First updated 01/15/2002(ver.1-1)
Last updated 05/06/2015(ver.2-4)
渋谷栄一翻字(C)

  

横笛

凡例
1 本稿は、『大島本 源氏物語』(1996(平成8)年5月 角川書店)を翻刻した。よって、後人の筆が加わった現状の本文様態である。
2 行間注記は【 】− としてその頭に番号を記した。
2 小字及び割注等は< >で記した。/は改行を表す。また漢文の訓点等は< >で記した。
3 合(掛)点は、\<朱(墨)合点>と記した。
4 朱句点は「・」で記した。
5 本文の校訂記号は次の通りである。
 $(ミセケチ)・#(抹消)・+(補入)・&(ナゾリ)・=(併記)・△(不明文字)
 ( )の前の文字及び( )内の記号の前の文字は、訂正以前の文字、記号の後の文字が訂正以後の文字である。ただし、なぞり訂正だけは( )の前の文字は訂正後の文字である。訂正以前の本行本文の文字を尊重したことと、なぞり訂正だけは元の文字が判読しにくかったための処置である。
6 朱・墨等の筆跡の相違や右側・左側・頭注等の注の位置は< >と( )で記した。私に付けた注記は(* )と記した。
7 付箋は、「 」で括り、付箋番号を記した。
8 各丁の終わりには」の印と丁数とその表(オ)裏(ウ)を記した。
9 本文校訂跡については、藤本孝一「本文様態注記表」(『大島本 源氏物語 別巻』と柳井滋・室伏信助「大島本『源氏物語』(飛鳥井雅康等筆)の本文の様態」(新日本古典文学大系本『源氏物語』付録)を参照した。
10 和歌の出典については、伊井春樹『源氏物語引歌索引』と『新編国歌大観』を参照し、和歌番号と、古注・旧注書名を掲載した。ただ小さな本文異同については略した。

「よこ笛」(題箋)

  こ権大納言のはかなくうせ給にしかなし
  さを・あかすくちおしき物にこひしのひ給
  ひとおほかり・六条の院にもおほかたにつけ
  てたに・よにめやすき人のなくなるをハ
  おしミ給御心に・ましてこれハあさ夕
  にしたしくまいりなれつゝ・人よりも
  御心とゝめおほしたりしかハ・いかにそや
  おほしいつることハ有なから・あハれハおほく
  おり/\(/\+に<朱>)つけてしのひ給・御はてにもす経
0001【御はて】−こその月二月ニ衛門督卒去今年一周忌也
  なと・とりわきせさせ給ふ・よろつもしらす」1オ

  かほにいはけなき御有さまを見給ふにも・
  さすかにいみしくあハれなれハ・御心のうち
  に又心さしたまふて・こかね百りやうを
  なむ・へちにせさせ給ひける・おとゝハ心も
0002【おとゝ】−致ー
  しらてそ・かしこまりよろこひきこえ
  させ給ふ・大将の君もことゝもおほくし給・
0003【大将の君】−夕
  とりもちてねんころにいとなミ給ふ・かの
0004【かの一てうの宮】−落
  一てうの宮をもこの程の御心さしふかく
  とふらひきこえ給ふ・はらからの君たち
  よりもまさりたる御心のほとを・いと」1ウ

  かくハ思きこえさりきと・おとゝうへも
0005【うへも】−柏母
  よろこひきこえ給・なきあとにもよの
  おほえ・をもくものし給けるほとの・見ゆ
  るにいみしう・あたらしうのミおほし
  こかるゝことつきせす・やまのみかとハ
0006【やまのみかと】−朱
  二の宮もかく人わらハれなるやうにて
0007【二の宮】−落
  なかめ給也・入道の宮もこのよの人めかし
0008【入道の宮】−女三
  きかたハ・かけハなれ給ひぬれハ・さま/\に
  あかすおほさるれとすへてこのよ越おほ
  しなやましとしのひ給御をこなひの」2オ

  程にも・おなし道をこそハつとめ給らめ
  なと・おほしやりて・かゝるさまになりた
  まて後ハはかなきことにつけても
  たえすきこえ給・御てらのかたハら
0009【御てらのかたはらちかきはやしに】−冷泉院ノ御集云花山院へたかんなまいらせ給ふとて よの中にふるかひもなき竹の子ハわかへんとしをたてまつる也(詞花331、原中最秘抄・異本紫明抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚) 返し としへぬるたけのよハひをとりかへしこのよをなかくなさんとそ思ふ(詞花332、原中最秘抄・異本紫明抄・紫明抄・河海抄・孟津抄・紹巴抄・岷江入楚)
  ちかきはやしにぬきいてたるた
  かうな・そのわたりのやまにほれる所なと
0010【やまにほれる所なと】−拾遺第十六春のゝにところもとむといふなるハふたりぬ△△(△△#ハカリ)ミてたりやキミ 賀朝法師(拾遺集1032・拾遺抄390、異本紫明抄・河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚) 返し 春のゝにほる/\ミれとなかりけりよに所せき人のためにハ(拾遺1033・拾遺抄391、異本紫明抄・河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  の・山さとにつけてハあハれなれハ・たて
  まつれ給とて御ふミこまやかなるハし
  に・はるの野山かすミもたと/\しけれと・
  心さしふかくほりいてさせて侍るしるし」2ウ

