First updated 11/15/2001
Last updated 10/17/2025
渋谷栄一翻字(C)

  

若菜上

凡例
1.『大島本 源氏物語』(角川書店 平成8年5月)及び『大島本源氏物語DVD-ROM版』(角川学芸出版 2007年11月)に拠って漢字仮名字母翻字した。
2.漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するために太字で表示した。
3.通行の平仮名の字母はそのまま平仮名で表示した。
4.変体仮名は字母で表示した。
5.片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6.仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には「1」と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し字形には「2」と付記した。
7.本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8.本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
9.行頭に同字が並ぶ場合に、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。

「王可那」(題箋)

  朱雀院御門あ里しみゆき能後其比
0001【朱雀院の御門】-承平御門になすらふへし
0002【みゆき】-藤裏巻
  本ひより連いなら春なやミわ多らせもと
  よりあ徒しくおハしますう地尓こ能多ひハ
  ほそくお本しめ佐連て登し古ろをこな
  の本いふ可ききさいのハしましつる
  よろつ者ゝ可りき古えさせいまゝて
  おほし登ゝこ本り徒るを・そ能可多丹も
  よ越春丹やあらむにひさし可る満しき
  ちなん春るなと能た万ハせてさるへき
  まう遣ともさせこ多ち者春宮」(1オ)

  をゝきたてまつりて女宮多ちなん
0003【女宮たちなん四ところ】-女一宮落葉宮女四宮是也
  古ろおハしまし个るそ能に布#ち (朱))つ本と
0004【ふちつほときこえし】-延喜御時承香殿女御正三位源和子ハ光孝天皇の源氏也女御の御腹に慶子韶子斉子内親王三人ありいま女三宮ハ是になすらふるにや
  き古えしハ先帝源氏丹そおハしまし个る
  ま多とき古えさせし万いりた可
  きくらゐ丹も佐多まりへ可りし
  とり多て多うしろミもおハせ春はゝ
  か多もそ能春ちと那く者可なきかうい
  ハら丹ても能志个れ者ましらひの
  裳ほそ遣丹てほきさいの内侍督
  まいらせ多てまつりか多ハら尓なら婦」(1ウ)

  もて那しき古えなとせし遣おされ
  て$か(朱))とも御心尓いとおしき耳ハ
  きこえさせ可らおりさせし可ハ可ひ
0005【おりさせ給に】-朱雀院の脱履ハ身尽の巻にあり
  なく具ちおしくてをうら見多るやう
  丹てうせ丹し者ら能女三宮あま多
  の御中尓春くれてかなしき可しつき
  きこえそ能程御とし十三四ハ可りお者春
  い満ハとそむき春てこもりしなん
  に堂ちと満りて多れをたのむ可遣丹て
0006【たのむかけ】-(朱合点) わひ人のわきて(古今292・遍昭集30、河海抄・休聞抄・孟津抄)
  志ハんと春らむとゝこ能御事をうし路」(2オ)

  め多くおほしなけく(+に)丹し御寺徒くり
0007【にし山なる御寺】-仁和寺をいふなり光孝天皇御願寺也又宇多天皇御出家のゝち延喜元年十二月ニ御室仁和寺にたてらる同四年円堂をつくらる又承平御門天暦六年三月御出家ありて四月仁和寺に遷御あり
  ハてゝうつろ者せハんいそ起をせさせ
  尓そへてこのも起のをお本し
  いそ可せのうち尓屋んこと那くおほ春
  堂可ら物御てうとゝもをハ佐ら丹もい者すハ可
  な起あそひまて春こしゆへある可き
  里をハ多ゝこの御方にとり王多したてまつ
  らせそ能徒き/\をなむとみこ多ち
0008【そのつき/\を】-宇多御門御出家後朱雀院と申承平四年朱雀院御処分の事あり
  丹ハふ婦んともあり个る春宮ハ可ゝる
0009【御なやミ】-朱雀
  なやミにそへて越そむ可せへき御心徒可ひ」(2ウ)

  尓なと可せわ多らせへり者ゝ女御
0010【はゝ女御】-承香殿
  そひきこえさせまいりへり春くれ
  多るほえに志もあらさりし可と
  かくておハします春くせ可起りなくめ
  て堂个れハとし御物可多りこまや可に
  きこ盈させ个り丹もよろつ
  を堂もちハん御心徒可ひなときこえし
  羅せうしろミともゝこな多可那多
  ろ/\志可らぬな可らひ尓も能しへハい登
  うしろ屋春くきこえさせこの尓うらミ」(3オ)
0011【この世に】-朱雀院の御詞

  こるらす女宮多ち能あま多
  こりとゝまるさ起をおもひ屋るな
  らぬ尓も本多しなりぬへ可り个る佐き
0012【さらぬ別にも】-(朱合点)
0013【ほたし】-
(朱合点)
  のうへ尓みきゝし丹もより本可
  にあ者/\し具尓おとしめらるゝ春くせ
  あるなんいとくちおしく可那しきい徒連
  をもやうならん御世尓ハさ満/\尓徒个て
  とゝめて本し多つ年よそ能尓うし
0014【おほしたつねよ】-東宮ニ教申
  ろミなとあるハさる可多丹も$つ(朱))り
  三宮な無い者けな起よ者ひ丹てゝ」(3ウ)

  飛とりをたのもしきとならひてうち
  春てゝむに多ゝよひさすらへむこ
  いと/\うしろめたく可なしく御目
  おしのこひ徒ゝき古え志らせさせ女御丹も
0015【女御】-承
  うつくしきさ満尓きこえつ希させされと
0016【心うつくし】-慈悲 それをのミたのミ給ふ御心むけなり
0017【されと】-院の御心申
  女御よりハ満さりてと起めきひしに
0018【女御】-源氏宮
  みないと見可ハしし本と可らひとも
  うるハし可らさりし可ハそ能なこり丹て遣尓い万
  ハ王さと丹くしなとハなくとも満ことに
  とゝめてうしろミむとまてハほ佐春」(4オ)

  もやとそおし者可ら流ゝ可し・あさ
0019【あさ夕に】-作者詞
  このとをおほしなけくとしくれ
  まゝにやミ満こと丹をもくなり満さら
  せみ春能と尓もいてさせハ春も能
  の遣尓て々なやませ古ともありつれと
  いと可くうち者へをやミな起さ満尓ハおハし
  まさゝりつるをこの多ひハ可きりな
  とおほしめし多りくらいを佐らせつれと
  そ能に堂のミそめ多てまつりへる々ハ
  いまもなつ可しくめて多起ありさ満を」(4ウ)

  屋り尓まいり徒可うまつり可きりハ
  徒くしておしミき古え六条院よりも
  とふらひ志者/\ありつ可らもまいりへき
  よしきこしめしてハいとい多くよろこひ
  きこえさせ中納言満いりへるを
0020【中納言の君】-夕霧
  春能うちにめしい連て御物可多りこまや可
  なり故院う遍能いま者のきさミにあ万
0021【故院のうへ】-朱雀院御詞 桐壺御門事
  たのゆひこんありしこの
0022【この院】-源氏事
  い満のうち能御事なんとりわきての
0023【いまのうち】-冷泉院
  を起しを本や遣となりてと可起りあり」(5オ)
0024【おほやけとなりて】-朱雀

  个れハうち/\能御心よせハか者らすな可ら者可
0025【はかなきこと】-朧月夜の事
  なきこと能あやまり尓を可れ多てまつる
0026【あやまりに】-須磨
  裳あり个んとふをとしころことにふれて
  そのうら見のこし遍る遣しきをなん
  も羅しハぬさ可しきといへと能うへ
  尓なりぬ連ハとた可ひてうこき可な
  春そ能むくひみえゆ可めるなんい丹しへ
  た尓おほ可り个るい可ならんおりに可御心
  者へ本ころふへ可らむと世人もおもむ遣う多
  可ひ个るを徒ゐ尓志のひ春くし春宮」(5ウ)

  なと丹も越よせきこえい満者多
  志多し可るへきとなりむつひ可ハし
0027【したしかるへき】-明石姫君東宮の女御になり給ふ事也
  へるも可起りな尓ハひな可ら本上能を
  ろ可なるにそへてこのみち能やミに堂ち
0028【このみちのやミに】-(朱合点) 人のおやの心ハ(後撰1102・古今六帖1412・兼輔集127・大和物語61、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  まし里か多くななるさ満尓屋とて/\
  よそ能にきこえ者なち多るさ満耳て
  は$へ)る御事ハ可能ゆいこんた可へ春
0029【かの御ゆいこん】-桐ー
  徒可うまつりを起てし可ハ可く春衛の
0030【すゑの世のあきらけき君】-冷泉院をハ天暦御門になすらへ奉る也
  あきら遣起と志てきし可多能おもて
  おもこしふ本いのいとうれしくなん」(6オ)

  こ能行幸い丹しへのとりそへ
0031【この秋】-十月秋といへる紅葉を賞する故也又ハ春秋のき也
  てゆ可しくおほつ可那くなんおほえ多い
  めんにきこ遊へきとも者へり可なら春ミつ
  からとふらひも能しへきよしよ越し
  申給へなうち志本多れつゝの多ま者す
  中納言春起尓个ん可多ハとも可くも
0032【すき侍に】-過也
  おもふ堂まへわき可多く者へりとしま可り
0033【としまかり】-夕霧返答
  いりほや遣尓も徒可うまつり
  あひ多世中能こと越み多まへま可りあ
  里く尓ハ大小能ことにつ希てもうち/\」(6ウ)

  濃さるへき可りなと能徒いて丹もい尓
  志遍のう連ハしきことありてなんなうち
  可すめさるゝおりハらすな可くおほや
  氣能うしろミを徒可うまつりさして志徒
  可なを可なへむと飛とへ尓古も里ゐし
0034【ひとへに】-偏
  をも志らぬ屋う丹て故院
0035【故院】-桐
  ゆいこんのことも盈徒可うまつら春くら
  井尓おハしましゝ尓ハよ者ひ能
  能うつ者もをよハす可しこき可ミ能
  おほくてそ能さしをとけてらむせら」(7オ)

  流ゝ裳な可りきい満可くまつりこと越
  さりて志徒可尓ハしますころ本ひ
  うちをもへ多て那くまいりうけ多満ハら万
  本しきをさす可尓にとな
  よそ本ひ丹てをの徒可ら月日越春くす
  となんおり/\なけき申給楚うし
  二十丹もま多王つ可なるれといとよく
0036【二十にもまたわつかなる程なれと】-夕霧ありさま御らんして院の思召とりし事
  とゝのひ春くしてか多ちも佐可り尓に本ひ
  ていみしくきよらなる越め尓とゝめてうち
  満もらせ徒ゝこのもて王つら者せひめ」(7ウ)
0037【ひめ宮】-女三

  うしろミにこれをやな志れ春
  お本しより个りおほきとゝ能王多りにい万
0038【おほきおとゝ】-朱雀院# 致仕
  ハ春見徒可れに多りとなとし比心えぬさ満
  耳きゝしるいとおし可りしをみゝや春起
  可らさす可尓ね多くとこそあれと
  たま者する遣しきをいか尓能多ま者
0039【いかにのたまはするにと】-夕霧心中
  するにとあやしくめくら春にこのひめ
  を可くおほしあつ可ひてさるへき
  らハあ徒个て屋春くをも者なれ者や
  となん本しの多満者春流とをのつ可ら」(8オ)

  もりきゝたよりあり个れハさやう能
  すち尓やとハぬ連とふとえ可ほ丹も
  なに可ハいらへき古えさせんゝ者可/\しく
0040【たゝはか/\しく】-これよりハ夕霧御返答
  裳らぬ尓ハよるへもさふらひ可多く能
  ミなんとハ可り楚うして屋ミぬ女房
  ハきてみきこ盈ていとあり可多く
  もみえ可多ちようい可なあなめて多
  あつまりてきこ遊るをおい志らへるハいて
  さりとも可能可ハ可り尓お者せし
0041【かの院】-源氏御事
  ありさ満尓ハ盈な春らひきこえ者さ」(8ウ)

  めりいとめもあや尓こきよらにも能し
  し可ないひ志ろふをきこし免して
0042【きこしめして】-朱雀院
  満ことにか連ハいとさ満ことなりしそ可し
0043【かれハ】-源氏御事夕霧事取ませてありよく見わくへし
  いまハ丹もひまさりてひ可る
  とハこれをいふへき丹やとみゆるに本ひ
  なんいとゝ具ハゝり尓多うるハしたちて
  者可/\しき可多にみ連ハい徒くしくあ
  さや可にめもをよハぬこゝち春るをうち
  とけてたハふ連ことをもいひみ多れあそへハ
  そ能可多尓徒个てハ尓るなくあいつき」(9オ)

  なつ可しくうつくしきこと能ならひなき
  こ尓あり可多个連にもさ起
  のし者可られてめつら可なのあり
  さ満なり能うち尓おひいてゝてい王う
  能可きりなく可なしき尓志多まひさハ
  りなて可し徒きみ尓可へてほし多りし
  まゝ尓もおこらすひ遣して廿
0044【廿か内には】-源十九宰相廿一大将
  尓ハ納言丹もなら春なり尓起可しひとつ
  あまりてや宰相丹て大将可遣へり个ん
0045【宰相にて大将かけ】-参議時任例後二条関白師<モロ>通非参議人任例氏宗公
  それ尓これハいとこよ那く春ゝ見に多める」(9ウ)
0046【これはいとこよなくすゝみ】-夕霧ハ十九歳ニテ中納言ニ任セル事ヲいへり

  盤徒き/\のこのよ能おほえ能万佐るな
  めり閑し満ことにかしこ起可多のさえもち
  井なとハこれ裳おさ/\おとるましく
  あやまりてもおよす遣満さり多流お本え
  いと古となめりなめてさせひめ能いと
  うつくし遣丹て王可くなあり
  さ満なるをみ多てまつり尓も者やし
  たてまつり可徒ハ可多をひならむをハ
  み可くしをしへきこえ徒へ可らむのうし
  ろ屋春可らむ尓あ徒遣きこえ者やなと」(10オ)

  き古えとなしきめ能とゝもめしいてゝ
  もきと能た万ハ春流徒いて
  六条能おとゝ能式部卿能みこのむ春めおほし
0047【式部卿のみこのむすめ】-紫上事
  たて个んやう尓このをあ徒可りて者くゝ万ん
  も可な多ゝ尓ハあり可多し耳ハ
  中宮さふ羅ひつき/\能女御多ちとても
0048【中宮】-秋
  いと屋んことなき可起りらるゝに者可/\
  しきうし路ミなくてさやう能まし羅ひ
  いと/\ならむこ能権中納言朝臣
0049【権中納言の朝臣】-夕
  飛とりありつるうち可すめてみる」(10ウ)

  遍可り个れ王可个れといときやうさくに
  さ起堂能もし遣なる耳こそあめるをとの能
  給者春中納言ハもとよりいとまめ丹て
  としも可能王多りにを可けてほ可佐万に
0050【かのわたり】-雲居雁の事
  うつろふ遍くもらさり遣るにそ能おもひ
  かなひていとゝゆるく可多らし可能
0051【かの院】-源氏御事
  こ/\い可なるにつ希てを遊可
  しくおほし多流ハ堂え春(#)せさせ
  なれ丹もやむことな可ひふ可
  くて前斎院とをもい満尓王すれ可多く」(11オ)
0052【前斎院】-槿

  こそき古えなれといてそ能布り
0053【いてその】-朱ー詞
  せぬあ多遣こそいとうし路め多个れとハ
  の春れと遣尓あま多能尓かゝ徒らひて
  めさ満し可るへきおもひハありともや可て
  おやさ満尓佐多め多る丹てさもやゆつりをき
  き古えましなとも本しめす遍し満ことに
  す古しもよつきてあらせむと者んこも
0054【女】-ヲン
  多らハしくハ可能のあ多りにこそ者ふ
0055【ふれはハせ】-觸
  連者ハせまほし个れいく者くならぬこの
  能あひ多ハさハ可りゆくありさ満尓て」(11ウ)

  こそ春くさ満本し个れわ連女ならハお
  者ら可羅なりとも可なら春むつひより
  な満しわ可ゝりしと佐なんお本えし
  ましてあさむ可れんハいとことハりそや
0056【あさむかれん】-哢
  との給者せて御心尓可む能御事
0057【かむの君】-朧
  裳おほしいてらる遍しこのうしろミとも
0058【この御うしろみ】-女三
  能にをも/\しきめ能とのせうと左中弁
0059【左中弁】-六条院の院司かねたるをいふにや
  なる可能の志多しき丹てとしころ徒
0060【かの院】-六
  可うまつるあり个りこ能丹もよせ古と
0061【この宮】-朱雀院#
  丹てさふらへハ万いり多る尓あひて可多り」(12オ)

  春流徒いてうへなむ志可/\遣しき阿り
0062【うへなむ】-朱ー
  て古えしを可能尓おりあらハもらし
0063【かの院に】-六
  きこえさせみこ多ちハひとりおハし
  ますこそハ連いのれとさ満/\に津
  遣てよせたてまつり尓つ希て
  もうしろミ志給人あるハ堂能もし遣なり
  うへをゝき多てまつりて尓おもひき
0064【うへを】-朱
  こ盈へきもなけ連ハのらハ徒可う
0065【おのらハ】-左中弁詞
  まつるとてもにハ可りの徒可へ尓可あらむ
  我心ひとつ尓しもあらてを能徒可らおもひ能」(12ウ)

  本可能ハしまし可る/\しき
  古えもあらむ時尓ハい可さ満尓可ハ王つらハ
  志可らむらん春流尓とも可くもこの
0066【この御こと】-女三
  佐多まり多らハ徒可うまつりよくなんあるへき
  かしこ起春ちときこゆれとハいと春くせ
  さ多め可多くおハします連ハよろつ
  なけ可しく可くあま多の御中とり王起
  き古えさせ尓つ希ても農そミあへ可
  めるをい可てちりもすゑ多てまつらしとか
0067【ちりもすゑたてまつらし】-(朱合点) ちりをたにすへし(古今167・古今六帖3625・和漢朗詠299・躬恒集273、異本紫明抄・紫明抄・休聞抄・紹巴抄・花屋抄) 塵斗も人にあしく思ハせたてまつらしの心也又けかされぬ心也
  たらふ尓弁い可なるへき御事あらむ」(13オ)
0068【院】-六

  盤あやしきまて御心可く可り丹ても
  みそめへる御心と満り多るをもさし
  裳ふ可ゝ羅さり个るをも可多/\につ希て
  徒年とり津ゝあま多徒とへき古えへれと
  屋んことなくおほし多るハ可起りありてひと
0069【ひとかた】-紫上事
  可多なめれ者それ尓ことよ里て可ひな遣なる
  満ひ志可多/\こと#こ(朱))ハおほ可めるを
  くせありてもしさやう尓おハしますやう
  もあらハいみしきときこゆとも堂ち
  ならひておし多ち給事えあらしとこそ」(13ウ)
0070【おしたち】-圧

  盤おし者可羅る連とい可ゝとハゝ可ら流ゝ
  ことありてなんおほゆるさるハこの能さ
  可え春衛のに春起てもとなき
  ことハな起を能春ち丹てなん農もとき
  をもおひ我心丹もあ可ぬ裳あるとな
  つね尓うち/\能春さひこと尓本しの
  者すなる遣尓をの連ら可み多てま徒る
0071【をのれらか】-左中弁
  もさなんおハします可多/\に徒个て御影
  かくしへるみなら春堂ち
  く多れるきハ尓ハも能しハ年と可起りある」(14オ)

  多とも丹てありさ満尓なら婦
0072【院の】-六
  遍きおほえくし多るやハおハすめるそれ尓
  おしくハ遣尓佐もおハしまさハいか尓たく
  ひ多るあハひならむとか多ら婦をめ能登
0073【めのと】-女三
  と能徒いて志可/\なんに可しのあ
0074【しか/\なん】-左中弁
  そむ尓本のめ可しし可ハ可能尓ハ可なら春
0075【かの院】-六
  うけひきさせてむとし本い可
  なひてお本しぬへきことなるをこな多能
  ゆるし満こと尓ありぬへくハ徒多へき
  えんとな申侍しをい可なるへきこと尓か」(14ウ)

  盤らむ/\尓つ希て農きハ/\お
  ほし王起まへ徒ゝあり可多起御心さまに
  志れと多尓可ゝ徒らひおもふ多ち
  ならひ多ることハ農あ可ぬこと尓し者へ
  める越免さ満しきもやらむうし
  ろミ能そミ給人々ハあま多も能しめりよく
  お本しさ多めてよくらめ可きりな起
  ときこゆ連とい万能のやうとてハみな
  本可ら可尓あるへ可しくて御心と春
0076【ほからかに】-調達
  具し徒へきもハします遍可める越」(15オ)

