凡例
1.本文は『紫式部日記絵詞』(1978年 日本絵巻大成9 中央公論社)により、五島美術館開館25周年記念特別展観図録『紫式部日記絵巻と王朝の美』(1985年 五島美術館)を参照し、漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
2.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
3.変体仮名はその字母で翻字した。
4.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
5.判読不能文字は□で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形で書き分けられている所は茶色で表示し、同じ字母字形で書かれている所は緑色で表示した。
8.資料は各所蔵者毎に作品の順序に従って配列した。
9.人名注記また官職注記は〔 〕で記した。割注は/で改行を表した。
10.和歌には黒川本「紫日記」の歌番号を記した。
「蜂須賀家本」(重要文化財 蜂須賀家蔵 1巻)
三日尓1ならせ給よハ宮つ1可さ大夫
よりハし免て御うふや志な2ひつ可
うまつる右衛門督〔大夫斉信〕御まへの1事
ちんの可遣ハん志ろ可ねの御さらな1と
くハしくハ見す源中納言〔権大夫俊賢〕藤
宰相〔権亮實成〕者御そ2御むつ1きこ
ろも者古のを多ていれか多ひらつゝミ
お1ゝい志多つ1くゑな1とお1な1しことの
をな1しゝろさな1れとも志さま人の1
こゝろ/\見えて志つ1く新堂りあ
ふミの1かミ者お1ほ可多のこ2とゝもをや
つ1可うまつ1る覧ひん可しの堂いの
尓1しのひさ志者かん多ち免能さき
堂越可ミ尓て二きやう尓南の1ひ
さし尓殿上人の1さハ尓し越可ミな1り
しろきあや能御ひやうふもやの1
すミ尓そ2へてとさまに堂てわ多
し堂り」(第1段詞)
(第1段絵)
五日の1夜者殿の1御うふや志な1ひ
十五日の1月くも里なくお1もし
ろき尓1いけの1見きハち可く可ゝり火
ともこの志多尓1ともしつゝとしき
登も1堂てわ多すあや志き志つ1の
お1のさゑつ1里あ里くけしきとも
まていろふし尓堂ち可お1な1りと
の1も里可多ちわ多れるけ者ひ越
こ多らすひるのやうなる尓1こゝか
しこ能い者の1可くれこのもと尓う1
ちむれつゝお1る可ん多ち免のすい
しんな1登やう能ものともさへお1の
可しゝか多らふへ可んめるこ2とハ可
かる世中能ひ可りいてお1ハしま新
堂ること越可け尓いつ1志可とお1もひ
しも1お1よひかを尓そ2すゝろ尓う
ちゑミこゝちよけな2るやまいて
殿の中能人者な尓ハ可里のかす尓
しも1あらぬもこしうちかゝ免て2
ゆきち可ひいそ可しけな2るさまし
てとき尓あひ可本な1り」(第2段詞)
(第2段絵)
お1もの1万いるとて女房八人ひとつ1□
いろ尓さうそ2きてかミあ遣志ろき
もとゆひして白き御ハ□とり
つゝき□いるこよひの御ま□な2ひ□
ミやの内侍いともの/\志くあさや□
なるやう多いもとゆひ者□し多る
可ミのさ可りハつねよりもあらま
本しきさましてあふき尓者□れ
多る可多ハら免□といときよけ尓
侍りし可な1かミあ遣堂る女房者源
式部〔加賀守志けの□□女〕小左衛門〔故備中守みち/とき可女〕
小兵部〔左□可ミあきまさ可/女とそ2いひ个る〕大輔〔伊勢斎主す遣/ち可ゝ女〕
大むま〔左衛門大夫□りのふ可女〕こむ万〔左衛門佐/ミちのふ可女〕