  はかりになむ
    よをわかれいりなむみちハをくるとも
0011【よをわかれ】−朱雀院
  おなしところを君もたつねよいとかたき
  わさになむあるときこえ給へるを・涙くミて
  ミ給ほとに・おとゝの君わたり給へり・例ならす
0012【おとゝの君】−源
  御まへちかきらいしともをなそあやしと
0013【らいし】−畳子 如高坏
  御覧するに・院の御ふミ成けり見給へハいと
  あハれなり・けふかあすかの心ちするを・た
0014【けふかあすかの心ち】−\<朱合点> けふかとも明日共しらぬ白菊のしらすいく世をふへき我身そ(拾遺集1257、河海抄・孟津抄)
  いめんの心にかなハぬことなとこまやかに
  かゝせ給へり・このおなし所の御ともなひを」3オ
0015【このおなし所の】−源

  ことにおかしきふしもなき・ひしりこと
  はなれとけにさそおほすらむかし・われ
  さへをろかなるさまに見えたてまつりて・
  いとゝうしろめたき御おもひのそふへかめる
  を・いと/\おしとおほす・御かへりつゝまし
  けにかき給て・御つかひにハあをにひの
  あや(や+一)かさねたまふ・かきかへ給へりける
0016【かきかへ給へりける】−入道の宮の返事かき損し給へるかあるを院の御覧せタル也
  かミのミ木ちやうのそハより・ほのミゆるを
  とりて見給へハ・御てハいとはかなけにて
    うき世にハあらぬところのゆかしくて」3ウ
0017【うき世には】−女二宮
0018【あらぬところの】−拾 世の中にあらぬ所もえてしかなとしふりにたるかたちかくさん(拾遺集506、異本紫明抄・河海抄・細流抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)

  そむく山ちに思ひこそいれうしろめたけ
0019【うしろめたけなる】−源心
  なる御けしきなるに・このあらぬところ・
  もとめ給へる・いとうたて心うしときこえ
  給・今ハまほにも見えたてまつり給ハす・
  いとうつくしう・らうたけなる御ひたひかミ・
  つらつきのおかしさ・たゝちこのやうに
  見え給て・いみしうらうたきを見たてま
  つりたまふにつけてハ・なとかうハなりに
  しことそとつミえぬへくおほさるれハ・御
  木ちやうハかりへたてゝ・又いとこよなう・け」4オ

  と越く・うと/\しうはあらぬ程に・もて
  なしきこえてそおハしける・わか君ハめ
0020【わか君】−薫
  のとのもとにね給へりける・おきて・はひいて
  給て・御袖をひきまつハれたてまつり
  給さま・いとうつくししろきうすものに
  からのこもんのこうはいの御そのすそ・いと
  なかくしとけなけにひきやられて・御身
  ハいとあらハにて・うしろのかきりにきなし
  給へるさまハ例のことなれと・いとらうた
  けにしろく・そひやかにやなきをけつりて」4ウ
0021【やなき】−柳

  つくりたらむやうなり・かしらハ・つゆくさして
  ことさらに色とりたらむ心ちして・くちつ
  きうつくしう・にほひまミ・のひらかにはつかし
  う・かほりたるなとハな越・いとよく思ひいてら
0022【思ひいてらるれと】−柏
  るれと・かれハいとかやうに・きはハ(△&ハ)なれたるき
  よらハなかりし物を・いかてかゝらん・宮にもに
  たてまつらす今よりけたかくもの/\しう
  さまことに見え給へるけしきなとハ・わか御
  かゝミのかけにも・にけなからす見なされ
  給ふ・わつかにあゆミなとし給ほとなり・」5オ

  このたかうなのらいしに・なにともしらす
  たちよりて・いとあはたゝしうとりちらして・
  くひかなくりなとし給へハ・あならうかハしや・
  いとふむ(む$<朱>)ひんなり・かれとりかくせ・くひ物に・
  めとゝめ給ふと・ものいひさかなき女ハう
  もこそいひなせとてわらひ給・かきいたき
  給て・此君のまみのいとけしき有かな・
  ちいさきほとのちこをあまたみねハにや
  あらむ・かハかりのほとハたゝいはけなきも
  のとのミ見しを・今よりいとけハひことなる」5ウ

