈シムキ〉〈キヨス〉侍所〈ノ〉倚子一〈ニ〉親王左右大臣
  已下近〈キン〉臣等同候〈候〉〈ハイ〉酒御遊両源氏
  此座四位親王之次一〈ニ〉レ〈テ〉〈オホセニ〉〈オク〉方壁下也深更〈ニ〉大臣
  以下給禄〈ヲ〉両源氏〈ノ〉〈イヱ〉各調〈ウシテ〉〈トム〉食廿具一〈ヲ〉
  〈シム〉〈ワカタ〉諸陣所々〈ニ〉
19 屯食事(明融本奥入13) 天慶三年親王元服日
  内蔵寮十具穀倉〈コクサウ〉院十具已上検校〈ケンケウ〉太政大臣
  〈セテ〉〈ヲ〉調〈ス〉之衛門府〈ノ〉五具督仰儲〈マウケ〉之左馬寮」(4オ)

  五具御監〈ケン〉仰儲之
  南殿版〈ハン〉〈ノ〉東其東春興殿〈ノ〉西〈ニ〉辛櫃〈カラヒツ〉
  十合一〈ヲ〉〈クタム〉等物有宣旨〈ヨリ〉長楽門出入〈ス〉
  上卿仰〈テ〉弁官一〈ニ〉給所々一〈ニ〉史二人勾當〈コウタウ〉
  其事仰〈テ〉検非違使一〈ニ〉令分給
  弁官三太政大臣大臣官歟二左右近三具左右兵衛二
  左右衛門二蔵人所二内記所一薬〈クス〉殿一
  御書所一内竪〈シユ〉所一校書〈シヨ〉殿一作物〈ツクモ〉所一
  内侍所四采女〈ウネヘ〉一内教坊一糸所一御匣殿一」(4ウ)