  ひめハあさましくおほつ可なもと
  那くのミみえさせさふら婦々ハ徒可う
  まつる可きりこらめおほ可多能御心
  きて尓志多可ひき古えてさ可しき志も
  もなひきさふら婦こそたよりある古とに
  らめとりたて多うしろミも能し
  さらむハ猶心ほそ起王さになんへきとき
  古遊志可おもひたとる尓よりなみこ多ち
  能よつきたるありさ満ハう多てあハ/\し
  きやう尓もあり多可ききハといへとも」(15ウ)

  ハおとこ尓みゆる尓徒个てこくやし
  遣なる裳めさ満しきおもひもをのつ可ら
  うちまし流わさなめれと可つくるしく
  ひみ多るゝをさるへき尓堂ちをくれ
  てたのむ可けとも尓王可れぬるをたてゝ
  世中尓春くさむむ可しハ
  たひら可丹てにゆるさ流ましき
  をハをよ者ぬも能とならひ多り个んい満
  の尓ハすき/\志具み多り可ハしきことも
  類い尓ふれてこ遊めり可し昨日満て」(16オ)

  た可きおや能いへ耳あ可められ可しつ可れし
  のむ春め能个婦ハな越/\しくく多れるき
  ハ能春起とも尓な越多ちあさむ可れて
  なきおやのおもてをふせ可けを者つ可し
  むる多くひおほくきこ遊るいひもてゆ
  遣ハみなしことな/\に徒个て春
  くせなといふなることハ志り可たきわさな
  者よろつ尓うし路め多くなん春へてあし
  くもよくもさるへき尓ゆるしを起
  多るまゝ丹て世中をすく春ハ春くせ/\」(16ウ)

  丹て尓おとろへあるときもつ可ら
0077【後の世】-末世
  能あやまち丹ハならすありへてこよな
0078【へて】-経
  さい者ひありめや春きこと尓なるおりハ
  可くても阿し可らさり个りとみゆ連と
  たち満ち尓ふとうちきゝつ希多る
  おや尓志られ春さるへきもゆるさぬ尓
  徒可ら能志のひわさしいたるな
  丹ハますことなき春とおほゆるわさ
  なる越/\しき多農な可らひ丹て
0079【たゝ人】-凡
  多尓あ者つ遣くつきななり」(17オ)

  つ可ら能より者なれてあるへき尓も
0080【身つからの心よりはなれて】-三界唯ー
  あらぬをより本可に丹もみえ春く
  せの本とさ多められんないと可る/\しく
  能もて那しありさ満/\おしハ可ら流ゝ
  なるをあやしく者可なさ満丹やと
0081【心さまにや】-女三
  みゆめるさ満なるをこれ可連の尓ま可せ
0082【これかれ】-乳母共
  てもてなしきこゆな((朱)累)さやうなること能
0083【きこゆなる】-朱
  もりいてんこといとう起りなとみ春て
  たてまつり者んをうしろめ多(△&多)遣尓
0084【後の世】-朱
  きこえさせへ連ハいよ/\王つらハしく」(17ウ)

  あへりい満春こしをもひ志り本と
0085【思あへり】-乳母共
0086【いますこし】-朱詞

  まて春くさんとこそハとしころねんし
  つるをふ可き本いもとけ春なりぬへき
  能春るにもよ越されて可能六条のおとゝ
0087【かの六条のおとゝ】-源
  者遣尓さりともも能ゝえてうし路や春
  きか多ハこよな可りなんを可多/\尓あま多
  も能せら流へき々を志るへき丹もあら春可し
  とても可くて可らのと可におち
  ゐてほ可多能のためしともうしろ屋
  春起可多ハならひなくものせら流ゝ」(18オ)

  さらてよろし可るへき堂れハ可り可者
  あらむ兵部卿宮人可らハめや春し閑し
0088【兵部卿宮】-蛍
  しき春ち丹てことひとゝわきまへ
  としむへき尓ハあらねあまりい多くな
  よひよしめくをも起可多をくれて
  古し可ろひ多るおほえや春ゝ見尓多らむ
  さるハいとたのもし遣なくなんある
  大納言朝臣のいへ徒可さ能そむなるさ流
0089【大納言の朝臣】-無系図
  可多尓ものまめや可なるへき尓ハあなれと
  さす可にい可にそやさやうにおしなへ多るきハゝ」(18ウ)
0090【いかにそや】-如何

  めさ満しくなんあるへきむ可しもかうやうな累
  えらひ尓ハな尓耳ことなるおほえある尓
  ことよりてそあり个れゝ飛とへ尓
  もちゐん可多ハ可りを可しこきことにさ多
  めん(+ハ(朱))いとあ可すくちおし可るへきわさにな
0091【右衛門督】-柏木事
  衛門督志多尓王ふなるよし内侍督
  せられしそ能ハ可りなんくらゐなとい満春こし
  め可しき尓なりななと可ハともより
  ぬへきをま多としいと王可くてむ遣尓可ろ
  ひ多る本とた可きさし婦可くて屋もめ尓て」(19オ)

  春くしつゝ多く志徒まりあ可れる希
  志き尓ハぬ个て佐えなともとも那く徒井
  にハ可多めとなるへきれ者行春衛も
  たのもし个れと猶又このため尓と者てむ
  尓ハ可きりそあるやとよろ津尓おほし王つ
0092【かきりそあるや】-爰マテ朱ー詞
  らひ多りかうやうにもおほしよらぬあ年多ち
  をハ可けてもきこえなやまし給人もな
  あやしくうち/\にの多ま者するさゝめき
  とも能をの徒可らひろこりて越徒く春
  々おほ可り个りほきおとゝもこ能衛門督」(19ウ)
0093【おほきおとゝ】-致仕詞

  のいまゝてひとり能ミありてみこ多ちならすハ
  盈しとおもへるを可ゝ流佐多めともいてきたな
  を里尓さやう尓もおもむ遣多てまつりてめし
  よせ羅連多らむい可ハ可り堂め丹もめん
  本くありてう連し可らむとおほしの
  内侍の可んの丹ハ可能あね北方志て徒多へ
0094【あね北方】-姉 四君
  申給なり个りよろつ可きりな起ことの
  徒くしてそうせ佐せ个しきた万ハらせ兵部
0095【兵部卿宮】-蛍
  卿宮ハ左大将をきこえ者徒し
0096【左大将の北の方】-玉
  きゝ給らんあり可多本ならむことハとえり」(20オ)

  春くし尓い可ゝハ御心うこ可さらむ可起りな
0097【うこかさらむ】-立
  おほしいら連多り藤大納言ハとしこ
  の別當丹て志多しく徒可うまつりて佐婦
  羅ひなれ尓多るを御山こもり志のちより
  なくほそ可るへき尓このうしろミ
0098【この宮】-女三
  よせて可へりさせへく遣しきせ
  ハりたまふなるへし権中納言も可ゝ流
0099【権中納言】-夕
  とも越きふ尓徒て丹もあら春さハ
  可りおもむ希させたまへりし遣しきを
  たてまつりてし可ハを能徒可らたよりにつ希て」(20ウ)

  も羅しきこしめさ流ゝ裳あらハよもゝ
  て者なれてハあらし可しとと起めきも
  徒へ个れと女君い満ハとうちとけてたのミ
0100【女君】-雲井
  へるをとしころ徒らきにもとつ氣徒へ
0101【ことつけ】-カコツケ
  可りし多尓本可さ満のもなくて春具し
  てしをあや丹くにいまさらに堂ち可へり尓
  わ可にをや者せきこ盈んなのめなら春
  やむことなき起可多尓かゝつらひなな尓
  まゝならてひ多りみき尓や春可らすハ
  我身もく流しくこそハあらめなもとより」(21オ)

  春起/\志可らぬれ者志途め津ゝうち
  いてね佐春可に本可さ満尓佐多まりハて
  ハんもい可にそやおほえてみゝハと満り个り
0102【みゝはとまりけり】-耳ニトマル
  春宮も可ゝるともきこしめしてさし
  あ多りたるたゝい満のとよりも
  の堂めしともなるへきなり可ら
  よろしとても多ハ可起りあるをし可
  おほし多つことならハ可能六条院尓こ
  さ満尓ゆつりき古えさせハめとな王佐との
  せうそことハあらね遣しきあり个る」(21ウ)

  をまちき可せても遣尓さることよく
0103【まちきかせ給て】-朱
  おほしの多満ハせ多りといよ/\御心多ゝせ
0104【御心たゝせ給て】-思立
  まつ可能してそ可つ/\あない徒多へき古えさ
  せ个るこの御事可くおほし王つら婦
0105【この宮の御事】-源氏御詞御心中
  佐万ハさ起/\もみなきゝを起へ連ハくるし
  きと尓もあなる可なさハありとも
  能ゝこり春くなしとて古ゝ丹ハく者具
  堂ちをくれ多てまつる遍しとて可そ能御うし
  ろミ能をハうけとりきこえん遣尓志多いを
  あやま多ぬ丹てい満志ハしのものこりと万」(22オ)

  累可きりあらハおほ可多につ希てハいつ連能
  御子多ちをもよそにきゝ者なちたてまつる
  へき丹もあらね可くとり王きてきゝを起
  たてまつりてんをハとにこそハうしろミき
  盈めとおもふをそれ多尓いとふちやうなる
  能佐多めなさなりやとのましてひと
  (朱))尓堂のまれ多てまつるへき春ち尓むつひ
  なれき古えんことハ/\尓うちつゝき
  越さらむきさミくるし具み徒可ら能
  ため丹もあさ可らぬ本多し尓なんあるへき」(22ウ)
0106【中納言】-夕

  納言とハわ可く可ろ/\しきやうなれと
  さ起と越くて可ら裳徒ゐ尓おほや遣能
  うしろミともりぬへきおいさ起なんめれハ
  佐もおほしよらむ尓なと可古よな可らむされと
  いとい多く満め多ちて佐多まり丹て
  あめれハ連尓ハゝ可らせたまふ丹やあらむな
  のつ可らハおほし者なれ多るさ満なるを
  ハお本ろ遣能さ多め丹もあらぬを可く能
0107【おほろけの】-弁詞
  へ者とおしく具ちおしくもうち/\
  におほし多ち尓多るさ満な具ハしくき」(23オ)

  こ遊連ハさす可尓うちえミ徒ゝいと可なしく
0108【いとかなしく】-源氏御詞
  志多てまつりみこなめれ者あな可ち尓かく
  きし可多さ起のたとりもふ可きなめり
  閑しな堂ゝうち尓こそたてまつりハめ屋ん
  ことなまつの者すといふことハよし
0109【まつの人々】-早参宮仕
  ななりそれ尓さハるへきもあら
  春可那羅すさりとて春衛のをろ可な
  屋うもな御時ほきさ起能者う
  能者しめの女御丹てきま起しかと
0110【いきまき】-怒姿也
  む遣能春衛にまいりへりし入道耳」(23ウ)
0111【入道の宮】-薄雲

  志ハしハおされ可しこの見こ能者ゝ
  そハ可能者らからにも能したまひ
  遣め可多ちも佐しつきにハいとよしとい者れ
  りし可ハい徒可多尓徒个てもこ能ひ
  めをしなへて能き者尓ハよもお者せしを
  なとふ可しくハき古え遍しとし裳くれぬ
  朱雀院丹ハこゝちをこ多るさ満丹もお
  ハしまさねよろつあハ多ゝしくおほし多ちて
  もきほしいそくさ満きしか多
0112【御もき】-女三
  さ起あり可多遣なるまてい徒く志具のゝ志流」(24オ)

  志徒らひハ可へ殿の尓しおもてきちやう
0113【かへ殿】-柏 朱ー西対ニアリ
  よりハしめてこゝ能あや丹しきをませさせ
  者すもろこし能きさ起の可さりをお本し
  屋りてうるハしくこと/\しくかゝ(△&ゝ)やくハ可り
  とゝ能へさせへりこしゆひ尓ハおほきおとゝ
0114【御こしゆひ】-康子内親王之小一条左大臣ニ例
0115【おほきおとゝ】-致仕
  を可年てよりきこ盈させへり个れハこと/\
  しくお者する丹て万いり丹くゝおほし氣
  連と御事をむ可しよりそむき申給
  者年ハ万いりい満ふ多大臣多ちそ能
  のこり上達部と者王りな起さハりあるも」(24オ)

  阿な可ち尓ためらひ春遣つゝ万いりみこ
0116【みこたち】-宮
  多ち八人殿上人ハ多佐ら尓もい者す内春宮
  能のこら春万いり徒とひて可めしき
  い起能飛ゝきとこの多ひこ
0117【院】-朱
  とちめなれとみ可と春宮ハしめたてまつ
0118【とちめ】-限
  里てくるしくきこしめし徒ゝ蔵人所
  おさめと能ゝ可らともほく多てまつら
0119【から物】-宝
  せへり六条院よりも々能ろくそん
0120【そん者】-尊 徳爵歯備一ー
  の大臣ひき可能より楚
  たてまつらせ个流中宮よりもさうそく」(25オ)
0121【中宮】-秋

  くし能者こことにてうせさせかのむ可し
0122【むかしのみくしあけのく】-斎宮
  の見くしあ遣能ゆへある佐万にあらた
  めく者へてさす可尓もと能者えもうしな
  ハ春それとみせ徒可多堂てまつ
  連させ殿上もさふら婦
0123【宮の権の佐】-無系ー
  を御使丹てひめ御方に満いら春へくの多
0124【ひめ宮】-女三
  ま者せつれと可ゝることそにあり氣流
    佐しな可らむかしをい満尓つ多ふ連ハた万能
0125【さしなから】-中宮より三宮へ
  をくしそさひ尓个る院御らむし徒氣て
  あハれ尓おほしいてら流ゝ裳あり个り」(25ウ)

  あえ遣志うもあらしとゆつりきこえ
  へる本と遣尓おもたゝしき可むさしなれハ御返
  もむ可しのあ者れをハ佐しをきて
    佐しつきにみるも可よろつ越徒希
0126【さしつきに】-朱雀院返し サス心
  のをくし能さふるまてとそい者ひき古え
  へる御心ちいとくるしきをねんし徒ゝ本し
  おこしてこのいそ起者てぬ連ハ三日春くして
  徒井尓くしおろしよろしき
0127【御くし】-朱ー
  うへ丹てた尓い満者とてさ満可ハるハ可なし遣
  なるわさなれ者ましていとあハれ遣尓御可多/\も」(26オ)

  おほし満とふ内侍の可んの徒とさふらひ
0128【内侍のかんの君】-朧
0129【つとさふらひ】-集
  いミしくおほしいり多るをこし羅へ可年
  ハ可起りあり个りかく
  つへるの多へ可多くも阿る可なとて御心
  多れぬへ个れとあな可ち尓遣うそく尓可ゝり
  座主よりハしめていむこと能あさ
0130【山の座主】-朱ー例歟
  里三人さふらひて本う布くなとたてまつる
  このを王可れさほうい見しく可な
  个ふハ春満したる多ちなとた尓
  盈とゝめねまして女宮多ち女御更衣」(26ウ)

  古ゝ羅の男女可ミ志もゆ春りみちて
0131【ゆすり】-動
  とよむ尓あハ多ゝ志う可ゝ羅て志徒
  屋可なる屋可て古もるへ具おほしまう
  遣ゝ流本い多可ひてほしめさ流ゝも
  こ能をさな起尓ひ可されてとおほしの多
  まハすよりハしめ多てまつりてとふらひ
  の志けさいと佐らな六条院裳春こし
  ちよろしくときゝたてまつらせ
  いり堂うハり能ふなとこみなしこ
0132【御ふ】-勅旨田千町三千戸也
  おりゐのみ可とゝひとしく佐多まりへれ連」(27オ)
0133【おりゐのみかと】-仙洞

  登満こと能太上天皇儀式尓ハうけハり
  ハす能もて那しき古え多る佐万なとハ
  ことなれとと佐ら尓そ連いのと/\
0134【こと/\しからぬ御車】-檳榔唐庇ナトハ後々ニ出来物也
  志可らぬ御車に堂てまつりて上達部なと
  さるへきかきりてそ徒可うまつりへる
  尓ハいみしくまちよろこひき古え佐せ
0135【院にハ】-朱雀院御事
  てくるしき御心ちをおほし徒よりて
  いめんありうるハしきさ満なら春多ゝおハし
  ます可多にましよそひく者へてい連
  たてまつりへるありさ満み多てまつり」(27ウ)
0136【御ありさま】-源氏御心中

  ふ尓し可多さ起くれて可なしくとめ
  可多くおほさるれ者と見尓も盈ためらひ
  ハ春故院尓をくれ多てまつりしころ本ひより
  のつねくおもふへられし可ハこの可多能本い
  布可くすゝミしをよハくおもふ堂まへた
  遊多ふことのミつゝ徒ゐ尓可くみ多てまつりな
  まてをくれたてまつりぬるぬるさ
  を者つ可しくたまへ羅るゝ可なにとりて
  ハ古と丹もあるましくおへ多ち侍
  おり/\あるを佐ら尓いと志のひ可多起ことお本」(28オ)

  可りぬへきわさにこ个れとくさめ可多
  くおほし多り物心本そくおほさるゝ尓
0137【院】-朱雀院
  盈徒よ可らすうち志本多れひ徒ゝい丹しへ
  い満の御物可多りいとよ者け尓き古え佐せ
  个ふ可あす可とおほえつゝさす可に
0138【けふあすかと】-(朱合点) 我世をハ(新古今1651・伊勢物語158・業平集28、河海抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
  へぬるをうち多ゆミて布可起本いのはし
  丹てとけ春なりなんこして
  なんかくてものこり能よハひなくハをこな
  さし裳可なふまし个れとまつ可り丹ても
  とめをきて念仏をた尓と(△&と)者可/\」(28ウ)
0139【のとめをきて】-ノトカ

  志可らぬ丹てにな可ら布ること多ゝこ能
  佐し尓ひきとゝめられ多るともふへ志られ
  ぬ尓し裳あらぬをい満まて徒とめな
  こ多りを多尓屋春可ら春なんとておほしを
  きて多るさ満なとくハしくの者する
  徒ゐてみこ多ちをあま多うち春て
  くるしき又思ゆつる
  を者とりわきうしろめ多くみ王つらひ
  とてま本丹ハあらぬ遣しきくるしく
0140【御けしき】-源氏
  み多てまつり御心のうち尓もさす可に遊」(29オ)
0141【御心のうち】-源

  可しきありさ満なれ者おほし春くし可多
  具て遣尓多ゝよりも可ゝ流春ち丹ハ王多
  くしさ満のうしろミな起ハくちおし希
  なるわさにな个る春宮可くてハし
  ませハいと可しこき春衛の能まう遣の
0142【まうけの君】-儲弐
  あめ能志多のたのミ尓あふき
  盈さするをましてこ能と起古盈を可せ
  給ハんことハひとことゝ志てろそ可に可ろめ
  申給へきらねさら尓さ起のことお
  志なやむへき丹もらね遣尓可起り」(29ウ)

  阿連ハおほや遣となりよの万徒りこ
  に可なふ遍しとハいひな可らため尓な尓
  ハ可り能遣さや可な御心よせあるへき
  らさり个り春へて堂め尓さ満/\
  まこと能うしろミと春へきさるへき
  春ち尓を可ハし盈さらぬことに者くゝミ
  こ遊るまもりめなんうしろ屋春可るへ
  尓者つるを志ひて能御う多可ひ
  のこるへ具ハよろしき尓おほしえらひて
  志のひてさるへきあつ可りを佐多めを可せ」(30オ)

  へき尓なむ者へなるとそうしさやう尓
0143【さやうに】-朱雀院御詞
  よる事侍連とそれも可多起尓なん
  あり个るい丹しへのためしをき
0144【いにしへのためし】-忠仁
  多もつさ可りのみこに多にをえらひてさる
  佐万能を志へる堂くひおほ可り个り万し
  て可くい満ハとこのを者な累ゝきハ丹て
  こと/\し具へきもあらね志可すつる
  春て可多起ありてさ満/\尓
  王つらひ本と尓屋まひ者をもりゆくとり
  可へ春遍きもあらぬ月日能春起ゆ氣ハ」(30ウ)

