源氏物語絵巻
First updated 02/09/2024

渋谷栄一翻字(C)

源氏物語絵巻 絵詞

凡例
1.本文は『源氏物語絵巻』(徳川美術館蔵品抄2  昭和60年10月)に拠って、漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
2.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
3.変体仮名はその字母で翻字した。
4.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
5.判読不能文字は□で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「」と付記した。
7.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形で書き分けられている所は茶色で表示し、同じ字母字形で書かれている所は緑色で表示した。
8.資料は各所蔵者毎に作品の順序に従って配列した。

第五帖「若紫」(断簡3行 書風第V類 福田喜兵衛氏蔵)

 なんともい者さ□しいりてせうそこせ
 との多まへハまつをいれてい者須わさと可く
 多ちよらせたまへることゝい者せたれ盤いり

第六帖「末摘花」(断簡3行 書風第V類 書芸文化院蔵)

 され者よとんねつふれたまふうちつきて
 □な可多者とみ□□□の者はなゝりけりふ
 とめそとまる布遣んほさちのゝりものと

第十五帖「蓬生」(4紙 書風第U類 徳川美術館蔵)

 うつきは可りに者□ちる佐□□□
 本しいて□ま□□しのひ□
 いて堂まふひころ布り□徒る□
 □□のあめ須こし□□□き□
 えむ阿るほとのゆふ□□□に
 みち能本とよろ徒のことお本し
 いてゝお者須るに□□□□連
 堂るいゑ能こ多ちし希きをす
 き多まふおほ支なるまつにふち
 のさ支かゝりてつき可け尓なよ」(第1紙)

 ひ多るにやな支もい多くし多りて
 徒いひちも佐者れらね盤み多れ
 ふし堂りみしこゝち須る可那
 とお本春は者やこのみやな
 希りれいのこれみつはかゝるしの
 ひあり支におくれね盤佐ふらひ
 希りいれて堂徒ねさせ多まへ
 盤めくる/\いりてのおと須る
 可多やあるとみるにあ可く
 さしいり多類尓み連はかう
 しふ多ま者可り阿希てす多
 れおこくけ志支なりわつ可尓」(第2紙)

 み徒希多るこゝちおそろしく佐
 へお本ゆ連とよりてこ者徒く
 連はいとものふり多るこゑ尓
 てまつし者ふきを佐支に
 堂てゝかれ者那尓人そよといふこゑ
 い多うねひすき尓堂れときゝしお
 ひとゝきゝしり尓希りく徒しいてゝ
 とは春可多り母しつ遍希連盤よ
 し/\とてまつかう那むときこえむとて
 まいりぬなと可ひさし可り徒るむ可し
 の阿とんみえぬよもきのし希さ可那と
 堂まへはし可/\那むとあり佐まきこ
 ゆい見しくあ者れ尓てかゝるしけきの」(第3紙)

 な可にな尓こゝちして春くし多まふ
 らんいまゝてと者佐り希るよとわ可
 御心能なさけなきもおほしゝらる
   堂徒ねてもわれこそと者め
   みちもなくふ可きよも支能
   もとのこゝろを
 登ひとりこちてなをゝり多まへ盤
 さきのをむ万のふちして
 うちはらひつゝいれ多てまつるあ万
 そゝきもあ支のしくれめ支て
 うちそゝけ盤御可さ尓さふらふけ尓
 このし多つゆ者阿ま尓ま佐りて
ときこゆ」(第4紙)

(絵)

第十六帖「関屋」(2紙 書風第U類 徳川美術館蔵)
 尓須み可へり堂まふて万多
 のとしのあ支そひ多ちはのほ
 り希るせきいるひしもこのと
 の盤いしやまに御願者多しニま
 うて多まひ希り九月の徒こもり那
 連は紅葉のいろ/\こきませ
 も可れのく佐むら/\にを可しく
 みえわ多るにせきやより佐とく
 つれいて多るくる万堂ひ春可
 たともいろ/\のあを徒き/\しき」(第1紙)

 ぬひものくゝり所めのさま/\佐る可
 堂にを可しくみゆくる万は春
 多れうちおろし堂まふてかのむ可し
 のこきみいまはゑもの須遣那るを
 めしよせ希ふ能せ支む可へ盤え
 おもひ春て多まはしなとの多万ふ
 御心のうちいとあ者れ尓お本しいつる
 ことゝ母おほ可れとおほ所う尓て
 可ひなしをん那もい尓しへの
 こし連須わ春られね盤あ者
 連那り
   ゆくとくとせ支とめ可多きな
   堂をや堂えぬしみつと
   盤るらん」(第2紙)

(絵)
 
第十七帖「絵合」(2紙 書風第U類 徳川美術館蔵)
 ふるきもあ多らしきもゑと
 もいり多るみつしともひら可
 せ多まふてをん那きみとも
 ろともにいまめ可しきはそれ/\
 とえりとゝのへさせ多まふ長根
 わうそなとやう那るゑは
 おもしろくあ者れなれとことの
 いみあるはこの堂ひ者多て
 まつらしとえりとゝめ多まふかの
 堂ひの御日記能者こをとりいて」(第1紙)

 させ多まふ亭このついてニそ
 をん那支ミ尓みせ支こえ多
 万ひ希るこゝろふ可くしらてみ
 む堂に春こしものおもひ
 らむ者な見多をしむま
 くあ者れなりましてわ春
 れ可多くそのよ能ゆめをおほ
 しさま須おり那支御心とん
 尓はとり可へしか那しうお
 本しいてらるいまゝてみせ
 ま佐り希るをうらみをそきこ
 え堂まふ」(第2紙)

