凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。
「王可那上」(題箋)
朱雀院の1御門・あ里しみゆき能後其比
0001【朱雀院の御門】-承平御門になすらふへし
0002【みゆき】-藤裏巻
本ひより連いな2ら春なやミわ多らせ2給・もと
よりあ徒しくお1ハしますう地尓・こ能多ひハ物
心ほそくお1本しめ佐連て2・登し古ろをこな2ひ
の本いふ可き2を・きさいの宮お1ハしましつる
程ハ・よろつ1者ゝ可りき1古えさせ給て2・いまゝて
お1ほし登ゝこ本り徒るを・猶そ能可多丹も
よ越春丹やあらむ・世にひさし可る満しき
心ちなん春るな2と能た万ハせて2・さるへき御
心まう遣とも1せ2させ給ふ・御こ多ち者春宮」(1オ)
をゝき2たて2まつりて2・女宮多ちなん四と
0003【女宮たちなん四ところ】-女一宮落葉宮女四宮是也
古ろお1ハしまし个る・そ能中に布ち(#ち (朱))つ本と
0004【ふちつほときこえし】-延喜御時承香殿女御正三位源和子ハ光孝天皇の源氏也女御の御腹に慶子韶子斉子内親王三人ありいま女三宮ハ是になすらふるにや
き2古えしハ・先帝能源氏丹そお1ハしまし个る・
ま多坊とき2古えさせし時・万いり給て2た可
き2くらゐ丹も佐多まり給へ可りし人の・
とり多て多1る御うしろミもお1ハせ春・はゝ
か多もそ能春ちと那く物者可な2きかうい
ハら丹て2も能志給个れ者・御ましらひの程
裳心ほそ遣丹て2・お1ほきさいの内侍督を・
まいらせ2多てまつり給て2・か多ハら尓な2ら婦」(1ウ)
人な2く・もて那しき古えな2とせし程尓・遣おされ
て2・みる($か(朱))とも御心能中尓いとお1しき2物耳ハ
思きこえさせ給な2可ら・おりさせ給尓1し可ハ可ひ
0005【おりさせ給に】-朱雀院の脱履ハ身尽の巻にあり
な1く具ちお1しくて・世の1中をうら見多るやう
丹て2・うせ給丹し・そ2の御者ら能女三宮を・あま多
の御中尓春くれて2かな2しき物尓1思可しつき
き2こえ給・そ能程御とし十三四ハ可1りお1者春・
い満ハとそ2むき春て山こもりしなん後の
世に堂ちと満りて2・多れをたのむ可遣丹て2物
0006【たのむかけ】-\(朱合点) わひ人のわきて(古今292・遍昭集30、河海抄・休聞抄・孟津抄)
志給ハんと春らむと・多1ゝこ能御事をうし路」(2オ)
め多くお1ほしな2けく(+に・)丹し山な2る御寺徒くり
0007【にし山なる御寺】-仁和寺をいふなり光孝天皇御願寺也又宇多天皇御出家のゝち延喜元年十二月ニ御室仁和寺にたてらる同四年円堂をつくらる又承平御門天暦六年三月御出家ありて四月仁和寺に遷御あり
ハてゝ・うつろ者せ給ハん程能御いそ起をせ2させ
給尓そへて2・又この1宮能御も起の事をお1本し
いそ可せ給・院のうち尓屋んこ2と那くおほ春御
堂可ら物御てうとゝも1をハ・佐ら丹もい者すハ可
な起御あそひ物まて2・春こしゆへある可き
里をハ多1ゝこの御方にとり王多したて2まつ
らせ給て2・そ能徒き/\をなむ・こ2とみこ多ち
0008【そのつき/\を】-宇多御門御出家後朱雀院と申承平四年朱雀院御処分の事あり
丹ハ・御そ2ふ婦んとも1あり个る・春宮ハ可ゝる御
0009【御なやミ】-朱雀
なやミにそへて2・世越そ2む可せ給へき御心徒可ひ」(2ウ)
尓なと・き2可せ給て2わ多らせ2給へり・者ゝ女御も
0010【はゝ女御】-承香殿
そひき2こえさせ給て2まいり給へり・春くれ
多る御お1ほえに志もあらさりし可と・宮農
かくてお1ハします御春くせ2能・可起りな2くめ
て堂个れハ・とし比の1御物可多りこまや可に
き2こ盈させ給个り・宮丹もよろつ1の1事
世を堂もち給ハん御心徒可ひな2とき2こえし
羅せ2給・御うしろミともゝこな2多可那多・可
ろ/\志可らぬな2可らひ尓も能し給へハ・い登
うしろ屋春く思きこえさせ給・この1世尓うらミ」(3オ)
0011【この世に】-朱雀院の御詞
のこる事も1侍らす・女宮多ち能あま多
能こりとゝまる行さ起をお1もひ屋るな2ん・
さらぬ別尓も1本多しなりぬへ可り个る・佐き
0012【さらぬ別にも】-\(朱合点)
0013【ほたし】-\(朱合点)
さ起人のうへ尓みきゝし丹も・女ハ心より本可
にあ者/\し具人尓お1としめらるゝ春くせ
あるなん・いとくちお1しく可那しき2・い徒連
をも思やうな2らん御世尓ハ・さ満/\尓徒个て・御
心とゝめて2お1本し多つ年よ・そ能中尓うし
0014【おほしたつねよ】-東宮ニ教申
ろミな2とあるハさる可多丹も思ゆつ($つ(朱))り侍り・
三宮な無い者けな2起よ者ひ丹て2・多1ゝ」(3ウ)
飛とりをたのもしき物とな2らひて2・うち
春てゝむ後の世に多ゝよひさすらへむこ2と・
いと/\うしろめたく・可な1しく侍と・御目
おしのこひ徒ゝき2古え志らせ2させ給・女御丹も
0015【女御】-承
心うつくしきさ満尓きこえつ希させ給・されと
0016【心うつくし】-慈悲 それをのミたのミ給ふ御心むけなり
0017【されと】-院の御心申
女御の1人よりハ満さりてと起めき給ひしに・
0018【女御】-源氏宮
みな1いと見可ハし給し本と・御な2可らひとも1・え
うるハし可らさりし可ハ・そ能な2こり丹て遣尓い万
ハ・王さと丹くしな1とハなくとも1・満こ2とに心
とゝめて2思うしろミむとまてハ・お1ほ佐春」(4オ)
もやとそお1し者可ら流ゝ可し・あさ夕耳
0019【あさ夕に】-作者詞
この1御こ2とをお1ほしなけく・としくれ行
まゝに御な2やミ満こ2と丹をもくなり満さら
せ2給て2・み春能と尓も1いて2させ給ハ春・御も能
の遣尓て2時々なやませ給古とも1ありつれと・
いと可くうち者へ・をやミな1起さ満尓ハお1ハし
まさゝりつるを・この1多ひハ猶可きりな2り
とお1ほしめし多り・御くらいを佐らせ給つれと・
猶そ能世に堂のミそめ多てまつり給へる人々ハ・
いまもなつ可しくめて多起御ありさ満を心」(4ウ)
屋り所尓まいり徒可うまつり給可きりハ・心越
徒くしてお1しミき2古え給ふ・六条院よりも1御
とふらひ志者/\・あり身つ可らも1まいり給へき
よしき2こしめして・院ハいとい多くよろこひ
き2こえさせ給・中納言能君満いり給へるを・み
0020【中納言の君】-夕霧
春能うちにめしい連て2御物可多りこまや可
なり・故院の1う遍能いま者のき2さミにあ万
0021【故院のうへ】-朱雀院御詞 桐壺御門事
たの御ゆひこんありし中に・この1院の御こ2と・
0022【この院】-源氏事
い満の1うち能御事なん・とりわきての1給
0023【いまのうち】-冷泉院
を起しを・お1本や遣となりて・こ2と可起りあり」(5オ)
0024【おほやけとなりて】-朱雀
个れハ・うち/\能御心よせハか者らすな2可ら・者可
0025【はかなきこと】-朧月夜の事
な2きこ2と能あやまり尓心を可れ多てまつる事
0026【あやまりに】-須磨
裳あり个んと思ふを・としこ2ろこ2とにふれて
そのうら見のこし給遍る遣しきをなん
も羅し給ハぬ・さ可しき2人といへと・身能うへ
尓なりぬ連ハ・こ2とた可ひて心うこき・可な2ら
春そ能むくひみえ・ゆ可める事なんい丹しへ
た尓お1ほ可り个る・い可ならんおりに可・そ2能御心
者へ本ころふへ可らむと・世人もおもむ遣う多
可ひ个るを・徒ゐ尓志のひ春くし給て2・春宮」(5ウ)
なと丹も心越よせき2こえ給・い満者多又な2く・
志多し可るへき・中となりむつひ可ハし給
0027【したしかるへき】-明石姫君東宮の女御になり給ふ事也
へるも・可起りな2く心尓ハ思ひな2可ら・本上能を
ろ可なるにそへて2・この1みち能やミに堂ち
0028【このみちのやミに】-\(朱合点) 人のおやの心ハ(後撰1102・古今六帖1412・兼輔集127・大和物語61、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
まし里・か多くな1なるさ満尓屋とて・中/\
よそ能事にき2こえ者な2ち多るさ満耳て
はつ($へ)る内の御事ハ可能御ゆいこんた可へ春・
0029【かの御ゆいこん】-桐ー
徒可うまつりを起てし可ハ可く春衛の世能
0030【すゑの世のあきらけき君】-冷泉院をハ天暦御門になすらへ奉る也
あきら遣起君と志て・きし可多能御おもて
おも・お1こし給ふ本いの1こ2と・いとうれしくな2ん」(6オ)
こ能秋の1行幸能後・い丹しへの事とりそへ
0031【この秋】-十月秋といへる紅葉を賞する故也又ハ春秋のき也
てゆ可しくお1ほつ可那くなんお1ほえ給・多い
めんにき2こ遊へき事とも者へり・可な2ら春ミつ
からとふらひも能し給へき2よし・も1よ越し
申給へな2と・うち志本多れつゝの多ま者す・
中納言能君・春起侍尓个ん可多ハ・とも可くも
0032【すき侍に】-過也
お1もふ堂まへわき可多く者へり・としま可り
0033【としまかり】-夕霧返答
いり侍て2お1ほや遣尓も1・徒可うまつり侍
あひ多・世中能こ2と越み多まへま可りあ
里く程尓ハ・大小能こ2とにつ希ても・うち/\」(6ウ)
濃さるへき物可りな2と能徒いて2丹も・い尓
志遍のう連ハしきこ2とありてなんな2と・うち
可すめ申さるゝおりハ侍らすな2ん・可くおほや
氣能御うしろミを・徒可うまつりさして・志徒
可な2る思を可な2へむと・飛とへ尓古も里ゐし
0034【ひとへに】-偏
後ハ・な2に事をも志らぬ屋う丹て・故院の
0035【故院】-桐
御ゆいこんのこ2とも1・盈徒可うまつら春・御くら
井尓お1ハしましゝ世尓ハ・よ者ひ能程も身
能うつ者物もをよハす・可しこき・可ミ能人々
お1ほくて・そ能心さしをとけて2御らむせ2ら」(7オ)
流ゝ事裳な2可りき・い満可くまつりこ2と越
さりて2・志徒可尓1お1ハしますこ2ろ本ひ・心の
うちをもへ多て那くまいりうけ多満ハら万
本しきを・さす可尓1な2にとな2く所せ2起身能
よそ本ひ丹て2・をの徒可ら月日越春くす事
となん・おり/\なけき申給な2と・楚うし給・
二十丹もま多王つ可なる程な2れと・いとよく
0036【二十にもまたわつかなる程なれと】-夕霧ありさま御らんして院の思召とりし事
とゝのひ春くして・か多ちも佐可り尓に本ひ
て・いみしくきよらな2る越・御め尓1とゝめてうち
満もらせ2給徒ゝ・この1もて王つら者せ給・ひめ」(7ウ)
0037【ひめ宮】-女三
宮の御うしろミに・これをやな2と人志れ春
お1本しより个り・おほき2お1とゝ能王多りに・い万
0038【おほきおとゝ】-朱雀院# 致仕
ハ・春見徒可れに多りとな1・とし比心えぬさ満
耳きゝしる・いとおし可りしを・みゝや春起
物可ら・さす可尓ね1多く思こ2とこ2そあれと・能
たま者する御遣しき2をいか尓能多ま者
0039【いかにのたまはするにと】-夕霧心中
するにと・あやしく思めくら春に・この1ひめ
宮を可くお1ほしあつ1可ひて2・さるへき2人あ
らハ・あ徒个て心屋春く世をも思者な2れ者や
となん・お1本しの多満者春流と・をのつ可ら」(8オ)
もりきゝ給・たよりあり个れハ・さやう能
すち尓やとハ思ぬ連と・ふと心え可ほ丹も1・
な2に可ハいらへき2古えさせん・多1ゝ者可/\しく
0040【たゝはか/\しく】-これよりハ夕霧御返答
裳侍らぬ身尓ハ・よるへもさふらひ可多く能
ミなんとハ可り・楚うして屋ミぬ・女房な1と
ハ・の1そ2きて2みき2こ盈て・いとあり可多く
も1・みえ給可多ちようい可な1・あな1めて多1な1と・
あつ1まりてき1こ遊るを・おい志らへるハいて2
さりとも1・可能院の1可ハ可り尓お1者せし御
0041【かの院】-源氏御事
ありさ満尓ハ・盈な春らひき2こえ給者さ」(8ウ)
めり・いとめもあや尓こ2そ・きよらにも能し
給し可な1と・いひ志ろふをきこし免して・
0042【きこしめして】-朱雀院
満こ2とにか連ハ・いとさ満こ2となりし人そ可し・
0043【かれハ】-源氏御事夕霧事取ませてありよく見わくへし
いまハ又そ2濃世丹も1・ね1ひまさりて・ひ可る
とハ・これをいふへき丹やとみゆるに本ひ
なん・いとゝ・具ハゝり尓多1る・うるハしたちて2・
者可/\しき可多にみ連ハ・い徒くしくあ
さや可に・めもをよハぬこゝち春るを・又うち
とけて2たハふ連こ2とをも・いひみ多れあそへハ・
そ能可多尓徒个てハ・尓る物なく・あい行つき」(9オ)
なつ可しく・うつくしきこ2と能な2らひなき2
こ2そ2・世尓あり可多个連・な2に事にもさ起
の世・お1し者可られて・めつら可な1る人のあり
さ満なり・宮能うち尓おひいてゝ・てい王う
能可きりなく・可な1しき2物尓志多まひ・さハ
可りなて可し徒き・み尓可へて2お1ほし多りし
かと・心の1まゝ尓1もお1こらす・ひ遣して・廿可内
0044【廿か内には】-源十九宰相廿一大将
尓ハ・納言丹もな2ら春なり尓起可し・ひとつ
あまりてや宰相丹て2・大将可遣給へり个ん・
0045【宰相にて大将かけ】-参議時任例後二条関白師<モロ>通非参議人任例氏宗公
それ尓これハいとこよ那く・春ゝ見に多1める」(9ウ)
0046【これはいとこよなくすゝみ】-夕霧ハ十九歳ニテ中納言ニ任セル事ヲいへり
盤・徒き/\のこの1よ能お1ほえ能万佐るな1
めり閑し・満こ2とにかしこ起可多のさえ・心もち
井な1とハ・これ1裳おさ/\おとるましく・
あやまりてもお1よす遣満さり多流お1本え・
いと古とな1めりな1と・めて2させ給・ひめ宮能いと
うつくし遣丹て2王可くな2に心な2き2御あり
さ満なるをみ多てまつり給尓も1・見者やし
たて2まつり・可徒ハ又可多をひな2らむ事をハ・
み可くしをしへき2こえ徒へ可らむ・人のうし
ろ屋春可らむ尓・あ徒遣きこえ者やなと」(10オ)
き2古え給・お1とな1しき御め能とゝも1めしいてゝ・
御もき2能程の事な2と能た万ハ春流徒いて2に・
六条能お1とゝ能・式部卿能みこのむ春め・おほし
0047【式部卿のみこのむすめ】-紫上事
たて2个んやう尓・この1宮をあ徒可りて者くゝ万ん
人も可な1・多ゝ人の中尓ハあり可多し・内耳ハ
中宮さふ羅ひ給・つき/\能女御多ちとても1
0048【中宮】-秋
いと屋んこ2とな1き可起り物せ2らるゝに・者可/\
しきうし路ミな2くて2さやう能まし羅ひ
いと中/\な2らむ・こ能権中納言の朝臣農
0049【権中納言の朝臣】-夕
飛とりありつる程尓・うち可すめて2こ2そ心みる」(10ウ)
遍可り个れ・王可个れといとき2やうさくに・お1い
さ起堂能もし遣なる人耳こ2そあめるをとの能
給者春・中納言ハもとよりいとまめ人丹て2・
とし比も可能王多りに心を可けて2・ほ可佐万に
0050【かのわたり】-雲居雁の事
思うつろふ遍くも侍らさり遣るに・そ能お1もひ
かな2ひて2ハ・いとゝゆるく可多侍らし・可能院
0051【かの院】-源氏御事
こ2そ中/\猶い可なるにつ希て2も・人を遊可
しくお1ほし多流心ハ堂え春物越(#)せ2させ給ふ
なれ・そ2能中丹もやむこ2とな1き御ね1可ひふ可
くて2・前斎院な2とをもい満尓王すれ可多く」(11オ)
0052【前斎院】-槿
こ2そき2古え給なれと申春・いて2そ能布り
0053【いてその】-朱ー詞
せ2ぬあ多遣こそ2ハ・いとうし路め多个れとハ
の給春れと・遣尓あま多能中尓かゝ徒らひて・
めさ満し可るへきお1もひハありとも・猶や可て
おやさ満尓佐多め多る丹て2・さもやゆつりをき・
き2古えましな1とも1お1本しめす遍し・満こ2とに
す古しも1よつきてあらせ2むと思者ん女こも
0054【女】-ヲン
多らハ・お1な1しくハ可能人のあ多りにこ2そ者ふ
0055【ふれはハせ】-觸
連者ハせまほし个れ・いく者くな2らぬこの1
世能あひ多ハさハ可り心ゆくありさ満尓て」(11ウ)
こ2そ春くさ満本し个れ・わ連女な2らハお1な2し
者ら可羅なりとも1・可な1ら春むつひより
な1満し・わ可ゝりし時な1と佐な2んお1本えし・
まして女の1あさむ可れんハ・いとこ2とハりそや
0056【あさむかれん】-哢
との給者せて2・御心の中尓可む能君の御事
0057【かむの君】-朧
裳お1ほしいてらる遍し・この1御うしろミとも
0058【この御うしろみ】-女三
能中にをも/\しき2御め能との1せうと・左中弁
0059【左中弁】-六条院の院司かねたるをいふにや
なる可能院の志多しき人丹て2としこ2ろ徒
0060【かの院】-六
可うまつるあり个りこ能宮丹も心よせ古と
0061【この宮】-朱雀院#
丹て2さふらへハ万いり多る尓あひて物可多り」(12オ)
春流徒いて2に・うへな2む志可/\御遣しき阿り
0062【うへなむ】-朱ー
て・き2古え給しを・可能院尓おりあらハ・もらし
0063【かの院に】-六
き2こえさせ給へ・みこ多ちハ・ひとりお1ハし
ますこ2そハ連いの事な2れと・さ満/\に津
遣て2心よせたて2まつり・な2に事尓つ希て
も御うしろミ志給人あるハ・堂能もし遣なり・
うへをゝき多てまつりて2・又ま心尓お1もひき
0064【うへを】-朱
こ盈給へき人もなけ連ハ・お1のらハ徒可う
0065【おのらハ】-左中弁詞
まつるとても・な1にハ可りの宮徒可へ尓可あらむ・
我心ひとつ尓1しも1あらて・を能徒可らお1もひ能」(12ウ)
本可能事裳・お1ハしまし・可る/\しき2き
古えも1あらむ時尓ハ・い可さ満尓可ハ・王つらハ
志可らむ・御らん春流世尓とも可くも・この1御こ2と
0066【この御こと】-女三
佐多まり多1らハ・徒可うまつりよくな2んあるへき・
かしこ起春ちとき2こゆれと・女ハいと春くせ
さ多め可多くお1ハします物な2連ハ・よろつ1尓
なけ可しく・可くあま多の御中に・とり王起
き2古えさせ給尓つ希ても・人農そ2ね1ミあへ可
めるを・い可てちりもすゑ多てまつらしとか
0067【ちりもすゑたてまつらし】-\(朱合点) ちりをたにすへし(古今167・古今六帖3625・和漢朗詠299・躬恒集273、異本紫明抄・紫明抄・休聞抄・紹巴抄・花屋抄) 塵斗も人にあしく思ハせたてまつらしの心也又けかされぬ心也
たらふ尓・弁い可なるへき御事尓1可・あらむ・院」(13オ)
0068【院】-六
盤あやしきまて・御心な2可く可り丹ても
みそめ給へる人ハ・御心と満り多1るをも・又さし
裳ふ可ゝ羅さり个るをも・可多/\につ希て2た
徒年とり給津ゝ・あま多徒とへき古え給へれと・
屋んこ2とな1くお1ほし多るハ・可起りありてひと
0069【ひとかた】-紫上事
可多な1めれ者・それ尓こ2とよ里て可ひな2遣なる
春満ひ志給ふ・可多/\こと(#こ2そ(朱))ハおほ可めるを・御
すくせありて・もしさやう尓お1ハしますやう
も1あらハ・いみしき人とき2こゆとも1・堂ち
な2らひておし多ち給事ハ・えあらしとこ2そ」(13ウ)
0070【おしたち】-圧
盤お1し者可羅る連と・猶い可ゝとハゝ可ら流ゝ
こ2とありてなんお1ほゆるさるハこの世能さ
可え春衛の1世に春起て2・身に心もとなき2
こ2とハな起を・女能春ち丹て2なん・人農もとき
をも1おひ・我心丹も1あ可ぬ事裳あるとな2ん・
つね1尓うち/\能春さひこ2と尓1も・お1本しの給
者すなる・遣尓をの連ら可み多てま徒る
0071【をのれらか】-左中弁
丹もさなんお1ハします・可多/\に徒个て御影
耳かくし給へる人・みな1そ2能人な2ら春堂ち
く多れるき2ハ尓ハも能し給ハ年と・可起りある」(14オ)
多1ゝ人とも丹て2・院の1御ありさ満尓な2ら婦
0072【院の】-六
遍きお1ほえくし多るやハお1ハすめる・それ尓
お1な1しくハ・遣尓1佐もおハしまさハ・いか尓たく
ひ多る御あハひな2らむと・か多ら婦を・め能登
0073【めのと】-女三
又こ2と能徒いて2尓・志可/\なん・な1に可しのあ
0074【しか/\なん】-左中弁
そむ尓・本のめ可し侍し可ハ・可能院尓ハ・可な1ら春
0075【かの院】-六
うけひき申させ給てむ・とし比の御本い可
なひてお本しぬへきこ2とな1るを・こな1多能
御ゆるし満こ2と尓ありぬへくハ・徒多へき2こ
えんとな1ん申侍しを・い可なるへきこ2と尓か」(14ウ)
盤侍らむ・程/\尓つ希て2人農きハ/\お1
ほし王起まへ徒ゝ・あり可多起御心さまに物
志給な2れと・多1ゝ人多尓・又可ゝ徒らひお1もふ人多ち
ならひ多るこ2とハ・人農あ可ぬこ2と尓1し者へ
める越・免さ満しき事もや侍らむ・御うし
ろミ能そミ給人々ハあま多も能し給めり・よく
お1本しさ多めて1こ1そ・よく侍らめ・可きりな起
人とき2こゆ連と・い万能世のやうとてハ・みな1
本可ら可尓1あるへ可しくて2・世能中を御心と春
0076【ほからかに】-調達
具し給徒へきも1・お1ハします遍可める越・」(15オ)
ひめ宮ハあさましくお1ほつ可な1く・心もと
那くのミみえさせ給尓・さふら婦人々ハ徒可う
まつる可きりこ2そ侍らめ・おほ可多能御心を
き2て尓志多可ひき2古えて・さ可しき・志も1
人もなひきさふら婦こ2そたよりある古とに
侍らめ・とりたて多1る御うしろミも能し給ハ
さらむハ・猶心ほそ起王さになん侍へきとき2
古遊・志可お1もひたとる尓よりな2ん・みこ多ち
能よつきたるありさ満ハ・う多てあハ/\し
きやう尓1もあり・又多可きき2ハといへとも1・」(15ウ)
女ハお1とこ尓みゆる尓徒个てこ2そ・くやし
遣なる事裳めさ満しきお1もひも・をのつ可ら
うちまし流わさな1めれと・可つ1ハ心くるしく
思ひみ多るゝを・又さるへき人尓堂ちをくれ