  あ者多ゝしくな可多ハらい多起ゆつり
  なれとこのい者けな起内親王ひとりとり
0145【内親王】-女三
  王起て者くゝミおほしてさるへきよす可をも
  御心おほし佐多めてあつけへときこえ
  ま本しきを権中納言と能ひとりも能し
0146【権中納言】-夕
  つるすゝ見よるへくこそあり个れおほいまう
0147【おほいまうち君】-致仕
  ちせんせられて多くおほえとき
  盈中納言朝臣能まめや可なる可多ハ
0148【中納言の朝臣の】-源氏御詞
  いとよく徒可うまつりぬへくな尓
  裳ま多あさくてたより春くなくこ」(31オ)

  らめ可多志けなくとも布可起丹てうし
  ろミきこえさせらむ尓ハします可け尓
  かハりてハおほされしをさ起みし可くて
  徒可うまつりさすことやらむとう多可ハし
  き可多のミなんくるしく者へ#流(朱))へきと
  希ひき申給いりぬ連ハあるし能
  可多裳満らうと能上達部堂ちもみな御前
  丹て($)あるし能こと佐うし尓てうるハし可らす
0149【さうし】-精進
  な満め可しくせさせへり御前尓
0150【院の御前にせんかうのかけはん】-朝覲行幸時主上御前物紫檀懸盤六本有打敷等浅香ー准之「うちしきとうせんかうとうしゆんかうとう」(付箋01)「ともちるぎやうがうのときしゆしやうごせんもつしたんのかけばん六ほんあり」(付箋02)
  かう能可希者ん尓者ちなむ可し尓可ハり」(31ウ)
0151【御はちなと】-応量器ト云「をふりやうきといふ」(付箋03)

  てまいるをしのこひあハれなる
  春ち能ともあれとうるさ个れ者可ゝす
  布けて可へりろくとも徒き/\尓
  たまふ別當大納言をくり尓まいり
  あるし能个ふのいとゝ御風くハゝ里て
  可起み多りなやましくおほさるれとこの
  御こ古え佐多めつるを屋春くおほし个り
  六条院ハな満くるしうさ満/\おほしみ
  多るむらさ起のうへも可ゝる佐多めなか年
  ても本のき个れと佐しもあらし前斎院」(32オ)
0152【前斎院】-槿

  をもねんころ尓きこえやうなり志可と
  わさとしもほしとけ春なりにしをなと
  おほしてさることやあるともとひきこ盈
  ハすなになくてお者する尓とおしく
0153【いとおしく】-源氏御心
  このをい可尓おほさん我心可ハる満
  しく佐ることあらむ尓徒个てハ/\いとゝふ可(=カ)
0154【ふかさこそ】-(朱合点) 我ためハいとゝあさくや成ぬらん野中のし水ふかさまされハ(後撰784、花鳥余情・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
  さこそ満さらめみさためハさらむ本とい可尓
  う多可ひハんなと屋す可ら春おほさるい万
  のとしころとなりてハまして可多($)耳
  遍多てきこえとなあ者れなる可」(32ウ)

  なれ者志ハし尓遍多て能こし多るあら
  むもふせ起をそ能ハうちや春ミてあ可し
  日雪うちふり能个しき裳
  あハれ尓す起尓しか多さ起の御物可多りき
  こ盈可ハしの多能もし遣なくなり
0155【院のたのもし】-源氏御詞
  多るとふらひ尓まいりてあハれなるとも
  のありつる可な女三宮御事と春て可多
  遣尓ほして志可/\なむの多万ハせ徒遣し
  可ハくるしくて盈き古えいなひ春なり
  にしをと/\しくそハいひなさん可しい万ハ」(33オ)

  さやう能こともうゐ/\しく春さ満しく
  なりに多れ者徒て尓遣しき者ませ
  丹ハと可くの可れきこえしをいめんの徒い
  て尓布可起さ満なるとも越徒ゝ遣
  志尓ハ盈春く/\しくも可へさ飛さてなん
  ふ可き御山すミにうつろひハん尓こそ者
  わ多志多てまつらめあちきなくやおほさる
  へきいみしきとありとも多めあ流より
  可ハるハ佐ら尓あるましきをを起
  よ可能堂めこそ心くるし可らめそれも可多ハ」(33ウ)

  なら春もて那して多れも/\のと可丹て
  春くしハゝなときこえ者可な+さ(朱))ひ
  ことを多にめさ満しき尓おほしてや春
  可らぬ御心さ満なれハい可ゝおほさんとお本す尓
  いとつれなくてあハれなるゆつりにこ
0156【あはれなる】-紫上御詞
  ハあなこゝ丹ハい可なるをきたてまつる
  へきに可めさ満しく可くてと可めら流まし
  くハや春くても者へなんを可能者ゝ女御
  の御方さ満尓てもうと可らすお本し可すまへて
0157【うとからす】-源氏ノ君ハ紫ノヲハ
  むやとひ遣しあまりかううちとけ」(34オ)
0158【あまりかう】-源氏御詞

  ゆるしもい可な連ハとうしろめ多くこ
  あれまことハ佐多におほしゆるいわ連も
  えて那多ら可尓もて那し春くしハゝ
  いよ/\あハれ尓なひ可こときこえなとせ
  ゝい連春へてのくちと
  い堂可いひいつるともなをの
  つ可ら農な可らひなとうち本をゆ可ミおも
0159【人のなからひ】-(朱合点) 万 人中を人そさくなるゆめよきし人のなかこときゝたつな君(万葉663、河海抄・休聞抄・孟津抄・岷江入楚)
0160【ほをゆかみ】-方 曲
  者すなるいてく流なるをひとつ尓
  志徒めてありさ満尓志多可ふなんよ起ま多
  き尓さハきてあいな起も能うらミ志と」(34ウ)

  よくをしへき古え能うち丹もかくそ羅より
  いに多るやうなる尓ての可れ
  可多きを丹く遣丹もき古えなさし我心
  にハゝ可りひいさむる古と尓志多可ひ
  きを能可とち能よりこ連る遣さうにも
  あら春せ可るへき可多な起も能可らこ可万し
  くむ春本ゝ流ゝさ満世人もりきこえし
  式部卿宮能おほきたのつねうけハし遣
0161【式部卿宮】-兵
0162【おほきたの方】-紫継母
0163【うけはしけなる】-呪詛
  なるとも越津ゝあちきな($く)
  大将と丹てさへあやしくうらミそねミ」(35オ)
0164【大将】-鬚
0165【御こと】-玉
0166【そねミ給ふ】-紫

  ふなるを可やう尓きゝてい可にいち志るく
0167【かやうに】-女三
  あハせハんなひら可なる御心
  いへとい可て可ハかハ可り能く満者な可らむいまハ
  さりとも登のミ我身ひあ可りうらな
  て春くし遣る王らへならん志多尓
  ハ徒ゝ遣へととおひ羅可尓のミもてな
0168【おひらかに】-紫心
  へりとしも可へりぬ朱雀院尓ハひめ
  六条院うつろひハんきを志
  きこえへるいとくちおしくおほし
0169【きこえ給へる人々】-兵部ー 柏木
  なけく御心者えありてこえ」(35ウ)

  氣流可ゝ流さ多めをき古しめして
  本しと満り尓个りさるハ古としそよそちに
0170【よそちに】-源
  なり个れ者御賀ほや遣丹もき
0171【おほやけにも】-冷
  古しめし春くさす世中能いとなミ丹て
  ねよりひゝ具をと能王つらひおほくい可
  めしきハむ可しよりこのミ者ぬ御心尓て
  みな可へさひ申給正月二十三日のひなるに
0172【正月二十三日ねのひなるに】-延長二ー正ー廿五日甲子醍醐御門四十御賀宇多御門ヨリ献△令模之
  左大将殿北方わ可なまいり可年て
0173【北方】-玉
  しきももらし者てとい多く志のひて
  お本しまうけ堂り个れ者者可丹て盈」(36オ)

  いさめ可へしき古え者す志のひ多れと
  ハ可り能いきをひなれ者わ多り給御きし
  きと(+いと(朱))ひゝき古となりみなミ野おとゝの
  にしの者なちいてにましよそふ屏風
0174【はなちいて】-放出
0175【おまし】-座
  遍しろよりハしめあ多ら志具者らひ志つら
  ハれ多りうるハしくいしなと者多て春ちしき
0176【いし】-倚子
0177【御ちしき】-地鋪唐筵大文高麗縁
  四十まい志とね遣うそくなと春へてそ能
  くともいときよら尓せ佐せへり羅てん
0178【らてん】-螺鈿
  のミつしふ多よろひ尓ろも者こよつ春
0179【みつし】-厨子
0180【ふたよろひ】-四基
  遍て夏冬さうそくかうこく春り能者こ」(36ウ)

  春ゝりゆする徒き・可ゝ遣能者こなとやうの
0181【ゆするつき】-[水+甘]器有台并蓋
0182【かゝけのはこ】-掻箱
  うち/\きよらを徒くしへりか佐し能
  堂い尓ハちん志多むを徒くりめつらしきあや
  めを津くしなしき可年をも徒可ひな
  多る者えありい満め可しく可んのも能ゝ
  見屋ひふ可くかとめきへる丹てめな
  ぬさ満尓志なへる(り&る)ほ可多能をハ
  佐ら尓古と/\し可らぬなり々まいりな
  志ましにいとて可んの堂い
  めんあり御心能うち丹ハ丹しへおほしいつる」(37オ)

  ともさ満/\なり个ん可しとわ可く
  きよら丹て可く御賀といふことハひ可かそへ
  丹やとおほ遊る佐万能なまめ可しくのおや
  遣なくおハしますをめつらしくてとし
  遍多てゝみ多てまつりいと者つ可し
  个れと遣さや可なる遍多てもなくて御物
  可多りきこえ可ハしをさなもい
  うつくしくても能し可むの者うち徒ゝ
  きても御覧られしと能个る越大将
  可ゝる徒いて尓多にらむせさせんとてふ多り」(37ウ)
0183【御らむせさせん】-河海 槙柱同腹二人
0184【ふたり】-ひけくろの御子後右兵衛督左大弁といへる人なり母玉かつら也

  おしやう尓ふりわ希可ミ能な尓越し
0185【ふりわけかミ】-(朱合点) くらへこしふりわけ(伊勢物語48、河海抄・孟津抄)
  す可多とも丹て者す春く流よハひ裳
0186【すくるよハひ】-源氏
  つ可ら能尓ハ古とにと可めら連春
  む可しな可ら能わ可/\志きありさ満尓てあら
  たむることもな起を可ゝ流すゑ/\能もよ越し
  尓なん満ハしたなきまて志らるゝおりも
  遣る中納言い徒し可とまう遣多なる
  をと/\しくひ遍多てゝま多みせす可し
  よりことに可そへとり个る遣ふののひ
  こう連多个れ志ハしハをわ春れても」(38オ)

  へきをとき古え可んのとよく
  ねひまさりも能/\しき遣佐へそひてみる
  可ひあるさ満志
    わ可佐春へのこをひきつ連てもと
0187【わか葉さす】-玉かつら
  のい者ねをい能る个ふ可なとせめてをとなひき
  古えちんのおしきよつしてわ可那(△&那、=なイ、(墨)(朱))さ満ハ可り
  まい連り可ハら遣とり
    小松ハら春衛のよハひ尓飛可れてやのへ能
0188【小松はら】-源氏返し
  わ可なをつむへきとき古え可ハし
  上達部あま多みなミ能ひ佐し尓徒き」(38ウ)

  式部卿宮ハまいり丹くゝおほし个れと
0189【まいりにくゝ】-真木柱の事ゆへなり
  せうそこあり个る尓かく志多しきな可
  らひ丹てあ流やうならむもひんなくて
  堂けてそわ多りへる大将の志多り閑ほ
  丹て可ゝ流可らひ尓う遣ハりても能し
  遣尓屋まし遣なる王さなめれとむ万
  この多ちハつ可多に徒个てもおり多ちて
0190【この君たち】-大将こたちハ式部卿の御孫なり
  さうやく志こものよそえ多おりひつ
  そ中納言をハしめ多てまつりてさるへき
  可きりとり徒ゝきへり可ハらけく多り」(39オ)

  わかなあ徒いまいるまへ尓ハちん能可け
0191【わかなの御あつい物】-延長御賀例
  者んほむつきともなつ可しくい満め
  き多るせられ多り朱雀院く春り
  能堂ひらき者てハぬ尓より楽人
0192【楽人なとハ】-延喜十三ー例
  なとハめさすふえなとおほきおとゝ能
  の可多ハとゝ能へ世中尓この御賀
  よりめつら志くきよら徒く春へき
  あらしとのすくれ多るね可きりを
  か年てよりお本しまう遣多り个れハ志のひ
  屋可尓あそひ(+あり(朱))とり/\尓多てまつる尓」(39ウ)

  和琴可能おとゝの第一飛し个る
  佐る上手をとゝめてひきらし
  へるねいとならひな起をハ可起多て尓
  具ゝ志多まへハ衛門督能可多くいなふるをせめ
0193【いなふる】-辞
  へハ遣尓いとおもしろくおさ/\をとるまし
  くひく上手能徒きといひな可ら
  可くしも盈つ可ぬわさそ可しと尓くゝあハれ
  に々おほ春志らへ尓志多可ひてあと阿る
  てとも佐多まれるもろ古し能徒多へとも
  /\堂つ年志るへき可多あらハなる越」(40オ)

  ま可せて堂ゝ可起あ者せ多るす可#可(朱))
  きによろ徒の能ねとゝのへられ多るハ
  堂へ尓おもしろくあやしきまてひゝ具ちゝ
  おとゝハと能をもいとゆるに者りてい多う
0194【ゆるに】-緩
  く多して志らへひゝきおほくあ者せてそ
0195【くたして】-下
  可起ならしこれ者いと王羅ゝ可尓の本るね
  のなつ可しくあい徒き多るをいと可う
  志もハき古えさりしをとみこ多ちもお
  ろき兵部卿宮ひきこ能
0196【琴】-キン
0197【兵部卿宮】-蛍
  盤宜陽殿も能丹てたい/\尓第一農」(40ウ)
0198【宜陽殿】-キヤウテン
0199【御ものにて】-百余代ハ宝物楽器等被納

  ありしとをの春衛徒可多一品宮
  のこのと丹てた万ハりへ里遣る越
  こ濃おり能きよらを徒くしハんと春流
  ためとゝの申給ハりへる徒多へ/\をお
  ほ春にとあ者れ尓む可し能しく
  お本しいてらるみこも盈いなきえとゝめ
  ハ春遣しきとりハおまへ耳
0200【琴】-キン
0201【おまへに】-源
  ゆつりき古えさせのあハれ尓え春くし
  ハてめつらしきひとつ者可りひき
  こと/\し可らね可起りなくおもしろき」(41オ)

  あそひなり佐う可能々見ハし尓
  めして春くれ多るこゑ能可きりい多して可へり
0202【かへり】-反音律
  尓なる布け行まゝにの志らへとも
  なつ可しくかハりてあをやきあそひ本と
0203【あをやき】-催馬ー律
  遣尓ねくら能うくひ春おとろきぬへくいみしく
  おもしろし王多くしこと能さ満尓志な
  ろくなといときやうさく尓まう遣られ多り(△&り)
  个りあ可可んの可へり給御をくり
  あり个り可うよ越春つるやう丹てあ可し
0204【かうよを】-源氏
  くらす尓としゆくゑも志らす可ほ」(41ウ)
0205【とし月の】-(朱合点) 拾 年月の行ゑもしらぬ山かつハ滝の音にや春をしるらん(拾遺1003、河海抄・孟津抄・花屋抄)

  なるをかう可そへ志らせへる尓つ希て
0206【かうかそへしらせ】-(朱合点) 後 かそへしる人なかりせはいたつらに谷の松とや年をつまゝし(千載959、花鳥余情・細流抄・休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
  ほそくなん/\ハおひやまさるとみ多
  まひくらへよ可しかくふるめ可志き
  せさ尓もふ尓志多可ひてたいめんなきも
0207【たいめんなきも】-致仕# 玉
  いとくちおしくなんなこえあハ
  連丹もお可しくもき古えとな起
  にしもあらね/\本の可丹てかくいそき
  王多りとあ可春くちおしくそ
  佐連个る可むの満こと能おやをハさる
  遍きハ可り尓き古えあり可多く」(42オ)

  こ満可なりし御心者えをとし尓そへて
  か具尓すミはて尓徒遣てをろ可
  ならす思ひき古え个りかくてき佐らき
  の朱雀院能ひめ六条院
  王多りこの丹も御心まう遣よ能徒年
  なら春わ可那万いりし尓し能者なちいて尓
  御丁てゝ多の一二の多王多殿
  か遣て女房能徒本年/\まてこ満可耳
  志つらひ見可ゝせへりう地尓まいり給人
0208【うちにまいり給人のさほう】-如入内
  のさほうをまねひてかのよりもてうと」(42ウ)

  者こはる王多りきしきいへハ佐ら
  をくり尓可む多ちめなとあま多万
  いかの遣いしのそ大納言
  屋春可らす可らさふらひ御車よせた
  累王多りろし多まつり
  ともい尓ハた可ひ多るとも
  尓おハす連ハよろ徒のかきりありて
  まいり丹もに春むこ能おとい者ん丹も
0209【むこのおほ君】-催ー我家曲
  ことた可ひてめ徒ら志き可能あ者ひとも
  になん三日可ほと・かのよりもあるし能」(43オ)

  可多よりもい可めしくめ徒ら志き
0210【みやひ】-閑麗
  屋ひを徒くしいのうへもことにふ連て
0211【たいのうへ】-紫上
  たゝ丹もおほされぬありさ満なり遣尓
  可ゝ流尓つ希てこよな尓をとり遣多
  流ゝあるまし个れとらふ
  ならひ者なや可におひさ起とをくあな
  つり丹くき遣ハひ丹てうつろひへる尓な
  まハしたなくおほさるれとつ連なくのミもて
  那して王多りのもも尓者可な
  古とも志いていと羅う多けなあり」(43ウ)

  さ満をいとゝありか多しと古え
  め宮ハ遣尓ま多いとちいさくか多なり尓
  おハするう地丹もとい者けな起遣しき志て
  ひ多見ち尓王可ひへりかのむらさき能
0212【わかひ】-若
  ゆ可り多つ年とりへりしおおほしいつる
  尓可れ者佐連ていふ可ひありしをこれ者い
  い者けなくのミへハよ可めり丹く遣尓
  をし多ちたることなとハあるまし可めりと
  おほ春可らとあまり者へな起
  さ満可なまつり三日よ可」(44オ)

  連なく王多り給をとし古ろ佐もならひ
0213【としころさも】-紫上
  ハぬち尓志のふれとものあハれなり
  そともないよ/\たき志め佐せも能可ら
  う地な可めても能し遣しきいミ志くらう
  た希尓可しなとてよろ徒のありとも
  又人をハならへてるへきあ多/\志く
  よハくなりをき尓遣るをこ多り耳
  閑ゝ流裳いてくるそ閑しわ可个れと
  中納言をハえおほし可遣すなりぬめりし
  をとわ連な可ら徒らくおほし津ゝく流尓」(44ウ)

  くまれてこよひハ可りハとハりと遊るし
0214【こよひハかりハ】-源氏御詞
  てんなこれより能ちのと多えあらむこ
  な可らも徒きな可るへ个れまたさりとてか
  の尓き古しめさんことよとひみ多れ
  遍る御心う地くるし遣なりすこしほゝえミ
0215【すこしほゝえミ】-紫上
  てつ可ら能御心可らた尓え佐多めまし
  可なるをましてことハりもにもい徒こ耳
  と満るへき尓かといふ可ひな遣にとりな
  へ者はつ可しうさへおほえ徒ら徒えを
0216【はつかしうさへ】-源氏
  徒きよりふしへれ者女君すゝり越」(45オ)

  ひきよせて
    めにち可くうつれ者か者る
0217【めにちかく】-紫の上
  春衛と越くたのミ遣る可なふる古となと
  かきませとりて見給毛可那きこ
  なれと遣尓とことハり丹て
    堂ゆともえめ佐多めな
0218【命こそ】-源氏返事
  よの徒ねらぬと見尓もえ王
  多ハぬをいと可たハらい多きわさ可な
0219【いとかたハらいたきわさかな】-紫の上
  そゝ能閑しき古えたまへ者よゝか尓お可しき
  本とにえならす丹本ひて王多りい多し」(45ウ)