第十八帖「松風」(断簡7行 書風第U類 書芸文化院蔵)
      のな見多なりけ□
 いともろしやとておしのこ
 □可く須あ万きみ
  もろともにみやこ盤
   いてきこの多ひや
    り能な可能みち尓
       万と者む

第十九帖「薄雲」(断簡13帖モノクロ写真 書風第X類 旧前田家蔵)
 堂□□□□□はとおもふへき越
 □□□ぬひ□ものな累おやのきこ
 □□□□そ□るし遣れ飛との本と
 □□□□□□□梨ぬへきものをな
 □□□□者つ可にあ可ぬ本と尓のミ
 □□□□□こゝろのと可那ら須堂ち
 可□り□万ふ□□くるしくてゆ免の
 わ多りのうき者し□□うちな氣可
 れ□うの□□のある越ひきよせ
 □可のあ可し尓てさよふ希多□
 しね裳れいのおほしいてられて
 ひわをわ梨那くせ免多まへは春
 こし可きあ者せ多梨い可て可くの

第二十一帖「乙女」(断簡2行 書風第V類 酒井宇吉氏蔵)
 とち可く那りぬと□いそ可せ□□ふ
 まひゝめ尓はこれみ徒の朝臣のつ

第二十五帖「蛍」(断簡9行 書風第X類 個人蔵)
 飛とさ満可多□□といと可くし□
 くし多らんと江をし□可り多万ハ
 しいとよく□き多万飛□へき
 こゝろまと者□んと可満へあ里
 き多□ふなり个りみやは江ならぬ
 可多飛羅の飛まよりみいれ多万
 へるに可くおほえ那き□可りの
 うち本の免く越ゝ閑しとミ多万
 □□と裳那くまきら者し□

第二十六帖「常夏」(断簡2行 書風第U類 書芸文化院蔵)
 ろとてな尓者可里もあら須
 な可羅まこと尓きうることは

第三十六帖「柏木」一(断簡3行 書風第T類 田中親美模写 旧岸家蔵)
 本してあるましきことゝお本し
 よに可くれていて佐せ多万へり
 て佐類せう所く裳那くに盤

(断簡4行 書風第T類 書芸文化院蔵)
 わ多りお者し万い堂れ盤あ類しの
 裳可しこ□りまし□□□よのな
 越□へりみるましう□□ふ多万へしか
 ともな越万とゐ佐め□多き裳のハ□

(3紙 書風第T類 徳川美術館蔵)
 のみちにな無者へりける須□□い
 して裳しおくれ佐支た徒多う
 りのさ万那らてな可くわ可連那盤
 や可てこ濃うらみ□□□□□のこら
 □とあいな佐ニこの□の□しり越は
 しらて無かく裳のしハへ類なとき
 こえ多万婦可多ちことにても農
 な万め可しうなつ可しき佐万にう
 遅しの飛や徒連多万ひてう類ハし
 きすみ所めの須可多農あら万本し
 く支よけニら那るもうらやましくミ
 堂て万つり多万婦連いの那ミ多おとし
 多万婦わつらひ多万ふさ万ことにおも」(第1紙)

 きなやミにも者へら須多ゝよハり
 流みにあやしくわ可/\しくも能
 なと万いること農佐らにな支に可くも
 のし堂万婦あり佐万きこえ多万婦か
 多ハらい堂支おましなれとんとてみ
  の万へにしとねまいりてい連堂て
   まつりた万ふと可く飛と/\徒くろ飛き
   こえてゆ可のし裳におろし多て万つる
    み支須こしをしやら勢多万ひて
 こ可ち農そうなとこゝ遅須連ハまたけ
  む徒く者可り農おこ那飛にもあらぬニ
   か多ハらい堂し多ゝお本つ可那くお裳ふ多
    万婦らん佐万越散な可らみ堂万婦
   へ支なりお本無めをしのこひ多満ふ
    みやもいとやよハけ尓ない多万飛て
     いくへうもおもふ多万へらぬニかくわ
      堂りお盤し万い多類ついて
       あ万にならせた万ひてよと支こ
        え多万婦佐るこゝろ佐し裳のした
         万ハゝいと多ふと支こと那る越」(第2紙)

 佐須可ニか支らぬいの遅農ゆく春衛と本
  き可へりてこと農み多れありよの
  尓も所し羅るゝ古と阿るをな
 □越ハゝ可りぬへ支と農多万ふて
  おとゝのきミに可く那むすゝみ堂
   万婦ときこえ多まふい万ハ支り農
    佐万ならハか多と支濃本とに
     ても所の多須希ありぬへ支
      さ万にと那無お裳ひ者へる
         との多万ハ須飛ころも可
       具那無佐遣なと濃
         こゝろ越多ふろ可して
          かゝ類こゝ路すゝむるや
           う裳者へ那る越
       なとてきゝい連
        者へらぬなりときこ
         え多万婦」(第3紙)

(第1段絵)

同ニ(8紙 書風第T類 徳川美術館蔵)
 大将のきミは徒年ニとふらひき□
 え多万婦お本むよろこ飛ニ万うて
 堂万へりお者須る多いの本とより□
 な多のミ可とに盤む万く流万多ち
 □みて佐者支多りことしとなりて
 お支あ可類□□裳を佐/\し堂万は
 年盤ミ堂れな可らえ多いめし多まハ
 しとお本してな越こ那多ニいらせ
 □万へいとら可ハしき佐万に盤へるつ
 □はおのつ可らお本しゆるしてむと
 て婦し堂万へ類万くら可ミの可堂
 ニそうなと□堂してい連多て万
 徒り多万婦盤やうよりい佐ゝ可へ」(第1紙)