て・たのむ可けとも尓・王可れぬる後・心をたてゝ
世中尓春くさむ事裳・む可しハ人能心
たひら可丹て2・世にゆるさ流ましき2程の1事
をハ・思をよ者ぬも能とな2らひ多り个ん・い満
の1世尓ハすき/\志具み多り可ハしきこ2とも・
類い尓ふれて2・き2こ遊めり可し・昨日満て2」(16オ)
た可きおや能いへ耳あ可められ可しつ可れし人
の1む春め能・个婦ハな越/\しくく多れるき
ハ能春起物とも尓な越多ちあさむ可れて
な2きおやのおもてをふせ・可けを者つ可し
むる多くひお1ほくき2こ遊る・いひもてゆ
遣ハみな1お1な1しこ2とな1り・程/\に徒个て春
くせな1といふなるこ2とハ・志り可たきわさな1れ
者・よろつ1尓うし路め多くなん・春へて2あし
くも1よくもさるへき人農心尓ゆるしを起
多るまゝ丹て2・世中をすく春ハ・春くせ2/\」(16ウ)
丹て2後の世尓お1とろへあるときも・身つ可ら
0077【後の世】-末世
能あやまち丹ハな2らす・ありへて2こよな1き・
0078【へて】-経
さい者ひあり・めや春きこ2と尓なるおりハ・
可くても阿し可らさり个りとみゆ連と・猶
たち満ち尓ふとうちき2ゝつ希多る程盤・
おや尓志られ春さるへき人もゆるさぬ尓・心
徒可ら能志のひわさしい1て2たるな2ん・女能身
丹ハますこ1とな2起・き春とお1ほゆるわさ
なる・な2越/\しき多1ゝ人農な1可らひ丹て1
0079【たゝ人】-凡
多尓・あ者つ1遣く心つきな2起事なり・」(17オ)
身つ可ら能心より者な1れて2・あるへき尓も
0080【身つからの心よりはなれて】-三界唯ー
あらぬを・思ふ心より本可に人丹もみえ・春く
せの本とさ多められんな2む・いと可る/\しく
身能もて那しあり・さ満/\お1しハ可ら流ゝ事
なるを・あやしく物者可な1起心さ満丹やと
0081【心さまにや】-女三
みゆめる御さ満な2るを・これ可連の心尓ま可せ
0082【これかれ】-乳母共
て2もてな1しきこゆな(+(朱)累)さやうなるこ2と能世に
0083【きこゆなる】-朱
もりいてんこ2とい1とう起事な1りな1とみ春て
たて2まつり給者ん後の世をうしろめ多1(△&多1)遣尓
0084【後の世】-朱
思きこえさせ給へ連ハ・いよ/\王つらハしく」(17ウ)
思あへり・い満春こし物をも思ひ志り給本と
0085【思あへり】-乳母共
0086【いますこし】-朱詞
まて見春くさんとこ2そハ・としころね1んし
つるをふ可き本いもとけ春な1りぬへき心ち
能春るに・思もよ越されて2な2ん・可能六条のお1とゝ
0087【かの六条のおとゝ】-源
者遣尓さりとも1も能ゝ心えて・うし路や春
きか多ハこよな1可りな2んを・可多/\尓あま多
も能せ2ら流へき人々を志るへき丹もあら春可し・
とても1可くて2も1人の心可ら也・のと可におち
ゐて2お1ほ可多能世のためしとも1うしろ屋
春起可多ハな2らひなくものせ2ら流ゝ人な2り・」(18オ)
さらてよろし可るへき人堂れハ可り可者
あらむ・兵部卿宮人可らハめや春し閑し
0088【兵部卿宮】-蛍
お1な1しき春ち丹て2ことひとゝわきまへ
おとしむへき尓ハあらね1と・あまりい多くな1
よひよしめく程尓1・をも起可多をくれて・春
古し可ろひ多るお1ほえや春ゝ見尓多らむ・
猶さる人ハい1とたのもし遣な2くなんある・又
大納言能朝臣のい1へ徒可さ・能そ2むな1るさ流
0089【大納言の朝臣】-無系図
可多尓1もの1まめや可なるへき事尓ハあな2れと・
さす可にい可にそや・さやうにおしな2へ多るきハゝ」(18ウ)
0090【いかにそや】-如何
猶めさ満しくな2んあるへき・む可しもかうやうな累
えらひ尓ハ・な尓1事裳人耳こ2とな1るお1ほえある尓
こ2とよりて2こ2そあり个れ・多1ゝ飛とへ尓又な1く・
もちゐん可多ハ可りを・可しこきこ2とに思さ多
めん(+ハ(朱))い1とあ可すくちお1し可るへきわさにな2ん・右
0091【右衛門督】-柏木事
衛門督の1志多尓王ふなるよし内侍督の1物
せ1られし・そ能人ハ可りな1んくらゐな1とい満春こし
物め可しき程尓なりな1ハ・なと可ハとも1・思より
ぬへき2をま多としい1と王可くてむ遣尓可ろ
ひ多る本と也・た可き心さし婦可くて2屋もめ尓て」(19オ)
春くしつゝ・い1多く志徒まり思あ可れる希
志き・人尓ハぬ个て佐えな1とも1・こ2とも那く徒井
にハ世の1可多めとな1るへき2人な1れ者・行春衛も
たの1もし个れと・猶又このため尓と思者てむ
尓ハ可きりそあるやと・よろ津尓おほし王つ1
0092【かきりそあるや】-爰マテ朱ー詞
らひ多り・かうやうにもお1ほしよらぬあ年宮多ち
をハ・可けてもき2こえなやまし給人もな1し・
あやしくうち/\にの多ま者する御さゝめき
事とも能・をの徒可らひろこりて2心越徒く春
人々お1ほ可り个り・お1ほきおとゝも1・こ能衛門督」(19ウ)
0093【おほきおとゝ】-致仕詞
の1いまゝてひとり能ミありて2みこ多ちな2らすハ・
盈しとお1もへるを可ゝ流御佐多めとも1いてきたな2る
を里尓・さやう尓1もお1もむ遣多てまつりて2めし
よせ羅連多らむ時・い可ハ可り我堂め丹もめん
本くありて2う連し可らむとお1ほしの給て2・
内侍の可んの1君丹ハ可能あね1北方志て2徒多へ
0094【あね北方】-姉 四君
申給なり个り・よろつ1可きりな起こ2との葉を
徒くして2そうせ佐せ2御个しきた万ハらせ給・兵部
0095【兵部卿宮】-蛍
卿宮ハ左大将能北の1方をき2こえ者徒し給て2
0096【左大将の北の方】-玉
き2ゝ給らん所も1あり可多本な2らむこ2とハとえり」(20オ)
春くし給尓い可ゝハ御心うこ可さらむ可起りな1く
0097【うこかさらむ】-立
お1ほしいら連多り・藤大納言ハとしこ2ろ院
の1別當丹て2・志多しく徒可うまつりて2佐婦
羅ひな1れ尓多るを・御山こもり志給な2ん・のちより
所なく心ほそ可るへき尓この1宮能御うしろミ
0098【この宮】-女三
に事よせて2・可へり見させ給へく御遣しきせ2ち
尓給ハりたまふなるへし・権中納言も可ゝ流
0099【権中納言】-夕
事とも越き2ゝ給ふ尓・人徒て2丹もあら春さハ
可りおもむ希させたまへりし御遣しきを・見
たて2まつりてし可ハ・を能徒可らたよりにつ希て2」(20ウ)
も羅しきこしめさ流ゝ事裳あらハよもゝ
て者な2れてハあらし可しと・心と起めきも1志
徒へ个れと・女君の1い満ハとうちとけて2たのミ
0100【女君】-雲井
給へるを・としこ2ろ徒らきにも1こ2とつ氣徒へ
0101【ことつけ】-カコツケ
可りし程多尓1・本可さ満の1心もなくて2・春具し
てしをあや丹くに・いまさらに堂ち可へり尓1
わ可に物をや思者せき2こ盈ん・なのめな1ら春
やむこ2とな2き起可多尓・かゝつらひな1ハ・な尓1事裳
思まゝな1らて・ひ多りみき2尓や春可らすハ
我身もく流しくこ2そハあらめな2と・もとより」(21オ)
春起/\志可らぬ心な2れ者・思志途め津ゝうち
い1てね1と・佐春可に本可さ満尓1佐多まりハて
給ハんも・い可にそ2やお1ほえて・みゝハと満り个り・
0102【みゝはとまりけり】-耳ニトマル
春宮尓1も可ゝる事ともきこしめして・さし
あ多りたるたゝい満の1こ2とよりも1・後の世
の1堂めしとも1なるへき事なり・人可ら
よろしとても多1ゝ人ハ可起りあるを・猶し可
お1ほし多つこ2とな2らハ・可能六条院尓こ2そ・お1や
さ満尓ゆつりき古えさせ給ハめとな1ん・王佐との1
御せうそことハあらね1と御遣しきあり个る」(21ウ)2
を・まちき可せ給ても遣尓さるこ2と也・い1とよく
0103【まちきかせ給て】-朱
お1ほしの1多満ハせ多りと・いよ/\御心多ゝせ給て2・
0104【御心たゝせ給て】-思立
まつ可能弁してそ・可つ/\あな1い徒多へき2古えさ
せ給个る・この1宮能御事可くお1ほし王つら婦
0105【この宮の御事】-源氏御詞御心中
佐万ハ・さ起/\も1みな1きゝを起給へ連ハ・心くるし
き2こ2と尓1もあな2る可な1・さハありとも1院の1御
世能ゝこり春くな1しとて・古ゝ丹ハ又い1く者具
堂ちをくれ多てまつる遍しとて可・そ能御うし
ろミ能事をハうけとりき2こえん・遣尓志多いを
あやま多ぬ丹て2・い満志ハしの1程ものこりと万」(22オ)
累可きりあらハ・おほ可多につ希てハ・いつ連能
御子多ちをも・よそにき2ゝ者な1ちたて2まつる
へき丹もあらね1と・又可くとり王きて・きゝを起
たて2まつりてんをハ・こ2とにこ2そハうしろミき2こ
盈めとお1もふを・それ多尓い1とふちやうなる世
能佐多めな2さな2りやとの給て2・ましてひと
徒($(朱))尓1・堂のまれ多てまつるへき春ち尓むつひ
なれき2古えんこ2とハ・い1と中/\尓うちつゝき2
世越さらむきさミ心くるし具・み徒可ら能
ため丹もあさ可らぬ本多し尓なんあるへき・中」(22ウ)
0106【中納言】-夕
納言な2とハ年わ可く可ろ/\しきやうな2れと・
行さ起と越くて2人可ら裳徒ゐ尓お1ほや遣能
御うしろミとも1な2りぬへき・おいさ起なんめれハ・
佐もお1ほしよらむ尓・なと可古よな1可らむされと
い1とい多く満め多ちて2・思ふ人佐多まり丹て2そ
あめれハ・そ2連尓ハゝ可らせたまふ丹やあらむな1と
の給て2・身つ可らハお1ほし者な2れ多るさ満なるを・
弁ハお1本ろ遣能御さ多め丹もあらぬを・可く能
0107【おほろけの】-弁詞
給へ者・い1とお1しく具ちお1しくも思て2・うち/\
にお1ほし多ち尓多るさ満な1と・具ハしくき2」(23オ)
こ遊連ハ・さす可尓うちえミ徒ゝい1と可な1しく
0108【いとかなしく】-源氏御詞
志多てまつり給みこな1めれ者・あな1可ち尓かく
きし可多行さ起の1たとりもふ可きな2めり
閑しな1・堂ゝうち尓こ2そたて2まつり給ハめ・屋ん
こ2とな1き2まつの人々・お1者すとい1ふこ2とハよし
0109【まつの人々】-早参宮仕
な1起事なり・それ尓さハるへき事尓1もあら
春・可那羅すさりとて春衛の人をろ可な1る
屋うもな1し・こ院の御時尓1お1ほきさ起能・者う
能者しめの女御丹て2・い1きま起給しかと・
0110【いきまき】-怒姿也
む遣能春衛にまいり給へりし・入道能宮耳」(23ウ)
0111【入道の宮】-薄雲
志ハしハお1され給尓1き2可し・この1見こ能御者ゝ女
御こ2そハ・可能宮の御者らからにも能したまひ
遣め・可多ちも佐しつきにハい1とよしとい者れ
給し人な2りし可ハ・い徒可多尓1徒个ても1・こ能ひ
め宮をしなへて能き2者尓ハよもお1者せしを
なと・い2ふ可しくハ思き古え給遍しとし裳くれぬ・
朱雀院丹ハ御こゝち猶をこ多るさ満丹もお1
ハしまさね1ハ・よろつ1あハ多1ゝしくお1ほし多ちて・
御もき2能事お1ほしい1そくさ満き2しか多行
0112【御もき】-女三
さ起あり可多遣なるまて・い徒く志具のゝ志流・」(24オ)
御志徒らひハ可へ殿の尓1しお1もて2に・御きちやう
0113【かへ殿】-柏 朱ー西対ニアリ
よりハしめて2・こゝ能あや丹しきをませさせ
給者す・もろこし能きさ起の可さりをお本し
屋りて2・うるハしくこ2と/\しくかゝ(△&ゝ)やくハ可り
とゝ能へさせ給へり・御こしゆひ尓ハおほきお1とゝ
0114【御こしゆひ】-康子内親王之小一条左大臣ニ例
0115【おほきおとゝ】-致仕
を可年て2よりき2こ盈させ給へり个れハこ2と/\
しくお1者する人丹て2万いり丹くゝお1ほし氣
連と院の1御事をむ可しよりそ2むき申給
者年ハ万いり給・い満ふ多所能大臣多ち・そ能
のこり上達部な1と者・王りな2起さハりあるも」(24オ)
阿な1可ち尓ためらひ・多1春遣つゝ万いり給・みこ
0116【みこたち】-宮
多ち八人・殿上人ハ多佐ら尓1もい者す・内春宮
能・のこら春万いり徒とひて2・い1可めしき2御
い1そ2起能飛ゝき2也・院の御こ2とこの1多ひこ2そ・
0117【院】-朱
とちめな2れと・み可と・春宮を・ハしめたて2まつ
0118【とちめ】-限
里て2・心くるしくき2こしめし徒ゝ・蔵人所・
お1さめと能ゝ可ら物とも1・お1ほく多てまつら
0119【から物】-宝
せ2給へり・六条院よりも人々能ろく・そん者
0120【そん者】-尊 徳爵歯備一ー
の1大臣能御ひき2い1て2物な2と・可能院より楚・
たて2まつらせ2給个流・中宮よりも御さうそく・」(25オ)
0121【中宮】-秋
くし能者こ心ことにてうせ2させ給て2・かの1む可し
0122【むかしのみくしあけのく】-斎宮
の見くしあ遣能・具ゆへある佐万にあらた
めく者へて2・さす可尓1もと能心者えも・うしな1
ハ春・それとみせ2て2・そ2能日の夕徒可多堂てまつ
連させ給・宮の1権の佐・院農殿上尓1もさふら婦
0123【宮の権の佐】-無系ー
を御使丹て2・ひめ宮能御方に満いら春へく・の多
0124【ひめ宮】-女三
ま者せつれと・可ゝるこ2とそ中にあり氣流
佐しな1可らむかしをい満尓つ多ふ連ハた万能
0125【さしなから】-中宮より三宮へ
をくしそ2神さひ尓个る院御らむし徒氣て2
あハれ尓お1ほしい1てら流ゝ事裳あり个り・」(25ウ)
あえ物遣志うもあらしとゆつりき2こえ給
へる本と遣尓お1もたゝしき2可むさしな2れハ・御返
も1む可しのあ者れをハ佐しをきて
佐しつきにみる物尓1も可よろつ1世越徒希
0126【さしつきに】-朱雀院返し サス心
のをくし能神さふるまてとそい者ひき2古え
給へる・御心ちい1とくるしきをね1んし徒ゝ・お1本し
お1こして・この1御いそ2起者てぬ連ハ・三日春くして・
徒井尓御くしお1ろし給・よろしき2程の1人農
0127【御くし】-朱ー
うへ丹て2た尓・い満者とて・さ満可ハるハ可な1し遣
なるわさな2れ者・ましてい1とあハれ遣尓御可多/\も」(26オ)
お1ほし満とふ・内侍の可んの1君ハ・徒とさふらひ
0128【内侍のかんの君】-朧
0129【つとさふらひ】-集
給て2・いミしくお1ほしいり多るを・こし羅へ可年
給て2・子を思ふ道ハ可起りあり个り・かく思し
つ1ミ給へる・別の多へ可多くも阿る可な1とて・御心み
多1れぬへ个れと・あな1可ち尓御遣うそく尓可ゝり
給て2・山の座主よりハしめて2・御いむこ2と能あさ
0130【山の座主】-朱ー例歟
里三人・さふらひて2・本う布くな1とたて2まつる
程・この世を王可れ給・御さほうい見しく可な1し・
个ふハ・世を思春満したる僧多ちな2とた尓・涙も
盈とゝめね1ハ・まして女宮多ち女御更衣」(26ウ)
古ゝ羅の1男女・可ミ志も・ゆ春りみちて2・な2起
0131【ゆすり】-動
とよむ尓・い1と心あハ多ゝ志う・可ゝ羅て2志徒
屋可なる所に・屋可て古もるへ具お1ほしまう
遣ゝ流・本い多可ひて2お1ほしめさ流ゝも・多1ゝ
こ能をさな起宮尓ひ可されてとおほしの多
まハす・内よりハしめ多てまつりて2・御とふらひ
の1志けさい1と佐らな1り・六条院裳春こし御
心ちよろしくとき1ゝたて2まつらせ2給て2満
いり給・御堂うハり能御ふな1とこ2そ・みな1お1な1しこ2と
0132【御ふ】-勅旨田千町三千戸也
おりゐのみ可とゝ・ひとしく・佐多まり給へれ連」(27オ)
0133【おりゐのみかと】-仙洞
登・満こ2と能太上天皇能儀式尓ハ・うけハり給
ハす・世能もて那し思き古え多る佐万な1とハ・心
こ2とな2れと・こ2と佐ら尓そ2起給て2・連いの1こ2と/\
0134【こと/\しからぬ御車】-檳榔唐庇ナトハ後々ニ出来物也
志可らぬ御車に堂て2まつりて2・上達部なと
さるへき2かきり車尓1てそ・徒可うまつり給へる・
院尓ハいみしくまちよろこ2ひき2古え佐せ2給
0135【院にハ】-朱雀院御事
て2・くるしき御心ちをおほし徒よりて2・御た
いめんあり・うるハしきさ満な2ら春多1ゝお1ハし
ます可多に・お1ましよそひく者へて2・い連
たて2まつり給へる・御ありさ満み多てまつり」(27ウ)
0136【御ありさま】-源氏御心中
給ふ尓・き2し可多行さ起くれて2可な1しく・とめ
可多くお1ほさるれ者・と見尓1も盈ためらひ給
ハ春・故院尓をくれ多てまつりしこ2ろ本ひより・
世のつね1な2くお1もふ給へられし可ハ・この1可多能本い
布可くすゝミ侍尓1しを・心よハくおもふ堂まへた
遊多ふこ2とのミ侍つゝ・徒ゐ尓可くみ多てまつりな1し
侍まて・をくれたて2まつり侍ぬる心の1ぬるさ
を・者つ可しく思たまへ羅るゝ可な1・身にとりて
ハ・古と丹もあるましくお1も1ふ給へ多ち侍
おり/\あるを・佐ら尓い1と志のひ可多起こ2とお本」(28オ)
可りぬへきわさにこ2そ侍个れと・な1くさめ可多
くお1ほし多り・院も物心本そくお1ほさるゝ尓・
0137【院】-朱雀院
盈心徒よ可らす・うち志本多れ給ひ徒ゝ・い丹しへ
い満の1御物可多りい1とよ者け尓き2古え佐せ2
給て2・个ふ可あす可とお1ほえ侍つゝさす可に
0138【けふあすかと】-\(朱合点) 我世をハ(新古今1651・伊勢物語158・業平集28、河海抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
程へぬるをうち多ゆミて・布可起本いのはし
丹て2も1とけ春なりなん事と・思お1こして
なん・かくてものこり能よハひな2くハ・をこな2ひ
の心さし裳可な2ふまし个れと・まつ可り丹ても
能とめをきて・念仏をた尓1と(△&と)思ひ侍る・者可/\」(28ウ)
0139【のとめをきて】-ノトカ
志可らぬ身丹て2も・世にな2可ら布るこ2と多1ゝこ能
心佐し尓ひき2とゝめられ多ると・お1もふ給へ志られ
ぬ尓1し裳あらぬを・い満まて徒とめな1き2・を
こ多りを多1尓屋春可ら春なんとて・おほしを
き2て多るさ満な1とくハしくの給者する
徒ゐて2尓・女みこ多ちをあま多うち春て
侍な2ん・心くるしき中尓1も又思ゆつる人な2き
を者・とりわきうしろめ多くみ王つらひ
侍とて・ま本丹ハあらぬ御遣しき心くるしく
0140【御けしき】-源氏
み多てまつり給・御心のうち尓1もさす可に遊」(29オ)
0141【御心のうち】-源
可しき御ありさ満な2れ者・おほし春くし可多
具て2・遣尓多ゝ人よりも可ゝ流春ち丹ハ・王多
くしさ満の1御うしろミな起ハくちお1し希
なるわさにな2ん侍个る・春宮可くて2お1ハし
ませハい2と可しこき春衛の世能まう遣の
0142【まうけの君】-儲弐
君と・あめ能志多のたのミ所尓あふき・き2こ
盈さするを・ましてこ能事と起古盈を可せ
給ハんこ2とハ・ひとこ2とゝ志て2お1ろそ可に可ろめ
申給へき2に侍らね1ハ・さら尓行さ起のこ2とお1本
志な2やむへき丹も1侍らね1と・遣尓事可起り」(29ウ)
阿連ハお1ほや遣となり給よの万徒りこ2と・御
心に可な1ふ遍しとハいひな2可ら・女の1御ため尓な尓1
ハ可り能遣さや可な1る御心よせあるへき2尓1も侍
らさり个り・春へて2女の1御堂め尓1ハ・さ満/\
まこ2と能御うしろミと春へき物ハ猶さるへき
春ち尓契を可ハし・盈さらぬこ2とに者くゝミ
き2こ遊る・御まもりめ侍なん・うしろ屋春可るへ
き事尓者つるを・猶志ひて2後の世能御う多可ひ
のこるへ具ハ・よろしき2尓お1ほしえらひて2・
志のひてさるへき2御あつ可りを・佐多めを可せ」(30オ)
給へき2尓なむ者へなるとそうし給・さやう尓
0143【さやうに】-朱雀院御詞
思よる事侍連と・それも可多起事尓なん
あり个る・い丹しへのためしをき2ゝ侍尓1も・世を
0144【いにしへのためし】-忠仁
多1もつ1さ可りの1みこに多に人をえらひて・さる
佐万能事を志給へる堂くひおほ可り个り・万し
て2可くい満ハとこの1世を者な1累ゝきハ丹て・
こ2と/\し具思へき2尓1もあらね1と・又志可すつる
中尓1も・春て可多起事ありて2・さ満/\尓思
王つらひ侍本と尓・屋まひ者をもりゆく・又とり
可へ春遍き2尓1もあらぬ月日能春起ゆ氣ハ・」(30ウ)
心あ者多ゝしくな2む・可多ハらい多起ゆつり
な2れと・この1い者けな起内親王ひとり・とり
0145【内親王】-女三
王起て2者くゝミお1ほしてさるへきよす可をも・
御心尓1おほし佐多めて2・あつけ給へとき2こえ
ま本しきを・権中納言な1と能・ひとりも能し
0146【権中納言】-夕
つる程・すゝ見よるへくこ2そあり个れ・おほいまう
0147【おほいまうち君】-致仕
ち君尓・せんせ2られて2・ね1多くお1ほえ侍とき2こ
盈給・中納言の朝臣・能まめや可なる可多ハ・
0148【中納言の朝臣の】-源氏御詞
い1とよく徒可うまつりぬへく侍を・な尓1事
裳ま多あさくて・たより春くなくこ2そ2」(31オ)
侍らめ・可多志けなくとも1布可起心丹て2うし
ろミき2こえさせ侍らむ尓・お1ハします御可け尓・
かハりてハ・おほされしを・多1ゝ行さ起みし可くて2・
徒可うまつりさすこ2とや侍らむと・う多可ハし
き2可多のミなん・心くるしく者へり(#流(朱))へきと・う
希ひき申給つ1・夜尓1いりぬ連ハ・あるし能院
可多裳・満らうと能・上達部堂ちも1・みな1御前
丹て2・御($)あるし能こ2と佐うし物尓て・うるハし可らす・
0149【さうし】-精進
な2満め可しくせ2させ給へり・院の1御前尓・せ2ん
0150【院の御前にせんかうのかけはん】-朝覲行幸時主上御前物紫檀懸盤六本有打敷等浅香ー准之「うちしきとうせんかうとうしゆんかうとう」(付箋01)「ともちるぎやうがうのときしゆしやうごせんもつしたんのかけばん六ほんあり」(付箋02)