小兵部〔蔵人なるち可多ゝか女〕小木工〔もくのせう/堂いらの〕
〔のふよし登いひ□なる/人の女な2り〕可多ちな2とお1可し
きわ可人のかきり尓てさしむ可ひ
つ1ゝゐわ多りたりしハいと見る可
ひこ2そ侍し可夜ふくるまゝ尓月
くまな1き尓いきのお1ものハうねへ
とも万いるとのも里かんも里の女
くわん可本もミしらぬをりミ可と
つ可さな1登やう能□能尓やあらん」(第3段詞第1紙)
お1ろそ2可尓さうそ2きけさうし
つ1ゝお1とろの可んさしお1ほや□/\
しきさまして志んてんのひん
可しの1らうわ多殿のくち万て
をしこ見てゐ多れ者人もえ
とをり可よハ須」(第3段詞第2紙)
(第3段絵)
(第4段絵)
(第5段絵)
お1もの万いり者てゝ女房ミすの
もと尓いて井堂里本可け尓
きら/\登見えわ多る中尓お1ほ
しきふのお1もとのも可らきぬを
しをのやまのこまつ1者ら越
ぬい多るさまいとお1可しお1ほし
きふ者見ち能く尓の可ミ能免
殿のせんしな2り」(第4段詞)
(第6段絵)
そ2のよ能御まへのあ里さまいと
ひと尓見せ2ま本し个れハよいの
そ2う能さふら布ひやうふをゝ
しあ遣てこの□□ハ可うい
と免て多きこ2とま多見多ま
ハし登いひ侍し可ハあな1可しこ/\
と本んそ2んをハお1きて手をすり
てよろこひ侍し」(第5段詞)
(第7段絵)
宮のお1まへ尓て文しゆの1所/\よま
せ給な2としてさる佐まのこ2と志ろし
めさま本し遣尓お1ほい多りし可者
いと志のひて人候者ぬもの/\ひま/\ニ
お1とゝしの夏ころより樂府といふゝミ
二巻をそ2志と遣な1ゝからお1志へ多てき
古えさせて侍る可く志侍り宮も志のひ
させ給志可とも殿もうちも个しき越
志らせ給て御文とも越めて多う可ゝせ給
てそ2との者堂て万つらせ給」(第6段詞)
きぬ尓あをいろをゝしかへしき堂る
ね多遣な1りわらハのか多ちもひとりハいと
ま本尓見えす宰相の中将ハわらハいとそ2
□や可尓可ミともお1可しな2れすき堂る
一人をそ2い可尓そ2や人のいひ志ミな1古
きあ古免尓うハき者こゝろ/\な1り可□
□ハいつ1えなるな2可にお1者りハ多ゝゑひ
そ2免をきせ多り中/\ゆへ/\しく
心あるさま志てものゝいろあひつやな1と
いとすくれ多り志もつ可への中尓いとか可
本すくれ多る扇とるとて六位の1くら人
ともよる尓心とな1けやり多るこ□やさ□
きもの可らあま里女尓ハあらぬ可と見ゆ」(第7段詞)
(第8段絵)
「藤田家本」(国宝 藤田美術館蔵 1巻)
上達部の1座を堂ちて御ハしの
うへ尓まいり給殿をハしめたて万
つりて堂うち給可ミのあらそ2ひい
とまさな1志う多ともあ里女房さ可つ1
きな1とあるをりい可ゝハいふへきな1と
くち/\思こゝろみる
05 めつら志きひ可りさしそ2ふさ可月ハ
もちな1可ら古そ2ちよもめくら免
四条の1大納言もさしいてん本とう多を
者さるもの尓1て古者つ可ひよういゝ
累へしな2とさゝ免きあらそ2ふ本と
耳こ2とお1ほくて夜い多うふ遣ぬ
れ者尓やとりわきてもさゝて万可
て給ろくともかん多ちめ尓ハ女の
さうそ2く尓御そ2むつきやそ2ひ
多らん殿上の1四位ハあハせひと可さ
ね者可ま五位ハうちき一可さね六位
者ハ可まひとくそ2見えし」(第1段詞)
(第1段絵)
ま多のよ月いとお1も志ろし比
さへお1可しき尓わ可き人者ふね尓
の里てあそ2ふいろ/\なるお1りよ
里もお1な1しさま尓さうそ2き堂
累やう多い可ミの本とくも里な1く
見ゆこ大輔个んしきふミやき