  こそ・わつらハしけれ・女宮ものし給めるあた
  りに・かゝるひとおひいてゝ心くるしきことたる(る$か<朱>)
  ためにもありなむかし・あハれそのをの/\の
  おい行すゑまてハ・見はてんとすらむやハ・
  花のさかりハありなめと・うちまもりきこえ
0023【花のさかりハ】−\<朱合点> 春ことに花のさかりハありなめとあひミんことハ命成けり(古今97・古今六帖4050、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  たまふ・うたてゆゝしき御ことにもと人々ハき
  こゆ・御はのおいいつるにくひあてむとて・た
  かうなを・つとにきりもちて・しつくも・よゝと
0024【よゝとくひぬらし給へハ】−\<朱合点> 敦忠集 五月雨のよゝとなきつゝ時鳥袖ノひるまもなきそかなしき(敦忠集4、花鳥余情・孟津抄・休聞抄・紹巴抄)
  くひぬらし給へハ・いとねちけたる色このミ
  かなとて」6オ

    うきふしもわすれすなからくれ竹の
0025【うきふしも】−源氏柏木の事也
0026【くれ竹の】−古今 いまさらになにおいいてん竹の子の(古今957・古今六帖4120、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  こハすてかたき物にそありけるとゐてはな
0027【こハすてかたき】−わか君の事也
  ちて・の給かくれと・うちわらひて・なにとも
  おもひたらす・いとそゝかしう・はひおり・さハ
  き給・月日にそへて此君のうつくしう・ゆゝし
  きまておいまさり給に・まことにこのう
  きふし・ミなおほしわすれぬへし・此人の
  いてものし給へき契にて・さるおもひの外の
  こともあるにこそハありけめ・のかれかたかなる
  わさそかしと・すこしハおほしな越さる・」6ウ

  身つからの御すくせも・な越あかぬことおほ
  かり・あまたつとへ給へるなかにも・此宮こそハ・
  かたほなるおもひましらす人の御有さまも・
  おもふにあかぬところなくて物し給ふ
  へきを・かくおもはさりしさまにて・見たて
  まつることゝ・おほすにつけてなむ・すきに
  しつミゆるしかたく・猶くちおしかり
  ける・大将の君ハ・かのいまハのとちめに・
  とゝめし一ことを・心ひとつにおもひいて
  つゝ・いかなりしことそとハ・いときこえま」7オ

  ほしう御けしきもゆかしきを・ほの心えて
  おもひよらるゝこともあれハ・なか/\うち
  いてゝきこえんも・かたハらいたくて・いかな
  らむつゐてに・このこと(と+の<朱>)くハしき有さま
  もあきらめ・又かの人の思ひいりたりし
  さまをも・きこしめさせむとおもひわ
  たり給・秋の夕のものあハれなるに・一条
0028【ものあハれなるに】−\<朱合点> 春ハたゝ花の一重にさくハかり物の哀ハ秋そまされる(拾遺集511、河海抄・孟津抄)
  の宮をおもひやりきこえ給て・わたり
  給へり・うちとけしめやかに御ことゝも・
0029【御ことゝも】−琴
  なとひき給ふほとなるへし・ふかくもえ」7ウ

  とりやらて・やかてその南のひさしに・いれ
  たてまつり給へり・はしつかたなりける・
  人のいさりいりつるけハひともしるく・きぬ
  のをとなひも・おほかたのにほひかうハしく・
  心にくき程なり・例のみやす所たいめん
  し給て・むかしの物かたりともきこえ
  かハし給・わか御殿のあけくれ・人しけくて
0030【わか御殿】−夕方のわか御殿ニ雲井ノ雁ノ御殿ニ御子共多く侍るをの給ふ也<右> トノ<左>
  物さハかしくをさなき君たちなと・す
0031【すたき】−多集ヲ万ニすたくとよむ あしかものすたくいけ水まさるともゐせきのかたニわれ恋めやハ 貫之(万葉2844・古今六帖1679、河海抄・孟津抄)
  たき・あわて給ふに・ならひ給て・いとしつ
  かに物あハれ也・うちあれたる心ちすれと」8オ

  あてにけたかくすミなし給て・せむさいの
  花とも・むしのねしけきのへとみたれたる
0032【むしのねしけき】−\<朱合点> 古今 君かうへし一むらすゝきむしのねの(古今853・古今六帖3704、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  夕はへを見わたし給・わこんをひきよせ給
  へれハ・りちにしらへられて・いとよくひきな
  らしたる・ひとかにしミて・なつかしうおほ
0033【ひとか】−香
  ゆ・かやうなるあたりにおもひのまゝなる
  すき心ある人ハ・しつむることなくて・さま
  あしきけハひをもあらハし・さるましき
  な越もたつるそかしなと・おもひつゝけつゝ・
  かきならし給ふ・こきミのつねにひき給ひし」8ウ
0034【こきミ】−柏

