紫式部日記
First updated 05/01/2004
Last updated 12/21/2023
渋谷栄一翻字(C)

紫式部日記絵詞

凡例
1.本文は『紫式部日記絵詞』(1978年 日本絵巻大成9 中央公論社)により、五島美術館開館25周年記念特別展観図録『紫式部日記絵巻と王朝の美』(1985年 五島美術館)を参照し、漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
2.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
3.変体仮名はその字母で翻字した。
4.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
5.判読不能文字は□で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「」と付記した。
7.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形で書き分けられている所は茶色で表示し、同じ字母字形で書かれている所は緑色で表示した。
8.資料は各所蔵者毎に作品の順序に従って配列した。
9.人名注記また官職注記は〔 〕で記した。割注は/で改行を表した。
10.和歌には黒川本「紫日記」の歌番号を記した。

「蜂須賀家本」(重要文化財 蜂須賀家蔵 1巻)

 三日ならせよハ可さ大夫
 よりハし免てうふや志なひつ可
 うまつる右衛門督大夫斉信まへの
 ちんの可遣ハん志ろ可ねのさらな
 くハしくハ源中納言権大夫俊賢
 宰相
権亮實成むつきこ
 ろも者古のを多ていれか多ひらつゝミ
 おゝい志多つくゑなとおしことの
 をなしゝろさなれとも志さま
 こゝろ/\えて志つく新堂りあ
 ふミのかミ者おほ可多のことゝもをや
 つ可うまつひん可しの堂いの
 尓しのひさ志者かん多ち免能さき
 堂越可ミ尓てきやう尓
 さし尓殿上人さハ尓し越可ミな
 しろきあや能ひやうふもやの
 すミ尓そへてとさまに堂てわ多
 し堂り」(第1段詞)

(第1段絵)

 五日殿うふや志な
 十五日くも里なくおもし
 ろき尓いけの見きハち可く可ゝり
 もこの志多尓ともしつゝとしき
 堂てわ多すあや志き志つ
 おのさゑつ里あ里くけしきとも
 まていろふし尓堂ち可おりと
 のも里可多ちわ多れるけ者ひ越
 こ多らすひるのやうなる尓こゝか
 しこ能い者の可くれこのもと尓う
 ちむれつゝおる可ん多ち免のすい
 しんな登やう能ものともさへお
 しゝか多らふへ可んめることハ可
 世中能ひ可りいておハしま新
 堂ること越可け尓いつ志可とおもひ
 しもよひかを尓そすゝろ尓う
 ちゑミこゝちよけなるやまいて
 殿者な尓ハ可里のかす尓
 しもあらぬもこしうちかゝ免て
 ゆきち可ひいそ可しけなるさまし
 てとき尓あひ可本なり」(第2段詞)

(第2段絵)

 おもの万いるとて女房八人ひとつ
 いろ尓さうそきてかミあ遣志ろき
 もとゆひしてハ□とり
 つゝき□いるこよひのま□なひ□
 ミやの内侍いともの/\志くあさや□
 なるやう多いもとゆひ者□し多る
 可ミのさ可りハつねよりもあらま
 本しきさましてあふき尓者□れ
 多る可多ハら免□といときよけ尓
 りし可なかミあ遣堂る女房
 式部加賀守志けの□□小左衛門故備中守みち/とき可
 小兵部□可ミあきまさ可/とそいひ个る〕大輔伊勢斎主す遣/ち可ゝ
 むま左衛門大夫□りのふ可こむ万左衛門佐/ミちのふ可
 小兵部蔵人なるち可多ゝか小木工〔もくのせう/堂いらの〕
〔のふよし登いひ□なる/り〕可多ちなとお可し
 きわ可のかきり尓てさしむ可ひ
 つゝゐわ多りたりしハいとる可
 ひこし可ふくるまゝ尓
 くまなき尓いきのおものハうねへ
 とも万いるとのも里かんも里の
 くわん可本もミしらぬをりミ可と
 つ可さな登やう能□能尓やあらん」(第3段詞第1紙)