の1侍従五せち弁う古む小ひやうゑ
小衛門むまやすらい伊勢人な2と
ハしち可くゐ多る越左さい将の1中将
〔経房〕とのゝ中将のきミ〔教通〕いさな2ひ
いて多て万て右のさい将の中将〔兼隆〕
尓1さ越さゝせてふね尓のせ2給可
多へ者すへりとゝまりてさすか
うらやましくやみい多し
つ1ゝい多里」(第2段詞)
(第2段絵)
北の1陣尓車あま多阿里といふ者
うへ人ともな2りけ里藤三位をハ
志め尓て侍従の命婦藤少将の
命婦むまの命婦ちくせ2んのミやうふ
せ2う能命婦あふミの命婦な2とそ2
きゝ侍しミも志らぬひと/\な2れハ
ひ可こ2とも侍らん可し舟の1ひとも万
とひいりぬ殿いてゐ給てお1ほすこ2と
な1き御个しきにもてハや志多ハふれ
給お1くり物ともしな1/\尓堂まふ」(第3段詞)
(第3段絵)
七日よハお1ほや遣能御うふや志な1ひ
くら人の1少将みちまさ越御つ可ひニて
ものゝかす/\かきたるふミやない者古ニ
いれて万いれ里や可て返給勧学院の
衆ともあゆミつゝきて万いれるけさむ
の文又けいすかへし給ろくとも給へ
しこよひのき志きハこ2とにまさ
里てお1とろ/\志くの1ゝ志る尓御丁
の1中をの1そ2き万いらせ多れハかく國
のお1やともてさハ可れ給うるハしき
御氣志き尓も見えさせ給ハすゝ古志
うちな1やミお1もやせ2てお1ほんとのこも
れる御ありさまつねよりもあえ可に
わ可くうつ1くし遣なりちいさきとう
ろを御帳の中尓可遣多れ者くも里な1
き尓いとゝ志き御いろあひそ2こひも
志らすきよらな1る尓こち多き御く
しハゆひてまさらせ給わさな1りけ里と
思可遣満くもいとさらな1れ者えそ2かきつゝ遣
侍らぬお1ほ可多のこ2とゝもハひと夜のお1な1し
こ2と上達部のろくハミすの中より女の1さう
そ2く宮の1御そ2な2登そ2へてい多す殿上人
とうふ多り越者志免てよりつゝとる」(第4段詞)
(第4段絵)
行幸ち可くな2りぬとてとのゝうちを
いよ/\つ1くろひミ可ゝせ給よにをも
しろきゝくのねを堂つねつ1ゝ
本りて万いるいろ/\うつ1ろひ多るも
きなる可ミ所あるもさま/\尓うゑ
多て堂るもあ佐き里能堂えま尓
ミわ多し堂るハけ尓お1ひも志そ2き
ぬへき心ちする尓な1そ2や万いて思事
の1す古志もなの免なる身な2らまし可ハ
すき/\志くもゝてな1しわ可やきてつ1
ねなきよ越もすく志てましめて
堂き事お1も志ろきこ2と越ミきく
尓1つ遣ても堂ゝ思可遣堂里志心の
ひく可多のミつ1よくて物うくお1もハすニ
な1个可しきこ2と能まさるそ2いとくる
しきやい可ていまハなをものわす
れ志な2んお1もふ可ひもな1しつミもふ
可ゝんな2りな2とあけ多てハうちな2可
めて水とりとも能思事な2け耳
あそ2ひあへる越ミる
06 水とり越水の上とやよそ2尓ミん
われもうき多る世越すくしつゝ」(第5段詞)
(第5段絵)
「藤田家別本」(田中親美模本 田中家蔵 1葉)
かれもさこそ2心をや里てあそ2
ふとミゆれと身者いとくるし
かんな2りとお1もひよそ2へらる少将
の1きミふミお1こせ給へる返事
かく尓しくれのさと可きくらせハ
つ可ひもいそ2く又そ2らの个し
きも心ちさハきてな2んとて古
しをれ多る事やかきませ
堂り个んくらうな2り尓多る尓
多ち可へりい多う可すミ多るこせ
んし尓
07 くも里な1くな可むるそ2らもかき
具羅志い可尓志のふる志くれな2るらん
かきつらんこ2ともお1ほえ須
08 こ2とハりの時雨のそ2らハ雲まあれと
な可むるそ2てそ2可ハくまもな1き