  ことなりけり・おかしきてひとつなとすこし
  ひき給て・あハれいとめつらかなるねにかき
0035【いとめつらかなるねに】−かしハ木の引給ひし琴ノ音の事也
  ならし給しはや・この御ことにもこもりて
  侍らんかし・うけたまハりあらハして
  しかなとの給へハ・ことのをたえにしのちより・
0036【ことのをたえにしのちより】−\<朱合点> 一条の御息所のいらへなり女二宮の事也 後拾遺 なき人ハをとつれもせて琴のをゝたちし月日そあへりきにける(後拾遺894、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
  むかしの御わらハあそひのなこりをたに
0037【御わらハあそひ】−柏<右> 思ふとハつミしらせてきみゝなくさわらハあそひのてたハふれより<左>(出典未詳、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・休聞抄・孟津抄)
  おもひいてたまハすなんなりにて侍へめる・院
  のおまへにて女宮たちの・とり/\の御ことゝ
0038【おまへ】−朱雀院御事也
  も・心見・きこえ給しにも・かやうのかたハお
  ほめかし(△△△&めかし)からすものし給となむ・さため」9オ

  きこえ給ふめりしを・あらぬさまに・ほれ/\
0039【あらぬさまに】−落
  しうなりて・なかめすくし給めれハ・世のうき
0040【世のうきつまに】−\<朱合点>
  つまにといふやうになむ・見給るときこえ
  給へハ・いとことハりの御おもひなりや・かきりたに
0041【いとことはり】−夕キリノ返答也
0042【かきりたに】−\<朱合点> 恋しさのかきりたにある世なりせはつらき越しいてなけかさらまし<朱>(古今六帖2571・是則集36、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄・一葉抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚)
  あると・うちなかめてことハおしやり給へ
  れは・かれな越さらハこゑにつたハることもや
0043【かれな越さらハ】−御息所の詞也
  と・きゝわくはかり・ならさせ給へ・ものむつ
0044【きゝわくはかり】−琴のねをききわく人のあるなへに今そ立いてゝしをゝもすくへき(古今六帖3392、紫明抄・河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄)
  かしうおもふたまへしつめる・みゝをたに・
  あきらめ侍らんときこえ給を・しかつたハる
0045【しかつたハる】−夕キリノ詞也
  中のをハ・ことにこそハ侍らめ・それをこそ」9ウ
0046【中のをハ】−第二絃

  うけたまハらむとハきこえつれとて・みすの
  もとちかくおしよせ給へと・とみにしもうけ
  ひき給ふましきことなれハ・しいてもきこえ
  給ハす・月さしいてゝくもりなき空に・はね
0047【はねうちかハす】−\<朱合点> しら雲にはねうちかはしとふ雁<墨>(△&雁<墨>)の数さへ見ゆる秋のよの月<朱>(古今191・古今六帖300・新撰和歌44・和漢朗詠259、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  うちかハすかりかねも・つらをはなれぬうら
0048【つらをはなれぬ】−女二宮ハ今ハひとりねのおりふしなれハかくいへる也
  やましくきゝ給ふらんかし・風ハたさむく
0049【風ハたさむく】−\<朱合点> 秋風につらをはなれぬ雁かねハ春ハくるともかへらさらな(△△△△&かへらさらな)ん(後撰435、異本紫明抄・河海抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚) はたさむく風ハ夜ことにふきまさる我思ふいもハをとつれもせす(好忠集233、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・休聞抄・孟津抄)
  ものあハれなるに・さそハれてさうのこと越・
0050【さうのこと越】−御息所の引給ふ也
  いとほのかにかきならし給へるも・おくふかき
  こゑなるに・いとゝ心とまりはてゝ・中/\に
  おもほゆれハ・ひわをとりよせて・いとなつ」10オ
0051【ひわを】−夕

  かしきねに・さうふれんをひき給・おもひ
0052【さうふれん】−想夫恋<朱> 平調<墨>
  をよひかほなるハ・かたハらいたけれと・これハこと
  とハせ給へくやとて・せちにすのうちをそゝの
  かしきこえ給へと・ましてつゝましき・さし
  いらへなれハ・宮ハたゝ物をのミあハれと・おほし
0053【宮ハ】−落
  つゝけたるに
    ことにいてゝいはぬもいふにまさるとハ人
0054【ことにいてゝ】−夕霧 心にハした行水のわきかへりいハん(ん#ぬ)おもひそいふにまされる(古今六帖2648、異本紫明抄・河海抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
  にはちたるけしきをそ見るときこえ給に・
  たゝすゑつかたを・いさゝかひき給ふ
    ふかきよのあハれハかりハきゝわけとこと」10ウ
0055【ふかきよの】−落葉宮

