凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD−ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名字母と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で翻字した。
4.変体仮名はその字母で翻字した。
5.片仮名はそのまま片仮名で翻字した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、それより元の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記や付箋等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは赤色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母は茶色、同じ字母は緑色で表示した。
「春衛つむ花」(題箋)
思へとも1な2越あ可さ里しゆふ可ほの1・露尓
0001【思へとも】−夕顔巻ニつゝけてかけり故発端之句如此
0002【露にをくれし心地を】−\<朱合点>
をくれし心地を・とし月ふれと・お本し王春
連春・古ゝもかしこもうちけぬ・可起り能
0003【こゝも】−葵上
0004【かしこも】−六条御息所
遣しき者見心ふ可(△&可)きか多能・御いとましさ
0005【いとましさ】−挑
尓1・氣ちかくうちと遣多1りし・あハれ尓にる
物なう・恋しくお1も本え給ふ・い可てこ2と/\
しきおほえ2ハな2く・いとらう多1けな2ら無人
の徒ゝましき事な2可ら2む・みつけてし可
な2と・こりす満尓お本し王多れハ・春こしゆ
へ徒きてきこゆるわ多りハ・御見ゝとゝめ給」(1オ・201@)
者ぬく満な2き尓・さてもやとおほしよるハ可り
能遣ハひあ類あ多り尓こ2そ2・飛とく多りをも・
0006【ひとくたり】−文事
本の1め可し給ふめる尓1・な2ひきゝこ2盈春・も1
て者な2れ多る盤・おさ/\あるましきそ(△&そ)いとめ
な連多1るや・つれな2う心徒よ起ハたとしへ
0007【つれなう心つよきは】−又かゝる人あり
な2う・なさ氣をく類ゝまめや可さな2と・あ万
里物の1ほと志ら2ぬやう尓・さて志も春くし
ハてす・な2こりな2く具つ1をれて・な2越/\し
0008【な越/\しきかたに】−よのつねの心也
き2か多尓・佐多まりな2とするも1あれ者・の給
ひ佐しつるもおほ可り个る・かの1うつ1せ2見を・」(1ウ・201E)
も1のゝお1り/\にハ・ね多うおほしいつ1・おき能
0009【おきの葉も】−\<朱合点> 空蝉巻ニ蔵人少将妻となれり 後撰秋風のふくにつけてもとハぬかな(後撰846・古今六帖3718・和漢朗詠401・中努集230、源氏古注・花鳥余情・休聞抄・孟津抄)
葉も・さりぬへき可せの1多1よりある時ハ・おとろ
可し給ふお里もあるへし・本可遣能み多れ多り
しさ満ハ・またさやう尓ても・見万ほしく
0010【また】−又
おほ春・お1ほ可多な2こりなきもの王春れ
をそ2・え志多万ハさり氣る・左衛門のめ能
とゝて・大弐能佐し徒き尓・おほい多類可むす
0011【大弐】−惟光か母
め・多1いふの命婦とて(+うちに)さふら2婦・わ可むと本りの
0012【わかむとほり】−王家無等倫王孫をいふ也
兵部能多1い婦なるむ春めな2り个り・いとい多う
0013【兵部のたいふ】−左衛門のめのとか夫ナリ
いろこ能めるわ可人尓て・あり个る越・君もめし」(2オ・201J)
0014【君も】−源氏
徒可ひな2とし給・者ゝハちくせ2む能可ミの1め尓1
0015【ちくせむのかミ】−大輔命婦かまゝちゝ也
てく多り尓个れハ・ちゝ君能もと越佐と尓1て2
0016【ちゝ君】−兵部大輔
ゆきかよ婦・故ひ多ち能みこ能すゑ尓1まう
0017【故ひたちのみこ】−常陸太守親王也父ハいつれの御門とみえす
氣て2・い見しうかな2しうかし徒き給日し・
御む春め・心ほそくてのこりゐ多1るを・も能ゝ
0018【御むすめ】−末摘花トモ蓬生君トモ云
徒いて尓・か多1りき古え2个れハ・あハれのこ2とやと
0019【かたりきこえけれハ】−命婦
0020【あハれのことや】−源氏
て・御心とゝめてとひきゝ給ふ・心者へか多ちな2と
ふ可起かたハえし里侍ら1春・可いひそ2め人
うとうもてな2し給へハ・さ遍きよひな2ともの
古しにてそ・か多ら2ひ侍る・きむをそ2な2つ可し」(2ウ・202B)
き2か多ら2ひ人と・おもへるときこ2ゆ連盤・みつ
0021【みつのとも】−\<朱合点> 白氏文集北窓三友詩三友者為誰琴罷輒挙酒々罷輒吟詩
の1とも尓てい万悲とくさや・う多てあら2むとて・
0022【いまひとくさ】−酒をいへり
王れ尓き可せよ・ちゝ見こ能さやう能可たに・いと
よし徒きてものし給布个れハ・をしなへて2
のて尓ハあら2しとなむ・おもふとの給へハ・さや
0023【さやうに】−命婦
うにきこしめすハ可り尓は・あら2春や侍ら2む
といへと・御心とまるは可りきこえ2な春を・い多
0024【いたうけしきハましや】−源氏
う遣しき2ハ満しや・こ能古ろのおほろ月
夜耳・志のひても1のせ2む・ま可てよとの給へハ・
王つ1ら2ハしとおもへと・うちわ多りものとや可な2る・」(3オ・202G)
0025【わつらハしとおもへと】−命婦
はるの1つれ/\尓ま可てぬ・ちゝ能大輔の君ハ・
本可尓1そ2すミける・古ゝ尓は時/\そ2かよひ遣る・
命婦ハまゝ者ゝのあ多りハ・すミも徒可春・ひめ君
0026【まゝはゝのあたり】−兵部大輔か左衛門めのとの後むかへたる妻也
の御あ多りをむつひて・古ゝ尓はくるな2り氣り・の
0027【のたまひしもしるく】−源氏
多1まひしも志るくいさよひの月お可しき本
と尓おハし多1り・いと可たハら2い多1起王さ可那・
0028【いとかたハらいたきわさかな】−命婦
ものゝね1すむへき夜の1さ万尓1も・侍ら2さめる
尓1登きこゆ連と・な2越あな2多尓わ多りて・たゝ
0029【な越あなたにわたりて】−源氏
ひとこ2ゑも・も1よをしきこえ2よ・むな2しくて
可へらむ可・ね1多可るへきをとの給へハ・うちとけ」(3ウ・202M)
多る春見可尓1・すへ多1てまつりて・うしろめたう
か多し遣な2しとおもへと・志むてむ尓万いり多れ
ハ・ま多かうしも1さ那可ら2・むめの1可お1可しきを・見
0030【見いたして】−末つむ花
い多してものし給・よき2おり可な2と思日て・御こと
能ね1い可尓万佐り侍ら2むと・思給へらるゝよ能遣し
き尓佐そ2ハれ侍りてなむ・心あハ多1ゝし起いて
いりに・えうけ多1万ハら2ぬこそ2・くちをし个れ
といへハ・きゝ志類人こ2そあな2れ・も1ゝしき2尓・
0031【きゝしる人】−末つむ花 伯牙鐘子期知音故事 六帖五ことのねをきゝしる人のあるなへにいまそたちいてゝをゝもすくへき(古今六帖3392、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
ゆき可う人の1きくハ可りやハとて・めしよする
も・あいなう・い可ゝきゝ給ハむとむね1つふる・」(4オ・203D)
本の可尓可起な2ら2し給ふ・お1可しうきこ2ゆ・な尓1
0032【おかしうきこゆ】−源氏
ハ可りふ可きてな2ら2ね1と・ものゝね1可ら2能春ちこ2と
なるものな2れハ・きゝにくゝも1おほされ春いとい
多うあれわ多里て・さひしき所尓・さハ可りの
人能・ふるめ可しう・とこ2ろせ2くかしつきすへ多り
个む・な2こりなく・い可尓・おも本しのこす事な2
0033【なこりなく】−をやの御名残ノなき也
可ら2む・可やうの所尓こ2そ2ハ・む可しもの1か多り
0034【むかしものかたりにも】−うつほのとしかけかすめ母にをくれて故里にのこりとゝまり侍を太政大臣の賀茂にまて侍るとてこの家のまへをすくるとてさし入てよめる哥云むしたにもあまた声せぬあさちふにひとりすむらん人をしそ思ふ(うつほ物語4、源氏古注・花鳥余情・孟津抄)