  とたゝ丹ハあら春可しとし古ろさもや
  あらむとしことゝもいまハと能ミも
  者なれ津ゝ佐らハかくこそハとうちと遣
  すゑ尓あり/\てかくゝ見ゝもな
  のめならぬ能いきぬるよ佐多む
  へきありさ満丹もあら佐り个れ者・いま
  よりのちもうしろめ多くそおほしなり
  ぬるさこつ連なくまきらハしへと
  婦らふ々ももハ春なるなりやあ万
  たものしやうなれとい徒可たもみなこなた」(46オ)
0220【こなた】-紫上の事

  の遣ハひ尓ハ可た佐り者ゝ可るさ満丹て
  春くしへ者こ那くな多ら可丹も阿連
  おし多ちて可ハ可りなるありさ満尓个多
  連てもえ春くしましさり登て
  者可那きことにつ希て屋春可らぬ
  のあらむおり/\可なら春王つらハしき
  ともてきなむ可しなとをの可志ゝうち
  か多らひなけ可し遣なるを徒ゆも志ら
0221【つゆも】-紫の上
  ぬやう尓と氣ハひお可しく可多りなと
  志つゝふく流まておハすかうのたゝ」(46ウ)

  なら春いひ多るもきゝにくしとほし
  てかくこれ可連あま多も能しめれと
  かなひていまめ閑しくすくれ多るき
  丹もあら春とめなれて佐う/\しくおほし
  たり徒るにこののか具王多りへるこ
  めや春个れ王らハうせぬ丹やあらむ
0222【わらハ心】-紫心
  もむ徒ひて古えてあらま本しき
  あいなく遍多てあるさ満尓々屋とりな
  むと春らんひとしきをとり佐万な
  尓こたゝなら春見ゝ多とも」(47オ)

  をのつ可らいてく類わさな可たし希那く
  く流しきとなめれ者い可てを可れ多
  ま徒らしとなとのへ者な可徒可さ
  中将なとやう能々めをくハせ津ゝ
  まりなる御思屋り可ななといふへしむ可し
  者多ゝならぬ佐万尓徒可ひなら志
  ともれととし古ろ者この御方尓さふらひ
  て・みなよせき古え多るなめり可多/\
  よりもい可尓おほ春らむもとよりハな
  多々ハ/\屋春きをなとおもむ希」(47ウ)

  津ゝとふらひき古えもある越かくおしハ可る
  こそな可/\く類し个れ世中もいとつね
0223【世中も】-紫上
  ものをなとて可さのミハやまむなとおほ春
  あまりひさしきよひ井も連いならす
  やと可めんとのお尓ゝおほして入給ぬ連ハ
  ふ春満万いりぬれと遣尓か多ハらさひし
  きよな/\へ尓遣るもゝならぬ心地春れ
  とかの春まのわ可れのおりなとをおほし
  いつれ者いまハと可遣者なてもたゝお
  うち尓きゝ多まつらまし可ハと」(48オ)

  我身まてのことハうちをきあ多らしく可な
  志可りしありさ満そ可し佐てそ能ま起れ耳
  いのち多え春なりなまし可ハい婦
  可ひあらまし可ハとおほしな越春うち
  多るの遣ハひ飛やゝ可丹て婦ともねいら
  れハぬをち可くさふら婦々あやしとやき
  可むとうちも見しろきハぬもとく流
  志遣なりよふ可きとり能こゑの古え多流裳
  ものあハれなり王佐と徒らしと尓ハあらね
  可やう尓見多れ給ふ遣尓や可能遊め耳」(48ウ)
0224【かの御ゆめに】-源氏

  个れ者うちおとろきい可丹と
  さハ可しとりの年まちいへれ者
  ふ可きも志ら春可ほ尓いそきいいと
  い者遣な起ありさ満なれ者め能と多ち
0225【いはけなき】-女三宮
  ち可くさふらひ个り徒まとおしあ遣ていて
  多てまつりをく流あ希くれの
0226【あけくれの空に】-(朱合点) 明くれの空にそ我ハまとひぬるおもふ心のゆかんまに/\(拾遺736、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  ひ可りえておほつ可なこりまてと
  まれる丹本ひやミハあや#な(朱))しとひとりこ
0227【やミハあやなし】-(朱合点) 源
  多るハと古ろ/\きえのこりたる可いと
  志ろきふと遣ちめえわ可連ぬ本と」(49オ)

  なるにな越のこれる志のひ屋可に
0228【なをのこれる雪】-子城陰處猶残雪衙皷声前未有塵 示天子城都也国衙所政也
  くちすさミ津ゝみ可うしう地たゝき
  ひさしく可ゝ流ことな可り徒るならひ尓々も
  そらねを志津ゝやゝま多せたてまつりて
  ひきあ希多りこよなくひさし可り徒る尓
  もひえに个るハをちきこゆる能をろ可
  ならぬ尓こそあめれさるハ徒ミもなしやとて
  ひき屋りなとし春こしぬれ多る
0229【すこしぬれたる】-紫の上の御ありさま
  ひとへのひき可くしてうらも那具
0230【袖を】-紫
  なつ可しき可らう地と遣てハ多あらぬよう」(49ウ)

  いないと者つ可し遣尓可しかきりな
0231【かきりなき人と】-源氏御心中 女三
  とき古ゆ(△&ゆ)れとか多可め流よ越とおほし
  らへら流よろつい丹しへのとをおほしい
  津ゝとけ可多き(个しき(朱))をうら見き古え
  ハくらしへれ者え王多りた万ハて志ん
0232【しんてんに】-女三
  てん尓ハうそこをき古え遣さの
  ちあやまりていとなやましくれハ
  や春き尓ためらひとありめ能と
  き古えさせぬとハ可り古とハ尓きこえ多り
  古となるなの御返やとおほ春耳」(50オ)
0233【ことなる事なの】-源氏
0234【院に】-朱ー

  きこしめさん古ともいとをしこの古ろ
  ハ可り徒くろハんとおほせえ佐もあらぬを
  さハし事そ可しあなくるしと
  可らおもひ津ゝ遣女君屋りな
0235【女君】-紫上
  可なく流し可り遣さハれいのやう尓お
0236【けさハれいのやうに】-源
  ほと能こもりおきさせ可た尓
0237【宮の御かたに】-女三
  ふミたてまつ連古と尓(△&尓)者つ可し希も
0238【はつかしけもなき】-女三
  なきさ満な連とふてとひき徒く
  ろひて志ろき可ミに
    な可みちを遍多徒るほとハなけれとも」(50ウ)
0239【なかみちを】-源氏ー

  み多るゝ遣さのあ王むめ尓徒遣へり・
  めしてにしの王多殿より多てまつらせよと
  の屋可てい多してハしち可くおハします
  志ろきともをきをまさくり
0240【花を】-女三
  徒ゝともまつ本農可尓のこれるうへ尓
0241【ともまつ雪の】-(朱合点) 後 ふりそめて友まつ雪ハむは玉の我くろかミのかはる也けり(後撰471・古今六帖1397・貫之集841、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚)
  う地ちりそ婦そらをな可めへりうくひ春
  の王可や可尓ち可き古う者いのすゑ尓うちな
  き多るを丹本へとをひき可くし
0242【袖こそにほへ】-(朱合点) 古今 おりつれは袖こそにほへ(墨) おりつれは袖こそにほへ梅花ありとやこゝにうくひすのなく(朱)(古今32、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄)
  て見すおしあ遣て可めへる佐万ゆめ尓
  も閑ゝ流農おや丹てをもきくらゐとみえ」(51オ)
0243【人のおや】-源

  者す王可うなまめ可しきさ満なり可へり
  すこしふるちすれ者いり女君
0244【いり給て】-源
0245【女君に】-紫上
  花見多てまつり者那とい者ゝかくこ
0246【花】-梅
  丹本者満本し个れな佐くら尓うつしてハちり
0247【さくらにうつしてハ】-(朱合点) 紫模之
0248【ちりはかりも】-少也
  者可りも王く流可たなくやあらましなと
  のこれもあま多うつろハぬほとめとまる
0249【これも】-紫詞
  丹やあらむ者な能佐可り尓らへて者や
0250【はなのさかりに】-桜 女三
  なとの御返ありくれな井能う春やうに
0251【御返】-女三
  あさや可にをし徒ゝまれ多るをむ年徒ふれ
0252【つゝまれたる】-包如金
  て(てのいと王可き越志ハしみせ多てまつらて(朱))あら者やへ多つとハな个れとあ者/\しき」(51ウ)
0253【わかき】-悪
0254【みせたてまつらて】-紫ニ

  屋うならんハのほと可たし遣なしとおほ春尓
  可くしハんもをきへ个れハ可たそハ
  ろ遣へるを志りめ尓をこせひふし
  へり
    者可なくてうハ能そら丹そき#え(朱))ぬへき
0255【はかなくて】-女三宮
  尓たゝよふあ王雪御て遣尓いとわ可
  くをさな遣なりさハ可りの尓なりぬる
0256【さハかりの程に】-紫心中
  とかくハ#者(朱))せをとめと満れと
  ぬやう尓まきらハしてやミのうへ
  ならハ佐こそあ連なとハ志のひてきこえへ」(52オ)

  个れととおしくて屋春くを那し
  へとのミき古え个ふハ御方にひる王多
  里古と尓うち遣佐う志へるあり佐ま
  てまつる女房とハましてるかひ
  ありときこゆらむ可し本んめ能となとやう
0257【おほんめのと】-女三
  能おい志らへる々そいてやこ能ありさ満ひと
0258【御ありさま】-源
  めて多个れめさ満しきことハありなむ可しと
  うちませてふもあり个る女宮ハいとらう
0259【女宮】-女三
  た希尓さなき佐万丹て志徒らひなと能
  こと/\しくよ多けくうるハしき尓つ可らハ」(52ウ)

  なもなもの者可な御程丹て
  そ可ち尓もなくあえ可な古と尓者ち
  なとも者すゝちこ能おもきらひせ
  ちしてや春くうつくしきさ満しへり
0260【院のみかとハ】-朱ー 源心
  のみ可とハをゝしく春くよ可なるか多能
  えなとこもとなくおハし満春と世人
  めれを可しき春ち尓まめき遊へ
  ゆへしき可た者尓万佐りへるをなとて可く
  おひら可にほしたてひ个んさるハいと御心
0261【おひらかに】-ヲサナク
  とゝめへるみこときゝしをとまくち」(53オ)

  おし个れとに具可ら春まつりたゝ
  き古えふまゝになよ/\となひき
  いらへなとをもおほえ遣るとハい者遣な
0262【こと】-言
  うちのいてゝえ者な多すむ可し
0263【うちの給いてゝ】-女三
  能らまし可ハう多てをとりせましをいまハ
  世中をミなさ満/\に多らめてあるも
  可ゝ流もきハ者な流ゝことハ可多起なり个り
0264【きは】-品
  とり/\にこほうハあり个れよそひ者
  いとあら満本しきなり可しとおほ春にさし
  ならひめ可れ春たてまつりへるとしころ」(53ウ)
0265【ならひ】-女三 紫上

  よりも堂いのうへ能ありさ満そな越あり
  か多く王れな可らもおほし多个りとお本
  春一夜の本とあしたのまもこひしくおほ
  徒可なくいとゝしき御心さし能まさるを
  かくおほゆらんとゆゝしきまてな
0266【院のみかと】-朱ー
  み可とハ月のうち尓みてらにうつろひ
  のゐん尓あ者れなるうそことも
0267【このゐん】-源氏御事
  ひめとハ佐らなり王つらハし
0268【ひめ宮】-女三
  くい可尓きくやな者ゝ可りとな
  てともかくも多御心尓可遣てもて那し」(54オ)

  遍くそひ/\き古え遣るされとあハれ尓
  うしろめ多くをさなくお者するをきこえ
  个りむらさき能うへ丹もうそこ古と尓
0269【むらさきのうへ】-始号
  ありをさなちなき佐万丹てうつ
  ろひものすらむを徒ミなくおほしゆるして
  うし路みたまへ堂つ年へきゆへもやあらむ
0270【うしろみたまへ】-女三ハ紫ノ母方ノイトコ
  とそ
    そむき丹しこの尓のこる古ゝろこ
0271【そむきにし】-朱雀院
0272【この世】-子
  い流みち能本多しなり个れやミを盈ハる
0273【やミをえハるけて】-(朱合点) 古今 世をすてゝ(古今956)
  遣てきこゆるもこ可ましくやとあり」(54ウ)
0274【おとゝも】-源

  とゝも見給あハれなるうそこを可し
  こまりき古えへとて御使丹も女房して
  ハら遣佐しい佐せ志井させ
  へりハい可ゝな古えにくゝほし多れと
  古と/\しくおもしろ可るへきおり能ことな
  ねゝこゝろをのへて
    そむくよ能うしろめ多くハ佐りか多き
0275【そむくよの】-紫上
  ほ多しを志井て可遣な者なれそとやうに
  そあめ里し佐うそく尓本そ可そへて
  かつてなと能いとめて多きを院御」(55オ)
0276【御て】-紫
0277【院】-朱ー

  してもいと者つ可し遣なめ流
  あ多り尓い者遣なくてらむ
0278【いはけなくて】-女三宮御事
  くるしうおほしたりいまハとて女御更衣
0279【いまハとて】-朱 山居
  多ちなをの可志ゝ王可れふもあハれなる
  古となむおほ可り遣る内侍可むの
0280【内侍のかむの君】-朧月夜
0281【こきさいの宮】-姉大后
  きさいのハしまし志二条
  そすミひめみや能とををきてハこの
  と越な可へり可ち尓見可ともおほし
  多り遣るあ万尓なりなんとおほし多れと
  可ゝ流き本ひ尓ハ志多ふやう尓あハ多たし」(55ウ)

  といさめやう/\となといそ可せ
  六条とゝハあ者れ尓あ可す能見お
  志て屋ミ丹しあ多りなれ者とし古ろ
  もわ春れ可多くい可ならむおり(+尓(朱))多いめあらむ
  いま多ひあひみて能よの古ともき
  えまほしくのミおほし王多るを可多
  きゝ見ゝも者ゝ可りへき能本と尓
  とおし遣なりしよのさハきなともおほし
  てら類連ハよろ徒尓津ゝ見春くし遣る
  をかうのとや可になり世中をおひ」(56オ)

  志つまりらむ古ろ本ひのあり佐万いよ
  いよゆ可しく心もとな个れ者あるましき
  とハおほしな可らほ可たのとふらひ尓古と
  つ希てあ者れなる佐まに徒年尓き古え
  わ可/\し可るへきあ者ひならね可へり
  もとき/\尓徒个てこえ可ハしむ可し
0282【とき/\に】-自朧
  よりも古よなうちくしとゝのひ者て尓
0283【くし】-具
  多御遣ハひをミ丹も志のひ可多くて
  む可し能中納言能もと尓もふ可き
0284【むかしの中納言の君】-朧乳母
  ともを徒年尓のかの農せうとなる」(56ウ)
0285【かの人】-中納言

  い徒ミのさきの可ミをめしよせわ可/\
0286【めしよせて】-源
  志くい丹しへ尓かへりてか多らひつて
  らてもの古し尓きこえ志ら春へき古と
  なんある佐りぬへくきこえなひ可していミ
  志く志のひてまいらむいまハさやう能あり
  きもところせ耳お(+本)ろ遣なら春
  志のふ連ハこ丹も又人丹ハらしハしと
  おもふ尓か多$見(朱))尓こゝろや春くなんなとの
  可むのいてやよ能な可を志流尓徒遣
  てもむ可しより徒らき御心古ゝら徒め」(57オ)

  つるとし古ろ能者てあハれ尓可なしき
  を佐しをきい可なるむ可し可多りを可き
  こえむ遣尓ハもりき可ぬやうありとも
0287【心のとハんこそ】-(朱合点) 後 なき名そと人にハいひてありぬへし心のとハ(ハ+は)いかゝこたへん(後撰725、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  とハんこそいと者つ可しかるへ遣れとうちなけき
  津ゝな越佐ら尓あ流ましきよしをのミ
  きこ遊い丹しへわりな可りし多に
  可ハしハぬ丹もあら佐りしを遣耳
  そむきぬるうしろめ多きやう
  尓ハあれとあらさりし丹もあらね
  い満しも遣さや可にきよまハりて多ち尓し」(57ウ)
0288【たちにし我名】-(朱合点) むら鳥のたちにし我名今更にことなしふともしるしあらめや(朱)(古今674・新撰和歌272・古今六帖4330、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)

  我名いま佐ら尓とりかへしへき丹やと
  本しをこしてこの志の多能もりをみち能
0289【しのたのもり】-(朱合点) 六ー いつミなるしのたの杜のくすの木もちへにわかれて物をこそおもへ(古今六帖1049、花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  志るへ丹てまうて女君耳ハ飛ん可しの
0290【女君には】-紫上御事
  丹ものするひ多ち能ひ古ろ王つ
  らひてひさしくなり尓遣るを佐者可し
  きまきれ尓とふらハ年ハとおしくてな
  ひるなと遣さや可尓王多らむも飛んな起を
  よ能ま尓志のひてとなん思侍丹も可
  具とも志らせしとき古えいとい
  多遣さうしいハ佐しもえ」(58オ)
0291【れいハ】-紫心

  ハぬあた里をあやしと見給あハせ
  給事もあれとひめとののちハ
  なにこともとすきぬるか多のやう耳ハ
  あらす春古しへ多つるひて志らぬ
  やう丹てハすそ能ハ志ん殿へも王多り
0292【しん殿】-女三
  者てふミかき可ハしたきとに
  をい連てくらしふよひ春くしてむつ
  ましき農可きり四五人ハ可りあしろ
  くる満のむ可しおほえて屋つ連多る丹て
  いていつミ能可ミしてうそこきこえ」(58ウ)

  か具王多りおハしまし多るよし佐ゝめきゝ
  こ遊れ者とろきあやしくい可
0293【おとろき給て】-朧
  う尓きこえ多るに可とむつ可りへとお可し
  可丹て可へし多てまつらむ尓いとひんな
  らむとてあな可ち尓めくらしてい連多
  てまつるとふらひなときこえたゝ
  古ゝもと尓古し尓ても佐ら尓む可し能ある
  ましきとハのこらすなり尓遣るをと
  王りなくきこえたまへ者い多くなけく/\
0294【なけく/\】-朧月夜
  ゐさりいてへりされ者よ遣ち可さハと」(59オ)
0295【されはよ】-源心

  かつおほさるか多ミ尓お本ろ遣ならぬ
  ミしろきなれ盤あハれも春くな可らすひん
  可し能多いなり个り堂つミの可多能ひさし
  尓すゑ多てまつりて・みさうし能志りハ可多
0296【すゑたてまつりて】-源
0297【かためたれは】-細開虎指
  め多れ者いと王可や可なるちもする可なとし
0298【いとわかやかなる】-源
  徒もりをもまきれな可そへら流ゝ
  古ゝ路ならひ尓かくおほめ可しきハい見しう
  徒らくこそとうら見きこえい多く
  布けたまも尓あそふをし能こゑ/\な
0299【たまもにあそふ】-(朱合点) 春の池の玉もにあそふ鳰鳥のあしのいとなき恋もするかな(後撰72・古今六帖1504、異本紫明抄・河海抄・一葉抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  あハれ尓きこえて志め/\とめ春くなき」(59ウ)

  能うちのありさ満も佐もうつり行世哉
  おほしつゝくる尓平中可まねならね
0300【平中かまねならねと】-平中定文事末摘巻ニアリ
  満古と尓もろ尓なんむ可し尓可ハりて
  となおと那しくハ古えも能可らこれを
0301【これをかくやと】-障子事
  可くてやとひきうこ可したまふ
    としへ多てゝあふさ可能佐も
0302【とし月を】-源氏
  せ起可多くおつる
    なミ多のミせきとめか多き志ミつ尓て
0303【なミたのミ】-かんのきミ
0304【せきとめかたき】-後 守人のありとハきけと相坂のせきもとゝめぬ我涙かな(後撰984、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚)
  あふみちハ者やく多え尓きなと可け者
  なれきこえへとい丹しへをおほしいつるも」(60オ)
0305【いにしへをおほしいつるも】-朧心

  多れによりほうハさるいみしき古とも
  あ里し佐者きそハと遣尓
  いま多ひの多いめむハありもすへ可り个り
  とほしよハるもとより徒しや可な
  おハせさりし登し古ろ者さ満/\尓
  世中志りきし可たをくやしくお本や遣
  王たくしの尓ふれ徒ゝかすもなくおほし
  あつめていとい多く春くし尓多れとむ可し
  おほえ多るいめん尓能よのと越
  可らぬ心地して徒よくももて那しハす」(60ウ)