  よりかほにえやハひきけるあかすおかしき程に
  さるおほとかなるものゝねからに・ふるき人の
  心しめてひきつたへける・おなししらへのものと
  いへと・あハれに心すこきものゝかたハしを・かき
  ならしてやミ給ぬれハ・うらめしきまてお
  ほゆれと・すき/\しさを・さま/\にひきいてゝも
  御らむせられぬるかな・秋のよふかし侍らんも
  むかしのとかめやと・はゝかりてなむ・まかて
  侍ぬへかめる・又ことさらに心してなむ・さふ
  らふへきを・この御ことゝものしらへかへす・また」11オ

  せたまハんや・ひきたかふることも侍ぬへきよ
  なれハ・うしろめたく・こそなとまおにハあらねと・
  うちにほハしをきていて給・こよひの御
  すきにハ・人ゆるしきこえつへくなむあり
  ける・そこはかとなきいにしへかたる(る$り)にのみ・ま
  きらハさせ給て・たまのをにせむ心ちも
0056【たまのをにせむ】−\<朱合点> かた糸越こなたかなたによりかけてあハすハ何を玉のをにせん<朱>(古今483・古今六帖3210・是則集34、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  し侍らぬのこりおほくなんとて・御をくり物に
  ふえ(え=エ)をそへてたてまつり給ふ・これになむ
  まことにふるきことも・つたハるへくきゝをき
0057【ふるきことも】−向秀隣ニ笛吹聞テ作思旧賦
  侍しを・かゝるよもきふにうつもるゝもあハ」11ウ

  れに見給ふるを・御さきにきをハんこゑなむ
  よそなからも・いふかしう侍るときこえ給へハ・
  につかハしからぬすいしんにこそハ侍へけれとて
0058【つかハしからぬすいしんに】−夕霧の詞笛を随身してまかて給ふ心也
  見給ふに・これもけによとゝもに・身にそへて
  もてあそひつゝ・身つからもさらにこれか・ねの
  かきりハ・えふきとおさすおもハん人に・いかて
0059【おもハん人】−玄宗事
  つたへてしかなと・おり/\きこえこち給しを・
  思ひいて給ふに・今すこしあハれおほくそひ
  て・心見にふきならす・はんしきてうの
  なからハかりふきさして・むかしをしのふ」12オ

  ひとりことハ・さてもつミゆるされ侍りけり・これ
0060【こと】−琴
  ハまハゆくなむとて・いて給ふに
    露しけきむくらのやとにいにしへの秋
0061【露しけき】−御息所
  にかはらぬむしのこゑかなときこえいたし
0062【むしのこゑ】−横笛
0063【きこえいたし】−文選笛賦ニ如蜂蟻集
  たまへり
    よこふえのしらへハことにかはらぬをむなしく
0064【よこふえの】−夕霧 横笛二字出処也
  なりしねこそつきせねいてかてにやすらひ
  給ふに・夜もいたくふけにけり・殿にかへり給
  へれハ・かうしなとおろさせて・ミなね給に
  けり・この宮に心かけきこえ給て・かくねん」12ウ

  ころかりきこえ給そなと・人のきこえしらせ
  けれハ・かやうによふかし給ふもなまにくゝて・
  いり給ふをも・きく/\ねたるやうにてものし
  給なるへし・いもとわれといるさの山(山+の)とこゑハ
0065【いもとわれと】−\<朱合点> いもと我といるさの山の山あらき手なとりふれそかほまさるかにやとくまさるにや催馬楽
  いとおかしうて・ひとりこちうたひて・こハ・なと
  かく・さしかためたる・あなむもれや・こよひ
  の月を見ぬさとも有けりとうめき給ふ・
  かうしあけさせ給て・みすまきあけな
  とし給て・ハしちかくふし給へり・かゝる
0066【かゝる夜の月に】−\<朱合点> 古今 かくはかりおしと思ふ夜をいたつらに(古今190・躬恒集379、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・弄花抄・一葉抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  夜の月に心やすくゆめ見る人ハあるもの」13オ

  か・すこしいて給へ・あな心うなときこえ給へ
  と・心やましう・うちおもひてきゝ忍ひ給・
  君たちのいはけなく・ねをひれたるけハひ
  なと・こゝかしこにうちして・女はうもさし
  こミて・ふしたる人け・にきハゝしきに・有つる
  ところのありさま・おもひあハするにおほく
  かハりたり・このふえをうちふき給ひつゝ・
  いかになこりもなかめ給ふらん・御ことゝもハ・しら
  へかハらす・あそひたまふらむかし・宮す
  所も・わこんの上すそかしなと・おもひやりて」13ウ