かう能可希者ん尓御者ちな2と・む可し尓可ハり」(31ウ)
0151【御はちなと】-応量器ト云「をふりやうきといふ」(付箋03)
てまいるを・人々涙お1しのこひ給・あハれなる
春ち能事とも1あれと・うるさ个れ者可ゝす・
夜布けて2可へり給ふ・ろくとも1徒き/\尓
たまふ・別當大納言裳御をくり尓まいり給・
あるし能院ハ・个ふの雪に・いとゝ御風くハゝ里て・
可起み多りな2やましくおほさるれと・この1宮の
御こ2と・き2古え佐多めつるを・心屋春くお1ほし个り・
六条院ハな満心くるしう・さ満/\おほしみ
多る・むらさ起のうへも可ゝる御佐多めな1と・か年
ても・本のき2ゝ給个れと佐しもあらし・前斎院」(32オ)
0152【前斎院】-槿
をもね1んこ2ろ尓きこえ給やうなり志可と・
わさとしも1・お1ほしとけ春なりにしをなと
お1ほして2さるこ2とやあるとも1・とひき2こ盈
給ハす・なに心も1なくて2お者する尓・い1とおしく
0153【いとおしく】-源氏御心
この1事をい可尓1おほさん・我心ハ露も1可ハる満
しく・佐るこ2とあらむ尓1徒个てハ・中/\いとゝふ可(=カ)
0154【ふかさこそ】-\(朱合点) 我ためハいとゝあさくや成ぬらん野中のし水ふかさまされハ(後撰784、花鳥余情・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
さこ2そ満さらめ・みさため給ハさらむ本と・い可尓
思う多可ひ給ハんなと・屋す可ら春お1ほさる・い万
のとしこ2ろとなりてハまして・可多身($見)耳
遍多てき2こえ給こ2とな2く・あ者れなる御な1可」(32ウ)
なれ者・志ハし心尓遍多て能こし多る事あら
むも・い1ふせ2起を・そ能夜ハうちや春ミて・あ可し
給つ1・又の日雪うちふり・空能个しき裳物
あハれ尓・す起尓1しか多行さ起の1御物可多りき
こ盈可ハし給・院の多1能もし遣な2くなり給尓1
0155【院のたのもし】-源氏御詞
多る・御とふらひ尓まいりて・あハれなる事とも1
の1ありつる可な1・女三宮能御事を・い1と春て可多
遣尓1お1ほして2・志可/\な2むの多万ハせ徒遣し
可ハ・心くるしくて・盈き2古えいなひ春なり
にしを・こ2と/\しくそ人ハいひな1さん可し・い万ハ」(33オ)
さやう能こ2とも・うゐ/\しく・春さ満しく思ひ
なりに多れ者・人徒て尓遣しき者ませ給し
丹ハ・と可くの可れきこえしを・多1いめんの徒い
て尓1・心布可起さ満なる事とも越・の給徒ゝ遣
志尓ハ盈春く/\しくも1可へさ飛申さてなん・
ふ可き御山すミに・うつろひ給ハん程尓こ2そ者・
わ多志多てまつらめ・あちきな2くやおほさる
へき・いみしき2こ2とありとも・御多めあ流より・
可ハる事ハ佐ら尓あるましきを・心な1を起給そ
よ・可能御堂めこそ2心くるし可らめ・それも可多ハ」(33ウ)
な1ら春もて那して2む・多れも/\のと可丹て2・
春くし給ハゝな2ときこえ給・者可な1き御春ま(#、+さ(朱))ひ
こ2とを多に・めさ満しき2物尓お1ほして・心や春
可らぬ御心さ満な2れハ・い可ゝおほさんとお1本す尓・
い1とつれなくて1・あハれなる御ゆつりにこ2そ
0156【あはれなる】-紫上御詞
ハあな2れ・こゝ丹ハい可なる心越・をきたて2まつる
へきに可・めさ満しく・可くて2な1と・と可めら流まし
くハ・心や春くても者へな2んを・可能者ゝ女御
の1御方さ満尓ても・うと可らすお1本し可すまへて2
0157【うとからす】-源氏ノ君ハ紫ノヲハ
むやと・ひ遣し給を・あまりかううちとけ給・」(34オ)
0158【あまりかう】-源氏御詞
御ゆるしも1・い可な2連ハとうしろめ多くこ2そ
あれ・まことハ佐多にお1ほしゆるい1て2・わ連も
人も心えて那多ら可尓もて那し春くし給ハゝ・
いよ/\あハれ尓な2む・ひ可こ2とき2こえな1とせ2ん
人の事き2ゝい連給な1・春へて2世能人のくちと
い1ふ物な2ん・堂可いひい1つる事ともな2く・をの1
つ1可ら人農な2可らひな1とうち本をゆ可ミ・おも
0159【人のなからひ】-\(朱合点) 万 人中を人そさくなるゆめよきし人のなかこときゝたつな君(万葉663、河海抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
0160【ほをゆかみ】-方 曲
者すなる事いてく流物なるを・心ひとつ尓
志徒めて・ありさ満尓志多可ふなんよ起・ま多
き尓・さハきて・あいな2起も能うらミ志給な2と・い1と」(34ウ)
よくをしへき2古え給・心能うち丹も・かくそ2羅より
い1て2き2に多るやうなる事尓て・の可れ給
可多きを・丹く遣丹もき2古えなさし・我心
にハゝ可り給ひいさむる古と尓志多可ひ給へ
き2・を能可とち能心より・お1こ連る遣さうにも
あら春・せ可るへき2可多な2起も能可ら・お1こ可万し
く思む春本ゝ流ゝさ満・世人尓・もりき2こえし・
式部卿宮能お1ほきたの方つね1尓1・うけハし遣
0161【式部卿宮】-兵
0162【おほきたの方】-紫継母
0163【うけはしけなる】-呪詛
なる事とも越・の給い1て2津ゝ・あちきな1き($く)
大将の1御こ2と丹て2さへ・あやしくうらミそね1ミ」(35オ)
0164【大将】-鬚
0165【御こと】-玉
0166【そねミ給ふ】-紫
給ふなるを・可やう尓きゝて・い可に・いち志るく
0167【かやうに】-女三
思あハせ給ハんな1と・お1ひら可なる人農御心と
いへと・い可て可ハ・かハ可り能く満者な2可らむ・いまハ
さりとも登・のミ我身を思ひあ可りうらな2く
て・春くし遣る世能・人王らへならん事を・志多尓
ハ思徒ゝ遣給へと・い1とおひ羅可尓のミもてな1し
0168【おひらかに】-紫心
給へり・としも可へりぬ・朱雀院尓ハ・ひめ宮・
六条院尓・うつろひ給ハん御い1そ2きを志給
き2こえ給へる人々・いとくちお1しくお1ほし
0169【きこえ給へる人々】-兵部ー 柏木
なけく・内尓1も御心者えありて2き2こえ給」(35ウ)
氣流程尓1・可ゝ流御さ多めをき古しめして・お1
本しと満り尓个り・さるハ古としそ2よそ2ちに
0170【よそちに】-源
なり給个れ者・御賀の1事お1ほや遣丹もき
0171【おほやけにも】-冷
古しめし春くさす世中能いとな2ミ丹て2・か
ね1て2よりひゝ具を・こ2と能王つらひお1ほく・い可
めしき2事ハむ可しよりこのミ給者ぬ御心尓て・
みな1可へさひ申給・正月二十三日ね1のひなるに・
0172【正月二十三日ねのひなるに】-延長二ー正ー廿五日甲子醍醐御門四十御賀宇多御門ヨリ献△令模之
左大将殿の1北方わ可な1まいり給・可年て2希
0173【北方】-玉
しきも1もらし給者て・い1とい多く志のひて2
お1本しまうけ堂り个れ者・尓1者可丹て2・盈」(36オ)
いさめ可へしき2古え給者す・志のひ多れと・さ
ハ可り能御いきをひなれ者・わ多り給御きし
き2な1と(+いと(朱))ひゝき古となり・みな1ミ野お1とゝの
にしの者な1ちいてに・お1ましよそふ・屏風・可
0174【はなちいて】-放出
0175【おまし】-座
遍しろよりハしめ・あ多ら志具・者らひ志つら
ハれ多り・うるハしくい1しな1と者多て春・御ちしき
0176【いし】-倚子
0177【御ちしき】-地鋪唐筵大文高麗縁
四十まい・御志とね1・遣うそくな1と春へて2そ能
御くともいときよら尓せ2佐せ給へり・羅てん
0178【らてん】-螺鈿
のミつしふ多よろひ尓・御こ2ろも者こよつ春
0179【みつし】-厨子
0180【ふたよろひ】-四基
遍て2・夏冬能御さうそく・かうこ・く春り能者こ・」(36ウ)
御春ゝり・ゆする徒き・可ゝ遣能者こなとやうの
0181【ゆするつき】-[水+甘]器有台并蓋
0182【かゝけのはこ】-掻箱
物・うち/\きよらを徒くし給へり・御か佐し能
堂い尓ハ・ちん志多むを徒くり・めつらしき2あや
めを・津くし・お1なしき2可年をも・色徒可ひな1し
多る心者えあり・い満め可しく・可んの君も能ゝ
見屋ひふ可く・かとめき給へる人丹て2・めな2れ
ぬさ満尓志な2し給へる(り&る)・お1ほ可多能事をハ・こ2と
佐ら尓古と/\し可らぬ程なり・人々まいりな2と
志給て2・お1ましにい1て2給とて・可んの君尓御堂い
めんあり・御心能うち丹ハ・い1丹しへお1ほしいつる」(37オ)
事とも1さ満/\なり个ん可し・い1とわ可く
き2よら丹て2・可く御賀な1とい1ふこ2とハ・ひ可かそへ
丹やとお1ほ遊る佐万能な1まめ可しく・人のおや
遣なくお1ハしますを・めつらしくて・とし月
遍多てゝみ多てまつり給者・いと者つ1可し
个れと・猶遣さや可なる遍多てもなくて2・御物
可多りき2こえ可ハし給・をさな2き君もい1と
うつくしくて2も能し給・可むの君者うち徒ゝ
き2ても・御覧せ2られし事と能給个る越・大将の
可ゝる徒いて尓多に・御らむせさせ2んとて・ふ多り」(37ウ)
0183【御らむせさせん】-河海 槙柱同腹二人
0184【ふたり】-ひけくろの御子後右兵衛督左大弁といへる人なり母玉かつら也
お1な2しやう尓ふりわ希可ミ能な尓1心な2き2な2越し
0185【ふりわけかミ】-\(朱合点) くらへこしふりわけ(伊勢物語48、河海抄・孟津抄)
す可多とも1丹て2お1者す・春く流よハひ裳
0186【すくるよハひ】-源氏
身つ可ら能心尓ハ・古とに思と可めら連春・多1ゝ
む可しな1可ら能わ可/\志きありさ満尓て・あら
たむるこ2ともな2起を・可ゝ流すゑ/\能もよ越し
尓なん・な2満ハしたな2きまて思志らるゝおりも
侍遣る・中納言の1い徒し可と・まう遣多なる
を・こ2と/\しく思ひ遍多てゝ・ま多みせ2す可し・
人よりこ2とに可そへとり給个る・遣ふの1ね1のひ
こ2そ猶う連多1个れ・志ハしハ老をわ春れても」(38オ)
侍へきをとき2古え給・可んの君も1い1とよく
ね1ひまさり・も能/\しき遣佐へそひて2・みる
可ひあるさ満志給り
わ可葉佐春野へのこ松をひきつ連て2もと
0187【わか葉さす】-玉かつら
の1い者ね1をい能る个ふ可な1とせめてをとな2ひき
古え給・ちんのお1しきよつして・御わ可那(△&那、=な1イ、な1イ(墨)$(朱))さ満ハ可り
まい連り・御可ハら遣とり給て2
小松ハら春衛のよハひ尓飛可れてやのへ能
0188【小松はら】-源氏返し
わ可な1裳年をつむへき2な1とき古え可ハし
給て2・上達部あま多みな1ミ能ひ佐し尓徒き」(38ウ)
給・式部卿宮ハまいり丹くゝお1ほし个れと・御
0189【まいりにくゝ】-真木柱の事ゆへなり
せうそこあり个る尓・かく志多しき御な可
らひ丹て2・心あ流やうな2らむも・ひんな2くて2日
堂けて2そわ多り給へる・大将の志多り閑ほ
丹て2・可ゝ流御な2可らひ尓う遣ハりても能し給も・
遣尓心屋まし遣なる王さな1めれと・御む万
この1君多ちハ・い1つ可多に徒个ても・おり多ちて2
0190【この君たち】-大将こたちハ式部卿の御孫なり
さうやく志給こもの1・よそえ多・おりひつ1物よ
そ2ち中納言をハしめ多てまつりて・さるへき
可きり・とり徒ゝき給へり・御可ハらけく多り・」(39オ)
わかな1能御あ徒い物まいる・お1まへ尓ハ・ちん能可け
0191【わかなの御あつい物】-延長御賀例
者ん四・お1ほむつきとも1なつ可しくい満め
き多る程尓1せられ多り・朱雀院の1御く春り
能事・猶堂ひらき者て給ハぬ尓より・楽人
0192【楽人なとハ】-延喜十三ー例
な1とハめさす・御ふえなとお1ほきおとゝ能・そ
の可多ハ・とゝ能へ給て2・世中尓この1御賀
より又めつら志くき2よら徒く春へき事
あらしとの給て2・すくれ多るね1の1可きりを
か年て2より・お本しまう遣多り个れハ・志のひ
屋可尓御あそひ(+あり(朱))とり/\尓多てまつる中尓」(39ウ)
和琴ハ・可能お1とゝの第一尓・飛し給个る御こ2と
也・佐る物の1上手能心をとゝめて2ひき2な2らし
給へるね1・いとな2らひな2起を・こ2と人ハ可起多て尓
具ゝ志多まへハ・衛門督能可多くいな2ふるをせめ
0193【いなふる】-辞
給へハ・遣尓いとおもしろくお1さ/\をとるまし
くひく・な2に事裳上手能徒きといひな1可ら・
可くしも盈つ可ぬ・わさそ可しと・心尓くゝあハれ
に人々お1ほ春・志らへ尓志多可ひて2・あと阿る
てとも・佐多まれるもろ古し能徒多へとも1ハ・
中/\堂つ年志るへき可多・あらハなる越・」(40オ)
心尓1ま可せて2・堂ゝ可起あ者せ多るす可ゝ(#可(朱))
きに・よろ徒の物能ね1・とゝのへられ多るハ
堂へ尓お1もしろく・あやしきまてひゝ具・ちゝ
お1とゝハ・こ2と能をもいとゆるに者りて・い多う
0194【ゆるに】-緩
く多して志らへ・ひゝきお1ほくあ者せてそ
0195【くたして】-下
可起な2らし給・これ者いと王羅ゝ可尓1の本るね1
のなつ可しくあい行徒き多るを・いと可う
志もハき2古えさりしをと・みこ多ちもお1と
ろき給・琴ハ兵部卿宮ひき給ふ・こ能御こ2と
0196【琴】-キン
0197【兵部卿宮】-蛍
盤・宜陽殿の御も能丹て2・たい/\尓第一農」(40ウ)
0198【宜陽殿】-キヤウテン
0199【御ものにて】-百余代ハ宝物楽器等被納
名ありし御こ2とを・こ院の春衛徒可多・一品宮
のこの1ミ給こ2と丹て2た万ハり給へ里遣る越・
こ濃おり能き2よらを・徒くし給ハんと春流
ため・お1とゝの申給ハり給へる・御徒多へ/\をお1
ほ春に・い1とあ者れ尓む可し能事裳恋しく
お1本しいてらる・みこも盈いな2きえとゝめ給
ハ春・御遣しきとり給て2・琴ハお1まへ耳
0200【琴】-キン
0201【おまへに】-源
ゆつりき2古えさせ給ふ・物のあハれ尓え春くし
給ハて・めつらしき2物ひとつ1者可り・ひき給尓
こ2と/\し可らね1と・可起りな2くお1もしろき」(41オ)
夜農御あそひなり・佐う可能人々見ハし尓
めして・春くれ多るこ2ゑ能可きりい多して・可へり
0202【かへり】-反音律
聲尓なる・夜の1布け行まゝに・物の志らへとも1
なつ可しくかハりて・あをやきあそひ給本と・
0203【あをやき】-催馬ー律
遣尓ね1くら能うくひ春お1とろきぬへくいみしく
お1もしろし・王多くしこ2と能さ満尓志な1し給て・
ろくな1とい1ときやうさく尓まう遣られ多り(△&り)
个り・あ可月尓1可んの君可へり給御をくり物な2と
あり个り・可うよ越春つるやう丹て2あ可し
0204【かうよを】-源氏
くらす程尓とし月の1ゆくゑも志らす可ほ」(41ウ)
0205【とし月の】-\(朱合点) 拾 年月の行ゑもしらぬ山かつハ滝の音にや春をしるらん(拾遺1003、河海抄・孟津抄・花屋抄)
なるを・かう可そへ志らせ2給へる尓つ希て2ハ・心
0206【かうかそへしらせ】-\(朱合点) 後 かそへしる人なかりせはいたつらに谷の松とや年をつまゝし(千載959、花鳥余情・細流抄・休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
ほそくなん時/\ハ・おひやまさるとみ多
まひくらへよ可し・かくふるめ可志き身能所
せさ尓・お1もふ尓志多可ひて2・たいめんなきも
0207【たいめんなきも】-致仕# 玉
いとくちお1しくなんな1と・き2こえ給て2・あハ
連丹もお1可しくも思い1て2き古え給こ2とな起
にしもあらね1者・中/\本の可丹て2かくいそき
王多り給を・い1とあ可春くちお1しくそ2お1ほ
佐連个る・可むの1君も1満こ2と能おやをハ・さる
遍き契ハ可り尓思き古え給て2・あり可多く」(42オ)
こ満可なりし御心者えを・とし月尓そ2へて2・
か具世尓すミはて給尓徒遣て2も・をろ可
な2らす思ひき2古え給个り・かくてき佐らき2
の1十よ日尓・朱雀院能ひめ宮・六条院へ
王多り給・この1院丹も御心まう遣・よ能徒年
な2ら春・わ可那万いりし尓1し能者な1ちいて尓・
御丁多1てゝ・そ2な1多の1一二の多1い・王多殿
か遣て2・女房能徒本年/\まて・こ満可耳
志つらひ見可ゝせ給へり・う地尓まいり給人
0208【うちにまいり給人のさほう】-如入内
の1さほうを・まね1ひてかの1院よりも・御てうと」(42ウ)
なと・者こはる・王多り給きしき2いへハ佐ら
な2り・御をくり尓可む多ちめな1とあま多万
い1り給・かの1遣いしのそ2ミ給し大納言裳・
屋春可らす思な1可らさふらひ給・御車よせた
累所尓1・院王多り給て2・お1ろし多1て2まつり
給な1とも1・れ1い尓ハた可ひ多る事とも也・多1ゝ人
尓お1ハす連ハ・よろ徒の1事かきりありて・内
まいり丹もに春・むこ能お1ほ君とい者ん丹も・
0209【むこのおほ君】-催ー我家曲
こ2とた可ひて・め徒ら志き御な1可能あ者ひとも
になん・三日可ほと・かの1院よりも・あるし能」(43オ)
院可多よりも・い可めしくめ徒ら志き・見
0210【みやひ】-閑麗
屋ひを徒くし給・多1いの1うへもこ2とにふ連て・
0211【たいのうへ】-紫上
たゝ丹もお1ほされぬ世の1ありさ満なり・遣尓1
可ゝ流尓つ希て2・こよな2く人尓をとり遣多
流ゝ事も1あるまし个れと・又な2らふ人な1く・
ならひ給て2者な2や可におひさ起とをくあな1
つり丹くき遣ハひ丹て2・うつろひ給へる尓な1
まハしたなくお1ほさるれと・つ連な2くのミ・もて
那して御王多りの1程もも1ろ心尓者可な1起
古とも志いて2給て・いと羅う多1けな2る御あり」(43ウ)
さ満を・いとゝありか多しと思き2古え給・ひ
め宮ハ遣尓1ま多いとちいさく・か多なり尓
お1ハするう地丹も・い1とい者けな2起遣しき2志て・
ひ多見ち尓王可ひ給へり・かの1むらさき能
0212【わかひ】-若
ゆ可り多1つ年とり給へりしお1り・おほしいつる
尓可れ者佐連ていふ可ひありしを・これ者い1と
い者けな2くのミ見え給へハよ可めり・丹く遣尓
をし多1ちたるこ2とな2とハあるまし可めりと
お1ほ春物可ら・い1とあまり物の1者へな起御
さ満可な1と見多1て2まつり給・三日可程ハ・よ可」(44オ)
連なく王多り給を・とし古ろ佐もな2らひ
0213【としころさも】-紫上
給ハぬ心ち尓・志のふれと猶もの1あハれなり・
御そともな1と・いよ/\たき志め佐せ2給も能可ら
う地な1可めて2・も能し給遣しきいミ志くらう
た希尓1・お1可しなとてよろ徒の1事ありとも1・
又人をハならへて2見るへき2そ・あ多/\志く心
よハくなりをき尓遣る・我をこ多1り耳
閑ゝ流事裳い1てくるそ2閑し・わ可个れと・
中納言をハえお1ほし可遣すなりぬめりし
をと・わ連な1可ら徒らくおほし津ゝく流尓1」(44ウ)
涙くまれて・こよひハ可りハ・こ2とハりと遊るし
0214【こよひハかりハ】-源氏御詞
給てんな1・これより能ちのと多えあらむこ2そ身
な可らも1・心徒きな2可るへ个れ・またさりとてか
の1院尓き2古しめさんこ2とよと思ひみ多れ給
遍る・御心の1う地くるし遣なり・すこしほゝえミ
0215【すこしほゝえミ】-紫上
て身つ可ら能御心な1可らた尓・え佐多め給まし
可なるを・ましてこ2とハりも・な2にもい徒こ耳・
と満るへき2尓かと・いふ可ひな遣に・とりな1し
給へ者・はつ可しうさへお1ほえ給て2・徒ら徒えを
0216【はつかしうさへ】-源氏
徒き給て2よりふし給へれ者・女君すゝり越」(45オ)
ひき2よせて2
めにち可くうつれ者か者る世の1中を行
0217【めにちかく】-紫の上
春衛と越くたのミ遣る可な1ふる古となと
かきませ給を・とりて2見給て2毛可那きこ2と
なれと・遣尓とこ2とハり丹て2
命こ2そ2堂ゆとも1多1えめ佐多めな1き
0218【命こそ】-源氏返事
よの徒ね1な2らぬ中の契を・と見尓もえ王
多1り給ハぬを・いと可たハらい多1きわさ可な1と・
0219【いとかたハらいたきわさかな】-紫の上
そ2ゝ能閑しき2古えたまへ者・な1よゝか尓お1可しき2
本とに・えな2らす丹本ひて王多り給を見い多し」(45ウ)
給も・い1とたゝ丹ハあら春可し・とし古ろさもや
あらむと思しこ2とゝも1も・いまハと能ミも1て
者なれ給津ゝ・佐らハかくこ2そハと・うちと遣
行すゑ尓あり/\て・かく世の1き2ゝ見ゝもな1
のめな1らぬ事能い1て2きぬるよ・思佐多む
へき世の1ありさ満丹もあら佐り个れ者・いま
よりのちも・うしろめ多くそお1ほしなり
ぬる・さこ2そ2つ連な1くまきらハし給へと・さ
婦らふ人々も1お1もハ春なる世なりや・あ万
たものし給やうな2れと・い徒可たもみな1こな1た」(46オ)
0220【こなた】-紫上の事
の御遣ハひ尓ハ可た佐り・者ゝ可るさ満丹て2
春くし給へ者こ2そ2・事那くな1多ら可丹も阿連・
お1し多1ちて2可ハ可りなるありさ満尓个多
連ても・え春くし給まし・又さり登て2
者可那きこ2とにつ希て2も・屋春可らぬ事
の1あらむお1り/\可な1ら春王つらハしき2こ2と
とも1い1てきな2む可しなと・をの1可志ゝうち
か多らひなけ可し遣なるを・徒ゆも見志ら
0221【つゆも】-紫の上
ぬやう尓・い1と氣ハひお1可しく物可多りなと
志給つゝ・夜ふく流まて2おハす・かう人のたゝ」(46ウ)
な1ら春いひ思多るもき2ゝにくしと・お1ほし
てかくこれ可連あま多も能し給めれと・御
心尓1かな2ひていまめ閑しくすくれ多るき2ハ
丹もあら春とめなれて2・佐う/\しくお1ほし
たり徒るに・この1宮のか具王多り給へるこ2そ