あ多らしくつ1くられ多るふね
ともさしよせて御覧す龍頭
鷁首のいける可多ちお1もひやら
れてあさや可にうるハし」(第6段詞)
「旧森川家本」(国宝 五島美術館蔵 額装6面)
くれて月いとお1も志ろきに宮
の1すけ女房尓あひてとりわき
多るよろこひもけいせさせんと
尓やあらんつ1ま登の1わ多りも御
ゆとのゝけ者ひ尓ぬれ人のお1とも
せさり个れ者このわ多とのゝひ□
む可しのつまなる宮能ないしの
つ本ね尓多ちよりてこゝ尓や登あん
な1いし給さい将ハな2可能ま尓よりて
ま多さゝぬ可う志のかミお1しあ遣て
お1者すやなとあれといらへもせぬニ大夫の
古ゝ尓やとの1給尓さへきゝ志のひんもこ
と/\しきやうなれハ者可な1きいらへな2と
すいと思事な1遣なる御氣色ともな2り我
御いらへ者せす大夫越心こ2とにもてな1し
き古ゆこ2とハりな2可らわろしかゝる所尓上下
らう能けち免い多うハわくもの可とあ者
免給今日の堂うとさな1とこ2ゑお1可しう
う多ふ夜ふくるまゝ尓月いとあ可志かう志の
もとゝりさ遣よとせ2免給へといとく多りて
可ん多ちめのゐ給ハんもかゝる所といひな2可らか多
者らい多しわ可や可なる人こ2そものゝ本と志らぬ
やう尓あ多え多るもつミゆるさるれな尓可あさ
連者ましをお1もへ者ゝな1多す」(第1段詞)
(第1段絵)
御い可ハしもつき能つひ多ちの日
れいの人/\の1志多てゝまう能本
里あひ多る御前のあ里さまゑ尓
かい多るも能あ者せ2の所尓そ2いとよ
う尓て侍し御帳の1ひん可しなるを
ましのき者尓み木丁をお1くの御志
やう志よりひさしのハしらまてひ万
もあらせす堂てきりて南お1もてニ
お1まへのも能者万いりすへ堂り西
尓よりて大宮の1お1ものれいのちんの
お1しきな尓くれの堂いな1りけん可し
そ2なたハ見す御ま可なひ宰相のきミ
さぬきとりつ1く女房さいしもとゆひ
な1とし堂りわ可ミやの御ま可なひハ
大納言のきミひん可し尓よりて万いり
すへ多りちひさき御多い御さら
とも御者志の多いすハまな2ともひゝな1
あそ2ひのくと見ゆそ2れよりひん可
志のひさしのミすゝ古しあけて弁内侍
中つ1可さの命婦小中将の君な2とさる
へき可き里とりつ1ゝ万いるお1く尓
ゐてくハしくハ見侍らす」(第2段詞)
(第2段絵)
「旧森川家本」(重要文化財 大倉家蔵 1幅 五島美術館「図録」による)
こよひ少輔の1めの登いろゆる
さるこゝしきさまうちし
堂里宮い多き堂て万つり
御帳のま尓て殿の1うへい多き
うつ1し堂て万つ1里給てゐさ
里いてさせ給へる本可けの御さ
まけ者ひこと尓めて堂し
あ可いろの可ら能御そ2ちすり
の1御もうるハしくさうそ2き給
へるもか多しけな1くもあハれ尓
もミゆ大宮者えひそ2免のい
つ1への御そ2すわうの1御こう
ちき堂て万つれ里とのもち
ゐ者万いり堂まふ」(第3段詞)
(第3段絵)
「旧森川家本」(国宝 五島美術館蔵 額装6面続き)
宮の1大夫ミすのもと尓万いりて可ん
堂ちめ越まへ尓めさん登けいし給
き古志めしつとあれ者殿よりハしめ堂て
□つ1里てミな1万いり給者志のひん可し
の1まを上ニて東の妻戸の前万てゐ給へ
里女房ふ多へ三へつ1ゝゐわ多りて見すとも
越そ2能ま尓あ堂里てゐ給へる人/\より
つ1ゝ巻あ遣給大納言の君宰相の君小少将
君宮の1内侍登ゐ給へる尓右のお1とゝよりて御木
帳の本ころひ引多ち見多り給さ多すき多り
とつき志ろふも志らす扇をとり堂わふれ
こ2とのハしたな1きもお1ほ可り大夫可ハら遣とりて