 おろそ可尓さうそきけさうし
 つゝおとろの可んさしおほや□/\
 しきさまして志んてんのひん
 可しのらうわ多殿のくち万て
 をしこ見てゐ多れ者もえ
 とをり可よハ須」(第3段詞第2紙)

(第3段絵)

(第4段絵)

(第5段絵)

 おもの万いり者てゝ女房ミすの
 もと尓いて井堂里本可け尓
 きら/\登えわ多る尓お
 きふのおもとのも可らきぬを
 をのやまのこまつ者ら越
 ぬい多るさまいとお可しおほし
 きふ者見ち能く尓の可ミ能免
 殿のせんしなり」(第4段詞)

(第6段絵)

 そのよ能まへのあ里さまいと
 ひと尓ま本し个れハよいの
 そう能さふら布ひやうふをゝ
 しあ遣てこの□□ハ可うい
 と免て多きことま多多ま
 ハし登いひし可ハあな可しこ/\
 と本んそんをハおきてをすり
 てよろこひし」(第5段詞)

(第7段絵)

 のおまへ尓てしゆの/\よま
 せとしてさる佐まのこと志ろし
 めさま本し遣尓おほい多りし可者
 いと志のひて人候者ぬもの/\ひま/\ニ
 おとゝしのころより樂府といふゝミ
 二巻をそ志と遣なゝからお志へ多てき
 古えさせてる可く志も志のひ
 させ志可とも殿もうちも个しき越
 志らせ御文とも越めて多う可ゝせ
 てそとの者堂て万つらせ」(第6段詞)

 きぬ尓あをいろをゝしかへしき堂る
 ね多遣なりわらハのか多ちもひとりハいと
 ま本尓えす宰相中将ハわらハいとそ
 □や可尓可ミともお可しなれすき堂る
 一人をそい可尓そのいひ志ミな
 きあ古免尓うハき者こゝろ/\なり可□
 □ハいつえなるな可にお者りハ多ゝゑひ
 そ免をきせ多り/\ゆへ/\しく
 あるさま志てものゝいろあひつやな
 いとすくれ多り志もつ可への尓いとか可
 本すくれ多るとるとて六位くら
 ともよる尓となけやり多るこ□やさ□
 きもの可らあま里尓ハあらぬ可とゆ」(第7段詞)

(第8段絵)

「藤田家本」(国宝 藤田美術館蔵 1巻)

 上達部を堂ちてハしの
 うへ尓まいり給殿をハしめたて万
 つりて堂うち可ミのあらそひい
 とまさな志う多ともあ里女房さ可つ
 きなとあるをりい可ゝハいふへきな
 くち/\こゝろみる
05  めつら志きひ可りさしそふさ可
   もちな可ら古そちよもめくら免
 四条大納言もさしいてん本とう多を
 者さるもの尓て古者つ可ひよういゝ
 累へしなとさゝ免きあらそふ本と
 耳ことおほくてい多うふ遣ぬ
 れ者尓やとりわきてもさゝて万可
 てろくともかん多ちめ尓ハ
 さうそく尓むつきやそ
 多らん殿上四位ハあハせひと可さ
 ね者可ま五位ハうちき可さね六位
 者ハ可まひとくそえし」(第1段詞)

(第1段絵)

 ま多のよいとおも志ろし
 さへお可しき尓わ可き者ふね尓
 の里てあそふいろ/\なるおりよ
 里もおしさま尓さうそき堂
 累やう多い可ミの本とくも里な
 ゆこ大輔个んしきふミやき
 の侍従五せちう古むひやうゑ
 小衛門むまやすらい伊勢人
 ハしち可くゐ多る越さい中将
 経房とのゝ中将のきミ教通いさな
 いて多て万てのさい中将兼隆
 尓さ越さゝせてふね尓のせ
 多へ者すへりとゝまりてさすか
 うらやましくやみい多し
 つゝい多里」(第2段詞)