めや春个れ・猶王らハ心の1うせ2ぬ丹やあらむ・
0222【わらハ心】-紫心
我もむ徒ひて2き2古えて・あらま本しき2を・
あいなく遍多てあるさ満尓1・人々屋・とりな1さ
むと春らん・ひとしき程・をとり佐万な1と
思ふ人尓こ2そ2・たゝな1ら春見ゝ多1つ1こ2とも1」(47オ)
をのつ可らいてく類わさな2れ・可たし希那く・
心く流しき御こ2とな1めれ者・い可て心を可れ多1て
ま徒らしとな1む思な1との給へ者・な可徒可さ
中将の君なとやう能人々めをくハせ2津ゝ・あ
まりなる御思屋り可な1なとい1ふへし・む可し
者多1ゝな1らぬ佐万尓徒可ひな1ら志給し人
とも1な2れと・とし古ろ者この1御方尓さふらひ
て・みな1心よせき2古え多1るな1めり・こ2と御可多/\
よりもい可尓お1ほ春らむ・もとより思ハな2れ
多1る人々ハ中/\心屋春きをなと・おもむ希」(47ウ)
津ゝとふらひき2古え給もある越・かくお1しハ可る人
こ2そな可/\く類し个れ・世中もい1とつね1な2き
0223【世中も】-紫上
ものを・なとて可さのミハ思な2やまむな1とおほ春・
あまりひさしき2よひ井も連いならす・人
やと可めんと心のお1尓ゝおほして入給ぬ連ハ・
御ふ春満万いりぬれと遣尓か多ハらさひし
き2・よな1/\へ尓遣るも猶多1ゝな1らぬ心地春れ
と・かの1春まの御わ可れのお1りな1とをお1ほし
いつれ者・いまハと可遣者な2れ給ても・たゝお1な1し
世の1うち尓き2ゝ多1て2まつらまし可ハと・」(48オ)
我身まてのこ2とハうちをきあ多らしく・可な1
志可りしありさ満そ可し・佐て2そ能ま起れ耳
我も人も・いのち多え春なりな1まし可ハ・い婦
可ひあらまし世可ハとお1ほしな1越春・風うち
吹多る夜の遣ハひ・飛やゝ可丹て2婦ともね1いら
れ1給ハぬを・ち可くさふら婦人々あやしとやき
可むと・うちも見しろき給ハぬも・猶い1とく流
志遣なり・よふ可き2とり能こ2ゑの1き2古え多流裳
ものあハれなり・王佐と徒らしと尓ハあらね1と・
可やう尓思見多れ給ふ遣尓や・可能御遊め耳」(48ウ)
0224【かの御ゆめに】-源氏
見え給个れ者・うちお1とろき給て2い可丹と・
心さハ可し給尓・とりの年・まちい1て2給へれ者・
夜ふ可きも志ら春可ほ尓・いそ2きい1て給・いと
い者遣な起御ありさ満なれ者・め能と多ち・
0225【いはけなき】-女三宮
ち可くさふらひ个り・徒まとお1しあ遣て2いて
給を・見多てまつりをく流・あ希くれの1空尓・
0226【あけくれの空に】-\(朱合点) 明くれの空にそ我ハまとひぬるおもふ心のゆかんまに/\(拾遺736、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
雪の1ひ可り見えてお1ほつ可な1し・な1こりまてと
まれる御丹本ひ・やミハあやま(#な(朱))しと・ひとりこ
0227【やミハあやなし】-\(朱合点) 源
多る・雪ハと古ろ/\きえのこりたる可・いと
志ろき庭の1ふと遣ちめ見えわ可連ぬ本と」(49オ)
なるにな2越のこれる雪と・志のひ屋可に
0228【なをのこれる雪】-子城陰處猶残雪衙皷声前未有塵 示天子城都也国衙所政也
くちすさミ給津ゝ・み可うしう地たゝき2給も・
ひさしく可ゝ流こ2とな可り徒るな2らひ尓・人々も
そらね1を志津ゝ・やゝま多せたて2まつりて2
ひき2あ希多り・こよな2くひさし可り徒る尓
身もひえに个るハ・をちきこゆる心能をろ可
な1らぬ尓こ2そあめれ・さるハ徒ミもなしやとて・
御そ2ひき屋りなとし給尓・春こしぬれ多る・
0229【すこしぬれたる】-紫の上の御ありさま
御ひとへの袖を・ひき可くして・うらも1那具・
0230【袖を】-紫
な2つ可しき物可ら・う地と遣て2ハ多あらぬ・御よう」(49ウ)
いな1と・いと者つ可し遣尓1お1可し・かきりな1き
0231【かきりなき人と】-源氏御心中 女三
人とき2古ゆ(△&ゆ)れとか多可め流よ越とお1ほし・く
らへら流・よろつ1い丹しへの1こ2とをお1ほしい1て2
津ゝ・とけ可多き(+御个しき(朱))を・うら見き2古え給て2・そ2能
日ハくらし給へれ者・え王多りた万ハて・志ん
0232【しんてんに】-女三
てん尓ハ御せ2うそ2こをき2古え給・遣さの雪尓
心ちあやまりて・いとなやましく侍れハ・心
や春き方尓ためらひ侍とあり・御め能と・さ
き2古えさせ侍ぬとハ可り・古とハ尓きこえ多り・
古となる事なの御返やとお1ほ春・院耳」(50オ)
0233【ことなる事なの】-源氏
0234【院に】-朱ー
きこしめさん古とも1・いとをし・この1古ろ
ハ可り徒くろハんとお1ほせ2と・え佐もあらぬを・
さハ思し事そ可し・あな1くるしと・身つ
可らお1もひ津ゝ遣給・女君も思屋りな1き御
0235【女君】-紫上
心可な1と・く流し可り給・遣さハれ1いのやう尓お1
0236【けさハれいのやうに】-源
ほと能こもり・おきさせ給て2・宮の1御可た尓
0237【宮の御かたに】-女三
御ふミたて2まつ連給・古と尓1(△&尓1)者つ可し希も1
0238【はつかしけもなき】-女三
なき御さ満な1連と御ふて2な1とひき2徒く
ろひて2志ろき可ミに
な1可みちを遍多徒るほとハな1けれとも」(50ウ)
0239【なかみちを】-源氏ー
心み多るゝ遣さのあ王雪むめ尓1徒遣給へり・
人めしてにしの1王多殿より多1てまつらせ2よと
の給・屋可て見い多1してハしち可くお1ハします・
志ろき御そ2ともをき給て2・花をまさくり
0240【花を】-女三
給徒ゝ・ともまつ雪の1本農可尓のこれるうへ尓1・
0241【ともまつ雪の】-\(朱合点) 後 ふりそめて友まつ雪ハむは玉の我くろかミのかはる也けり(後撰471・古今六帖1397・貫之集841、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚)
う地ちりそ2婦そらをな可め給へり・うくひ春
の王可や可尓・ち可き2古う者いの1すゑ尓うちな1
き多1るを・袖こ2そ2丹本へと花をひき可くし
0242【袖こそにほへ】-\(朱合点) 古今 おりつれは袖こそにほへ(墨) おりつれは袖こそにほへ梅花ありとやこゝにうくひすのなく(朱)(古今32、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄)
て・見すおしあ遣て2・な1可め給へる佐万・ゆめ尓
も1・閑ゝ流人農お1や丹て2をもきくらゐとみえ」(51オ)
0243【人のおや】-源
給者す・王可うな1まめ可しき御さ満なり・御可へり
すこし程ふる心ちすれ者・いり給て2女君尓1・
0244【いり給て】-源
0245【女君に】-紫上
花見せ2多てまつり給・者那とい者ゝ・かくこ2そ2
0246【花】-梅
丹本者満本し个れな1・佐くら尓うつしてハ又ちり
0247【さくらにうつしてハ】-\(朱合点) 紫模之
0248【ちりはかりも】-少也
者可りも心王く流可たなくやあらましなと
の給・これもあま多うつろハぬほと・めとまる
0249【これも】-紫詞
丹やあらむ・者な1能佐可り尓・な1らへて2見者や
0250【はなのさかりに】-桜 女三
なとの給尓1・御返あり・くれな2井能う春やうに・
0251【御返】-女三
あさや可にをし徒ゝまれ多1るを・む年徒ふれ
0252【つゝまれたる】-包如金
て(+御てのいと王可き越志ハしみせ多てまつらて2(朱))あら者やへ多1つとハな1个れとあ者/\しき」(51ウ)
0253【わかき】-悪
0254【みせたてまつらて】-紫ニ
屋うな2らんハ・人のほと可たし遣な1しとお1ほ春尓・
ひき2可くし給ハんも・心をき給へ个れハ・可たそハ・
飛ろ遣給へるを・志りめ尓見をこせ2て・そ2ひふし
給へり
者可な1くて2うハ能そ2ら丹そきえ(#え(朱))ぬへき
0255【はかなくて】-女三宮
風尓たゝよふ春の1あ王雪御て遣尓1いとわ可
くをさな1遣なり・さハ可りの1程尓なりぬる
0256【さハかりの程に】-紫心中
人者・い1とかくハ・を見(#者(朱))せ2ぬ物をと・めと満れと・ミ
ぬやう尓まきらハしてやミ給ぬ・こ2と人のうへ
な1らハ・佐こ2そあ連なとハ・志のひて2きこえ給へ」(52オ)
个れと・い1とお1しくて2・多1ゝ心屋春くを思那し
給へとのミき2古え給・个ふハ宮の1御方にひる王多
里給・心古と尓うち遣佐う志給へる御あり佐ま今
見多1てまつる・女房な1とハまして・見るかひ
ありと・思きこゆらむ可し・お1本んめ能とな1とやう
0257【おほんめのと】-女三
能おい志らへる人々そ・いてやこ能御ありさ満ひと所こ2そ
0258【御ありさま】-源
めて多个れ・めさ満しきこ2とハありな1む可しと・
うちませて2思ふもあり个る・女宮ハいとらう
0259【女宮】-女三
た希尓1お1さな1き佐万丹て2・御志徒らひな1と能
こ2と/\しく・よ多けくうるハしき尓・身つ可らハ・」(52ウ)
な2に心もな2く・もの者可な1き御程丹て2・い1と
御そ可ち尓1身もなくあえ可な1り・古と尓1者ち
な1とも1志給者す・多1ゝちこ能おもきらひせ2ぬ
心ちして・心や春くうつくしきさ満し給へり・院
0260【院のみかとハ】-朱ー 源心
の1み可とハ・をゝしく・春くよ可なるか多能御さ
えな1とこ2そ2・心もとな1くお1ハし満春と・世人
思多1めれ・を可しき春ち尓1な1まめき・遊へ
ゆへしき可た者人尓万佐り給へるを・なとて可く
お1ひら可に・お1ほしたて2給ひ个ん・さるハいと御心
0261【おひらかに】-ヲサナク
とゝめ給へるみこと・きゝしをと思も・な1まくち」(53オ)
お1し个れと・に具可ら春見多1て2まつり給・たゝ
き2古え給ふまゝに・なよ/\となひき給て・
御いらへな1とをもお1ほえ給遣る・こ2とハい者遣な1く・
0262【こと】-言
うちの給いてゝえ見者な1多す見え給む可し
0263【うちの給いてゝ】-女三
能心な2らまし可ハ・う多て心をとりせ2ましを・いまハ
世中をミな1さ満/\に・思な2多らめて・と・あるも
可ゝ流も・きハ者な1流ゝこ2とハ可多起物なり个り・
0264【きは】-品
とり/\にこ2そ2・お1ほうハあり个れ・よそ2能思ひ者・
いとあら満本しき程なり可しとお1ほ春に・さし
な2らひめ可れ春・見たて2まつり給へるとしこ2ろ」(53ウ)
0265【ならひ】-女三 紫上
よりも・堂いのうへ能御ありさ満そ2な越あり
か多く・王れな1可らもお1ほし多1て2个りとお本
春・一夜の本とあしたのまもこひしく・おほ
徒可な1くいとゝしき御心さし能まさるを・な1と
かくお1ほゆらんと・ゆゝしきまてな2む・院農
0266【院のみかと】-朱ー
み可とハ・月の1うち尓1みてらに・うつろひ給ぬ・
このゐん尓あ者れなる御せ2うそことも1き
0267【このゐん】-源氏御事
古え給・ひめ宮の1御こ2とハ佐らなり王つらハし
0268【ひめ宮】-女三
く・い可尓きく所やな2と・者ゝ可り給こ2とな1く
て・ともかくも多1ゝ御心尓可遣て・もて那し給」(54オ)
遍くそ・多1ひ/\き2古え給遣る・されとあハれ尓
うしろめ多く・をさな1くお1者するを・思きこえ
給个り・むらさき能うへ丹も・御せ2うそこ古と尓1
0269【むらさきのうへ】-始号
あり・をさな1き人の心ちな2き佐万丹て・うつ
ろひものすらむを・徒ミな1くお1ほしゆるして・
うし路みたまへ・堂つ年給へき・ゆへも1やあらむ
0270【うしろみたまへ】-女三ハ紫ノ母方ノイトコ
とそ
そ2むき丹しこの1世尓のこる古ゝろこ2そ2
0271【そむきにし】-朱雀院
0272【この世】-子
い流山みち能本多しなり个れやミを盈ハる
0273【やミをえハるけて】-\(朱合点) 古今 世をすてゝ(古今956)
遣てき2こゆるも・お1こ可ましくやとあり・お1」(54ウ)
0274【おとゝも】-源
とゝも1見給て2・あハれなる御せ2うそこを・可し
こまりき2古え給へとて・御使丹も女房して・
可ハら遣佐しい1て2佐せ2給て・志井させ給・御
かへりハい可ゝな1と・き2古えにくゝ・お2ほし多1れと・
古と/\しくお1もしろ可るへきおり能こ2とな2ら
ね1ハ・多1ゝこゝろをのへて2
そむくよ能うしろめ多くハ佐りか多き
0275【そむくよの】-紫上
ほ多しを志井て2可遣な1者な2れそ2な2とやうに
そあめ里し・女の1佐うそく尓本そ2な1可そへて
かつ1遣給・御てな1と能いとめて多1きを・院御」(55オ)
0276【御て】-紫
0277【院】-朱ー
覧して・な1に事もいと者つ可し遣な1め流・
あ多り尓・い者遣な2くて・見え給らむ事・い1と
0278【いはけなくて】-女三宮御事
心くるしうお1ほしたり・いまハとて・女御更衣
0279【いまハとて】-朱 山居
多1ちな1と・をの可志ゝ王可れ給ふも・あハれなる
古とな2むお1ほ可り遣る・内侍の1可むの君ハ・こ
0280【内侍のかむの君】-朧月夜
0281【こきさいの宮】-姉大后
きさいの宮の1お1ハしまし志・二条の1宮に
そすミ給・ひめみや能御こ2とををきてハ・この1
御こ2と越な2む・可へり見可ち尓・見可ともおほし
多り遣る・あ万尓1なりな2んとお1ほし多れと・
可ゝ流き本ひ尓ハ志多ふやう尓・心あハ多たし」(55ウ)
と・いさめ給て2・やう/\佛の1御こ2とな1といそ可せ
給・六条の1お1とゝハ・あ者れ尓あ可す能見お1本
志て2・屋ミ丹し御あ多りな2れ者・とし古ろ
もわ春れ可多く・い可な2らむお1り(+尓(朱))多いめあらむ・
いま一多ひあひみて2・そ2能よの古ともき2こ
えまほしくのミおほし王多るを・可多身尓1
世の1きゝ見ゝも・者ゝ可り給へき身能本と尓・
い1とお1し遣なりし・よのさハきな1ともお1ほし
いてら類連ハ・よろ徒尓津ゝ見春くし給遣る
を・かうのとや可になり給て2・世中をお1も1ひ」(56オ)
志つ1まり給らむ古ろ本ひの御あり佐万・いよ
い1よゆ可しく心もとな1个れ者・あるましき事
とハお1ほしな1可ら・お1ほ可たの1御とふらひ尓古と
つ希て2・あ者れなる佐まに・徒年尓き2古え
給・わ可/\し可るへき御あ者ひな2らね1ハ・御可へり
も1とき/\尓徒个て・き2こえ可ハし給ふ・む可し
0282【とき/\に】-自朧
よりも古よな2く・うちくしとゝのひ者て尓
0283【くし】-具
多1る・御遣ハひをミ給丹も・猶志のひ可多くて・
む可し能中納言の君能もと尓も1・心ふ可き事
0284【むかしの中納言の君】-朧乳母
ともを・徒年尓の給ふ・かの1人農せ2うとなる・」(56ウ)
0285【かの人】-中納言
い徒ミのさきの可ミをめしよせ2て・わ可/\
0286【めしよせて】-源
志く・い丹しへ尓かへりて2か多らひ給・人つて2
な2らて・もの古し尓き2こえ志ら春へき古と
なんある・佐りぬへくきこえな2ひ可して・いミ
志く志のひてまいらむ・いまハさやう能あり
きも・ところせ2き身能程耳お(+本)ろ遣な2ら春・
志のふ連ハ・そ2こ丹も又人丹ハ・も1らし給ハしと・
お1もふ尓か多身($見(朱))尓こゝろや春くな2んな1との
給・可むの君・いてやよ能な可を思志流尓徒遣
ても・む可しより徒らき2御心を・古ゝら思徒め」(57オ)
つるとし古ろ能者て2に・あハれ尓可なしき御こ2と
を佐しをき2て2・い可なるむ可し可多りを可き2
こえむ・遣尓人ハもりき可ぬやうありとも・心の
0287【心のとハんこそ】-\(朱合点) 後 なき名そと人にハいひてありぬへし心のとハ(ハ+は)いかゝこたへん(後撰725、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
とハんこ2そい1と者つ可しかるへ遣れと・うちな2けき
給津ゝ・な越佐ら尓あ流ましきよしをのミ
き2こ遊・い丹しへわりな可りし世尓1多に・心
可ハし給ハぬ事丹もあら佐りしを・遣耳
そ2むき給ぬる御多1め・うしろめ多きやう
尓ハあれと・あらさりし事丹もあらね1ハ・
い満しも遣さや可にきよまハりて・多ち尓し」(57ウ)
0288【たちにし我名】-\(朱合点) むら鳥のたちにし我名今更にことなしふともしるしあらめや(朱)(古今674・新撰和歌272・古今六帖4330、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
我名いま佐ら尓・とりかへし給へき丹やと・お1
本しをこして・この1志の多能もりを・みち能
0289【しのたのもり】-\(朱合点) 六ー いつミなるしのたの杜のくすの木もちへにわかれて物をこそおもへ(古今六帖1049、花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
志るへ丹て2まうて2給・女君耳ハ・飛ん可しの
0290【女君には】-紫上御事
院丹ものするひ多1ち能君の1・ひ古ろ王つ1
らひて・ひさしくな2り尓遣るを・物佐者可し
きまきれ尓・とふらハ年ハ・い1とお1しくてな2ん・
ひるなと遣さや可尓王多1らむも・飛んな2起を・
よ能ま尓1志のひてとなん思侍る・人丹も可
具とも1志らせ2しとき2古え給て2・いとい1
多1く心遣さうし給を・れ1いハ佐しも・見え」(58オ)
0291【れいハ】-紫心
給ハぬあた里を・あやしと見給て2思あハせ
給事もあれと・ひめ宮の御こ2との1のちハ・
な1にこ2とも1い1とすきぬるか多のやう耳ハ
あらす・春古しへ多つる心そ2ひて2・見志らぬ
やう丹て2お1ハす・そ能日ハ志ん殿へも王多り給
0292【しん殿】-女三
者て・御ふミかき可ハし給・たき物な1とに
心をい連て2くらし給ふよひ春くして・むつ1
ましき人農可きり・四五人ハ可り・あしろ
くる満のむ可しお1ほえて・屋つ連多る丹て2
いて給・いつミ能可ミして・御せ2うそこきこえ給・」(58ウ)
か具王多りお1ハしまし多るよし・佐ゝめきゝ
こ遊れ者・お1とろき給て2・あやしくい可
0293【おとろき給て】-朧
やう尓き2こえ多1るに可と・むつ1可り給へとお可し
屋可丹て2・可へし多てまつらむ尓1・いとひんな1う
侍らむとて・あな1可ち尓思めくらして・い連多
てまつる・御とふらひな1ときこえ給て2・たゝ
古ゝもと尓物古し尓ても・佐ら尓む可し能ある
ましき心な1とハ・のこらすなり尓遣るをと・
王りな1くきこえたまへ者・い多くな2けく/\
0294【なけく/\】-朧月夜
ゐさりいて給へり・され者よ猶遣ち可さハと」(59オ)
0295【されはよ】-源心
かつお1ほさる・か多ミ尓お1本ろ遣な2らぬ・御
ミしろきな2れ盤・あハれも春くな1可らす・ひん
可し能多1いなり个り・堂つ1ミの可多能ひさし
尓・すゑ多1てまつりて・みさうし能志りハ・可多
0296【すゑたてまつりて】-源
0297【かためたれは】-細開虎指
め多れ者・いと王可や可なる心ちもする可な1・とし
0298【いとわかやかなる】-源
月の1徒もりをも・まきれな1く・可そへら流ゝ
古ゝ路な2らひ尓・かくお1ほめ可しきハい見しう・
徒らくこ2そとうら見きこえ給・夜い多く
布け行たまも尓1あそ2ふをし能こゑ/\な1と・
0299【たまもにあそふ】-\(朱合点) 春の池の玉もにあそふ鳰鳥のあしのいとなき恋もするかな(後撰72・古今六帖1504、異本紫明抄・河海抄・一葉抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
あハれ尓きこえて・志め/\と人め春くな2き」(59ウ)
宮能うちのありさ満も・佐もうつり行世哉と・
お1ほしつゝくる尓・平中可まね1ならね1と・
0300【平中かまねならねと】-平中定文事末摘巻ニアリ
満古と尓涙もろ尓なん・む可し尓可ハりて・お1
とな1おと那しくハ・き2古え給も能可ら・これを
0301【これをかくやと】-障子事
可くて2やと・ひきうこ可したまふ
とし月を中尓1へ多てゝあふさ可能佐も
0302【とし月を】-源氏
せ2起可多くお1つる涙可女
なミ多のミせ2きとめか多き志ミつ1尓て
0303【なミたのミ】-かんのきミ
0304【せきとめかたき】-後 守人のありとハきけと相坂のせきもとゝめぬ我涙かな(後撰984、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
行あふみちハ者やく多1え尓きな2と可け者
な2れきこえ給へと・い丹しへをお1ほしいつるも・」(60オ)
0305【いにしへをおほしいつるも】-朧心
多1れにより・お1ほうハ・さるいみしき古とも1
あ里し世の1佐者きそハと思い1て給尓・遣尓
いま一多ひの多1いめむハありもすへ可り个り
と・お1ほしよハるも・も1とより・徒しや可な2る
所ハ・おハせさりし人農・登し古ろ者さ満/\尓
世中を思志り・きし可たを・くやしくお本や遣
王たくしの事尓ふれ徒ゝ・かすもな1くお1ほし
あつめて2・いとい多く春くし給尓多1れと・む可し
お1ほえ多る御多1いめん尓・そ2能よの1事も・と越
可らぬ心地して・え心徒よくも・もて那し給ハす・」(60ウ)
な越羅う/\しく・王可うなつ可しくてひと
可たな2らぬ世の1徒ゝましさをも・あ者れをも思
見多れて2・なけき2可ち丹て2も能し給遣し
き2な1と・い満ハしめ多1らむよりも・めつらしく
あハれ丹て2・あ希行も1・いとくちおしくて2・いて
多1まハんそ2らもな1し・あさほら遣の多ゝな2らぬ