そ2な1多にいて給へりミの山う多ひて御あ
所ひさまハ可りな2れといとお1も志ろしそ2能
つき能まの東のハしらもと尓右大将〔實資〕よりて
きぬのつ1まそ2てくちかそ2へ給へる个しき
人よりこ2とな2りゑいのまきれをあな2つり
き古えま多ゝれと可ハな2とお1もひ侍て者可
な2きこ2とゝもいふ尓いミしうされいまめく
人よりもけ尓いとハつ1可しけ尓こそお1者す
めりし可さ可月のすんのくる越大将ハお1ち
給へ登れいのこ2とな1しひのちとせよろつ1よ
尓てすきぬ左衛門の督あな1可しこゝのわ
堂りわ可むらさきや候とう可ゝ給源氏□
尓1るへき人も見え給者ぬ尓かのうへ
者まいてい可てものし給ハん登
きゝゐ堂り」(第4段詞)
(第4段絵)
「旧森川家本」(重要文化財 森川家蔵 1幅)
お1そ2ろし可るへきよ能御ゑいな1
免りとミてこ2と者つ1るまゝ尓宰
相のきミ尓いひあハせ2てかくれな1
むとする尓ひん可しお1もてニとのゝ
君多ち宰相の中将な2といりてさハ可
し个れ者ふ多り御帳のう志ろ尓ゐ
可くれ多る越とりハら者せ給てふ多
里な1可らとらへすへさせ給へり和哥
ひとつ1つ可うまつれさらハゆるさんと
の1給ハすいとわひしくお1そ2ろし个れハ
き古ゆ
09 い可尓い可ゝかそ2へやるへきやちとせ能
あまりひさしき君可御よ越者
あハれつ可うまつれる可な2とふ多ゝ
ひ者可りすうせさせ給ていとゝうの
給ハせ多る
10 あ志多つ1のよ者ひしあらハ君可よ能
ちとせの可すもかそ2へとりてん
さハ可りゑい給へる御心ち尓もお1ほ
しけるこ2とのさ□□れ者いとあハ
れ尓こ2とハりな1り」(第5段詞)
(第5段絵)
「旧久松家本」(重要文化財 日野原家蔵 1巻)
里むしのまつ1里能つ可ひハとのゝ
権中将能きミな2りそ2の日ハ御
も能いミな2れ者殿御とのいせさせ
給へりかん堂ち免もまい人のき
ミ多ちも古も里てよひとよ本そ2との
わ多りいとものさハ可しきけ者ひ
し多りつと免てとのゝうへも
万うの本りても能こらんすつ可ひ
の1君能ふち可さしていともの/\
しうお1とな2ひ給へるくらの1命婦
者まひ人尓免もミやらすうち
ま本り/\そ2な1き个る御ものいミ
な2れ者見や志ろよりうしの時尓
そ2可へり万いれ者見可くらな2ともさ
□ハ可りな2里かねとき可こそ2万てハ
いとつき/\し可里志越こよな2くお
とろへ多るふる万ひそ2見しる万
しき人のうゑな2れとあハれ尓思
よそ2へらるゝこ2とお1ほく者へる」(第1段詞)
(第1段絵)
新者すの廿九日尓万いるハし
免て万いりしも1こよひの事そ2
かしいミしうもゆ免ち尓万とハ
れ志可な2とお1もひいつれ者こよな1
く多ちな2れ尓けるもうとましの
身能本とやとお1ほゆよい多うふ
け尓个り御ものいミ尓お1ハしま
し个れ者お1まへ尓も万いらす
こゝろ本そ2くてうちふし多る尓
まへな1る人/\うちわ多りハな越
いとけ者ひことな2り个りさとに
てハいまハねな1ましものをさもいさ
ときくつ1のし遣さ可な2といろ免
可しくいひ井多るをきく
14 としくれてわ可よふ遣ゆく風のをと尓
心のうち能すさましき可な2
とそ2ひとり古多れし」(第2段詞)
(第2段絵)
わ多殿尓ね多る夜とを多ゝく
人あ里ときけとお1そ2ろ志さ□
お1ともせてあ可し堂るつと□て
17 よもす可らくひな1よりけ尓な2く□□□
まき能とくちに多ゝきわひつる
可へし
18 堂ゝな2らしとハ可り多ゝく
くひな1ゆへあ遣てハい可ニ