 堂て多て万つ類ふしなく支こえ
 か者しむつひならひ徒るお本無な
 可那連ハかなしくこ飛し可るへ支な
 け支おや者ら可羅ニおとら須お
 し堂り希れ盤よろこひとて
 ちよけなら満しとおも婦もいと具
 千越しくか飛なしなと可く可ひな
 くハなり多万へる希ふハ可ゝ類
 ろこ飛ニい佐ゝ可須くよ可にとこ所
 お裳ひ者へりつ連とてきの可多
 飛らひ支あけ多万へ連ハいとくち
 越しくそニ裳あら須な
 ハへりに堂りやとてえ本うし」(第2紙)

 盤可りひ支い連て支あ可ら無
 とし堂万へといとく流しけな
 しろ支ゝぬとん農なつ可しきあ
 万たか佐年てふ須万飛支か遣
 ておましのあ多りいと支よけ尓
 け者ひ可うハしくこゝろ尓具ゝ須ミ
 なし堂万へるうちとけな可らよう
 いありとみゆおもくわつらひ堂
 流盤飛ころ可佐なる万ゝに者
 かみ飛けもみ堂れ裳のむつ可し
 うけ者ひ可ハ流わさなる越いよ/\
 や勢佐ら本ひ多万へるし裳しろ」(第3紙)

 裳の支よけ尓なる佐まして□
 ら越そ□堂てゝ婦し多万へ梨
 飛佐しくわつらひ多万飛つる本とよ
 りはそこ那盤れ多万ハ佐りけ里
 徒年の可多ちよりハな可/\万さ
 りて裳のし多万婦もの可らな
 み堂おとしておくれ佐支多つ邊
 堂ても那くとこ所おも飛し□
 いミしく裳ある可那このこゝ遅
 のさ万こ所なにことゝわ支ハへら須か
 く□堂し支な可らおほつ可那具
 な無と濃多万婦□裳のい盤むと□
 お本し堂れといとよハけ尓い支裳」(第4紙)

 徒支多万□須□□□□□お裳く那
 流希ちめもお本えハへら須そ
 こゝろとく流しきこと裳なけ連ハ
 多ち万遅に可くし裳おもひ者へら
 佐りし越徒支ひをへてよハり盤
 へりに希れ盤い万ハうつしこゝろも
 うせ多類やうにてしけな
 越佐万/\飛支とゝめ羅るゝこゝ
 遅して者へ類ことよのわ可連佐
 り可多き佐り可多支こ登佐万/\
 ニな無おやニもつ可う万つり佐し
 てい万佐らにおほむこゝろ越なや」(第5紙)

 ましきミにつ可う万つるもな可ハ
 の本とニみ越わ多る可たハまして
 ハ可/\しからぬうらミ越とゝめつ
 流お本可多のなけ支越盤佐るも
 裳のにてゝろのう遅ニおもひ
 み堂流ゝこ2と農しけ九盤へる
 越かゝ類い万ハ農き佐ミになに可
 ハもら須へ支とおもひ者へれとも
 なをしの飛可多きことハ多れ尓可ハ
 う連へハへら無こ連可れ裳の須連
 と裳佐万/\なにことにもこゝろ尓
 か須めハへら須六条院ニいさゝ可那る」(第6紙)

 堂可ひめありてろ農こゝろの
 うちにかしこ万類こと那無者へ
 りし越いといなくよのな可こゝ路
 本そくおもひなりや万ゐつ支ぬと
 お裳ひ者へりしをめしありて
 御賀のころ本ひまいりて遣し
 き越多万ハりハへりしニなをゆる佐
 連那支やうに万しりミえハへ
 しニよにな可らへむことハゝ可りあ
 あち支那く者へりしニこゝろ佐え
 きそめハへりてかくしつ万羅須□□
 ぬるになむ可須ニハお本しい□佐
 りはめとい盤けなく者へりしよりた」(第7紙)

 のミ支こゆることハへりしニい可那類
 佐う希無の者へりけるに可こ連
  なむこのよ農う連へニとゝめハへる
   ろん那うかの那尓しの佐万た希
  尓やとお裳ひ者へること農ついて
   盤へらハみゝとめてよろし
    くあ支らめ佐せ多万へな可ら無
   うしろニもこの可うしゆる
    佐連多ら無なむお本むくと
    くに者へ類へ支なとの多万婦
     まゝにいとこゝろく流しけ尓
 なり万佐連ハいと伊ミしくて
 こゝろのうちにおもひあハ須ること
  もあれと佐して堂し可なるこ
   とハえ越しハ可りやら数い可那る
 ゝろのお尓ゝ可佐らにさやう那る
  お本無遣しきも那くかくおもりた
   堂万婦ゝ遅をきゝおとろきな
 け支堂万ふこと可支り那くこそくち
  越し可りまし多万ふめりし可なと支こ
   え多まふとや」(第8紙)

(第2段絵)

同三(2紙 書風第T類 徳川美術館蔵)
 このことのこゝろ越し連る女房
 のな可にもあら無可しそとし
 らぬこそこ那連とみ類飛と/\
 盤あら無可しとや須可ら数ハお
 本せ多めのと可ならんことハあへな
 む女房の多めこそいと越しけ連那
 とお本していろにもい堂し多万
 盤ぬニいと那ニこゝろ那く裳の可た
 りしてわらひ多万婦きミくち徒
 きなとのうつくしき可こゝろし羅
 佐ら無盤い可ゝあらむな越いと
 よく多よひ堂りけ里とみ多ま」(第1紙)

 婦おや多ち農こ多にあ連可しと
 な支多万婦ら無ニもみせ須
 連ぬか多ミハ可り越とゝめお支て
 佐者可りおもひあ可りおよ須希多り
 しみ越こゝろもてう志なひつる
 よとあハ連に可なしけ連ハめ佐
 ましかりしこゝろ裳飛支可へしな
 け可れ多万婦
  堂可よに可多ねハま支しと
  とハゝい可ゝい盤年農□
         徒盤こ多へ無」(第2紙)