空に・もゝちとり能こゑも・いとう羅ゝ可なり・
花者ミな1ちりすきて・な1こりかすめるこ
春衛の1あさ見とりなるこ多1ち・む可し
ふち能えむし給しこの古ろ能事なり」(61オ)
0306【ふちのえむ】-花宴巻
个ん可しと・おほしい徒るとし月の1徒もり
尓个流ほとも1そ2能おりの1事かきつゝ遣
あハれ尓おほさる・中納言の君見多てまつり
0307【中納言の君】-女房
をく流とて徒まとお1しあ希多るに・多ち
0308【たちかへり給て】-源
可へり給て2・この1ふちよい可尓そ2め遣むいろ
丹可・な越えな2らぬ心そ2ふ尓本ひ尓こ2そ・い可て可
こ能可遣をハ多1ち者な1るへき2と・王りなく
いて可て尓お1ほしや春らひ多り・山き者
0309【山きはより】-中納言
より・佐しいつる日能・者な2や可なる尓佐しあひ・
めも可ゝやく心ちする御さ満の・こよなく」(61ウ)
ね1ひくハゝり給へる御遣ハひな2とを・め徒ら
志くほとへても見多1てまつるハ・満してよ
のつ年な2らすお1ほゆ連ハ・さる可た丹ても・な
と可見多1て2まつり春くし給ハさらむ・御
0310【御宮つかへ】-朧
宮徒可へ丹も・かきりありて・きハこ2とに者
な2れ給事も1な可りしを・こ宮の1よろつ1尓
0311【こ宮】-大后
心越徒くしたまひ・よ可らぬ世の1さハき耳・
可る/\しき御名さへ・ひゝき2てやミ丹しよ
な1と・思いてら流・な1こりお1ほくのこりぬらん・
御物可多りのとちめハ・遣尓1のこりあらせ2満」(62オ)
本しきわさな1めるを・御身を心尓えま可せ2
給ましく・古ゝ羅の1人めもいとお1そろしく・つゝ
満し个れ者・やう/\佐しあ可り行尓心あ者多ゝ
0312【さしあかり】-日事
志くて・羅う能と尓御車佐しよせ多1る人々
も1・志のひて・こハ徒くりき2こ遊・人めして可能
佐きかゝり多る・者那ひとえ多お1らせ2給
遍り
志徒見しも王すれぬものを古りす万
0313【しつみしも】-源氏
に身もな2け徒へき屋と能藤な1ミいとい多
くお1ほし王徒らひて2・より井給へるを・心」(62ウ)
くるしう見多1てまつる・女君もい満さらに・
0314【女君】-朧
いと徒ゝましくさ満/\尓思見多れ給へる
尓・花の1可遣ハ猶なつ可しくて2
身をな1遣んふちもまこ2と能布ちな2らて
0315【身をなけん】-かんの君返し
可遣しやさら尓古りすまの浪いとわ可や
かな2る御ふるまひを・心な2可らもゆるさぬ古と尓
お1本しな1可ら・せ2きも1り能可た可らぬ多1ゆミ尓や・
0316【せきもりの】-\(朱合点) 人しらぬ(古今632・伊勢物語6・業平集47、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
い1とよくか多らひをき2ていて給・そ2能可ミも1
人より・古よな1く心とゝめて2・思ふ給へりし
御心さしな1可ら・者つ可丹て2・屋ミ丹し御な1可」(63オ)
羅ひ尓ハ・い可て可ハあハれも春くな1可らむ・いミ
志具志のひいり給へる・お1ほんね1く多れの
さ満を・まちう遣て2・女君さハ可りな2らむと
0317【女君】-紫上
心え給へれと・お1ほめ可しくもてな1してお者
春・中/\うちふ春へな1とし給へらむよりも・
心くるしく・な1とかくしも1・見者な1ち給つ
らむと・おほさるれハ・ありしより遣尓・ふ可き
0318【ありしより】-\(朱合点) 伊 わするらんとおもふ心のうたかひにありしよりけに物そかなしき(新古今1362・伊勢物語41、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
契をのミ・な1可き世を可けて2・きこえ給・可ん
の君能御事・又もら春へき2な1らね1と・い耳
志へのこ2とも志り給へれ者・ま本尓ハあらね1と・」(63ウ)
も1の古し尓・者つ可な2り徒る多1いめな1ん・のこり
ある心ち春る・い可て人めと可めあるましく・
もてかくして・い満悲と多1ひもと・か多らひ
き2古え給・うち王らひて2・いまめ可しく裳
0319【うちわらひて】-紫上
なりかへる御あり佐万可な1・む可しをい満尓1
0320【むかしをいまに】-\(朱合点) 古のしつのをたまき(伊勢物語65、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
あら多1めく者へ給ほと・な2可そ2らなる身能
ためくるしくとて・佐春可尓涙くミ給へる・
ま見のいとらう多1遣尓見ゆる尓・かう心や
0321【かう心やすからぬ】-源氏御詞
春可らぬ・御遣しきこ2そくるし个れ・多ゝお
ひら可に・ひき徒ミな1として・をしへ給へ・へ遍多」(64オ)
てあるへくも・な1らハしきこえぬを・おも者す
尓こ2そ・なり尓遣る御心な2れとて・よろつ1尓
御心とり給程尓・な2に事もえの古し給者す
なりぬめり・宮の1御方丹も・とみ尓・えわ多り
0322【宮の御方】-女三
たま者す・古しらへきこえ徒ゝ・お1ハします・ひ
め宮ハな1にともお1ほし多1らぬを・御うしろミ
ともそ・や春可らすきこえ遣る・王つらハしう
0323【わつらハしう】-源
な1と・見え給遣しきな2ら者・そ2な2多もまし
0324【見え給】-女三
て・心くるし可るへきを・おいら可尓う徒くしき・
もてあそひくさ尓・思き2古え給へり・きり」(64ウ)
0325【きりつほの御方】-明中
徒本の御方ハ・うちハええまかてたまハす・御
いと満能ありか多个れ者・心屋すくならひ
給へる・わ可き御心尓い1とくるしくのミおほし
多1り・夏古ろなやましく志給を・と見丹も
0326【なやましくし給】-懐妊
ゆるしき2古えたまハ年ハ・いと王りな1しとお本
春・めつらしきさ満の御古ゝちにそ2あり遣る・
またいとあえ可なるおほむ本と尓・いとゆゝ志
くそ2・た連も/\おほ春らむ可し・可らうして
満可て給へり・ひめ宮のおハします・お1とゝ能
0327【ひめ宮】-女三
ひん可しおもて尓・御方ハ志徒らひ多1り・あ可しの」(65オ)
御可多いまハ御身にそ2ひて2・いていり給も・
あらま本しき御春くせ2なり可し・多1い農
うへ古な1多に王多りて・多1いめし給徒いて
尓・ひめ宮丹もな可能とあ遣て2き2古えん・
可年て2よりもさやう尓思し可と・徒いて
な1き尓ハ・徒ゝましきを・閑ゝ流おりにき2こ
えな1れなハ・心屋春くなんあるへきと・お1と
とにき2古え給へハ・うちゑミて・思やうなるへ
0328【うちゑみて】-源
き御可たらひ尓こ2そハあな1連・いとをさ那
遣丹ものし給めるを・うしろや春くをしへ」(65ウ)
那し給へ可しと・ゆるしきこえ給・宮よりも1
0329【宮よりも】-女三
あ可し能君の1者つ可し遣丹て2・ましらむを
お1ほせ2ハ・御くし春満志ひき徒くろひて・お1
0330【御くし】-紫
者するたくひあらしと見え給へり・お1とゝハ
宮の1御方尓王多り給て2・ゆふ可多可能多1い
0331【宮の御方】-女三
尓侍人の・志遣いさに多1いめんせ2んとていて
0332【しけいさ】-淑景舎
多つ1・そ2の1徒いて2に・ち可つき・き2古え佐せ2万
本し遣尓・物春めるを・ゆるして・可たらひ給へ心
な1とハいとよき人なり・また王可/\しく
て2・御あそひ可多き丹も・徒きな1可ら春な1ん」(66オ)
なとき2古え給・者つかしうこ2そハ・あら免
0333【はつかしうこそは】-女三
な1に古とを可き古えんと・お1ひら可尓の給・人
0334【人のいらへ】-源
の1いらへ者・古と尓志多可ひて2こ2そハおほし
い1てめ・へ多てをきてもて那し給そ2と・こ満
可にをしへき2古え給・御な1可うるハしくて2春くし
給へと・おほ春・あまり尓な1に心もな1き御
ありさ満を・見あらハ佐連ん△(#も1(朱))ハつ可しく
あちきな1个れと・さの多1ま者んを・心遍多
てんも・あいな1しとおほ春なり个り・堂い尓
者可くいて多1ちな1と志給もの可ら・王れより可ミ」(66ウ)
0335【かミの人】-歳事
の人屋ハあるへき・身能本となるも能者可
な起佐ま越・見えをき多1て2まつり多る
ハ可りこ2そあらめな1と・思徒ゝ遣られて2・うち
な可め給・て2な1らひな1とする丹も・をのつ可ら
婦る古とも・も1能おもハしき春ち尓のミ・可ゝ
流ゝをさらハ我身丹ハ思ふ古とあり个りと・
身な1可らそお本し志ら流ゝ・院王多り給て2・
0336【院】-源
宮・女御の1君な1との・お1ほんさ満ともを・うつ
0337【宮】-女三
0338【女御の君】-明中
くしうも・お者する可な1と・さ万/\見多1て
まつり給へる・御めう徒し尓ハ・とし古ろめ」(67オ)
なれ給へる人の・お本ろ遣な2らむ可・いとかく
おとろ可るへき丹もあらぬを・猶多1くひな1
くこ2そハと見給・あり可多起事な1り可し・
あるへきかきり・遣多可う者つ可し遣尓・とゝ
のひ多1るハ($丹(朱))そ2ひて2・者な2や可にいまめ可しく・
尓本ひな1まめき多1る・さ満/\能可本りも・とり
あつめ・免て2多1きハ($さ(朱))可り尓見え給ふ・こ2そより・
古としハ万佐り・きのふよりけふハ・めつらしく
徒ね1尓1めな2れぬ佐万能志給へるを・い可て閑くし
裳あり个んとおほ春・うちと遣多1りつる・」(67ウ)
御てな1らひを春ゝ里の1した尓・佐しい連給へ
連と・見徒希給ひて・ひきかへしミ給・て2
な1と能い1とわさとも上手と見えて・らう/\
しくうつくし遣尓かき2給へり
身にち可く秋やきぬらん見るまゝにあを
0339【身にちかく】-紫の上
葉能山もうつろひ尓个りとある所耳めとゝ
め給て2
水鳥能あ越葉ハいろもか者らぬを萩の1
0340【水鳥の】-源氏
志多こ2そ遣しき古とな2れな1とかきそ2へ津ゝ・
春さひ給・古とにふれて2心くるしき御希」(68オ)
志き能志多尓ハ・をのつから・もり津ゝ・見ゆる
を・古とな1く・遣ち給へるも・あり可多くあ
ハれ耳お1ほさる・こよひ者い徒可多丹も・御
い1と満ありぬ遍个れハ・かの1志のひ所尓・いと王り
0341【かのしのひ所】-朧
なくて2いて給尓个り・いとあるましき古と
と・い見し具お本し可へ春丹も・かな1者さり
个り・東宮の御方盤・志ち能者ゝ君よりも・
0342【東宮の御方】-明中
この1御可たをハむつましき物尓1・たのミきこえ
0343【この御方】-紫
給へり・い1とうつくし遣尓1・をとなひ万さり給
へるを・思へ多1て春・可那しと見多てまつり」(68ウ)
給・御も能可多りなとい1とな2つ可しくき2古え
可ハし給て2・な1可能とあ遣て2・宮丹もたいめ
0344【宮】-女三
志給へり・い1とをさな1遣尓のミ見え給へ者・心
や春くて・お1とな1/\しく・お1やめき多るさ佐万
0345【おとな/\しく】-紫
尓1・む可し能御春ちをも・多1つ年き2古え給ふ・中
納言のめのとゝいふ・めしいてゝ・お1な1し可さしを
0346【おなしかさしを】-\(朱合点) 女ー母紫ヲハ 我宿とたのむ吉野に君し入らハおなしかさしをさしこそハせめ(後撰809・古今六帖2328・伊勢集13、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
堂つ年きこゆれ盤・可たし遣な1个れと・王可ぬさ
0347【わかぬ】-分
ま尓1き2こえさすれ1と・徒いて2なくて侍つるを・
いまよりハうとから春・あな1多な1と丹も(△&も)・も1能
志給て2・をこ多1らむ古とハ・お1とろ可しな2とも」(69オ)
も能し給ハんな1ん・うれし可るへき2な1との多万まへ
ハ・たのも1しき御可遣とも1尓・佐ま/\尓・をく
0348【たのもしき御かけ】-中納言詞(左) 我心なくさめかねつさらしなやをはすて山にてる月をみて(朱右)(古今878・新撰和歌257・古今六帖320・大和物語261)
連き2古え給て2・心本そ2遣尓お1ハしますめる
を・可ゝ流御ゆるし能者へめれ者・ます古とな1
くな1んおもふ給へられ遣る・そ2むき2給丹しうへ
0349【そむき給にし】-朱
の1御心む遣も・多1ゝかくな1ん御心遍多てき2こえ
給者す・ま多い者けな1き御ありさ満をも・者
くゝ見多1て2まつらせ2給へくそ2者へめりし・う地
うち丹もさな1ん・たのミきこえ佐せ2給しな1と
き2こ遊・い1と可たし遣な1可りし・御せ2うそこ能」(69ウ)
0350【いとかたしけなかりし】-紫詞
のちハ・い可てとのミ思侍れとな2に事尓徒遣
ても・数な1らぬ身な2むくちお1し可り遣ると・や
春ら可にをとな2ひ多る遣ハひ丹て2・宮丹も御
心尓1徒き給へく・ゑな2と能事・ひいな1の1春て可多
き2さ満王可や可にき2古え給へ者・遣尓1い1と王可く
心よけな1る人可な1と・をさな1き御心ち耳ハ・
0351【をさなき御心ち】-女三
うちと遣給へり・さてのちハ徒年尓御ふミ
可よひな2として・お1可しきあそ2ひわさな1とに
徒遣ても・うと可らすきこえ可ハし給・世能中
の人も・あいな1うかハ可り尓なりぬるあ多り」(70オ)
の事ハ・いひあつ可ふものな2れハ・者しめつ1
可たハ・多1いの1うへい可尓おほ春らむ・御おほ盈
いとこのとし古ろ能やう尓ハ・お1者せ2し・春こし
ハをとりなんな2といひ遣るを・い満春こし婦
可き御心さしかくて2志も・満さるさ満なる越・
そ2れ尓徒遣ても又屋春可らすいふ人々あるに・
か具丹く氣なくさへき2こえ可ハし給へ者・古と
な越里て・めや春くな2むあり遣る・神な1月
尓多1いのうへ・院能御賀尓・さ可能ゝ見多1う丹て・
0352【さかのゝみたう】-仁和
薬師本と遣くやう志多てまつり給・い可めし」(70ウ)
き2古とハせ2ち尓いさめ申給へ者・志のひ屋可
丹とお1ほしをきて多1り・本と遣経者こ・ち春能
0353【ちす】-帙簀
とゝのへ・万古と能古く羅く思屋ら流・さいそ
0354【さいそわう経】-最勝王経
わう経こんかう者む丹や・寿命経な1と・い1と
ゆ多希き御いのりなり・可ん多1ちめいとお1
0355【ゆたけき】-厳重也
本くまいり給へり・御堂う能さ満お1もしろく・
い者む可多(+なく(朱))もみちの1可け・王遣行野への本と
よりハしめて2・見物なるにか多へハ・き本ひあ
徒まり給なる遍し・志も可れ王多れる野
ハら能まゝに・むまくる満の1行ち可ふをと・志」(71オ)
遣くひゝき2多り・御春きやうわ連も/\
と・御可た/\い可めしくせ2させ給ふ・廿三日を御
0356【廿三日】-或廿六日(左)
としミ能日丹て2・この1院ハかくすきまな1く・
徒とひ給へるうち尓・我御王たくし能とのとお1
ほ春・二条院丹て2・そ2能御まう遣・せ2させ給・御
佐うそくを者しめ・お1ほ可多の御事ともゝ・
見な1こな多にのミ志給・御可た/\もさるへき
事とも・わ希つゝのそミ・徒可うまつり給・多1い
ともハ・人の徒本年/\尓志多るを者らひて2・
0357【はらひて】-払
殿上人・諸大夫・院司・志も人まてのまう希・」(71ウ)
い可めしくせ2させ給へり・志ん殿の者な2ちいてを・
れ1いの1志徒つらひ丹て2・羅てんの1い1し多亭多り・
お1とゝ能丹しのまに・御そ2能徒くゑ十二多てゝ・
夏冬の御よそひ・御ふ春まな1と・れ1いの古とく
むら佐き能あやの1おほいとも1・うるハしく見え
王多りて2・うち能心ハあらハな2らす・御前尓をき
ものゝ徒くえふ多つ1・可ら能地の1・春そこ能おほ
井志多り・かさし能多1いハちんのくゑそく・こ可
ね1のとり・志ろ可年能枝尓井多1る心者えな2と・
志けいさ能御あつ可り丹て2・あ可し能御方の1」(72オ)
せ2させ給へる・ゆへふ可く心古となり・うし
ろの御屏風四帖ハ・式部卿宮な2むせ2させ給遣る・
0358【御屏風四帖】-古今右大将定国四十賀四季の屏風云々
0359【式部卿宮】-紫父
いミ志く徒くしてれ1いの1四季能ゑな2れと・めつら
しきせ2ん春い・多1んな1とめな2れす・おもしろし・
北能可へ尓そ2へて2をき物のみ徒し布多よそ(#ろ(朱))ひ
多1てゝ・御てうとゝも1れ1い能古となり・見な2ミ
能ひさしに可む多ちめ左右能大臣・式部卿宮
をハしめ(+た)てまつりて・徒き/\ハまして万いり
給ハぬ人なし・ふ多いの左右に楽人農ひらハり
0360【ひらハり】-平張
うちて2・にし飛ん可しにとんしき八十具・ろく能」(72ウ)
閑らひ徒四十津ゝ(△&ゝ)・徒ゝ遣て2多1て多り・ひ徒し
の時ハ可り尓・楽人万いる・万歳楽・皇麞なと
0361【万歳楽皇麞なと】-延喜六年十一月十日御賀先奏万歳楽次蘇合香次皇麞
まいて2・日くれ可ゝ類本とに・こ万能らん志やうして・
0362【こま】-高麗
0363【らんしやう】-乱聲(朱)
羅くそんまいゝて多1る本と・猶徒年の1めな1
0364【らくそん】-落蹲(朱)
連ぬ舞能佐万な2れ者・まひ者つる程尓・権
中納言衛門督おりて・いりあやを本の可に
まひて2・紅葉の可遣尓入ぬるなこりあ可春
遣うありと・人々お1ほし多り・い丹しへの朱
雀院の1行幸尓・青海波のい見し可りし
ゆふへ・思いて給・人々ハ権中納言・衛門督又」(73オ)
お1とらす・多ち津ゝき2給丹(+ける者ゝ能おほえ有(アリ)佐万か多ちよういな2と(朱))も・お1さ/\をとら
春・徒可さくら井ハ・屋ゝ春ゝ(#す(朱))見て2・さへこ2そ
なと・よ者ひの1程をも可そ2へて2・な越佐るへき
丹て2・む可しよりかく多1ちつゝき多1る御な可
羅ひなり个りと・めて多くお1もふ・ある志の
院裳・あ者れ尓涙く満しく・お本しいてらるゝ
事とも1おほ可り・夜にい1りて2・楽人とも満
可りい徒・北の1まん所能別當とも・人々ひき
0365【北のまん所】-紫の上源氏の室家のおほえ也
い1て・ろく能可らひ徒尓よりて2・一津ゝとりてつき
徒きたまふ・志ろき物ともを志那/\可つきて・」(73ウ)
山きハよりい遣の徒ゝ見春く流本と能よそ
めハ・ちとせ2越可年て2あそふ徒る能遣古ろも尓
0366【ちとせをかねて】-\(朱合点) 催ー 筵田哥 筵田のいつ貫川にすむ鶴の千とせをかねてあそひあへる(催馬楽「席田」、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
思ま可へら類・御あそ2ひハしまりて2・又い1とお1
も1しろし・御古ととも1ハ・春宮よりそとゝのへ
0367【春宮】-今
させ給遣る・朱雀院より王多りまい連る
ひ者き2ん・内よりたまハり給へる・佐う能御こ2と
なと・みな1む可しお1ほえたる・も能ゝね1とも尓て・
め徒ら志くかきあハせ給へる尓・な2にのお1り
丹も春起丹しか多の御ありさ満・う地王多り
なとお1ほしいてら流・故入道の宮お1者せ万し」(74オ)
0368【故入道の宮】-薄
可ハ・閑ゝ流御賀なと・わ連こ2そ春ゝミ・徒可う
まつらまし可・なに事尓徒遣て2可ハ・心さしも1・
見え多1て2まつり个んと・あ可すくちお1しく
の1ミ思いて2きこえ給ふ・内丹も1・こ宮のお1ハし
0369【こ宮】-薄
まさぬこ2とを・なに古と丹も・はえな2く・佐う/\
志くおほさるゝ尓・この院能御こ2とをた尓・れ1い
0370【この院】-源
のあと阿る佐まの可しこまりを徒くしても・え
見せ2多1て2まつらぬを・よとゝも1にあ可ぬ心地
志給も・古としハ此御賀尓古とつ遣て2・見遊
きなとも1あるへくお1ほしを起て2氣れと・」(74ウ)2
世中能王つらひな2らむ古と・佐ら尓せ2させ給
満しくなんと・いな2ひ申給古と・堂ひ/\尓な2り
0371【いなひ】-辞
ぬれ者・くちお1しくお本しと満りぬ・志ハす
の廿日あまり能程尓・中宮ま可て佐せ2給て2・
0372【中宮】-秋ー御賀行
古としの・ゝこり能御いのり尓・なら能京の1
七大寺尓・御す行のぬの四千多ん・こ能ち可き2
みや古の四十寺に・きぬ四百疋を・わ可ちて2
せ2させ給・あり可多き御者くゝ見を・お1本し志り
な1可ら・なに事につ遣て2可ハ・ふ可き2御心さしをも
あらハし御覧せ2させ給者んとて・ちゝ宮・ハゝ」(75オ)
0373【ちゝ宮】-前坊
みや春所能お1ハせまし・御多1め能心さしをも・
とりそへお1ほ春に・か具あな1可ち尓お本や
遣丹も・き2古えかへさせ給へ者・事ともお1ほ
く・とゝめさせ給徒・四十の1賀といふ古と者・
0374【四十の賀】-昭宣公四十賀後五十七薨貞信公四十賀後七十薨
佐き/\を・き2ゝ侍丹も・のこり能よハひ飛さ
志きためしなん・春くな1可り遣るを・こ能多ひ
ハ猶世の1ひゝき2とゝめさせ給て2・満古と耳
のち尓多1え($羅(朱))ん事を・可そ2へさせ給へとあり
个れとお本や遣さ満丹て2・猶い1とい可めしく
なんあり遣る・宮能おハしますまち能志ん」(75ウ)
てんに・御志つ1らひなとして・さき/\尓・古登
かハらす・可む多1ちめ能ろくな2と・大きやうに
な1すらへて2・御子多ち尓ハ・古と尓1女の1佐うそく・
非参議の四位・満うちきん多1ちな1と・堂ゝ能
殿上人尓ハ・しろきほそ2な1可ひと可さ年・古し
佐しな1とまて2・徒き/\に給ふ・佐うそく・かきり
な1く・きよらを徒くして・名た可きお1ひ・御者可し
なと・故前坊の御方佐まにて2・徒多ハり万いり
多るも・又あ者れ尓なん・ふるきよ能一の1物と・
名あるかきりハ・見な1つとひ万いる・御賀尓な2ん」(76オ)
あめる・む可し物可多り丹も・も1能えさせ多1るを・
0375【むかし物かたりにも】-作ー詞
0376【ものえさせたる】-誦経拍功徳銭施入
かしこきこ2と尓ハかそへ津ゝ遣多めれと・い1と