尓1も・あハれなる事ともゝあり个れな2と・思日つ
徒遣ても物やいひよら2ましとおほせ2と・うち
つけ尓やお本さむと・心者つ可しくて・やすら2ひ」(4ウ・203J)
給・命婦可とあるもの尓て・い多う見ゝな2ら2さ勢
多1てまつら2しと思日个れハ・くもり可ち尓侍る
0035【くもりかち】−命婦月事
めり・まら2うとのこむと侍りつ1る・いとひ可本
尓1もこ2そ2い満心の1と可尓1をミかう志万いりな
無とて・い多うも1そ2ゝ能可さて可へり多れ者・
な可/\な2るほと尓てもやミぬる可な2・も1の1
0036【なか/\なるほとにても】−源氏ノ御心
0037【ものきゝわくほとにもあらて】−末ツムノ詞
きゝわくほと尓1もあら2て・ね1多うとの給布
遣しきお1可しとお本し多1り・お1な2しくハ氣
0038【おかしとおほしたり】−源氏ノ御心
0039【おなしくハ】−源氏
ち可起本との多1ちきゝせ2させよとの給へと・心
0040【心にくゝて】−命婦
尓くゝてとおもへハ・いて2やいと可す可な2る阿り」(5オ・204B)
さ満尓・思ひきえて・心くるし遣尓ものし給婦
めるを・うしろめ多1きさ満尓1やといへハ・遣尓さも
0041【けにさも】−源氏
ある事・尓1は可尓我も人も・うちとけてか多ら2婦
へき・人能き者ゝきハとこ2そ2あれな2と・あハれ尓1
おほさるゝ人の御本とな2れハ・な2越さやう能遣し
き2を本の1め可せとか多ら2ひ給布・またち起り
0042【またちきり給へる】−源氏
給へるか多やあら2む・いと志のひてかへり多1ま婦・
うへの1まめ尓おハしますと・もてな2や見き古え2
0043【うへの】−命婦
させ給ふこ2そ2・お1可しう・おもふ給へらるゝお1り/\
侍連・かやう能御やつれ春可たを・いかて可(+ハ)御らむ」(5ウ・204G)
志つけむときこ2ゆ連ハ・多1ち可へりうち王らひて・
0044【たちかへり】−源氏
古と人能い者むやう尓・と可那あらハされそ2・これ
をあ多/\しき2ふるまひとい者ゝ・女の1阿り
0045【女のありさま】−命婦をさす也
さ満・くるしからむとの多1まへハ・あまりいろめい
多1りとお本して・おり/\かうの給ふを・者つ1可
0046【はつかしと思ひて】−命婦
しと思日て・ものも1い者す・志む殿の可多尓・
0047【しむ殿のかたに】−源氏
人能遣ハひきくやうもやとお本して・やをら
多1ち能き給ふ・春い可いの1多1ゝ春こしおれ
のこり多るかくれのか多尓・たちより給ふ尓1・も
とよ里多1てるおとこあり个り・多1れな2らむ」(6オ・204M)
心可け多1る春きものあり个りとお本して・可け尓
つきて多ちかくれ給へハ・とう能中将な2り氣り・
この1ゆふ徒可多うちよりもろとも尓1ま可て給日
个るや可て大殿尓もよら春・二条の院尓もあらて
ひき王可れ給日遣るを・いつちな2ら無と多1ゝな2ら
0048【いつちならむと】−頭中将
亭・王れもゆく可多あれと・あと尓つきてう可ゝ
ひ个り・あやしきむ万に可りきぬす可多1の1・な2
0049【かりきぬすかた】−狩衣すかた不審
い可しろ尓てき个れハ・えし里多万者ぬ尓・
さ春可尓かう古とか多尓いりたまひぬ連ハ・心も1
え春思日遣るほと尓・ものゝね1尓きゝついてた」(6ウ・205E)
てる尓・可へりやいて2給ふと志多まつ1な2り个り・き
ミハ多1れともえ見わき給者て・われと志られし
とぬきあしにあゆミ給ふ尓・ふとよりて・ふりすて
0050【ふりすてさせ給へるつらさに】−頭中将
させ給へる徒らさ尓・御をくり徒可うまつりつる盤
もろとも尓1おほうち山ハいて徒連登
0051【もろともに】−頭中将 一時日本記
0052【おほうち山】−内裏<ヲフウチ>日本記
い類かた見せ2ぬいさよひの徒きとうらむる
0053【うらむるもねたけれと】−源氏
も1ね1多个れと・この1君と見給ふ・春古しお1可し
うな2りぬ・人の1おもひよらぬ事よと・にくむ/\
佐と王可ぬ可けをハ見連とゆく月の
0054【さとわかぬ】−源氏
い類さの山を多れ可堂つ1ぬるかう志多ひあ」(7オ・205K)
0055【かうしたひありかは】−頭中将
里可ハ・い可尓1せ2させ給者むときこえ2給・満古と
はかやうの御ありき尓ハ・春いしむ可らこ2そ2・者
可は可しき2古とも1あるへ个れ・をくらさ勢給
者てこ2そ2あらめ・やつれ多1る御ありきハ・可る/\
しき2事もいてき2な2と・をしかへしいさめ多1
てまつる・かうのミ見つけらるゝを・ね1多し登
0056【かうのミ見つけらるゝを】−源氏
おほせ2と・かのな2てしこハ・えたつ年志らぬを・
0057【かのなてしこ】−玉かつらの君
をもきこう尓・御心のうち尓お1本しいつ・を能/\
0058【こうに】−劫也人のいたむへき心也碁の劫も同心也劫ハつむ心也
ちきれるか多尓もあ万えてえゆきわ可れ給
0059【あまえて】−したふ心也
者春・悲とつくる満尓のりて・月の1お可しき」(7ウ・206D)
本と尓1・くもかくれ多1るみち能ほと・ふえ2布き
あ者せて・大殿尓おハしぬ・さ起な2ともを者せ給
ハ春・しのひいりて・人みぬらうに・御な2越しと
も1めしてき可へ給・つれな2うい満くるやう尓1て2・御
ふえ2とも布起春さひて2お者すれ者・おとゝ連
いの1きゝすくし給者て・こまふえ2とりいて
0060【こまふえ】−六帖高麗笛のこまにわかのりならさなんみきをハいはしあなにくけとハ(古今六帖3410、源氏古注)
給へり・いと上すにお者す連ハ・いとおもしろう
布き給・御こ2とめして・うち尓もこの1か多尓
心え2多1る人/\尓1・ひ可せ2給ふ・中つ可さ能き
0061【中つかさのきみ】−葵上の女房源氏密通也
見わさとひ者ゝひ遣登・頭の君心可け多る」(8オ・206I)
を・もて者な2れて・多1ゝこの1多1満さ可な2類御
0062【このたまさかなる御けしき】−源氏事
遣しきの・なつかしきをハ・えそ2むききこえ2
ぬ尓・をのつ可らかく連な2くて・大宮な2とも・よろ
0063【大宮なとも】−大殿の北方
し可ら春お本しなり多1れハ・ものおもハしく・
者したなきこゝちして・すさましけ尓・より
ふし多1り・多え2て見多てまつらぬ所尓・可け
者な2れなむもさ春可尓・心本そ2くおもひみ多
連多1り・君多1ちハ・あり徒るきむのね1を
0064【君たち】−源氏頭中将
お本しいてゝ・あハれ氣なり徒る・春ま井の1
さ満な2ともやう可へて・お可しう思日徒ゝ遣・あらまし」(8ウ・207A)
事尓いとお可しうらう多1き人の1・さてとし
月をかさね1ゐ多らむと起・見そ2めていみしう
心くるし具ハ・人尓もゝてさハ可類者可りや・わ可
心もさ満あし可らむな2とさへ・中将ハ思日个り・この1
0065【この君】−源氏の君
君のかう遣しき2者ミありき給を・万佐尓さて
ハ春くし給日てむやと・な2満ね1多1うあやう可り
个り・そ2の1ゝちこ2な2多可な2多より・ふミな2とや里
給へし・いつれもかへり事見え2春・お本つ可な2く
心やましき(+丹)あまりうたてもあ類可な2・さやう
0066【あまりうたても】−頭中将
なるす万ひする人者・も1の思日志り多1る」(9オ・207F)
遣しき・者可那き木くさ・そ2らの1个しき尓
徒氣ても・とりな2しなとして・心者せをし者可
らるゝおり/\あらむこ2そ2・あハ連なるへ个連・
をもしとても1・い登可うあまりうもれ多らむ
0067【うもれたらむ】−拾遺 久かたの雨のふる日越たゝひとり山へにおれはむもれたりけり(拾遺集1252・拾遺抄470万葉772、源氏古注)
盤・心徒きなくわるひ多りと・中将ハ万いて心い
0068【心いられ】−いら/\しき心也
られし个り・連いの1へ多てきこえ2給もぬ古ゝ
0069【れいの】−頭中将問
ろ尓て志可/\能かへり事ハ見給や・心ミ尓1か
春め多1りしこ2そ2ハし多1なくてやミ尓1し
可とうれふ連ハ・され者よ・いひより尓けるをやと・
0070【されはよ】−源氏答