  ふし給へり・いかなれハこきミたゝおほかたの心
0067【こきミ】−柏
  はへハやむことなく・もてなしきこえなから・
  いとふかきけしきなかりけむと・それに
  つけても・いといふかしう・おほゆ見をとり
  せむこそ・いと/\おしかるへけれ・大かたのよに
  つけても・かきりなく・きくことハ・かならす・
  さそあるハ(ハ$か<朱>)しなとおもふに・わか御なかのうち
  けしきハミたるおもひやりもなくて・むつ
  ひそめたるとし月の程をかそふるに・
  あハれにいとかうおしたちて・をこりならひ」14オ

  給へるも・ことハりにおほえ給けり・すこしね
  いり給へる夢に・彼ゑもんのかみたゝありし
  さまのうちきすかたにて・かたハらにゐて
  此ふえをとりて見る・ゆめのうちにもなき人
  のわつらハしう・このこゑをたつねて・きた(た+る)と
  おもふに
    笛たけにふきよる風のことならハすゑ
0068【笛たけに】−夕霧ノ夢ニ見えける哥
  のよなかきねにつたへなむおもふかたことに
0069【おもふかたことに】−女二宮をもうしろミ給へとの心にや
  侍りきといふを・とハんとおもふほとに・わか
0070【わか君の】−夕子後源宰相
  君のねをひれて・なき給ふ御こゑに・覚」14ウ

  給ぬ・此君いたくなき給て・つたみなとし給へハ
0071【つたみなとし給へハ】−△和名[口+見]吐<ツタミ>小児ノ乳をあます事也
  めのともおきさハき・うへも御となふらちかく
  とりよせさせたまて・みゝはさミして・そゝ
  くりつくろひて・いたきて・ゐ給へり・いとよく
  こえて・つふ/\とおかしけなる・むねをあけて
0072【むねをあけて】−雲
  ちなとくゝめ給・ちこもいとうつくしうおハする・
  君なれハ・しろくおかしけなるに・御ちハいと
  かハらかなるを・心をやりてなくさめ給ふ・おと
0073【おとこ君】−夕
  こ君もよりおハして・いかなるそなとの給ふ・
  うちまきしちらしなとして・ミたりかハ」15オ
0074【うちまき】−米

  しきに・夢のあハれもまきれぬへし・なや
  ましけにこそ見ゆれ・いまめかしき御
  有さまの程に・あくかれたまうて・よふかき
  御月めてにかうしも・あけられたれハ・例の
0075【御月めてに】−\<朱合点> 大方ハ月をもめ(古今879・古今六帖339・業平集55、河海抄・孟津抄)
  ものゝけのいりきたるなめりなと・いとわか
  くおかしきかほして・かこち給へハ・うちわらひ
0076【うちわらひて】−夕
  て・あやしのものゝけのしるへや・まろかうし
  あけすハ・ミちなくて・けにえいりこさら
  まし・あまたの人のおやになり給ふまゝ
  に・思いたり・ふかく物をこそ・の給なりにたれ」15ウ

  とて・うち見やり給へる・まミのいとはつかしけ
  なれハ・さすかに物もの給ハて・いてたまひね・
  見くるしとて・あきらかなるほかけを・さす
  かにはち給へるさまも・にくからす・まことに
  此君・なつみて・なきむつかりあかし給つ・
0077【なつみて】−煩万
  大将のきミも・ゆめおほしいつるに・此ふえの
  わつらハしくもあるかな・人の心とゝめて・
  おもへりしものゝゆくへきかたにもあらす・
  女の御つたへハかひなきをや・いかゝおもひつらん・
  この世にてかすにおもひいれぬことも・かの」16オ

  いまハのとちめに・一ねむのうらめしきも・
0078【とちめ】−閇眼
  もしハあハれとも思にまつハれてこそハ・
  なかきよのやミにもまとふわさなゝれ・かゝれは
  こそハなにことにも・しふハとゝめしとおもふよ
  なれなと・おほしつゝけて・をたきにす経
0079【をたき】−貫之集ニアリ
  せさせ給ふ・又かの心よせのてらにもせさせ給
  て・此ふえをハ・わさと人のさるゆへふかき物
  にてひきいて給へりしを・たちまちにほと
  けの道におもむけんも・たうときことゝハ
  いひなから・あへなかるへしと思て・六条の」16ウ