(第3段絵)

第三十七帖「横笛」(2紙 書風第T類 徳川美術館蔵)
   よこふえ
 このちこ支ミい多くお飛えて
 い多万(ひ)て徒多み那と越し多万へ
 盤めのと裳うへもお支井て佐者
 き堂万ふ徒ふ/\とこえうつくしき
 む年をあけた万飛てしろく
 うつ具しきちの可ハらなる越こゝ
 ろをやりてくゝめ那く佐め多万婦
 ちこ支みも越可しくうつ具しき
 支みなれ盤おとこ支身もお1支井
 多万ひてい可なりつ類ことそなと能
 堂万婦佐者可し支ゆめのあ者れ」(第1紙)

 裳佐め支みいまめ可しき
 ありきニあく可れ多万ひてよふ可
 きつ支めてニ連いの裳のゝ希
 なとのいり支堂りつるならんとい
 とわ可支かをしてかしこ多ちう
 ちわら飛てあやしの裳のゝけ農
 し流へやまろ可うしあけ春ハミ
 ち那くけ尓えいりこ佐ら満し
  あ万たのをやニなり多万婦万ゝニ
   おもひやりふ可くものハ農多万ひ
    多りとてミやり多万へ類まミの

 者つ可しけ連ハ佐春可にものゝた
 万ハ須いて多万ひ年ミく流しとて
  あ支ら可那る本可けを者ちた万へる
          尓く可ら須」(第2紙)

(絵)

第三十八帖「鈴虫」一(3紙 書風第T類 五島美術館蔵)
   すゝむし
 十五夜農遊ふくれニのお万へ
 ニ盤してハしち可くな可め
 堂万ひつゝ念珠し堂万婦わ可支
 あ万支ミ多ち二三人盤那多て万
 徒るとてなら須あ可つ支のおとミ徒
 のけ者ひなときこゆ佐万可ハり多る
 いと那ミにい所支あへ類いとあ者れな
 流ニ連いのわ多り多万飛て無しの年
 いとしけくみ堂流ゝゆふへ可那と
 てわ連裳しの飛や可ニ念珠した」(第1紙)

 万婦あみたのす農いと多うと
 く本の/\きこゆるな可にすゝむし
 のこ衛いつれと那支な可尓万つむし
 な無須くれ多るとて中宮の者類
 け支のへ越わけていとわさと多つ年
 とりつゝ者那多勢多万婦ニな支徒
 堂ふる□すく那可なれなに者多可
 飛ていのちの本とハ可那き無しニ
 こそあ類へ支こゝろに万可勢て
 支可ぬおくや万ハるけ支のゝ万つ
 盤らにこ衛をし万ぬいとう多て
 こゝろあるむしニな無ありけるすゝ」(第2紙)

 むしハこゝろや春くい万め支多る
 こ所らうたけ連と農多万へ盤
  お1本可多農をハうしと志りにしを
  婦り須て可たきすゝむしのこ衛
 としのひや可にの多万婦いと那万め
 きてあてにお本と可那りい可にと
 可やいてやおもひの本可那る
 と所とて
   こゝろ裳てく佐のい本り越
     いとへともな越すゝ無し
                  の
        こ衛そ堂え□ぬ」(第3紙)

(第1段絵)

同二(4紙 書風第T類 五島美術館蔵)
 冷泉院よりせうそくあり□
 せのえは□□可にと万りぬる越
 くち越し可りてしきむの多□ふ
 右大弁あ万たのを飛支ゐて佐
 流へ支可り井て万いり多りけ連盤
 大将なとハ六条院ニ佐ふら飛多万
 婦と支こしめしてなりけ里
  く裳のうへ越可け者那連多る□□
  かニもゝのわす連せぬのよ農
  徒き」(第1紙)

 きこえ多まひけ連ハなに者可りと
 ころせ支みにも者へら須い万ハ可□
 のとや可にお盤し□□□万い□那□
 こと裳を佐/\那支も本いニあら□
 とお本しあ万りてとろ可い多□□
 流なりか堂し希なしとて尓ハ可
 なるやなれとまいり多万ハ無と須
  つ支可け者おし□裳井□□□□□□
  わ可やと可ら農つ万に可ハ連類
 こと那ることな可めれと無可し越□□
 □お1本しくらふ類万ゝになめり
  つ可飛に佐可つ支多万ひろく多万婦」(第2紙)

 々農くる万□□い□□□□□□□
  越しこせ能々□ちこ□□□
   徒可なりつ類よのあ所ひ□□
    連ていて多万飛ぬの□□
 流万にみこ多遅堂て万つり
  右衛門督藤宰相盤しけるか支□
   みな万いり多万婦□越し□□□□□
 かなさうそく□□□□□□□□□
  年者可り多て万つ□□□へて□□
   やう/\佐しあ可り婦希たる□□□
  お裳しろきにわ可支飛と/\わさ
   とは那くふえ那とふ可せ□□□
    しの飛多る万いりのさ万□□
     う類ハしかるへ支をり/\盤
      ところせくよ多け□□し
     き越徒くし□か多□□□□□」(第3紙)

      せられ多万飛ぬまたい
              尓しへ農
 堂ゝ佐万にお本し可へりて
  こよひハ可ろ/\しき佐万に婦と
 まいり多万ひ希れ盤い堂くおとろ
  き万遅よろこ飛支こえ佐せ
   堂万婦年ひとゝのひ多万へ類
    か多ちいよ/\こと裳のなら須
 いミし支さ可り農みをこゝろと
  お本し須てゝしつ可那る
      あり佐万にあ□連須具
             な可ら数」(第4紙)