ほゝゑまれていさみむとしも1思者年ハ尓や」(9ウ・207L)
みるとしも1な2しといらへ給を・人王起ゝ(ゝ#し)氣ると
0071【人わきしけると思ふに】−頭中将心中
思ふ尓いとね1多1し・君ハふ可うしも1おも者ぬ
事のかうなさ氣な2き2を春さましくお
0072【なさけなきを】−返事なき越
も1ひな2り給尓1し可と・かうこの1中将能いひあ
里きけるをこ2とおほくいひな2れ多1らむ方尓1
そなひ可む可し・志多り可本尓1亭も1との事
0073【もとの事】−源氏をもとの事といふ
をおもひ者な2ち多らむ个しき2こ2そ2うれハし
可るへ个れとお本して・命婦をまめや可尓か多らひ
給・お本徒可な2くもて者な2れ多1る御遣しき2
0074【おほつかなく】−源氏
な2む・いと心うき2春起/\しきか多尓うた」(10オ・208C)
可ひよせ給尓こ2そ2あらめ・佐りとみし可き心者へ
0075【心はへ】−源氏ハ人にむきて心なかくあると也
徒可者ぬものを・人能心のの1とや可な2る事な2
0076【人の心】−葵上の嫉妬の心也
く亭お1も者春尓のミある尓な2む・をのつ
可らわ可あやまち尓1もな2りぬへき・心のと可尓て
0077【心のとか】−閑也
おやハら可ら能もてあつ1可ひうらむるもなう
0078【おやハらから】−親 兄弟
心屋春からむ人ハな可/\な2むらう多1可る
0079【心やすからむ人】−末摘花の事をいふ
へきをとの給へ者・いてやさやう尓お可しき2
0080【いてやさやうに】−命婦
かた能御かさやとり尓者えに(に$<朱>)しも1やと・徒き
0081【御かさやとりには】−催馬楽妹之門云あまやとりかさやとり云々
な2遣尓こ2そ2みえ2侍連・日とへ尓もの徒ゝ見しひ
き2いり多1るか多ハしも1ありか多1うも能し」(10ウ・208H)
0082【かたハし】−方 詞
給ふ人尓なむと見るありさ満可多りきこゆ・
らう/\しうかとめ起多る心者な2き2な2めり・いと
0083【らう/\しう】−源氏 良
こめ可しうおほと可な2らむこ2そ2らう多1くハある
へ个れとお本しわ春連春の給ふ・わらハやみ尓
0084【わらハやみに】−若紫巻始同時也 横並此にみえたり
王つらひ給人し連ぬも能をもひの1まきれ
も1御心の1いと万な2きやう尓て者るな2つ1春起
ぬ秋のこ2ろ本ひ志つ1可尓お本し徒ゝ氣て2・か
0085【かのきぬたのをと】−夕顔
能きぬ多のをとも1みゝ尓徒きてきゝ尓1く
可りしさへ恋しうをほしいてらるゝまゝ耳・
ひ多ちの宮尓ハ志ハ/\きこえ2給へと・な2越」(11オ・209@)
おほつ可なうのミあれ者よつ可す心やましう
まけて2ハや万志能御心さへそ2ひて・命婦をせめ
給い可なるやうそ2いと可ゝる事こ2そま多志
らね1といとものしとおもひて農多1まへハ・いと
0086【いとおしと思ひて】−命婦
お1しと思日てもて者な2れて尓けな2き2御事と
も1おもむ遣侍ら春・多1ゝおほ可多の1御も能つゝ
ミ能わりな2起丹て(+を)え佐しいて給者ぬとなむ
み給ふるときこゆ連ハ・そ2れこ2そ2ハよつ可ぬ事
0087【それこそハ】−源氏
な2れ・ものおもひ志るましき本とひとり身を・え2
心尓ま可せぬほとこそ2事ハりな2れ・な2尓1事も1」(11ウ・209E)
思しつ万里給へらむと思ふこ2そ2・そこ者可登
なくつれ/\尓心ほそ2うの1ミおほゆるをおな2し
心尓いらへ給者むハね1可ひかな2ふ心ちな2む春へ
き・な尓やかやとよつけるすちな2らてそ2農
あれ多1る春の1こ尓多1ゝ春まゝ本しき2な2り・いと
う多1て心えぬ心ち春るをかの1御ゆるしな2う(う$く)
とも多1ハ可れ可し・心いられしう多てあるもてな2
し尓ハよもあらしなとか多らひ給ふ・な2越世尓
0088【なを世に】−命婦猶の字有心
ある人のありさ満をおほ可多な2るやう尓1て
きゝあつ1めみゝとゝめ給くせの1徒き給へるを・」(12オ・209K)
佐う/\しき2よひ井な2と尓(尓$<朱墨>)ハ可な2き徒いて尓
さる人こ2そ2とハ可りき古え2いて多1りし尓・可く
わさと可満しうの多まひ王多れハな万王(者&王)つら
ハしく・をむな2君の1御ありさ満もよつ可ハしく
よしめきな2ともあらぬを中/\なるミちひき
尓いとお1しき2事やみえ2むな2むと思日个れと・
君のかうまめや可尓の給ふ尓きゝいれさらむも
ひ可/\し可るへし・ちゝみこおハしけるお1り尓
多1尓ふりに多るあ多りとてをとな2ひきこゆる
人もな2可り遣るをましてい満ハあさちハく類」(12ウ・210C)
人もあと多1え2多る尓・かくよにめつらしき2御
遣者ひの1もり尓本ひく流をハな2満女ハ羅な2とも
ゑミ満氣てな2越きこえ2給へ(△△&給へ)とそ2ゝの可した
て万つれと・あさましうもの徒ゝ見したまふ
心尓て・ひ多ふる尓見もいれ給ハぬな2り个り・命婦
ハ佐らハ佐りぬへ可らんおり尓もの古し尓き2古え2
給者むほと御心尓徒可春ハさても1やみ年可し・
又さるへき尓てかり尓も1おハしかよハむをと可
め給へき2人な2しなとあ多めき多1る者や里
心ハうち思日て・ちゝき見尓もかゝ類事な2と」(13オ・210H)
0089【ちゝきみ】−兵部大輔
も1い者さり氣り・八月廿よ日よひ春く流まて・
ま多るゝ月の1心もとな2き2尓本しの1ひ可りハ可り
0090【またるゝ月】−\<朱合点> 六帖したにのミこふれはくるし山のはにまたるゝ月のあらハれハいかに(古今六帖336・万葉3825、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
さや遣くまつ1のこすゑふく風のをと心ほそ2
くてい尓しへの1事可た(△&た)りいてゝうちな2き2な2とし
0091【いにしへの事】−故宮の御事
給いとよ起おり可な2と思日て御せ2うそ2こやき2
こえ2つらむ・れいのいと志のひておハし多1り・月
0092【れいのいとしのひて】−源氏
やう/\いてゝあれ多1るま可起の1ほとうとまし
くうちな2可め給ふ尓きむそ2ゝの可されて本の可
尓可きな2らし給ほと・个しうハあら春す古し
0093【けしうハあらす】−命婦心
遣ち可うい満めき多る遣をつ1気ハや(+と)そみ多」(13ウ・211@)
連多る心尓ハ心もとな2くおもひい多1る・人めしな2
0094【人めしなき所なれは】−目 詞
き所な2れハ心や春くいり多1まふ・命婦をよ者
せ給・い満しもおとろき2可本尓いと可たハらい多
きわさ可な2・し可/\こそ2おハしまし多1な2れ・徒
ね1尓かううら見きこえ2給ふを心尓可な2者ぬよし
をのミいな2ひき古え2侍連ハ・見徒可ら古とハりも1
きこえ2志らせ2むとの給日わ多るなり・い可ゝきこ
え可へさむ・なミ/\の1多1者や春き御布る
0095【たはやすき】−\<朱合点> たやすくといふ詞也 文字ヲそへていふ也 あられふるの山の里のさひしきハきてたハやすくとふ人そなき(後撰468・古今六帖982、河海抄・孟津抄・岷江入楚)
まひな2らね1ハ心くるしきを・もの1古し尓て2
き古え2給ハむ事き古しめせといへハ・い登」(14オ・211F)
0096【いとはつかしと】−末摘
者つ可しと思て人(△&人)尓も1のき古え2むやうも
志らぬをとておくさ満へゐさりいり給さ満いと
う井/\志氣な2り・うち王らひていと王可/\
0097【うちわらひて】−命婦
しうおハしますこそ2心くるし个れ・可起り
な2き2人もおやな2とお1ハしてあつ1可ひうしろ
見きこえ2給ふほとこ2そ2わ可ひ多1まふもこ2と
ハりな2れ・かハ可り心ほそき2御ありさ満にな越
よ越徒きせ2すお本し者ゝ可類ハ徒きなう
こそ2とをしへきこゆ・さす可尓人能いふ事ハ
0098【さすかに人のいふ事ハ】−末摘花
徒ようもいな2ひぬ御心尓ていらへき古え2てたゝ」(14ウ・211K)
き氣とあらハかうしな2と佐してハありなむとの
給・春能こな2とハひむな2う侍りなむをし多ち
0099【すのこなとハ】−命婦
てあハ/\しき2御心な2とハよもなといとよ具