うる佐くてこちたき御な1可らひの古とゝも1ハ・
えそ可そ2へあえ者へらぬや・内尓ハお1ほしそめ
0377【内には】-冷
0378【おほしそめ】-御賀
てし古とゝも1を・む遣尓やハとて・中納言
0379【中納言】-夕霧事(#)
丹そ徒遣させ給て2个る・そ2能古ろ能右大将
屋まゐして・志し給个るを・この中納言耳
0380【中納言】-夕霧事
御賀の程よろこひくハへんとお1ほしめして2
に者可にな1させ給つ1・院裳よろ古ひき2古え
0381【院】-源
佐せ2給ふもの可ら・い1とかくにハ可尓あまるよろ」(76ウ)
古ひをな2む・いち者やき2心ちし侍と・ひ遣し
0382【ひけし申給】-源
申給・うしとら能まち尓・御志つらひまう遣
0383【うしとらのまちに】-花散里在所シン殿行
給て2・かくろへ多1るやう尓志な1し1へれと・个ふ
者な越・者多古と尓・きし起まさりて所々
のきやうな1とも1・くら徒可さ・古く佐う院より
徒可うまつらせ2給へり・とん志きな1と・お1ほや遣
佐万丹て2・頭中将せ2むしう遣給て・見こ多ち
五人左右お1とゝ・大納言ふ多り・中納言三人・
宰相五人・殿上人者れ1い能内・東宮院のこる
春く那し・お1まし御てうとゝも1なとハ・お1ほ」(77オ)
0384【おほきおとゝ】-致仕
き2おとゝ・くハしくう遣給者りて2徒可うまつ
らせ2給へり・个婦ハお1ほせ2事ありて2・わ多り
0385【わたりまいり給へり】-源#
万いり給へり・院裳い1と可しこく・お1とろき申
0386【院】-源
給て2・御座耳徒き給ぬ・も屋の御座尓む可へ
て・お1とゝ能御座あり・いときよらに・も能/\志く
ふとりて2・このお1とゝそ2い満佐可り能志う
0387【しうとく】-宿
とくとハ見え給へる・あ流しの1院ハ・猶い1とわ
0388【あるしの院】-源
可き源氏の1君尓見え給・御飛やう風四帖尓・
う地の御て可ゝせ給へる・から能あやのうす多ん
0389【うち】-冷
0390【御てかゝせ給へる】-延長例
0391【うすたん】-タミ
に・志多ゑのさ満な2と・をろ可な2らむやハ・お1もしろ」(77ウ)
き2春秋の徒くりゑな2とよりも・古の1御屏風
のすミ徒き能・可ゝ屋くさ満ハ・めもをよハす
思那しさへ・めて多くな2むあり遣る・をきも能ゝ
見津し・ひき2も1の・ふきも能な1と・より
たまハり給へり・大将の1御いきをひもいとい可
0392【大将】-夕
めしくなりたまひ尓多れ者・う地そへて2・个ふ
能さ本ういと古となり・御む万四十疋・左右
の1むま徒可さ・六衛府能官人・可見より徒き/\
0393【六衛府の官人】-近衛 衛門 兵衛
尓ひきとゝのふるほとひくれ者てぬ・れ1いの
万さい楽・賀王恩・な1といふまひ・遣しきハ可り」(78オ)
まひて2・おとゝ能わ多り給へるに・めつらしくもて
0394【おとゝ】-源#
者やし給へる・御あそひ尓みな1人心をいれ
給へり・ひ者盤・連いの兵部卿宮・な1に古と丹も
0395【兵部卿宮】-蛍
世耳か多き2・物の1上春尓お1ハして・いとにな1し・
お1まへ尓・きんの1御古と・おとゝ王こんひき給・
0396【おまへ】-冷#
0397【おとゝ】-源#
とし古ろそ2ひ給尓遣る・御見ゝ能きゝ那し尓や・
い1という尓あハれ尓お1ほさるれハ・きんも・御て
お1さ/\かくした万ハす・い見しきね1とも1い
徒・む可し能御もの可多りともな1といてきて2・
い満ハ多可ゝ流御な2可らひ尓・い徒可多に徒遣て」(78ウ)
裳・き2古えかよひ給へき・御む徒ひな1と・心よく
き2こえ給て2・御見き・あま多多1ひ万いりて・
物のお1もしろさも・とゝこほりな1く・御ゑい
な1きとも1・えとゝめ給者す・御をくり物尓・
0398【御をくり物に】-致仕
春くれ多る王こんひとつ・このミ給こ満ふえ
そ2へて2・志多ん能者こ・ひとよろひ尓可ら能本
とも1・古ゝ能さうの本な2といれて2・御くる満尓
をひて2たて2まつれ給・御馬とも1む可へとりて・
右徒可さとも1・こ満の1閑くして能ゝ志る・ろく
衛ふの1官人のろくとも1大将給ふ・御心とそ」(79オ)
き給て2・い可めしき古とゝも1ハ・この1多ひ・と
とめ給へれと・内・東宮・一院・き2さいの宮・つき
0399【一院】-朱
0400【きさいの宮】-秋
徒き能御ゆ可り・い徒くしき本といひ志ら春・
見えに多る古とな1れ者・猶可ゝるおり尓ハめて2
多1くなんおほえ遣る・大将のたゝひとゝ古ろ・
おはするを・佐う/\しくはえな1き・心ちせ2し
可と・あま多の人尓春くれ・お本え古と尓人可ら
も・か多ハらな2きやう丹も能し給丹も・かの1ハゝ
0401【ハゝ北の方】-葵上
北の1方能伊勢能宮春所との・うらミ婦可く・
いと見可ハし給个んほとの1・御春くせ2とも農・」(79ウ)
行春ゑ見え多るな2む・さ満/\なり遣る・そ能
日能御佐うそくとも1な2と・こな1たのうへなむ
0402【こなたのうへ】-花散
志給遣る・ろくとも1お1ほ可多能事をそ・三条
0403【三条の北の方】-雲井
の北能方ハいそ2き給めりし・おりふし尓徒希
多る御いとな2ミ・うち/\能物のきよらをも・こ
0404【こなたにハ】-花散
な多尓ハ・多1ゝよそ能事尓のミ・きゝ王多り
給を・な2に事に徒遣て2可ハ・可ゝるもの/\しき・
可春丹もましらひ給ハ満しとお1ほえ多るを・
大将の君能御ゆ可り尓・いとよくかすまへら連
給へり・とし可へりぬ・きり徒本の1御方ち可つき」(80オ)
0405【きりつほの御方】-明中十四
0406【ちかつきたまいぬる】-産
たまいぬるにより・正月朔日より・御す本う
ふ多ん尓せ2させ給・てら/\屋しろ/\能御いのり・
者多可すも志ら春・お1とゝ能君・ゆゝしき古とを
0407【おとゝの君】-源
見給へてし可ハ可ゝ流本との事ハいとおそろしき
物尓お1ほし・志ミ多るを・多1いのうへなと能さる
0408【たいのうへ】-紫
古と志給ハぬハ・くちお1しく佐う/\志き物可ら・
うれしくお1ほさるゝに・ま多いとあえ可な2る
0409【あえかなる】-稚
御本とに・い可尓お1者せ2んと閑年てお本し
さハく尓・二月ハ可りより・あや志く御遣しき
可ハりて・なや見給尓御心ともさハく遍し・おん」(80ウ)
屋うしともゝ・所をかへて2・津ゝ志ミ給ふ遍く
申个れハ・本可能佐しハな2れ多1らむ者・お1ほつ可な1し
とて・かの1あ可しの御まち能な1可の多1い尓・王たし
多1て2まつり給ふ・こな多ハ多1ゝお1ほきな2る
堂いふ多つ・羅うとも1な2むめくりてあり遣る
に・御春本うの多1んひまな1くぬりて2・い見し
き2遣んさとも1・徒とひて2のゝ志る・はゝ君此
時尓・我御春くせ2も1・見ゆへき2わさな1めれ者・
い見しき心をつくし給・可能お1ほあ万君も1・
いまハこよな1き・本遣人尓てそあり希む」(81オ)
閑し・こ能御ありさ満を見多1て2まつるハ・ゆめ
の心ちして・い徒し可と万いりち可つきなれ
多1てまつる・とし古ろ者ゝ君盤・かうそひ
さふらひ給へと・む可しの古とな1と・ま本尓志も
き2古え志らせ2給ハさり遣るを・こ能あ万君
よろ古ひ尓え多1へて2・まいりてハ・い1と涙可ち
耳ふるめ可しき2事とも1を・王な2ゝきいて
津ゝ・可たりき2こ遊・ハしめつ1可多ハ・あやしく
むつ可しき人可な1とうちまつ($ほ(朱))り給し可と・可ゝる
ひ登ありとハ可りハ・本のきゝをき給へれ者・」(81ウ)
なつ可しくもてな2し給へり・むまれ給し程の
事・お1とゝ能君の・かの1うら尓お1ハしまし多りし
ありさ満・い万ハとて・京へのほり給し尓・た連
も1心をまとハして・いまハかきり閑ハ可りの1
契尓こ2そ2ハあり遣れと・なけきしを・わ可君
0410【わか君】-明中若
のかくひきた春遣給へる御春くせ2能・いミ志く
可な1しきこ2とゝ・ほろ/\とな2けハ・遣尓あハれ
なり遣るむ可し能事を・かくき可せ佐らまし
可ハ・おほつ可なくても・春きぬへ可り个りと
お1ほしてうちな2き給・心のうち尓ハ・我身ハ」(82オ)
遣尓うけハりて・い見し可るへき・き2ハ尓ハあら
佐り遣るを・多1いの1うへの御もてな1し尓・見可ゝ
連て2・人農思へるさ満な1とも・か多本耳ハ
あらぬなり遣り・人をハまたな2き物耳思
遣ち・こよな1き心おこりをハ志つ連・世能人ハ
志多耳いひいつるやうも1・あり徒らむ可しな1と
お1ほし志り者てぬ・者ゝ君をハ・もとよりかく・
春こしお1ほえく多れ累すちと・志りな1可ら・
むまれ給遣ん程な1とをハ・佐る世者な2れ多1る・
さ可ひ丹て2な1とも1・志り給ハさり个り・い1と」(82ウ)
あまりお1ほとき給へる・遣尓こ2そハあやしく・
0411【おほとき給へる】-明中
お本/\し可り遣る古とな2りや・かの1入道のい万
ハ仙人の世耳も1すまぬやう丹て2・ゐ多な2る
をきゝ給も・心くるしくな2と・か多/\耳思
見多れ給ぬ・い1とも能あ者れ尓な可めてお1者
するに・御方万いり給て2・日中能御可ち耳・
0412【御方】-明上
古な2多(+个な2多(朱))より万いり徒とひ・物佐者可しく能ゝ
志る尓・御まへ尓古と人もさふらハす・あ万
君と古ろえてい1とち可くさふらひ給・あな1
見くるしやみし可き2・御木丁ひきよせて2」(83オ)
こ2そ2・さふらひ給ハめ・風な2とさハ可しくて2・をの
つ可ら本ころひのひまもあらむ尓・く春しなと
屋うの佐まして・いと佐可り春き給へりやな1と・
な1ま可多ハらい1多く思給へり・よしめきそして・
ふるまふ者お1ほゆめれとも1・も1う/\尓・見ゝも
0413【もう/\】-朦
お1本/\志可り个れ者・あゝとか(+た)ふきてゐ多り・さ
満ハいと・さいふハ可り丹もあら春可し・六十五六
の1程なり・あます可た・いとかハら可に・あてなる
佐万志て2・め徒やゝ可に・な2きハれ多る遣しき
のあやしく・む可し思いて多る佐万なれ者・」(83ウ)
む年うち徒ふ連て2・こ多1いのひ可事とも1
や侍徒らむ・よくこの1よの本可なるやうな2る・
ひ可お1ほえとも尓とりませ徒ゝ・あや志き
む可し能事ともゝいてまうてきつらん・者やゆ
め能古ゝちこ2そ志侍れと・うちほゝえ見て・ミ多
てまつり給へ者・いとな1万め可しくき2よら
0414【いとなまめかしく】-明中
丹て2・れ1いよりもい1多く志徒まり・物お1ほし
多るさ満尓みえ給・我ことも1お1ほえたまハす
0415【我こともおほえたまハす】-明上
可たし遣な2きにいとお1しき事ともを・き2
古え給て2お1ほしみ多るゝ丹や・いまハかハ可り」(84オ)
と・御くらゐをき2ハめ給ハんよに・き2古えも1志
羅せ2んとこ2そ2お1もへ・くちお1しくお本し春徒
遍き尓ハあらね1と・いと/\おしく・心をとりし
給らんとお1ほゆ・御可ち者てゝ・満可てぬ流耳・
御く多物な2と・ち可くま可な2ひなし・これ者可り
をた尓1と・いと心く流し遣尓思て2・き2古え給・あ万
君ハいとめて多1う・うつくしう・見多1てま徒る
まゝ(+に(朱))も・涙者えとゝめす・かほハえミて具ち
0416【えミて】-咲
徒きな2とハ・見くるしく・ひろこり多1れと・まミ
の王多り・う地しくれて2・ひそ2ミゐ多り・あな1可多」(84ウ)
ハらい多と・めくハ春れとき2ゝも1い連春
お1いのな2ミ可飛あるうらに多1ちいてゝ志ほ
0417【おいのなミ】-明石のあま
多1るゝあま越堂れ可と可めむ無可し能世丹も
0418【むかしの世にも】-七十以上
かやうなるふる人ハ・徒ミゆるされて2なん侍
个るとき2古ゆ・御すゝりなる可み尓
志ほ多るゝあま越浪路能し流へ丹て2
0419【しほたるゝ】-明石中宮
多1つ年も見者や者満まのとまやを御可たも・
え志のひ給ハて・うちな1き2給ぬ
よ越春てゝあ可し能うらに春む人も心の1
0420【よをすてゝ】-明石上
屋ミハ者流遣しもせ2しな1とき2こえまきら」(85オ)
ハし給・王可れ个んあ可月の古とも・夢能中耳
0421【わかれけんあか月のこと】-上詞 入道事
お1本しいてられぬを・くちお1しくもあり遣る可な1
とお1ほ春・やよひの十よひ($日(朱))の程尓・多1いら可耳
むまれ給ぬ・可年てハお1とろ/\しくお本しさハ
きし可と・い1多くなやミ給事なくて・お1とこ
0422【おとこみこ】-今上
みこさへおハすれ者・かきりなくおほ春・佐ま
丹て2・お1とゝも1御心お1ち井給ぬ・こな2たハかく
0423【おとゝ】-源
れの1可多にて2・たゝ遣ち可き程なるに・い可めし
き2御う婦屋しなひなと能う地志きり・ひゝき2・
よそ2をしき有さ満・遣尓可ひあるうらと・あ万」(85ウ)
君能多1め尓ハ見えた連と・きしき2な2起やう
な2れ者王多り給な2むとす・多1いの1うへも王多
里給へり・志ろき御佐うそく志給て2・人のおや
0424【しろき御さうそく】-産衣
めきて・わ可宮を・つとい多きてゐ給へる佐万・
い1とお1可し・身つ可ら可ゝる古と志り給ハす・人の
うへ丹ても・見な2らひ給ハ年ハ・いとめつら可に・うつ
くしと思き2古え給へり・むつ可し遣尓お1者する
程をたえすい多起と里給へ者・ま古と能を者
0425【をは君】-ウハ
君盤・多1ゝま可せ多1てまつりて・御ゆ殿能あ
徒可ひな2とを徒可うま徒り給・春宮能宣旨」(86オ)
なる内侍の春けそ2・つ可うまつる・御む可へゆ尓
0426【内侍のすけ】-宣旨ト云女房ノ内侍カケタル也
おり多1ち給へるも・いとあハれ尓うち/\能事も・
本の志り多る尓・春こし可多本な2らハいとおし
可らましを・あさましく氣多可く・遣耳
かゝ流契古と尓ものし給遣る・人可な1と見き
こゆ・こ能程のきしき2な2とも1・ま年ひ多てん
尓・いと佐らなりや・六日といふ尓・れ1いのお1とゝ尓
0427【れいのおとゝにわたり給ぬ】-シン殿明中帰
わ多り給ぬ・七日の夜内よりも御うふ屋しな2ひ
の1事あり・朱雀院の可く世を春てお1ハし
ます御可ハり丹や・蔵人所より・頭弁宣旨」(86ウ)
うけ給ハりて2・めつら可なる佐万尓・徒可うまつ
連りろく能きぬな2と又中宮の御方よりも
お1ほや遣古と丹ハ多1ちまさり・い可めしく
せ2させ給・つき/\の御子多1ち・大臣のい衛/\そ2
の1古ろ能い1とな2ミ尓て・わ連も/\と(+き(朱))よらを徒く
志て2・徒可うまつり給・おとゝ能君もこの1本との
0428【おとゝの君】-院号之後モイヘリ
事とも1ハ・れ1いの屋う丹も古とそ可せ給ハて・
世尓なく・ひゝき2古ち多1き程尓・う地/\の
な1まめ可しくこ満可なる・宮ひのま年ひ徒
多ふへきふしハ・めもとまらすなり尓个り・」(87オ)
お1とゝ能君も・わ可宮をほとな1具い多1き多て
まつり給ひて2・大将のあま多まう遣多なる
を・いまゝて見せ2ぬ可う羅めしき尓・かく羅う
たき人をそ2え多1てまつりたるも(#(墨)と(朱))うつくし
見き2古え給ふハ古とハりなりや・ひゝ丹もの
をひきのふるやう尓お1よ春け給・御め能とな2と
心志らぬハ・とみ尓めさて・さふら婦中に・志那心春
くれ多る・かきりをえりて徒可うまつらせ2給・御
可たの御心をきて能・らう/\しく遣多可くお1
ほと可なる物の・さるへき可多にハひ遣して・尓」(87ウ)
0429【ひけ】-卑下
くら可丹も・う遣ハらぬな2とを・本めぬ人な1し・
0430【ほめぬ人なし】-明上
多1いのうへ者ま本な2らね1と見えかハし給て・
さハ可りゆるしなくお1ほし多1りし可と・い万
ハ宮の御とくに・いとむつましく・やむ古とな1く
0431【宮】-若宮
お1ほしなり尓1多1り・ちこう徒くしミ志給
御心丹て2・あ万可つな2と御てつ可ら徒くり・そゝ
具りお1者すも・いと王可/\し・あ遣くれこの
御可し徒き丹て2春くし給・可能こ多1いのあ万
君ハ・王可宮を・え心のと可に見多1てまつらぬ
なんあ可すお1ほえ遣る・中/\見多てまつり」(88オ)
そ2めて2・こひき2こゆる丹そ・いのちも盈
たふましか(+ん(墨)、ん$(朱))める・可能あ可し丹もかゝ流御古と
0432【たふましかめる】-絶マシキ
徒多へき2ゝて・さるひし里心ち丹もいとうれ
しくお1ほえ个れ者・いまなんこの世の1さ可いを
心や春く・ゆき者な2るへき2と弟子とも耳
いひて2・このいへをハてら尓なし・あ多り能田
なとの1やう能物ハ・見な1そ2能寺の事尓志越
き2て・この國の1お1く能こほり尓・人もかよひ
可多くふ可き2や万あるを・とし古ろも志めをき
な1可ら・あし古尓こもりな2むのち又・人尓ハ」(88ウ)
見え志らるへき2丹もあらすと思て2・たゝ春
古し能お1ほつ可な起事の1古り个れハ・いまゝて
な1可らへ遣るを・いまハ佐りともと・本と遣神を
たのミ申てな2むうつろひ个る・この1ち可きとし
古ろとなりてハ・京耳古となる事な1らて・
人もかよハし多1て2まつら佐り徒・古れよりく多し
0433【これより】-京
給人ハ可りに徒个てな2む・ひとく多り丹ても・あ万
君さるへき2お1りふしの事裳かよひ遣る・思日
者な1流ゝよのとちめ尓・婦ミ可きて御可多に
0434【御かたに】-明
多1て2まつれ給へり・こ能とし古ろ者お1な1し」(89オ)
0435【このとしころは】-入道文詞
世中の1うち尓・めくらひ侍りつれと・なに可ハ
かくな1可ら身を可へ多るやう尓思給へな1しつゝ・
させ2る古とな1き2かきりハ・きこえうけ給
ハらす・可那ふミ見たまふる者・め能いとまいり
て・念仏も遣多いするやう尓・屋くな2うてな2ん・
御せ2うそこも堂てまつらぬを・徒て尓う遣
多満者れハ・王可君ハ春宮尓1まいり給て2・お1
とこ宮むまれ給へるよしをな2む・ふ可くよろ
古ひ申侍る・そ2の1ゆへ者身つ可ら・かく徒多な1起
山ふし能身に・いま佐ら尓1このよ能さ可えを・」(89ウ)
思丹も侍ら春・すき丹しか多能とし古ろ・
心き多な1く六時の1徒とめ丹も・多1ゝ御古とを
心尓可遣て2・者ち春のうへ農徒ゆのね1可ひを
ハ・佐しをきてな2む・ね1ん志多てまつりし王可
おもとむまれ給ハんとせ2し・そ2能としの二月
の1そ2能夜のゆめ尓見しやう・身つ可らすミ能
山を・右のて尓さゝ遣多1り山の左右より月日
0436【月日のひかり】-中宮 東宮
の1飛可りさや可に佐しいてゝよをてらす・身
つ可らハ山の1志も能可遣尓かくれて2・そ2能光耳
あ多らす・山をハひろき2海耳う可へをき2て・」(90オ)
ちい佐き舟耳のりてにしの可たを佐して
こき行とな1ん見侍し・夢さめてあしたより・
可すな2らぬ身尓多1のむと古ろいてきな1可ら
な1に事尓徒遣て2可・佐るい可めしき古とを者
まちいてむと・心の1う地尓思ひ者へしを・そ2
の1古ろよりハらまれ給尓しこな多・そ2く能
0437【そくのかたのふミ】-学文
可多のふミを見侍し丹も・又内教の1心をた
徒ぬる中丹も・夢を志ん春へき2古とお1ほく
侍し可ハ・いや志きふと古ろ能う地丹も・か多し遣
なくおもひい多徒き多1てまつりし可と・ち可ら」(90ウ)
をよハぬ身にお1もふ給へ可年て2な2む・可ゝ流みち尓
おも1むき侍耳志・またこの1國の古と尓・志つミ
侍て2・老のなミに佐ら尓1多1ち可へらしと思ひ
とちめて2・この1うらにとし古ろ侍し本とも・
わ可君をたのむ古と尓思き古え侍し可ハな2む・
心ひとつ尓お1ほく能願を多1て者へりし・そ2能
かへり申たいら可に思の1古と・時尓1あひ給わ可君
くにの者ゝとなり給て2・ね1可ひ見ち給者ん
よに春見よし能見屋しろをハしめ者たし申
給へ・さら尓1な2に古とを可ハうた可ひ侍らむ・この」(91オ)
飛と徒の思ひち可き世尓可な2ひ侍りぬれハ・
はる可尓にしの1可た・十万億(=億)の1國遍多て堂流
九品のうへの・ゝそ見う多1可ひなくな1り侍り
ぬれ者・い満ハ多ゝむ可ふる者ち春越まち
はへるほと・そのゆふへまて水草きよき山
0438【水草きよき】-\(朱合点) 遠つ国ハ水草きよミ事しけき都の事ハすますまされり(挙白集1791、休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
の1春衛丹て2・徒とめ侍らむとてな2む・ま可り
いりぬる
ひ可りいてんあ可月ち可くなりに氣り
0439【ひかりいてん】-明石の入道
い満そ2見しよの夢可多りするとて月日
かき多1り・いのちをハらむ月日も佐ら尓な1し」(91ウ)
路しめしそ・い丹しへより人のそ2(+め(朱))をき遣る藤
衣尓も・な2に可や徒連給ハん・多1ゝ我身ハ遍ん
化の1物とお1ほしな2して・老法師のため丹ハ・
(+功徳を徒くり給へこのよの堂能し見尓(朱))そ2へても・のち能よ越王すれ給ふな1・ね1可ひ侍る
所耳多1尓い多り侍な1ハ・可な1らす又多1いめん
ハ侍りな2む・さハ能本可のきし尓いたりて・とく
0440【さハ】-娑婆
あひ見んと越お1ほせ2さて・かの1屋しろ耳・
多1てあ徒め多る願ふミともを・お1ほきな2る
ちんの婦者こ尓ふむしこめて多1てまつりた
まへり・あま君尓ハ古と/\丹も可ゝす・たゝこ」(92オ)
の1月の十四日尓な2む草の1いほりま可り者
な2れて2・ふ可き2山尓いり侍りぬる・可ひな1き2
0441【ふかき山にいり侍りぬる】-六 身をすてゝ山に入ニし我なれは熊のくらハん事もしられす(拾遺集382・拾遺抄475、河海抄・紹巴抄・休聞抄・花屋抄・岷江入楚) 薩埵王子身施虎
身をハ・く満お1ほ可ミ丹も施し侍な2ん・そ2こ丹ハ
猶思しやうなる・御よ越ま地いて給へ・あきら可
なる所丹て2・又多1いめんハありな2むとのミあ