(第2段絵)

第三十九帖「夕霧」(3紙 書風第T類 五島美術館蔵)
   遊ふきり
 飛類のおましニうち婦し多万へる
 ニこの可へり裳て万い連る可れ
 いにもあらすととりのあと農や
 うなれ盤とミにもえミと支た
 万ハぬニへ堂て多るやうなれと
 いとゝくみつけて者井よりてう志
 ろよりとり多万ひ徒あ佐ましく
 てこハ伊可にし堂万へ類わさそ
 あ那遣し可ら須六条の飛無可し」(第1紙)

 のうへのふミなりけさ可せお
 こりてやましけ尓し堂万へ
 流をのお万へニ盤へり徒る本と
 ニ万た裳可へり万いら那りぬ類い
 と越し佐い万の本とい可ゝときこ
 えつ類なりみ堂万へ希佐うし
 多るふミ可とゝきこえて佐ても
 佐て裳なを/\し農さ万やと
 しつ支にそへてい多くあな
 りた万婦よおもハむこゝろ越」(第2紙)

 者遅多万へ可しとあ者めら
 連てとしニそ婦あなつり
 ハお本むこゝろなら飛ニこそ
 て婦とん佐須可ニみ多万ハて
  裳多万へり」(第3紙)

(絵)

第四十帖「御法」(5紙 書風第T類 五島美術館蔵)
   みのり
 中宮ハ万いりなむとある越いま
 しハし裳御覧よ登きこえ万
 本しくお本せと佐可しきやニ裳
 ありうちのつ可飛のひ万那きも
 わつらハしけ連ハ佐もえきこえ堂
 万ハぬニあなたニ裳万いり多万ハ年
 盤みやそまいり多万婦か多ハらい
 堂け連と希にえみ堂て万つらね
 ハ可ゐなしとてこ那多に
 つら飛ことにせ佐せ多万婦いとゝ」(第1紙)

 こよ那くや勢本そり多万へれと□
 くてこ所あてにな万め可しき佐
 万ゝ佐りて佐可りにめて多可りけ連
 ときし可たハあ万り尓本ひお
 くあ佐/\と裳のし多万飛し佐可り
 盤那越このよ農者那の尓本ひニ
 そよ所へられ堂万飛し越かきり
 なくらうた希にを可しけな
 佐万にていと可り所めによ越おもひ
 たまへるこゝろく流しく須ゝろニ
 裳の可なしか勢のけしき須こく(第2紙)

 ふ支いて堂流ゆふくれニせ佐い
 み堂万婦とて希うそ具によ
 可ゝりて井多万へ類をわ多
 堂万飛て希ふ盤いとよくお
 井多万へ類ハこのお万へにてこよ
 那くお本むこゝ遅ハ連/\しきなめり
 かしとここえ多万婦か盤可り農
 飛万あ類をもいとう連しとお
 本し堂流遣しき越ミ堂万
 婦裳いとこゝろく流しくついニい可
 ニお本し佐者可無とおも婦もあ盤
              連なれ者」(第3紙)

  おくとミ類本と所者可那きと裳
   須連ハ可せにみ多るゝこハきの
    う盤つゆ
 希にそをれ可へりと万るへくもあ
 らぬニ盤那のつゆハよそへら連
 をり佐へ所しの飛可多きとみい
 堂し多万ひて
 やゝも勢ハきえ越あら所婦つゆの
  よにおくれ佐支たつ本とへ須も可な
 とて・み多越のこ飛もあへ多万ハ須
  可せにしハしと万らぬ
   のよ越堂れ可く佐ハの
       うへとのミゝむ」(第4紙)

 と支こえ可ハし堂万へ類可多ちと
  裳のみ類可ひあるに徒希て裳可
   くてちとせ越すく須わさ可那と
  お本佐るれとこゝろに可な者ぬこと那連
    盤か希とゝめ可多くかなし可りけ
     りい万ハわ多ら勢多万飛年ミ
    堂りこゝ遅いとあしく者へりい
       婦可いなくなりにて者へる
      本とゝい飛な可らいと那めけ尓
            か多ハらい多くとて
 み支飛支よ勢て婦した万へる
  佐万農つ年夜りもいと多の裳し希
    那くみえ多万へ盤い可にお本え
    堂万ふに可とてみや万越と
    らへ堂て万つり・多万て那く/\ミ
     多て万つり多ま婦尓まことに
  多えゆく農こゝ遅してか支りに
 みえ多万へ盤修行のつ可ひ可須も那く
  多ち佐者支堂り佐支/\もかくていき
  いて堂万飛しをりになら飛て御物の遣
  農しわさとう堂可ひ多万ひてよひとよ
 佐万/\のこと越しつく佐せ多□とあけゆ具
   本と□多え者て□□多ま飛ぬ」(第5紙)

(絵)

第四十四帖「竹河」一(3紙 書風第W類 徳川美術館蔵)
 志ゐのしゝうも万いり多まへりそこら
 おとなしきわ可支ん堂ちもあま多さ
 万/\いつれ可王ろ日多まへるみ那めや春
 可り徒るな可尓こ能きみの多ちおくれ
 てさしいて多まへるいとこよなうめとまる
 れいのも1能めて春るわ可うと多ちなをこ
 なりなとい布ものゝひめきみの可多者ら尓
 はこれをこそさしならへてみめときゝに
 くゝい布氣尓わ可うを可しけ尓万め
 可しきさましてうちふるまひ多まへ
 るを日可せよのつねなら春日めきみといふ
 ともこゝろお者せむは个尓ひとよりは
 万されりとみ多まふらむ可しとそ」(第1紙)