いひな2してふ多まのきハなる佐うして徒可
羅いと徒よくさして御しと年うちを起ひ
きつ1くろふ・いと徒ゝまし遣尓お本し多1れと
かやうの1人にも1の1い婦らむ心者へな2とも夢尓
志り給ハさり个れハ・命婦のかういふをあるやう
こ2そ2ハと思日てものし給・め能と多1つ1おい人
な2とハ佐うしにいりふしてゆふ万とひ志多る」(15オ・212C)
本とな2り・わ可き人二三人あるハよにめてられ連
給ふ御ありさ満をゆ可しきもの尓思日き
こえ2て心遣さうしあへり・よろしき御そ2多て
まつり可へ徒くろひきこゆれハ・さう志ミハな2尓1
の1心氣さうも1な2くておハす・おとゝ(ゝ$)こハいと徒
0100【おとこハ】−命婦カ心
きせ2ぬ御さ満をうち志のひよういし給へる御希
ハひいミ志うな満めきて見志らむ人尓こ2そ2見
せ2め者へあるましき2わ多りをあ那いとお1しと命
婦ハおもへと・多1ゝおほと可尓も能し給ふをそう
志ろや春う佐し春起多1る事ハ見え2多てまつ1」(15ウ・212I)
り給ハしとおもひ个る・わ可つ年尓せめられ1多て
まつる徒ミさりこ2と尓心くるしき人能御も1の1
思日やいて古むな2とや春可ら春思日ゐ多り・君ハ
0101【君ハ】−源氏
人能御本と越おほせ2ハされくつ1可へるい万やう能
よしはミよりハこよな2うおくゆ可しうとお本
佐るゝ尓・い多うそ2ゝの1可されて井さりより
給へる遣ハひしのひや可尓え日能可いとなつ
0102【えひのか】−薫衣香の名也 又云すへて薫物の名也云々
可しうか本りいてゝおほと可なるを・されハよ登
おほ春・とし古ろ思日わ多るさ満な2といとよく能
給つゝくれと・ましてちかき御いらへハたえ2てな2し・」(16オ・213@)
わりな2の1わさやとうちなけき給ふ
0103【わりなのわさやと】−源氏
いくそ2多1ひ君可志ゝま尓1さ(さ$万<朱>)けぬらん
0104【いくそたひ】−源氏
0105【しゝま】−進退也 又棲遑日本記 物いはぬ也 ちかふ事也
ものな2いひそ2といハぬ多1のミ尓の多1まひも春
てゝよ可し多1万堂春起くるしとの給ふ・女
0106【たまたすき】−\<朱合点> 「<古今イ>/おもはすハおもハすとやハいひい(い=はイ)てぬ/なと(と=そイ)世中のたまたすきなる<朱>」(付箋01 古今六帖3216、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄) 六帖 玉たすきかけねハくるしかけたれはあなわつらハし人の心やイ<朱>(古今六帖3218、源氏古注)
君の1御め能とこ志しうとて者やり可なる王可
人いと心もとな2うかたハらい多1しと思日てさし
よりてきこゆ
かね1徒きてとちめむこ2とハ佐春可尓て
0107【かねつきて】−侍従 論義の時鐘ヲつけはいひやむ也
こ多1えまうきそ2可つ1ハあやな2き2いとわ可ひ
堂るこ2ゑの1こ2と尓1おもり可な2らぬを人徒て」(16ウ・213F)
尓ハあらぬやう尓き2こえ2なせハ・ほとよりハあ
0108【あまえて】−されハみたる心也 一云あさやか也
まえ2てときゝ給へと・めつらしき可な可/\くれ(れ#ち)
ふ多可るわさ可な2
い者ぬをもい婦耳満さると志りな2可ら
0109【いはぬをも】−源氏<右> 六帖心にハ下行水のわきかへりいはておもふそいふにまされる(古今六帖2948、源氏古注・花鳥余情・一葉抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚) 大和物語此下句侍り鷹事ニアリ
をしこめ多1るハくるし可り个りな2にや可や
と者可なき事な2れと・お可しきさ満尓1も
まめや可尓もの給へとな尓1の1可ひな2し・いと
0110【いとかゝるも】−源氏
可ゝるもさ満可ハりおもふ可多古と尓ものし給ふ
人尓やとね1多くてやをらをしあけていり
多2まひ尓个り・命婦あな2う多1て多ゆめ給」(17オ・213L)
0111【たゆめ】−油断セサセタル也
へるといとお1し个れハ・志ら春可本尓てわ可か多へい尓
个り・この1わ可人とも1者たよ尓多1くひな起
0112【このわか人とも】−侍従そと
御ありさ満の1をときゝ尓つ1ミゆるしきこえ2て
おとろお1とろしうもなけ可れ春・多1ゝお1も
ひもよらす尓は可尓てさる御心もな2きをそ2
思日遣る・さうしミハ多1ゝわれ尓もあら春者つ
可しく徒ゝましきより本可能事ま多な2け
連ハ・い満ハかゝ類そ2あハれな2る可しま多よ那
0113【いまハ】−源氏の心
れぬ人うちかしつ可れ多ると見ゆるし給ふ
もの可ら心え2春な2満いとお1しとおほゆる御さ」(17ウ・214D)
満なり・な2尓1事尓つけて可ハ御心の1とまらむう
ちうめ可れて2よふ可ういて給ひぬ・命婦ハい可な2
らむとめさめてきゝふせ2り个れと志り可本
な2らしと(+て)御をくり尓ともこハ徒くら春君もや
をら志のひていて給尓个り・二条の院尓お1ハ
してうちふし給ひてもな2越思婦尓かな2ひ
か多起よにこそとお本しつゝ遣てかるら可な2ら
0114【かるらかならぬ人】−末摘
ぬ人能御ほと(+を)心くるしとそお本し氣る・
思日見多れてお者する尓・頭中将おハして
こよなき2御あさい可な2ゆへあらむ可しとこ2そ」(18オ・214J)
思日給へらる連といへハ・おきあ可り給て心や
0115【おきあかり給て】−源氏
春起ひとりね1のとこ尓てゆるひ尓个りやうち
0116【ゆるひ】−緩
よりかとの給へハ・し可満可て侍るまゝなり・春さ
0117【しかまかて】−頭中将
く院農行幸个ふな2むかく人万ひ人(△&人)
0118【かく人】−ヒト
さためら類へき2よしよへうけ多1まハりしを・
おとゝ尓1もつ多へ申さむとてな2むま可て侍
類・や可てかへり万いりぬへう侍るといそ2可し遣
な2れハ・佐らハもろと(+も1)尓1とて御可ゆこハいひめし
0119【御かゆこはいひ】−粥 強飯
て・まらうと尓1も万いり給て・ひきつゝ遣多1連
0120【ひきつゝけ】−源氏与頭中将車をつらねなから同車せられたる也
と悲とつ尓多1てまつりて・な2越いとね1ふた遣那」(18ウ・215・A)
0121【な越いと】−頭中将
里とと可めいてつ1ゝかくい給事おほ可りと
そ2うら見きこえ給ふ・古とともお本く佐多
0122【こととも】−行幸事
めら類ゝ日にて2うち尓さふらひくらし給つ1・
可しこ尓はふミを多1尓とい登をしくお本
0123【かしこには】−末摘
しいてゝゆふ徒可多そ2あり遣る・雨ふりいてゝ
所せ2くもある尓かさ屋とりせ2むとハ多おほ
され春やあり个む・可しこ尓ハまつほと春起
て命婦もいといとをしき御さ満可な2と心う
くおもひ个り・佐う志ミハ御心農うち尓者つ1
0124【さうしミハ】−末摘花
可しう思日給て遣さ能御ふミのくれぬ連と」(19オ・215G)
な可/\と可とも思日王起給ハさり个り・
ゆふきりの1者類ゝ遣しきもま多ミぬ尓
0125【ゆふきりの】−源氏イ
いふせ2さそ2ふるよひのあめ可那くも万ま地
0126【くもままちいてむほと】−雨はれハ行へしと云心也
いてむ本とい可尓1心もとな2うとあり・お1ハします
ましき御遣しき越人/\むね1つ婦連て
おもへとな2越きこえ2させ給へとそ2ゝの1可しあ
へれと・いとゝおもひ見多れ給へる本と尓てえ
可たのやう尓も徒ゝ遣多1万ハ年ハよふけぬ
とて・し志うそ2れいのをしへきこゆる
者れぬよ能月まつ佐と越おもひやれ」(19ウ・215L)
0127【はれぬよの】−返し
おな2し心尓な可免せ2すとも1くち/\にせ2め
られて2むらさ起の1可ミ能としへ尓个れハ・者ひ
0128【むらさきのかみ】−万十六/紫ハはいさすものそつハいちのやそのちまたにあへるこやたれ(万葉3115、源氏物語新釈)
をくれふるめい多1る丹て(て&て)ハさすかにもし徒
よう中さたの春ち尓てかミしもひとしく
0129【中さた】−中央也 中比也
0130【かみしもひとしく】−女の文ハ上下なかくミしかくかきてひとしくハかゝぬ也 ちらしかき本也
かい給へり・みる可ひなううちをき2給ふ・いか尓