(第2段絵)

 あま多阿里といふ者
 うへともなりけ里藤三位をハ
 志め尓て侍従命婦藤少将
 命婦むまの命婦ちくせんのミやうふ
 せう能命婦あふミの命婦とそ
 きゝしミも志らぬひと/\なれハ
 ひ可こともらん可しひとも万
 とひいりぬ殿いてゐておほすこ
 な个しきにもてハや志多ハふれ
 くりともしな/\尓堂まふ」(第3段詞)

(第3段絵)

 七日よハおほや遣能うふや志な
 くら少将みちまさ越つ可ひニて
 ものゝかす/\かきたるふミやない者古ニ
 いれて万いれ里や可て返給勧学院
 ともあゆミつゝきて万いれるけさむ
 の文又けいすかへしろくとも
 しこよひのき志きハことにまさ
 里ておとろ/\志くのゝ志る尓御丁
 をのき万いらせ多れハかく
 やともてさハ可れうるハしき
 御氣志き尓もえさせハすゝ古志
 うちなやミおもやせておほんとのこも
 れるありさまつねよりもあえ可に
 わ可くうつくし遣なりちいさきとう
 ろを御帳尓可遣多れ者くも里な
 き尓いとゝ志きいろあひそこひも
 らすきよらなる尓こち多き
 ハゆひてまさらせわさなりけ里と
 可遣満くもいとさらなれ者えそかきつゝ遣
 らぬおほ可多のことゝもハひとのお
 こ上達部のろくハミすのよりさう
 そ登そへてい多す殿上人
 とうふ多り越者志免てよりつゝとる」(第4段詞)

(第4段絵)

 行幸ち可くなりぬとてとのゝうちを
 いよ/\つくろひミ可ゝせよにをも
 しろきゝくのねを堂つねつ
 本りて万いるいろ/\うつろひ多るも
 きなる可ミあるもさま/\尓うゑ
 多て堂るもあ佐き里能堂えま尓
 ミわ多し堂るハけ尓おひも志そ
 ぬへきちする尓なや万いて思事
 のす古志もなの免なるらまし可ハ
 すき/\志くもゝてなしわ可やきてつ
 ねなきよ越もすく志てましめて
 堂きも志ろきこと越ミきく
 尓つ遣ても堂ゝ可遣堂里志
 ひく可多のミつよくてうくおもハすニ
 な个可しきこと能まさるそいとくる
 しきやい可ていまハなをものわす
 れ志なんおもふ可ひもなしつミもふ
 可ゝんなりなとあけ多てハうちな
 めてとりとも能思事け耳
 あそひあへる越ミる
06  とり越とやよそ尓ミん
   われもうき多る越すくしつゝ」(第5段詞)

(第5段絵)

「藤田家別本」(田中親美模本 田中家蔵 1葉)

 かれもさこそをや里てあそ
 ふとミゆれと者いとくるし
 かんなりとおもひよそへらる少将
 のきミふミおこせへる返事
 かく尓しくれのさと可きくらせハ
 つ可ひもいそらの个し
 きもちさハきてなんとて古
 しをれ多るやかきませ
 り个んくらうなり尓多る尓
 ち可へりい多う可すミ多るこせ
 んし尓
07  も里なくな可むるそらもかき
   
羅志い可尓志のふる志くれなるらん
 かきつらんこともおほえ須
08  ことハりの時雨のそらハまあれと
   な可むるそてそ可ハくまもな
 あ多らしくつくられ多るふね
 ともさしよせて御覧龍頭
 鷁首のいける可多ちおもひやら
 れてあさや可にうるハし」(第6段詞)

「旧森川家本」(国宝 五島美術館蔵 額装6面)