  な越羅う/\しく王可うなつ可しくてひと
  可たならぬ徒ゝましさをもあ者れをも
  見多れてなけき可ち丹ても能し遣し
  きい満ハしめ多らむよりもめつらしく
  あハれ丹てあ希いとくちおしくていて
  多まハんそらもなあさほら遣の多ゝならぬ
  もゝちとり能こゑもいとう羅ゝ可なり
  者ミなちりすきてこりかすめるこ
  春衛のあさ見とりなるこ多む可し
  ふち能えむししこの古ろ能なり」(61オ)
0306【ふちのえむ】-花宴巻

  个ん可しとおほしい徒るとし徒もり
  尓个流ほとも能おりのかきつゝ遣
  あハれ尓おほさる中納言君見多てまつり
0307【中納言の君】-女房
  をく流とて徒まとおしあ希多るに多ち
0308【たちかへり給て】-源
  可へりこのふちよい可尓そめ遣むいろ
  丹可な越えならぬふ尓本ひ尓こい可て可
  こ能可遣をハ多ち者なるへき王りなく
  いて可て尓おほしや春らひ多りき者
0309【山きはより】-中納言
  より佐しいつる者なや可なる尓佐しあひ
  めも可ゝやくちするさ満のこよなく」(61ウ)

  ねひくハゝりへる遣ハひなとをめ徒ら
  志くほとへてもてまつるハ満してよ
  のつ年ならすおほゆ連ハさる可た丹ても
  と可まつり春くしハさらむ
0310【御宮つかへ】-朧
  徒可へ丹もかきりありてきハことに者
  な給事な可りしをよろつ
0311【こ宮】-大后
  越徒くしたまひよ可らぬさハき耳
  可る/\しき御名さへひゝきてやミ丹しよ
  な思いてら流こりおほくのこりぬらん
  御物可多りのとちめハ遣尓のこりあらせ満」(62オ)

  本しきわさなめるを御身尓えま可せ
  ましく古ゝ羅のめもいとおそろしくつゝ
  満し个れ者やう/\佐しあ可りあ者多ゝ
0312【さしあかり】-日事
  志くて羅う能と尓御車佐しよせ多
  も志のひてこハ徒くりきこ遊めして可能
  佐きかゝり多る者那ひとえ多おらせ
  遍り
    志徒見しも王すれぬものを古りす万
0313【しつみしも】-源氏
  にもなけ徒へき屋と能ミいとい多
  くおほし王徒らひてより井へるを」(62ウ)

  くるしうてまつる女君もい満さらに
0314【女君】-朧
  いと徒ゝましくさ満/\尓見多れへる
  尓可遣ハなつ可しくて
    をな遣んふちもまこと能布ちならて
0315【身をなけん】-かんの君返し
  遣しやさら尓古りすまのいとわ可や
  ふるまひを可らもゆるさぬ古と尓
  お本しな可らきもり能可た可らぬ多ゆミ尓や
0316【せきもりの】-(朱合点) 人しらぬ(古今632・伊勢物語6・業平集47、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  いとよくか多らひをきていて能可ミも
  より古よなとゝめてへりし
  御心さしな可ら者つ可丹て屋ミ丹し可」(63オ)

  羅ひ尓ハい可て可ハあハれも春くな可らむいミ
  志具志のひいりへるほんねく多れの
  さ満をまちう遣て女君さハ可りならむと
0317【女君】-紫上
  へれとほめ可しくもてなしてお者
  春/\うちふ春へなとしへらむよりも
  くるしくとかくしも者な
  らむとおほさるれハありしより遣尓ふ可き
0318【ありしより】-(朱合点) 伊 わするらんとおもふ心のうたかひにありしよりけに物そかなしき(新古今1362・伊勢物語41、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  をのミ可きを可けてきこえ可ん
  の御事もら春へきらねい耳
  志へのことも志りへれ者ま本尓ハあらね」(63ウ)

  もの古し尓者つ可なり徒る多いめなのこり
  あるち春るい可てめと可めあるましく
  もてかくしてい満悲と多ひもとか多らひ
  き古えうち王らひていまめ可しく裳
0319【うちわらひて】-紫上
  なりかへるあり佐万可なむ可しをい満尓
0320【むかしをいまに】-(朱合点) 古のしつのをたまき(伊勢物語65、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  あら多めく者へほと可そらなる
  ためくるしくとて佐春可尓くミへる
  ま見のいとらう多遣尓ゆる尓かう
0321【かう心やすからぬ】-源氏御詞
  春可らぬ遣しきこそくるし个れ多ゝお
  ひら可にひき徒ミなとしてをしへへ遍多」(64オ)

  てあるへくもらハしきこえぬをおも者す
  尓こなり尓遣る御心れとてよろつ
  御心とり給程もえの古し者す
  なりぬめり御方丹もとみ尓えわ多り
0322【宮の御方】-女三
  たま者す古しらへきこえ徒ゝハします
  めハなにともおほし多らぬをうしろミ
  ともそや春可らすきこえ遣る王つらハしう
0323【わつらハしう】-源
  な遣しきなら者多もまし
0324【見え給】-女三
  てくるし可るへきをおいら可尓う徒くしき
  もてあそひくさ尓古えへりきり」(64ウ)
0325【きりつほの御方】-明中

  徒本の御方うちハええまかてたまハす
  いと満能ありか多个れ者屋すくならひ
  へるわ可き御心尓いとくるしくのミおほし
  多古ろなやましく志と見丹も
0326【なやましくし給】-懐妊
  ゆるしき古えたまハ年ハいと王りなしとお本
  春めつらしきさ満の古ゝちにそあり遣る
  またいとあえ可なるおほむ本と尓いとゆゝ志
  くそた連も/\おほ春らむ可し可らうして
  満可てへりひめのおハしますとゝ能
0327【ひめ宮】-女三
  ひん可しおもて尓御方ハ志徒らひ多あ可しの」(65オ)

  可多いまハ御身にそひていていり
  あらま本しき春くせなり可しい農
  うへ古な多に王多りていめし徒いて
  尓ひめ丹もな可能とあ遣て古えん
  可年てよりもさやう尓し可と徒いて
  なき尓ハ徒ゝましきを閑ゝ流おりにき
  えなれなハ屋春くなんあるへきと
  とにき古えへハうちゑミてやうなるへ
0328【うちゑみて】-源
  き可たらひ尓こそハあないとをさ那
  遣丹ものしめるをうしろや春くをしへ」(65ウ)

  那しへ可しとゆるしきこえ宮よりも
0329【宮よりも】-女三
  あ可し能者つ可し遣丹てましらむを
  おほせくし春満志ひき徒くろひて
0330【御くし】-紫
  者するたくひあらしとへりとゝハ
  御方尓王多りゆふ可多可能多
0331【宮の御方】-女三
  尓侍人志遣いさに多いめんせんとていて
0332【しけいさ】-淑景舎
  多つ徒いてち可つき古え佐せ
  本し遣尓春めるをゆるして可たらひ
  なとハいとよきなりまた王可/\しく
  てあそひ可多き丹も徒きな可ら春なん」(66オ)

  とき古え者つかしうこそハあら免
0333【はつかしうこそは】-女三
  に古とを可き古えんとひら可尓の
0334【人のいらへ】-源
  のいらへ者古と尓志多可ひてそハおほし
  いてめへ多てをきてもて那しこ満
  可にをしへき古え可うるハしくて春くし
  へとおほ春あまり尓なもな
  りさ満をあらハ佐連ん#も(朱))ハつ可しく
  ちきな个れとさの多ま者んを遍多
  てんもあいなしとおほ春なり个り堂い尓
  者可くいて多ちなと志もの可ら王れより可ミ」(66ウ)
0335【かミの人】-歳事

  の屋ハあるへき能本となるも能者可
  な起佐ま越えをき多まつり多る
  ハ可りこそあらめな徒ゝ遣られてうち
  な可めらひなとする丹もをのつ可ら
  婦る古とも能おもハしき春ち尓のミ可ゝ
  流ゝをさらハ我身丹ハふ古とあり个りと
  可らそお本し志ら流ゝ王多り
0336【院】-源
  女御とのほんさ満ともをうつ
0337【宮】-女三
0338【女御の君】-明中
  くしうもお者する可なさ万/\
  まつりへるめう徒し尓ハとし古ろめ」(67オ)

  なれへるお本ろ遣ならむ可いとかく
  おとろ可るへき丹もあらぬをくひな
  くこそハと見給あり可多起り可し
  あるへきかきり遣多可う者つ可し遣尓とゝ
  のひ多$丹(朱))そひて者なや可にいまめ可しく
  尓本ひなまめき多さ満/\能可本りもとり
  あつめ免て$さ(朱))可り尓そより
  古としハ万佐りきのふよりけふハめつらしく
  徒ねめなれぬ佐万能志へるをい可て閑くし
  裳あり个んとおほ春うちと遣多りつる」(67ウ)

  てならひを春ゝ里のした尓佐しい連
  連と徒希ひてひきかへしミ
  なと能いとわさとも上手えてらう/\
  しくうつくし遣尓かきへり
    にち可くやきぬらんるまゝにあを
0339【身にちかく】-紫の上
  もうつろひ尓个りとある耳めとゝ
  め
    水鳥能あ越ハいろもか者らぬを
0340【水鳥の】-源氏
  志多こそ遣しき古となれなとかきそへ津ゝ
  春さひ古とにふれてくるしき希」(68オ)

  志き能志多尓ハをのつからもり津ゝゆる
  を古とな遣ちへるもあり可多くあ
  ハれ耳おほさるこよひ者い徒可多丹も
  いと満ありぬ遍个れハかの志のひいと王り
0341【かのしのひ所】-朧
  なくていて尓个りいとあるましき古と
  とい見し具お本し可へ春丹もかな者さり
  个り東宮御方志ち能者ゝよりも
0342【東宮の御方】-明中
  この可たをハむつましきたのミきこえ
0343【この御方】-紫
  へりとうつくし遣尓をとなひ万さり
  へるをへ多て春可那しと多てまつり」(68ウ)

  も能可多りなといとなつ可しくき古え
  可ハし可能とあ遣て丹もたいめ
0344【宮】-女三
  志へりとをさな遣尓のミへ者
  や春くてとな/\しくやめき多るさ佐万
0345【おとな/\しく】-紫
  尓む可し能春ちをもつ年き古え
  納言のめのとゝいふめしいてゝし可さしを
0346【おなしかさしを】-(朱合点) 女ー母紫ヲハ 我宿とたのむ吉野に君し入らハおなしかさしをさしこそハせめ(後撰809・古今六帖2328・伊勢集13、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  堂つ年きこゆれ盤可たし遣な个れと王可ぬさ
0347【わかぬ】-分
  ま尓こえさすれ徒いてなくてつるを
  いまよりハうとから春あな多なと丹も(△&も)
  志をこ多らむ古とハとろ可しなとも」(69オ)

  も能しハんなうれし可るへきとの多万まへ
  ハたのもしき可遣とも佐ま/\尓をく
0348【たのもしき御かけ】-中納言詞(左) 我心なくさめかねつさらしなやをはすて山にてる月をみて(朱右)(古今878・新撰和歌257・古今六帖320・大和物語261)
  連き古え本そ遣尓おハしますめる
  を可ゝ流ゆるし能者へめれ者ます古とな
  くなんおもふへられ遣るむき丹しうへ
0349【そむき給にし】-朱
  の御心む遣もゝかくな御心遍多てきこえ
  者すま多い者けなありさ満をも
  くゝ見多まつらせへくそ者へめりしう地
  うち丹もさなたのミきこえ佐せしな
  きこ遊と可たし遣な可りしうそこ能」(69ウ)
0350【いとかたしけなかりし】-紫詞

  のちハい可てとのミ思侍れとな尓徒遣
  てもらぬむくちおし可り遣ると
  春ら可にをとなひ多る遣ハひ丹て丹も
  徒きへくゑなと能ひいな春て可多
  きさ満王可や可にき古えへ者遣尓と王可く
  よけな可なをさな御心ち耳ハ
0351【をさなき御心ち】-女三
  うちと遣へりさてのちハ徒年尓ふミ
  可よひなとして可しきあそひわさなとに
  徒遣てもうと可らすきこえ可ハし
  のあいなうかハ可り尓なりぬるあ多り」(70オ)

  のいひあつ可ふものなれハ者しめつ
  可たハいのうへい可尓おほ春らむおほ盈
  いとこのとし古ろ能やう尓ハ者せ春こし
  ハをとりなんなといひ遣るをい満春こし婦
  可き御心さしかくて志も満さるさ満なる越
  それ尓徒遣ても屋春可らすいふ々あるに
  か具丹く氣なくさへきこえ可ハしへ者古と
  な越里てめや春くなむあり遣る
  尓多いのうへ御賀さ可能ゝ見多う丹て
0352【さかのゝみたう】-仁和
  薬師本と遣くやう志多てまつりい可めし」(70ウ)

  き古とハせち尓いさめ申給へ者志のひ屋可
  丹とおほしをきて多本と遣者こち春能
0353【ちす】-帙簀
  とゝのへ万古と能古く羅く屋ら流さいそ
0354【さいそわう経】-最勝王経
  わうこんかう者む丹や寿命経
  ゆ多希きいのりなり可ん多ちめいとお
0355【ゆたけき】-厳重也
  本くまいりへり堂う能さ満おもしろく
  い者む可多(+なく(朱))もみちの可け王遣行野への本と
  よりハしめて見物なるにか多へハき本ひあ
  徒まりなる遍し志も可れ王多れる
  ハら能まゝにむまくる満のち可ふをと志」(71オ)

  遣くひゝき多り春きやうわ連も/\
  と可た/\い可めしくせさせ廿三日
0356【廿三日】-或廿六日(左)
  としミ能丹てこのハかくすきまな
  徒とひへるうち尓我御王たくし能とのとお
  ほ春二条院丹てまう遣させ
  佐うそくを者しめほ可多の御事ともゝ
  見なこな多にのミ志可た/\もさるへき
  ともわ希つゝのそミ徒可うまつり
  ともハの徒本年/\尓志多るを者らひて
0357【はらひて】-払
  殿上人諸大夫院司志もまてのまう希」(71ウ)

  い可めしくせさせへり志ん殿の者なちいてを
  れいの志徒つらひ丹て羅てんのし多亭多り
  おとゝ能丹しのまに能徒くゑ十二多てゝ
  夏冬よそひふ春まないの古とく
  むら佐き能あやのおほいともうるハしく
  王多りてうち能ハあらハならす御前尓をき
  ものゝ徒くえふ多つ可ら能春そこ能おほ
  井志多りかさし能多いハちんのくゑそくこ可
  ねのとり志ろ可年能尓井多者えな
  志けいさ能あつ可り丹てあ可し能御方」(72オ)

  せさせへるゆへふ可く古となりうし
  ろの御屏風四帖式部卿宮むせさせ遣る
0358【御屏風四帖】-古今右大将定国四十賀四季の屏風云々
0359【式部卿宮】-紫父
  いミ志く徒くしてれいの四季能ゑなれとめつら
  しきせん春いんなとめなれすおもしろし
  能可へ尓そへてをきのみ徒し布多よ#ろ(朱))ひ
  多てゝてうとゝもい能古となり見な
  能ひさしに可む多ちめ左右大臣式部卿宮
  をハしめ(+た)てまつりて徒き/\ハまして万いり
  ハぬなしふ多いの左右楽人農ひらハり
0360【ひらハり】-平張
  うちてにし飛ん可しにとんしき八十具ろく能」(72ウ)

  閑らひ徒四十津ゝ(△&ゝ)徒ゝ遣てて多りひ徒し
  のハ可り尓楽人万いる万歳楽皇麞なと
0361【万歳楽皇麞なと】-延喜六年十一月十日御賀先奏万歳楽次蘇合香次皇麞
  まいてくれ可ゝ類本とにこ万能らん志やうして
0362【こま】-高麗
0363【らんしやう】-
乱聲(朱)
  羅くそんまいゝて多る本と徒年のめな
0364【らくそん】-落蹲(朱)
  連ぬ能佐万なれ者・まひ者つる
  中納言衛門督おりていりあやを本の可に
  まひて紅葉の可遣尓ぬるなこりあ可春
  遣うありと々おほし多りい丹しへの
  雀院行幸青海波のい見し可りし
  ゆふへいて々ハ権中納言衛門督又」(73オ)

  おとらす多ち津ゝき丹(+ける者ゝ能おほえアリ佐万か多ちよういな(朱))もさ/\をとら
  春徒可さくら井ハ屋ゝ春#す(朱))見てさへこ
  なとよ者ひのをも可そへてな越佐るへき
  丹てむ可しよりかく多ちつゝき多な可
  羅ひなり个りとめて多くおもふある志の
  あ者れ尓く満しくお本しいてらるゝ
  ともおほ可りにいりて楽人とも満
  可りい徒まん別當とも々ひき
0365【北のまん所】-紫の上源氏の室家のおほえ也
  いろく能可らひ徒尓よりて津ゝとりてつき
  徒きたまふ志ろきともを志那/\可つきて」(73ウ)

  きハよりい遣の徒ゝ見春く流本と能よそ
  めハちとせ越可年てあそふ徒る能遣古ろも尓
0366【ちとせをかねて】-(朱合点) 催ー 筵田哥 筵田のいつ貫川にすむ鶴の千とせをかねてあそひあへる(催馬楽「席田」、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  ま可へら類あそひハしまりてとお
  もしろし古ととも春宮よりそとゝのへ
0367【春宮】-今
  させ遣る朱雀院より王多りまい連る
  ひ者きよりたまハりへる佐う能
  なとみなむ可しおほえたるも能ゝねとも尓て・
  め徒ら志くかきあハせへる尓にのお
  丹も春起丹しか多のありさ満う地王多り
  なとおほしいてら流故入道者せ万し」(74オ)
0368【故入道の宮】-薄

  可ハ閑ゝ流御賀なとわ連こそ春ゝミ徒可う
  まつらまし可なに尓徒遣て可ハさしも
  え多まつり个んとあ可すくちおしく
  のいてきこえ丹ものおハし
0369【こ宮】-薄
  まさぬことをなに古と丹もはえな佐う/\
  志くおほさるゝ尓このとをた尓
0370【この院】-源
  のあと阿る佐まの可しこまりを徒くしても
  まつらぬをよとゝもにあ可ぬ心地
  志古としハ此御賀尓古とつ遣て見遊
  きなともあるへくおほしを起て氣れと」(74ウ)

  世中能王つらひならむ古と佐ら尓せさせ
  満しくなんといな申給古と堂ひ/\尓な
0371【いなひ】-辞
  ぬれ者くちおしくお本しと満りぬ志ハす
  の廿日あまり能中宮ま可て佐せ
0372【中宮】-秋ー御賀行
  古としのゝこり能いのり尓なら能
  七大寺のぬの四千多んこ能ち可き
  みや古の四十寺きぬ四百疋わ可ちて
  せさせあり可多き者くゝ見を本し志り
  な可らなににつ遣て可ハふ可き御心さしをも
  あらハし御覧させ者んとてちゝハゝ」(75オ)
0373【ちゝ宮】-前坊

  みや春能おハせましめ能さしをも
  とりそへおほ春にか具あな可ち尓お本や
  遣丹も古えかへさせへ者ともお
  くとゝめさせ四十といふ古と者
0374【四十の賀】-昭宣公四十賀後五十七薨貞信公四十賀後七十薨
  佐き/\を丹ものこり能よハひ飛さ
  志きためしなん春くな可り遣るをこ能多ひ
  ハ猶世ひゝきとゝめさせ満古と耳
  のち尓多$羅(朱))ん可そへさせへとあり
  个れとお本や遣さ満丹てとい可めしく
  なんあり遣る能おハしますまち能志ん」(75ウ)

  てんに志つらひなとしてさき/\尓古登
  かハらす可む多ちめ能ろくなきやうに
  なすらへて御子多ち尓ハ古と尓佐うそく
  非参議四位満うちきん多ちな堂ゝ能
  殿上人尓ハしろきほそ可ひと可さ年古し
  佐しなとまて徒き/\に佐うそくかきり
  きよらを徒くしてた可きお者可し
  故前坊御方佐まにて徒多ハり万いり
  多るもあ者れ尓なんふるきよ能
  あるかきりハ見なつとひ万いる御賀尓なん」(76オ)