0131【みるかひなう】−源氏
をもふらんと思日やるもや春可ら春・可ゝるこ2と
をくやしな2とハいふ尓やあらむ・さりとてい可ゝ
ハせ2む王れハさ里とも1心な可く見者てゝ
むとおほしな2春・御心を志らね1ハ可しこ尓はい
ミしうそ2な2けい給氣る・おとゝ夜尓いりて」(20オ・216E)
万可て給尓ひ可連多1てまつりて大殿尓をハし
ましぬ・行幸のこ2と越个婦ありとおもほし
0132【けふ】−興
て君多1ちあつまりての給日・をの/\まひ
ともならひ給ふを・そ2能こ2ろ能事尓て春
き2ゆく・ものゝね1ともつ年よりもみゝ可し可
ましくて可多/\いとミ徒ゝ連井の御あそ
0133【れゐの御あそひならす】−康保三年十月七日覧殿上舞有大篳篥<ヒチリキ>小篳篥<ヒチリキ>
ひな2らす・大ひち里き・佐くハちの布え2なと
0134【さくハちのふえ】−尺八長一尺八寸 舌四寸八分 又名短笛
能おほこ2ゑをふきあけつゝ・多1いこをさへかう
0135【たいこをさへ】−礼記鐘皷在庭瑟在堂 寛治五年五月廿五日殿上競馬六番主上自打大皷給此時並堂上 延木四年三月廿四日覧舞楽左大臣明平公仰令推大皷階前自打之
らむの1もと尓1まろハしよせて・亭徒可らうち
な2らしあそ2ひおハさふ春・御いと満な2起やう」(20ウ・216K)
尓1て2せ2ち尓おほ春所者可り尓こそ2ぬ春万
0136【おほす所】−藤壺なと也
0137【ぬすまはれ給へれ】−ぬすまれ給ふ也
者れ給へ(+連)・かの1わ多り尓ハいとを本つ可なく(+て)あき
0138【かのわたり】−末摘花
くれ者てぬな2越たのミこし可ひな2くて春起
ゆく・行幸ち可くな2りて志可くな2とのゝ志る
ころそ2命婦ハまいれる・い可尓そ2な2と・とひた万
0139【いかにそ】−源氏
0140【とひたまいて】−末摘の事
いていとをしとハおほし多1り・ありさ満きこえ2
0141【ありさま】−命婦
ていとかうもて者な2れ多1る御心者え2ハみ多1
まふる人さへ心くるしくな2とな2きぬ者可り
おもへり・心尓くゝもてな2してやミな2むとお1もへ
里し事をく多いて・遣る心もな2く・こ能人」(21オ・217B)
0142【くたいて】−腐
0143【この人】−命婦か心
のおもふらむをさへおほ春・佐うしミの1も1のハ
0144【さうしミ】−末摘
い者て・おほしうつ1もれ給らむさ満おもひやり
給ふもいとお1し个れハ・いと満な2き2本とそやわり
0145【いとまなき】−源氏
な2しとうちな2けい2て2も能おもひ志らぬやう
なる心さ満をこらさむと思ふそ2可しとほゝ
ゑミ給へるわかうう徒くし遣な2れハ・王れもうち
0146【われも】−命婦
ゑまるゝ心ちして・わりな2能人尓うらミられ給ふ
御よハひや・おもひや里すくな2う御心の1まゝな2ら
むもこ2とハりとお1もふ・この御いそ2きのほと春
くしてそ2時/\おハ(△△&おハ)し个る・かの1むらさ起能」(21ウ・217G)
0147【時/\おはしける】−末摘
0148【かのむらさきのゆかり】−紫上ハ薄雲の姪女故也
ゆ可り堂つ年とり給日てそ2能うつ1くしミ尓1心
いり給日て・六条わ多り尓多1尓可れ万佐りた万
婦めれ盤・ましてあれ多1るやとハ・あハれ尓おほし
0149【あれたるやと】−末摘花
をこ多1らすな2可らものうきそ2わりな2可り个る
と・所せ2起御ものハちを見あらハさむの御心も
0150【御ものハち】−蓬生の事
こ2と尓なうて春起ゆくを・またうちかへし見
まさり春るやうも1あり可し・てさくり能たと
0151【てさくりの】−鼻の長き手あたる也
多1としき2尓あやしう心え2ぬ事もある尓や・
みてし可な2とおも本せ2登けさや可尓とりな2
さむも1万ハ遊し・うちとけ多1るよひゐの」(22オ・217M)
本とやをらいり給日て・かう志の1者さ満より・
見給日个りされとみつ1可らハ見え2給へくも阿
0152【みつからハ】−末摘
ら春・き丁な2とい多1くそ2こな2ハれ多1るも能
可ら・としへ尓个る多1ちとかハら春おしや里
な2とみ多れ年ハ心もとな2くて・こ多1ち四五人
ゐ多り・御多1い・ひそ2くやうの1もろ古し能もの
0153【御たい】−台
0154【ひそく】−茶碗事也 唐の世ニ秘蔵して秘色といへり
な2れと・ひと王ろき尓な尓の1くさ者ひもな2
0155【わろきに】−此器物ふるくてよからねハ人わろしと也
0156【くさはひ】−種
くあハれ遣なるま可てゝ人/\具ふ・春ミ
0157【まかてゝ】−退
のまハ可り尓そ2いとさむ遣なる女者らしろき
きぬ能いひ(△&ひ)志ら春すゝけ多1る尓き多なけ」(22ウ・218E)
なる志ひらひきゆひつけ多1る古し徒きか多
0158【しひら】−うハ裳ナリ
くな2し遣なり・さ春可尓くしを志多れて2さ
したるひたいつき・ないけうはう内侍所の
0159【ないけうはう】−内教坊也 女楽をつかさとる所也
本と尓かゝ類ものとも1ある者やとお可し・可け
0160【かけても】−源氏御心
ても2人能あ多り尓ち可う婦るまふものとも
志り多1まハさり个り・あハれ・さもさむきとし
かな2いのちな2可个れハかゝ類世尓もあふも能な2
里个りとて・うちな2くもあり・こ宮をハしまし
し世をな2とてからしと思日个む可く多1のミ
0161【からし】−辛
な2くても春く類ものな2り个りとてとひ多ち」(23オ・218J)
0162【とひたちぬへく】−とひたちぬへしつるの毛衣 後撰哥世ノ中ヲウシトヤサシト思ヘトモトヒタチカネツ鳥ニシアラネハ(万葉893、河海抄・一葉抄・休聞抄・孟津抄・紹巴抄・岷江入楚)
ぬへく婦るふもあり・さ満/\尓人王ろき事
とも越うれへあへるをきゝ給もか多者らい多1
个れハ・多1ちのきて多1ゝい満お者するやう尓1
てうち多1ゝき給ふ・そゝやな2といひて火とり
な2越しかうし者な2ちてい連多1てまつる・志ゝう
ハさい院尓万いりかよふわ可人尓てこの1こ2ろハ
な2可り个り・いよ/\あやしうひな2ひた1る可起り
0163【ひなひたる】−いなかひたるナリ
尓て・みな2らハぬ心ちそ2する・いとゝうれふなり
徒る(+にイ、にイ$<朱>)ゆき可起多1連いみしうふり个り・空農
遣しき2者遣しう可せふきあれておほとな2」(23ウ・219B)
ふらきえ尓个るをともし徒くる人もな2し・可の
0164【かの】−夕顔
もの尓をそ2ハれしおりお1ほ本しいてられてあれ
多1るさ満ハおとらさめる越本との1せハう人
氣能春こしあるな2と尓なくさめ多1れと・
春こうう多てい佐とき心ちする夜の1さ満
0165【いさとき】−さとき也
なり・お可しうもあハれ尓もやう可へて心とまり
ぬへき2ありさ満を・い登むも1れすくよ可尓1て2
な尓1の1者へな2き2をそ2くちをしうおほ春・
からうしてあけぬる遣しきな2れハ・かうしてつ
可らあけ給てまへの1せ2むさいのゆき越見」(24オ・219G)
多1まふ・ふミあけた1るあともな2くハる(△&る)/\とあれ
わ多りていみしうさひし遣なる尓・ふりいてゝゆ
可む事もあハれ尓て・お可しきほとの1空も
見給へ・徒き2せ2ぬ御心の1へ多てこ2そ2わりな2个れ
0166【見給へつきせぬ】−末つむにの給ふ也
とうら見きこえ2給ふ・万た本のくら个れと
ゆきの1ひ可り尓いとゝき2よらに王可う見え2
給ふを・おい人ともゑミさ可へて見多1てまつる・
0167【ゑミさかへて】−咲 栄
者やいて2させ給へ・あち起な2し・心うつくしき2
0168【はやいてさせ給へ】−源氏
こ2そ2な2とをしへきこゆ連ハ・さす可尓人能き
こ2ゆる事をえいな2ひ給ハぬ御心尓て・と可うひ」(24ウ・219M)
き徒くろいて井さりいて給へり・見ぬやう尓
てとの1可多をな2可め給へれと・志りめハ多1ゝな2ら
春・い可尓そ2うちとけま佐りの1いさゝ可も1阿
らハうれし可らむとおほ春もあな2可ちな2る
御心な2りや・万徒ゐ多けのた可くをせな2可耳
みえ2給ふ尓・されハよとむ年徒ふれぬ・うち徒
きてあな2可多わと見ゆるものハ(+御、御#)者那な2り个り