 くれていとおも志ろきに
 のすけ女房尓あひてとりわき
 多るよろこひもけいせさせんと
 尓やあらんつま登のわ多りも
 ゆとのゝけ者ひ尓ぬれのおとも
 せさり个れ者このわ多とのゝひ□
 む可しのつまなる能ないしの
 つ本ね尓多ちよりてこゝ尓や登あん
 ないしさいハな可能ま尓よりて
 ま多さゝぬ可う志のかミおしあ遣て
 お者すやなとあれといらへもせぬニ大夫
 古ゝ尓やとの尓さへきゝ志のひんもこ
 と/\しきやうなれハ者可なきいらへな
 すいと思事遣なる御氣色ともな
 いらへ者せす大夫とにもてな
 き古ゆことハりな可らわろしかゝる上下
 らう能けち免い多うハわくもの可とあ者
 免給今日の堂うとさなとこゑお可しう
 う多ふふくるまゝ尓いとあ可志かう志の
 もとゝりさ遣よとせへといとく多りて
 可ん多ちめのゐハんもかゝるといひな可らか多
 者らい多しわ可や可なるそものゝ本と志らぬ
 やう尓あ多え多るもつミゆるさるれな尓可あさ
           連者ましをおもへ者ゝな多す」(第1段詞)

(第1段絵)

 い可ハしもつき能つひ多ちの
 れいの/\の志多てゝまう能本
 里あひ多る御前のあ里さまゑ尓
 かい多るも能あ者せ尓そいとよ
 う尓て御帳ひん可しなるを
 ましのき者尓み木丁をおくの
 やう志よりひさしのハしらまてひ万
 もあらせす堂てきりてもてニ
 おまへのも能者万いりすへ堂り西
 尓よりて大宮ものれいのちんの
 おしきな尓くれの堂いなりけん可し
 そなたハま可なひ宰相のきミ
 さぬきとりつ女房さいしもとゆひ
 なとし堂りわ可ミやのま可なひハ
 大納言のきミひん可し尓よりて万いり
 すへ多りちひさき多いさら
 とも者志の多いすハまなともひゝな
 あそひのくとゆそれよりひん可
 志のひさしのミすゝ古しあけて弁内侍
 可さの命婦小中将とさる
 へき可き里とりつゝ万いるおく尓
 ゐてくハしくハ見侍らす」(第2段詞)

(第2段絵)

「旧森川家本」(重要文化財 大倉家蔵 1幅 五島美術館「図録」による)

 こよひ少輔めの登いろゆる
 さるこゝしきさまうちし
 堂里い多き堂て万つり
 御帳のま尓て殿うへい多き
 うつし堂て万つてゐさ
 里いてさせへる本可けの
 まけ者ひこと尓めて堂し
 あ可いろの可ら能ちすり
 のもうるハしくさうそ
 へるもか多しけなくもあハれ尓
 もミゆ大宮者えひそ免のい
 つへのすわうのこう
 ちき堂て万つれ里とのもち
 ゐ者万いり堂まふ」(第3段詞)

(第3段絵)

「旧森川家本」(国宝 五島美術館蔵 額装6面続き)

 大夫ミすのもと尓万いりて可ん
 堂ちめ越まへ尓めさん登けいし
 き古志めしつとあれ者殿よりハしめ堂て
 □つ里てミな万いり者志のひん可し
 のまをニて妻戸万てゐ
 里女房ふ多へへつゝゐわ多りて見すとも
 越そ能ま尓あ堂里てゐへる/\より
 つあ遣給大納言君宰相君小少将
 君宮内侍登ゐへる尓のおとゝよりて御木
 の本ころひ多ち見多りさ多すき多り
 とつき志ろふも志らすをとり堂わふれ
 ことのハしたなきもおほ可り大夫可ハら遣とりて
 そ多にいてへりミのう多ひて
 所ひさまハ可りなれといとおも志ろしそ
 つき能まののハしらもと尓右大将實資よりて
 きぬのつまそてくちかそへる个しき
 よりことなりゑいのまきれをあなつり
 き古えま多ゝれと可ハなとおもひて者可
 なきことゝもいふ尓いミしうされいまめく
 よりもけ尓いとハつ可しけ尓こそお者す
 めりし可さ可のすんのくる越大将ハお
 へ登れいのことなしひのちとせよろつ
 尓てすきぬ左衛門あな可しこゝのわ
 堂りわ可むらさきやとう可ゝ給源氏
 尓るへき者ぬ尓かのうへ
 者まいてい可てものしハん登
 きゝゐ堂り」(第4段詞)