 ほゆる可むのきみ能御念春多う尓
 お者しましてこな多尓との多万へ
 は飛んかしのみ者しよりのほりて
 とくち能み春能まへ尓ゐ多まへり
 おまへち可きわ可きのむめ能こゝろも
 と那くつほみてうく日須者つこゑいと
 おほと可なるいと春可せ多てまつら万
 ほしきさまのし多まへれは中将
 支みと起こえてらう能よみ可个支
 こゆる
  をりてみ者いとゝ尓ほ日も万さるやと
  春こしいろめ个むめの者つはな」(第2紙)

 くちはうや志ときゝて
  よそ尓みてもきゝなりとやさ多むらん
  し多尓ゝほへる者那のしつくを
 さらはそてふれてこゝろ見多まへな
 と春さふる耳万こと尓いろよりも
 なと飛きうこ可し徒へう」(第3紙)

(第一段絵)

同二(8紙 書風第W類 徳川美術館蔵) 
 やよひ尓なりてさくらあるはちり可
 ゐくもりおほ可多佐可り□るころ能と
 か尓お者春るとこゝろは万き類ゝ□□な
 く者しち可くお者春る徒み□□□まし
 可めりその飛と十八九ほとやお者しまし个ん
 おほむ可多ちこゝろ者へとり/\尓そお可し
 き飛めきみはいとあさや可尓个多可くい万め可
 志支さまし堂万ひて个尓たゝ人尓て
 み多て万つらむハ尓个那くそみえ多万者む
 さくらの本そな可やまふきなとのをりに」(第1紙)

 あ飛堂るいろあ飛なつ可し支ほと尓かさ
 なり多流春そ万てあいのこほれをち
 堂□やう尓みゆるもてなしなともう越
 可しくこゝろうつし支个さへそひ多□
 へりい万ひとゝ古ろはう春こう者い尓
 く志いろ尓てやなきのいと能やうに□
 を/\とみゆいとそ日や可尓な万め可しう
 春む多るさましており可尓こゝろふ□
 □个は万さり多まへれとに本日や可な□
 希者ひハこよ那くとそへ類
 こうち多まふとてさしむ可日多万へる日
 多飛の可ゝり多るさ万いとみところあり志ゝ
 う能きみ个そした□ふとてち可くさふ」(第2紙)

 らひ多まふ尓あ可きみ多ちさしのそ
 きて志ゝう能きミ古よ那くなり尓个り
 おほむこの个そゆるされ尓个りとてお
 となしきさましてついゐ多万へはお万
 る飛と/\と可くゐなをる中将みやつ可
 いそ可しくなり者へるほと尓尓おと
 りに多れはいと本いなきわさ可那とう
 れへ堂万へはへむ者まいりてわ多くしの
 みや徒可へおこ多りぬへきまゝにさのミや
 者お本し春てむなと多まふこうち
 さして者ちらひて者春るをいとを可し
 个なりうちわ多りなとま可りありきて
 ことのお者し万さまし可はとおふ多万」(第3紙)

 へらるゝ古とおほくなと那ミ多くみて
 み多てまつり多まふ廿七八能ほと尓
 したまへはいとよく春こしてこ能
 おほむありさ万ともをい可てい尓しへお
 本しをきてし尓多可へ須も可なとお
 日ゐ多万へりおまへの者那のきとものな
 尓も尓ほ日まさりてさくらをゝらせ
 てほ可の尓は尓春こそなともてあ所
 飛多まふをおさ那くお者しましゝとき
 この者那越わ可そ/\とあらそ日多ま日し
 をことのは飛めきみ能者那そとさ多め
 うへはわ可きみ能支そとさ多め多万ひし
 いとさ者なきのゝしらねとや春可ら須ミ」(第4紙)

 なふ多まへられし者やこのさくら
 能おいき尓なり尓个る尓徒个て春支
 尓个るよは日をおふ多まへいつれは
 あま多のおくれ者へり尓个るみ能
 うれへもと□□□多くこそとなきミわら
 飛みきこえ多まひ□れいよりはのと可に
 お者須
 能むこ尓なりてこゝろしつ可尓いまは
 みえ多万者ぬをとゝめてものし多万
 ふかむのきミかくおとなしきのおや耳
 なり多ま日としのほとハおふよりは□□
 わ可うきよ个尓をさ可りのおほん可多ち
 とみえ多まへりれせゐん能み可とはお本
 うはこのおほんありさまのゆ可しうこひ」(第5紙)

 しうおほしいてられ个連はな尓ゝ
 徒个て可者とお本しめくら志てひめ支
 のおほんことをあな可ち尓きこえ多万
 ふ尓り个るゐんへ万いり多万者む
 とはこのきみ多ちそなをものゝ者えな
 ゝち春へ个れよろ徒のことゝき尓つ个多るを
 よ日ともゆる春めれ个尓いとみ多て万
 徒らまほしきおほんありさまはこのよ
 尓多く日那くお者しま須めれとさ可りな
 らぬこゝちそ春るやことふえのしらへ者那と
 りのいろ能いろをもねをもとき尓し多可日
 てのみゝもとまるものな東宮者い可ゝな
 多まへはいさや者しめよりやむことなき
 飛とのか多者らもなきやう尓てものし多まふ」(第6紙)

 めれはこそな可/\尓てましら者むハむねい
 多くわら者れなることやあらんと徒ゝまし
 个れはとのお者せまし可はゆく春ゑ□
 春くせ/\はしら須多ゝい万者可ゐある□
 まにもてなし多ま万日てましなとの多万
 飛いてゝみなのあ者れなり中将なと多ち多
 ま日て能ちうちさし多まへるこうち堂ま□
 む可しよりあらそ日多まふさくらをのりも
 尓てさん者丹可須日とつ可ち多ま者ん可
 多尓をよせてなと多者ふれきこえ多まふ
 くらうなれはゝしち可うてうち多まう
 み春万きあ个て々み那いとミねんしき
 こゆをりしもれいの中将のきみ侍従
 のおほんさうし尓き多り个るをうちつれて
 いて多ま日个れはおほ可多飛と春くなゝる尓」(第7紙)