ふとめそ2とまる・ふ个む本さつ1のゝ里ものとお1
0169【ふけむほさつのゝりもの】−普賢菩薩乗大白象 鼻如紅蓮華色 観普賢経
ほゆ・あさましう多1可うのひら可にさきの
可多春こし堂りていろつき多1る事こ2との」(25オ・220D)
本可尓1う多てあり・いろハゆき者つ可し具志
0170【しろうてさおに】−少青也 極て白物青く見ゆる也
ろうて・さおにひ多ひ徒きこよなうハれ多1る
に・な2越しも可ちなるおもやうハ・おほ可多お1と
0171【しもかち】−面長也
ろおとろしうな2可きな2るへし・やせ2多まへる
事いとをし遣尓さら本日て可多の1本とな2登(△&登)
0172【いとをしけに】−痛
0173【さらほひて】−[骨+尭]床子ヤセカラ/\トシタル也
者い多1遣なるまてきぬのうへまてみゆ・な尓
0174【なににのこりなう】−源氏
尓1の1こりな2う見あらハし徒らむと思もの可ら
めつらしきさ満の1志多1れハさす可尓うちミや(+ら)
連給ふ・かしら徒き可ミ能可ゝりハしもうつ1
くし遣尓めて多1しとおもひきこゆる人/\」(25ウ・220J)
0175【めてたしとおもひきこゆる人/\】−藤壺
尓もお1さ/\おとるましう・うちきの1すそ2尓
多1まりてひ可連多1るほと一尺ハ可りあまり
多らむと見ゆ・き多1まへるものともをさへ
0176【きたまへるものともを】−作者詞也
いひ多1つるもも1能いひさ可な2きやうな2れと
む可しもの可多り尓も人能御さうそくをこ2そ2
まついひ多1めれ・ゆるしいろのわりな2ううハし
0177【ゆるしいろ】−聴色也 紅梅をいふ 見延喜式 深紅ハ禁色也
ら見多るひと可さ年・なこりなうくろき2う
0178【ひとかさね】−衣一かさね也
ちき可さ年て・う者き尓はふるきの1可ハき
0179【ふるきのかはきぬ】−\<朱合点> 貂裘 可聞師説
ぬいときよらにかうハしきをき給へり・こ多1
0180【こたい】−古代
いのゆへつ1き多1る御さうそくな2れとな1越」(26オ・221A)
0181【ゆへつき】−由付
王可や可なる女の1御よそ2ひ尓ハ尓けな2うおとろ
お1とろしき事いともて者やされ多1り・佐連と
遣尓こ能可ハなうてハ多さむ可らましとミゆる
御可本さ満なるを心くるしと見給ふ・な尓1
事もい者れ給者す王れさへくちとち多る
心ちし多1まへと・連いの1志ゝまも心みむとと
可うきこえ2給ふ尓い多う者ちらひてくちお
本ひ志多まへるさへひな2ひふるめ可しうこ2と
こ2としくきし起官の1ね1りいて多1るひち
0182【きしき官】−儀式官 判官ナト也
もちおほえ2て・さす可尓うちゑミ給へる个し」(26ウ・221G)
き者し多1なうすゝろひ多1り・いとをしく
あハれ尓ていとゝいそ2きいて給ふ・多1能もしき2
0183【たのもしき人なき御ありさまを】−源氏詞
人な2き御ありさ満を見そ2め多1る人尓はう
とから春思日むつひ給ハむこ2そ2本いある心
ちすへ遣れ・ゆるしな2き御遣しきな2れハ徒ら
うな2と古とつ氣て
あさひ佐春の起の1多るひハとけな2可ら
0184【あさひさす】−源氏<右> 好忠集 あさ日こやけさハうらゝにさしつらん軒のたるみのしたの玉水<左>(好忠集6、花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
な2と可徒らゝのむ春本ゝ類らむとの給へと・た
多1むく(く=む<墨>イ<朱>、イ#<朱>)とうち王らひていとくちをも遣な2る
もいとお1し个れハいて給ひぬ・御車よせ多る」(27オ・221L)
中もむのいとい多1うゆ可ミよろ本日てよめ尓1
こ2そ2志るき2な2可らもよろつ1かくろへ多る事
お本可り个連・いとあハれ尓さひしくあれまとへる
尓・まつの1ゆきの1ミあ多ゝ可遣尓ふり徒め類
山佐との心ちしてものあハれなるを・かの1人/\
のいひしむくらの1可とハかうやうな2る所な2り
0185【むくらのかと】−雨夜の物かたりにいへる事也
个む可し・氣尓心くるしくらう多1けな2らん
人をこゝ尓すゑてうしろめたう恋し登
おもハゝや・あるましきも1のおもひハそ2れ尓万
0186【あるましき】−薄雲を思ふ越いふ
きれな2無可しと・おもふやうなるすミ可尓1」(27ウ・222D)
0187【おもふやうなるすミか】−末摘
あ者ぬ御ありさ満ハとるへき可たな2しと思日な2
可ら・王れな2らぬ人ハまして見しのひてむや・わ可
かうて見な2れ个るハこみこ能うしろめ多1し
0188【こみこ】−常陸宮
と多1くへをき多1万ひ个む多1万志ひの志る
へな2めりとそ2おほさるゝ・堂ち花の木能うつ
もれ多る見春いしむめして者らハせ堂
まふ・うらやミ可本尓まつのき能をのれお
き可へりて・さとこ本るゝゆきもな2尓多1
0189【ゆきもなにたつすゑの】−\<朱合点> 古 君をゝきてあたし心越わかもたハ末の松山なミもこえなん(古今1093、弄花抄) 古 浦ちかくふりくる雪ハしらなミの末の松山こすかとそ見る(古今326・拾遺集239・古今六帖717・興風集7・63・寛平后宮歌合143、花鳥余情・弄花抄・孟津抄・岷江入楚)
徒春ゑの1とみゆるな2と越・いとふ可ゝら春
ともな2多ら可(△&可)なるほと尓あひしらハむ人」(28オ・222I)
も可な3と見給・御車いつ1へき可とハま多あけ
佐り个れハ・可起のあつ可り多1つ年いて多1れハお起
な2の1いといみしき2そ2いてき堂る・む春め尓や
む万こ尓や・者し多1な類お本きさの1女能
0190【はしたなる】−半なる勢分ナリ
きぬハゆき尓あひて・すゝ遣まとひさむし
と思へる个しきふかう(+て)あやしきもの尓火を
多1ゝ本の可尓1いれて2そ2てくゝ見尓も多り・お1
きな2可と越えあけやらね1ハよりてひきた
春くるいとか多くな2ゝ里・御ともの人よりてそ2
あけつる」(28ウ・223A)
布りに个るかしら能雪越みるひとも
0191【ふりにける】−源氏
おとら春ぬらすあさのそ2て可な1わかきもの
0192【ぬらすあさのそて】−古今秋ののゝさゝわけしあさの袖よりもあハてこし夜そひちまさりける(古今622・古今六帖3037・業平集15・伊勢物語、河海抄・孟津抄・岷江入楚)
0193【わかきものはかたちかくれす】−\<朱合点> 白氏文集 夜深煙火尽霰雪白紛々幼者形不蔽老者体無温悲端与寒気併入鼻中辛 秦中吟
ハか多ちかくれ春とうちすし給日ても・花
の色尓・いてゝいとさむしと見え2徒る御をも可
氣・布とおもひいてられてほゝゑまれたま
婦・頭中将尓これを見せ2多1らむときい可な2る
事をよそ2へい者む・つね年尓う可ゝひくれハい満
見つけられな2むと春へな2うおほ春・世の1
つ年な2るほとのこ2とな2る事な2さな2らハおも
ひすてゝもや見ぬへきを・さた可尓見た万」(29オ・223G)
ひてのちハ中/\あハれ尓いみしくて・まめや
可なるさ満尓つ年尓をとつれ給・ふるき能
かハな2らぬ(+きぬ)あやわ多な2とおい人とものきるへ
き2も能ゝ多1くひ・かの1お1き那の多1め万
て可みしも1おほしやりて多1てまつり給ふ・
可やうの1まめや可事も者つ可し遣な2らぬを
心や春く佐るか多のうしろミ尓て者くゝ万
むとおも本しとりてさ満こ2と尓さな2らぬう
ちとけわさもし給个り・可の1うつ1せ2見の
うちと遣多1りしよひのそ2ハめ尓は・いと王」(29ウ・223L)
ろ可りしか多ちさ満な2れと・もてな2し尓かくさ
連てくちお1しうハあらさりき可し・お1とる
へきほとの人な2りやハ・遣尓し那尓1もよらぬ王
0194【しな】−品
さなり个り・心ハせ(+の)な多ら可尓ね1多1遣な2り
しを万个てやミ尓1し可な2とものゝお1り
0195【まけ】−負
こ2と尓1ハお本しいつ1・としもくれぬ・内のとの
0196【内のとのゐ所】−源ノ淑景舎
ゐ所尓おハします尓・多1いふの1命婦万いれり・
御遣つりくしな2と尓はけさう多1つ1春ちな2
0197【御けつりくし】−天子の御くしをけつりたてまつる時ハ上臈御くしをはらひ中臈けつり奉る也
く心や春きものゝさ春可尓の給多1ハふれ