具やし可らまし」(第3段詞)
(第3段絵)
二宮の1御い可ハ正月十五日そ2能あ可
月尓万いる尓小少将の1きミあ遣ハてゝ
ハし多なくな2り尓堂る尓万いり給
へり例の1お1な2し所尓ゐ多りふ多り能
つ本ねをひとつ1尓あ者せてか多ミに
さとなる本ともすむひと多ひ尓万いり
てハ木帳ハ可りをへ多て尓てあり殿そ2
わらハせ給か多ミにしらぬ人もか多ら
者ゝな1ときゝ尓1くゝされと堂れも
さるうと/\志きことな1个れハ心やす
くてな2ん日多遣てまうの本る可の
きミハさくらのお1り物のうちきあ可
いろ能可らきぬれいのす里もき給
へりこう者い尓もえきやな1き能可ら
きぬも能すり免な2といまめかし个れハ
とりも可へつ1へくそ2わ可や可なるうへ人
登も十七人そ2ミや能御方尓万いり多る
いとミや能御ま可なひハ橘三位とりつ1く
人者志尓ハこ多いふ个ん志きふ内尓ハ
小少将ミ可ときさき御帳の1うち尓者
ふ多所な2可らお1ハしますあさひのひ可り
あひてまハゆき万て者つ可しけなる」(第4段詞第1紙)
お1まへな2りうへ者御なをしこくち
多て万つ1里て宮者れいのくれな2井
の御そ2こう者いもへきやなきや万
ふき能御そ2うへ尓ゑひそ2免のお1
里も能ゝ御そ2こうちきもんもいろも
めつらしくいま免可しき堂て万つれ里
あな2多ハいとけそ2うな2れ者このお1くニ
やをらすへりとゝまりてゐ多り中
つ可さ能免のとミやい多き堂て万
つ1里て御丁能者さまより南さまに
いて多て万つ1るこま可にそ1ひ/\しく
なともあらぬ可多ち能多ゝゆるゝかにもの/\
しきさまうち志てさる可多に人を
志へつ1へく可と/\しきけ者ひそ2志多
累えひそ2免のお1り物のうちきむも
むのあをいろ尓さくら能可らきぬき多
里そ2能日の人のさうそ2くいつれと
な1くつ1くし多る越そ2てくちのあ者
ひわろう可さね多る人しも1御まへの
も能とりいるとてそ2古ら能可ん多ち
免殿上人尓さしいてゝ万本られつ1る事
とそ2のちにさい将のきミな2とくち
をし可り給免里し」(第4段詞第2紙)
(第4段絵)
ひさしの御すあくるきハ尓うゑの
女房者御帳の西をもてひのお1ま志
尓をしかさね多るやう尓てな2ミゐ
堂り三位をハしめて内侍のすけ多
ちもあま多万いれ里宮の1人/\者わ可
うとハな1遣しの下ひん可しのひさし能
南能さうし者な1ちてミすかけ多るニ
上臈者井多り御帳のひん可しの者
さま多ゝすこしある尓大納言のきミ小
少将のきミゐ給へる所尓堂つねきて
ミるうへハひら志き能をさにお1もの
万いりすへ堂里お1まへのも能志多るさ
まいひつ1くさん可多な1し簀子ニ北向尓
西を上尓て上達部左右内の大臣殿春宮の
傅中宮大夫四条大納言そ2れより下ハ見え侍
さりき御遊あり殿上人者古の對能辰巳ニ
あ多り多る廊尓さふら布地下ハさ多まれり
可遣まさのあそ2んこれ可せのあそ2んゆきよ
しとをまさな2とやう能人/\うゑ尓四条大納言
者うしとり頭弁ひわこ2とハ経房朝臣左さい将能
中将さう能ふゑとそ2そ2うてう能こゑ尓てあ
な1多ふとつき尓むしろ多この殿な2とう
堂ふ可くハとりの者きうあそ2ふ座尓ても
てうし猶ふくう多に者うしうち多可へ
て2と可免られ多りしハいせの可ミ
尓そ1ありし」(第5段詞)
(第5段絵)
右の1お1とゝわこんいとお1もしろく
な登きゝハやし給され給めり
し者て尓いミしきあや万ち能
いとをしきをこそ見る人の身
さへひへ者へりし可御をくり
も能ふゑふ多つ1者こ尓いれて
とそ2見者へりし」(第6段詞)
(第6段絵)