里・あ万君このふミを見て・可能徒可ひの大と
こ尓とへハ・こ能御文かき給て2三日といふ耳
な2む・可能多1え多るみ年尓1うつろひ給丹し・な1に
可しらも・かの1御をくり尓ふもとまてハ・さふらひ
志可・ミな1可へし給て2・僧一人王らハ二人な2ん・御とも」(92ウ)
尓さふらハせ2給・い満ハとよ越そ2むき給しお1
里を・可な1しき2とちめと思給へし可とのこり
侍个り・とし古ろをこな2ひのひま/\尓・より
ふしな1可ら・かきな2らし給し・きんの1御古とひ者
とりよせ給て2・可いしらへ給津ゝ・本と遣にま可り
0442【まかり】-辞(イトマ)
申志給て2な2ん・見多う尓施入し給し・さらぬ物
ともゝお1ほくハ多1てまつり給て2・そ2のゝ古り
をなん・御弟子とも1六十余人な2ん・志たしき2
かきりさふらひ遣る・本と尓徒遣て2・みな1處分
志給て2・猶しのこりをな2ん・京の1御れうとて2・」(93オ)
をくり多1てまつり給へる・いまハとてかきこ
もり・佐る者るけき山の1雲可すミにまし里
給丹し・むな1しき2御あと尓と満りて・可な1しひ
お1もふ人々な2んお1ほく侍るな1と・こ能多1いとこも
王らハ丹て2・京よりく多り个るふる人の老
法し尓なりてとまれ累・いとあ者れ耳心ほ
そしと思へり・ほと氣の御弟子能・佐可しき
ひ志り多1尓・わしの1ミ年をハ・多1と/\志可ら春・
たのミき2こえな2可ら・猶多1き木徒き遣る夜
能まとひハふ可かり遣る越・ましてあ万君農」(93ウ)
かな2しと思給へる古とかきりな1し・御方ハミな1見の
お1とゝにお1者するを・可ゝる御せ2うそこな2んあると
あり个れハ・志のひて2王多り給へり・をも/\しく
身をもて2な2して・お1本ろ家遣な2らてハ・かよひあひ
見給古とも1可多きを・あハれなる事な2んと
きゝてお1ほつ可な1个れハ・う地し能ひて2も1能し
給へる尓・いといミ志く可な1し遣なる遣しき2
0443【いといミしく】-尼公
丹て2ゐ給へり・火ち可くとりよせて2・此婦ミ
を見給尓・遣尓せ2起とめん可多そ2な2可り遣る・
よ能人ハな2にともめとゝむましき2古と能・まつ」(94オ)
む可しきしか多の事思い1て2古ひしと思
王多り給・心丹ハあひ見て2春き者てぬる
にこ2そハと見給尓・い見しくい婦可ひ那し・涙を
えせ2きとめす・この1御ゆめか多りをかつ1者・
行佐きたのもしく・さハひか心丹て2・我身を
佐しもあるましき2さ満尓・あく可羅し給と・
な1可古ろ思多1ゝよハれ志古とハ・かく者可那
夢にたのミを可遣て2・心た可くも能し給なり
个りと・か徒/\思あハせ給・あまきミひさ
志くためらひて2・君能御とく尓ハ・うれしく」(94ウ)
をも多1ゝ志き古とをも・身尓あまりてな1ら
ひな1く思侍り・あハれ尓いふせ2き思ひもすく
連て2こ2そ侍个れ・可すな2らぬ可多丹てもな可
らへし・都を春てゝ・かしこ尓志つ1ミゐしをた尓・
よ人尓た可ひ多る春くせ丹もある可な1と思ひ
者へし可と・い遣るよにゆきハな2れ・遍多多1る
へき中の契とハ思可遣す・お1な1し者ち春
尓春むへき2のち能よの多1のミをさへ可遣て
とし月を春くしきて・丹ハ可尓かくお本えぬ
御古といてきて2・そ2むき丹し世尓多1ち可へり」(95オ)
て者へる・可ひある御事を見多1てまつりよ
ろこふもの可ら・かたつ1可多尓ハ・お1ほつ可那く可な1
志き古と能うちそ2ひて2・多1えぬを・徒井耳
かくあひみす遍多てな2可ら・このよ越王可れ
ぬるな2ん・くちお1しくお1本え者へる・世尓へし
時多尓1人尓にぬ心者えにより・よ越もてひ
可む流やうなりしを・わ可き2とち多1のミ
な2らひて2・をの/\ハ又な1く契をきて个れ者・
可多ミ尓いとふ可くこ2そたのミ侍し可・い可な2れ
ハかく見ゝにち可起程な2可ら・かくて王可れぬらん」(95ウ)
といひ津ゝ遣て2・いとあハれ尓うちひそ2ミ給・
御方もい見しくな起て2・人尓春く連ん行
佐き能古とも1お1本え春や・可尓(#春(朱))な2らぬ身尓ハ
な2に事も遣さや可尓・可ひあるへき尓もあらぬ
も1の可ら・あハれなるありさ満尓お1ほ徒可
なくて・やミな2むのミこ2そ2くちおし个れ・よろ
徒の事さるへき2人能御ためとこ2そ2お1本え者へ
0444【さるへき人】-入道
れ・さて多1え古もり給な1ハ・世中も佐多めな2き
尓・や可てき2え給な1ハ・可ひな1くなんとて・よもす
0445【きえ給なハ】-入道
可らあハれなる事ともをいひ津ゝあ可し」(96オ)
給・き2のふも1お1とゝ能君のあな多にありと
0446【きのふも】-猶明ー詞
0447【おとゝの君】-源
見を起給て2志越・尓ハ可尓者ひ可くれ多1らむも・
可ろ/\志きやうなるへし・身ひとつハな2にハ可り
も1思ハゝかり侍らす・かくそひ給御多1めなと
0448【そひ給】-尼#
のいとお1しき尓なむ・心尓ま可せて身をもも1て
那しにく可るへき2とて・あ可月尓かへり王多り
0449【かへりわたり給ぬ】-明方
給ぬ・王可宮ハい可ゝお1ハします・い可て可見多1て
まつるへき2とてもな1きぬ・い満見多1てまつり
給てん・女御の君も・いとあハれ尓な2むお1ほしいて
津ゝ・も1し世中思ふやうな2らハ・遊ゝしき閑年」(96ウ)
古とな2れと・あ万君そ2の程まて・な2可らへ給者
0450【あま君その程まて】-若宮東宮マテ
なんとの給ふめりき2・い可尓お1ほ春古と耳可
あらむとの給へ者・又うちゑミて・いてやされ者・
0451【又うちゑミて】-尼
こ2そ2佐万/\ためしな2起春くせ尓こ2そ侍れとて
よろこふ・このふ者こハも多せて2・まう能本り
0452【まうのほり】-明上
給ぬ・宮よりとくまいり給へき2よしのミ
0453【宮より】-東ー
あれ者・かくお1ほし多るこ2とハりなり・めつらし
0454【めつらしきことさへそひて】-若宮
き2古とさへそ2ひて2・い可尓心もとな2くお1ほさる
らむと・むら佐き能うへもの給て・王可宮志の
ひて2まいらせ2多1てまつらむ御心徒可ひし賜・」(97オ)
見や春所ハお1本んいとまの心や春可らぬ
0455【みやす所】-明中
尓古り給て2・可ゝ流徒いて尓志ハしあらま本し
くお1本し多り程な2き御身尓・さるおそろし
き2古とを志給へれ者・すこしおもやせ2本そり
て・い見しくな1まめ可しき御さ満志給へり・可く
ためらひ可多くお1者する本と徒くろひ給て2こ
そ2ハな2と・御可たなとハ・心く流し可りき2こえ給
0456【御かた】-明
を・お1とゝハかやう尓お1もやせ2て2・見えたて2ま
0457【おとゝ】-源
徒り給ハむも・中/\あハれなるへきわさな2り
なとの給・多1いの1うへな2とのわ多り給ぬる夕」(97ウ)
徒可多しめや可なるに・御可多お1まへ尓まいり
0458【おまへに】-明中
給て2・こ能ふ者こき2古え志らせ2給・お1もふさ満尓
可な2ひ者てさせ給まてハ・とりかく志て2をき
て侍へ个れと・世中佐多め可多个れ者うし路
め多佐尓なん・な2に事をも御心とお本し可す
まへさらむ・こな2多ともかくも1・は可那くな2り
侍な1者・可な2ら春しも1・いまハのとちめ越御
らむせ2ら流へき身丹も侍らね1者・猶うつし
心うせ春者へるよにな2む・者可な1き事をも・
き2古えさせをくへく侍遣ると思ひ侍て2・むつ」(98オ)
可しくあやしきあとな2れと・これも御らんせ2よ
この願ふミハ・ち可き見徒しな2とにを可せ2給て・
可な2らすさるへ可らむおり尓御らむして2・こ能うち
能古とゝも1ハせ2させ給へ・うとき人尓ハ・な1も1ら
させ給そ2かハ可りと見多てまつりをきつ連
者・身つ可らも1よ越そ2むき侍な2んとおもふ給へ
なりゆけハ・よろつ1心のと可丹もお1ほえ者へ
らす多1いの1う遍の御古ゝろ・をろ可尓思き2
古えさせ給な1・いとあり可多くものし給・ふ可き2
御遣しき2を見者へれハ・身尓ハ古よな2く万佐り」(98ウ)
て・な可き御よ丹もあらなんとそ思者へる・
もとより御身尓そ2ひき2古えさせん尓徒希
ても・徒ゝ満しきミの程尓侍れ者・ゆつりき
古えそ2め侍尓1しを・いとかうしも1物し給ハしと
なん・とし古ろハ猶よのつ年尓おもふ給へ王多り
侍徒る・いまハきし可多行佐き・うしろや
春く思なり丹て2侍りな1と・いとお1ほくき2
古え給・涙くミてきゝお1者す・かくむつまし
0459【きゝおはす】-明中
可るへき2お1まへ丹も・徒年耳うちと遣ぬ佐万
志給て2・王りな1くもの徒ゝミ志多るさ満な2り・」(99オ)
このふミの古とハ・いとう多て・こハく・にくけ
なるさ満越・みち能くに可ミ丹て2としへ尓
个れ者・きハミあ徒こえ多1り($累(朱))五六枚・佐春
可にかう尓いとふ可く志ミ多るにかき給篇り・
いとあハれとお1本して・御ひ多い可ミ能・やう/\ぬれ
ゆく御そ2ハめ・あて尓な1まめ可し・院ハひめ宮
0460【院】-源
0461【ひめ宮】-女三
の御可多にお1ハし遣るを・な1可能みさうしより・
ふと王多り給へれハ・えしも1ひき可くさて・御
き2ちやうをすこしひきよせて2・身つ可らハ者
たかくれ給へり・王可宮者お1とろき給へりや・と」(99ウ)
0462【わか宮は】-源詞
き2能まも古ひしきわさなり个りと・き2こえ
給へ者・見や春所ハいらへもき2こえ給ハ年者・
御方多1い尓わ多しき2古え給へときこえ給・いと
0463【御方】-明#
0464【たいに】-紫
0465【いとあやしや】-源詞
あやしやあな2多に・この宮を・羅うし奉りて2・
ふと古ろを佐ら尓者な1多す・も1てあ徒可ひ
徒ゝ・人屋りな2らす・きぬもみな1ぬらして・ぬき
可へ可ちな1める・可ろ/\しく・なとかく王多した
てまつり給・こな多にわ多りてこ2そ見多て
まつり給ハめとの給へ者・いとう多て思く満
な起御古と可な1・女尓お1ハしまさむ尓た尓・あな1」(100オ)
た丹て2見多てまつり給ハんこ2そ・よく侍らめ・満
志て2お1とこハ・かきり那しとき2古えさすれと・
心屋春くお1ほえ給を・多1ハふれ丹ても・かやう尓・
遍多て可満しき2事な1・さ可しかりき2こえさせ
給ひそ2と・き2古え給・うち王らひて2・御な可とも1
0466【うちわらひて】-源
尓ま可せて2見者な1ちき2こゆへきな2ゝ里な1へ
多1てゝいまハた連も/\佐し者な2ちさ可しら
なとの給こ2そ・をさな1个れ・まつハかやう(+尓(朱))者ひ
0467【はひかくれて】-隔物心
かくれて2つ連なくいひおとし給めり閑し
とて・御木丁をひきやり給へれ者・もや能ハし」(100ウ)
羅尓より可ゝりて・いときよけ尓・心者つ可し遣
0468【よりかゝりて】-明中
なるさ満して・物し給ありつる者こも・満とひ
可く佐んも・さ満あし个れハ・佐て2お1ハするを・な2そ
0469【なそのはこ】-源詞
の者こ・ふ可き2心あらむ遣佐う人の・な可う
たよミて・ふんしこめ多る心ちこ2そ春れと能
給へハ・あ1なう多てや・い満め可しくなりかへら
0470【あなうたてや】-明上詞
せ2給める御心な2らひ尓・きゝ志らぬやうなる・御
春さひ事とも1こ2そ・時々いてくれとて・本ゝゑミ
給へれと・物あハれなり遣る御个しき2とも志流
氣れ者・あやしとうち可多ふき給へる佐万」(101オ)
な2れハ・王徒らハしくて・可能あ可しのい者やより
0471【あかしのいはや】-明石
志のひて2者へし・御いのり能巻数又またしき
願な2と能者へり遣るを・御古ゝろ丹も志らせ2多
てまつるへき2おりあらハ・御覧しをくへくや
とて侍を・多1ゝいまハ徒いてなくて・なに可ハ
あけさせ給ハんとき2古え給尓・遣尓あハれ
0472【けにあハれ】-源詞
なるへき2ありさ満そ可しと・い可尓をこな2ひ・
ましてすミ給尓多1らむ・命な可くて・古ゝら
のとし古ろ能徒とむる徒ミも1・こよな2可らむ
可し・世の中尓よしありさ閑しき・可多/\」(101ウ)
能人とて見る丹も・この世にそ2見多る程の1尓
こりふ可き2丹やあらむ・可しこきか多こそ2
あれ・いとかきりあり徒ゝ・をよ者佐り个りや・
佐もい多りふ可く・さす可に氣しき2ありし人
のありさ満可な1・ひ志り多1ちこ能世者な2れ可本
丹もあらぬもの可ら・志多能心ハみな1あらぬ世尓
かよひすミに多るとこ2そ見えし可・満していまハ
心くるしき・本多志もな2く思ひ者なれ尓多らむ
をや・可や春き身な2らハ・志のひて2いとあ者満
本しくこ2そ2との給ふ・い満ハかの1侍し所をも」(102オ)
0473【いまハかの】-明上詞
春てゝ・とりの年き2こえぬ山丹とな2ん・きゝ侍と
0474【とりのねきこえぬ山】-\(朱合点) 古今 とふ鳥の声もきこえぬ奥山のふかき心ヲ人ハしるらん(古今535、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
き2こゆれ者・佐らハそ2のゆいこむな2ゝ里な1(△&な1)・せ2う
0475【さらハその】-源詞
そこハかよハし給や・あ万君い可尓思給ら無・
おやこの1中よりも・ま多佐る佐まの契ハ
古ゝ($)と尓こ2そ2そふ遍个れとて・うち涙くミ給
へり・とし能徒もり尓・世中能ありさ満を・と可く
思志り行まゝに・あやしく古ひしく思い1て2
ら流ゝ人のミ阿りさ満な2れ者・ふ可き2契農
な2可らひハ・い可尓あ者れな2らむな2との給徒いて
尓1・この夢可多りもお1本しあハする事もやと」(102ウ)
0476【この夢かたりも】-明石詞
思て2・いとあ屋しき2本んしと可いふやうなる
0477【ほんし】-梵字
あとに者へめれと・御らんしとゝむへき2婦し
も1やまし里侍とてな2ん・いまハとて・わ可れ侍
丹し可と・猶こ2そ2あハれ者のこり侍るも能
なり个れとて・さ満よくうちな2起給て2・いと
閑し古く猶本れ/\し可らすこ2そあるへ个れ・
てな1とも1春へて2な2にこ2ともわさと・いうそく
尓志徒へ可り遣る人農・多1ゝこ能よ・ふる可多
の心をきてこ2そ・春く那可り个れ・かの1せ2ん
そ2能お1とゝハ・いと可し古くあり可多き2心」(103オ)
佐しを徒くして・お1本や遣尓徒可うまつり給
遣る程尓・ものゝた可ひめありて2・そ2能む
くひ尓かくすゑハな2きなり・な1と人いふ
めりしを・女子の可多に徒遣多れと・かくて
いと徒き那しといふへき丹ハあらぬも・そこら
のをこな2ひの志流し尓こ2そハあらめなと・涙
おしのこひ給津ゝ・こ能夢の王多りにめとゝ
め給ふ・あやしくひ可/\しく・春ゝろ尓た可き
心佐しありと・人もと可め又わ連那可らも1・
さるましきふるまひを・かり丹ても・する」(103ウ)
可な1と思しこ2とハ・この1君能むまれ給し
時尓1・契ふ可く思志り丹し可と・め能まへ尓
見えぬあな2多能事ハ・お1ほつ可な2くこ2そ思
王多りつ連・佐らハ可ゝ流堂のミありて・あな1
可ち尓ハ・のそ2見しなり个り・よこさ満尓1
い見しきめ越み・多ゝよひしも1・こ能人ひとり
の多1めにこ2そ2あり个れ・い可なる願を可心尓
お1こし个むと遊可し遣れ者・心の1うち尓お1可
ミてとり給つ・これ者又くして多1てまつるへき
物侍り・い満又き2古え志らせ2侍らんと・女御」(104オ)
丹ハき2古え給・そ2能徒いて尓いまハかくい丹し
遍の古とをもたとり志り給ぬれと・あな2多
0478【あなた】-紫
能御心者へを・おろ可尓お1本しな2すな1・もとより
佐るへき2な1可えさらぬむ徒ひよりも・よ
こ佐万能人のな1遣能あハれをも可遣・ひと事
の1心よせあるハ・お1本ろ遣能古と丹もあら春・
満して古ゝにな2とさふらひな2れ給を・見る/\
裳・ハしめ能心さしかハらす・ふ可くね1ん古ろ尓
思き2古え多1るを・い丹しへの世のたとへ丹も1
0479【世のたとへ】-マヽ母事
佐こ2そハ・う者へ尓ハ・者くゝ見遣れと・羅う/\」(104ウ)
志きたとりあらんと・閑しこきやうな2れと・
猶あやまりても・我多1め志多能心遊可ミたら
0480【あやまりても】-マヽ子ノ心
0481【我ため】-マヽコノ為
0482【心ゆかみ】-マヽハヽノ心
む人を・佐も思よらすうらな2可らむ多1めハ・
ひき2可へしあハれ尓い可て可ゝるに者と・つミえ
0483【あハれに】-マヽ母ノ思ナヲシ哀マン也
可満しき2丹も思な2越る事も1あるへし・お本
ろ遣能む可しのよ能あ多な2らぬ人ハ・多1可ふ
ふし/\あれと・ひとり/\徒ミなき時尓ハを
0484【ひとり/\】-マヽ子モマヽ母モ
のつ可ら・もてな2す多1め志ともあるへ可めり・さし
も1ある満しき2古とに・かと/\しく具せ越
徒遣・あい行な2く・人をもて者な1るゝ心ある」(105オ)
ハ・いとうちと氣か多く思く満な起わさに
な1むあるへき2・お1ほくハあらね1と・人の心の1
0485【おほくハあらねと】-源ノ見給方ー
とあるさ満・可ゝ流お1もむきをミ遊るに・ゆへ
よしといひ・佐万/\尓・口惜可らぬき2者能心
者せ阿るへ可めり・ミ那をの1/\え多るか多
ありて2・とる所な2くもあらね1と・又とりた
てゝ・我うしろミに思ひ・まめ/\しく・えらひ
思ハん尓ハ・あり可多きわさにな2む・多1ゝ満こ2と
に心能くせなく・よき古とハ・この1堂いを能ミ
0486【このたい】-紫
な2む・これをそお1ひら可なる人といふへ可り个る」(105ウ)
登な2む思者へる・よしとて又あまりひ多ゝ遣
0487【ひたゝけて】-切也
て・多1のもし遣な2きもいとくちお1しやとハ
可りの給ふ尓・か多への1人ハ思ひ屋られぬ閑し・
そ2こにこ2そ2・春こしものゝ心えても能し給
める越・いとよし・む徒ひ可ハして・この1御うしろ見
0488【この御うしろみ】-明事
をもお1な1し心丹て2も能し給へなと・志のひ
や可尓の給・の多まハせね1といとあり可多起
0489【のたまハせねと】-明上詞
御遣しきを見多1て2まつるまゝに・あけくれ
の1古とくさにき2古え者へる・めさ満しき2も能尓
なとお1ほしゆるさゝらん尓・かうまて御らんし」(106オ)
志るへき2丹もあらぬを・か多ハらい多きまて・
可すまへの給ハ春れ者・可へりてハま者ゆくさ
遍なむ・可春な2らぬ身のさす可にき2えぬ者・
よのき2ゝ(+見ゝ)も1いとくるしく・津ゝましく思
たまへら流ゝを・徒ミな1きさ満尓もて可くされ
多1てまつり津ゝのミこ2そと・き2古え給へ者・
そ2能御多1め尓ハな2にの1心さし可ハあらむ・多ゝ
0490【その御ため】-源詞
この御ありさ満を・うちそ2ひてもえ・見多て
まつらぬお本つ可な1さに・ゆつりき2古えらるゝ
な1めり・そ2れも又とりもちて2・遣ちえん尓1」(106ウ)
0491【又とりもちて】-紫
なとあらぬ御もて那しとも尓1・よろ徒の1事
な1能め尓・めや春くな2れ者・いとな2むお1もひ
な2くうれしき2・者可那き2古と丹て2も能心え
春・ひ可/\しき人ハ多1ちましらふ尓徒遣
て・人の多1めさへ可らき2こ2とあり可し・さな2越し
所な2く・多1れも1も能志給めれ者・心や春くな2む
と・の給尓徒遣ても1・さりやよくこ2そひ希し
0492【さりやよくこそ】-明上
尓个れな2と思津ゝ遣給・多いへ王多り給ぬ・佐も
0493【たいへわたり給ぬ】-源
いとやむこ2とな2き御心さしのミま佐るめる
可な1・遣尓者多人より古とに・かくしも1くし」(107オ)
給へるありさ満の・古とハり登見え給へる
こ2そめて多1个れ・宮の1御方・うハへの1御閑し
0494【宮の御方】-女三
徒きのミめて多くて・わ多り給こ2とも1えな1
のめな2らさめるハ・か多し遣な2きわさな1めり
閑し・おな2しすち尓ハお1ハ春れと・いまひとき2
ハゝ心くるしくと・志りふこちき2古え給耳
0495【しりふこち】-源ノ御後言也
徒遣ても・我春くせ2ハ・いと多1遣くそお1ほえ給ひ
0496【我すくせ】-明上
个る・やむこ2とな2起堂に・お1ほ春さ満丹もあら
さめ類よ尓・満して堂ちまし流へきお1ほ
えにしあらね1ハ・春へて2い満ハうらめしき2」(107ウ)
ふし裳那し・多1ゝ可能堂えこもりに多る・山
春見を思屋るのミそ2あハれ尓お1本つ可な2起・
あま君も1多1ゝ婦く地の1そ2の尓・た年満き
0497【ふくちのそのにたねまきて】-作者不知 耶輸陀蘿か福智の園に種まきてあハん必有為の都に(出典未詳、異本市営抄・河海抄・弄花抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
てとやうな2りし・ひと古とをうち堂のミて・
能ちのよ越思屋り津ゝ・な2可めゐ給へり・大将
0498【大将の君】-夕
の1君ハこのひめ宮の1御こ2と越・思をよハぬ
0499【ひめ宮】-女三
丹しも1あらさりし可ハ・め尓1ち可くお1ハします
を・いと多1ゝ丹もお1ほえ春・お1ほ可多の御閑し
徒きに徒遣て2・こな多尓ハ佐りぬへき・おり
お1り尓まいりな2れ・をのつ可ら・御遣ハひあり」(108オ)
さ満も・見き2ゝ給尓・いと王可く・お1ほとき給へる
ひと春ち丹て2・うへの1きしき2ハい可めしく・
世の1多1めし尓志つ1ハ可り・もて可し徒き多て
まつり給へれと・おさ/\遣さやか尓ものふ可く
者見えす・女房な2ともお1とな1/\しき2は者
春く那く・王可や可なるか多ち人のひ多ふる
0500【かたち人】-顔人
尓うち者な1やき・され者めるハ・いとお本く
可春志らぬまて・徒とひさふらひ津ゝ・も能思日
なけなる御あ多りとハいひな2可ら・な2に
事も1のとや可に心しつめ多るハ心能うちの・」(108ウ)
あらハ丹志も・見えぬわさな2れハ・身に人
