大正末から昭和初期の時代を特徴付ける傾向に沿って、有名無名を問わず各地の建築物を取り上げました。
分離派風(=表現派風)をはじめバラエティに富んだ造形をみせたこの時代は日本なりのモダニズムの辿る道筋の出発点
でもあり、遭遇する出来事や社会状況の中で独自の変遷を歩むことになります。
ここでは戦後モダニズムの開花につながる1920年代に盛んになった様々なデザインの摂取の経過、都市的規模を持つ震災
復興への対応、外国人建築家の日本での活躍、その他色々な角度から時代を形成していった建築の一端を紹介しようと試
みます。
しかし昨今では1920年代以降の歴史を具体的に示す建物も次々と消え行く状況にあります。
どんどん加速されるスクラップ・アンド・ビルトのしくみに取り込まれ歯止めをかけられない状態の中で、戦後に建てられ
た一時代を画する名建築であろうと、建物と共に生きてきた人々の意思がどうあろうとも改廃の俎上に晒される宿命を甘
受しているのが今の日本の現状です。
当ホームページに掲げる写真の撮影時期は大体1990年代前半以前のものが中心となっておりますが、併せてその前後の
状態も出来る限り掲載したいと考えております。行く末が論じられている建築にとって、その価値を見出す為のささやか
な足がかりとなる為にも。
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