(第4段絵)

「旧森川家本」(重要文化財 森川家蔵 1幅)

 おろし可るへきよ能ゑいな
 免りとミてこと者つるまゝ尓
 のきミ尓いひあハせてかくれな
 むとする尓ひん可しおもてニとのゝ
 多ち宰相中将といりてさハ可
 し个れ者ふ多り御帳のう志ろ尓ゐ
 可くれ多る越とりハら者せてふ多
 里な可らとらへすへさせへり和哥
 ひとつつ可うまつれさらハゆるさんと
 のハすいとわひしくおろし个れハ
 き古ゆ
09  い可尓い可ゝかそへやるへきやちとせ能
   あまりひさしきよ越者
 あハれつ可うまつれる可なとふ多ゝ
 ひ者可りすうせさせていとゝうの
 ハせ多る
10  あ志多つのよ者ひしあらハ可よ能
   ちとせの可すもかそへとりてん
 さハ可りゑいへる御心ち尓もお
 しけることのさ□□れ者いとあハ
 れ尓ことハりなり」(第5段詞)

(第5段絵)

「旧久松家本」(重要文化財 日野原家蔵 1巻)

 里むしのまつ里能つ可ひハとのゝ
 権中将能きミなりそ
 も能いミなれ者殿御とのいせさせ
 へりかん堂ち免もまいのき
 ミ多ちも古も里てよひとよ本そとの
 わ多りいとものさハ可しきけ者ひ
 し多りつと免てとのゝうへも
 万うの本りても能こらんすつ可ひ
 の能ふち可さしていともの/\
 しうおとなへるくらの命婦
 者まひ尓免もミやらすうち
 ま本り/\そき个るものいミ
 なれ者見や志ろよりうしの
 そ可へり万いれ者見可くらなともさ
 □ハ可りな里かねとき可こそ万てハ
 いとつき/\し可里志越こよなくお
 とろへ多るふる万ひそしる万
 しきのうゑなれとあハれ尓
 よそへらるゝことおほく者へる」(第1段詞)

(第1段絵)

 新者すの廿九日尓万いるハし
 免て万いりしもこよひの
 かしいミしうもゆ免ち尓万とハ
 れ志可なとおもひいつれ者こよな
 く多ちなれ尓けるもうとましの
 能本とやとおほゆよい多うふ
 け尓个りものいミ尓おハしま
 し个れ者おまへ尓も万いらす
 こゝろ本そくてうちふし多る尓
 まへな/\うちわ多りハな越
 いとけ者ひことなり个りさとに
 てハいまハねなましものをさもいさ
 ときくつのし遣さ可なといろ免
 可しくいひ井多るをきく
14  としくれてわ可よふ遣ゆくのをと尓
   のうち能すさましき可な
 とそひとり古多れし」(第2段詞)

(第2段絵)

 わ多殿尓ね多るとを多ゝく
 あ里ときけとおろ志さ□
 おともせてあ可し堂るつと□て
17  よもす可らくひなよりけ尓なく□□□
   まき能とくちに多ゝきわひつる
 可へし
18  堂ゝならしとハ可り多ゝく
    ひなゆへあ遣てハい可ニ
     やし可らまし」(第3段詞)

(第3段絵)