  あめるむ可し可多り丹も能えさせ多るを
0375【むかし物かたりにも】-作ー詞
0376【ものえさせたる】-誦経拍功徳銭施入
  かしこきこと尓ハかそへ津ゝ遣多めれと
  うる佐くてこちたき可らひの古とゝも
  えそ可そへあえ者へらぬや尓ハおほしそめ
0377【内には】-冷
0378【おほしそめ】-御賀
  てし古とゝもを・む遣尓やハとて中納言
0379【中納言】-夕霧事(#)
  丹そ徒遣させ个る能古ろ能右大将
  屋まゐして志し个るをこの中納言
0380【中納言】-夕霧事
  御賀よろこひくハへんとおほしめして
  に者可になさせ裳よろ古ひき古え
0381【院】-源
  佐せふもの可らとかくにハ可尓あまるよろ」(76ウ)

  古ひをないち者やきちしひ遣し
0382【ひけし申給】-源
  申給うしとら能まち尓志つらひまう遣
0383【うしとらのまちに】-花散里在所シン殿行
  かくろへ多るやう尓志なへれと个ふ
  者な越者多古と尓きし起まさりて
  のきやうなともくら徒可さ古く佐うより
  徒可うまつらせへりとん志きなほや遣
  佐万丹て頭中将むしう遣見こ多ち
  五人左右とゝ大納言ふ多り中納言三人
  宰相五人殿上人者れい能東宮院のこる
  春く那しましてうとゝもなとハほ」(77オ)
0384【おほきおとゝ】-致仕

  きおとゝくハしくう遣者りて徒可うまつ
  らせへり个婦ハおほせありてわ多り
0385【わたりまいり給へり】-源#
  万いりへり裳いと可しこくとろき
0386【院】-源
  御座耳徒き御座尓む可へ
  てとゝ能御座あり・いときよらにも能/\志く
  ふとりてこのおとゝそい満佐可り能志う
0387【しうとく】-宿
  とくとハへるあ流しのとわ
0388【あるしの院】-源
  可き源氏飛やう風四帖
  う地のて可ゝせへるから能あやのうす多ん
0389【うち】-冷
0390【御てかゝせ給へる】-延長例
0391【うすたん】-タミ
  に志多ゑのさ満なをろ可ならむやハもしろ」(77ウ)

  き春秋の徒くりゑなとよりも古の御屏風
  のすミ徒き能可ゝ屋くさ満ハめもをよハす
  那しさへめて多くなむあり遣るをきも能ゝ
  見津しひきふきも能なより
  たまハりへり大将いきをひもいとい可
0392【大将】-夕
  めしくなりたまひ尓多れ者う地そへて个ふ
  さ本ういと古となりむ万四十疋左右
  むま徒可さ六衛府官人可見より徒き/\
0393【六衛府の官人】-近衛 衛門 兵衛
  尓ひきとゝのふるほとひくれ者てぬいの
  さい賀王恩といふまひ遣しきハ可り」(78オ)

  まひておとゝ能わ多りへるにめつらしくもて
0394【おとゝ】-源#
  者やしへるあそひ尓みな人心をいれ
  へりひ者盤連いの兵部卿宮に古と丹も
0395【兵部卿宮】-蛍
  耳か多き春尓おハしていとにな
  おまへ尓きんの古とおとゝ王こんひき
0396【おまへ】-
0397【おとゝ】-
  とし古ろそ尓遣る見ゝ能きゝ那し尓や
  いという尓あハれ尓おほさるれハきんも
  おさ/\かくした万ハすい見しきねとも
  徒む可し能もの可多りともなといてきて
  い満ハ多可ゝ流可らひ尓い徒可多に徒遣て」(78ウ)

  裳古えかよひへきむ徒ひなよく
  きこえ見きあま多多ひ万いりて
  のおもしろさもとゝこほりなゑい
  なきともえとゝめ者すをくり
0398【御をくり物に】-致仕
  春くれ多る王こんひとつこのミこ満ふえ
  そへて志多ん能者こひとよろひ尓可ら能
  とも古ゝ能さうのといれてくる満尓
  をひてたてまつれ御馬ともむ可へとりて
  徒可さともこ満の閑くして能ゝ志るろく
  ふの官人のろくとも大将給御心とそ」(79オ)

  き・い可めしき古とゝもこの多ひ
  とめ給へれと東宮一院さいのつき
0399【一院】-朱
0400【きさいの宮】-秋
  徒き能ゆ可りい徒くしき本といひ志ら春
  えに多る古となれ者可ゝるおり尓ハめて
  多くなんおほえ遣る大将のたゝひとゝ古ろ
  おはするを佐う/\しくはえなちせ
  可とあま多の尓春くれお本え古と尓可ら
  もか多ハらなきやう丹も能し丹もかのハゝ
0401【ハゝ北の方】-葵上
  伊勢とのうらミ婦可く
  いと見可ハし个んほとの春くせとも農」(79ウ)

  春ゑえ多るなさ満/\なり遣るそ能
  佐うそくともこなたのうへなむ
0402【こなたのうへ】-花散
  志遣るろくともほ可多能をそ三条
0403【三条の北の方】-雲井
  のハいそめりしおりふし尓徒希
  多る御いとなうち/\能のきよらをも
0404【こなたにハ】-花散
  な多尓ハゝよそ能尓のミきゝ王多り
  に徒遣て可ハ可ゝるもの/\しき
  可春丹もましらひハ満しとおほえ多るを
  大将ゆ可り尓いとよくかすまへら連
  へりとし可へりぬきり徒本の御方ち可つき」(80オ)
0405【きりつほの御方】-明中十四
0406【ちかつきたまいぬる】-産

  たまいぬるにより正月朔日よりす本う
  ふ多ん尓せさせてら/\屋しろ/\能いのり
  者多可すも志ら春とゝ能ゆゝしき古とを
0407【おとゝの君】-源
  見給へてし可ハ可ゝ流本とのハいとおそろしき
  尓おほし志ミ多るをいのうへなと能さる
0408【たいのうへ】-紫
  古と志ハぬハくちおしく佐う/\志き可ら
  うれしくおほさるゝにま多いとあえ可な
0409【あえかなる】-稚
  本とにい可尓お者せんと閑年てお本し
  さハく尓二月ハ可りよりあや志く遣しき
  可ハりてなや見御心ともさハく遍しおん」(80ウ)

  屋うしともゝをかへて津ゝ志ミふ遍く
  个れハ本可能佐しハなれ多らむ者ほつ可な
  とてかのあ可しのまち能な可の多い尓王たし
  まつりこな多ハ多ゝおほきな
  いふ多つ羅うともむめくりてあり遣る
  に春本うの多んひまなくぬりてい見し
  き遣んさとも徒とひてのゝ志るはゝ君此
  我御春くせゆへきわさなめれ者
  見しきをつくし可能おほあ万
  まハこよな本遣尓てそあり希む」(81オ)

  閑しこ能ありさ満をまつるハゆめ
  のちしてい徒し可と万いりち可つきなれ
  多てまつるとし古ろ者ゝかうそひ
  さふらひへとむ可しの古となま本尓志も
  き古え志らせハさり遣るをこ能あ万
  よろ古ひ尓え多へてまいりてハ可ち
  耳ふるめ可しきとも王なゝきいて
  津ゝ可たりきこ遊ハしめつ可多ハあやしく
  むつ可しき可なとうちま$ほ(朱))りし可と可ゝる
  ひ登ありとハ可りハ本のきゝをきへれ者」(81ウ)

  なつ可しくもてなへりむまれ
  とゝ能かのうら尓おハしまし多りし
  ありさ満い万ハとてへのほりし尓た連
  もをまとハしていまハかきり閑ハ可りの
  尓こハあり遣れとなけきしをわ可
0410【わか君】-明中若
  のかくひきた春遣へる春くせいミ志く
  可なしきことゝほろ/\となけハ遣尓あハれ
  なり遣るむ可し能かくき可せ佐らまし
  可ハおほつ可なくても春きぬへ可り个りと
  おほしてうちなのうち尓ハ我身ハ」(82オ)

  遣尓うけハりてい見し可るへきハ尓ハあら
  佐り遣るをいのうへのもてなし尓見可ゝ
  連てへるさ満なともか多本耳ハ
  あらぬなり遣りをハまたな
  遣ちこよなおこりをハ志つ連
  志多耳いひいつるやうもあり徒らむ可しな
  おほし志り者てぬ者ゝをハもとよりかく
  春こしおほえく多れ累すちと志りな可ら
  むまれ遣んとをハ佐る者なれ多
  さ可ひ丹てとも志りハさり个りと」(82ウ)

  あまりおほときへる遣尓こそハあやしく
0411【おほとき給へる】-明中
  お本/\し可り遣る古となりやかの入道のい万
  ハ仙人耳もすまぬやう丹てゐ多な
  をきゝくるしくなか多/\耳
  見多れとも能あ者れ尓な可めてお
  するに御方万いり日中可ち耳
0412【御方】-明上
  古な多(+个な(朱))より万いり徒とひ佐者可しく能ゝ
  志る尓まへ尓古ともさふらハすあ万
  と古ろえていとち可くさふらひあな
  くるしやみし可き御木丁ひきよせて」(83オ)

  こさふらひハめとさハ可しくてをの
  つ可ら本ころひのひまもあらむ尓く春しなと
  屋うの佐ましていと佐可り春きへりやな
  なま可多ハらい多く思給へりよしめきそして
  ふるまふ者おほゆめれともう/\尓見ゝも
0413【もう/\】-朦
  お本/\志可り个れ者あゝとか(+た)ふきてゐ多り
  満ハいとさいふハ可り丹もあら春可し六十五六
  のなりあます可たいとかハら可にあてなる
  佐万志てめ徒やゝ可にきハれ多る遣しき
  のあやしくむ可しいて多る佐万なれ者」(83ウ)

  む年うち徒ふ連てこ多いのひ可とも
  や徒らむよくこのよの本可なるやうなる・
  ひ可おほえとも尓とりませ徒ゝあや志き
  む可し能ともゝいてまうてきつらん者やゆ
  め能古ゝちこそ志れとうちほゝえ見てミ多
  てまつりへ者いとな万め可しくきよら
0414【いとなまめかしく】-明中
  丹ていよりもい多く志徒まりほし
  多るさ満尓みえこともほえたまハす
0415【我こともおほえたまハす】-明上
  可たし遣なきにいとおしきともを
  古えほしみ多るゝ丹やいまハかハ可り」(84オ)

  とくらゐをきハめハんよに古えも
  羅せんとこもへくちおしくお本し春徒
  遍き尓ハあらねいと/\おしくをとりし
  らんとおほゆ可ち者てゝ満可てぬ流耳
  く多ち可くま可なひなしこれ者可り
  をた尓いとく流し遣尓古えあ万
  ハいとめて多うつくしうてま徒る
  まゝ(+に(朱))も者えとゝめすかほハえミて具ち
0416【えミて】-咲
  徒きなとハくるしくひろこり多れとまミ
  の王多りう地しくれてひそミゐ多りあな可多」(84ウ)

  ハらい多とめくハ春れときゝもい連春
    おいのなミ可飛あるうらに多ちいてゝ志ほ
0417【おいのなミ】-明石のあま
  多るゝあま越堂れ可と可めむ無可し能丹も
0418【むかしの世にも】-七十以上
  かやうなるふる徒ミゆるされてなん
  个るとき古ゆすゝりなる可み尓
    志ほ多るゝあま越浪路能し流へ丹て
0419【しほたるゝ】-明石中宮
  多つ年も者や者満まのとまやを可たも
  え志のひハてうちな
    よ越春てゝあ可し能うらに春む
0420【よをすてゝ】-明石上
  屋ミハ者流遣しもせしなときこえまきら」(85オ)

  ハし王可れ个んあ可の古とも
0421【わかれけんあか月のこと】-上詞 入道事
  お本しいてられぬをくちおしくもあり遣る可な
  とおほ春やよひの(朱))のいら可耳
  むまれ可年てハおとろ/\しくお本しさハ
  きし可と多くなやミ給事なくてとこ
0422【おとこみこ】-今上
  みこさへおハすれ者かきりなくおほ春佐ま
  丹てとゝも御心ち井こなたハかく
0423【おとゝ】-源
  れの可多にてたゝ遣ち可きなるにい可めし
  きう婦屋しなひなと能う地志きりひゝき
  よそをしきさ満遣尓可ひあるうらとあ万」(85ウ)

  能多め尓ハえた連ときしき起やう
  なれ者王多りむとすいのうへも王多
  里へり志ろき佐うそく志のおや
0424【しろき御さうそく】-産衣
  めきてわ可つとい多きてゐへる佐万
  いとお可しつ可ら可ゝる古と志りハす
  うへ丹てもらひハ年ハいとめつら可にうつ
  くしと古えへりむつ可し遣尓お者する
  をたえすい多起と里へ者ま古と能を者
0425【をは君】-ウハ
  ゝま可せ多てまつりて殿能あ
  徒可ひなとを徒可うま徒り春宮宣旨」(86オ)

  なる内侍の春けそつ可うまつる御む可へゆ尓
0426【内侍のすけ】-宣旨ト云女房ノ内侍カケタル也
  おり多へるもいとあハれ尓うち/\能
  本の志り多る尓春こし可多本ならハいとおし
  らましをあさましく氣多可く遣耳
  ゝ流古と尓ものし遣る可な
  こゆこ能のきしきともま年ひ多てん
  尓いと佐らなりや六日といふ尓いのおとゝ尓
0427【れいのおとゝにわたり給ぬ】-シン殿明中帰
  わ多り七日夜内よりもうふ屋しな
  のあり朱雀院の可くを春ておハし
  ます可ハり丹や蔵人所より頭弁宣旨」(86ウ)

  うけハりてめつら可なる佐万尓徒可うまつ
  連りろく能きぬな又中宮御方よりも
  おほや遣古と丹ハ多ちまさりい可めしく
  せさせつき/\の御子大臣のい衛/\そ
  の古ろ能いとなミ尓てわ連も/\と(+き(朱))よらを徒く
  志て徒可うまつりおとゝ能もこの本との
0428【おとゝの君】-院号之後モイヘリ
  ともいの屋う丹も古とそ可せハて
  尓なくひゝき古ち多う地/\の
  なまめ可しくこ満可なるひのま年ひ徒
  多ふへきふしハめもとまらすなり尓个り」(87オ)

  おとゝ能わ可をほとな具い多き多て
  まつりひて大将のあま多まう遣多なる
  をいまゝてぬ可う羅めしき尓かく羅う
  たきをそえ多てまつりたる(#(墨)(朱))うつくし
  見き古えふハ古とハりなりやひゝ丹もの
  をひきのふるやう尓およ春けめ能とな
  志らぬハとみ尓めさてさふら婦志那
  くれ多るかきりをえりて徒可うまつらせ
  可たの御心をきて能らう/\しく遣多可くお
  ほと可なるさるへき可多にハひ遣して尓」(87ウ)
0429【ひけ】-卑下

  くら可丹もう遣ハらぬなとを本めぬ
0430【ほめぬ人なし】-明上
  多いのうへ者ま本ならねえかハし
  さハ可りゆるしなくおほし多りし可とい万
  ハとくにいとむつましくやむ古とな
0431【宮】-若宮
  おほしなり尓ちこう徒くしミ志
  御心丹てあ万可つなてつ可ら徒くりそゝ
  具りお者すもいと王可/\しあ遣くれこの
  可し徒き丹て春くし可能こ多いのあ万
  王可のと可にてまつらぬ
  なんあ可すおほえ遣る/\多てまつり」(88オ)

  そめてこひきこゆる丹そいのちも盈
  たふましか(+ん(墨)、(朱))める可能あ可し丹もかゝ流古と
0432【たふましかめる】-絶マシキ
  徒多へきゝてさるひし里ち丹もいとうれ
  しくおほえ个れ者いまなんこのさ可いを
  や春くゆき者なるへき弟子とも耳
  いひてこのいへをハてら尓なしあ多り能
  なとのやう能見な尓志越
  きこのく能こほり尓もかよひ
  可多くふ可きや万あるをとし古ろも志めをき
  な可らあし古尓こもりなむのち尓ハ」(88ウ)

  え志らるへき丹もあらすとたゝ春
  古し能おほつ可な起古り个れハいまゝて
  な可らへ遣るをいまハ佐りともと本と遣
  たのミてなむうつろひ个るこのち可きとし
  古ろとなりてハ耳古となるらて
  もかよハし多まつら佐り徒古れよりく多し
0433【これより】-京
  給人ハ可りに徒个てなひとく多り丹てもあ万
  さるへきりふしの裳かよひ遣る
  者な流ゝよのとちめ尓婦ミ可きて可多に
0434【御かたに】-明
  多まつれへりこ能とし古ろ者おし」(89オ)
0435【このとしころは】-入道文詞

  世中うち尓めくらひりつれとなに可ハ
  かくな可らを可へ多るやう尓思給へなしつゝ
  させる古となかきりハきこえうけ
  ハらす可那ふミたまふる者め能いとまいり
  て念仏も遣多いするやう尓屋くなうてな
  うそこも堂てまつらぬを徒て尓う遣
  多満者れハ王可春宮まいり
  とこむまれへるよしをなふ可くよろ
  古ひ申侍ゆへ者つ可らかく徒多な
  ふし能いま佐ら尓このよ能さ可えを」(89ウ)

  丹もら春すき丹しか多能とし古ろ
  き多な六時徒とめ丹も古とを
  尓可遣て者ち春のうへ農徒ゆのね可ひを
  ハ佐しをきてなん志多てまつりし王可
  おもとむまれハんとせ能としの二月
  ののゆめ尓しやうつ可らすミ能
  のて尓さゝ遣多左右より月日
0436【月日のひかり】-中宮 東宮
  の飛可りさや可に佐しいてゝよをてらす
  つ可らハ志も能可遣尓かくれて
  あ多らすをハひろき耳う可へをき」(90オ)

  ちい佐き耳のりてにしの可たを佐して
  こきとな見侍さめてあしたより
  可すならぬ尓多のむと古ろいてきな可ら
  な尓徒遣て佐るい可めしき古とを者
  まちいてむとう地尓ひ者へしを
  の古ろよりハらまれ尓しこな多く能
0437【そくのかたのふミ】-学文
  可多のふミを見侍し丹も又内教をた
  徒ぬる丹もを志ん春へき古とおほく
  し可ハいや志きふと古ろ能う地丹もか多し遣
  なくおもひい多徒き多てまつりし可とち可ら」(90ウ)

  をよハぬにおもふへ可年て可ゝ流みち尓
  おもむき耳志またこのの古と尓志つミ
  のなミに佐ら尓ち可へらしと
  とちめてこのうらにとし古ろし本とも
  わ可をたのむ古と尓き古えし可ハな
  ひとつ尓おほく能を多て者へりし
  かへりたいら可に古とあひわ可
  くにの者ゝとなり可ひ見ち者ん
  よに春見よし能見屋しろをハしめ者たし
  さら尓に古とを可ハうた可ひらむこの」(91オ)

  飛と徒のひち可き尓可なりぬれハ
  はる可尓にしの可た十万億(=)の遍多て堂流
  九品のうへのゝそ見う多可ひなくな
  ぬれ者い満ハ多ゝむ可ふる者ち春越まち
  はへるほと・そのゆふへまて水草きよき山
0438【水草きよき】-(朱合点) 遠つ国ハ水草きよミ事しけき都の事ハすますまされり(挙白集1791、休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
  の春衛丹て徒とめらむとてなま可り
  いりぬる
    ひ可りいてんあ可ち可くなりに氣り
0439【ひかりいてん】-明石の入道
  い満そしよの可多りするとて月日
  かき多いのちをハらむ月日も佐ら尓なし」(91ウ)

  路しめしそい丹しへよりのそ(+め(朱))をき遣る
  尓もに可や徒連ハん我身ハ遍ん
  とおほしなして老法師のため丹ハ
  (功徳を徒くりへこのよの堂能し見尓(朱))そへてものち能よ越王すれふな可ひ
  耳多尓い多り可ならすいめん
  ハりなさハ能本可のきし尓いたりてとく
0440【さハ】-娑婆
  あひ見んと越おほせさてかの屋しろ耳
  多てあ徒め多るふミともをほきな
  ちんの婦者こ尓ふむしこめて多てまつりた
  まへりあま尓ハ古と/\丹も可ゝすたゝこ」(92オ)