志れぬお1もひそ2ひ多らんも・又満古とに心ち
0501【又まことに心ちゆき】-思アル人モ心チヨキ人ニソヘハモニナル心ナリ
遊き・遣尓とゝこ本りな可るへき2丹し
うちま志れ者・閑多への人尓ひ可れ津ゝ・お1
那し遣ハひもてなし尓・な2多ら可なるを
多1ゝあけくれ者・い者け多るあそひ多者
婦れ尓・心いれ多る王らハへのありさ満なと・
院ハいとめ尓徒可す見給事とも1あ連と・ひ
とつさ満尓・よの中をお1ほしの給ハぬ・御本
上な2れ者・可ゝる可多をもま可せて2・佐こ2そハ」(109オ)
あらま本し可らめと・御らんしゆるし津ゝ・
いましめとゝのへさせ給者す・佐うし見の御
ありさ満ハ可りをハ・い登よくをしへき2古え
給尓・春こしもて徒遣給へ里・可やうの事を・
大将の君も1遣尓こ2そ2あり可多起世なり
0502【大将の君】-夕
个れ・むら佐きの1御ようい遣しき2能・古ゝら
のとしへぬれと・とも可くも・ゝりいてみえき2
古え多1ると古ろな1く・志徒や可なるを・もとゝ
志て2・さす可尓心う徒くしう人をも遣多す・
身をもやむこ2とな1く・心丹く具もて那し」(109ウ)
そへ給へる事と・見しおも可けも1・王すれ可多
くのミな2む思いてられ遣る・我御北の1可多も1・
あハれとお1本春可多こ2そ2ふ可个れ・いふ可ひあり
春くれ多1る・羅う/\しさなとも能し給
ハぬ人なり・お1多しき2もの尓・いまハと免
なるゝに・心ゆるひて2・猶可くさ満/\に徒とひ
給へるありさ満ともの・とり/\尓お1可し遣越・
心ひとつ尓・思者な2れ可多きを・ましてこ能
宮ハ・人の御本とを思丹もかきり那く・心古と
なる御ほとにとりわき多1る御遣しき耳」(110オ)
志もあら春・人め能かさりハ可り尓こ2そ登ミ
多1てまつり志流・わさとお1ほ遣な起心耳
志もあらね1と・見多てまつるおりありな1
むやと・ゆ可しく思き2古え給个り・衛門農
可むの君も・院尓徒年尓まいり志多しく
0503【院に】-朱
さふらひな2れ給し人な2れハ・この1宮をちゝ見
可と能かしつきあ可め多てまつり給し御心
をきてな2とくハしく見多1てまつりをきて・
さ満/\の1御佐多めありし古ろをひより・き
古えより・院丹もめさましとハ・お1ほしの」(110ウ)
0504【院にも】-朱
給ハせ春と・きゝしをかく古とさ満尓なり給
へるハ・いとくちお1しく・む年い多き心ち
春れ者・な2越えお1もひ者な2れす・そ2能お1り
より・か多らひ徒きに遣る女房のたより
尓・御ありさ満な2とも1・き2ゝ徒多ふるを・な2く
さめ尓思ふそ2・者可な可り遣る・多1いのうへ
の御遣ハひ尓ハ・猶おされ給て2な2んと・よ人も
ま年ひ徒多ふるをき2ゝてハ・可たし遣な1くとも1・
さる物ハおもハせ多1てまつら佐らまし・遣尓
たくひな2き御身にこ2そ・あ多ら佐らめと・」(111オ)
つ年尓・こ能小侍従といふ御ちぬしをも1・いひ
0505【御ちぬし】-母
者けまして・世中佐多めな1きを・お1とゝ能
0506【おとゝの君】-源
君もとより本いありて2・お1本しをきてたる
0507【ほいありて】-山居
可多に・おもむき給ハゝと・たゆミ那く思あり
き2个り・やよひハ可り能そ2らう羅ゝ可なる
日・六條院耳・兵部卿宮衛門督な2と万いり
0508【兵部卿宮】-蛍
給へり・お1とゝいて給て2・御物可多りなとし給・
志つ1可なる春まゐハ・この古ろこ2そ・いとつ連
つれ尓満きるゝ古とな可り个れ・お1ほやけ
わ多くし尓・こ2と那しや・な2にわさして可者」(111ウ)
くら春へきなとの給て2・けさ大将のも能し
徒るハい徒可多にそ2・いと佐う/\しき2を・れ1い
の1こゆミいさせて2・見るへ可り个り・こ能むめる・
わ可うと(+登(朱))も1ゝ見え徒るを・ね1多1ういてや志
ぬると・ゝハせ給・大将の君ハうしとら能まち
0509【うしとらのまち】-花散
尓人々あま多志て2・まりもてあそハして・
0510【まりもてあそハして】-自黄帝始為戦国我朝天智天ー時入鹿所翫
み給とき2古しめして・見多1れ可ハしき2古と能
佐春可にめさ免て・かと/\しきそ可し・いつら
こな多にとて・御せ2うそこあれ者まいり給
へり・わ可きむ多1ちめく人々お1ほ可り氣り・」(112オ)
まりも多せ給へりや・多1れ/\可も能志徒る
との給ふ・これ可連者へり徒こな多へま可てん
屋との給て2・志んてんの飛ん可しおもて・きり
0511【しんてんのひんかしおもて】-西対の東西ニまりのかゝりあり
0512【きりつほ】-明中
つ本ハ・王可宮くし多1てまつりて2・まいり給
0513【まいり給いにしころなれは】-御留守也
い丹し古ろな2れ者・こな2多可くろへ多り个り・
屋り水な2とのゆきあひ者れて2・よしある
0514【やり水】-遣水の遠心ナリ
可ゝり能程を多つね1て2・堂ちいつ1・お1ほきお本
0515【おほいとのゝ君たち】-柏
いとのゝ君多ち・頭弁・兵衛佐・大夫の君なと・
0516【頭弁】-紅梅
春くし多るも・又可多なりな2るも・さ満/\尓
人よりまさりて2のミも能し給・やう/\」(112ウ)
くれ可ゝるに・風ふ可春・かしこき日なり登・
遣うして・弁能君もえ志つ1めす・多1ちまし
0517【弁の君】-紅
連ハ・お1とゝ弁官も1・盈おさめあへさめるを・
0518【おとゝ】-源
可ん多1ちめなりとも1わ可き2・衛ふ(+の、の#)徒可さ
0519【衛ふつかさ】-大将以下
多1ちハ・な2と可見多れ給ハさらむ・可ハ可りの
よハひ丹て2ハ・あやしく見春くす・口惜く
お1ほえしわさなり・さ流ハいときやう/\
0520【いときやう/\なりや】-軽々也まりの事也みたれかましきあそひをいふ
なりや・この1こ2とのさ満よ那との給尓・大将
裳・可んの君も・みな1おり給て2・えな2らぬ花
の1可遣尓さ満よひ給ふゆふ者へ・いときよ遣」(113オ)
なり・お1さ/\さ満よく・志つ可な2らぬ見多れ
古とな1めれと・所可ら人可らなり个り・ゆへある
庭の1・こ多1ち能い多くかす見こめ多るに・いろ
いろひもときわ多る花の1木とも・王つ可な2る
も1えきの1可遣に・かくは可な1き事な2れと・
0521【もえきのかけ】-散後
よ起あしき2遣ちめあるを・いとミ徒ゝ・わ連も
をとら志と・思ひ可本なる中に・衛門督の1可り
そ2め尓・たちまし里給へるあしもとに・な2ら婦人
な可り个り・可多ちいとき2よ遣に・な1まめき
多1るさ満志多る人の・よういい1多くして・佐春」(113ウ)
か尓見多り可ハしき2お1可しくみゆ・見ハし能ま尓
あた連る佐くら能可け尓よりて・人々花の1
うへも王すれて2心尓いれ多るを・お1とゝも1・宮
0522【宮】-蛍
裳・すミの1かう羅尓いてゝ御覧春・いとらう
0523【御覧す】-依人上ヨリ見物アルヘシ
ある心者へとも1見えて・か春お1ほくなり行
尓・上らうも1・見多れて2・かうふり能ひ多い・春
古しく徒ろき多り・大将の1君も・御くらゐの1
0524【御くらゐの程】-位程無鞠
程思こ2そ・れいな2らぬみ多り可ハしさ可那と
お1ほゆれ・みるめハ人より遣尓わ可く・お1可し遣
丹て2・佐くら能な越し能屋ゝな2え多る耳・」(114オ)
佐しぬきの1すそつ可多すこし婦く見て2・
0525【すこしふくみて】-なへはめる事也
遣しき2ハ可りひきあ遣給へり・可ろ/\しう
裳見え春・物きよけ遣($(朱))なる・うちと遣春
可多に・花の1雪のやう尓・布り可ゝれ者・う地
見あ遣て2・志ほれ多る・枝春こしをしお1り
て・みハしのな1可能志な1の程尓1井給ぬ・可んの
君・徒ゝき2て2・花見多り可ハしく・ちるめり
0526【みたりかはしく】-麻(ミタリカワシ)
や・さくらハよ起て2こ2そな2との給徒ゝ・宮の
0527【さくらハよきて】-\(朱合点) 吹風も心しあらハ此春ハ桜をよきてちらささらなん(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
0528【宮】-女三
御まへの可多を志りめ尓見れハ・れ1いの古とに
おさまらぬ遣ハひともして・いろ/\こほ連」(114ウ)
いて多る・見す能徒ますき可けな2と・春能
多1む遣のぬさふくろ尓屋とお1本ゆ・御木丁
とも1志と遣なくひきやり津ゝ・人遣ち可く・
よ徒きてそみゆるに・からね1この1いとちい
さく・お1可し遣なるを・春こしお1ほきなる
ね1こ・をひつゝき2て・に者可尓見す能徒万より・
ハし里いつる尓・人々お1ひえさハきて・そ2よ/\
と見志ろき2さ満よふ遣ハひとも・きぬの
をとな2ひ・みゝ可し可満しき2心ち春・ね1こ者
ま多よく人丹もなつ可ぬ尓や・徒な1い1と」(115オ)
な可く徒き多1り遣るを・もの尓ひき閑け・
まつ1者れ尓遣るを・に遣んと・ひこ志ろふ本と
尓・見春能そ2ハ・いとあらハ尓ひきあけられ
多1るを・と見尓ひき2な2越春人もな1し・この
者し羅の1もと尓あり徒るひと/\も1・心
あ者たゝし遣丹て2・物おちし多る遣ハひ
とも1なり・木丁能き2ハ春こしいり多る程尓・
う地きす可多丹て・多1ち給へる人あり・ハし
よりにしの二能まの飛ん可し能そ者な2れ者・
まきれ所も那く・あら者尓見いれ羅流・」(115ウ)
こう者い尓やあらむこきう春起・すき/\尓・
0529【すき/\に】-数奇/\
あま多可さなり多る・遣ちめ者な2や可尓・
佐うし能徒まのやうに見えて・さくら能をり
ものゝほう($そ(朱))な可な1るへし・御くし能すそ2まて・
遣さや可尓見ゆるハ・いとをより可遣可堂る
屋う尓な1ひきて・すそ2能ふさや可に・そ可れ
多るいとう徒くし遣丹て1・七八寸ハ可りそあ
まり給へる・御そのすそ2可ちにいとほそく
さゝや可丹て2・春可多徒き・可ミ能かゝり
給へるそ者め・いひ志らすあて尓羅うた」(116オ)
遣な2り・ゆふ可けな2れ者・さや可な2らす・お1く・
くらき心ちするも・いとあ可すくちおし・
まり尓身をなく流・わ可君多1ち能・花の
ちるを・おし見もあえぬ遣しき2ともを見る
とて・人々あらハを・ふとも1盈見つ1遣ぬなる
へし・ね1こ能い多くな2けハ・見可へり給へる・をも1
も1ち・もて那しな1と・い1と老ら可丹て2・わ可く・
う徒くし能人屋とふとみえ多り・大将いと可多
ハらい多个れと・者ひよらむも・中/\いと可る/\
志遣れ者・多1ゝ心越えさせ2て2・うちし者」(116ウ)
ふき給へる尓そ・やをらひき2いり給さるハ・
我心ち丹も・いとあ可ぬ心ちし給へと・ね1こ
の1徒な1ゆるしつれ者・心丹もあら春・うちな1
遣可る・まして・さハ可り心を志め多る・衛門
の督者・む年ふとふ多可りて・多1れハ可り
尓可ハ・あらん・こゝら能中尓・志るきうちき
す可多よりも・人尓まき流へくも1あら
佐り徒る・御けハひな2と・心耳可ゝりてお1ほ
ゆ・さらぬ可本尓・もて那し多れと・まさにめと
とめしやと・大将ハいとお1しくお本さる・王り」(117オ)
那き心ち能な2くさめ尓・ね1こをま年きよ
せ2て・かきい多起多れ者・いとかうハしく
て・らう多1遣尓うちな1くも1・なつ可しく思ひ
よそへら流ゝそ・す起/\しきや・お1とゝ御覧し
お1こせ2て・可ん多1ちめ能座・いと可ろ/\しや・
こなたにこ2そ2とて・多1いの見な1ミお1もて
0530【たい】-紫
0531【みなミおもて】-東対ノ南庇方ナリ
尓いり給へ連ハ・みな1そ2な2多尓まいり給ぬ・
宮もゐなをり給て2・御物可多りし給・徒き/\
0532【宮も】-蛍
の1殿上人ハ・春能こ尓わらう多めして・王さと
なく・徒者いもちゐ・な1しかうし・やう能物とも1」(117ウ)
佐万/\尓・者この1ふ多とも尓とりませ徒ゝ
あるを・わ可き人々そ2ほれとりくふ・佐るへき2・
から物ハ可り志て2・御可ハら遣まいる・衛門督ハ・いと
0533【から物ハかり】-唐クタ物
い1多く思志しめりて・屋ゝも1春れ者・花の1木尓め
をつ遣て2な2可め屋る・大将者心志り尓1・あやし
可り徒る・ミすの春き可遣思いつるこ2とや
あらむと思給・いとハしち可なり徒る・あり
さ満を・可つ1ハ可ろ/\しとおもふらん可し・いてや
こな多能御ありさ満の・さハあるまし可める
0534【こなたの】-紫
物をと・お1もふ尓可ゝれ者こ2そ・世の1お本えの」(118オ)
程より盤・うち/\能御心さし・ぬるきやう
尓ハあり个れと・思あハせて2・猶うちと能よう
い・お1ほ可らす・い者遣な2きハ・らう多1きやう
な2れと・うしろめ多1きやうなりやと・思おと
さる・さいしやう能君ハ・よろつ1の徒ミをも・おさ/\
0535【さいしやうの君】-衛門督兼ナリ
たとられ春・お1ほえぬ物の1ひまより・本の可丹も
そ2れと・見多1て2まつり徒る丹も・我む可し
より能心さしの・志類しあるへき2丹や登・契
うれしき2心ちして・あ可すのミお1ほゆ・院者
0536【院は】-源
む可しもの可多りしいて給て1・お本きおとゝ」(118ウ)
0537【おほきおとゝ】-致仕
能よろ津の事尓・多1ちな2らひて・かちまけの
佐多め志給し中尓・まりな2んえをよハす
なりにし・者可な2起こ2とハ・徒多へあるまし
个れと・物の春ちハ・猶こよな可り遣り・いと
めもをよハす・可し古うこ2そ・見えつれとの給へ
0538【かしこうこそ】-柏鞠
者・うちほゝえミて・者可/\しきか多尓ハ・
0539【はか/\しきかたにハ】-柏詞
ぬるく侍る・いへの風の1・さしも1吹つ多へ侍らん尓・
のち能世の多1め・こ2とな1流こ2とな1くこ2そ者へり
ぬへ个れと申給へ者・い可て可な2に事裳・人尓
0540【いかてか】-源詞
こ2となる遣ちめをハ・志流し徒多ふへきな2り・」(119オ)
いへの徒多へな2と尓・かきとゝめいれ多1らんこ2そ2・
遣うハあらめなと・た者ふ連給御さ満能・尓本ひ
屋可尓・き2よらなる(+を見多てまつる丹も1かゝ累人丹な1らひてい可者(朱))可り能事丹可・心をうつ春
人者も能し給ハん・な尓ことに徒个て可・あハれと
見遊るしたまふ者可りハ・なひ可しき2こゆへきと・
思めくらす尓・いとゝこよな1く・御あ多りハる可
なるへき身能程も・思志ら流れ者・む年のミ
ふ多可りて2・満可りて2給ぬ・大将の1君ひと
徒車丹て2・見ち能本と物可多りし給・猶この
古ろ能つ連/\尓ハ・この1院尓まいりて・ま」(119ウ)
きらハすへき2なり个り・个婦の屋うな2らん・
いとまのひ万・まち徒遣て2・花のおり春く
さす・まいれとの給徒るを・春おしミかてら・
月の1中尓・こゆミ・も多せて2・まいり給へと・か多
らひちきる・をの/\わ可るゝ・見ち能本とも1能
可多りしたまふて2・宮の1御事能猶い者満本し
0541【宮】-女三
0542【いはまほしけれは】-柏
个れ者・院尓ハ猶この1多1い尓のミ・も能せ2させ
0543【院】-源
0544【このたいに】-紫
給な1めり・な2可能お1本んお1ほえ能・古となるな1めり
閑し・この宮い可尓お1ほ春らん・み可と能なら
0545【みかと】-朱
ひなく・な2らハし多1てまつり給へる尓・佐しも」(120オ)
あらて・くし給尓多1らんこ2そ2・心く流し个れと・
あいな1くいへ者・多1い/\しき2古と・い可て可・さハ
0546【たい/\しきこと】-夕詞
阿らむ・こな2多ハさ満可ハりて・お1本し多1て給へる・
む徒ひの1遣ちめ者可り尓こ2そ2・あへ可めれ・宮
をハ可多/\に徒个て・いとやむこ2とな1く・思き2
古え給へるものをとか多り給へ者・いてあな1
0547【いてあなかま】-柏
可満給へ・み那きゝても者へり・いと/\お1し遣
なる・おり/\あな2るをや・さるハよ尓おしなへ
たらぬ人農御お1ほえを・あり可多きわさな2り
屋と・いと本し可る」(120ウ)
い可な2れハ花耳こ徒多ふうくひ寿能
0548【いかなれハ】-柏
桜をわきてね1くらとハせ2ぬ春能鳥能・桜
0549【桜をわきて】-女三宮にたとふ
0550【春の鳥】-衛門督詞
ひとつ尓とまらぬこゝろよ・あやしとおほ
ゆる事そ2可しと・くちすさひ尓いへ者・いて2
0551【いてあな】-大将詞心中
あな1あちきな1能物あつ1可ひや・されハよと思ふ
見山木にね1くら佐多むる者こ鳥も
0552【み山木に】-夕 紫上にたとふ 六 深山木ニよるハきてぬる箱鳥の明て立ラン事をこそおもへ(古今六帖4483、河海抄・休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
0553【はこ】-かほ一本 果鳥 万
0554【はこ鳥も】-箱鳥のまなくしは鳴春のゝの草のねしけき声もする哉(古今六帖4486・万葉1902、花鳥余情・休聞抄・岷江入楚)
い可て可花の1いろ尓あくへき2わりなきこ2と・
0555【いろにあくへき】-女三ノ宮をいふへし
0556【わりなきこと】-大将
ひ多おもむきにのミやハといらへて2・王徒ら
ハし个れ者・古と尓い者せ春なりぬ・古と事
尓いひまきらハして・をの/\王可れぬ・可むの」(121オ)
君ハ・猶おほいとのゝひん可し能多1い尓・ひとり
春見丹て2そ2も能志給遣る・お1もふ心ありて2・
とし古ろ可ゝる春まゐをする尓・人屋りな1
らす・佐う/\しく心本そ2き・おり/\あれと・
我身可ハ可り丹て2・な2と可思ふこ2と可な1ハ佐ら
むとのミ・心おこりをするに・こ能ゆふへより・くし
0557【くしいたく】-頭痛也又苦痛也
い多く・物思ハしくて2・い可な2らむおり尓・又さハ
可りにても・本の可なる御ありさ満をた尓1
見む・ともかくも・かきまきれ多1る・きハの
人こ2そ可りそ2め尓も・多1ハや春き・も能い見・」(121ウ)
か多ゝ可へのうつろひも1・可ろ/\しき耳・をの1
つ可ら・ともかくもも1のゝひ万を・う可ゝひ徒く流
屋うもあれなと・思屋る可多那く・ふ可き満と
のう地尓・な2にハ可り能事に徒遣て2可・かく
ふ可き2心あり个りと多1尓・志らせ2多て満
徒るへきと・む年い1多くいふせ2个れ者・小侍従
可り・れ1いのふミ屋り給ふ・一日風耳佐そ
0558【れいのふミやり給ふ】-名宛所
0559【一日風にさそはれて】-応徳二京極大閣 千代まてとさきそはしむる桜花みかきか原にほりうへしより(夫木集1115)
者れて2・見可きのハらを・王遣いりて2侍し
0560【みかきのはら】-\(朱合点) 垣ナトニヨス
に・いとゝい可尓・見お1とし給个ん・そ2能ゆふへより
見多里心ち可き2くらし・あやなく・个ふお($を(朱))な2可」(122オ)
0561【あやなくけふを】-\(朱合点) 伊 みすもあらすみもせぬ人の恋しくハあやなく今日やなかめくらさん(古今476・伊勢物語174・大和物語276・業平集22、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
めくらし侍な2とかき2て
よそに見て2おらぬなけきハ志个れ
0562【よそに見て】-衛門督
とも1な1こりこひしき2花の1夕可遣とあれ
登一日能心も志らぬハ・多1ゝよの徒年能な2可
めにこ2そハと思ふ・お1まへ尓人志け可らぬ
程な2れ者・かの1ふミをも1て万いりて・こ能人の
0563【この人の】-侍従詞
かくのミ王すれぬ物尓1・こ2とゝひも能し給こ2そ
王つらハしく侍れ・心くるし遣なるありさ満
裳見給へあまる心もやそ2ひ者へらんと・身
つ可ら能心な2可ら志り可多くな2むと・(+うち(朱))王らひて2」(122ウ)
き2こゆれ者・いとう多てあるこ1とをもいふ哉
0564【いとうたて】-女三宮
と・な2に心もな2遣尓の給て2ふミひろ遣多る
を御覧春・見もせ2ぬといひ多1ると古ろをあ
さ満し可りし・見春の徒ま越お本しあハせら流ゝ
尓・御おもてあ可ミて・お1とゝ能さハ可り・こ2と農
0565【おとゝ】-源
徒いてこ2とに・大将尓見え給な1・い者けな2き
御ありさ満な1めれ者・をのつ可ら・とり者つして・
見多1てまつるやうも1ありな2むと・いましめ
き2古え給を・お1本しいつる尓・大将の1さる事
能ありしと・か多りき2古え多1らん時・い可尓あハ」(123オ)
0566【あハめ】-アハク
め給ハんと・人の見多1てまつり个ん事をハ・
お1ほさて・まつハゝ可りき2古え給心のうちそをさ
那可り遣る・徒ね1よりも・お本んさしら遍な1个れ
0567【さしらへ】-返答
者・春さましく・志井て2き2こ遊へきこ2と丹も
あらね1ハ・ひき2志のひて2・れ1いの可く・一日の($盤(朱))つ連
0568【れいのかく】-侍従返事也
0569【つれなしかほ】-義孝集 わひぬれはつれなしかほにつくれとも袂ニかゝる雨のかなしさ(義孝集46、河海抄・紹巴抄)
那し可本ゝな2む・めさ満しうと・遊るしき2
古えさりしを・見春も1あらぬや・い可尓あな1
可遣/\しと・者や里可尓・ハし里可き2て2
い満佐らに色尓な1いて2そ山佐くらをよ
0570【いまさらに】-小侍従
0571【をよハぬ枝に】-空ー第五 白雲と見ゆる桜もある物をおよはぬ枝におもハさらなん(宇津保物語328、河海抄・休聞抄)
ハぬ枝耳心可遣きと可ひなき古とを」(123ウ)
登あり」(124オ)
(白紙)」(124ウ)
【奥入01】千とせを可年て2あそ2ふ徒る能毛こ2ろも1
席田第二反度也
【奥入02】耶輸陀蘿可布く地のそ2能尓
多1ね1ま起て2あ者ん可な2ら春
有為の1見やこ耳
雖有此説此哥之證拠不知誰説
頗凡俗事歟」(125オ)
イ本
任庭訓加首筆畢 良鎮」(125ウ)
わかな(墨) 一校了(朱) 二校了(朱)」(前見返し)