 二宮い可ハ正月十五日能あ可
 尓万いる尓小少将きミあ遣ハてゝ
 ハし多なくなり尓堂る尓万いり
 へり尓ゐ多りふ多り能
 つ本ねをひとつ尓あ者せてか多ミに
 さとなる本ともすむひと多ひ尓万いり
 てハ木帳ハ可りをへ多て尓てあり殿
 わらハせか多ミにしらぬもか多ら
 者ゝなときゝ尓くゝされと堂れも
 さるうと/\志きことな个れハやす
 くてな多遣てまうの本る可の
 きミハさくらのおのうちきあ可
 いろ能可らきぬれいのす里もき
 へりこう者い尓もえきやなき能可ら
 きぬも能すり免なといまめかし个れハ
 りも可へつへくそわ可や可なるうへ
 十七人ミや能御方尓万いり多る
 いとミや能ま可なひハ橘三位とりつ
 者志尓ハこ多いふ个ん志きふ尓ハ
 小少将ミ可ときさき御帳うち尓者
 ふ多可らおハしますあさひのひ可り
 あひてまハゆき万て者つ可しけなる」(第4段詞第1紙)

 おまへなりうへ者なをしこくち
 多て万つ里て者れいのくれな
 のこう者いもへきやなきや万
 ふき能うへ尓ゑひそ免のお
 里も能ゝこうちきもんもいろも
 めつらしくいま免可しき堂て万つれ里
 あな多ハいとけそうなれ者このおくニ
 やをらすへりとゝまりてゐ多り
 可さ能免のとミやい多き堂て万
 里て御丁能者さまよりさまに
 いて多て万つるこま可にそひ/\しく
 なともあらぬ可多ち能多ゝゆるゝかにもの/\
 きさまうち志てさる可多に
 へつへく可と/\しきけ者ひそ志多
 累えひそ免のおのうちきむも
 むのあをいろ尓さくら能可らきぬき多
 里そのさうそくいつれと
 なくつくし多る越そてくちのあ者
 ひわろう可さね多るしもまへの
 も能とりいるとてそ古ら能可ん多ち
 免殿上人尓さしいてゝ万本られつ
 とそのちにさいのきミなとくち
 をし可り免里し」(第4段詞第2紙)

(第4段絵)

 ひさしのすあくるきハ尓うゑの
 女房御帳西をもてひのおま志
 尓をしかさね多るやう尓てなミゐ
 堂り三位をハしめて内侍のすけ多
 ちもあま多万いれ里/\者わ可
 うとハな遣しのひん可しのひさし能
 能さうし者なちてミすかけ多るニ
 上臈者井多り御帳のひん可しの者
 さま多ゝすこしある尓大納言のきミ
 少将のきミゐへる尓堂つねきて
 ミるうへハひら志き能をさにおもの
 いりすへ堂里おまへのも能志多るさ
 いひつくさん可多な簀子北向
 西尓て上達部左右内大臣殿春宮
 傅中宮大夫四条大納言れより
 さりき御遊あり殿上人者古の辰巳
 あ多り多る尓さふら布地下ハさ多まれり
 可遣まさのあそんこれ可せのあそんゆきよ
 しとをまさなとやう能/\うゑ尓四条大納言
 者うしとり頭弁ひわことハ経房朝臣左さい
 中将さう能ふゑとそうてう能こゑ尓てあ
 な多ふとつき尓むしろ多この殿とう
 堂ふ可くハとりの者きうあそ尓ても
 うしふくう多に者うしうち多可へ
 と可免られ多りしハいせの可ミ
 尓そありし」(第5段詞)

(第5段絵)

 とゝわこんいとおもしろく
 な登きゝハやしされめり
 し者て尓いミしきあや万ち能
 いとをしきをこそ
 さへひへ者へりし可をくり
 も能ふゑふ多つ者こ尓いれて
 とそ者へりし」(第6段詞)

(第6段絵)