  の十四日尓ないほりま可り者
  なれてふ可き尓いりりぬる可ひな
0441【ふかき山にいり侍りぬる】-六 身をすてゝ山に入ニし我なれは熊のくらハん事もしられす(拾遺集382・拾遺抄475、河海抄・紹巴抄・休聞抄・花屋抄・岷江入楚) 薩埵王子身施虎
  をハく満おほ可ミ丹もこ丹ハ
  猶思しやうなるよ越ま地いてあきら可
  なる丹ていめんハありなむとのミあ
  里あ万このふミを可能徒可ひの
  こ尓とへハこ能御文かき三日といふ耳
  な可能多え多るみ年尓うつろひ丹し
  可しらもかのをくり尓ふもとまてハさふらひ
  志可ミな可へし僧一人王らハ二人とも」(92ウ)

  尓さふらハせい満ハとよ越そむきしお
  里を可なしきとちめと思給へし可とのこり
  个りとし古ろをこなひのひま/\尓より
  ふしな可らかきならしきんの古とひ者
  とりよせ可いしらへ津ゝ本と遣にま可り
0442【まかり】-辞(イトマ)
  見多う尓施入さらぬ
  ともゝおほくハ多てまつりのゝ古り
  をなん御弟子とも六十余人志たしき
  かきりさふらひ遣る本と尓徒遣てみな處分
  志しのこりをなれうとて」(93オ)

  をくり多てまつりへるいまハとてかきこ
  もり佐る者るけき可すミにまし里
  丹しむなしきあと尓と満りて可なしひ
  おもふ々なんおほくるなこ能多いとこも
  王らハ丹てよりく多り个るふる
  し尓なりてとまれ累いとあ者れ耳
  そしとへりほと氣の御弟子佐可しき
  ひ志り多わしのミ年をハと/\志可ら春
  たのミきこえな可ら徒き遣る
  能まとひハふ可かり遣る越ましてあ万農」(93ウ)

  かなしと思給へる古とかきりな御方ハミな見の
  おとゝにお者するを可ゝるうそこなんあると
  あり个れハ志のひて王多りへりをも/\しく
  をもてして本ろ家遣ならてハかよひあひ
  見給古とも可多きをあハれなるんと
  きゝておほつ可な个れハう地し能ひて能し
  へる尓いといミ志く可なし遣なる遣しき
0443【いといミしく】-尼公
  丹てへりち可くとりよせて婦ミ
  を見給遣尓せ起とめん可多そ可り遣る
  よ能ハなにともめとゝむましき古と能まつ」(94オ)

  む可しきしか多の事思古ひしと
  王多り丹ハあひ春き者てぬる
  にこそハと見給い見しくい婦可ひ那し
  えせきとめすこのゆめか多りをかつ
  佐きたのもしくさハひか丹て我身
  佐しもあるましきさ満尓あく可羅し
  な可古ろゝよハれ志古とハかく者可那
  にたのミを可遣てた可くも能しなり
  个りとか徒/\あハせあまきミひさ
  志くためらひてとく尓ハうれしく」(94ウ)

  をも多ゝ志き古とをも尓あまりてな
  ひな思侍あハれ尓いふせひもすく
  連て个れ可すならぬ可多丹てもな可
  らへしを春てゝかしこ尓志つミゐしをた尓
  よ尓た可ひ多る春くせ丹もある可な
  者へし可とい遣るよにゆきハな遍多多
  へきとハ可遣すし者ち春
  尓春むへきのち能よの多のミをさへ可遣て
  としを春くしきて丹ハ可尓かくお本えぬ
  古といてきてむき丹し尓多ち可へり」(95オ)

  て者へる可ひある御事てまつりよ
  ろこふもの可らかたつ可多尓ハほつ可那く可な
  志き古と能うちそひてえぬを徒井耳
  かくあひみす遍多てな可らこのよ越王可れ
  ぬるなくちおしくお本え者へる尓へし
  多尓尓にぬ心者えによりよ越もてひ
  可む流やうなりしをわ可きとち多のミ
  ならひてをの/\ハをきて个れ者
  可多ミ尓いとふ可くこそたのミし可い可な
  ハかく見ゝにち可起程な可らかくて王可れぬらん」(95ウ)

  といひ津ゝ遣ていとあハれ尓うちひそ
  御方もい見しくな起て尓春く連ん
  佐き能古とも本え春や#春(朱))ならぬ尓ハ
  なも遣さや可尓可ひあるへき尓もあらぬ
  もの可らあハれなるありさ満尓おほ徒可
  なくてやミなむのミこくちおし个れよろ
  徒のさるへきためとこ本え者へ
0444【さるへき人】-入道
  れさて多え古もり世中も佐多めな
  尓や可てき可ひなくなんとてよもす
0445【きえ給なハ】-入道
  可らあハれなるともをいひ津ゝあ可し」(96オ)

  のふもとゝ能のあな多にありと
0446【きのふも】-猶明ー詞
0447【おとゝの君】-源
  を起志越尓ハ可尓者ひ可くれ多らむも
  可ろ/\志きやうなるへしひとつハなにハ可り
  もハゝかりらすかくそひ給御めなと
0448【そひ給】-
  のいとおしき尓なむ尓ま可せてをもも
  那しにく可るへきとてあ可尓かへり王多り
0449【かへりわたり給ぬ】-明方
  王可ハい可ゝおハしますい可て可
  まつるへきとてもなきぬい満てまつり
  てん女御いとあハれ尓なむおほしいて
  津ゝ世中思ふやうならハ遊ゝしき閑年」(96ウ)

  古となれとあ万まて可らへ
0450【あま君その程まて】-若宮東宮マテ
  なんとのふめりきい可尓おほ春古と耳可
  あらむとのへ者うちゑミていてやされ者
0451【又うちゑミて】-尼
  こ佐万/\ためしな起春くせ尓これとて
  よろこふこのふ者こハも多せてまう能本り
0452【まうのほり】-明上
  宮よりとくまいりへきよしのミ
0453【宮より】-東ー
  あれ者かくおほし多ることハりなりめつらし
0454【めつらしきことさへそひて】-若宮
  き古とさへそひてい可尓もとなくおほさる
  らむとむら佐き能うへもの王可志の
  ひてまいらせてまつらむ御心徒可ひし」(97オ)

  見や春ハお本んいとまのや春可らぬ
0455【みやす所】-明中
  尓古り可ゝ流徒いて尓志ハしあらま本し
  くお本し多り御身さるおそろし
  き古とを志へれ者すこしおもやせ本そり
  てい見しくなまめ可しきさ満志へり可く
  ためらひ可多くお者する本と徒くろひ
  そハな可たなとハく流し可りきこえ
0456【御かた】-明
  をとゝハかやう尓おもやせえたて
0457【おとゝ】-源
  徒りハむも/\あハれなるへきわさな
  なとのいのうへなとのわ多りぬる」(97ウ)

  徒可多しめや可なるに可多おまへ尓まいり
0458【おまへに】-明中
  こ能ふ者こき古え志らせもふさ満尓
  可なひ者てさせまてハとりかく志てをき
  てへ个れと世中佐多め可多个れ者うし路
  め多佐尓なんをも御心とお本し可す
  まへさらむこな多ともかくもは可那くな
  可なら春しもいまハのとちめ越
  らむせら流へき丹もらねうつし
  うせ春者へるよにな者可なをも
  き古えさせをくへく遣るとむつ」(98オ)

  可しくあやしきあとなれとこれもらんせ
  このふミハち可き見徒しなとにを可せ
  可ならすさるへ可らむおり尓らむしてこ能うち
  能古とゝもハせさせうとき尓ハ
  させかハ可りと多てまつりをきつ連
  者つ可らもよ越そむきんとおもふ
  なりゆけハよろつのと可丹もおほえ者へ
  らす多いのう遍の古ゝろをろ可尓
  古えさせいとあり可多くものしふ可き
  遣しき者へれハ尓ハ古よなく万佐り」(98ウ)

  てな可きよ丹もあらなんとそ者へる
  もとより御身尓そひき古えさせん尓徒希
  ても徒ゝ満しきミのれ者ゆつりき
  古えそしをいとかうしもハしと
  なんとし古ろハよのつ年尓おもふへ王多り
  徒るいまハきし可多佐きうしろや
  春くなり丹てりないとおほくき
  古えくミてきゝお者すかくむつまし
0459【きゝおはす】-明中
  可るへきまへ丹も徒年耳うちと遣ぬ佐万
  志王りなくもの徒ゝミ志多るさ満な」(99オ)

  このふミの古とハいとう多てこハくにくけ
  なるさ満越みち能くに可ミ丹てとしへ尓
  个れ者きハミあ徒こえ多$累(朱))五六枚佐春
  可にかう尓いとふ可く志ミ多るにかき篇り
  いとあハれとお本してひ多い可ミ能やう/\ぬれ
  ゆくハめあて尓なまめ可しハひめ
0460【院】-源
0461【ひめ宮】-女三
  の可多におハし遣るを可能みさうしより
  ふと王多りへれハえしもひき可くさて
  きちやうをすこしひきよせてつ可らハ者
  たかくれへり王可者おとろきへりやと」(99ウ)
0462【わか宮は】-源詞

  き能まも古ひしきわさなり个りとこえ
  へ者見や春ハいらへもきこえハ年者
  御方い尓わ多しき古えへときこえいと
0463【御方】-
0464【たいに】-紫
0465【いとあやしや】-源詞
  あやしやあな多にこの羅うしりて
  ふと古ろを佐ら尓者な多すてあ徒可ひ
  徒ゝ屋りならすきぬもみなぬらしてぬき
  可へ可ちなめる可ろ/\しくなとかく王多した
  てまつりこな多にわ多りてこ多て
  まつりハめとのへ者いとう多てく満
  な起古と可な尓おハしまさむ尓た尓あな」(100オ)

  た丹て多てまつりハんこよくらめ
  志てとこハかきり那しとき古えさすれと
  屋春くおほえハふれ丹てもかやう尓
  遍多て可満しきさ可しかりきこえさせ
  ひそ古えうち王らひてな可とも
0466【うちわらひて】-源
  尓ま可せて者なちきこゆへきなゝ里な
  多てゝいまハた連も/\佐し者なちさ可しら
  なとのをさな个れまつハかやう(+尓(朱))者ひ
0467【はひかくれて】-隔物心
  かくれてつ連なくいひおとしめり閑し
  とて御木丁をひきやりへれ者もや能ハし」(100ウ)

  羅尓より可ゝりていときよけ尓者つ可し遣
0468【よりかゝりて】-明中
  なるさ満してありつる者こも満とひ
  可く佐んもさ満あし个れハ佐てハするを
0469【なそのはこ】-源詞
  の者こふ可きあらむ遣佐うな可う
  たよミてふんしこめ多るちこそ春れと能
  へハなう多てやい満め可しくなりかへら
0470【あなうたてや】-明上詞
  せめる御心らひ尓きゝ志らぬやうなる
  春さひとも時々いてくれとて本ゝゑミ
  へれとあハれなり遣る个しきとも志流
  氣れ者あやしとうち可多ふきへる佐万」(101オ)

  なれハ王徒らハしくて可能あ可しのい者やより
0471【あかしのいはや】-明石
  志のひて者へしいのり能巻数又またしき
  と能者へり遣るを古ゝろ丹も志らせ
  てまつるへきおりあらハ御覧しをくへくや
  とてゝいまハ徒いてなくてなに可ハ
  あけさせハんとき古え遣尓あハれ
0472【けにあハれ】-源詞
  なるへきありさ満そ可しとい可尓をこな
  ましてすミ尓多らむな可くて古ゝら
  のとし古ろ能徒とむる徒ミもこよな可らむ
  可し尓よしありさ閑しき可多/\」(101ウ)

  能とてる丹もこのにそ見多る
  こりふ可き丹やあらむ可しこきか多こそ
  あれいとかきりあり徒ゝをよ者佐り个りや
  佐もい多りふ可くさす可に氣しきありし
  のありさ満可なひ志り多ちこ能者なれ可本
  丹もあらぬもの可ら志多能ハみなあらぬ
  かよひすミに多るとこえし可満していまハ
  くるしき本多志もなひ者なれ尓多らむ
  をや可や春きらハ志のひていとあ者満
  本しくことのい満ハかのをも」(102オ)
0473【いまハかの】-明上詞

  春てゝとりの年きこえぬ丹となきゝ
0474【とりのねきこえぬ山】-(朱合点) 古今 とふ鳥の声もきこえぬ奥山のふかき心ヲ人ハしるらん(古今535、異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
  きこゆれ者佐らハそのゆいこむなゝ里な(△&な
0475【さらハその】-源詞
  そこハかよハしあ万い可尓思給ら無
  おやこのよりもま多佐る佐まの
  古($)と尓こそふ遍个れとてうちくミ
  へりとし能徒もり尓世中能ありさ満をと可く
  志りまゝにあやしく古ひしく
  ら流ゝのミ阿りさ満なれ者ふ可き
  な可らひハい可尓あ者れならむなとの徒いて
  尓この可多りもお本しあハするもやと」(102ウ)
0476【この夢かたりも】-明石詞

  いとあ屋しき本んしと可いふやうなる
0477【ほんし】-梵字
  あとに者へめれとらんしとゝむへき婦し
  もやまし里とてないまハとてわ可れ
  丹し可とあハれ者のこりるも能
  なり个れとてさ満よくうちないと
  閑し古く本れ/\し可らすこそあるへ个れ
  てなとも春へてにこともわさというそく
  尓志徒へ可り遣るゝこ能よふる可多
  のをきてこ春く那可り个れかの
  そ能おとゝハいと可し古くあり可多き」(103オ)

  佐しを徒くして本や遣尓徒可うまつり
  遣るものゝた可ひめありて能む
  くひ尓かくすゑハなきなりいふ
  めりしを女子の可多に徒遣多れとかくて
  いと徒き那しといふへき丹ハあらぬもそこら
  のをこなひの志流し尓こそハあらめなと
  おしのこひ津ゝこ能の王多りにめとゝ
  めあやしくひ可/\しく春ゝろ尓た可き
  佐しありともと可めわ連那可らも
  さるましきふるまひをかり丹てもする」(103ウ)

  可なしことハこの能むまれ
  ふ可く志り丹し可とめ能まへ尓
  えぬあな多能ほつ可なくこ
  王多りつ連佐らハ可ゝ流堂のミありてあな
  可ち尓ハのそ見しなり个りよこさ満尓
  い見しきめ越み多ゝよひしもこ能ひとり
  の多めにこあり个れい可なるを可
  おこし个むと遊可し遣れ者うち尓お
  ミてとりこれ者くして多てまつるへき
  物侍い満古え志らせらんと女御」(104オ)

  丹ハき古え能徒いて尓いまハかくい丹し
  遍の古とをもたとり志りぬれとあな
0478【あなた】-紫
  能御心者へをおろ可尓お本しなすなもとより
  佐るへき可えさらぬむ徒ひよりも
  こ佐万能のな遣能あハれをも可遣ひと
  のよせあるハ本ろ遣能古と丹もあら春
  満して古ゝになとさふらひなる/\
  裳ハしめ能さしかハらすふ可くねん古ろ尓
  古え多るをい丹しへののたとへ丹も
0479【世のたとへ】-マヽ母事
  佐こそハう者へ尓ハ者くゝ見遣れと羅う/\」(104ウ)

  志きたとりあらんと閑しこきやうなれと
  あやまりてもめ志多能遊可ミたら
0480【あやまりても】-マヽ子ノ心
0481【我ため】-マヽコノ為
0482【心ゆかみ】-マヽハヽノ心
  む佐もよらすうらな可らむ多めハ
  ひき可へしあハれ尓い可て可ゝるに者とつミえ
0483【あハれに】-マヽ母ノ思ナヲシ哀マン也
  可満しき丹も越るあるへしお本
  ろ遣能む可しのよ能あ多ならぬ可ふ
  ふし/\あれとひとり/\徒ミなき尓ハを
0484【ひとり/\】-マヽ子モマヽ母モ
  のつ可らもてなす多め志ともあるへ可めりさし
  もある満しき古とにかと/\しく具せ越
  徒遣あいをもて者なるゝある」(105オ)

  ハいとうちと氣か多くく満な起わさに
  なむあるへきほくハあらね
0485【おほくハあらねと】-源ノ見給方ー
  とあるさ満可ゝ流おもむきをミ遊るにゆへ
  よしといひ佐万/\尓口惜可らぬき者能
  者せ阿るへ可めりミ那をの/\え多るか多
  ありてとるくもあらねとりた
  てゝうしろミにまめ/\しくえらひ
  ハん尓ハあり可多きわさになゝ満こ
  に能くせなくよき古とハこの堂いを能ミ
0486【このたい】-紫
  なこれをそおひら可なるといふへ可り个る」(105ウ)

  登な者へるよしとてあまりひ多ゝ遣
0487【ひたゝけて】-切也
  てのもし遣なきもいとくちおしやとハ
  可りのふ尓か多へのひ屋られぬ閑し
  そこにこ春こしものゝえても能し
  める越いとよしむ徒ひ可ハしてこのうしろ見
0488【この御うしろみ】-明事
  をもお丹ても能しへなと志のひ
  や可尓のの多まハせねといとあり可多起
0489【のたまハせねと】-明上詞
  遣しきをまつるまゝにあけくれ
  の古とくさにき古え者へるめさ満しきも能尓
  なとおほしゆるさゝらん尓かうまてらんし」(106オ)

  志るへき丹もあらぬをか多ハらい多きまて
  可すまへのハ春れ者可へりてハま者ゆくさ
  遍なむ可春ならぬのさす可にきえぬ者
  よのきゝ(+見ゝ)もいとくるしく津ゝましく
  まへら流ゝを徒ミなきさ満尓もて可くされ
  てまつり津ゝのミこそと古えへ者
  そめ尓ハなにのさし可ハあらむ多ゝ
0490【その御ため】-源詞
  このありさ満をうちそひてもえ多て
  まつらぬお本つ可なさにゆつりき古えらるゝ
  なめりれもとりもちて遣ちえん尓」(106ウ)
0491【又とりもちて】-紫

  とあらぬもて那しとも尓よろ徒の
  能め尓めや春くなれ者いとなむおもひ
  くうれしき者可那き古と丹ても能
  春ひ可/\しきハ多ちましらふ尓徒遣
  ての多めさへ可らきとあり可しさな越し
  れもも能志めれ者や春くな
  と尓徒遣てもさりやよくこそひ希し
0492【さりやよくこそ】-明上
  尓个れな津ゝ遣多いへ王多り佐も
0493【たいへわたり給ぬ】-源
  いとやむことな御心さしのミま佐るめる
  可な遣尓者多より古とにかくしもくし」(107オ)

  へるありさ満の古とハり登へる
  こそめて多个れ御方うハへの閑し
0494【宮の御方】-女三
  徒きのミめて多くてわ多りともえな
  のめならさめるハか多し遣なきわさなめり
  閑しおなしすち尓ハおハ春れといまひとき
  ハゝくるしくと志りふこちき古え
0495【しりふこち】-源ノ御後言也
  徒遣ても春くせいと多遣くそおほえ
0496【我すくせ】-明上
  个るやむことな起堂にほ春さ満丹もあら
  さめ類よ尓満して堂ちまし流へきお
  えにしあらね春へてい満ハうらめしき」(107ウ)

  ふし裳那しゝ可能堂えこもりに多る
  春見を屋るのミそあハれ尓お本つ可な
 あまゝ婦く地のの尓た年満き
0497【ふくちのそのにたねまきて】-作者不知 耶輸陀蘿か福智の園に種まきてあハん必有為の都に(出典未詳、異本市営抄・河海抄・弄花抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
  てとやうなりしひと古とをうち堂のミて
  ちのよ越屋り津ゝ可めゐへり大将
0498【大将の君】-夕
  ハこのひめと越をよハぬ
0499【ひめ宮】-女三
  丹しもあらさりし可ハめ尓ち可くおハします
  をいと多ゝ丹もおほえ春ほ可多の閑し
  徒きに徒遣てこな多尓ハ佐りぬへきおり
  おり尓まいりなをのつ可ら遣ハひあり」(108オ)

  さ満もいと王可くほときへる
  ひと春ち丹てうへのきしきハい可めしく
  めし尓志つハ可りもて可し徒き多て
  まつりへれとおさ/\遣さやか尓ものふ可く
  者えす女房ともおとな/\しきは者
  春く那く王可や可なるか多ちのひ多ふる
0500【かたち人】-顔人
  尓うち者なやきされ者めるハいとお本く
  可春志らぬまて徒とひさふらひ津ゝも能
  なけなるあ多りとハいひな可ら
  のとや可にしつめ多るハ能うちの」(108ウ)

