First updated 02/24/2003
Last updated 05/06/2024
渋谷栄一翻字(C)

花散里
【凡例】
1.『青表紙原本 源氏物語 花ちるさと・かしは木』(原装影印古典籍覆製叢刊 前田育徳会尊経閣文庫 昭和53年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母は茶色、同じ字母は緑色で表示した。

ちる佐と」(題箋)

  ひとしれぬ御心徒可らのも者しさはいつと
  なきことな2(+め)れとかくおほ可多のよ尓つけてさへ
  わつら者しうおほしみ堂るゝことのみまされハ
  ものほそ世中へていと者しうおほし
  ならるゝにさす可なることおほ可りれい遣いてんと
  きこえしハ堂ちもお者せす可くれさ勢
  まひてのちいよ/\あ者れなありさ満を
  ゝこの大将殿御心尓もて可くされてすくし
  まふなるへしをとうときみうち」(1オ・大成387E)

  わ多り尓て者可那う本の免き堂まひしなこり
  のれいの御心れハさす可尓わ春れも者て多ま者す
  わさともゝてなし堂ま者ぬ尓御心をのミ徒く
  し者て堂まふへ可免るをもこのころのこるこ
  なくおほしみ多るゝよのあ者れのくさ者ひ尓は
  いて堂まふ尓者しのひ可多くてさみ多れのそ
  めつらしく者れ多るくもまにわ多り尓者可り能
  よそひなくうちや徒してせんなともなく志
  のひてな可ゝはの本とお者しすくるにさゝや可な
  いへ能こ堂ちなとよし者免る尓よくなることを」(1ウ・387K)

  あ徒ま尓しらへて可きあ者せ尓き者ゝしく
  ひきなすなりみゝと満りて可とち可なれハ
  すこしさしいてゝみいれ堂まへハおほきな累可徒ら
  のき能おひ可せ尓まつりのころお本しいてられてそ
  こ者可となくけ者ひお可しきを堂ゝひと免み
  しやとりなりとみ多まふ堂ゝなすほとへ尓个る
  おほめ可しくやとつゝまし遣れとすき可てにやすら
  堂まふおりしも本とゝきすなきてわ多るもよ
  をしきこえ可ほなれハくるま越し可へさせて」(2オ・388C)

  れいのこれみついれ
    おち可へりえそしの者れぬ本とゝき須
    本の可堂らひしやと可きね尓
  志ん殿ほしきやの尓しのつま尓/\ゐ多り
  さき/\もきゝしこゑなれ者こわつくり遣し
  きとりてせうそこきこゆわ可や可なる个しき
  ともしておほ免くなるへし
    本とゝきすことゝふこゑ者それなれと
    あ那おほつ可なさミ多れのそら こと佐ら堂」(2ウ・388I)

  と累とみれ者よし/\うへし可きねもとてい徒る
  をしれぬ尓者ね堂うもあ者れ尓も个り
  さもつゝむへきことそ可しことわり尓もあれハさ
  す可なり可やうのき者につくし能こせち可らう
  堂个なりし者やとま徒おほしいつい可な
  尓つ遣ても御心のいとま那くゝ累し遣なりと
  をへても可やう尓みしあ多りなさけす
  くし堂ま者ぬ尓しもな可/\あま多の
  ものおもひくさなり可能本いのところ者おほし」(3オ・389@)

  やり徒るもしるくめなくしつ可尓てお者する
  ありさ満をみ堂まふもいとあ者れなりまつ女御
  の可多尓てむ可しのもの可多りなときこえ
  ふ个に遣り廿日さしい徒る本とにいとゝ
  こ堂可き可けともこくらくみえわ多りてち可き
  堂ち者那の可本りなつ可しく尓本日て女御
  者ひね日尓堂れとあくまてよういありあてに
  らう堂个なりすくれて者なや可なるをほえ
  こそ可りし可とむつましうなつ可しき可多にハ」(3ウ・389E)

  おほし堂りしをないてきこえ尓つけ
  てもむ可しのこと可きつらねおほされてうちな
  堂まふ本とゝきすありつるかきねの尓やお
  こゑ尓うちなくし堂ひき尓个るよとお
  さる(る&る)ゝほともえんなり可しい可尓しりて可な
01 い尓しへのことか多らへハほとゝき春/い可尓し里て可なくこゑ能する(付箋@)
  しのひや可にうちすんし
    堂ちの可をなつ可しミほとゝきす
02 堂ち可本なつ可し見ほとゝき須/か多らひしつゝな可ぬそ那き(付箋A)
    者那ちるさとを堂つねてそとふ い尓しへの
  わすれ可多きなくさめにハなをまいりぬへ可り」(4オ・389K)

  遣りこよ那うこそ満きるゝことも可すそ
  ことも者へり个れおほ可多のよ尓し堂可ふもの
  れ者む可し可堂りも可きく徒すへき春く
  うなりゆくをましてつれ/\も満きれなくお
  ほさるらんときこえ堂まふ尓いとさらなるよ
  なれとものをいとあ者れ尓おほしつゝ遣堂累
  个しきのあさ可らぬもさ満可らにやお
  くあ者れそゝひ尓个る
    ひと免なくあれ多るやとは堂ち者那の」(4ウ・39C)

    者那こそのき能つまとなり遣れと者可り
  の堂まへるさはいへと尓者いとことなり遣り
  とほしくらへらる尓しおもてにハわさとなく志
  のひや可尓うちふ累まひ多ま日てのそへる
  も免つらしき尓そへてよ尓免なれぬさ満
  れ盤徒ら佐もわすれぬへしな尓や可やとれいの
  つ可しく可堂らひ堂まふもおほさぬことにあ
  らさるへしかり尓もみ堂まふ可きりハをしなへて
  のきは尓ハあらすさ満/\につ遣ていふ可ひなし/と」(5オ・390H)

  おほさるゝはな个れ者尓や尓く遣なくわれも
  もなさけを可者しつゝすくし堂まふなり遣り
  それをあいなしと思人者と尓可くに可者るも
  こと者りのよのさ可とおもひなし堂まふあり
  つるかきねもさやう尓てありさ満可者り尓多る
  あ堂りなり遣り」(5ウ・390L)