 らうのと能あき多る尓やをらよりてのそきけ
 りかくうれし支をりをミ徒个多るハほと个なとの
 あら者れ多ま日堂らん尓あ日多るこゝち春るも
 者可なきこゝろ尓な無ゆふくれの可須みの万きれハ
 さや可ならねとつく/\とみれハさくら能いろ能あやめ
 もそれとみ王きつ尓ほ日おほくみえ多まふをいとゝ
 ことさま尓なりんこといとわ飛しうまさる
 わ可き々のうちと个春可多もゆふ者へを可しう
 みゆ可多せぬこまのうさう能を可しやなと者や
 り可にいふもありよせ尓しのおまへ尓
 まりて可多尓てとしころ能あそ日の可ゝれ□
 ありつるそ可しと可多はこゝちよ个尓者个ま可し
 きこゆな尓ことゝしらねとを可しときゝてさし□
 へもまほし个れとうちと个へるをり那くや
 者とていてゝいぬま多可ゝる万きれもやと可多尓そ
 てそう可ゝ日ありき个るきみ多ちは者那のあ
 ら所飛をしてあ可しくらし堂まふ」(第8紙)

(第二段絵)

第四十五帖「橋姫」(3紙 書風第W類 徳川美術館蔵)
 あな多尓可よふへ可める春い可いを
 春こしをしあ个てみ多まへは
 徒きの越かしきほと尓きり王多
 れるをな可めて春多れすこし
 まきあ个て々ゐ堂り春能こ尓
 なえ者ミ多るわらはおなしさ万
 なるおと那ゐ多りうへなるひと一人
 者しら尓春こしゐ可くれて日者
 をまへ尓おきて者ちをてまさく
 り尓して者可くれ多り徒るつ支の」(第1紙)

 に者可尓いとあ可くさしいて多れハ
 あふきならてこれしても徒きハ
 万ね支徒へ可り个りとてさしの
 そき多まへる可ほつきいみ志う
 うつくし个なりそひふし多万
 へるひとはことのうへ尓か多ふき可ゝ
 りているを可へ須者ちこそあり
 个れさ万こと耳も可よ日多万
 へ類おほむこゝろ可那とうち王
 ら飛多まへるいま・春こしお可」(第2紙)

 耳あい徒き堂万へ
 梨」(第3紙)

(絵)

第四十八帖「早蕨」(2紙 書風第V類 徳川美術館蔵)
 おほしのたまハせるをか多り
 徒ゝ者いとゝ那くさめ可多うくれまと
 ゐて井多りみ那ひとこゝろゆ支たる
 さま尓ものぬひいと那み徒ゝおいひ可
 めるさ□を徒くろひ□□よふ尓いよ/\
 やつして
   ひとはみないそき多つめるそて」(第1紙)

   のうらにひとりもしほをたる□
   あま可那
 うれゑきこゆれ□
   し本たるゝあまのころも尓お□
   らめやう□□る那み尓ぬるゝ
   わ可そて」(第2紙)

(絵)

第四十九帖「宿木」一(2紙 書風第V類 徳川美術館蔵)
 中納言朝臣こ那多尓とおほせられ
 てめしいつる可ひありてとほくより
 か本れる尓ほひより者しめひとよりこ
 那るさましたまへりけふのしくれつね
 よりもとにのと可那るをいたつら尓
 ひをおくるた者ふれ尓てこれなんよ可
 るへきとてこ者んめしいてこ可た
 支尓三番尓可すひとつまけさせたまひぬ
 ね多きわさ可那とてけふ者まつこの者那
 ひとえ多ゆるすとのたまへはおほ無いらへ
 きこえ佐せおりて□もしろきえた
 おりてまいりたまへり
   よのつねの可きね尓さける者那」(第1紙)

   ならはこゝろのまゝ尓をりてみえま
   し
 ようい□さ可ら須みゆ
   志も尓あへすかれ尓しそのゝき
   くの者那のこり能いろ者あせ須
   もある可那
 との多まはす」(第2紙)

(第一段絵)

同二(2紙 書風第V類 徳川美術館蔵)
 みや者きみのお本むありさまひる
 きこえ佐せたまふ尓いとゝこゝろ
 さしまさり尓个りおほきさよきほと
 なるひとのやうたいゝときよ希尓てか
 みのさ可りはかしら徒きなとそものより
 古と尓あ那めてたとみえたまひ希るいろ
 あひあまりなるまて尓ほひてもの/\
 しく希た可きかほのまみいと者徒
 かし希尓/\しく□へてな尓こともた
 らひてか多ちよきひとゝい者ん尓あ可ぬ
 古と那し廿尓ひとつ布多徒あまりた
 まへり个るい者けなきほと那らねハあ可
 ぬところ那くあ□や可尓さ可りの者那とみ
 多まへりものゝたまふ□らへ那ともハ□」(第1紙)

 ひ多れとあまりおほつ可那可ら須盤あ
 須うしみところお本くかゐ/\し希
 なりよきわ可きひと卅人者可りわらは
 六人か多ほなる那く佐うすう那とも
 れいのうるわ志きこともめ那連てお本
 されぬへかめれ盤ひき多可へこゝろえ
 ぬまてそこのみそしたまへめる」(第2紙)

(第二段絵)