  あらハ丹志もえぬわさなれハ
  志れぬおもひそひ多らんも満古とに
0501【又まことに心ちゆき】-思アル人モ心チヨキ人ニソヘハモニナル心ナリ
  遊き遣尓とゝこ本りな可るへき丹し
  うちま志れ者閑多への尓ひ可れ津ゝ
  那し遣ハひもてなし尓多ら可なるを
  多ゝあけくれ者い者け多るあそひ多者
  婦れ尓いれ多る王らハへのありさ満なと
  ハいとめ尓徒可す見給事ともあ連と
  とつさ満尓よのをおほしのハぬ御本
  れ者可ゝる可多をもま可せて佐こそハ」(109オ)

  あらま本し可らめとらんしゆるし津ゝ
  いましめとゝのへさせ者す佐うし見の
  ありさ満ハ可りをハい登よくをしへき古え
  春こしもて徒遣へ里可やうの
  大将遣尓こあり可多起なり
0502【大将の君】-夕
  个れむら佐きのようい遣しき古ゝら
  のとしへぬれととも可くもゝりいてみえき
  古え多ると古ろな志徒や可なるをもとゝ
  志てさす可尓う徒くしうをも遣多す
  をもやむことな丹く具もて那し」(109ウ)

  そへへるしおも可けも王すれ可多
  くのミないてられ遣る我御北可多も
  あハれとお本春可多こふ可个れいふ可ひあり
  春くれ多羅う/\しさなとも能し
  ハぬなり多しきもの尓いまハと免
  なるゝにゆるひて可くさ満/\に徒とひ
  へるありさ満とものとり/\尓お可し遣越
  ひとつ尓者なれ可多きをましてこ能
  本とを丹もかきり那く古と
  なるほとにとりわき多遣しき耳」(110オ)

  志もあら春め能かさりハ可り尓こそ登ミ
  多てまつり志流わさとおほ遣な起
  志もあらね多てまつるおりありな
  むやとゆ可しく古え个り衛門
  可むの尓徒年尓まいり志多しく
0503【院に】-朱
  さふらひなれハこのをちゝ見
  可と能かしつきあ可め多てまつり御心
  をきてなとくハしくてまつりをきて
  さ満/\の佐多めありし古ろをひより
  古えより丹もめさましとハほしの」(110ウ)
0504【院にも】-朱

  ハせ春ときゝしをかく古とさ満尓なり
  へるハいとくちおしくむ年い多き
  春れ者越えおもひ者なれす能お
  よりか多らひ徒きに遣る女房のたより
  尓ありさ満なともゝ徒多ふるを
  さめ尓ふそ者可な可り遣るいのうへ
  の遣ハひ尓ハおされんと
  ま年ひ徒多ふるをきゝてハ可たし遣なくとも
  さるハおもハせ多てまつら佐らまし遣尓
  たくひな御身にこあ多ら佐らめと」(111オ)

  つ年尓こ能小侍従といふちぬしをもいひ
0505【御ちぬし】-母
  者けまして世中佐多めなきをとゝ能
0506【おとゝの君】-源
  もとより本いありて本しをきてたる
0507【ほいありて】-山居
  可多におもむきハゝとたゆミ那くあり
  き个りやよひハ可り能そらう羅ゝ可なる
  六條院兵部卿宮衛門督と万いり
0508【兵部卿宮】-蛍
  へりとゝいて御物可多りなとし
  志つ可なる春まゐハこの古ろこいとつ連
  つれ尓満きるゝ古とな可り个れほやけ
  わ多くし尓と那しやにわさして可者」(111ウ)

  くら春へきなとのけさ大将のも能し
  徒るハい徒可多にそいと佐う/\しき
  のこゆミいさせてるへ可り个りこ能むめる
  わ可うと(+登(朱))もえ徒るをういてや志
  ぬるとゝハせ大将ハうしとら能まち
0509【うしとらのまち】-花散
  尓々あま多志てまりもてあそハして
0510【まりもてあそハして】-自黄帝始為戦国我朝天智天ー時入鹿所翫
  みとき古しめして見多れ可ハしき古と能
  佐春可にめさ免てかと/\しきそ可しいつら
  こな多にとてうそこあれ者まいり
  へりわ可きむ多ちめく々おほ可り氣り」(112オ)

  まりも多せへりやれ/\可も能志徒る
  とのこれ可連者へり徒こな多へま可てん
  屋との志んてんの飛ん可しおもてきり
0511【しんてんのひんかしおもて】-西対の東西ニまりのかゝりあり
0512【きりつほ】-明中
  つ本ハ王可くし多てまつりてまいり
0513【まいり給いにしころなれは】-御留守也
  い丹し古ろなれ者こな多可くろへ多り个り
  屋りとのゆきあひ者れてよしある
0514【やり水】-遣水の遠心ナリ
  可ゝり能を多つね堂ちいつほきお本
0515【おほいとのゝ君たち】-柏
  いとのゝ多ち頭弁兵衛佐大夫なと
0516【頭弁】-紅梅
  春くし多るも可多なりなるもさ満/\尓
  よりまさりてのミも能しやう/\」(112ウ)

  くれ可ゝるにふ可春かしこきなり登
  遣うしてもえ志つめすちまし
0517【弁の君】-紅
  連ハとゝ弁官盈おさめあへさめるを
0518【おとゝ】-源
  可ん多ちめなりともわ可きふ(+の、の#)徒可さ
0519【衛ふつかさ】-大将以下
  多ちハと可見多れハさらむ可ハ可りの
  よハひ丹てあやしく春くす口惜
  おほえしわさなりさ流ハいときやう/\
0520【いときやう/\なりや】-軽々也まりの事也みたれかましきあそひをいふ
  なりやこのとのさ満よ那との大将
  裳可んのみなおりえならぬ
  の可遣尓さ満よひふゆふ者へいときよ遣」(113オ)

  なりさ/\さ満よく志つ可ならぬ見多れ
  古となめれと可ら可らなり个りゆへある
  こ多ち能い多くかす見こめ多るにいろ
  いろひもときわ多るとも王つ可な
  もえきの可遣にかくは可なれと
0521【もえきのかけ】-散後
  よ起あしき遣ちめあるをいとミ徒ゝわ連も
  をとら志とひ可本なる衛門督可り
  そめ尓たちまし里へるあしもとにら婦
  な可り个り可多ちいときよ遣にまめき
  多るさ満志多るよういい多くして佐春」(113ウ)

  か尓見多り可ハしき可しくみゆ見ハし能ま尓
  あた連る佐くら能可け尓よりて
  うへも王すれて尓いれ多るをとゝも
0522【宮】-蛍
  裳すミのかう羅尓いてゝ御覧いとらう
0523【御覧す】-依人上ヨリ見物アルヘシ
  ある者へともえてか春おほくなり
  尓らうも見多れてかうふり能ひ多い
  古しく徒ろき多り大将くらゐの
0524【御くらゐの程】-位程無鞠
  程思れいならぬみ多り可ハしさ可那と
  おほゆれみるめハより遣尓わ可く可し遣
  丹て佐くら能な越し能屋ゝなえ多る耳」(114オ)

  佐しぬきのすそつ可多すこし婦く見て
0525【すこしふくみて】-なへはめる事也
  遣しきハ可りひきあ遣へり可ろ/\しう
  裳え春きよけ(朱))なるうちと遣春
  可多にのやう尓布り可ゝれ者う地
  あ遣て志ほれ多る春こしをしお
  てみハしのな可能志な可んの
  徒ゝき見多り可ハしくちるめり
0526【みたりかはしく】-麻(ミタリカワシ)
  やさくらハよ起てそなとの徒ゝ
0527【さくらハよきて】-(朱合点) 吹風も心しあらハ此春ハ桜をよきてちらささらなん(出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)
0528【宮】-女三
  まへの可多を志りめ尓れハいの古とに
  おさまらぬ遣ハひともしていろ/\こほ連」(114ウ)

  いて多る見す能徒ますき可けな
  多む遣のぬさふくろ尓屋とお本ゆ御木丁
  とも志と遣なくひきやり津ゝ遣ち可く
  よ徒きてそみゆるにからねこのいとちい
  さく可し遣なるを春こしおほきなる
  ねをひつゝきに者可尓見す能徒万より
  ハし里いつる尓々おひえさハきてよ/\
  と見志ろきさ満よふ遣ハひともきぬの
  をとなみゝ可し可満しきち春こ者
  ま多よく丹もなつ可ぬ尓や徒なと」(115オ)

  な可く徒き多り遣るをもの尓ひき閑け
  まつ者れ尓遣るをに遣んとひこ志ろふ本と
  尓見春能そいとあらハ尓ひきあけられ
  多るをと見尓ひき越春もなこの
  者し羅のもと尓あり徒るひと/\も
  あ者たゝし遣丹ておちし多る遣ハひ
  ともなり木丁能きハ春こしいり多る
  う地きす可多丹てへるありハし
  よりにしの能まの飛ん可し能そ者なれ者
  まきれも那くあら者尓いれ羅流」(115ウ)

  こう者い尓やあらむこきう春起すき/\尓
0529【すき/\に】-数奇/\
  あま多可さなり多る遣ちめ者なや可尓
  佐うし能徒まのやうにえてさくら能をり
  ものゝほ$そ(朱))な可なるへしくし能すそまて
  遣さや可尓ゆるハいとをより可遣可堂る
  屋う尓なひきてすそ能ふさや可にそ可れ
  多るいとう徒くし遣丹て七八寸ハ可りそあ
  まりへるそのすそ可ちにいとほそく
  さゝや可丹て春可多徒き可ミ能かゝり
  へるそ者めいひ志らすあて尓羅うた」(116オ)

  遣なゆふ可けなれ者さや可ならす
  くらきちするもいとあ可すくちおし
  まり尓をなく流わ可ち能
  ちるをおし見もあえぬ遣しきともを
  とて々あらハをふとも遣ぬなる
  へしこ能い多くなけハ可へりへるをも
  ももて那しなら可丹てわ可く
  う徒くし能屋とふとみえ多り大将いと可多
  ハらい多个れと者ひよらむも/\いと可る/\
  志遣れ者越えさせうちし者」(116ウ)

  ふきへる尓そやをらひきいりさるハ
  我心ち丹もいとあ可ぬちしへと
  の徒なゆるしつれ者丹もあら春うちな
  遣可るましてさハ可りを志め多る衛門
  のむ年ふとふ多可りてれハ可り
  尓可ハあらんこゝら能志るきうちき
  す可多よりも尓まき流へくもあら
  佐り徒るけハひな耳可ゝりてお
  ゆさらぬ可本尓もて那し多れとまさにめと
  とめしやと大将ハいとおしくお本さる王り」(117オ)

  那きち能なくさめ尓こをま年きよ
  せかきい多起多れ者いとかうハしく
  てらう多遣尓うちなくもなつ可しく
  よそへら流ゝそす起/\しきやとゝ御覧
  おこせ可ん多ちめ能いと可ろ/\しや
  こなたにことていの見なミおもて
0530【たい】-紫
0531【みなミおもて】-東対ノ南庇方ナリ
  尓いりへ連ハみな多尓まいり
  もゐなをり御物可多りし徒き/\
0532【宮も】-蛍
  の殿上人春能こ尓わらう多めして王さと
  なく徒者いもちゐしかうしやう能とも」(117ウ)

  佐万/\尓者このふ多とも尓とりませ徒ゝ
  あるをわ可き々そほれとりくふ佐るへき
  からハ可り志て可ハら遣まいる衛門督いと
0533【から物ハかり】-唐クタ物
  い多く志しめりて屋ゝも春れ者尓め
  をつ遣て可め屋る大将志り尓あやし
  可り徒るミすの春き可遣いつることや
  あらむと思給いとハしち可なり徒るあり
  さ満を可つハ可ろ/\しとおもふらん可しいてや
  こな多能ありさ満のさハあるまし可める
0534【こなたの】-紫
  をともふ尓可ゝれ者こお本えの」(118オ)

  より盤うち/\能御心さしぬるきやう
  尓ハあり个れとあハせてうちと能よう
  いほ可らすい者遣なきハらう多きやう
  なれとうしろめ多きやうなりやとおと
  さるさいしやう能よろつの徒ミをもおさ/\
0535【さいしやうの君】-衛門督兼ナリ
  たとられ春ほえぬひまより本の可丹も
  それとまつり徒る丹もむ可し
  より能さしの志類しあるへき丹や登
  うれしきちしてあ可すのミおほゆ
0536【院は】-源
  む可しもの可多りしいてお本きおとゝ」(118ウ)
0537【おほきおとゝ】-致仕

  能よろ津のちならひてかちまけの
  佐多め志まりなんえをよハす
  なりにし者可な起ことハ徒多へあるまし
  个れとの春ちハこよな可り遣りいと
  めもをよハす可し古うこえつれとの
0538【かしこうこそ】-柏鞠
  者うちほゝえミて者可/\しきか多尓ハ
0539【はか/\しきかたにハ】-柏詞
  ぬるくいへのさしもつ多へらん尓
  のち能の多とな流ことなくこそ者へり
  ぬへ个れと申給へ者い可て可な
0540【いかてか】-源詞
  ことなる遣ちめをハ志流し徒多ふへきな」(119オ)

  いへの徒多へなと尓かきとゝめいれ多らんこ
  遣うハあらめなとた者ふ連給御さ満能尓本ひ
  屋可尓よらなる(+を多てまつる丹もかゝ累丹ならひてい可者(朱))可り能丹可をうつ春
  者も能しハんな尓ことに徒个て可あハれと
  遊るしたまふ者可りハなひ可しきこゆへきと
  めくらす尓いとゝこよなあ多りハる可
  なるへき志ら流れ者む年のミ
  ふ多可りて満可りて大将ひと
  徒丹て見ち能本と可多りしこの
  古ろ能つ連/\尓ハこの尓まいりてま」(119ウ)

  きらハすへきなり个り个婦の屋うならん
  いとまのひ万・まち徒遣てのおり春く
  さすまいれとの徒るをおしミかてら
  こゆミも多せてまいりへとか多
  らひちきるをの/\わ可るゝ見ち能本とも
  可多りしたまふて御事い者満本し
0541【宮】-女三
0542【いはまほしけれは】-柏
  个れ者尓ハこのい尓のミも能せさせ
0543【院】-源
0544【このたいに】-紫
  めり可能お本んおほえ能古となるなめり
  閑しこのい可尓おほ春らんみ可と能なら
0545【みかと】-朱
  ひなくらハし多てまつりへる尓佐しも」(120オ)

  らてくし尓多らんこく流し个れと
  いなくいへ者い/\しき古とい可て可さハ
0546【たい/\しきこと】-夕詞
  らむこな多ハさ満可ハりて本し多へる
  む徒ひの遣ちめ者可り尓こあへ可めれ
  をハ可多/\に徒个ていとやむことな
  古えへるものをとか多りへ者いてあな
0547【いてあなかま】-柏
  可満み那きゝても者へりいと/\おし遣
  なるおり/\あなるをやさるハよ尓おしなへ
  たらぬほえをあり可多きわさな
  屋といと本し可る」(120ウ)

    い可なれハ耳こ徒多ふうくひ寿能
0548【いかなれハ】-柏
  をわきてねくらとハせ
0549【桜をわきて】-女三宮にたとふ
0550【春の鳥】-衛門督詞
  ひとつ尓とまらぬこゝろよあやしとおほ
  ゆる可しとくちすさひ尓いへ者いて
0551【いてあな】-大将詞心中
  あなあちきなあつ可ひやされハよと
    見山木にねくら佐多むる者こ
0552【み山木に】-夕 紫上にたとふ 六 深山木ニよるハきてぬる箱鳥の明て立ラン事をこそおもへ(古今六帖4483、河海抄・休聞抄・紹巴抄・岷江入楚)
0553【はこ】-かほ一本 果鳥 万
0554【はこ鳥も】-箱鳥のまなくしは鳴春のゝの草のねしけき声もする哉(古今六帖4486・万葉1902、花鳥余情・休聞抄・岷江入楚)
  い可て可いろ尓あくへきわりなきこ
0555【いろにあくへき】-女三ノ宮をいふへし
0556【わりなきこと】-大将
  ひ多おもむきにのミやハといらへて王徒ら
  ハし个れ者古と尓い者せ春なりぬ古と
  尓いひまきらハしてをの/\王可れぬ可むの」(121オ)

  おほいとのゝひん可し能多い尓ひとり
  春見丹ても能志遣るもふありて
  とし古ろ可ゝる春まゐをする尓屋りな
  らす佐う/\しく本そおり/\あれと
  我身可ハ可り丹てと可ふこと可なハ佐ら
  むとのミおこりをするにこ能ゆふへよりくし
0557【くしいたく】-頭痛也又苦痛也
  い多く物思ハしくてい可ならむおり尓さハ
  可りにても本の可なるありさ満をた尓
  ともかくもかきまきれ多きハの
  そ可りそめ尓もハや春きも能い見」(121ウ)

  か多ゝ可へのうつろひも可ろ/\しき耳をの
  つ可らともかくもものゝひ万をう可ゝひ徒く流
  屋うもあれなと屋る可多那くふ可き満と
  のう地尓にハ可り能に徒遣てかく
  ふ可きあり个りと多志らせ多て満
  徒るへきとむ年い多くいふせ个れ者小侍従
  可りいのふミ屋り一日風耳佐そ
0558【れいのふミやり給ふ】-名宛所
0559【一日風にさそはれて】-応徳二京極大閣 千代まてとさきそはしむる桜花みかきか原にほりうへしより(夫木集1115)
  者れて見可きのハらを王遣いりて
0560【みかきのはら】-(朱合点) 垣ナトニヨス
  にいとゝい可尓とし个ん能ゆふへより
  見多里ち可きくらしあやなく个ふ$を(朱))な可」(122オ)
0561【あやなくけふを】-(朱合点) 伊 みすもあらすみもせぬ人の恋しくハあやなく今日やなかめくらさん(古今476・伊勢物語174・大和物語276・業平集22、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄)

  めくらしとかき
    よそにおらぬなけきハ志个れ
0562【よそに見て】-衛門督
  こりこひしき可遣とあれ
  一日も志らぬハゝよの徒年能な
  めにこそハとまへ尓志け可らぬ
  れ者かのふミをもて万いりてこ能
0563【この人の】-侍従詞
  かくのミ王すれぬとゝひも能し
  王つらハしくくるし遣なるありさ満
  裳見給へあまるもやそひ者へらんと
  つ可ら能可ら志り可多くなむと+うち(朱))王らひて」(122ウ)

  きこゆれ者いとう多てあることをもいふ
0564【いとうたて】-女三宮
  ともな遣尓のふミひろ遣多る
  を御覧もせぬといひ多ると古ろをあ
  さ満し可りし見春の徒ま越お本しあハせら流ゝ
  尓おもてあ可ミてとゝ能さハ可りと農
0565【おとゝ】-源
  徒いてことに大将い者けな
  ありさ満なめれ者をのつ可らとり者つして
  てまつるやうもありなむといましめ
  き古え本しいつる尓大将さる
  能ありしとか多りき古え多らんい可尓あハ」(123オ)
0566【あハめ】-アハク

  めハんとてまつり个んをハ
  おほさてまつハゝ可りき古え給心のうちそをさ
  那可り遣る徒ねよりもお本んさしら遍な个れ
0567【さしらへ】-返答
  者春さましく志井てこ遊へきこと丹も
  あらねひき志のひていの可く一日$盤(朱))つ連
0568【れいのかく】-侍従返事也
0569【つれなしかほ】-義孝集 わひぬれはつれなしかほにつくれとも袂ニかゝる雨のかなしさ(義孝集46、河海抄・紹巴抄)
  那し可本ゝなめさ満しうと遊るしき
  古えさりしを春もあらぬやい可尓あな
  可遣/\しと者や里可尓ハし里可き
    い満佐らに尓ないて佐くらをよ
0570【いまさらに】-小侍従
0571【をよハぬ枝に】-空ー第五 白雲と見ゆる桜もある物をおよはぬ枝におもハさらなん(宇津保物語328、河海抄・休聞抄)
  ハぬ可遣きと可ひなき古とを」(123ウ)

  登あり」(124オ)

(白紙)」(124ウ)

【奥入01】とせを可年てあそふ徒る能ろも
    席田第二反度也
【奥入02】耶輸陀蘿可布く地のそ能尓
    多ま起てあ者ん可なら春
    有為見やこ耳
    雖有此説此哥之證拠不知誰説
    頗凡俗事歟
」(125オ)

イ本
任庭訓加首筆畢 良鎮」(125ウ)

わかな(墨) 一校了(朱) 二校了(朱)」(前見返し)