な2としてつ可ひな2らし給へ連ハ・めしな2き2」(30オ・224C)
時もきこゆへき事あるおりハまうの本り个り・
あやしき事の1侍をきこえ2させさらむも
0198【あやしき事の侍を】−命婦
ひ可/\しう・おもひ給へ王つ1らひてと本ゝゑミ
てきこえ2やらぬを・な尓1さ満の事そ王れ尓
0199【なにさまの】−源氏
ハ徒ゝむ事あらしとな2むおもふとの給へハ・い可
0200【いかかハ】−命婦
可ハ見つ可ら能うれへハ可しこくともまつこ2そ
ハ・これハいときこえ2させ尓くゝな2むとい多うこ2と
こめ多1れハ・連いのえむな2ると尓く見給・か
0201【れいの】−源氏
0202【かの】−命婦
の1宮より侍る御ふミとてとりいて多1り・まし
0203【宮】−蓬生
0204【まして】−源氏
てこれハとりかくすへき事可ハとてとり給」(30ウ・224H)
婦も・む年徒ふる・見ち能く尓可見の1あつ1古え2
0205【みちのくにかみ】−今の檀紙ナリ 古今にみちのくのまゆミのかミといへり 檀ハまゆミ也
多1る尓に本ひハ可りハふ可う志め(△&め)給へり・いとよう
可起おほせ2多1りう多も1
から古ろも君可こゝろの1徒ら遣連者
0206【からころも】−末摘 元真集いつかわれ涙のつきんから衣君か心のつらきかきりハ(元真集311、源氏古注・花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
多1もとハかくそ2そ本ちつゝのミ心え2春うち
か多ふき給へる尓・徒ゝミ尓1古ろも者この1お
0207【つゝみ】−曩
0208【ころもはこ】−衣筥
も1り可尓こ多1いな2るうちをきてをしいて
0209【こたい】−古代
多り・これをい可て可ハか多ハらい多く思日給へ
0210【これを】−命婦
さらむ・され1とつい多1ちの1御よそひとて王
さ登侍める越ハし多1な2う盤者(者$盈<朱>)可へし侍ら春・」(31オ・225@)
ひとりひきこめ侍らむも1人能御心た可ひ侍へ
个れハ・御らむせ2させてこ2そ2ハときこゆ連者・
ひきこめられな2むハから可りなまし・そ2てまき
0211【ひきこめられなむハ】−源氏
0212【そてまきほさむ人も】−\<朱合点> 「白露(露=雪イ<墨>)ハけふはなふりそ白たえの/そてまきほさむ人もなき身に<朱>」(付箋02 古今六帖755・万葉2325、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・源氏古注・河海抄)
本さむ人もな2き身尓・いと(+1うれしき心さし尓こ2そハと<朱>)の給日てこ2と尓1も1
のい者れ給者す・さてもあさまし能くち徒き
やこれこ2そ2ハてつ1可ら能御事の1可起りな2めれ・
侍従こ2そとりな2越すへ可めれ・ま多布ての1志
0213【侍従こそとりなをす】−此哥ハ手つからのかわろし侍従こそよくハよむへきとなり
里とる者可せそ2な2可へきと・いふ可ひな2くお本
春・心を徒くしてよミいて給つらむほとを・お
ほす春尓い1とも可しこき2可多とハこれをもいふ」(31ウ・225E)
へ可り个りと・本ゝゑミて見給ふを・命婦おもて
阿可ミて見多1てまつる・いまやういろのえ遊
0214【いまやういろ】−こき紅梅也 うす紅梅ハ聴色也 濃によりてえゆるすましといふ也
類春ましく徒やな2うふるめき多1る・な2お1し
のうらうへ日と志うこまや可なる・いとな2越/\志う
徒万/\そ2みえ2多る・あさましとおほ春尓1・こ
の1ふミをひろ遣な2可らハし丹てな2らひ春さひ
給ふを・そ2ハめ尓見れハ
0215【そハめに見れハ】−命婦
なつ1可しき2色ともな2し尓なにゝこ能
0216【なつかしき】−源氏
春ゑつむ花をそ2て尓ふれ个む色こき者
0217【すゑつむ花】−万よそにのミみつゝやこひん紅の末つむ花の色にいてすとも人丸(拾遺集632、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚) 古今人しれす思へハくるし紅の末つむ花の色にいてなん(古今496・古今六帖3493、異本紫明抄・紫明抄・源氏古注・河海抄)
0218【色こきはな】−\<朱合点> 「くれなゐを(を=のイ<墨>)色こき花とみしかとも/人をあくたに(たに=にハイ<墨>)うつろひにけり(ろひにけり=るてふなりイ<墨>)<朱>」(付箋03 出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・源氏古注・河海抄)
な2とみし可ともな2と・かき遣可し給ふ・花の1と」(32オ・225K)
0219【花のとかめを】−命婦
可め越(+なを)あるやうあらむとおもひあハするおり/\
の月可けな2と越・いとお1しきもの可らをかし
0220【月】−つま 河海説
うおもひな2りぬ
くれな2井のひと花ころも1(△△&ろも1)うすくとも
0221【くれなゐの】−命婦
ひ多春らく多すな2越し多1て春ハ心くるし
のよやといとい多うな2れてひとり古つ1を・よ起
0222【よきにハ】−源氏
尓ハあらね1とかうやう能可いな2てに多1尓1あら
0223【かいなてに】−をしなへてといふ心也
まし可ハとかへ春/\くちをし人能本との心
くるしき2尓な2の1くちな2むハさす可な2り・ひと
ひと万いれハ・とり可くさむや可ゝ流わさハ人」(32ウ・226C)
0224【とりかくさむや】−源氏
の1するもの尓やあらむとうちうめ起給ふ・な
0225【なにゝこらむせさせつらむ】−命婦
尓1ゝこらむせ2させ徒らむわれさへ心な2き2やう尓1
といと者つ可しくてやをらおりぬ・又の日うへ尓
0226【おりぬ】−下
0227【うへにさふらへハ】−命婦
さふらへハ・多1い者む所尓佐しのそ2き給て・く
0228【くはや】−さあといふ也
者や・きのふの1可へり事あやしく心者ミすく
0229【心はミすくさるゝ】−心たちすきたるとの給ふ
佐るゝとてな2け給へり・女者う多1ちな尓1
事ならむとゆかしかる・多1ゝ梅の花の1色
0230【たゝ梅の花の色】−\<朱合点>
能こ2と・見可さの1山能をとめをハすてゝと・
0231【みかさの山のをとめをハ】−\<朱合点> 求子哥也 春日社ニテハミカサ山トウタフ余社ニテハ各其所ヲうたふ也 青表紙云 未勘云々
う多ひ春さひていて2給日ぬ類を・命婦盤
いとお可しとおも婦・心志らぬ人/\ハな2そ御ひと」(33オ・226H)
里ゑミハ(+と)と可めあへり・あらすさむきしも1
あさ尓1可いね1りこ能める花の1いろあひやミ
0232【かいねり】−掻練也面ウラにくさハりにて中倍(倍=へ)なし紅の色也火色ハ面裏くれなゐの打物中へあり
0233【かいねりこのめる花のいろあひや】−風俗哥たゝらめの花のことかいねりこのむやけしむらさきの色このむや
えつらむ・御徒ゝ志りうたのいとお1しき2とい
へハ・あな2可ちなる御事可な2この1な2可尓1ハ尓本
へる花もな可めり・さ古むの命婦・ひこ能う
0234【さこむの命婦ひこのうねへ】−此二人ハ鼻のあかき人也
ね1ゑ(ゑ$遍)や・万しらひ徒らむな2と心もえ春いひ
しろふ・御可へり多1てまつり多1れ1ハ・宮耳ハ
女者う徒とひて見めて个り
あ者ぬよ越へ多つるな2可能こ2ろもて尓1
0235【あはぬよ越】−源氏返し 拾衣たに中にありしハうとかりきあハぬ世越さへへたてぬるかな(拾遺集789・拾遺抄270、源氏古注・花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
かさ年ていとゝ見もしみよとや志ろき可ミ」(33ウ・227@)
尓春て可ひ給へるしも1そ2な2可/\お1可し遣
なる・徒こも1りの日ゆふ徒可多可能御こ2ろもハこ
尓1御れうとて人能多1てまつれる御そひとく(+多り・)
えひそ2め能をりものゝ御そ2又やまふき可な2
尓そ・いろ/\見え2て・命婦そ2多1てまつり多1る・
ありしいろあひを王ろしとや見多1まひ个んと
思日志ら類連と・可れハ多くれな2井のおも/\し