  院にまいり給ぬ・女御の御方におハします
0080【女御の御方】−明中
  ほと成けり・三宮・ミつハかりにて・なかにうつ
0081【三宮】−匂宮御事也
  くしくをハするを・こなたにそ又とりわきて
0082【こなたにそ】−紫養
  おハしまさせ給ける・はしりいて給て・大将
0083【大将】−夕
  こそ・宮いたき奉りて・あなたへゐておハせと・
0084【宮】−匂
  身つからかしこまりて・いとしとけなけに
  の給へハ・うちわらひておハしませ・いかてかみ
0085【おハしませ】−夕
  すのまへをハ・わたり侍らん・いときやう/\
0086【きやう/\】−軽々
  ならむ・とて・いたきたてまつりて・ゐ給へれ
  は・人も見す・まろ・かほハかくさむ・なを/\とて・」17オ
0087【人も見す】−匂詞

  御袖してさしかくし給へハ・いとうつくしうて・
  いてたてまつり給ふ・こなたにも・二宮の
0088【こなた】−明中
0089【二宮】−女三
  わか君と・ひとつにましりてあそひ給ふ・
0090【わか君】−薫
  うつくしミて・おハします成けり・すみのまの
  ほとにおろし奉り給を・二宮見つけ給て・
0091【二宮】−蜻蛉式部卿
  まろも大将にいたかれんとの給を・三宮・
0092【三宮】−匂
  あか大将をやとて・ひかへ給へり・院も御覧して・
0093【院】−源
  いとみたりかハしき御有さまともかな・おほ
  やけの御ちかきまもりを・わたくしのすい
0094【御ちかきまもり】−近衛
  しんに・りやうせむとあらそひ給よ・三宮」17ウ
0095【三宮】−匂

  こそ・いとさかなくおハすれ・つねに・このかミにき
0096【このかミに】−二宮
  ほひまうし給ふと・いさめきこえあつかひ
  給ふ・大将もわらひて・二宮ハこよなく・このかミ
  心に・ところさりきこえ給ふ・御心ふかく
  なむ・おハしますめる・御としのほとより
  ハ・おそろしきまて・見えさせ給ふなときこ
  え給ふ・うちゑミて・いつれも・いとうつくし
  とおもひきこえさせ給へり・見くるしくかる
  かるしき公卿の・ミさなり・あなたにこそとて・
0097【あなたに】−明中
  わたり給ハむとするに・宮たちまつハれて・」18オ
0098【わたり給ハむ】−夕

  さらにはなれ給ハす・宮のわか君ハ・宮たちの
0099【宮のわか君】−薫
  御つらにハ有ましきそかしと・御心(心+のうちにおほせと中/\その御心<朱>)はへ
  を・ハゝ宮の御心のおにゝや・おもひよせ給らん
0100【はゝ宮】−女三
  と・これも心のくせに・いとおしうおほさるれは・
  いとらうたきものにおもひかしつききこ
  え給・大将ハ此君を・またえよくも見ぬ
0101【此君】−薫
  かなとおほして・ミすのひまよりさしいて給へる
  に・はなのえたのかれておちたるをとりて・
  見せたてまつりて・まねき給へハ・はしり
  おハしたり・ふたあゐのな越しのかきりを」18ウ
0102【な越しのかきりをきて】−おさなき人のきる御直衣といふ但昔裁やうかハる

  きて・いみしう・しろう・ひかりうつくしきこと・
  みこたちよりも・こまかにおかしけにて・
  つふ/\ときよらなり・なまめとまると
  ころもそひて見れハにや・まなこゐなと
0103【まなこゐ】−眼
  これハ今すこしつよう・かとあるさまま
  さりたれと・ましりのとちめ・おかしう・
  かをれるけしきなと・いとよくおほえ給へり・
  くちつきのことさらにはなやかなるさま
  して・うちゑミたるなと・わかめのうちつけ
0104【わかめの】−夕
  なるにやあらむ・おとゝハかならすおほし」19オ
0105【おとゝハ】−源
0106【おほしよすらん】−柏

  よすらんと・いよ/\御けしきゆかし・宮
  たちハ・おもひなしこそけたかけれ・よのつ
  ねのうつくしきちこともと見え給ふに・この
0107【この君】−薫
  君ハいとあてなるものから・さまことにおかし
  けなるを・見くらへたてまつりつゝ・いてあ
  ハれもしうたかふゆへも・まことならハ・ちゝ
0108【ちゝおとゝ】−致仕
  おとゝのさハかりよにいみしくおもひほれ
  たまて・ことなのりいてくる人たになき
  こと・かたミに見るハかりのなこりをたに・
  とゝめよかしと・なきこかれ給ふに・きかせ」19ウ

  たてまつらさらむ・つミえかましさなと
  おもふも・いていかてさハあるへきことそと・猶
  心えすおもひよるかたなし・心はへさへな
  つかしうあはれにて・むつれあそひたまへハ・
  いとらうたくおほゆ・たいへわたり給ぬれ
0109【たいへ】−紫
  は・のとやかに御ものかたりなときこえて
  おはするほとに・日くれかゝりぬ・よへかの
  一条の宮に・まうてたりしに・おハせし
0110【一条の宮】−落
  有さまなときこえいて給へるを・ほゝゑミ
  てきゝおハす・あハれなるむかしのこと・かゝり」20オ
0111【あハれなるむかしのこと】−源ノ