同三(1紙 書風第V類 徳川美術館蔵)
 尓いりたることにてえゑし者てすち可
 きみきの徒□□り遣うそく尓より(おし)可□
 りてなやみ多るさましてさしいてたまへる
 いとゐまほしくらうた希な
    あきはつるのへ能希しきもしのす□
    きほのめく可せ尓徒希てこそ
    れ
 わ可みひとつのとてなみ多くまるゝかさ須可尓
 者つ可し希れ盤あふきを万きらはして
 お者須るこゝろのうちもらうたくおほしや
 らるれとかゝる尓こそひともおも悲者那□佐□
 め登うた可者しきか多/\おほえてうら
 みたまふなめり」(第1紙)

(第三段絵)

第五十帖「東屋」一(3紙 書風第V類 徳川美術館蔵)
 いとおほ可るお本むくしなれ者とみ尓も
 ほしやりたまさね盤お支ゐ□まへる□いと
 くるしゝろきおほむそひと□佐ね盤可り
 耳てお盤するほ可希ハなや可尓てを可し
 希なりこのきみハひとのおもふらんこともはつ□
 しけれといとや者ら可尓ておほときす支た
 まへるきみ尓おしいてられてゐたまへりひ
 たゐ可みなとのい多うぬ□多るをもて可くして
 ひの可堂尓むきてゐたまへるさまうへをた
 くゐなくみ多てまつる尓□やお□□ともみえ須
 あて尓を可しこれ尓お本しう徒りな者さまあし
 希那ることもありなん可しいと可ゝらぬひとを
 めつらしきを可し可りたまふ御心をとふ
 り者可りそえ者ちあへ多まはさり个るもの可
 りいと那つ可しうしたまひてれいならぬと
 ころ那となおもひなし□まひそめひめきみ能
 お者せ須なり尓志のちわ春らるゝよ那き尓いと
 よくおもひよそへらるゝおほむさまをみ連はいと」(第1紙)

 あ者れ尓なくさむいとあ者連尓なんおもふ
 者佐ら尓那きみ尓む可しのおほむこゝろさし
 なきやう尓お本さはいとうれしくなんなとか
 たらひ多まへはいとものつゝみしてまたひなひ多
 るのいらへきこゆへきことも那くてとしころ
 いと者る可尓のみおもひき古え佐せし尓かく
 み多てまつるはな尓ことも那くさむこゝち志て
 なんと者可りいとわ可ひ多るこゑ尓志てい布
 ゑ那とりいてさせたまひて右近尓ことはよ
 ませてみ多まふ尓もの者ちもえしあへ数
 をいれてみ多まふ尓ほ可希佐ら尓ことみゆ
 るところ那くこ□□尓を可しけなりひ多ゐ
 徒きまみのおほと可尓かをりたるこゝちする
 たゝおもひいてらるれ者ゑ盤めもとまら須
 それとのみいとあ者れなるひとの可たち可那さ
 てかくしもあり个るならん古みやの(尓)に多て」(第2紙)

 まつれるなめり可しこひめきみ者のおほ
 む可多さま尓をはうへ尓ゝ支こえ多る
 とこそは布るひとゝもい布めりしか希尓ゝ
 堂るはいと・いみしきも能なり个りとおほしくら
 布る尓なみ多くみてみ多まふこれ者かきり
 くあて尓个多可きもの可らか多者那るまて
 よひ堂まへりしこれ者またもて那しな
 のよろ徒のことをつゝましとのみおもへるけ
 尓やもてなしなとのみところあるも
 なしなとそおとれるこゝちする」(第3紙)
 
(第一段絵)

同二(3紙 書風第V類 徳川美術館蔵)
 □のひや可尓かとうちたゝくさ尓やあ
 らんとおもひてのあまきみあ个
 佐せたれ者くるまをそひきいるな
 類あやしとおもふ尓あまきみ尓・多いめ
 たま者らんとてこのち可きあ徒可
 り能なのりをせ佐せ堂まへれ盤
 とくち尓ゐさりいて多りあめのう□
 そゝく尓のいとひやゝか尓ふきい
 りていひしらすかをりくれ者かう
 なり个りとたれもこゝろときめ□
 徒支希者ひを可し希れ盤(と)よう
 いも那くあやしき尓ま多おひあ□
 ぬほとなれ盤さわ支尓てい可な
 尓可□いひあへりこゝろや春きと」(第1紙)

 ろ尓てろおもひあまること□き
 えさせむとてなむとい者せたまへり
 い可尓きこゆへきことに可□きみ者□□
 しうおもひてゐたまへれとめのと
 なとのくるし可りてし可お者します□
 無をたち那可らや者可へしたてまつ
 り堂まはむと殿尓こそ可く那むとし
 のひてきこえめち可き本となりといふ
 いとかひ/\しくなとて可佐者あらんわ可き
 とちものきこえ多まはむことは布か
 くしみ徒くへくもあらぬをいとあやし支まて
 のと可尓お者須るとのなれ盤・よのゆるしな
 てうちとけたまはしなとい布本とあめはや
 ゝ布りてそらはいとくらしとのひゝとのあやし支□
 ゑ那る夜行うちしてやかのた徒みの
 すみ能く徒れあや布しこのひとのみくる
 まいれ□と□もはゝ□□てみ可と佐して」(第2紙)

 よ□ゝるひとのみともひとそう多ゝあるな
 といひ□るもむく/\しくきゝならはぬこゝちし
 たまふさのゝわ多りニいへもあらんなとく
 ちすさひ多まて佐とひ多るすのこ能者し
 つ可□尓ついゐたまへり
   さしとむるむくらやし希支あ□
   まやのあまりほと布るあまそ
   き可那
 とうち者らひ多まへるおひ可せいとか
 多わなるまてあ徒まやのさとひとおと
 ろきぬへし」(第3紙)

(第二段絵)