可りしをやさりともき盈しと・ね1ひ人とも1ハ
0236【ねひ人】−老
佐多むる・御うたもこれよりのハ古とハりきこえ2て
志多ゝ可尓こ2そ2あれ・御可へ里ハ多1ゝお可しきか多」(34オ・227F)
尓こ2そ2な2とくち/\尓1いふ・ひめ君もお本ろ遣
な2らて志いて給つるわさな2れハもの尓可きつけ
てをき2給へり个り・徒い多1ち能ほとすき
0237【ついたちのほと】−正月一日改年源氏十八紫上十一
亭古としお1とこ多1う可あるへ个連ハ・れい農
所/\あそ2ひのゝ志り給ふ尓・ものさハ可し个れ
0238【ものさハかしけれと】−蓬生
とさひしき所の1あハれ尓を本しやら類連ハ・
な2ぬ可能日のせ2ちゑ者てゝ夜尓いりて御せ2む
より万可て給日个るを御との井所尓や可て
0239【御とのゐ所】−きりつほ
とまり給ぬるやう尓てよふ可しておハし多り・
0240【おハしたり】−蓬生許
連いのありさ満よりハ遣ハひうちそ2よめき」(34ウ・227K)
(+1よ)徒い多1り・君も春こし多1をやき給へる氣し
0241【君も】−蓬生
き2もて徒遣多1まへり・い可尓1そ2あら多1めてひき
0242【いかにそ】−源氏
可へ多らむと起とそおほしつゝ遣らるゝ・日佐し
いつる本と尓や春らひな2していて2給ふ・ひむ可し
のつまとをしあけ多れハむ可ひ多1るらう能
うへもなくあハれ多れハ・ひのあしほとな2く佐し
0243【あし】−脚
いりてゆき春こしふり多1るひ可り尓・いと遣
さや可尓見いれら類・御な2越しな2と多1て万
つるを見い多1して春古し佐しいてゝか多ハら
0244【見いたして】−蓬生
ふし給へるかしらつき2こ2本れいて多1るほと」(35オ・228C)
いとめて堂し・おひな2越里を見いて多1らむ
時とお本されてかうしひき2あけ給へり・い登
おし可りしも能こり尓あけも2者て給ハて・氣
うそくををしよせ2てうち可けて御ひん(ん$<朱墨>)くき
の1しと遣な2き2をつ1くろひ給ふ・わりな2うふる
めき多1るきやう多1いの・から具志遣・かゝ
0245【からくしけ】−唐匣
0246【かゝけのはこ】−掻上函也
遣能者こな2と・とりいて多り・さす可尓1おとこ
の御具さへほの1/\あるをされてお可しと見
給ふ・女の1御さうそく个ふハよつ1き多1りと
見ゆるハ・ありし者この1心者をさ那からな2り」(35ウ・228I)
个り・さもおほしよらす婦あるもむつきて志る
き2うハきハ可りそ2あやしとお本し遣る・古とし
0247【うハき】−表着
多1尓こ2ゑ春古しき可せたまへ可し・ま多るゝ
0248【またるゝものハ】−\<朱合点>
ものハ佐しを可れて御遣しき2の1あら多1まらむ
な2むゆ可しきとの給へハ・さ盈つ1る者るハ登
0249【さえつるはるハ】−\<朱合点> 蓬生<右> 「百千鳥さえつる春ハ物ことに/あらたまれとも我そふりゆく<朱>」(付箋04 古今28、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・源氏古注・河海抄)
かし(し$らイ、イ#<朱>)うしてわな2ゝ可しいて多り・さりやとし
0250【さりや】−源氏
へぬる志類しよ登うち王らひ給て夢可登
0251【夢かとそみる】−\<朱合点> 「夢とこそおもふへけれとおほつかな/ねぬに見しかハわきそかねぬる<朱>」(付箋05 後撰714、奥入・源氏古注・河海抄・孟津抄・岷江入楚) わすれてハ夢かとそおもふ思きやイ<左>(古今970・古今六帖715・業平集60・伊勢物語152、源氏釈・異本紫明抄・紫明抄)
そ2みるとうちすしていて2給ふを・見をく
里て2そ日ふし給へりくちおほひのそ2者
めよりな2越可の1春ゑつむ花いと尓本ひや」(36オ・229@)
可尓1佐しいて多1り・見くる志のわさやとお本
さる・二条の院尓おはし多1れハ・むらさ起の1君
0252【むらさきの君】−今年十一歳
いともうつくしきか多おひ尓て・くれな1井盤
かうなつ可しき2もあり个りと見ゆる尓1・む
0253【かうなつかしき】−紅顔をいふ
も1んのさくらの1ほそ2な可な2よらか尓きな2
して・な2尓1心もな2くてものし給ふさ満いみしう
らう多1し・こ多1いの1をハ君能御な2こり尓1て2・
ハくろめもさ(さ#万、万=まイ)た志可り遣るを・ひきつくろ者
0254【はくろめ】−歯黒 山海経云東海有黒歯国其俗婦人歯志黒染
せ給へれハ・まゆの遣さや可尓なり多1るも・う
徒くしうきよらな2り・心可らな2と(+可)かううき2」(36ウ・229E)
0255【心から】−源氏
0256【うき世を】−紫上と蓬生とをいへり
世をミあつ1可ふらむ・可く心くるしきものを
0257【心くるしき】−蓬生
も1見てゐ多らてとお本しつゝ・連いの1も1ろ
とも尓1ひい(ゝ&い)な2あそひし給ゑな2とかきて色
とり給・よろつ1尓お可しう春さひちらし給
个り・王れも可起そ2へ給ふ・可見い登な2可き女
0258【われも】−源ノ
をかき給日て・者な2尓へ尓を徒个て見給
0259【へに】−遠脂
ふ尓・か多尓可きても見万(△&万)うきさ満し
多り・わ可御可遣の1きやう多1い尓うつれる可い
ときよらなるを見給日て・亭つ可らこの1
あ可者那をかきつ遣尓本ハして見給ふ尓・」(37オ・229K)
可くよ起可本多1尓さてまし連らむハ見く
類し可る遍可り个り・日め君ミていみしく
王らひ給・まろ可かく可多者尓な2りなむと
き2い可な2らむとの多まへハ・うたてこ2そ2阿
らめとてさもや志ミつ1可むとあやうく思日
給へり・そ2らのこひをしてさら尓1こ2そ2志ろ
万ね1・ようなき春さひわさな2りや・うち
尓い可尓の給者む(+と)すらむとい堂まめや可
尓1の給を・いと/\おしとお本してよりての
こ日給へハ・へいちうかやう尓色とりそ2へ給な2・」(37ウ・230B)
0260【へいちうかやうに】−「<平中妻哥也>/我にこそつらさハ君かみすれとも/人にすミつくかほのけしきよ<朱>」(付箋06 出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・源氏古注・河海抄) 平仲也 定文事也 宇治大納言物語大和物語にあり 女のよめる哥<右>
あ可ゝらむハあえ2な2むと多1ハふ連給・さ満いと
0261【あえなむ】−ありなんといふ也 又似たらんといふ心
お可しき2いもせ2とみえ2給へり・ひのいとう羅ゝ可
なる尓いつし可とか春見者多れるこ春ゑ
ともの心もとな2き2中尓も・むめハ氣しきハ
0262【むめハけしきハミ】−「にほはねとほおゑむ梅の花をこそ/われもおかしとおりてなかむれ(おりてなかむれ=折テハヲラマホシケレ イ)<朱>」(付箋07 好忠集26、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・源氏古注・河海抄)
ミ本ゝゑミわ多れるとりわきて見ゆ・ハし可
くしのもとのこう者いゝとゝく佐く花耳
て色徒き尓个り
くれな2井の者那そ2あやな2くうとまるゝ
0263【くれなゐの】−源氏
梅の多1ちえハなつ可し个れといてやと阿
いな2くうちうめ可れ給ふ・可ゝる人/\能春」(38オ・230G)
0264【かゝる人/\の】−作者詞也
ゑすゑい可なり个む」(38ウ・230L)
伊行
【奥入01】琴詩酒伴皆抛我雪月花時
尤憶君
【奥入02】伊毛可々度世奈可々度申支酒支可祢天也
和可由可波比知可左乃比知可左のあめも
や布らな2むしてたを左あまやとり可左や
とりて末からむして多をさ
【奥入03】文集秦中吟
夜深煙火盡 霰雪白紛々 幼者形不蔽」(39オ)
老者體無温 悲端与寒氣 併入鼻中辛
【奥入04】求子の哥を可す可尓てハみ可さ山とうたふ
【奥入05】文集六十二
北窓三友
今日北窓下 自問何所為 欣然得三友
三友者為誰 琴罷輙挙酒 々罷輙吟詩
三友逓相引 脩隈無已時 一弾△<カナフ>中心
一詠暢四支 猶恐中有問 以酔弥縫之
みつ(+の)ともハこれ也」(39ウ)
二校了(前遊紙1オ)