  たる・ふし/\ハあへしらひなとし給ふに・
  かのさうふれんの心はへハ・けにいにしへの
  ためしにも・ひきいてつへかりけるおりなから・
  女ハな越人の心うつるハかりのゆへよしをも・
  おほろけにてハ・もらすましうこそありけ
  れと・おもひしらるゝことゝもこそ・おほかれ・
  すきにしかたのこゝろさしを・わすれす・
  かく・なかきよういを・人にしられぬとならハ・
  おなしうハ・心きよくて・とかくかゝつらひ・
  ゆかしけなき・ミたれなからむや・たか」20ウ

  ためも・心にくゝめやすかるへきことならむとなん
  おもふとの給へハ・さかし人のうへの御をしへハかり
0112【さかし人】−夕
  ハ・心つよけにて・かゝるすきハ・いてやと見
  たてまつり給ふ・なにのみたれか侍らむ
  猶つねならぬよのあハれを・かけそめ侍り・
  にし・あたりに心みしかく侍らんこそ・なか/\
  よのつねの・けんきありかほにはへらめとて
0113【けんき】−嫌疑
  こそ・さうふれんハこゝろとさしすきて・
  こといて給ハんや・にくきことに侍らまし・
0114【こといて給ハんや】−言
  ものゝついてにほのかなりしハ・おりからの・」21オ

  よしつきて・おかしうなむ侍し・なにことも
  人により・ことにしたかふわさにこそ侍るへかめれ・
  よはひなともやう/\いたう・わかひ給ふへき
  ほとにも・ものし給ハす・又あされかましう・す
  き/\しきけしきなとに・物なれ(れ+な)ともし侍ら
  ぬに・うちとけ給にや・おほかたなつかしう・
  めやすき人の御有さまになむものし給
  けるなときこえ給ふに・いとよきついてつ
  くりいてゝ・すこしちかくまいりより給
  て・かの夢かたりをきこえ給へハ・とみに・も」21ウ

  のもの給ハて・きこしめして・おほしあハする
  こともあり・そのふえハこゝに見るへきゆへある
0115【そのふえハ】−源
  物なり・かれハ・やうせい院の御ふえなり・それ
  を・こしきふ卿の宮のいみしきものにし
0116【こしきふ卿の宮】−貞保親王陽成の御弟也清和御子染殿の后ノ子式部卿を模紫父有故也
  給けるを・かのゑもんのかミハ・わらハよりいと
  ことなるねをふきいてしにかんして・かの
  宮のはきのえんせられける日・をくり物に・
  とらせ給へるなり・女の心ハ・ふかくもたとり
  しらす・しか・ものしたるなゝりなとの給て・
  すゑのよのつたへ・またいつかたにとかハ思ひ」22オ

  まかへん・さやうにおもふなりけんかしなとおほ
  して・このきミも・いといたりふかき人なれハ・
  思ひよることあらむかしと・おほす・その御け
0117【その御けしきを】−夕の心
  しきを見るに・いとゝはゝかりて・とみにも
  うちいてきこえ給ハねと・せめてきかせた
  てまつらんのこゝろあれハ・いましもことの
  ついてに・思ひいてたるやうにおほめかしう・
  もてなして(△&て)いまハとせしほとにも・とふらひ
  にまかりて侍しに・なからむのちのことゝも・
  いひをき侍し中に・しか/\なんふかくかし」22ウ

  こまり申よしを・返/\ものし侍しかハ・いかなる
  ことにか侍りけむ・いまにそのゆへをなんえお
  もひ給へより侍らねハ・おほつかなく侍ると・
  いとたと/\しけにきこえ給に・されハよと
0118【されハよと】−源心
  おほせと・なにかハそのほとの事あらハしの
  給へきならねハ・しハしおほめかしくて・しか
  人のうらミとまるハかりのけしきハ・なにの
  ついてにかハ・もりいてけんと・身つからもえ
  おもひいてすなむさて・いましつかにかの
  夢ハおもひあはせてなむきこゆへき・」23オ

  よるかたらすと(と+か<朱>)・女はうのつたへにいふなりと
  の給て・おさ/\御いらへもなけれハ・うちいて
  きこえてけるを・いかにおほすにかと・つゝ
  ましくおほしけりとそ」23ウ

柏木の後年也
イ本
源四十九歳の事以名(名$哥)為巻名 薫二歳」24オ

よこふえ<墨> △校了<朱>」(表表紙蓋紙)